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審決分類 審判 判定 同一 属する(申立て不成立) A61H
管理番号 1175738
判定請求番号 判定2008-600010  
総通号数 101 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許判定公報 
発行日 2008-05-30 
種別 判定 
判定請求日 2008-02-22 
確定日 2008-04-18 
事件の表示 上記特許第2577295号の判定請求事件について、次のとおり判定する。 
結論 イ号図面に示す「回転打撃美容ロ-ラ-マッサ-ジ器」は、特許第2577295号発明の技術的範囲に属する。 
理由 1.請求の趣旨

本件判定の請求の趣旨は、イ号図面に示す「回転打撃美容ローラマッサージ器」(以下、「イ号物件」という。)が、特許第2577295号発明の技術的範囲に属しない、との判定を求めるものである。

2.本件特許発明

特許第2577295号の特許請求の範囲をみると、請求項2は請求項1を引用する従属請求項であることから、イ号物件が特許第2577295号発明の技術的範囲に属するか否かは、イ号物件が特許第2577295号の請求項1に係る発明(以下、「本件特許発明」という。)に属するか否かによって判断する。
そして、本件特許発明は、願書に添付された明細書及び図面(以下、「特許明細書」という。)の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定されるとおりのものであり、その構成要件を分説すると、次のとおりである。

A 身体のゼイ肉部をローリングし、酸化脂質等を除去して痩身のボディを 作り上げるための美容マッサージ器であって、
B 中空円筒体のローラと、
C その両側の開放端に着脱可能に装着されるキャップと、
D 該キャップを介して前記ローラを枢支する把持具を備え、
E 前記ローラの外周側にはその円周方向に沿って等間隔に複数板のプレー トが外周に接して係着されることを特徴とする
F 回転打撃美容ローラーマッサージ器。

3.イ号物件

判定請求書並びにそれに添付のイ号図面及びイ号写真の各記載内容を参酌すると、イ号物件は次のa?fの構成からなるものと認められる。

a 身体のゼイ肉部をローリングし、酸化脂質等を除去して痩身のボディを 作り上げるための美容マッサージ器1であって、
b 中空円筒体のローラ10と、
c 筒状軸体の内部に球状トルマリンを封入すると共にその両端側に凸状小 径部2a、2bを一体に有し、該ローラ10へ挿脱可能に収納される支 持軸2と、
d 該支持軸2を介して前記ローラ10を軸支する把持具5を備え、
e 前記ローラ10の外周側にはその円周方向に沿って等間隔に複数板のプ レート3が外周に接して係着される
f 回転打撃美容ローラーマッサージ器1。

4.対比・判断

(1)イ号物件が本件特許発明の構成要件A?Fを充足するか否かについて

(ア)構成要件A、B、E、Fについて
イ号物件の「美容マッサージ器1」、「中空円筒体のローラ10」、「プレート3」、「回転打撃美容ローラーマッサージ器1」は、それぞれ、本件特許発明の「美容マッサージ器」、「中空円筒体のローラ」、「プレート」、「回転打撃美容ローラーマッサージ器」に相当する。
したがって、イ号物件の構成要件a、b、e、fは、それぞれ、本件特許発明の構成要件A、B、E、Fを文言上充足する。
(イ)構成要件C、Dについて
イ号物件の「軸支する」、「把持具5」は、それぞれ、本件特許発明の「枢支する」、「把持具」に相当する。
しかしながら、本件特許発明は、「中空円筒体のローラ」の「両側の開放端に着脱可能に装着されるキャップ」を備え、「該キャップを介して前記ローラ」が「把持具」に「枢支」されるのに対し、イ号物件においては、「ローラ10へ挿脱可能に収納される支持軸2」が「筒状軸体の内部に球状トルマリンを封入すると共にその両端側に凸状小径部2a、2bを一体に有し」ており、「該支持軸2を介して前記ローラ10」が「把持具5(把持具)」に「軸支(枢支)」されている。
したがって、イ号物件の構成要件c,dは、それぞれ、本件特許発明の構成要件C、Dを文言上充足しない。

