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審判番号(事件番号) データベース 権利
無効200135278 審決 特許
無効200135267 審決 特許

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審決分類 審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1170603
審判番号 不服2004-26487  
総通号数 98 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2008-02-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2004-12-27 
確定日 2008-01-07 
事件の表示 平成 6年特許願第175888号「スロットマシン」拒絶査定不服審判事件〔平成 8年 2月13日出願公開、特開平 8- 38682〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成6年7月28日の出願であって、平成16年6月21日付の拒絶理由通知に対して同年8月23日付で手続補正がなされ、これに対し、同年11月17日付で拒絶査定がなされ、これに対し、同年12月27日に拒絶査定不服の審判請求がなされるとともに、平成17年1月20日付で手続補正がなされたものである。

2.平成17年1月20日付の手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成17年1月20日付の手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
(1)本件補正の概略
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1は、平成16年8月23日付手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された
「【請求項1】 遊技部内に設けた表示窓と、この表示窓に複数の図柄を順次移動表示する複数の図柄移動表示装置と、この図柄移動表示装置による図柄の移動表示を停止させるストップスイッチと、このストップスイッチの操作によって図柄移動表示装置の前記表示窓に表示される停止図柄の組合せが予め定めた特別の賞態様となった場合に、遊技者に特別遊技を行わせるスロットマシンにおいて、
上記各図柄移動表示装置の所定の位置にそれぞれ設けられた複数の基準位置と、
これらの基準位置をそれぞれ検出するための複数の基準位置検出手段と、
これらの基準位置検出手段からの各基準位置検出信号にもとづいて、表示窓に表示される図柄を特定する表示図柄特定手段と、
上記表示図柄特定手段からの図柄特定信号にもとづいて、図柄移動表示装置により移動表示される複数の図柄のうち、特別遊技を行わせる特別の賞態様となる図柄の組合せに含まれる特別図柄が表示窓に表示される際に、当該図柄移動表示装置に対応した発光源を点灯させる発光源点灯制御手段とを備え、
上記発光源は、ストップスイッチに内蔵された第1の発光源と前記表示窓に隣接した位置に、該表示窓を移動する図柄の移動方向に沿って配列された複数個の第2の発光源とからなり、
上記ストップスイッチには、
前記第1の発光源からの光を透過し遊技者側に放出するための透光性を有する透光体を備え、
前記発光源点灯制御手段は、前記表示窓の移動表示される特別遊技を行わせる特別の賞態様となる図柄の組合せに含まれる特別図柄の移動表示に合わせて、複数個の第2の発光源のうち、移動した特別図柄に対応する位置の第2の発光源のみが点灯するようにした
ことを特徴とするスロットマシン。」から、

「【請求項1】 遊技部内に設けた表示窓と、この表示窓に複数の図柄を順次移動表示する複数の図柄移動表示装置と、この図柄移動表示装置による図柄の移動表示を停止させるストップスイッチと、このストップスイッチの操作によって図柄移動表示装置の前記表示窓に表示される停止図柄の組合せが予め定めた特別の賞態様となった場合に、遊技者に特別遊技を行わせるスロットマシンにおいて、
上記各図柄移動表示装置の所定の位置にそれぞれ設けられた複数の基準位置と、
これらの基準位置をそれぞれ検出するための複数の基準位置検出手段と、
これらの基準位置検出手段からの各基準位置検出信号にもとづいて、表示窓に表示される図柄を特定する表示図柄特定手段と、
上記表示図柄特定手段からの図柄特定信号にもとづいて、図柄移動表示装置により移動表示される複数の図柄のうち、特別遊技を行わせる特別の賞態様となる図柄の組合せに含まれる特別図柄が表示窓に表示される際に、当該図柄移動表示装置に対応した発光源を点灯させる発光源点灯制御手段とを備え、
上記発光源は、ストップスイッチに内蔵された第1の発光源と前記表示窓に隣接した位置に、該表示窓を移動する図柄の移動方向に沿って配列された複数個の第2の発光源とからなり、
上記ストップスイッチには、
前記第1の発光源からの光を透過し遊技者側に放出するための透光性を有する透光体を備え、
前記発光源点灯制御手段は、前記表示窓の移動表示される特別遊技を行わせる特別の賞態様となる図柄の組合せに含まれる特別図柄の移動表示に合わせて、複数個の第2の発光源のうち、移動した特別図柄に対応する位置の第2の発光源のみが点灯し、特別図柄の移動により通過位置に対応する第2の発光源は順次消灯するようにすることで、特別図柄の移動に伴って第2の発光源の点灯も移動して見えるようにしたことを特徴とするスロットマシン。」
へと補正された。

(2)補正の適否
本件補正により特許請求の範囲の請求項1にした補正は、「第2の発光源のみが点灯し、特別図柄の移動により通過位置に対応する第2の発光源は順次消灯するようにすることで、特別図柄の移動に伴って第2の発光源の点灯も移動して見えるようにした」という事項を追加するものである。
しかし、上記補正は、本件補正前の「前記発光源点灯制御手段は、前記表示窓の移動表示される特別遊技を行わせる特別の賞態様となる図柄の組合せに含まれる特別図柄の移動表示に合わせて、複数個の第2の発光源のうち、移動した特別図柄に対応する位置の第2の発光源のみが点灯」するという点灯制御を行うことに基づく複数個の第2の発光源の点灯状態の見え方を記載したものであって、本件補正前の上記点灯制御を、概念的に下位にしたものでもなく、単に本件補正前の上記複数個の第2の発光源の点灯状態の見え方を別表現で記載したものにすぎない。
したがって、本件補正により追加された事項は、実質的に何の限定も行っていないものであるから、平成6年改正前特許法第17条の2第3項第2号に規定する特許請求の範囲の減縮に該当しないことは明らかである。そして、本件補正前の上記点灯制御に係る発明特定事項として記載された事項はもともと明りょうであるから、同条第3項第4号に規定する明りょうでない記載の釈明にも該当しない。さらに、本件補正は、同条第3項第1号に規定する請求項の削除、同条第3項第3号に規定する誤記の訂正のいずれにも該当しない。

(3)補正の却下の決定のむすび
以上のとおりであるから、本件補正は、平成6年改正前特許法第17条の2第3項の規定に違反するものであるから、特許法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

