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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1163810
審判番号 不服2007-10893  
総通号数 94 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2007-10-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2007-04-16 
確定日 2007-09-03 
事件の表示 特願2005-141888「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成18年11月24日出願公開、特開2006-314644〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は平成17年5月13日の出願であって、原審において平成18年3月13日付け、同年7月20日付け及び平成19年1月15日付けで特許請求の範囲及び明細書についての手続補正がされたが、平成19年1月15日付けの手続補正が却下されるとともに拒絶の査定がされたため、これを不服として同年4月16日付けで本件審判請求がされるとともに、同日付けで特許請求の範囲及び明細書についての手続補正(以下「本件補正」という。)がされたものである。

第2 補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
平成19年4月16日付けの手続補正を却下する。

[理由]
1.補正事項及び補正目的
本件補正は補正前(平成18年7月20日付け手続補正後)請求項2を削除する(平成18年改正前特許法17条の2第4項1号該当)とともに、「制御手段」につき、補正前の「表示制御を行うに際して、前記ゲーム回数計数手段が計数した図柄変動表示ゲームの回数が所定数を超える場合、歌手の歌声が入っていない第一及び第二バックグランドミュージックを演奏する一方、所定数以下の場合、歌手の歌声が入った第一及び第二バックグランドミュージックを演奏する」との記載を「表示制御を行うと共に、前記演奏制御及び前記表示制御を行うに際して、前記ゲーム回数計数手段が計数した図柄変動表示ゲームの回数が所定数を超える場合、歌手の歌声が入っていない第一及び第二バックグランドミュージックとして前記歌声無しBGMデータの複数のチャンネルまでを演奏する一方、所定数以下の場合、歌手の歌声が入った第一及び第二バックグランドミュージックとして前記歌声無しBGMデータの複数のチャンネル及び前記歌声入りBGMデータのチャンネルまでを演奏し、前記第一所定数以上払い出すと、前記特別役物ゲームを終了して第三の楽曲と映像を流す」と補正し、併せて「複数のチャンネルを使用して作成された歌声入りBGMデータと歌声無しBGMデータからなるバック・グランド・ミュージックデータを記憶するROM」との発明特定事項を追加するものである(特許請求の範囲の補正に合わせて段落【0015】が削除され、段落【0014】の記載が補正され、さらに発明の名称も変更されている。)。
上記補正事項のうち、「前記第一所定数以上払い出すと、前記特別役物ゲームを終了して第三の楽曲と映像を流す」との追加記載を除いた部分は、「制御手段」を限定する(その必要上「バック・グランド・ミュージックデータを記憶するROM」に関する発明特定事項が追加された)ものであり、産業上の利用分野及び解決しようとする課題に変更がないと認めることができるから、特許請求の範囲の減縮(平成18年改正前特許法17条の2第4項2号該当)を目的とするものと認める。そのため、補正後の請求項1に係る発明(以下「補正発明」という。)については、後記において独立特許要件の判断を行う。
しかし、「前記第一所定数以上払い出すと、前記特別役物ゲームを終了して第三の楽曲と映像を流す」との追加記載については、「制御手段」の限定であること及び産業上の利用分野変更がないことは認めることができるものの、解決しようとする課題に変更がないことまでは認めることができない。すなわち、上記記載の追加は、特別役物ゲームの終了を遊技者に報知し、特別役物ゲーム中とは異なる演出をするという、補正前請求項1に存在しない課題の追加に該当するからである。
したがって、上記追加記載は、平成18年改正前特許法17条の2第4項2号に該当せず、同項1号,3号又は4号にも該当しないことが明らかであるから、本件補正は同項の規定に違反している。

