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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G11B
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G11B
審判 査定不服 4項1号請求項の削除 特許、登録しない。 G11B
審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 特許、登録しない。 G11B
管理番号 1173785
審判番号 不服2004-19986  
総通号数 100 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2008-04-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2004-09-27 
確定日 2008-02-27 
事件の表示 特願2001-331673「DVDオーディオディスクを再生する方法」拒絶査定不服審判事件〔平成14年 6月28日出願公開、特開2002-184111〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯の概要
本件出願(以下、「本願」という。)は、パリ条約による優先権主張(大韓民国、平成9年3月25日(199710330)、平成9年10月9日(199751861))を伴って平成10年3月25日に出願した特願平10-98489号の一部を平成13年9月21日に新たな特許出願としたものであって、平成16年6月22日付けで拒絶査定がなされたところ、平成16年9月27日に拒絶査定不服審判が請求されるとともに、平成16年10月27日付けで明細書の手続補正がなされたものである。

第2 平成16年10月27日付け手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成16年10月27日付け手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
1.本件補正についての補正の内容
本件補正は、明細書の特許請求の範囲についてするもので、本件補正前は、
(a)「【請求項1】 オーディオタイトルセット情報(ATSI)とそれ続く連続したオーディオオブジェクト(AOB)を具備したオーディオタイトル(ATS)を有するとともに、ATSに関する情報を具備したオーディオ管理(AMG)を有するDVDオーディオディスクの再生方法であって、
AMGを読み取って前記ATSの位置データを取得し、
オーディオデコーダを設定して、対応するATSIのオーディオストリームアトリビュートを読み取ることによってATSを再生するためのアルゴリズムを実行し、これによって、
前記ATSIは、オーディオストリームアトリビュートを有し、
各オーディオストリームアトリビュートは、
オーディオ符号化モードと、
再生すべきデータに対応する第1・第2・第3の量子化ビット数と、
再生すべきデータに対応する第1・第2・第3・第4・第5・第6のサンプリング周波数と、
再生すべきデータのオーディオチャネル数に関する復号化アルゴリスム情報とを有し、
前記各AOBは、オーディオストリームアトリビュート中に貯蔵された復号化アルゴリズムに対応するオーディオデータとともに記録されたオーディオパックを有することを特徴とするDVDオーディオディスクの再生方法。
【請求項2】 前記オーディオ符号化モードは、リニアパルスコード変調(PCM)オーディオであるとともに、第1?第3量子化ビット数は、それぞれ16ビット・20ビット・24ビットであり、第1?第6サンプリング周波数は、それぞれ48KHz・96KHz・192KHz・44.1KHz・88.2KHz・176.4KHzである
ことを特徴とする請求項1に記載の再生方法。
【請求項3】 前記オーディオ符号化モードは、圧縮符号化システムであり、圧縮前のオーディオデータの第1?第3量子化ビット数は、それぞれ16ビット・20ビット・24ビットであるとともに、第1?第6サンプリング周波数は、それぞれ48KHz・96KHz・192KHz・44.1KHz・88.2KHz・176.4KHzであることを特徴とする請求項1に記載の再生方法。
【請求項4】 前記第1?第6サンプリング周波数は、100KHz以上の少なくとも2つのサンプリング周波数を有することを特徴とする請求項1に記載の再生方法。
【請求項5】 前記第1?第6サンプリング周波数のうちの2つは、192KHzと176.4KHzであることを特徴とする請求項1に記載の再生方法。
【請求項6】 前記ATSは、AOBのオーディオタイトルセットメニューと、
データのセルを有するAOBのオーディオタイトルセットタイトルとを具備し、複数のセルはAOBであることを特徴とする請求項1に記載の再生方法。
【請求項7】 前記ATSIは、フィールドの値を有し、
前記第1?第6サンプリング周波数は、フィールドの値のうちの二つの対応する状態によって示され、かつ
前記第1?第6サンプリング周波数のうちどれが、二つのフィールドの値の状態からサンプリング周波数であるかを決定することを特徴とする請求項1に記載の再生方法。
【請求項8】 二つのフィールドの値のうちの一つが、前記サンプリング周波数が100KHz以上であるかどうかを示すことを特徴とする請求項7に記載の再生方法。
【請求項9】 二つのフィールドの値のうちの一方が、前記サンプリング周波数が176.4KHzか192KHzの一方であるかどうかを示す
ことを特徴とする請求項7に記載の再生方法。
【請求項10】 二つのフィールドの値のうちの他方が、前記サンプリング周波数が176.4KHzまたは192KHzであることを示す状態を有するとともに、
前記サンプリング周波数の決定は、一つのフィールドの値を検出して前記サンプリング周波数が176.4KHzまたは192KHzのうちの一つであるかどうかを決定するとともに、
他のフィールドの値の状態を検出して前記サンプリング周波数が176.4KHzまたは192KHzであるかどうかを決定することを特徴とする請求項9に記載の再生方法。
【請求項11】 二つのフィールドの値のうちの第1のものは、第1または第2の状態を有し、
第1の状態は、サンプリング周波数が44.1KHz・88.2KHz・176.4KHzのうちのいずれかであることを示し、
第2の状態は、サンプリング周波数が48KHz・96KHz・192KHzのいずれかであることを示すことを特徴とする請求項7に記載の再生方法。
【請求項12】 二つのフィールドの値のうちの第2のものは、三つの状態を有し、
サンプリング周波数の決定は、第1のフィールドの値のうちの第1または第2の状態を検出することによりサンプリング周波数が44.1KHz・88.2KHz・176.4KHzのうちの一つか、または48KHz・96KHz・192KHzのうちの一つであるかどうかを決定するとともに、
第2のフィールドの値の三つの状態を検出することによりサンプリング周波数が176.4KHzまたは196KHzであるかどうかを決定する
ことを特徴とする請求項11に記載の再生方法。
【請求項13】 読み取られたAMGから発見されたATSの指定された一つを検出し、
指定されたATSの符号化フォーマットを決定するとともに、対応する復号化フォーマットを選択し、かつ
決定された復号化フォーマットを使用して指定されたATSを再生することを特徴とする請求項1に記載の再生方法。
【請求項14】 指定されたATSの再生は、
オーディオ復号化部により指定されたATSのオーディオデータを復号化し、
オーディオ復号化部の動作状態を決定し、
オーディオ復号化部を使用してオーディオデータを復号化し、
オーディオ復号化部の動作状態を確認し、
動作状態が正常であれば、復号化されたオーディオを出力し、
動作状態が異常であれば、オーディオ復号化部の動作を停止し、オーディオデータ上で治癒アルゴリズムを実行し、オーディオ復号化部の動作を再開することを特徴とする請求項13に記載の再生方法。
【請求項15】 オーディオタイトルセット情報(ATSI)とそれ続く連続したオーディオオブジェクト(AOB)を具備したオーディオタイトル(ATS)を有するとともに、ATSに関する情報を具備したオーディオ管理(AMG)を有するDVDオーディオディスクの再生方法であって、
AMGを読み取って前記ATSの位置データを取得し、
オーディオデコーダを設定して、対応するATSIのオーディオストリームアトリビュートを読み取ることによってATSを再生するためのアルゴリズムを実行し、
六つのサンプリング周波数を示すことが可能なATSIから再生すべきデータのサンプリング周波数を検出し、
オーディオ符号化モードと、再生すべきデータの量子化ビットと、再生すべきデータのオーディオチャネル数に関する復号化アルゴリスム情報とをATSIから検出し、
検出されたサンプリング周波数と、オーディオ符号化モードと、量子化ビットと、復号化アルゴリズムとに基づいてAOB中に含まれているオーディオデータを再生することを特徴とするDVDオーディオディスクの再生方法。
【請求項16】 前記ATSIは、フィールドの値を有し、第1?第6サンプリング周波数は、フィールドの値のうちの二つの対応する状態によって示され、
サンプリング周波数の検出は、第1?第6サンプリング周波数のうちのどれが、二つのフィールドの値の状態からのサンプリング周波数であるかどうかを決定することを特徴とする請求項15に記載の再生方法。
【請求項17】 二つのフィールドの値のうちの一つは、サンプリング周波数が100KHz以上であるかどうかを示すことを特徴とする請求項16に記載の再生方法。
【請求項18】 二つのフィールドの値のうちの一つは、サンプリング周波数が176.4KHzまたは192KHzのうちの一つであるかどうかを示すことを特徴とする請求項16に記載の再生方法。
【請求項19】 二つのフィールドの値のうちの他方は、サンプリング周波数が176.4KHzまたは192KHzであることを示す状態を有するとともに、
サンプリング周波数の決定は、一方のフィールドの値を検出することによりサンプリング周波数が176.4KHzまたは192KHzのうちの一つであるかどうかを決定し、かつ
他方のフィールドの値の状態を検出することによりサンプリング周波数が176.4KHzまたは192KHzであるかどうかを決定することを特徴とする請求項18に記載の再生方法。
【請求項20】 二つのフィールドの値の第1のものは、第1の状態と第2の状態とを有し、
第1の状態は、サンプリング周波数が44.1KHz・88.2KHz・176.4KHzのうちの一つであることを示し、かつ
第2の状態は、サンプリング周波数が48KHz・96KHz・192KHzのうちの一つであることを示す
ことを特徴とする請求項16に記載の再生方法。
【請求項21】 二つのフィールドの値のうちの第2のものは、三つの状態を有し、
サンプリング周波数の決定は、第1のフィールドの値の第1または第2状態を検出することによりサンプリング周波数は44.1KHz・88.2KHz・176.4KHzのうちの一つであるか、またはサンプリング周波数が48KHz・96KHz・192KHzのうちの一つであるかを決定するとともに、
第2のフィールドの値の三つの状態のうちの一つを検出することによりサンプリング周波数が176.4KHzまたは192KHzであるかどうかを決定することを特徴とする請求項20に記載の再生方法。」

