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審決分類 審判 一部無効 1項3号刊行物記載  G21F
審判 一部無効 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  G21F
審判 一部無効 2項進歩性  G21F
審判 一部無効 特36条4項詳細な説明の記載不備  G21F
管理番号 1178047
審判番号 無効2007-800147  
総通号数 103 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2008-07-25 
種別 無効の審決 
審判請求日 2007-07-27 
確定日 2008-04-14 
訂正明細書 有 
事件の表示 上記当事者間の特許第3187255号発明「放射性金属廃棄物の除染方法及び装置」の特許無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 訂正を認める。 特許第3187255号の請求項2ないし5に記載された発明についての特許を無効とする。 審判費用は、被請求人の負担とする。 
理由 第1 手続の経緯
主な手続の経緯は以下のとおりである。
平成 6年 9月21日 特許出願(特願平6-226670号)
平成13年 5月11日 特許権の設定登録(特許第3187255号)
平成19年 7月27日 特許無効審判請求(請求人)
平成19年10月19日 答弁書、訂正請求書、証拠説明書(被請求人)
平成19年12月21日 口頭審理陳述要領書、口頭審理陳述要領書2( 請求人)
平成19年12月21日 口頭審理陳述要領書、証拠説明書2(被請求人 )
平成19年12月21日 口頭審理
平成20年 1月25日 上申書、証拠説明書3(被請求人)

第2 訂正の適否
1 訂正の内容
平成19年10月19日付けの訂正請求書による訂正請求は、本件特許発明に係る願書に添付した明細書を訂正請求書に添付した訂正明細書のとおりに訂正することを求めるものであって、これを以下「本件訂正」と呼称することとし、その内容は以下のとおりの(1)ないし(6)の訂正である。

(1)特許無効審判の請求がされている請求項2について
「【請求項2】 放射性金属廃棄物をバレルの内部に収納し、バレルを回転させることにより放射性金属廃棄物を攪拌しながらその表面に研削材を投射し、表面全体をドライブラスト除染し、かつ同時にバレル内面をもドライブラスト除染するとともに、この除染に使用した研削材を分級して、研削材微粉と前記放射性金属廃棄物表面層の剥離分を分離し、所定の粒径以上の研削材を循環させて使用することを特徴とする放射性金属廃棄物の除染方法。」との記載を、
「【請求項2】 放射性金属廃棄物をバレルの内部に収納し、バレルを回転させることにより放射性金属廃棄物を攪拌しながらその表面に研削材を投射し、表面全体をドライブラスト除染し、かつ同時にバレル内面をもドライブラスト除染するとともに、この除染に使用した研削材を分級して、研削材微粉と前記放射性金属廃棄物表面層の剥離分を分離し、所定の粒径以上の研削材を循環させて繰り返しドライブラスト除染を行うことにより、使用する研削材の放射能濃度を除染開始時の高濃度から低濃度に低下させることを特徴とする放射性金属廃棄物の除染方法。」
と訂正する。

(2)特許無効審判の請求がされている請求項3を削除する。

(3)特許無効審判の請求がされている請求項4について
「【請求項4】 放射性金属廃棄物を収納して回転されるバレルに、研削材投射機と、回収された研削材を分級して、研削材微粉と前記放射性金属廃棄物表面層の剥離分を分離する分級器とを設けるとともに、この分級器と研削材投射機のホッパーとの間に、研削材の循環経路を設けたことを特徴とする放射性金属廃棄物の除染装置。」との記載を、
「【請求項3】 放射性金属廃棄物を収納して回転されるバレルに、研削材投射機と、回収された研削材を分級して、研削材微粉と前記放射性金属廃棄物表面層の剥離分を分離する分級器とを設けるとともに、この分級器と研削材投射機のホッパーとの間に、除染開始時の高汚染研削材を低汚染研削材となるまで循環させる研削材の循環経路を設けたことを特徴とする放射性金属廃棄物の除染装置。」
と訂正する。

(4)特許無効審判の請求がされている請求項5について
「【請求項5】 研削材の循環経路に、研削材の放射能濃度検出器を設けた請求項4に記載の放射性金属廃棄物の除染装置。」との記載を、
「【請求項4】 研削材の循環経路に、研削材の放射能濃度検出器を設けた請求項3に記載の放射性金属廃棄物の除染装置。」
と訂正する。

(5)特許無効審判の請求がされている請求項6について
「【請求項6】 バレルからの排気系に、ダスト中の放射能濃度検出器を設けた請求項4に記載の放射性金属廃棄物の除染装置。」との記載を、
「【請求項5】 バレルからの排気系に、ダスト中の放射能濃度検出器を設けた請求項3に記載の放射性金属廃棄物の除染装置。」
と訂正する。

(6)願書に添付した明細書の段落【0005】について
「【0005】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するためになされた本発明の放射性金属廃棄物の除染方法は、放射性金属廃棄物をバレルの内部に収納し、バレルを回転させることにより放射性金属廃棄物を攪拌しながらその表面に研削材を投射し、投射した研削材を取り出し、分級して所定粒径以上の研削材を循環させながらドライブラスト除染する放射性金属廃棄物の除染方法であって、高汚染廃棄物に対して投射された高汚染研削材の循環経路と低汚染廃棄物に対して投射された低汚染研削材の循環経路とを分離しておき、高汚染廃棄物に対して投射された高汚染研削材と低汚染廃棄物に対して投射された低汚染研削材とが入り混じることを防止することを特徴とするものである。また、本発明の放射性金属廃棄物の除染方法は、放射性金属廃棄物をバレルの内部に収納し、バレルを回転させることにより放射性金属廃棄物を攪拌しながらその表面に研削材を投射し、表面全体をドライブラスト除染し、かつ同時にバレル内面をもドライブラスト除染するとともに、この除染に使用した研削材を分級して、研削材微粉と前記放射性金属廃棄物表面層の剥離分を分離し、所定の粒径以上の研削材を循環させて使用することを特徴とするものである。この発明は、放射能濃度検出器により、研削材の放射能濃度を監視しながら、研削材を循環させて前記ドライブラスト除染を行い、使用する研削材の放射能濃度を除染開始時の高濃度から低濃度に低下させることを特徴とする形態に具体化できる。また、本発明の放射性金属廃棄物の除染装置は、放射性金属廃棄物を収納して回転されるバレルに、研削材投射機と、回収された研削材を分級して、研削材微粉と前記放射性金属廃棄物表面層の剥離分を分離する分級器とを設けるとともに、この分級器と研削材投射機のホッパーとの間に、研削材の循環経路を設けたことを特徴とするものである。」との記載を
「【0005】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するためになされた本発明の放射性金属廃棄物の除染方法は、放射性金属廃棄物をバレルの内部に収納し、バレルを回転させることにより放射性金属廃棄物を攪拌しながらその表面に研削材を投射し、投射した研削材を取り出し、分級して所定粒径以上の研削材を循環させながらドライブラスト除染する放射性金属廃棄物の除染方法であって、高汚染廃棄物に対して投射された高汚染研削材の循環経路と低汚染廃棄物に対して投射された低汚染研削材の循環経路とを分離しておき、高汚染廃棄物に対して投射された高汚染研削材と低汚染廃棄物に対して投射された低汚染研削材とが入り混じることを防止することを特徴とするものである。また、本発明の放射性金属廃棄物の除染方法は、放射性金属廃棄物をバレルの内部に収納し、バレルを回転させることにより放射性金属廃棄物を攪拌しながらその表面に研削材を投射し、表面全体をドライブラスト除染し、かつ同時にバレル内面をもドライブラスト除染するとともに、この除染に使用した研削材を分級して、研削材微粉と前記放射性金属廃棄物表面層の剥離分を分離し、所定の粒径以上の研削材を循環させて前記ドライブラスト除染を行うことにより、使用する研削材の放射能濃度を除染開始時の高濃度から低濃度に低下させることを特徴とするものである。この発明は、放射能濃度検出器により、研削材の放射能濃度を監視しながら、研削材を循環させて前記ドライブラスト除染を行い、使用する研削材の放射能濃度を除染開始時の高濃度から低濃度に低下させることを特徴とする形態に具体化できる。また、本発明の放射性金属廃棄物の除染装置は、放射性金属廃棄物を収納して回転されるバレルに、研削材投射機と、回収された研削材を分級して、研削材微粉と前記放射性金属廃棄物表面層の剥離分を分離する分級器とを設けるとともに、この分級器と研削材投射機のホッパーとの間に、除染開始時の高汚染研削材を低汚染研削材となるまで循環させる研削材の循環経路を設けたことを特徴とするものである。」
と訂正する。

2 訂正の目的の適否、新規事項の有無及び拡張・変更の存否
(1)上記(1)の訂正(請求項2)について
上記(1)の訂正は、訂正前の請求項2の末尾部分に記載された「循環させて使用する」を、「循環させて繰り返しドライブラスト除染を行うことにより、使用する研削材の放射 能濃度を除染開始時の高濃度から低濃度に低下させる」と訂正するので、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そして、上記(1)の訂正は、願書に添付した明細書又は図面(以下「特許明細書」ともいう。)に記載した事項の範囲内でなされたものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。

(2)上記(2)の訂正(請求項3)について
上記(2)の訂正は、請求項を削除する訂正であるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そして、上記(2)の訂正は、特許明細書に記載した事項の範囲内でなされたものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。