3.本願発明について
【1】本願発明
本願の請求項1に係る発明は、平成17年1月20日付の手続補正が上記のとおり却下されているので、平成16年8月23日付の手続補正により補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される以下のとおりのものである。
「【請求項1】 遊技部内に設けた表示窓と、この表示窓に複数の図柄を順次移動表示する複数の図柄移動表示装置と、この図柄移動表示装置による図柄の移動表示を停止させるストップスイッチと、このストップスイッチの操作によって図柄移動表示装置の前記表示窓に表示される停止図柄の組合せが予め定めた特別の賞態様となった場合に、遊技者に特別遊技を行わせるスロットマシンにおいて、
上記各図柄移動表示装置の所定の位置にそれぞれ設けられた複数の基準位置と、
これらの基準位置をそれぞれ検出するための複数の基準位置検出手段と、
これらの基準位置検出手段からの各基準位置検出信号にもとづいて、表示窓に表示される図柄を特定する表示図柄特定手段と、
上記表示図柄特定手段からの図柄特定信号にもとづいて、図柄移動表示装置により移動表示される複数の図柄のうち、特別遊技を行わせる特別の賞態様となる図柄の組合せに含まれる特別図柄が表示窓に表示される際に、当該図柄移動表示装置に対応した発光源を点灯させる発光源点灯制御手段とを備え、
上記発光源は、ストップスイッチに内蔵された第1の発光源と前記表示窓に隣接した位置に、該表示窓を移動する図柄の移動方向に沿って配列された複数個の第2の発光源とからなり、
上記ストップスイッチには、
前記第1の発光源からの光を透過し遊技者側に放出するための透光性を有する透光体を備え、
前記発光源点灯制御手段は、前記表示窓の移動表示される特別遊技を行わせる特別の賞態様となる図柄の組合せに含まれる特別図柄の移動表示に合わせて、複数個の第2の発光源のうち、移動した特別図柄に対応する位置の第2の発光源のみが点灯するようにした
ことを特徴とするスロットマシン。」 (以下、「本願発明」という。)

【2】特許法第29条2項の適用
[1]引用例に記載の発明・技術
第1引用例 : 特開平5-177030号公報
第2引用例 : 特開昭59-186581号公報
第3引用例 : 特開昭58-177679号公報

