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この審決には、下記の判例・審決が関連していると思われます。
審判番号(事件番号) データベース 権利
審判199935773 審決 特許
無効200680172 審決 特許
審判199935774 審決 特許
無効200580346 審決 特許

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審決分類 審判 訂正 2項進歩性 訂正する A63B
審判 訂正 ただし書き1号特許請求の範囲の減縮 訂正する A63B
審判 訂正 4項(134条6項)独立特許用件 訂正する A63B
審判 訂正 特39条先願 訂正する A63B
審判 訂正 ただし書き3号明りょうでない記載の釈明 訂正する A63B
管理番号 1178055
審判番号 訂正2008-390031  
総通号数 103 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2008-07-25 
種別 訂正の審決 
審判請求日 2008-03-21 
確定日 2008-05-12 
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第2669051号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 特許第2669051号に係る明細書及び図面を本件審判請求書に添付された訂正明細書及び図面のとおり訂正することを認める。 
理由 1.手続の経緯
平成 1年 5月11日 本件出願(特願平 1-118460号)
平成 2年12月 7日 出願公開(特開平 2-297384号)
平成 9年 7月 4日 設定登録(特許第2669051号:
以下、「本件特許」という。請求項の数は1である。)
平成18年 9月 5日 本件特許に対する無効審判請求(無効
2006-80172号)
平成19年 6月 8日(起案日)無効2006-80172号審決
(訂正を認める。本件審判請求は、成り立たない。)
平成20年 3月21日 本件訂正審判請求

2.訂正の内容
特許権者が求める訂正の内容は、特許第2669051号の明細書を請求書に添付した明細書(以下、単に「訂正明細書」という。)のとおり訂正することを求めるもので、訂正の内容は以下のとおりである(請求書の「6.請求の理由(3)訂正の要旨」欄)。

(1)訂正事項a
請求項1において、「チオフェノール類、チオカルボン酸類及びそれらの金属塩から選ばれる有機硫黄化合物」を「ペンタクロロチオフェノール又はその金属塩」と訂正する。

(2)訂正事項b
無効2006-80172号における平成18年11月21日付け訂正請求書に添付した全文訂正明細書(以下、単に「前訂正明細書」という。)2頁13?15行の「チオフェノール類、チオカルボン酸類及びそれらの金属塩から選ばれる有機硫黄化合物」を「ペンタクロロチオフェノール又はその金属塩」と訂正する。

(3)訂正事項c
前訂正明細書2頁23?24行の「チオフェノール類、チオカルボン酸類及びそれらの金属塩から選ばれる有機硫黄化合物」を「ペンタクロロチオフェノール又はその金属塩」と訂正する。

(4)訂正事項d
前訂正明細書2頁29?31行の「チオフェノール類、チオカルボン酸類及びそれらの金属塩から選ばれる有機硫黄化合物」を「ペンタクロロチオフェノール又はその金属塩」と訂正する。

(5)訂正事項e
前訂正明細書3頁25?27行の「チオフェノール類、チオカルボン酸類及びそれらの金属塩から選ばれる有機硫黄化合物」を「ペンタクロロチオフェノール又はその金属塩」と訂正する。

(6)訂正事項f
前訂正明細書3頁27?4頁3行の「ここで、チオフェノール類、チオカルボン酸類としては、ペンタクロロチオフェノール,4-t-ブチル-o-チオフェノール,4-t-ブチルチオフェノール,2-ベンズアミドチオフェノール等のチオフェノール類、チオ安息香酸等のチオカルボン酸類、が好適に用いられ、またチオフェノール類又はチオカルボン酸類の金属塩としては、上記チオフェノール類、チオカルボン酸類の亜鉛塩などが好ましく使用される。これらは1種を単独で使用しても、2種以上を組み合せて使用してもよい。」を削除する。

