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審決分類 審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない。 C07F
管理番号 1166470
審判番号 不服2006-7745  
総通号数 96 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2007-12-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2006-04-21 
確定日 2007-10-17 
事件の表示 平成10年特許願第130880号「水安定化オルガノシランおよび使用方法」拒絶査定不服審判事件〔平成11年11月24日出願公開、特開平11-322767〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成10年 5月13日の出願であって、平成13年 7月12日に手続補正書が提出され、平成17年 6月30日付けで拒絶理由が通知され、平成17年12月27日に意見書が提出されたところ、平成18年1月20日付けで拒絶査定がされ、これに対し、平成18年4月21日に拒絶査定に対する審判の請求がさたものである。

2.本願発明について
本願の請求項1?48に係る発明は、平成13年 7月12日付け手続補正書により補正された明細書の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1?48に記載された事項により特定されるとおりのものである。
そして、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、以下のとおりである。

「水安定性組成物であって、該水安定性組成物は、水および化合物を含み、該化合物が、以下のa)とb):
a)式RnSiX4-nを有するオルガノシランであって、ここで、nは0?3の整数であり;各Rは、独立して、非加水分解性の有機基であり;および、各Xは、独立して、加水分解可能な基である、オルガノシラン、および
b)少なくとも3つのヒドロキシ基を含むポリオールであって、ここで、該ヒドロキシ基の全てが、少なくとも3つの介在原子により分離され、ここで、該ポリオールが、ヒドロキシエチルセルロースではない、ポリオール、を有する成分を水中で反応させることによって形成される、水安定性組成物。」

3.原査定の理由及び引用刊行物の記載事項
(1)原査定の理由
(A) この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前日本国内又は外国において頒布された下記の刊行物に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。
(B)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前日本国内又は外国において頒布された下記の刊行物に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。



1.国際公開第97/41729号パンフレット
2.国際公開第97/41876号パンフレット
[1]請求項1?48/理由(A)、(B)/刊行物1,2
この出願は、特許法第30条の適用を主張するものであるが、提示された刊行物は、(A)この出願の出願日(優先権主張日でなく)から6月より以前の発行であること、及び、(B)本人による特許出願に基づく公開であって、自らが発表したものとすることもできないし、また、意に反する公表であるとすることもできないので、本出願の提示刊行物に基づく新規性喪失の例外は適用されない。
本出願の内容は、上記刊行物1,2において公知になっているものである。

(2)引用刊行物の記載事項
(2-1)刊行物2(国際公開第97/41876号パンフレット、1997)について、なお、英文の後に、合議体による翻訳文を記載した。
ア 「In a preferred emdodiment,the present invention provides the followingwater‐stable,pentaerythritol-modified silylated quaternary ammonium salt of formula A:,

」(57頁1?12行)((実施例1)好ましい実施態様において、本発明は、次のような、式Aの水安定性ペンタエリスリトール修飾シリル化第四級アンモニウムクロライドを提供する。 式Aの化学構造式 nは1?3.)
イ 「ln paritcular,for the present example,a 5% W/V(weight/volume) aqueous solution of 3-(trimethoxysilyl) propyldimethyloctadecyl ammonium chloride was prepared as follows. A 22 L reaction flask was charged with 6251g.(21.0Mol.) of dimethyloctadeclamine, 5844g.(29.4Mol) of 3-chloropropyltrimethoxysilane, and 76g. (0.84Mol.) o trioxane. The mixture was heated to 140℃ for 12 hours while stirring and is then cooled to 80℃. 2L of methanol was then added and the mixture is cooled to approximately 40℃ This mixture was then transferred to 171 L of water, into which 4000g. of pentaerythritol had been previously dissolved. After thorough mixing the pH of the solution was checked. If the pH is above 7.0(basic) a small amount of HCI is added until the pH is below 7.0. The mixture was then diluted to 209 L with aditional water. The resulting solution contained approximately 5% 3 - (trimethoxysilyl) propyldimethyloctadecyl ammonium chloride, 0.8% 3- chloropropyltrimehoxysilane, and 1.9% pentaerythritol.」(58頁18?30行)(特に、本実施例では、3-(トリメトキシシリル)プロピルジメチルオクタデシルアンモニウムクロライドの5%W/V(重量/容量)水溶液を、次のように調製した。22Lの反応フラスコに、6250g(21.0モル)のジメチルオクタデシルアミン、5844g(29.4モル)の3-クロロプロピルトリメトキシシラン、及び76g(0.84モル)のトリオキサンを一緒に充填した。その混合物を、撹拌しながら、140℃、12時間加熱し、その後、80℃に冷却した。次いで、2Lのメタノールを加え、その混合物を約40℃に冷却した。その混合物を、4000gのペンタエリストールを前もって溶解した171Lの水に移した。充分に混合した後に、溶液のpHを確認した。pHが7.0(塩基性)であった場合、少量の塩酸を、pHが7.0以下になるまで加える。次いで、この混合物を、追加の水で209Lに希釈した。その生成した溶液は、約5%の3-(トリメトキシシリル)プロピルジメチルオクタデシルアンモニウムクロライド、0.8%の3-クロロプロピルトリメトキシシラン、及び1.9%のペンタエリストールを含んでいた。)
ウ 「The pentaerythritol stabilized 3-(trimethoxysilyl)propyldimenthyloctadecylammonium chloride is soluble in watre up to concentrations of approximately 15% W/V.」(59頁1?2行)(ペンタエリスリトール安定化3-(トリメトキシシリル)プロピルジメチルオクタデシルアンモニウムクロライドは、約15%W/Vの濃度まで水に溶解可能である。)
(2-2)刊行物1(国際公開第97/41729号パンフレット、1997)について
刊行物1には、上記の刊行物2における摘記アないしエと同じ記載が、摘記アについて57頁1?12行、摘記イについて58頁18?27行及び摘記ウについて59頁1?2行に、それぞれ、あることから、記載箇所のみを示し、その記載内容について摘記することを省略し、上記(2-1)の摘記アないしウに代える。

