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審決分類 審判 査定不服 特17 条の2 、4 項補正目的 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 特29条特許要件(新規) 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1163671
審判番号 不服2003-18654  
総通号数 94 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2007-10-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2003-09-25 
確定日 2007-09-06 
事件の表示 特願2001-193848「インタネットゲームシステム及びそれに用いるインタネットゲーム運営方法」拒絶査定不服審判事件〔平成15年1月7日出願公開、特開2003-956〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成13年(2001年)6月27日に出願された特願2001-193848号の出願に係り、原審における平成15年6月11日付の拒絶理由通知に対し、平成15年7月22日付の意見書とともに同日付の明細書を補正する手続補正書が提出され、前記拒絶理由により平成15年8月19日付で拒絶査定され、その後、前記拒絶査定を不服として、平成15年9月25日に拒絶査定不服審判が請求され、平成15年10月27日付の明細書を補正する手続補正書が提出されたものである。

第2 平成15年10月27日付の手続補正についての補正の却下の決定

[補正の却下の決定の結論]
平成15年10月27日の手続補正を却下する。

[理由]
1 補正の内容
平成15年10月27日の手続補正(以下、この補正を「本件補正」という。)は、平成15年7月22日付の手続補正により補正された特許請求の範囲についての
「【請求項1】 予めヒント情報が隠された複数のゲーム参加ホームページを掲載するホームページサーバと、
前記複数のゲーム参加ホームページから得る前記ヒント情報を基に前記ゲーム参加ホームページ各々を順次辿って前記ゲーム参加ホームページからパスワード情報を収集する参加者端末と、
前記複数のゲーム参加ホームページの先頭のホームページアドレスを提供するゲーム運用管理者サーバと、
前記参加者端末と前記ホームページサーバと前記ゲーム運用管理者サーバとを相互に接続するインタネット網とを有することを特徴とするインタネットゲームシステム。
【請求項2】 前記ヒント情報は、少なくとも前記参加ホームページ内に隠すように設定されたことを特徴とする請求項1記載のインタネットゲームシステム。
【請求項3】 前記ヒント情報は、少なくとも前記参加ホームページ内に設けられた設定事項を解決することで得られるように設定されたことを特徴とする請求項1または請求項2記載のインタネットゲームシステム。
【請求項4】 前記パスワード情報は、少なくとも前記参加ホームページ内に隠すように設定されたことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか記載のインタネットゲームシステム。
【請求項5】 前記パスワード情報は、少なくとも前記参加ホームページ内に設けられた設定事項を解決することで得られるように設定されたことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか記載のインタネットゲームシステム。
【請求項6】 前記パスワード情報は、前記ゲーム運用管理者サーバに設定された前記ゲームの終了ページを開くためのものであることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか記載のインタネットゲームシステム。
【請求項7】 前記パスワード情報を用いて前記ゲーム運用管理者サーバのホームページ及び前記参加ホームページにアクセス可能としたことを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか記載のインタネットゲームシステム。
【請求項8】 予めヒント情報が隠された複数のゲーム参加ホームページをホームページサーバに掲載する過程と、
前記複数のゲーム参加ホームページの先頭のホームページアドレスをゲーム運用管理者サーバから提供する過程と、
参加者端末が前記複数のゲーム参加ホームページから得る前記ヒント情報を基に前記ゲーム参加ホームページ各々を順次辿って前記ゲーム参加ホームページからパスワード情報を収集する過程とを有し、
前記参加者端末と前記ホームページサーバと前記ゲーム運用管理者サーバとをインタネット網を介して相互に接続することを特徴とするインタネットゲーム運営方法。
【請求項9】 前記ヒント情報は、少なくとも前記参加ホームページ内に隠すように設定したことを特徴とする請求項8記載のインタネットゲーム運営方法。
【請求項10】 前記ヒント情報は、少なくとも前記参加ホームページ内に設けられた設定事項を解決することで得られるように設定したことを特徴とする請求項8または請求項9記載のインタネットゲーム運営方法。
【請求項11】 前記パスワード情報は、少なくとも前記参加ホームページ内に隠すように設定したことを特徴とする請求項8から請求項10のいずれか記載のインタネットゲーム運営方法。
【請求項12】 前記パスワード情報は、少なくとも前記参加ホームページ内に設けられた設定事項を解決することで得られるように設定したことを特徴とする請求項8から請求項11のいずれか記載のインタネットゲーム運営方法。
【請求項13】 前記パスワード情報は、前記ゲーム運用管理者サーバに設定された前記ゲームの終了ページを開くためのものであることを特徴とする請求項8から請求項12のいずれか記載のインタネットゲーム運営方法。
【請求項14】 前記パスワード情報を用いて前記ゲーム運用管理者サーバのホームページ及び前記参加ホームページにアクセス可能としたことを特徴とする請求項8から請求項13のいずれか記載のインタネットゲーム運営方法。」
の記載を、
「【請求項1】 予めヒント情報が隠されたゲーム参加ホームページを掲載する複数のホームページサーバと、
前記ゲーム参加ホームページから得る前記ヒント情報を基に前記複数のホームページサーバ各々のゲーム参加ホームページを順次辿って前記ゲーム参加ホームページからパスワード情報を収集する参加者端末と、
前記参加者端末が収集した前記パスワード情報によって開く最終ゲートを提供するホームページを掲載するゲーム運用管理者サーバと、
前記参加者端末と前記ホームページサーバと前記ゲーム運用管理者サーバとを相互に接続するインタネット網とを有し、 前記複数のホームページサーバ各々のゲーム参加ホームページ及び前記ゲーム運用管理者サーバのホームページによってインタネットゲームを形成することを特徴とするインタネットゲームシステム。
【請求項2】 前記ヒント情報は、少なくとも前記ゲーム参加ホームページ内に隠すように設定されたことを特徴とする請求項1記載のインタネットゲームシステム。
【請求項3】 前記ヒント情報は、少なくとも前記ゲーム参加ホームページ内に設けられた設定事項を解決することで得られるように設定されたことを特徴とする請求項1または請求項2記載のインタネットゲームシステム。
【請求項4】 前記パスワード情報は、少なくとも前記ゲーム参加ホームページ内に隠すように設定されたことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか記載のインタネットゲームシステム。
【請求項5】 前記パスワード情報は、少なくとも前記ゲーム参加ホームページ内に設けられた設定事項を解決することで得られるように設定されたことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか記載のインタネットゲームシステム。
【請求項6】 前記パスワード情報を用いて前記ゲーム運用管理者サーバのホームページ及び前記ゲーム参加ホームページにアクセス可能としたことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか記載のインタネットゲームシステム。
【請求項7】 予めヒント情報が隠されたゲーム参加ホームページを複数のホームページサーバに掲載する過程と、
前記複数のゲーム参加ホームページの先頭のホームページアドレスをゲーム運用管理者サーバから提供する過程と、
参加者端末が前記複数のゲーム参加ホームページから得る前記ヒント情報を基に前記複数のホームページサーバ各々のゲーム参加ホームページを順次辿って前記ゲーム参加ホームページからパスワード情報を収集する過程と、
前記参加者端末が収集した前記パスワード情報によって前記ゲーム運用管理者サーバのホームページで提供される最終ゲートを開く過程とを有し、
前記参加者端末と前記ホームページサーバと前記ゲーム運用管理者サーバとをインタネット網を介して相互に接続し、前記複数のホームページサーバ各々のゲーム参加ホームページ及び前記ゲーム運用管理者サーバのホームページによってインタネットゲームを形成することを特徴とするインタネットゲーム運営方法。
【請求項8】 前記ヒント情報は、少なくとも前記ゲーム参加ホームページ内に隠すように設定したことを特徴とする請求項7記載のインタネットゲーム運営方法。
【請求項9】 前記ヒント情報は、少なくとも前記ゲーム参加ホームページ内に設けられた設定事項を解決することで得られるように設定したことを特徴とする請求項7または請求項8記載のインタネットゲーム運営方法。
【請求項10】 前記パスワード情報は、少なくとも前記ゲーム参加ホームページ内に隠すように設定したことを特徴とする請求項7から請求項9のいずれか記載のインタネットゲーム運営方法。
【請求項11】 前記パスワード情報は、少なくとも前記ゲーム参加ホームページ内に設けられた設定事項を解決することで得られるように設定したことを特徴とする請求項7から請求項10のいずれか記載のインタネットゲーム運営方法。
【請求項12】 前記パスワード情報を用いて前記ゲーム運用管理者サーバのホームページ及び前記ゲーム参加ホームページにアクセス可能としたことを特徴とする請求項7から請求項11のいずれか記載のインタネットゲーム運営方法。」
と補正することを含むものである。

