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審決分類 審判 訂正 ただし書き1号特許請求の範囲の減縮 訂正する G06F
審判 訂正 ただし書き3号明りょうでない記載の釈明 訂正する G06F
審判 訂正 4項(134条6項)独立特許用件 訂正する G06F
管理番号 1164349
審判番号 訂正2007-390063  
総通号数 95 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2007-11-30 
種別 訂正の審決 
審判請求日 2007-05-22 
確定日 2007-09-07 
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第3627415号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 特許第3627415号に係る明細書及び図面を本件審判請求書に添付された訂正明細書及び図面のとおり訂正することを認める。 
理由 1.手続の経緯
本件特許第3627415号は、平成8年12月18日に出願され(特願平8-338013号)、平成16年12月17日に特許権の設定登録がなされ、平成19年5月22日に本件訂正審判が請求され、当審において平成19年7月18日付けで訂正拒絶理由を通知したところ、同年8月16日付けで手続補正がなされたものである。

2.訂正事項
平成19年5月22日に審判請求人が行った、願書に添付した明細書又は図面の訂正の請求は、請求項1及び請求項2をそれぞれ以下のとおり訂正するものである。
訂正事項1
「【請求項1】印刷データを作成するクライアントマシンと、前記クライアントマシンからの印刷データを印刷する装置であってユーザーにより指定されたフィニッシングを実行する出力装置と、がネットワークを介して接続された印刷システムにおいて、
前記クライアントマシンは、
前記印刷データを作成するデータ作成手段と、
前記出力装置が有するフィニッシング機能を示すデータを読み取る読み取り手段と、
前記印刷データに対し、それぞれ異なる複数のフィニシングを組み合わせて指定するためのフィニッシング指定手段と、
前記読み取り手段により読み取られたフィニッシング機能を示すデータに基づき、前記複数のフィニッシングの指定に従って印刷を実行した結果を表す組み合わせフィニッシングイメージを生成する手段であって、前記フィニッシング指定手段により指定された複数のフィニッシングに対応する複数のフィッシングイメージを合成することによって前記組み合わせフィニッシングイメージを生成する合成手段を有するイメージ生成手段と、
前記組み合わせフィニッシングイメージを表示するイメージ表示手段と、
を含み、
前記フィニッシング指定手段によって指定される複数のフィニッシングには、画像処理により実現される画像処理フィニッシングと、印刷後の用紙を前記出力装置中のフィニッシング装置に送出することにより実現される用紙フィニッシングと、が含まれ、
前記組み合わせフィニッシングイメージには、前記画像処理フィニッシングに対応する画像処理フィニッシングイメージと、前記用紙フィニッシングに対応する用紙フィニッシングイメージと、を合成することによって生成されたものが含まれることを特徴とする印刷システム。」

訂正事項2
「【請求項2】印刷データを作成するクライアントマシンと、前記クライアントマシンからの印刷データを印刷する装置であってユーザーにより指定されたフィニッシングを実行する出力装置と、がネットワークを介して接続された印刷システムにおいて、
前記クライアントマシンは、
前記印刷データを作成するデータ作成手段と、
前記出力装置が有するフィニッシング機能を示すデータを読み取る読み取り手段と、
前記印刷データに対し、それぞれ異なる複数のフィニシングを組み合わせて指定するためのフィニッシング指定手段と、
前記読み取り手段により読み取られたフィニッシング機能を示すデータに基づき、前記複数のフィニッシングの指定に従って印刷を実行した結果を表す組み合わせフィニッシングイメージを生成するイメージ生成手段と、
前記組み合わせフィニッシングイメージを表示するイメージ表示手段と、 を含み、
前記イメージ生成手段は、
各フィニッシング毎のフィニッシングイメージをイメージデータとして又はベクトルデータとして記憶した記憶部と、
前記記憶部からベクトルデータが読み出された場合に、それを判定し、そのデータをイメージデータに展開する展開手段と、
複数のイメージデータを合成し、前記組み合わせフィニッシングイメージを生成する合成手段と、
を含み、
イメージデータとしてのフィニッシングイメージとベクトルデータとしてのフィニッシングイメージとを合成し得ることを特徴とする印刷システム。」