というものであったところ、

(b)「【請求項1】 オーディオオブジェクト(AOB)が連続連結されるオーディオタイトルセット情報(ATSI)を有するオーディオタイトル(ATS)を含み、ATSに関する情報を有するオーディオ管理(AMG)を含むDVDオーディオディスクの再生方法であって、
前記ATSの位置データを把握するためにAMGを読み出す過程と、
前記ATSIに応じてオーディオストリームアトリビュートを読み出すことによって、ATSを再生するためのアルゴリスムを実行するためにオーディオデコーダを設定する過程と、
前記ATSIは、オーディオストリームアトリビュートを含み、
各オーディオストリームアトリビュートは、
リニアパルスコード変調(PCM)オーディオであるオーディオ符号化モードと、
再生すべきデータに対応する16・20・24ビット数と、
再生すべきデータに対応する48KHz・96KHz・192KHz・44.1KHz・88.2KHz・176.4KHzであるサンプリング周波数と、
再生すべきデータのオーディオチャネル数に関する復号化アルゴリスム情報とを有し、
前記各AOBは、オーディオストリームアトリビュートに貯蔵された復号化アルゴリズムに対応するオーディオデータとともに記録されたオーディオパックを含むことを特徴とするDVDオーディオディスクの再生方法。
【請求項2】 前記オーディオ符号化モードは、圧縮符号化システムであることを特徴とする請求項1に記載の再生方法。
【請求項3】 前記ATSは、AOBのオーディオタイトルセットメニューと、
データのセルを有するAOBのオーディオタイトルセットタイトルとを具備し、複数のセルはAOBを有することを特徴とする請求項1に記載の再生方法。
【請求項4】 前記ATSIは、フィールドの値を有し、
前記サンプリング周波数は、フィールドの値のうちの二つの対応する状態によって示され、かつ
二つのフィールドの値の状態から前記サンプリング周波数のうちいずれかがサンプリング周波数であるかを決定することを特徴とする請求項1に記載の再生方法。
【請求項5】 二つのフィールドの値のうちの一つが、前記サンプリング周波数が100KHz以上であるかどうかを示すことを特徴とする請求項4に記載の再生方法。
【請求項6】 二つのフィールドの値のうちの一方が、前記サンプリング周波数が176.4KHzか192KHzの一方であるかどうかを示すことを特徴とする請求項4に記載の再生方法。
【請求項7】 二つのフィールドの値のうちの他方が、前記サンプリング周波数が176.4KHzまたは192KHzであることを示す状態を有するとともに、
前記サンプリング周波数の決定は、一つのフィールドの値を検出して前記サンプリング周波数が176.4KHzまたは192KHzのうちの一つであるかどうかを決定するとともに、
他のフィールドの値の状態を検出して前記サンプリング周波数が176.4KHzまたは192KHzであるかどうかを決定することを特徴とする請求項6に記載の再生方法。
【請求項8】 二つのフィールドの値のうちの第1のものは、第1または第2の状態を有し、
第1の状態は、サンプリング周波数が44.1KHz・88.2KHz・176.4KHzのうちのいずれかであることを示し、
第2の状態は、サンプリング周波数が48KHz・96KHz・192KHzのいずれかであることを示すことを特徴とする請求項4に記載の再生方法。
【請求項9】 二つのフィールドの値のうちの第2のものは、三つの状態を有し、
サンプリング周波数の決定は、第1のフィールドの値のうちの第1または第2の状態を検出することによりサンプリング周波数が44.1KHz・88.2KHz・176.4KHzのうちの一つか、または48KHz・96KHz・192KHzのうちの一つであるかどうかを決定するとともに、
第2のフィールドの値の三つの状態を検出することによりサンプリング周波数が176.4KHzまたは196KHzであるかどうかを決定することを特徴とする請求項8に記載の再生方法。
【請求項10】 読み取られたAMGから発見されたATSの指定された一つを検出し、
指定されたATSの符号化フォーマットを決定するとともに、対応する復号化フォーマットを選択し、かつ
決定された復号化フォーマットを使用して指定されたATSを再生することを特徴とする請求項1に記載の再生方法。
【請求項11】 指定されたATSの再生は、
オーディオ復号化部により指定されたATSのオーディオデータを復号化し、
オーディオ復号化部の動作状態を決定し、
オーディオ復号化部を使用してオーディオデータを復号化し、
オーディオ復号化部の動作状態を確認し、
動作状態が正常であれば、復号化されたオーディオを出力し、
動作状態が異常であれば、オーディオ復号化部の動作を停止し、オーディオデータ上で治癒アルゴリズムを実行し、オーディオ復号化部の動作を再開することを特徴とする請求項10に記載の再生方法。」

と補正するものである。なお、下線は当審で付与した。

本件補正は、請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である「オーディオストリームアトリビュート」について上記(b)下線部分の限定を付加するものであって、平成18年改正前特許法第17条の2第4項第2号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
また、本件補正は、補正前の請求項2,4,5,15?21を削除するものであって、平成18年改正前特許法第17条の2第4項第1号に規定する請求項の削除を目的とするものに該当する。

そこで、補正後における特許請求の範囲の請求項1に記載されている事項により特定される発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(平成18年改正前特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するか)について以下に検討する。

ところで、補正後における特許請求の範囲の請求項1に記載された「再生すべきデータに対応する16・20・24ビット数」であるが、「16・20・24ビット数」が「再生すべきデータに対応する」何に関する「ビット数」を表すのか明りょうでない。一方、明細書(特に段落【0019】?【0022】【0033】?【0035】)及び図面(特に第8,20図)の記載を参酌すると、上記「16・20・24ビット数」は「再生すべきデータ」の量子化ビット数を表している。よって、上記請求項1の上記記載は、「再生すべきデータに対応する16・20・24ビット数である量子化ビット数」として本願補正発明を認定することとする。

また、本願補正発明の優先権主張の効果に関し、パリ条約による優先権主張に係る第一国出願として示された2件のうちの一方である、大韓民国において平成9年3月25日に特許出願された199710330の明細書及び図面と同様の内容を有する優先権証明書には、サンプリング周波数が6種類あること及びサンプリング周波数が48KHz、96KHz、192KHz、44.1KHz、88.2KHz、176.4KHzのいずれか一つであることについて記載されていないことから、本願補正発明については、上記第一国出願として示された2件のうちの他方である、大韓民国において平成9年10月9日(以下、「優先日」という。)に特許出願された199751861による優先権主張の効果が及ぶものである。