2 本件補正についての検討
(1) 本件補正の具体的な内容
ア 本件補正により、本件補正前の請求項1(本件補正前の請求項1を「旧請求項1」といい、本件補正後の請求項1を「新請求項1」などということがある。以下同様。)ないし旧請求項14のうちの旧請求項6及び旧請求項13を削除する補正(以下、「補正ア」という。)がされた。

イ 旧請求項6及び旧請求項13を削除する上記補正アの補正にともない、旧請求項7、8、9、10、11、12の各請求項を1つづつ繰り上げ、また旧請求項14を2つ繰り上げて新請求項6ないし新請求項12とするとともに、各旧請求項間における引用の関係を新請求項間における新たな引用の関係に整理する補正(以下、「補正イ」という。)がされた。

ウ 本件補正により、旧請求項2、3、4、5、7、9、10、11、12、14の各請求項に記載されていた「参加ホームページ」が、新請求項2、3、4、5、6、8、9、10、11、12の各請求項において、「ゲーム参加ホームページ」と補正(以下、「補正ウ」という。)された。

エ 本件補正により、旧請求項1に記載されていた「複数のゲーム参加ホームページを掲載するホームページサーバ」が、新請求項1において、「ゲーム参加ホームページを掲載する複数のホームページサーバ」と補正(以下、「補正エ」という。)された。

オ 本件補正により、旧請求項1に記載されていた「前記ゲーム参加ホームページ各々を順次辿って」が、新請求項1において、「前記複数のホームページサーバ各々のゲーム参加ホームページを順次辿って」と補正(以下、「補正オ」という。)された。

カ 本件補正により、旧請求項1に記載されていた「前記複数のゲーム参加ホームページの先頭のホームページアドレスを提供するゲーム運用管理者サーバ」が、新請求項1においては、「前記参加者端末が収集した前記パスワード情報によって開く最終ゲートを提供するホームページを掲載するゲーム運用管理者サーバ」と補正(以下、「補正カ」という。)された。

キ 本件補正により、新請求項1に、「前記複数のホームページサーバ各々のゲーム参加ホームページ及び前記ゲーム運用管理者サーバのホームページによってインタネットゲームを形成する」を加える補正(以下、「補正キ」という。)がされた。

ク 本件補正により、旧請求項8に記載されていた「複数のゲーム参加ホームページをホームページサーバに掲載する過程」が、新請求項7において、「ゲーム参加ホームページを複数のホームページサーバに掲載する過程」と補正(以下、「補正ク」という。)された。

ケ 本件補正により、旧請求項8に記載されていた「前記ゲーム参加ホームページ各々を順次辿って」が、新請求項7において、「前記複数のホームページサーバ各々のゲーム参加ホームページを順次辿って」と補正(以下、「補正ケ」という。)された。

コ 本件補正により、新請求項7に、「前記参加者端末が収集した前記パスワード情報によって前記ゲーム運用管理者サーバのホームページで提供される最終ゲートを開く過程」を加える補正(以下、「補正コ」という。)がされた。

サ 本件補正により、新請求項7に、「前記複数のホームページサーバ各々のゲーム参加ホームページ及び前記ゲーム運用管理者サーバのホームページによってインタネットゲームを形成する」を加える補正(以下、「補正サ」という。)がされた。

(2) 本件補正について当審の判断
ア 本件補正が特許法第17条の2第4項の規定に適合するか否か、すなわち、同法第17条の2第1項第4号の規定により、拒絶査定不服審判の請求にともなってなされた特許請求の範囲についてする補正が、同法第17条の2第4項の第1号ないし第4号に規定する補正の目的に該当する補正であるか否かについて検討する。
本件補正のうちの上記「補正カ」の補正は、本件補正前の「前記複数のゲーム参加ホームページの先頭のホームページアドレスを提供するゲーム運用管理者サーバ」を、「前記参加者端末が収集した前記パスワード情報によって開く最終ゲートを提供するホームページを掲載するゲーム運用管理者サーバ」とする補正である。
しかしながら、前記「補正カ」の補正は、「ゲーム運用管理者サーバ」について、「前記複数のゲーム参加ホームページの先頭のホームページアドレスを提供する」から「前記参加者端末が収集した前記パスワード情報によって開く最終ゲートを提供するホームページを掲載する」に変更する補正であり、本件補正前の前記「前記複数のゲーム参加ホームページの先頭のホームページアドレスを提供するゲーム運用管理者サーバ」の発明特定事項を限定的に減縮する補正とはいえないから、特許法第17条の2第4項第2号の「特許請求の範囲の減縮」を目的とする補正に該当しない。
また、前記「補正カ」の補正は、同法第17条の2第4項第1号、第3号及び第4号にそれぞれ規定する「請求項の削除」、「誤記の訂正」、或いは、「明りようでない記載の釈明」を目的とする補正のいずれにも該当しない。

