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この審決には、下記の判例・審決が関連していると思われます。
審判番号(事件番号) データベース 権利
無効2010800166 審決 特許
無効2007800080 審決 特許
無効200335136 審決 特許
無効200335239 審決 特許
無効200480218 審決 特許

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審決分類 審判 全部無効 特36条4項詳細な説明の記載不備  A61K
審判 全部無効 2項進歩性  A61K
審判 全部無効 ただし書き3号明りょうでない記載の釈明  A61K
審判 全部無効 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  A61K
審判 全部無効 1項3号刊行物記載  A61K
審判 全部無効 (特120条の4,3項)(平成8年1月1日以降)  A61K
審判 全部無効 特120条の4、2項訂正請求(平成8年1月1日以降)  A61K
審判 全部無効 ただし書き1号特許請求の範囲の減縮  A61K
管理番号 1176136
審判番号 無効2007-800001  
総通号数 102 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2008-06-27 
種別 無効の審決 
審判請求日 2007-01-04 
確定日 2008-02-27 
訂正明細書 有 
事件の表示 上記当事者間の特許第3747053号発明「皮膚外用剤及びそれを用いた美白剤の浸透方法」の特許無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 訂正を認める。 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。 
理由 1.手続の経緯

(1)本件特許第3747053号の請求項1?7に係る発明についての特許は、平成17年7月12日に出願され、平成17年12月2日にその発明について特許の設定登録がされたものである。

(2)これに対して、請求人は、「特許第3747053号の請求項1?7に係る発明についての特許を無効とする。審判費用は請求人の負担とする。」との審決を求め、甲第1?8号証を提出し、本件特許の請求項1?7に係る発明は、特許法第29条第1項第3号に規定する発明に該当し、また、請求項1?7に係る発明の特許は、同条第2項、第36条第4項、第6項第1号第2号の規定に違反してなされたものであり、無効とすべきであると主張した。

(3)被請求人は、「本件審判の請求は成り立たない。審判費用は請求人の負担とする。」との審決を求め、上記請求人の主張する無効理由は、いずれも理由がない旨主張するとともに、平成19年3月26日に訂正請求書を提出して訂正を求めた。これに対し、請求人は、平成19年5月21日に弁駁書、及び証拠方法として甲第9?15号証を提出して、同弁駁書において、訂正後の請求項1?6に係る発明の特許は、特許法第29条第2項、及び第36条第6項第2号の規定に違反してなされたものである旨の無効理由を追加する補正をなし、この補正は、平成19年9月11日に行われた第1回口頭審理において許可された。なお、請求人は、口頭審理に先立ち、平成19年8月10日に審尋に対する回答書、平成19年9月11日に口頭審理陳述要領書、及び証拠方法として甲第16?18号証を提出した。また、請求人は、同口頭審理において、被請求人が平成19年3月26日付けで提出した訂正請求書に記載された内容の訂正が認められることを前提として、平成19年1月4日付けで提出した審判請求書に記載された無効の理由のうち、無効理由1、2、3、7(ウ)を取り下げる旨陳述した。被請求人は、平成19年9月26日に再度、訂正請求書を提出し訂正を求めた。このため、平成19年3月26日に提出された訂正請求は特許法第134条の2第4項の規定により取り下げられたものとみなす。

(4)請求人は、平成19年10月19日に弁駁書、及び証拠方法として甲第19号証を提出した。
他方、被請求人は、本件特許は特許法第36条第6項第2号に違反して特許されたとの請求人の主張に対して、乙第1?4号証を提出した。

2.訂正事項

平成19年9月26日に提出された訂正請求の内容は、本件特許の設定登録時の特許請求の範囲(以下、「特許請求の範囲」という。)、明細書(以下、「特許明細書」という。)を、各々、同訂正請求書に添付した特許請求の範囲(以下、「訂正特許請求の範囲」という。)、明細書(以下、「訂正明細書」という。)のとおりに訂正しようとするものである。
すなわち、以下の特許請求の範囲
「【請求項1】
美白剤と、
アシル酸性アミノ酸塩と、
炭素数18以上の高級アルコール、並びに、炭素数18以上の高級脂肪酸及びその塩からなる群より選択される少なくとも一種と、
総炭素数34以上のエステル油と、
を含有し、
前記総炭素数34以上のエステル油が、ホホバ油、ホホバエステル、メドウフォーム油、及び、シア脂からなる群より選択される少なくとも一種であり、
前記総炭素数34以上のエステル油の含有量が1質量%以上であることを特徴とする皮膚外用剤。
【請求項2】
前記美白剤が、水溶性アスコルビン酸誘導体、ハイドロキノン配糖体、クチナシ属植物の抽出物、並びに、γ-オリザノール及びその誘導体からなる群より選択される少なくとも一種であることを特徴とする請求項1に記載の皮膚外用剤。
【請求項3】
前記アシル酸性アミノ酸塩が、炭素数14以上のアシル基を有する、グルタミン酸と、ナトリウム、カリウム、及び、トリエタノールアミンからなる群より選択される少なくとも一種との塩であることを特徴とする請求項1又は2に記載の皮膚外用剤。
【請求項4】
前記炭素数18以上の高級アルコールが、ベヘニルアルコール、2-オクチルドデカノール、イソステアリルアルコール、オレイルアルコール、2-ヘキシルデカノール、及び、ホホバアルコールからなる群より選択される少なくとも一種であることを特徴とする請求項1?3のうちのいずれか一項に記載の皮膚外用剤。
【請求項5】
前記炭素数18以上の高級脂肪酸が、ステアリン酸、ベヘン酸、オレイン酸、イソステアリン酸、12-ヒドロキシステアリン酸、及び、ウンデシレン酸からなる群より選択される少なくとも一種であることを特徴とする請求項1?4のうちのいずれか一項に記載の皮膚外用剤。
【請求項6】
前記美白剤の含有量が0.1?20質量%であり、前記アシル酸性アミノ酸塩の含有量が0.01?2.0質量%であることを特徴とする請求項1?5のうちのいずれか一項に記載の皮膚外用剤。
【請求項7】
請求項1?6のうちのいずれか一項に記載の皮膚外用剤を使用して、前記美白剤を皮膚の角質層に浸透させることを特徴とする美白剤の浸透方法。」

を、下記の訂正特許請求の範囲のとおり訂正するとともに、当該訂正に対応する明細書及び図面の記載事項を合わせて訂正することを求めるものである。
「【請求項1】
美白剤として、水に溶かして配合される水溶性アスコルビン酸誘導体を0.5質量%以上と、
アシル酸性アミノ酸塩と、
炭素数18以上の高級アルコール、並びに、炭素数18以上の高級脂肪酸及びその塩からなる群より選択される少なくとも一種と、
総炭素数34以上のエステル油と、
を含有し、
前記総炭素数34以上のエステル油が、ホホバ油、ホホバエステル、メドウフォーム油、及び、シア脂からなる群より選択される少なくとも一種であり、
前記総炭素数34以上のエステル油の含有量が1.5質量%以上であることを特徴とする皮膚外用剤(ただし、微生物由来のリポペプチド類を含むものと低分子ベタインを含むものとを除く)。
【請求項2】
前記アシル酸性アミノ酸塩が、炭素数14以上のアシル基を有する、グルタミン酸と、ナトリウム、カリウム、及び、トリエタノールアミンからなる群より選択される少なくとも一種との塩であることを特徴とする請求項1に記載の皮膚外用剤。
【請求項3】
前記炭素数18以上の高級アルコールが、ベヘニルアルコール、2-オクチルドデカノール、イソステアリルアルコール、オレイルアルコール、及び、ホホバアルコールからなる群より選択される少なくとも一種であることを特徴とする請求項1又は2のうちのいずれか一項に記載の皮膚外用剤。
【請求項4】
前記炭素数18以上の高級脂肪酸が、ステアリン酸、ベヘン酸、オレイン酸、イソステアリン酸、及び、12-ヒドロキシステアリン酸、からなる群より選択される少なくとも一種であることを特徴とする請求項1?3のうちのいずれか一項に記載の皮膚外用剤。
【請求項5】
前記美白剤の含有量が0.5?20質量%であり、前記アシル酸性アミノ酸塩の含有量が0.01?2.0質量%であることを特徴とする請求項1?4のうちのいずれか一項に記載の皮膚外用剤。
【請求項6】
請求項1?5のうちのいずれか一項に記載の皮膚外用剤を使用して、前記美白剤を皮膚の角質層に浸透させることを特徴とする美白剤の浸透方法。」

3.訂正の可否に対する判断
(1)特許請求の範囲の訂正について
(1)-1 「特許請求の範囲」の請求項1の訂正について
この訂正は、
ア.「美白剤」を「美白剤として、水に溶かして配合される水溶性アスコルビン酸誘導体を0.5質量%以上」と、
イ.「前記総炭素数34以上のエステル油の含有量が1質量%以上」を「前記総炭素数34以上のエステル油の含有量が1.5質量%以上」と、
ウ.「皮膚外用剤」を「皮膚外用剤(ただし、微生物由来のリポペプチド類を含むものと低分子ベタインを含むものとを除く)。」と
することを求めるものである。

ア.について
「美白剤」を「美白剤として、水に溶かして配合される水溶性アスコルビン酸誘導体を0.5質量%以上」とする訂正は、美白剤を、その種類、含有量、使用の態様で限定するものであり、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
「特許明細書」には、「美白剤」として水溶性アスコルビン酸誘導体を用いることが請求項2に記載されており、また、その含有量についても皮膚含有量の全質量を基準として0.5?20質量%であることがより好ましいことが段落0078に記載されている。
そして、段落0096には、実施例として、成分(13)を成分(14)の一部に溶解して美白剤含有成分を作製することが記載されており、ここに、成分(13)がアスコルビン酸リン酸エステルマグネシウム塩、成分(14)が精製水、の意であることは表1から明らかであり、また、実施例1?6に具体的にアスコルビン酸リン酸エステルマグネシウム塩を含有してなる皮膚外用剤が記載されている。そして、このアスコルビン酸リン酸エステルマグネシウム塩が水に溶かして配合されていることは上記調製方法から明らかであるし、また、それが水溶性化合物であるものと認識されていることも、蔵多淑子ら編 「化粧品原料辞典」 第532頁 リン酸L-アスコルビルマグネシウム、の項 日光ケミカルズ株式会社 日本サーファクタント工業株式会社 東色ピグメント株式会社 平成3年11月29日発行 の記載から明らかであるから、この訂正は、願書に添付した明細書に記載した事項の範囲内においてするものであり、また、特許請求の範囲を実質上拡張又は変更するものでもないことは明らかである。

イ.について
総炭素数34以上のエステル油の含有量について、当該エステル油であるホホバ油を1.5質量%配合してなる実施例6の具体的記載に基づいて、「1質量%以上」を「1.5質量%以上」と、その含有量の下限値を引き上げることは、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、願書に添付した明細書に記載した事項の範囲内においてするものであり、特許請求の範囲を実質上拡張又は変更するものでもない。

ウ.について
「皮膚外用剤」を「皮膚外用剤(ただし、微生物由来のリポペプチド類を含むものと低分子ベタインを含むものとを除く)。」とする訂正は、特許明細書の請求項1に係る発明に上記二成分を配合しない、という限定を付するものであり、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
そして、本件「特許明細書」の請求項1に係る発明は、同請求項に記載された各成分を含む皮膚外用剤であって、他の成分を含みうるものであり、先行技術との差異を明らかにするため、先行技術において必須の成分である微生物由来のリポペプチド類、あるいは低分子ベタインを含むものを除く、とするこの訂正は、願書に添付した明細書に記載した事項の範囲内においてするものであり、特許請求の範囲を実質上拡張又は変更するものでもない。

(1)-2 「特許請求の範囲」の請求項2の訂正について
この訂正は、「特許請求の範囲」の請求項2を削除することを求めるものである。これは、特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正であり、願書に添付した明細書に記載した事項の範囲内においてするものであり、特許請求の範囲を実質上拡張又は変更するものでもない。
そして、この訂正に伴い、「特許請求の範囲」の請求項3?7を、各々、「訂正特許請求の範囲」の請求項2?6に訂正することを求めているが、これらは、明りょうでない記載の釈明を目的とするものであって、願書に添付した明細書に記載した事項の範囲内においてするものであり、特許請求の範囲を実質上拡張又は変更するものでもない。

