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審決分類 審判 全部無効 2項進歩性  C02F
管理番号 1178056
審判番号 無効2007-800006  
総通号数 103 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2008-07-25 
種別 無効の審決 
審判請求日 2007-01-16 
確定日 2008-04-28 
訂正明細書 有 
事件の表示 上記当事者間の特許第3851927号発明「泥土の処理方法」の特許無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 訂正を認める。 特許第3851927号の請求項1乃至3に係る発明についての特許を無効とする。 審判費用は、被請求人の負担とする。 
理由 I.手続の経緯
出願 平成9年4月17日
(特願平9-115267号)
審査請求日 平成16年4月9日
拒絶理由通知書 平成18年2月6日
意見書 平成18年4月10日
手続補正書 平成18年4月10日
特許査定 平成18年6月6日
登録 平成18年9月15日
特許第3851927号
無効審判請求日 平成19年1月16日
答弁書 平成19年3月28日
訂正請求書 平成19年3月28日
口頭審理陳述要領書(請求人) 平成19年12月5日
口頭審理陳述要領書(2)(請求人) 平成20年1月8日
口頭審理陳述要領書(被請求人) 平成20年1月11日
口頭審理調書 平成20年1月11日
上申書(被請求人) 平成20年1月25日
上申書(請求人) 平成20年1月28日

II.訂正請求について
1.訂正事項
平成19年3月28日付け訂正請求は以下(1)乃至(6)の訂正事項を内容としている。
(1)特許請求の範囲の請求項1において「水硬性材料を添加する工程とより構成することを特徴とする、泥土の処理方法。」とあるのを「水硬性材料を添加する工程とにより構成することを特徴とする、泥土の処理方法。」と訂正する。
(2)特許請求の範囲の請求項2において「水溶性高分子がカルボシキル基を含有しているこを特徴とする、泥土の処理方法。」とあるのを「水溶性高分子がカルボシキル基を含有していることを特徴とする、泥土の処理方法。」と訂正する。
(3)特許請求の範囲の請求項3において「水硬性材料が生石灰であるこを特徴とする、泥土の処理方法。」とあるのを「水硬性材料が生石灰であることを特徴とする、泥土の処理方法。」と訂正する。
(4)明細書の段落【0008】において「請求項1に係る発明は、泥土を脱水して粒状化する泥土の処理方法において、
前記泥土に高分子凝集剤及び無機凝集剤を添加して濃縮する濃縮工程と、
この濃縮した泥土を液性限界から塑性限界の範囲内まで脱水する脱水工程と、
脱水後の泥土に粉体の水溶性高分子を混合して粒状化する工程と、
前記粒状化物に粉体の水硬性材料を混合して粒状化物の表面に水硬性材料を添加する工程とより構成することを特徴とする、泥土の処理方法である。
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の泥土の処理方法において、水溶性高分子がカルボシキル基を含有しているこを特徴とする、泥土の処理方法である。
請求項3に係る発明は、請求項1又は請求項2に記載の泥土の処理方法において、水硬性材料が生石灰であるこを特徴とする、泥土の処理方法である。」とあるのを「請求項1に係る発明は、泥土を脱水して粒状化する泥土の処理方法において、
前記泥土に高分子凝集剤及び無機凝集剤を添加して濃縮する濃縮工程と、
この濃縮した泥土を液性限界から塑性限界の範囲内まで脱水する脱水工程と、
脱水後の泥土に粉体の水溶性高分子を混合して粒状化する工程と、
前記粒状化物に粉体の水硬性材料を混合して粒状化物の表面に水硬性材料を添加する工程とにより構成することを特徴とする、泥土の処理方法である。
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の泥土の処理方法において、水溶性高分子がカルボシキル基を含有していることを特徴とする、泥土の処理方法である。
請求項3に係る発明は、請求項1又は請求項2に記載の泥土の処理方法において、水硬性材料が生石灰であることを特徴とする、泥土の処理方法である。」と訂正する。
(5)明細書の段落【0011】乃至【0019】において「【0011】
〈ロ〉脱水工程
一般に浚渫直後の泥土(超軟弱粘土)の含水比は300%程度あり、このような高含水比の泥土を粒状化するには、含水比を大幅に落とす必要がある。
【0012】
本発明は土が持つ液性限界から塑性限界の範囲内まで脱水するものである。これは泥土を粒状化するために必要最小限の脱水を図り、脱水作業を簡易にするためである。ここでいう「液性限界」とは、細粒土のコンシステンシーの限界のひとつで、土を練り返したときの液性状態と塑性状態の境界の含水比を意味する。また「塑性限界」とは細粒土のコンシステンシーの限界のひとつで、土を練り返したときの塑性状態と半固体状態の境界をなす含水比を意味する。
【0013】
又、脱水手段としては、簡易脱水機、真空脱水による脱水等公知の脱水手段を適用できる。
【0014】
〈ハ〉粒状化工程
脱水してケーキ状に化した泥土に粉体の水溶性高分子を混合して粒状化する。
水溶性高分子はカルボシキル基含有のもので、例えばソイルハード(商品名、ソイルベスト社製)などを使用できる。
【0015】
粒状化物を作成する際、カルボシキル基含有の水溶性高分子を添加することで、泥土中の窒素源である有機物がこの水溶性高分子により抑制され、溶解割合が低下する。
【0016】
〈ニ〉コーティング工程」とあるのを「【0011】
〈ロ〉濃縮工程
高含水比の泥土に高分子凝集剤及び無機凝集剤を添加して濃縮し、この濃縮した泥土を対象に、脱水工程、粒状化工程、コーティング工程を経て粒状土を作成する。