イ まとめ
以上のとおり、本件補正の少なくとも上記「補正カ」の補正は、特許法第17条の2第4項第1号、第2号、第3号及び第4号に掲げるところの、
第1号:第三十6条第5項に規定する請求項の削除
第2号:特許請求の範囲の減縮(第三十6条第5項の規定により請求項に記載した発明を特定するために必要な事項を限定するものであって、その補正前の当該請求項に記載された発明とその補正後の当該請求項に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるものに限る。)
第3号:誤記の訂正
第4号:明りようでない記載の釈明(拒絶理由通知に係る拒絶の理由に示す事項についてするものに限る。)
のいずれの目的にも該当しない補正である。

したがって、本件補正は、特許法第17条の2第4項の第1号ないし第4号に規定する補正の目的のいずれにも該当しない補正を含むものである。

(3) むすび
以上のとおりであり、本件補正が特許法第17条の2第4項の規定に適合していない補正を含んでいるから、本件補正は、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により、却下すべきものである。

第3 本願発明について
1 本願発明
上記「第2」欄に前述した理由により、平成15年10月27日の手続補正が却下されたことにより、当審が審理すべき本願発明は、平成15年7月22日付の手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし請求項14に記載された事項により特定されるとおりのものであるところ、その請求項1に係る発明は次のとおりのものである(上記「第2」の「1 補正の内容」欄を参照)。
「【請求項1】 予めヒント情報が隠された複数のゲーム参加ホームページを掲載するホームページサーバと、
前記複数のゲーム参加ホームページから得る前記ヒント情報を基に前記ゲーム参加ホームページ各々を順次辿って前記ゲーム参加ホームページからパスワード情報を収集する参加者端末と、
前記複数のゲーム参加ホームページの先頭のホームページアドレスを提供するゲーム運用管理者サーバと、
前記参加者端末と前記ホームページサーバと前記ゲーム運用管理者サーバとを相互に接続するインタネット網とを有することを特徴とするインタネットゲームシステム。」(以下、これを「本願発明1」という。)

2 特許法第29条第1項の要件について
(1)特許法第2条における「発明」の定義
「発明」について、特許法では、その第2条において、次のように定義している。すなわち、
「この法律で『発明』とは、自然法則を利用した技術的思想の創作のうち高度のものをいう。」
特許法第2条における上記「発明」の定義により、特許法上の「発明」は、「自然法則を利用したものであること」を、その要件としていることは、明らかである。

(2)特許法第29条第1項の柱書き
そして、特許法の第29条第1項には、次のように規定されている。
「産業上利用することができる発明をした者は、次に掲げる発明を除き、その発明について特許を受けることができる。
一 特許出願前に日本国内又は外国において公然知られた発明
二 特許出願前に日本国内又は外国において公然実施をされた発明
三 特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となつた発明」
このように、特許法第29条第1項の上記柱書きの規定から、特許法においては、「産業上利用することができる発明」が、「特許を受けることができる発明」であると規定している。

(3)当審の判断
ア 特許を受けることができる発明の要件
そうすると、特許法における上記(1)の「発明」の定義、及び(2)の規定から、特許法上の「特許を受けることができる発明」は、「自然法則を利用したものであること」を、第1の要件としていることは、明らかである。

イ 「特許を受けることができる発明」の要件の本願発明1への適用
そこで、本願発明1に「特許を受けることができる発明」の要件を適用してみて、本願発明1が、特許法上の「特許を受けることができる発明」であるための「自然法則を利用したものであること」の要件を満たしているかについて検討する。
本願発明1の「インタネットゲームシステム」は、上記「1 本願発明」欄に前掲したとおりのものであり、基本的には、典型的な「コンピューターソフトウエア関連発明」に属する「物の発明」である。
そして、本願発明1の前記「インタネットゲームシステム」は、「ホームページサーバと、参加者端末と、ゲーム運用管理者サーバと、前記参加者端末と前記ホームページサーバと前記ゲーム運用管理者サーバとを相互に接続するインタネット網とを有する」と規定され、そして、前記インタネット網に接続される「ホームページサーバ」、「参加者端末」及び「ゲーム運用管理者サーバ」のそれぞれは、「予めヒント情報が隠された複数のゲーム参加ホームページを掲載する」、「前記複数のゲーム参加ホームページから得る前記ヒント情報を基に前記ゲーム参加ホームページ各々を順次辿って前記ゲーム参加ホームページからパスワード情報を収集する」及び「前記複数のゲーム参加ホームページの先頭のホームページアドレスを提供する」の各役割を負うものとされているものである。

ウ 判断
上記のとおり、本願発明1では、「ホームページサーバ」、「参加者端末」及び「ゲーム運用管理者サーバ」の各ハードウエア資源について言及され、さらに、前記各ハードウエア資源が、インタネット網によって相互に接続されていることが明記されていて、形式的には、コンピューターソフトウエア関連発明に要求されるところのハードウエア資源について、一見すると本願発明1が備えているようにみえる。
しかしながら、本願発明1のハードウエア資源である「ホームページサーバ」、「参加者端末」及び「ゲーム運用管理者サーバ」のそれぞれについては、請求項1には単に「予めヒント情報が隠された複数のゲーム参加ホームページを掲載するホームページサーバ」、「前記複数のゲーム参加ホームページから得る前記ヒント情報を基に前記ゲーム参加ホームページ各々を順次辿って前記ゲーム参加ホームページからパスワード情報を収集する参加者端末」、「前記複数のゲーム参加ホームページの先頭のホームページアドレスを提供するゲーム運用管理者サーバ」と記載されているだけであって、「インタネットゲームシステム」を具体的に実現するための「ソフトウエア」が記載されてなく、しかも、コンピューターにおける各ハードウエア資源と情報処理とがどのように協働しているのかの相互の関係、及び、コンピューターにおける各ハードウエア資源が担う情報の演算又は加工及び情報処理の手順等の具体的な技術事項については、請求項1にいささかも明示されてなく、不明というしかない。それゆえに、本願発明1では、ソフトウエアによって情報処理されるべきコンピューターにおける各ハードウエア資源によるインタネットゲームが実現されているとはいえない。
しかも、「ホームページサーバ」は、予めヒント情報が隠された複数のゲーム参加ホームページを掲載すること、「参加者端末」は、前記複数のゲーム参加ホームページから得る前記ヒント情報を基に前記ゲーム参加ホームページ各々を順次辿って前記ゲーム参加ホームページからパスワード情報を収集すること、及び「ゲーム運用管理者サーバ」は、前記複数のゲーム参加ホームページの先頭のホームページアドレスを提供すること、がそれぞれ記載されているのであり、「ホームページサーバ」、「参加者端末」及び「ゲーム運用管理者サーバ」の各ハードウエア資源について、それぞれ自然法則を利用したものとして記載されていない。
すなわち、「ホームページサーバ」、「参加者端末」及び「ゲーム運用管理者サーバ」のコンピューターにおける各ハードウエア資源が、それぞれ予めヒント情報が隠された複数のゲーム参加ホームページを掲載したり、前記複数のゲーム参加ホームページから得る前記ヒント情報を基に前記ゲーム参加ホームページ各々を順次辿って前記ゲーム参加ホームページからパスワード情報を収集したり、或いは、前記複数のゲーム参加ホームページの先頭のホームページアドレスを提供したりするわけではなく、ホームページ提供者、インタネットゲーム参加者及びゲーム運用管理者の各自然人が、「ホームページサーバ」、「参加者端末」及び「ゲーム運用管理者サーバ」という、ハードウエア資源であるサーバや端末を用いて、インタネットゲームにおいて、「予めヒント情報が隠された複数のゲーム参加ホームページを掲載する」、「前記複数のゲーム参加ホームページから得る前記ヒント情報を基に前記ゲーム参加ホームページ各々を順次辿って前記ゲーム参加ホームページからパスワード情報を収集する」、「前記複数のゲーム参加ホームページの先頭のホームページアドレスを提供する」ものとして記載されている。
そうすると、本願発明1は、「インタネットゲームの遊び方」、すなわち自然法則とは無関係な人為的な取決めである「ゲームのルール」に基づいて、ホームページ提供者、インタネットゲーム参加者及びゲーム運用管理者の各自然人が、前記参加者端末と前記ホームページサーバと前記ゲーム運用管理者サーバとを相互に接続するインタネット網を介して、インタネットゲームをするときの進め方について、単に記載されているといえるものである。
上記のとおり、本願発明1は、自然法則を利用したものではないから、特許法第2条に定義されている「発明」に該当していないことが明らかである。
さすれば、本願発明1は、特許法第2条の「発明」に該当していない以上、特許法第29条第1項柱書きに規定する「特許を受けることができる発明」にも該当していない。

