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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 B41J
審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 特許、登録しない。 B41J
管理番号 1171914
審判番号 不服2007-3121  
総通号数 99 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2008-03-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2007-01-26 
確定日 2008-01-23 
事件の表示 平成 8年特許願第523140号「新聞および雑誌を製造するための方法」拒絶査定不服審判事件〔平成 8年 8月 8日国際公開、WO96/23665、平成11年10月12日国内公表、特表平11-511701〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、1996年1月23日(パリ条約による優先権主張外国庁受理1995年2月1日、スイス国)を国際出願日とする出願であって、平成18年10月20日付で拒絶査定がなされ、平成19年1月26日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに、同年2月19日付で明細書についての手続補正(以下、「本件補正」という。)がなされたものである。

2.本願の明細書・特許請求の範囲の記載
本件補正は、補正前の請求項1及び5の「新聞、雑誌、またはその一部の内容に特定のデータと、受信人に特定の固有なデータとを合わせ発生するステップ」という発明特定事項を、「製品のタイプに特定のデータと、個々の見本の特定の固有なデータとを合わせ発生するステップ」に変更する補正事項1、請求項1に「巻取紙の両面に印刷する」という特定事項を付加する補正事項2及び補正前の請求項2、7を削除する補正事項3を含むものである。
当該補正事項1の変更は、拒絶査定の備考欄の『請求項1及び5の「新聞、雑誌、またはその一部の内容に特定のデータ」や「受信人に特定の固有なデータ」という記載は、それらが意味する内容を明確に把握することができない。さらに、請求項1及び5の「前記印刷するステップは、特定のデータの印刷と、個別の冊子に固有のデータとを印刷するステップを含み」という記載中の「特定のデータ」及び「個別の冊子の固有のデータ」とは、上述の「新聞、雑誌、またはその一部の内容に特定のデータ」及び「受信人に特定の固有なデータ」のことを意味しているのか、別のデータを意味しているのか、例え、発明の詳細な説明の記載を参酌したとしても、理解することができない。』という指摘に対応して行った明りょうでない記載の釈明を目的するものと認められる。
また、補正事項2、3は、同じく、『請求項2、7には、「前記印刷するステップは、前記巻取紙の上に、印刷される複数のページの列を並列させて印刷するステップを含む」と記載されており、当該「複数のページの列を並列させて」との記載は、当該請求項2、7が引用する請求項1、6に「巻取紙の一面上に前記第1のページの列と、巻取紙の対向面上に前記第2のページの列とを印刷するステップ」と記載されていることから、巻取紙の両面にページの列を印刷することを意味するのではなくて、巻取紙の一方の面に複数の列を印刷することを意味していると解するほかない。しかしながら、上記拒絶理由通知書で指摘したように、当該記載に対応する事項は、平成10年8月5日付けでした手続補正によって発明の詳細な説明及び図面から全て削除されており、現在の発明の詳細な説明及び図面には、当該記載に対応する事項は記載されていないから、請求項2、7に係る発明が、発明の詳細な説明に記載されたものであると言うことはできない。さらに、上記拒絶理由通知書でも指摘したように、請求項2、7に記載された「複数のページの列を並列させて印刷する」という構成を備えるものであって、かつ、当該請求項2、7が引用する請求項1、6に記載された「1からnの印刷されるページのグループを表すデータを形成するために、組合されたデータを処理するステップとを含み、印刷されるページのグループは、ページ番号2、3、4・・・、n/2+1の並列された第1のページの列と、ページ番号1、n、n-1、・・・、n/2+2の配列された第2のページの列とからなり、前記方法はさらに、巻取紙の一面上に前記第1のページの列と、巻取紙の対向面上に前記第2のページの列とを印刷するステップを含み」という構成をも備えたものについては、出願当初明細書または図面には、記載されていない。』という指摘に対応して行った明りょうでない記載の釈明を目的するものと認められる。