2.引用例
原査定の拒絶の理由で引用された、本願の優先日前である平成8年12月17日に頒布された刊行物である特開平8-336103号公報(以下、「引用例」という。)には、再生データの属性情報を再生データとともに記録した記録媒体からその属性情報を利用して再生データを適切に再生する方法に関して図面とともに次の技術事項が記載されている。なお、下線は当審で付与した。

(ア)「【請求項93】ビデオデータ及びオーディオデータの少なくとも一方を含む再生データが格納されている再生データ領域と前記格納されている再生データ自体に関する管理情報及び再生データの再生手順に関する再生情報が記述され再生情報領域であって、前記管理情報は、ビデオデータ及びオーディオデータの前記一方の再生データを再生信号に変換する為に必要な固有の属性に関する情報を含む再生情報領域とを有する記録媒体から再生データを再生する方法において、
再生情報領域から再生データの再生に先だって再生情報を検索して固有の属性情報を獲得する工程と、
属性情報に適した再生条件で再生データを再生信号に変換する工程と、
を具備することを特徴とする再生方法。
…(中略)…
【請求項102】前記属性情報は、オーディオデータのオーディオコーディングモードに関する情報を含み、変換工程では、オーディオデータがこのコーディングモードに従ってデコードされることを特徴とする請求項93に記載の再生方法。
…(中略)…
【請求項107】前記属性情報は、オーディオデータの量子化ビット数に関する情報を含み、変換工程では、オーディオデータがこの量子化ビット数に従ってデコードされることを特徴とする請求項93に記載の再生方法。
【請求項108】前記属性情報は、オーディオデータのサンプリング周波数に関する情報を含み、変換工程では、オーディオデータをこのサンプリング周波数に従ってデコードされることを特徴とする請求項93に記載の再生方法。
【請求項109】前記属性情報は、オーディオデータのオーディオチャネル数に関する情報を含み、変換工程では、オーディオデータをこのオーディオチャネル数内で選定される数に対応するオーディオチャネル信号に変換されることを特徴とする請求項93に記載の再生方法。
…(中略)…
【請求項117】前記属性情報は、オーディオデータのマルチチャンネルオーディオストリームに関する情報を含み、変換工程では、オーディオデータをマルチチャンネルオーディオストリームの属性に従ってデコードされることを特徴とする請求項93に記載の再生方法。
【請求項118】前記属性情報は、オーディオデータのマルチチャンネルオーディオストリームに関する情報を含み、変換工程は、オーディオデータをマルチチャンネルオーディオストリームの属性に従ってミキシングするミキシング工程を含むことを特徴とする請求項93に記載の再生方法。」

(イ)「【0010】この発明の目的は、種別の異なる複数のデータが記録されているディスクにおいて、それぞれのデータ属性に従った最適な再生形態を再生システムに設定することができる光ディスクを提供するにある。」

(ウ)「【0014】
【課題を解決するための手段】…(略)…
【0017】また、更に、この発明によれば、再生情報領域から再生データの再生に先だって再生情報を検索して固有の属性情報を獲得する工程と、属性情報に適した再生条件で再生データを再生信号に変換する工程と、変換された再生信号を再生する再生工程と、を具備し、ビデオデータ及びオーディオデータの少なくとも一方を含む再生データが格納されている再生データ領域と前記格納されている再生データ自体に関する管理情報及び再生データの再生手順に関する再生情報が記述され再生情報領域であって、前記管理情報は、ビデオデータ及びオーディオデータの前記一方の再生データを再生信号に変換する為に必要な固有の属性に関する情報を含む再生情報領域とを有する記録媒体から再生データを再生する方法が提供される。」

(エ)「【0034】図1に示される光ディスク10のリードインエリア27からリードアウトエリア26までのデータ記録領域28は、図4に示されるようなボリューム及びファイル構造を有している。…(後略)…
【0035】図4に示されるようにこのボリューム及びファイル構造は、階層構造を有し、ボリューム及びファイル構造領域70、ビデオマネージャー(VMG)71、少なくとも1以上のビデオタイトルセット(VTS)72及び他の記録領域73を有している。これらの領域は、論理セクタの境界上で区分されている。…(後略)…
【0036】…(前略)…ビデオマネージャー71には、図5を参照して説明するようにビデオタイトルセットを管理する情報が記述され、ファイル#0から始まる複数のファイル74から構成されている。また、各ビデオタイトルセット(VTS)72には、後に説明するように圧縮されたビデオデータ、オーディオデータ及び副映像データ及びこれらの再生情報が格納され、同様に複数のファイル74から構成されている。…(後略)…」

(オ)「【0038】図5に示すようにビデオマネージャー71は、夫々が各ファイル74に相当する3つの項目を含んでいる。即ち、ビデオマネージャー71は、ビデオマネージャー情報(VMGI)75、ビデオマネージャーメニューの為のビデオオブジェクトセット(VMGM_VOBS)76及びビデオマネージャー情報のバックアップ(VMGI_BUP)77から構成されている。…(中略)…このVMGM用のビデオオブジェクトセット(VMGM_VOBS)76には、ビデオマネージャー71が管理する当該光ディスク中のボリュームに関するメニューのビデオデータ、オーディオデータ及び副映像データが格納されている。」

(カ)「【0040】ここで、図6を参照してビデオオブジェクトセット(VOBS)82の構造について説明する。図6は、ビデオオブジェクトセット(VOBS)82の一例を示している。このビデオオブジェクトセット(VOBS)82には、2つのメニュー用及びタイトル用として3つのタイプのビデオオブジェクトセット(VOBS)76、95、96がある。即ち、ビデオオブジェクトセット(VOBS)82は、後に説明するようにビデオタイトルセット(VTS)72中にビデオタイトルセットのメニュー用ビデオオブジェクトセット(VTSM_VOBS)95及び少なくとも1つ以上のビデオタイトルセットのタイトルの為のビデオオブジェクトセット(VTSTT_VOBS)96があり、いずれのビデオオブジェクトセット82もその用途が異なるのみで同様の構造を有している。
【0041】図6に示すようにビデオオブジェクトセット(VOBS)82は、1個以上のビデオオブジェクト(VOB)83の集合として定義され、ビデオオブジェクトセット(VOBS)82中のビデオオブジェクト83は、同一の用途の供される。通常、メニュー用のビデオオブジェクトセット(VOBS)82は、1つのビデオオブジェクト(VOB)83で構成され、複数のメニュー用の画面を表示するデータが格納される。これに対してタイトルセット用のビデオオブジェクトセット(VTSTT_VOBS)82は、通常、複数のビデオオブジェクト(VOB)83で構成される。」

(キ)「【0043】ビデオオブジェクト(VOB)83には、識別番号(IDN#j)が付され、この識別番号によってそのビデオオブジェクト(VOB)83を特定することができる。ビデオオブジェクト(VOB)83は、1又は複数のセル84から構成される。通常のビデオストリームは、複数のセルから構成されることとなるが、メニュー用のビデオストリーム、即ち、ビデオオブジェクト(VOB)83は、1つのセル84から構成される場合もある。同様にセルには、識別番号(C_IDN#j)が付され、このセル識別番号(C_IDN#j)によってセル84が特定される。
【0044】図6に示すように各セル84は、1又は複数のビデオオブジェクトユニット(VOBU)85、通常は、複数のビデオオブジェクトユニット(VOBU)85から構成される。ここで、ビデオオブジェクトユニット(VOBU)85は、1つのナビゲーションパック(NVパック)86を先頭に有するパック列として定義される。即ち、ビデオオブジェクトユニット(VOBU)85は、あるナビゲーションパック86から次のナビゲーションパックの直前まで記録される全パックの集まりとして定義される。このビデオオブジェクトユニット(VOBU)の再生時間は、ビデオオブジェクトユニット(VOBU)中に含まれる単数又は複数個のGOPから構成されるビデオデータの再生時間に相当し、その再生時間は、0.4秒以上であって1秒より大きくならないように定められる。MPEGでは、1GOPは、通常0.5秒であってその間に15枚程度の画像が再生する為の圧縮された画面データであると定められている。」

