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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  A41B
管理番号 1175731
異議申立番号 異議2003-73706  
総通号数 101 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2008-05-30 
種別 異議の決定 
異議申立日 2003-12-26 
確定日 2005-08-25 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第3440091号「弾性側パネルを有する吸収体物品」の請求項1ないし7に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第3440091号の請求項1ないし6に係る特許を取り消す。 
理由 1.手続の経緯
本件特許第3440091号は、1992年(平成4年)6月8日を国際出願日とする特願平5-500951号(パリ条約による優先権主張1991年8月22日、米国)の一部を平成14年3月28日に新たな特許出願としたものであって、平成15年6月13日に設定の登録がなされ、平成15年8月25日にその特許掲載公報が発行された後、鈴木サチエより特許異議の申立てがなされ、取消しの理由が通知され、その指定期間内である平成16年12月24日に特許異議意見書の提出とともに訂正請求がなされたものである。

2.訂正の適否についての判断
2-1.訂正の内容
特許権者は本件特許明細書の記載を訂正明細書のとおりに訂正することを求めており、その具体的内容は以下のとおりのものと認める。
訂正事項A
【特許請求の範囲】に記載の
「【請求項1】
第1ウェスト領域と、第2ウェスト領域とを有する使い捨て吸収体物品において、
前記吸収体物品は、包含組立体と、第2ウェスト領域に位置された横方向に弾性的に伸長自在の弾性側パネルを備え、
前記包含組立体は、液体透過性トップシートと、液体不透過性バックシートと、前記液体透過性トップシートと前記液体不透過性バックシートとの間に位置された吸収体コアを有し、
前記弾性側パネルは、歪ゼロ延伸積層体を有し、
前記歪ゼロ延伸積層体は、実質的に張力が加えられない状態で互いに固定された少なくとも2つの材料層を有し、前記材料層の一方は伸長自在な材料であり、前記材料層の他方はエラストマー材料であり、
前記材料層は、伸長自在な材料を永久的に伸長するのに十分な増加機械的延伸を受け、歪ゼロ延伸積層体を少なくとも横方向に弾性的に延伸できるようにしたことを特徴とする吸収体物品。
【請求項2】
前記弾性側パネルは、耳フラップと、この耳フラップに接合された弾性側パネル部材とを有し、前記耳フラップは前記伸長自在な材料であり、前記弾性側パネル部材ば前記エラストマー材料であることを特徴とする請求項1に記載の吸収体物品。
【請求項3】
前記エラストマー材料は、少なくとも400%で破断する伸びを有することを特徴とする請求項1に記載の吸収体物品。
【請求項4】
前記エラストマー材料は、そのエラストマー材料を延伸し直ちに解放した際に、5秒以内に初期の外形の少なくとも75%に戻ることを特徴とする請求項1に記載の吸収体物品。
【請求項5】
前記弾性側パネル部材は、6.25mmと31.25mmの間の伸びで、250グラム以上の伸び力を有することを特徴とする請求項1に記載の吸収体物品。
【請求項6】
前記弾性側パネル部材は、50%の伸びでインチ当たり少なくとも90グラムの収縮力を有することを特徴とする請求項1に記載の吸収体物品。
【請求項7】
前記吸収体物品は、前記第2ウェスト領域に配置された弾性胴バンドを有することを特徴とする請求項1に記載の吸収体物品。」を、
「【請求項1】
第1ウェスト領域と、第2ウェスト領域とを有する使い捨て吸収体物品において、
前記吸収体物品は、包含組立体と、第2ウェスト領域に位置された横方向に弾性的に伸長自在の弾性側パネルを備え、
前記包含組立体は、液体透過性トップシートと、液体不透過性バックシートと、前記液体透過性トップシートと前記液体不透過性バックシートとの間に位置された吸収体コアを有し、
前記弾性側パネルは、第2ウエスト領域の端縁部から脚縁部まで延びる耳フラップと、この耳フラップに接合された弾性側パネル部材とからなり、かつ歪ゼロ延伸積層体を有し、
前記歪ゼロ延伸積層体は、実質的に張力が加えられない状態で互いに固定された少なくとも2つの材料層を有し、前記材料層の一方は伸長自在な材料からなる耳フラップであり、前記材料層の他方はエラストマー材料からなる弾性側パネル部材であり、
前記材料層は、伸長自在な材料を永久的に伸長するのに十分な増加機械的延伸を受け、歪ゼロ延伸積層体を少なくとも横方向に弾性的に延伸できるようにしたことを特徴とする吸収体物品。
【請求項2】
前記エラストマー材料は、少なくとも400%で破断する伸びを有することを特徴とする請求項1に記載の吸収体物品。
【請求項3】
前記エラストマー材料は、そのエラストマー材料を延伸し直ちに解放した際に、5秒以内に初期の外形の少なくとも75%に戻ることを特徴とする請求項1に記載の吸収体物品。
【請求項4】
前記弾性側パネル部材は、6.25mmと31.25mmの間の伸びで、250グラム以上の伸び力を有することを特徴とする請求項1に記載の吸収体物品。
【請求項5】
前記弾性側パネル部材は、50%の伸びでインチ当たり少なくとも90グラムの収縮力を有することを特徴とする請求項1に記載の吸収体物品。
【請求項6】
前記吸収体物品は、前記第2ウェスト領域に配置された弾性胴バンドを有する
ことを特徴とする請求項1に記載の吸収体物品。」
と訂正する。

訂正事項B
明細書の段落番号【0014】に記載の、
「本発明の吸収体物品は、包含組立体と、第2ウェスト領域に位置され横方向に弾性的に伸長自在の弾性側パネルを備え、包含組立体は、液体透過性トップシートと、バックシートと、液体透過性トップシートと液体不透過性バックシートとの間に位置された吸収体コアを有し、弾性側パネルは、歪ゼロ延伸積層部分を有し、歪ゼロ延伸積層部分は、実質的に張力が加えられない状態で互いに固定された少なくとも2つの材料層を有し、材料層の一方は伸長自在な材料であり、材料層の他方はエラストマー材料であり、伸長自在な材料を永久的に伸長するに十分な増加機械的延伸させ、前記歪ゼロ延伸積層部分を少なくとも横方向に弾性的に延伸できるように構成され、おむつを着用者に最初にその外形と一致するように装着し、この状態を維持することによって更に快適で且つぴったりとフィットさせる。」を
「本発明の吸収体物品は、包含組立体と、第2ウェスト領域に位置され横方向に弾性的に伸長自在の弾性側パネルを備え、包含組立体は、液体透過性トップシートと、バックシートと、液体透過性トップシートと液体不透過性バックシートとの間に位置された吸収体コアを有し、弾性側パネルは、第2ウエスト領域の端縁部から脚縁部まで延びる耳フラップと、この耳フラップに接合された弾性側パネル部材とからなり、かつ歪ゼロ延伸積層体を有し、歪ゼロ延伸積層体は、実質的に張力が加えられない状態で互いに固定された少なくとも2つの材料層を有し、材料層の一方は伸長自在な材料からなる耳フラップであり、前記材料層の他方はエラストマー材料からなる弾性側パネル部材であり、伸長自在な材料を永久的に伸長するのに十分な増加機械的延伸を受け、前記歪ゼロ延伸積層体を少なくとも横方向に弾性的に延伸できるように構成され、おむつを着用者に最初にその外形と一致するように装着し、この状態を維持することによって更に快適で且つぴったりとフィットさせる。」
と訂正する。

2-2.訂正の目的の適否・新規事項の有無・特許請求の範囲の実質的拡張あるいは変更の有無
訂正事項Aは、
(イ)「前記弾性側パネルは、歪ゼロ延伸積層体を有し、」を、「前記弾性側パネルは、第2ウエスト領域の端縁部から脚縁部まで伸びる耳フラップと、この耳フラップに接合された弾性側パネル部材とからなり、かつ歪ゼロ延伸積層体を有し、」
とする訂正、及び、
(ロ)「前記材料層の一方は伸長自在な材料であり、前記材料層の他方はエラストマー材料であり、」を、「前記材料層の一方は伸長自在な材料からなる耳フラップであり、前記材料層の他方はエラストマー材料からなる弾性側パネル部材であり、」
とする訂正であり、上記(イ)は、訂正前の請求項1に記載された「弾性側パネル」に対して、第2ウエスト領域の端縁部から脚縁部まで伸びる耳フラップと、この耳フラップに接合された弾性側パネル部材とからなること限定し、(ロ)は、訂正前の請求項1に記載された「伸張自在な材料」及び「エラストマー材料」がそれぞれ「耳フラップ」及び「弾性側パネル部材」を形成するものであることを限定するものであり、いずれも、特許請求の範囲の減縮を目的とした訂正に該当する。そして、「弾性側パネルは、耳フラップと、この耳フラップに接合された弾性側パネル部材とを有し、前記耳フラップは前記伸長自在な材料であり、前記弾性側パネル部材ば前記エラストマー材料であること」は訂正前の請求項2において特定された事項であり、「耳フラップ」が、第2ウエスト領域の端縁部から脚縁部まで伸びるものであることは訂正前の明細書の段落【0166】【0131】に記載されているので、上記の訂正は、いずれも、願書に添付した明細書に記載された事項の範囲内のものであり、しかも実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
なお、請求項の項番号の変更は、上記請求項1の訂正により、訂正前の請求項2で特定していた事項がすべて請求項1に取り込まれ、訂正前の請求項2を削除し、訂正前の請求項3乃至7を順次繰り上げて、新たな請求項2乃至6としたものである。
訂正事項Bは、訂正事項Aの訂正に伴い、対応する明細書の記載を、特許請求の範囲の記載に整合させるものであり、明りょうでない記載の釈明を目的とした明細書の訂正に該当し、訂正事項Aと同様に、願書に添付した明細書に記載された事項の範囲内のものであり、しかも、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

2-3.訂正の適否についての結論
したがって、上記の訂正は、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第6条第1項の規定によりなお従前の例によるとされる、特許法第120条の4第3項において準用する平成6年法律第116号による法改正前の特許法第126条第1項ただし書き及び第2項の規定に適合するので、当該訂正を認める。

3.取消理由の概要
当審において通知した取消理由は、異議申立人提出した、甲第1乃至3号証を刊行物1乃至3として引用し、訂正前の、本件請求項1、2、5、6、及び7に係る発明は、刊行物1及び2に記載された発明に基づいて、本件請求項3、及び4に係る発明は、刊行物1乃至3に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、いずれも、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないとするものである。
証拠
刊行物1(甲第1号証):特開平1-168902号公報
刊行物2(甲第2号証):米国特許第4834741号明細書
刊行物3(甲第3号証):特開昭56-25441号公報

4.本件発明
上記の訂正が認められるので、本件請求項1乃至6に係る発明は、訂正明細書及び図面の記載からみて、上記訂正後の特許請求の範囲の請求項1乃至6に記載された事項により特定されるとおりのものである。

5.引用刊行物の記載
取消理由に引用した各刊行物は、本件特許に係る出願の出願前に頒布された刊行物であり、刊行物1、2には、5-1、2の記載が認められる。

5-1 刊行物1(特開平1-168902号公報)
刊行物1には、「人体輪郭合致型のおむつ」に関して次の事項が図面とともに記載されている。
(a)「液体透過性のトップシートと、液体不透過性のバックシートと、前記トップシートとバックシートとの間に配置された吸収性要素とを有し、前記トップシートとバックシートとの少なくとも一方が外方へ張り出されて1対の後耳を形成し、各後耳が留め耳を有し、後耳の少なくとも一つがその留め耳に対し整合された区域において弾性ひだを付けられ、前記弾性ひだが少なくとも3cmの高さに亘って延在しそして前記後耳が留め耳に加えられる通常の指先力によって少なくとも1cm弾性延伸されることを可能にすることを特徴とする人体輪郭合致型のおむつ」[特許請求の範囲(1)]
(b)「前記弾性ひだが、トップシートとバックシートとの少なくとも一方に結合された加熱弾性化可能材料の片によって構成される」[特許請求の範囲(3)]
(c)「第1図-第3図及び第5図に図示されるおむつ10の本体は、着用者の身体に接して配置される液体透過性のトップシート11、おむつ10の表面を形成する液体不透過性のバックシート12、及び前記トップシートとバックシートとの間に配置される吸収性要素14から構成される。」[第5頁左下欄第5?10行]
(d)「トップシート11とバックシート12との間において、弾性により収縮し得るストリップ16と18が足ぐりとウエストバンドにそれぞれ配置される。」[第5頁左下欄第11?14行]
(e)「前記おむつ10のウエスト部分の端は外方へ張り出されて後耳20、21と前耳23、24を形成する。……加熱弾性化可能材料から成る片30、31が、感圧接着剤層32によって、それぞれ後耳20、21のおのおのにおいてバックシート12に取付けられている。」[第5頁左下欄第19行?同頁右下欄第7行]
(f)「おむつ10が第1図及び第2図に示されるように平らに形成された後、おむつ10は加熱弾性化可能材料から成るストリップ18と片30、31とを熱縮するように加熱される。前記片30、31の収縮は第3図及び第5図に示されるように後耳20、21の弾性ひだ34、35を生じさせる。」[第5頁右下欄第8?13行]
以上の記載から、刊行物1には、
液体透過性のトップシート11と、液体不透過性のバックシート12と、前記トップシートと前記バックシートとの間に配置された吸収性要素14を有するおむつ本体の、ウエスト部分において外方に張り出されて形成された後耳に、留め耳に加えられる通常の指先力によって弾性延伸されることを可能にする弾性ひだを有しており、該弾性ひだは、後耳20、21のおのおのにおいてバックシート12に加熱弾性化可能材料から成る片30、31を取付け、加熱収縮して形成されたおむつの発明(以下、「刊行物1発明」という。)
が記載されている。

5-2 刊行物2(米国特許第4834741号明細書)
刊行物2には、以下の事項が図面とともに記載されている。
(g)「トップシートと、バックシートと、トップシートとバックシートの間に挿入された液吸収パッドと、その少なくとも一領域に弾性をもたせるために弛緩状体でトップシートとバックシートに固着された少なくとも一つの弾性部材を含み、トップシートとバックシートは、伸長され、弾性部材の固着された領域にシャーリングあるいはギャザーが形成され、近傍の領域よりも高い分子配向を有する使い捨て衣類」[第16欄第39?47行、請求項1の記載参照]
(h)「本発明は、選択された領域にきわめて容易に弾性特性が付与される使い捨ておむつとその製造装置及び方法を提供する。それは、伸長可能な高分子材料のウエブの使用と該ウエブに弛緩状態で固着される弾性部材との組み合わせによって達成される」[第2欄第13?20行の記載参照]
(i)「一方の弾性バンド41はおむつの各ウエスト領域端部に横方向に接着され、他方の弾性バンド42は足ぐり領域9の縁部17に沿って接着される」[第7欄第55?58行の記載参照]
(j)「複合ウエブ43は引っ張りローラ45、47から下流の協働する一対の波形ローラ即ちひだ付けローラ51へ移動する。……波形表面の横方向の長さはウエブの幅より長くなっているので、弾性バンド41は波形表面の間を通過するとき横方向に伸長される。同時にトップシート25とバックシート31も波形表面を横切って横方向に伸長される。トップシートとバックシートの繊維、フィルム、フィラメント等に、トップシートとバックシートに永久伸長をもたらす分子の配向が与えられる。ローラ51から出たとき、弾性バンド41は弛緩してもとの長さに戻るが、非弾性で伸長可能なトップシート25とバックシート31は、伸長前の横幅には戻らない。」[第9欄第46行?第10欄第7行の記載参照]
以上の記載から、刊行物2には、
おむつの選択された領域に弾性をもたせるための手段として、伸長可能なトップシート及びバックシートに弾性部材を弛緩状態、すなわち実質的に張力を付加しない状態で固定した複合ウエブが、伸長可能なトップシート及びバックシートが永久的に伸長するのに十分な増加的機械的延伸を受け、複合ウエブを横方向に弾性的に伸長できるようにすること
が記載されている。

6. 対比判断
6-1 請求項1,6に係る発明について
本件請求項1に係る発明(以下、「本件発明1」という。)と刊行物1発明を対比する。
刊行物1発明の「おむつ」は、本件発明1の「吸収体物品」に相当し、本件発明1で規定する「第1ウエスト領域」及び「第2ウェスト領域」を有することは明らかであり、刊行物1発明の「吸収性要素14」は、本件発明1の「吸収体コア」に相当するので、刊行物1発明の「液体透過性のトップシート11と、液体不透過性のバックシート12と、前記トップシートと前記バックシートとの間に配置された吸収性要素14を有するおむつ本体」は、本件発明1において「液体透過性トップシートと、液体不透過性バックシートと、前記液体透過性トップシートと前記液体不透過性バックシートとの間に位置された吸収体コアを有し」とされる「包含組立体」に相当する。そして、刊行物1発明のウエスト部分において外方に張り出されて形成された「後耳」は、本件発明1の第2ウエスト領域の端縁部から脚縁部まで延びる「耳フラップ」に相当し、刊行物1発明において「留め耳に加えられる通常の指先力によって弾性延伸される」とされた「弾性ひだ」は、横方向に弾性的に伸長自在ということができるので本件発明1の「弾性側パネル」に対応し、該弾性ひだは「加熱弾性化可能材料から成る片30、31」をバックシート12に取り付けて加熱収縮するので、実質的に張力を付加しない状態で互いに固定された2つの材料層を有する積層体ということになり、材料層の一方のバックシート12は、後耳を構成するものであり、他方の「加熱弾性化可能材料から成る片30、31」は、本件発明でいう「エラストマー材料から成る弾性側パネル部材」に対応している。
してみると、本件発明1と刊行物1発明とは、「第1ウェスト領域と、第2ウェスト領域とを有する使い捨て吸収体物品において、前記吸収体物品は、包含組立体と、第2ウェスト領域に位置された横方向に弾性的に伸長自在の弾性側パネルを備え、前記包含組立体は、液体透過性トップシートと、液体不透過性バックシートと、前記液体透過性トップシートと前記液体不透過性バックシートとの間に位置された吸収体コアを有し、前記弾性側パネルは、第2ウエスト領域の端縁部から脚縁部まで延びる耳フラップと、この耳フラップに接合された弾性側パネル部材とからなり、かつ積層体であり、前記積層体は実質的に張力が加えられない状態で互いに固定された少なくとも2つの材料層を有し、前記材料層の一方は耳フラップであり、前記材料層の他方はエラストマー材料からなる部材である」点で一致しており、本件発明1の「弾性側パネル」を構成する「歪ゼロ延伸積層体」は、材料層の一方が伸長自在な材料からなる耳フラップであり、前記材料層の他方はエラストマー材料からなる弾性側パネル部材であり、前記材料層は、伸長自在な材料を永久的に伸長するのに十分な増加機械的延伸を受け、歪ゼロ延伸積層体を少なくとも横方向に弾性的に延伸できるようにしたのに対し、刊行物1発明の「弾性ひだ」を構成する積層体の一方のバックシートは「伸長自在な材料」からなるとはされておらず、他方の「加熱弾性化可能材料から成る片30、31」の加熱収縮により形成されたひだによって横方向に弾性的に伸長しうるようにしたものである点、すなわち、弾性側パネル(弾性ひだ)に弾性を発現させるためのメカニズムにおいて両者は相違している。

上記の相違点について検討する。
刊行物2には、上記のように、おむつの選択された領域に弾性をもたせるための手段として、伸長可能なトップシート及びバックシートに弾性部材を弛緩状態、すなわち実質的に張力を付加しない状態で固定した複合ウエブが、伸長可能なトップシート及びバックシートが永久的に伸長するのに十分な増加的機械的延伸を受け、複合ウエブを横方向に弾性的に伸長できるようにすることが記載されており、実施の態様として、各ウエスト領域端部及び足ぐり領域縁部に沿った領域を弾性化するもので、弾性部材として弾性バンドを使用するものが示されているが、上記の「おむつの選択された領域に弾性をもたせるための手段」を、刊行物1発明における後耳に弾性ひだを形成する手段として採用することは、当業者が容易になし得る事項であり、その際に、弾性ひだを構成するバックシートとしては当然「伸長自在な材料」からなるものが使用されることになる。
なお、本件発明1でいう「歪ゼロ延伸積層体」に関して、本件明細書の段落番号【0137】には、『「歪ゼロ」の延伸積層体をトップシート、バックシート、及びこれらのシート間に位置されたエラストマー部材からつくるのに使用される特に好ましい方法及び装置は、構成要素を機械的に延伸する互いに噛み合う波形ロールを使用する。おむつの部分を機械的に延伸するための適当な装置及び方法の議論は、上掲の1978年8月15日にシソンに賦与された米国特許第4107364号及び1989年5月30日にサビーに賦与された米国特許第4834741 号に含まれている。……』と記載されており、本件発明1において使用される「歪ゼロ延伸積層体」が、上記刊行物2である米国特許第4834741号明細書に記載された公知のものであることが示されている。
したがって、本件発明1は、上記甲刊行物1,2に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

また、上記刊行物1には、後耳に弾性ひだを形成するとともに、ウエストバンドをも弾性化することが示されている[上記摘示記載(d)、第1図、第5図等参照]ので、本件請求項6に係る発明も、本件発明1と同様に上記甲刊行物1,2に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。
特許権者は、意見書において、上記刊行物2に記載された発明は、弾性化領域がウエスト領域の端縁部に限られ、ウエスト領域全体が弾性化されるものではないこと、刊行物1に記載された後耳が永久的に伸長するように延伸されるものでないことをもって、刊行物1に記載された加熱弾性化可能材料に代えて刊行物2に記載された弾性バンドを適用しても本件発明1の弾性側パネルとはなり得ない旨を主張しているが、刊行物2にウエスト端縁部に適用する実施例が示された(いわゆる歪みゼロ積層体を使用した)弾性化手段を、刊行物1発明の後耳に弾性ひだを形成するための手段に適用する場合、その弾性化領域が弾性ひだの形成領域に亘るように、弾性部材の形状を選択することも、弾性部材を固定する材料層を伸長自在な材料とすることも、技術常識に鑑みて明らかであるので、当該権利者の主張は採用しない。

6-2 請求項2乃至5に係る発明について
本件請求項2乃至5に係る発明は、本件発明1におけるエラストマー材料及び弾性側パネル部材の弾性特性を特定するものと認められ、そのうち、請求項4に規定する「6.25mmと31.25mmの間の伸びで、250グラム以上の伸び力を有する」点については、その意味及び技術的意義が明らかでないものであるが、一般に、吸収体物品に使用される弾性体あるいは弾性体を適用した吸収体物品の弾性特性は、吸収体物品が何であるか、着用者が、乳幼児であるか、成人であるか、寝た状態で使用するか、立ち歩く状態で使用するか、等の使用態様、介助者の取り扱いの容易性、製造の容易性、製造コスト、さらには、組み合わされる他の材料の物性等を勘案して当業者が適宜選択決定すべき設計事項であり、本件請求項2乃至5に係る発明における数値範囲について、格別の技術的意義があるものと認めるに足る根拠を見いだすこともできないので、その数値の限定に格別の困難性があるものとは認められない。
したがって、本件請求項2乃至5に係る発明も、上記「5.本件請求項1及び6に係る発明について」に記載したと同じ理由により、いずれも、上記刊行物1及び刊行物2に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