(1)-3 「特許請求の範囲」の請求項3の訂正について
この訂正は、「特許請求の範囲」の請求項2を削除したことに付随して、引用請求項の一部を削除することを求めるものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正であり、願書に添付した明細書に記載した事項の範囲内においてするものであり、特許請求の範囲を実質上拡張又は変更するものでもない。

(1)-4 「特許請求の範囲」の請求項4の訂正について
ア.2-ヘキシルデカノールを削除する訂正について
「2-ヘキシルデカノール」は、炭素数18以上の高級アルコールの例として記載された化合物であることは、同請求項の記載から明らかである。
しかし、「2-ヘキシルデカノール」が、炭素数16のアルコールであることは自明の事実であり、「2-ヘキシルデカノール」が炭素数18以上の高級アルコールの例示であるとの同請求項の記載は同請求項に係る発明を不明りょうにするものであって適切でなく、そのような記載を削除するこの訂正は、明りょうでない記載の釈明を目的とするものであり、また、願書に添付した明細書に記載した事項の範囲内においてするものであり、特許請求の範囲を実質上拡張又は変更するものでもない。

イ.「請求項1?3」を「請求項1又は2」とする訂正について
この訂正は、引用請求項の一部を削除することを求めるものであり、上記(1)-3に記したとおりである。

(1)-5 「特許請求の範囲」の請求項5の訂正について
ア.ウンデシレン酸を削除する訂正について
「ウンデシレン酸」は、炭素数18以上の高級脂肪酸の例として記載された化合物であることは、同請求項の記載から明らかである。
しかし、「ウンデシレン酸」が、炭素数11の脂肪酸であることは自明の事実であり、「ウンデシレン酸」が炭素数18以上の高級脂肪酸の例示であるとの同請求項の記載は同請求項に係る発明を不明りょうにするものであって適切でなく、そのような記載を削除するこの訂正は、明りょうでない記載の釈明を目的とするものであり、また、願書に添付した明細書に記載した事項の範囲内においてするものであり、特許請求の範囲を実質上拡張又は変更するものでもない。

イ.「請求項1?4」を「請求項1?3」とする訂正について
この訂正は、引用請求項の一部を削除することを求めるものであり、上記(1)-3に記したとおりである。

(1)-6 「特許請求の範囲」の請求項6の訂正について
ア.「前記美白剤の含有量が0.1?20質量%」を「前記美白剤の含有量が0.5?20質量%」とする訂正について
「美白剤」としての水溶性アスコルビン酸誘導体の美白成分としての含有量について、本件「特許明細書」には、(1)-1に記したとおり、皮膚含有量の全質量を基準として0.5?20質量%であることがより好ましい(段落0078)と記載されており、その下限値を当該記載に基づいて、0.1質量%から0.5質量%に引き上げるこの訂正は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、願書に添付した明細書に記載した事項の範囲内においてするものであり、特許請求の範囲を実質上拡張又は変更するものでもない。

イ.「請求項1?5」を「請求項1?4」とする訂正について
この訂正は、引用請求項の一部を削除することを求めるものであり、上記(1)-3に記したとおりである。

(1)-7 「特許請求の範囲」の請求項7の訂正について
この訂正は、「請求項1?6」を「請求項1?5」と、引用請求項の一部を削除することを求めるものであり、上記(1)-3に記したとおりである。

(2)「特許明細書」の訂正について
「特許明細書」の訂正は、いずれも、「特許請求の範囲」の訂正に伴い、対応する明細書及び図面の記載を訂正することを求めるものである。
「特許請求の範囲」の訂正については、上記(1)記載のとおりであるから、「特許明細書」の訂正は、願書に添付した明細書に記載した事項の範囲内においてするものであり、特許請求の範囲を実質上拡張又は変更するものでもない。

(3)したがって、平成19年9月26日付けの訂正は、特許法第134条の2第1項第1号乃至第3号に掲げる事項を目的とし、かつ、同条第5項の規定によって準用する特許法第126条第3項及び第4項の規定に適合するので、当該訂正を認める。

4.請求人の主張

請求人は、1.(3)に記したとおり、平成19年9月11日に行われた口頭審理において、被請求人が提出した、平成19年3月26日付け訂正請求(以下、「訂正請求1」という。)の訂正請求書に記載された内容の訂正が認められることを前提として、平成19年1月4日付け審判請求書に記載された無効理由のうち、無効理由1、2、3、7(ウ)を取り下げる旨陳述した。その後、被請求人は、平成19年9月26日付けで新たな訂正請求(以下「訂正請求2」という。)をしたので、特許法第134条の2第4項の規定により訂正請求1は取り下げられたものとみなされた。訂正請求2は、訂正請求1が請求項1の炭素数18以上の高級脂肪酸の定義について、「ただし、イソステアリン酸を除く」との条件を付していたが、この条件が削除された以外は訂正請求1の訂正請求書に記載された内容を含むものである。
そして、上記3.のとおり、訂正請求2は認められた。したがって、無効理由2、3、7(ウ)は、取り下げされたものとして審理する。なお、請求人は、平成19年11月30日付けで無効理由2、3、7(ウ)の取り下げを確認し、さらに、無効理由5(イ)、6(イ)についても取り下げる旨の文書を提出した。
そうすると、請求人が主張する無効理由、及び証拠方法は以下のとおりである。
なお、以下にあっては、請求人が平成19年1月4日に提出した審判請求書中の請求項3?7は、上記のとおり、請求項2が削除される訂正がなされたので、順に番号を繰り上げ、請求項2?6と読み替えて検討する。また、以下、「訂正特許請求の範囲」の請求項1?6に係る発明を、各々「本件特許発明1」?「本件特許発明6」という。

<無効理由>
A-1 本件特許発明1?6は、甲第1号証に記載された発明であるから、当該特許は、特許法第29条第1項第3号の規定により特許を受けることができないものである。
A-2 本件特許発明1、2、6は、甲第4号証に記載された発明であるから、当該特許は、特許法第29条第1項第3号の規定により特許を受けることができないものである。
B-1 本件特許発明1?6は、甲第1号証に記載された発明及び技術常識に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり、当該特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
B-2 本件特許発明1?6は、甲第4号証に記載された発明及び技術常識に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり、当該特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
C-1 本件特許発明1?6に係る皮膚外用剤は、「美白剤」を含有するものであり、そのような美白剤として、明細書には、多種多様な美白剤が記載されているが、それらすべてが、本件特許発明1?6の目的である「水溶性アスコルビン酸誘導体のような親水性薬剤をはじめとする美白剤の経皮吸収性を飛躍的に高めることができる」(段落0009)との効果が具体的に確認されたアスコルビン酸リン酸エステルマグネシウム塩及びナトリウム塩と同等の効果を奏すると推認することができず、実施例で用いられた美白剤以外の美白剤を含む皮膚外用剤についてまで当業者が実施することができる程度に明確かつ十分に記載されているとは認められないし、また、明細書に記載されたものであるともいえないので、本件特許は特許法第36条第4項、第6項第1号に違反してなされたものである。
C-2 本件特許発明1?6においては、皮膚外用剤に含まれる成分の配合量、もしくは割合について、下限値のみが規定されるか、もしくはなんらの規定もなされておらず、当該発明は明確でないので、本件特許は特許法第36条第6項第2号に違反してなされたものである。
C-3 本件特許発明1?6に係る皮膚外用剤は、「水に溶かして配合される水溶性アスコルビン酸誘導体」を含有するものである。
しかし、アスコルビン酸誘導体には、水溶性でありかつ油溶性である両親媒性のものも存在するし、水溶性であっても油溶性誘導体として分類されるものも存在する等、水溶性、油溶性といった概念は、判断主体や、その判断の基準によって左右される相対的なものに過ぎず、また、水溶性の程度も不明である。そして、上記両親媒性アスコルビン酸誘導体をはじめとして、如何なるアスコルビン酸が、「水に溶かして配合される水溶性アスコルビン酸誘導体」に該当し、また該当しないのかについて明細書中に記載はないのであって、当業者といえどもその技術的範囲を把握することができるものではない。よって、本件特許発明1?6は明確でないので、本件特許は特許法第36条第6項第2号に違反してなされたものである。
C-4 本件特許発明1?6は、「前記美白剤の経皮吸収が促進された」ものである。
しかし、当該規定は、比較の基準又は程度が不明確な表現であり、当該用語によって表される本件特許発明1?6は明確でないので、本件特許は特許法第36条第6項第2号に違反してなされたものである。

<請求人が提出した証拠方法>
甲第1号証:特開2003-277220号公報
甲第2号証:特開2001-335411号公報
甲第3号証:特開2002-47132号公報
甲第4号証:特開2001-89321号公報
甲第5号証:化粧品原料基準第二版注解 日本公定書協会編 株式会社薬事日報社 1984年発行
その1:「ヘキシルデカノール」 915?918頁
その2:「グリチルリチン酸ジカリウム」 344?347頁
その3:「セタノール」 627?629頁
その4:「ウンデシレン酸」 106?108頁
甲第6号証:特開平7-149622号公報
甲第7号証:化粧品辞典 日本化粧品技術者会編 丸善株式会社 平成15年12月15日発行
その1:「美白剤」 690?691頁
その2:「高級アルコール」 、「高級脂肪酸」 456?457頁
甲第8号証:化粧品種別許可基準 「N-アシル-L-グルタミン酸ナトリウム」 7頁
厚生省薬務局審査第二課監修 株式会社薬事日報社 1989年発行
甲第9号証:特開平1-283208号公報
甲第10号証:特開2004-315421号公報
甲第11号証:本件特許第3747053号出願経過において、平成17年10月18日に提出された意見書
甲第12号証:福岡大学理学集報 35(1) 81?89頁 2005年
甲第13号証:特開平11-286497号公報
甲第14号証:特願平2002-308108に対する拒絶理由通知(平成18年6月23日起案)
甲第15号証:平成11年特許願第99823号に対する拒絶理由通知(平成19年1月26日起案)
甲第16号証:化粧品種別配合成分規格 「トリメチルグリシン」695?696頁 厚生省薬務局審査課監修 株式会社薬事日報社 平成9年4月18日発行
甲第17号証:特許第3403468号公報
甲第18号証:L-(+)アスコルビン酸の製品安全データシート 全3頁 関東化学株式会社 作成日2003年8月6日
甲第19号証:フレグランスジャーナル 今村徹ら「(アスコルビル/トコフェリル)リン酸Kの応用について」 2006年10月号 63?68頁 株式会社フレグランスジャーナル社 2006年10月15日発行

5.被請求人の主張
一方、被請求人は、請求人が主張する無効理由は成り立たない旨主張し、以下の証拠方法を提出した。

<被請求人が提出した証拠方法>
乙第1号証:フレグランスジャーナル 四宮達郎ら「ビタミンC化粧品応用の現状と課題および展望」 1997年3月号 80?85頁 株式会社フレグランスジャーナル社 1997年3月15日発行
乙第2号証:フレグランスジャーナル 杉林堅次ら「最近の経皮吸収促進法の研究開発」 1996年4月号 17?25頁 株式会社フレグランスジャーナル社 1996年4月15日発行
乙第3号証:蔵多淑子ら編 化粧品原料辞典 8?9頁、209頁、241?242頁、351頁、532頁 日光ケミカルズ(株)ほか 平成3年11月29日発行
乙第4号証:株式会社ITOホームページ 「VCIP(新型ビタミンC誘導体」に関する記載(http://www.provitamine.jp/vcip.html)