【0012】
高分子凝集剤としては、例えばポリアクリルアミド系等の一般的なものが使用できる。
【0013】
又、無機凝集剤としては、例えば硝酸バント等を使用できる。
【0014】
〈ハ〉脱水工程
一般に浚渫直後の泥土(超軟弱粘土)の含水比は300%程度あり、このような高含水比の泥土を粒状化するには、含水比を大幅に落とす必要がある。
【0015】
本発明は土が持つ液性限界から塑性限界の範囲内まで脱水するものである。これは泥土を粒状化するために必要最小限の脱水を図り、脱水作業を簡易にするためである。ここでいう「液性限界」とは、細粒土のコンシステンシーの限界のひとつで、土を練り返したときの液性状態と塑性状態の境界の含水比を意味する。また「塑性限界」とは細粒土のコンシステンシーの限界のひとつで、土を練り返したときの塑性状態と半固体状態の境界をなす含水比を意味する。
【0016】
又、脱水手段としては、簡易脱水機、真空脱水による脱水等公知の脱水手段を適用できる。
【0017】
〈ニ〉粒状化工程
脱水してケーキ状に化した泥土に粉体の水溶性高分子を混合して粒状化する。
水溶性高分子はカルボシキル基含有のもので、例えばソイルハード(商品名、ソイルベスト社製)などを使用できる。
【0018】
粒状化物を作成する際、カルボシキル基含有の水溶性高分子を添加することで、泥土中の窒素源である有機物がこの水溶性高分子により抑制され、溶解割合が低下する。
【0019】
〈ホ〉コーティング工程」と訂正する。
(6)特許明細書の段落【0027】乃至【0030】を削除し、段落番号を【0020】乃至【0030】を新たに付け直す訂正を行う。
2.当審の判断
これらの訂正事項を以下検討する。
(1)は、特許請求の範囲の請求項1乃至3の「とより」を「とにより」と訂正し、(2)及び(3)は、特許請求の範囲の請求項2及び3の「こを」を「ことを」に訂正するもので、いずれも誤記の訂正であることは明らかであり、これらの訂正に対応する明細書の段落【0008】における(4)の訂正も同様であるから、(1)乃至(4)に係る訂正事項は、特許法第134条の2第1項第2号に掲げる事項を目的とし、特許法第134条の2第1項の規定に適合するということができる。
また、(5)及び(6)の訂正は、特許請求の範囲の請求項1に係る発明と、発明の詳細な説明が整合することを目的とするもので、明りょうでない記載の釈明に該当するから、当該訂正は、特許法第134条の2第1項第3号に掲げる事項を目的とし、特許法第134条の2第1項の規定に適合するということができる。
そして、これら(1)乃至(6)の訂正事項は、願書に添付した明細書等の範囲内においてしたものであり、実質上特許請求の範囲を拡張・変更するものではない。
したがって、これら訂正事項は、特許法第134条の2第5項の規定によって準用する特許法第126条第3項及び同第4項の規定に適合するので、当該訂正を認める。

III.本件特許発明
本件特許の請求項1乃至3に係る発明は、平成19年3月28日付け訂正請求書により訂正された特許明細書及び図面の記載からみて、特許請求の範囲の請求項1乃至3に記載された次のとおりのものである。(以下、「本件特許発明1」乃至「本件特許発明3」とし、これらを総称して「本件特許発明」いう。)
【請求項1】 泥土を脱水して粒状化する泥土の処理方法において(A)、
前記泥土に高分子凝集剤及び無機凝集剤を添加して濃縮する濃縮工程(B)と、
この濃縮した泥土を液性限界から塑性限界の範囲内まで脱水する脱水工程(C)と、
脱水後の泥土に粉体の水溶性高分子を混合して粒状化する工程(D)と、
前記粒状化物に粉体の水硬性材料を混合して粒状化物の表面に水硬性材料を添加する工程(E)とにより構成することを特徴とする、
泥土の処理方法。
【請求項2】 請求項1に記載の泥土の処理方法において、水溶性高分子がカルボキシル基を含有していること(F)を特徴とする、泥土の処理方法。
【請求項3】 請求項1又は請求項2に記載の泥土の処理方法において、水硬性材料が生石灰であること(G)を特徴とする、泥土の処理方法。
(発明特定事項を審判請求人の方法に従いA?Gに分説した。請求項2において、当初「カルボシキル基」とされていたが、口頭審理において誤記であることが確認されたので「カルボキシル基」と認定した。)

IV.請求人の主張
1.審判請求書における主張の概要は、以下のとおりである。
甲第1号証(特開平5-247464:原審における引用例2)には本件特許発明の発明特定事項A?Eに相当する事項が記載されている。
甲第2号証(特開昭62-197199号公報の平成3年月21日付けの手続補正書:平成3年9月30日に特許法第17条の2の規定による補正の掲載として発行)には本件特許発明の発明特定事項B及びCに相当する事項が記載されている。
甲第3号証(特開平6-57250号公報:原審における引用例4)には本件特許発明の発明特定事項D?Gに相当する事項が記載されている。
甲第4号証(特開平6-17052号公報)には本件特許発明の発明特定事項D?Gに相当する事項が記載されている。
とした上で、
(無効理由1)請求項1は、甲第1号証に記載された発明と同一発明であるから当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第1項第3号の規定に違反してなされたものであり、特許法第123条第1項第2号により、本件特許を無効とすべきものである。
(無効理由2)請求項1は、甲第1号証に記載された発明に基づいて(必要ならば甲第2号証を考慮することにより)当業者が容易に発明をすることができたものであり、請求項2及び3は、甲第1号証に記載された発明及び甲第3号証(又は甲第4号証)に記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものであり、特許法第123条第1項第2号により、本件特許を無効とすべきものである。