7.むすび
以上のとおり、本件請求項1乃至6に係る発明は、いずれも、刊行物1及び刊行物2に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるので、本件請求項1乃至6に係る特許は、いずれも、拒絶の査定をしなければならない特許出願に対してされたものであり、取り消されるべきものである。
よって、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第14条の規定に基づく、特許法等の一部を改正する法律の施行に伴う経過措置を定める政令(平成7年制令第205号)第4条第2項の規定により、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
弾性側パネルを有する吸収体物品
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1ウェスト領域と、第2ウェスト領域とを有する使い捨て吸収体物品において、
前記吸収体物品は、包含組立体と、第2ウェスト領域に位置された横方向に弾性的に伸長自在の弾性側パネルを備え、
前記包含組立体は、液体透過性トップシートと、液体不透過性バックシートと、前記液体透過性トップシートと前記液体不透過性バックシートとの間に位置された吸収体コアを有し、
前記弾性側パネルは、第2ウェスト領域の端縁部から脚縁部まで延びる耳フラップと、この耳フラップに接合された弾性側パネル部材とからなり、かつ歪ゼロ延伸積層体を有し、
前記歪ゼロ延伸積層体は、実質的に張力が加えられない状態で互いに固定された少なくとも2つの材料層を有し、前記材料層の一方は伸長自在な材料からなる耳フラップであり、前記材料層の他方はエラストマー材料からなる弾性側パネル部材であり、
前記材料層は、伸長自在な材料を永久的に伸長するのに十分な増加機械的延伸を受け、歪ゼロ延伸積層体を少なくとも横方向に弾性的に延伸できるようにしたことを特徴とする吸収体物品。
【請求項2】
前記エラストマー材料は、少なくとも400%で破断する伸びを有することを特徴とする請求項1に記載の吸収体物品。
【請求項3】
前記エラストマー材料は、そのエラストマー材料を延伸し直ちに解放した際に、5秒以内に初期の外形の少なくとも75%に戻ることを特徴とする請求項1に記載の吸収体物品。
【請求項4】
前記弾性側パネル部材は、6.25mmと31.25mmの間の伸びで、250グラム以上の伸び力を有することを特徴とする請求項1に記載の吸収体物品。
【請求項5】
前記弾性側パネル部材は、50%の伸びでインチ当たり少なくとも90グラムの収縮力を有することを特徴とする請求項1に記載の吸収体物品。
【請求項6】
前記吸収体物品は、前記第2ウェスト領域に配置された弾性胴バンドを有することを特徴とする請求項1に記載の吸収体物品。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、おむつ、失禁者用ブリーフ、おむつホルダ、等のような吸収体物品に係り、更に詳細には、着用者の周りに動的フィットを提供すると同時に吸収体物品の包含特性を改善する弾性側パネルを有する吸収体物品に関する。
【0002】
【従来の技術】
幼児及び他の失禁者は、尿及び他の身体の滲出物を受け取ってこれを包含するおむつのような吸収体物品を着用する。吸収体物品は、排出物を包含する機能とと排出物を着用者の身体及び着用者の衣料及び寝巻から離す機能の両方の機能を果たす。基本的設計の異なる多くの使い捨て吸収体物品が当該技術分野で周知である。
【0003】
例えば、1967年1月31日にダンカン及びベーカーに賦与された「使い捨ておむつ」という標題の米国再発行特許第Re.26,152,号には、広範に受入れられ商業的な成功を収めた使い捨ておむつが記載されている。1975年1月14日にブエルに賦与された「使い捨ておむつ用収縮自在の側部分」という標題の米国特許第3,860,003号には、弾性脚カフを持つ広範に受入れられ商業的な成功を収めた使い捨ておむつが記載されている。
【0004】
しかしながら、吸収体物品には、使用中に着用者の身体から垂れ下がったり滑り落ちたりする傾向がある。この垂れ下がりや滑り落ちは、着用者が息をしたり動いたり位置を変えたりするときの着用者の相対的移動によって、吸収体物品に身体の滲出物が排出されたときに生じる下向きの力によって、及びこのような着用者の移動が加わったときの吸収体物品自体の材料の変形によって引き起こされる。
【0005】
吸収体物品のこのような垂れ下がりや滑り落ちは、着用者の周りで、吸収体物品の胴領域及び脚領域での早期破損漏れや低い装着性をもたらす。吸収体物品を着用者の胴部の周りに更にぴったりと装着するため、商業的に入手できる特定の吸収体物品には弾性胴部装置が設けられている。
【0006】
広範に受入れられ且つ商業的成功を収めた弾性胴部装置を備えた使い捨ておむつの例が、1985年5月7日にキビト及びオスターヘージに賦与された米国特許第4,515,595号に開示されている。弾性胴部装置は、代表的には、トップシートとバックシートとの間に収縮自在に付けられた弾性部材からなる弾性胴バンドを有する。弾性胴バンドは、着用者の動きに従って延びたり縮んだりし、吸収体物品を使用中に着用者の胴部の周りにフィットした状態に維持するように(即ち、動的にフィットした状態に維持される)設計されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、弾性胴部装置を有する吸収体物品は、使用中に垂れ下がったり滑り落ちたりする傾向があるということがわかっている。
【0008】
更に、弾性胴部装置には、おむつの前側が巻返ったり、内側に丸まったりして、着用者の胴部の周りでの装着性を損なう傾向がある。
【0009】
本発明は、上記した点をに考慮してなされたもので、装着性を改善し、漏れを少なくし、着用中に着用者の胴部の周りに動的にフィットした状態に維持される吸収体物品を提供することを目的とする。
【0010】
また、本発明は、吸収体物品又は吸収体コア全体が使用中に着用者上で滑ることが少ないばかりでなく、おむつの胴部領域が垂れ下がったり、滑り落ちたり、巻返ったり、又は内側に丸まったりすることが少ない吸収体物品を提供することを目的とする。
【0011】
本発明の他の目的は、弾性胴バンドのゾーン間の相対的な撓み曲げを可能にし、これらのゾーンをそれらの本質的に使用前の形体に弾性的に戻す復元力/モーメントを提供する、予め配置された弾性胴バンド撓みヒンジゾーンを設けることによって、このような動的にフィットした状態に維持する弾性胴バンドを持つ独特の弾性胴部装置を提供することである。
【0012】
本発明の更に他の目的は、動的にフィットした状態に維持するため、独特の弾性胴部装置の少なくとも一部に亘って横方向張力を維持し/つくりだす閉鎖装置を提供することである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明は、弾性胴バンドの動的装着性並びに吸収体物品の包含特性を改善する独特の弾性胴部装置を持つ、使い捨ておむつ、失禁者用ブリーフ、おむつホルダ、等のような吸収体物品を提供する。
【0014】
本発明の吸収体物品は、包含組立体と、第2ウェスト領域に位置され横方向に弾性的に伸長自在の弾性側パネルを備え、包含組立体は、液体透過性トップシートと、バックシートと、液体透過性トップシートと液体不透過性バックシートとの間に位置された吸収体コアを有し、弾性側パネルは、第2ウェスト領域の端縁部から脚縁部まで延びる耳フラップと、この耳フラップに接合された弾性側パネル部材とからなり、かつ歪ゼロ延伸積層体を有し、歪ゼロ延伸積層体は、実質的に張力が加えられない状態で互いに固定された少なくとも2つの材料層を有し、前記材料層の一方は伸長自在な材料からなる耳フラップであり、前記材料層の他方はエラストマー材料からなる弾性側パネル部材であり、伸長自在な材料を永久的に伸長するのに十分な増加機械的延伸を受け、歪ゼロ延伸積層体を少なくとも横方向に弾性的に延伸できるように構成され、おむつを着用者に最初にその外形と一致するように装着し、この状態を維持することによって更に快適で且つぴったりとフィットさせる。
【0015】
弾性側パネルは、着用力(張力)を更に大きくし且つ維持し、主ファスニングシステム及び胴閉鎖システムの両方によってつくりだされ且つ維持された張力を高める。特に、弾性側パネルは、弾性胴バンドに予め張力を加えるのを助け、おむつを更に効果的に付ける。各弾性側パネルは、多くの形体でつくることができるけれども、弾性側パネルは、好ましくは、「歪ゼロ」の延伸積層体からなる。更に、弾性側パネルは、好ましくは、使用中に着用者の皮膚に凹みができたり、擦ったり、傷付けたりすることがないように、張力が側パネルに亘って集中しないようにするため、延長パネルを着用者の脚と隣接して有する。
【0016】
弾性側パネルは、使用中に着用者の皮膚に凹みができたり、擦ったり、傷付けたりすることがないように、張力が側パネルに亘って集中しないようにするため、延長パネルを着用者の脚と隣接して有する。
【0017】
本発明の吸収体物品は、液体透過性トップシートとバックシートと吸収体コアを有する包含組立体と、弾性部材と弾性部材に接合された耳フラップとを有し第2ウェスト領域に位置された横方向に弾性的に伸長自在の弾性側パネルと、機械的閉鎖部材を有し横方向の張力を作り出すように弾性側パネルに接合された閉鎖装置とを有して構成され、おむつを着用者に最初にその外形と一致するように装着し、この状態を維持することによって更に快適で且つぴったりとフィットさせる。
【0018】
吸収体物品には、弾性胴バンドに亘って横方向張力を動的につくりだし/維持するための閉鎖装置が設けられ、閉鎖装置によって動的につくりだされ且つ維持された横方向張力は、弾性胴バンドの延伸部を賦勢し、これによって、弾性胴バンドが着用者の動きに従って更に動的に延びたり縮んだりできるようにする。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
【0020】
本明細書中で使用している「吸収体物品」という用語は、身体の滲出物を吸収して包含するための装置をいう、更に詳細には、身体から排出された種々の滲出物を吸収して包含するため着用者の身体に当てて又は着用者の身体の近くに配置される装置をいう。「使い捨て」という用語は、本明細書では、洗濯又は他の方法で復元したり吸収体物品として再使用するようになっていない吸収体物品(即ち、これらの吸収体物品は一回使用した後で廃棄され、好ましくはリサイクルされ、腐敗され、又は環境に適合する他の方法で処分されるようになっている)を説明するのに使用される。「単体の」吸収体物品とは、別々のホルダ及びライナのような別々に取り扱う部品を必要としないように互いに合一化されて調和した実在物を形成する別々の部品で形成された吸収体物品をいう。本発明の吸収体物品の好ましい実施例は、図1に示す単体の使い捨て吸収体物品、即ちおむつ20である。本明細書中で使用されている「おむつ」という用語は、一般に幼児や失禁者が着用する吸収体物品、即ち着用者の下肢の周りに着用される吸収体物品をいう。しかしながら、本発明は、失禁者用ブリーフ、失禁者用下着、おむつホルダ及びライナ、女性用衛生ナプキン、等の他の吸収体物品にも適用できるということは理解されるべきである。
【0021】
図1は、本発明のおむつ20の平らに拡げた収縮していない状態(即ち、弾性体が弛緩した状態で設けられている側パネルを除いて弾性による収縮が拡げてある)を示す平面図である。図1では、おむつ20の構造を更に明らかに示すため、おむつ構造の幾つかの部分が切欠いており、着用者から離れたおむつ20の部分、即ち外面52が図1を見る人に向いている。
【0022】
おむつ20は、図1に示すように、包含組立体22を有する。包含組立体22は、好ましくは、液体透過性トップシート24と、このトップシート24に接合された液体不透過性バックシート26と、トップシート24とバックシート26との間に位置された吸収体コア28とを有する。おむつ20は、更に、弾性側パネル30と、弾性脚カフ32と、弾性胴部装置34と、一般に多層の二重張力ファスニングシステムからなる閉鎖装置36を有する。二重張力ファスニングシステム36は、好ましくは、主ファスニングシステム38と胴閉鎖システム40とを有する。主ファスニングシステム38は、好ましくは、一対の固定部材42とランディング部材44とを有する。
【0023】
図1に好ましくは一対の第1取り付け構成要素46と第2取り付け構成要素48からなる胴閉鎖システム40を示す。更におむつ20は、好ましくは、第1取り付け構成要素46の各々の下に配置された位置決めパッチ50を有する。
【0024】
図1示すおむつ20は、外面52(図1を見る人の方を向いている)と、外面52とは反対側の内面54と、第1胴領域56と、第1胴領域56と対向する側の第2胴領域58と、おむつ20の外縁部が構成する周囲60とを有する。周囲60の長さ方向縁部には参照番号62が附してあり、端縁部には参照番号64が附してある。(当業者は、おむつは、通常、一対の胴領域及びこれらの胴領域間の股領域を持つものとして説明されると考えているが、本願では、用語を簡単にする目的で、おむつ20を胴領域だけを有し胴領域の各々が代表的には股領域の部分として示されるおむつの一部を包含するものとして説明する。)
おむつ20の内面54は、使用中に着用者の身体と隣接して位置されるおむつ20の部分を構成する(即ち、内面54は、トップシート24の少なくとも一部及びトップシート24に接合された他の構成要素によって形成される)。外面52は、着用者の身体から離れて位置されたおむつ20の部分を構成する(即ち、外面52は、バックシート26の少なくとも一部及びバックシート26に接合された他の構成要素によって形成される)。第1胴領域56及び第2胴領域58の夫々は、周囲60の端縁部64からおむつ20の横方向中心線66まで延びている。これらの胴領域の各々は、中央領域68及び一対の側パネルからなり、側パネルは、胴領域の外横部分を構成する。第1胴領域56に位置された側パネルには参照番号70が附してあり、第2胴領域58に位置された側パネルには参照番号72が附してある。(以下の議論では、おむつ20は、特に注記していない限り各胴領域に一対の側パネルを有する。側パネルの対又は各側パネルは同じである必要はないが、これらの側パネルは、好ましくは、互いに鏡像対称になっている。)
本発明の好ましい実施例では、第2胴領域58に位置された側パネル72は、横方向に弾性的に伸長自在で、弾性側パネル30である。ここで、横方向(x軸方向即ち幅方向)をおむつ20の横方向中心線66に平行な方向と定義し、長さ方向(y軸方向即ち長さ方向)を長さ方向中心線67に平行な方向と定義し、軸線方向(z軸方向即ち厚さ方向)をおむつ20の厚さを通って延びる方向と定義する。
【0025】
図1は、おむつ20の好ましい実施例を示し、この実施例では、トップシート24及びバックシート26の長さ及び幅が吸収体コア28の長さ及び幅よりも大きい。トップシート24及びバックシート26は、吸収体コア28の縁部を越えて延び、おむつ20の周囲60を形成する。周囲60は、長さ方向縁部62及び端縁部64からなり、おむつ20の外周、即ちおむつ20の縁部を構成する。
【0026】
図2は、第1胴領域56の図1の2-2線に沿ったおむつ20の断面図であり、弾性胴部装置34の弾性胴バンド35の構造を示す。弾性胴バンド35は、図2では収縮した状態または弛緩した状態で示されている。弾性胴バンド35は、好ましくは、トップシート24の一部と、好ましくは機械的に延伸させたバックシート26の一部と、トップシート24とバックシート26との間に位置されたエラストマー部材76とバックシート26とエラストマー部材76との間に位置された弾性部材77からなる二層積層材料とからなる。更に、弾性胴バンド35には、エラストマー部材76及び弾性部材77からなる二層積層材料にバックシート26及びトップシート24を接合する固定領域78が設けられている。トップシート24及びバックシート26がギャザー付けされているため、二層積層材料がその弛緩した状態にあるとき、プリーツ80を形成する差異の固定領域が形成される。
【0027】
図5、図1の5-5線に沿ったおむつ20の部分断面図であり、第1胴領域56の好ましい弾性胴部装置の構造を示す。図5には吸収体コア28が概略に示してあり、吸収体コア28の胴縁部83を示す。トップシート24及びバックシート26は、吸収体コア28を包んでおり、吸収体コア28の胴縁部83を越えて長さ方向外方に延びて胴フラップ89及び端縁部64を形成する。
【0028】
弾性胴部装置34は、少なくとも中央領域68において吸収体コア28の胴縁部83から長さ方向外方に延び、端縁部64の少なくとも一部を形成する。弾性胴部装置34は、相互連結パネルゾーン130、相互連結パネルゾーン130を吸収体コア28の胴縁部83と隣接した包含組立体22に連結する第1撓みヒンジゾーン132、弾性胴バンド35、及び弾性胴バンド35を相互連結パネルゾーン130に連結する第2撓みヒンジゾーン134からなる。図5に示すように、弾性胴バンド35は、賦形パネルゾーン136、ウェストラインパネルゾーン138、及び賦形パネルゾーン136とウェストラインパネルゾーン138とを接合する予め配置した弾性胴バンド撓みヒンジゾーン140からなる。
【0029】
図5に示すように、相互連結パネルゾーン130は、トップシート24及びバックシート26の一部からなり、弾性胴バンド35は、トップシート24及びバックシート26の一部及びエラストマー部材76及び弾性部材77からなる二層積層材料からなる。
【0030】
図4は、弾性胴部装置34の種々のゾーン及び要素を概略に示すおむつ20の第1胴領域56の概略拡大平面部分図である。胴縁部83及び側縁部82を有する吸収体コア28が概略に示してある。弾性胴部装置34のパネルゾーンには全体に斜線が付けてある。パネルゾーンは、相互連結パネルゾーン130と、賦形パネルゾーン136及びウェストラインパネルゾーン138からなる弾性胴バンド35とからなる。撓みヒンジゾーンは、曲げ/撓み変形を呈するように幾らかの幅を持つゾーンからなるけれども、全体が線で示してある。撓みヒンジゾーンは、第1撓みヒンジゾーン132、第2撓みヒンジゾーン134、及び胴バンド撓みヒンジゾーン140からなる。閉鎖装置は、弾性胴バンド35を通して横方向張力を維持し/つくりだすように弾性胴バンド35と長さ方向に整合した一対の第1取り付け構成要素46を持つものとして示してある。第1取り付け構成要素46は、好ましくは、バックシート26に接合された別体の材料パッチ、好ましくはフックファスニング材料からなる。
【0031】
おむつ20の包含組立体22は、おむつ20の主本体(シャシー)を構成するものとして図1に示してある。包含組立体22は、少なくとも吸収体コア28と、好ましくは、トップシート24及びバックシート26からなる外カバー層を有する。吸収体物品が別体のホルダ及びライナを有するときは、包含組立体22は、ホルダ及びライナからなる(即ち、包含組立体22はホルダを構成する一つ又はそれ以上の材料層からなり、ライナはトップシート、バックシート、及び吸収体コアのような吸収体複合体からなる)。一体吸収体物品については、包含組立体22がおむつの主構造を構成し、他の特徴が加えられて複合おむつ構造を形成する。おむつ20の包含組立体22は、全体として、トップシート24、バックシート26、及び吸収体コア28からなる。
【0032】
吸収体コア28は、全体に圧縮性があり、外形に馴染み、着用者の皮膚に対して刺激がなく、尿及び他の身体の滲出物のような液体を吸収して保持することができる任意の吸収体手段であるのがよい。図1に示すように、吸収体コア28は、衣料面100、身体面101、側縁部82及び胴縁部83を有する。
【0033】
吸収体コア28は、使い捨ておむつ及び他の吸収体物品で一般に使用されている種々の液体吸収体材料、例えば一般にエアーフェルトと呼ばれる微粉砕された木材パルプ等から種々の大きさ及び形状(例えば、矩形、砂時計形状、T字形状、非対称形状)に製造できる。他の適当な吸収体材料の例には、クレープセルロース紙綿、コフォームを含むメルトブローンポリマー、架橋セルロース繊維、薄葉紙のラップ及び薄葉紙の積層体を含む薄葉紙、吸収体フォーム、吸収体スポンジ、超吸収体ポリマー、吸収体ゲル化剤、又は任意の同様の材料又はこれらの材料の組み合わせが含まれる。種々の形体及び構造の吸収体コアを使用できる(例えば、吸収体コアは、厚さの変化した領域を有してもよいし、親水勾配、超吸収体勾配、低平均密度、及び低平均坪量の捕捉ゾーンを有してもよいし、一つ又はそれ以上の層構造からなってもよい)。しかしながら、吸収体コア28の全吸収力は、設計負荷即ちおむつ20の所定の用途に適したものでなければならない。更に、吸収体コア28の大きさ及び吸収力は幼児から成人までの範囲の着用者に合わせて変化させるのがよい。
【0034】
おむつ20の好ましい実施例は、第1胴領域56に耳部102を持つが第2胴領域58ではほぼ矩形状である非対称変形T字形状吸収体コア28を有する。この形態により、広幅の弾性側パネル30を第2胴領域58に設けることができる。広範に受入れられ且つ商業的成功を収めた本発明の吸収体コア28として使用するための例示の吸収体構造は、1986年9月9日にワイズマン及びゴールドマンに賦与された「高密度吸収体構造」という標題の米国特許第4,610,678号に記載されている。1987年6月16日にワイズマン、ホートン、及びゲラートに賦与された「二重コア層を持つ吸収体物品」という標題の米国特許第4,673,402号、及び1989年12月19日にアンスタットに賦与された「ダスティング層を持つ吸収体コア」という標題の米国特許第4,888,231号にも本発明で有用な吸収体構造が記載されている。吸収体コア28は、好ましくは、1989年3月30日にアルマニー及びバーグに賦与された「低密度で且つ低坪量の捕捉ゾーンを持つ高密度吸収体物品」という標題の米国特許第4,834,735号に記載された、商業的成功を収めた吸収体物品である。これらの文献について触れたことにより、これらの文献に開示されている内容は本明細書中に組み入れたものとする。
【0035】
バックシート26は、吸収体コア28の衣料面100と隣接して位置され、好ましくは、当該技術分野で周知の取り付け手段(図示せず)で吸収体コア28の衣料面100に接合される。例えば、バックシート26は、均等で連続的な接着剤層、パターンをなした接着剤層、又は接着剤の別々の線、螺旋、又は点からなる列で吸収体コア28に固定されているのがよい。満足のいくものであることがわかっている接着剤は、オハイオ州コロンバスのセンチュリー接着剤社、及びミネソタ州セントポールのH.Bフューラー社が製造し、HL-1258として販売している接着剤である。取り付け手段は、好ましくは、1986年3月4日にミネトラ及びタッカーに賦与された「使い捨て排泄物包含衣料」という標題の米国特許第4,573,986号に開示された接着剤のフィラメントの開放パターンをなしたネットワークからなる。同特許について触れたことにより、その特許に開示されている内容は本明細書中に組み入れたものとする。
【0036】
フィラメントでできた開放パターンをなしたネットワークからなる例示の取り付け手段は、1975年10月7日にスプレークに賦与された米国特許第3,911,173号、1978年11月22日にゼッカー等に賦与された米国特許第4,785,996号、及び1989年6月27日にウェレニッツに賦与された米国特許第4,842,666号に示された装置及び方法が例示するような螺旋パターンをなすように渦巻き状になった接着剤のフィラメントからなる幾つかの線からなる。これらの特許について触れたことにより、これらの特許に開示されている内容は本明細書中に組み入れたものとする。変形例では、取り付け手段は、熱接着、圧接着、超音波接着、動的機械的接着、又は当該技術分野で周知のように任意の他の適当な取り付け手段又はこれらの取り付け手段の組み合わせからなるのがよい。
【0037】
バックシート26は、液体(例えば尿)に対して不透過性であり、好ましくは薄いプラスチックフィルムからできているのがよい。しかしながら、他の液体不透過性の可撓性材料を使用してもよい。本明細書中で使用されている「可撓性」という用語は、柔軟であり且つ人体の全体形状即ち輪郭と容易に一致する材料をいう。バックシート26は、吸収体コア28が吸収し、吸収体コア28内に包含した滲出物が、おむつ20と接触したベッドのシーツや下着等の物品を濡らすことのないようにする。かくして、バックシート26は、織物材料又は不織材料、ポリエチレン又はポリプロピレンでできた熱可塑性プラスチックフィルムのようなポリマーフィルム、又はフィルムでコーティングした不織材料のような複合材料からなるのがよい。好ましくは、バックシートは、約0.012mm(0.5ミル)乃至約0.051mm(2.0ミル)の厚さを持つ熱可塑性プラスチックフィルムである。
【0038】
