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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) A63F |
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管理番号 | 1171351 |
審判番号 | 不服2004-7984 |
総通号数 | 99 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2008-03-28 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2004-04-19 |
確定日 | 2008-01-15 |
事件の表示 | 特願2000-280575「遊技台」拒絶査定不服審判事件〔平成14年 3月26日出願公開、特開2002- 85645〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯・本願発明の認定 本願は平成12年9月14日の出願であって、平成16年3月15日付けで拒絶の査定がされたため、これを不服として同年4月19日付けで本件審判請求がされるとともに、同年5月19日付けで明細書についての手続補正がされたものである。 当審においてこれを審理した結果、平成16年5月19日付けの手続補正を却下するとともに、新たに拒絶の理由を通知したところ、請求人は平成19年10月15日付けで意見書及び手続補正書を提出した。 したがって、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、平成19年10月15日付けで補正された明細書の特許請求の範囲【請求項1】に記載された事項によって特定される次のとおりのものと認める。 「複数種類の絵柄を施したリールを複数列備え、遊技媒体の投入とゲームの開始操作により前記複数列のリールの移動を開始させると共に内部抽選を行い、前記抽選の結果に基づいて前記各リールの停止制御を遂行し、入賞判定に用いる入賞ライン上で入賞役に係る絵柄の組み合わせが停止した場合に所定数の遊技媒体を払出す遊技台であって、 予め定めた複数の入賞ラインの中から、前記入賞判定に用いる入賞ラインのライン数を、遊技者が任意に変更するための入賞ライン数変更手段と、 前記入賞判定に用いる前記入賞ラインを設定する制御部と、を備え、 前記制御部は、前記入賞判定に用いる入賞ラインを、ゲームの開始操作時に投入された前記遊技媒体の数に対応したライン数で前記予め定めた複数の入賞ラインの中から選択する一方、前記入賞ライン数変更手段によりライン数が変更された場合には、前記入賞判定に用いる前記入賞ラインを変更されたライン数で選択し、 前記入賞ライン数変更手段により、ライン数が増加された場合には、入賞時に払い出される遊技媒体を減少し、ライン数が減少された場合には、入賞時に払い出される遊技媒体を増加することを特徴とする遊技台。」 第2 当審の判断 1.引用刊行物の記載事項 当審における拒絶の理由に引用した特開2000-14864号公報(以下「引用例1」という。)には、以下のア?シの記載が図示とともにある。 ア.「複数の図柄を有する三個のリールが、遊技者の操作によって任意に回転,停止し、各リールがすべて停止したときの図柄が、当該各リールの図柄を結ぶラインからなる一又は二以上の当選ライン上において所定の入賞配列を構成するか否かにより入賞メダルが払い出されるスロットマシンであって、 前記当選ラインのうち、少なくとも一の当選ラインに重ねて、一又は二以上の追加の当選ラインを設定することを特徴とするスロットマシン。」(【請求項1】) イ.「これまでのスロットマシンの当選ラインとしては、図6に示すように、並列に並んだ三個のリール110a,110b,110cの図柄のうち、各表示窓103a,103b,103cから見える上,中,下三段の各図柄をそれぞれ一つずつ水平に結ぶ三本の平行ライン(図6に示す第一,第二,第三ライン)と、外側の二つのリール(左リール110aと右リール110c)の上段又は下段の図柄と中央のリール(中リール110b)の中段の図柄を対角線状に結ぶ二本の対角線ライン(図6に示す第四,第五ライン)の、合計五つのラインが当選ラインとして設定されている。」(段落【0005】) ウ.「これまで、スロットマシンの当選ラインを従来の五ライン以上に設定可能とすることにより、入賞回数を増加させてゲームの面白味を向上させようとするスロットマシンが提案されている。