6.本件特許発明に対する判断

(1)本件特許発明
本件特許発明1?6は、「訂正特許請求の範囲」に記載された事項により特定される以下のとおりのものと認める。
「【請求項1】
美白剤として、水に溶かして配合される水溶性アスコルビン酸誘導体を0.5質量%以上と、
アシル酸性アミノ酸塩と、
炭素数18以上の高級アルコール、並びに、炭素数18以上の高級脂肪酸及びその塩からなる群より選択される少なくとも一種と、
総炭素数34以上のエステル油と、
を含有し、
前記総炭素数34以上のエステル油が、ホホバ油、ホホバエステル、メドウフォーム油、及び、シア脂からなる群より選択される少なくとも一種であり、
前記総炭素数34以上のエステル油の含有量が1.5質量%以上であることを特徴とする皮膚外用剤(ただし、微生物由来のリポペプチド類を含むものと低分子ベタインを含むものとを除く)。
【請求項2】
前記アシル酸性アミノ酸塩が、炭素数14以上のアシル基を有する、グルタミン酸と、ナトリウム、カリウム、及び、トリエタノールアミンからなる群より選択される少なくとも一種との塩であることを特徴とする請求項1に記載の皮膚外用剤。
【請求項3】
前記炭素数18以上の高級アルコールが、ベヘニルアルコール、2-オクチルドデカノール、イソステアリルアルコール、オレイルアルコール、及び、ホホバアルコールからなる群より選択される少なくとも一種であることを特徴とする請求項1又は2のうちのいずれか一項に記載の皮膚外用剤。
【請求項4】
前記炭素数18以上の高級脂肪酸が、ステアリン酸、ベヘン酸、オレイン酸、イソステアリン酸、及び、12-ヒドロキシステアリン酸、からなる群より選択される少なくとも一種であることを特徴とする請求項1?3のうちのいずれか一項に記載の皮膚外用剤。
【請求項5】
前記美白剤の含有量が0.5?20質量%であり、前記アシル酸性アミノ酸塩の含有量が0.01?2.0質量%であることを特徴とする請求項1?4のうちのいずれか一項に記載の皮膚外用剤。
【請求項6】
請求項1?5のうちのいずれか一項に記載の皮膚外用剤を使用して、前記美白剤を皮膚の角質層に浸透させることを特徴とする美白剤の浸透方法。」

(2)特許法第29条第1項第3号について
(2)-1 A-1について
ア.甲第1号証
甲第1号証には、
「(A)グリセリンモノ脂肪酸エステル、(B)微生物由来のリポペプチド類、及び(c)25℃で液状の高級脂肪酸を含有することを特徴とする乳化型皮膚外用剤。」が記載されている。(請求項1)
イ.対比・判断
本件特許発明1は、微生物由来のポリペプチド類を含有しないものであり、この点で、微生物由来のポリペプチド類を必須の成分とする甲第1号証に記載された発明とは異なる。
また、本件特許発明1を引用する本件特許発明2?6についても同様である。
よって、本件特許発明1?6は、甲第1号証に記載された発明ではない。

(2)-2 A-2について
ア.甲第4号証
甲第4号証には、
「(A)美白成分と、(B)低分子ベタインと、(C)シリコーン油及び植物油から選ばれる油性成分とを含有することを特徴とする皮膚外用剤。」(請求項1)が記載されている。
イ.対比・判断
本件特許発明1は、低分子ベタインを含有しないものであり、この点で、低分子ベタインを必須の成分とする甲第4号証に記載された発明とは異なる。
また、本件特許発明1を引用する本件特許発明2?6についても同様である。
よって、本件特許発明1?6は、甲第4号証に記載された発明ではない。

(3)特許法第29条第2項違反について
(3)-1 B-1について
ア.甲第1号証
甲第1号証には、上記(2)-1 ア.の発明が記載されている。

イ.対比・判断
本件特許発明1と甲第1号証に記載される発明とを対比すると、後者は微生物由来のポリペプチド類を必須の成分として含有するものであるから、両発明は、前者が微生物由来のポリペプチド類を含まない皮膚外用剤であるのに対し、後者が微生物由来のポリペプチド類を含有する皮膚外用剤である点で異なる。
そこで、上記相違点について以下検討する。
甲第1号証記載の皮膚外用剤は、従来困難であった、グリセリンモノ脂肪酸エステルを多量に含有しながら幅広い粘度領域を持ち、且つ保存安定性に優れた乳化型皮膚外用剤を提供することを目的とする(段落0003、0004)ものであって、そのために、微生物由来のポリペプチド類、及び 25℃で液状の高級脂肪酸を配合することにより、上記の目的を達成するものである(段落0005)。そして、このことは、実施例1、2と比較例1、2の安定性試験結果の比較からも明らかである。
そうすると、甲第1号証記載の皮膚外用剤において、微生物由来のポリペプチド類を配合しなければ所期の目的を達成できなくなることは明らかであり、甲第1号証記載の皮膚外用剤から微生物由来のポリペプチド類を除くことは当業者が容易に想到しうるものではない。

(3)-2 B-2について
ア.甲第4号証
甲第4号証には、上記(2)-2 ア.の発明が記載されている。

イ.対比・判断
本件特許発明1と甲第4号証に記載される発明とを対比すると、後者は、低分子ベタインを必須の成分として含有するものであるから、両発明は、前者が低分子ベタインを含まない皮膚外用剤であるのに対し、後者が低分子ベタインを含有する皮膚外用剤である点で異なる。
そこで、上記相違点について以下検討する。
甲第4号証記載の皮膚外用剤は、美白剤による美白効果が高く、かつ使用感が良好な皮膚外用剤を提供することを目的とする(段落0005)ものであって、そのために、美白剤に低分子ベタインとシリコーン油及び/又は植物油とを併用配合することにより、美白剤の経皮吸収性が向上し、美白効果が高まると共に、美白剤によるシミ・くすみ改善効果が高まり、肌荒れ、保湿機能の改善効果も高まり、使用感が良好になるものである。(段落0006)そして、このことは、表2、表4において具体的に裏付けられている。
そうすると、甲第4号証記載の皮膚外用剤において、低分子ベタインを配合しなければ所期の目的を達成できなくなることは明らかであり、甲第4号証記載の皮膚外用剤から低分子ベタインを除くことは当業者が容易に想到しうるものではない。

(4)特許法第36条第4項、第6項第1号、第2号違反について
(4)-1 C-1について
本件特許発明1?6は、「美白剤として水に溶かして配合される水溶性アスコルビン酸誘導体」を含有する皮膚外用剤である。
そして、本件特許発明は、「水溶性アスコルビン酸誘導体のような親水性薬剤をはじめとする美白剤の経皮吸収性を飛躍的に高めることができる」(段落0009)ものである。
本件「訂正明細書」中、アスコルビン酸リン酸エステルマグネシウム塩及びナトリウム塩を水に溶かして配合させてなる皮膚外用剤について、その美白剤の経皮吸収が促進されていることが具体的に確認されており、ここに、アスコルビン酸リン酸エステルマグネシウム塩及びナトリウム塩が水溶性の化合物であることも本件特許出願前に周知の事実である。
そうすると、前記具体的にその効果が確認された化合物と、アスコルビン酸誘導体という共通の基本骨格を有し、かつ、その水溶性という物理的特性が同等な、水に溶かして配合される水溶性アスコルビン酸誘導体全般についても同様の効果を期待しうることは、本件「訂正明細書」の記載から、当業者が理解できるところといえるから、本件特許発明1?6は、明細書に記載された発明であるし、当業者が実施することができる程度に明確かつ十分に記載された発明である。

(4)-2 C-2について
本件「訂正特許請求の範囲」の請求項1には、美白剤として、水に溶かして配合される水溶性アスコルビン酸誘導体を0.5質量%以上含有する、とその下限値が規定されているが上限値は規定されていない。
ところで、本件特許発明1?6において、水溶性アスコルビン酸誘導体は美白剤として配合されており、美白効果を発揮することが求められている。
そうすると、水溶性アスコルビン酸誘導体は所望の美白効果を奏するに足る量で皮膚外用剤中含有されていることが必要であることは当業者が理解しうるところであるから、その量について上限値が規定されていなくとも発明が不明確とはいえない。
また、総炭素数34以上のエステル油の含有量についても、請求項1には、1.5質量%以上である、とその下限値が規定されているが上限値は規定されていない。本件「訂正明細書」には、「20質量%を超えると、美白剤の経皮吸収性の更なる向上が期待できないとともに、得られる皮膚外用剤の使用感がべたついたものとなる傾向にある。」(段落0091)との記載があり、上限値は、経済性、使用感を考慮して定められるものであって、その量について上限値が規定されていなくとも発明が不明確とはいえない。
また、他の構成成分、すなわち、「アシル酸性アミノ酸塩」、あるいは「炭素数18以上の高級アルコール、並びに、炭素数18以上の高級脂肪酸及びその塩からなる群より選択される少なくとも一種」については、上限値も、下限値も規定されていない。これらの成分はともに「美白剤の経皮吸収性をより向上させる観点から」(段落0084、0089)配合される成分であり、その配合量は、経皮吸収性をより向上させる量であることは当業者が理解しうることであり、それら成分の上限値、下限値について規定されていないから発明が明確ではないというものではない。

(4)-3 C-3について
本件「訂正明細書」に「美白剤、特に親水性薬剤に対しては経皮吸収性を十分に向上させることが困難であった」(段落0005)、「親水性薬剤をはじめとする美白剤の経皮吸収性に優れ、・・・皮膚外用剤・・・を提供することを目的とする。」(段落0008)と記載されているように、本件特許発明1?6は、美白剤として水溶性アスコルビン酸誘導体を皮膚外用剤として使用する上で、水溶性の薬剤が経皮吸収され難い、という課題を解決することを目的とするものである。
一方、乙第3号証として提出された化粧品分野における技術水準をとりまとめた図書である化粧品原料辞典には、L-アスコルビン酸硫酸エステル二ナトリウムが水に可溶;ジパルミチン酸アスコルビルが有機溶媒、油脂類に可溶、水に不溶;ステアリン酸アスコルビルが油溶性;パルミチン酸アスコルビルが油溶性;リン酸L-アスコルビルマグネシウムが水溶性であると記載されている。なお、乙第1号証にL-アスコルビン酸が油溶性とあるのは、水溶性、の明らかな誤記である。(乙第3号証 L-アスコルビン酸の項参照)
上記のとおり、本件特許発明1?6に係る皮膚外用剤の技術水準を示す上記文献において、アスコルビン酸誘導体は、水溶性のものと、油溶性のものとに区別して分類されているのであるから、皮膚外用剤の技術分野において、水溶性アスコルビン酸誘導体という技術概念は明確であると認められる。
請求人は、甲第12号証、及び甲第13号証を挙げ、これらの刊行物に記載される両親媒性誘導体が、本件特許発明1?6にいう水溶性アスコルビン酸誘導体に該当するか否か不明であり、本件特許発明は明確ではないと主張するので、さらにこの点について検討する。
甲第12号証では、「疎水的環境下である膜内においても抗酸化作用を示す両親媒性抗酸化剤として作用する可能性を有している」(第83頁右欄第7行?第84頁右欄第2行)、甲第13号証では、「この発明のアシル誘導体は、皮膚や粘膜の浸透性が高いので、皮膚化粧品、・・・有利に配合しうる」(段落【0025】)と記載されているように、甲第12号証、及び甲第13号証記載のアスコルビン酸誘導体は皮膚への透過性が高いものである。
本件特許発明1?6は、上記のとおり、水溶性の薬剤が経皮吸収され難い、という課題を解決することを目的とするものであり、皮膚への浸透性が高い、甲第12号証、及び甲第13号証記載のアスコルビン酸誘導体が、本件特許発明1?6にいう水溶性アスコルビン酸誘導体に該当しないことは明らかである。
また、請求人は、「水溶性」とは、水に溶ける性質を有することを示す用語にすぎず、水溶性の程度の基準とする物質が不明である等、どの程度水に溶けるかを表すものではないと主張し、甲第17号証、及び甲第18号証を引用している。この主張は、水溶性の程度を具体的な数値等で示さなければ、発明が明確ではない、との意と解せられるが、上記のとおり、皮膚外用剤の技術分野において水溶性アスコルビン酸誘導体という技術概念は明確であるので、水溶性の程度が具体的な数値等で規定されていないことをもって、本件特許発明1?6が明確でないとすることはできない。
さらに、請求人は、「エステルの付加により親水性を低下させたアスコルビン酸を便宜的に”脂溶性アスコルビン酸”と称し最近の開発動向について解説する。」との乙第4号証の記載を引用し、乙第4号証記載の水溶性誘導体、脂溶性誘導体という分類が、皮膚外用剤の技術分野において明確な概念ではないことを示すものである、としている。しかし、乙第4号証では、「エステルの付加により親水性を低下させたアスコルビン酸誘導体」は「最近」研究されているものであるので、「便宜的に”脂溶性アスコルビン酸”と称し」ているだけであり、この乙第4号証の記載をもって、水溶性誘導体、脂溶性誘導体という分類が、皮膚外用剤の技術分野において明確な技術概念ではない、ということはできない。
請求人は、また、甲第19号証を引用し、乙第4号証において、「脂溶性誘導体」として挙げられた「(アスコルビル/トコフェリル)リン酸K」は水溶性であり、油性成分にはほとんど溶解しないから、乙第4号証の水溶性誘導体、脂溶性誘導体という分類が皮膚外用剤の技術分野において明確な概念でないことは明らかであると主張する。
しかし、上記のとおり、エステルの付加により親水性を低下させたアスコルビン酸誘導体である(アスコルビル/トコフェリル)リン酸Kは、あくまで便宜的に脂溶性誘導体に分類されているだけであるから、請求人の主張は採用できない。
また、請求人は、甲第14号証、及び甲第15号証を引用して、請求人の主張には理由があると思料すると述べているが、これらは事案を異にし、上記判断に影響するものではない。
以上のとおり、本件特許発明1?6の水溶性アスコルビン酸誘導体という発明特定事項の技術的内容は明らかであり、また、「水に溶かして配合される」とは、それら誘導体の使用の態様であることは明らかであるから、本件特許発明1?6は明確である。
なお、請求人は、如何なるアスコルビン酸が、「水に溶かして配合される水溶性アスコルビン酸誘導体」に該当し、また該当しないのかについて明細書中に記載はないので、本件特許が特許法第36条第4項、第6項第1号に違反してなされたものと主張しているとも認められるが、上記のとおり、「水に溶かして配合される水溶性アスコルビン酸誘導体」は明確であり、また、本件「訂正明細書」の発明の詳細な説明は、「水に溶かして配合される水溶性アスコルビン酸誘導体」を美白剤として含有する皮膚外用剤について、当業者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載しているので、この点をもって本件特許を無効にすることはできない。