(7)訂正事項g
前訂正明細書5頁下から7行の「有機硫黄化合物」を「ペンタクロロチオフェノール」と訂正する。

3.訂正の目的
(1)訂正事項aについて
訂正事項aは、請求項1における「チオフェノール類、チオカルボン酸類及びそれらの金属塩から選ばれる有機硫黄化合物」をチオフェノールの一種である「ペンタクロロチオフェノール又はその金属塩」に限定するものであり、特許請求の範囲の減縮に該当する。
また、「ペンタクロロチオフェノール又はその金属塩」は、本件願書に添付した明細書及び図面(以下、「特許明細書」という。)6頁6?8行(特許公報2頁4欄14?18行)に、「チオフェノール類、チオカルボン酸類及びそれらの金属塩から選ばれる有機硫黄化合物を配合したものである。ここで、チオフェノール類、チオカルボン酸類としては、ペンタクロロチオフェノール,・・・」と記載され、チオフェノール類の一種として「ペンタクロロチオフェノール」が例示されており、同特許明細書11頁5行?12頁15行(特許公報3頁5欄31行?6欄43行)の実施例に係る記載には、ソリッドコアのゴム組成物に「ペンタクロロチオフェノールの亜鉛塩」を含有させること、また、「ペンタクロロチオフェノールの亜鉛塩」を含有させなかった比較例と比較して「ボール初速度」が高くなる効果を得られることが明記されていることからして、当該訂正事項は、本件特許明細書の範囲内であって、ソリッドコアのゴム組成物を実施例相当のものとするものであるから、新規事項の追加には該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。

(2)訂正事項b?gについて
訂正事項b?gは、訂正事項aにより特許請求の範囲を減縮した結果、記載表現が一致しなくなった本件特許明細書の記載を、特許請求の範囲の記載に整合させるものであって、明りようでない記載の釈明に該当する。
そして、これら訂正事項b?gは、いずれも、特許明細書に記載した事項の範囲内のものであって、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。

(3)まとめ
以上のとおり、本件訂正における上記訂正事項a?gのいずれも、訂正目的に違反するところはなく、また、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法第126条第1項、第3項及び第4項の規定に適合している。

してみるに、訂正事項aは「特許請求の範囲の減縮」(特許法第126条第1項ただし書き第1号該当)を目的とするものであることから、訂正後の特許請求の範囲に記載されている事項により特定される発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるものでなければならない点(同条第5項該当)について、以下、検討する。

4.本件訂正発明の独立特許要件
(1)本件訂正発明の認定
本件特許の請求項1に係る発明(以下、「本件訂正発明」という。)は、訂正明細書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される次のものと認める。

(本件訂正発明)
「カバー材で直接もしくは中間層を介して被覆した多層構造ゴルフボールの芯球を、基材ゴムと、不飽和カルボン酸の金属塩と、ペンタクロロチオフェノール又はその金属塩とを含有するゴム組成物で形成したことを特徴とするソリッドゴルフボール。」

(2)無効2006-80172号における
先願発明(特許第2961735号)との対比・判断
当該特許第2961735号は、本件特許第2669051号の出願の日前である昭和63年9月29日の出願である特願昭63-245344号に係るものであって、無効2006-80172において甲第1号証として提出され、当該事件では、本件特許第2669051号発明が、当該特許第2961735号先願発明と同一であるから、特許法39条第1項の規定により特許を受けることができないとの無効理由が主張された。
しかしながら、当該特許第2961735号については、平成18年11月21日付けで訂正審判請求(訂正2006-39188号)がなされ、平成19年3月19日付けで「特許第2961735号に係る明細書を本件審判請求書に添付された訂正明細書のとおり訂正することを認める。」旨の審決(以下、当該審決を「訂正審決」といい、その訂正明細書を「先願特許の訂正明細書」という。)がなされ、当該審決は同年3月29日に確定した。
それ故、当該先願発明は、先願特許の訂正明細書の特許請求の範囲の請求項1に記載されたとおりの次のものである。

(先願発明)
「基材ゴムと、メタクリル酸の金属塩及び/又はアクリル酸の金属塩と、過酸化物系架橋開始剤とを含有するゴム組成物にペンタクロロチオフェノール、ペンタクロロチオフェノールの亜鉛塩、α,α-ジフェニル-β-ピクリルヒドラジル、N,N,N′,N′-テトラエチル-p-フェニレンジアミン、N-(3-N-オキシアニリノ-1,3-ジメチルブチリデン)アニリンオキシドからの遊離基、p,p′-ジフルオルジフェニルアミン、クロルアニル、ガルビノキシル、ヨウ素及び塩化第2鉄から選ばれるラジカル捕獲剤を添加し、これを加硫・成型してワンピースボールを得ることを特徴とするソリッドゴルフボールの製造方法。」