3.平成19年8月16日付け手続補正による補正事項とその適否
平成19年8月16日付け手続補正による補正事項は以下のとおりである。
「(1)審判請求書の第2頁下から10行目に記載の「フィッシングイメージ」を「フィニッシングイメージ」に補正する。
(2)審判請求書の第3頁下から4行目?下から3行目に記載の「フィッシングイメージ」を「フィニッシングイメージ」に補正する。
(3)審判請求書の第6頁第6行目に記載の「フィッシングイメージ」を「フィニッシングイメージ」に補正する。
(4)審判請求書の第11頁第12行目に記載の「フィッシング」を「フィニッシング」に補正する。」

上記補正事項(1)は、審判請求に係る訂正事項1について、訂正後の「・・・前記フィニッシング指定手段により指定された複数のフィニッシングに対応する複数のフィッシングイメージを合成することによって前記組み合わせフィニッシングイメージを生成する合成手段を有するイメージ生成手段と、」との記載中、「フィッシングイメージ」との明らかな誤記を「フィニッシングイメージ」と補正するものであって、訂正請求の要旨を変更するものではない。
また、上記補正事項(2)?補正事項(4)は審判請求書中の訂正事項1に係る説明の記載を上記補正事項(1)の補正に合致するように補正するものであって、訂正請求の要旨を変更するものではない。
したがって、この補正は特許法第131条の2第1項の規定に適合するものである。
そしてこの補正により、訂正事項1中の「フィッシングイメージ」については訂正前の明細書、図面には記載がないとして当審が平成19年7月18日付けで通知した訂正拒絶理由は解消した。

4.請求の要旨
本件審判請求の要旨は、特許第3627415号に係る明細書を前記3.に記載のとおり適法になされた平成19年5月22日付け手続補正により補正された本件審判請求書に添付された訂正明細書のとおり訂正するものであり、その内容は請求項1、請求項2を以下のとおり訂正するものである。

訂正事項1
「【請求項1】印刷データを作成するクライアントマシンと、前記クライアントマシンからの印刷データを印刷する装置であってユーザーにより指定されたフィニッシングを実行する出力装置と、がネットワークを介して接続された印刷システムにおいて、
前記クライアントマシンは、
前記印刷データを作成するデータ作成手段と、
前記出力装置が有するフィニッシング機能を示すデータを読み取る読み取り手段と、
前記印刷データに対し、それぞれ異なる複数のフィニシングを組み合わせて指定するためのフィニッシング指定手段と、
前記読み取り手段により読み取られたフィニッシング機能を示すデータに基づき、前記複数のフィニッシングの指定に従って印刷を実行した結果を表す組み合わせフィニッシングイメージを生成する手段であって、前記フィニッシング指定手段により指定された複数のフィニッシングに対応する複数のフィニッシングイメージを合成することによって前記組み合わせフィニッシングイメージを生成する合成手段を有するイメージ生成手段と、
前記組み合わせフィニッシングイメージを表示するイメージ表示手段と、
を含み、
前記フィニッシング指定手段によって指定される複数のフィニッシングには、画像処理により実現される画像処理フィニッシングと、印刷後の用紙を前記出力装置中のフィニッシング装置に送出することにより実現される用紙フィニッシングと、が含まれ、
前記組み合わせフィニッシングイメージには、前記画像処理フィニッシングに対応する画像処理フィニッシングイメージと、前記用紙フィニッシングに対応する用紙フィニッシングイメージと、を合成することによって生成されたものが含まれることを特徴とする印刷システム。」

訂正事項2
「【請求項2】印刷データを作成するクライアントマシンと、前記クライアントマシンからの印刷データを印刷する装置であってユーザーにより指定されたフィニッシングを実行する出力装置と、がネットワークを介して接続された印刷システムにおいて、
前記クライアントマシンは、
前記印刷データを作成するデータ作成手段と、
前記出力装置が有するフィニッシング機能を示すデータを読み取る読み取り手段と、
前記印刷データに対し、それぞれ異なる複数のフィニシングを組み合わせて指定するためのフィニッシング指定手段と、
前記読み取り手段により読み取られたフィニッシング機能を示すデータに基づき、前記複数のフィニッシングの指定に従って印刷を実行した結果を表す組み合わせフィニッシングイメージを生成するイメージ生成手段と、
前記組み合わせフィニッシングイメージを表示するイメージ表示手段と、 を含み、
前記イメージ生成手段は、
各フィニッシング毎のフィニッシングイメージをイメージデータとして又はベクトルデータとして記憶した記憶部と、
前記記憶部からベクトルデータが読み出された場合に、それを判定し、そのデータをイメージデータに展開する展開手段と、
複数のイメージデータを合成し、前記組み合わせフィニッシングイメージを生成する合成手段と、
を含み、
イメージデータとしてのフィニッシングイメージとベクトルデータとしてのフィニッシングイメージとを合成し得ることを特徴とする印刷システム。」