したがって、本件補正は、明りょうでない記載の釈明(拒絶理由通知に係る拒絶の理由に示す事項についてするものに限る。)及び請求項の削除を目的とする適法な補正と認められるから、本件補正により補正された明細書を本願明細書として審理の対象とする。
補正された特許請求の範囲の請求項1の記載は次のとおりである。
「さまざまな数n枚の印刷されたページを含む新聞および雑誌の冊子の連続する製品を製造するための方法であって、
製造されるべき各冊子について、製品のタイプに特定のデータと、個々の見本の特定の固有なデータとを合わせ発生するステップと、
1からn枚の印刷ページのデータを形成するために、組合されたデータを処理するステップとを含み、印刷ページの2つの列は、ページ番号2、3、4、…、n/2+1の並列されたぺ-ジの列と、ページ番号1、n、n-1、…、n/2+2の並列されたぺ-ジの列とからなり、
前記方法はさらに、
前記印刷ページの2つの列を、巻取紙の両面に印刷するステップを含み、
前記印刷するステップは、特定のデータの印刷と、個々の見本に特定のデータを印刷するステップを含み、結果的に、各々が同じ幅の複数のページを有する、複数の印刷された冊子を生じ、前記方法はさらに、
印刷されたページ間において交互の方向に巻取紙を折り畳むことにより、巻取紙の印刷された部分の折り畳まれた積重ねを形成するステップと、
2つの連続した冊子を表すページの2つのグループの各々の間で巻取紙を横切る線にミシン目を入れることにより、前記グループ間で巻取紙を横切る、容易に分離可能な分離線を形成するステップとを含み、
前記方法における前記ページには異なった幅のページを含むことを特徴とする、方法。」

3.原査定の拒絶理由の内容
原査定の拒絶理由の骨子は、以下の内容を含んでいる。
(1)原審における平成18年2月22日付けの拒絶理由は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていないというものであり、具体的には、『請求項1には「すぐに読むことができ」、「楽に扱うことができ」、「自由に選択可能な程度で個別化され」、「シーケンス」等、その意味を明確に把握できない記載が散見されるため各請求項に係る発明の外延を明確に特定することができない。』と指摘し、拒絶査定では、『請求項1の「新聞、雑誌、またはその一部の内容に特定のデータ」や「受信人に特定の固有なデータ」という記載は、それらが意味する内容を明確に把握することができない。さらに、請求項1及び5の「前記印刷するステップは、特定のデータの印刷と、個別の冊子に固有のデータとを印刷するステップを含み」という記載中の「特定のデータ」及び「個別の冊子の固有のデータ」とは、上述の「新聞、雑誌、またはその一部の内容に特定のデータ」及び「受信人に特定の固有なデータ」のことを意味しているのか、別のデータを意味しているのか、たとえ、発明の詳細な説明の記載を参酌したとしても、理解することができない。また、請求項1のその他の箇所にも、その意味を明確に理解することのできない記載が多数散見され、日本語として不明確である。』と指摘した。
(2)本願の各請求項に係る発明は、本願の優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

4.記載不備についての当審の判断
上記した原査定の拒絶の理由で指摘した記載不備の通知は、本願の特許請求の範囲の記載、特に請求項1の記載は、特定事項の、製造されるべき各冊子について合わせ発生するデータの内容が何か、また、そのデータの内容は印刷するデータの内容と同じかあるいは別であるかが不明確であると共に、請求項1の記載全体としても日本語として不明確であるという趣旨を含む通知であることは明らかである。
ところで、請求項1には、「製品のタイプに特定のデータと、個々の見本の特定の固有なデータとを合わせ発生する」及び「特定のデータの印刷と、個々の見本に特定のデータを印刷する」と記載されている。
すなわち、印刷するデータの内容である、「特定のデータ」と「個々の見本に特定のデータ」が、それぞれ、合わせ発生するデータの内容である、「製品のタイプに特定のデータ」と「個々の見本の特定の固有なデータ」と表現が微妙に異なっている。
仮に、それらが同じものであったとしても(「特定のデータ」と「製品のタイプに特定のデータ」との間に差異がないとはいえないが)、請求項1に記載の方法における合わせ発生するデータの内容及び印刷する対象であるデータの内容が何であるかを理解するには、その前提として、請求項1において「新聞および雑誌の冊子」、「見本」及び「製品」相互の区別と関連が明確とならなければならないことも、上記請求項1の記載振りから明らかである。
そうであるのに、「新聞および雑誌の冊子」、「見本」及び「製品」相互の区別と関連について請求項1に全く記載されていないことはいうに及ばず、発明の詳細な説明にも全く記載されていない。また、これら相互の区別と関連につき、特段の記載がなくとも当業者であれば諒解できる程度の自明な事項であると認めることもできない。