(3)上記(3)の訂正(請求項4)について
上記(3)の訂正により、請求項4の末尾部分に記載された「研削材の循環経路」を、「除染開始時の高汚染研削材を低汚染研削材となるまで循環させる研削材の循環経路」と訂正された、すなわち、訂正前の「循環経路」の使用態様が限定されたから、上記(3)の訂正は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
また、訂正前の請求項3の削除にともなって、(3)の訂正により引用する請求項が、訂正前の請求項4から請求項3に繰り上げられているので、(3)の訂正は、明りようでない記載の釈明を目的とするものにも該当する。
そして、上記(3)の訂正は、特許明細書に記載した事項の範囲内でなされたものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。

(4)上記(4)の訂正(請求項5)について
上記(4)の訂正により、請求項が引用する請求項は訂正前の請求項4から請求項3となった。そして、訂正前の請求項4を請求項3に訂正する(3)の訂正は、特許請求の範囲の減縮及び明りようでない記載の釈明を目的とするものに該当するから、上記(4)の訂正も特許請求の範囲の減縮及び明りようでない記載の釈明を目的とするものに該当する。
また、上記(4)の訂正は、特許明細書に記載した事項の範囲内でなされたものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。

(5)上記(5)の訂正(請求項6)について
上記(5)の訂正により、請求項が引用する請求項は訂正前の請求項4から請求項3となったので、「(4)上記(4)の訂正(請求項5)について」の項で述べたように、上記(5)の訂正は、特許請求の範囲の減縮及び明りようでない記載の釈明を目的とするものに該当する。
また、上記(5)の訂正特許明細書に記載した事項の範囲内でなされたものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。

(6)上記(6)の訂正(段落【0005】)について
上記(6)の訂正は、上記(1)の訂正及び(3)の訂正にともない、明細書中の【課題を解決するための手段】の項の記載と特許請求の範囲の記載との整合を図るもので、明りようでない記載の釈明を目的とするものに該当する。
そして、上記(1)の訂正ないし上記(5)の訂正が新規事項を追加するものではなく、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもないので、上記(6)の訂正も新規事項を追加するものではなく、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。

3 訂正の適否についての結論
以上のとおり、本件訂正は、特許法134条の2第1項ただし書に適合し、特許法第134条の2第5項において準用する特許法第126条第3項及び第4項の規定に適合するので、本件訂正を認める。

第3 請求人の主張の概要及び証拠方法
1 特許発明を無効にすべき理由(理由1)
本件の明細書は、請求項2ないし6に対応する発明の詳細な説明の記載が、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載されていないか、あるいは特許請求の範囲の請求項2ないし6が発明の詳細な説明に記載されていないから、特許法第36条第4項または第5項第1号の要件を備えていないものであり、特許法第123条第1項第4号の規定により無効にすべきものである。
また、本件の訂正後の明細書は、訂正後の請求項2ないし5に対応する発明の詳細な説明の記載が、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易にその実施をすることができる程度に、その発明の目的、構成および効果が記載されていないか、あるいは訂正後の特許の範囲の請求項2ないし5が、発明の詳細な説明に記載されていない事項を含んでいるかのいずれかであり、特許法第36条第4項または第5項第1号の要件を備えていないから、特許法第123条第1項第4号の規定により無効にすべきものである。

2 特許発明を無効にすべき理由(理由2)
本特許の訂正後の請求項2?5の発明は甲第2号証に記載された発明であるか、あるいは甲第1?6号証から当業者が容易に発明できた発明であり、特許法第29条第1項第3号または第2項の規定により特許を受けることができず、特許法第123条第1項第2号の規定により無効とされるべきものである。
また、本特許の訂正後の請求項2?5の発明は甲第2号証に記載された発明であるか、あるいは甲第1?6号証から当業者が容易に発明できた発明であり、特許法第29条第1項第3号または第2項の規定により特許を受けることができないから、特許法第123条第1項第2号の規定により無効とされるべきものである。

[証拠方法]
甲第1号証:特開平4-132999号
甲第2号証:「原子力施設における除染技術」、P244-260、石榑 顯吉監訳、株式会社テクノ・プロジェクト、昭和59年1 2月20日発行
甲第3号証:「ブラスト技術」、P28-29,49,69-78,22 5-232、長坂秀雄 編集・執筆代表、発行所コーテック 株式会社、1985年1月10日発行
甲第4号証:“Radiation Protection Dosim etry”、Vol.21、No1/3、pp.141- 143(1987)、Nuclear Technolo gy Publishing
甲第5号証:特開昭62-297068号
甲第6号証:「動燃技報」、No.79、1991.9、P64-69

第4 被請求人の主張の概要
本答弁書の提出と並行して、特許法第134条の2に基づき本件特許の訂正請求を行う。
本件特許は何ら実施可能要件(特許法36条4項)及びサポート要件(同法旧36条5項1号)の違反はなく、また、本件特許発明2ないし5の新規性(同法第29条第1項第3号)は甲第2号証により否定されず、本件特許発明2ないし5の進歩性(同法29条2項)は甲1号証ないし甲6号証をいかに組み合わせたとしても否定されないから、本件特許は何らの無効理由も存在しない。
[証拠方法]
平成19年10月19日付け証拠説明書に添付
乙第 1号証:特公昭61-47667号
乙第 2号証:特公昭28-5596号
乙第 3号証:国際特許分類分類表(第5版)、第2巻(Bセクション) B-114、日本国特許庁、平成1年10月5日発行
乙第 4号証:JISハンドブック 製図、P.82-85、
財団法人 日本規格協会、1991年4月20日発行
乙第 5号証:特公昭61-9949号
乙第 6号証:特開平1-289666号
乙第 7号証:実願昭54-132637号(実開昭56-52667号 )のマイクロフィルム
乙第 8号証:特開昭58-206378号
乙第 9号証:特開平3-221371号
乙第10号証:特開平55-70567号
乙第11号証:実願昭47-40497号(実開昭49-1986号)の マイクロフィルム
乙第12号証:特開平7-266232号

なお、乙第13号証については、口頭審理においてその提出を取り下げた。

平成19年12月21日付け証拠説明書2に添付
乙第14号証:実願平3-65129号(実開平5-29668号)のC D-ROM
乙第15号証:実開昭56-89456号
乙第16号証:実願昭54-168998号(実開昭56-89456号 )のマイクロフィルム

平成20年1月25日付け証拠説明書3に添付
乙第17号証:特開平6-143144号
乙第18号証:特開昭59-97712号
乙第19号証:広辞苑第6版、P.825、株式会社 岩波書店、
2008年1月11日発行


第5 本件特許発明
本件特許の請求項1ないし請求項5に係る発明は、平成19年10月19日付けの訂正請求書に添付した訂正明細書のとおりに訂正された特許明細書及び図面の記載からみて、その請求項1ないし請求項5に記載されたとおりのものであるところ、特許無効審判の請求の対象となっている請求項2ないし請求項5に係る発明は、以下のとおりのもの(以下、これを「本件発明2」ないし「本件発明5」という。)である。

「【請求項1】 放射性金属廃棄物をバレルの内部に収納し、バレルを回転させることにより放射性金属廃棄物を攪拌しながらその表面に研削材を投射し、投射した研削材を取り出し、分級して所定粒径以上の研削材を循環させながらドライブラスト除染する放射性金属廃棄物の除染方法であって、高汚染廃棄物に対して投射された高汚染研削材の循環経路と低汚染廃棄物に対して投射された低汚染研削材の循環経路とを分離しておき、高汚染廃棄物に対して投射された高汚染研削材と低汚染廃棄物に対して投射された低汚染研削材とが入り混じることを防止することを特徴とする放射性金属廃棄物の除染方法。
【請求項2】 放射性金属廃棄物をバレルの内部に収納し、バレルを回転させることにより放射性金属廃棄物を攪拌しながらその表面に研削材を投射し、表面全体をドライブラスト除染し、かつ同時にバレル内面をもドライブラスト除染するとともに、この除染に使用した研削材を分級して、研削材微粉と前記放射性金属廃棄物表面層の剥離分を分離し、所定の粒径以上の研削材を循環させて繰り返しドライブラスト除染を行うことにより、使用する研削材の放射能濃度を除染開始時の高濃度から低濃度に低下させることを特徴とする放射性金属廃棄物の除染方法。
【請求項3】 放射性金属廃棄物を収納して回転されるバレルに、研削材投射機と、回収された研削材を分級して、研削材微粉と前記放射性金属廃棄物表面層の剥離分を分離する分級器とを設けるとともに、この分級器と研削材投射機のホッパーとの間に、除染開始時の高汚染研削材を低汚染研削材となるまで循環させる研削材の循環経路を設けたことを特徴とする放射性金属廃棄物の除染装置。
【請求項4】 研削材の循環経路に、研削材の放射能濃度検出器を設けた請求項3に記載の放射性金属廃棄物の除染装置。
【請求項5】 バレルからの排気系に、ダスト中の放射能濃度検出器を設けた請求項3に記載の放射性金属廃棄物の除染装置。」