(無効理由3)本件明細書の[実施例]の欄の記載では、たとえ当業者といえども、濃縮工程、脱水工程、粒状化工程、コーティング工程を具体的にどの様に行うのか理解することができないから、改正前特許法第36条第4項の規定に違反してなされたものであり、特許法第123条第1項第4号により、本件特許を無効とすべきものである。
と主張したが、平成20年1月11日付け口頭審理陳述要領書において無効理由1を取り下げたので、審理の対象となるのは無効理由2及び3である。
2.口頭審理陳述要領書における主張の概要は以下のとおりである。
(1)審判請求書において主張した特許法第29条第1項第3号の請求の理由を取り下げる。主張する請求の理由は特許法第29条第2項および第36条第4項違背の理由である。
(2)本件特許明細書の記載は比較例が存在しないなど豊富とはいえず、「脱水工程」に関しては用語の説明を除けば、一般的な記載があるのみで、「粒状化」に関しては粒径に関する記載もない。「路盤材」については具体的に記載されていない。
(3)前記審査経緯からすれば特徴は「濃縮工程」にあるものと解されるが、特徴が上記の「粒状化工程」にあるというのであれば、証拠を追加して次のように特許法第29条第2項の理由を主張する。
甲第5号証:「建設大臣認定機関財団法人土木研究センター」に係る「民間開発建設技術審査・証明事業認定規定に基づく土木系材料技術・技術審査証明報告書(技審証第0702)」(平成7年6月)の第9?14頁、第21?46頁および第53?65行
参考資料1:「建設大臣認定機関財団法人土木研究センター」に係る「民間開発建設技術審査・証明事業」に関する「申込案内書」一式(平成7年1月:表紙の裏側)
参考資料2:「建設発生土利用技術マニュアル」(1974年7月1日財団法人土木研究センター発行)第1?5頁
甲第6号証:特開平8-48975号公報
甲第7号証:特開平8-73852号公報
甲第5号証は、「建設発生土改良剤ソイルハードによる粒状改良土スーパーソイル」(審査証明依頼者:三菱化学株式会社、株式会社ソイルベスト)と題する報告書である。
参考資料1の第2頁に「審査証明のフロー」が示され、報告書が「建設省、関係公団都道府県等」に広報手段として配布されることが明らか。このことから、甲第5号証自体が本願出願前に頒布された刊行物であるといえる。
(4)「粒状化に関するメカニズム」は本願出願前に公知である。
甲第5号証第11頁記載の「土の改良機構」のモデルは、乙第1号証に記載された粒状化に関するメカニズムと実質的に同一内容である。
なお、甲第5号証第12頁の表中に「ソイルハード」は「水溶性アクリル樹脂(ポリアクリルアミド)」と記載され、水溶性高分子(カルボキシル基を有するもの)と水硬性材料(石灰)とを使用して粒状再生土を得ることは本願出願前に公知。上記「ソイルハード」(商品名)は、本件特許明細書においてカルボキシル基含有水溶性高分子の具体例として使用されている(段落【0014】)。
(5)被請求人の説明する本件特許発明で造粒した再生粒状化物の特性は何ら目新しいものでない。甲第5号証の証明審査の結果(第21?46頁)は、本件特許発明の粒状化物の性能と答弁書において説明する特性と実質的に同じである。
(6)被請求人の主張する本件特許発明における「粒状化」は本願出願前に公知である。
(a)甲第5号証第53?65頁に「スーパーソイル」の製造マニュアルが記載され、第53頁に、水溶性高分子(カルボキシル基を有するもの)と水硬性材料(石灰)とを使用して粒状再生土を得る工程の説明がある。
(b)甲第6号証は、「再生土の製造方法」に関し、「建設発生土とカルボキシル基含有水溶性重合体粉末とを攪拌混合機で混合して粒状物を得、該粒状物に石灰粉末を添加して転動混合機で混合し、次いで養生することを特徴とする再生土の製造方法。」(【請求項1】)が記載され、上記の石灰粉末添加に関し、「粒状物に、石灰粉末60を添加し、転動混合機40に導入し、粒子を転動しながら石灰の粉を粒子表面に付着させる。この結果、土の表面に水溶性重合体と石灰が被覆され瞬時に反応固化し、転動混合機40の出口より処理土として回収される。」(【0018】)と記載され、更に、「転動混合機を用いた混合方法では土の粒子が殆ど潰れることなく、土の粒子表面で水溶性重合体と石灰が反応固化し、養生すれば粒子内部までの固化が進む」(【0021】)と記載されている。
(c)甲第7号証は「土建用資材及び透水性地盤の造成方法」に関し、「含水土壌に水溶性高分子を添加して粒状化後、石灰で処理した再生土から成る透水性地盤形成用資材。」(【請求項1】 )の発明が記載され、上記の含水土壌に関し、「含水土壌が土木及び建築工事等で発生した建設発生土である」(【請求項8】)と記載され、上記の水溶性高分子に関し、「水溶性高分子が、親水性基としてカルボキシル基を有する単量体を全単量体に対し5?60モル%含む重合体である」(【請求項4】)と記載され、上記の石灰の処理に関し、「後段の石灰等の固化材の混合機は、機種は問わないが、前段で粒状化した粒子の表面に固化材が均一に分散付着するのが好ましいので、例えば、前段の二軸混合機と同様なものを使用しても良いが、高低差を利用した転動混合機を使用するのが望ましい。」(【0007】)と記載されている。
したがって、水溶性高分子(カルボキシル基を含有するもの)と水硬性材料(石灰)とを使用して粒状再生土を得ることは本願出願前に公知である。粒状再生土を地盤形成用資材に転用することも公知である。
(7)本件特許発明の「脱水工程」について
甲第5号証の第60頁には「対象土の適用性の確認方法」が記載されているが、第2?3号には「これまでの実績では、塑性限界から液性限界までの細粒分の多い砂質土から火山灰粘土まで改良できた」と記載されている。
本件特許発明における「脱水工程」は、甲第6号証記載発明や甲第7号証記載発明の原料である「建設発生土」の含水比と同レベルに粒状再生土の原料(濃縮泥土)の含水比を調節する工程にすぎない。
(8)本件特許発明の「濃縮工程」について