そこで、本件訂正発明と先願発明とを対比すると、いずれも「ゴルフボール」に係るものであって、先願発明の「メタクリル酸の金属塩及び/又はアクリル酸の金属塩」が本件発明の「不飽和カルボン酸の金属塩」に、先願発明の「ペンタクロロチオフェノール、ペンタクロロチオフェノールの亜鉛塩、・・・から選ばれるラジカル捕獲剤」が本件訂正発明の「ペンタクロロチオフェノール又はその金属塩」に、それぞれ対応するものの、本件訂正発明は「ソリッドゴルフボール」という物の発明であるのに対して、先願発明は「ソリッドゴルフボールの製造方法」という製造方法の発明である点で、両者の発明はそのカテゴリーが相違する。
すなわち、本件訂正発明では「多層構造ゴルフボールの芯球を、基材ゴムと、不飽和カルボン酸の金属塩と、ペンタクロロチオフェノール又はその金属塩とを含有するゴム組成物で形成」とあるように、「芯球」のゴム組成物を特定しているものであるのに対して、
先願発明では「架橋開始剤」を含有せしめたゴム組成物に「ラジカル捕獲剤」としての「ペンタクロロチオフェノール、ペンタクロロチオフェノールの亜鉛塩」を添加するという加硫・成型に係る製造方法を特定しているものであり、両者が単なるカテゴリーの相違するものとはいえない。
また、カテゴリーの相違を捨象したとしても、本件訂正発明は「カバー材で直接もしくは中間層を介して被覆した多層構造ゴルフボール」のゴム組成物からなる芯球であるのに対して、先願発明により製造されるものはワンピースボールであり、両者はそもそもソリッドゴルフボールの基本的構成が全く相違している。
してみると、本件訂正発明は、先願発明と実質的に同一の構成を備えたものということはできない。

したがって、本件訂正発明は、先願発明と同一であるということはできない。

(3)原審の拒絶理由に引用された刊行物についての対比・検討
本件特許第2669051号においては、原審で特許法第29条第2項の拒絶の理由を通知するに際し、以下の刊行物が引用されている。
そこで、本件特許第2669051号発明とこれら刊行物記載とを対比して検討する。

刊行物1:特開昭59-228868号公報
刊行物2:特公昭55-19615号公報
刊行物3:特開昭62-195031号公報

刊行物1は、基材ゴム、不飽和カルボン酸の金属塩及び「ジペンタメチレンチウラムテトラスルフイド」又はその誘導体を含有する「ソリッドゴルフボール」の発明を開示するものであり、また、刊行物2は、ポリブタジエンと、不飽和カルボン酸の金属塩と、ジクミルペルオキシドのような遊離基開始剤とを含有する混合物を加熱・成形したソリツドゴムゴルフボールの発明を開示するものであり、さらに、刊行物3は、ラジカルまたは酸素を捕捉し得る官能基を有する架橋高分子微粉体からなるゴム用老化防止剤を用いたゴム製品を開示するものであって、いずれの刊行物にも、ソリッドゴルフボールのゴム組成物に、本件訂正発明における「ペンタクロロチオフェノール又はその金属塩」を含有させることについての開示はない。
そうすると、本件訂正発明は、上記刊行物1ないし刊行物3に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明することができたものということはできない。

(4)まとめ
以上のとおりであるから、訂正後における特許請求の範囲の請求項1に記載されている事項により構成される発明は、特許出願の際独立して特許を受けることができないものとすることはできない。