(1)第1引用例に記載の発明
原査定の拒絶の理由に引用された、本願の出願の日前である平成5年7月20日に日本国内で頒布された刊行物である第1引用例(特開平5-177030号公報)には、図面とともに以下の事項が記載されている。
ア.【請求項1】
「外周に複数の図柄を表示した複数の回転リールを回転させた後、各回転リールを停止操作に基づき停止動作させ、各回転リールが停止したときに表示窓に現れた図柄の組み合わせにより入賞の有無を決定するようにしたスロットマシンにおいて、上記スロットマシンは、各回転リール毎に設けられた回転位置検出手段と、各回転リールの表示窓に対応するとともに、スロットマシン表面に臨んだ複数の通過表示ランプと、前記各回転位置検出手段からの検出信号に基づき、各回転リールの特定の図柄が表示窓を通過した際に、当該表示窓に対応した位置の通過表示ランプを点灯させるランプ制御手段とを備えたことを特徴とするスロットマシン。」
イ.【0011】
「・・・このスロットマシン10の内部には、図2に示すように、横並びに3つの回転リール、同図において向かって左側から、第1の回転リール20、第2の回転リール21、第3の回転リール22が、相互に独立して回転可能に設けられている。
次に、図2において向かって左側に位置する第1の回転リール20について、図3を用いて説明する。第1の回転リール20の外周には、特定の図柄14、例えば「7」を含んだ複数種の図柄を表示したリールテープ15が固定されてる。第1の回転リール20は、駆動源、例えば、ステッピングモーター16の回転軸17に連結され、独立して回転する。」
ウ.【0012】
「また、スロットマシン10の内部には、図3に示すごとく、回転位置検出手段80を設けている。前記回転位置検出手段80は、発光部81と受光部82とからなる光センサーユニット83と、第1回転リール20側に形成した遮光片84とから構成されている。また、上記スロットマシン10は、図2において、前面の中央に、上記各回転リール20?22に対応した3つの表示窓30?32を形成している。」
エ.【0013】
「上記各表示窓30?32は、図2に示すごとく、上部、中央、下部の3つの位置で、各回転リール20?22の各図柄を表示することができ、3つの表示窓30?32で、合計9個の図柄の表示を可能としている。また、3つの表示窓30?32は、各表示窓30?32の中央を結ぶ水平な中央ライン33と、3つの表示窓30?32の上部を結ぶ水平な上方ライン34と、3つの表示窓30?32の下部を結ぶ水平な下方ライン35と、第1回転リール20の表示窓30の上部と第3回転リール22の表示窓32の下部とを結ぶ斜め右下がりの右下がりライン36と、第1回転リール20の表示窓30の下部と第3回転リール22の上部とを結ぶ斜め右上がりの右上がりライン37との計5本のライン33?37が表示されている。そして、5本のライン33?37のうち、投入したコインの数に応じたライン33?37にて、「7」等の特定の図柄14が揃った場合に入賞となる。」
オ.【0014】
「また、図2において、スロットマシン10の表示窓30?32の向かって右側上部であって、スロットマシン10の表面に臨んだ位置に、リール関連表示部40を設けている。上記リール関連表示部40は、各回転リール20?22の「7」等の特定の図柄14が各表示窓30?32を通過した際に、表示窓30?32に対応して点灯可能な通過表示ランプ群50と、この通過表示ランプ群50の上方に位置するとともに、「7」等の特定の図柄14が、表示窓30?32の特定のライン33?37上に揃った際に、点灯又は点滅可能な入賞表示ランプ60とから構成されている。」
カ.【0015】
「上記通過表示ランプ群50は、図2及び図4に示すごとく、3列、3行の合計9個のLED等を用いた通過表示ランプ51?59から構成され、以下のように各回転リール20?22の表示窓30?32の5本のライン33?37に対応している。まず、中央ライン33には、上記通過表示ランプ群50のうち、図4において、左側中段の通過表示ランプ52、中央中段の通過表示ランプ55、右側中段の通過表示ランプ58がそれぞれ対応する。」
キ.【0016】
「上方ライン34には、上記通過表示ランプ群50のうち、図4において、左側から、左側上段の通過表示ランプ51、中央上段の通過表示ランプ54、左側上段の通過表示ランプ57がそれぞれ対応する。下方ライン35には、上記通過表示ランプ群50のうち、図4において、左側から、左側下段の通過表示ランプ53、中央下段の通過表示ランプ56、右側下段の通過表示ランプ59がそれぞれ対応する。」
ク.【0017】
「右下がりライン36には、上記通過表示ランプ群50のうち、左側上段の通過表示ランプ51、中央中段の通過表示ランプ55、右側下段の通過表示ランプ59がそれぞれ対応する。右上がりライン37には、上記通過表示ランプ群50のうち、図4において、左側下段の通過表示ランプ53、中央中段の通過表示ランプ55、右側上段の通過表示ランプ57がそれぞれ対応する。」
ケ.【0018】
「次に、図1を用いてスロットマシン10における通過表示ランプ群50と、入賞表示ランプ60との制御について説明する。上記通過表示ランプ群50と、入賞表示ランプ60とは、図1に示すごとく、CPU等から構成された中央制御装置71により制御されている。上記中央制御装置71の入力段には、図1に示すごとく、各回転位置検出手段80がそれぞれ接続されている。」
コ.【0019】
「また、上記中央制御装置71の出力段には、図1に示すごとく、ドライバー72を介して、通過表示ランプ群50と、入賞表示ランプ60とがそれぞれ接続されている。また、上記中央制御装置71は、図1に示すごとく、通過表示ランプ群50の点灯を制御するランプ制御手段70と、ゲームの入賞の判定を行う入賞判定手段74とを備える。」
サ.【0020】
「上記ランプ制御手段70は、図1に示すごとく、各回転リール20?22の回転中においては、回転位置検出手段80からの各検出信号に基づき、各回転リール20?22の特定の図柄14が表示窓30?32を通過した際に、ドライバー72を介して対応する各通過表示ランプ51?59に点灯信号をそれぞれ出力する。・・・」
シ.【0021】
「特定の図柄14の通過は、回転位置検出手段80からの検出信号に基づいて中央制御装置71により判別される。すなわち、中央制御装置71は、ステッピングモーター16のパルス数をカウントするとともに、回転位置検出手段80からの検出信号を検出する度に、カウント値をリセットしている。そして、中央制御装置71は、ステッピングモーター16のカウント数に応じて、回転リール20?22に表示された図柄を判定している。」
ス.【0023】
「各回転リール20?22の回転中は、各回転リール20?22の「7」等の特定の図柄14が、各表示窓30?32に位置した際に、通過表示ランプ群50のうち、「7」等の特定の図柄14を表示した各表示窓30?32のうち対応するものを点灯する。具体的には以下の通りである。例えば、第1の回転リール20の「7」等の特定の図柄14が、表示窓30の上方ライン34を通過すると、左側上段の通過表示ランプ51を点灯する。そして、更に第1の回転リール20が回転して、「7」等の特定の図柄14が、表示窓30の中央ライン33を通過すると、前記左側上段の通過表示ランプ51を消灯するとともに、左側中段の通過表示ランプ52を点灯する。また更に、第1の回転リール20が回転して、「7」等の特定の図柄14が表示窓30の下方ライン35を通過すると、前記左側中段の通過表示ランプ52を消灯するとともに、左側下段の通過表示ランプ53を点灯する。」
セ.【0024】
「上記と同様に、第2の回転リール21の「7」等の特定の図柄14が、対応する表示窓31の上方ライン34、中央ライン33、下方ライン35のそれぞれの位置を通過すると、それぞれ対応した位置の、中央上段の通過表示ランプ54、中央中段の通過表示ランプ55、中央下段の通過表示ランプ56を順次点灯する。また、第3の回転リール22の「7」等の特定の図柄14が、対応する表示窓32の上方ライン34、中央ライン33、下方ライン35のそれぞれの位置を通過すると、それぞれ対応した位置の、右側上段の通過表示ランプ57、右側中段の通過表示ランプ58、右側下段の通過表示ランプ59を順次点灯する。」
ソ.【0031】
「・・・5本のライン33?37のいずれかに、「7」等の特定の図柄14が揃ったときに大当たりとなる。」
タ.【0034】
「一方、上記実施例では、リール関連表示部40を表示窓20?22の右側上部に設けたが、リール関連表示部40の位置は該実施例の取付位置に限定されず、表示窓20?22の上方や、左側、或いは下方に設けても良い。また、上記実施例では、通過表示ランプ51?59を、各ライン33?37に合わせて合計9個設けたが、異なる実施例では、中央ライン33に沿って各回転リール20?22毎に、合計3個設けても良い。」
チ.上記の記載(ア.?タ.)及び図面によれば、第1引用例(特開平5-177030号公報)には以下の発明が記載されていると認められる。
「スロットマシンの表面に臨んだ位置に設けられた表示窓30?32と、この表示窓30?32に各図柄を表示する複数の回転リール20?22と、この回転リール20?22を停止動作させるストップスイッチ90?92と、このストップスイッチ90?92の停止操作によって回転リール20?22の前記表示窓30?32に表われた図柄の組み合わせにより入賞の有無を決定し、ライン33?37に、「7」等の特定の図柄14が揃ったときに大当たりとなるスロットマシンにおいて、
上記各回転リール20?22にそれぞれ設けられた複数の遮光片84と、これらの遮光片84をそれぞれ検出するための複数の発光部81と受光部82とからなる光センサーユニット83とから構成される回転位置検出手段80と、
各回転リール20?22を回転させるステッピングモーター16のパルス数をカウントするとともに、回転位置検出手段80からの検出信号を検出する度に、カウント値をリセットし、ステッピングモーター16のカウント数に応じて、回転リール20?22に表示された図柄を判定している中央制御装置71と、
各回転リール20?22により表示される複数の図柄のうち、「7」等の特定の図柄14が表示窓30?32の上方ライン34、中央ライン33又は下方ライン35を通過すると、当該回転リール20?22に対応した通過表示ランプ群50を点灯させるランプ制御手段70とを備え、
上記通過表示ランプ群50は、表示窓の右側上部に設けた3列、3行の合計9個の通過表示ランプ51?59から構成され、
前記ランプ制御手段70は、第1の回転リール20の「7」等の特定の図柄14が、表示窓30の上方ライン34を通過すると、左側上段の通過表示ランプ51を点灯し、更に第1の回転リール20が回転して、「7」等の特定の図柄14が、表示窓30の中央ライン33を通過すると、前記左側上段の通過表示ランプ51を消灯するとともに、左側中段の通過表示ランプ52を点灯し、更に、第1の回転リール20が回転して、「7」等の特定の図柄1414が表示窓30の下方ライン35を通過すると、前記左側中段の通過表示ランプ52を消灯するとともに、左側下段の通過表示ランプ53を点灯するようにし、上記と同様に、第2の回転リール21の「7」等の特定の図柄14が、対応する表示窓31の上方ライン34、中央ライン33、下方ライン35のそれぞれの位置を通過すると、それぞれ対応した位置の、中央上段の通過表示ランプ54、中央中段の通過表示ランプ55、中央下段の通過表示ランプ56を順次点灯し、また、第3の回転リール22の「7」等の特定の図柄14が、対応する表示窓32の上方ライン34、中央ライン33、下方ライン35のそれぞれの位置を通過すると、それぞれ対応した位置の、右側上段の通過表示ランプ57、右側中段の通過表示ランプ58、右側下段の通過表示ランプ59を順次点灯するようにしたスロットマシン。」(以下、「引用発明1」という。)