第6 甲号各証の記載事項
1 甲第1号証
(1-1)
「2.特許請求の範囲
1.密閉状態で、放射性金属廃棄物をブラスト除染するブラスト除染装置と、ブラスト除染後の放射性廃棄物を研削材と研削ダストに分級する分級装置と、分級されたダストを含む排気ガスを処理する排気処理装置とからなる放射性廃棄物の除染装置において、前記分級装置を、前記ブラスト除染装置の直下に設けたカスケード式の第一の分級装置と、この第一の分級装置の下流側に設けたサイクロン式の第二の分級装置とから構成したことを特徴とする放射性廃棄物の除染装置。
2.前記ブラスト除染装置と前記排気処理装置とを管路で接続し、ブラスト除染装置内で浮遊する研削ダストを直接一次分級することを特徴とする請求項1記載の放射性廃棄物の除染装置。」(第1ページ左下欄第3?19行)
(1-2)
「(産業上の利用分野)
本発明は放射性金属廃棄物のブラスト除染に関するものであり、特に研削材と研削ダストとを分級する分級装置を改良した放射性廃棄物の除染装置に関するものである。」(第1ページ右下欄第2?6行)
(1-3)
「(従来の技術)
(略)
上述した除染装置において、研削材により放射性金属廃棄物をブラスト除染すると、金属表面に付着した放射性物質はその大部分が研削ダストとなり金属表面より離脱する。従って、上述した除染装置のように研削材を再循環使用する場合には、研削材と研削ダストとを完全に分離する必要があった。」(第1ページ右下欄第7行?第2ページ左上欄第5行)

(1-4)
「(実施例)
第1図は本発明の放射性廃棄物の除染装置の一例の構成を示す図である。第1図に示す例において、1はブラスト除染装置の密閉したブラスト室、2は除染すべき放射性金属廃棄物、3はブラストに使用する研削材を放出するためのノズル、4はブラスト室1の直下に直接設けたカスケード分級器、5はカスケード分級器4での分級に用いる清浄空気の供給口、6はカスケード分級器4で分級した研削ダストの回収容器、7はカスケード分級器4で分級した研削材を貯留するホッパ、8はカスケード分級器4の下流側に設けたサイクロン分級器、9はホッパ7とサイクロン分級器8を接続する管路、10はサイクロン分級器8で分級した研削材をブラスト室内へ循環するためのブラスト装置、11はサイクロン分級器8で分級した研削ダストを分離するためのバグフィルタ、12はバグフィルタ11を通過した研削ダストをさらにフィルタリングするHEPAフィルタ、13はブラスト室1とバグフィルタ11との間、カスケード分級器4とバグフィルタ11との間及びサイクロン分級器8とバグフィルタ11との間を接続する管路、14はサイクロン分級器8内の研削ダスト及びブラスト室1及びカスケード分線器4内に浮遊している研削ダストを管路13、バグフィルタ11及びHEPAフィルタ12を介して吸引する排気ブロワである。」(第2ページ右下欄第5行?第3ページ左上欄第10行)

(1-5)
「上述した本発明の放射性廃棄物の除染装置において実際の操作は以下のようになる。まず、ブラスト装置10にブラスト操作に使用する研削材を供給し、排気ブロワ14を起動する。次に、放射性金属廃棄物2をブラスト室1内に搬入し、ノズル3から研削材を噴出してブラスト処理を実施する。
(略)ブラスト処理後の研削材は下部に落下し、カスケード分級器4に供給され、供給口5から供給される清浄空気により分級される。この時も同様に、カスケード分級器4内に浮遊する微粒ダストは、管路13を介して排気とともにバグフィルタ11に供給される。
カスケード分級器4において分級された研削材はホッパ7に一時貯留され、管路9を介してサイクロン分級器8に供給される。(略)分級された研削ダストは、研削ダストの回収容器6内に貯留される。
サイクロン分級器8に供給された研削材はサイクロン分級器8において再度分級され、分級後の微粒ダストは管路13を介して排気系に導かれるとともに、分級後の研削材はブラスト装置10に戻り、同様の処理が実施される。」(第3ページ左上欄第11行?同右上欄第17行)

そして、第1図に記載された実施例は、第3図(a)(b)に記載された従来例と同様に、研削材を再循環使用する放射性金属廃棄物のブラスト除染方法及び装置であることは明らかである。

第1図の記載から、
ブラスト装置10と研削材を投射するノズル3とを接続する配管は、カスケード分級器4とサイクロン分級器8を接続する管路9と共に、研削材を再循環使用する循環路を形成していること、
ブラスト室1に接続された管路13には、バクフィルタ11,HEPAフィルタ12,排気ブロア14が接続されており、上記管路13は、ブラスト室1の排気系を構成していること
を読み取ることができる。

また、甲第1号証の「研削材により放射性金属廃棄物をブラスト除染すると、金属表面に付着した放射性物質はその大部分が研削ダストとなり金属表面より離脱する。」(1-3)
「カスケード分級器4において分級された研削材はホッパ7に一時貯留され」(1-5)
「カスケード分級器4内に浮遊する微粒ダストは、管路13を介して排気とともにバグフィルタ11に供給される。」(1-5)
との記載からみて、甲第1号証には、カスケード分級器4が、研削材を分級して、微粒ダストと放射性金属廃棄物2の金属表面に付着した放射性物質の離脱分を分離することが記載されている。

したがって、上記記載事項、及び図面の記載からみて、甲第1号証には、
「放射性金属廃棄物2を密閉したブラスト室1内に搬入し、研削材を放出するノズル3から研削材を噴出して放射性金属廃棄物2をブラスト除染し、ブラスト除染後の研削材はカスケード分級器4に供給され、研削材を分級して、微粒ダストと放射性金属廃棄物2の金属表面に付着した放射性物質の離脱分を分離し、研削材を再循環使用しブラスト除染を行う、放射性金属廃棄物のブラスト除染方法。」の発明(以下「引用発明A」という。)、及び
「放射性金属廃棄物2が搬入され、密閉したブラスト室1に、研削材を放出するためのノズル3と,ブラスト処理後の研削材を分級して、微粒ダストと放射性金属廃棄物2の金属表面に付着した放射性物質の離脱分を分離するカスケード分級器4とを設けるとともに、上記カスケード分級器4と上記ノズルとの間に、サイクロン分級器8及びブラスト装置10が接続された、研削材を再循環使用する循環路を設け、また、ブラスト室1の排気系が設けられた放射性金属廃棄物のブラスト除染装置。」の発明(以下「引用発明B」という。)が記載されているものと認める。

2 甲第2号証
(2-1)
「3.2.2ブラスト法
1.ブラスト法の原理
ブラスト法は一般産業界において,すでに金属の表面処理法や金型などの研掃法として広く汎用されている技術であり,砂,ガラス,金属などのブラスト材を超高速で噴射させ,その衝撃力で表面を研磨する方法である。
(1)ブラスト法の分類
ブラスト法は使用するプラスト材の種類によって分類すると,次のように分けられる。
1) サンドブラスト法(ブラスト材に砂を使用)
2) ショットブラスト法(鋼粒子を使用)
3) グリットブラスト法(銅砕粒子を使用)
4) ソフトグリットプラスト法(樹脂,植木性粒子,破砕粒子を使用)
また,ブラスト材の噴射坦体が液体(主として水)であるか気体(主として空気)であるか,さらにそれぞれの圧力の高低によって次のように分類することもある。
1)低圧ウェットブラスト法
2)高圧ウェットブラスト法
3)低圧ドライブラスト法
4)高圧ドライブラスト法
ただし,高圧ドライブラスト法は高圧ガスを得にくい理由から実施例は少ない。ウェットブラスト法とドライブラスト法は,それぞれ処理目的に応じて使い分けられている。その比較を表1にこ示す。ウェットブラスト法は研削力は劣るが,作業環境がよく仕上面がきれいなことより,最近はドライブラスト法より多く使用される傾向がある。」(第244ページ第1?21行)

(2-2)
「(3) ブラスト法の効果
ブラスト法の効果としては次のようなことがあげられる。
1) 洗浄効果;ブラヌト材の衝突力によるスケール,油膜など表面皮膜を取除く洗浄効果。
2)研削効果;衝突力によって対象面を研削する効果。
3)梨地効果;衝突力によって対象面を梨地状に仕上げる効果。
4) ピーニング効果;ブラスト材の衝突により対象面を鎚打するピーニング効果。」(第245ページ第18?23行)

(2-3)
「(2)ブラスト装置の種類
ブラスト法による加工手段は種々あり,加工対象物に応じて使い分けられている。それらの代表的な型式と特性をまとめて表2に示す。手動操作型はボックス内で噴射ガンと対象物を手動で操作してブラスト加工する方法で,工具類など比較的小物が対象となる。回転ドラム型は噴射ガンを固定して,タンブラ内に対象物を入れ,それを回転させながらブラスト加工する方法で,ボルトナットなど超小物が対象となる。ターンテーブル型およびコンベア型は,数本の噴射ガンを種々の角度に設置して,対象物を回転,または移動させながらブラスト加工する方法である。可搬式は対象物が非常に大きな場合,あるいは移動できない場合などにブラスト設備自体を持込みブラスト加工する方法である。
表2で示した手動操作型を応用した低圧ウェットブラスト法と,低圧ドライブラスト法は操作が簡単で,ブラスト材が循環使用され,かつ作業環境が非常に良いことより一般によく使用される。参考として,両ブラスト法の系統図を図7に示す。」(第249ページ第5?15行)

(2-4)「

」(250ページ)

甲第2号証は、原子力施設の除染技術に関する論文であり、その論文中の表2において、ブラスト装置として、手動操作型のブラスト装置(グローブボックスの中で噴射ガンを操作してブラスト処理をする装置)と並んで、回転ドラム型(タンブラ状の回転ドラムに処理物を投入し、ドラムを回転させつつ、噴射ガンによりブラスト処理する装置)が記載されている。

第7 当審の判断

1 無効理由1(特許法第36条第4項、同第36条第5項第1号)