(ク)「【0045】図6に示すようにビデオオブジェクトユニットがビデオデータを含む場合には、MPEG規格に定められたビデオパック(Vパック)88、副映像パック(SPパック)90及びオーディオパック(Aパック)91から構成されるGOPが配列されてビデオデータストリームが構成されるが、このGOPの数とは、無関係にGOPの再生時間を基準にしてビデオオブジェクトユニット(VOBU)85が定められ、その先頭には、常にナビゲーションパック(NVパック)86が配列される。また、オーディオ及び/又は副映像データのみの再生データにあってもこのビデオオブジェクトユニットを1単位として再生データが構成される。即ち、オーディオパックのみでビデオオブジェクトユニットが構成されても、ビデオデータのビデオオブジェクトと同様にそのオーディオデータが属するビデオオブジェクトユニットの再生時間内に再生されるべきオーディオパックがそのビデオオブジェクトユニットに格納される。」

(ケ)「【0046】再び図5を参照してビデオマネージャー71について説明する。ビデオマネージャー71の先頭に配置されるビデオ管理情報75は、そのビデオマネージャー自体の情報、タイトルをサーチする為の情報、ビデオマネージャーメニューの再生の為の情報、及びビデオタイトルの属性情報の等のビデオタイトルセット(VTS)72を管理する情報が記述され、図5に示す順序で3つのテーブル78、79、80が記録されている。この各テーブル78、79、80は、論理セクタの境界に一致されている。第1のテーブルであるビデオ管理情報管理テーブル(VMGI_MAT)78は、必須のテーブルであってビデオマネージャー71のサイズ、このビデオマネージャー71中の各情報のスタートアドレス、ビデオマネージャーメニュー用のビデオオブジェクトセット(VMGM_VOBS)76のスタートアドレス及びその属性情報等が記述されている。後に詳述するようにこの属性情報には、ビデオの属性情報、オーディオの属性情報及び副映像の属性情報があり、これらの属性情報によってデコーダ58、60、62のモードが変更され、ビデオオブジェクトセット(VMGM_VOBS)76が適切なモードで再生される。
【0047】また、ビデオマネージャー71の第2のテーブルであるタイトルサーチポインターテーブル(TT_SRPT)79には、装置のキー及び表示部4からのタイトル番号の入力に応じて選定可能な当該光ディスク10中のボリュームに含まれるビデオタイトルセットのスタートアドレスが記載されている。
【0048】ビデオマネージャー71の第3のテーブルであるビデオタイトルセット属性テーブル(VTS_ATRT)80には、当該光ディスクのボリューム中のビデオタイトルセット(VTS)72に定められた属性情報が記載される。即ち、属性情報としてビデオタイトルセット(VTS)72の数、ビデオタイトルセット(VTS)72の番号、ビデオの属性、例えば、ビデオデータの圧縮方式等、オーディオストリームの属性、例えば、オーディオの符号化モード等、副映像の属性、例えば、副映像の表示タイプ等がこのテーブルに記載されている。」

(コ)「【0070】次に、図4に示されたビデオタイトルセット(VTS)72の論理フォーマットの構造について図21を参照して説明する。各ビデオタイトルセット(VTS)72には、図21に示すようにその記載順に4つの項目94、95、96、97が記載されている。また、各ビデオタイトルセット(VTS)72は、共通の属性を有する1又はそれ以上のビデオタイトルから構成され、このビデオタイトル72についての管理情報、例えば、ビデオオブジェクトセット96を再生する為の情報、タイトルセットメニュー(VTSM)を再生する為の情報及びビデオオブジェクトセット72の属性情報がビデオタイトルセット情報(VTSI)に記載されている。
【0071】このビデオタイトルセット情報(VTSI)94のバックアップ97がビデオタイトルセット(VTS)72に設けられている。ビデオタイトルセット情報(VTSI)94とこの情報のバックアップ(VTSI_BUP)97との間には、ビデオタイトルセットメニュー用のビデオオブジェクトセット(VTSM_VOBS)95及びビデオタイトルセットタイトル用のビデオオブジェクトセット(VTSTT_VOBS)96が配置されている。いずれのビデオオブジェクトセット(VTSM_VOBS及びVTSTT_VOBS)95、96は、既に説明したように図6に示す構造を有している。
【0072】ビデオタイトルセット情報(VTSI)94、この情報のバックアップ(VTSI_BUP)97及びビデオタイトルセットタイトル用のビデオオブジェクトセット(VTSTT_VOBS)96は、ビデオタイトルセット72にとって必須の項目され、ビデオタイトルセットメニュー用のビデオオブジェクトセット(VTSM_VOBS)95は、必要に応じて設けられるオプションとされている。」

(サ)「【0073】ビデオタイトルセット情報(VTSI)94は、図21に示すように7つのテーブル98、99、100、101、111、112、113から構成され、この7つのテーブル98、99、100、101、111、112、113は、論理セクタ間の境界に一致されている。第1のテーブルであるビデオタイトルセット情報管理テーブル(VTSI_MAT)98は、必須のテーブルであってビデオタイトルセット(VTS)72のサイズ、ビデオタイトルセット(VTS)72中の各情報の開始アドレス及びビデオタイトルセット(VTS)72中のビデオオブジェクトセット(VOBS)82の属性が記述されている。」

(シ)「【0080】図22は、ビデオタイトル情報マネージャーテーブル(VTSI_MAT)98の記述内容を示している。このテーブル(VTSI_MAT)98には、記載順に、ビデオタイトルセット識別子(VTS_ID)、ビデオタイトルセット72のサイズ(VTS_SZ)、このDVDビデオ規格のバージョン番号(VERN)、ビデオタイトルセット72のカテゴリー(VTS_CAT)が記載されるとともにこのビデオタイトル情報マネージャーテーブル(VTSI_MAT)98の終了アドレス(VTSI_MAT_EA)が記載されている。…(後略)…
【0081】…(略)…
【0082】…(前略)…同様にこのテーブル(VTSI_MAT)98には、ビデオタイトルセット(VTS)72中のビデオタイトルセット(VTS)のタイトル(VTSTT)の為のビデオオブジェクトセット(VTST_VOBS)96のビデオ属性(VTS_V_ATR)、オーディオストリーム数(VTS_AST_Ns)並びにそのオーディオストリーム属性(VTS_AST_ATR)、副映像ストリーム数(VTS_SPST_Ns)及びその副映像ストリーム属性(VTS_SPST_ATR)が記述されている。更に、ビデオタイトルセット(VTS)のマルチチャンネルオーディオストリームの属性(VTS_MU_AST_ATR)がこのテーブル(VTSI_MAT)98に記述されている。」

(ス)「【0086】…(前略)…ビデオタイトルセットタイトル(VTST)のオーディオストリームの属性(VTS_AST_ATR)には、図23に示されるようにビット番号b63からビット番号b48にオーディオコーディングモード、マルチチャンネルの拡張、オーディオタイプ、オーディオのアプリケーションID、量子化、サンプリング周波数及びオーディオチャネルの数が記述され、ビット番号b47からビット番号b40及びビット番号b39からビット番号b32には、特定コードが記述され、ビット番号b31からビット番号b24には、特定コードの為の予約が設けられている。また、ビット番号b23からビット番号b8は、今後の為に予約として空けられ、ビット番号b8からビット番号b0には、応用情報が記述されている。」

(セ)「【0087】VTSM及びVTSTのオーディオストリームの属性(VTSM_AST_ATR,VTS_AST_ATR)のいずれにおいてもオーディオコーディングモードは、ビット番号b63、b62、b61に記述されている。このオーディオコーディングモードに“000”が記述される場合には、ドルビーAC-3 (Dolby Labratories Licensing Corporation の商標) でオーディオデータがコード化されていることを意味し、オーディオコーディングモードに“010”が記述される場合には、拡張ビットストリーム無しにMPEG-1或いはMPEG-2でオーディオデータが圧縮されていることを意味している。また、オーディオコーディングモードに“011”が記述される場合には、拡張ビットストリームを備えてMPEG-2でオーディオデータが圧縮されていることを意味し、オーディオコーディングモードに“100”が記述される場合には、リニアPCMでオーディオデータがコード化されていることを意味している。オーディオデータについては、他の記述は、今後の為の予約とされている。…(中略)…VTSTのオーディオストリームの属性(VTS_AST_ATR)のオーディオコーディングモードにおいてビット番号b60には、マルチチャンネルの拡張が記述されるが、このビット番号b60が“0”である場合には、オーディオストリームに関係したVTSのマルチチャンネルオーディオストリーム属性(VTS_MU_AST_ATR)が無効である旨を意味し、このビット番号b60が“1”である場合には、オーディオストリームに関係したVTSのマルチチャンネルオーディオストリーム属性(VTS_MU_AST_ATR)にリンクさせる旨を意味している。」

