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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 H04N
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H04N
管理番号 1172069
審判番号 不服2005-15949  
総通号数 99 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2008-03-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2005-08-19 
確定日 2008-01-30 
事件の表示 特願2002-241844「インターネットファクシミリ装置及び情報送信方法」拒絶査定不服審判事件〔平成15年 6月27日出願公開、特開2003-179720〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続きの経緯
本願は、平成14年8月22日(パリ条約による優先権主張2001年8月29日,大韓民国)の出願であって、平成17年5月16日付で拒絶査定がされ、これに対して同年8月19日に拒絶査定不服審判が請求されるとともに、同日付で手続補正がなされたものである。

2.平成17年8月19日付の手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成17年8月19日付の手続補正を却下する。

[理由]
(1)補正後の本願発明
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1(請求項の数は全部で8である。)は、
「電子メール形式で文書データをファクシミリ送信可能なインターネットファクシミリ装置であって,
送信対象文書をディジタル情報として獲得する文書データ処理手段と,
送信対象音声をディジタル情報として獲得する音声データ処理手段と,
ディジタル化された文書データ及びディジタル化された音声データ,またはディジタル化された音声データのみ,のいずれか一方を電子メール送信規格に適合するように変換する信号変換手段と,
電話網を通じてインターネットに送信する通信規約と,電話網を介さず前記インターネットに直接送信する通信規約とのいずれか一方が選択され,該選択された通信規約により,前記電子メール送信規格に適合するように変換された文書データ及び音声データ,またはディジタル化された音声データのみを送信する信号送信手段と,を含むことを特徴とする,インターネットファクシミリ装置。」と補正された。
上記補正は、補正前の特許請求の範囲の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である「信号変換手段」について具体的な限定を付加して補正後の請求項1とするものであって、特許法17条の2第4項2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後の前記請求項1に記載された発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法17条の2第5項において準用する同法126条5項の規定に適合するか)について検討する。

(2)引用例
原査定の拒絶の理由に引用された特開2000-253198号公報(以下、「引用例」という。)には、図面と共に、次の記載がある。

ア 「【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明をその実施の形態を示す図面を参照して具体的に説明する。図1は、本発明の電子メール機能付ファクシミリ装置の構成を示すブロック図である。なお、以下に説明する本発明の実施の形態では、コンピュータ通信網としてインターネットを使用するものとし、本発明の電子メール機能付ファクシミリ装置は、従来のG3方式などのファクシミリ通信機能に加えてインターネット通信可能な機能を備えている。
【0013】図1において、主制御部1は、具体的にはCPUで構成されており、バス20を介して以下に説明するハードウェア各部と接続されていて、それらを制御すると共に、種々のソフトウェア的機能を実行する。例えば、送信された画データ及び録音された音声メッセージを電子メールの添付ファイル形式に変換するソフトウェア的機能、電子メールを所定のアドレス先へ送信するソフトウェア的機能などを、主制御部1は実行する。
【0014】読取部2は、例えばCCDを利用したスキャナで原稿を読み取り、白黒2値の原稿の画データを出力する。記録部3は、電子写真方式などのプリンタ装置であり、他のファクシミリ装置からファクシミリ通信により受信した画データ、及び、インターネット通信により受信した画データをハードコピーとしてプリントアウトして記録する。」