(2)上記本件特許発明のイ号物件と異なる部分が均等であるか否かについて

最高裁平成6年(オ)第1083号判決(平成10年2月24日)は、特許請求の範囲に記載された構成中に対象製品等と異なる部分が存在する場合であっても、以下の5つの要件を満たす場合には、特許請求の範囲に記載された構成と均等なものとして、対象製品等は特許発明の技術的範囲に属するものとするのが相当であると判示している。

・異なる部分が特許発明の本質的部分ではなく(第1要件)、
・異なる部分を対象製品等に置き換えても、特許発明の目的を達成すること ができ、同一の作用効果を奏するものであって(第2要件)、
・右のように置き換えることに、当業者が対象製品等の製造等の時点におい て容易に想到することができたものであり(第3要件)、
・対象製品等が、特許発明の特許出願時における公知技術と同一又は当業者 が公知技術から出願時に容易に推考できたものではなく(第4要件)、
かつ、
・対象製品等が、特許発明の特許出願手続において特許請求の範囲から意識 的に除外されたものに当たるなどの特段の事情もない(第5要件)。

そこで、イ号物件の構成要件c,dと本件特許発明の構成要件C、Dとが、上記第1?5要件を満たすか否かについて、以下に検討する。

(ア)第1要件について
本件の特許明細書(甲第1号証)には、発明が解決しようとする課題として、「・・・(略)・・・身体に適宜の刺激を与える手段として、図9に示す横断面三角形状のローラ15を皮膚面14に当てながらローリングするものや、図10に示すように横断面円状のローラ16を皮膚面14に沿って転がすものが考えられる。しかしながら、ローラ15を中心O_(2)まわりに回転し、三角形状の頂点が皮膚面14に達した場合には大きな押圧力が集中的に作用して皮膚面14をいためる。また、頂点以外の部分による押圧力は小さく、頂点と極端に差が生じ美容マッサージ器としては適当ではない。一方、ローラ16を中心O_(3)まわりに回転する場合には皮膚面14への損傷はないが、打撃エネルギーが不足するため静電気の吸着効果が低く美容マッサージ器のローラとしては適当ではない。」(段落【0003】)と記載され、また、発明の効果として、「(1)本発明の美容マッサージ器は皮膚面に適度な押圧力と共鳴振動を与えるように形成されるため、ゼイ肉部のマイナス静電気を刺激して体外に放電することが出来る。それにより、ゼイ肉部の脂肪が除去され、痩身のボディを形成することが出来る。(2)ローラの外周に等間隔にプレートを配置することにより、三角形状のローラのような極端な刺激エネルギーが発生せず、皮膚面を痛めることがない。また、丸形のローラのように押圧力が不足することがなく適宜の刺激を与えることが出来る。・・・(略)・・・」(段落【0020】)と記載されており、上記記載事項によれば、本件特許発明は、従来の横断面三角形状或いは円状のローラを使用した美容マッサージ器のもつ皮膚面損傷や打撃エネルギー不足といった技術課題を解決するために、ローラの外周側にその円周方向に沿って複数のプレートを等間隔に配置するという構成を採用したものといえる。
一方、中空円筒体のローラの両側の開放端に着脱自在に装着されるキャップ及びローラ内に充填される液体については、「ローラ2の両側端の開口部にはキャップ4,4が装着される。キャップ4,4はローラ2の開口部に嵌まり込む円筒部4a,4aとそれから外方に向かって突出する突出円筒部4b,4bからなる。なお、キャップ4,4の一方側はローラ2に嵌着されるが、他方側はローラ2内部に後に説明する液体を投入するために着脱可能に形成されることが望ましい。・・・(略)・・・」(段落【0010】)、「・・・(略)・・・なお、前記液体を使用しない場合には小孔7をローラ2に穿孔する必要は勿論ない。ローラ2内に充填される前記液体はローラ2と皮膚間のすべりをよくすると共に、ゼイ肉部の静電気の吸着に機能し得るものがよく、例えば、100g水+50g塩等からなる塩水や、クリーム,石鹸水,オイル等が採用される。これ等の液体は前記したようにローラ2に着脱可能に装着される側のキャップ4を取り外して注入される。」(段落【0015】)、「・・・(略)・・・一方、前記したように塩水等の液を併用したり、美容塩内に漬かりながら本実施例のローリングを行うことにより更に一層の痩身効果を上げることが出来る。」(段落【0018】)と記載されており、これらの記載事項を参酌すれば、ローラ内への液体の充填は、更に一層の痩身効果を上げるためのものであって付加的に行われる事項にすぎず、したがって、ローラ内に液体を投入するために該ローラの両側の開放端に着脱可能に装着されるキャップは、上記「従来の横断面三角形状或いは円状のローラを使用した美容マッサージ器のもつ皮膚面損傷や打撃エネルギー不足」という技術課題の解決に必須のものとはいえない。
以上により、本件特許発明は、構成要件Eによって発明が解決しようとする課題を解決しているといえ、本件特許発明の本質的な部分は、上記構成要件Eであって構成要件C、Dではないとするのが相当である。
そうすると、本件特許発明のイ号物件と異なる部分は、均等であるといえるための第1要件を満たしているといえる。