2.補正発明の認定
補正発明は、本件補正により補正された特許請求の範囲の【請求項1】に記載された事項によって特定される次のとおりのものと認める。
「遊技媒体を介在させて複数の図柄を変動させる図柄変動表示ゲームを開始し、前記図柄が予め定めた所定の組み合わせで表示されると大当り入賞が発生すると共に、前記大当り入賞が発生した後に特別役物ゲームを行って前記遊技媒体を第一所定数以上払い出すと、前記特別役物ゲームを終了するように構成された遊技機において、
前記大当り入賞が発生するまでの図柄変動表示ゲームの回数を計数するゲーム回数計数手段と、
前記特別役物ゲームの開始後に払い出した前記遊技媒体の枚数を計数する計数手段と、
複数のチャンネルを使用して作成された歌声入りBGMデータと歌声無しBGMデータからなるバック・グランド・ミュージックデータを記憶するROMと、
前記特別役物ゲーム中におけるバックグランドミュージックの演奏制御及び表示装置に映し出す映像の表示制御を行う制御手段とを具備し、
前記制御手段は、前記計数手段が計数した枚数が前記第一所定数より小さい第二所定数に達するまで、第一バックグランドミュージックの演奏制御及び第一映像を映し出す表示制御を行う一方、前記第二所定数を超えると、第二バックグランドミュージックの演奏制御及び第二映像を映し出す表示制御を行うと共に、前記演奏制御及び前記表示制御を行うに際して、前記ゲーム回数計数手段が計数した図柄変動表示ゲームの回数が所定数を超える場合、歌手の歌声が入っていない第一及び第二バックグランドミュージックとして前記歌声無しBGMデータの複数のチャンネルまでを演奏する一方、所定数以下の場合、歌手の歌声が入った第一及び第二バックグランドミュージックとして前記歌声無しBGMデータの複数のチャンネル及び前記歌声入りBGMデータのチャンネルまでを演奏し、前記第一所定数以上払い出すと、前記特別役物ゲームを終了して第三の楽曲と映像を流すこと、
を特徴とする遊技機。」