イ 「【0017】音声録音器9は、マイクロフォンなどを有し、ユーザが発する音声をアナログの音声信号として録音する。音声データ記録部10は、音声録音器9で録音された音声信号または送信されてきた音声メッセージをディジタル形式の音声データで記録する。音声再生器11は、スピーカなどを有し、音声データ記録部10に記録されている音声データに応じた音声を再生する。データ変換器12は、アナログの音声信号をディジタルの音声データへ変換する処理、及び、ディジタルの音声データをアナログの音声信号へ変換する処理を行う。
【0018】モデム13は、画データをファクシミリ通信するための機能と、例えば電子メール形式に変換された原稿の画データ及び音声データをインターネットを介して通信するデータ通信のための機能とを備えたモデムである。モデム13は、アナログ回線Lの閉結,開放を行うNCU14に接続されている。LAN I/F15はLANに接続されるようになっており、LAN及びメールサーバを経由したインターネットの電子メール送受信も可能である。
【0019】本発明の電子メール機能付ファクシミリ装置は、以上のようなハードウェア構成を有しており、通常のG3方式などのファクシミリ通信機能と、主としてTIFF(Tagged Image File Format)化された画データ及びwav, RealAudioなどのファイル形式に変換された音声データを電子メールに添付して、インターネットを介して送受信する機能とを有している。つまり、本来はファクシミリ通信すべき原稿の画データをTIFF化して更にMIME,base64などの方式でエンコードして、また、音声データを電子メールファイル形式に変換して、インターネットを介して電子メールとして送受信することが可能である。なお、そのための機能はソフトウェアプログラムとしてROM6に格納されている。
【0020】次に、動作について説明する。本発明の電子メール機能付ファクシミリ装置では、送信側の画データだけでなく音声メッセージも、電子メールの添付ファイル形式のデータに変換し、所定のアドレス先へ電子メールとして送信する。この際、送信側で、音声メッセージが存在することを示す情報を画データに付加する。一方、画データと音声メッセージとが電子メールとして送信されてきた場合、受信側で、音声メッセージが存在することを示す情報を画データに付加して印刷する。
【0021】以下、本発明の電子メール機能付ファクシミリ装置の送信側での処理動作を、その手順を示す図2のフローチャートを参照して説明する。
【0022】まず、原稿を読取部2で読み取って、送信すべき画データを得て画像メモリ8に格納する(ステップS1)。そして、その画データに音声メッセージを添付するか否かを判断する(ステップS2)。音声メッセージを添付しない場合には(S2:NO)、その画データを電子メールの添付ファイル形式に変換し、電子メールとして所定のアドレス先へ送信する(ステップS8)。
【0023】一方、音声メッセージを添付する場合には(S2:YES)、送信者が発する音声を音声録音器9で録音し、そのアナログの音声信号を音声データ変換器12でディジタルの音声データに変換して音声データ記録部10に記録する(ステップS3)。そして、音声メッセージが存在することを示す情報を画データに付加するように設定されているか否かを判断する(ステップS4)。設定されている場合には(S4:YES)、音声メッセージが存在することを示す情報、例えば識別子などを画データに付加する(ステップS5)。
【0024】そして、格納しておいた画データを電子メールの添付ファイル形式に変換する(ステップS6)と共に、記録しておいた音声データを電子メールの添付ファイル形式に変換し(ステップS7)、これらの変換後の両データを1つの電子メールとして所定のアドレス先へ送信する(ステップS8)。」

したがって、上記アないしイの記載及び図面から、引用例には、
「インターネットを使用する電子メール機能付ファクシミリ装置であって、スキャナで読み取られた原稿を画データとして出力する読取部と、音声をアナログの音声信号として録音する音声録音器と、該音声録音器で録音された音声信号をディジタル形式の音声データで記録する音声データ記録部と、電子メール形式に変換された原稿の画データ及び音声データをインターネットを介して通信するモデムと、LANを経由したインターネットの電子メール送受信が可能なLAN I/Fと、を備え、読取部で読み取られた画データを電子メールの添付ファイル形式に変換し、共に、音声データ記録部に記録しておいた音声データを電子メールの添付ファイル形式に変換し、これらの変換後の両データを1つの電子メールとして所定のアドレスへ送信する、電子メール機能付ファクシミリ装置」の発明(以下、「引用発明」という。)が開示されていると認めることができる。