(4)まとめ
したがって、本願発明1は、特許法第29条第1項柱書きに規定する「特許を受けることができる発明」に該当していないので、特許を受けることができない。

3 特許法第29条第2項の特許要件について
本願発明1が、「特許を受けることができる発明」にもとより該当しないものであることは、上記「2 特許法第29条第1項の要件について」の「(3)当審の判断」に前述したとおりであるが、ここで、仮に本願発明1が「特許を受けることができる発明」に該当するとした場合の当該本願発明1が、特許法第29条第2項の特許要件を具備しているか否かについて、さらに重ねて検討を加える。

(1)引用刊行物及びその記載事項
ア 原審における拒絶査定の理由に引用された、本願出願日前に頒布された刊行物である特開2000-113068号公報(以下、「引用刊行物1」という。)には、「コンピューターネットワークを通じた情報伝達方法」に関し、図面の記載とともに次の事項が記載されている。
「【0001】【発明の属する技術の分野】 インターネットなどのようなコンピューターネットワーク上で情報を伝達する方法に関するものであり、具体的にはネットワーク使用者に広告のような情報をより効率的に、より効果的に伝達する方法に関したものである。」
「【0005】 図1は従来技術で使用される一般的な環境を示したものであり、インターネットのようなネットワーク4に互い接続された一つ以上の使用者コンピューター1と、一つ以上の情報提供者サーバー2と、一つ以上の情報仲介サーバー3とにより構成される。ここで、情報提供者サーバー2は情報を使用者へ提供しようとしている企業などのサーバーを示し、情報仲介サーバー3は情報提供者サーバー2から提供される報奨の内容を使用者に提供するサーバーを言う。これと共に情報仲介サーバー3は情報提供者と使用者に関するデータベースを管理する。ネットワークは4インターネットや近距離通信網(LAN)、ケーブルTVネットワーク等、マルチメディア情報をデジタル化して双方向に情報を交換できる限りどのようなものでも構成できる。
【0006】 使用者は通常、パソコンを通じてネットワークに接続している。使用者と情報提供者サーバー2、情報仲介サーバー3はネットワーク4を通じ互いに全ての接続が可能であり、双方向に情報交換ができる。」
「【0008】【発明が解決しようとする課題】 このように従来の技術は単純にバーナー広告イメージをクリックしたり、特定ソフトウェアーをダウンロードしたり、電子商取引を利用するだけで使用者に報奨を与えるところに特徴がある。即ち、使用者が情報仲介サーバー3へ接続し、バーナー広告をクリックし、該当広告主のサーバーへ移動するだけで報奨の対象になるのである。従って、使用者は情報提供者2のウェブサイトへ移動さえすれば報奨対象になるので情報提供者2のウェブサイトへ接続されるや否や他の情報提供者サーバー2へ移動する事になり、使用者は情報提供者2のウェブサイトから提供された他の内容には関心が行くはずがないのである。従って、情報提供者2の立場からは自分が使用者に伝達しようとする情報を使用者が認知したかどうかに関係なく報奨を与えなければならず、情報伝達及び認知度の面から見れば、それほど効果的、効率的とは言えないのである。
【0009】 本発明は上記従来技術の問題点を解決するために、情報提供者のウェブサイトへ報奨(宝物)の対象となるハイパーリンクイメージをあらかじめ隠しておき、使用者が上記ハイパーリンクイメージを探し当てた場合だけ報奨をする方法を利用して効率的に広告などの情報を伝達する事を目的とする。
【0010】【課題を解決するための手段】 本発明のコンピューターネットワークを通じた情報伝達方法は、一つ以上の使用者コンピューター、一つ以上の情報提供者サーバー、および一つ以上の情報仲介サーバーが互いに連結して構成されるコンピューターネットワークを通じた情報伝達方法において、上記情報仲介サーバーはネットワーク使用者の人的事項に関するデータベースと、前記情報提供者サーバーのウェブサイトへ挿入するハイパーリンクイメージに関する識別番号データベースと、使用者毎に探し当てた上記ハイパーリンクイメージの個数を記録するカウンターデータベースを備え、ハイパーリンクイメージを前記情報提供者サーバーのウェブサイトに挿入する段階と、使用者がコンピューターネットワークを通じ前記情報仲介サーバーに接続し挿入された前記ハイパーリンクイメージに対する情報を得る段階と、使用者が提供された情報により情報提供者サーバーへ移動して挿入されたハイパーリンクイメージを検索する段階と、使用者が隠されたハイパーリンクイメージを報奨の有効期限内に探し当てた場合に使用者データベースとカウンターデータベースを更新する段階と、前記ハイパーリンクイメージを探し当てた使用者に報奨を与える段階とを具備することを特徴とする。」
「【0012】【発明の実施の形態】 本発明の好適な実施形態について図面を参照しながら説明する。本発明のコンピューターネットワークを通じた情報伝達方法が使用される環境は一つ以上の使用者コンピューター1、一つ以上の情報提供者サーバー2、一つ以上の情報仲介サーバー3であって、これらはインターネットのようなネットワークを通じ相互接続が可能である。このコンピューターネットワークの環境については図1に示したものと同様である。なお、本明細書において、ネットワーク上で「留まる」、「移動する」、「訪問する」などはウェブサイト上の概念であって、使用者コンピューター1に読み出される情報の情報源について言及しているものとする。
【0013】 図2は本発明にかかる情報伝達方法の流れ図である。本発明は情報提供者2のウェブサイトへ使用者が長く留まりながら、ウェブサイトから提供される情報を使用者に詳しく認知させる事を目的としている。即ち、報奨(宝物)の対象となるハイパーリンクイメージを情報提供者2のウェブサイトに隠しておき、情報仲介サーバー3は隠れたイメージに対する概略的ヒントだけを与える。従って、使用者は情報提供者2のウェブサイトに隠されたイメージを検索するが、これは従来の情報伝達方法に比べ使用者が情報提供者2のウェブサイトに留まる時間が増大することになり、ウェブサイトの内容をより注意深く探させることが可能となる。」