(1)本件発明2と訂正された特許明細書の発明の詳細な説明との関係
まず、本件発明2に関連する上記発明の詳細な説明の記載を整理し、
本件発明2と発明の詳細な説明の記載との関係について検討する。

ア 訂正された特許明細書の記載事項
訂正された特許明細書(以下「訂正特許明細書」という。)には、本件発明2の実施例に関連して以下の事項が記載されている。
「【0014】しかし図2に示す第2の実施例では、高汚染研削材を単一の研削材コンベヤ7aにより数10回にわたり循環使用する。このように除染開始時の高汚染研削材をバレル1内の放射性金属廃棄物Wに対して繰り返し投射すると、図3に示すように研削材の放射能濃度が徐々に低下することが判明した。
【0015】図2に示す装置によって高汚染研削材を例えば45回程度循環使用すると、図3に示されるように研削材の放射能濃度は1Bq/g以下まで低下して低汚染研削材となる。その結果、図4のグラフに示すようにこの低汚染研削材による放射性金属廃棄物Wの到達表面汚染密度は1Bq/cm^(2)程度まで低下することとなる。なお図2に示したように、研削材の循環経路に研削材の放射能濃度検出器14を設け、循環中の研削材の放射能濃度を監視しながら除染を行えば、より正確な管理を行うことができる。更に図2に示したように、バレル1とバグフィルタ11とを結ぶ排気系にダスト中の放射能濃度検出器15を設けておき、除染の完了を確認することができるようにしておけば、更に好ましい。いうまでもなく、これらの研削材の放射能濃度検出器14やダスト中の放射能濃度検出器15は、図1の装置にも同様に組み込んで使用することもできる。」

本件発明2の実施例は、訂正特許明細書の段落【0014】?【0015】において説明された図2に示された第2の実施例である。
そして、図2に示された第2の実施例の構成のうち、図1に示された第1の実施例と共通する構成、すなわち
1 バレル、2 金属廃棄物供給容器、3 研削材投射機、4 インペラー、5 分級器、6 ダストボックス、9 ホッパー、10 ブロワ、11 バグフィルタ、12 HEPAフィルタ、13 回収容器、
については、段落【0014】?【0015】に基づいて実質的に説明されていることを前提として、訂正特許明細書の記載について検討する。

そして、バレル1と 研削材投射機3との関係について、訂正特許明細書の【実施例】の項においては、以下の記載があるのみである。
「【0008】
【実施例】以下に本発明を図示の実施例によって更に詳細に説明する。図1は本発明の第1の実施例を示すもので、1は矢印のように回転する金属製のバレルである。放射性金属廃棄物Wは金属廃棄物供給容器2からバレル1の内部に供給され、バレル1の回転により攪拌される。3はバレル1に接続された研削材投射機であり、インペラー4を高速回転させてその遠心力で研削材をバレル1の底部に向かって投射し、放射性金属廃棄物Wの表面層を剥離して除染する。なお、バレル1は回転軸を下方に傾斜させることにより、内容物を下方に排出することができる構造としておくことが好ましい。」
「【0010】次に、上記の装置を用いた本発明の放射性金属廃棄物の除染方法を説明する。まず、金属廃棄物供給容器2から放射性金属廃棄物Wをバレル1の内部に供給する。その表面汚染密度は例えば80Bq/cm^(2)であり、高汚染廃棄物に分類されるものであるとする。バレル1をゆるやかに回転させることにより放射性金属廃棄物Wを攪拌しながら、研削材投射機3から研削材を投射し、ドライブラスト除染を行う。(略)」
「【0012】次に新品の研削材をホッパー9に供給し、同様にバレル1をゆるやかに回転させながらドライブラスト除染を行う。(略)」

イ 訂正特許明細書から把握できる事項
(ア)【バレル1について】
段落【0008】の「1は矢印のように回転する金属製のバレルである。」及び「放射性金属廃棄物Wは金属廃棄物供給容器2からバレル1の内部に供給され」と記載されている。
「バレル」に関する上記記載、及び図2に図示されたバレル1の断面形状、その配置方向、バレル1に付された反時計回りを示す2つの矢印、の記載からみて、バレル1の形状は円筒であり、水平に配置され、円筒のバレル1の回転軸が該円筒の中心軸である点を把握することができる。

また、「バレル」は英語の「barrel」に由来し、英語の「barrel」は「樽」、「胴」を意味する。そして、図2に示された、バレル1の内部の放射性金属廃棄物Wに対して、バレル1の外部に設けられた研削材投射機3から研削材が投射される様子からみて、バレル1は、研削材が通過するための開口が、バレル1の円筒部分の全周に渡って分散して設けられているのではなく、バレル1の円筒部分に実質的に1カ所といえる程度に設けられていることを読み取ることができる。

(イ)【研削材投射機3について】
段落【0008】の「3はバレル1に接続された研削材投射機であり、インペラー4を高速回転させてその遠心力で研削材をバレル1の底部に向かって投射し、放射性金属廃棄物Wの表面層を剥離して除染する。」と記載されている。
そして、図2の図示からみて、研削材投射機3は、 ホッパー9に固定されている点を把握することができる。

(ウ)【バレル1を収容するケース】
段落【0008】には、「なお、バレル1、研削材投射機3、研削材の循環経路等の外周は気密シールされており、ブロワ10が内部のダストを含んだ空気を吸引し、バグフィルタ11、HEPAフィルタ12によってダストを濾過している。またその一部は分級器5の分級用空気として使用されている」と記載されている。
そして、図2において、破線で図示されたバレル1の外側に実線で図示された構成要素は、上記記載からみて、バレル1を収容するケースといえる。
そうしてみると、図2のブロワ10、バグフィルタ11、HEPAフィルタ12を含む空気浄化系は、上記バレル1のケース、研削材投射機3、研削材の循環経路に配管接続されていることを読み取ることができる。
放射性金属廃棄物Wの表面層は放射性物質であるので、バレル1、研削材投射機3、研削材の循環経路等からその外部に漏れることは、安全上避けなければいけない。
また、段落【0008】には「なお、バレル1、研削材投射機3、研削材の循環経路等の外周は気密シールされており」と記載されている。
してみると、投射機3とバレル1を収容するケースの両者は、溶接等によって気密に接続されていることは明らかである。その結果、バレル1を収容するケースは回転するものではないと理解することができる。

(エ)【バレル1と研削材投射機3との配置関係について】
図2におけるバレル1と研削材投射機3との配置関係からみて、バレル1の上方に研削材投射機3が設けられていることは明らかである。
なお、段落【0008】の「バレル1は回転軸を下方に傾斜させることにより、内容物を下方に排出することができる構造としておくことが好ましい。」との記載は、あくまでもバレル1の内容物を下方に排出するための、好ましい構成であり、図2に示されたバレル1と研削材投射機3との配置関係の変更を示唆する記載とはいえない。

イ 本件特発明2に係る「放射性金属廃棄物をバレルの内部に収納し、バレルを回転させることにより放射性金属廃棄物を攪拌しながらその表面に研削材を投射」することについて
まず、段落【0008】の「放射性金属廃棄物Wは金属廃棄物供給容器2からバレル1の内部に供給され、バレル1の回転により攪拌される。3はバレル1に接続された研削材投射機であり、インペラー4を高速回転させてその遠心力で研削材をバレル1の底部に向かって投射し」との記載からみて、バレル1の回転中は、研削材投射機から、常に研削材が投射されていることは明らかである。
また、段落【0010】の「バレル1をゆるやかに回転させることにより放射性金属廃棄物Wを攪拌しながら、研削材投射機3から研削材を投射し、ドライブラスト除染を行う。」との記載からみて、研削材投射機3から研削材を投射している間は、バレル1は常に回転していることは明らかである。

してみると、図2に記載された放射性金属廃棄物の除染装置において、バレル1が矢印で示される反時計方向に約30度回転した途端、研削材はバレル1の周面によって遮られ、バレル1内の放射性金属廃棄物の表面に研削材を投射することができなくなり、バレル1の周面と該周面に沿って設けられたケースとの間隙を通って分級器5に入ってしまうことが読み取れる。
したがって、本件発明2に係る「放射性金属廃棄物をバレルの内部に収納し、バレルを回転させることにより放射性金属廃棄物を攪拌しながらその表面に研削材を投射」することについて、訂正特許明細書の発明の詳細な説明には、実質的に記載されておらず、また、当業者が容易にその実施をすることができる程度に記載されていない。

ウ 本件発明2に係る(放射性金属廃棄物)の「表面全体をドライブラスト除染し、かつ同時にバレル内面をもドライブラスト除染する」することについて

この点に関連して訂正特許明細書には、「【0006】
【作用】本発明によれば、バレルの内部で放射性金属廃棄物を攪拌しながらその表面に研削材投射機から研削材を投射してドライブラスト除染を行うため、放射性金属廃棄物の表面全体に研削材が均等に投射されることとなり、表面全体を均一に除染することができる。しかもバレルの内面もまた研削材によって常に除染されるため、バレルの内面は常に清浄に維持され、放射性金属廃棄物が逆に汚染されるおそれはない。」また、「【0011】このようなドライブラスト除染を所定時間継続すると、放射性金属廃棄物Wの表面層は付着している放射性物質とともに次第に剥離され、その表面汚損密度は例えば4Bq/cm^(2)程度(DF=20) まで低下する。なお、バレル1の内面もまた研削材の投射により除染されるため、バレル1の表面汚染密度も放射性金属廃棄物Wと同様、例えば4Bq/cm^(2)程度となる。)
と記載されている。