訂正事項1は、
請求項1のイメージ生成手段について「フィニッシングイメージを生成するイメージ生成手段」とあるのを、「フィニッシングイメージを生成する手段であって、前記フィニッシング指定手段により指定された複数のフィニッシングに対応する複数のフィニッシングイメージを合成することによって前記組み合わせフィニッシングイメージを生成する合成手段を有するイメージ生成手段」と訂正し(以下、「訂正事項1-1」という。)、
請求項1の末尾に「を含むことを特徴とする」とあるのを、「を含み、前記フィニッシング指定手段によって指定される複数のフィニッシングには、画像処理により実現される画像処理フィニッシングと、印刷後の用紙を前記出力装置中のフィニッシング装置に送出することにより実現される用紙フィニッシングと、が含まれ、前記組み合わせフィニッシングイメージには、前記画像処理フィニッシングに対応する画像処理フィニッシングイメージと、前記用紙フィニッシングに対応する用紙フィニッシングイメージと、を合成することによって生成されたものが含まれることを特徴とする」と訂正する(以下「訂正事項1-2」という。)ものである。

訂正事項2は、訂正前の請求項1を引用する請求項2を請求項の内容はそのままに、記載形式だけを請求項1を引用しない独立形式に書き改めるものである。

5.当審の判断
(1)訂正事項1について
(1-1)訂正事項1-1について
フィニッシングイメージを生成するイメージ生成手段については、発明の詳細な説明には、【発明の実施の形態】の項に、イメージ合成部32は、複数のフィニッシングイメージを合成して合成イメージ即ち組み合せフィニッシングイメージを生成するものであって、表示部26において合成イメージとしての組み合わせフィニッシングイメージが表示される旨が記載され(段落【0018】)、図3には、イメージ合成部32における合成イメージの作成処理が模式的に示されており、例えば2つのフィニッシングが指定された場合、一方のフィニッシングイメージ200と他方のフィニッシングイメージ202とが合成され、図2に示したような合成イメージ204が作成されて、それが画面内に表示され、図に示す例では2アップ印刷及び穴あけが指定された場合が示されている旨が記載され(段落【0020】)、図5を参照して、指示部24が利用され複数回ユーザによってフィニッシングの指定がなされ、例えば2種類のフィニッシングの指定が行われ、イメージ合成部32が起動され生成されたフィニッシングイメージあるいは取り出されたフィニッシングイメージが合成され合成イメージが作成され、表示部26にそのような合成イメージが表示される旨(段落【0025】)が記載されている。
これらの記載から、訂正後の「フィニッシングイメージを生成する手段であって、前記フィニッシング指定手段により指定された複数のフィニッシングに対応する複数のフィニッシングイメージを合成することによって前記組み合わせフィニッシングイメージを生成する合成手段を有するイメージ生成手段」との記載が、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてなされたものであって、特許請求の範囲を減縮するものであることは明らかである。そして、この訂正が実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないことも明らかである。