(4)-4 C-4について
上記C-4の無効理由は、「訂正請求1」の請求項1についてした訂正事項である「前記美白剤の経皮吸収が促進された」に係るものである。また、本件特許発明2?6は、請求項1?5のいずれかを引用する発明である。
しかし、「訂正請求1」は、被請求人が「訂正請求2」を行ったため、特許法第134条の2第4項の規定によりみなし取り下げとなった。そして、前記訂正事項は、「訂正請求2」に存在しないのであるから、請求人の主張を検討するまでもなく当該無効理由は存在しない。

7.むすび

以上のとおりであるから、請求人の主張及び証拠方法によっては、本件特許発明1?6の特許を無効とすることはできない。
審判に関する費用については、特許法第169条第2項の規定で準用する民事訴訟法第61条の規定により請求人が負担すべきものとする。
よって、結論のとおり審決する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
皮膚外用剤及びそれを用いた美白剤の浸透方法
【技術分野】
【0001】
本発明は、皮膚外用剤及びそれを用いた美白剤の浸透方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ローション剤、軟膏剤、クリーム剤、パップ剤等の皮膚外用剤においては、経皮吸収により種々の薬効を発揮する成分が配合されている。ところが、皮膚は、本来体外からの異物の侵入を防ぐための機能を有するものであるため、通常の外用剤基剤中に薬効成分を配合しただけでは、十分な経皮吸収が得られず、十分な薬効が得られない場合が多い。
【0003】
そこで、薬効成分の経皮吸収を向上させる成分として、ジメチルスルホキシド、N,N-ジメチルホルミルアミド等の非プロトン溶媒(特許文献1参照)、陰イオン性又は両性界面活性剤(特許文献2、特許文献3参照)、1-ドデシルアザシクロヘプタン-2-オン(特許文献4参照)、1-カルボン、メントン、ピペリトン等のテルペンケトン(特許文献5参照)、d-リモネン(特許文献6参照)、N-モノ又はジ置換-p-メンタン-3-カルボキシアミド(特許文献7参照)等の経皮吸収促進剤が提案されている。
【0004】
【特許文献1】米国特許第3,551,554号公報
【特許文献2】特開昭51-32724号公報
【特許文献3】特開昭52-83914号公報
【特許文献4】特開昭52-1035号公報
【特許文献5】特開平2-193932号公報
【特許文献6】特開平2-207024号公報
【特許文献7】特開2001-58961号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1?7に記載されているような経皮吸収促進剤を用いても、薬剤の充分な経皮吸収性が得られない場合があり、美白剤、特に水溶性アスコルビン酸誘導体のような親水性薬剤に対しては経皮吸収性を充分に向上させることが困難であった。
【0006】
また、上記特許文献1?7に記載されているような経皮吸収促進剤の多くは皮膚刺激性が強く、これを配合した製剤を適用することによって皮膚に紅斑を生じるなど、安全性の面においても満足できる経皮吸収促進剤は得られていないのが現状である。
【0007】
本発明は、上記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、水溶性アスコルビン酸誘導体のような親水性薬剤をはじめとする美白剤の経皮吸収性に優れ、且つ、安全性に優れた皮膚外用剤、及び、それを用いた美白剤の浸透方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明は、美白剤として、水に溶かして配合される水溶性アスコルビン酸誘導体を0.5質量%以上と、アシル酸性アミノ酸塩と、炭素数18以上の高級アルコール、並びに、炭素数18以上の高級脂肪酸及びその塩からなる群より選択される少なくとも一種と、総炭素数34以上のエステル油と、を含有し、上記総炭素数34以上のエステル油が、ホホバ油、ホホバエステル、メドウフォーム油、及び、シア脂からなる群より選択される少なくとも一種であり、上記総炭素数34以上のエステル油の含有量が1.5質量%以上であることを特徴とする皮膚外用剤(ただし、微生物由来のリポペプチド類を含むものと低分子ベタインを含むものとを除く)を提供する。
【0009】
かかる皮膚外用剤によれば、美白剤とともに、アシル酸性アミノ酸塩と、炭素数18以上の高級アルコール、並びに、炭素数18以上の高級脂肪酸及びその塩からなる群より選択される少なくとも一種と、総炭素数34以上のエステル油とを用い、且つ、総炭素数34以上のエステル油の含有量を皮膚外用剤の全質量を基準として1.5質量%以上とすることにより、水溶性アスコルビン酸誘導体のような親水性薬剤をはじめとする美白剤の経皮吸収性を飛躍的に高めることができる。その結果、本発明の皮膚外用剤によれば、少量の美白剤の配合で優れた美白効果を得ることができる。また、本発明の皮膚外用剤に含有される上記各成分は、皮膚刺激性が十分に低く、安全性に優れているため、これらの成分を用いることにより、安全性に優れた皮膚外用剤を提供することができる。また、上記総炭素数34以上のエステル油が、ホホバ油、ホホバエステル、メドウフォーム油、及び、シア脂からなる群より選択される少なくとも一種であることにより、美白剤に対する経皮吸収促進効果をより高めることができ、より優れた美白効果を得ることができる。
【0010】
また、本発明の皮膚外用剤において、上記美白剤は、水溶性アスコルビン酸誘導体であることが好ましい。本発明の皮膚外用剤においてこの美白剤を用いた場合、特に優れた経皮吸収促進効果を示すことができ、より優れた美白効果を有する皮膚外用剤を得ることができる。
【0011】
また、本発明の皮膚外用剤において、上記アシル酸性アミノ酸塩は、炭素数14以上のアシル基を有する、グルタミン酸と、ナトリウム、カリウム、及び、トリエタノールアミンからなる群より選択される少なくとも一種との塩であることが好ましい。本発明の皮膚外用剤におけるアシル酸性アミノ酸塩が上記のものであることにより、美白剤に対する経皮吸収促進効果をより高めることができ、より優れた美白効果を得ることができる。
【0012】
また、本発明の皮膚外用剤において、上記炭素数18以上の高級アルコールは、ベヘニルアルコール、2-オクチルドデカノール、イソステアリルアルコール、オレイルアルコール、及び、ホホバアルコールからなる群より選択される少なくとも一種であることが好ましい。本発明の皮膚外用剤における炭素数18以上の高級アルコールが上記のものであることにより、美白剤に対する経皮吸収促進効果をより高めることができ、より優れた美白効果を得ることができる。
【0013】
また、本発明の皮膚外用剤において、上記炭素数18以上の高級脂肪酸は、ステアリン酸、ベヘン酸、オレイン酸、イソステアリン酸、及び、12-ヒドロキシステアリン酸からなる群より選択される少なくとも一種であることが好ましい。本発明の皮膚外用剤における炭素数18以上の高級脂肪酸が上記のものであることにより、美白剤に対する経皮吸収促進効果をより高めることができ、より優れた美白効果を得ることができる。
【0015】
また、本発明の皮膚外用剤において、上記美白剤の含有量が0.5?20質量%であり、上記アシル酸性アミノ酸塩の含有量が0.01?2.0質量%であることが好ましい。ここで、上記各成分の含有量は、皮膚外用剤の全質量を基準としたものである。
【0016】
本発明の皮膚外用剤において、美白剤の含有量が上記範囲内であることにより、より有効な美白効果を得ることができる。また、アシル酸性アミノ酸塩の含有量が上記範囲内であることにより、美白剤の経皮吸収性をより十分に高めることができる。
【0017】
本発明はまた、上記本発明の皮膚外用剤を使用して、上記美白剤を皮膚の角質層に浸透させることを特徴とする美白剤の浸透方法を提供する。
【0018】
かかる美白剤の浸透方法によれば、上述した構成を有する本発明の皮膚外用剤を用いているため、当該皮膚外用剤中の美白剤を皮膚の角質層に有効に浸透させることができ、優れた美白効果を得ることができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、美白剤、特に水溶性アスコルビン酸誘導体のような親水性薬剤に対する経皮吸収性に優れ、且つ、安全性に優れた皮膚外用剤、及び、それを用いた美白剤の浸透方法を提供することができる。そして、本発明の皮膚外用剤及びそれを用いた美白剤の浸透方法によれば、優れた美白効果を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明をその好適な実施形態に即して詳細に説明する。
【0021】
本発明の皮膚外用剤は、美白剤と、アシル酸性アミノ酸塩と、炭素数18以上の高級アルコール、並びに、炭素数18以上の高級脂肪酸及びその塩からなる群より選択される少なくとも一種と、総炭素数34以上のエステル油と、を含有するものであって、上記総炭素数34以上のエステル油の含有量が、皮膚外用剤の全質量を基準として1質量%以上であることを特徴とするものである。以下、本発明の皮膚外用剤を構成する各成分について説明する。
【0022】
本発明の皮膚外用剤に含有される美白剤は、皮膚外用剤に配合できる美白薬剤であれば特に制限されないが、水溶性の美白薬剤が好ましい。美白剤としては例えば、L-アスコルビン酸及びその塩又はその誘導体、ハイドロキノン及びその誘導体、システイン及びその誘導体、グルコサミン及びその誘導体、アゼライン酸及びその誘導体、リポ酸及びその誘導体並びにそれらの塩、レゾルシン及びその誘導体、γ-オリザノール及びその誘導体、グラブリジン、グラブレン、リクイリチン、イソリクイリチン、グルタチオン、ヒノキチオール及びその配糖体並びにそれらの塩、エラグ酸及びその誘導体並びにそれらの塩、胎盤抽出物、マンサク属、ジンコウ属、ツバキ属、タデ属、セイヨウヤマハッカ属、イブキジャコウソウ属、ヨモギ属、ノコギリソウ属、ヒヨドリバナ属、シナノキ属、イワユキノシタ属、ジンチョウゲ属、ガンピ属、ミツマタ属、ボタン属、カンゾウ属、クワ属、エンジュ属、バラ属、アロエ属、ニワトコ属、ユキノシタ属、ドクダミ属、カンアオイ属、タツナミソウ属、ヒマワリ属、アマドコロ属、アマ属、カントウ属、ワレモコウ属、ハッカ属、ハウチワマメ属、クチナシ属に属する1種又は2種以上の植物の抽出物及び、カイメンソウ属、サンゴモ属、ヤハズグサ属、アミジグサ属、ヒジキ属、ソゾ属、フシツナギ属、イワヒゲ属、ダルス属、ホンダワラ属、モヅク属、ナガマツモ属、イシモヅク属、フトモヅク属、オキナワモヅク属に属する1種又は2種以上の藻類の抽出物等が挙げられる。
【0023】
ここで、上記L-アスコルビン酸及びその塩又はその誘導体としては、例えば、L-アスコルビン酸モノステアレート、L-アスコルビン酸モノパルミテート、L-アスコルビン酸モノオレエート等のアスコルビン酸モノ脂肪酸エステル類、L-アスコルビン酸モノリン酸エステル、L-アスコルビン酸-2-硫酸エステル等のアスコルビン酸モノエステル誘導体、L-アスコルビン酸ジステアレート、L-アスコルビン酸ジパルミテート、L-アスコルビン酸ジオレエート等のL-アスコルビン酸ジ脂肪酸エステル誘導体、L-アスコルビン酸トリステアレート、L-アスコルビン酸トリパルミテート、L-アスコルビン酸トリオレエート等のL-アスコルビン酸トリ脂肪酸エステル誘導体、L-アスコルビン酸トリリン酸エステル等のL-アスコルビン酸トリエステル誘導体等を挙げることができる。これらのL-アスコルビン酸及びその塩又はその誘導体のうち、特に好ましいものは、L-アスコルビン酸、L-アスコルビン酸リン酸エステル及びこれらの塩である。
【0024】
また、上記ハイドロキノン及びその誘導体としては、特に限定されないが、ハイドロキノン配糖体が好ましく用いられ、例えば、ハイドロキノン-α-D-グルコース、ハイドロキノン-β-D-グルコース、ハイドロキノン-α-L-グルコース、ハイドロキノン-β-L-グルコース、ハイドロキノン-α-D-ガラクトース、ハイドロキノン-β-D-ガラクトース、ハイドロキノン-α-L-ガラクトース、ハイドロキノン-β-L-ガラクトース等の六炭糖配糖体、ハイドロキノン-α-D-リボース、ハイドロキノン-β-D-リボース、ハイドロキノン-α-L-リボース、ハイドロキノン-β-L-リボース、ハイドロキノン-α-D-アラビノース、ハイドロキノン-β-D-アラビノース、ハイドロキノン-α-L-アラビノース、ハイドロキノン-β-L-アラビノース等の五炭糖配糖体、ハイドロキノン-α-D-グルコサミン、ハイドロキノン-β-D-グルコサミン、ハイドロキノン-α-L-グルコサミン、ハイドロキノン-β-L-グルコサミン、ハイドロキノン-α-D-ガラクトサミン、ハイドロキノン-β-D-ガラクトサミン、ハイドロキノン-α-L-ガラクトサミン、ハイドロキノン-β-L-ガラクトサミン等のアミノ糖配糖体、ハイドロキノン-α-D-グルクロン酸、ハイドロキノン-β-D-グルクロン酸、ハイドロキノン-α-L-グルクロン酸、ハイドロキノン-β-L-グルクロン酸、ハイドロキノン-α-D-ガラクツロン酸、ハイドロキノン-β-D-ガラクツロン酸、ハイドロキノン-α-L-ガラクツロン酸、ハイドロキノン-β-L-ガラクツロン酸等のウロン酸配糖体等を挙げることができる。またその誘導体としては、アセチル化物等のエステル体、メチル化物などのエーテル体等を挙げることができ、これらの中でもハイドロキノン-β-D-グルコースが本発明の効果の面から最も好ましい。
【0025】
上記システイン及びその誘導体としては、特に限定されないが、例えば、システイン、システインのリン脂質エステル、スフィンゴシン及びその誘導体のエステル、糖脂質エステル、糖エステル、ステロールエステル及び炭素数8から20のアルキル若しくはアルケニルエステル等が挙げられる。
【0026】
上記グルコサミン及びその誘導体としては、特に限定されないが、例えば、グルコサミン、アセチルグルコサミン等のグルコサミンエステル類、グルコサミンメチルエーテル等のグルコサミンエーテル類等が挙げられる。
【0027】
上記アゼライン酸及びその誘導体としては、特に限定されないが、例えば、アゼライン酸、アゼライン酸モノアルキルエステル等のアゼライン酸モノエステル類、アゼライン酸ジアルキルエステル等のアゼライン酸ジエステル類等が挙げられる。
【0028】
上記リポ酸及びその誘導体並びにそれらの塩としては、特に限定されないが、例えば、リポ酸、リポ酸のナトリウム塩、カリウム塩、アルキルエステル、アルケニルエステル、アミド類、及び還元体のジヒドロリポ酸、ジヒドロリポアミド等が挙げられる。
【0029】
上記レゾルシン及びその誘導体は、従来より抗菌剤として認知されており、また、メラニン産生抑制作用や色素沈着症改善効果を有することも確認されている(特開平4-1116号公報、特開平10-194951号公報)。本発明では、特に限定されないが、例えば、レゾルシン若しくはその配糖体を用いることが好ましい。
【0030】
上記グラブリジン、グラブレンは、天然には、カンゾウの一種であるロシアカンゾウ(Glycyrrhiza glabra Lin.)に微量含まれている。グラブリジンについては、抗菌作用、抗酸化作用、抗う蝕作用、抗プラスミン作用等の薬理作用を有することが確認されており、さらに、メラニン生成抑制作用を有することも知られている(特開平1-311011号公報等)。本発明においては、カンゾウから精製したグラブリジン若しくはグラブレンを用いることが好ましい。
【0031】
上記リクイリチンやイソリクイリチンは、カンゾウ中に含まれる成分である。本発明においては、カンゾウから精製したリクイリチン若しくはイソリクイリチンを用いることが好ましい。
【0032】
上記グルタチオン及びその誘導体は、特にその基原を問わず、通常の化粧料、医薬部外品に配合されるものを使用することができる。
【0033】
上記ヒノキチオール及びその誘導体としては、特に限定されず、ヒノキチオール、ヒノキチオール亜鉛錯体、ヒノキチオール配糖体等が例示される。ヒノキチオールの配糖体は、下記一般式(1)若しくは一般式(2)で示される化合物であり、これらのうちの1種を単独で、若しくは2種以上を混合して用いることができる。
【0034】
【化1】