例えば、実公平6-5824号公報には、当選ラインとして、上述した各リールの図柄を結ぶ平行線及び対角線に加えて、中央及び左右二つのリールの図柄を山型又は谷型に結ぶラインを設定することにより、従来の五ライン以上の当選ラインを設けた「スロットマシンのリール機構」が提案されている。」(段落【0008】) エ.「本発明は、このような従来の技術が有する問題を解決するために提案されたものであり、既存の当選ラインに重ねて追加の当選ラインを任意に設定できる追加ライン設定手段を備えることにより、既存の当選ラインをそのままにして当選ライン数を増加させてスロットマシンのゲーム性を向上させることができるとともに、ダブルラインへの狙い打ちの妙味も享受でき、しかも、リーチ目表示との混乱も生じないスロットマシンの提供を目的とする。」(段落【0014】) オ.「図3に示すように、並列に配設された三個のリール10a,10b,10cの図柄のうち、各表示窓3a,3b,3cから見える上,中,下三段の各図柄をそれぞれ一つずつ水平に結ぶ三本の平行ライン(図3に示す第一,第二,第三ライン)と、外側の二つのリール(左リール10aと右リール10c)の上段又は下段の図柄と中央のリール(中リール10b)の中段の図柄を対角線状に結ぶ二本の対角線ライン(図3に示す第四,第五ライン)の、合計五つのラインが当選ラインとして設定されている。」(段落【0028】) カ.「表示窓3の当選ライン表示近傍には、当選ライン表示ランプ15が設けてあり、コインの投入枚数に応じて当選ラインを表示する点灯(又は点滅)を行うようになっている。さらに、本実施形態では、この当選ライン表示ランプ15を点滅(又は点灯)させることによって、後述するように、追加設定された当選ラインを表示する追加ライン表示部を構成するようにしてある。」(段落【0029】) キ.「遊技者がスタートレバー4を操作することにより、多種類の図柄を表した三個のリール10a,10b,10cが一斉に回転を開始し、ストップボタン5a,5b,5cが順次押されることにより、各リールが左,中,右リールの順に順次停止する。そして、停止した三個のリールの図柄の配列が、上述した所定の当選ライン上において、所定の当選図柄の配列(例えば「7・7・7」や「BAR,BAR,BAR」)となっているか否かが判定され、当選配列となっている場合には所定数の入賞メダルが払い出される。なお、ストップボタン5の近傍には、図1に示すように、後述する追加の当選ライン設定入力用の追加ライン入力ボタン11が備えてある。」(段落【0031】) ク.「図2に示すように、本実施形態では、スロットマシン本体1内部に追加ライン設定部12を備えている。この追加ライン設定部12によって、五つの当選ラインの任意のラインに重ねて、追加の当選ラインを設定できるようになっており、任意の当選ラインをいわゆるダブルラインとして設定することができるようになっている。」(段落【0037】) ケ.「追加設定された当選ラインは、図2に示すように、当選ライン図柄判定部14に出力され、既存の五つのラインとともに各リール10a,10b,10cの停止図柄が入賞配列か否かが判別され、入賞している場合には、追加の当選ライン分も含めて入賞メダルがホッパ16から払い出される。すなわち、追加のラインを一つ設定した当選ライン(例えば、図3(a)における第一ライン)に所定の入賞図柄が停止,配列された場合には、ダブルラインとなるので通常の二倍のメダルが払い出されることになる。」(段落【0044】) コ.「追加の当選ラインの設定は、通常は、追加する当選ラインの数に応じて、ゲーム開始用のコインを投入させ、投入されたコイン分だけラインを追加設定できるようにすることが好ましい。ただし、追加するラインの一部又は全部をコインの投入なしに追加設定が行えるようにすることも可能である。」(段落【0045】) サ.「追加の当選ラインは、五つの当選ラインのいずれかに一ラインだけ追加してダブルラインとなるようにしてあるが、これを、一つの当選ライン(例えば第一ライン)に二以上の追加ラインを設定し、トリプルライン以上とするようにしてもよい。」(段落【0046】) シ.「上述した実施形態では、五つの既存ラインに少なくとも一以上の当選ラインを追加して六ライン以上を設定するようにしていたが、これを五つの当選ラインの範囲で追加ラインを設定できるようにしてもよい。すなわち、いずれかの既存ライン(例えば、図3(a)における第一ライン)に追加ラインを設定してダブルラインとした場合には、他の四ラインのうちのいずれか一ライン(例えば、図3(a)における第二ライン)については、当選ラインの設定を解除することも可能である。