3.引用刊行物の記載事項
原査定の拒絶の理由に引用された特開2002-272903号公報(以下「引用例1」という。)には、以下のア?サの記載が図示とともにある。
ア.「複数の図柄を可変表示する可変表示部と、
乱数抽選によって内部入賞態様を決定する入賞態様決定手段と、
前記可変表示部に特別遊技入賞態様に応じた図柄が停止表示されると、遊技者に有利な特別遊技を実行し、複数ある終了条件のうちのいずれか1つが成立すると前記特別遊技を終了する遊技処理制御部とを備えて構成される遊技機において、
前記複数の終了条件のうちの少なくとも1つの終了条件の成立が接近したときに、この接近を遊技者に報知する報知手段を備えたことを特徴とする遊技機。」(【請求項1】)
イ.「前記報知手段は、終了条件が成立しそうになったことを可視表示して報知する表示手段、または終了条件が成立しそうになったことを音で報知する音発生手段で構成されることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の遊技機。」(【請求項5】)
ウ.「ビッグボーナスゲーム(以下、B・Bゲームという)と呼ばれる大当たりの入賞態様もある。このB・Bゲームは小当たりおよび中当たりと異なる所定の入賞図柄が通常の一般遊技中に揃ったときに発生する。このB・Bゲームにおいては、・・・遊技者に有利な特別遊技が実行される。」(段落【0004】)
エ.「B・Bゲームは、B・B中一般遊技回数が30回を越えたとき、R・Bゲームを3回等消化したとき、総獲得枚数が規定の最大獲得枚数を越えたとき等、種々の条件のうちいずれか1つが成立したときに終了する。」(段落【0007】)
オ.「B・Bゲーム中の総獲得メダル枚数が所定の最大獲得枚数を越えた場合にも、B・Bゲームは終了となる。本実施形態ではこの所定の最大獲得枚数は450枚に設定されている。」(段落【0034】)
カ.「現在の遊技状態がBB遊技状態である場合には、スピーカ96から遊技開始音およびBB遊技演出の効果音群を出音させると共に、液晶表示装置22にBB遊技演出およびBB遊技残数の表示を行わせる。」(段落【0068】)
キ.「投入口8へのメダル投入で遊技が行われている状態では、入賞によって獲得した枚数のメダルが受け皿34へ払い出される。」(段落【0074】)
ク.「B・Bゲーム中における遊技者の総メダル獲得枚数の計数が行われる。この計数結果は、後述する図12のフローチャートのステップ201で参照される。」(段落【0076】)
ケ.「BB,RB遊技数チェック処理では、まず、B・Bゲーム中の総獲得メダル枚数が450枚を越えたか否かが判別される(図12,ステップ201)。B・Bゲーム中の総獲得メダル枚数が450枚を越えた場合には、処理はステップ208のB・Bゲーム終了時のイニシャル処理に移り、B・Bゲームは終了させられる。」(段落【0080】)
コ.「図14のステップ304のBB中総メダル獲得枚数チェック処理は、図17のフローチャートに示される。この処理では、まず、BB中の総メダル獲得枚数が445枚を越えたか否かがサブCPU82によって判別される(図17,ステップ601)。BB中総メダル獲得枚数が445枚を越えている場合には、図18に示すコメント3-cの「獲得枚数が445枚を越えたよ。」というメッセージが液晶表示装置22の画面に表示される(ステップ602)。」(段落【0094】)
サ.「BB中総メダル獲得枚数が445枚を越えていない場合には、次に、BB中総メダル獲得枚数が440枚を越えたか否かが判別される(ステップ603)。その結果、BB中総メダル獲得枚数が440枚を越えている場合には、図18に示すコメント3-bの「獲得枚数が440枚を越えたよ。」というメッセージが液晶表示装置22の画面に表示される(ステップ604)。また、BB中総メダル獲得枚数が440枚を越えていない場合には、次に、BB中総メダル獲得枚数が430枚を越えたか否かが判別される(ステップ605)。その結果、BB中総メダル獲得枚数が430枚を越えていない場合には、そのままBB中獲得枚数チェック処理が終えられる。BB中総メダル獲得枚数が430枚を越えている場合には、図18に示すコメント3-cの「獲得枚数が430枚を越えたよ。」というメッセージが液晶表示装置22の画面に表示され(ステップ606)、このBB中総メダル獲得枚数チェック処理が終えられる。」(段落【0095】)

4.引用例1記載の発明の認定
記載ウ等の「ビッグボーナスゲーム」又は「B・Bゲーム」が記載アの「遊技者に有利な特別遊技」の具体例であり、記載エ,ケによれば、その終了条件の1つがBB中総メダル獲得枚数が所定の最大獲得枚数を越えることとされている。
したがって、引用例1には次のような発明が記載されていると認めることができる。
「複数の図柄を可変表示する可変表示部と、
乱数抽選によって内部入賞態様を決定する入賞態様決定手段と、
前記可変表示部に特別遊技入賞態様に応じた図柄が停止表示されると、遊技者に有利な特別遊技を実行し、複数ある終了条件のうちのいずれか1つが成立すると前記特別遊技を終了する遊技処理制御部とを備えて構成される遊技機において、
特別遊技終了条件の1つが特別遊技中の総メダル獲得枚数が所定の最大獲得枚数を越えることであり、
前記複数の終了条件のうちの少なくとも1つの終了条件の成立が接近したときに、この接近を可視表示して報知する表示手段又は音で報知する音発生手段によって、遊技者に報知する報知手段を備えた遊技機。」(以下「引用発明」という。)