そうすると、原審で指摘された、請求項1において、合わせ発生するデータの内容及び印刷するデータの内容が不明確であること及び請求項1にはその他その意味を明確に理解することのできない記載が多数散見され、日本語として不明確であることを記載不備の理由とした拒絶理由は妥当というべきである。
したがって、請求項1の記載は、特許を受けようとする発明が明確であるという特許法第36条6項2号に適合していない。

5.進歩性についての当審の予備的判断
(1)本願発明
上述したように、本願請求項1に記載された発明特定事項は不明確であって、発明の詳細な説明の記載を参酌したとしても、それらを善解することは甚だ困難ではあるが、請求項1に係る発明が、次の事項により特定されるものと一応解して、予備的に進歩性の判断を行うこととする。
「さまざまな特定の読者(居住地域や関心が特定される)向けの、さまざまなページ数nの新聞や雑誌を複数個連続して製造するための方法であって、
製造されるべき各新聞や各雑誌について、各新聞や各雑誌に共通するデータと、各新聞や各雑誌毎に固有なデータとを合わせ発生するステップと、
1からn枚の印刷ページのデータを形成するために、組合されたデータを処理するステップとを含み、印刷ページの2つの列は、ページ番号2、3、4、…、n/2+1の並列されたぺ-ジの列と、ページ番号1、n、n-1、…、n/2+2の並列されたぺ-ジの列とからなり、
前記方法はさらに、
前記印刷ページの2つの列を、巻取紙の両面に印刷するステップを含み、
前記印刷するステップは、前記各新聞や各雑誌に共通するデータの印刷と、各新聞や各雑誌毎に固有なデータを印刷するステップを含み、結果的に、各々が同じ幅の複数のページを有する、複数個の新聞や雑誌を生じ、前記方法はさらに、
印刷されたページ間において交互の方向に巻取紙を折り畳むことにより、巻取紙の印刷された部分の折り畳まれた積重ねを形成するステップと、
2つの連続した新聞や雑誌を表すページの2つのグループの各々の間で巻取紙を横切る線にミシン目を入れることにより、前記グループ間で巻取紙を横切る、容易に分離可能な分離線を形成するステップとを含み、
前記方法における前記新聞や雑誌のページには異なった幅のページを含むことを特徴とする、方法。」

(2)引用例
原査定の拒絶の理由に引用された本願の優先日前に米国内において頒布された米国特許第4,900,001号明細書(以下「引用例」という。)には、本願発明に関連する事項として以下の事項が記載されている。
ア.「本発明はコンピュータによって制御されるプリント処理システムに関し、より具体的には、連続するウエブの両面にコンピュータによって蓄積、フォーマット及びページ揃えされたデータの複数ページを印刷するための装置に関する。」(1欄5?9行、日本語訳は当審仮訳、以下同じ。)
イ.「本発明によって改善されたコンピュータプリントアウトシステムにおいては、各ページの向きが同じ方向に並び、積み重ねられた状態にあるシートの両面が連続番号が付されるように順序づけされた複数のページからなる揃えられた複数個の積重ね(collated stacks)が生産されるための連続するウエブの両面へのプリントアウトが与えられる。このことを実現するために、私の発明の電子制御プリンタは、二つのプリントヘッド、及びプリントヘッドで記録された後の連続して動くウエブの対向面相互の位置合わせ状態において、編集されるデータがページ長さのバッチとしてプリントされるときそれらの隣接するバッチ相互がページの終端同士が向き合うようになるかあるいはページの側端同士が側端が向き合うようになるようにする特有な電子制御手段を使用している。」(2欄21?31行)
ウ.「それぞれが小冊子(booklets)となる当該プリントアウトされた複数個の書類(documents)は、それから分離される連続する複数のシートを備えた連続するウエブから生産され、積み重ねられ、ページ順に揃えられる。」(2欄56?59行)
エ.「このことを行う従来から知られた一つの方法は、図1、3、8に示されるようなウエブの両側端に直交する方向のミシン目による折り線によって、積層状態において指定された複数個のシートの交互の方向に折り畳まれる蓄積状態(fan-fold accumulation)となるウエブを使用することである。・・・中略・・・しかし、本発明にとって必要で、同じように交互の方向に折り畳まれるタイプの連続性(fan-fold type sequence)を以て複数のシートを積み重ねるために、連続する折り目なしのウエブを折り曲げ積み重ねるようにする手段(不図示)が用意されることが理解されるべきである。」(4欄14?25行)
オ.図3と図8から結果的に各々が同じ幅の複数のページを有する複数個の冊子を生じていることが看取できる。