泥土に高分子凝集剤及び無機凝集剤を添加すれば濃縮されやすくなることは凝集剤自体の作用からして自明のことにすぎない。被請求人は乙第3号証を提出して公知手段であることを自認している。
3.口頭審理陳述要領書(2)における主張の概要は以下のとおりである。
(1)特許権者の主張について
特許権者は、争点を、答弁書では「粒状化」、陳述要領書では「改良する土」と「二種類の凝集剤の使用」と変更し、一貫性のない主張を行い、妥当性を欠くものである。
特許権者の主張に対する請求人の反論の要点は以下の通りである。
(2)改良する土について
(i)特許権者の主張は請求項の記載に基づいていない。
本件特許請求の範囲には、「泥土」とあり、「ヘドロ」以外の「泥土」を包含している。また、本件特許請求の範囲には、「含水比」の規定もない。
(ii)特許権者は陳述要領書において本件特許発明で処理する前の泥土の成分は「0.001mm?0.1mm程度の、非常に細かい粒子の土である。」とするが、甲第8号証「芙蓉地質 地盤情報 土粒子の大きさと粘土」によれば、係る粒径のものは、粘土?シルトに該当し、甲第5号証の「スーパーソイル」の対象土「火山灰粘性土」?「シルト質砂」と実質的に同じである。
(3)二種類の凝集剤の使用について
(i)作用効果
特許権者の主張する二種類の凝集剤の使用に関する作用効果は、特許明細書に全く記載がない。
(ii)使用量
特許明細書中に「高分子凝集剤」の使用量は記載されておらず、「無機凝集剤」に対する使用比率も記載されていない。
(iii)二種類の凝集剤の使用に関する公知文献
甲第1号証、甲第2号証、乙第3号証に加えて、更に、
(a)甲第9号証「高分子薬剤入門」(1992年11月、三洋化成工業株式会社発行、第416?421頁)を提出。殊に第419頁に「高分子凝集剤と無機塩の併用の原理」についての説明がある。
(b)甲第10号証「凝集工学 -基礎と応用- 日本粉体工業技術協会編」(昭和57年5月29日、日本工業新聞社発行、第275?289頁)を提出。殊に第278頁末行乃至第279頁第2行には、「無機凝集剤が単独で使用される場合は、きわめてまれになっている。たいていの場合、高分子凝集剤の併用での処理が行われる」と記載され、第287頁の表12.2には「脱水機構と有効な凝集剤」について記載され、「無機塩+重合系」、つまり無機塩系凝集剤と高分子凝集剤の併用が示されている。
(4)濃縮工程の意義について
特許権者の濃縮後の汚泥の「運搬可能性」についての主張は、特許請求の範囲はおろか、明細書の発明の詳細な説明にも記載がない。
(5)高分子の2回目の使用について
公知の方法により、「高分子凝集剤」と「無機凝集剤」とを使用して得た濃縮後の泥土について、甲第5号証の教示を適用して脱水し(塑性限界から液性限界:甲第5号証の第60頁)、そのまま第5号証の方法を適用すれば、必然的に「高分子の2回目の使用」となる。
(6)粒状土の安定性について
特許権者が言及する、改良した粒状土がPhに影響を及ぼさず、窒素やりんも流出しがたい安定した性質を示す点は、りん成分と生石灰(塩基性)とは反応して水不溶性の「リン酸カルシウム」となることは化学常識である。
4.上申書における主張の概要は以下のとおりである。
(1)追加された証拠を基礎とした無効審判の提起は別として、本件特許は、改正前特許法第36条第4項の規定違反の理由のみでも無効となるべきものと思量する。
(2)被請求人は、口頭審理陳述要領書の第4頁の「(5)二種類の凝集剤の使用」で作用効果を説明し、「『高分子凝集剤』だけを多く入れ過ぎると、粒子表面にある吸着活性点が全て凝集剤の分子に占められてしまい、架橋作用が働かなくなる上、親水性が強いので保護コロイドの機能により粒子を取り囲む為、粒子が凝集しなくなってしまうからである」とし、凝集剤の使用量や高分子凝集剤と無機凝集剤の使用比率の重要性を強調している。
しかしながら、本件特許明細書には、段落【0019】、【0027】、【0028】及び【0029】の記載があるのみで、要するに、凝集剤の使用量や高分子凝集剤と無機凝集剤の使用比率は、一切記載がない。なお、「硝酸バンド」という化合物は存在しないように思われる。
(3)上述のように、凝集剤の使用量や高分子凝集剤と無機凝集剤の使用比率の重要性を強調することにより、本件特許明細書における改正前特許法第36条第4項の規定違反は、一層明らかとなっている。

V.被請求人の主張
1.被請求人の答弁書における主張の概要は以下のとおりである。
(1)本件特許発明と甲第1号証の対比
(ア)粒状化を目的としていない。
甲第1号証発明には、改良土の生成を目的としているが、粒状化を目的にするとは、一言も述べていない。
(イ)粒状化前の含水比の設定
甲第1号証には、本願発明の構成要件である濃縮と脱水によって「液性限界から塑性限界の範囲内」までにするという重要な構成要件が記載されていない。
水溶性高分子を混合して泥土を粒状化させるには、適正な含水比に至っていることが重要である。それは、高分子が水分を吸収して溶解し、集まった土の粒子表面に被膜を形成するための最適な含水比が重要であることを見出したがためである。
甲第1号証の段落【0016】に脱水機から出た直後の、高分子吸収剤や固化剤を混練する前の泥土が「泥土ケーキは水分を多量に含んだ、どろどろの状態になっている。」とあり、乙第2号証の例に倣えば「液体状」であって、「液性限界から塑性限界の範囲内」ではなく、これよりも大きな含水比であることが理解できる。このような含水比の泥土に水溶性高分子を混練したとしても「粒状化」は不可能である。
(ウ)水硬性材料のコーティング
本件特許発明では、「粒状化物の表面に水硬性材料を添加する」ものであり、粒の内側に練り込んでしまっては、粒子をつぶすとともに、粒子の状態での強度を得ることはできない。そのために、粒状化物の表面にまぶすように添加するだけである。