5.補正発明と引用発明との一致点及び相違点の認定
引用発明では、「特別遊技終了条件の1つが特別遊技中の総メダル獲得枚数が所定の最大獲得枚数を越えること」とされており、メダルが介在する遊技機である。そして、引用発明の「メダル」は補正発明の「遊技媒体」に相当し、引用発明において「可変表示部に特別遊技入賞態様に応じた図柄が停止表示される」ことと補正発明において「遊技媒体を介在させて複数の図柄を変動させる図柄変動表示ゲームを開始し、前記図柄が予め定めた所定の組み合わせで表示される」ことに相違はない。すなわち、引用発明において「可変表示部に特別遊技入賞態様に応じた図柄が停止表示される」ことが補正発明の「大当り入賞」に相当する。
引用発明の「特別遊技」は補正発明の「特別役物ゲーム」に相当し、引用発明では「特別遊技中の総メダル獲得枚数が所定の最大獲得枚数を越えること」により特別遊技を終了するのであるから、「大当り入賞が発生した後に特別役物ゲームを行って前記遊技媒体を第一所定数以上払い出すと、前記特別役物ゲームを終了するように構成された遊技機」であることは、補正発明と引用発明の一致点である。なお、引用発明における「メダル獲得枚数」が払い出し枚数であることは、引用例1の「入賞によって獲得した枚数のメダルが受け皿34へ払い出される。」(記載キ)との記載から明らかである。当然、引用発明は「特別役物ゲームの開始後に払い出した前記遊技媒体の枚数を計数する計数手段」を具備しているものと認める。
引用発明は、「終了条件の成立が接近したときに、この接近を可視表示して報知する表示手段又は音で報知する音発生手段によって、遊技者に報知する報知手段」を備えており、「終了条件の成立が接近」を判断し、判断結果に従って「可視表示して報知する表示手段」(補正発明の「表示装置」に相当。)又は「音発生手段」(補正発明は「バックグランドミュージックの演奏制御」を行うから、当然「音発生手段」を具備する。)の制御をすると解さねばならず、そのような制御手段を具備する点では補正発明と引用発明に相違はない。さらに、「前記計数手段が計数した枚数が前記第一所定数より小さい第二所定数に達するまで」と「前記第二所定数を超える」場合において、制御内容を異ならせる点も補正発明と引用発明の一致点である(何も表示しないことや、何も音を発生しないことも制御内容の1つである。)。
したがって、補正発明と引用発明とは、
「遊技媒体を介在させて複数の図柄を変動させる図柄変動表示ゲームを開始し、前記図柄が予め定めた所定の組み合わせで表示されると大当り入賞が発生すると共に、前記大当り入賞が発生した後に特別役物ゲームを行って前記遊技媒体を第一所定数以上払い出すと、前記特別役物ゲームを終了するように構成された遊技機において、
前記特別役物ゲームの開始後に払い出した前記遊技媒体の枚数を計数する計数手段と、
前記特別役物ゲーム中において、表示装置及び音発生手段の制御を行う制御手段とを具備し、
前記制御手段は、前記計数手段が計数した枚数が前記第一所定数より小さい第二所定数に達するまでと前記第二所定数を超える場合において、制御内容を異ならせ、
前記第一所定数以上払い出すと、前記特別役物ゲームを終了する遊技機。」の点で一致し、以下の各点で相違する。
〈相違点1〉補正発明の制御手段が、「前記計数手段が計数した枚数が前記第一所定数より小さい第二所定数に達するまで、第一バックグランドミュージックの演奏制御及び第一映像を映し出す表示制御を行う一方、前記第二所定数を超えると、第二バックグランドミュージックの演奏制御及び第二映像を映し出す表示制御を行う」と特定しているのに対し、引用発明はかかる特定を有さない点。
〈相違点2〉補正発明が「大当り入賞が発生するまでの図柄変動表示ゲームの回数を計数するゲーム回数計数手段」及び「複数のチャンネルを使用して作成された歌声入りBGMデータと歌声無しBGMデータからなるバック・グランド・ミュージックデータを記憶するROM」を具備し、「前記ゲーム回数計数手段が計数した図柄変動表示ゲームの回数が所定数を超える場合、歌手の歌声が入っていない第一及び第二バックグランドミュージックとして前記歌声無しBGMデータの複数のチャンネルまでを演奏する一方、所定数以下の場合、歌手の歌声が入った第一及び第二バックグランドミュージックとして前記歌声無しBGMデータの複数のチャンネル及び前記歌声入りBGMデータのチャンネルまでを演奏」すると特定しているのに対し、引用発明はそのような特定は一切ない点。
〈相違点3〉補正発明の制御手段が「前記第一所定数以上払い出すと、前記特別役物ゲームを終了して第三の楽曲と映像を流す」としているのに対し、引用発明では特別遊技(特別役物ゲーム)終了後の制御について何も特定していない点。