本発明の好ましい実施例では、弾性側パネル30を形成する「歪ゼロ」の延伸積層体を提供するため、及び弾性胴部装置と一致するバックシートの部分に予め歪を加えるため、バックシート26の少なくとも一部に機械的延伸が加えてある。かくして、バックシート26は、好ましくは延伸自在であり、最も好ましくは引き延ばし可能であるがエラストマー製である必要はない。そのため、バックシート26は、機械的な延伸が加わったとき、少なくとも或る程度永久的に延伸し、全く変形されていない元の形態に戻ることはない。好ましい実施例では、望ましからぬ破れや裂けを生じずにバックシートに機械的延伸を加えることができる。バックシート26の破れに対する最大延びは、ASTMのD-638による方法を使用してクロス機械方向に計測して少なくとも約400%乃至約700%であるのが好ましい。かくして、バックシートとして使用するのに好ましいポリマーフィルムは、線状低密度ポリエチレンを高い濃度で含む。バックシートに特に好ましい材料には、約45%乃至90%の線状低密度ポリエチレンと約10%乃至55%のポリプロピレンからなる混合物が含まれる。本発明のバックシートとして使用するための例示のフィルムは、インディアナ州テルホイテのトレッデガ産業がインフレートフィルム用RR8220混合物及び流延フィルム用RR5475混合物の表示で製造している。バックシート26は、好ましくは、布地と似た外観を提供するため、エンボス加工が施され(代表的には、約0.127mm(5.5ミル)まで)、及び/又は艶消し仕上げが施されている。更に、バックシート26は、吸収体コア28から蒸気を散逸させることができ(即ち呼吸でき)るけれども滲出物を通さない。
【0039】
バックシート26の大きさは、吸収体コア28の大きさ及びおむつの選択された正確な設計によって決まる。好ましい実施例では、バックシート26は、おむつの全周60の周りで吸収体コア28を越えて少なくとも約1.3cm乃至約2.5cm(約0.5インチ乃至約1.0インチ)の最小距離延びる変形砂時計形状を有する。好ましくは、バックシート26は第2胴領域58で吸収体コア28よりも更に広幅になっており、そのため、第2胴領域58の側パネル72は第1胴領域56の側パネル70よりも横方向で全体に幅広になっている。
【0040】
トップシート24は、吸収体コア28の身体面101に隣接して位置され、好ましくは、当該技術分野で周知の取り付け手段(図示せず)で吸収体コア28の身体面101及びバックシート26に接合されている。適当な取り付け手段は、吸収体コア28へのバックシート26の接合に関して上文中に説明してある。本明細書中で使用されている「接合された」という用語は、一つの要素が、この要素を他の要素に直接付けることによって他の要素に直接固定された形態、及び一つの要素を中間部材に付け、この中間部材を他の要素に付けることによって他の要素に間接的に固定された形態を包含する。本発明の好ましい実施例では、トップシート24及びバックシート26は、おむつの周囲60で互いに直接的に接合されるか、これらを吸収体コア28に取り付け手段(図示せず)で直接接合することによって互いに間接的に接合される。
【0041】
トップシート24は、柔軟で、軟質な触感があり、着用者の皮膚に対して刺激がない。更に、トップシート24は液体透過性であり、液体(例えば尿)は、トップシートの厚さを容易に通過できる。適当なトップシートは、多孔質フォーム、網状フォーム、有孔プラスチックフィルム、又は天然繊維(例えば、木材繊維又は綿繊維)、合成繊維(例えばポリエステル繊維又はポリプロピレン繊維)、又は天然繊維及び合成繊維の混紡のような広範な材料から製造できる。好ましくは、トップシート24は、着用者の皮膚を吸収体コア28内に包含された液体から遮断するために疎水性材料でできている。
【0042】
本発明の好ましい実施例では、弾性側パネル30を形成する「歪ゼロ」の延伸積層体を提供するため、トップシート24の少なくとも一部に機械的延伸を加える。かくして、トップシート24は、好ましくは、延伸自在であり、最も好ましくは引き延ばし自在であるが、エラストマー製である必要はない。そのため、トップシート24は、機械的な延伸を加えたとき、少なくとも或る程度永久的に延伸し、その元の形態に完全に戻ることはない。好ましい実施例では、トップシートの望ましからぬ破れや裂けを引き起こさずにトップシート24に機械的延伸を加えることができる。かくして、トップシート24はクロス機械方向の降伏強さが小さいのが好ましい。
【0043】
トップシート24は種々の製造技術を用いて製造できる。例えば、トップシート24は、繊維でできた不織ウェブであるのがよい。トップシートが不織ウェブでできている場合には、ウェブは、スパンボンデッド材料、カーデッド材料、湿式堆積材料、メルトブローン材料、ハイドロエンタングルド材料、これらの材料の組み合わせ等でできているのがよい。好ましいトップシートは、カーディング処理が施され、織物の技術分野の当業者に周知の手段で熱結合された材料である。好ましいトップシートは、約2.2デニールのステープル長ポリプロピレン繊維でできている。本明細書中で使用されている「ステープル長繊維」という用語は、少なくとも約15.9mm(0.625インチ)の長さを持つ繊維をいう。好ましい、トップシートは、約18g/m2乃至約25g/m2の坪量を有する。適当なトップシートは、マサチューセッツ州ウォルポールのインターナショナルペーパー社の一部署であるベラテック社がP-8という表示で製造しているものである。
【0044】
おむつ20は、好ましくは、液体及び他の身体の滲出物の包含性を改善するための弾性脚カフ32を有する。弾性脚カフ32は、身体の滲出物の脚部領域での漏れを減少させるための幾つかの種類の異なる実施例からなるのがよい。(脚カフを、脚バンド、側フラップ、障壁カフ、又は弾性カフと呼んでもよい)。
【0045】
1975年1月14日にブエルに賦与された「使い捨ておむつ用の収縮性のある側部分」という標題の米国特許第3,860,003号には、側フラップ及び弾性脚カフ(ガスケットカフ)を構成する一つ又はそれ以上の弾性部材を持つ収縮性のある脚開口部を提供する使い捨ておむつが記載されている。1990年3月20日にアジズ及びブレーニーに賦与された「弾性フラップを持つ使い捨て吸収体物品」という標題の米国特許第4,909,803号には、脚領域の包含性を改善するため「起立」弾性フラップ(障壁カフ)を持つ使い捨ておむつが記載されている。1987年9月22日にローソンに賦与された「二重カフを持つ吸収体物品」という標題の米国特許第4,695,278号には、ガスケットカフ及び障壁カフを含む二重カフを持つ使い捨ておむつが記載されている。1987年11月3日にブエルに賦与された「使い捨て胴部包含衣料」という標題の米国特許第4,704,115号には、吸収されていない状態の液体を収容するような形状の側-縁部-漏れ-保護ガターを持つ使い捨ておむつ又は失禁者用衣料が記載されている。これらの特許について触れたことにより、これらの特許に開示されている内容は本明細書中に組み入れたものとする。
【0046】
各弾性脚カフ32は、上述の脚バンド、側フラップ、障壁カフ、又は弾性カフのうちの任意のものと似ているように形成するのがよいけれども、各弾性脚カフ32は、少なくとも、上文中で引用した米国特許第4,909,803号に記載されているような障壁フラップ85及び離間弾性部材86からなる内障壁カフ84を有するのが好ましい。好ましい実施例では、弾性脚カフ32は、上文中で引用した米国特許第4,695,278号に記載されているように障壁カフ84の外側に位置された一つ又はそれ以上の弾性ストランド105を備えた弾性ガスケットカフ104を追加に有する。
【0047】
更に、おむつ20は、装着性及び包含性を改善する弾性胴部装置34を有する。弾性胴部装置34は、少なくとも、中央領域68の吸収体コア28の少なくとも一方の胴縁部83から長さ方向外方に延び、全体としておむつ20の端縁部64の少なくとも一部を形成する。かくして、弾性胴部装置34は、少なくとも吸収体コア28の胴縁部83からおむつ20の端縁部64まで延びるおむつの部分からなり、着用者の胴部と隣接して配置される。
【0048】
使い捨ておむつ20は、一般に、一つが第1胴部領域に位置され、一つが第2胴部領域に位置された二つの弾性胴部装置を持つように作られている。本発明の使い捨ておむつは、着用者を包囲する単一の弾性胴部装置を持つように作ってもよいが、弾性胴部装置に関する議論は、少なくとも一方、好ましくは両方が本発明に従って作られた一対の弾性胴部装置を持つおむつに絞ってなされる。
【0049】
更に、弾性胴部装置又はその任意の構成要素は、おむつ20の包含組立体22に付けられた別体の要素からなってもよいが、弾性胴部装置34がバックシート26又はトップシート24、好ましくはバックシート26及びトップシート24の両方のようなおむつの他の要素の延長部としてつくられた好ましい実施例に関して弾性胴部装置34を説明する。
【0050】
弾性胴部装置34は、図5に示すように、弾性胴バンド、及び弾性胴バンドを包含組立体に接合する撓みヒンジゾーンからできているということだけが必要とされているが、弾性胴部装置34は、好ましくは、幾つかの追加のゾーンを有する。詳細には、弾性胴部装置34は、相互連結パネルゾーン130、相互連結パネルゾーン130を吸収体コア28の胴縁部83と隣接した包含組立体22に接合する第1撓みヒンジゾーン132、弾性胴バンド35、及び弾性胴バンド35を相互連結パネルゾーン130に接合する第2撓みヒンジゾーン134を有する。相互連結パネルゾーン130は、好ましくは、弾性胴バンド35と包含組立体22との間に可撓性リンクを構成する。弾性胴バンド35は、所定の領域を覆った状態に維持し、着用者の胴部と接触し、装着性が改善されるように着用者の胴部に動的にフィットするように及び着用者の胴部の形状と一致するように少なくとも横方向に弾性的に伸長自在の部材を構成する。
【0051】
図5に示すように、弾性胴バンド35は、賦形パネルゾーン136、ウェストラインパネルゾーン138、及び賦形パネルゾーン136とウェストラインパネルゾーン138とを接合する予め配置した弾性の胴バンド撓みヒンジゾーン140からなる。本明細書中で使用されているように、「ゾーン」という用語は、弾性胴部装置34の領域又は要素を示すのに使用される。弾性胴部装置34のゾーンは、種類の異なる領域又は要素であるけれども、代表的には、弾性胴部装置のゾーンは、隣接したゾーンと幾分重なっている。(図示の目的のため、これらのゾーンは図5において括弧で境界が描いてある)。
【0052】
相互連結パネルゾーン130は、弾性胴バンドが機能的接触位置で移動でき且つ着用者の胴部と外形が一致するように、弾性胴バンドが回転したり並進したりできるようにするリンクを弾性胴バンド35と包含組立体22との間に構成する。相互連結パネルゾーン130は、好ましくは可撓性であり、そのため、相互連結パネルゾーンは、弾性胴バンド35を着用者の胴部と接触した状態に維持することができるように、及び吸収体コア28自体を着用中に位置できるように、その長さ及び幅に亘って自由に変形する。相互連結パネルゾーン130は、大きな縁部圧縮剛性を持つけれども、好ましい実施例では、相互連結パネルゾーンは可撓性であり、相互連結パネルゾーンの縁部圧縮剛性は、好ましくは、賦形パネルゾーン136及びウェストラインパネルゾーン138よりもかなり小さい。
【0053】
相互連結パネルゾーン130は、約50gramsf以下、更に好ましくは約25gramsf以下の縁部圧縮剛性を有するのが好ましい。代表的には、相互連結パネルゾーン(互いに接合されたトップシート24の一部及びバックシート26の一部からなる)の縁部圧縮剛性は、約10gramsf以下である。更に、相互連結パネルゾーン130は、長さ方向、横方向、又は任意の他の方向で弾性的に伸長自在であってもよいが、相互連結パネルゾーンは、好ましくは、弾性胴バンド35と包含組立体22との間に固定寸法の長さを提供するため、長さ方向に伸長不能である。相互連結パネルゾーン130の長さは、Mサイズのおむつについて、好ましくは、少なくとも約4.75mm(約3/16インチ)であり、更に好ましくは約6.25mm(約1/4イ)乃至約12.5mm(約1/2インチ)である。
【0054】
相互連結パネルゾーン130は、包含組立体22及び/又は弾性胴バンド35に撓むことができるように接合された別体の材料からつくられていてもよいし、おむつ20の他の要素の延長部としてつくられていてもよい。好ましい実施例では、図5に示すように、相互連結パネルゾーン130は、吸収体コア28の胴縁部83を越えて延びるトップシート24とバックシート26の両方の一部からなる。バックシート26及びトップシート24は、好ましくは、取り付け手段(図示せず)で相互連結パネルゾーン130で互いに接合されており、そのため、これらのシートは、互いに別々の挙動を示すのでなく、一つのユニットとして作用する。トップシート24とバックシート26とを互いに固定するための取り付け手段は、好ましくは、螺旋状のパターン又はループ状のパターンをなして付着した接着剤からなる開放パターンのネットワークでできているが、上文中で説明した他の取り付け手段を使用してもよい。
【0055】
相互連結パネルゾーン130は、弾性胴バンド35が軸線方向(Z軸方向)に並進したり回転したりできるように、包含組立体22及び賦形パネルゾーン136に撓みヒンジゾーン(第1撓みヒンジゾーン132及び第2撓みヒンジゾーン134の夫々)で撓むことができるように接合されている。本明細書中で使用されている「撓むことができるように接合された」という用語は、パネルゾーン間で互いに自由に曲がることができるようになったパネルゾーン間の接合部又はパネルゾーンと包含組立体との間の接合部を意味する。以下に論じるように、この撓みは、この撓みを生ぜしめる力を除去したときにパネルゾーンがその前の形態に戻るようなものである必要はない(即ちパネルゾーンは弾性である必要はない)。
【0056】
撓みヒンジゾーンは、種々の方法でつくることができる。撓みヒンジゾーンは、パネルゾーン間の構造的に不連続のゾーンからなる。パネルゾーン間の撓み曲げを許容するため、パネルゾーンの断面形態を変化させるのがよい。例えば、パネルゾーンを形成する材料は、刻み線が設けられ、圧縮され、エンボス加工が施され、筋溝が設けられ、折畳まれ、結合され、薄くされ、切断され、切欠きが設けられ、スリットが設けられ、或いは、撓み曲げの軸線を形成するため省略される。代表的には、これらの方法は応力/張力を特定の線又は軸線に集中させ、これによって撓み曲げを生ぜしめる。延びの少ない線又は拘束線をゾーン間に形成してヒンジゾーンを形成してもよい。変形例として、撓みヒンジゾーンは、パネルゾーン間の不連続材料ゾーンからなってもよい。例えば、パネルゾーンを形成する材料は、パネルゾーン間の撓み曲げを許容する撓み抵抗の異なる領域即ちゾーンを提供する(ゾーン間の曲げ剛性が異なる)ため、互いに異なる曲げ係数即ち弾性係数を持つのがよい。
【0057】
図5に示すように、弾性胴バンド35(賦形パネルゾーン136)を相互連結パネルゾーン130に接合する第2撓みヒンジゾーン134は、相互連結パネルゾーン130からエラストマー部材76及び弾性部材77がなくされているため構造的に不連続のゾーンに形成されている。かくして、第2撓みヒンジゾーン134は、エラストマー部材76及び弾性部材77の底縁部と隣接して形成される。相互連結パネルゾーン130を包含組立体22に接合する第1撓みヒンジゾーン132は、相互連結パネルゾーン130に吸収体コア28がないために構造的に不連続になったゾーンに形成される。
【0058】
弾性胴バンド35は、弾性的に延びたり縮んだりして着用者の胴部に動的にフィットするおむつ20の部分又はゾーンである。弾性胴バンド35は、相互連結パネルゾーン130に撓むことができるように接合された別体の要素であってもよいが、弾性胴バンド35は、好ましくは、トップシート24とバックシート26の延長部として形成され、最も好ましくは、トップシート24及びバックシート26である。弾性胴バンド35は、好ましくは、弾性胴部装置34の第2撓みヒンジゾーン134からおむつ20の端縁部64まで延びる部分である。弾性胴バンド35は、おむつ20の端縁部64まで延びるのが好ましいけれども必ずしもおむつ20の端縁部64まで延びていなくてもよい。
【0059】
図5に示す好ましい実施例では、弾性胴バンド35は、賦形パネルゾーン136、ウェストラインパネルゾーン138、及び賦形パネルゾーン136とウェストラインパネルゾーン138とを接合する、予め配置した弾性胴バンド撓みヒンジゾーン140からなる。
【0060】
賦形パネルゾーン136は、胴バンド撓みヒンジゾーン140と第2撓みヒンジゾーン134との間に位置された弾性胴バンド35の部分である。かくして、賦形パネルゾーン136は、代表的には、弾性胴バンド35の「下セグメント」を構成する。賦形パネルゾーン136は、使用中に弾性胴バンドが動的に延びたり縮んだりできるように少なくとも横方向に弾性的に伸長自在である。更に、賦形パネルゾーン136は、以下に説明するように、好ましくは、比較的大きな縁部圧縮剛性を有し、そのため、賦形パネルゾーン136は、使用中に捩れたり変形したり縮んだりすることなくその形状を維持し、弾性胴バンドの使用中の圧縮及び座屈に抗する。
【0061】
ウェストラインパネルゾーン138は、胴バンド撓みヒンジゾーン140からおむつの端縁部に向かって位置決めされた弾性胴バンド35の部分である。かくして、ウェストラインパネルゾーン138は、弾性胴バンド35の「上セグメント」を構成する。ウェストラインパネルゾーン138は、好ましくは、おむつ20の端縁部の少なくとも一部を形成する。ウェストラインパネルゾーン138は、着用者の胴部にぴったりとフィットし、着用者の胴部に従って動的に移動し、延び縮みするように設計されている。ウェストラインパネルゾーン138は、少なくとも横方向に弾性的に伸長自在である。
【0062】
賦形パネルゾーン136及びウェストラインパネルゾーン138の縁部圧縮剛性は、各ゾーンにおける圧縮変形及び曲げに対する弾性胴バンド35の全体としての抵抗を決定する。本発明の好ましい実施例では、賦形パネルゾーン136は、加えられた圧縮力及び曲げ力に耐えることができ且つ着用者に装着したときに弾性胴バンドの形状を維持できるように、予め決定された大きな縁部圧縮剛性を有する。更に、賦形パネルゾーン136の縁部圧縮剛性は、好ましくは、ウェストラインパネルゾーン138よりも大きいか或いは等しい。本発明の好ましい実施例では、賦形パネルゾーン136とウェストラインパネルゾーン138が同じ材料でつくられているため、賦形パネルゾーン136の縁部圧縮剛性はウェストラインパネルゾーン138の縁部圧縮剛性とほぼ等しい。賦形パネルゾーン136は、好ましくは約100gramsf以上、更に好ましくは約115gramsf以上、最も好ましくは約130gramsf以上の縁部圧縮剛性を有する。代表的には、本発明の好ましい実施例では、賦形パネルゾーン136の縁部圧縮剛性は、約130gramsf乃至約170gramsfである。弾性胴部装置34のパネルゾーンの縁部圧縮剛性は、以下に説明する方法を使用して決定できる。
【0063】
ウェストラインパネルゾーン138は、胴バンド撓みヒンジゾーン140で賦形パネルゾーン136に弾性的に/撓むことができるように接合されている。本明細書中で使用されているように、「弾性的に/撓むことができるように接合された」という用語は、力が加えられたときにパネルゾーン間の相対的な撓み曲げを許容するパネルゾーン間の接合部又はパネルゾーンと包含組立体との間の接合部を意味し、こうした接合部は、力を取り除くとパネルゾーンを本質的にそれらの前の形体に弾性的に戻す復元力/モーメントを提供する。この復元力/モーメントは、賦形パネルゾーン136及びウェストラインパネルゾーン138がそれらの使用前(張力を加える前)の形体をとるようにするため、及び弾性胴バンドが全着用時間に亘って着用者に対して僅かな滑りを伴った状態で着用者の胴部の動きに動的に追従するようにするため、弾性胴バンドの機能にとって重要であり、弾性胴バンドが使用中にその所定の機能を失うような方法で、正常に機能しなくなるようにくしゃくしゃにすることがない。
【0064】
胴バンド撓みヒンジゾーン140は、使用中に着用者の胴部が発生した力が加わったとき、賦形パネルゾーン136とウェストラインパネルゾーン138との間が撓むように曲がることができ、復元力/モーメントを加えることによってこれらの力が取り除かれたときに賦形パネルゾーン136及びウェストラインパネルゾーン138を本質的に使用前(張力を加える前)の形体に戻すことができるように弾性である。図ぬ乃至図5に示す好ましい実施例では、胴バンド撓みヒンジゾーン140は、弾性胴バンド35に弾性部材77を設けることによって弾性につくられている。胴バンド撓みヒンジゾーンに必要な弾性を与えるため、及び巻返ったり内側に丸まったりするのを少なくするようにおむつの着用中に遭遇する通常の力に打ち勝つため、胴バンド撓みヒンジゾーン140の曲げ撓み復元力(bending flexure restoring force)は、約20gramsf以上、更に好ましくは約25gramsf以上、最も好ましくは約30gramsf以上である。本発明の好ましい実施例では、胴バンド撓みヒンジゾーンは、約30gramsf乃至約50gramsfの曲げ撓み復元力を有する。撓みヒンジゾーン、詳細には胴バンド撓みヒンジゾーンの曲げ撓み復元力を計測するための手段を以下に説明する。
【0065】
胴バンド撓みヒンジゾーン140は、予め配置されており、そのため、ウェストラインパネルゾーン138及び賦形パネルゾーン136は、弾性胴バンド35に加えられた所与の力の各々について、弾性胴バンド35の所定のゾーン又は軸線で撓むように曲がる。このように、胴バンド撓みヒンジゾーン140が予め配置されているため、弾性胴バンドは、弾性胴バンドを形成する材料に皺を付けたり弾性胴バンドの撓み剛性を損なうことなく撓むようにそれることができ、着用者の胴部に追従できる。かくして、予め配置された胴バンド撓みヒンジゾーンは、弾性胴バンドが使用中に任意のゾーン又は軸線で曲がったり折れたりし難くする。予め配置された胴バンド撓みヒンジゾーンは、撓み曲げそらしが所定のヒンジゾーンで起こるようにするため、おむつの製造者によって決定される。胴バンド撓みヒンジゾーン140自体の形成は、代表的には、撓み曲げの軸線又はゾーンを弾性胴バンド35内に予め配置する。上文中で論じたように、撓みヒンジゾーンは、構造的に不連続のゾーン又は材料不連続のゾーンでできているのがよい。これらの不連続のゾーンは、撓み曲げの軸線を構成する。一例として、胴バンド撓みヒンジゾーン140は、エンボス加工、皺付け、弾性胴バンドを所定の線に沿って折畳むことによってつくりだされた軸線又は線からなるのがよい。例えば、弾性胴バンドは、撓みヒンジゾーンを弾性胴バンドに予め形成するため、物品用パッケージの中身の製造者が予め折畳んだものであってもよい。胴バンド撓みヒンジゾーンを予め配置するため、構造的不連続をその間に形成する糊、糸、又は他の材料でできた間隔を隔てられたバンド又は線を提供することによって、伸長性の少ない線(即ち伸長自在の線の逆及び伸長不能の包囲領域)を形成し、胴バンド撓みヒンジゾーンを形成するのがよい。積層化、結合パターン、又は技術における変化もまた胴バンド撓みヒンジゾーンを形成する。胴バンド撓みヒンジゾーンを形成するのに明細書中上文で論じた撓みヒンジゾーンを形成するための任意の他の方法を使用してもよい。
【0066】
図1及び図4に示す好ましい実施例では、胴バンド撓みヒンジゾーン140は、賦形パネルゾーン136とウェストラインパネルゾーン138との間の構造的不連続によって形成される。図4に示すように、弾性胴バンド35を形成する材料は、固定部78の横方向領域で互いに固定されている。固定部78は、好ましくは、ばらばらの間隔を隔てられた固定ゾーン79、最も好ましくは、動的機械的結合部からなる固定ゾーンからなるパターンでできている。胴バンドの結合パターン及びプリーツの形成の総合効果により、弾性胴バンド35は、幾つかの結合部があるパターンの領域に沿って更に容易に撓むように曲がる傾向を持つ。かくして、動的機械的結合についてのパターンは、図4に示すように、弾性胴バンドに沿って長さ方向に移動させた横線が胴バンド撓みヒンジゾーンの所望の位置を除いて結合部と当たるように長さ方向に食い違っているが重なった列として設計される。かくして、胴バンド撓みヒンジゾーン140は、好ましくは、固定ゾーン79の間隔のパターンの不連続部(で形成される)からなる。
【0067】
弾性胴バンド35は、弾性側パネルの形成に関して本明細書中に説明した形体を含む多数の種々の形体でつくることができる。好ましい実施例では、図2に示すように、弾性胴バンド35は、好ましくは、互いに積層された四つの材料からつくられる。弾性胴バンド35は、好ましくは、トップシート24の一部、バックシート26の一部(バックシートのこの部分は、好ましくは、歪が機械的に予め加えてあるエラストマー部材76、及び弾性部材77からなる。好ましくは、エラストマー部材76及び弾性部材77は、トップシート24及びバックシート26と組み合わせられる前に、好ましくは動的機械的結合によって互いに接合されて弾性積層体を形成する。この二層積層体は、好ましくは、弾性部材77がバックシート26に向くように配置され且つエラストマー部材76がトップシート24に向くように配置された状態でトップシート24とバックシート26との間に位置される。かくして、エラストマー部材76は、好ましくは、トップシート24と歪が予め加えてあるバックシート26との間に位置され、弾性部材77は、好ましくは、歪が予め加えてあるバックシート26とエラストマー部材76との間に位置される。
【0068】
エラストマー部材76は、エラストマー部材76により弾性胴バンド35が横方向に弾性的に伸長自在であるように、及びその実質的に拘束されていない形体に収縮して戻ることができるように、好ましくはトップシート24とバックシート26との間で弾性胴バンド35と作動的に関連している。エラストマー部材76は、弾性胴バンド35で種々の方法で作動的に関連できる。一例として、エラストマー部材が弾性胴バンド35にギャザー付けする又は弾性胴バンドを収縮させるように弾性的に収縮可能な状態でエラストマー部材を作動的に関連させることができる。(エラストマー材料を吸収体物品に弾性的に収縮可能な状態で固定する方法の詳細な説明は、1975年1月14日にブエルに賦与された米国特許第3,860,003号、及び1978年3月28日にブエルに賦与された米国特許第4,081,301号に見出すことができる。これらの特許について触れたことにより、これらの特許に開示されている内容は本明細書中に組み入れたものとする。)
