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審決分類 審判 査定不服 5項1、2号及び6項 請求の範囲の記載不備 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H01M
審判 査定不服 発明同一 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H01M
管理番号 1169989
審判番号 不服2005-17715  
総通号数 98 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2008-02-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2005-09-15 
確定日 2007-12-27 
事件の表示 特願2004- 92659「二次電池電極用炭素質材料およびその製造方法」拒絶査定不服審判事件〔平成16年 8月19日出願公開、特開2004-235161〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 本願発明
本願は、平成5年11月26日に出願された特願平5-319288号(優先日:平成5年2月25日、以下、「原出願」という。)の一部を特許法第44条第1項の規定により平成16年3月26日に新たな特許出願とするものであって、その請求項1,2に係る発明は、平成19年3月26日付けの手続補正により補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1,2に記載されたとおりのものと認められるところ、請求項1に係る発明は以下のとおりのものである。
「X線回折法により求めた(002)面の平均面間隔が0.365nm以上の多孔質炭素質材料であり、該炭素質材料をH_(2)OとN_(2)の混合ガスと900℃において重量減少が60%になるまで反応させたときに残る炭素質物質のX線回折法により求めた(002)面の平均面間隔が0.350nm以下となる炭素質材料であることを特徴とする非水溶媒系二次電池電極用炭素質材料。」

第2 当審の拒絶理由の概要
当審において平成19年7月31日付けで通知した拒絶理由の概要は、この出願の請求項1に係る発明は、原出願の優先日前の出願であって、その優先日後に出願公開された出願(特願平4-110356号)の願書に最初に添付した明細書又は図面に記載された発明と同一であり、しかも、この出願の発明者がその出願前の出願に係る上記の発明をした者と同一ではなく、またこの出願の時において、その出願人がその出願前の出願に係る上記特許出願の出願人と同一でもないので、特許法第29条の2の規定により特許を受けることができない(以下、「理由A」という。)というものであり、同じく平成19年1月25日付けで通知した拒絶理由の概要は、この出願は、発明の詳細な説明及び特許請求の範囲の記載が不備であるから、平成6年改正法による改正前の特許法(以下、「旧特許法」という。)36条4項及び第5項第1、2号に規定する要件を満たしていない(以下、「理由B」という。)というものである。なお、平成19年7月31日付けの拒絶理由においても、理由Bが解消していないことを通知している。

第3 理由Aについて
[1]先願明細書の記載事項
上記の引用出願の願書に最初に添付した明細書又は図面(特開平5-307976号公報参照。以下、「先願明細書」という。)の記載事項を、以下に摘示する。

(ア)「再充電可能な正極と、再充電可能な負極と、電解質塩を溶解してなる非水電解液とを兼ね備えた二次電池であって、該負極が下記(1)を満たす炭素質物を50重量%?98重量%含み、電解液が下記(2)を満たす電解液であることを特徴とする非水溶媒二次電池。
(1)多相構造を有し、X線広角回折による(002)面の面間隔d_(002 )が3.35Å以上3.39Å以下のピーク(P_(A) )と3.45Å以上3.75Å以下のピーク(P_(B ))の少なくとも2つのピークを有し、両者のピークを有する回折曲線の積分強度の比I_((3.45 ?3.75)) /I_((3.35 ?3.39)) が0.10以上1.60以下であり、波長5145Åのアルゴンイオンレーザー光を用いたラマンスペクトル分析において、下記式で示されるR値が0.4以上であり、体積平均粒径が2μm以上70μm以下である炭素質物の粒子
R=I_(B) /I_(A) (ラマンスペクトルにおいて、1580?1620cm^(-1)の範囲にピークP_(A) を有し、1350?1370cm^(-1)の範囲にピークP_(B) を有し、P_(A) の強度I_(A) ,P_(B) の強度I_(B) とする)
(2)プロピレンカーボネートないしブチレンカーボネートを20vol%以上100vol%未満含有する溶媒に、アルカリ金属塩を溶解させてなる電解液」(【請求項1】)
(イ)「【実施例】本発明の電極材料は、核を形成する炭素質物と、この核の表面に形成される表層の炭素質物の少なくとも2相の多相構造を有する炭素質物である。この多相炭素質物は、多相構造に対応して、X線広角回折において少なくとも2つの回折ピークを有する。すなわち、核の炭素質物に対応するX線広角回折のピークとして、002面の面間隔d_(002 )が3.35Å以上3.39Å以下、好ましくは3.36Å以上3.38Å以下、より好ましくは3.36Å以上3.37Å以下であるピークを有する。
・・・また、表層の炭素質物に対応するX線広角回折のピークとしてd_(002 )が3.45Å以上3.75Å以下、より好ましくは3.46Å以上3.70Å以下、さらに好ましくは3.47Å以上3.65Å以下、とくに好ましくは3.47Å以上3.60Å以下、最も好ましくは3.48Å以上3.58Å以下であるピークを有する。」(【0010】、【0011】)
(ウ)「・・・こうして得られた多相構造の炭素質物において、核の部分と表層の部分との割合は、核が好ましくは20重量%以上70重量%以下、より好ましくは25重量%以上65重量%以下、さらに好ましくは30重量%以上60重量%以下、とくに好ましくは35重量%以上55重量%以下、最も好ましくは40重量%以上50重量%以下である。
また、表層が、好ましくは30重量%以上80重量%以下、より好ましくは35重量%以上75重量%以下、さらに好ましくは40重量%以上70重量%以下、とくに好ましくは45重量%以上65重量%以下、最も好ましくは50重量%以上60重量%以下である。・・・」(【0040】、【0041】)