ところが、甲第1号証では、段落【0027】において、「高分子吸収剤及び固化剤を、タイミングを計りつつ2軸ミキサー16によってそれぞれ供給して泥土ケーキの脱水、固化を行うようになっているので、2軸ミキサー16での連続運転が可能となる。」と記載しており、固化剤を表面にまぶすのではなく、泥の微粒子の間に混ぜ入れてしまうこととなる。このような方法で出来上がるのは、砂や砂利のような粒状ではなく、固化剤によって固まった岩石やコンクリート塊のようなもので、埋戻材や路盤材にふさわしくない。
(2)本件特許発明と甲第2号証の対比
甲第2号証に係る発明は、「無機凝集剤と有機凝集剤の混合物」を使用して経済的に脱水を行うことを開示しているだけで、「粒状化」ために、予め泥土を「液性限界から塑性限界の範囲内」にするという思想は開示されていない。
(3)本件特許発明と甲第3号証の対比
甲第3号証発明は、現場での施工によって、地盤を改良するだけであって、造粒した粒状化物を路盤材などへ転用するなどという思想は存在していない。
(4)本件特許発明と甲第4号証の対比
甲第4号証発明にも「粒状化物の表面に水硬性材料を添加」してコーティングするという思想は存在していない。
(無効理由1)について
(1)(ア)?(ウ)に記載したように、請求項1に記載の発明は甲第1号証に記載された発明と同一ではないから、無効理由1には理由がない。
(無効理由2)について
甲第1号証に記載された発明では、超軟弱土を「粒状化」し、この粒状物を潰さずに水硬性材料を添加して、砂や砂利の代替物として埋戻材や路盤材の材料へ再生できるという効果を達成できなく、本件特許発明の効果は格別であるから、本件特許発明は、甲第1号証発明から容易に発明できたものではない。
甲第3号証発明及び甲第4号証発明も、本件特許発明の「粒状化物の表面に水硬性材料を添加」して、コーティングし、埋戻材や路盤材の骨材などの代替物となるまで泥土を粒状化処理する思想は有さず、単に「カルボキシル基含有水溶性重合体」と「石灰」という材料を開示するにとどまる。
そうすると、甲第1号証発明に材料のみを開示する甲第3号証発明、或いは甲第4号証発明を組み合わせたとしても、本件特許発明請求項1乃至3の発明となるものではない。
したがって、本件特許発明の請求項1乃至請求項3に係る発明は、特許法第123条第1項第2号に該当するものでない。
(無効理由3)について
請求人が提出した甲第2号証においても、凝集剤を用いての凝集手段が記載され、凝集剤を使って凝集・濃縮を行う手段は公知であって、当業者ならば、本件特許発明明細書の記載だけでも、容易に理解可能な工程である。
脱水の方法についても、乙第3号証として提示する特開昭63-276500号公報に記載されているように脱水機として「真空濾過器」「遠心分離機」「ベルトプレス脱水機」「フィルタプレス」等が記載され、これらを使って脱水処理する手順は、当業者ならば公知の事実となっている。
粒状化にしても高分子を混合することによって成し得るのであって、混合に複雑な手段は必要ない。
コーティングにしても粒状化物の表面にまぶすようにすると認識でき、圧力をかけて粒状物内に練り込むのではないと理解でき、殊更困難な手段を必要とするものでない。
つまりは、本件特許発明では、「濃縮」「脱水」「粒状化」及び「添加」という一連の工程を行うのが重要であって、各工程そのものは、当業者にとって殊更困難なものではない。
したがって、本件特許発明明細書の記載は、当業者にとって具体的であって、実施が可能な程度に明確かつ十分に記載されているのであって、無効理由3には理由がない。
2.被請求人の口頭審理陳述要領書における主張の概要は、以下のとおりである。
(1)はじめに
審判請求人提出の証拠記載発明は本件特許発明と全く異なる。
(2)甲第5号証の技術審査証明報告書
証明依頼者の株式会社ソイルベストは、本件特許の当初出願人であった。
技術審査報告書が刊行されたのは本件出願より遙か以前である。
本件特許発明は、当然のことながら、甲第5号証刊行当時の技術を改良して、新規に創案した発明である。
本件特許発明が、甲第5号証に記載された発明と大きく異なる点は、改良する土の違いである。
甲第5号証において改良する土は、「建設発生土」、本件特許発明では、含水比が300%という高い含水比を持つ泥土(超軟弱粘土)である。
(3)本件特許発明の目的。
本件特許発明は、含水比300%程度の超軟弱粘土を粒状化することを、その目的としているものである。
産業廃棄物である泥土を違法に廃棄せずに、資源として有効利用可能にする一石二鳥の問題解決を達成した。
(4)泥土の処理の困難性
「ヘドロ」などの「泥土」は水底から引き上げたとき含水比300%程度の超軟弱粘土である。
本件特許発明で処理する前の泥土成分は粒径が0.001mm?0.1mm程度の非常に細かい土である。
本件特許発明では、超軟弱粘土を処理して0.1mm?13mm程度の粒状化物に処理した。
(5)二種類の凝集剤の使用
新たな技術手段を創案する必要があった。それが「濃縮工程」と「脱水工程」。
特に大切なことは、濃縮工程において「高分子凝集剤」のみならず「無機凝集剤」も一緒に使用することである。「高分子凝集剤」だけを多く入れ過ぎると粒子表面にある吸着活性点が全て凝集剤の分子で占められてしまい、架橋作用が働かなくなる上、親水性が強いので保護コロイドの機能により粒子を取り囲むため、粒子は凝集しなくなってしまう。
無機凝集剤は粒子を取り囲むことがなく、高分子凝集剤のみでは困難となる脱水を容易に行えるようにし、二度目の高分子によって粒状化を可能とするものである。
(6)濃縮工程の意義
超軟弱粘土を運搬可能にするのが「凝集剤」による濃縮であって、「高分子」と「無機」の二種類の凝集剤を使用して濃縮して、運搬可能な状態まで処理するものである。
(7)脱水工程
脱水工程では、「液性限界から塑性限界の範囲」までに至らせる。
答弁書において述べた通り、「或る程度の水が土粒子の間になければ、高分子が反応しない。しかしながら、その水が余り多すぎても、高分子同士や土粒子の吸着がうまく進行せず、造粒化の妨げとなる。」(答弁書第4頁第3?5行目)