【化2】

[式(1)及び(2)中、Gは下記一般式(3)又は(4)で表わされる基を示す。]
【0035】
【化3】

【化4】

[式(3)及び(4)中、R^(1)、R^(2)、R^(3)及びR^(4)は各々独立に、H又はCOCH_(3)を示す。]
【0036】
ここで、上記ヒノキチオール配糖体は、グルコースを下記一般式(5):
CH_(3)COX(5)
[式(5)中、Xは、F、Cl、Br、OCH_(3)又はイミダゾリル基を示す。]
で表わされるアセチル化試薬等を用いて修飾した後、脱水縮合など既知の方法により製造されるものである(例えば、特開平7-17993号公報、特開平7-82288号公報)。なお、配糖体には、α結合及びβ結合を有する異性体が存在するが、そのいずれを用いてもよく、また、それらの混合物を用いることもでき、通常は混合物を用いる。
【0037】
上記エラグ酸は、ポリフェノールの一種であり、植物体内に含まれるエラグタンニンを加水分解して得られるものである。本発明においては、エラグ酸、及びその誘導体並びにそれらの塩を使用することができる。
【0038】
上記胎盤抽出物としては、通常の皮膚外用剤に用いられるものであれば、特にその基原は問わない。
【0039】
また、本発明においては、マンサク属、ジンコウ属、ツバキ属、タデ属、セイヨウヤマハッカ属、イブキジャコウソウ属、ヨモギ属、ノコギリソウ属、ヒヨドリバナ属、シナノキ属、イワユキノシタ属、ジンチョウゲ属、ガンピ属、ミツマタ属、ボタン属、カンゾウ属、クワ属、エンジュ属、バラ属、アロエ属、ニワトコ属、ユキノシタ属、ドクダミ属、カンアオイ属、タツナミソウ属、ヒマワリ属、アマドコロ属、アマ属、カントウ属、ワレモコウ属、ハッカ属、ハウチワマメ属、クチナシ属に属する1種又は2種以上の植物の抽出物、及び、カイメンソウ属、サンゴモ属、ヤハズグサ属、アミジグサ属、ヒジキ属、ソゾ属、フシツナギ属、イワヒゲ属、ダルス属、ホンダワラ属、モヅク属、ナガマツモ属、イシモヅク属、フトモヅク属、オキナワモヅク属に属する1種又は2種以上の藻類の抽出物から選択される1種又は2種以上の抽出物を美白剤として用いてもよい。
【0040】
マンサク属(Hamamelis L.)は、マンサク科に属する落葉の木本であり、マンサク(Hamamelis japonica Sieb.et Zucc.)、シナマンサク(Hamamelis mollis Oliv.)、ハマメリス(Hamamelis virginiana L.)等が例示される。これらの植物の中でも、ハマメリス、特にハマメリスの樹皮を用いることが、美白効果の点から好ましい。
【0041】
ジンコウ属(Aquilaria Lam.)は、ジンチョウゲ科に属する常緑の高木であり、十数種が知られている。本発明においては、その美白効果からジンコウ(Aquilaria agallocha Roxb.)を用いることが好ましい。
【0042】
ツバキ属(Camellia L.)は、ツバキ科に属する常緑の草本で約200種が知られている。本発明においては、その美白効果からツバキ(Camellia japonica L.)及びその変種、チャ(Camellia sinensis(L.)O.Kuntze)及びその変種を用いることが好ましい。
【0043】
タデ属(Polygonum L.)植物は、タデ科に属する草本であり、約300種が知られている。本発明においては、その美白効果から、イタドリ(Polygonum cuspidatum Sieb.et Zucc.)、ハチジョウイタドリ(Polygonum cuspidatum Sieb.et Zucc.var.hachidyoense Ohwi)、オオイタドリ(Polygonum sachalinense Fr.Schm.)から選択される1種又は2種以上の植物を用いることが好ましい。
【0044】
セイヨウヤマハッカ属(Melissa L.)植物は、シソ科(Labiatae)に属する多年草であり、中でも、メリッサ(Melissa officinalis L.)の抽出物が、その美白効果から多く用いられる。
【0045】
イブキジャコウソウ属(Thymus L.)植物は、シソ科に属する低木であり、その美白効果の点からイブキジャコウソウ(Thymus serphyllum L.subsp.quinquecostatus(Aelak.)Kitamura)、タイム(Thymus vulgaris L.)から選択される1種または2種以上を用いることが好ましい。
【0046】
ヨモギ属(Artemisia L.)植物は、キク科に属する双子葉植物であり、ニガヨモギ(Artemisia absinthium L.)、クソニンジン(Artemisia annua L.)、カワラニンジン(Artemisia apiacea Hance)、カワラヨモギ(Artemisia capillaris Thunb.)、シナヨモギ(Artemisia cina Berg.)、タラゴン(Artemisia dracunculus L.)、オトコヨモギ(Artemisia japonica Thunb.)、ミブヨモギ(Artemisia maritima L.)、ヨモギ(Artemisia princeps Pamp.)から選択される1種又は2種以上を用いることが、美白効果の点から好ましい。
【0047】
ノコギリソウ属(Achillea L.)植物は、キク科に属する双子葉植物であり、ノコギリソウ(Achillea alpina L.)、セイヨウノコギリソウ(Achillea milleifolium L.)、ジャコウノコギリソウ(Achillea moschata Jacq.)等のノコギリソウ属ノコギリソウ(Achillea alpina L.)、セイヨウノコギリソウ(Achillea milleifolium L.)、ジャコウノコギリソウ(Achillea moschata Jacq.)から選択される1種又は2種以上を用いることが、美白効果の点から好ましい。
【0048】
ヒヨドリバナ属(Eupatorium L.)植物は、キク科に属する双子葉植物であり、フジバカマ(Eupatorium japonicum Thunb.)、サワヒヨドリ(Eupatorium lindleyanum DC.)、ヒヨドリバナ(Eupatorium chinense L.var.oppositifolium(Koidz.)Murata et H.Koyama)から選択される1種又は2種以上を用いることが、美白効果の点から好ましい。
【0049】
シナノキ属(Tilia L.)植物は、シナノキ科(Tiliaceae)に属する植物であり、アメリカシナノキ(Tilia americana L.)、フユボダイジュ(Tilia cordata Mill.)、セイヨウシナノキ(Tilia europaea L.)、シナノキ(Tilia japonica Simonk.)、ヘラノキ(Tilia kiusiana Makino et Shiras.)、オオバオダイジュ(Tilia maximowicziana Shiras.)、ナツボダイジュ(Tilia platyphyllos Scop.)、ボダイジュ(Tilia miqueliana Maxim.)から選択される1種又は2種以上を用いることが、美白効果の点から好ましい。
【0050】
イワユキノシタ属(Tanakaea Fr.et Sav.)植物は、ユキノシタ科に属する常緑の多年草であり、その美白効果の点からイワユキノシタ(Tanakaea radicans Fr.et Sav.)を用いることが好ましい。
【0051】
ジンチョウゲ属(Daphne L.)植物は、ジンチョウゲ科に属する低木であり、サツマフジ(Daphne genkwa Sieb.et Zucc.)、コショウノキ(Daphne kiusiana Miq.)、コウシュジンチョウゲ(Daphne mezereum L.)、ジンチョウゲ(Daphne odora Thunb.)、オニシバリ(Daphne opseud-mezereum A.Gray)、ナニワズ(Daphne kamtchatica Maxim.var.yezoensis Ohwi)、カラスシキミ(Daphne miyabeana Makino)から選択される1種又は2種以上を用いることが、美白効果の点から好ましい。
【0052】
ガンピ属(Diplomorpha Meissn.ex C.A.Mey.)植物は、ジンチョウゲ科に属する低木であり、オオシマガンピ(Diplomorpha phymatoglossa(Koidz.)Nakai)、ガンピ(Diplomorpha sikokiana(Fr.et Sav.)Honda)、キガンピ(Diplomorpha trichotoma(Thunb.)Nakai)から選択される1種又は2種以上を用いることが、美白効果の点から好ましい。
【0053】
ミツマタ属(Edgeworthia Meissn.)植物は、ジンチョウゲ科に属する低木であり、その入手のしやすさの点から、ミツマタ(Edgeworthia chrysantha Lindl.)を用いることが好ましい。
【0054】
ボタン属(Paeonia L.)植物は、キンポウゲ科に属する低木であり、美白効果の点からボタン(Paeonia suffruticosa Andr.)及びシャクヤク(Paeonia lactiflora Pall.)から選択される1種又は2種が好ましい例として挙げられる。
【0055】
カンゾウ属(Glycyrrhiza L.)植物は、マメ科に属する草本であり、その入手のしやすさから、スペインカンゾウ(Glycyrrhiza glabra L.)、キカンゾウ(Glycyrrhiza kansuensis Chang et peng)、カンゾウ(Glycyrrhiza urarensis Fisch.)から選択される1種又は2種以上を用いることが好ましい。
【0056】
クワ属(Morus L.)植物は、クワ科に属する低木であり、その入手のしやすさからクワ(Morus alba L.)を用いることが好ましい。
【0057】
エンジュ属(Sophora L.)植物は、マメ科に属する高木であり、その美白効果の点からクララ(Sophora flavescens Ait.)、エンジュ(Sophora japonica L.)から選択される1種又は2種を用いることが好ましい。
【0058】
バラ属(Rosa L.)植物は、バラ科(Rosaceae)に属する植物である。中でも、ノイバラ(Rosa multiflora Thunb.)は、わが国に自生するバラ科(Rosaceae)の蔓性落葉低木であり、生薬「エイジツ」(Rosae Fructus)の基原植物であり、高い美白効果を発揮する。また、この近縁植物である、テリハノイバラ(Rosa wichuraiana Crepin var.ampullicarpa Honda)、フジイバラ(Rosa fujisanensis Makino)においても、高い美白効果が得られる。
【0059】
アロエ属(Aloe L.)植物は、ユリ科(Liliaceae)に属する木本性多肉植物であり、生薬「アロエ」(Aloe)の基原植物として用いられる。アロエ属に属する植物としては、生薬「アロエ」の基原植物であるアロエフェロックス(Aloe ferox Mill.)、アロエアフリカーナ(Aloe africana Mill.)、アロエスピカータ(Aloe spicata Baker)、アロエアルボレッセンス(Aloe arborescens Mill.)アロエスコトリナ(Aloe succotrina Lam.)アロエプリカティリス(Aloe plicatilis Mill.)、アロエバイネシー(Aloe bainesii Th.Dyer.)、アロエペリー(Aloe perryi Baker)、アロエベラ(Aloe vera L.)等の他に、キダチアロエ(Aloe arborescens Mill.var.natalensis Berg.)も用いることができる。これらより1種又は2種以上を選択して用いることが好ましい。
【0060】
ニワトコ属(Sambucus L.)植物は、スイカズラ科(Caprifoliaceae)に属する植物であり、その入手しやすさから、セイヨウニワトコ(Sambucus nigra L.)、アメリカニワトコ(Sambucus canadensis L.)、ソクズ(Sambucus javanica Reinw.ex Bl.subsp.chinensis)から選択される1種又は2種以上を用いることが好ましい。
【0061】
