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審決分類 審判 査定不服 特17条の2、3項新規事項追加の補正 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 発明同一 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1176331
審判番号 不服2005-8400  
総通号数 102 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2008-06-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2005-05-06 
確定日 2008-04-11 
事件の表示 特願2001- 35700「回胴式スロットマシン」拒絶査定不服審判事件〔平成14年 8月27日出願公開、特開2002-239069〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は平成13年2月13日の出願であって、平成17年3月29日付けで拒絶の査定がされたため、これを不服として同年5月6日付けで本件審判請求がされるとともに、同月30日付けで明細書についての手続補正(以下「本件補正」という。)がされたものである。

第2 補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
平成17年5月30日付けの手続補正を却下する。

[理由]
1.補正内容
本件補正により、請求項1は次のように補正された。
「ゲームがスタートとしたときハズレあるいは入賞役の内部当たりを電子的に決定し、所定数の回転リールを夫々ストップボタンの押下で停止させ、入賞ライン上に停止した前記所定数の図柄が前記入賞役に該当するときこの入賞役に定められた配当価値を払い出し、前記入賞役のうち複数の所定入賞役のいずれかに内部当たりしたにも関わらず当該所定入賞役の図柄が揃わなかったときは該図柄が揃うまで前記所定入賞役の内部当たりを持ち越す回胴式スロットマシンにおいて、
前記持ち越された所定入賞役のいずれかに内部当たりしたにも関わらず連続して前記入賞ライン上に前記持ち越された所定入賞役の図柄を揃えることができなかった回数を計数する計数手段と、
前記持ち越された所定入賞役の種類とは無関係に前記回数に対応した演出報知データが複数種類予め用意され、前記持ち越された所定入賞役の図柄を連続して揃えることができなかった場合に前記計数手段の計数値に対応する前記演出報知データを読み出し出力する報知手段
を備え、
連続した前記回数に応じて演出報知の内容が変化することを特徴とする回胴式スロットマシン。」(強制改行を除くと、上記下線部が本件補正により追加記載された。)