上記記載によれば、バレルの内面もまた研削材によって除染される効果は、バレルの内部で放射性金属廃棄物を攪拌しながらその表面に投射機から研削材を投射したときに伴って付随的に生じる効果であると読み取ることができる。

確かに、バレルの容積に比してドライブラストされる放射性金属廃棄物の量が極めて少ない場合(例えば、本件の図2において、バレル1に収容されている放射性金属廃棄物Wの数が1,2個の場合)には、投射機からの研削材が、放射性金属廃棄物が載置されていないバレルの内面にも投射され、バレルの内面に付着した放射性金属廃棄物の剥離分を除去し、バレルの内面を除染できることは否定できない。

訂正特許明細書において、バレル内の空間を相当程度満たす量の放射性金属廃棄物を処理すること(同図2には、放射性金属廃棄物Wが8個の場合が図示されている。)を前提として、本件特許発明2ないし5が説明されていることは明らかである。
しかしながら、訂正特許明細書には、ドライブラストされる放射性金属廃棄物の具体例、その放射性金属廃棄物の形状、大きさ、バレルの容積に対する処理される放射性金属廃棄物の割合等が記載されていない。
また、図2に示されたバレル1、放射性金属廃棄物W、投射機3からの研削材の投射の様子からみて、投射機からの研削材が、バレルの内面を除染できるように投射されているとは読み取ることはできない。

してみると、投射機3からの研削材により、「表面全体をドライブラスト除染し、かつ同時にバレル内面をもドライブラスト除染する」ことを当業者が容易に実施できるためには、バレルの容積に対する放射性金属廃棄物Wの割合、研削材の投射によってバレル内面を除染するメカニズム、又はそのための投射機の位置制御、投射機からの研削材の投射角度等、その実施に当たって、種々のことを当業者が創意工夫しなければならないことを示唆する記載が、訂正特許明細書に記載されてしかるべきである。

したがって、本件特発明2に係る(放射性金属廃棄物)の「表面全体をドライブラスト除染し、かつ同時にバレル内面をもドライブラスト除染する」ことが、訂正特許明細書の発明の詳細な説明には、実質的に記載されておらず、また、当業者が容易にその実施をすることができる程度に記載されていない。

エ 本件発明2に係る「この除染に使用した研削材を分級して」について
訂正特許明細書には、「研削材を分級」するために前提となる事項である、放射性金属廃棄物の表面から剥離した放射性物質及び研削材を、ケースで覆われているバレル1の内から分級器5に排出する手段について説明がなされていないから、「この除染に使用した研削材を分級」することについても、当業者が容易にその実施をすることができる程度に記載されていない。

オ 小括
本件発明2について、訂正特許明細書の発明の詳細な説明には、実質的に記載されておらず、また、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易にその実施をすることができる程度に、その発明の目的、構成および効果が記載されていない。

(2)本件発明3ないし5と、訂正特許明細書の発明の詳細な説明との関係
本件発明2と同様に、本件発明3ないし5について、訂正特許明細書の発明の詳細な説明には、実質的に記載されておらず、また、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易にその実施をすることができる程度に、その発明の目的、構成および効果が記載されていない。

(3)まとめ
以上のとおり、本件出願は、平成6年改正前特許法第36条第4項、第5項第1号の規定を満たすものではない。
したがって、本件発明2ないし5は、平成6年改正前特許法第36条第4項、第5項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願についてされたものである。

3 無効理由2
仮に、本件出願が、平成6年改正前特許法第36条第4項、第5項第1号の規定を満たす場合、念のため、本件発明2ないし5と、特許法第29条第2項等の規定との関係について検討する。

(1)特許法第29条第2項
ア 本件発明2について
(ア) 対比
本件発明2と引用発明Aとを対比する。
a 引用発明Aの「ブラスト室1内に搬入し」と本件発明2の「バレルの内部に収納し」とは、容器の内部に収納する点で一致する。
b 引用発明Aの「研削材を放出するノズル3から研削材を噴出し」と本件発明2「バレルを回転させることにより放射性金属廃棄物を攪拌しながらその表面に研削材を投射しとは、放射性金属廃棄物の表面に研削材を投射しという点で一致する。
c 引用発明Aの「ブラスト除染」は、ブラスト除染に用いる駆動流体は空気であるから、本件発明2「ドライブラスト除染」に相当する。
したがって、引用発明Aの「放射性金属廃棄物2をブラスト除染し」と本件発明2の「表面全体をドライブラスト除染し、かつ同時にバレル内面をもドライブラスト除染する」とは、放射性金属廃棄物2の表面をドライブラスト除染する点で一致する。
d 引用発明Aの「ブラスト除染後の」は、本件発明2の「この除染に使用した」に相当するから、引用発明Aの「ブラスト除染後の研削材はカスケード分級器4に供給され、研削材を分級して」は、本件発明2の「この除染に使用した研削材を分級して」に相当する。
e 引用発明Aの「微粒ダスト」、「放射性金属廃棄物2の金属表面に付着した放射性物質の離脱分」は、本件発明2の「研削材微粉」、「放射性金属廃棄物表面層の剥離分」にそれぞれ相当する。
f 引用発明Aの「研削材を再循環使用する」における「研削材」は、分級後の研削材であるから、本件発明2の「所定の粒径以上の研削材」に相当する。
してみると、引用発明Aの「研削材を再循環使用しブラスト除染を行う」と本件発明2の「所定の粒径以上の研削材を循環させて繰り返しドライブラスト除染を行うことにより、使用する研削材の放射能濃度を除染開始時の高濃度から低濃度に低下させる」とは、所定の粒径以上の研削材を循環させて繰り返しドライブラスト除染を行う点で一致する。
g 引用発明Aの対象である「放射性金属廃棄物のブラスト除染方法」は本件発明2の対象である「放射性金属廃棄物の除染方法」に相当する。

したがって、引用発明Aと本件発明2の両者は
「放射性金属廃棄物を容器の内部に収納し、放射性金属廃棄物の表面に研削材を投射し、放射性金属廃棄物2の表面をドライブラスト除染するとともに、この除染に使用した研削材を分級して、研削材微粉と前記放射性金属廃棄物表面層の剥離分を分離し、所定の粒径以上の研削材を循環させて繰り返しドライブラスト除染を行う放射性金属廃棄物の除染方法。」の点で一致し、以下の点で相違する。

[相違点1-1]
放射性金属廃棄物を収容する容器が、本件発明2は、回転するバレルであるのに対して、引用発明Aは、ブラスト室1である点。
[相違点1-2]
放射性金属廃棄物の表面に研削材を投射する際、本件発明2は、バレルを回転させることにより放射性金属廃棄物を攪拌しながらその表面に研削材を投射し、表面全体をドライブラスト除染し、かつ同時にバレル内面をもドライブラスト除染するのに対して、引用発明Aは、その点が限定されていない点。
[相違点1-3]
研削材微粉と放射性金属廃棄物表面層の剥離分を分離し、所定の粒径以上の研削材を循環させて繰り返しドライブラスト除染を行うことにより、本件発明2は、使用する研削材の放射能濃度を除染開始時の高濃度から低濃度に低下させるのに対して、引用発明Aは、その点が限定されていない点。

(イ) 相違点についての判断
a 相違点1?1について
上述したように、甲第2号証は、原子力施設の除染技術に関する論文であり、その論文中において、ブラスト装置として、手動操作型のブラスト装置(グローブボックスの中で噴射ガンを操作してブラスト処理をする装置)と並んで、回転ドラム型のブラスト装置(タンブラ状の回転ドラムに処理物を投入し、ドラムを回転させつつ、噴射ガンによりブラスト処理する装置)が記載されている。
そして、甲第2号証に記載された手動操作型のブラスト装置で用いられるグローブボックスは、引用発明Aの「密閉したブラスト室1」に相当することは明らかである。

してみると、引用発明Aの「密閉したブラスト室1」に代えて、甲第2号証に記載されたタンブラ状の回転ドラムを採用することは当業者が容易に変更しえる事項である。
したがって、相違点1-1に係る本件発明2の発明特定事項は、甲第2号証に記載された事項に基づいて当業者が容易に想到し得ることである。

b 相違点1-2について
引用発明Aの「密閉したブラスト室1」に代えて、甲第2号証に記載されたタンブラ状の回転ドラムを採用し放射性金属廃棄物その表面に研削材を投射した場合、タンブラ状の回転ドラム(バレル)を回転させることにより放射性金属廃棄物を攪拌しながら、表面全体をドライブラスト除染することは、放射性金属廃棄物のドライブラスト処理にタンブラ状の回転ドラムを採用したことで生じる当然の効果ともいえるものである。

また、「1(3)イ」の項において、「確かに、バレルの容積に比してドライブラストされる放射性金属廃棄物の量が極めて少ない場合には、投射機からの研削材は、放射性金属廃棄物が載置されていないバレルの内面にも投射され、バレルの内面に付着した放射性金属廃棄物の剥離分を除去し、バレルの内面を除染できることは否定できない。」と述べた。

してみると、本件発明2の、バレルを回転させることにより放射性金属廃棄物を攪拌しながらその表面に研削材を投射し、バレル内面をもドライブラスト除染することは、放射性金属廃棄物のドライブラスト処理にタンブラ状の回転ドラムを採用し、上記放射性金属廃棄物の量が極めて少ない場合に、生じる効果ともいえるので格別なものとはいえない。