6.相違点の判断及び補正発明の独立特許要件の判断
(1)相違点1について
遊技の進行状況に応じて異なる楽曲をバックグランドミュージックとして演奏し、遊技に演出を加えるとともに、進行状況を遊技者に報知することは周知である。引用発明において重要なことは、終了条件の成立が接近したことを遊技者に報知することであって、具体的な報知手段として従来から知られている各種手段を採用できることは当然である。
また、引用例の記載カには、BB遊技演出を行う旨記載されているところ、その演出としてバックグランドミュージックの演奏及びそれに対応する映像の表示を行うことは設計事項である。
そして、「前記計数手段が計数した枚数が前記第一所定数より小さい第二所定数に達するまでと前記第二所定数を超える場合」は異なる進行状況であるから、特別遊技中の演出をバックグランドミュージックの演奏及びそれに対応する映像の表示とした上で、進行状況を報知する手段として、楽曲を変更することは当業者にとって想到容易である。その際、バックグランドミュージックの演奏だけでなく、楽曲に対応した映像も変更することは設計事項にすぎない。
したがって、相違点1に係る補正発明の構成を採用することは当業者にとって想到容易である。

(2)相違点2について
原査定の拒絶の理由に引用された特開2001-204885号公報(以下「引用例2」という。)には、「第2の演出は、前回の特別遊技の終了後から、今回の特別役の入賞時までのゲーム回数を反映させた演出であり、特別役の入賞時に行う演出である。本実施形態では、特別遊技の終了後、次に特別役が入賞するまでのゲーム回数をカウントしており、このゲーム回数を遊技実績として遊技実績記憶手段71に記憶している。」(段落【0064】)及び「特別役の入賞時は、演出用制御手段70は、遊技実績記憶手段71に記憶されているゲーム回数を判別する。演出パターン選択手段73は、このゲーム回数に応じた演出パターンを選択する。」(段落【0065】)との各記載がある。
引用例2記載の「特別役の入賞」と引用発明の「可変表示部に特別遊技入賞態様に応じた図柄が停止表示」とは、遊技者に有利な特別遊技が実行される条件の点で一致するから、引用例2記載の技術に従い、「可変表示部に特別遊技入賞態様に応じた図柄が停止表示」までのゲーム回数(補正発明の表現に従えば「大当り入賞が発生するまでの図柄変動表示ゲームの回数」)を判別し(当然、補正発明の「ゲーム回数計数手段」を具備する。)、「前記ゲーム回数計数手段が計数した図柄変動表示ゲームの回数が所定数を超える場合」と「所定数以下の場合」とで異なる演出をすることは当業者にとって想到容易である。
ところで、相違点1に係る補正発明の構成を採用する場合、演出に当たるのは「バックグランドミュージックの演奏制御」及び「映像を映し出す表示制御」であるから、演出を異ならせるということは、演奏制御又は表示制御を異ならせることにほかならない。
そして、原査定の拒絶の理由に引用された特開2003-24529号公報(以下「引用例3」という。)には、「図5は本発明の一例をフローチャートに表わしたもので、この場合大当たりとなった数字の図柄が偶数か奇数かによってカラオケ演奏の態様が歌付、或いは歌なしとしている。」(段落【0013】)との記載がある。ここで、カラオケ演奏の態様を歌付とするか歌なしとするかは、演奏制御を前提としての異なる演出である。
そうであれば、引用発明に引用例2記載の技術を採用した上で、バックグランドミュージックの演奏制御又は表示制御を異ならせる具体的な態様として、「前記ゲーム回数計数手段が計数した図柄変動表示ゲームの回数が所定数を超える場合」と「所定数以下の場合」の一方を歌手の歌声付き演奏とし、他方を歌声無し演奏とすることは当業者にとって想到容易である。その場合、どちらを歌声付き演奏とするかはそもそも設計事項というべきであるが、「所定数以下の場合」の方が高技量を反映していることは明らかであるから、高技量である方を歌手の歌声付き演奏とすることはなおさら設計事項というべきである。
