• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない。 G02F
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G02F
管理番号 1167334
審判番号 不服2005-5574  
総通号数 96 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2007-12-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2005-03-31 
確定日 2007-11-08 
事件の表示 特願2004-204443「液晶表示装置、バックライト装置」拒絶査定不服審判事件〔平成17年 2月24日出願公開、特開2005- 50802〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成16年7月12日の特許出願(優先権主張 平成15年7月16日)であって、平成17年2月24日付で拒絶査定がなされ、これに対し、同年3月31日に拒絶査定不服審判が請求されるとともに、同年4月27日に手続補正がなされたものである。

2.平成17年4月27日の手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成17年4月27日の手続補正を却下する。
[理由]
(1)補正の内容
本件補正は、特許請求の範囲の請求項6を下記のように補正することを含むものである。

「【請求項1】 面内における第一方向と第二方向に異なる線膨張係数を有し、前記第一方向における線膨張係数が前記第二方向の線膨張係数よりも大きい第一光学シートと、
前記第一光学シートと異なる光学シートであって、前記第一光学シートと離反可能な状態で面の法線方向に隣接して配置する第二光学シートとを備え、
前記第一光学シートの前記第一方向における線膨張係数が、隣接して配置した前記第二光学シートの前記第一方向に対応する方向における線膨張係数よりも大きい場合において、
前記第二光学シートの前記第一方向に対応する方向における線膨張係数を、前記第一光学シートの前記第一方向における線膨張係数に近似させたことを特徴とするバックライト装置。
【請求項6】 請求項1に記載のバックライト装置と、
該バックライト装置からの光が照射される液晶パネルとを備えることを特徴とする液晶表示装置。」

なお、請求項6は、請求項1を引用する発明を含むので、上記には請求項1のみを引用する請求項6に係る発明に関し、便宜上、同請求項1を併せ掲載し、認定することとした。

そして、上記補正は、補正前の請求項1のみを引用する請求項6をさらに具体的に限定しようとするものであって、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当するので、以下では、本件補正後の上記請求項6(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるかについて検討する。

(2)刊行物記載の事項
原審における拒絶の理由に引用した刊行物1:特開2000-30519号公報には、以下の事項が記載されている。

a.「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、サイドライト型面光源装置及び液晶表示装置に関し、例えば入射面より遠ざかるに従って板状部材の板厚が薄くなるように形成されたサイドライト型面光源装置と、このサイドライト型面光源装置を用いた液晶表示装置に適用することができる。本発明は、板状部材の出射面に配置する方形形状のシート材について、少なくともこの方形形状の2辺において、各辺の略中央を基準にしてシート材を位置決めすることにより、シート材のうねりや位置ずれを防止する。」

b.「【0010】このようなうねりの問題は、温度変化によっても発生し、線膨張係数の大きな偏光分離シートを配置した場合に顕著となる。
・・・・(中略)・・・・
通常用いられるこの種の偏光分離シートは、光学的異方性を有する液晶ポリマー等のシート材を積層圧延して形成され、図10に示すように透過軸方向の線膨張係数が8.1×10-5〔cm/cm/℃〕であり、この透過軸方向と直交する反射軸方向の線膨張係数が1.5×10-5〔cm/cm/℃〕である。因みに、同様に出射面に配置されるシート材であるプリズムシートは、線膨張係数が2.0×10-5〔cm/cm/℃〕のものが通常用いられている。」

c.「【0027】図2は、本発明の実施の形態に係る液晶表示装置を示す分解斜視図である。この液晶表示装置10は、15インチの表示画面を形成する液晶表示パネル11の裏面にサイドライト型面光源装置12を積層して形成される。サイドライト型面光源装置12は、裏面側よりフレーム13にリフレクタ24(図3)、蛍光ランプ14及びカバー15を配置し、また液晶表示パネル11側よりフレーム13に反射シート16、導光板17、拡散シート18、プリズムシート19及び20、偏光分離シート21、保護シート22を配置して形成される。」