(3)対比
引用発明の「画データ」は、スキャナで読み取られた原稿がデータとして出力されたものであって、該データは、ディジタル化されたデータであることは明らかである。そして、一般にファクシミリ装置において読み取り対象となる原稿は、文書であるから、該「画データ」は、本願補正発明のディジタル情報として獲得された「文書データ」に相当する。
引用発明の「インターネットを使用する電子メール機能付ファクシミリ装置」は、電子メールの添付ファイル形式、つまり電子メール形式で画データを送信可能なものであるから、本願補正発明の「電子メール形式で文書データをファクシミリ送信可能なインターネットファクシミリ装置」に相当する。
引用発明の「読取部」は、電子メール形式で送信する文書データをディジタル化したデータとして獲得するものであるから、本願補正発明の「送信対象文書をディジタル情報として獲得する文書データ処理手段」に相当する。
引用発明の「音声録音器」及び「音声データ記録部」は、電子メール形式で送信するディジタル形式の音声データを獲得するものであるから、本願補正発明の「送信対象音声をディジタル情報として獲得する音声データ処理手段」に相当する。
引用発明は、画データを電子メールの添付ファイル形式に変換し、共に、音声データを電子メールの添付ファイル形式に変換し、これらの変換後の両データを1つの電子メールとして所定のアドレスへ送信するものであるから、ディジタル化された文書データ及びディジタル化された音声データを電子メールの添付ファイルの形式に変換する変換手段を有しているといえる。そして、引用例の前掲イ(【0019】)の記載から、引用発明における電子メールの添付ファイル形式に変換することは、MIMEやbase64等の電子メールの送信規格に適合するように変換することである。そうすると、引用発明の該変換手段は、本願補正発明の「ディジタル化された文書データ及びディジタル化された音声データを電子メール送信規格に適合するように変換する信号変換手段」に相当する。
引用例の前掲イ(【0018】)から、引用発明の「モデム」及び「LAN I/F」は、電子メール形式に変換された原稿の画データ及び音声データをインターネットを介して通信するためのものである。そして、通信の際には、いずれか一方を選択して用いるものであること、及び、モデムを使う場合は「電話網を通じてインターネットに送信する通信規約」に基づいて行われ、LANを使う場合は「インターネットに直接送信する通信規約」に基づいて行われることは明らかである。そうすると、引用発明の「モデム」及び「LAN I/F」は、本願補正発明の「電話網を通じてインターネットに送信する通信規約と、電話網を介さずに前記インターネットに直接送信する通信規約とのいずれか一方が選択され、該選択された通信規約により、電子メール送信規格に適合するように変換された文書データ及び音声データを送信する信号送信手段」に相当する。

したがって、本願補正発明と引用発明とは、
「電子メール形式で文書データをファクシミリ送信可能なインターネットファクシミリ装置であって,
送信対象文書をディジタル情報として獲得する文書データ処理手段と,
送信対象音声をディジタル情報として獲得する音声データ処理手段と,
ディジタル化された文書データ及びディジタル化された音声データを電子メール送信規格に適合するように変換する信号変換手段と,
電話網を通じてインターネットに送信する通信規約と,電話網を介さず前記インターネットに直接送信する通信規約とのいずれか一方が選択され,該選択された通信規約により,前記電子メール送信規格に適合するように変換された文書データ及び音声データを送信する信号送信手段とを含む,インターネットファクシミリ装置。」で一致し、次の点で相違している。

[相違点]
本願補正発明は、「ディジタル化された音声データのみを電子メールの形式で送信する」ために、信号変換手段で「ディジタル化された文書データ及びディジタル化された音声データ,またはディジタル化された音声データのみ,のいずれか一方を電子メール送信規格に適合するように変換」し、信号送信手段で「電子メール送信規格に適合するように変換された文書データ及び音声データ,またはディジタル化された音声データのみを送信」しているのに対して、引用発明は、前記「ディジタル化された音声データのみを電子メールの形式で送信する」ための構成を有していない点。