なお、補正発明では特別役物ゲーム中の演奏表示制御につき、「計数手段が計数した枚数」に基づき楽曲を変更し、「ゲーム回数計数手段が計数した図柄変動表示ゲームの回数」に基づき歌声の有無を変更しているところ、制御の基礎となる情報が2種類あることから、楽曲及び歌声の有無を変更するとしても、補正発明とは逆に「計数手段が計数した枚数」に基づき歌声の有無を変更し、「ゲーム回数計数手段が計数した図柄変動表示ゲームの回数」に基づき楽曲を変更することも一応考えられる。しかし、「計数手段が計数した枚数」に基づき歌声の有無を変更した場合、枚数が第二所定数に達した時点が歌声のない間奏中の場合が予想でき、枚数が第二所定数に達したことを直ちに遊技者に報知できないおそれがある。そうである以上、上記2つの情報に基づいて楽曲及び歌声の有無を変更するに当たっては、補正発明のように「計数手段が計数した枚数」に基づき楽曲を変更し、「ゲーム回数計数手段が計数した図柄変動表示ゲームの回数」に基づき歌声の有無を変更することが自然である。
残る検討項目は、「複数のチャンネルを使用して作成された歌声入りBGMデータと歌声無しBGMデータからなるバック・グランド・ミュージックデータを記憶するROM」を具備し、歌声無し演奏する場合に「歌声無しBGMデータの複数のチャンネルまでを演奏する」こと、及び歌声付き演奏する場合に「歌声無しBGMデータの複数のチャンネル及び前記歌声入りBGMデータのチャンネルまでを演奏」することの容易性である。
そこで検討するに、「歌声無しBGMデータの複数のチャンネル及び前記歌声入りBGMデータのチャンネルまでを演奏」とあることからすると、「歌声入りBGMデータ」のみを演奏したのでは歌声付き演奏にならないのであるから、「歌声入りBGMデータ」単独では完全な「BGMデータ」となっていないものと認められる。本願明細書にも出願当初から一貫して「歌声入りBGMデータと歌声無しBGMデータの持ち方としては、例えばMIDI形式(MIDIファイル)で歌声無しBGMデータを1から7チャンネルまで使用して作成し、歌声データのみを8チャンネルに作成し、副制御部160は100ゲーム以内にBBを獲得した場合、1から8チャンネルまでを演奏する一方、101ゲーム以上では1から7チャンネルまでを演奏するというものである。」(段落【0070】)との記載があり、「歌声無しBGMデータ」のチャンネルと「歌声データのみ」のみのチャンネルから構成することが記載されているから、「複数のチャンネルを使用して作成された歌声入りBGMデータと歌声無しBGMデータからなる」との文言については、すべてのチャンネルから適宜チャンネルを抽出したものが「歌声無しBGMデータ部分」であり、それに加えて別チャンネルをも抽出したものが「歌声入りBGMデータ」と解さなければならない。同解釈以外であれば、新規事項追加になることを併せて指摘しておく。
そして、歌声付き演奏と歌声無し演奏の制御について、本願明細書には上記段落【0070】以外の説明がないことを考慮すれば、「複数のチャンネルを使用して作成された歌声入りBGMデータと歌声無しBGMデータからなるバック・グランド・ミュージックデータを記憶するROM」を具備し、演奏チャンネルの選択により歌声付き演奏と歌声無し演奏の制御を行うこと自体に新規性があると解することは困難である。実際、演奏制御に際し、歌声付き演奏と歌声無し演奏を切り替えることは、カラオケ装置において従来から行われていることであり、本件出願の相当以前に頒布された特開2000-267677号公報に「伴奏音楽の生成データと模範ボーカルの録音データが別チャンネルに記録された模範ボーカル付きカラオケ音楽データを再生」(【請求項1】)との記載があることからみても、「複数のチャンネルを使用して作成された歌声入りBGMデータと歌声無しBGMデータ」を適宜の記憶媒体に記憶し、チャンネルを選択することは設計事項というべきである。さらに、記憶媒体をROMとすることや、歌声無しBGMデータの記憶チャンネルを歌声データの記憶チャンネルよりも前側とすることも当然設計事項である。
以上のとおりであるから、相違点2に係る補正発明の構成を採用することは当業者にとって想到容易である。