2.補正目的違反及び新規事項追加
補正後の「計数手段」が計数する対象は「持ち越された所定入賞役の図柄を揃えることができなかった回数」であるから、所定入賞役が持ち越されていない状態で所定入賞役に内部当たりした場合、その所定入賞役は「持ち越された所定入賞役」ではないから計数対象外とされる。
補正後の「前記持ち越された所定入賞役の図柄を連続して揃えることができなかった場合に前記計数手段の計数値に対応する前記演出報知データを読み出し出力」及び「連続した前記回数に応じて」との記載によっても、所定入賞役が持ち越されていない状態で所定入賞役に内部当たりした場合には報知データを読み出し出力しないと解さなければならない。
しかし、願書に最初に添付した明細書(以下、添付図面と併せて「当初明細書」という。)には、「内部当たりしたにも関わらず前記入賞ライン上に前記入賞役の図柄を連続して揃えることができなかった回数を計数しこの計数値に応じて演出報知の内容を変える」(段落【0010】)、「副CPU41は、主基板20側から送られてくるデータ中の当選フラグの値がON(当選)であるかOFFであるかを判定する(ステップS11)。この判定の結果、当選フラグがON(YES)の場合には次にステップS12に進み、成立役が獲得されたか否かを判定する。成立役の獲得とは、内部当選した図5に示す図柄を遊技者がストップボタン5a?5cを押下して停止ラインT上に停止させることができたことをいう。成立役が獲得されなかった場合には、とりこぼし回数カウンタの内容を“+1”し(ステップS13)、次のステップS14でカウンタ値別の演出表示を行い、この処理を終了する。」(段落【0029】)、「ステップS11での判定の結果、当選フラグがOFFの場合にはステップS15に進み、とりこぼしカウンタをリセットして、この処理を終了する。ステップS12で成立役が獲得されたと判定された場合にもステップS15に進み、とりこぼしカウンタをリセットし、この処理を終了する。」(段落【0030】)及び「副基板40に設けられたメモリ43(図2)には、計数値1?3に対応した画面データA及び効果音データaが用意され、計数値4?6に対応した画面データB及び効果音データbが用意され、計数値7?9に対応した画面データC及び効果音データcが用意され、計数値10以上に対応した画面データD及び効果音データdが用意されている。そして、副CPU41は、とりこぼしカウンタ(本実施形態では、副CPU41内に設けられたソフトカウンタとするが、ハードカウンタを副基板40に設けてもよい。)の計数値に応じた画面データと効果音データ、例えば計数値が“5”であれば画面データB及び効果音データbを読み出し、液晶表示装置3及びスピーカ47に出力する。」(段落【0032】)との各記載があり、これら記載と添付の【図4】によれば、所定入賞役が持ち越されていない状態では「とりこぼしカウンタ」のカウント値は0であり、その状態で所定入賞役に内部当たりした場合にも計数され(とりこぼし回数カウンタの内容を“+1”)、計数値が1(「連続して揃えることができなかった場合に」には該当しない。)であっても、報知データを読み出し出力することが明らかである。
本件補正前の請求項1には、上記下線部の記載がなく、「前記所定入賞役のいずれかに内部当たりしたにも関わらず連続して前記入賞ライン上に前記所定入賞役の図柄を揃えることができなかった回数を計数する計数手段」との記載はあるものの、ここでの「連続して」は「前記所定入賞役の図柄を揃えることができなかった」の修飾語であるから、「前記所定入賞役のいずれかに内部当たりしたにも関わらず所定入賞役の図柄を揃えることができなかった連続回数を計数する計数手段」の趣旨と解すべきであり、補正前の請求項1においても、当初明細書同様、所定入賞役が持ち越されていない状態で所定入賞役に内部当たりした場合にも計数され、計数値が1であっても、報知データを読み出し出力すると解さなければならない。
そうすると、本件補正は、請求項削除(平成18年改正前特許法17条の2第4項1号)、特許請求の範囲の減縮(同項2号)、誤記の訂正(同項3号)又は明りようでない記載の釈明(同項4号)の何れをも目的としておらず、かつ当初明細書に記載された事項の範囲内でされたものではないから、特許法17条の2第3項及び平成18年改正前の同法17条の2第4項の規定に違反している。
仮に、「持ち越された」を「持ち越される」と解釈し、「前記持ち越された所定入賞役の図柄を連続して揃えることができなかった場合」及び「連続した前記回数に応じて」を、「前記持ち越される所定入賞役の図柄を揃えることができなかった場合」及び「連続回数に応じて」の趣旨にそれぞれ解するとしても、同解釈のもとでは特許請求の範囲を何も減縮していない(「所定入賞役」が「持ち越される」入賞役であることは、補正前においても特定されている。)ばかりか、請求項1の記載を不明りようにしているから、特許法17条の2第3項及び平成18年改正前の同法17条の2第4項の規定に違反していることには変わりがない。

[補正の却下の決定のむすび]
以上のとおりであるから、特許法159条1項で読み替えて準用する同法53条1項の規定により、本件補正は却下されなければならない。
よって、補正の却下の決定の結論のとおり決定する。

第3 本件審判請求についての判断
1.本願発明の認定
本件補正が却下されたから、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、平成16年12月27日付けで補正された明細書の特許請求の範囲【請求項1】に記載された事項によって特定される次のとおりのものと認める。
「ゲームがスタートとしたときハズレあるいは入賞役の内部当たりを電子的に決定し、所定数の回転リールを夫々ストップボタンの押下で停止させ、入賞ライン上に停止した前記所定数の図柄が前記入賞役に該当するときこの入賞役に定められた配当価値を払い出し、前記入賞役のうち複数の所定入賞役のいずれかに内部当たりしたにも関わらず当該所定入賞役の図柄が揃わなかったときは該図柄が揃うまで前記所定入賞役の内部当たりを持ち越す回胴式スロットマシンにおいて、前記所定入賞役のいずれかに内部当たりしたにも関わらず連続して前記入賞ライン上に前記所定入賞役の図柄を揃えることができなかった回数を計数する計数手段と、前記所定入賞役の種類とは無関係に前記回数に対応した演出報知データが複数種類予め用意され前記計数手段の計数値に対応する前記演出報知データを読み出し出力する報知手段を備えることを特徴とする回胴式スロットマシン。」