ユキノシタ属(Saxifraga L.)植物は、ユキノシタ科に属する多年草であり、ホシツヅリ(Saxifraga aizoon Jacq.)、シコタンソウ(Saxifraga cherlerioides D.Don var.rebunshirensis(Engl.et Irmsch)Hara)、ジンジソウ(Saxifraga cortusaefolia Sieb.et Zucc.)、ダイモンジソウ(Saxifraga fortunei Hook.f.var.incisolobata(Engl.et Irmsch.)Nakai)、ハルユキノシタ(Saxifraga nipponica Makino)、センダイソウ(Saxifraga sendaica Maxim)、ユキノシタ(Saxifraga stolonifera Meerb.)、フキユキノシタ(Saxifraga japonica Boiss.)、クロクモソウ(Saxifraga fusca Maxim.)、クモマグサ(Saxifraga merkii Fish.var.laciniata Nakai)、クモマユキノシタ(Saxifraga laciniata Nakai et Takeda)、シコタンソウ(Saxifraga bronchialalis L.)、ムカゴユキノシタ(Saxifraga cernua L.)、ヤマハナソウ(Saxifraga sachalinensis Fr.Schm.)から選択される1種又は2種以上を用いることが、その美白効果の点から好ましい。
【0062】
ドクダミ属(Houttuynia Thunb.)植物は、ドクダミ科(Saururaceae)に属する、1属1種ドクダミ(Houttuynia cordata Thunb.)のみからなる属である。ドクダミ(Houttuynia cordata Thunb.)の全草は、「ジュウヤク」(Houttuyniae Herba)または重薬「ジュウヤク」ともよばれる生薬であり、かかる生薬を用いることが、美白作用の点から好ましい。
【0063】
カンアオイ属(Heterotropa Morr.et Decne)植物は、ウマノスズクサ科(Aristolochiaceae)に属する植物であり、最近の研究では、フタバアオイ属(Asarum L.)やアメリカカンアオイ属(Hexastylis L.)、ウスバサイシン属(Asiasarum L.)等も含めて扱われる。中でも、ウスバサイシン属(Asiasarum L.)は、生薬「サイシン」(Asiasari Radix)の基原植物であり、美白有効性の観点からは、ウスバサイシン(Asiasarum sieboldii F.Maekawa)またはケイリンサイシン(Asiasarum heterotropoides var.mandshuricum F.Maekawa)、その近縁植物であるクロフネサイシン(Asiasarum dimidiatum F.Maekawa)、オクエゾサイシン(Asiasarum heterotropoides F.Maekawa)、ウスゲサイシン(Asiasarum heterotropoides var.seoulense F.Maekawa)、石南七(Asarum himalaicum Hook.f.et Thoms.ex Klotzch)などが好ましく用いられる。
【0064】
タツナミソウ属(Scutellaria L.)植物は、シソ科(Labiatae)に属する草本、あるいは半低木である。タツナミソウ属植物としては、コガネバナ(Scutellaria baicalensis Georgi)、オカタツナミソウ(Scutellaria brachyspica Nakai et Hara)、タツナミソウ(Scutellaria indica L.)、シソバタツナミ(Scutellaria laeteviolacea Koidz.)、スクテラリア ラテリフォリア(Scutellaria laterifolia L.)、ホナガタツナミ(Scutellaria maekawae Hara)、ヤマタツナミウソウ(Scutellaria pekinensis Maxim.var.transitra(Makino)Hara)、ナミキソウ(Scutellaria strigillosa Hemsl.)等が例示される。このなかでも、生薬オウゴン(Scutellariae Radix)の基原植物である、コガネバナ(Scutellaria baicalensis Georgi)を用いることが好ましい。
【0065】
ヒマワリ属(Helianthus L.)植物は、キク科(Compositae)に属する双子葉植物の一種であり、中でも、ヒマワリ(Helianthus annuus L.)の抽出物が多く用いられる。本発明においてヒマワリ(Helianthus annuus L.)は、花、種子、茎、葉、根を用いることが出来るが、花又は種子を用いることが好ましい。また、種子からヒマワリ油を搾油した残渣であるヒマワリ油粕を用いてもよい。
【0066】
アマドコロ属(Polygonatum Adans.)植物は、ユリ科(Liliaceae)に属する一年草であり、生薬「オウセイ」(Polygonati Rhizoma)の基原植物であるナルコユリ(Polygonatum falcatum A.Gray)、オオナルコユリ(Polygonatum macranthum Koidzumi)、及び近縁植物であるカギクルマバナルコユリ(Polygonatum sibricum Red.)、クルマバナルコユリ(Polygonatum stenophyllum Maxim.)などがあり、これらより1種又は2種以上を選択して用いることが、美白効果の点から好ましい。
【0067】
アマ属(Linum L.)植物は、アマ科(Linaceae)の一年生、二年生、又は多年生草本であり、繊維や種子、種子油が利用されている。本発明においては、その美白効果の点からアマ(Linum usitatissimum L.)の種子である生薬「アマニン」(Lini Semen)からの抽出物を用いることが好ましい。
【0068】
カントウ属(Tussilago L.)植物は、キク科(Compositae)に属する植物である。その入手のしやすさから、フキタンポポ(Tussilago farfara L.)を用いることが好ましい。
【0069】
ワレモコウ属(Sanguisorba L.)植物は、バラ科(Rosaceae)に属する植物であり、ワレモコウ(Sanguisorba officinalis L.)、オランダワレモコウ(Sanguisorba minor Scop.)等が例示される。中でも、生薬「チユ」(Sanguisorba Radix)の基原植物であるワレモコウ(Sanguisorba officinalis L.)を用いることが、美白効果及び入手のしやすさの点から、好ましい。
【0070】
ハッカ属(Mentha L.)植物は、シソ科(Lamiaceae)の植物であり、スペアミントと呼ばれるミドリハッカ(Mentha spicata Linne)や、セイヨウハッカ(Mentha piperita L.)及びその変種、あるいは、ハッカ(Mentha arvensis L.var.piperascens Malin.)などが例示される。
【0071】
ハウチワマメ属(Lupinus L.)植物は、マメ科(Leguminosae)の双子葉植物であり、シロバナルーピン(Lupinus albus L.;Lupinus sativus Gaertn.)、アオバナルーピン(Lupinus angustifolius L.;Lupinus varius L.;Lupinus linifolius Roth;Lupinus reticulatus Desv.)、カサバルーピン(Lupinus hirsutus L.)、カバナハウチワマメ(Lupinus luteus L.)、シュッコンルーピン(Lupinus polyphyllus Lindl.)、エジプトルーピン(Lupinus termis Forsk.;Lupinus graecus Boiss.)等が例示される。これらの植物の中でも、その美白効果の点からシロバナルーピン(Lupinus albus L.;Lupinus sativus Gaertn.)が好ましく用いられる。またハウチワマメ属(Lupinus L.)植物の全草、葉、茎、根、宿根、花、種子を用いることが出来るが、種子を用いることが好ましい。
【0072】
クチナシ属(Gardenia)植物は、アカネ科(Rubiaceae)の植物であり、クチナシ(Gardenia jasminoides)、コクチナシ(Gardenia radicans)等が知られている。また、クチナシ属(Gardenia)植物の果実は、サンシシ(Gardeniae Fructus)と呼ばれ、古くから生薬として知られている。
【0073】
また、藻類としては、カイメンソウ(Ceratodictyon spongiosum)に代表されるカイメンソウ属(Ceratodictyon)藻類、無節サンゴモ(Corallina sp.)、サンゴモ(Corallina officinalis)、ピリヒバ(Corallina pilurifera)等のサンゴモ属(Corallina)藻類、ヤハズグサ(Dictyopteris latiuscula)、シワヤハズ(Dictyopteris undulata)、ヘラヤハズ(Dictyopteris prolifera)、スジヤハズ(Dictyopteris plagiogramma)、ヒメヤハズ(Dictyopteris repens)、エゾヤハズ(Dictyopteris divaricata)、ウラボシヤハズ(Dictyopteris polypodioides)等のヤハズグサ属(Dictyopteris)藻類、ハリアミジ(Dictyota spinulosa)に代表されるアミジグサ属(Dictyota)藻類、ヒジキ(Hizikia fusiformis)に代表されるヒジキ属(Hizikia)藻類、ソゾsp.(Laurencia sp.)、クロソゾ(Laurencia intermedia)、ミツデソゾ(Laurencia okamurai)、ソゾノハナ(Laurencia grevilleana)、オオソゾ(Laurencia glandulifera)、ハネソゾ(Laurencia pinnata)、コブソゾ(Laurencia undulata)等のソゾ属(Laurencia)藻類、フシツナギ(Lomentaria catenata)、コスジフシツナギ(Lomentaria hakodatensis)等のフシツナギ属(Lomentaria)藻類、イワヒゲ(Myelophycus caespitosus)に代表されるイワヒゲ属(Myelophycus)藻類、ダルス(Palmaria palmata)に代表されるダルス属(Rhodymenia)藻類、ホンダワラ(Sargassum fulvellum)、エンドウモク(Sargassum yendoi)、マメタワラ(Sargassum piluriferum)、ヤツマタモク(Sargassum patens)、アカモク(Sargassum horneri)、ノコギリモク(Sargassum serratifolium)、オオバノコギリモク(Sargassum giganteifolium)、ヨレモク(Sargassum tortile)、ヤナギモク(オオバモク:Sargassum ringgoldianum)、ネジモク(Sargassum sagamianum)、ハハキモク(Sargassum kjellmanianum)、ウミトラノオ(Sargassum thunbergii)、フシスジモク(Sargassum confusum)、イソモク(Sargassum hemiphyllum)、ナラサモ(Sargassum nigrifolium)、トゲモク(Sargassum micracanthum)、タマナシモク(Sargassum nipponicum)、ジンメソウ(Sargassum vulgare)、フタエモク(ヒイラギモク:Sargassum duplicatum)、エゾノネジモク(Sargassum yezoense)等のホンダワラ属(Sargassum)藻類、モヅク(Nemacystus decipieus)に代表されるモヅク属(Nemacystus)藻類、ナガマツモ(Chordaria flagelliformis)、イシモヅクダマシ(Chordaria firma)等のナガマツモ属(Chordaria)藻類、イシモヅク(Sphaerotrichia divaricata)に代表されるイシモヅク属(Sphaerotrichia)藻類、フトモヅク(Tinocladia crassa(Suringar)Kylin)に代表される、フトモヅク属(Tinocladia Kylin)属藻類、オキナワモヅク(Cladosiphon okamuranus)に代表されるオキナワモヅク属(Cladosiphon)藻類等が例示される。