[2]当審の判断
1.先願発明の認定
先願明細書の摘示(ア)には、「非水溶媒二次電池」の「再充電可能な負極」に含まれる「炭素質物」として、「多相構造を有し、X線広角回折による(002)面の面間隔d_(002 )が3.35Å以上3.39Å以下のピーク(P_(A) )と3.45Å以上3.75Å以下のピーク(P_(B ))の少なくとも2つのピークを有」するものが記載されており、この炭素質物に関して、摘示(イ)には、「核を形成する炭素質物と、この核の表面に形成される表層の炭素質物の少なくとも2相の多相構造を有する炭素質物で・・・核の炭素質物に対応するX線広角回折のピークとして、002面の面間隔d_(002 )が3.35Å以上3.39Å以下、・・・また、表層の炭素質物に対応するX線広角回折のピークとしてd_(002)が3.45Å以上3.75Å以下・・・であるピークを有する」と記載され、摘示(ウ)には、「核の部分と表層の部分との割合は、核が好ましくは20重量%以上70重量%以下、・・・また、表層が、好ましくは30重量%以上80重量%以下・・・である」と記載されている。
そして、この炭素質物は、非水溶媒二次電池の負極の材料として用いられるのであるから、非水溶媒が浸透する多孔を有する多孔質であることは自明の事項である。
以上によると、先願明細書には、「X線回折法により求めた(002)面の平均面間隔が0.335?0.339nmの核を形成する炭素質物20?70重量%と、この核の表面に形成された同平均面間隔が0.345?0.375nmの炭素質物30?80重量%とよりなる多孔質の非水溶媒系二次電池電極用炭素質材料」の発明が記載されているといえる(以下、この発明を「先願発明」という。)。