4.当審の判断
(1)特許法第30条第1項の適用について
出願人は、本願の出願にあたり、特許法第30条第1項の適用を申請し、本出願の6ヶ月前(1997年11月13日)に刊行された国際公開第97/41876号パンフレットを提示しているので、特許法第30条第1項の適用の可否について、先ず、検討する。

「公開特許公報が特許法第30条第1項にいう「刊行物に発表」するにあたるか」に関して、特許法第30条第1項の適用の可否について、最高裁が示した判決がすでに出ており、その判決文中で「そして、この理は、外国における公開特許公報であっても異なるところはない。」と判示しているところである(最高裁昭和61年(行ツ)第160号平成元年11月10日第二小法廷判決参照)。
本件審判事件について、審判請求書中で請求人が主張しているところは、まさに、「公開特許公報」が「特許法第30条第1項にいう「刊行物に発表」するにあたるか」を争う旨を主張するものであるから、その判決に示された判断を本件事案に適用できない理由も適用することの不都合もない。
してみると、特定の発明について国際出願した結果、その発明が国際公開第97/41876号パンフレットに掲載されることは、「特許法第29条第1項のいわゆる新規性喪失に関する規定の例外規定である同法第30条第1項にいう「刊行物に発表」するとは、特許を受ける権利を有する者が自ら主体的に刊行物に発表した場合を指すものであるところ、国際公開パンフレットは、特許を受ける権利を有する者が国際出願をしたことにより、国際事務局が手続の一環として1970年6月19日にワシントンで作成された特許協力条約第21条の規定に基づき国際出願にかかる発明を掲載して刊行するものであるから、これによって特許を受ける権利を有する者が自ら主体的に当該発明を刊行物に発表したものということができない。」と判断されるから、特許を受ける権利を有する者である出願人が、本願の出願にあたり、特許法第30条第1項の適用を求め、提示した国際公開第97/41876号パンフレットに掲載されることは、特許法第30条第1項にいう「刊行物に発表」することに該当しないので、本出願に係る発明について特許法第30条第1項の適用を受けることができない。

(2)刊行物2との対比・判断
特許法第30条第1項の適用申請にあたり提示された刊行物であり、原査定の拒絶の理由に刊行物2として引用された本出願前外国において頒布された国際公開第97/41876号パンフレット(以下、「刊行物2」という。)の実施例1には、以下の事項が記載されている。
上記摘記アないしウの記載によれば、刊行物2の実施例1には、「ジメチルオクタデシルアミンと3-クロロプロピルトリメトキシシランとから製造された3-(トリメトキシシリル)プロピルジメチルオクタデシルアンモニウムクロライドを、ペンタエリストールを溶解した水と混合し(摘記イ)、結果として、3-(トリメトキシシリル)プロピルジメチルオクタデシルアンモニウムクロライドとペンタエリストールを水中で反応させることにより、式Aの水安定性ペンタエリスリトール修飾シリル化第四級アンモニウムクロライド(摘記ア、ウ)が生成され、水と該生成化合物を含む水安定化組成物が記載されているものと認められる。
そして、3-(トリメトキシシリル)プロピルジメチルオクタデシルアンモニウムクロライドは、本願発明におけるa)に定義されるオルガノシランに相当し、ペンタエリストールは、本願発明におけるb)に定義されるポリオールに相当するものである。
してみると、刊行物2には、「水安定性組成物であって、該水安定性組成物は、水および化合物を含み、該化合物が、a)のオルガノシランとb)のポリオールを有する成分を水中で反応させることによって形成される、水安定性組成物」が記載されているといえる。
したがって、本願発明は、刊行物2に記載された発明である。

(3)刊行物1との対比・判断
刊行物1は、特許法第30条第1項の適用申請にあたり提示された刊行物ではないので、前記「2 特許法第30条第1項の適用について」の判断によるまでもなく、拒絶の理由に採用されるべきものである。 原査定の拒絶の理由に刊行物1として引用された本出願前外国において頒布された国際公開第97/41729号パンフレット(以下、「刊行物1」という。)の実施例1には、上記の刊行物2における摘記アないしウと同じ記載が対応してあるので、刊行物1にも上記刊行物2の摘示アないしウの記載から認定された「水安定性組成物であって、該水安定性組成物は、水および化合物を含み、該化合物が、a)のオルガノシランとb)のポリオールを有する成分を水中で反応させることによって形成される、水安定性組成物」が記載されているものであるから、本願発明は、刊行物1に記載された発明であるとすることができる。

5.むすび
以上のとおり、本願の請求項1に係る発明は、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないので、本願は、他の請求項に係る発明を検討するまでもなく拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2007-05-23 
結審通知日 2007-05-24 
審決日 2007-06-07 
出願番号 特願平10-130880
審決分類 P 1 8・ 113- Z (C07F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 星野 紹英  
特許庁審判長 石井 淑久
特許庁審判官 鈴木 紀子
原 健司
発明の名称 水安定化オルガノシランおよび使用方法  
代理人 山本 秀策  
代理人 森下 夏樹  
代理人 安村 高明  
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