「【0016】 上記のような環境のもとで、本発明によるコンピューターネットワークを通じた情報伝達方法は識別番号が付与されたハイパーリンクイメージを情報提供サーバー2のウェブサイト上に挿入する段階S100、各ハイパーリンクイメージに対して報奨が有効である任意期間を設定する段階S200、使用者がインターネットのようなネットワーク4を通じて情報仲介サーバー3に接続し、隠れたハイパーリンクイメージに対する情報を提供してもらう段階S300、使用者が提供された情報提供者2のウェブサイトへ移動し隠れたハイパーリンクイメージを検索する段階S400、使用者が隠れたハイパーリンクイメージを報奨の有効期間内に探し当てた場合、使用者データベースとカウンターデータベースを更新する段階及び所定の原則により使用者に報奨を与える段階S500として構成されている。
【0017】 イメージを挿入する段階S100は次のように構成されている。識別番号が割り当てられたイメージ等は各情報提供サーバー2のウェブサイトにハイパーテキストマークアップラングゲージタグ(Hyper Text Mark up language Tag HTML TAG)形態として挿入される。各イメージ等は使用者が探し当てクリックした場合に情報仲介サーバー3へリンクされ使用者登録可否を確認した後登録使用者の場合関連データベースを更新する。
【0018】 任意期間を設定する段階S200は識別番号データベースの内容を訂正する事で成り立っている。使用者はパーソナルコンピューターなどを利用し、インターネットのようなネットワーク4へ接続し、情報提供サーバー2のウェブサイトへ接続する。使用者が情報仲介サーバー3へ接続した場合の初期画面が図3に図示してある。初期画面には使用者登録メー二ュ、ハイパーリンクイメージが挿入されたところに関する概略的な情報を含んでいるサーブメニュー(宝探し地図)、使用者がイメージを探し当てた個数を確認できるサーブメニュー及び情報仲介サーバーに関する一般的内容を含んでいるサーブメニューがある。初めて情報仲介サーバー3に接続した使用者は使用者登録をすることができ、すでに登録を済ませている使用者は隠されたハイパーリンクイメージに関した情報のあるサーブメー二ュ(宝探し地図)へ直接移動して情報を得ることになる(S300、図4参照)。
【0019】 図4に示されたように、上記情報は情報提供者のウェブサイトへリンクされたイメージになっており情報提供者のウェブサイトに隠れたイメージの個数、隠されたところに対するヒントを見せる。使用者はこれを確認した後、これをクリックし情報提供サーバー2へ移動する事になり、上記ヒントにより、隠されたハイパーリンクイメージを検索する事になる(S400)。情報提供サーバー2のウェブサイトに挿入されたハイパーリンクイメージを発見し、これをクリックすることが報奨の対象になることから、使用者は情報提供者のウェブサイトに必然的に長く留まりウェブサイト上の情報を注意深く読み取るようになる。
【0020】 使用者がハイパーリンクイメージを発見し、これをクリックすると情報仲介サーバー3へ移動する。情報仲介サーバー3では使用者が発見したハイパーリンクイメージの識別番号によって識別番号データベースに記録し、使用者に対してカウンターデータベースのカウンターを一つ増やす事で更新させ、図5のように、更新結果を使用者に見せる。
【0021】 報奨を与える段階S500は次のように構成される。報奨の内容としては色々あるが、使用者に一定金額を支払う方法、一定金額を積み立て電子商取引に利用させる方法、又は景品、クーポンで支払う方法などの方法を利用できる。報奨対象となる使用者はイメージを多く探し当てられた順番によって報奨を与える方法と探し当てたイメージの個数によってすべての使用者に報奨を与える方法が利用できる。図6は使用者が探し当てたハイパーリンクイメージを報奨が有効な任意の期間別に区分して使用者に表示させる画面である。」
「【0024】【発明の効果】 上述のように、本発明によって情報提供者がインターネットのようなネットワーク上で使用者に、特に広告の如き情報を効率的且つ効果的に伝達できる。即ち、情報提供者サーバーのウェブサイトに提供される情報をネットワーク使用者に報奨という動機を付与しながら、より確実に伝達できる長所を持つ。使用者は情報仲介サーバーに接続した後、バーナー広告をクリックするだけで報奨の対象になるのではなく、バーナー広告に現れているヒントによって情報提供者のウェブサイトに移動し報奨の対象となるハイパーリンクイメージを積極的に探し当てることで報奨の資格が与えられる。従って、使用者は積極的に広告主のウェブサイトをより細心に読むことになり、使用者は情報提供者の(広告主など)ウェブサイトの内容をもっと正確に認知し、情報伝達の効率は高まるのである。使用者は使用者なりに報奨という動機付与から、あたかもゲーム感覚で情報提供者のウェブサイトを検索することになるのである。さらに、情報提供者のウェブサイトに使用者が留まる時間を増加させて情報伝達の効率を高められ、より積極的で正確に情報を伝達させ、認知させられる長所を持っている。」

そして、引用刊行物1の図1には、「一つ以上の使用者コンピューター1と、一つ以上の情報を使用者へ提供しようとしている企業などのサーバーである情報提供者サーバー2と、一つ以上の情報提供者サーバー2から提供される報奨の内容を使用者に提供するとともに情報提供者と使用者に関するデータベースを管理するサーバーである情報仲介サーバー3とが、インターネットや近距離通信網(LAN)、ケーブルTVネットワーク等、マルチメディア情報をデジタル化して双方向に情報を交換できるネットワーク4に互い接続されたコンピューターネットワークのシステム環境」が図示されている。

そうしてみると、引用刊行物1の上記摘記事項及び図面の図示からみて、前記引用刊行物1には、次の発明(以下、これを「引用発明1」という。)の記載が認められる。
「一つ以上の使用者コンピューター1と、
一つ以上の情報を使用者へ提供しようとしている企業などのサーバーである情報提供者サーバー2と、
一つ以上の情報提供者サーバー2から提供される報奨の内容を使用者に提供するとともに情報提供者と使用者に関するデータベースを管理するサーバーである情報仲介サーバー3とが、
インターネット等のマルチメディア情報をデジタル化して双方向に情報を交換できるネットワーク4に互い接続されたシステム環境において、
あたかもゲーム感覚で情報提供者のウェブサイトを検索することができるコンピューターネットワークを通じた情報伝達システム」