d.「【0032】プリズムシート19及び20は、拡散シート18の透過光の指向性を補正する。ここでプリズムシート19及び20は、例えばポリカーボネートにより形成され、液晶表示パネル11側の面に光制御面としてのプリズム面が形成される。
・・・・(中略)・・・・
【0033】偏光分離シート21は、プリズムシート20の透過光のうち、液晶表示パネル11において画像形成に供する偏光面の成分を選択的に透過し、これと直交する偏光面の成分を選択的に反射する。これにより偏光分離シート21は、液晶表示パネル11において画像形成に供しない偏光面成分を導光板17に再入射させる。さらにこの導光板17に再入射した照明光は、導光板17内で繰り返し反射することによって偏向面が変化し、その一部が液晶表示パネル11において画像形成に供する偏光面となって導光板17より出射するので、その分照明光の利用効率を向上させることができる。
【0034】保護シート22は、ほぼ透明のポリカーボネートによるシート材により構成され、サイドライト型面光源装置12を液晶表示装置の組み立て工程へ輸送する場合等における偏光分離シート21の傷付を防止する。」

e.「【0035】これら導光板17の出射面17C側に配置されるシート材18?22において、拡散シート18、プリズムシート19及び20、保護シート22は、導光板17の楔型先端側に矩形形状のつば(図4を用いて後述する)が1対形成され、この1対のつばによりフレーム13に位置決め固定される。これに対して線膨張係数の大きな偏光分離シート21は、導光板17の楔型先端側と入射面17A側とに1対のつば(図1を用いて後述する)が形成され、このつばによりフレーム13に位置決め固定される。」

f.「【0038】また導光板17の出射面17C側におけるフレーム13の先端部分は、導光板17の出射面17Cに部分的に覆い被さって縁取り13Dを形成するようになされている。そしてフレーム13と導光板17の入射面17Aとの間に形成される空間には、リフレクタ24、蛍光ランプ14を配置した後、カバー15を取り付けることにより、蛍光ランプ14及びリフレクタ24による一次光源を配置できるようになされている。
【0039】尚、このサイドライト型面光源装置12では、カバー15が弾性を有する板状部材により構成され、図示するように導光板17をフレーム13に配置した後、カバー15と縁取り13Dとによって導光板17の入射面17A側を挟持するように構成される。
【0040】これによりフレーム13は、導光板17の出射面側への脱落を防止できるようになされている。また縁取り13Dに対して導光板17の出射面17Cを密着させて、縁取り13Dと導光板17の出射面17Cとの間に隙間が生じないようにすることにより、照明光が液晶表示パネルに向かって漏れ出すいわゆる光漏れを防止するようになされている。」

g.「【0049】さらに偏光分離シート21は、楔型先端側と入射面17A側とにつば29A及び29Bが形成され、フレーム13においては、符号C及びDにより拡大して示すように、このつば29A及び29Bをガイドできるように凹部30A及び30Bが形成されるようになされている。
【0050】ここでつば29A及び29Bは、偏光分離シート21の短辺を2分する中心線LO上において、導光板17の楔型先端側の端縁、入射面17A側の端縁が矩形形状に飛び出すように、この中心線LOに対して対称形状に形成される。これに対してフレーム13は、凹部30A及び30Bが所定の寸法精度により形成され、この凹部30A及び30Bにより偏光分離シート21をガイドして偏光分離シート21を傾けることなく配置できるようになされている。
・・・・(中略)・・・・
【0052】凹部30A及び30Bは、凹部30A及び30Bを形成して取り残される肉厚Tが、この偏光分離シート21より導光板17側のシート材である拡散シート18、プリズムシート19、20を積層した厚さより大きくならないように、かつ取り残される肉厚Tが薄肉により射出成形可能な最小肉厚以上に形成される。これにより縁取り13Dにおいては、部分的に、薄肉により形成されるものの、確実に射出成形可能な肉厚が確保できるようになされている。
【0053】ここで縁取り13Dに肉厚Tを取り残すことなく、凹部30Bを縁取り13Dの導光板17側からその反対側まで連続する溝状に形成しても、つば29Bをガイドする上では特に支障はないが、この場合凹部30Bから光漏れが生じてしまうので好ましくない。このためこの実施の形態においては、縁取り13Dに形成する凹部30Bを、図示するように一定の肉厚Tを残して形成するものとする。なお具体的に、この実施の形態において、拡散シート18、プリズムシート19、20は、それぞれ厚さ0.13〔mm〕、0.16〔mm〕、0.16〔mm〕であり、縁取り13Dに取り残される肉厚Tは約0.4〔mm〕に設定される。
【0054】偏光分離シート21は、両面テープ(図においてハッチングにより示す)により楔形先端側のつば29Aの部分でフレーム13に固定され、これにより液晶表示パネルとの組み立て工程に輸送する場合等にあっても、フレーム13より脱落し、また位置ずれしないようになされている。さらに長手方向に膨張しても、入射面12A側のつば29Bが固定されていないことにより、この膨張を楔型先端方向への変位で吸収できるようになされている。」