(ソ)「【0088】…(前略)…オーディオデータの量子化に関しては、ビット番号b55及びb54に記述され、ビット番号b55及びb54にが“00”の場合は、16ビットで量子化されたオーディオデータであることを意味し、ビット番号b55及びb54にが“01”の場合は、20ビットで量子化されたオーディオデータであることを意味し、ビット番号番号b55及びb54にが“10”の場合は、24ビットで量子化されたオーディオデータであることを意味し、ビット番号番号b55及びb54にが“11”の場合は、特定せずとされている。ここで、オーディオコーディングモードがリニアPCM(ビット番号b63、b62、b61が“100”)に設定されている場合には、量子化を特定せず( ビット番号b55、b54が“11”) が記述される。オーディオデータのサンプリング周波数Fs に関しては、ビット番号b69及びb68(当審注:図23では、サンプリング周波数Fsはビット番号b53及びb52に記述されており、当該段落の『b69及びb68』は、『b53及びb52』の誤記と認める。)に記述され、サンプリング周波数Fs が48kHzである場合には、“00”が記述され、サンプリング周波数Fs が96kHzである場合には、“01”が記述され、その他は予約とされている。」

(タ)「【0089】オーディオチャネル数に関しては、ビット番号b50からb48に記述され、ビット番号b50、b49、b48にが“000”である場合には、1チャンネル(モノラル)であることを意味し、ビット番号b50、b49、b48が“001”である場合には、2チャンネル(ステレオ)であることを意味している。また、ビット番号b50、b49、b48が“010”である場合には、3チャンネルであることを意味し、ビット番号b50、b49、b48が“011”である場合には、4チャンネルであることを意味し、ビット番号b50、b49、b48が“100”である場合には、5チャンネルであることを意味し、ビット番号b50、b49、b48が“101”である場合には、6チャンネルであることを意味し、ビット番号番号b50、b49、b48が“110”である場合には、7チャンネルであることを意味し、ビット番号b50、b49、b48が“111”である場合には、8チャンネルであることを意味している。ここで、3チャネル以上がマルチチャネルとされる。…(後略)…」

(チ)「【0090】VTSオーディオストリームの数(VTS_AST_Ns)は、0から8の間で設定される。この為、設定可能なストリーム数に対応して8個のVTSオーディオストリームの属性(VTS_AST_ATR)が用意されている。即ち、VTSオーディオストリーム#0からVTSオーディオストリーム#7までのVTSオーディオストリーム属性(VTS_AST_Ns)の領域が設けられ、VTSオーディオストリームが8個よりも少なく、対応するオーディオストリームがない場合には、ないオーディオストリームに対応する図22に示すVTSオーディオストリーム属性(VTS_AST_Ns)の記述は、全てのビットが“0”となる。」

(ツ)「【0096】ビデオタイトルセット(VTS)のマルチチャンネルオーディオストリームの属性(VTS_MU_AST_ATR)には、マルチチャネルオーディオストリーム#0からマルチチャネルオーディオストリーム#7までの属性情報が記述されている。各マルチチャネルオーディオストリーム属性(VTS_MU_AST_ATR)には、オーディオチャネルの内容(カラオケ或いはサラウンド等)、オーディオミキシングの方式等が記述される。」

(テ)「【0109】図6を参照して説明したようにセル84は、ビデオオブジェクトユニット(VOBU)85の集合とされ、ビデオオブジェクトユニット(VOBU)85は、ナビゲーション(NV)パック86から始まるパック列として定義される。従って、セル84中の最初のビデオオブジェクトユニット(VOBU)85のスタートアドレス(C_FVOBU_SA)は、NVパック86のスタートアドレスを表すこととなる。このNVパック86は、図35に示すようにパックヘッダ110、システムヘッダ111及びナビゲーションデータとしての2つのパケット、即ち、再生(presentation)制御情報(PCI)パケット116及びデータサーチ情報(DSI)パケット117から成る構造を有し、図35に示すようなバイト数が各部に付り当てられ、1パックが1論理セクタに相当する2048バイトに定められている。また、このNVパックは、そのグループオブピクチャー(GOP)中の最初のデータが含まれるビデオパックの直前に配置されている。オブジェクトユニット85がビデオパックを含まない場合であってもNVパックがオーディオパック又は/及び副映像パックを含むオブジェクトユニットの先頭に配置される。…(後略)…
【0110】 …(略)…
【0111】他のビデオ、オーディオ、副映像パック88、90、91は、図36に示すようにMPEG2のシステムレーヤに定められると同様にパックヘッダ120、パケットヘッダ121及び対応するデータが格納されたパケット122から構成され、そのパック長は、2048バイトに定められている。これらの各パックは、論理ブロックの境界に一致されている。」

(ト)「【0117】次に、上述したビデオデータ属性(VMGM_V_ATR,VTSM_V_ATR,VTS_V_ATR)、オーディオデータ属性(VMGM_AST_ATR,VTSM_AST_ATR,VTS_AST_ATR)、副映像データ属性(VMGM_SPST_ATR,VTSM_SPST_ATR,VTS_SPST_AT)に応じてビデオデコーダ部58、オーディオデコーダ部60、副映像デコーダ部62、D/A&再生処理部64が適切にセットされることができる回路構成について次に説明する。
【0118】…(略)…
【0119】オーディオデコーダ部60は、図43に示すようにレジスタ60A 、セレクタ60B、MPEG1デコーダ60C、AC3デコーダ60D、及びPCMデコーダ60E 、により構成されている。図43に示す回路においては、システムCPU部50からシステムプロセッサ部54を介して供給されるオーディオデータ属性(VMGM_AST_ATR,VTSM_AST_ATR,VTS_AST_ATR)に対応した制御信号がレジスタ60Aによって保持され、その出力はセレクタ60Bに出力される。セレクタ60Bは、システムプロセッサ部54から供給されるオーディオデータをレジスタ60Aからの出力に応じてMPEG1デコーダ60C、AC3デコーダ60D、或いは、PCMデコーダ60Eに選択的に出力される。、MPEG1デコーダ60Cが選択される場合には、セレクタ60BからのオーディオデータがMPEG1デコーダ60CによってMPEG1の符号化方式でデコードされる。AC3デコーダ60Dが選択される場合には、セレクタ60Bからのオーディオデータは、AC3デコーダ60DによってAC3の符号化方式でデコードされる。PCMデコーダ60Eが選択される場合には、セレクタ60BからのディジタルのオーディオデータがPCMデコーダ60Eによってアナログのオーディオデータにデコードされる。MPEG1デコーダ60C、AC3デコーダ60D、或いは、PCMデコーダ60Eからのデコーダ出力は、オーディオデコーダ部60のデコーダ出力としてD/A&再生処理部64内の後述するオーディオ再生処理部202へ出力される。」