5.むすび
以上、本件審判請求は旧特許法第126条第1項ただし書き第1号及び第3号に掲げる事項を目的とし、かつ、同条第2項及び第3項の規定に適合するものである。
よって、結論のとおり審決する
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
ソリッドゴルフボール
(57)【特許請求の範囲】
1.カバー材で直接もしくは中間層を介して被覆した多層構造ゴルフボールの芯球を、基材ゴムと、不飽和カルボン酸の金属塩と、ペンタクロロチオフェノール又はその金属塩とを含有するゴム組成物で形成したことを特徴とするソリッドゴルフボール。
【発明の詳細な説明】
産業上の利用分野
本発明は、飛び性能に優れたソリッドゴルフボールに関する。
従来の技術及び発明が解決しようとする課題
ソリッドゴルフボールには、完全一体成形のワンピースゴルフボールと芯球をカバーで被覆したツーピースゴルフボールと、更には芯球とカバー層との間に1層又は2層以上の中間層を有する多層構造ゴルフボールとがある。
これらのソリッドゴルフボールは、ゴム組成物を加硫成型して得られる弾性部分をその一部(多層構造ボールの芯球)又は全部(ワンピースゴルフボール)に有している。従来、このような弾性部分を形成するためのゴム組成物中には、ポリブタジエンゴム等の基材ゴムと共にボールの反溌係数及び耐衝撃性を向上させるために、α,β-エチレン系不飽和カルボン酸の金属塩等の不飽和結合を有するモノマーを共架橋剤として配合することが知られている。この共架橋剤は過酸化物等の共架橋開始剤の作用によって例えばポリブタジエンゴム主鎖にグラフト又は架橋し、ポリブタジエンと該モノマーとによる三次元架橋重合体を形成し、ワンピースゴルフボール又は多層構造ゴルフボールの芯球に適度な硬さと耐久性を付与するものであり、このような共架橋剤を配合したゴム組成物で形成したワンピースゴルフボール又は芯球をカバーで被覆した多層構造ソリッドゴルフボールは良好な飛び性能及び耐久性を示すことが知られている。
しかしながら、ゴルフプレーヤーのゴルフボールの飛び性能に対する要求は非常に強く、従って飛び性能の更なる向上が望まれている。
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、更に飛び性能の向上したソリッドゴルフボールを提供することを目的とする。
課題を解決するための手段及び作用
本発明者は、上記目的を達成するため鋭意検討を行なった結果、ポリブタジエンゴム等の基材ゴムに共架橋剤として不飽和カルボン酸の金属塩を配合したゴム組成物に対し、ペンタクロロチオフェノール又はその金属塩を添加することにより、これを加硫して得られるゴム弾性体の反溌弾性が向上すること、またこのゴム組成物を用いて多層構造ソリッドゴルフボールの芯球を形成することにより、ボール打撃時の初速度が向上し、優れた飛び性能を示すソリッドゴルフボールが得られることを見い出し、本発明を完成したものである。
従って、本発明は、カバー材で直接もしくは中間層を介して被覆した多層構造ゴルフボールの芯球を、基材ゴムと、不飽和カルボン酸の金属塩と、ペンタクロロチオフェノール又はその金属塩とを含有するゴム組成物で形成したことを特徴とするソリッドゴルフボールを提供する。
以下、本発明につき更に詳しく説明する。
本発明のソリッドゴルフボールは、上述したように、基材ゴムと不飽和カルボン酸の金属塩と、ペンタクロロチオフェノール又はその金属塩とを含有するゴム組成物で多層構造ソリッドゴルフボールの芯球を形成したものである。
ここで、上記基材ゴムとしては、通常のワンピースゴルフボール又は多層構造ソリッドゴルフボールの芯球材料として使用されるものを用いることができ、特に制限されないが、シス構造を少なくとも40%以上有する1,4-ポリブタジエンゴムが高反溌弾性,押出加工性,加硫物の高強度化等の点から特に好ましく使用される。この場合、このような1,4-ポリブタジエンゴムに天然ゴム,ポリイソプレンゴム,スチレンブタジエンゴムなどを所望により適宜配合することができる。なお、1,4-ポリブタジエンゴムは基材ゴム成分中に80重量%以上含有するようにすることが好ましく、これが80重量%未満であるとポリブタジエンゴムが持つ優れた反溌弾性が損なわれる場合がある。
また、上記不飽和カルボン酸の金属塩は共架橋剤として配合されるもので、その具体例としては、アクリル酸,メタクリル酸,マレイン酸,フマル酸等の炭素原子数3?8の不飽和脂肪酸の亜鉛塩やマグネシウム塩などが例示されるが、特にアクリル酸又はメタクリル酸の亜鉛塩が好適に使用される。これら不飽和カルボン酸の金属塩は、予め金属塩の形に調製したものを配合してもよいが、ゴム組成物中でα,β-不飽和カルボン酸と金属酸化物又は金属水酸化物等とを反応させて金属塩とすることもできる。なお、この不飽和カルボン酸の金属塩の配合量は特に限定されないが、上記基材ゴム100重量部に対して25?40重量部とすることが好ましい。
本発明ソリッドゴルフボールの製造に用いられるゴム組成物は上記基材ゴム,共架橋剤に加えてペンタクロロチオフェノール又はその金属塩を配合したものである。なお、これら化合物の配合量は、上記基材ゴム100重量部に対して0.05?2重量部、特に0.1?0.5重量部とすることが好ましい。
上記ゴム組成物には、共架橋開始剤を配合することができる。この場合、共架橋開始剤としては、過酸化物系のもの、例えばジクミルパーオキサイドやt-ブチルパーオキシベンゾエート,ジ-t-ブチルパーオキサイド,1,1-ビス(t-ブチルパーオキシ)3,3,5-トリメチルシクロヘキサン等の有機過酸化物が好適に使用されるが、中でもジクミルパーオキサイドが特に好ましく用いられる。この共架橋開始剤の配合量は、基材ゴム100重量部に対して0.5?3重量部、特に1?2.5重量部とすることが好ましい。更に、このゴム組成物中には、酸化亜鉛、可塑化剤、老化防止剤その他のワンピースゴルフボールや多層構造ソリッドゴルフボールの芯球の製造に通常使用し得る成分を必要により適宜配合することができる。
本発明のソリッドゴルフボールは、上記ゴム組成物を加熱等により加硫し、成型して、多層構造ソリードゴルフボールの芯球を製造するものであるが、この場合、その製造法、条件等は通常の方法、条件とすることができる。
なお、ツーピースボール等の多層構造ソリッドゴルフボールとする場合は、上記ゴム組成物で形成した芯球にカバーを被覆するが、この場合カバー材料としては、アイオノマー,サーリン,ポリエステル,ナイロン等の通常のカバー材料を好適に使用し得る。
発明の効果
本発明のソリッドゴルフボールは、上述した構成としたことにより、飛び性能の更なる向上を達成することができる。
以下、実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。なお、実施例、比較例に先立ち、本発明ソリッドゴルフボールを構成するツーピースゴルフボール用ソリッドコア(芯球)を製造し、その性能を従来のツーピースゴルフボール用コアと比較した実験例を示す。
〔実験例〕
第1表に示す配合成分を混合して6種のゴム組成物を調製した。これを金型を用い、155℃で20分間加硫して直径38.0mmのツーピースゴルフボール用ソリッドコアを製造した。次に、これらをUSGA方式に従い、フライホイール式の打撃試験機を用い、ヘッドスピード38m/secで打撃したときの初速度を測定した。結果を第1表に示す。