h.「【0058】 ・・・また通常使用される拡散シート18、プリズムシート19、20は、線膨張係数が2.0×10-5〔cm/cm/℃〕程度と比較的小さいものが多く、これにより1つの辺に形成した1対のつば28を用いて位置決めしても、つば28の間に熱膨張によるうねりが生じたりすることがなく、またその位置決め精度の範囲内で多少傾いて配置されたとしても、膨張により端縁がフレーム13の壁面に突き当たらないようにでき、これによりこれらのシート材18、19、20のうねりが防止される。」

また、上記f,g、および図1?3によれば
i.「フレーム13の縁取り13Dの下面は導光板17の上面である出射面17Cに密着しており、また、拡散シート18、プリズムシート19,20、偏光分離シート21、保護シート22は、この順に導光板17の出射面17C上に積層配置され、上記拡散シート18、プリズムシート19,20の厚さの総和が、上記出射面17Cから上記縁取り13Dに設けられた凹部30A,Bの底面までの厚さT以上であり、さらに、偏光分離シート21は凹部30A,Bの底面に固定されているから、結局、上記各々のシートは互いに接触はしているものの分離可能に積層配置されてなる。」との事項が見て取れる。

したがって、上記a?iによれば、上記刊行物1には、
「液晶表示パネルと、サイドライト型面光源装置とを備える液晶表示装置であって、上記サイドライト型面光源装置は、導光板17の出射面17C上に拡散シート18、プリズムシート19,20、偏光分離シート21、保護シート22をこの順に積層配置してなり、各々のシートは互いに接触はしているものの分離可能であり、上記偏光分離シート21は、その透過軸方向の線膨張係数が8.1×10-5〔cm/cm/℃〕であり、この透過軸方向と直交する反射軸方向の線膨張係数が1.5×10-5〔cm/cm/℃〕であり、上記プリズムシート19,20および保護シート22はポリカーボネートにより形成されたものである液晶表示装置。」
との発明(以下、「引用発明」という。)が開示されていると認められる。

(3)対比・判断
本願補正発明と引用発明とを対比する。

ア.引用発明の「液晶表示パネル」、「サイドライト型面光源装置」、「液晶表示装置」が、それぞれ本願補正発明の「液晶パネル」、「バックライト装置」、「液晶表示装置」に相当することは明らかである。

イ.引用発明の「偏光分離シート21」は、「その透過軸方向の線膨張係数が8.1×10-5〔cm/cm/℃〕であり、この透過軸方向と直交する反射軸方向の線膨張係数が1.5×10-5〔cm/cm/℃〕であ」るから、本願補正発明の「面内における第一方向と第二方向に異なる線膨張係数を有し、前記第一方向における線膨張係数が前記第二方向の線膨張係数よりも大きい第一光学シート」に相当する。

ウ.引用発明の「プリズムシート20」ないしは「保護シート22」が、本願補正発明の「第一光学シート」に相当する「偏光分離シート21」と異なる光学シートであることは明らかであり、また、それらシートは、「偏光分離シート21」とは互いに接触はしているものの分離可能に配置されているのであるから、それら「プリズムシート20」ないしは「保護シート22」が、本願補正発明の「前記第一光学シートと異なる光学シートであって、前記第一光学シートと離反可能な状態で面の法線方向に隣接して配置する第二光学シート」に相当することは明らかである。