(3)相違点3について
(1)で述べたとおり、遊技の進行状況に応じて異なる楽曲をバックグランドミュージックとして演奏し、遊技に演出を加えるとともに、進行状況を遊技者に報知することは周知である。
そして、特別遊技(特別役物ゲーム)の終了はまぎれもなく遊技の進行状況の変化であるから、特別遊技の終了に際し、特別遊技中とは異なる楽曲(相違点1に係る補正発明の構成を採用した場合には「第三の楽曲」と称することができる。)と映像を流すことに困難性はない。
そればかりか、原査定の拒絶の理由に引用された特開2001-149527号公報(以下「引用例4」という。)には、「特典付き遊技の終了条件を満たすか否かを判別する。すなわち、純増枚数Pが規定枚数に達したか否か・・・を判別し、少なくとも一方を満たすときは、ステップS67に進んで特典付き遊技を終了する。・・・ステップS64では、純増枚数Pが所定枚数に達したか否か(本実施形態では170枚を越えたか否か)を判別し、所定枚数に達したと判別したときはステップS65に進んで、発光制御手段67は、バックライト部33のLED33bを点灯するように制御する(ランプ33aは消灯する)。」(段落【0071】?【0072】)と記載があり、特典付き遊技(補正発明の「特別役物ゲーム」に相当)終了条件が満たされる(終了条件自体は、補正発明及び引用発明の条件と同一ではない。)と、特典付き遊技中とは異なる演出をすることが記載されているのだから、引用発明に相違点1に係る補正発明の構成を採用することを前提とすれば、相違点3に係る補正発明の構成を採用することは設計事項というべきであって、引用発明を出発点としてみれば当業者にとって想到容易である。

(4)補正発明の独立特許要件の判断
以上のとおり、相違点1?3に係る補正発明の構成を採用することは当業者にとって想到容易であり、これら構成を採用したことによる格別の作用効果を認めることもできない。
したがって、補正発明は引用発明、引用例2?4記載の技術及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができない。
すなわち、本件補正は平成18年改正前特許法17条の2第5項で準用する同法126条5項の規定に違反している。

[補正の却下の決定のむすび]
以上によれば、本件補正は平成18年改正前特許法17条の2第4項の規定及び同条5項で準用する同法126条5項の規定に違反しているから、同法159条1項で読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下されなければならない。
よって、補正の却下の決定の結論のとおり決定する。