例えば、エラストマー部材76は、エラストマー部材76を横方向に伸長し、エラストマー部材76をトップシート24及びバックシート26のいずれか又は両方に付け、エラストマー部材76がその弛緩した即ち収縮した配向をとることができるようにすることによって、弾性胴バンド35に収縮自在に付けることができる。
【0069】
変形例では、エラストマー部材76に張力が実質的に加わっていない状態でエラストマー部材76をトップシート24、バックシート26、又はこれらのシートの両方に固定し、次いで、エラストマー部材76を含む積層体の少なくとも一部に積層体のトップシート24構成要素及びバックシート26構成要素を永久的に延伸させるのに十分な機械的伸長を加え、その後複合体即ちエラストマー積層体を張力が実質的に加わっていない状態に戻すことによって、弾性胴バンド35で弾性的に関連させことができる。かくして、弾性胴バンド35は、「歪ゼロ」の延伸積層体に形成される。(以下に説明するように、変形例では、エラストマー積層体に張力を加えた状態で関連させ、機械的伸長を加えることによって機械的に伸長した予め張力が加えられた延伸積層体を形成する。)
図2に示す特に好ましい実施例では、エラストマー部材76を収縮させてない状態で作動的に関連させ、次いで収縮するように処理してもよい。この実施例では、エラストマー部材76を不定方向に収縮する材料で形成し、加熱のような特定の処理を加えることによって弾性にするのがよい。このような材料の例は、1974年6月25日にマッセンゲール等に賦与された米国特許第3,819,401号、及び1975年10月14日にコッホ等に賦与された米国特許第3,912,565号に開示されている。熱収縮性エラストマー部材を使用するための方法の更に詳細な説明は、1985年5月7日にキビト及びオスターヘージに賦与された米国特許第4,515,595号に記載されている。同特許について触れたことにより、その特許に開示されている内容は本明細書中に組み入れたものとする。代表的には、トップシート24、バックシート26、エラストマー部材76、及び任意の他の構成要素は、収縮していない状態で互いに固定される。次いで、積層体を(加熱した空気等で)加熱し、エラストマー部材76をその弛緩した即ち収縮した配向に戻す。
【0070】
本発明で有用なエラストマー部材は、多くの種々の大きさ、形状、形体、及び材料をとる。例えば、弾性胴バンドは、トップシートとバックシートとの間で作動的に関連した一つ又は複数のエラストマー部材から形成されているのがよく、エラストマー部材は幅及び長さが変化するのがよく、或いは、エラストマー部材は弾性材料でできた比較的狭幅のストランド又はエラストマー材料でできた面積の大きいパッチからなるのがよい。エラストマー部材として使用するのに適していることがわかっている一つのエラストマー材料は、日本国横浜市のブリジストン社から入手できるブリジストンSGポリウレタンフォームのような、ポリウレタンフォームのようなエラストマーフォームである。エラストマー部材として使用するのに適した他のエラストマー材料には、「弾力のある」合成ゴム又は天然ゴム、エラストマーフィルム(熱収縮性エラストマーフィルムを含む)、成形エラストマースクリム、等が含まれる。図2に示すような特に好ましい実施例では、エラストマー部材76は、ニュージャージー州フロールハムのエクソン化学社が販売しているような、熱収縮性エラストマーフィルムからなる。
【0071】
弾性部材77は、弾性胴バンド35の形状回復特性及び曲げ剛性を高める層である。弾性部材77は、胴バンド撓みヒンジゾーン140が復元力/モーメントを提供するように弾性であるため、長さ方向(機械方向)に圧縮/座屈抵抗を提供する。更に、弾性部材77は、弾性胴バンドの弾性を最適にするようにプリーツ80即ち弾性胴バンド35の皺の一部を満たすようにZ軸方向の嵩を提供する比較的大きな厚さを有する。更に、弾性部材77は、液体が弾性胴バンド35から染み出ないようにするため、好ましくは、疎水性である。特に好ましい実施例では、弾性部材77は、熱収縮性エラストマー部材が容易に収縮できるように、クロス機械方向のギャザー抵抗を少なくするため及び胴バンド撓みヒンジゾーン140の所定の曲げ軸線を中心とした圧縮抵抗を高めるため、繊維が機械方向(おむつの長さ方向)に配向された不織材料でできている。
【0072】
弾性部材77は、好ましくは、図5に示すようにエラストマー部材76とバックシート26との間に位置されているが、弾性部材77は、変形例では、トップシート24とエラストマー部材76との間、バックシート26の外側上、トップシート24の外側上、又は多数の他の形体で位置されているのがよい。弾性部材77は、好ましくは、弾性胴バンド35のバックシート側に作用する圧縮/座屈抵抗を大きくするため、バックシート26とエラストマー部材76との間に位置されている。これは、弾性胴バンドの横方向軸線を中心とした曲げ抵抗を提供するため、及び弾性胴バンドを形成する積層体材料での浸み出しを最適化し且つ少なくするため、結合場所間の長さ方向軸線での皺即ちプリーツ80を満たすためである。
【0073】
弾性部材77は、多数の種々の大きさ、形状、形体、及び材料でできているのがよい。例えば、弾性部材は一つ又は複数の弾性部材から形成されているのがよく、弾性部材は種々の幅、長さ、厚さ、及び形状を持つのがよい。弾性部材77は、好ましくは、弾性胴バンドに位置された別体の材料部品からなる。変形例では、弾性部材は、エラストマー部材76、トップシート24、又はバックシート26を含む弾性胴バンド35を形成する材料のうちの任意の材料又は全ての材料の一部からなるのがよい。特定の変形例では、弾性部材77は、エラストマー部材76と同じ片でできており、エラストマー部材76は比較的厚いエラストマーフォームからなる。
【0074】
本発明の弾性胴バンド35の弾性部材77として使用するのに適した材料には、織布ウェブ、不織布ウェブ、フォーム、二つ又はそれ以上の不織層からなる不織積層体でできたフィルム積層体を含む積層材料、スクリム、少なくとも一方向に剛性を提供する波形材料、及び上述の材料の任意の組み合わせ又は当該技術分野で周知の他の材料が含まれる。
【0075】
弾性部材77について特に好ましい材料は、(ASTMB1388-64を使用して計測して)クロス機械方向で少なくとも約4cm、機械方向で少なくとも約12cmのドレープ性を有する疎水性の不織ウェブからなる。例示の材料は、約23.92g/m2乃至53.82g/m2(1平方ヤード当たり約20g乃至45g)の範囲の坪量を持つカーディング処理を施した疎水性不織ウェブからなる。繊維は、機械方向の座屈/圧縮抵抗を高めるため、機械方向に配向されている。不織ウェブは、ホエクト社からCELBONDステープルファイバとして入手できるポリエステルコア材料とコポリオレフィンシース材料でできた3デニールの異相構造繊維、又はダナクロン社又はヘラクレス社から入手できるポリプロピレンコア材料及びポリエチレンシース材料でできた3デニールの異相構造繊維からなる。不織ウェブにカーディング処理を施して繊維を機械方向に配向した後、不織ウェブをエア-スル(air-thru)結合プロセスに通して弾性部材に嵩(ロフト又は厚さ)を与え、弾性部材のレジリエンスを高める。(エア-スル結合された異相構造熱可塑性樹脂繊維製高ロフト不織ウェブの例は1989年11月28日にニューキルクに賦与された米国特許第4,883,707号に開示されており、同特許について触れたことにより、その特許に開示されている内容は本明細書中に組み入れたものとする。)エア-スル結合されたカーディング処理が施された異相構造熱可塑性プラスチック繊維製の例示の不織ウェブは、ノースキャロライナ州グリーンビルのファイバウェブ北アメリカ社から、又はマサチューセッツ州ウォルポールのヴェラテック社から入手できる。
【0076】
図3に示す本発明の好ましい実施例では、弾性胴バンド35を形成するバックシート26の部分には、歪が予め加えてあるか歪が機械的に予め加えてある。(即ち、部分的にトップシートに位置決めパターン結合させる)。得られたトップシート/エラストマー部材/弾性部材の積層体は、歪が予め加えてあるバックシートに加えられ、一体に動的に機械結合され、弾性胴バンド35を形成する。このおむつウェブは、熱収縮装置に通されて、収縮できるエラストマー部材を収縮する。
【0077】
弾性胴バンド35は、図1及び図2に概略に示す固定部78の横方向領域を有する。固定部の横方向領域及びこれらの領域についての変形例の形体の詳細な説明は、1985年5月7日にキビト及びオスターヘージに賦与された米国特許第4,515,595号に見出される。同特許について触れたことにより、その特許に開示されている内容は本明細書中に組み入れたものとする。
【0078】
固定部78の横方向領域は、弾性胴バンド35、詳細にはエラストマー部材76の全幅を本質的に横切って延びている。「本質的に横切る」という用語は、本明細書では、固定部の横方向領域が以下に説明する機能を幅に亘って提供するのに十分大きく延びている限り、固定部の横方向領域が弾性部材76の全幅を完全に横切って延びている必要がないということを示すのに使用される。図示のように、固定部78の横方向領域は、横方向中心線66及び弾性胴バンド35の横方向に対して本質的に直角に配置されるように図示されている。これは、好ましい配向である。しかしながら、本発明の範囲及び精神から逸脱することなく、真の横方向性から離れることができる。
【0079】
図1及び図4では、固定部78の横方向領域は、弾性胴バンド35を形成する材料のウェブ(好ましい実施例では、トップシート24、バックシート26、弾性部材77、及びエラストマー部材76)を互いに効果的に取り付けるばらばらの間隔を隔てられた固定ゾーン79として示してある。固定ゾーンの形状は変化してもよいが、固定ゾーン79は、好ましくは、円形、長円形、楕円形、矩形、又は正方形形状である。固定ゾーン79は、好ましくは、等間隔に間隔が隔てられたパターンをなして(図4に示すように胴バンド撓みヒンジゾーン140が形成されているところを除き)いるが、非均等に間隔が隔てられていてもよい。固定ゾーン79を提供するための装置は、弾性胴バンド35を形成するバックシートの部分を永久的に伸長するように容易に機械的に延伸できる。歪が予め加えてあるバックシートは、エラストマー部材76の延びばかりでなく好ましいエラストマー部材76の熱収縮性も改善する。
【0080】
図3に示す好ましい実施例では、歪が予め加えてあるバックシートは、リブ142(歪が加えてある部分)と各リブの間およびリブの各列の間に歪が加えてない隙間144とからなるパターンを有する。このパターンは、バックシートに歪を予め加えるのに使用される方法及び装置で決まる。この好ましい実施例では、リブの長さは約6mm(0.25インチ)であり、リブの幅は約0.75mm(0.030インチ)であり、リブの深さは約3mm(0.125インチ)であり、各リブ間の間隔(隙間)は約2.5mm(0.100インチ)である。歪が予め加えてあるバックシートの領域は、好ましくは、幅が約140mm(5.5インチ)であり、長さが約25mm(約1インチ)である。
【0081】
本発明のバックシート26は、「歪ゼロ」の延伸積層弾性側パネル30の形成に関して本明細書中に説明した作業と同様に、バックシートを完成したおむつ製品に組み込む前にバックシートを機械的増加延伸システムに通すことによって歪を予め加えることができる。ロールに設けられた波形の即ち溝を備えたセグメントは、機械方向及びクロス機械方向にリブでできたパターンを形成するため断続している。バックシートのウェブの位置合わせは、バックシートが、上側の波形ロールのセグメントと波形の即ち溝を備えた下側の波形ロールとの間を通過するときに、歪が予め加えられるべきバックシートの部分が上側の波形ロール上に設けられた波形の即ち溝を備えたセグメントと実質的に一致するように行われる。バックシートは、変形例では、当該技術分野で周知の深エンボス技術を使用することによって歪が予め加えられる。
【0082】
本発明のおむつを製造するための好ましい方法では、バックシートのウェブに歪を予め加えた後で、バックシートのウェブを波形組み合わせロールから取り出した後、スプレー糊をバックシートウェブに連続的に塗布する。弾性部材及び熱収縮性エラストマー部材からなる弾性積層体は、当業者によつて動的に機械的に選択される。
【0083】
このような取り付け手段の例には、接着剤取付け、ヒートシール、溶剤シール、自己結合、動的機械的結合、超音波溶接等が含まれる。好ましくは、固定部78の横方向領域は、楕円形(丸味をつけた矩形)形状のばらばらの固定ゾーン79、好ましくは動的機械的結合部からなる。これは1990年4月24日にボール、ゴーレイト、及びゾーブに賦与された「動的機械的結合方法及び装置」という標題の米国特許第4,919,738号に記載されている。同特許について触れたことにより、その特許に開示されている内容は本明細書中に組み入れたものとする。
【0084】
固定ゾーン79は行及び列をなして配置され、胴バンド撓みヒンジゾーン140を形成するため、一つの列がなくされているか或いは不等間隔に間隔を隔てられている。固定ゾーン79は、好ましくは約2.0mm(約0.078インチ)×約1.3mm(約0.52インチ)であり、好ましくは、横方向中心間間隔が約7.0mm(0.275インチ)乃至約8.9mm(0.375インチ)であり、長さ方向中心間間隔が約1.9mm(0.375インチ)乃至約3.8mm(0.15インチ)である。(胴バンド撓みヒンジゾーン140を形成するため、中心間距離が約1.0mm(約0.040インチ)乃至約3.8mm(0.150インチ)の長さ方向隙間が形成されるように、結合場所の一つの行が各列についてなくしてある。)最も好ましい実施例では、固定ゾーン79の横方向中心間間隔は約8.3mm(0.325インチ)であり、長さ方向中心間間隔は約2.8mm(0.112インチ)であり、隣接した行の中心間のずらし隙間間隔は長さ方向で約0.71(0.028インチ)である。
【0085】
図2に示すように、エラストマー部材76のいずれかの側の分離した固定ゾーン79は整合している(即ちこれらのゾーンは同延である)。これは好ましい配向であるが、弾性積層体材料に取り付けられたトップシート24の分離した固定ゾーン79は、弾性積層体材料に取り付けられたバックシート26の隣接した分離した固定ゾーン79からずれていてもよい。
【0086】
変形例では、エラストマー材料でできた単一片を第二胴領域58の側パネル72及び中央領域68の両方でおむつ20に固定することによって、第2胴領域58の弾性胴バンド(又は弾性側パネルが配置されている場合には第1胴領域56)及び弾性側パネル30を形成できる。かくして、弾性胴バンド35及び弾性側パネル30を同じ材料片から形成して単体の構造を形成するのがよい。このような弾性胴バンド/側パネルの形体は、上掲の1989年8月15日にウッド等に賦与された米国特許第4,887,067号に開示されており、同特許について触れたことにより、その特許に開示されている内容は本明細書中に組み入れたものとする。
【0087】
本発明の別の変形例では、弾性胴バンド35は、横方向に延伸させたとき、長さ方向軸線に沿って差異の伸長性を有するのがよい。弾性胴バンド35の差異の伸長性は、幾つかの部分を他の部分が長さ方向軸線に沿って延びるよりも大きく横方向に伸長させることができる。弾性胴バンドの差異の伸長性は、腹部に柔軟な弾性胴バンド、即ち「膨張自在のぽんぽんパネル」を提供でき、これにより弾性胴バンドは種々の形状をとることができ、着用者が動いたり、座ったり、起立したりするのにつれて着用者の下腹部に合わせて伸び縮みしたり動いたりできる。弾性胴バンドを横方向に延伸した場合の長さ方向軸線に沿った差異伸長性は、弾性側パネル30に関して論じた多くの方法で得ることができる。図9に示すように、差異伸長性を持つ好ましい弾性胴バンドは五角形状を有する。
【0088】
更に、おむつ20には、好ましくは、弾性胴バンド35に横方向張力を動的につくりだす/維持するための閉鎖装置(張力手段)が設けられている。閉鎖装置によって動的につくりだされ且つ維持された横方向張力は、弾性胴バンド35の延伸を「賦活」し、これによって弾性胴バンドが着用者の動きに合わせて更に動的に伸び縮みできるようにする。更に、弾性胴バンドの垂れ下がりは、賦活された延伸によって減じられる。これは、弾性胴バンドが張力が作用した状態に維持され着用者に最初に装着するとき及び使用中の両方でおむつを着用者の胴部にぴったりと装着するためである。更に、閉鎖装置がつくりだす/維持する張力によって弾性胴バンドの巻返りが少なくされる。かくして、閉鎖装置は、おむつの装着性及び包含性を改善する。
【0089】
閉鎖装置は、接着剤テープタブ、機械的閉鎖テープタブ、固定位置ファスナ、又は弾性胴バンドに張力を加えるための当該技術分野で周知の任意の他の手段のような多数の形体をとることができるけれども、図1に示すように、閉鎖装置は、好ましくは、少なくとも一つの代表的には一対の第1取り付け構成要素46及び少なくとも一つの第2取り付け構成要素48からなる胴閉鎖システム40を有する。更に好ましくは、閉鎖装置は、おむつ20が二重張力ファスニングシステム36を有するように、主ファスニングシステム38を更に有する。二重張力ファスニングシステムを持つおむつの好ましい実施例は、本願と同時に出願された「動的弾性胴バンド装着を提供するファスニングシステムを備えた吸収体物品」という標題の、ウェイル等の一般に譲渡された現在継続中の米国特許出願であるP&Gケース4412号に記載されている。この出願の明細書及び図面を参考のため本願に組み込む。
【0090】
二重張力ファスニングシステム36は、側閉鎖体及び胴閉鎖体の両方を形成する。かくして、二重張力ファスニングシステム36は、側閉鎖体を提供するための主ファスニングシステム38及び胴閉鎖体を提供するための胴部閉鎖システム40からなる。主ファスニングシステム38は、おむつの周囲に横方向張力が維持されておむつが着用者に維持されるように第1胴領域56及び第2胴領域58を重なった形体に維持する。胴閉鎖システム40は、弾性胴バンド35の垂れ下がり、巻返りを少なくすることによっておむつ20の装着性及び包含性を改善するように弾性胴バンド35に亘って横方向張力を動的に維持し/つくりだす胴閉鎖体を形成する。
【0091】
図1に示すように、主ファスニングシステム38は、第2胴領域58の各長さ方向縁部62と隣接して配置された固定部材42と、外面52の一部を形成するように第1胴領域56に配置された少なくとも一つのランディング部材44とを有する。各固定部材42は、好ましくは、テープタブ92及び第1ファスニング構成要素112からなる。ランディング部材44は、好ましくは、固定部材42の第1ファスニング構成要素112と係合できる相補的第2ファスニング構成要素114を有する。第1及び第2のファスニング構成要素の各々がフックファスニング材料及びループファスニング材料からなる機械式閉鎖要素でできた例示の主ファスニングシステムは、1989年9月26日にスクリップスに賦与された「接着剤テープ処理手段を備えた使い捨て吸収体物品用機械式ファスニングシステム」という標題の米国特許第4,869,724号に開示されている。更に、機械式閉鎖要素を使用する主ファスニングシステムは、1989年7月11日にスクリップスに賦与された「改善されたファスニング装置を持つ使い捨ておむつ」という標題の米国特許第4,846,815号、及び1990年1月16日にネストガードに賦与された「改善されたフックファスナ物品を備えた使い捨ておむつ」という標題の米国特許第4,894,060号に開示されている。組み合わせ接着剤/機械式閉鎖要素を持つ主ファスナは、1990年8月7日にバトレルに賦与された「感圧接着剤ファスナ及びその製造方法」という標題の米国特許第4,946,527号に記載されている。これらの特許について触れたことにより、これらの特許に開示されている内容は本明細書中に組み入れたものとする。
【0092】
図1に示す本発明の好ましい実施例では、主ファスニングシステム38は、接着剤取り付け層96を持つテープタブ92からなる接着剤テープタブファスニングシステム及びバックシート26に接合された強化ストリップ116からなるランディング部材44を有する。このような接着剤テープタブファスニングシステムの例は、1974年11月19日にブエルに賦与された「使い捨ておむつ用テープファスニングシステム」という標題の米国特許第3,848,594号に開示され、接着剤テープタブ、強化ストリップ、及びしるし手段は、1987年5月5日にヒロツ及びロバートソンに賦与された「吸収体物品」という標題の米国特許第B1 4,662,875号に開示されている。これらの特許について触れたことにより、これらの特許に開示されている内容は本明細書中に組み入れたものとする。
【0093】
主ファスニングシステム38の各固定部材42は、おむつ20の固定、好ましくは可変位置決め、側閉鎖体を提供するようにランディング部材44と係合するためのファスニング手段を提供する。かくして、固定部材42は、少なくとも一つのファスニング構成要素からなる。更に、各固定部材42は、好ましくは、最適装着側閉鎖体を得るようにファスニング構成要素をランディング部材44と隣接して位置決めするための手段を有する。かくして、固定部材42は、おむつの内面の一部を形成するように配置されたファスニング構成要素のパッチ又はストリップ、又はファスニング構成要素が上側に位置されたテープタブのようなおむつに側閉鎖体を提供するための周知の形体及び手段のうちの任意のものからなるのがよい。図1に示すように、各固定部材42は、好ましくは、テープタブ92からなる。本発明では、任意の形体及び構造のテープタブを使用できる。例えば、例示のテープタブは、1974年11月19日にブエルに賦与された上掲の米国特許第3,858,594号に詳細に記載されている。同特許について触れたことにより、その特許に開示されている内容は本明細書中に組み入れたものとする。
【0094】
特に好ましいテープタブ92は、ファスニング面98及び裏打ち面99を有する。ファスニング面98は、本発明のランディング部材44と係合するように設計されたテープタブ92の表面である。かくして、テープタブ92のファスニング面98は、全体として、おむつ20の内面54と面するように配向されている。裏打ち面99は、ファスニング面98の反対側で全体におむつ20の外面52と面する表面である。かくして、裏打ち面99は、おむつ20の着用中、全体に露呈する。
【0095】
好ましいテープタブ92は、固定部分93(即ち、製造中におむつ20に接合されたテープタブ92の端部)をつくりだすようにおむつ20のバックシート26に接合されている。テープタブ92はタブ部分94(即ち、おむつ20の長さ方向縁部62を越えて外方に延びるテープタブ92の端部であって、おむつを着用者に固定するときにおむつを装着する人が把持する端部)である別の要素を有する。テープタブ92の遠位縁部97は、下腹部に赤いしるしが付かないようにざらざらした隅縁部が着用者の皮膚と接触する可能性をなくすため、好ましくは隅部に丸味が付けてある。更に、本発明の好ましいテープタブ92は、おむつ20のトップシート24に接合された解放部分95を有する。この解放部分95のため、製造中にタブ部分94を内方に折畳んで接着剤取り付け層96が使用前に汚れたり剥がれたりしないように保護することができる。解放部分95は、おむつ20の長さ方向縁部62から、テープタブ92が支持する荷重を弾性側パネル90に伝えて荷重(着用応力)を更に効果的に分散するため好ましくは、弾性側パネル部材90の一部まで内方に延び且つ弾性側パネル部材90の一部の上に並置される。更に、タブ部分94は、好ましくは、解放部分95よりも横方向で短く(幅が狭く)、そのため、おむつの装着者がタブ部分94を最初に把持するのが容易である。
【0096】
固定部材42のファスニング構成要素は、固定部材42とランディング部材44の相補的ファスニング構成要素との間に閉鎖体を形成する。ファスニング構成要素は、ランディング部材44の相補的ファスニング構成要素と係合して第1胴領域56及び第2胴領域58を重なった形体に維持し、おむつ20の固定側閉鎖体を提供するための手段を提供する。更に、おむつは、種々の体格の人に適合し、ファスニングシステムが簡単に且つ容易に使用できるのがよい。従って、ファスニング構成要素は、おむつが所定範囲の大きさに適合すると同時に最小の労力で簡単に留めることができるように閉鎖体のゾーンを可変に位置決めできるようにするものでなければならない。ファスニング構成要素は、以下に定義したように、位置を調節自在に固定するための周知の取り付け手段のうちの任意のものからなる。位置が調節自在のこのような取り付け手段の例には、胴閉鎖システム40に関して以下に説明するように、当該技術分野で周知の感圧接着剤のような接着剤取り付け層、フックファスニング材料又はループファスニング材料のような機械式閉鎖要素、当該技術分野で周知の任意の凝集性材料、又は接着剤/機械式閉鎖要素の組み合わせが含まれる。
【0097】
ファスニング構成要素は、固定部材42に接合され且つこの固定部材と関連した別体の部材又は固定部材42と一体の部材であるように、固定部材42上に配置される。例えばトップシート24又はバックシート26は、ランディング部材44と機械的に係合する材料から製造されるのがよい(トップシート24又はバックシート26が一体のファスニング構成要素である)。変形例では、ばらばらの材料パッチ又はストリップが固定部材42に接合されているのがよい(別体のファスニング構成要素)。好ましくは、第1ファスニング構成要素112は、テープタブ92上に位置され且つこのテープタブに接合された接着剤取り付け層又は機械式閉鎖要素のような別体の材料である。第1ファスニング構成要素112は、好ましくは、テープタブ94上にコーティングされてファスニング面98を形成する接着剤取り付け層96からなる。