【0074】
これらの植物及び藻類からの抽出物は、各種の全草又はその葉、樹皮、根、花、枝等の1又は2以上の箇所を生のまま若しくは乾燥させて用い、抽出溶媒で抽出することで得ることができる。抽出溶媒としては特に限定されず、水、エタノール、メタノール、イソプロパノール、イソブタノール、n-ヘキサノール、メチルアミルアルコール、2-エチルブタノール、n-オクチルアルコール等の1価アルコール類、グリセリン、エチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコール、1,3-ブチレングリコール、ヘキシレングリコール等の多価アルコール又はその誘導体、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチル-n-プロピルケトン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸イソプロピル等のエステル類、エチルエーテル、イソプロピルエーテル、n-ブチルエーテル等のエーテル類、スクワラン、ワセリン、パラフィンワックス、パラフィン油などの炭化水素類、オリーブ油、小麦胚芽油、米油、ゴマ油、マカダミアンナッツ油、アルモンド油、ヤシ油等の植物油脂、牛脂、豚脂、鯨油等の動物油脂などが例示される。また、リン酸緩衝生理食塩水等の無機塩類を添加した極性溶媒、界面活性剤を添加した溶媒を用いることもでき、特に限定されない。
【0075】
更に、抽出方法としては、室温、冷却又は加熱した状態で含浸させて抽出する方法、水蒸気蒸留などの蒸留法を用いて抽出する方法、植物又は藻類を圧搾して抽出物を得る圧搾法などが例示され、これらの方法を単独で、又は2種以上を組み合わせて抽出を行う。
【0076】
抽出の際の植物又は藻類と抽出溶媒との比率は特に限定されないが、植物又は藻類1に対して抽出溶媒を0.1?1000質量倍、特に抽出操作、効率の点で、抽出溶媒を0.5?100質量倍とすることが好ましい。また、抽出圧力及び抽出温度は常圧下で0℃から抽出溶媒の沸点以下の範囲とすることが好ましく、抽出時間は抽出温度などにより異なるが2時間?2週間の範囲とすることが好ましい。
【0077】
このようにして得られた植物又は藻類の抽出物は、抽出物をそのまま用いることもできるが、その効果を失わない範囲で、脱臭、脱色、濃縮などの精製操作を加えたり、さらにはカラムクロマトグラフィーなどを用いて分画物として用いてもよい。これらの抽出物や精製物、分画物は、これらから溶媒を除去することによって乾固物とすることもでき、さらに、アルコールなどの溶媒に可溶化した形態、或いは乳剤の形態で用いることができる。
【0078】
本発明の皮膚外用剤における、これらの美白剤の含有量は、より有効な美白効果を得るとともに、添加した際の臭いや色調等の観点から、皮膚外用剤の全質量を基準として0.1?20質量%であることが好ましく、0.5?20質量%であることがより好ましい。この含有量が0.1質量%未満であると、含有量が上記範囲内である場合と比較して、有効な美白効果が得られなくなる傾向にあり、20質量%を超えても、美白効果のさらなる向上が期待できない傾向にある。
【0079】
本発明においては、上述した美白剤の中でも、水溶性のアスコルビン酸誘導体が特にその経皮吸収促進効果の点から好ましい。
【0080】
本発明の皮膚外用剤に含有されるアシル酸性アミノ酸塩は、アニオン界面活性剤であり、乳化剤として用いられるものである。かかるアシル酸性アミノ酸塩におけるアシル基は、炭素数14以上であることが好ましい。このようなアシル基としては、例えば、ステアロイル、パルミトイル、ミリストイル、ラウロイル、ココイル等が挙げられる。
【0081】
アシル酸性アミノ酸塩におけるアミノ酸としては、例えば、グルタミン酸、アスパラギン酸等が挙げられる。これらの中でも、アシル酸性アミノ酸塩におけるアミノ酸は、グルタミン酸であることが好ましい。
【0082】
アシル酸性アミノ酸塩における塩としては、ナトリウム、カリウム、トリエタノールアミン(TEA)等の塩が挙げられる。
【0083】
アシル酸性アミノ酸塩として具体的には、例えば、N-ステアロイル-L-グルタミン酸ナトリウム、N-ステアロイル-L-グルタミン酸カリウム、N-ステアロイル-L-グルタミン酸トリエタノールアミン、N-ラウロイル-L-グルタミン酸ナトリウム、N-ラウロイル-L-グルタミン酸カリウム、N-ラウロイル-L-グルタミン酸トリエタノールアミン、N-ミリストイル-L-グルタミン酸ナトリウム、N-ミリストイル-L-グルタミン酸カリウム、N-ミリストイル-L-グルタミン酸トリエタノールアミン、N-ココイル-L-グルタミン酸ナトリウム、N-ココイル-L-グルタミン酸カリウム、N-ココイル-L-グルタミン酸トリエタノールアミン等が挙げられるが、これらの中でも、N-ステアロイル-L-グルタミン酸ナトリウム及びN-ラウロイル-L-グルタミン酸ナトリウムが特に好ましい。これらのアシル酸性アミノ酸塩は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0084】
本発明の皮膚外用剤におけるアシル酸性アミノ酸塩の含有量は、美白剤の経皮吸収性をより向上させる観点から、皮膚外用剤の全質量を基準として0.01?2.0質量%であることが好ましく、0.1?1.0質量%であることがより好ましい。この含有量が0.01質量%未満であると、含有量が上記範囲内である場合と比較して、美白剤の経皮吸収性を不十分となる傾向にあり、2.0質量%を超えると、美白剤の経皮吸収性のさらなる向上が認められず、逆に皮膚刺激性が生じる場合がある。
【0085】
本発明の皮膚外用剤には、炭素数18以上の高級アルコール、並びに、炭素数18以上の高級脂肪酸及びその塩のうちの少なくとも一種が含有され、好ましくは炭素数18以上の高級アルコールと、炭素数18以上の高級脂肪酸及び/又はその塩とが含有される。
【0086】
炭素数18以上の高級アルコールとしては、例えば、ベヘニルアルコール、2-オクチルドデカノール、イソステアリルアルコール、オレイルアルコール、ホホバアルコール、エライジルアルコール、リノレイルアルコール、リノレニルアルコール、ステアリルアルコール、オクタデカノール-2、ナノデカノール-1、ナノデカノール-2、アラルキルアルコール、イコサノール-2、ヘンイコサノール、トリコサノール、カルナービルアルコール、ペンタコサノール、セリルアルコール、ヘプタコサノール、コリヤニルアルコール、ノナコサノール、ミリシルアルコール、メリシルアルコール、及び、ラクセリルアルコール等が挙げられる。これらの中でも、ベヘニルアルコール、2-オクチルドデカノール、イソステアリルアルコール、オレイルアルコール、及び、ホホバアルコールが好ましい。これらの高級アルコールは、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0087】
炭素数18以上の高級脂肪酸としては、例えば、ステアリン酸、ベヘン酸(ベヘニン酸)、オレイン酸、イソステアリン酸、12-ヒドロキシステアリン酸等が挙げられる。これらの高級脂肪酸は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの高級脂肪酸は、皮膚外用剤中で遊離した状態で存在していてもよく、塩を形成して高級脂肪酸石けんとして存在していてもよい。
【0088】
上記炭素数18以上の高級脂肪酸が皮膚外用剤中で塩を形成して高級脂肪酸石けんとして存在する場合、かかる高級脂肪酸石けんとしては、例えば、ステアリン酸カリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸アルギニン、及び、ステアリン酸トリエタノールアミン等が挙げられる。
【0089】
本発明の皮膚外用剤における炭素数18以上の高級アルコール、炭素数18以上の高級脂肪酸及びその塩の合計の含有量は、美白剤の経皮吸収性をより向上させる観点から、皮膚外用剤の全質量を基準として1?20質量%であることが好ましく、1?10質量%であることがより好ましい。この含有量が1質量%未満であると、含有量が上記範囲内である場合と比較して、美白剤の経皮吸収性を不十分となる傾向にあり、20質量%を超えると、得られる皮膚外用剤の硬度が高くなり、使用感上不利になる傾向にある。
【0090】
本発明の皮膚外用剤に含有される総炭素数34以上のエステル油は、植物由来のものであることが好ましく、例えば、ホホバ油、ホホバエステル、メドウフォーム油、シア脂、アボカド油、アルモンド油、オリブ油、ゴマ油、コメヌカ油、サフラワー油、大豆油、トウモロコシ油、ナタネ油、パーシック油、パーム核油、パーム油、ヒマシ油、ヒマワリ油、ブドウ種子油、綿実油、及び、ヤシ油等が挙げられる。これらの中でも、ホホバ油、ホホバエステル、メドウフォーム油、及び、シア脂が好ましい。これらのエステル油は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0091】
本発明の皮膚外用剤におけるエステル油の含有量は、美白剤の経皮吸収性を十分に得る観点から、皮膚外用剤の全質量を基準として1質量%以上であることが必要であり、1?20質量%であることが好ましく、1?10質量%であることがより好ましい。この含有量が1質量%未満であると、美白剤の経皮吸収性を不十分となる。一方、含有量が20質量%を超えると、美白剤の経皮吸収性のさらなる向上が期待できないとともに、得られる皮膚外用剤の使用感がべたついたものとなる傾向にある。
【0092】
更に、本発明の皮膚外用剤には、上述した各成分の他に、医薬品、医薬部外品、化粧料に通常配合される、油性成分、粉体、色素、乳化剤、可溶化剤、薬剤、香料、樹脂、アルコールなどを、本発明の効果、特徴を損なわない範囲において適宜配合することができる。
【0093】
以上説明した本発明の皮膚外用剤は、美白用クリーム、美容液、皮膚用ローション、皮膚用乳剤、皮膚用ゲル剤、皮膚用クリーム、水中油型乳剤性軟膏、メイクアップベースクリーム、乳液状ファンデーション、ハンドクリーム、ゼリー状ピールオフパック、マッサージゲル、洗顔料、クレンジングクリーム、マスク剤等の様々な剤型の美白化粧料として使用することができる。
【0094】
そして、本発明の皮膚外用剤を皮膚に塗布するなどして使用することにより、当該皮膚外用剤に含有される美白剤(特に水溶性アスコルビン酸誘導体のような親水性薬剤)の経皮吸収性が優れていることから、美白剤を皮膚の角質層に有効に浸透させることができ、優れた美白効果を得ることができる。
【実施例】
【0095】
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0096】
[実施例1?6及び比較例1?2]
表1に示す処方(数字は質量%を示す)の皮膚外用剤を、以下の手順で作製した。まず、成分(13)を成分(14)の一部に溶解して美白剤含有成分を、成分(1)?(9)を75℃に加熱し混合溶解して油性成分を、成分(10)?(12)及び成分(14)の残部を75℃に加熱し混合溶解して水性成分を、それぞれ作製した。次に、75℃で水性成分に油性成分を徐々に添加して乳化後、40℃まで冷却し、そこへ美白剤含有成分を添加した。これにより、実施例1?5及び比較例1の皮膚外用剤を得た。
【0097】
また、表2に示す処方(数字は質量%を示す)の皮膚外用剤を、以下の手順で作製した。まず、成分(8)を成分(9)の一部に溶解して美白剤含有成分を、成分(1)?(5)を75℃に加熱し混合溶解して油性成分を、成分(6)?(7)及び成分(9)の残部を75℃に加熱し混合溶解して水性成分を、それぞれ作製した。次に、75℃で水性成分に油性成分を徐々に添加して乳化後、40℃まで冷却し、そこへ美白剤含有成分を添加した。これにより、実施例6及び比較例2の皮膚外用剤を得た。
【0098】
(薬剤皮膚透過性試験)
実施例1?6及び比較例1?2で得られた皮膚外用剤について、美白剤に対する経皮吸収促進効果を評価するため、ヘアレスマウス皮膚透過試験を行った。試験は、ヘアレスマウスの剥離した皮膚を、0.785cm^(2)の拡散有効面積を持つ拡散セルに、角質層側がドナー相、表皮側がレセプター相になるように装着し、試料を塗布することにより行った。レセプター相にはpH7.4のリン酸緩衝溶液5mlをレセプター液として入れた。24時間後にレセプター液をサンプリングし、高速液体クロマトグラフィーにより美白剤の透過量を求めた。結果は薬剤透過率(%)として表し、表1及び2に示す。
【0099】
【表1】