2.判断
(ア)上記の先願発明は、その数値限定の範囲内である「X線回折法により求めた(002)面の平均面間隔(以下、「X線回折法により求めた(002)面の平均面間隔」を「平均d_(002)」という。)が0.335nmの核を形成する炭素質物25重量%と、平均d_(002 )が0.375nmの表層を形成する炭素質物75重量%とよりなる多孔質の水溶媒系二次電池電極用炭素質材料」を含むところ、この炭素質材料の全体の平均d_(002)は0.365nm〔(0.335×0.25+0.375×0.75)nm〕であるし、この炭素質材料をH_(2)OとN_(2)の混合ガスと900℃において重量減少が60%になるまで反応させると、この反応は、表層に存在するが故に上記混合ガスと接触し易い、よりd_(002 )の大きい部分で優先的に起こると考えられるから、上記反応後に残存する材料(以下「60%バーンオフ炭」という。)の平均d_(002 )は、0.350nm〔0.335×0.25+0.375×(0.75-0.6)/(1-0.6)nm〕と認められる。
そうすると、先願発明は、「X線回折法により求めた(002)面の平均面間隔が0.365nmの多孔質炭素質材料であり、該炭素質材料をH_(2)OとN_(2)の混合ガスと900℃において重量減少が60%になるまで反応させたときに残る炭素質物質のX線回折法により求めた(002)面の平均面間隔が0.350nmとなる炭素質材料である非水溶媒系二次電池電極用炭素質材料」を含むといえるから、先願発明は、その数値限定の範囲内で本願発明と重複する同一部分を有する。
(イ)ところで、数値限定発明の同一性の判断に当たっては、数値限定の技術的意義を考慮し、数値限定に臨界的意義が存することにより当該発明が先行発明に比して格別の優れた作用効果を奏するものであるときは、同一性が否定される。したがって、本願発明1が数値限定によって先願発明との同一性が否定されると判断するためには、その前提として、本願発明1の数値範囲が臨界的意義を有するものであるか否か検討する必要がある。(東京高判平成17年2月17日 平成16年(行ケ)第83号参照)
(ウ)そこで、本願発明1の炭素質材料に関する数値範囲の臨界的意義について検討すると、本願明細書の発明の詳細な説明【0031】?【0045】には、全体の平均d_(002 )が0.378nmであって、60%バーンオフ炭の平均d_(002 )が0.342nmの炭素質材料(実施例1)は、全体の平均d_(002 )が同じく0.378nmであって、60%バーンオフ炭の平均d_(002)が0.357nmのもの(比較例2)より、ドープ容量は減少しているものの非脱ドープ容量が小さい作用効果を奏し、また、全体の平均d_(002 )が0.379nmであって、60%バーンオフ炭の平均d_(002 )が0.345nmの炭素質材料(実施例2)も、全体の平均d_(002)が実施例2とほぼ同様の0.381nmであって、60%バーンオフ炭の平均d_(002)が0.357nmのもの(比較例1)より、ドープ容量は減少しているものの非脱ドープ容量が小さい作用効果を奏することが記載されているから、全体の平均d_(002 )が0.378?0.381nm程度である炭素質材料において、60%バーンオフ炭の平均d_(002 )を0.350nm以下と限定することには、非脱ドープ容量を小ならしめる臨界的意義が存在することが認められる。
しかし、発明の詳細な説明には、全体の平均d_(002 )が0.365nm程度で、60%バーンオフ炭の平均d_(002 )が0.350nm以下の炭素質材料を、全体の平均d_(002 )が同程度であって、60%バーンオフ炭の平均d_(002 )が0.350nmを超える炭素質材料と比較した場合に、ドープ容量が増える、又は、非脱ドープ容量が小さい作用効果を奏することを裏付ける記載は存在しないし、発明の詳細な説明の記載に基づいて当業者が上記作用効果を容易に推定し得るともいえない。
したがって、全体の平均d_(002 )が0.365nmである炭素質材料において、60%バーンオフ炭の平均d_(002 )が0.350nm以下とする数値限定に、臨界的意義は認められず、本願発明1は、先願発明との同一性を否定するための前提を欠くというべきである。
(エ)よって、本願発明1は、先願発明と同一であると認められるから、特許法第29条の2の規定により特許を受けることができない。