【0098】
更に、第1ファスニング構成要素112は、固定部材42上のどこに位置してもよい。例えば、第1ファスニング構成要素112を第2胴領域58の側パネル72に長さ方向縁部62と隣接して位置してもよい。(この構造の例示の例が1986年9月9日にコップに賦与された米国特許第4,610,682号、及び1964年7月21日にファリスに賦与された米国特許第3,141,161号に示されている。これらの特許について触れたことにより、これらの特許に開示されている内容は本明細書中に組み入れたものとする。)
固定部材42がテープタブ92からなる場合には、第1ファスニング構成要素112は、好ましくは、タブ部分94のファスニング面98の全部又は少なくとも一部のいずれかの上に位置されている。第1ファスニング構成要素112は、接着剤取り付け層及びファスニング面98上に設けられたタブ部分94の別の領域上に配置されたテープタブ92の遠位縁部97と隣接した機械式閉鎖要素を有する接着剤/機械式閉鎖体要素の組み合わせからなるのがよい。この形体の例示の実施例は、1989年9月26日にスクリップスに賦与された「接着剤テープ処理手段を備えた使い捨て吸収体物品用機械式ファスニングシステム」という標題の米国特許第4,869,724号に開示されている。同特許について触れたことにより、その特許に開示されている内容は本明細書中に組み入れたものとする。
【0099】
主ファスニングシステム38のランディング部材44は、それ自体を固定部材42に固定して側閉鎖体を構成し、第1胴領域56及び第2胴領域58を重なった形体に維持するための手段を提供する。ランディング部材44は、側閉鎖体、好ましくは、可変位置決め側閉鎖体を提供するように固定部材42と係合できる限り、おむつ20上のどこに配置してもよい。例えば、ランディング部材44は、第1胴領域56の外面52の一部を形成するように、第2胴領域58の内面54の一部を形成するように配置されるのがよく、或いは固定部材42と係合するように配置されたおむつ20の任意の他の部分又は要素上に配置するのがよい。最適の装着のため固定部材42をどこに配置すべきかの大まかな位置をランディング部材44が決定するため、ランディング部材44は、好ましくは、おむつが所定範囲の体格に適合するように、第1胴領域56と第2胴領域58との間の重なりが得られるように、及び側閉鎖体が形成されたときに側閉鎖体が形成されることによって胴閉鎖体が形成されるように胴閉鎖システム40の取り付け構成要素が互いに係合するように、側閉鎖体の可変の位置決めを行うように位置される。ランディング部材44は、好ましくは、第1胴領域56の長さ方向中心線67上にその中心を有し、ほぼ長さ方向縁部62まで横方向外方に延びる。
【0100】
ランディング部材44は、おむつ20に接合された分離した別体の要素であるか又はおむつ20の要素と一体の材料片のいずれかであるのがよい。かくして、ランディング部材44は、例えば、トップシート24又はバックシート26からなるのがよい。ランディング部材44は、種々の大きさ及び形状をとることができるが、好ましくは、第1胴領域56でバックシート26に接合された一つ又はそれ以上の材料のパッチからなり、これは、着用者へのおむつ20の最大の装着調節を可能にする。図1に示すおむつ20の好ましい実施例では、ランディング部材44は、細長い矩形形状を有し、第1胴領域56の中央領域68で接着剤取り付け手段(図示せず)で固定される。ランディング部材44は、固定部材42のファスニング構成要素(第1ファスニング構成要素112)と係合自在のファスニング構成要素(第2ファスニング構成要素114)を有する。ランディング部材44のファスニング構成要素(第2ファスニング構成要素114)は広範な材料からつくることでき、固定部材42のファスニング構成要素(第1ファスニング構成要素112)と固定的に係合できる広範な形体を持つ。
【0101】
固定部材42の第1ファスニング構成要素112が接着剤取り付け層96からなる場合には、ランディング部材44の第2ファスニング構成要素114は、好ましくは、強化ストリップ116及び/又はバックシート26からなる。固定部材42の第1ファスニング構成要素112が機械式閉鎖要素からなる場合には、第2ファスニング構成要素114もまた機械式閉鎖要素からなる。かくして、第1ファスニング構成要素112がフックファスニング材料からなる場合には、第2ファスニング構成要素114は、好ましくは、ループファスニング材料からなる。
【0102】
本発明の好ましい実施例では、図1に示すように、ランディング部材44は、好ましくは、テープタブ92の接着剤取り付け層96と解放自在に係合できる強化ストリップ116からなる。強化ストリップ116は、おむつ20のバックシート26に固定された多くの形体及び材料のうちの任意のものからなるのがよい。強化ストリップ116は、好ましくは、バックシート26に固定されておむつ20の外面52の一部を形成する別体の部材である。好ましい強化ストリップ116は、二軸延伸ポリプロピレンフィルム製シートからなる。
【0103】
更に、強化ストリップ116には、好ましくは、おむつを装着する人が胴部及び脚部開口部が最適にフィットするようにおむつを着用者に装着するのを助けるための指示手段118が設けられている。指示手段118は、任意の種類の線、パターン、装飾デザイン、シンボル、スクリプト、色コード、又はそれ自体又は追加の表示でのいずれかによっておむつを着用者に装着する個々の人が特定のテープタブファスナについて所望の取り付け点を手早く配置するのを助けることができる他のマークであるのがよい。このような指示手段118は、1987年5月5日にヒロツ及びロバートソンに賦与された「吸収体物品」という標題の米国特許第B1 4,662,875号に更に完全に説明されている。同特許について触れたことにより、その特許に開示されている内容は本明細書中に組み入れたものとする。本発明の指示手段は、好ましくは、種々の幾何学的形状、色彩、及びセサミストリートやディズニーの登場人物のような対象の組み合わせである。
【0104】
二重張力ファスニングシステム36は、更に、おむつ20の端縁部64と隣接して胴閉鎖体を形成するための胴閉鎖システム40を有する。胴閉鎖体は、端縁部64のスパンの一部を固定する。更に、おむつ20が弾性胴バンド35を有する場合、胴閉鎖体は弾性胴バンド35を通して横方向張力を動的につくりだし/維持する。
【0105】
胴閉鎖体は、おむつ20の端縁部64のスパンの一部、好ましくは弾性胴バンド35の伸長性スパンの一部を固定する。(即ち、胴閉鎖システム40の第1及び第2の取り付け構成要素は、弾性側パネル30に関する弾性胴バンド35の位置関係を固定するように作用する。)「固定する」という用語は、ひとたび閉鎖が行われると取り付け構成要素間の剪断滑り即ち移動がほとんど又は全くないように十分な剪断抵抗で閉鎖を行う調節自在の位置決めファスナを取り付け構成要素が構成するということを意味するために使用される。弾性側パネル30に関する弾性胴バンド35の位置関係(即ち第1取り付け構成要素46の固定ゾーン間の幾何学的関係)は、おむつ20の端縁部64と隣接した所定の胴部周囲寸法を決定し、これは、主ファスニングシステム38が形成する側閉鎖体の周囲寸法とは異なって(長さ方向に間隔が隔てられ)いる。この異なった所定の胴部周囲寸法は、所要の装着寸法をおむつ20の上縁部(端縁部64と隣接した)につくりだし/維持する。かくして、本発明の胴閉鎖システム40は、おむつ20の端縁部64(上縁部)が延びないように装着された状態を維持するように、弾性胴バンド(例えば、胴部シールド又は非伸長性の胴部装置)を使用しないおむつで使用するのにも有利である。更に、固定を行うことによって、弾性胴バンド35につくりだされた最初の予備張力を高めるように弾性胴バンド35と弾性側パネル30との間で剪断力(張力)を伝えるための手段を形成する。
【0106】
胴閉鎖体は、更に、弾性胴バンド35を通して横方向張力をつくりだし/維持する。胴閉鎖体は、最初の装着時に弾性胴バンド35が着用者の胴部にぴったりとフィットできるように、弾性胴バンド35の最初の予備張力(横方向張力)の幾らかの部分に貢献する。弾性胴バンド35は、使用中、胴閉鎖体によって弾性胴バンドにつくりだした予備張力の幾分かを維持する。弾性胴バンドにつくりだされた予備張力の幾分かを維持するため、弾性胴バンドは、おむつを使用中に着用者の胴部にぴったりと装着した状態に維持するように、着用者の動きに従って繰り返し伸びたり縮んだりできる。詳細には、着用状態にあるとき、弾性胴バンドは、着用者の胴部の動きに追従するため、その張力が加えられていない状態に(予備張力がゼロに向かう)収縮しなければならないが、取り付け構成要素が係合したままであるため、着用者が更に移動したり運動したりすることによって、予備張力が弾性胴バンド内に再びつくりだされる。これは、着用者に動的にフィットするように更に収縮できないように予備張力が加えられていないという点で従来の弾性胴バンドと異なっている。最初に予備張力を加えること及び張力を維持することにより隙間が小さくなり、弾性胴バンドが更に良好にフィットした状態に保持される。更に、胴閉鎖体がつくりだした/維持した横方向張力は、弾性胴バンド内に復元力をつくりだし、これは、胴バンドの「巻返り」の影響を減少させる又は胴バンドの「巻返り」の影響に対して反作用を加える。かくして、胴閉鎖システム40は、着用者の胴部の周りに閉鎖体を形成し、胴部領域でのおむつの最初の且つ動的なフィット特性及び包含特性を改善する。
【0107】
図1に示すように、胴閉鎖システム40は、少なくとも一つの、好ましくは一対の第1取り付け構成要素46及び少なくとも一つの第2取り付け構成要素48を有する。図1に示すように、第1取り付け構成要素46は、胴閉鎖システム40が動的につくりだした/維持する横方向張力が、使用中に、弾性胴バンド35内をこれを通して伸びるように弾性胴バンド35と長さ方向に整合している。更に、胴閉鎖システム40の取り付け構成要素は、おむつについての種類の異なる所定の胴部周囲寸法及び種類の異なる二つの横方向張力ゾーンを提供するため、主ファスニングシステム38の固定部材42及びランディング部材44から長さ方向に間隔を隔てられている。主ファスニングシステム38が形成する張力ゾーンが、衣料を着用者に固定し、胴閉鎖システム40によって動的につくりだされた/維持された張力ゾーンが、着用中、上胴閉鎖体を動的に維持する。
【0108】
少なくとも二つの固定ゾーン122が、胴閉鎖体の形成時に取り付け構成要素によってつくりだされる。これらの二つの固定ゾーン122は、固定ゾーン122間に位置された弾性胴バンド35の全部又は少なくとも一部によって互いから横方向に間隔を隔てられている。これらの固定ゾーンの横方向間隔は、多数の種々の方法で決めることができる。例えば、固定ゾーン122間の横方向間隔は、互いに横方向に間隔を隔てられた一対の第1取り付け構成要素46及びこれらの第1取り付け構成要素46について調節自在に位置できる第2取り付け構成要素48(例えば、第2取り付け構成要素は比較的幅広である)を胴閉鎖システム40に設けることによって固定できる。この実施例では、第1取り付け構成要素46の横方向間隔が固定されているため、第1取り付け構成要素46の横方向間隔が固定ゾーンの横方向間隔を決定し且つ設定する。変形例では、胴閉鎖システム40は、互いに横方向に間隔を隔てられた一対の第2取り付け構成要素48及びこれらの第2取り付け構成要素48に関して調節自在に位置できる第1取り付け構成要素46(例えば、第1取り付け構成要素は比較的幅広である)を有するのがよい。この実施例では、固定ゾーンの横方向間隔は、着用者の胴部の大きさ及びおむつの全体寸法/形状で決まる。これは、第2取り付け構成要素48が第1取り付け構成要素46と係合する位置が第2胴領域58の側パネルと第1胴領域56の側パネルとの重なりで決まるためである。
【0109】
固定ゾーン122の好ましい横方向間隔は、側閉鎖体を形成したときに胴閉鎖体が受動的に作用できるように、及び弾性胴バンドが胴部でのおむつの装着性及び包含性を改善する上で効果的な量だけ延伸すると同時に弾性胴バンド35が回復不能に巻返る傾向を小さくするため着用者の胴部に力が垂直方向に作用した状態に維持するように設計されている。弾性胴バンドに回復性を与え、張力が加わった胴バンドのフリッピングアウト(回復不能の巻返り)を最小にする垂直方向力を弾性胴バンドに維持するため、望ましくは、固定ゾーンの横方向間隔が、最小に保たれる。しかしながら、弾性胴バンドの延伸量を最大にするため、固定ゾーンの横方向間隔は、望ましくは、最大に選択される。従って、固定ゾーンの横方向間隔は、かくして、垂直方向力を維持することの必要性が弾性胴バンドに有効量の延伸を提供することの必要性と均衡がとれるように選択される。
【0110】
Mサイズの乳児(5.4kg乃至約10.8kg)にフィットするように設計された図1に示すおむつの実施例では、固定ゾーン122間(第1取り付け構成要素46間)の横方向間隔は少なくとも約25mmである。更に好ましくは、横方向間隔は少なくとも約50mmである。図1に示す実施例では、第1取り付け構成要素46の横方向間隔は、最も好ましくは、約100mm乃至約200mmである。固定ゾーン122の横方向間隔は、弾性胴バンドがその収縮状態にあるときに一方の固定ゾーンの最も内側の固定線(即ち、長さ方向中心線67に最も近い線)から他方の固定ゾーンの最も内側の固定線までの距離を計測することによって決定される。かくして、図1に示す実施例では、横方向間隔は、一方の第1取り付け構成要素46の最も内側の縁部から他方の第1取り付け構成要素46の最も内側の縁部までの距離を計測することによって決定される。
【0111】
各取り付け構成要素は、可変に位置決めできる受動的に作用する胴閉鎖体を提供するため、相補的なファスニング手段と係合するファスニング手段を有する。本明細書中で使用されているように、「可変に位置決めできる」閉鎖体という用語は、使用者が閉鎖体を多数の種々の位置で形成できるように構成要素の一つの位置を大きく変化させることができるファスニングシステムをいう。かくして、例えば、構成要素のうちの一つが、固定された位置をおむつ上に有するのがよく(例えば、第1取り付け構成要素46間の横方向間隔は、弾性胴バンド35に張力を予め加えるように及び胴閉鎖体を受動的に作用させるように固定されている)、この際、他方の構成要素は、固定された構成要素に対して可変の取り付け位置をとることができる。これは、閉鎖体を形成(スナップ止め及びバックル止め)度毎に構成要素を特定の位置で接合しなければならないように両方の噛み合い要素を所定位置で固定する必要がある固定位置決め閉鎖体とは対照的である。更に、胴閉鎖システム40は、受動的に作用される胴閉鎖体を提供する。「受動的に作用される」という用語は、おむつを装着する人が主ファスニングシステム38を使用して最初に適当な身体/脚部装着(側閉鎖体)を行った後、追加の努力をほとんど又は全く必要とせずに機能的胴閉鎖体が得られるということを意味する。胴閉鎖システム40を受動的に作用するには、追加の努力をほとんど又は全く必要とせずに固定を行うように取り付け構成要素を互いに係合させるばかりでなく、取り付け構成要素を弾性胴バンド35内に横方向張力をつくりだし/維持するような構成でおむつ上に位置することが必要とされる。
【0112】
図1に示すように、取り付け構成要素は、好ましくは、機械式閉鎖体要素からなる。本明細書中で使用されているように、「機械式閉鎖体要素」という用語は、可変位置閉鎖体を提供するため互いに機械的に係合するファスニング手段を意味する。かくして、機械式閉鎖体要素は、面ファスナー又は他のフック-ループファスニング材料のような、機械的係合によって可変位置閉鎖体を提供する任意の周知の手段からなるのがよい。
【0113】
第1取り付け構成要素46が機械式閉鎖体要素からなる場合には、第2取り付け構成要素48は「同じ」相補的な機械式閉鎖体要素からなるか或いは「種類の異なる」相補的な機械式閉鎖体要素からなるのがよい。本明細書中で使用されているように、「同じ」相補的な機械式閉鎖体要素という用語は、第1構成要素及び第2構成要素の係合手段が、相互係止する同じ形体及び構造からなる機械式ファスニングシステムを定義するのに使用される。このようなシステムの例は、1982年4月16日にブラウン等に賦与された「ファスナの形成に使用される二ストリップ材料」という標題の米国特許第4,322,875号に記載されている。「種類の異なる」相補的な機械式閉鎖体要素という用語は、本明細書中、第1構成要素が第2構成要素と異なっているがこれと係合自在の、フックファスニング材料及びループファスニング材料のような、機械式ファスニングシステムを定義するのに使用される。例えば、第2取り付け構成要素48がループファスニング材料でできている場合には、第1取り付け構成要素 46はフックファスニング材料でできており、またその逆でもよい。
【0114】
本明細書中で使用されている「フックファスニング材料」という用語は、係合要素を持つ材料を示すのに使用される。かくして、フックファスニング材料を雄ファスナと呼んでもよい。更に、係合要素は、ループファスニング材料又は他のフックファスニング材料のような相補的な機械式閉鎖要素と係合するようになっている限り、当該技術分野で周知の任意の形状からなるのがよいという意味で、「フック」という用語の使用は非限定的であるということは理解されるべきである。
【0115】
フックファスニング材料は、好ましくは、固定閉鎖体を構成するように、ループファスニング材料の繊維質要素と機械的に係合する。かくして、本発明によるフックファスニング材料は、広範な材料から製造できる。適当な材料には、ナイロン、ポリエステル、ポリプロピレン、又はこれらの材料又は当該技術分野で周知の他の材料の任意の組み合わせが含まれる。適当なフックファスニング材料は、ミネソタ州セントポールの3M社から入手できる「スコッチメイト」という商標の第FJ3402号と表示された商業的に入手可能な材料のような裏打ち材料から突出した多数の賦形係合要素を有する。変形例では、係合手段は、フック、「T」、マッシュルーム、又は当該技術分野で周知の任意の他の形状を持つのがよい。例示のフックファスニング材料は、1989年7月11日にスクリップスに賦与された「改善されたファスニング装置を有する使い捨ておむつ」という標題の米国特許第4,846,815号に記載されている。同特許について触れたことにより、その特許に開示されている内容は本明細書中に組み入れたものとする。
【0116】
特に好ましいフックファスニング材料は、図1に示すように、熱可塑性プラスチック材料で形成されたプロング120の列からなる。ホットメルト接着剤熱可塑性プラスチック材料、詳細には、ポリエステルホットメルト接着剤及びポリアミドホットメルト接着剤がフックファスニング材料のプロングを形成するのに特に適している。プロング120は、好ましくは、改良したグラビア印刷プロセスを使用して熱可塑性プラスチック材料を溶融状態で基材上に分離したユニットをなして印刷し、熱可塑性プラスチック材料の一部を切断前に延伸させることができるような方法で材料を切断し、延伸した溶融材料を「固化」してプロングを形成することによって製造される。この好ましいフックファスニング材料及びこのようなフックファスニング材料を作るための方法及び装置は、1990年8月8日に公開されたプロクターアンドギャンブル社の欧州特許出願第0 381 087号に更に詳細に記載されている。同特許について触れたことにより、その特許に開示されている内容は本明細書中に組み入れたものとする。
【0117】
ループファスニング材料は、フックファスニング材料の係合要素と係合する複数の繊維質材料を提供する。ループファスニング材料は、繊維質の要素、好ましくはループを構成する種々の材料から製造できる。このような適当な材料には、ナイロン、ポリエステル、ポリプロピレン、又はこれらの材料又は当該技術分野で周知の他の材料の任意の組み合わせが含まれる。適当なループファスニング材料は、ミネソタ州セントポールの3M社から入手できる「スコッチメイト」という商標のナイロン織布ループ第SJ3401号と表示された商業的に入手可能な材料のような裏打ち材料から突出した多数の繊維ループを有する。商業的に入手可能な別のループファスニング材料は、ノースキャロライナ州グリーンズボロのギルフォードミルズ社から入手できる「ギルフォード第16110号」という表示の商業的に入手できる材料のようなナイロン製の裏打ち材料から突出した複数のナイロンフィラメントループを有するトリコット生地からなる。例示の廉価なループファスニング材料及びこのようなループファスニング材料の製造方法は、1988年11月2日に公開された、プロクターアンドギャンブル社の欧州特許出願第0 289 198号に記載されている。同特許について触れたことにより、その特許に開示されている内容は本明細書中に組み入れたものとする。適当なループファスニング材料は、当該技術分野で周知の織布又は不織布、又は任意の他の種類の繊維質材料又はループ材料である。本発明のループファスニング材料として使用するのに適した不織材料をおむつ20のトップシート24として有用な材料に関して論じる。好ましい実施例では、ループファスニング材料は、トップシート24の不織材料によって形成される。
【0118】
取り付け構成要素は、変形例では、接着剤取り付け層(接着剤材料層)からなるのがよい。本発明で有用な接着剤は、好ましくは、圧力を軽く加えただけで周囲温度で表面に接着するように配合された感圧接着剤である。本発明で接着剤取り付け層として使用するのに特に好ましい接着剤は、当該技術分野で周知のようにホットメルト感圧接着剤である。例示のホットメルト感圧接着剤は、ウィスコンシン州エルムグローブのフィンドレー接着剤社がフィンドレー990又はH-2085の商標で販売している接着剤のような、タシファイアー(tacifier)及び他の添加剤を含むクラトン(Kraton)を基材とした接着剤である。
【0119】
取り付け構成要素は、更に、接着剤/機械式閉鎖要素の組み合わせからなるのがよい。例えば、取り付け構成要素は、フックファスニング材料及びこのフックファスニング材料と並置された接着剤取り付け層、又は接着剤層がフックファスニング材料の一部の上にコーティングされたフックファスニング材料のような機械式閉鎖要素のような、組み合わせファスナからなるのがよい。機械式/接着剤組み合わせシステムを持つ例示のファスナは、1990年8月7日にバットレルに賦与された米国特許第4,946,527号に開示されているようなテクスチャーを持つファスニング面を持つ感圧接着剤ファスナである。
【0120】
変形例では、取り付け構成要素は、受動的に作用を受けることのできる可変位置決めファスナを提供するため、当該技術分野で周知の任意の他の凝集性材料を更に有する。例えば、凝集性ストリップ又は材料は、フォーム、クレープゴム又はラテックスのようなゴム、他の接着剤、又は高スタティックビニル材料(high static vinyl mat-erial)からなるのがよい。高スタティックビニル材料からなる分離可能なファスナは、1990年12月25日にマクローリン及びクラインスミスに賦与された米国特許第4,979,613号に更に詳細にに記載されている。同特許について触れたことにより、その特許に開示されている内容は本明細書中に組み入れたものとする。
【0121】
取り付け構成要素は、おむつ20に接合された別体の要素からなってもよいし、おむつの他の構成要素の一つと一体の構成要素からなってもよい。例えば、トップシート24は、他の取り付け構成要素(例えばフックファスニング材料)と機械的に係合できる材料(例えば不織ウェブ)から製造されるのがよい。バックシート26は、バットレルに賦与された上掲の米国特許第4,946,527号に示されているような機械式/接着剤組み合わせファスニング(取り付け構成要素)を形成するため、バックシート表面の一部の上に接着剤層がコーティングされた織模様を持つウェブから形成するのがよい。これらの場合の各々において、取り付け構成要素は、おむつの他の構成要素と一体である。変形例では、取り付け構成要素は、おむつに接合されたばらばらのストリップ又はパッチからなるのがよい。第1図に示す特に好ましい実施例では、各第1取り付け構成要素46は、外面52の一部を形成するようにバックシート26に接合されたフックファスニング材料製のばらばらの別体のパッチを有し、第2取り付け構成要素48は、第2胴領域58のトップシート24の一部を構成する一体の要素である。
【0122】
図1に示すおむつ20のようなMサイズのおむつの特に好ましい実施例では、胴閉鎖システム40は、好ましくは、一対の第1取り付け構成要素46を有する。各第1取り付け構成要素46は、フックファスニング材料でできた幅(長さ方向中心線67に対してほぼ垂直)が約12mmで長さが約19mmのパッチからなる。第1取り付け構成要素46は、好ましくは、約171mmの横方向間隔を持つように位置されている。更に、各第1取り付け構成要素46は、端縁部64から長さ方向に間隔を隔てられている。第1取り付け構成要素の長さ方向間隔(おむつの端縁部から第1取り付け構成要素の最も近い縁部まで計測した)が小さ過ぎる場合には、第1取り付け構成要素はおむつ上で高過ぎ、着用者の皮膚と接触する位置にある。長さ方向間隔が大き過ぎる場合には、第1取り付け構成要素は低く、弾性胴バンドの巻返りを或る程度引き起こす。
【0123】