2.先願明細書記載の発明の認定
原査定の拒絶の理由に引用され、本件出願前に出願され本件出願後に出願公開された特願2000-253009号(以下「先願」という。)の願書に最初に添付された明細書(以下、「添付図面」を含めて「先願明細書」という。公開公報である特開2001-120719号の記載及び図面とその内容は逐一同一である。)の【特許請求の範囲】の記載は次のとおりである。
「【請求項1】 遊技者に有利に働くサポート手段を有する遊技機において、複数図柄を可変表示させる複数列の可変表示手段と、操作タイミングに応じて入賞ライン上に各列所定の図柄を停止させる停止手段とを有し、内部当選役の入賞の取りこぼし状況に応じて、前記サポート手段の作動を許可するサポート許可手段を設けたことを特徴とする遊技機。
【請求項2】 前記サポート手段は、特定の役の内部当選結果を遊技者に報知するものである請求項1記載の遊技機。
【請求項3】 内部当選役の入賞の取りこぼしが多いほど、内部当選結果の報知の信頼度を高くしている請求項2記載の遊技機。」
請求項3の発明を先願発明ということにし、それを独立形式で書き下し、適宜段落分けをすると次のとおりである。
「遊技者に有利に働くサポート手段を有する遊技機において、
前記サポート手段は特定の役の内部当選結果を遊技者に報知するものであり、
複数図柄を可変表示させる複数列の可変表示手段と、操作タイミングに応じて入賞ライン上に各列所定の図柄を停止させる停止手段とを有し、内部当選役の入賞の取りこぼし状況に応じて、前記サポート手段の作動を許可するサポート許可手段を設け、
内部当選役の入賞の取りこぼしが多いほど、内部当選結果の報知の信頼度を高くしている遊技機。」

3.本願発明と先願発明の一致点及び相違点の認定
先願発明は「複数図柄を可変表示させる複数列の可変表示手段と、操作タイミングに応じて入賞ライン上に各列所定の図柄を停止させる停止手段とを有」する遊技機であり、先願明細書の発明の詳細な説明を見るまでもなく、その遊技機は「スロットマシン」である(発明の詳細な説明では、段落【0019】等において明示されている。)
先願発明は「内部当選結果」、「内部当選役」等の用語が用いられていることからみて、「ゲームがスタートとしたときハズレあるいは入賞役の内部当たりを電子的に決定」するものであり、先願発明の「複数列の可変表示手段」及び「停止手段」は、本願発明の「所定数の回転リール」及び「ストップボタン」に相当(厳密にいうと、「回転リール」以外の可変表示手段も存在するが、スロットマシンにおける可変表示手段の多くは「回転リール」であり、発明の詳細な説明によれば、段落【0022】等から「回転リール」であることが明瞭に読み取れる。)し、回転リールを用いるスロットマシンは「回胴式スロットマシン」と称し得る。
先願発明において、入賞ライン上に停止図柄(所定数である)が入賞役に該当するときこの入賞役に定められた配当価値を払い出すことは自明である。
先願発明における「内部当選役の入賞の取りこぼし」とは、本願発明でいう「入賞役のいずれかに内部当たりしたにも関わらず当該所定入賞役の図柄が揃わなかったとき」と異ならない。また、そのようなとりこぼしがあっても、該図柄が揃うまで入賞役の内部当たりを持ち越すような入賞役を設けることは技術常識に属し、そのことは先願明細書に「ビッグボーナスやレギュラーボーナスの場合、ボーナスに内部当選したフラグ成立ゲームでボーナス図柄を揃えられなくとも、ボーナスフラグは次ゲーム以降に持ち越され、ボーナス図柄が実際に揃うまで何回もチャンスは与えられる」(段落【0004】)と記載されるとおりであるから、かかる入賞役の有無は本願発明と先願発明の一致点である。
そして、先願発明の「サポート手段」は「特定の役の内部当選結果を遊技者に報知する」手段であるから、「報知手段を備える」ことも本願発明と先願発明の一致点である。
したがって、本願発明と先願発明は、
「ゲームがスタートとしたときハズレあるいは入賞役の内部当たりを電子的に決定し、所定数の回転リールを夫々ストップボタンの押下で停止させ、入賞ライン上に停止した前記所定数の図柄が前記入賞役に該当するときこの入賞役に定められた配当価値を払い出し、前記入賞役のうち複数の所定入賞役のいずれかに内部当たりしたにも関わらず当該所定入賞役の図柄が揃わなかったときは該図柄が揃うまで前記所定入賞役の内部当たりを持ち越す回胴式スロットマシンにおいて、報知手段を備える回胴式スロットマシン。」である点で一致し、次の点で一応相違する。
〈相違点〉本願発明が「前記所定入賞役のいずれかに内部当たりしたにも関わらず連続して前記入賞ライン上に前記所定入賞役の図柄を揃えることができなかった回数を計数する計数手段」を備え、報知手段によって「前記所定入賞役の種類とは無関係に前記回数に対応した演出報知データが複数種類予め用意され前記計数手段の計数値に対応する前記演出報知データを読み出し出力する」のに対し、先願発明では内部当選役の入賞の取りこぼしが多いほど、内部当選結果の報知の信頼度を高くして、特定の役の内部当選結果を遊技者に報知する点。