(イ)第2要件について
上述したように、本件特許発明は、ローラの外周側にその円周方向に沿って複数のプレートを等間隔に配置するという構成を採用することにより、発明が解決しようとする課題を解決するものであるから、ローラが具体的にどのような構成により把持具に枢支されるかは、上記課題の解決に何らの影響を及ぼす事項ではない。
してみれば、ローラ等の回転部材を把持具に枢支する手段に関し、本件特許発明における「ローラ」及び「その両端の開放端に着脱可能に装着されるキャップ」からなる構成を、イ号物件のような「ローラ10」及び「両端側に凸状小径部2a、2bを一体に有し、ローラ10へ挿脱可能に収納される支持軸2」からなる構成に置き換えたとしても、上記本件特許発明の技術課題が達成できることに相違はなく、イ号物件は、ローラ等を回転自在に把持具に支持するという本件特許発明と同一の作用効果を奏するものであることは明らかである。

(ウ)第3要件について
一般に、ローラ等の回転部材を備えた健康・美容等のためのマッサージ器具において、回転部材の両端側にこれと一体化した凸部を設け、該凸部を介して回転部材を保持体に枢支することは、例えば、実願昭55-101336号(実開昭57-26237号)のマイクロフィルム、昭和13年実用新案出願公告第16674号公報、昭和6年実用新案出願公告第6047号公報、等にも開示されるように本件特許出願前において周知の技術にすぎない。
また、回転部材の具体的構成に関し、該回転部材を、本件特許発明の「ローラ」のように一部材のみで構成するか、或いは、イ号物件の「ローラ10」及び「支持軸2」のように外側部材とそれに収納される軸体との二部材で構成するか等は、当業者が適宜選択し得る技術的事項というべきである。
してみると、回転部材及び該回転部材を把持具に枢支する構成に関して、本件特許発明における「ローラ」及び「その両端の開放端に着脱可能に装着されるキャップ」からなる構成を、イ号物件のような「ローラ10」及び「両端側に凸状小径部2a、2bを一体に有し、ローラ10へ挿脱可能に収納される支持軸2」からなる構成に置き換えることは、本件特許発明の属する技術分野における当業者が、イ号物件の製造等の時点において容易に想到することができたものといわざるを得ない。

(エ)第4要件について
ところで、本件特許の出願経過においては、拒絶理由が通知されていないので、本件特許公報の参考文献として掲載された次のものを、本件特許の出願時の公知技術として参酌することとする。

(参考文献)
・実開昭54-175899号公報(以下、「参考文献1」という。)
・実開昭54-21490公報(以下、「参考文献2」という。)
・実開平5-63539公報(以下、「参考文献3」という。)