(1-2)訂正事項1-2について
本件明細書には【従来の技術】の項に、フィニッシングとして、穴あけ、ステープル処理、袋とじなどの処理であって、印刷後の各用紙をフィニッシャーと称されるフィニッシング装置に送出することにより実現されるものと、nアップ印刷などのプリンタでの縮小印刷機能を利用して実現されあるいはプリントサーバーにおける画像処理により実現されるものがあるが、いずれにしても印刷画像に対する本来的な処理以外の処理(主として出力装置が担う処理)をフィニッシングと定義する旨が記載され(段落【0003】)ている。
そして、【発明の実施の形態】の項には、プリンタには穴あけやステープル処理などを行うフィニッシャーが連結されている旨が記載され(段落【0014】)、クライアントマシンのイメージ合成部について、例えば2つのフィニッシングが指定された場合、一方のフィニッシングイメージ200と他方のフィニッシングイメージ202とが合成され、図2に示したような合成イメージ204が作成されて、それが画面内に表示され、図に示す例では2アップ印刷及び穴あけが指定された場合が示されている旨が記載(段落【0020】)されている。
これらの記載から発明の詳細な説明には、フィニッシング指定手段によって指定される複数のフィニッシングには、画像処理によって実現されるフィニッシング(2アップ印刷)と、印刷後の用紙についてフィニッシング装置により実現されるフィニッシング(穴あけ)が含まれること、したがって、組み合わせフィニッシングイメージには、画像処理によって実現されるフィニッシングに対応するフィニッシングイメージと、フィニッシング装置により実現されるフィニッシングイメージと、を合成することによって生成されたものが含まれることは明らかである。
そして、訂正事項1-2に記載された「画像処理フィニッシング」、「用紙フィニッシング」はそれぞれ「画像処理によって実現されるフィニッシング」、「用紙をフィニッシング装置に送出することにより実現されるフィニッシング」を意味していることは明らかである。
したがって、この訂正は願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてなされたものであって、特許請求の範囲を減縮するものである。そして、この訂正が実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないことは明らかである。

(2)訂正事項2について
訂正後の請求項2は、訂正前の請求項1及び請求項2に記載された事項を全て含み、何らの追加、削除もなされておらず、単に記載形式を訂正前の請求項1を引用する従属形式から請求項1を引用しない独立形式に書き改めたものであるから、この訂正は明りょうでない記載の釈明を目的としたものであって、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

6.独立特許要件について
訂正後の請求項1に記載された発明は、訂正前の請求項1に記載された発明を減縮するものであるところ、訂正後の請求項1に記載された発明が審判請求人の提示した刊行物1(特開平4-148468号公報)、刊行物2(特開平8-324063号公報)、刊行物3(特開平8-336012号公報)に記載された発明から容易に発明することができたものということはできない。また、その他に特許出願の際独立して特許を受けることができないとする理由は見あたらない。