【0100】
【表2】

【0101】
表1及び2に示した結果から明らかなように、実施例1?6の皮膚外用剤は、比較例1?2の皮膚外用剤と比較して、美白剤(アスコルビン酸リン酸エステルマグネシウム塩及びアスコルビン酸リン酸エステルナトリウム塩)の薬剤透過率が高く、美白剤の経皮吸収が顕著に促進されていることが確認された。
【0102】
[実施例7]
表3に示す処方(数字は質量%を示す)の皮膚外用剤を、以下の手順で作製した。まず、成分(18)を成分(5)の一部に溶解して第1の美白剤含有成分を、成分(19)?(21)を混合溶解して第2の美白剤含有成分を、成分(8)?(17)を75℃に加熱し混合溶解して油性成分を、成分(1)?(4)、成分(6)?(7)及び成分(5)の残部を75℃に加熱し混合溶解して水性成分を、それぞれ作製した。次に、75℃で水性成分に油性成分を徐々に添加して乳化後、40℃まで冷却し、そこへ第1及び第2の美白剤含有成分を添加した。これにより、実施例7の皮膚外用剤を得た。
【0103】
【表3】

【0104】
[比較例3]
表4に示す処方(数字は質量%を示す)の皮膚外用剤を、以下の手順で作製した。まず、成分(14)を成分(15)の一部に溶解して美白剤含有成分を、成分(12)及び(13)を混合溶解して添加成分を、成分(1)?(9)を75℃に加熱し混合溶解して油性成分を、成分(10)?(11)及び成分(15)の残部を75℃に加熱し混合溶解して水性成分を、それぞれ作製した。次に、75℃で水性成分に油性成分を徐々に添加して乳化後、40℃まで冷却し、そこへ美白剤含有成分及び添加成分を添加した。これにより、比較例3の皮膚外用剤を得た。
【0105】
【表4】

【0106】
(黒化抑制試験)
実施例7及び比較例3で得られた皮膚外用剤について、黒化抑制効果(美白効果)を評価するための試験を以下の手順で行った。なお、以下の説明では実施例7の皮膚外用剤を試験サンプルとした場合について説明するが、これと同様の手順で比較例3の皮膚外用剤を試験サンプルとした場合についても試験を行った。
【0107】
まず、男性パネラー5名に対し、試験部位を上腕内側部として、太陽光類似光照射装置によりUV-B(波長280?315nmの紫外線)を照射し、予め各パネラーの最小紅斑量(MED)を確認する。次に、UV-B照射を行う3日前から1日1回、実施例7で得られた皮膚外用剤を、各パネラーのUV-B照射予定部位に塗布する。次に、各パネラーのUV-B照射予定部位に1.5MED相当のUV-Bを照射し、日焼け部を形成する。UV-B照射後すぐに、実施例7で得られた皮膚外用剤を日焼け部に塗布し、その後7日間、1日1回、日焼け部に皮膚外用剤を塗布する。
【0108】
各パネラーの日焼け部について、ミノルタ社製の分光側色機により、日焼け部を形成してから1週間後の日焼け部のL^(*)の値を5回測定し、その平均値を求めた。更にパネラー5名の平均値を求めて、最終的な測定データとしてのL^(*)値を求めた。また、比較対照として、1.5MED相当のUV-Bを照射して日焼け部を形成したが、照射前後に皮膚外用剤を塗布しなかった照射・未塗布部位のL^(*)値を、日焼け部を形成してから1週間後に測定し、パネラー5名の平均値を求めた。更に、上記日焼け部のL^(*)値を測定するとともに、UV-Bを照射せず皮膚外用剤の塗布も行わなかった未照射・未塗布部位のL^(*)値を測定し、パネラー5名の平均値を求めた。そして、未照射・未塗布部位のL^(*)値と、実施例7及び比較例3の皮膚外用剤を塗布した日焼け部のL^(*)値、並びに、照射・未塗布部位のL^(*)値との差をΔL^(*)としてそれぞれ算出した。このΔL^(*)の値が小さいほど黒化抑制効果(美白効果)が高いことを意味する。それらの結果を表5に示す。
【0109】
【表5】

【0110】
表5に示した結果から明らかなように、実施例7の皮膚外用剤は、比較例3の皮膚外用剤と比較して、美白効果に優れていることが確認された。
【0111】
なお、実施例7の皮膚外用剤については、上記黒化抑制試験期間中に、含有成分の析出、分離、凝集、変臭、変色といった製剤の状態変化は全く見られなかった。また、実施例7の皮膚外用剤を用いた場合に、皮膚刺激性反応や皮膚感作性反応を示したパネラーは存在しなかった。このことから、実施例7の皮膚外用剤は、安全性に優れていることが確認された。
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
美白剤として、水に溶かして配合される水溶性アスコルビン酸誘導体を0.5質量%以上と、
アシル酸性アミノ酸塩と、
炭素数18以上の高級アルコール、並びに、炭素数18以上の高級脂肪酸及びその塩からなる群より選択される少なくとも一種と、
総炭素数34以上のエステル油と、
を含有し、
前記総炭素数34以上のエステル油が、ホホバ油、ホホバエステル、メドウフォーム油、及び、シア脂からなる群より選択される少なくとも一種であり、
前記総炭素数34以上のエステル油の含有量が1.5質量%以上であることを特徴とする皮膚外用剤(ただし、微生物由来のリポペプチド類を含むものと低分子ベタインを含むものとを除く)。
【請求項2】
前記アシル酸性アミノ酸塩が、炭素数14以上のアシル基を有する、グルタミン酸と、ナトリウム、カリウム、及び、トリエタノールアミンからなる群より選択される少なくとも一種との塩であることを特徴とする請求項1に記載の皮膚外用剤。
【請求項3】
前記炭素数18以上の高級アルコールが、ベヘニルアルコール、2-オクチルドデカノール、イソステアリルアルコール、オレイルアルコール、及び、ホホバアルコールからなる群より選択される少なくとも一種であることを特徴とする請求項1又は2に記載の皮膚外用剤。
【請求項4】
前記炭素数18以上の高級脂肪酸が、ステアリン酸、ベヘン酸、オレイン酸、イソステアリン酸、及び、12-ヒドロキシステアリン酸からなる群より選択される少なくとも一種であることを特徴とする請求項1?3のうちのいずれか一項に記載の皮膚外用剤。
【請求項5】
前記美白剤の含有量が0.5?20質量%であり、前記アシル酸性アミノ酸塩の含有量が0.01?2.0質量%であることを特徴とする請求項1?4のうちのいずれか一項に記載の皮膚外用剤。
【請求項6】
請求項1?5のうちのいずれか一項に記載の皮膚外用剤を使用して、前記美白剤を皮膚の角質層に浸透させることを特徴とする美白剤の浸透方法。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
審理終結日 2007-12-21 
結審通知日 2007-12-25 
審決日 2008-01-16 
出願番号 特願2005-203091(P2005-203091)
審決分類 P 1 113・ 113- YA (A61K)
P 1 113・ 536- YA (A61K)
P 1 113・ 841- YA (A61K)
P 1 113・ 853- YA (A61K)
P 1 113・ 851- YA (A61K)
P 1 113・ 121- YA (A61K)
P 1 113・ 832- YA (A61K)
P 1 113・ 537- YA (A61K)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 ▲高▼岡 裕美  
特許庁審判長 塚中 哲雄
特許庁審判官 弘實 謙二
穴吹 智子
登録日 2005-12-02 
登録番号 特許第3747053号(P3747053)
発明の名称 皮膚外用剤及びそれを用いた美白剤の浸透方法  
代理人 三好 秀和  
代理人 高久 浩一郎  
代理人 原 裕子  
代理人 齋藤 房幸  
代理人 高久 浩一郎  
代理人 豊岡 静男  
代理人 豊岡 静男  
代理人 原 裕子  
代理人 津国 肇  
代理人 三好 秀和  
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