記載イの「プリントヘッドで記録された後の連続して動くウエブの対向面相互の位置合わせ状態において、編集されるデータがページ長さのバッチとしてプリントされるときそれらの隣接するバッチ相互がページの終端同士が向き合うようになるかあるいはページの側端同士が側端が向き合うようになるようにする」ことは、記載ウの「それぞれが小冊子(booklets)となる書類」毎に行われるのであるから、引用例1に記載の小冊子の製造方法においても、さまざまなページ数nの小冊子が複数個連続して製造されているといえ、また、当該小冊子を複数個連続して製造するに当たって、その製造方法には、1からn枚の印刷ページのデータを形成するために、データを処理するステップを含まれていることは自明である。
記載ウの「それから分離される連続する複数のシートを備えた連続するウエブから生産され、積み重ねられ、ページ順に揃えられる複数個の書類(documents)」は、記載イの「各ページの向きが同じ方向に並び、積み重ねられた状態にあるシートの両面が連続番号が付されるように順序づけされた複数のページからなる揃えられた複数個の積重ね(collated stacks)」と異なるものでないことは明らかである。
したがって、記載ア?オを含む引用例には次の発明が記載されているといえる。
「さまざまなページ数nの小冊子(booklet)を複数個連続して生産するための方法であって、
1からn枚の印刷ページのデータを形成するために、データを処理するステップと、
印刷ページの2つの列を、連続する折り目なしのウエブの両面に印刷するステップとを含み、結果的に、各々が同じ幅の複数のページを有する複数個の冊子を生じ、前記方法はさらに、
連続する折り目なしのウエブを印刷されたシート間において交互の方向に折り畳むことにより、連続する折り目なしのウエブの印刷された部分の折り畳まれた積重ねを形成するステップとを含み、
各ページの向きが同じ方向に並び、積み重ねられた状態にあるシートの両面が連続番号が付されるように順序づけされた複数のページからなる揃えられた積重ね(=それぞれが小冊子(booklets)となる複数個の書類(documents))が生産されるための連続するウエブの両面へのプリントアウトが与えられるコンピュータプリントアウトシステムを備える方法。」(以下「引用発明」という。)

(3)対比・判断
本願発明と引用発明とを対比する。
ア.引用発明の「小冊子(booklet)」と本願発明の「さまざまな特定の読者(居住地域や関心が特定)向けの、さまざまなページ数nの新聞や雑誌」とは、印刷物である点で共通している。
イ.引用発明の「さまざまなページ数nの小冊子(booklet)を複数個連続して製造するための方法」と本願発明の「さまざまな特定の読者(居住地域や関心が特定)向けの、さまざまなページ数nの新聞や雑誌を複数個連続して製造するための方法」とは、さまざまなページ数の印刷物を複数個連続して製造するための方法である点で共通している。
ウ.引用発明の「連続する折り目なしのウエブ」と本願発明の「巻取紙」とは連続する印刷用紙として共通している。
エ.引用発明において各ページは各シートに印刷されるものであるから、引用発明の「連続する折り目なしのウエブを印刷されたシート間において交互の方向に折り畳むことにより、連続する折り目なしのウエブの印刷された部分の折り畳まれた積重ねを形成するステップ」は、「印刷されたページ間において交互の方向に連続する印刷用紙を折り畳むことにより、連続する印刷用紙の印刷された部分の折り畳まれた積重ねを形成するステップ」ということができる。
以上のことから、両者の一致点と相違点は以下のとおりである。
[一致点]
さまざまなページ数nの印刷物を複数個連続して製造するための方法であって、
1からn枚の印刷ページのデータを形成するために、データを処理するステップと、
印刷ページの2つの列を、連続する印刷用紙の両面に印刷するステップを含み、結果的に、各々が同じ幅の複数のページを有する複数個の冊子を生じ、前記方法はさらに、
印刷されたページ間において交互の方向に連続する印刷用紙を折り畳むことにより、連続する印刷用紙の印刷された部分の折り畳まれた積重ねを形成するステップとを含む方法。
[相違点]
A.連続する印刷用紙が、本願発明では、巻取紙であるのに対して、引用発明では連続する折り目なしのウエブとしている点、
B.本願発明では、印刷物が、さまざまな特定の読者(居住地域や関心が特定)向けの、さまざまなページ数nの新聞や雑誌であると共に、製造されるべき各新聞や各雑誌について、各新聞や各雑誌に共通するデータと、各新聞や各雑誌毎に固有なデータとを、あわせ発生するステップと各新聞や各雑誌に共通するデータの印刷と各新聞や各雑誌毎に固有なデータを印刷するステップを含むのに対して引用発明では、印刷物がさまざまな特定の読者(居住地域や関心が特定)向けの、さまざまなページ数nの新聞や雑誌であるか否か定かでなく、各印刷物についてどのようなデータを合わせ発生させ、どのようなデータ印刷するのか定かでない点、
C.連続する印刷用紙の両面に印刷される印刷ページの2つの列は、本願発明では、ページ番号2、3、4、…、n/2+1の並列されたぺ-ジの列と、ページ番号1、n、n-1、…、n/2+2の並列されたぺ-ジの列とからなるとしているのに対して、引用発明では、そのようなページの列からなっていない点、