第1表に示した結果より、ゴム組成物中にペンタクロロチオフェノールの金属塩であるペンタクロロチオフェノールの亜鉛塩を配合することにより、コア性能(打撃初速度)が向上することが確認された。
〔実施例,比較例〕
第2表に示す配合成分を混合して2種類のゴム組成物を調製し、これを金型を用い、155℃で20分間加硫して直径38mmのツーピースゴルフボール用のソリッドコアを2種類製造した。次いで、これらのコアにアイオノマー樹脂を被覆形成して直径42.7mmのツーピースゴルフボールを製造した。
これらのゴルフボールをUSGA方式に従い、フライホイール式の打撃試験機を用い、ヘッドスピード38m/secで打撃したときの初速度を測定した。結果を第2表に示す。


第2表の結果より、本発明のゴルフボールはボール初速度が高く、飛び性能が向上したものであることが確認された。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
審決日 2008-04-30 
出願番号 特願平1-118460
審決分類 P 1 41・ 121- Y (A63B)
P 1 41・ 851- Y (A63B)
P 1 41・ 856- Y (A63B)
P 1 41・ 4- Y (A63B)
P 1 41・ 853- Y (A63B)
最終処分 成立  
前審関与審査官 石井 哲  
特許庁審判長 酒井 進
特許庁審判官 坂田 誠
中田 とし子
登録日 1997-07-04 
登録番号 特許第2669051号(P2669051)
発明の名称 ソリッドゴルフボール  
代理人 小佐野 愛  
代理人 吉見 京子  
代理人 村田 真一  
代理人 小佐野 愛  
代理人 吉見 京子  
代理人 村田 真一  
代理人 石井 良夫  
代理人 石井 良夫  
代理人 木崎 孝  
代理人 木崎 孝  

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