したがって、相違点1-2に係る本件発明2の発明特定事項は、甲第2号証に記載された事項に基づいて当業者が容易に想到し得ることである。

c 相違点1-3について
相違点1-3に係る本件発明2の発明特定事項は、「この除染に使用した研削材を分級して、研削材微粉と前記放射性金属廃棄物表面層の剥離分を分離し、所定の粒径以上の研削材を循環させて繰り返しドライブラスト除染を行うことにより、使用する研削材の放射能濃度を除染開始時の高濃度から低濃度に低下させること」である。
上記発明特定事項について検討するに、「この除染に使用した研削材を分級して、研削材微粉と前記放射性金属廃棄物表面層の剥離分を分離し、所定の粒径以上の研削材を循環させて繰り返しドライブラスト除染を行うこと」を原因として、その結果が「使用する研削材の放射能濃度を除染開始時の高濃度から低濃度に低下させること」と解釈できる。

一方、引用発明Aも、本件発明2の「この除染に使用した研削材を分級して、研削材微粉と前記放射性金属廃棄物表面層の剥離分を分離し、所定の粒径以上の研削材を循環させて繰り返しドライブラスト除染を行うこと」なる構成を有するので、本件発明2の「使用する研削材の放射能濃度を除染開始時の高濃度から低濃度に低下させること」なる事項を内在するといえるから、相違点1-3に係る本件発明2の発明特定事項は、格別なものとはいえない。

そして、引用発明Aも研削材の放射性濃度を除染開始時の高濃度から低濃度に低下させることができる点については、以下のようにも説明できる。
すなわち、引用発明Aも、本件発明2と同様に、放射性金属廃棄物の除染において、分級器により、微粒ダストと放射性金属廃棄物の金属表面に付着した放射性物質の離脱分(剥離分)を分離しており、その結果として研削材の放射能が減衰することは明らかである。
また、放射性金属廃棄物の金属表面に付着した放射性物質は、その放射能が、その物質を構成する放射性核種の半減期に応じて時間経過と共に減少することから、引用発明Aにおいても、放射性物質が付着した研削材を循環させる時間経過に従って研削材の放射能が減衰することも明らかである。
してみると、引用発明Aにおいても、本件発明2と同様に、使用する研削材の放射能濃度が除染開始時の高濃度から低濃度に低下することは明らかである。

したがって、相違点1-3に係る本件発明2の発明特定事項は、引用発明Aにおいても奏する機能ともいえるものであり、格別なものとはいえない。

そして、本件発明2によってもたらされる効果は、甲第1、2号証の記載から当業者が予測し得る程度のものである。

(ウ)まとめ
以上のとおり、本件発明2は、甲第1、2号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

イ 本件発明3について

(ア) 対比
本件発明3と引用発明Bとを対比する。
a 引用発明Bの「放射性金属廃棄物2が搬入され、密閉したブラスト室1」と本件発明3の「放射性金属廃棄物を収納して回転されるバレル」とは、放射性金属廃棄物を収納する容器の点で一致する。
b 引用発明Bの「研削材を放出するためのノズル3」と本件発明3の「研削材投射機」とは、研削材を放出するための手段の点で一致する。
c 引用発明Bの「ブラスト除染後の」は、本件発明3の「回収された」に相当する。
d 引用発明Bの「微粒ダスト」、「放射性金属廃棄物2の金属表面に付着した放射性物質の離脱分」は、本件発明3の「研削材微粉」、「放射性金属廃棄物表面層の剥離分」にそれぞれ相当する。また、引用発明Bの「カスケード分級器4」は、本件発明3の「分級器」に相当する。
e 引用発明Bの「上記ノズル3」即ち研削材を放出するためのノズル3と、本件発明3の「研削材投射機のホッパー」とは、研削材を放出するための手段の点で一致する。
引用発明Bの「循環路」は、本件発明3の「循環経路」に相当する。
引用発明Bの「研削材を再循環使用する」と本件発明3の「除染開始時の高汚染研削材を低汚染研削材となるまで循環させる」とは、研削材を循環させる点で一致する。
してみると、引用発明Bの「上記カスケード分級器4と上記ノズル3との間に、サイクロン分級器8及びブラスト装置10が接続された、研削材を循環させる循環路」と本件発明3の「この分級器と研削材投射機のホッパーとの間に、除染開始時の高汚染研削材を低汚染研削材となるまで循環させる研削材の循環経路」とは、この分級器と研削材を放出するための手段との間に、研削材を循環させる研削材の循環経路の点で一致する。
f 引用発明Bの対象である「放射性金属廃棄物のブラスト除染装置」は本件発明3の対象である「放射性金属廃棄物の除染装置」に相当する。

したがって、引用発明Bと本件発明3の両者は
「放射性金属廃棄物を収納する容器に、研削材を放出するための手段と、回収された研削材を分級して、研削材微粉と前記放射性金属廃棄物表面層の剥離分を分離する分級器とを設けるとともに、この分級器と研削材を放出するための手段との間に、研削材を循環させる研削材の循環経路を設けた放射性金属廃棄物の除染装置。」の点で一致し、以下の点で相違する。

[相違点2-1]
放射性金属廃棄物を収納する容器、及び研削材を放出するための手段が、本件発明3は、「回転されるバレル」及び「研削材投射機」であるのに対して、引用発明Bは、「ブラスト室1」及び「研削材を放出するためのノズル3」である点。
[相違点2-2]
研削材を循環させる循環経路における該循環に関して、本件発明3は、「除染開始時の高汚染研削材を低汚染研削材となるまで循環させる」と限定しているのに対して、引用発明Bは、上記限定がされていない点。

(イ) 相違点についての判断
a 相違点2?1について
引用発明Bにおいても引用発明Aと同様に密閉したブラスト室1を用いているから、「イ (ア)相違点1-1について」の項で述べたことから、引用発明Bの「密閉したブラスト室1」に代えて、甲第2号証に記載された回転ドラム型のブラスト装置で用いられる、タンブラ状の回転ドラムを採用することは当業者が容易に変更しえる事項である。

また、研削材を放出するための手段を本件発明3のように「研削材投射機」と限定するか、引用発明Bのように「研削材を放出するためのノズル3」と限定するかは、格別なことではない。

したがって、相違点2-1に係る本件発明3の発明特定事項は、甲第2号証に記載された事項に基づいて当業者が容易に想到し得ることである。

b 相違点2-2について
引用発明Bにおいても、本件発明3と同様に、放射性金属廃棄物の除染において、研削材を循環させる研削剤の循環経路を用いる以上、「3(1)ア(イ)c 相違点1-3について」の項で述べたことと同様に、引用発明Bにおいて、使用する研削材の放射能濃度が除染開始時の高濃度から低濃度に低下することは明らかである。
したがって、引用発明Bで用いられる研削剤について、除染開始時の高汚染研削剤(放射能濃度が高濃度の潤滑剤)は低汚染研削剤となることは明らかである。

よって、相違点2-2に係る本件発明3の発明特定事項は、引用発明Bにおいても奏する機能といえるものであり格別なものとはいえない。

そして、本件発明3によってもたらされる効果は、甲第1、2号証の記載から当業者が予測し得る程度のものである。

(ウ)まとめ
以上のとおり、本件発明3は、甲第1、2号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

ウ 本件発明4について
(ア) 対比
本件発明4は、本件発明3について、「研削材の循環経路に、研削材の放射能濃度検出器を設けた」点をさらに限定したものである。
ここで、上記限定した点を除く部分については、上記「(2)本件発明3について」で既に検討したので、本件発明4について検討すべき引用発明Bとの相違点は、以下のとおりとなる。
[相違点3]
本件発明4は、研削材の循環経路に、研削材の放射能濃度検出器を設けたのに対して、引用発明Bは、そのような限定がない点。

(イ) 相違点3についての判断
本件発明4の「研削剤の放射性濃度検出器」は、研削剤の放射性濃度を検出する放射性濃度検出器の意味であることは明らかであるから、そのように解釈して、以下検討する。
引用発明Bにおいて、放射性金属廃棄物のドライブラストに用いた後、循環配管により循環される研削材は、放射性金属廃棄物と接触する以上、放射性物質として取り扱うのが、安全上好ましいことは明らかである。
そして、一般に、放射性物質を取り扱う装置、配管系において、該装置、配管に放射線検出器(放射性濃度検出器)を設けて、該装置、配管系内の放射性物質の放射能、放射線線量、放射性濃度を監視することは、当業者ならば周知の事項である(例えば、特開昭61-25098号公報、特開昭63-154981号公報、特開平1-270689号公報、特開平5-333154号公報)。

してみると、研削材の循環経路に、研削材の放射能濃度検出器を設けることは、当業者が周知の事項に基づいて適宜になし得る事項である。
よって、相違点3に係る本件発明4の発明特定事項は、当業者が周知の事項に基づいて適宜になし得る事項である。

そして、本件発明4によってもたらされる効果は、甲第1、2号証の記載、及び周知の事項から当業者が予測し得る程度のものである。

(ウ) まとめ
以上のとおり、本件発明4は、甲第1、2号証に記載された発明、及び周知の事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

エ 本件発明5について
(ア) 対比
本件発明5は、本件発明3について、「バレルからの排気系に、ダスト中の放射能濃度検出器を設けた」点をさらに限定したものである。
ここで、上記限定した点を除く部分については、上記「(イ)本件発明3について」で既に検討したので、本件発明5について検討すべき引用発明Bとの相違点は、以下のとおりとなる。
[相違点4]
本件発明5は、バレルからの排気系に、ダスト中の放射能濃度検出器を設けたのに対して、引用発明Bは、そのような限定がない点。