4.相違点の判断
上記相違点に係る本願発明の構成を子細にみると、検討すべき事項は以下の諸点である。
a.先願発明の「特定の役」が本願発明の「前記所定入賞役」に該当するかどうか。
b.「演出報知データ」として、「前記所定入賞役の種類とは無関係に複数種類予め用意」するかどうか。
c.「前記所定入賞役のいずれかに内部当たりしたにも関わらず連続して前記入賞ライン上に前記所定入賞役の図柄を揃えることができなかった回数を計数する計数手段」を備え、「計数手段の計数値に対応する前記演出報知データを読み出し出力する」かどうか。

まずaの事項についてであるが、遊技者にとって関心が高いのは内部当たりを持ち越される入賞役であり、先願明細書の「ボーナス内部当選中におけるサポート手段の第4実施形態は、成立フラグすなわち内部当選結果を報知するものである。」(段落【0044】)との記載からみても、先願発明が「特定の役」として本願発明の「前記所定入賞役」を想定していることは明らかであるから、aの事項は実質的相違には当たらない。
先願明細書には「ビッグかレギュラーかの区別もでき」(段落【0045】)及び「全入賞役の報知時にビッグかレギュラーかの区別は報知しないものとしてもよい。」(段落【0046】)との各記載があり、「ビッグ」及び「レギュラー」は「ビッグボーナス」及び「レギュラーボーナス」の意味であって、どちらも本願発明の「前記所定入賞役」に該当する入賞役であるところ、報知に当たりこれら2つの所定入賞役を区別することも区別しないことも記載されているのだから、区別しないことも想定されている。先願発明では「内部当選役の入賞の取りこぼしが多いほど、内部当選結果の報知の信頼度を高くしている」のであるが、そのためには、複数の「演出報知データ」が必要であるから、演出報知データを複数種類予め用意することは一致点である。ただし、複数種類の演出報知データが「回数に対応した演出報知データ」かどうかは、目下のところ実質的相違かどうか判然としないが、それは事項cの問題であり、bの事項は実質的相違には当たらない
先願明細書には、「ボーナスの内部当選から5ゲームを経過すると、先ず、小役の内部当選結果が報知される。・・・16ゲーム以上になると、全入賞役の内部当選結果が報知され」(段落【0045】)との記載があるから、「前記所定入賞役のいずれかに内部当たりしたにも関わらず連続して前記入賞ライン上に前記所定入賞役の図柄を揃えることができなかった回数を計数する計数手段」を備えることは予定されており、その計数値に応じて報知を行う(「演出報知データを読み出し出力する」ことはその前提である。)ことも予定されている。先願明細書の【図14】は、【図12】の「レベル別ポイント加算テーブル」及び【図13】の「レベル設定テーブル」に基づいて決定された「遊技者の技術レベル」(段落【0050】)別の報知態様選択テーブルを示す図であって、計数値に応じて報知する場合のテーブルとして記載されているのではないが、同テーブルを計数値に応じた報知に採用できない理由はない。そればかりか、本願出願前に頒布された特開平11-178979号公報(以下「周知例」という。)に「ビッグボーナスフラグが成立してからビッグボーナスが実際にスタートするまでの間における浪費コイン数及び浪費ゲーム回数を・・・求めるようにしたので、・・・遊技客の遊技技術・・・を判断することができ」(段落【0050】)と記載されているように、「前記所定入賞役のいずれかに内部当たりしたにも関わらず連続して前記入賞ライン上に前記所定入賞役の図柄を揃えることができなかった回数」(上記周知例には、ビッグボーナスフラグ成立後の回数しか記載されていないが、レギュラーボーナスを含めることは設計事項である。)