(2)第2引用例に記載の技術
原査定の拒絶の理由に引用された、本願の出願の日前である昭和59年10月23日に日本国内で頒布された刊行物である第2引用例(特開昭59-186581号公報)には、図面とともに以下の事項が記載されている。
ア.第1頁右下欄第9-12行
「本発明はスロツトマシン、特に入賞を得やすくするために遊技者に対してリールストツプボタンの操作タイミングを表示する表示装置をもつたスロツトマシンに関するものである。」
イ.第2頁右下欄第3-10行
「各リール毎のストツプボタン25a?25cの近傍には、・・・、タイミング表示ランプ35a,35b,35cが設けられており、このタイミングランプ35a?35cが後述するように、各ストツプボタン25a?25cの操作タイミングをゲーム遊技者に表示するものである。」
ウ.第3頁右下欄第11-16行
「さらに表示部駆動ポート78は本発明の対象であるタイミング表示ランプ(第2図35a?35c)をCPU50の所定プログラムの処理に応じて点灯駆動させるものである。このタイミング表示ランプの点灯は例えばそれぞれのリールR_(1)?R_(3)についてなされてもよく」
エ.第5頁右上欄第13行-同右下欄第14行
「こうして第1リール、第2リールが停止され、そのリールデータが所定のRAMエリア内にストアされると、・・・。この処理P_(15)は、すでに固定された第1リール、第2リールの組み合わせシンボルに対し、第3リールのどのシンボルが組み合わされるとどのような入賞が得られるかを判定するものである。・・・。第10図の例は第1、第2リールがそれぞれコードNo.12,5でストツプされた状態で、第3リールとしてコードNo.5が割当てられた場合を示している。この結果、第3リールがコードNo.5でストツプすると入賞ライン1には大ヒツト(15枚のメダル支払いとボーナスゲーム可能)、入賞ライン2Aには中ヒツト(14枚のメダル支払い)が発生することがわかる。・・・どのタイミングでストツプ操作されれば入賞が得られるかがわかることになるものである。従つて、例えば第3リールのコードNo.5がリール窓のライン1の位置を通過するタイミングはパルス数によつて決定されるので、これに応じて第2図のタイミング表示ランプ35cを点灯させれば、大ヒツトの得られるタイミングを遊技者に報知できることになる。」
オ.第2図には、各リール毎のストツプボタン25a,25b,25cのそれぞれの直上方かつ近傍に、タイミング表示ランプ35a,35b,35cが設けられているものが記載されている。
カ.第8図には、支払い枚数が15枚でありかつボーナスゲームが可能となるシンボルの組み合わせの例として、その表の上から3段目に、第1リール、第2リール、第3リールそれぞれのシンボルが「A」で揃った場合が含まれること、及び、当該シンボル「A」のシンボルナンバーが「1」であることが記載されている。そして、第7図に記載された表において、第1リールの第9段目にシンボルナンバー「1」に対応するコードナンバーの一つが「12」であること、第2リールの第16段目にシンボルナンバー「1」に対応するコードナンバーの一つが「5」であること、第3リールの欄の第16段目に、シンボルナンバー「1」に対応するコードナンバーの一つが「5」であることが記載されている。
キ.上記の記載(ア.?カ.)及び図面によれば、第2引用例(特開昭59-186581号公報)には以下の技術が記載されていると認められる。
「大ヒツトの得られる操作タイミングを遊技者に報知するようにタイミング表示ランプ35a,35b,35cを点灯させ、上記タイミング表示ランプ35a,35b,35cを、ストツプボタン25a,25b,25cのそれぞれの直上方かつ近傍に備えたスロツトマシン。」(以下、「第2引用例に記載の技術」という。)

(3)第3引用例に記載の技術
原査定の拒絶の理由に引用された、本願の出願の日前である昭和58年10月18日に日本国内で頒布された刊行物である第3引用例(特開昭58-177679号公報)には、図面とともに以下の事項が記載されている。
ア.第2頁右上欄第8、9行
「第2図は本発明をスロツトマシンに応用した場合の外観斜視図を示す。」
イ.第2欄右上欄第13行-第2頁左下欄第3行
「これらのリール13,14,15の外周には・・・絵柄が一定間隔で描かれており、窓16,17,18を通して各リールに対して3個の絵柄を観察することができる。
前記リール13,14,15は、押しボタンスイツチであるストツプスイツチ19,20,21に指を触れるだけで各々単独に停止させることができる。またこの停止時期を指示する指示用ランプ24,25,26が前記窓16,17,18の上部に設けられている。」
ウ.第2図には、指示用ランプ24,25,26が、窓16,17,18の上部近傍に設けられていることが記載されている。
エ.上記の記載(ア.?ウ.)及び図面によれば、第3引用例(特開昭58-177679号公報)には以下の技術が記載されていると認められる。
「窓16,17,18の上部近傍に、停止時期を指示する指示用ランプ24,25,26が設けられたスロツトマシン。」(以下、「第3引用例に記載の技術」という。)