第1取り付け構成要素は、好ましくは、おむつの端縁部から約3mm(1/8インチ)乃至約15mm(5/8インチ)、好ましくは約6mm(1/4インチ)間隔を隔てられている。第1取り付け構成要素46に使用するフックファスニング材料は、好ましくは、裏打ち材料に形成された熱可塑性プラスチック製のプロング120からなる列であり、各フックファスニング材料のプロング120は、最も好ましくは、係合手段がおむつ20の長さ方向中心線67に向かって内方に向いた状態で配向されている。更に、胴閉鎖システム40は、トップシート24の不織材料の一部によって形成されたループファスニング材料からなる単一の第2取り付け構成要素48を有する。
【0124】
おむつ20は、第1取り付け構成要素46の裏に配置された位置決めパッチ50を更に有する。この位置決めパッチ50は、第1取り付け構成要素46が第2取り付け構成要素48と良好に接触できるように第1取り付け構成要素46をZ軸(厚さ)方向に持ち上げ、胴閉鎖システムを更に容易に(少ない労力で)閉鎖できるようにする。かくして、胴閉鎖システム40は更に効果的に受動的に作用させることができる。更に、位置決めパッチ50は、可撓性耳フラップ88が第1取り付け構成要素46上に折れ返る傾向を小さくし、これによって、フックがおむつの装着中に固定しないようにする、撓み剛性の大きいゾーンを構成する。位置決めパッチ50は、第1構成要素46にZ軸方向突出を提供する任意の要素からなるのがよい。
【0125】
図1に示すように、位置決めパッチ50の各々は、第1取り付け構成要素46の裏に位置された矩形片から形成されている。位置決めパッチ50は、第1取り付け構成要素46の真下に位置されているのがよいが、位置決めパッチ50は、好ましくは、トップシート24とバックシート26との間に位置されている。着用者の胴部の周りに撓み剛性のある周囲を構成するため、位置決めパッチの横方向縁部を弾性胴バンド部材76の側縁部75と当接させるか或いは僅かに重ねるのがよい。位置決めパッチ50は、好ましくは、幅が38mmで長さが32mmのエラストマーフォーム製パッチからなる。更に好ましくは、おむつの製造中、一つのおむつの弾性側パネル部材90と隣接したおむつの位置決めパッチ50とを同じ材料セグメントから形成し、次いでこれをおむつが完成した後に切断することによって位置決めパッチ50を弾性側パネル部材90と同じ材料で形成する。かくして、位置決めパッチ50は、おむつ20の端縁部64からおむつ20の中央に向かって内方に延びる。
【0126】
好ましい実施例では、おむつは、第2胴領域58に配置された弾性側パネル30を更に有する。本明細書中で使用されている「配置された」という用語は、おむつの要素が特定の場所におむつの他の要素と一体の構造として又はおむつの他の構成要素に接合された別体の要素として形成(接合され且つ位置され)されているということを意味するのに使用される。
【0127】
弾性側パネル30は弾性的に伸長自在の装置を構成し、この装置は、先ず最初におむつを着用者の外形に合わせて装着し、この装着状態をおむつが滲出物を吸収したときを大きく越えて着用時間を通して維持することによって更に快適で外形にフィットさせる。これは、弾性側パネルによりおむつの側部が延びたり縮んだりできるためである。更に、弾性側パネル30は、着用力(張力)をつくりだしてこれを維持し、この着用力は、主ファスニングシステム38及び胴閉鎖システム40の両方によってつくりだされ且つ維持される張力を高め、おむつ20を着用者上に維持し、胴部の装着性を高める。
【0128】
弾性側パネル30は、特に、弾性胴バンド35に最初に予備張力を加えるのを助ける。これは、代表的には、おむつ20を着用者に装着するとき、おむつを装着する人が、弾性側パネル30の収縮時に張力が弾性側パネル30から胴閉鎖システム40を通って弾性胴バンド34に伝えられるように、側パネル30を引き延ばすためである。弾性側パネル30によりおむつ20は更に効果的に適用される。これは、おむつを装着する人が、適用中に一方の弾性側パネル30を他方よりも大きく(非対称に)引っ張った場合でも、おむつ20が、着用中に「自己調節」を行うためである。本発明のおむつ20では、弾性側パネル30が好ましくは、第2胴領域58に配置されているけれども、変形例では、おむつ20は、弾性側パネル30が第1胴領域56、又は第1胴領域56及び第2胴領域58の両方に配置されているのがよい。
【0129】
弾性側パネル30は、多数の形体でつくることができるけれども、弾性側パネルがおむつの耳部(耳フラップ)に位置されたおむつの一例が、1989年8月15日にウッド等に賦与された「襞付けが施された耳部を持つ使い捨ておむつ」という標題の米国特許第4,857,067号に開示されている。同特許について触れたことにより、その特許に開示されている内容は本明細書中に組み入れたものとする。
【0130】
弾性側パネル30は、変形例では、多数の他の形体に形成できる。例えば、1983年5月3日にスシアラッファ等に賦与された米国特許第4,381,781号には、弾性部材の引き延ばしが非弾性材料によって拘束されないように弾性部材がおむつのトップシート及びバックシートの両方の開口部に位置決めされた弾性胴部を持つおむつが開示されている。スシアラッファ等の特許は、おむつのトップシート部分及びバックシート部分の両方を弾性部材と一致する領域で取り除くことの重要性を教示しているけれども、本発明者は、トップシート及びバックシートの一致する部分の一方だけを除去した場合、又はいずれも除去しない場合、特に弾性部材を含むおむつウェブの部分に以下に説明する機械的漸次延伸作業を加えた場合に、満足のいく弾性性能を得ることができるということを学んだ。弾性側パネルを示すおむつの別の実施例が、1990年7月3日にヴァンゴンペル等に賦与された米国特許第4,938,753号に示されている。この特許には、別個の延伸自在の部材を衣料の主本体の側縁部に取り付けることによって形成された延伸自在の側パネルを備えたパンツ状衣料が開示されている。かくして、本発明の弾性側パネル30は、弾性的に伸長可能な別体の材料又はおむつに接合された積層体からなるのがよい。図1に示すように、各弾性側パネル30は、好ましくは、耳フラップ88及びこれと作動的に関連した弾性側パネル部材90を有する。
【0131】
図1に示すように、各耳フラップ88は、吸収体コア28の側縁部82からこの側縁部に沿って横方向外方におむつ20の長さ方向縁部62まで延びる側パネル72の部分からなる。耳フラップ88は、全体に、おむつ20の端縁部64からおむつ20の長さ方向縁部62の脚開口部を形成する部分(長さ方向縁部62のこのセグメントは脚縁部106として示されている)まで長さ方向に延びる。本発明の好ましい実施例では、第2胴領域58の各耳フラップ88は、吸収体コア28の側縁部82を越えて延びるトップシート24及びバックシート26の部分によって形成される。
【0132】
本発明の好ましい実施例では、弾性側パネル部材90は、弾性側パネル部材90により弾性側パネル30が横方向に弾性的に伸長自在であるように、おむつ20と耳フラップ88で、好ましくは、トップシート24とバックシート26との間で作動的に関連している。本明細書中で使用されているように、「弾性的に伸長自在」という用語は、張力(代表的には、側パネル及び胴バンドに作用する横方向張力)を加えたときに少なくとも一方向に(好ましくは、側パネル及び胴バンドに対して横方向に)延び、張力を取り除いたときにほぼその前の大きさ及び形体に戻るおむつのセグメント又は部分を意味する。一般に、本発明で有用なエラストマー材料は、引き延ばしてそれをただちに解放したとき、約5秒以内又はそれ以下でその元の形体の少なくとも約75%まで収縮して戻る(即ち、「スナッピー」弾性である)。
【0133】
弾性側パネル部材90を耳フラップ88に多くの種々の方法で作動的に関連させることができる。例えば、弾性側パネル部材90が耳フラップ88をギャザー付けしたり収縮したりするように弾性側パネル部材90を弾性的に収縮自在の状態で作動的に関連させることができる。エラストマー材料を弾性的に収縮自在の状態で固定する方法の更に詳細な説明は、1975年1月14日にブエルに賦与された米国特許第3,860,003号、及び1978年3月28日にブエルに賦与された米国特許第4,081,301号に見出すことができる。これらの特許について触れたことにより、これらの特許に開示されている内容は両方とも本明細書中に組み入れたものとする。
【0134】
例えば、弾性側パネル部材90を横方向に伸ばし、トップシート24及びバックシート26のいずれか又は両方に接合し、弾性側パネル部材90がその弛緩した即ち収縮した配向を取ることができるようにすることによって、弾性側パネル部材90を耳フラップ88に収縮自在に取り付けることができる。
【0135】
変形例では、弾性側パネル部材90を収縮していない状態で作動的に関連させ、次いで収縮するように処理することもできる。例えば、弾性側パネル部材90を加熱のような特定の処理を加えると不定方向に収縮し弾性になる材料で形成するのがよい。このような材料の例は、1974年6月25日にマッセンゲール等に賦与された米国特許第3,819,401号、及び1975年10月14日にコッホ等に賦与された米国特許第3,912,565号に開示されている。熱収縮性弾性材料を使用するための方法の更に詳細な説明は、1985年5月7日にキビト及びオスターヘージに賦与された米国特許第4,515,595号に記載されている。同特許について触れたことにより、その特許に開示されている内容は本明細書中に組み入れたものとする。代表的には、トップシート、バックシート、弾性側パネル部材、及び任意の他の構成要素を、収縮していない状態で互いに固定する。次いで、積層体を(加熱空気等で)加熱し、弾性側パネル部材をその弛緩した即ち収縮した配向に戻す。
【0136】
特に好ましい実施例では、弾性側パネル部材90に張力が実質的に加わっていない状態で弾性側パネル部材90をトップシート24、バックシート26、又はこれらのシステムの両方に接合することによって、弾性側パネル部材90を耳フラップ88に作動的に関連させる。次いで、弾性側パネル部材90を含む結果的に得られた複合エラストマー積層体の少なくとも一部に、積層体のトップシート構成要素及びバックシート構成要素(非弾性構成要素)を永久的に伸長するのに十分な機械的延伸を加える。次いで、弾性側パネルを「歪ゼロ」の延伸積層体に形成する。(変形例では、弾性側パネル部材を張力が加わった状態で作動的に関連させ、次いで機械的延伸を加えてもよいが、これは「歪ゼロ」の延伸積層体として好ましくない。)本明細書中で使用されている「歪ゼロ」の延伸積層体という用語は、同延の表面の少なくとも一部に沿って実質的に張力が加わっていない(「歪ゼロ」)状態で互いに固定された少なくとも二つの材料層からなる積層体をいう。積層体の一方の層は、延伸自在であり且つエラストマー性の(即ち、加えられた引張力を解放するとほぼその張力が加わっていない寸法に戻る)材料からなり、第2層は、この層に延伸を加えると少なくとも或る程度永久的に伸長し、そのため、加えた引張力を解放すると完全にはその元の未変形の形体に戻らないように伸長自在(しかし必ずしもエラストマー性でない)である。これによって、結果的に得られた「歪ゼロ」の延伸積層体を、最初の延伸方向で少なくとも最初の延伸点まで弾性的に伸長自在にできる。このような「歪ゼロ」の延伸積層体の例は、1937年3月30日にガリガン等に賦与された米国特許第2,075,189号、1962年3月13日にハーウッドに賦与された米国特許第3,025,199号、1978年8月15日にシソンに賦与された米国特許第4,107,364号及び1989年5月30日にサビーに賦与された米国特許第4,834,741号に記載されている。これらの特許について触れたことにより、これらの特許の各々に開示されている内容は本明細書中に組み入れたものとする。
【0137】
「歪ゼロ」の延伸積層体をトップシート、バックシート、及びこれらのシート間に位置されたエラストマー部材からつくるのに使用される特に好ましい方法及び装置は、構成要素を機械的に延伸する互いに噛み合う波形ロールを使用する。おむつの部分を機械的に延伸するための適当な装置及び方法の議論は、上掲の1978年8月15日にシソンに賦与された米国特許第4,107,364号及び1989年5月30日にサビーに賦与された米国特許第4,834,741号に含まれている。特に好ましい装置及び方法は、一般に譲渡された現在継続中の、1991年2月28日にジェラルド・M・ウェブスター等が出願した「「歪ゼロ」の延伸積層ウェブを漸次延伸してこのウェブに弾性を賦与するための方法及び装置」という標題の米国特許出願第07/662,536号(P&Gケース第4339号)、1991年2月28日にケネス・B・ブエル等が出願した「歪ゼロの延伸積層ウェブを非均等な方法で漸次延伸して可変程度の弾性を賦与するための方法及び装置」という標題の米国特許出願第07/662,537号(P&Gケース第4340号)、1991年2月28日にジェラルド・M・ウェブスター等が出願した「歪ゼロの延伸積層ウェブを順次延伸し、このウェブを破ることなくこのウェブに弾性を賦与するための方法及び装置」という標題の米国特許出願第07/662,543号(P&Gケース第4341号)に開示されており、これらの特許出願について触れたことにより、これらの特許出願に開示されている内容は本明細書中に組み入れたものとする。
【0138】
「歪ゼロ」の延伸積層体を本発明の弾性側パネルにするのに使用できる特に好ましい漸次延伸システムの詳細を図11に示す。「歪ゼロ」の側パネルウェブを含む完全に組み立てられたおむつウェブ810は、漸次延伸システムに通して送られる。
【0139】
図11を参照すると、張力が実質的に加わっていない側パネル部材(エラストマーパッチ804)を含むおむつウェブ810のタイミングは、おむつウェブ810が上側の波形ロール825のセグメント824と波形即ち溝が連続的に設けられた下側の波形ロール821との間を通過するとき、張力が実質的に加わっていないエラストマーパッチ804が上側の波形ロール825に設けられた波形の即ち溝を備えたセグメント824と実質的に一致するようなタイミングである。
【0140】
方法及び装置の好ましい実施例では、おむつ20のエラストマーパッチ804と隣接したトップシート24及びバックシート26の部分(即ち延長パネル110が形成された)に或る程度の伸長性を与えるように、溝を備えたセグメント824の全長は、機械方向で計測してエラストマーパッチ804よりも長い。更に、溝を備えたセグメント824は、好ましくは、隣接したおむつの第1胴領域内まで延びるのに十分な長さを持っていない。これは、隣接したおむつの位置決めパッチ50を形成するエラストマーパッチ804の部分に或る程度の伸長性を与えないのが好ましいためである。
【0141】
上側の波形ロール及び下側の波形ロールに設けられた相補的溝の正確な形体、間隔及び深さは「歪ゼロ」の延伸積層体部分で所望の弾性量のような要因に応じて変化するけれども、本発明の特に好ましい実施例では、約3.81mm(0.15インチ)の山間溝ピッチ、山のところで計測した約12°の包含角度及び約7.62mm(0.300インチ)の山と谷との間の溝の深さが用いられている。上述の波形ロールに設けられた各波形の外山は、代表的には、約0.254mm(0.010インチ)の半径を有し、隣接した波形間に形成された内溝は、代表的には、約1.016mm(0.040インチ)の半径を有する。波形ロールの向き合った山が互いに約3.81mm(0.150インチ)乃至約4.445mm(0.175インチ)重なるように波形ロールを調節すると、両面が1ミル厚のポリマー製バックシート及び約21.53g/m2乃至23.92g/m2(1平方ヤード当たり約18g乃至20g)の坪量のポリプロピレン繊維製不織トップシートに連続的に結合された80ミル厚のエラストマー性のポリウレタンフォームパッチからなる本発明の積層ウェブに良好な弾性特性がつくりだされる。
【0142】
勿論、上述の波形ロールの向き合った山間の重なりの程度は、結果的に得られた「歪ゼロ」の延伸積層ウェブに多かれ少なかれ伸長性をつくりだすため、所望の通りに調節することができる。上述のロール形状及び積層ウェブ構造について、約1.27mm(0.050インチ)乃至5.72mm(0.225インチ)の範囲の山間重なり深さが可能である。
【0143】
図12からわかるように、おむつウェブ810を、アイドラーロール872、874で下側の波形ロール821に巻付ける。この巻付けは、下側の波形ロール821に設けられた溝823の連続した組の各々のすぐ隣に配置された作用真空ポート822(第8図参照)を覆うのに十分である。上側の波形ロール825に設けられた溝を備えたセグメント824と実質的に一致するように位置された真空ポート822は、上側の波形ロール825の溝を備えたセグメント824がおむつウェブ810に作用を加えるときにおむつウェブに吸引力を及ぼす一対の真空マニホールド826に内部がロール821を通して連結されている。
【0144】
張力が加えられていないエラストマーパッチ804をトップシートウェブ806及びバックシートウェブ805に固定するのに使用される接着剤、又はトップシートウェブ及びバックシートウェブの一致する部分を互いに固定するのに使用される接着剤のいずれかの形成を最小にするため、上側の波形ロール825に設けられた溝を備えたセグメント824及び下側の波形ロール821に設けられた連続溝823は、テフロン(登録商標)のような低摩擦材料でできているか或いはイリノイ州モリスのマイクロサーフィス社から入手できるパーマロン503号スプレーコーティングのような自己潤滑性低摩擦材料でコーティングされている。
【0145】
下側の波形ロール821に設けられた真空ポート822は、好ましくは、2.286mm(0.090インチ)メッシュのハニカムコーン844のような多孔材料で覆われており、この材料は、おむつウェブ810の真空が作用する部分を支持し、ウェブに真空が作用しているときにはいつでもウェブがハニカム面を横切って横方向に滑ったり移動したりしないようにする良好な把持面をウェブに対して提供する。
【0146】
最適の環境では、エラストマーパッチ804を含む側パネルの「歪ゼロ」部分に加えることのできる最大程度の増加延伸は、上側の波形ロール825のセグメント824に設けられた溝と下側の波形ロール821に設けられた連続溝823との間の係合の深さによって決定される。しかしながら、延伸積層ウェブが互いに噛み合う波形ロール間を通過するときにウェブの延伸方向にほぼ平行な方向で滑ったり収縮したりしないようにされていない場合には最適程度の増加延伸が行われないということが分かっている。従って、最も好ましい形体では、ウェブの増加延伸作業は、図13の断面に概略に示してあるように、「歪ゼロ」の延伸積層体を構成する三つの層全ての最も外側の部分に拘束が加わっており、順次位置決めされた互いに噛み合う波形ロールの組の間をおむつウェブの「歪ゼロ」の延伸積層体部分が通過するときに所望の延伸方向に対して平行な方向に滑ったり収縮したりしないようにされた状態で実施される。
【0147】
しかしながら、所望であれば、複合材の延伸可能な即ち引き延ばし可能な層だけを拘束することによって本発明を実施してもよく、即ち、増加延伸作業中にエラストマーパッチの最も外側の部分をも拘束するということは絶対的な必要条件ではない。後者の場合には、延伸可能な即ち引き延ばし可能な層は、増加延伸プロセス中に永久的に延伸されるが、延伸張力を取り除いたとき、結果的に得られた「歪ゼロ」の延伸積層ウェブにおいてZ軸方向に嵩高になるのが幾分小さい。これは、エラストマーパッチがこのようなプロセス中に程度が更に小さい初期延伸を受けるためである。従って、その歪のない形体に戻るときに同じ量の収縮だけが加わる。
【0148】
上述の種類の「歪ゼロ」の延伸積層体の実施例は、更に、或る程度の不均衡の局部的な歪が延伸可能なウェブに、特にエラストマーパッチの両縁部の直ぐ近くの領域に形成されるのがよい。不透明なポリマー製バックシートウェブの場合には、これらの不均衡に変形させた部分が破れていないにも関わらず透明な外観を呈する程十分に薄くなることがある。このような場合には、おむつウェブの「歪ゼロ」の延伸積層部分の機能性(例えば不透過性)は損なわれない。後者の種類の実施例は、通常は、結果的に得られたおむつの「歪ゼロ」の延伸積層部分の美的外観がおむつのデザイン又は形体によって見えないようになっている場合、あるいは、見える場合でのおむつの使用者の関心を引かない場合に用いられる。
【0149】
本発明の更に別の実施例では、延伸可能な非弾性ウェブの1つ又はそれ以上が破れても、結果的に得られた「歪ゼロ」の延伸積層ウェブがその所定の目的について受入れられないものにならない(例えば、積層ウェブの他のプライの一つが、完成した物品における所望の機能を提供する限り、バックシートの破れが必ずしも積層ウェブのその所定の目的についての機能を損なわない)。例えば、延伸可能なバックシートウェブが或る程度破れていても、エラストマーパッチもまた液体不透過性材料でできている場合には、結果的に得られたおむつウェブの不透過性が損なわれない。)これは、層間に実質的に連続した結合を使用する「歪ゼロ」の延伸積層ウェブの実施例に関して特にいえる。これは、層が増加延伸後に互いに比較的ぴったりと接着しているため、おむつの末端使用者又はおむつを装着する人がこのようなプライの損傷を見つけるのが困難であるためである。
【0150】
図11及び図12に示すおむつウェブ810は、最も上のバックシートウェブ805の存在により空気の通過に対して実質的に不透過性であるため、所望であれば、多孔質ハニカム材料844で覆われた真空ポート822を下側の波形ロール821の機械方向に配向された溝823の各組のすぐ隣で使用することができる。エラストマーパッチ804が空気の通過に対して十分に透過性である場合には、上側のバックシート805の部分をぴったりと保持するように、真空により生ぜしめられた吸引力がトップシート806及びエラストマーパッチ804を通過する。この場合には、増加延伸作業中、おむつウェブの「歪ゼロ」の延伸積層部分を構成する三つの層が全て拘束される。
【0151】
エラストマーパッチが空気の通過に対して実質的に透過性でない場合には、(a)吸引力がトップシートウェブ806を通してバックシートウェブ805に及ぼすことができるように、真空ポート822及びこれらのポート上に設けられたハニカム材料844をエラストマーパッチ804の両縁部のすぐ外側に位置決めするか、或いは(b)おむつウェブの「歪ゼロ」の延伸積層部分を構成する三つの層全てを、おむつウェブの両面に作用できる適当なクランプ装置で拘束するかのいずれかが必要である。
【0152】
真空ポート822が多孔質ハニカム材料844を通して図11及び図12に示すおむつウェブ810に作用する吸引力は、張力が実質的に加えられていないエラストマーパッチ804を含むおむつウェブ810の部分が、下側の波形ロール821に設けられた連続溝823及び上側の波形ロール825に設けられた溝を備えたセグメント824の互いに噛み合う部分間を通過するときに、横方向内方に滑ったり収縮しないようにする。
【0153】
エラストマーパッチ804を含むおむつウェブ810の「歪ゼロ」の延伸積層部分が、ウェブの順次延伸作業に亘って横方向に拘束されているため、ウェブが下側の波形ロール821に設けられた連続溝823と上側の波形ロール825に設けられた溝を備えたセグメント824との間を通過するとき、拘束点の中間に配置された「歪ゼロ」の延伸積層ウェブの全ての部分に増加延伸が実質的に均等に加えられる。これは、エラストマーパッチに固定された延伸可能なトップシートウェブ及びバックシートウェブに、延伸作業中、可能な限り最大の延伸を強制的に加えることによって、ウェブの増加延伸作業の有効性を最大にするばかりでなく、エラストマーパッチの両周縁部のすぐ隣にある領域に固定されたトップシートウェブ及び/又はバックシートウェブに不均衡に高い変形が加わらないようにする。
【0154】
図14は、使用できる変形例の増加ウェブ延伸システムを示す。図14に示す増加ウェブ延伸システムでは、弾性的に圧縮可能な一対のディスク940が上側の波形ロール825の溝を備えたセグメント924の各側に隣接して取り付けられている。圧縮可能なディスク940は、図15の断面に概略に示すように、これらのディスクがおむつウェブ910をぴったりと把持し、このおむつウェブをディスクと一致する下側の波形ロール921の溝のない部分に固定的に保持する。図11の実施例の真空ポート及び多孔質ハニカム材料と同様に、圧縮可能なディスク940及び下側のロール921の一致する溝のない部分によってつくりだされたクランプ効果によって、ウェブが互いに噛み合う波形ロール間を通過するときに、エラストマーパッチ904を含むおむつウェブ910の部分が延伸方向に平行な方向に収縮しないようにする。図14の実施例は、空気の通過に対して透過性或いは不透過性のいずれかであるウェブでできた積層体構造について、同じ容易さで使用できる。
【0155】
当業者には理解されることと思うが、結果的に得られたおむつウェブの結果的に得られた「歪ゼロ」の延伸積層部分について本明細書中に記載した利点を提供するため、上述の拘束方法を個々に又は互いに組み合わせて使用するのがよい。
【0156】
本明細書中に記載してあるように、全体が「歪ゼロ」の延伸積層ウェブ部分でできているか或いは一つ又はそれ以上の分離独立した「歪ゼロ」の延伸積層ウェブ部分を含んでいるかのいずれかである広範なおむつを製造するのに、改善された方法及び装置を有利に使用できるということは明らかである。
【0157】