7.むすび
以上のとおり、本件訂正は平成6年改正前特許法第126条第1項乃至第4項の規定に適合する。

よって、結論のとおり審決する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
印刷システム
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】印刷データを作成するクライアントマシンと、前記クライアントマシンからの印刷データを印刷する装置であってユーザーにより指定されたフィニッシングを実行する出力装置と、がネットワークを介して接続された印刷システムにおいて、
前記クライアントマシンは、
前記印刷データを作成するデータ作成手段と、
前記出力装置が有するフィニッシング機能を示すデータを読み取る読み取り手段と、
前記印刷データに対し、それぞれ異なる複数のフィニシングを組み合わせて指定するためのフィニッシング指定手段と、
前記読み取り手段により読み取られたフィニッシング機能を示すデータに基づき、前記複数のフィニッシングの指定に従って印刷を実行した結果を表す組み合わせフィニッシングイメージを生成する手段であって、前記フィニッシング指定手段により指定された複数のフィニッシングに対応する複数のフィニッシングイメージを合成することによって前記組み合わせフィニッシングイメージを生成する合成手段を有するイメージ生成手段と、
前記組み合わせフィニッシングイメージを表示するイメージ表示手段と、
を含み、
前記フィニッシング指定手段によって指定される複数のフィニッシングには、画像処理により実現される画像処理フィニッシングと、印刷後の用紙を前記出力装置中のフィニッシング装置に送出することにより実現される用紙フィニッシングと、が含まれ、
前記組み合わせフィニッシングイメージには、前記画像処理フィニッシングに対応する画像処理フィニッシングイメージと、前記用紙フィニッシングに対応する用紙フィニッシングイメージと、を合成することによって生成されたものが含まれることを特徴とする印刷システム。
【請求項2】印刷データを作成するクライアントマシンと、前記クライアントマシンからの印刷データを印刷する装置であってユーザーにより指定されたフィニッシングを実行する出力装置と、がネットワークを介して接続された印刷システムにおいて、
前記クライアントマシンは、
前記印刷データを作成するデータ作成手段と、
前記出力装置が有するフィニッシング機能を示すデータを読み取る読み取り手段と、
前記印刷データに対し、それぞれ異なる複数のフィニシングを組み合わせて指定するためのフィニッシング指定手段と、
前記読み取り手段により読み取られたフィニッシング機能を示すデータに基づき、前記複数のフィニッシングの指定に従って印刷を実行した結果を表す組み合わせフィニッシングイメージを生成するイメージ生成手段と、
前記組み合わせフィニッシングイメージを表示するイメージ表示手段と、
を含み、
前記イメージ生成手段は、
各フィニッシング毎のフィニッシングイメージをイメージデータとして又はベクトルデータとして記憶した記憶部と、
前記記憶部からベクトルデータが読み出された場合に、それを判定し、そのデータをイメージデータに展開する展開手段と、
複数のイメージデータを合成し、前記組み合わせフィニッシングイメージを生成する合成手段と、
を含み、
イメージデータとしてのフィニッシングイメージとベクトルデータとしてのフィニッシングイメージとを合成し得ることを特徴とする印刷システム。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は印刷システム、特にフィニッシングの指定を行える印刷システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
印刷システムにおけるフィニッシングとしては、穴あけ処理、ステープル処理、袋とじ処理、nアップ印刷(n面印刷)処理などが知られている。ここで、nアップ印刷処理は、例えば同一の用紙面上にn個のイメージを縮小しつつ並べて印刷するものであり、2個のイメージを左右に並べて挿入する2アップ印刷や4分割した各領域に4個のイメージを縮小挿入する4アップ印刷などが知られている。
【0003】
穴あけ、ステープル処理、袋とじなどの処理は印刷後の各用紙をフィニッシャーと称されるフィニッシング装置に送出することにより実現され、nアップ印刷などの処理はプリンタでの縮小印刷機能を利用して実現されあるいはプリントサーバーにおける画像処理により実現される。いずれにしても印刷画像に対する本来的な処理以外の処理(主として出力装置が担う処理)をフィニッシングと定義する。
【0004】
以上のようなフィニッシングの指定を行える従来システムでは、実際の印刷及びフィニッシングに先だって、フィニッシングを行った結果をグラフィカルイメージとして表示器に表示させる機能を有している。すなわち、ユーザーは、そのような表示を利用してフィニッシングの結果を確認した上で印刷実行命令を出すことができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、多種多様なフィニッシングがある中で、従来システムでは、指定された複数のフィニッシングの内の1つだけしか一度に表示させることができないという問題があった。すなわち、例えば2アップ印刷と穴あけの両方が指定されているような場合、2アップ印刷を行った場合の結果を示すイメージと穴あけを行った結果を示すイメージは順次表示させるしかなく、両者を組み合わせた場合の実際のフィニッシング結果に相当する合成イメージを表示させる機能は具備されていなかった。従って、各フィニッシングの指定がどのような関係にあるのか把握困難であった。
【0006】