参考文献1は、複数の圧接子を回転自在に支持した複数のコ字形をなす支持部材を、ロールの周面に該ロールの軸方向と平行して設けたあんま器を開示する。
参考文献2は、列設した突起の各列間に他のそれぞれの突起が前記突起間へ綾に位置するように列設するとともに、それぞれの各列設突起の列方向先端を連ねる線が凹弧状をなすように構設したローラ本体を、把柄もしくは連結具に取着すべき支持具に回転自在に装着した突起ローラー押圧マッサージ器を開示する。
参考文献3は、寝台と、ローラと、このローラを支持する支持部材とを備え、前記ローラは、略中央部の径を小さくしたシャフトと、このシャフトに対して複数個取り付けられた略弓状の弾性部材とで構成されたものであるマッサージ装置を開示する。

そして、上記参考文献1?3のいずれにも、上記「(ア)第1要件について」で指摘したところの、「従来の横断面三角形状或いは円状のローラを使用した美容マッサージ器のもつ皮膚面損傷や打撃エネルギー不足」といった技術課題を「ローラの外周側にその円周方向に沿って複数のプレートを等間隔に配置する」という構成を採用することにより達成できることを、開示ないし示唆する記載を見つけることはできない。いいかえれば、上記参考文献1?3からは、本件特許発明の本質的部分である構成要件Eに対応するイ号物件の構成eを、開示ないし示唆する記載を見いだすことはできない。
したがって、イ号物件は、本件特許発明の特許出願時における公知技術と同一であるとも、また、当業者がこれら公知技術からその出願時に容易に推考できたものであるともいうことはできない。

なお、判定請求人は、判定請求書(第16ページ第8?14行参照)において、イ号物件は、本件特許出願時の公知技術である甲第5号証に記載の美容ローラーマッサージ器と同一ないし当業者がこれから本件特許出願時に容易に推考できたものであることは明白であるから、均等の第4要件は満たされない旨主張している。しかしながら、甲第5号証においては、フィットネスクラブ「レマン フィットネス スタジオ」の池袋ホテルメトロポリタン店が昭和60年6月2日にオープンすること、及び、当該オープン記念にローラーマッサージ器を頒布する旨を知らしめる広告文書が示されていることは確認できるものの、当該広告文書の頒布の真偽や、頒布されたならばその日付等を特定することはできず、また、同号証に示される写真等をみても、上記ローラーマッサージ器の構成を正確に把握することはできない。したがって、上記判定請求人の主張は採用し得ないものである。

(オ)第5要件について
本件特許の出願経過を参酌すると、上記「(エ)第4要件について」においても述べたとおり、その審査請求から特許査定に至る間において、拒絶理由が通知される等の事実は何ら存在せず、イ号物件のような構成を採用することが、その特許出願手続において特許請求の範囲から意識的に除外されたものに当たるなどの特段の事情を見いだすことはできない。

以上のとおり、均等の判断にあたっての上記第1?5要件は全て満たされるから、イ号物件の構成要件c,dは、本件特許発明の構成要件C、Dと均等なものということができ、したがって、イ号物件の構成要件c,dは、本件特許発明の構成要件C、Dを充足するものといえる。

5.むすび

以上のとおり、イ号物件は、本件発明の構成要件A?Fの全てを充足するから、本件発明の技術的範囲に属する。

よって、結論のとおり判定する。
 
別掲
 
判定日 2008-04-08 
出願番号 特願平4-357913
審決分類 P 1 2・ 1- YB (A61H)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 稲積 義登  
特許庁審判長 阿部 寛
特許庁審判官 蓮井 雅之
鏡 宣宏
登録日 1996-11-07 
登録番号 特許第2577295号(P2577295)
発明の名称 回転打撃美容ロ-ラ-マッサ-ジ器  
代理人 樋口 盛之助  
代理人 原 慎一郎  
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