添付図面には、波形が互いにほぼ平行に整合した互いに噛み合う一対の波形ロールが示してあるけれども、本発明は、波形が互いに平行に配向されていない対をなした波形ロールを使用する場合でも同じ容易さで実施できるということは理解されよう。更に、これらの波形ロールに設けられた波形は、必ずしも、機械方向又は機械方向に対して横方向のいずれかに平行に整合していなくてもよい。例えば、本明細書中に開示した「歪ゼロ」の延伸積層技術を使用してつくられた一回使用おむつで、曲線をなした胴バンド部分又は脚バンド部分が所望である場合には、おむつウェブの「歪ゼロ」の積層ウェブ部分を増加延伸するのに用いられた対をなした波形ロール上に設けられた互いに噛み合う歯が、直線でなく所望の曲線をなした輪郭に沿って弾性をつくりだすように、所望の曲線をなした形体で配列されているのがよい。
【0158】
本明細書中に開示した好ましいプロセスは円筒形の互いに噛み合う波形ロールを使用するけれども、互いに噛み合うプラテンを使用して問題のウェブ又は物品の「歪ゼロ」の延伸積層部分を増加延伸する断続的スタンプ作業を使用してウェブ拘束原理を実行してもよい。後者の場合には、互いに噛み合うプラテンが、延伸方向に平行な方向に滑り又は収縮を生ぜしめるのに十分な力をウェブに及ぼすことができる前に、増加延伸されるべき「歪ゼロ」の延伸積層ウェブの部分が適当な真空手段又はクランプ手段で適切に拘束されるということが唯一の必要条件である。
【0159】
弾性側パネル部材90は、トップシート24又はバックシート26のいずれか或いはこれらのシートの両方に、断続的結合形体又は実質的に連続した結合形体のいずれかを使用して接合することができる。本明細書中で使用されている「断続的に」結合された積層ウェブというのは、c4プライを最初に間隔を隔てられた箇所で互いに結合した積層ウェブ又は間隔を隔てられた領域でプライが互いに実質的に結合されていない積層ウェブを意味する。逆に、「実質的に連続的に」結合された積層ウェブというのは、プライが界面領域に亘って互いにほぼ連続的に結合された積層ウェブを意味する。断続的結合形体は、通常は、積層体の実質的に非弾性のウェブを破ることなく比較的大きく延伸したり引き延ばしたりできる場合、及び完成した積層体においてZ軸方向に大きく張り出すのが望ましい場合に「歪ゼロ」の積層ウェブについて望ましい。連続的結合形体は、完成した積層体のZ軸方向張り出しの程度が主として重要なことでなく、積層体の一つ又はそれ以上の比較的非弾性のウェブを破ることなく延伸したり引き延ばしたりすることが困難である場合の「歪ゼロ」の積層ウェブについて望ましいということがわかっている。後者の場合には、実質的に連続した結合形体は、増加延伸作業後、積層体の全ての層を互いに比較的ぴったりと接着した状態に維持する。従って、増加伸作業中に比較的非弾性のウェブの一つ又はそれ以上に破れるほどの損傷が加わった場合でも、比較的非弾性のウェブの損傷を受けた部分がエラストマープライに比較的ぴったりと接着しているため、末端使用者はどのような損傷があるかを気づくのが困難である。比較的非弾性のウェブの破れがウェブの企図した機能(例えば不透過性)を損なわない場合には、増加延伸作業中に比較的非弾性のウェブに生じた損傷は、一般に、最終製品における欠陥とは認められない。
【0160】
かくして、特に好ましい「歪ゼロ」の延伸積層ウェブに連続的結合形体を使用することによって得られる予期せぬ利点は、おむつの製造者が、本発明の積層体に満足いくように使用できる更に広い範囲の比較的非弾性のウェブから選択できるということである。本質的には、通常は、わかる程に引き延ばすことができるとは考えられていない本発明の「歪ゼロ」の延伸積層ウェブの比較的非弾性のウェブを使用できるようになるということである。従って、「引き延ばし可能」という用語は、本明細書中で使用されているように、増加延伸作業中に或る程度薄くなったり損傷を受けたりする比較的非弾性のウェブを除外しようとするものではない。
【0161】
本発明の好ましい実施例では、弾性側パネル部材90は、トップシート24及びバックシート26の両方に接着剤を使用して実質的に連続的に結合されている。実質的に張力が加えられていない状態の弾性側パネル部材90が配置される予め決定された領域でバックシート26及び/又はトップシート24に実質的に均等で且つ連続した接着剤層を付けるのに糊アプリケータを使用するのがよい。特に好ましい実施例では、選択された接着剤は延伸自在であり、糊アプリケータは、溶融吹き付け塗布システムからなる。
【0162】
実質的に連続的に結合された「歪ゼロ」の延伸積層ウェブを製造するのに特に適していることがわかっている接着剤溶融吹き付け塗布システムは、ジョージア州ゲインズビルのJ&M研究所から入手できる型番GM-50-2-1-GHの溶融吹き付けスプレーアプリケータである。後者のシステムは、機械方向に対して横方向で計測して線インチ当たり20個のオリフィスを持つノズルを使用する。各オリフィスの直径は、約0.508mm(0.020インチ)である。好ましくは、ウィスコンシン州エルムグローブのフィンドレー接着剤社から入手できるフィンドレーH-2176ホットメルト接着剤を約171.1OC(340OF)の温度まで加熱し、バックシート及び/又はトップシートに6.45cm2(1平方インチ)当たり約7.5mg乃至10mgの割で塗布する。約218.33OC(425OF)の温度及び約3.515kg/cm2のゲージ圧(50psig)の加熱圧縮空気を接着剤ノズルの二次オリフィスから出し、塗布作業中に接着剤フィブリルが均等に分配されるのを助ける。
【0163】
おむつの結果的に得られた「歪ゼロ」の延伸積層部分の増加延伸前の経過時間に亘って高温の接着剤をバックシート26と密に接触させることによって、バックシート26を軟化させる。ウェブによっては、例えば従来のポリエチレン製バックシート材料では、この軟質化が、ウェブの増加延伸プロセス中にバックシートに加わる損傷を最小にする上で有利であるということがわかっている。これは、問題のウェブがおむつに所定の機能(例えば不透過性)を与える場合に特に重要である。
【0164】
変形例では、おむつ20の「歪ゼロ」の部分を構成する弾性側パネル部材90及び任意の他の構成要素は、加熱されない接着剤、熱接着、圧接着、超音波接着、動的機械的接着、又は当該技術分野で周知の任意の他の方法を使用して互いに断続的に又は連続的に結合されているのがよい。
【0165】
弾性側パネル部材90は、多数の種々の大きさ、形状、形体、及び材料でできているのがよい。例えば、弾性側パネル30は各耳フラップ88で作動的に関連した一つの又は複数の弾性側パネル部材90から形成されるのがよく、弾性側パネル部材は幅及び長さが変化するのがよく、又は、弾性側パネル部材は、エラストマー材料でできた比較的幅狭のストランド又は面積の大きいエラストマーパッチからなるのがよい。弾性側パネル部材90として(特に「歪ゼロ」の延伸積層体に)使用するのに特に適していることが分かっている一つのエラストマー材料は、破断までの延びが少なくとも約400%で、試料幅1インチ当たり約200gの引張力がその変形を加えられていない長さの50%の伸びを生じるエラストマーフォームである。弾性側パネル部材として使用するのに適していることがわかっている例示のエラストマーフォームには、(a)ロードアイランド州ミドルタウンのフルフレックス社から入手できるような、或いはオハイオ州フリーモントのルッドロウ複合材社から入手できベイビーフォームの商品名で販売されているエラストマーフォームのような、好ましくは厚さが約50ミルで密度が0.214g/cm3(1立方フィート当たり13.3ポンド)の架橋処理を施した天然ゴムフォーム、又は(b)日本国横浜市のブリジストン社から入手できブリジストンSGポリウレタンフォームの商品名で販売されている、或いはニュージャージー州パラムスのゼネラルフォーム社から入手できポリウレタンフォーム第40310号の表示で販売されているエラストマーフォームのような、厚さが約80ミルで密度が約0.033g/cm3(1立方フィート当たり2.06ポンド)のポリウレタンフォームが含まれる。弾性側パネル部材90として使用するのに適した他の材料には、「弾力のある」合成ゴム又は天然ゴム、他の合成又は天然のゴムフォーム、エラストマーフィルム(熱収縮性エラストマーフィルムを含む)、エラストマースクリム、エラストマー織ウェブ又は不織ウェブ、エラストマー不織積層体のようなエラストマー複合材、等が含まれる。
【0166】
図1に示すように、弾性側パネル部材90は、第2胴領域58の耳フラップ88の長さの大部分に亘って延びるエラストマー材料でできたパッチ(エラストマーパッチ)からなる。エラストマーパッチは、好ましくは、おむつの製造時に、一つのおむつの弾性側パネル部材90を形成するだけでなく隣接したおむつの第1胴領域の位置決めパッチ50を形成するように位置される。かくして、上掲のウッド等の特許に開示されているような、弾性側パネル部材をおむつに高速で固定する上での整合の問題が無くされる。かくして、弾性側パネル部材90は、好ましくは、おむつ20の端縁部64から内方に耳フラップ88の脚縁部106に向かって延びる。弾性側パネル部材90の長さ及び幅は、おむつの機能的設計によって決まる。
【0167】
弾性側パネル部材90は、耳フラップ88の全長に沿って長さ方向に延びているが、弾性側パネル部材90は、延長パネル110を形成するように耳フラップ88の長さの一部だけに亘って延びているのが好ましい。図1に示すように、弾性側パネル部材90のベース縁部108から耳フラップ88の脚縁部106まで長さ方向に延びる弾性側パネルの部分である延長パネル110もまた、伸長自在であるように少なくともある程度機械的に延伸させてある(即ち、延長パネル110を形成する材料には予め変形が加えてあり、即ち永久的に延伸させてある)。「予め変形が加えてある」延長パネルのため、弾性側パネルの「歪ゼロ」の延伸積層部分を延ばしたとき、着用者の脚領域近くに皮膚を刺激したり脚部を赤くしたりする過度の張力を生じることなく弾性側パネルのこの部分を効果的に延伸することができる。(即ち、「予め変形が加えてある」延長パネルがない場合には、弾性側パネルを伸ばしたとき、延長パネル110を通る線に沿って張力が集中する。弾性側パネル30の延長パネル110に予め変形を加える方法は幾つもあるけれども、延長パネル110は、好ましくは、「歪ゼロ」の延伸積層部分について行われた機械的延伸と同じ方法で変形が予め加えられているのがよい。弾性側パネル30の延長パネル110は、多くの種々の材料からつくることができるけれども、図1に示す好ましい実施例では、延長パネル110は、トップシート24及びバックシート26の耳フラップ88を形成する部分から形成される。
【0168】
延長力、延長係数、及び利用できる延伸(延び)を含む延長特性、及び収縮力、弾性クリープ、弾性ヒステリシス、及び弾性側パネル30の収縮量が、弾性側パネル30及びおむつ20の両方の性能において考慮を払わなければならない重要な要因であるということがわかっている。延長特性は、使用中、おむつを装着する人及び着用者に総合的な感知されたストレッチイネス(stretch-iness)を与える。これらは、おむつを装着する人が延伸を適度に賦与できる能力に影響を与える(即ち、装着中の標準的に感知されたおむつの引っ張りについて、結果的に得られた延伸の総量は、外形と一致するような良好な装着を得る/維持するのに望ましい量である)。延長係数が比較的高い弾性側パネルは、着用者の皮膚を赤くすることああるが、延長係数が比較的高い弾性側パネルは、着用者上で垂れ下がり/滑りを引き起こすことがある。利用できる延伸が少な過ぎる弾性側パネルは、身体の外形と適当なレベルまで一致できず、おむつを快適に着用できず身につけるのが難しいものにする。収縮力が非常に小さい、又は弾性クリープ又は弾性ヒステリシスが乏しい弾性側パネルを持つおむつは、着用者上の所定位置に止まることができず、着用者上で垂れ下がったり/滑り落ちたりしがちであり、その結果、装着性及び包含性が損なわれる。
【0169】
本発明の弾性側パネル30については、延長力及び延長係数の延長特性は、好ましくは、所定の範囲内にあるということがわかっている。これらの延長力は、約6.25mm(0.25インチ)乃至31.25mm(1.25インチ)の延びで発生されるのが好ましい。最も好ましい実施例については、弾性側パネルは、好ましくは、6.25mm(0.25インチ)乃至18.75mm(0.75インチ)の延びで約250gramsf乃至約500gramsfの延長力を持つ。
【0170】
着用中に弾性側パネルを着用者の身体の外形に馴染むように可逆的に延伸させる上で利用できる材料の最大の量は、利用できる延伸により計測される。かくして、利用できる延伸の量は、おむつを装着する人がおむつを着用者に装着するのに利用できる最大量の延びと関連している。更に、復元可能な延びの最大の量を、おむつを着用者の身体に馴染ませるのに利用できる。利用できる延伸は、以下の等式から算出される((延伸長さ-元の長さ)×100)。弾性側パネルを使用したおむつの適用に必要な利用できる延伸の最小の量は、好ましくは、Mサイズのおむつについては少なくとも約35%、Lサイズのおむつについては、少なくとも約50%である。
【0171】
弾性側パネルが着用者に及ぼす維持可能な収縮力(張力)は、弾性側パネルの重要な性質である。収縮力が不十分な弾性側パネルでは、おむつを着用しこれに排泄した後、おむつがずれ落ちてしまう。収縮力が大き過ぎる場合には、着用者に対する快適さが減少し、着用者の皮膚上に圧痕を残す。収縮力は、特定の延びのエラストマー複合材を弛緩させるときに生じる単位幅当たりの力として計測される。本発明の好ましい実施例では、弾性側パネルの収縮力は、好ましくは、50%の延びで少なくとも約35.43g/cm(90g/インチ)である(50%の延びは、試料をその元の長さの1.5倍に延伸することを必要とする)。
【0172】
代表的には、エラストマー材料は、応力-歪特性において力がヒステリシスループを示す。即ち、所与の延びについて、エラストマー材料を一軸線延長させるのに必要な力(延長力)は、エラストマー材料をその予め伸ばした状態から収縮させるときにエラストマー材料が及ぼす力(収縮力)よりも大きい。前者の曲線を「荷重曲線」と呼び、後者の曲線を「非荷重曲線」と呼ぶことができる。おむつを装着する人は、弾性側パネルを延伸しておむつを着用者に装着するとき、「荷重」延長力(延長力)を感じる。着用者は、おむつをひとたび装着すると、「非荷重」の収縮力(収縮力)を感じる。従って、ヒステリシス損は、おむつが着用者上で垂れ下がったり滑ったりするのに十分な程収縮力が小さい程大きくてはならない。
【0173】
応力/歪が加わった全てのエラストマー材料は、時間に従って力を漸減する(即ち弾性クリープ)。従って、時間に亘るこの着用力の減少が着用安定性のための最小値以下にならないようにするのが望ましい。従って、弾性クリープを最小に維持しなければならない。本発明の好ましい実施例では、エラストマー材料の最終長さは、30分に亘って張力を加えた状態で元の長さの約1.2倍以上であってはならない。
【0174】
弾性胴バンド35の延長力及び利用できる延伸は、弾性胴バンド35及び弾性側パネル30の両方の性能において、考慮を払わなければならない重要な要因である。弾性胴バンド35の延長力は弾性側パネル30の延長力よりも大きいのがよいが、本発明の好ましい実施例では、弾性胴バンド35の所望の延びにおける延長力は、各弾性側パネル30の所望の延びにおける延長力以下であるか或いはこれと等しい。延長力が弾性側パネル30よりも小さい弾性胴バンド35では、子供に装着したおむつをずらさずに下腹を容易に動かすことができる。延長力が高い弾性側パネルは、臀部上及び下腹の下での寸法の変化を小さくし、製品に張力が加わった状態で着用者に快適に保つ。この設計により装着性が改善され、漏れが少なくなり、おむつの前部の垂れ下がり、隙間の形成、巻返り及び内側への丸まり、おむつの吸収体コアの着用中の着用者上での全ての摺動/滑りを減らすことによって、着用者への快適性が改善される。本明細書中に論じられているように、図9は本発明の変形例を開示し、この変形例では、賦形された「膨張自在のぽんぽんパネル」が、好ましくは、弾性側パネルよりも小さい延長力[及び/又は高い利用できる延伸]を有し、本明細書中に論じた改善性能を提供する。
【0175】
弾性側パネル30は、横方向に延伸させたときに、長さ方向軸線に沿って差異伸長性を備えているのがよい。本明細書中で使用されている「差異伸長性」という用語は、弾性伸長特性が延伸方向にほぼ垂直に配向された軸線に沿った種々の箇所で延伸方向で計測して非均等な材料を意味するために使用される。これには、例えば、エラストマー材料の弾性率又は利用できる延伸のいずれか又は両方を変化させることが含まれる。差異の伸長性は、好ましくは、弾性側パネル内に設計され、その結果、横方向伸長性がおむつ20の端縁部64から耳フラップ88の脚縁部106まで計測して弾性側パネルの少なくとも一部に亘って長さ方向に変化する。任意の理論で括られることを望むものではないが、横方向に延伸した場合の長さ方向軸線に沿った差異の伸長性により弾性側パネルは、使用中に、維持された装着性を促し且つ胴部及び脚部での漏れを減らすように着用者の臀部の周りに固定アンカーを構成すると同時に、差異に延伸でき且つ着用者の胴部に馴染むことができる。このような形体により、臀部領域を更に大きく「膨張」させて、着用者が動いたり位置を変えたり(起立したり座ったり横たわったり)するときの着用者の身体の大きさの変化に適応することができる。変形例では、おむつ20の端縁部64と隣接した弾性側パネルの部分での減少した横方向伸長自在性の程度は、弾性胴バンド34によってとられるべき全延伸が更に大きいことを必要とし、これによって、弾性胴バンド34の局部的延伸を結果的に更に大きくし、腹部に更に柔軟にフィットする。
【0176】
差異伸長性は、多くの種々の方法で得ることができる。弾性側パネル30は多数の複合エラストマー材料を持つことができ、エラストマー材料について多数の形体をとることができ、弾性側パネルを形成するエラストマー材料又は他の材料の延長特性は非均等であるのがよい。例えば、延長力又は収縮力、延長率又は収縮率、又は他の固有の特性が変化するエラストマー材料を、多い又は少ない(可変の)横方向伸長性が弾性側パネルの一つの部分で得られ、隣接した部分では得られないように使用することによって差異伸長性を弾性側パネルの選択された隣接した部分に得ることができる。エラストマー材料は長さ、大きさ、及び形状が可変であるのがよく、これが差異伸長性を与える。弾性パネルを形成する材料の性質を変化させるための当該技術分野で周知の他の方法を使用してもよい。
【0177】
可変程度の伸長性を「歪ゼロ」の延伸積層体に与えるための特に好ましい方法及び装置は、「歪ゼロ」の延伸積層体を少なくとも一組の互いに噛み合う波形ロールに通すことである。これらの波形ロールのうちの少なくとも一方は、「歪ゼロ」の延伸積層ウェブとの接触点に沿って非均等な輪郭の波形を持っている。その結果、組をなしたロール間の通過する積層ウェブの部分は、非均等に延伸される。これは、次いで、非均等に輪郭が設けられた波形に対して実質的に垂直な方向で非均等に弾性化された「歪ゼロ」の延伸積層体をつくりだす。
【0178】
おむつ20は、好ましくは、一方の胴領域好ましくは第2胴領域58を着用者の背中の下に位置し、おむつの残りを他方の胴領域好ましくは第1胴領域56が着用者の前側に亘って位置されるように着用者の脚の間に引っ張ることによって着用者に付けられる。次いで、テープタブ92のタブ部分94を解放部分95から解放する。その後、おむつを装着する人が弾性側パネル30を着用者の周りに巻付ける。その際、タブ部分94を握ったままである。弾性側パネル30は、代表的には、着用者のサイズ及び形状と一致するように、この作業中に延長され且つ張力が加えられる。第1ファスニング構成要素112、接着剤取り付け層96がランディング部材44の第2ファスニング構成要素114に固定され、側閉鎖体を形成する。本発明の好ましい実施例では、側閉鎖体が形成されたとき、胴閉鎖体もまた自動的に形成される。即ち、胴閉鎖体は受動的に作動される。胴閉鎖体は、第1取り付け構成要素46を第2取り付け構成要素48と係合させることによって形成される。胴閉鎖体を形成することによって、代表的には、本明細書中に記載した装着及び包含上の利点を提供するように胴バンド35に予め張力を加える。
【0179】
図6A乃至Dに示すように、代表的には、本発明の胴部装置34は、着用者が座ったり、起立したり、座った後に起立したりしたときに端縁部が着用者の臍に関して同じ全体関係にあるように、着用者が座ったり、起立したり、動いたりするにつれて着用者の胴部に従って動き、着用者の胴部と形状が一致する。従って、以下の議論は、臍に関する相対移動に関する。
【0180】
図6Aに示すように、ウェストラインパネルゾーン138は着用者の胴部と接触し、最初に付けたときに閉鎖システムが弾性胴バンドに発生させた張力により胴にぴったりとフィットする。図6Bに示すように、着用者が座り始めると相互連結パネルゾーン130が第撓みヒンジゾーン132を中心に及び第2撓みヒンジゾーン134を中心に枢動し弾性胴バンドをそれが元々あった平面から外に移動させる。吸収体コアの胴縁部は、臍に向かって移動する傾向がある。図6Cに示すように、着用者が座り続けると吸収体コアは臍に向かって更に押され、この際、相互連結パネルゾーン130は、撓んで吸収体コアを中心に折畳まれる傾向がある。着用者の下腹部もまた、ウェストラインパネルゾーン138を、予め配置された胴バンド撓みヒンジゾーン140を中心に賦形パネルゾーン136に関して撓みそれるように外方に押し始める。図6Dに示すように、着用者が完全に座ると、吸収体コアは、相互連結パネルゾーン130が吸収体コアの内側部分に全体が撓んで押付けられた状態で、腹に最も大きく押し付けられる。
【0181】
賦形パネルゾーン136は、下腹部の内側部分と接触するように撓みそれ、この際、ウェストラインパネルゾーン138は、完全に押され、予め配置した弾性胴バンド撓みヒンジゾーン140を中心に撓みそれ、着用者の突出した胴部の形状と一致する。かくして、弾性胴バンドと着用者の胴部とがぴったりとフィットした状態に維持される。着用者が座った状態から起立するとき、復元力/モーメントを提供する胴バンド撓みヒンジゾーン140の弾性でプロセスが逆の順番で繰り返され、復元力/モーメントにより、ウェストラインパネルゾーン138は着用者が起立し続けるときに着用者の胴部と接触した状態に維持され、賦形パネルゾーン136及びウェストラインパネルゾーン138を胴部に対して摩擦でこれらのパネルの前の使用中の(予め張力が加わった)形体に戻し、最後に相互連結パネルゾーン130を代表的には、胴バンドと着用者の胴部との間のぴったりとした接触でほぼその元の位置まで引き上げる。幾つかの着用サイクルの後、図6Bに示す状態と同様の状態が起立中に「中立」位置になり、次いで、着用者の全てのこれ以上の動きが図6B乃Dに示すサイクルと似ている。
【0182】
図7は、本発明の弾性胴バンドについての変形例の構造を示す。弾性胴バンド535は、好ましくは歪が予め加えられているバックシート26の一部、トップシート24の一部、及びエラストマー部材76及び対面部材501からなる弾性積層体からなる。エラストマー部材76は、バックシート26と対面部材501との間に位置決めされ、トップシート24はバックシート26と弾性部材76との間に位置決めされている。弾性胴バンド635は、好ましくは、互いに接合されたトップシート24及びバックシート26でおむつを製造し、エラストマー部材76及び対面部材501からなる二層積層体を別の工程で形成し、これに続いて、二層積層体をトップシート/バックシート組み合わせのトップシート24に対面部材501が着用者の皮膚と接触するようにエラストマー部材76がトップシート24に面した状態で接合することによって形成される。この実施例では、エラストマー部材76は、好ましくは、本明細書中の上文中に記載されているように、熱収縮性エラストマー材料である。対面部材501は、好ましくは、トップシート24として使用するのに適した材料に関して上文中に記載した材料のような軟質で刺激のない材料である。対面部材501は、好ましくは、トップシート24として使用するのに好ましい不織材料と同様の不織材料である。
【0183】
図8は、本発明の弾性胴バンドの更に別の変形例の構造を示す。弾性胴バンド535は、好ましくは歪が予め加えられているバックシート26の一部、対面部材501、バックシート26と対面部材501との間に位置決めされたエラストマー部材76、バックシート26とエラストマー部材76との間に位置決めされたトップシート24の一部、及びトップシート24とエラストマー部材76との間に位置された弾性部材77からなる。弾性胴バンド535は、好ましくは、対面部材501、エラストマー部材76及び弾性部材77からなる三層積層体を形成し、次いでこれをトップシート24に固定することを除き、図7に示す実施例と同じ方法で上文中で論じた材料と同じ材料から形成される。
【0184】