(ナ)「【0128】図1に示される光ディスク装置においては、電源が投入され、光ディスク10が装填されると、…(中略)…リードイン領域27に続く、ISOー9660等に準拠してボリュームとファイル構造を規定したボリューム及びファイル構造領域70が読み出される。即ち、…(中略)…ボリューム及びファイル構造領域70の内容を読み出し、システムプロセッサ部54を介して、データRAM部56に一旦格納する。システムCPU部50は、データRAM部56に格納されたパステーブル及びディレクトリレコードを介して各ファイルの記録位置や記録容サイズ等の情報やその他管理に必要な情報としての管理情報を抜き出し、システム用ROM&RAM部52の所定の場所に転送し、保存する。
【0129】次に、システムCPU部50は、システム用ROM&RAM部52から各ファイルの記録位置や記録容量の情報を参照してファイル番号0番から始まる複数ファイルから成るビデオマネージャー71を取得する。即ち、システムCPU部50は、システム用ROM及びRAM部52から取得した各ファイルの記録位置や記録容量の情報を参照してディスクドライブ部30に対してリード命令を与え、ルートディレクトリ上に存在するビデオマネージャー71を構成する複数ファイルの位置及びサイズを取得し、このビデオマネージャー71を読み出し、システムプロセッサ部54を介して、データRAM部56に格納する。
【0130】このビデオマネージャー71の第1番目のテーブルであるビデオマネージャー情報管理テーブル(VMGI_MAT)78がサーチされる。…(中略)…ビデオマネージャー情報管理テーブル(VMGI_MAT)がサーチされてタイトルセットサーチポインタテーブル(TT_SRPT)79の開始アドレス、(TT_SRPT_SA)がサーチされる。…(略)…
【0131】このサーチによってタイトルセットサーチポインタテーブル(TT_SRPT)79がシステム用ROM&RAM部52の所定の場所に転送され、保存される。…(中略)…タイトルサーチポインタ(TT_SRP)93から…(中略)…ビデオタイトルセットのスタートアドレス(VTS_SA)が獲得される。…(中略)…このタイトルセットのスタートアドレス(VTS_SA)からシステムCPU部50は、目的のタイトルセットを獲得することとなる。
【0132】次に、図15に示すビデオタイトルセット72のスタートアドレス(VTS_SA)から図21に示すようにそのタイトルセットのビデオタイトルセット情報(VTSI)94が獲得される。このビデオタイトルセット情報(VTSI)94のビデオタイトルセット情報の管理テーブル(VTSI_MAT)98から図22に示すビデオタイトルセット情報管理テーブル(VTSI_MAT)98の終了アドレス(VTI_MAT_EA)が獲得される。また、オーディオ及び副映像データのストリーム数(VTS_AST_Ns、VTS_SPST_Ns)及びビデオ、オーディオ及び副映像データの属性情報(VTS_V_ATR,VTS_A_ATR,VTS_SPST_ATR)に基づいて図1に示される再生装置の各部がその属性に従って設定される。…(略)…」

(ニ)「【0140】次に、この光ディスク再生装置におけるオーディオデータ属性(VTS_AST_ATR)の取得及びこの属性情報(VTS_AST_ATR)に従ったビデオデコーダ及びビデオ再生処理部201の設定処理について、図49に示すフローチャートを参照して説明する。設定処理が開始されると、ステップ20に示すようにシステムCPU部50は、ディスクドライブ部30を制御して、ビデオタイトルセット情報管理テーブル(VTSI_MAT)98を光ディスク10から読み出し、一旦データRAM部56へ格納する。ステップ21に示すようにデータRAM部56内に格納したビデオタイトルセット情報管理テーブル(VTSI_MAT)98記録されたオーディオストリーム数をシステムCPU部50が取得する。ステップ32に示すようにキー操作及び処理部4の操作によってユーザが選択可能なオーディオストリーム番号を指定すると、ステップ22に示すようにデータRAM部56内に格納したビデオタイトルセット情報管理テーブル(VTSI_MAT)98のオーディオデータ属性群(VTS_AST_ATR)からユーザ指定のストリーム番号に対応するオーディオ属性(VTS_AST_ATR)をシステムCPU部50が取得する。システムCPU部50は、ステップ23に示すように取得したオーディオデータ属性(VTS_AST_ATR)内に記述されるオーディオ圧縮モードがMPEG1、リニアPCMのいずれに準拠しているかの判別し、この判別結果に応じた制御信号をオーディオデコーダ部60のレジスタ60Aに出力する。
【0141】これにより、レジスタ60Aに供給された制御信号に応じてセレクタ60Bが切換えられ、オーディオ符号化モードがMPEG1に準拠している場合、システムプロセッサ部54からのオーディオデータはセレクタ60Bを介してMPEG1デコーダ60Cに供給され、オーディオ符号化モードがAC3に準拠している場合、システムプロセッサ部54からのオーディオデータはセレクタ60Bを介してAC3デコーダ60Dに供給され、ビデオ符号化モード(当審注:『オーディオ符号化モード』の誤記と認める。)がディジタルPCMに準拠している場合、システムプロセッサ部54からのオーディオデータはセレクタ60Bを介してPCMデコーダ60Eに供給される。」

(ヌ)「【0164】上述した説明においては、ビデオオブジェクトユニットは、ビデオ、オーディオ及び副映像を含むデータ列として説明したが、ビデオ、オーディオ及び副映像のいずれかが含まれれば良く、オーディオパックのみ或いは副映像パックのみで構成されても良い。」

3.対比
引用例には、前記(ア)ないし(ヌ)の記載事項と図面の記載とを総合勘案すると、次の発明(以下、「引用例発明」という。)が記載されているものと認める。

「ビデオマネージャー(VMG)とビデオタイトルセット(VTS)を含み、
ビデオマネージャー(VMG)にはビデオタイトルセット(VTS)のスタートアドレスが記載されるタイトルサーチポインターテーブル(TT_SRPT)とビデオタイトルセット属性テーブル(VTS_ATRT)が記述され、
ビデオタイトルセット(VTS)はビデオタイトルセット情報(VTSI)とビデオオブジェクトセット(VOBS)をこの順に有し、
ビデオオブジェクトセット(VOBS)は1個以上のビデオオブジェクト(VOB)の集合として定義され、ビデオオブジェクト(VOB)は1又は複数のセルから構成され、セルは1又は複数のビデオオブジェクトユニット(VOBU)から構成され、ビデオオブジェクトユニット(VOBU)はパック列として定義され、
ビデオオブジェクトユニット(VOBU)がビデオデータを含む場合は、ビデオパック(Vパック)、副映像パック(SPパック)及びオーディオパック(Aパック)からビデオデータストリームが構成され、
オーディオパックはパックヘッダ、パケットヘッダ及び対応するデータが格納されたパケットから構成され、
オーディオのみの再生データにあってもこのビデオオブジェクトユニットを1単位として再生データが構成され、オーディオパックのみでビデオオブジェクトユニットが構成されても、ビデオデータのビデオオブジェクトユニットと同様にそのオーディオデータが属するビデオオブジェクトユニット(VOBU)の再生時間内に再生されるべきオーディオパックがそのビデオオブジェクトユニット(VOBU)に格納され、
前記ビデオタイトルセット情報(VTSI)は、オーディオストリーム属性(VTS_AST_ATR)を備え、各オーディオストリーム属性(VTS_AST_ATR)は、
ビット番号b63、b62、b61にオーディオコーディングモードが記述され、
オーディオコーディングモードに“100”が記述される場合には、リニアPCMでオーディオデータがコード化されていることを意味しており、
ビット番号b55及びb54にオーディオデータの量子化に関して記述され、“00”の場合は16ビットで量子化されたオーディオデータであることを意味し、“01”の場合は20ビットで量子化されたオーディオデータであることを意味し、“10”の場合は24ビットで量子化されたオーディオデータであることを意味し、“11”の場合は特定せずとされており、
オーディオコーディングモードがリニアPCM(ビット番号b63、b62、b61が“100”)に設定されている場合には、量子化を特定せず( ビット番号b55、b54が“11”) が記述されており、
ビット番号b53及びb52にオーディオデータのサンプリング周波数Fsに関して記述され、サンプリング周波数Fsが48kHzである場合には“00”が記述され、サンプリング周波数Fsが96kHzである場合には“01”が記述され、その他は予約とされており、
ビット番号b50からb48にオーディオチャンネル数に関して記述され、
前記ビデオオブジェクトユニット(VOBU)はオーディオパックのみで構成されても良い光ディスク
の再生方法であって、
タイトルサーチポインターテーブル(TT_SRPT)を獲得するためにビデオマネージャー(VMG)を読み出し、
タイトルサーチポインタテーブル(TT_SRPT)からビデオタイトルセット(VTS)のスタートアドレス(VTS_SA)を獲得し、
ビデオタイトルセット(VTS)のスタートアドレス(VTS_SA)からビデオタイトルセット情報(VTSI)を獲得し、
ビデオタイトルセット情報(VTSI)のビデオタイトルセット情報管理テーブル(VTSI_MAT)からオーディオデータ属性(VTS_AST_ATR)を取得し、
オーディオデータ属性(VTS_AST_ATR)に応じてオーディオデコーダ部が適切にセットされる
光ディスクの再生方法。」