D.本願発明では、2つの印刷物を表すページの2つのグループの各々の間で連続する印刷用紙を横切る線にミシン目を入れることにより、前記グループ間で連続する印刷用紙を横切る、容易に分離可能な分離線を形成するステップとを含むのに対して、引用発明では、当該ステップを含むか否か定かでない点、
E.印刷物のページには、本願発明では、異なった幅のページを含むのに対して、引用発明では、異なった幅のページを含んでいない点。
[相違点の判断]
相違点Aについて
連続する印刷用紙として巻取紙は周知であり、これを引用発明に使用することは当業者が想到容易であり、その作用効果も格別なものでない。
相違点B、Cについて、
新聞の分野において、さまざまな地域に住んでいる読者に向けた新聞(地域に応じて記事内容が異なるためページ数が異なることは普通。)を複数個発行し、その際、それらの新聞の発行には、それらの新聞に共通するデータすなわち全国版データとそれらの新聞毎に固有なデータすなわち地方版データとを合わせ発生するステップとそれらのデータを印刷するステップを含むようにすることは、本願の優先日当時、例えば、特開平7-231309号公報にみられるように周知であるから、引用発明において、印刷物をさまざまな地域に住んでいる読者に向けた新聞とするようになすことは当業者が想到容易である。
また、その際に、ページ番号2、3、4、…、n/2+1の並列されたぺ-ジの列と、ページ番号1、n、n-1、…、n/2+2の並列されたぺ-ジの列を、連続する印刷用紙の両面にそれぞれ印刷されるようにすることも、拒絶査定の理由で引用された米国特許第453833号明細書にみられるように、n枚の印刷ページからなる印刷物を、ページ番号2、3、4、…、n/2+1の並列されたぺ-ジの列と、ページ番号1、n、n-1、…、n/2+2の並列されたぺ-ジの列を連続する印刷用紙の両面にそれぞれ印刷して製造することが、本願優先日当時に周知であるから、当業者が想到容易であり、すなわち引用発明において相違点B及びCの構成を具備することは当業者が容易に想到でき、その作用効果も格別なものでない。
相違点Dについて、
用紙にミシン目を形成する技術は、例えば、拒絶査定の理由で引用された特開平6-143197号公報、特開平5-330169号公報等にみられるように、本願優先日当時に周知の技術であって、引用発明において、相違点Dのように、折り目のない連続紙を用いて印刷する場合に、2つの印刷物を表すページの2つのグループの各々の間で連続する印刷用紙を横切る線にミシン目を入れることにより、前記グループ間で連続する印刷用紙を横切る、容易に分離可能な分離線を形成するステップとを含むようにすることは、当業者が容易になし得たことである。
相違点Eについて
紙を異なるサイズに折り畳むことができる装置は、拒絶査定の理由で引用された特開平4-104577号公報(特に、第5頁右上欄第1行?同頁右下欄第18行等を参照。)や、特開昭61-174064号公報等にみられるように、本願優先日当時周知の技術であって、引用発明において、相違点Eのように、折り目のない連続紙を用いて印刷する場合に、各ページ毎に折り畳む装置として、当該周知の装置を用い、異なるサイズのページを印刷できるような構成とすることは、当業者が容易になし得たことである。
以上のとおりであるから、本願発明は、上記引用発明に上記各周知の技術を単に組み合わせることにより当業者が容易に発明をすることができたものである。

6.むすび
以上のとおり、本願は明細書の記載が特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。
また、仮に本願の請求項1に係る発明が、上記5.で示したように解されるとしても、解される本願の請求項1に係る発明は、同じく上記5.示したように、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項について検討するまでもなく、本願は拒絶を免れない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2007-08-20 
結審通知日 2007-08-28 
審決日 2007-09-11 
出願番号 特願平8-523140
審決分類 P 1 8・ 121- Z (B41J)
P 1 8・ 537- Z (B41J)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 清水 康司  
特許庁審判長 番場 得造
特許庁審判官 七字 ひろみ
島▲崎▼ 純一
発明の名称 新聞および雑誌を製造するための方法  
代理人 深見 久郎  
代理人 森田 俊雄  
代理人 堀井 豊  

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