本発明は、上記従来の課題に鑑みなされたものであり、その目的は、複数のフィニッシングの指定がなされている場合において、それらのフィニッシングが実際に行われた場合の結果を表す組み合わせフニッシングイメージを表示できるようにすることにある。
【0007】
また、本発明の他の目的は、データの性質に応じてフィニッシングイメージを各種の記録形式で記録できるようにし、自由度が高くかつ能率的な印刷システムを構成することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は、印刷データを作成するクライアントマシンと、前記クライアントマシンからの印刷データを印刷する装置であってユーザーにより指定されたフィニッシングを実行する出力装置と、がネットワークを介して接続された印刷システムにおいて、前記クライアントマシンは、前記印刷データを作成するデータ作成手段と、前記出力装置が有するフィニッシング機能を示すデータを読み取る読み取り手段と、前記印刷データに対し、それぞれ異なる複数のフィニシングを組み合わせて指定するためのフィニッシング指定手段と、前記読み取り手段により読み取られたフィニッシング機能を示すデータに基づき、前記複数のフィニッシングの指定に従って印刷を実行した結果を表す組み合わせフィニッシングイメージを生成するイメージ生成手段と、前記組み合わせフィニッシングイメージを表示するイメージ表示手段と、を含むことを特徴とする。
【0009】
上記構成によれば、複数のフィニッシングの指定を行うと、イメージ生成手段がその組み合わせフィニッシングイメージを生成し、それが表示手段に表示される。よって、複数のフィニッシングの指定を行っても、最終的なフィニッシング結果を一度に確認できる。よって、フィニッシング指定の失敗を防止でき、また紙の無駄などを防止できる。
【0010】
本発明の好適な態様では、前記イメージ生成手段は、各フィニッシング毎のフィニッシングイメージをイメージデータとして又はベクトルデータとして記憶した記憶部と、前記記憶部からベクトルデータが読み出された場合に、それを判定し、そのデータをイメージデータに展開する展開手段と、複数のイメージデータを合成し、前記組み合わせフィニッシングイメージを生成する合成手段と、を含み、イメージデータとしてのフィニッシングイメージとベクトルデータとしてのフィニッシングイメージとを合成し得ることを特徴とする。
【0011】
フィニッシングイメージのデータは、そのままのイメージデータの形式で保持しておいてもよいがベクトルデータの形成(例えば、ページ記述言語の形式)で保持しておいてもよい。後者の場合には、ベクトルデータが解釈されてイメージデータが生成された後に他のイメージデータと合成される。よって、2種類のデータ形式に対応して、それらの利点を活用できる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施形態を図面に基づいて説明する。
【0013】
図1には、本発明に係る印刷システムの好適な実施形態が示されており、図1はその全体構成を示すブロック図である。
【0014】
ネットワーク10にはクライアントマシン12とプリントサーバ14とが接続されている。プリントサーバ14はプリンタ16の制御を行うものである。プリンタ16には、この実施形態において穴あけやステープル処理などを行うフィニッシャー18が連結されている。図1に示す構成では、上述同様に、プリントサーバ14、プリンタ16及びフィニッシャー18が出力装置を構成する。
【0015】
クライアントマシン12は例えばコンピュータなどで構成されるものであり、プリントサーバ14へ出力する印刷データを作成する機能を有する。
【0016】
このクライアントマシン12について詳述すると、通信部20はネットワーク10に接続され、この通信部20を介してデータの入出力が行われる。通信部20には、このクライアントマシン12の各機能を実現するための制御部22が接続されている。制御部22に接続された指示部24は各種のフィニッシングの指定を行うための手段であり、表示部26はそのフィニッシング結果が表示される手段である。
【0017】
記憶部28には各フィニッシングに対応したデータが格納されている。具体的には、各データはイメージデータの形式でまたはベクトルデータの1種としてのページ記述言語(PDL)の形式で格納されている。その格納形式は例えばデータ容量やデータ構造などに応じて適宜設定される。
【0018】
PDL解釈部34はフィニッシングイメージがPDLで記述されている場合に、そのPDLデータを解釈してイメージデータを生成するものである。イメージ合成部32は、複数のフィニッシングイメージを合成して合成イメージ即ち組み合せフィニッシングイメージを生成するものである。その組み合わせフィニッシングイメージは制御部22を介して表示部26へ送られ、その表示部26において合成イメージとしての組み合わせフィニッシングイメージが表示される。印刷データ作成部30は例えばアプリケーションソフトウエアなどで構成され、プリントサーバ14に出力する印刷データを作成する手段として機能するものである。
【0019】
次に、図2には、クライアントマシン12が有する表示装置の表示画面100が示されている。本実施形態では、印刷データのプリントサーバ14への送出に先立って図2に示すような画面が表示される。画面100は大別して2つに分割されており、図に示されるように画面100は指示部24と表示部26とに分割されている。指示部24は上述したように各フィニッシングの指定を行うための手段として機能し、各フィニッシングに対応した複数の仮想的なボタン24Aで構成されている。これらのボタンはポインティング手段106によって選択可能である。表示部26には合成イメージ204が表示される。
【0020】