このようにすると、コイン三枚を投入して五ラインの当選ラインでゲームを行う既存のスロットマシンの遊技方法をそのままにして、遊技者側で任意にダブルラインの設定を行えるようになり、遊技者の判断によりスロットマシンゲームの選択の幅を広げることが可能となる。」(段落【0063】) 2.引用例1記載の発明の認定 引用例1の記載シによれば、コインの投入枚数に応じて当選ラインが設定され、その後当選ラインの追加設定を行うことができ、その場合にライン追加と引き換えに既存ラインを解除することができる。 したがって、引用例1には次のような発明が記載されていると認めることができる。 「複数の図柄を有する三個のリールが、遊技者の操作によって任意に回転,停止し、各リールがすべて停止したときの図柄が、当該各リールの図柄を結ぶラインからなる一又は二以上の当選ライン上において所定の入賞配列を構成するか否かにより入賞メダルが払い出されるスロットマシンであって、 コインの投入枚数に応じて当選ラインを設定し、その後既存当選ラインに重ねての当選ラインの追加設定又は追加設定と引き換えに既存当選ラインの解除を行うことができるスロットマシン。」(以下「引用発明1」という。) 3.本願発明と引用発明1の一致点及び相違点の認定 引用発明1の「複数の図柄を有する三個のリール」及び「コイン」若しくは「メダル」は、本願発明の「複数種類の絵柄を施したリールを複数列」及び「遊技媒体」にそれぞれ相当する。 引用発明1が「内部抽選を行い、前記抽選の結果に基づいて前記各リールの停止制御を遂行」するかどうか、引用例1の記載からは明らかでない(2.では摘記していないが、ボーナスについて、内部抽選を行った結果であることは記載されているが、それ以外の賞については明記がない。)ものの、「遊技媒体の投入とゲームの開始操作により前記複数列のリールの移動を開始させ、前記各リールの停止制御を遂行し、入賞判定に用いる入賞ライン上で入賞役に係る絵柄の組み合わせが停止した場合に所定数の遊技媒体を払出す遊技台」であることは、本願発明と引用発明1の一致点である。 引用発明1において、コインの投入枚数に応じて設定された当選ラインは、本願発明の「ゲームの開始操作時に投入された前記遊技媒体の数に対応したライン数で前記予め定めた複数の入賞ラインの中から選択」された入賞ラインに相当し、当然引用発明1も「入賞判定に用いる前記入賞ラインを設定する制御部」を備えると認めることができる。 また、引用発明1では「既存当選ラインに重ねての当選ラインの追加設定」しているところ、既存当選ラインに重ねて当選ラインを追加設定しても、「入賞判定に用いる入賞ライン」が追加されるわけではないから、引用発明1が「前記入賞判定に用いる入賞ラインのライン数を、遊技者が任意に変更するための入賞ライン数変更手段」(下線は当審で付加)を備えるとまではいえないものの、「追加設定と引き換えに既存当選ラインの解除」を行えば、「入賞判定に用いる入賞ラインのライン数」が減少するから、「入賞ライン数変更手段」と称し得る手段を備えることも、本願発明と引用発明1の一致点である。 さらに、引用発明1では「入賞判定に用いる入賞ライン」を減少することがあるのだから、「前記入賞ライン数変更手段によりライン数が変更された場合には、前記入賞判定に用いる前記入賞ラインを変更されたライン数で選択」していると認めることができる(「既存当選ラインに重ねての当選ラインの追加設定」は、「入賞判定に用いる前記入賞ラインを変更」には該当しない。)。 したがって、本願発明と引用発明1は、 「複数種類の絵柄を施したリールを複数列備え、遊技媒体の投入とゲームの開始操作により前記複数列のリールの移動を開始させ、前記各リールの停止制御を遂行し、入賞判定に用いる入賞ライン上で入賞役に係る絵柄の組み合わせが停止した場合に所定数の遊技媒体を払出す遊技台であって、 予め定めた複数の入賞ラインの中から、前記入賞判定に用いる入賞ラインのライン数を、遊技者が変更するための入賞ライン数変更手段と、 前記入賞判定に用いる前記入賞ラインを設定する制御部と、を備え、 前記制御部は、前記入賞判定に用いる入賞ラインを、ゲームの開始操作時に投入された前記遊技媒体の数に対応したライン数で前記予め定めた複数の入賞ラインの中から選択する一方、前記入賞ライン数変更手段によりライン数が変更された場合には、前記入賞判定に用いる前記入賞ラインを変更されたライン数で選択する遊技台。」である点で一致し、以下の各点で相違する。 