3.審判請求人の主張に対する補足
(ア)審判請求人は、平成19年9月14日付け意見書の第2頁第6行?第3頁第5行において、「化学分野の発明の明細書により実質的に開示される範囲は、同明細書を見た当業者が、実施例を中心として、実施例と同質の構成・効果を示すと、客観的に判断し得る実施例の周辺範囲に止まると解されるべき」であるから、先願明細書には、「平均d_(002 )が0.335nmの核を形成する炭素質物25重量%と、平均d_(002 )が0.375nmの表層を形成する炭素質物75重量%とよりなる多孔質の水溶媒系二次電池電極用炭素材料」(以下、「0.335:0.375=25:75の炭素材料」という。)は、実質的に開示されていないと主張するものと認められる。
(イ)たしかに、先願発明が特許を受けようとする場合、その発明が発明の詳細な説明に記載した発明であるか、すなわち旧特許法第36条第5項第1号に規定するサポート要件を満たすか否かを判断するためには、明細書の開示について、上記のような検討が必要といえる。
(ウ)しかしながら、特許法29条の2の規定を適用するためには、先願明細書記載の発明(先願発明)が特許を受ける必要はなく、出願公開されれば足りるのであり(東京高判平成11年3月2日 平成9年(行ケ)第330号参照)、先願明細書には、当業者が、先願発明がそこに示されていることを理解し、それが実施可能であることを理解し得る程度に記載されていれば十分であるといえる(東京高判平成14年3月26日 平成13年(行ケ)第189号参照)。
(エ)そして、先願明細書の記載に接した当業者は、上記「第3 [2]1.」に認定した発明(先願発明)が先願明細書に示されていると理解することができるといえるし、【0035】?【0041】に記載された方法によって、「0.335:0.375=25:75の炭素材料」を含む先願発明に係る炭素材料が実施可能であることも理解することができるといえる。
したがって、上記審判請求人の主張は当を得たものではない。

第4 理由Bについて
理由Bのうち、旧特許法第36条第5項第1号の要件(以下、「サポート要件」という。)について、以下に検討する。

[1]原則
特許請求の範囲の記載が、明細書のサポート要件に適合するか否かは、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載とを対比し、特許請求の範囲に記載された発明が、発明の詳細な説明に記載された発明で、発明の詳細な説明の記載により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否か、また、その記載や示唆がなくとも当業者が出願時の技術常識に照らし当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否かを検討して判断すべきものとされている。(知財高判平成17年11月11日 平成17年(行ケ)第10042号参照)

[2]発明の詳細な説明の記載事項
本願明細書の発明の詳細な説明には、以下の事項が記載されている。
(a)「このような負極材料としての炭素質材料、あるいはリチウム源をドープする正極材料としての炭素質材料においても、単位重量当たりの電流量は、リチウムの脱ドープ量によって決まるため、これら電極材料を構成する炭素質材料は、リチウムの脱ドープ量を大きくすることが望ましい。従来、フェノール樹脂やフラン樹脂を焼成して得られる炭素質材料は、リチウムのドープ量が大きく、この観点では好ましいことが知られている。しかし、フェノール樹脂やフラン樹脂を焼成して得られる炭素質材料を用いて負極を構成した場合、負極炭素にドープされたリチウムが完全には脱ドープされず、多量のリチウムが負極炭素中に残り、活物質であるリチウムが無駄に消費されるという問題がある。・・・本発明は大きな充放電容量を有し、活物質利用率の高い非水溶媒系二次電池を可能とする二次電池電極用炭素質材料を提供することを目的とする。具体的にはリチウム等の活物質のドープ-脱ドープ容量が大きく、脱ドープされずに残る活物質の量が少ない炭素質材料及びその製造方法を提供することを目的とする。」(【0003】?【0005】)
(b)「本発明の炭素質材料が、二次電池電極材料としてリチウム等の活物質に対して、高いドープ-脱ドープ容量を示し、ドープ容量と脱ドープ容量の差として定義される「非脱ドープ容量」が小さいという優れた適性を有する理由は・・・ドープ容量の増大に寄与する難黒鉛化性成分すなわち低結晶性成分と、脱ドープ容量の増大に寄与する易黒鉛化性成分すなわち高結晶性成分とが適当な割合で存在しているためと推定される。本発明の炭素質材料が満たすべき第1の特性は、X線回折法により求めた(002)面の平均面間隔(以下「d_(002 )」と略記する)が0.365nm以上となることである。
d_(002 )が0.365nm未満の炭素質材料を負極として非水溶媒系二次電池を構成した場合、電池活物質のドープ量が小さくなるので好ましくない。d_(002 )は好ましくは0.370nm以上、更に好ましくは0.375nm以上である。」(【0007】、【0008】 )
(c)「バーンオフは、炭素材料中の、主として表面層に存在するが故にバーンオフ用のH_(2)OとN_(2)の混合ガスと接触し易い、より結晶性の低い部分(難黒鉛化成分)で優先的に起ると考えられる。本発明の炭素質材料は、その60%バーンオフ炭のd_(002 )が0.350nm以下になることを特徴とする。このことは、本発明の炭素質材料は、少なくとも60%バーンオフの過程を経てd_(002 )が0.350nm以下となる炭素成分(高結晶性成分すなわち易黒鉛化性成分)を含有することを意味する。」(【0010】?【0012】前段)
(d)「本発明の炭素質材料はd_(002)が0.350nm以下の炭素成分を含有し、全体としてd_(002)が0.365nm以上を示すような構造の炭素質材料であると考えられる。本発明の炭素質材料が大きな活物質のドープ、脱ドープ容量を有し、なおかつ、脱ドープされずに炭素質材料中に残る活物質の量が小さいという特性を有しているのは、上述のような炭素質材料の微細構造に由来するものと推定される。」(【0012】後段)
(e)【0030】?【0045】には、「全体の平均d_(002)」が0.378nm?0.381nm、「60%バーンオフ炭の平均d_(002)」の数値が0.342?0.357nmの範囲で具体的に特定された炭素質材料の実施例、比較例、及び実施例の奏する作用効果が記載されている。