イ 原審における拒絶査定の理由に引用された、本願出願日前に頒布された刊行物である『トッププロモーションズ 販促会議 5月号』、通巻37号、株式会社宣伝会議、2001年5月1日発行(以下、「引用刊行物2」という。)の第47頁下段には、「プロモーション最前線 アイデア&テクニックス 話題のSPアイデア、最新のSPテクニックをピックアップ」に関して、写真の掲載とともに次の記事が記載されている。
「お願い、迷い犬探して!
ネット上で犬探しゲーム
インターネット エキサイト『エキサイトアフロ犬を探せ!』」
「本誌『今月の注目キャラクター』でも紹介した人気キャラクター『アフロ犬』。このキャラクターをネット上で探すゲームを、大手検索エンジンのエキサイトが開始した。
3月1日から3月31日に実施した『エキサイトアフロ犬を探せ!』は、エキサイトのサイト上のどこかに隠れているアフロ犬を利用者が探し出すと、オリジナルグッズが当たるプレゼントに応募できるというもの。利用者をサイトに呼び込む『サイト誘導型』のキャンペーンで、サイト上でヒントを拾い集めながら進んでいくと、結果的にエキサイトのさまざまなコンテンツを体験する仕組みになっている。
応募方法は、まずエキサイト内の『エキサイトアフロ犬』のページにアクセス。サイト内に隠れているアフロ犬(複数種類がある)を見つけてクリックすると、メッセージが表示されるので、それに従って探し続けると、最終的に本物の『エキサイトアフロ犬』を見つけられるというもの。見つけ出した人の中から抽選で3000人に抱き枕、マグカップ、携帯ストラップといった『エキサイトアフロ犬』オリジナルグッズが当たる。
また、期間中には、オリジナル壁紙やかつらかぶせゲーム、4コママンガ、おみくじなど、エキサイトアフロ犬が登場するオリジナルコンテンツも多数用意された。」

そして引用刊行物2に掲示されている写真下には、「お願い、迷い犬探して!」と題された「excite アフロ犬」のサイトのトップページが示されているとともに、その写真のキャプションとして、「キャンペーンのトップページ。アフロ犬を探しながら、さまざまなコンテンツに触れる仕組みになっている。」が記載されている。