図3には、イメージ合成部32における合成イメージの作成処理が模式的に示されている。例えば2つのフィニッシングが指定された場合、一方のフィニッシングイメージ200と他方のフィニッシングイメージ202とが合成され、図2に示したような合成イメージ204が作成されて、それが画面内に表示される。図に示す例では2アップ印刷及び穴あけが指定された場合が示されている。
【0021】
従来においては、このように複数のフィニッシングが指定された場合、それぞれ単独でのみしかフィニッシングイメージを確認できなかったが、本実施形態によれば、図2に示す合成イメージ204のように最終的に得られるフィニッシング結果を一度に確認できるため、フィニッシング指定の失敗やそれに起因する無駄な印刷を防止できるという利点がある。
【0022】
図4には、記憶部28の構造が模式的に示されている。この記憶部28には各フィニッシング毎にそのフィニッシングイメージが対応づけられており、各フィニッシングイメージはイメージデータの形式またはPDLの形式で格納されている。例えば、この例では2アップ印刷及び4アップ印刷のフィニッシングイメージについてはイメージデータの形式でデータが格納されており、穴あけに関しては各種類ともPDLデータの形式で格納されている。
【0023】
上述の例では2つのフィニッシングイメージの合成について説明したが、もちろん3つ以上のフィニッシングイメージを合成する場合においても本発明を適用できる。
【0024】
次に、図5を用いて図1に示したクライアントマシン12の動作について説明する。
【0025】
S101では、指示部24が利用され、ユーザによってフィニッシングの指定がなされる。これはS102を介して複数回行われており、例えば2種類のフィニッシングの指定が行われる。S103では、複数の指定のうちある1つのフィニッシング指定に対応するフィニッシングイメージが記憶部28から取り出される。この場合、S104ではそのフィニッシングイメージのデータ形式がイメージデータの形式であるかあるいはPDLデータの形式であるかが判定されており、PDLデータの形式であれば、S105においてPDL解釈部34が起動して当該データに対するPDL解釈が実行される。S106では、まだデータが取り出されていないフィニッシング指定があるか否かが判定され、そのようなデータがある場合にはS103からの各行程が繰り返し実行される。S107では、イメージ合成部32が起動され生成されたフィニッシングイメージあるいは取り出されたフィニッシングイメージが合成され合成イメージが作成される。S108では表示部26にそのような合成イメージが表示されることになる。
【0026】
図1に示した実施形態では、クライアントマシン12があらかじめフィニッシングの種別をデータとしてもっていたが、例えばプリンタ16あるいはフィニッシャー18が有する機能をクライアントマシン12によって自動的に読み取って、その読み取ったデータに基づいて自動的にフィニッシングイメージを生成してもよい。このような構成によれば、ネットワーク上に存在する各種のプリンタに対応でき、人為的な設定に伴う煩雑さを解消できるという利点がある。
【0027】
なお、図1に示す実施形態では、フィニッシングイメージの生成や合成がクライアントマシン12上で行われていたが、このような処理をプリントサーバ14上で行ってもよい。そして、プリントサーバ14で生成した合成イメージをネットワーク10を介してクライアントマシン12に転送することもできる。
【0028】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、複数のフィニッシングの指定がなされている場合において、それらのフィニッシングが実際に行われた場合の結果を表す組み合せフィニッシングイメージを表示できるので、フィニッシング指定の失敗や無駄な印刷を解消できる利点がある。また、本発明によればデータの性質に応じてフィニッシングイメージを各種の記録形式で記録できるので、自由度が高くかつ能率的な印刷システムを構築できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る印刷システムの全体構成を示すブロック図である。
【図2】指示部及び表示部の具体例を示す説明図である。
【図3】フィニッシングイメージの合成処理を示す説明図である。
【図4】記憶部のデータ構造を示す説明図である。
【図5】クライアントマシンの動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
10 ネットワーク、12 クライアントマシン、14 プリントサーバ、16 プリンタ、18 フィニッシャー、22 制御部、24 指示部、26 表示部、28 記憶部、30 印刷データ作成部、32 イメージ合成部、34 PDL解釈部、200,202 フィニッシングイメージ、204 合成イメージ(組み合せフィニッシングイメージ)。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
審決日 2007-08-28 
出願番号 特願平8-338013
審決分類 P 1 41・ 856- Y (G06F)
P 1 41・ 851- Y (G06F)
P 1 41・ 853- Y (G06F)
最終処分 成立  
前審関与審査官 近藤 聡  
特許庁審判長 大野 克人
特許庁審判官 坂東 博司
和田 志郎
登録日 2004-12-17 
登録番号 特許第3627415号(P3627415)
発明の名称 印刷システム  
代理人 石田 純  
代理人 石田 純  
代理人 吉田 研二  
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