(4)判断
[相違点]について
電子メールの添付ファイルとして音声データのみ用いることは、電子メールの技術分野において慣用技術である。
例えば、特開平11-098298号公報には、「【0016】前記ファクシミリ送信手段は、音声を入力して、該音声を表す前記信号を送信する手段を備え、前記ファクシミリ受信手段は、音声を表す前記信号を受信する手段を備えるものであってもよい。これにより、前記音声を表す前記信号も、前記ファクシミリ送信手段から送信された後、前記電子メールの一部(例えば、前記電子メールの添付ファイル)として、外部のネットワークに送出される。」と記載され、特開平11-234343号公報には、「【0034】したがって,高位レイヤ整合性がファクシミリ装置102である場合,上述の実施の形態1で述べた処理を実行する。また,電話の場合はボイスメールであると判断し,録音可能であることをアナウンスし,送信者のメッセージを録音する。また,音声はディジタル処理(たとえば,WAVフォーマットのファイル化)し,MIME(マルチメディア拡張した電子メールのプロトコル)処理を行い,受信者へ電子メールとして送信する。」と記載されている。
そして、一般に、音声のみによってコミニケーションを図ることは、通信回線を用いたコミニュケーションにおいて普通に行われていることであり、引用発明において、該音声のみによってコミニケーションを図る際には、送信する電子メールの添付ファイルとして、慣用技術である不必要な文書データを省いた、音声データのみを用いること、つまり、「ディジタル化された音声データのみを電子メールの形式で送信する」ことは、当業者が容易に想到できたことである。
さらに、引用発明において、「ディジタル化された音声データのみを電子メールの形式で送信する」ための構成として、信号変換手段で「ディジタル化された文書データ及びディジタル化された音声データ,またはディジタル化された音声データのみ,のいずれか一方を電子メール送信規格に適合するように変換」し、信号送信手段で「電子メール送信規格に適合するように変換された文書データ及び音声データ,またはディジタル化された音声データのみを送信」することは、当業者が実施の際に適宜行うべき設計事項である。
したがって、引用発明において、「ディジタル化された音声データのみを電子メールの形式で送信する」ために、信号変換手段で「ディジタル化された文書データ及びディジタル化された音声データ,またはディジタル化された音声データのみ,のいずれか一方を電子メール送信規格に適合するように変換」し、信号送信手段で「電子メール送信規格に適合するように変換された文書データ及び音声データ,またはディジタル化された音声データのみを送信」することは、当業者が容易に想到できたことである。
そして、本願補正発明の作用効果も、引用発明及び慣用技術から、当業者が予測できる範囲のものである。

したがって、本願補正発明は、引用発明及び慣用技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

(5)むすび
以上のとおり、本件補正は、特許法17条の2第5項で準用する同法126条5項の規定に違反するものであり、同法159条1項で準用する同法53条1項の規定により却下されるべきである。

3.本願発明について
平成17年8月19日付の手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成17年2月28日付手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。
「電子メール形式で文書データをファクシミリ送信可能なインターネットファクシミリ装置であって,
送信対象文書をディジタル情報として獲得する文書データ処理手段と,
送信対象音声をディジタル情報として獲得する音声データ処理手段と,
ディジタル化された文書データ及びディジタル化された音声データ,またはディジタル化された音声データのみを電子メール送信規格に適合するように変換する信号変換手段と,
電話網を通じてインターネットに送信する通信規約と,電話網を介さず前記インターネットに直接送信する通信規約とのいずれか一方が選択され,該選択された通信規約により,前記電子メール送信規格に適合するように変換された文書データ及び音声データ,またはディジタル化された音声データのみを送信する信号送信手段とを含むことを特徴とする,インターネットファクシミリ装置。」

(1)引用例
原査定の拒絶の理由に引用された引用例、及びその記載事項は、前記「2.(2)」に記載したとおりである。

(2)対比・判断
本願発明は、前記「2.」で検討した本願補正発明から「信号変換手段」について具体的な限定を省いたものである。
そうすると、本願発明の構成要件をすべて含み、さらに他の構成要件を付加したものに相当する本願補正発明が、前記「2.(4)」に記載したとおり、引用例に記載された発明及び慣用技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も同様の理由により、引用例に記載された発明及び慣用技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

(3)むすび
以上のとおり、本願発明は、引用例に記載された発明及び慣用技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は、他の請求項について検討するまでもなく、拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2007-08-29 
結審通知日 2007-09-04 
審決日 2007-09-18 
出願番号 特願2002-241844(P2002-241844)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (H04N)
P 1 8・ 121- Z (H04N)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 千葉 輝久  
特許庁審判長 板橋 通孝
特許庁審判官 脇岡 剛
松永 稔
発明の名称 インターネットファクシミリ装置及び情報送信方法  
代理人 亀谷 美明  
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