エ.本願補正発明の「第一光学シート」および「第二光学シート」の線膨張係数については、両者間で、「前記第一光学シートの前記第一方向における線膨張係数が、隣接して配置した前記第二光学シートの前記第一方向に対応する方向における線膨張係数よりも大きい場合において、前記第二光学シートの前記第一方向に対応する方向における線膨張係数を、前記第一光学シートの前記第一方向における線膨張係数に近似させた」との関係を有するものである。
そこで、引用発明において「プリズムシート20」ないしは「保護シート22」と、「偏光分離シート21」の間で、両者の線膨張係数が上記のような関係を満たすか否かについて検討するに、「プリズムシート20」ないしは「保護シート22」は、両者ともポリカーボネートにより形成されたものであるところ、ポリカーボネートの線膨張係数は6.6×10-5/K(本願明細書の段落【0051】などを参照。)であるから、引用発明の「偏光分離シート21」の透過軸方向の線膨張係数8.1×10-5〔cm/cm/℃〕(8.1×10-5/Kと等価である。)と、透過軸方向と直交する反射軸方向の線膨張係数1.5×10-5〔cm/cm/℃〕(1.5×10-5/Kと等価である。)との間の大きさの線膨張係数を有することが分かる。そして、上記「偏光分離シート21」の透過軸方向の線膨張係数が、本願補正発明の「第一光学シート」の「第一方向における線膨張係数」に相当することは明らかであるから、引用発明は、本願補正発明の「前記第一光学シートの前記第一方向における線膨張係数が、隣接して配置した前記第二光学シートの前記第一方向に対応する方向における線膨張係数よりも大きい場合において、」を満たすことは明らかである。
次に、「前記第二光学シートの前記第一方向に対応する方向における線膨張係数を、前記第一光学シートの前記第一方向における線膨張係数に近似させた」について考察するに、第二光学シートの線膨張係数と第一光学シートの第一方向における線膨張係数とがどの程度近似していれば本願補正発明の上記「近似させた」を満たすのか、本願補正発明の特定事項のみからは、明確に把握することができない。
そこで、本願明細書に開示された【発明を実施するための最良の形態】を参酌すると、
「【0062】
図10から分かるように、光学シートのシワ発生による生産上の不良率を1割以下とするためには、線膨張係数差は約2.3以下に設定するのが望ましいと言える。
【0063】
すなわち、
(プリズムシート7の線膨張係数)-(反射偏光シート6の透過軸方向の線膨張係数)<2.3×10-5/K
であることが望ましい。
【0064】
さらに具体的には、スリーエム製D-BEF-M(登録商標)の透過軸方向(第一方向)の線膨張係数(約7.62×10-5/K)に対し、プリズムシート7の線膨張係数は、
(プリズムシートの線膨張係数)=(7.62±2.3)×10-5/K
=9.92?5.32 ×10-5/K
であることが望ましい。」
との事項が記載され、これによれば、線膨張係数差が約2.3×10-5以下であればシワの発生を十分防止することができるものといえるから、上記「近似させた」の意味するところが「線膨張係数差:約2.3×10-5以下」を指すことは明らかである。
これを引用発明に適用すると、
偏光分離シート21の透過軸方向の線膨張係数(8.1×10-5/K)-プリズムシート20ないしは保護シート22の線膨張係数(6.6×10-5/K)=1.5×10-5となり、その線膨張係数差は2.3×10-5以下であるから、引用発明は、本願補正発明の「前記第二光学シートの前記第一方向に対応する方向における線膨張係数を、前記第一光学シートの前記第一方向における線膨張係数に近似させた」を満たすものといえる。

よって、上記ア?エの検討によれば、引用発明は、本願補正発明の発明特定事項のすべてを充足する。
したがって、本願補正発明は、刊行物1に記載された発明であるから、特許法29条1項3号の規定に該当し、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