(イ) 相違点4についての判断
本件発明5の「ダスト中の放射性濃度検出器」は、ダスト中の放射性濃度を検出する放射性濃度検出器の意味であることは明らかであるから、そのように解釈して、以下検討する。
引用発明Bにおいて、ブラスト室1の排気系が設けられている。
また、引用発明Bのブラスト室1を回転バレルにかえることについては、「3(1)ア(イ)」の項で述べたように容易になし得る事項である。
そうすると、回転バレルに排気系を設けることとなり、該排気系には、回転バレルにおいて発生する放射性物質である研削ダストが流入することも自明である。

そして、「ウ 本件発明4について(イ)の相違点3の判断」でも述べたように、一般に、放射性物質を取り扱う装置、配管系において、該装置、配管に放射線検出器(放射性濃度検出器)を設けて、該装置、配管系内の放射性物質の放射性濃度を監視することは、当業者ならば周知の事項である(例えば、特開昭61-25098号公報、特開昭63-154981号公報、特開平1-270689号公報、特開平5-333154号公報)。
してみると、バレルの排気系に、ダスト中の放射能濃度検出器を設けることは、当業者が周知の事項に基づいて適宜になし得る事項である。
よって、相違点4に係る本件発明5の発明特定事項は、当業者が周知の事項に基づいて適宜になし得る事項である。

そして、本件発明5よってもたらされる効果は、甲第1、2号証の記載、及び周知の事項から当業者が予測し得る程度のものである。

(ウ) まとめ
以上のとおり、本件発明5は、甲第1、2号証に記載された発明、及び周知の事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

(2)特許法第29条第1項第3号
「3(1)ア(イ))a 相違点1-1について」の項で述べたように、甲第2号証には、原子力施設の除染技術に関する論文であり、その論文中において、ブラスト装置として、手動操作型のブラスト装置(グローブボックスの中で噴射ガンを操作してブラスト処理をする装置)と並んで、回転ドラム型のブラスト装置(タンブラ状の回転ドラムに処理物を投入し、ドラムを回転させつつ、噴射ガンによりブラスト処理する装置)が記載されている。

この記載からみて、甲第2号証には、上記手動操作型のブラスト装置の発明、回転ドラム型のブラスト装置の発明が記載されているに過ぎず、ブラスト装置の発明に回転ドラム型のブラスト装置の発明を組み合わせた原子力施設の除染に用いる除染装置又は除染方法の発明は記載されていないことは明らかである。
したがって、甲第2号証に記載された発明は、その発明特定事項が、本件発明2の放射性金属廃棄物の除染方法の発明と異なり、また、本件発明3ないし5の放射性金属廃棄物の除染装置とも異なることは明らかである。

第9 被請求人の主張
被請求人は、特許法第36条第4項、同第6項1号の拒絶理由について、以下の旨主張する。
本願の図2は、ポンチ絵に過ぎず、本願の図2に示された実施例において、バレルを回転させることにより放射性金属廃棄物Wを撹拌させながら、研削材投射機から研削材を投射することができることについては、特許明細書の記載及び技術常識(乙第1ないし12,14ないし19)を勘案すれば、バレルの端面(バレルを太鼓と見立てた場合、バレルの皮張り面)から研削材を投射することを理解することができる。

確かに、被請求人が主張する技術常識を示す乙第1ないし12,14ないし19によれば、ドライブラスト装置及び該装置を用いたドライブラスト方法において、ドライブラスト装置の被処理物を収容し、回転するバレルの端面から研削材を投射し、被処理物をドライブラストすることは、本件特許の出願時において技術常識であることは認められる。
また、被請求人が認めるように、図2に示された実施例では、研削材の投射機から、回転するバレル内に継続的に研削材を投射することができない。

ところで、被請求人の、特許明細書の記載及び技術常識を勘案するとの主張は、該技術常識を参酌することを示唆する記載が訂正特許明細書に記載されていることが前提とする主張であるといえる。
しかしながら、図2の実施例が本件発明を実施できないことは上記示唆に当たるとはいえず、また、「第7 1 (1)イ(エ)」の項で述べたように、段落【0008】の記載もその示唆に当たらない。

したがって、本件特許が、従来のコンベアを用いて被処理物を搬送しながらドライブラストする装置及びその方法に代えてなされた発明である点、また、被処理物が一般の物品ではなく放射能を有する放射性金属廃棄物である点を踏まえて、その実施可能性について検討するまでもなく、訂正特許明細書の詳細な説明は、請求項に係る各発明の実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載されたものではない。

よって、被請求人の主張は採用することができない。

第10 むすび
以上のとおりであるから、本件発明2ないし5についての特許は、平成6年改正前特許法第36条第4項、第5項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるから、特許法第123条第1項第1号に該当するし、無効とすべきものである。

また、本件の特許出願が平成6年改正前特許法第36条第4項、第5項第1号に規定する要件を満たすとした場合、本件発明2ないし3についての特許は、甲第1,2号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、特許法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきものである。
同じく、本件発明4ないし5についての特許は、甲第1,2号証に記載された発明及び周知の事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、特許法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきものである。
なお、本件発明2ないし5についての特許は、甲第2号証に記載された発明と同一とすることはできない。