そこで、本願補正発明と引用例発明とを対比する。

(1)引用例発明の光ディスクは、ビデオパック、副映像パック及びオーディオパックからなるビデオオブジェクトユニット(VOBU)からビデオストリームが構成されるものであるが、かかるビデオオブジェクトユニット(VOBU)はオーディオパックのみで構成されても良く、オーディオのみの再生データにあってもこのビデオオブジェクトユニットを1単位として再生データが構成され、オーディオパックのみでビデオオブジェクトユニットが構成されても、そのオーディオデータが属するビデオオブジェクトユニット(VOBU)の再生時間内に再生されるべきオーディオパックがそのビデオオブジェクトユニット(VOBU)に格納されることになるから、引用例発明の光ディスクは、再生データとしてオーディオデータのみが記録される光ディスクを含むものであり、この点において本願補正発明の「オーディオディスク」と共通している。

(2)引用例発明の光ディスクはオーディオパックのみでVOBUが構成されてオーディオデータのみが記録されるものを含み((1)参照)、引用例発明の光ディスクに含まれるビデオタイトルセット(VTS)は、ビデオタイトルセット情報(VTSI)とビデオオブジェクトセット(VOBS)をこの順に有し、ビデオオブジェクトセット(VOBS)は1個以上のビデオオブジェクト(VOB)の集合として定義されることから、引用例発明の光ディスクは、オーディオパックのみでVOBUが構成される場合に、本願補正発明において、「オーディオディスク」が「オーディオオブジェクト(AOB)が連続連結されるオーディオタイトルセット情報(ATSI)を有するオーディオタイトル(ATS)を含」むことと共通している。

(3)引用例発明の光ディスクはオーディオパックのみでVOBUが構成されてオーディオデータのみが記録されるものを含み((1)参照)、引用例発明の光ディスクに含まれるビデオマネージャー(VMG)には、ビデオタイトルセット(VTS)のスタートアドレスが記載されるタイトルサーチポインターテーブル(TT_SRPT)とビデオタイトルセット属性テーブル(VTS_ATRT)、すなわちビデオタイトルセット(VTS)に関する情報が記述されることから、引用例発明の光ディスクは、オーディオパックのみでVOBUが構成される場合に、本願補正発明において、「オーディオディスク」が「ATS(オーディオタイトル)に関する情報を有するオーディオ管理(AMG)を含む」ことと共通している。

(4)引用例発明の光ディスクはオーディオパックのみでVOBUが構成されてオーディオデータのみが記録されるものを含み((1)参照)、引用例発明の「ビデオオブジェクトセット(VOBS)」は、「1個以上のビデオオブジェクト(VOB)」で構成され、「ビデオオブジェクト(VOB)」は「複数のセル」から構成され、「各セル」は、「複数のビデオオブジェクトユニット(VOBU)」から構成されることから、引用例発明の光ディスクは、オーディオパックのみでVOBUが構成される場合に、本願補正発明において「各AOB」が、「オーディオデータとともに記録されたオーディオパックを含む」ことと共通している。

(5)引用例発明の光ディスクはオーディオパックのみでVOBUが構成されてオーディオデータのみが記録されるものを含み((1)参照)、引用例発明の「ビデオタイトルセット情報(VTSI)」は、「オーディオストリーム属性(VTS_AST_ATR)」を備えており、該「オーディオストリーム属性(VTS_AST_ATR)」には、
・「ビット番号b63、b62、b61にオーディオコーディング
モードが記述され」、
・「ビット番号b55及びb54にオーディオデータの量子化に
関して記述され、“00”の場合は16ビットで量子化された
オーディオデータであることを意味し、“01”の場合は20
ビットで量子化されたオーディオデータであることを意味し、
“10”の場合は24ビットで量子化されたオーディオデータ
であることを意味し」、
・「ビット番号b53及びb52にオーディオデータのサンプリ
ング周波数Fsに関して記述され、サンプリング周波数Fsが
48kHzである場合には“00”が記述され、サンプリング
周波数Fsが96kHzである場合には“01”が記述され、
その他は予約とされており」、
・「ビット番号b50からb48にオーディオチャンネル数に
関して記述され」ており、
当該「オーディオストリーム属性(VTS_AST_ATR)」に従って、VOBUのオーディオパックに記録されたオーディオデータがデコード、すなわち復号化されるようになされていることから、引用例発明の光ディスクは、オーディオパックのみでVOBUが構成される場合に、本願補正発明において「ATSI(オーディオタイトル情報)」が「オーディオストリームアトリビュートを含み、各オーディオストリームアトリビュートは、
オーディオ符号化モードと、
再生すべきデータに対応する16・20・24ビット数である量子化ビット数と、
再生すべきデータに対応する48KHz・96KHzであるサンプリング周波数と、
再生すべきデータのオーディオチャネル数に関する復号化アルゴリスム情報とを有」すること及び、「オーディオパック」に記録された「オーディオデータ」が「オーディオストリームアトリビュートに貯蔵された復号化アルゴリズムに対応する」ことと共通している。
なお、引用例発明においても、本願補正発明と同様に、オーディオ符号化モードとして「リニアパルスコード変調(PCM)オーディオ」を有しているが((セ)参照)、この点については、再生すべきデータに対応する量子化ビット数に関する相違点(相違点3)において併せて検討する。

(6)引用例発明の光ディスクはオーディオパックのみでVOBUが構成されてオーディオデータのみが記録されるものを含み((1)参照)、引用例発明では光ディスクの再生時に、タイトルサーチポインターテーブル(TT_SRPT)を獲得するためにビデオマネージャー(VMG)を読み出し、タイトルサーチポインタテーブル(TT_SRPT)からビデオタイトルセット(VTS)のスタートアドレス(VTS_SA)、すなわちVTSの位置データを獲得することから、引用例発明の光ディスクがオーディオパックのみでVOBUが構成される場合に、本願補正発明において、「オーディオディスク」の再生時に、「ATSの位置データを把握するためにAMGを読み出す」ことと共通している。

(7)引用例発明の光ディスクはオーディオパックのみでVOBUが構成されてオーディオデータのみが記録されるものを含み((1)参照)、引用例発明では光ディスクの再生時に、ビデオタイトルセット(VTS)のスタートアドレス(VTS_SA)からビデオタイトルセット情報(VTSI)を獲得し、ビデオタイトルセット情報(VTSI)のビデオタイトルセット情報管理テーブル(VTSI_MAT)からオーディオデータ属性(VTS_AST_ATR)を取得し、オーディオデータ属性(VTS_AST_ATR)に応じてオーディオデコーダ部を適切にセットすることから、引用例発明の光ディスクがオーディオパックのみでVOBUが構成される場合に、本願補正発明において、「オーディオディスク」の再生時に、「ATSIに応じてオーディオストリームアトリビュートを読み出すことによって、ATSを再生するためのアルゴリスムを実行するためにオーディオデコーダを設定する」ことと共通している。

したがって、本願補正発明と引用例発明とを対比すると、両者は、

「オーディオオブジェクト(AOB)が連続連結されるオーディオタイトルセット情報(ATSI)を有するオーディオタイトル(ATS)を含み、ATSに関する情報を有するオーディオ管理(AMG)を含むオーディオディスクの再生方法であって、
前記ATSの位置データを把握するためにAMGを読み出す過程と、
前記ATSIに応じてオーディオストリームアトリビュートを読み出すことによって、ATSを再生するためのアルゴリスムを実行するためにオーディオデコーダを設定する過程と、
前記ATSIは、オーディオストリームアトリビュートを含み、
各オーディオストリームアトリビュートは、
オーディオ符号化モードと、
再生すべきデータに対応する16・20・24ビット数である量子化ビット数と、
再生すべきデータに対応する48KHz・96KHzであるサンプリング周波数と、
再生すべきデータのオーディオチャネル数に関する復号化アルゴリスム情報とを有し、
前記各AOBは、オーディオストリームアトリビュートに貯蔵された復号化アルゴリズムに対応するオーディオデータとともに記録されたオーディオパックを含むオーディオディスクの再生方法。」

の点で一致し、以下の点で相違する。

(1)「オーディオディスク」に関し、本願補正発明では該「オーディオディスク」が「DVDオーディオディスク」であるのに対し、引用例発明では「オーディオディスク」が「DVDオーディオディスク」であることは特定されていない点。

(2)「サンプリング周波数」に関し、本願補正発明ではサンプリング周波数が「48KHz・96KHz・192KHz・44.1KHz・88.2KHz・176.4KHz」であるのに対し、引用例発明ではサンプリング周波数が「48KHz・96KHzである」である点。