ウ 原審における拒絶査定の理由に引用された、本願出願日前に頒布された刊行物である特開2000-157724号公報(以下、「引用刊行物3」という。)には、「ネットワークを利用したゲームシステム、ネットワークに接続可能なゲーム機及びこのゲーム機のためのプログラムが記録された媒体」に関し、図面の記載とともに次の事項が記載されている。
「【0001】【発明の属する技術分野】 この発明は通信を行うゲーム機に関し、特に、インターネット、イントラネット等のコンピュータネットワークを利用したゲームシステム、インターネットに接続可能なゲーム機及びこのゲーム機のためのプログラムが記録された媒体に関する。」
「【0035】【発明の実施の形態】 発明の実施の形態1.
この発明に係るインターネット、イントラネット等のネットワークを利用したゲームシステムについて説明する。まず、システム全体構成の概略を図1を参照して説明する。ゲーム機であるユーザー17は、3つの方法によりサーバー13にアクセスすることができる。第1は、サーバー13に直接アクセスする方法である。この方法は、例えばサーバーに対して直接電話を掛けてユーザー17とサーバー13とが直接通信を行うものである。第2は、ウエブ課金サーバー14を介することによりフリーダイヤルあるいはウエブを使い、サーバー13にアクセスする方法である。第3は、インターネットサービスプロバイダ(ISP)のアクセスポイント18を経由してインターネットに接続し、受付サーバーユーザーデータベース11を経由してサーバー13にアクセスする方法である。なお、図1からわかるように、本システムではメールやチャットも可能である。」
「【0041】 発明の実施の形態2.
まず、上記(1)ユーザー(ゲーム機)17とサーバー13との関係における、新規なインターネットを用いたゲームの発明について説明する。
【0042】 一般的には、インターネットはパソコンを使ってホームページを見て情報を得たり、楽しんだりするものであり、ユーザーはまずインターネットに接続する操作を行い、接続後、各種サーチエンジンなどにより所望のホームページにアクセスする。もちろん、本発明に係るゲーム装置もこのような使用法が可能である。しかし、これに限らず、インターネットに接続するという明確な意思を持たずに、ゲームにシナリオに沿って自然にインターネットに接続することが可能である。
【0043】 たとえば、ゲームの途中でユーザーがアクセス手段を意識することなくインターネットにアクセスする方法として、次のような技術が考えられる。
【0044】(A)ロールプレーイングゲーム/アドベンチャーゲームにおいて、さまざまな行動、例えば「ドアを開ける」「部屋に入る」「宝箱を開ける」「電話をする」「人物に話し掛ける」「人物についていく」「乗り物・エレベータに乗る」などの行動をとるが、これをインターネットアクセスの起動のキーとする。ゲームにおいて特定の行動がなされると、モデム1jを介して自動的にインターネットにアクセスされ、必要な画面や情報が得られる。例えば、ゲーム中でドアを開けたら特定のホームページの画面がユーザーのゲーム機の表示部に表示され、この画面がゲームの一部となったり、ゲーム中で電話をかけたらニュースを受信して最新の情報が表示され、この最新の情報に基づいてゲームシナリオが展開する。例えば、図6(a)では電話をかけてニュースと天気予報の情報を得ることができた。どのホームページにアクセスし、どのような処理をするかに関して、例えば、次のような方法がある。
(1)常に同じホームページにアクセスし、そのホームページ内において、起動のキーの種類によって以降の動作が決められる。
(2)起動のキーの種類によってどのホームページにアクセスするかが決められる。」
「【0048】 発明の実施の形態3.
上記(1)ユーザー(ゲーム機)17とサーバー13との関係における、新規なインターネットを用いたゲームの発明の他の例について説明する。
【0049】 インターネットへのアクセス及びホームページへのアクセス自体をゲームシナリオに取り入れるようにしてもよい。
【0050】(A)画面内でURLデータを持ったオブジェクトをゲーム内容に即して移動させる。例えば、ゲーム画面においてさまざまなキャラクタがランダムに動きまわるときに、プレイヤーが自身のキャラクタを動かしていずれかのキャラクタと接触する(例えば会話を試みる)。すると自動的にインターネットアクセスプログラムが起動してサーバー13にアクセスする。ゲーム中の人物は一人ひとり独自のURLを持つので、どのキャラクタと接触するかによってインターネットのアクセス先が異なる。そのキャラクタに関連するホームページだったり、そのキャラクタのグッズを販売している会社のホームページだったり、あるいはそのゲームのスポンサーのホームページであったり、さまざまなケースが考えられる。また、単にホームページにアクセスするばかりでなく、メールやチャットを楽しむこともできる。例えば、ゲーム中の特定の人物と会話を試みると、その人物を管理するユーザー(その人物のファンクラブの代表者など)が、1)同時刻にサーバーにアクセスしている場合にはチャット画面が起動しチャットを楽しむことができるし、2)サーバーにアクセスしていない場合にはそのユーザーのメールアドレスへメッセージを発言する画面が起動する。
【0051】 上記の例ではゲーム中のキャラクタにURLをもたせていたが、これに限らないのはいうまでもない。例えば、ホームページのリンクをゲーム中の仮想空間内の建物や部屋のオブジェクトにURLをもたせ、「建物や部屋に入る」という行動でネットサーフィンを行うようにしてもよい。
【0052】(B)マウスクリックやリターンキーを使用せず、通常のゲームインターフェースと同一の流れの中でインターネット・アクセスの実行命令を起動させる。これは、従来のパソコンによるインターネット接続とは、ヒューマンインタフェース上、大きく異なる。既存のインターネット・アクセスはマウスによるクリック、若しくはキーボードによるリターンキーを問わず、URLを示す文字やオブジェクトにカーソルを合わせることが必要となる。しかし、この実施の形態では、その他の方法でアクセス命令を起動させることで、ゲームに即したバリエーションを増やすことができる。例えば、画面上の特定の部分をキャラクターやカーソルが「通過する」ことによるアクセス開始する。あるいは、コマンド入力によるアクセス、や十字キー(アナログキー)+ボタンによるアクセスも考えられる。例えば、→←(カーソル)+ボタンで所定のホームページにジャンプしたり、波動拳コマンドで他のホームページにジャンプする等である。指定により特定のボタンに特定のホームページのURLを割り付けられるようにすることもできる。
【0053】(C)上記(A)の場合はゲームの途中でインターネットに入るものの、インターネットについての処理あるいは行動はゲームの進行に直接影響を与えなかった。しかし、もっと積極的にインターネットをゲームシナリオに取り込むようにしてもよい。例えば、仮想空間内で特定のホームページに早くアクセスすることをゲーム形式で競争することが考えられる。画面内に多数のオブジェクトを配置し、それぞれのオブジェクトは独自のURLを持つ。ユーザーの操作するキャラクターがそのオブジェクトに画面上で接触した場合、強制的にそのURLへジャンプする。ユーザーはキャラクターをうまく操作しないと、行きたくもないホームページに飛ぶことになる。図8の場合、キャラクターが画面中を行き交う自動車を避けることに失敗してある自動車にぶつかってしまい、救急車により病院に連れて行かれてしまう。連れ込まれた先は、ぶつかった自動車に対応するホームページである。もっとも、これを逆に利用してスポンサー等の広告に利用することもできる。したがって、あらかじめ指定されたホームページにアクセスするためには、不要なURLオブジェクトとの接触を回避しながら、必要なURLオブジェクトと接触しなくてはならない。つまり、指定されたホームページへのアクセスを目標とし、さまざまな障害を乗り越えていくというゲームである。目標となるホームページのURLオブジェクトはゲーム開始画面に存在する場合も、複数のURLを経由しないと到達できない場合もある。後者の場合、いくつかのステージをクリアしながら最終ステージに達した後、やっと目的のホームページにアクセスできることになる。これらステージをそれぞれ別のホームページに対応させてもよい。途中で経由するホームページにていくつかの課題をクリアすることで、次のホームページにジャンプするためのコードを獲得することもできる。URLオブジェクトに有効範囲であるコリジョンを持たせ、その範囲やオブジェクトの移動パターンをオブジェクトごとに異ならせることで、アクセスしやすいホームページ、アクセスの難しいホームページを設定することができる。
【0054】 この実施の形態3の処理について図7のフローチャートにまとめた。ゲーム機1は、ゲームの処理を行っている最中に、インターネットアクセスの起動キー(具体例は上述した)を検出し(S21)、モデム1jを介して例えばアクセスポイントに接続してインターネットにアクセスし(S22)、起動キーの内容、ゲームの状況等のパラメータに応じて所定のアドレス(URL)のサーバ13に接続する(S23)。そして、チャットやメールの送受信といった所定の処理を行う(S24)。インターネットに関する処理が終了したら元のゲーム処理に戻る。ゲーム機1は、インターネットにおける処理の評価(具体例は上述した)を行い(S25),その評価結果に応じてゲームポイントを計算する。」
「【0095】 ここでは、ドライブゲームでの具体例をあげたが、RPGやアドベンチャーゲームにも適用可能である。例えば、ゲーム途中に特殊インターフェースを設立し、このインタフェースによりインターネットにアクセスし、例えば先着100名のみに与えられる適材適所の情報やアイテムを入手し、以後のゲームを有利に展開することができる。有益な情報やアイテムを入手できなかった場合には、従来と同じゲーム展開になる。」

(2) 当審の判断
ア 対比
本願発明1と上記引用発明1とを比較すると、引用発明1における「一つ以上の情報を使用者へ提供しようとしている企業などのサーバーである情報提供者サーバー2」、「使用者コンピューター1」、「情報仲介サーバー3」及び「インターネット等のマルチメディア情報をデジタル化して双方向に情報を交換できるネットワーク4」のそれぞれが、本願発明1の「複数のゲーム参加ホームページを掲載するホームページサーバ」、「参加者端末」、「ゲーム運用管理者サーバ」及び「前記参加者端末と前記ホームページサーバと前記ゲーム運用管理者サーバとを相互に接続するインタネット網」のそれぞれに対応することは明らかである。
そして、引用発明1の「コンピューターネットワークを通じた情報伝達システム」は、情報提供者から使用者への情報の伝達を目的とするシステムではあるが、その実態は、使用者が使用者コンピューター1からコンピューターネットワークを介して、あたかもゲーム感覚で情報提供者が提供するウェブサイトを検索することにより、結果的に情報提供者から使用者への情報の伝達を目的とするシステムといえるから、引用発明1の「あたかもゲーム感覚で情報提供者のウェブサイトを検索することができるコンピューターネットワークを通じた情報伝達システム」が、本願発明1の「インタネットゲームシステム」に相当するといえる。

そうすると、本願発明1と引用発明1とは、
「複数のゲーム参加ホームページを掲載するホームページサーバと、参加者端末と、ゲーム運用管理者サーバと、前記参加者端末と前記ホームページサーバと前記ゲーム運用管理者サーバとを相互に接続するインタネット網とを有するインタネットゲームシステム」
である点で一致し、次の点で構成が相違する。
[相違点1]:本願発明1では、「ホームページサーバのゲーム参加ホームページに予めヒント情報が隠され」るのに対し、引用発明1では、前記構成を欠如している点。
[相違点2]:本願発明1の参加者端末が「参加ホームページ各々を順次辿って前記ゲーム参加ホームページからパスワード情報を収集する」のに対し、引用発明1は、前記構成を欠如している点。
[相違点3]:本願発明1では、「ゲーム運用管理者サーバが前記複数のゲーム参加ホームページの先頭のホームページアドレスを提供する」のに対し、引用発明1は、前記構成を欠如している点。