〈相違点1〉各リールの停止制御を遂行するに当たり、本願発明が「ゲームの開始操作により前記複数列のリールの移動を開始させると共に内部抽選を行い、前記抽選の結果に基づいて前記各リールの停止制御を遂行」するのに対し、引用発明1が同構成を有するかどうか明らかでない点。 〈相違点2〉本願発明の「入賞ライン数変更手段」が「入賞判定に用いる入賞ラインのライン数を、遊技者が任意に変更するための」ものであるのに対し、引用発明1のそれはライン数を任意に変更できるとはいえない点。 〈相違点3〉「前記入賞ライン数変更手段により、ライン数が増加された場合には、入賞時に払い出される遊技媒体を減少し、ライン数が減少された場合には、入賞時に払い出される遊技媒体を増加する」としているのに対し、引用発明1が同構成を備えるとはいえない点。 4.相違点の判断及び本願発明の進歩性の判断 (1)相違点1について 相違点1に係る本願発明の構成は、スロットマシンとして周知の構成であるばかりか、3.でも述べたように、ボーナスに限ってではあるが、内部抽選の結果に基づいて各リールの停止制御を遂行することは、引用例1に記載されている。 そうであれば、相違点1に係る本願発明の構成を採用することは、せいぜい設計事項というよりない。 (2)相違点2について 当審における拒絶の理由に引用した実願平3-84811号(実開平5-28377号)のCD-ROM(以下「引用例2」という。)には「有効化される停止ラインを遊戯者が自由に選択できるよう構成することにより、ゲームに対する遊戯者の興味を高め、ゲーム機に対する不信感を排除する。」(【要約】の【目的】欄)と、同じく引用した特開平2-305584号公報(以下「引用例3」という。)には「5a?5gは上記7本の入賞ライン48?4gに対応してパネル1aに設けた入賞ライン設定ボタンで、5aは1本の入賞ライン4aを、5bは2本の入賞ライン4a、4bを指定するといった具合に、プレーヤが自由に任意の設定ボタン5a?5gのいずれかを選定して押し操作をすることにより、そのゲームに適用する入賞ライン4a?4gのいずれかと入賞ライン本数とを選択できるようにされている。」(4頁左上欄6?14行)と、それぞれ記載されており、要するに、引用例2,3には予め定めた複数の入賞ラインの中から、入賞判定に用いる入賞ラインのライン及びライン数を、遊技者が任意に設定することが記載されている。 ここで、引用発明1は、既存当選ラインに重ねての当選ラインの追加設定と引き換えに別の既存当選ラインの解除を行えるから、入賞判定に用いる入賞ラインのライン数を減少できるものであるが、同ライン数を増加できるとはされていない。既存当選ラインはコインの投入枚数に応じて設定されるものであるから、コインの投入枚数が少ない場合には、設定されていない当選ラインが当然存在する。そして、コインの投入枚数に応じて当選ラインを設定した後に、当選ラインを変更するに当たり、遊技者の自由度を増すことができるように、引用例2,3記載の技術(この技術は、入賞判定に用いる入賞ライン設定後の変更ではないが)を採用し、相違点2に係る本願発明の構成に至ることは当業者にとって想到容易である。 (3)相違点3について 引用例1には「追加するラインの一部又は全部をコインの投入なしに追加設定が行えるようにすることも可能である。」(記載コ)との記載があるとおり、コインの投入なしに当選ライン数を変更することが記載されており、既存ラインに追加ラインを設定するとともに、当選ラインの設定を解除した場合、延べの当選ライン数はそのままで「入賞判定に用いる入賞ライン」が減少することとなり、追加されたラインにおいて入賞確定すれば、払い出される遊技媒体が多くなるものの、追加されたライン以外において入賞確定しても、払い出される遊技媒体は多くならない。 すなわち、引用発明1の「追加設定と引き換えに既存当選ラインの解除」との構成であれば、既存当選ラインの解除に伴いライン数が減少された場合であっても、必ずしも入賞時に払い出される遊技媒体が増加されないことととなり、同構成を維持したまま相違点3に係る本願発明の構成に至ることは容易ではない。 そうすると、相違点3においてまず検討すべきは、「追加設定と引き換えに既存当選ラインの解除」との引用発明1の構成を維持しないことの容易性である。請求人は「引用例1に記載の発明は、既存当選ラインの一部の当選ラインでの入賞を、他の当選ラインでの入賞よりも有利にすることをその本質としており、「残存する入賞ラインの配当を均等に増加すること」は、引用例1に記載の発明の本質部分に反することになります。故に、上記相違点(審決注;審決の相違点3)は引用例1から容易想到ではありません。」