[2]対比
引用発明1は、上記[1](1)チ.に示した如くのものである。
本願発明と引用発明1とを対比すると、引用発明1における「表示窓30?32」は本願発明の「表示窓」に対応しており、同様に「回転リール20?22」は「図柄移動表示装置」に、「この回転リール20?22を停止動作させるストップスイッチ90?92」は「図柄移動表示装置による図柄の移動表示を停止させるストップスイッチ」に、「このストップスイッチ90?92の停止操作によって回転リール20?22の前記表示窓30?32に表われた図柄の組み合わせにより入賞の有無を決定し、ライン33?37に、「7」等の特定の図柄14が揃ったときに大当たりとなる」は「このストップスイッチの操作によって図柄移動表示装置の前記表示窓に表示される停止図柄の組合せが予め定めた特別の賞態様となった場合に、遊技者に特別遊技を行わせる」に、「「7」等の特定の図柄14」は「特別遊技を行わせる特別の賞態様となる図柄の組合せに含まれる特別図柄」に、「ランプ制御手段70」は「発光源点灯制御手段」に対応しており、さらに引用発明1について次のことがいえる。
(i)上記[1](1)エ.及びオ.の記載及び第1引用例の図2を併せると、引用発明1における「表示窓30?32」は、スロットマシンの表面に臨んだ位置に設けられており、該表示窓に、各回転リール20?22の各図柄を表示するとともに、ライン33?37に、「7」等の特定の図柄14が揃った場合に入賞となるものであるから、引用発明1は、「表示窓」を、本願発明を特定する「遊技部内に設けた」の事項に対応する構成を備えているということができる。
(ii)引用発明1は、「外周に複数の図柄を表示した複数の回転リールを回転」(上記摘示[1](1)ア.)させることにより、「上記各表示窓30?32は、・・・上部、中央、下部の3つの位置で、各回転リール20?22の各図柄を表示」(上記摘示[1](1)エ.)するものであるから、引用発明1の表示窓に「各図柄を表示する」は、本願発明の表示窓に「複数の図柄を順次移動表示する」に対応する。
(iii)本願発明における「上記各図柄移動表示装置の所定の位置にそれぞれ設けられた複数の基準位置と、これらの基準位置をそれぞれ検出するための複数の基準位置検出手段と、これらの基準位置検出手段からの各基準位置検出信号にもとづいて、表示窓に表示される図柄を特定する表示図柄特定手段」について、「上記各図柄移動表示装置の所定の位置にそれぞれ設けられた複数の基準位置」という記載は、以下の2とおりの解釈が可能な記載である。
(a)「上記各図柄移動表示装置の所定の位置」に、それぞれ一の「基準位置」が設けられており、「図柄移動表示装置」が「複数」あることから、「複数の基準位置」が設けられているとするもの。この場合、「各基準位置検出信号にもとづいて、表示窓に表示される図柄を特定する」ためには、各図柄移動表示装置において、表示窓に表示される図柄の位置の基準位置からの移動量を測定することが必要となる。
(b)「上記各図柄移動表示装置」毎に複数の「所定の位置」である「基準位置」が設けられていることから、「複数の基準位置」が設けられているとするもの。この場合、「各基準位置検出信号にもとづいて、表示窓に表示される図柄を特定する」ためには、例えば、各図柄移動表示装置において、各図柄に対応した位置にそれぞれ基準位置を設けること等が考えられる。
上記記載の解釈について、本願明細書及び図面を参照すると、発明の詳細な説明には、図柄移動表示装置である第1の回転リール30を例に取り、「また、第1の回転リール30には、図6に示すように、その側面から舌片状に第1の回転リール30の側面方向に突出した、基準位置としての遮光片150が形成されている。」(段落【0025】)と、また、第2、第3の回転リール31,32に関し、「なお、第2,3の回転リール31,32も、上記第1の回転リール30と同様に、・・・、第2、第3の遮光片を備え」(段落【0027】)と記載され、図6を見ると、回転リール30(31,32)毎に、1つの遮光片150が配設されているものが記載されており、本願明細書又は図面には、図柄移動表示装置である個々の回転リール30,31,32に、それぞれ1個の基準位置としての遮光片150が形成される実施例が記載されるのみである。そして、個々の回転リール30,31,32に、複数の遮光片150を形成する実施例は記載されておらず、また、そのような示唆もないことから、本願発明の上記記載は、前者の(a)の場合、すなわち、「上記各図柄移動表示装置の所定の位置」に、それぞれ一の「基準位置」が設けられている場合を意味すると解釈される。
さらに、表示窓に表示される図柄の特定は、「中央制御装置300は、例えば駆動パルスを出力することによって、第1?3のステッピングモータ140,170,180の各々を駆動制御する第1?3のリール駆動制御手段310?312と、前記第1?3の回転リール30?32に対応し、各回転リール30?32のリールテープ151に表示された図柄の配列パターンを各々記憶した第1?3のリール図柄配列パターン記憶テーブル320?322と、上記第1?3のリール駆動制御手段310?312の各々から出力された駆動パルス及び第1?3のリールセンサ160,210,220から出力された基準位置検出信号にもとづいて、基準位置からどのくらい回転したのかをパルス数で順次カウントし、このカウントされたパルス数を、第1?3のリール図柄配列パターン記憶テーブル320?322からの図柄配列パターン情報と照らし合わせることによって、表示窓21に現在表示される各回転リール30?32の図柄をそれぞれ特定する第1?3の表示図柄特定手段330?332」(段落【0030】)により行う実施例が記載されており、本願発明の「各基準位置検出信号にもとづいて、表示窓に表示される図柄を特定する」ために、基準位置検出信号のみならず「上記第1?3のリール駆動制御手段310?312の各々から出力された駆動パルス及び第1?3のリールセンサ160,210,220から出力された基準位置検出信号にもとづいて、基準位置からどのくらい回転したのかをパルス数で順次カウント」する手段を用いて、表示窓に表示される図柄の各図柄移動表示装置における位置検出を行っているといえる。
次に、引用発明1の図柄判定について検討すると、引用発明1は、回転リール20?22に表示された図柄を判定する手段として、「中央制御装置71」(上記摘示[1](1)シ.)が、各回転リール20?22を回転させる「ステッピングモーター16のパルス数をカウントするとともに、回転位置検出手段80からの検出信号を検出する度に、カウント値をリセット」(上記摘示[1](1)シ.)し、「ステッピングモーター16のカウント数に応じて、回転リール20?22に表示された図柄を判定」(上記摘示[1](1)シ.)するものである。そして、引用発明1は、「各回転リールが停止したときに表示窓に現れた図柄の組み合わせにより入賞の有無を決定する」(上記摘示[1](1)ア.)ものであって、図柄移動表示装置(回転リール20?22)の停止時に図柄判定を行うことは不可欠であるから、「中央制御装置71」が図柄の判定を行うものといえる。
ここで、第1引用例には、「回転位置検出手段80からの検出信号」(上記摘示[1](1)シ.)が出力される時期について明示的な記載はない。
しかしながら、引用発明1の「回転位置検出手段80」(上記摘示[1](1)ウ.)は、「第1回転リール20側に形成した遮光片84」(上記摘示[1](1)ウ.)と「発光部81と受光部82とからなる光センサーユニット83」(上記摘示[1](1)ウ.)とから構成されるものであることから、これと第1引用例の図3を併せると「光センサーユニット83」が「図柄移動表示装置(第1回転リール20)」側に形成した「遮光片84」を検出した時点で、「回転位置検出手段80からの検出信号」(上記摘示[1](1)シ.)が出力されると解することは、当業者にとって自明である。
さらに、引用発明1においてカウントされる「各回転リール20?22を回転させるステッピングモーター16のパルス数」は、図柄移動表示装置(回転リール20?22)の回転量を表すものであって、本願発明の実施例として記載される「上記第1?3のリール駆動制御手段310?312の各々から出力された駆動パルス」は、「第1?3のステッピングモータ140,170,180の各々を駆動制御する」ものであるから(段落【0030】参照)、引用発明1の「パルス数」と本願発明の実施例の「上記第1?3のリール駆動制御手段310?312の各々から出力された駆動パルス」とは、いずれも、遮光片を検出してから、図柄移動表示装置(回転リール20?22)がどれだけ回転したかという回転量を表す指標である点で共通し、また、両者は、表示窓に表示される図柄の各図柄移動表示装置における位置検出を、引用発明1と本願発明の実施例のいずれも、遮光片を検出した後の図柄移動表示装置(回転リール20?22)の回転量にもとづいて行うものである点で共通している。
そうすると、引用発明1の「遮光片84」は本願発明の「所定の位置に」設けられた「基準位置」に対応し、同様に「回転位置検出手段80」は「基準位置検出手段」に、「検出信号」は「基準位置検出信号」に、「回転リール20?22に表示された図柄を判定」は「表示窓に表示される図柄を特定」に、「中央制御装置71」は「表示図柄特定手段」に対応する。
したがって、引用発明1は、本願発明を特定する「上記各図柄移動表示装置の所定の位置にそれぞれ設けられた複数の基準位置と、これらの基準位置をそれぞれ検出するための複数の基準位置検出手段」及び「これらの基準位置検出手段からの各基準位置検出信号にもとづいて、表示窓に表示される図柄を特定する表示図柄特定手段」の事項に対応する構成を備えているということができる。
(iv)引用発明1は、「特定の図柄14の通過」(上記摘示[1](1)シ.)を「表示図柄特定手段(中央制御装置71)」(上記摘示[1](1)シ.)が判別し、それを受けて「ランプ制御手段70は、・・・(中略)・・・各通過表示ランプ51?59に点灯信号をそれぞれ出力」(上記摘示[1](1)サ.)するものである。
そして、引用発明1における、点灯のタイミングは、各回転リール20?22により表示される複数の図柄のうち、「7」等の特定の図柄14が「表示窓30の上方ライン34を通過」、「表示窓30の中央ライン33を通過」又は「表示窓30の下方ライン35を通過」すると点灯を行うものであるから(上記摘示[1](1)ス.を参照)、引用発明1は、発光源を点灯させるタイミングが、図柄移動表示装置により移動表示される複数の図柄のうち、特別遊技を行わせる特別の賞態様となる図柄の組合せに含まれる特別図柄(「7」等の特定の図柄14)が、表示窓にあるときという限度で、本願発明の「表示窓に表示される際」に共通する。
(v)引用発明1における表示窓30?32に「7」等の特定の図柄14が通過したことを点灯表示する「3列、3行の合計9個の通過表示ランプ51?59」から構成される「通過表示ランプ群50」は、特別図柄が表示窓にあるときに点灯することと複数個の発光源からなるという限度で、本願発明の「複数個の第2の発光源」、「発光源」と共通する。
また、引用発明1は、上記[1](1)ス.及びオ.の記載及び図2及び図4とを併せると、第1の回転リール20を例に取れば、上記[1](1)ス.に摘記したように、「7」等の特定の図柄14が、「表示窓30の上方ライン34を通過」してから「表示窓30の中央ライン33を通過」するまでの期間に「左側上段の通過表示ランプ51」を点灯し、その余の「左側中段の通過表示ランプ52」及び「左側中段の通過表示ランプ52」は消灯されているといえ、第1の回転リール20が更に回転するにつれ、順次、点灯する通過表示ランプが下方に移動していくことから、引用発明1は、本願発明の「前記発光源点灯制御手段(ランプ制御手段70)は、前記表示窓の移動表示される特別遊技を行わせる特別の賞態様となる図柄の組合せに含まれる特別図柄(「7」等の特定の図柄14)の移動表示に合わせて、複数個の第2の発光源(通過表示ランプ51?59)のうち、移動した特別図柄(「7」等の特定の図柄14)に対応する位置の第2の発光源(通過表示ランプ51?59)のみが点灯」することと点灯パターンが対応するものである。