イ 相違点についての検討
(ア) 相違点1について
上記引用刊行物2に、「サイト上でヒントを拾い集めながら進んでいくと、結果的にエキサイトのさまざまなコンテンツを体験する仕組みになっている。」及び「応募方法は、まずエキサイト内の『エキサイトアフロ犬』のページにアクセス。サイト内に隠れているアフロ犬(複数種類がある)を見つけてクリックすると、メッセージが表示されるので、それに従って探し続けると、最終的に本物の『エキサイトアフロ犬』を見つけられるというもの。」が記載されている。
そして、引用刊行物2に開示された技術事項からみて、前記「サイト上でヒントを拾い集めながら進んでいく」の中の「ヒント」、或いは、前記「サイト内に隠れているアフロ犬(複数種類がある)を見つけてクリックすると、メッセージが表示されるので、それに従って探し続ける」の中の「メッセージ」は、ともに本願発明1の「ホームページサーバのゲーム参加ホームページに予め隠されるヒント情報」に相当するといえるから、引用刊行物2の上記記載からみて、「ホームページサーバのゲーム参加ホームページに予めヒント情報を隠しておく」構成は、本願特許出願前の公知発明であると認められる。
そうすると、引用発明1に引用刊行物2に記載の前記公知発明を適用することにより、本願発明1の前記相違点1に係る「ホームページサーバのゲーム参加ホームページに予めヒント情報が隠され」る構成とすることは、格別の困難を要せずに当業者が容易になし得たことである。

(イ) 相違点2について
上記引用刊行物3に、「インターネットをゲームシナリオに取り込むようにしてもよい。例えば、仮想空間内で特定のホームページに早くアクセスすることをゲーム形式で競争することが考えられる。画面内に多数のオブジェクトを配置し、それぞれのオブジェクトは独自のURLを持つ。ユーザーの操作するキャラクターがそのオブジェクトに画面上で接触した場合、強制的にそのURLへジャンプする。」、「指定されたホームページへのアクセスを目標とし、さまざまな障害を乗り越えていくというゲームである。目標となるホームページのURLオブジェクトはゲーム開始画面に存在する場合も、複数のURLを経由しないと到達できない場合もある。後者の場合、いくつかのステージをクリアしながら最終ステージに達した後、やっと目的のホームページにアクセスできることになる。」及び「途中で経由するホームページにていくつかの課題をクリアすることで、次のホームページにジャンプするためのコードを獲得することもできる。」が記載されている。
このように、引用刊行物3には、「指定されたホームページへのアクセスを目標とし、さまざまな障害を乗り越えていくというインターネットをゲームシナリオに取り込んだゲームにおいて、ユーザーの端末操作による、ホームページのオブジェクトが持つ独自のURLを得ることにより、次のホームページに順次ジャンプして、ホームページからURLを収集しながら、仮想空間内で特定のホームページに早くアクセスすることをゲーム形式で競争する」ことが記載されていて、本願特許出願前の公知発明といえる。
そして、引用刊行物3に記載された前記技術事項からみて、「画面内に多数のオブジェクトを配置し、それぞれのオブジェクトは独自のURLを持つ。ユーザーの操作するキャラクターがそのオブジェクトに画面上で接触した場合、強制的にそのURLへジャンプする。」の中の「オブジェクトが持つ独自のURL」、或いは、「途中で経由するホームページにていくつかの課題をクリアすることで、次のホームページにジャンプするためのコードを獲得することもできる。」の中の「コード」は、ともに本願発明1の「パスワード情報」に相当する。
そうすると、引用発明1に引用刊行物3に記載の前記公知発明を適用することにより、本願発明1の前記相違点2に係る「参加者端末が参加ホームページ各々を順次辿って前記ゲーム参加ホームページからパスワード情報を収集する」構成とすることは、格別の困難を要せずに当業者が容易になし得たことである。

(ウ) 相違点3について
上記引用刊行物2に、「応募方法は、まずエキサイト内の『エキサイトアフロ犬』のページにアクセス。サイト内に隠れているアフロ犬(複数種類がある)を見つけてクリックすると、メッセージが表示されるので、それに従って探し続けると、最終的に本物の『エキサイトアフロ犬』を見つけられるというもの。」及び「キャンペーンのトップページ。アフロ犬を探しながら、さまざまなコンテンツに触れる仕組みになっている。」が記載されている。
かかる引用刊行物2に開示された技術事項からみて、「まず最初に、エキサイト(本願発明1の「ゲーム運用管理者サーバ」に相当する。)内の『サイト誘導型』キャンペーンのトップページ(本願発明1の「先頭のホームページ」に相当する。)にアクセスして、サイト内に隠れている複数種類のアフロ犬(本願発明1の「ヒント情報」に相当する。)を見つけてクリックすると、メッセージが表示されるので、それに従って探し続ける(本願発明1の「前記複数のゲーム参加ホームページから得る前記ヒント情報を基に前記ゲーム参加ホームページ各々を順次辿って」に相当する。)」ように設定しておくことは、本願特許出願前の公知発明であるといえる。
そして、引用刊行物2に記載の上記技術事項は、本願発明1の「ゲーム運用管理者サーバが前記複数のゲーム参加ホームページの先頭のホームページアドレスを提供する」ことに対応するものといえる。
そうすると、引用発明1に引用刊行物2に記載の前記公知発明を適用することにより、本願発明1の前記相違点3に係る「ゲーム運用管理者サーバが前記複数のゲーム参加ホームページの先頭のホームページアドレスを提供する」構成とすることは、格別の困難を伴うことなく、当業者が容易に想到できることである。

そして、本願発明1の奏する作用効果は、引用発明1並びに引用刊行物2及び引用刊行物3に記載された発明から予測できる範囲内のものであって、格別のものということができない。

ウ まとめ
したがって、本願発明1は、引用発明1並びに引用刊行物2及び引用刊行物3に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。

第4 むすび
以上のとおりであり、本願発明1は、特許法第29条第1項柱書きに規定する「特許を受けることができる発明」に該当しないので、特許を受けることができない。
また、本願発明1は、引用発明1並びに引用刊行物2及び引用刊行物3に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明1は特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は、拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2007-07-04 
結審通知日 2007-07-10 
審決日 2007-07-23 
出願番号 特願2001-193848(P2001-193848)
審決分類 P 1 8・ 57- Z (A63F)
P 1 8・ 121- Z (A63F)
P 1 8・ 1- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 宮本 昭彦  
特許庁審判長 佐藤 昭喜
特許庁審判官 植野 孝郎
森内 正明
発明の名称 インタネットゲームシステム及びそれに用いるインタネットゲーム運営方法  
代理人 ▲柳▼川 信  

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