[3]当審の判断
(ア)上記の記載(a)?(d)に基づくと、本願明細書の発明の詳細な説明には、「負極炭素にドープされたリチウムが完全には脱ドープされず、多量のリチウムが負極炭素中に残り、活物質であるリチウムが無駄に消費される」という課題に対し、「リチウム等の活物質のドープ-脱ドープ容量が大きく、脱ドープされずに残る活物質の量が少ない炭素質材料」を得ることを目的として、「難黒鉛化成分と易黒鉛化成分とが適当な割合で存在し、かつ、難黒鉛化成分が主として表面層に存在する微細構造を有する多孔質炭素質材料」の発明が記載されており、その微細構造を、「全体の平均d_(002 )が0.365nm以上」、及び「60%バーンオフ炭の平均d_(002 )が0.350nm以下」と数値限定することにより表現しているものといえる。
(イ)しかしながら、上記の目的に適い、上記の課題を解決することができる実施例として(e)に記載されているのは、「全体の平均d_(002)」が0.378nm?0.381nm程度であり、「60%バーンオフ炭の平均d_(002)」が0.342?0.345nm程度のもののみであって、「全体の平均d_(002 )が0.365nm」、及び「60%バーンオフ炭の平均d_(002)が0.350nm」の炭素質材料、又は上記数値の近傍に数値限定された炭素質材料の実施例は、記載されていない。また、炭素質材料の微細構造のうち、難黒鉛化成分と易黒鉛化成分との存在割合がドープ容量や非脱ドープ容量に関連することは、上記(b)に記載されているが、難黒鉛化成分が主に表面層に存在する構造とドープ容量や非脱ドープ容量との関連については、発明の詳細な説明に記載も示唆もされていないし、原出願の出願時の技術常識として知られた事項であるとも認められない。
(ウ)したがって、請求項1に記載した発明に含まれる全体の平均d_(002 )0.365nmであって、60%バーンオフ炭の平均d_(002 )が0.350nmの炭素質材料が、上記の課題を解決し、上記の目的を達成できることを、発明の詳細な説明により、又は技術常識に照らして当業者が認識できたものとは認められない。
よって、本願発明1は、発明の詳細な説明に記載された範囲を超える発明を含むものであり、サポート要件を満たさないというべきである。

第5 むすび
以上のとおり、本願発明1は、特許を受けることができないものであるから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2007-10-16 
結審通知日 2007-10-23 
審決日 2007-11-05 
出願番号 特願2004-92659(P2004-92659)
審決分類 P 1 8・ 161- WZ (H01M)
P 1 8・ 534- WZ (H01M)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 青木 千歌子  
特許庁審判長 鈴木 由紀夫
特許庁審判官 井上 猛
吉水 純子
発明の名称 二次電池電極用炭素質材料およびその製造方法  
代理人 猿渡 章雄  
代理人 波多野 久  
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