[3]一致点・相違点
上記[2]に記載した事項より、本願発明と引用発明1とは以下の点で一致し、また、相違していると認められる。

一致点;
遊技部内に設けた表示窓と、この表示窓に複数の図柄を順次移動表示する複数の図柄移動表示装置と、この図柄移動表示装置による図柄の移動表示を停止させるストップスイッチと、このストップスイッチの操作によって図柄移動表示装置の前記表示窓に表示される停止図柄の組合せが予め定めた特別の賞態様となった場合に、遊技者に特別遊技を行わせるスロットマシンにおいて、
上記各図柄移動表示装置の所定の位置にそれぞれ設けられた複数の基準位置と、
これらの基準位置をそれぞれ検出するための複数の基準位置検出手段と、
これらの基準位置検出手段からの各基準位置検出信号にもとづいて、表示窓に表示される図柄を特定する表示図柄特定手段と、
図柄移動表示装置により移動表示される複数の図柄のうち、特別遊技を行わせる特別の賞態様となる図柄の組合せに含まれる特別図柄が表示窓にあるときに、当該図柄移動表示装置に対応した発光源を点灯させる発光源点灯制御手段とを備え、
上記発光源は、複数個の第2の発光源からなり、
前記発光源点灯制御手段は、前記表示窓の移動表示される特別遊技を行わせる特別の賞態様となる図柄の組合せに含まれる特別図柄の移動表示に合わせて、複数個の第2の発光源のうち、移動した特別図柄に対応する位置の第2の発光源のみが点灯するようにした
スロットマシン、である点。

相違点;
(A)発光源点灯制御手段が図柄移動表示装置に対応した発光源を点灯させるタイミングとして、本願発明は、特別図柄が「表示窓に表示される際」に点灯させるのに対し、引用発明1は、特別図柄が「表示窓30?32の上方ライン34、中央ライン33又は下方ライン35を通過」すると点灯させる点。
(B)発光源点灯制御手段による発光源の点灯制御を、本願発明では「上記表示図柄特定手段からの図柄特定信号」にもとづいて行うのに対し、引用発明1は、「上記表示図柄特定手段からの図柄特定信号にもとづいて」行うものではない点。
(C)特別図柄が表示窓に表示される際に点灯される発光源が、本願発明は「ストップスイッチに内蔵された第1の発光源」と「第2の発光源」との2種類の発光源からなるものの、引用発明1は、「ストップスイッチに内蔵された第1の発光源」を備えておらず 、「第2の発光源」の1種類の発光源を用いている点、及び、ストップスイッチは、「前記第1の発光源からの光を透過し遊技者側に放出するための透光性を有する透光体を備え」たものではない点。
(D)特別図柄が表示窓に表示される際に点灯される発光源のうち、第2の発光源の配置場所を、本願発明では「前記表示窓に隣接した位置に、該表示窓を移動する図柄の移動方向に沿って配列」されているのに対し、引用発明1では表示窓の右側上部に、3列、3行の合計9個の通過表示ランプ51?59を設けることにより構成している点。