(8)高分子の二回目の使用
造粒化するために二度目の「高分子」を使用している。
高い含水比の泥土においては、本件特許発明で行う二段階の高分子の使用が不可欠である。
(9)水硬性材料の添加
粒状化した土に、生石灰などの水硬性材料を混合し、表面に添加して固化させるものである。
(10)粒状土の安定性
本件特許発明で改良したのは、廃棄物処理法で規定する産業廃棄物に属するヘドロなどの泥土。改良した粒状土がPhに影響を及ぼさず、窒素やりんも流失し難い安定した性質を示す。各地方公共団体で認定され、路盤材などとして使用することが認定されている。
(11)審判請求人の甲第5号証?甲第7号証について
各証拠に記載された発明は「建設発生土」の再生に関するものである。
(12)「超軟弱泥土」ではなく「建設発生土」
甲第1号証乃至甲第4号証については答弁書にて言及済みである。
甲第5号証の第10頁第4行目に『粒状改良土「スーパーソイル」とは、建設発生土改良剤ソイルハードにより、』と記載され、第21頁第11行目の「含水比92%の関東ロームを用いて、」のように建設発生土の例を挙げている。
甲第6号証は、審判請求人が陳述要領書において『(b)甲第6号証は、「再生土の製造方法」に関』するものであることを自認している。
甲第7号証についても陳述要領書において『(c)甲第7号証は、「土建用資材及び透水性地盤の造成方法」に関』するものであることを自認している。
(13)濃縮工程から脱水工程までの非開示
本件特許発明において斬新であるのは、二種類の凝集剤の採用。この手段は、請求人が提出した証拠のいずれにも全く記載がない。
二種類の凝集剤による「濃縮工程」無くして、超軟弱泥土車両にて運搬し、脱水と粒状化を容易に行うことは不可能である。
(14)審判請求人の無効理由
特許法第36条第4項に違背するという指摘には、答弁書において指摘が当たらない旨主張している。
審判請求人は、「濃縮工程」と「脱水工程」が、「単なる含水比の調整」であると考え、「含水比の調整」程度は自明であり本件特許発明が容易に発明できたと考えていることが窺えるが上述の通り、「高分子」と「無機」の二種類の凝集剤を採用することは「超軟弱粘土」を粒状化にまで至らせるための極めて重要な要件である。
したがって、特許法第36条第4項違反には当たらない。
(15)むすび
「濃縮工程」と「脱水工程」を開示した証拠無しに証拠発明をどの様に組み合わせたとしても本件特許発明を創案できるものではない。
3.被請求人の上申書における主張の概要は、以下のとおりである。
(1)請求人の主張変更について
請求人が提出した口頭審理陳述要領書において特許法第29条第1項第3号の請求の理由を取り下げるという一貫性のない主張を行っている。
また、審判請求書には、甲第1号証?甲第4号証を証拠として提出し、口頭審理陳述要領書には、異なる証拠甲第5号証?甲第7号証を提出し、口頭審理陳述要領書(2)において別の甲第8号証?甲第10号証を提出している。
被請求人は、首尾一貫、特許発明とそれらの各証拠との違いを主張してきたのであって、その立脚する立場は変わらない。
(2)請求の理由の要旨の変更
<イ>証拠の追加は要旨の変更
特許法第131条第2項の改正に伴う運用では、「無効理由たる事実を証明する証拠(主要証拠)の差し替え、追加」は、要旨の変更として取り扱うよう定めている。
請求人が二つの口頭審理陳述要領書に添付して新たに提出した証拠甲第5号証?甲第10号証は、審判請求書に添付した甲第1号証?甲第4号証とは別物であり、口頭審理陳述要領書は手続補正書でもない。
そして、請求人は、審判請求書及び口頭審理陳述要領書の中で、それらの新たに提出した証拠を周知事実とも、或いは周知慣用技術とも呼んでいない。
それどころか、口頭審理陳述要領書の陳述の要領で、「しかし、本件特許発明の特徴が上記の点にあるというのであれば、請求人は、証拠を追加する機会を得、次のように特許法第29条第2項の理由を主張する。証拠の追加を上申する刊行物は次のとおりである。」と述べている。
要するに請求人は、審判請求書の請求の理由では充分に論証しなかった特徴構成要件について、全く別の新たな証拠を追加して新たな理由を主張すると述べているのである。これはまさに、「無効理由たる事実を証明する証拠(主要証拠)の追加」である。
言い換えれば、甲第5号証以下の証拠が「周知事実を裏付けるための証拠の追加又は無効理由たる事実を証明する証拠の信憑性を高めるための間接証拠の追加」でもないことは明白である。
<ロ>要旨の変更の取扱い
してみると、たとえ、請求人が補正手続によって甲第5号証以下の証拠を追加したとしても、特許法第131条の2第2項各号の規定に該当する事由がある場合以外、補正は許可されない。
被請求人は訂正請求をしているが、その内容は誤記の訂正に留まり、その訂正の請求により請求の理由を補正する必要が生じるはずもなく(同条第2項第1号)、被請求人はその補正に同意を求められたこともない。また同意する意志もない。(同条第2項第2号)更には、1月11日付口頭審理においても、審判長からそのことについての言及もなく、証拠の追加補正を許可されたか伺っていない。
特許法第131条の2第1項によれば、「請求書の補正は、その要旨の変更をするものであってはならない。」のであるから、甲第5号証?甲第10号証のうち、周知技術とも言えなくはない甲第8号証?甲第10号証を除く、少なくとも甲第5号証?甲第7号証の証拠の追加は認められるべきではない。
(3)本件特許発明の課題
<a>「泥土」の処理
本件特許発明の課題は、単に改良土を製造するだけでなく、請求の範囲に明らかなように、「泥土」を改良することを目的とする。
【発明の属する技術分野】に「本発明は河川、湖沼、海域等の水底に堆積したヘドロ(泥土)の有効技術に関し、より詳細には泥土を粒状化する泥土の処理方法に関する。」ものである。段落【0018】には、その泥土が「超軟弱粘土」であることを定義している。