審判に関する費用については、特許法第169条第2項の規定で準用する民事訴訟法第61条の規定により、被請求人が負担すべきものとする。

よって、上記結論のとおり審決する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
放射性金属廃棄物の除染方法及び装置
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】放射性金属廃棄物をバレルの内部に収納し、バレルを回転させることにより放射性金属廃棄物を攪拌しながらその表面に研削材を投射し、投射した研削材を取り出し、分級して所定粒径以上の研削材を循環させながらドライブラスト除染する放射性金属廃棄物の除染方法であって、高汚染廃棄物に対して投射された高汚染研削材の循環経路と低汚染廃棄物に対して投射された低汚染研削材の循環経路とを分離しておき、高汚染廃棄物に対して投射された高汚染研削材と低汚染廃棄物に対して投射された低汚染研削材とが入り混じることを防止することを特徴とする放射性金属廃棄物の除染方法。
【請求項2】放射性金属廃棄物をバレルの内部に収納し、バレルを回転させることにより放射性金属廃棄物を攪拌しながらその表面に研削材を投射し、表面全体をドライブラスト除染し、かつ同時にバレル内面をもドライブラスト除染するとともに、この除染に使用した研削材を分級して、研削材微粉と前記放射性金属廃棄物表面層の剥離分を分離し、所定の粒径以上の研削材を循環させて繰り返しドライブラスト除染を行うことにより、使用する研削材の放射能濃度を除染開始時の高濃度から低濃度に低下させることを特徴とする放射性金属廃棄物の除染方法。
【請求項3】放射性金属廃棄物を収納して回転されるバレルに、研削材投射機と、回収された研削材を分級して、研削材微粉と前記放射性金属廃棄物表面層の剥離分を分離する分級器とを設けるとともに、この分級器と研削材投射機のホッパーとの間に、除染開始時の高汚染研削材を低汚染研削材となるまで循環させる研削材の循環経路を設けたことを特徴とする放射性金属廃棄物の除染装置。
【請求項4】研削材の循環経路に、研削材の放射能濃度検出器を設けた請求項3に記載の放射性金属廃棄物の除染装置。
【請求項5】バレルからの排気系に、ダスト中の放射能濃度検出器を設けた請求項3に記載の放射性金属廃棄物の除染装置。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、表面が放射性物質により汚染された放射性金属廃棄物の除染方法及び装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】表面が放射性物質により汚染された放射性金属廃棄物に対して研削材を圧縮空気を用いて噴射し、表面層を削り取ることによって放射性金属廃棄物を除染する方法は従来から知られている。ところが従来は、例えば図5に示すように放射性金属廃棄物Wをコンベヤ21上に載せ、その表面に対してノズル22、23から研削材を噴射していたため、除染工程中に放射性金属廃棄物Wをコンベヤ21上で反転させる必要があり、しかもノズル22、23を動かしながら研削材を噴射しても、放射性金属廃棄物Wの表面全体を均一に除染することは容易ではなかった。
【0003】また図5に示すような従来の除染方法では、コンベヤ21にも放射性物質が付着するため、高汚染廃棄物を処理した後に低汚染廃棄物を除染室24に入れると、コンベヤ21に付着している放射性物質により低汚染廃棄物が逆に汚染されるという問題もあった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記した従来の問題点を解決し、放射性金属廃棄物の表面全体を均一に除染することができ、また高汚染廃棄物を処理した後に低汚染廃棄物を処理する場合にも低汚染廃棄物が逆汚染されることのない放射性金属廃棄物の除染方法を提供するためになされたものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するためになされた本発明の放射性金属廃棄物の除染方法は、放射性金属廃棄物をバレルの内部に収納し、バレルを回転させることにより放射性金属廃棄物を攪拌しながらその表面に研削材を投射し、投射した研削材を取り出し、分級して所定粒径以上の研削材を循環させながらドライブラスト除染する放射性金属廃棄物の除染方法であって、高汚染廃棄物に対して投射された高汚染研削材の循環経路と低汚染廃棄物に対して投射された低汚染研削材の循環経路とを分離しておき、高汚染廃棄物に対して投射された高汚染研削材と低汚染廃棄物に対して投射された低汚染研削材とが入り混じることを防止することを特徴とするものである。
また、本発明の放射性金属廃棄物の除染方法は、放射性金属廃棄物をバレルの内部に収納し、バレルを回転させることにより放射性金属廃棄物を攪拌しながらその表面に研削材を投射し、表面全体をドライブラスト除染し、かつ同時にバレル内面をもドライブラスト除染するとともに、この除染に使用した研削材を分級して、研削材微粉と前記放射性金属廃棄物表面層の剥離分を分離し、所定の粒径以上の研削材を循環させて繰り返しドライブラスト除染を行うことにより、使用する研削材の放射能濃度を除染開始時の高濃度から低濃度に低下させることを特徴とするものである。この発明は、放射能濃度検出器により、研削材の放射能濃度を監視しながら、研削材を循環させて前記ドライブラスト除染を行い、使用する研削材の放射能濃度を除染開始時の高濃度から低濃度に低下させることを特徴とする形態に具体化できる。
また、本発明の放射性金属廃棄物の除染装置は、放射性金属廃棄物を収納して回転されるバレルに、研削材投射機と、回収された研削材を分級して、研削材微粉と前記放射性金属廃棄物表面層の剥離分を分離する分級器とを設けるとともに、この分級器と研削材投射機のホッパーとの間に、除染開始時の高汚染研削材を低汚染研削材となるまで循環させる研削材の循環経路を設けたことを特徴とするものである。
【0006】
【作用】本発明によれば、バレルの内部で放射性金属廃棄物を攪拌しながらその表面に研削材投射機から研削材を投射してドライブラスト除染を行うため、放射性金属廃棄物の表面全体に研削材が均等に投射されることとなり、表面全体を均一に除染することができる。しかもバレルの内面もまた研削材によって常に除染されるため、バレルの内面は常に清浄に維持され、放射性金属廃棄物が逆に汚染されるおそれはない。
【0007】しかも本発明においては、高汚染研削材と低汚染研削材とを別の経路で循環させながらドライブラスト除染するので、高汚染研削材によって低汚染廃棄物が逆汚染されることがない。また本発明においては、従来の常識に反して除染開始時の高汚染研削材を低汚染研削材となるまで循環使用する方法を採用することもできる。この方法によれば、研削材を入れ替えることなく高汚染廃棄物を十分に除染することができる。なおこの場合には、研削材の循環経路に設けた放射能濃度検出器により研削材の放射能濃度を監視しつつ除染を行うことが好ましい。
【0008】
【実施例】以下に本発明を図示の実施例によって更に詳細に説明する。
図1は本発明の第1の実施例を示すもので、1は矢印のように回転する金属製のバレルである。放射性金属廃棄物Wは金属廃棄物供給容器2からバレル1の内部に供給され、バレル1の回転により攪拌される。3はバレル1に接続された研削材投射機であり、インペラー4を高速回転させてその遠心力で研削材をバレル1の底部に向かって投射し、放射性金属廃棄物Wの表面層を剥離して除染する。なお、バレル1は回転軸を下方に傾斜させることにより、内容物を下方に排出することができる構造としておくことが好ましい。
【0009】バレル1の下側には分級器5が設けられており、投射された研削材を粒径によって分級する。そして微粉となった研削材をダストボックス6に収納する。また剥離された放射性金属廃棄物Wの表面層も、ダストボックス6に収納される。一方、所定の粒径以上の研削材は高汚染研削材コンベヤ7または低汚染研削材コンベヤ8により研削材投射機3のホッパー9に戻され、循環使用される。このように高汚染廃棄物に対して投射された高汚染研削材の循環経路を、低汚染廃棄物に対して投射された低汚染研削材の循環経路から分離したので、両者が入り混じることが防止される。なお、バレル1、研削材投射機3、研削材の循環経路等の外周は気密シールされており、ブロワ10が内部のダストを含んだ空気を吸引し、バグフィルタ11、HEPAフィルタ12によってダストを濾過している。またその一部は分級器5の分級用空気として使用されている。
【0010】次に、上記の装置を用いた本発明の放射性金属廃棄物の除染方法を説明する。まず、金属廃棄物供給容器2から放射性金属廃棄物Wをバレル1の内部に供給する。その表面汚染密度は例えば80Bq/cm^(2)であり、高汚染廃棄物に分類されるものであるとする。バレル1をゆるやかに回転させることにより放射性金属廃棄物Wを攪拌しながら、研削材投射機3から研削材を投射し、ドライブラスト除染を行う。研削材は高汚染廃棄物との接触により汚染されるため、高汚染研削材コンベヤ7を経由して研削材投射機3のホッパー9に戻され、循環使用される。
【0011】このようなドライブラスト除染を所定時間継続すると、放射性金属廃棄物Wの表面層は付着している放射性物質とともに次第に剥離され、その表面汚損密度は例えば4Bq/cm^(2)程度(DF=20)まで低下する。なお、バレル1の内面もまた研削材の投射により除染されるため、バレル1の表面汚染密度も放射性金属廃棄物Wと同様、例えば4Bq/cm^(2)程度となる。
【0012】次に新品の研削材をホッパー9に供給し、同様にバレル1をゆるやかに回転させながらドライブラスト除染を行う。このときには研削材を低汚染研削材コンベヤ8を介して循環させ、再使用する。その結果、放射性金属廃棄物Wの表面汚染密度は例えば0.2Bq/cm^(2)程度(DF=20)まで低下するので、バレル1から処理済みの放射性金属廃棄物Wを回収容器13に取り出す。
【0013】以上に説明した第1の実施例では、高汚染研削材と低汚染研削材とを使い分けた。これは高汚染廃棄物に対して投射された研削材は汚染されて高汚染研削材となり、その放射能濃度はあるレベルで飽和に達してそれ以下には低下することがないから、新しい研削材と交換しなければならないとの従来の常識に従った方法である。
【0014】しかし図2に示す第2の実施例では、高汚染研削材を単一の研削材コンベヤ7aにより数10回にわたり循環使用する。このように除染開始時の高汚染研削材をバレル1内の放射性金属廃棄物Wに対して繰り返し投射すると、図3に示すように研削材の放射能濃度が徐々に低下することが判明した。
【0015】図2に示す装置によって高汚染研削材を例えば45回程度循環使用すると、図3に示されるように研削材の放射能濃度は1Bq/g以下まで低下して低汚染研削材となる。その結果、図4のグラフに示すようにこの低汚染研削材による放射性金属廃棄物Wの到達表面汚染密度は1Bq/cm^(2)程度まで低下することとなる。なお図2に示したように、研削材の循環経路に研削材の放射能濃度検出器14を設け、循環中の研削材の放射能濃度を監視しながら除染を行えば、より正確な管理を行うことができる。更に図2に示したように、バレル1とバグフィルタ11とを結ぶ排気系にダスト中の放射能濃度検出器15を設けておき、除染の完了を確認することができるようにしておけば、更に好ましい。いうまでもなく、これらの研削材の放射能濃度検出器14やダスト中の放射能濃度検出器15は、図1の装置にも同様に組み込んで使用することもできる。
【0016】
【発明の効果】以上に説明したように、本発明の放射性金属廃棄物の除染方法によれば、バレルの内部で放射性金属廃棄物を攪拌しながらその表面に研削材を投射してドライブラスト除染するので、放射性金属廃棄物の表面全体を均一に除染することができる。また、研削材によってバレルの内面も常に除染された状態を維持するため、高汚染廃棄物を処理した後に低汚染廃棄物を処理する場合にも低汚染廃棄物がバレルにより逆汚染されることがなく、高汚染研削材を低汚染研削材となるまで循環使用するような方法を取ることもできる。よって本発明は例えば原子力発電所等から廃棄される配管の切断片のような比較的小型の放射性金属廃棄物の処理に適した除染方法として、きわめて価値の高いものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例を示すフローシートである。
【図2】本発明の第2の実施例を示すフローシートである。
【図3】研削材の循環使用回数とその放射能濃度との関係を示すグラフである。
【図4】研削材の放射能濃度と放射性金属廃棄物の到達表面汚染密度との関係を示すグラフである。
【図5】従来例を示すフローシートである。
【符号の説明】
1 バレル、2 金属廃棄物供給容器、3 研削材投射機、4 インペラー、5 分級器、6 ダストボックス、7 高汚染研削材コンベヤ、7a 研削材コンベヤ、8 低汚染研削材コンベヤ、9 ホッパー、10 ブロワ、11 バグフィルタ、12 HEPAフィルタ、13 回収容器、14 放射能濃度検出器、15 放射能濃度検出器
【図面】





 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
審理終結日 2008-02-04 
結審通知日 2008-02-07 
審決日 2008-03-03 
出願番号 特願平6-226670
審決分類 P 1 123・ 121- ZA (G21F)
P 1 123・ 536- ZA (G21F)
P 1 123・ 537- ZA (G21F)
P 1 123・ 113- ZA (G21F)
最終処分 成立  
前審関与審査官 村田 尚英  
特許庁審判長 江塚 政弘
特許庁審判官 末政 清滋
安田 明央
登録日 2001-05-11 
登録番号 特許第3187255号(P3187255)
発明の名称 放射性金属廃棄物の除染方法及び装置  
代理人 宮部 岳志  
代理人 山本 文夫  
代理人 柳原 成  
代理人 三好 豊  
代理人 山本 文夫  
代理人 三好 豊  
代理人 野口 明男  
代理人 綿貫 達雄  
代理人 綿貫 達雄  
代理人 野口 明男  
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