[4]判断
上記相違点について検討する。
(1)相違点(A)について。
上記[1](1)ス.及びオ.の記載及び図2及び図4とを併せると、第1の回転リール20を例に取れば、引用発明1は、特別図柄(「7」等の特定の図柄14)が表示窓30の上方ライン34を通過したときに、当該図柄移動表示装置(回転リール20)に対応した発光源(通過表示ランプ群50)を最初に点灯させ、以後、中央ライン33又は下方ライン35を通過すると順次点灯を切り替えていくものである。したがって、引用発明1は、特別図柄が表示窓の上方ライン34を通過した後、表示窓を通過している間は当該図柄移動表示装置(回転リール20?22)に対応した発光源(通過表示ランプ群50)が点灯しているといえる。
そうすると、本願発明が、特別図柄が「表示窓に表示される際」に点灯させるとする構成は、引用発明1の特別図柄が表示窓の上方ライン34を通過すると点灯させるものと比して、ほぼ同時に点灯するといえ、点灯のタイミングに若干の差があるとしてもスロットマシンにおいて目押しを容易にするという機能を考慮すれば、それは、設計上の事項というべきほかはなく、上記相違点(A)に係る本願発明の構成となすことも、当業者が想到容易である。

(2)相違点(B)について。
上記[2](iv)に記載したように、引用発明1は、「特定の図柄14の通過」(上記摘示[1](1)シ.)を「表示図柄特定手段(中央制御装置71)」(上記摘示[1](1)シ.)が判別し、それを受けて、「発光源点灯制御手段(ランプ制御手段70)は、・・・(中略)・・・各通過表示ランプ51?59に点灯信号をそれぞれ出力」(上記摘示[1](1)サ.)するものである。
ここでまず、引用発明1は、上記[2](iii)に記載したように、図柄移動表示装置(回転リール20?22)の停止時に図柄判定を行うことは不可欠であるが、図柄移動表示装置(回転リール20?22)による移動表示中には、上記のように、図柄が特別遊技を行わせる特別の賞態様となる図柄の組合せに含まれる特別図柄(「7」等の特定の図柄14)かどうかを特定するものの、その余の図柄の特定を行っているか否か不明である。
しかし、本願発明及び引用発明1のいずれも、表示窓に、図柄が特別遊技を行わせる特別の賞態様となる図柄の組合せに含まれる特別図柄(「7」等の特定の図柄14)があるときに発光源を点灯制御させるものであるから、前記特別図柄(「7」等の特定の図柄14)以外の図柄については、表示窓に位置しても、発光源を点灯制御させない点で同じ扱いをしているものである。よって、この観点から、本願発明及び引用発明1のいずれも、図柄移動表示装置(回転リール20)により移動表示される図柄のうち、図柄が特別遊技を行わせる特別の賞態様となる図柄の組合せに含まれる特別図柄(「7」等の特定の図柄14)の位置を特定することができればその目的を達するものであるといえる。すなわち、図柄移動表示装置(回転リール20?22)による移動表示中に、表示窓に表示されている図柄を常に特定するか、表示窓に表示されている図柄のうち前記特別図柄(「7」等の特定の図柄14)のみを特定するかは設計上の事項にすぎないものである。
したがって、停止時のみならず、図柄移動表示装置(回転リール20?22)による移動表示中においても、表示図柄特定手段(中央制御装置71)が、常に「図柄を特定」する構成とすることは、当業者が想到容易である。
そして、制御手段を構成する各手段間においては、一般に、信号を用いて指令の入出力を行うことは周知の技術であるから、引用発明1において、図柄移動表示装置(回転リール20?22)による移動表示中に、「表示図柄特定手段(中央制御装置71)」が、「図柄を特定」した結果を「図柄特定信号」として、表示窓に特別図柄が表示される際に点灯の指令を出力する「発光源点灯制御手段(ランプ制御手段70)」に対し出力する構成を付加し、上記相違点(B)に係る本願発明の構成とすることも、当業者が想到容易である。

(3)相違点(C)について。
第2引用例に記載の技術は、上記[1](2)キ.に示した如くのものである。
本願発明と第2引用例に記載の技術とを対比すると、第2引用例に記載の技術における「ストツプボタン25a,25b,25c」は本願発明の「ストップスイッチ」に対応し、同様に、「スロツトマシン」は「スロットマシン」に対応する。
また、上記[1](2)エ.の記載から、第2引用例に記載の技術は、「すでに固定された第1リール、第2リールの組み合わせシンボルに対し、第3リールのどのシンボルが組み合わされるとどのような入賞が得られるかを判定」するものであり、第10図に例示された「第1、第2リールがそれぞれコードNo.12,5でストツプされた状態で、第3リールとしてコードNo.5が割当てられた場合を示している。この結果、第3リールがコードNo.5でストツプすると入賞ライン1には大ヒツト」(上記摘示[1](2)エ.)が発生する場合とは、上記[1](2)エ.、カ.の記載及び図面を併せると、リール窓のライン1の第1、第2リールに大ヒツトとなる組み合わせに含まれるシンボル「A」が停止し、第3リールの当該ライン1の位置に、シンボル「A」が停止する場合を意味するものであるといえる。そして、その場合に、「例えば第3リールのコードNo.5がリール窓のライン1の位置を通過するタイミングはパルス数によつて決定されるので、これに応じて第2図のタイミング表示ランプ35cを点灯させ」(上記摘示[1](2)エ.)とは、第3リールのライン1の位置を、大ヒツトとなる組み合わせに含まれるシンボル「A」が通過するタイミングに応じてタイミング表示ランプ35cを点灯させることを意味するといえる。
さらに、上記[1](2)ウ.の記載から、第2引用例に記載の技術は、タイミング表示ランプの点灯は、第1リール及び第2リールが停止操作されて図柄の組み合わせが固定した後に第3リールに対して行うことのみならず、「それぞれのリールR_(1)?R_(3)についてなされ」ることも許容していることから、上記のようにそれぞれのリールについて報知を行う場合には、第2引用例に記載の技術は、第1、第2、第3リールのいずれのリールも停止していない時点では、各リールR_(1)?R_(3)それぞれにおいて、大ヒツトとなる組み合わせに含まれるシンボル「A」が、リール窓のいずれかのラインを通過するタイミングを報知するように、各タイミング表示ランプ35a,35b,35cを点灯させる制御を行うものと考えることが自然である。
そして、第2引用例に開示される上記「大ヒツトとなる組み合わせに含まれるシンボル「A」」は、本願発明の「図柄移動表示装置により移動表示される複数の図柄のうち、特別遊技を行わせる特別の賞態様となる図柄の組合せに含まれる特別図柄」に対応し、同様に「リール窓」は「表示窓」に対応し、ストップスイッチ近傍に設けた報知手段である点で、第2引用例に記載の技術の「タイミング表示ランプ35a,35b,35c」は本願発明の「第1の発光源」と共通し、該報知手段を点灯させる時期として、第2引用例に開示される、特別図柄(シンボル「A」)が、「表示窓(リール窓)のいずれかのラインを通過するタイミングを報知するように」は、本願発明の「表示窓に表示される際に」と共通する。
そうすると、第2引用例には、
「図柄移動表示装置により移動表示される複数の図柄のうち、特別遊技を行わせる特別の賞態様となる図柄の組合せに含まれる特別図柄が、表示窓のいずれかのラインを通過するタイミングを報知するように、当該図柄移動表示装置に対応した発光源を点灯させ、上記発光源を、ストップスイッチのそれぞれの直上方かつ近傍に備えたスロットマシン。」が開示されているといえる。