図1のグラフにおいて、ヘドロ原料粒状化処理前の100%が0.001?0.1mm程度の非常に細かな粒子で、含水率が容易に落ちない土であることが理解できる。
そして、段落【0002】にそれらの泥土の処理における別の課題も記載している。
このような処分に困っていた泥土の処理と確保の困難な資源として有効活用できるという一石二鳥以上の課題を克服するものである。
<b>格別な効果
このような廃棄処理に困る泥土を粒状化可能とすることによって、【発明の効果】における格別な効果を達成している。
<c>泥土の処理に基づく別の課題
本件特許請求の範囲は「泥土」と記載してあるが、詳細な説明特に発明の効果を参酌すれば「高含水比の泥土」であって、それを粒状化して代替え材として有効利用し、有害物質を流出させない効果も達成している。
<d>請求人が提出した証拠が解決しようとする課題
請求人が提出した証拠甲第1号証?甲第10号証には、本件特許発明が処理しようとする泥土を処理して粒状化するという発想は、皆無である。
請求人の主張する甲第5号証の第13頁のスーパーソイルの対象土の目安である「火山灰粘性土」?「シルト質砂」の「粘性土」と「粘土」とは全く異なるもので、「粘土」とは、シルトより細かい土粒子であって、「粘性土」とは、比較的細かい粒子が多い粘性の高い土であって、「砂」や「砂利」も含む土である。
甲第5号証で改良しようとする土は、建設発生土(第10頁第4行目)である粘性土であって、同証拠の第13頁に記載されているのは、粘土やシルトも含んでいる粘性土を述べているに過ぎない。同証拠の第22頁や第37頁の表に記載された使用土の粒度組成をみれば、多くの砂分を含んでいる土を使用していることが理解できる。また、本件特許発明で対象とする周辺環境への悪影響が懸念される泥土でないことは、そのような配慮が全くないことで理解できる。
その他、甲第1号証も段落【0002】に「建設工事から発生する残土」と記載しており、周辺環境の悪影響を招く土ではない。
高含水比の周辺環境への悪影響が懸念される泥土を、有効利用し、且つ環境への悪影響も絶つという課題は、請求人が提出した各証拠には全くみられぬものである。
<e>判例
平成4年12月9日東京高等裁判所民事13部判決(事件番号:平成元年(行ケ)180号)判決文を「廃棄物の有効利用という経済的効果」を達成するのは「格別」と評価できる旨判示した例として提出する。
(4)二種類の凝集剤の使用について
<I>二種類の意味
その後の脱水と二度目の高分子の混入を行うために、二種類の凝集剤を使用するという発想は、いずれの証拠にもみることは出来ない。
<II>方法発明の構成
本件特許発明は方法の発明であって、その方法の発明における工程の手順は極めて重要である。
本発明においては、「脱水工程」と「粒状化工程」を容易にするための「凝集工程」として「高分子凝集剤と無機凝集剤の二種類の凝集剤」を使用しているのである。
<III>証拠における発明の手順
本件特許発明の後の工程を容易にするために二種類の凝集剤を使用するという発想は、各証拠には全く存在しない。
(5)水硬性材料の添加
本件特許発明において水硬性材料を添加するのは、粒状化した泥土の「固化」させるためと、「環境に悪影響を及ぼす物質の流出を防ぐ」ためという二つの課題を克服するためである。
ひとつの手段によってふたつの技術課題を同時に克服するのは、単なる化学常識でなく、全く新規な創作であり、各証拠のいずれにも、環境に悪影響を及ぼすかもしれない泥土を改良しようとする発想が皆無であって、その悪影響を及び素物質の流出を防ぐことを兼ねさせるという発想に至ることは到底あり得ない。

VI.被請求人の上申書における請求の理由の要旨の変更に関する主張についての判断
(1)平成15年改正法における無効審判等の運用指針について
上記運用指針の第3章 無効審判の審理第4節 審判請求書の補正の制限と例外的許可3.許可要件が課されない補正(請求理由の要旨変更でない補正)<1>周知事実の追加的な主張立証には、「『周知技術』『慣用技術』『技術常識』は、誰でも知っているはずの『周知の事実』と同様に本来当業者が熟知しているべき事項であって、逐一示されなければその存在が分からないというものではない。したがって、周知技術、慣用技術、技術常識等が存在する事実を追加的に主張することや、その事実を立証する証拠(例えば周知技術・慣用技術等であることを示す先行技術文献等)を提出することは、通常は、請求理由の要旨変更にあたらないものとして取り扱って差し支えない。」とされている。
(2)甲第5号証等の取り扱いについて
請求人が口頭審理陳述要領書において提出した甲第5号証である技術審査証明報告書は、本件特許発明の当初の出願人ソイルベスト社が証明依頼者であって、同社の山田恵規が口頭審理に代理人として出席し、審理に参加している以上、被請求人側は、その内容を熟知していることは明らかである。そして、その技術審査証明報告書は建設大臣認定機関財団法人土木研究センターの事業によるもので、報告書の「序」には、「本報告書は、建設発生土処理剤ソイルハードによる粒状土『スーパーソイル』に関する証明の内容を関係機関に周知し、その活用を図るために作成したものである。」とあり、当該刊行物により証明された技術内容が制度の趣旨に則って一般に普及されたことが窺える。そして、本来ならば係る報告書の内容が密接な関連を有すると認められる本件特許発明の明細書において従来技術として反映されねばならないところであるが、何らの記載が同明細書に存在しないことについては、「スーパーソイル」は当業者が熟知しているべき事項であって、逐一示されなければその存在が分からないというものではないことによる外には合理的理由はない。更に、本件審理において被請求人は口頭審理陳述要領書を事前に提出し、口頭審理においては、ソイルベスト社の山田代理人を参加を得て係る周知技術である「スーパーソイル」の適用の可能性について議論を尽くし、合議体も双方の陳述を許可した上で、調書を作成したのが経緯である。これらを踏まえ、合議体は、甲第5号証及びそれに関連する特許公報である甲第6、7号証の取扱いを甲第8号証乃至甲10号証と同様に周知技術・慣用技術等であることを示す先行技術文献の提出に該当し、口頭審理陳述要領書において提出されても審理を遅延させるおそれがないので、請求理由の要旨変更にあたらないものとして取り扱うこととした。