(3)「オーディオ符号化モード」及び「量子化ビット数」に関し、本願補正発明では、オーディオ符号化モードがリニアパルスコード変調(PCM)オーディオである場合に、量子化ビット数が「16・20・24ビット数」であるのに対し、引用例発明では、量子化ビット数として「16・20・24ビット数」に加えて「特定せず」という場合があり、オーディオ符号化モードがリニアPCMである場合に、量子化ビット数として「特定せず」が記述される((ソ)参照)点。

4.判断
そこで、上記相違点について検討する。
(相違点1について)
本願補正発明とAMG、ATS、ATSI、AOBのデータ構造及び対応関係が共通する引用例発明に係る「オーディオディスク」を「DVDオーディオディスク」とすることは、単に表現上で相違する程度の事項で実質上の相違点とならないものであり、仮に「DVD」という表現を付加したことに相違を認めるとしても、いわゆるDVDがオーディオデータ用途としても用いられることは本願優先日前に当業者間に周知であるから(必要であれば、「PIONEER R&D Vol.6 No.2」(1996年)の第3?5頁、持木一明著「DVD&DVC入門基本18章」(平成8年10月20日 第1版第1刷)の第89?91頁、麻倉怜士著「DVD」(平成8年9月20日 第1版第3刷)の第224?228頁などを参照)、上記周知の事項を踏まえて当業者が容易に想到しうる程度の事項にすぎないものである。

(相違点2について)
記録されるオーディオデータのサンプリング周波数として、48KHzに加えて周知のCDオーディオ(CD-DA)に採用されている44.1KHzも用いることは、複数のサンプリング周波数のオーディオデータを記録可能なディジタル記録技術として本願優先日前に当業者間に周知であり(必要であれば、特開平3-268275号公報の第5頁右上欄第7?12行や第10頁左下欄第20行?第11頁右下欄第14行、特開平7-226025号公報の段落【0002】【0003】【0044】【0045】【0139】、実願平2-92647号(実開平4-54066号)のマイクロフィルムなどを参照)、引用例発明に係るオーディオディスクにおいて、記録されるオーディオデータのサンプリング周波数として48KHz、96KHzに加えて44.1KHzを導入することに格別技術的困難性はみいだせない。
また、高音質なディジタルオーディオを得ることはディジタルオーディオの技術分野における普遍的な課題であって、サンプリング周波数を高くすることが高音質なディジタルオーディオを得る手段の一つであることも本願優先日前に当業者間に周知であり(必要であれば、上記「PIONEER R&D Vol.6 No.2」の第3?5頁、上記「DVD&DVC入門基本18章」の第89?91頁、上記「DVD」の第224?228頁などを参照)、引用例においても、「サンプリング周波数Fs が48kHzである場合には、“00”が記述され、サンプリング周波数Fs が96kHzである場合には、“01”が記述され、その他は予約とされている。」(段落【0088】)と記載されていることから、引用例発明に係るオーディオディスクが48KHz、96KHz以外のより高いサンプリング周波数を予定していることは明らかである。
そして、より高いサンプリング周波数を導入するに際して整数倍のサンプリング周波数を選定することはディジタルオーディオの技術分野における当業者に常套手段であり(引用例発明のものも、サンプリング周波数48KHzに対して2倍である96KHzのサンプリング周波数を導入しているし、また、必要であれば、特開平3-34165号公報の第3頁左上欄第13行?同頁左下欄第3行も参照のこと。)、サンプリング周波数として何種類導入するかは必要に応じて当業者が適宜設定しうる事項にすぎないものであるから、引用例発明において、サンプリング周波数として48KHz、96KHzに加えて、48KHzの4倍にあたる192KHzを導入することや、44.1KHzの2倍にあたる88.2KHz、4倍にあたる176.4KHzを導入することは当業者が格別の困難性なくなし得ることである。

(相違点3について)
本願補正発明と引用例発明とは、いずれもオーディオ符号化モードとしてリニアパルスコード変調(リニアPCM)を有するとともに量子化ビット数として16・20・24ビット数を有しており、また、リニアPCMでオーディオデータを符号化する場合に量子化ビット数を特定のビット数にすることはディジタルオーディオの技術分野における慣用技術であるから(例えば、いわゆるCD-DAでは、量子化ビット数として16ビットを用いてリニアPCMでオーディオデータが符号化されているし、必要であれば、特開平7-37336号公報の段落【0023】?【0026】【0039】や第6図も参照のこと。)、引用例発明においてオーディオ符号化モードとしてリニアパルスコード変調を用いた場合に、量子化ビット数として、「特定せず」とすることに替えて「16・20・24ビット数」を用いることは、単なるフォーマットの選択に過ぎず、格別のものではない。

審判請求人が審判請求の理由の「2)進歩性判断手法」の中で主張している点は、引用例発明がオーディオデータに加えてビデオデータを必ず含むDVDビデオディスクであるとの前提にたった主張であり、引用例発明を必要以上に狭く解釈するものである。引用例発明に記載された光ディスクが再生データとしてオーディオデータのみを有することを許容するものであることは上記「3.対比」の(1)で述べたとおりである。また、上記「4.判断」で述べたように、いわゆるDVDがオーディオデータ用途としても用いられることや、高音質なディジタルオーディオを得ることがディジタルオーディオの技術分野における普遍的な課題であって、サンプリング周波数を高くすることが高音質なディジタルオーディオを得る手段の一つであることは、いずれも当業者間の周知事項であり、これらは引用例発明に記載された光ディスクから本願補正発明に係るDVDオーディオディスクを想到するための有力な動機付け又は、示唆・教示に他ならない。
よって、審判請求人の主張は当を得ておらず、採用することができない。

そして、上記相違点を総合して判断しても、本願補正発明の奏する効果は、引用例発明及び周知技術から当業者が十分に予測できたものであって、格別のものとはいえない。

したがって、本願補正発明は、本願優先日前に頒布された引用例に記載された発明に基づいて周知技術を勘案することで当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

5.本件補正についてのむすび
以上のとおり、本件補正は、平成18年改正前特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するものであるから、特許法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明について
1.本願発明
平成16年10月27日付け手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1乃至21に記載された発明は、出願当初の明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1乃至21に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に記載された発明(以下、「本願発明」という。)は上記「第2 1.(a)」において本件補正前の請求項1として記載したとおりのものである。

2.引用例
原査定の拒絶の理由で引用された引用例の記載事項は、上記「第2 2.」に記載したとおりである。

3.対比判断
本願発明は、上記「第2」で検討した本願補正発明において、「オーディオ符号化モード」についての限定事項である「リニアパルスコード変調(PCM)オーディオである」を省き、量子化ビット数についての限定事項である「再生すべきデータに対応する16・20・24ビット数」を数値限定をなくして「再生すべきデータに対応する第1・第2・第3の量子化ビット数」とし、「サンプリング周波数」についての限定事項である「48KHz・96KHz・192KHz・44.1KHz・88.2KHz・176.4KHzであるサンプリング周波数」を数値限定をなくして「再生すべきデータに対応する第1・第2・第3・第4・第5・第6のサンプリング周波数」としたものである。
そうすると、本願発明を特定するために必要な事項を全て含み、さらに他の事項を付加したものに相当する本願補正発明が、上記「第2 3.」「第2 4.」に記載したとおり、引用例に記載された発明に基づいて周知技術を勘案することで当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、引用例に記載された発明に基づいて周知技術を勘案することで当業者が容易に発明をすることができたものである。

4.むすび
以上のとおり、本願の請求項1に係る発明は、その優先日前に日本国内又は外国において頒布された刊行物に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は、その余の請求項に論及するまでもなく、拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2007-09-18 
結審通知日 2007-10-02 
審決日 2007-10-17 
出願番号 特願2001-331673(P2001-331673)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (G11B)
P 1 8・ 571- Z (G11B)
P 1 8・ 121- Z (G11B)
P 1 8・ 572- Z (G11B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 齋藤 哲  
特許庁審判長 山田 洋一
特許庁審判官 樫本 剛
早川 卓哉
発明の名称 DVDオーディオディスクを再生する方法  
代理人 志賀 正武  

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