ポートフォリオを新規に作成して保存 |
|
|
既存のポートフォリオに追加保存 |
|
PDFをダウンロード |
審決分類 |
審判 判定 判示事項別分類コード:121 属さない(申立て不成立) G07F |
---|---|
管理番号 | 1177521 |
判定請求番号 | 判定2007-600069 |
総通号数 | 102 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許判定公報 |
発行日 | 2008-06-27 |
種別 | 判定 |
判定請求日 | 2007-09-20 |
確定日 | 2008-05-02 |
事件の表示 | 上記当事者間の特許第3097694号の判定請求事件について、次のとおり判定する。 |
結論 | (イ)号図面及びその説明書に示す「遊技カードシステム」は、特許第3097694号発明の技術的範囲に属しない。 |
理由 |
1.請求の趣旨 本件判定の請求の趣旨は、イ号の図面および説明書に示すICカード搬送制御ユニット(「CIU-104」)(以下、「イ号物件」という。)は、特許第3097694号発明の技術的範囲に属するとの判定を求めるものである。 2.本件特許発明1 本件特許第3097694号発明は、平成13年9月17日付けの訂正請求により訂正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1?6に記載されたとおりのものであり、訂正された特許請求の範囲の請求項1に記載の発明(以下、「本件特許発明1」という。)の構成要件を分説すると、次のとおりである。 A 遊技機本体、 B 該遊技機本体に対応して設けられた金額代替物を貸し出す貸ユニット、 C これら遊技機本体又は貸ユニットのいずれかに設けられたカードユニットとを有し、 D 前記カードユニットは、所定条件の下でICカードを収納し貯蔵しておく収納貯蔵手段と、 E 投入した金額情報を書き込んで前記収納貯蔵手段からICカードを発券する発券手段と、 F ICカードが発券可能か否かの判別を行う判別手段と、 G この判別手段により発券不能と判別されたICカードを回収する回収手段と、 H ICカードを受け付けると共に受け付けたICカードが、金額情報が書き込まれたICカードであるか、金額情報及び遊技機本体で獲得した金額代替物の貯留情報が書き込まれたICカードであるかの種類を識別する受付識別手段と、 I この受付識別手段によって識別されたICカードの種類に応じてICカードから情報を読み出して前記遊技機本体及び前記貸ユニットを制御する制御手段と J を備えたことを特徴とする遊技カードシステム。 3.イ号物件 当合議体は、請求人に対し、平成19年12月5日付けの審尋により請求人の主張する「イ号」を特定するための製品名、型番等の資料を求めたところ、請求人は、平成19年12月22日付け回答書により、「イ号」は被請求人の販売する「CIU-104」であると特定した。 また、イ号物件は、平成20年1月21日付けの被請求人の答弁書(第2回)とともに提出された乙第1号証ないし乙第4号証、及び、その説明の記載を参酌し、その構成要件を分説すると、次のとおりのものと認められる。 a 遊技機本体に隣接して遊技機本体に適用され、 b 該遊技機本体に用いる金額代替物を貸し出す手段、 c カード挿入口から挿入されるICカードを装置内に保持してデータの読み取り及び書き込みを行う手段、 d ICカードを回収して内部に収納する手段、 e 入金された金額に対する情報を書き込んでICカードを発券する手段、 f 挿入口から受け付けたICカードに記憶されている金額情報、カード識別子、及び、会員番号を識別する手段、 g ICカードに記憶されている情報の識別により前記遊技機本体及び前記金額代替物を貸し出す手段を制御する手段と h を備えたことを特徴とするICカードシステム。 4.対比・判断 (1)本件特許発明1について イ号物件の各構成が本件特許発明1の各構成要件を充足するか否かについて検討する。 (ア)構成要件Aについて イ号物件の「ICカードシステム」は、「遊技機本体」に用いられる「金額代替物」を貸し出すために適用されるものでから、イ号物件の構成要件aの「遊技機本体に隣接して遊技機本体に適用され」は、実質的に本件特許発明1の「遊技機本体」を備えているといえ、本件特許発明1の構成要件Aを充足する。 (イ)構成要件Bについて イ号物件の「該遊技機本体に用いる金額代替物を貸し出す手段」は、本件特許発明1の「該遊技機本体に対応して設けられた金額代替物を貸し出す貸ユニット」に相当するから、イ号物件の構成要件bは本件特許発明1の構成要件Bを充足する。 (ウ)構成要件Cについて イ号物件の「カード挿入口から挿入されるICカードを装置内に保持してデータの読み取り及び書き込みを行う手段」は、「遊技機本体に用いる金額代替物を貸し出す手段」とともに、「カードユニット」を構成しているから、イ号物件の構成要件Ccは本件特許発明1の構成要件Cを充足する。 (エ)構成要件Dについて イ号物件の「ICカードを回収して内部に収納する手段」は、本件特許発明1の「前記カードユニットは、所定条件の下でICカードを収納し貯蔵しておく収納貯蔵手段」に相当するから、イ号物件の構成要件dは本件特許発明1の構成要件Dを充足する。 (オ)構成要件Eについて イ号物件の「入金された金額に対する情報を書き込んでICカードを発券する手段」は、本件特許発明1の「投入した金額情報を書き込んで前記収納貯蔵手段からICカードを発券する発券手段」に相当しているから、イ号物件の構成要件eは本件特許発明1の構成要件Eを充足する。 (カ)構成要件F及びGについて イ号物件は、「ICカードを回収して内部に収納する手」及び「入金された金額に対する情報を書き込んでICカードを発券する手段」を備えているが、ICカードの発券について発券可能か否かの判別を行うものではなく、また、判別手段により発券不能と判別された場合に、ICカードを回収するものでもないから、イ号物件の構成(d)及び(e)は、本件特許発明の発明特定事項F及びGを充足しない。 (キ)構成要件Hについて、 本件特許発明1の構成要件Hの「受付識別手段」は、「ICカードを受け付けると共に受け付けたICカードが、金額情報が書き込まれたICカードであるか、金額情報及び遊技機本体で獲得した金額代替物の貯留情報が書き込まれたICカードであるかの種類を識別する」ものであるが、イ号物件の 「ICカード」には、「遊技機本体で獲得した金額代替物の貯留情報」が記憶されていない。 したがって、本件特許発明1とイ号物件の「ICカード」は記憶されている情報が異なっており、イ号物件の構成要件fの「識別手段」は、「ICカードを受け付けると共に受け付けたICカードが、金額情報が書き込まれたICカードであるか、金額情報及び遊技機本体で獲得した金額代替物の貯留情報が書き込まれたICカードであるかの種類を識別する受付識別手段」を備えておらず、本件特許発明1の構成要件Hを充足しない。 (ク)構成要件Iについて、 イ号物件の「ICカードに記憶されている情報の識別により前記遊技機本体及び前記金額代替物を貸し出す手段貸を制御する手段」は、その機能及び構造からみて本件特許発明1の「受付識別手段によって識別されたICカードの種類に応じてICカードから情報を読み出して前記遊技機本体及び前記貸ユニットを制御する制御手段」に相当するといえ、イ号物件の構成要件gは本件特許発明1の構成要件Iを充足する。 (ケ)構成要件Jについて、 イ号物件の「ICカードシステム」は、その機能、構造及び文言からみて本件特許発明1の「遊技カードシステム」に相当するといえ、イ号物件の構成要件hは、本件特許発明1の構成要件Jを充足する。 (2)むすび よって、イ号物件は、本件特許発明1のICカードに記憶されている情報の識別の態様とは明らかに異なるものであり、本件特許発明1の構成要件のF、G及びHを文言上充足していないから、イ号物件は本件特許発明1の技術的範囲に属しない。 5.訂正された特許請求の範囲の請求項2?6に記載され発明について イ号物件は、本件特許発明1の技術的範囲に属しないのであるから、イ号物件が本件特許発明1に対して他の発明特定事項を付加した訂正された特許請求の範囲の請求項2?6に記載され発明の技術的範囲にも属しないことは明らかである。 6.むすび 以上のとおりであるから、イ号物件は、本件特許発明の技術的範囲に属しない。 よって、結論のとおり判定する。 |
別掲 |
|
判定日 | 2008-04-21 |
出願番号 | 特願平11-157507 |
審決分類 |
P
1
2・
121-
ZB
(G07F)
|
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 松縄 正登、岩田 洋一 |
特許庁審判長 |
阿部 寛 |
特許庁審判官 |
仲村 靖 蓮井 雅之 |
登録日 | 2000-08-11 |
登録番号 | 特許第3097694号(P3097694) |
発明の名称 | 遊技カードシステム |
代理人 | 長谷川 幸夫 |
代理人 | 河野 登夫 |
代理人 | 河野 英仁 |