図9は、本発明のおむつ及び弾性胴部装置の変形例を示す。弾性胴部装置634は、包含組立体22に撓むことができるように接合された、縁部圧縮剛性が比較的高い相互連結パネルゾーン130と、包含組立体22で相互連結パネルゾーン130に撓むことができるように接合された弾性胴バンド635である「膨張自在のぽんぽんパネル」及び相互連結パネルゾーン130で弾性胴バンド635に撓むことができるように接合された第2撓みヒンジゾーン134からなる。図9に示すように、弾性胴バンド635は、「膨張自在のぽんぽんパネル」を形成するように深い「五角形」形状を有する。弾性胴バンドは、主側閉鎖体が下腹部の動き領域の下に形成されるように長い(長さ方向寸法)。弾性胴バンド635の最も長い寸法(端縁部64から長さ方向内方に計測して)は、好ましくは、Mサイズのおむつについて、約38mm(1.5インチ)乃至約88mm(3.5インチ)であり、更に好ましくは、約50mm(2.0インチ)乃至約57mm(2.25インチ)である。この形状は、端縁部64と隣接した弾性胴バンドの部分が、端縁部64から遠方の隣接した部分よりも伸長自在性が大きい特異な横方向伸長自在性ばかりでなく、着用者の下腹部に従って動いたり膨張したりする胴バンドを提供する。弾性胴バンド635は、賦形パネルゾーン136、ウェストラインパネルゾーン138、及び予め配置した弾性の胴バンド撓みヒンジゾーン140からなる。吸収体コア28の胴縁部83は、おむつの端縁部64(直線)とほぼ平行であり、端縁部64から長さ方向に更に遠ざけられており、深い「膨張自在のぽんぽんパネル」を構成する。Mサイズのおむつでは、吸収体コア28の胴縁部は、好ましくは、端縁部64から長さ方向に約50mm(2インチ)乃至57mm(約2.25インチ)のところに位置されている。
【0185】
図9に示すおむつの実施例は、主ファスニングシステムの変形形状のランディング部材644、バックシート26上に配置された長さ方向に長い第1取り付け構成要素646及び第1取り付け構成要素646の各々の裏に位置された横方向に幅広の位置決めパッチ650を更に有する。
【0186】
弾性胴バンド635は、好ましくは、バックシート26の一部、トップシート24の一部、トップシート24とバックシート26との間に位置されたエラストマー部材76及びバックシート26とエラストマー部材76との間に位置された弾性部材77で構成されている。エラストマー部材76は、好ましくは、エラストマーフォームからなり、弾性部材77は、本明細書中上文中に論じた不織層からなる。エラストマー部材76及び弾性部材77からなる二層積層エラストマー材料は、好ましくは、弾性胴バンド635の機械的に延伸させた縁部を越えて延び、相互連結パネルゾーン130の一部及び包含組立体22の一部を形成する。これは、二層積層エラストマー材料が、好ましくは、吸収体コア28の胴縁部83を越えて長さ方向内方に延びているためである。二層積層エラストマー材料と吸収体コア28との重なりは、相互連結パネルゾーン130を補剛し、この実施例の弾性胴バンド635が潜在的な巻返り可能性を減少させるように設計されている。好ましいMサイズのおむつでは、エラストマー材料と吸収体コアとの間の重なりは、0mm乃至約6mm(1/4インチ)である。
【0187】
弾性胴バンド635は、好ましくは、弾性胴バンドがおむつの元来の平らな状態を越えて膨張できるように、延伸積層体からなる。弾性胴バンド635は、好ましくは、エラストマー材料をトップシートとバックシートとの間に(最も好ましくは、張力が加わった状態で)固定し、(弾性側パネルに関して上文中に説明したように)弾性胴部装置の部分を弾性胴バンドを形成するのに望ましい形状に機械的に延伸することによって製造される(即ち、波形ロールの溝及びランドは弾性胴バンドの所望の五角形形状と一致する)。この延伸積層体(好ましくは機械的に延伸し、張力を予め加えた延伸積層体)により、主閉鎖システムが形成するおむつの周囲の寸法を越えて、及び端縁部64の最初の寸法を越えて(おむつ自体の平らな状態を越えて)弾性胴バンドを膨張させることができる。(即ち、弾性胴バンドは、着用者の下腹部の動きに追従するように、所定寸法の側閉鎖体の周囲寸法を越えて(おむつを最初に形成する材料の寸法さえも越えて)膨張することができる。)この膨張は、弾性胴部装置に「窓を設ける」ことによって行うことができ、或いは高める(延伸積層体について)ことができる。
【0188】
この実施例では、相互連結パネルゾーン130は比較的剛性であり、賦形パネルゾーン136及びウェストラインパネルゾーン138よりも縁部圧縮剛性が高い。この弾性胴部装置は、図6A乃至Dに示す弾性胴部装置とは異なる態様で機能する。相互連結パネルゾーン130のこの相対的な剛性は、主側閉鎖体の寸法を越えて膨張する弾性胴バンド635の性能を更に高める。相互連結パネルゾーン130は、好ましくは、トップシート24の一部、バックシート26の一部、エラストマー部材76及び弾性部材77からなるエラストマー材料の一部、及びランディング部材644の一部からなる。これは、ランディング部材644の形状が弾性胴バンド635の形状と一致するように変えてあるためである。ランディング部材は、更に、吸収体コア28の胴縁部83を越えて延び、包含組立体22の一部を形成する。ランディング部材644は、好ましくは、主側閉鎖体(主張力線)を下腹部移動領域の下(弾性胴バンドの最も下の位置)に位置決めするように主閉鎖体システムを下方にテープ付けできるようにするため、吸収体コア28の胴縁部83をはるかに越えて延びる。テープタブの頂縁部(端縁部に最も近い縁部)を端縁部から長さ方向に最も遠いところに位置し、この下方へのテープ付けを行う。好ましいMサイズのおむつでは、テープタブは、好ましくは、端縁部から長さ方向に約39mm(約1.56インチ)のところに位置される。
【0189】
弾性胴バンド635の賦形パネルゾーン136は、バックシート26の一部、トップシート24の一部、エラストマー部材76の一部、及び弾性部材77の一部からなる。ウェストラインパネルゾーン138は、トップシート24の一部、エラストマー部材76の一部、及び弾性部材77の一部からなる。ウェストラインパネルゾーン138はバックシート26の一部を含まない。これは、バックシート26の一部がこの領域でなくしてあるためである。予め配置した弾性胴バンド撓みヒンジゾーン140は、ウェストラインパネルゾーン138からバックシートをなくしたことによる構造的な不連続性(窓が設けられた弾性胴バンド)によって形成される。窓の長さは、好ましいMサイズのおむつについて、少なくとも約4.5mm(約3/16インチ)、好ましい約9mm(約3/8インチ)乃至約16mm(約5/8インチ)であり、幅が125mm(約5インチ)である。ウェストラインパネルゾーン138は、バックシートをなくした領域を中心に撓むように曲がることができ且つそれることができる。変形例では、バックシートを除く必要がなく、材料を互いに結合する結合パターンが、予め配置された弾性の胴バンド撓みヒンジゾーンを形成する。バックシートを除去した場合には、ウェストラインパネルゾーンの縁部圧縮剛性(延長力)は、賦形パネルゾーンの縁部圧縮剛性(及び延長力)以下である。賦形パネルゾーンの縁部圧縮剛性は、相互連結パネルゾーンの縁部圧縮剛性以下である。ウェストラインパネルゾーンの縁部圧縮剛性は、好ましくは、約100gramsf以下であり、更に好ましくは、約20gramsf乃至約50gramsfであり、最も好ましくは、約35gramsfであり、賦形パネルゾーンの縁部圧縮剛性は、好ましくは、ウェストラインパネルゾーンの縁部圧縮剛性以上であり、最も好ましくは、約50gramsfであるということがわかっている。胴バンド撓みヒンジゾーン、及び好ましくは弾性胴バンド全体の曲げ撓み復元力は、約20gramsf以上であり、更に好ましくは、約40gramsf乃至約80gramsfであり、最も好ましくは、約60gramsfである。
【0190】
使用された材料及び弾性胴バンドを形成する方法に基づいて、弾性胴バンドの設計された「使用中」の延びでの延長力は、各弾性側パネルの設計された「使用中」の延びでの延長力と等しいか又はこれ以下である。弾性胴バンドの延長力が弾性側パネルの延長力以下であるため、下腹部を弾性胴バンドとともに更に大きく動かすことができる。
【0191】
弾性胴バンドの利用できる延伸は、代表的には、側パネルの利用できる延伸よりも大きい。好ましいおむつについて、弾性胴バンドの約25mm(1インチ)乃至約76mm(3インチ)の延び、更に好ましくは約25mm(1インチ)乃至約50mm(2インチ)の延びでの延長力は、好ましくは、約250gramsfと等しいか又はこれ以下である。最も好ましくは、弾性胴バンドの約25mm(1インチ)乃至約76mm(3インチ)の延び、更に好ましくは約25mm(1インチ)乃至約50mm(2インチ)の延びでの延長力は、約75gramsf乃至約250gramsfである。弾性胴部装置の好ましい実施例ではバックシートのセグメントを除去してウェストラインパネルゾーンを形成したため、ウェストラインパネルゾーンの延長力は賦形パネルゾーンの延長力以下である。エラストマー圧縮剛性もまた、この窓を設けることによって変化する。ウェストラインパネルゾーンの延長力は、好ましくは、弾性胴バンドについての石器されたこれらの「使用中」の延びで約75gramsf乃至約175gramsfであり、賦形パネルゾーンの延長力は、好ましくは、これらの延びで約175gramsf乃至約225gramsfである。最も好ましくは、弾性胴バンドの延長力は、ウェストラインパネルゾーンでは50mm(2インチ)の延びで約150gramsfであり、賦形パネルゾーンでは50mm(2インチ)の延びで約200gramsfである。これは、弾性側パネルが、約6mm(0.25インチ)乃至約76mm(3インチ)の延びで約250gramsfと等しいか又はこれ以下の、最も好ましくは、約6mm(0.25インチ)乃至約19mm(0.75インチ)の伸びで約250gramsf乃至約500gramsfの延長力窓を有するのが望ましい弾性胴バンドの延長力とは対照的である。
【0192】
位置決めパッチ650は、弾性胴バンド635のエラストマー部材76の側縁部75と当接するか或いはこの側縁部を越えて延びるようにおむつに配置されている。位置決めパッチ650は、好ましくは、エラストマー部材76について使用されたのと同じエラストマーフォーム材料からなる。実際には、位置決めパッチ650は、所望であれば、エラストマー部材76の一部からなるのがよい。位置決めパッチをこのように配置することによって、第1側パネル70に追加の剛性を加え、エラストマー部材76と位置決めパッチ650との間の筋溝で第1側パネル70を折り畳み難くするとともにしっかりとした剛性パネルを提供する。Mサイズのおむつの好ましい実施例では、位置決めパッチは、エラストマー部材と0mm乃至約3.1mm(1/8インチ)重なっている。
【0193】
図9に示す実施例の第1取り付け構成要素46は、好ましくは、長さ方向に長くなっている。これは、弾性胴バンドの好ましい形状のためであり、深い弾性胴バンドの更に大きな領域に張力を予め加えるのが望ましいためであり、主ファスニングシステムを下方に固定するのが好ましいためである。Mサイズのおむつの好ましい実施例では、第1取り付け構成要素の長さは、好ましくは、約25mm(約1インチ)である。
【0194】
図10は、図9に示す弾性胴部装置の変形例を示す。第10図に示すように、吸収体コア28の胴縁部783の形状は弧状形状を有する。弧状吸収体コアは、耳部700を有し、耳部700は、弾性胴バンド735を越えて上方に延びて弾性胴バンドの一部を境界付け、弾性胴バンド735と隣接した領域を更に補剛し追加の包含を行う。
【0195】
更に別の変形例では、弾性胴バンドが、不織材料からなる弾性部材が図2に示すようにバックシートとエラストマー部材との間に配置されているのでなくトップシートとエラストマー部材との間に配置されていることを除けば図2に示す実施例と同様に形成される。
【0196】
弾性胴部装置の変形例では、ウェストキャップ装置を更に有する。このようなウェブキャップ装置は、1988年5月10日にローソンに賦与された米国特許第4,734,246号及び1990年8月21日にロバートソンが出願した米国特許出願第07/571,000号に開示されている。上記特許及び特許出願について触れたことにより、上記特許及び特許出願に開示されている内容は本明細書中に組み入れたものとする。
【0197】
ウェストキャップは、弾性胴バンドを形成するエラストマー材料又はエラストマー積層体の延長部として形成される。かくして、弾性胴部装置は、吸収体コアの胴縁部から長さ方向内方に延びるウェストキャップゾーンを更に有する。ウェストキャップゾーンは、近位縁部が胴縁部と隣接して包含組立体(好ましくはトップシート)に接合され、身体の滲出物を包含するためのチャンネルを提供するため遠位縁部を吸収体コアから(Z軸方向に)間隔を隔てることができる障壁部材からなる。
【0198】
撓み曲げ試験
撓み曲げ試験は、マサチューセッツ州カントンのインストロン社から入手できるインストロン4502型、特別な構成のTロッド及び特別な試験試料ホルダを使用する。図17に示すように、Tロッド1101は、直径が6.35mm(1/4インチ)の互いに垂直な一対の金属製ロッドからなり、好ましくは、駆動ロッド1102(長さが約125mm(約5.25インチ)の長い方のロッド)の端部には押しロッド(長さが約75mm(約3インチ)の短い方のロッド)の周囲に嵌まるようにテーパが施してあり、これら二つのロッドは、互いに、糊付け、溶接、及び/又はねじ止めされている。駆動ロッド1102の反対端は、インストロンのクロスヘッドユニットに取り付けられる。試験試料ホルダ1104は、支持ロッド1108を位置決めし支持する固定ベース1105を有する。固定ベース1105は、ベース1106及びこのベース1106上に平行に取り付けられた二つの矩形の支持体1107を有する。ベース1106及び支持体1107の各々は、好ましくは、厚さが約12.7mm(1/2インチ)乃至9.53mm(3/8インチ)のレクサン(プレキシグラス)プレートでできている。支持ロッド1108(Tロッドと同じ材料でできている長さが約150mm(約6インチ)のロッド)が、固定ベース1105の各支持体1107上に取り付けられる。支持ロッド1108は、中心間距離が16mmであるように取り付けられている。図17に示すように、Tロッド1101は、その中心を支持ロッド1108間に位置させる。
【0199】
インストロンをクロスヘッド速度が毎分20mm、チャート速度が毎分400mm、フルスケールが500gramsfに設定する。インストロンを、クロスヘッドユニットが下方及び後方に6mm移動し、チャートがクロスヘッドユニットを下方及び後方に追うように調整する。
【0200】
図18に示すように、試験されるべき試料1000は、弾性胴部装置34から、好ましくは胴バンド撓みヒンジゾーン140が試料1000の中央にくるように取り出される。しかしながら、試料によっては、胴バンド撓みヒンジゾーンが中央にこなくてもよい。試料1000の(長さ方向)長さは、最小で16mmであり、好ましくは25mmであり、又は任意の長さであり、(横方向)幅が50mmである。図17に示すように、試料1000は、胴バンド撓みヒンジゾーン140がTロッド1101の真下にくるように、支持ロッド1108上に中心がある。試料1000の外面(代表的には、バックシート側)がTロッド1101側に配置される。
【0201】
Tロッド1101は、試料1000の頂部で数g(1gramsf乃至4gramsf)の軽い予荷重が加わった状態で「ゼロ調整」される。これは、試料の反りをなくし、Tロッドと試料が良好に接触した状態にする。各試料を6mmの行程に亘って二回のサイクルで試験しサイクル間で30秒停止させる。全部で10個の試料を試験した。
【0202】
Tバーそらし力(gramsf)対Tバーそらし距離(mm)のグラフを作成する。二つのサイクルを示す試料の例示の試験を図18に示す。各サイクルについて4mm及び5mmでのそらし力が回復力曲線を決定する。4mm及び5mmでの回復撓み力を平均してサイクル回復そらし力を算出する。各試料についての両サイクルの回復そらし力の平均が試料回復そらし力を決定する。構造についての曲げ撓み回復力は、10個の試料についての試料回復そらし力の値の平均である。
【0203】
縁部圧縮剛性試験
マサチューセッツ州カントンのインストロン社から入手できるインストロン4502型、特別な試験試料ホルダ及び取り付け接着剤を使用する。図19に示すように、試料1002を25mm(1インチ)×50mm(2インチ)×1.56mm(1/16インチ)のアルミニウム製平板1300に取り付け接着剤1302で取り付ける。取り付け接着剤1302は、ニュージャージー州ベルビルのハートマン接着剤社から入手できRed-04001ダブルバブルパックとして販売されている迅速硬化エポキシである。
【0204】
インストロンには、圧縮ロードセルが設けられている。(ロードセル及びインストロンのジョーの平板を平面度及び直角度について検査しなければならない)。インストロンを、クロスヘッド速度が毎分5mm、チャート速度が毎分250mm、(必要であれば)フルスケールが100g又は500gに設定する。サイクル長は3.5mm下方及び後方であり、チャートがクロスヘッドユニットを下方及び後方に追う。
【0205】
図16に示すように、試験されるべき試料1002は、好ましくは、弾性胴部装置34からウェストラインパネルゾーン138、賦形パネルゾーン136、又は相互連結パネルゾーン130で、いずれのゾーンが試験されるかに応じて取り出される。試料1002は、長さが9mmで幅が25mmである。
【0206】
取り付け接着剤1302は、平板1300上にドクターブレードを使用して間隔を隔てられて塗布され、幅が約8.5mm(3/8インチ)で高さが0.5mm乃至0.75mm(0.020インチ乃至0.030インチ)のフットプリントをつくる。試料1002を取り付け接着剤1302に配置し、試料のいずれかの側に設けられたブロックで平板1300に対して垂直に保持する。これらのブロックは、取り付け接着剤に捉えられないように、ベースのところが削ってある。時間をおいて(約1分又はそれ以上)接着剤を硬化させた後、取り付けた試料を22.78OC(73OF)/相対湿度50%の室内に24時間放置し、取り付け接着剤を完全に硬化させる。
【0207】
取り付けられた試料を図20に示すようにインストロンのジョー1400上に配置する。試料に1gramsf乃至4gramsfの予荷重を予め加えてインストロンをゼロに調整する。各試料は、3.0mmそらしサイクルをサイクル間に30秒おいて二回行なう。五つの試料を試験する。
【0208】
圧縮力(gramsf)対圧縮変位(mm)のグラフを作成する。二つのサイクルを示す試料の例示の試験を図21に示す。試験についてのピーク力は、両サイクル中に生じた最も大きな力として計測される。五つのサイクルについてのピーク圧縮力の平均がゾーンの縁部圧縮剛性である。
【0209】
延長力試験
弾性側パネル30及び弾性胴バンド35の両方についての延長力試験は、マサチューセッツ州カントンのインストロン社から入手できるインストロン4502型を使用する。
【0210】
A.弾性側パネル
インストロンを、クロスヘッド速度が毎分100mm、チャート速度が毎分500mm、フルスケールが100gramsfに設定する。インストロンは、側パネルの所望の、要求された、即ち全弾性延びの行程を行うことができる。(側パネルの全延びが要求された上限以下である場合には、試験をこの延びで停止する。これは、非伸長性領域での延長力を斟酌しなけれなならないためである、即ち使用中の設計延び限度に到ったためである。)
試験されるべき試料は、実際のおむつに付けて計測される。標準的な75mm(3インチ)クランプを側パネルの賦勢された延伸部分の長さ方向中心線67に横方向で最も近い縁部と隣接して弾性側パネル30に取り付ける。多くの場合では、この縁部は弾性側パネル部材90の側縁部91に対応する。標準的な25mm(1インチ)クランプを弾性側パネル30の賦勢された延伸部分の反対側の縁部(代表的には、代表的には、側パネル部材90の側縁部91´)に取り付ける。25mm(1インチ)クランプは、75mm(3インチ)クランプの領域内にあり且つ弾性側パネル30と隣接して位置決めされた主ファスニングシステム38の構成要素と長さ方向に整合するように位置される。かくして、好ましい実施例では、25mm(1インチ)クランプは、固定部材42と長さ方向に整合し、そのため、インストロンが加える力は、おむつを付けたときに使用者が及ぼす力と同様である。
【0211】
各試料を、移動サイクルを通して、弾性側パネルの賦勢された弾性部分を、所望の、要求された、即ち全延びまで試験する。(試料を収縮させて収縮力を計測してもよい。)延長力(gramsf)対延び(mm)のグラフが作成される。全部で10個の試料を試験する。所与の延びでの延長力は、10個の試料についての値の平均である。
【0212】
B.弾性胴バンド
インストロンを、クロスヘッド速度が毎分100mm、チャート速度が毎分500mm、フルスケールが100gramsfに設定する。インストロンは、胴バンドの所望の、要求された、又は全弾性延びを行うことができる。(胴バンドの全延びが要求された上限以下である場合には、試験をこの延びで停止する。これは、非伸長性領域での延長力を斟酌しなけれなならないためである、即ち使用中の設計延び限度に到ったためである。)
試験されるべき試料は、弾性胴バンドから、好ましくは弾性胴バンドの上縁部に隣接して(試験されるべき特定のパネルゾーンを除き)取り出される。試料は、100mm(4インチ)幅の試料を試験するように、好ましくは、長さ(長さ方向)が25mm(1インチ)で幅(横方向)が約125mm乃至約150mmである。弾性胴バンド35又は試験されるべきパネルゾーンの長さ(長さ方向)が25mm(1インチ)以下で、25mm(1インチ)の試料を得ることができない場合には、これは好ましい状況ではないけれども、変更した大きさの試料を使用して試験を行ってもよい。試料の端部は、標準的な25mm(1インチ)クランプを使用し、クランプ間を100mm(4インチ)にしてクランプされる。(試料は、結合位置を除き非伸長性でなければならないゾーン又は領域はない。)
各試料を、移動サイクルを通して、弾性胴バンド試料を所望の、要求された即ち全延びまで試験する。(試料を収縮させて収縮力を計測してもよい。)延長力(gramsf)対延び(mm)のグラフが作成される。全部で10個の試料を試験する。全部で10個の試料を試験する。所与の延びでの延長力は、10個の試料についての値の平均である。
【0213】
本発明の特定の実施例を例示し且つ説明したが、種々の他の変形及び変更を本発明の精神及び範囲から逸脱することなく行うことができるということは当業者には明らかであろう。従って、本発明の範疇のこのような変形及び変更の全てを添付の請求の範囲でカバーしようとするものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】
本発明による使い捨ておむつの一部が切り欠いて示す平面図。
【図2】
図1の2-2線に沿った断面図。
【図3】
本発明による使い捨ておむつの歪が予め加えられている機械的延伸パターンを示すバックシート部分の平面図。
【図4】
本発明による使い捨ておむつの弾性胴部装置の要素を示す第1胴領域の概略平面図。
【図5】
図1の5-5線に沿った断面図。
【図6】
着用者が起立した位置から座った位置まで動くときの弾性胴部装置の使用中の機能の簡略化して示す図。
【図7】
本発明による使い捨ておむつの弾性胴バンドを示す図。
【図8】
本発明による使い捨ておむつの弾性胴バンドの変形例を示す図。
【図9】
本発明による使い捨ておむつのの弾性胴部装置の変形例を示す平面図。
【図10】
本発明による使い捨ておむつのの弾性胴部装置の他の変形例を示す平面図。
【図11】
噛み合う波形ロールを使用しておむつウェブの一部を機械的に延伸するための真空ウェブ拘束システムを使用する装置の概略斜視図。
【図12】
アイドラーロールを使用しておむつウェブを下側の波形ロールに巻付ける方法を示す第11図の12-12線に沿った概略図。
【図13】
おむつウェブの歪ゼロの延伸積層部分が波形ロール間を通過するときの波形ロールの噛み合いの程度を示す拡大図。
【図14】
本発明の増加延伸プロセスに使用できるウェブ拘束システムの変形例を示す概略斜視図。
【図15】
図9の上側波形ロールと下側波形ロールとを結ぶ中心線に沿った概略拡大断面図。
【図16】
本発明による使い捨ておむつの弾性胴部装置から試験試料を取り出すための位置を示す第1胴領域の概略部分拡大平面図。
【図17】
弾性胴部装置の胴バンド撓みヒンジゾーンの曲げ撓み回復力を計測するための試験装置の斜視図で。
【図18】
撓み曲げ試験の2つのサイクルのそらし力対そらし距離を示すグラフ。
【図19】
弾性胴部装置のパネルゾーンの縁部圧縮剛性を決定するための試験手順に従ってつくられた試験試料の斜視図。
【図20】
弾性胴部装置のパネルゾーンの縁部圧縮剛性を決定するため組み上げられた装置及び試験試料の概略側面図。
【図21】
縁部圧縮剛性試験の2つのサイクルの圧縮力対圧縮変位を示すグラフ。
【符号の説明】
22 包含組立体
24 トップシート
26 バックシート
28 吸収体コア
30 弾性側パネル
77 伸長自在な材料
78 エラストマー材料
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2005-04-08 
出願番号 特願2002-91028(P2002-91028)
審決分類 P 1 651・ 121- ZA (A41B)
最終処分 取消  
前審関与審査官 水野 治彦  
特許庁審判長 粟津 憲一
特許庁審判官 溝渕 良一
渡邊 豊英
登録日 2003-06-13 
登録番号 特許第3440091号(P3440091)
権利者 ザ、プロクター、エンド、ギャンブル、カンパニー
発明の名称 弾性側パネルを有する吸収体物品  
代理人 岡田 淳平  
代理人 岡田 淳平  
代理人 森 秀行  
代理人 名塚 聡  
代理人 永井 浩之  
代理人 勝沼 宏仁  
代理人 吉武 賢次  
代理人 吉武 賢次  
代理人 勝沼 宏仁  
代理人 森 秀行  
代理人 永井 浩之  
代理人 名塚 聡  

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