なお、刊行物1には、上記b,hに「【0010】因みに、同様に出射面に配置されるシート材であるプリズムシートは、線膨張係数が2.0×10-5〔cm/cm/℃〕のものが通常用いられている。」、「【0058】 ・・・また通常使用される拡散シート18、プリズムシート19、20は、線膨張係数が2.0×10-5〔cm/cm/℃〕程度と比較的小さいものが多く、」などと記載されているように、プリズムシートの線膨張係数がポリカーボネート樹脂の線膨張係数とは異なる例が併せ記載されているが、刊行物1は、これら隣接するシート間の線膨張係数の相違に基づくシワ発生等の相互作用について論じたものではないから、かかる記載例とプリズムシート等がポリカーボネート樹脂からなる例とは相互に矛盾せず、それゆえ、引用発明の認定事項を阻害するものではない。

(4)むすび
以上のとおり、本件補正は、平成18年改正前特許法17条の2第5項において準用する同法126条5項の規定に違反するものであるから、特許法159条1項の規定において読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下すべきものである。

3.本願発明について
(1)本願発明
平成17年4月27日の手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項に係る発明は、平成16年11月26日の手続補正により補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1?8に記載されたとおりのものと認められるところ、請求項6に係る発明のうち、請求項1のみ引用する発明は、次のものである。

「【請求項1】 面内における第一方向と第二方向に異なる線膨張係数を有し、前記第一方向における線膨張係数が前記第二方向の線膨張係数よりも大きい第一光学シートと、
前記第一光学シートと異なる光学シートであって、前記第一光学シートと離反可能な状態で面の法線方向に隣接して配置する第二光学シートと、を備えるバックライト装置であって、
前記第一光学シートの前記第一方向における線膨張係数と、前記第二光学シートの前記第一方向に対応する方向における線膨張係数とを近似させたことを特徴とするバックライト装置。
【請求項6】 請求項1項に記載のバックライト装置と、
該バックライト装置からの光が照射される液晶パネルとを備えることを特徴とする液晶表示装置。」(以下、「本願発明」という。)

なお、請求項1を併せ掲載するのは、本願補正発明と同様の理由による。

(2)刊行物記載の事項
原審における拒絶の理由に引用した刊行物1:特開2000-30519号公報には、上記2.(2)に摘記した事項が記載されており、それら事項から把握される引用発明は、上記2.(2)で認定したとおりである。

(3)対比・判断
本願発明は、「前記第一光学シートの前記第一方向における線膨張係数と、前記第二光学シートの前記第一方向に対応する方向における線膨張係数とを近似させたこと」に関し、本願補正発明から、「前記第一光学シートの前記第一方向における線膨張係数が、隣接して配置した前記第二光学シートの前記第一方向に対応する方向における線膨張係数よりも大きい場合において、前記第二光学シートの前記第一方向に対応する方向における線膨張係数を、前記第一光学シートの前記第一方向における線膨張係数に近似させたこと」という限定事項を除いたものに相当する。
そうすると、上記限定事項をさらに有する本願補正発明が、引用発明と同一であって、刊行物1に記載された発明なのであるから、本願発明も、上記2.(3)対比・判断に示したのと同様の理由により、刊行物1に記載された発明である。

なお、原査定の理由は特許法29条2項違反であるが、請求人は、意見書他において、刊行物1に記載された事項と本願発明との相違点について言及しており、その中で特許法第29条第1項第3号の同一性を含め検討していることは明らかであるから、当審が特許法第29条第1項第3号を適用することに違法はない。

(4)むすび
以上のとおり、本願発明は、刊行物に記載された発明であるから、特許法29条1項3号の規定に該当し、特許を受けることができない。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2007-09-05 
結審通知日 2007-09-11 
審決日 2007-09-25 
出願番号 特願2004-204443(P2004-204443)
審決分類 P 1 8・ 113- Z (G02F)
P 1 8・ 575- Z (G02F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 右田 昌士  
特許庁審判長 向後 晋一
特許庁審判官 井上 博之
山村 浩
発明の名称 液晶表示装置、バックライト装置  
代理人 平木 祐輔  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