(i)発光源を、「第1の発光源」と「第2の発光源」との2種類の発光源からなるものにより構成する点について。
引用発明1及び第2引用例に記載の技術はいずれも、スロットマシンという同一の技術分野に属するものである。そして、引用発明1、第2引用例に記載の技術は、いずれも、3個の図柄移動表示装置を備え、該表示装置上の特別図柄の位置を一種類の発光源を点灯させることにより遊技者に報知を行うものであるが、両者はいずれも、3個の図柄移動表示装置のうち、そのうちいずれの図柄移動表示装置をストップスイッチの操作により最初に停止させるか遊技者が任意に選べるものであることから、遊技者が1つ目の図柄移動表示装置の図柄の移動表示を停止させるときには、まず、3個の図柄移動表示装置のうち、いずれに特別図柄が出現するかを報知手段の点灯を見ることにより把握し、停止させる図柄移動表示装置を決定し、表示窓内に特別図柄を停止させればよいことから、第2引用例に開示された第1の発光源(タイミング表示ランプ35a,35b,35c)のような、それぞれの図柄移動表示装置に対応した第1の発光源が点灯するか否かに注視するだけで用が足り、大雑把に特別図柄の位置を把握することが可能な報知手段が好ましいといえる。そして、最初の図柄移動表示装置に特別図柄を停止させた後、2つ目又は3つ目の図柄移動表示装置をストップスイッチの操作により停止させるときには、最初に停止させた図柄移動表示装置の特別図柄に揃う位置に停止させることが必要であるから、引用発明1の第2の発光源のような、表示窓の移動表示される特別遊技を行わせる特別の賞態様となる図柄の組合せに含まれる特別図柄の移動表示に合わせて、複数個の第2の発光源のうち、移動した特別図柄に対応する位置の第2の発光源のみが点灯するようにした構成により、表示窓内を、特別図柄が上方から下方に移動する位置を詳細に把握することが可能な報知手段が好ましいといえる。
したがって、引用発明1の特別図柄の位置を報知する発光源として、「第2の発光源」に加えて、第2引用例に開示された「図柄移動表示装置に対応した第1の発光源(タイミング表示ランプ35a,35b,35c)」を併せて設置し、上記[4](1)ですでに検討した上記相違点(A)に係る本願発明のタイミングで2種類の発光源を点灯させることを以て報知を行うことを妨げる理由はなく、上記のように遊技者にとって好都合な面が多いことも明らかである。

(ii)第1の発光源を、「ストップスイッチに内蔵された」とする点、及び、ストップスイッチは「前記第1の発光源からの光を透過し遊技者側に放出するための透光性を有する透光体を備え」たものとする点について。
スロットマシンの「ストップスイッチに内蔵された」発光源を用いることは従来周知の技術事項であり、例えば、特公平5-9116号公報(第4欄第30-36行、第5欄第33-42行、第2図の記載事項を参照)、特開平5-115598号公報(段落【0244】の記載事項を参照)に記載されるとおりである。
加えて、一般的に、スイッチに内蔵して発光源を設置するに際し、発光源を保護するため、外部に直接露出させず、光を放出する側に光を透過し放出するための「透光性を有する透光体」を保護手段として設置することは周知の技術事項である。
第2引用例に開示される、ストップスイッチのそれぞれの直上方かつ近傍に備えた第1の発光源を、上記周知技術の如く、「ストップスイッチに内蔵された」ものに置換するとともに、同様に周知技術である光を放出する側に光を透過し放出するための「透光性を有する透光体」という保護手段を付加し、「前記第1の発光源からの光を透過し遊技者側に放出するための透光性を有する透光体を備え」とすることは、当業者が想到容易である。

(iii)むすび
上記(i)及び(ii)で記載したとおり、上記相違点(C)に係る本願発明の構成とすることは、引用発明1、第2引用例に記載の技術及び周知技術に接した当業者であれば想到容易である。

(4)相違点(D)について。
第3引用例記載の技術は、上記[1](3)エ.に示した如くのものである。
第3引用例記載の技術の「窓16,17,18」は本願発明の「表示窓」に対応し、第3引用例記載の技術の「停止時期を指示する指示用ランプ24,25,26」は、表示窓の近傍に設けた発光源であるという限度で本願発明の「第2の発光源」に共通する。
そして、スロットマシンを行う遊技者は、特別図柄を所定の位置に停止させるべく、図柄移動表示装置を注視しながら、ゲームを進めることが通常であるから、第2の発光源(指示用ランプ24,25,26)は、表示窓の上部以外であっても、その近傍にあれば、図柄移動表示装置と同時に前記第2の発光源(指示用ランプ24,25,26)を見ながらゲームを行うことができ、その目的を達するものといえる。したがって、上記第2の発光源(指示用ランプ24,25,26)を、表示窓に隣接した位置であるそれぞれの表示窓の横側に設けるとしても、単なる設計変更というべきことである。
そして、引用発明1の第2の発光源を、上記のように表示窓に隣接した位置であるそれぞれの表示窓の横側に設けることは当業者が想到容易といえ、このように、引用発明1の第2の発光源を設けるとすると、3列、3行の合計9個の通過表示ランプ51?59を、各図柄移動表示装置に対応した縦方向に延びる各列3個の通過表示ランプ51?53,54?56,57?59をそれぞれ一単位として、各図柄移動表示装置(各回転リール20?22)毎に表示窓に隣接した位置に配置していくこととなり、必然的に、本願発明の「該表示窓を移動する図柄の移動方向に沿って配列」される構成が得られるものである。
以上より、上記相違点(D)に係る本願発明の構成は、当業者が想到容易である。

[5]本願発明の進歩性の判断
相違点(A)?(D)に係る本願発明の構成を採用することは設計事項であるか又は当業者にとって想到容易であり、これら構成を採用したことによる格別の作用効果を認めることもできない。
したがって、本願発明は引用発明1、第2引用例に記載の技術、第3引用例に記載の技術及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2007-11-01 
結審通知日 2007-11-08 
審決日 2007-11-22 
出願番号 特願平6-175888
審決分類 P 1 8・ 121- Z (A63F)
P 1 8・ 572- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 瀬津 太朗  
特許庁審判長 津田 俊明
特許庁審判官 土屋 保光
▲吉▼川 康史
発明の名称 スロットマシン  
代理人 竹山 宏明  
代理人 米山 淑幸  

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