(平成19年10月15日付け意見書3頁25?28行)と主張しているところ、引用発明1が「既存当選ラインの一部の当選ラインでの入賞を、他の当選ラインでの入賞よりも有利にすることをその本質として」いることは事実として当審も認めることができるが、一部の当選ラインでの入賞を、他の当選ラインでの入賞よりも有利にする最も簡便な手法は、他の当選ラインでの入賞可能性をなくすることである。ここで、他の当選ラインでの入賞可能性をなくし(追加設定との引き換えという条件無しに、単純に既存ラインを解除する。)た場合、残存する当選ラインでの遊技媒体払い出し数が不変であれば(投入コインの返却がないとして)、既存ライン解除は遊技者に不利に作用することがあっても、有利に作用することはなく、無意味な既存ライン解除となるから、単純に既存ラインを解除した際に、その分だけ入賞時に払い出される遊技媒体を増加することは誰もが思いつく事項である。そのようにすれば、「追加設定と引き換えに既存当選ラインの解除」しなくとも、既存当選ラインの一部の当選ラインでの入賞を、他の当選ライン(解除されたライン)での入賞よりも有利にすることができるから、「追加設定と引き換えに既存当選ラインの解除」を「既存当選ラインを単純に解除」し、入賞時に払い出される遊技媒体を増加することは当業者にとって想到容易である。なお、既存当選ラインを単純に解除した場合、残存する当選ラインには追加設定されていないから、すべて均等配当となる。 また、相違点2に係る本願発明の構成を採用した場合、入賞ライン数変更手段により、ライン数が増加された場合もあれば、ライン数が減少された場合もあることは当然である。なお、ここでいう「ライン数」は「入賞判定に用いる入賞ライン」数である。そして、ライン数が多ければ入賞確定しやすく、ライン数が少なければ入賞確定しにくいことは自明である。 当審における拒絶の理由に引用した実願昭63-28092号(実開平1-133985号)のマイクロフィルム(以下「引用例4」という。)には「払出倍率が指定ボタン20a?20cの何れかで指定されると、入賞判定部13は入賞率を上記指定倍率に応じて変更をする。」(10頁2?5行)と、同じく引用した特公平3-80037号公報(以下「引用例5」という。)には「リールの回転速度を遊戯者自身が選定することができかつその選定された回転速度、すなわちリールの回転が速いか遅いかによつて、特定の絵柄の組合せとなつたばあい払出すコインの枚数を変更しうる本発明の電動型スロツトマシンを完成した。」(3欄18?23行)とそれぞれ記載されている。引用例5の上記記載において、リールの回転が速いほど、入賞確定しにくいことは自明であるから、引用例4,5には、入賞確定しやすいほど入賞時に払い出される遊技媒体を少なくする技術が記載されている。 引用発明1を出発点として、相違点2に係る本願発明の構成を採用した場合には、「入賞判定に用いる入賞ライン」の増加又は減少による入賞確定のしやすさの変化に応じて、引用例4,5記載の技術同様、入賞時に払い出される遊技媒体を減少又は増加すること困難性があるとは到底認めることができない。 以上のとおり、相違点3に係る本願発明の構成を採用することは当業者にとって想到容易である。 (4)本願発明の進歩性の判断 相違点1?3に係る本願発明の構成を採用することは、設計事項であるか又は当業者にとって想到容易であり、これら構成を採用したことによる格別の作用効果を認めることもできない。 したがって、本願発明は、引用発明1、引用例2?5記載の技術及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。 第3 むすび 本願発明が特許を受けることができないから、本願は拒絶を免れない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2007-11-15 |
結審通知日 | 2007-11-19 |
審決日 | 2007-11-30 |
出願番号 | 特願2000-280575(P2000-280575) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
WZ
(A63F)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 土屋 保光 |
特許庁審判長 |
津田 俊明 |
特許庁審判官 |
中槙 利明 太田 恒明 |
発明の名称 | 遊技台 |
代理人 | 大塚 康徳 |
代理人 | 大塚 康弘 |
代理人 | 木村 秀二 |
代理人 | 高柳 司郎 |