により「遊技者の技術レベル」を評価することは周知であるから、先願明細書段落【0044】?【0045】の実施例と段落【0050】?【0064】の実施例は個別無関係な実施例ではなく、報知段階が複数ある際に、どの段階とするかを段落【0044】?【0045】のように計数値に応じて定めた場合及び段落【0050】?【0064】のように「遊技者の技術レベル」に応じて定めた場合について、報知態様を融通しあえるものであり、計数値に応じて報知を行うに際し、【図14】の報知態様選択テーブルを採用することは、先願明細書に記載されているに等しいか、又は極めて軽微な設計事項程度である。
ここで、【図14】の報知態様選択テーブルに、128を分母とする報知確率が示されていることを考慮すると、読み出すべき「演出報知データ」は確率的に定まるのであって、「計数値に対応する前記演出報知データを読み出」すとまではいえない。しかし、【図14】のレベル1,レベル3及びレベル4においては、BB及びRB(それぞれ「ビッグボーナス」及び「レギュラーボーナス」を意味するものと認める。)に対しては、128/128の確率で(すなわち確定的に)1つの報知態様が選択される(レベル4では何も報知しないのであるが、何もしないことも報知の一態様と捉えることができる。)よう図示されている。レベル2においては、確率的ではあるが、BBであれば111/128の確率、RBであれば101/128の確率で1つの報知態様(Eのアイテム)が選択、すなわちほとんどの場合に、同一の報知がなされる。そうであれば、所定入賞役に対して読み出すべき「演出報知データ」を、「前記所定入賞役のいずれかに内部当たりしたにも関わらず連続して前記入賞ライン上に前記所定入賞役の図柄を揃えることができなかった回数」に応じて確定的に定める、すなわち「計数値に対応する前記演出報知データを読み出し出力する」ことは、先願明細書にされているに等しいか、又は極めて軽微な設計事項程度であり、cの事項も実質的相違には当たらない
以上のとおり、本願発明と先願発明の相違点は実質的相違点といえるほどのものではないから、本願発明は先願発明と実質的に同一発明である。

第4 むすび
本願発明は先願発明と実質的に同一発明であり、先願発明の発明者は本願発明の発明者と同一の者ではないこと、及び本願出願時において本願の出願人と先願の出願人とが同一の者でないことは明らかであるから、本願発明は特許法29条の2の規定により特許を受けることができない。
よって、本願のその余の請求項に係る発明について検討するまでもなく、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2008-02-07 
結審通知日 2008-02-13 
審決日 2008-02-26 
出願番号 特願2001-35700(P2001-35700)
審決分類 P 1 8・ 572- Z (A63F)
P 1 8・ 161- Z (A63F)
P 1 8・ 561- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 一宮 誠  
特許庁審判長 津田 俊明
特許庁審判官 ▲吉▼川 康史
川島 陵司
発明の名称 回胴式スロットマシン  
代理人 市川 利光  
代理人 本多 弘徳  
代理人 小栗 昌平  

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