第3 本件審判請求についての判断
1.本願発明の認定
平成19年1月15日付けの手続補正は原審において却下され、本件補正は当審において却下されたから、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は平成18年7月20日付けで補正された特許請求の範囲【請求項1】に記載された事項によって特定される次のとおりのものと認める。
「遊技媒体を介在させて複数の図柄を変動させる図柄変動表示ゲームを開始し、前記図柄が予め定めた所定の組み合わせで表示されると大当り入賞が発生すると共に、前記大当り入賞が発生した後に特別役物ゲームを行って前記遊技媒体を第一所定数以上払い出すと、前記特別役物ゲームを終了するように構成された遊技機において、
前記大当り入賞が発生するまでの図柄変動表示ゲームの回数を計数するゲーム回数計数手段と、
前記特別役物ゲームの開始後に払い出した前記遊技媒体の枚数を計数する計数手段と、
前記特別役物ゲーム中におけるバックグランドミュージックの演奏制御及び表示装置に映し出す映像の表示制御を行う制御手段とを具備し、
前記制御手段は、前記計数手段が計数した枚数が前記第一所定数より小さい第二所定数に達するまで、第一バックグランドミュージックの演奏制御及び第一映像を映し出す表示制御を行う一方、前記第二所定数を超えると、第二バックグランドミュージックの演奏制御及び第二映像を映し出す表示制御を行うに際して、前記ゲーム回数計数手段が計数した図柄変動表示ゲームの回数が所定数を超える場合、歌手の歌声が入っていない第一及び第二バックグランドミュージックを演奏する一方、所定数以下の場合、歌手の歌声が入った第一及び第二バックグランドミュージックを演奏すること、
を特徴とする遊技機。」

2.本願発明の進歩性の判断
「第2[理由]5」で述べたことを踏まえると、本願発明と引用発明は、
「遊技媒体を介在させて複数の図柄を変動させる図柄変動表示ゲームを開始し、前記図柄が予め定めた所定の組み合わせで表示されると大当り入賞が発生すると共に、前記大当り入賞が発生した後に特別役物ゲームを行って前記遊技媒体を第一所定数以上払い出すと、前記特別役物ゲームを終了するように構成された遊技機において、
前記特別役物ゲームの開始後に払い出した前記遊技媒体の枚数を計数する計数手段と、
前記特別役物ゲーム中において、表示装置及び音発生手段の表示制御を行う制御手段とを具備し、
前記制御手段は、前記計数手段が計数した枚数が前記第一所定数より小さい第二所定数に達するまでと前記第二所定数を超える場合において、表示制御内容を異ならせる遊技機。」である点で一致し、「第2[理由]5」で認定した相違点1及び次の相違点2’で相違する(相違点1については、「補正発明」を「本願発明」と読み替える。)。
〈相違点2’〉補正発明が「大当り入賞が発生するまでの図柄変動表示ゲームの回数を計数するゲーム回数計数手段」を具備し、「前記ゲーム回数計数手段が計数した図柄変動表示ゲームの回数が所定数を超える場合、歌手の歌声が入っていない第一及び第二バックグランドミュージックを演奏する一方、所定数以下の場合、歌手の歌声が入った第一及び第二バックグランドミュージックを演奏する」と特定しているのに対し、引用発明はそのような特定は一切ない点。

相違点1については「第2[理由]6(1)」で述べたとおりである(「補正発明」を「本願発明」と読み替える。)。
相違点2’については、「第2[理由]6(2)」で述べたと同様の理由により当業者にとって想到容易である。ただし、「第2[理由]6(2)」で述べた事項のうち、「残る検討項目」としての検討箇所は不要である。
そして、相違点1,2’に係る本願発明の構成を採用したことによる格別の作用効果を認めることもできない。
したがって、本願発明は引用発明、引用例2,3記載の技術及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。

第4 むすび
本件補正は却下されなければならず、本願発明が特許を受けることができない以上、本願の請求項2に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶を免れない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2007-07-11 
結審通知日 2007-07-12 
審決日 2007-07-24 
出願番号 特願2005-141888(P2005-141888)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (A63F)
P 1 8・ 575- Z (A63F)
P 1 8・ 572- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 鉄 豊郎  
特許庁審判長 津田 俊明
特許庁審判官 中槙 利明
榎本 吉孝
発明の名称 遊技機  
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