(3)被請求人の上申書における要旨変更に関する主張について
被請求人は、口頭審理後の上申書において請求の理由の要旨の変更を突然主張し、口頭審理陳述要領書及び口頭審理陳述要領書(2)により提出された甲第5号証?甲第10号証のうち、周知技術とも言えなくはない甲第8号証?甲第10号証を除く、少なくとも甲第5号証?甲第7号証の証拠の追加は認められるべきではない旨主張する。
しかしながら、係る主張は、これら証拠の提出が請求理由の要旨を変更する補正であることを前提としたものであり、請求人が口頭審理陳述要領書でした証拠の提出は、(2)で述べたように許可要件が課されない補正と認められ、付言すれば、口頭審理後に審理された攻撃防御の枠を越えて要旨変更について主張すること自体が、後出しであって、審理を遅延させるものであるから、被請求人の上記主張は採用することができない。

VII.甲第1号証乃至甲10号証の記載事項について
VII-1.甲第1号証には、以下の記載がある。
VII-1-1.「予備的に脱水処理されて水分が多分に含まれた泥土ケーキに、高分子吸水剤を添加して撹拌する一次混練工程と、一次混練を所定時間行った後に固化剤を添加して更に撹拌する二次混練工程とを含むことを特徴とする改良土の生成方法。」(【請求項1】)、
VII-1-2.「前記生成方法は図2に示した生成装置10を用いて実行される。即ち、前記生成装置10は、公知のスクリューデカンタ12を用いた脱水機14で生成される泥土ケーキを高分子吸水剤および固化剤と共に撹拌する撹拌機としての2軸ミキサー16を備えている。
前記脱水機14は、廃液槽18内のポリマー泥水やベントナイト泥水等の廃泥水をスラリー槽20に一時的に貯溜し、このスラリー槽20内の廃泥水を前記スクリューデカンタ12に供給する。また、スクリューデカンタ12には高分子溶解貯留槽22から凝集剤を添加して廃泥水にフロックを形成し、この状態でスクリューデカンタ12を撹拌することにより、遠心力の作用で泥土ケーキと水とに固液分離される。固液分離された水は分離水槽24に排出された後、下水道に放流されると共に、泥土ケーキはスクリューコンベア26を介して前記生成装置10に供給される。前記脱水機14から供給される泥土ケーキは水分を多量に含んだ、どろどろの状態になっている。
前記2軸ミキサー16の上方には、泥土供給装置としての泥土ホッパー28と、固化剤供給装置としての固化剤ホッパー30が取り付けられると共に、高分子吸水剤供給装置としての高分子貯留槽32に連通する配管34が接続される。」(【0015】乃至【0017】)、
VII-1-3.「前記高分子貯留槽32には、アクリルアミドやグルコース等の高分子吸水剤が貯溜され、配管34に設けられた開閉弁46の開閉により所定量の高分子吸水剤が前記2軸ミキサー16に供給される。」(【0020】)、
VII-1-4.「前記2軸ミキサー16の取出口下方にはベルトコンベア50が設けられ、2軸ミキサー16から排出された改良土が搬出されるようになっている。尚、前記計量機構36,44はエアコンプレッサ52によって駆動される。」(【0022】)、
VII-1-5.「前記一次混練工程では、スクリューデカンタ12から供給された水分の多い泥土ケーキの脱水を著しく促進し、泥土ケーキの水分を効率的に減水することができる。次に、前記一次混練工程により脱水された泥土ケーキを、二次混練工程により固化剤を添加して撹拌することにより、泥土ケーキを土質材料として使用可能な強度が得られるまで固化することができる。」(【0024】)、
VII-1-6.図2には、スラリー槽20に弁を介して連なるPAC槽が示されている。(図2)
VII-2. 甲第2号証には、以下の記載がある。
VII-2-1.「水中より採取した堆積汚泥を無機凝集剤又は無機凝集剤と有機高分子凝集剤の混合物により凝集沈殿し、これを重力の加速度の3000倍以上の遠心効果を以て遠心沈降することを特徴とする堆積汚泥の脱水方法。」(特許請求の範囲)、
VII-2-2.「無機凝集剤を主凝集剤として使用する遠心沈降法の堆積汚泥浚渫脱水方法は、天日乾燥や格納法等の2次公害を避け、又高価な有機高分子凝集剤を使用する濾過法を避け、産業として成立した堆積汚泥の迅速な脱水方法と言う事が出来る。」(第3頁第9乃至14行)、
VII-3.甲第3号証には、以下の記載がある。
VII-3-1.「スランプ値が4cmを越える軟弱土の表層に、該表層発生現地において、カルボキシル基含有水溶性重合体粉末を添加混合し、次に、石灰を添加混合することを特徴とする軟弱土の改良方法。」(【請求項1】)、
VII-3-2.「スランプ値が4cmを越えるもの、特にスランプ値が5?25cmの流動性に富んだ、高含水比の軟弱土であって、そのままでは工事に支障をきたすような土である。該土は、含水比が、通常、40?200%、特に60?150%程度である」(【0006】)、
VII-3-3.「本発明に使用する石灰は、生石灰または消石灰であるが、好ましくは生石灰である。」(【0014】)、
VII-3-4.「初めに重合体を充分に混合できれば、次第に泥土が造粒され土塊が無くなってくる。造粒が充分であれば、次の石灰を添加混合する工程は効率的で非常に短時間で処理できるようになる。」(【0021】)、
VII-4. 甲第4号証には、以下の記載がある。
VII-4-1.「含水土壌に平均粒径0.05?0.4mmのカルボキシル基含有水溶性重合体粉末を添加混合し、次に、石灰を添加混合し、更に、養生することを特徴とする含水土壌の改良方法。」(【請求項1】)、
VII-4-2.「本発明の改良効果が主に期待できるのは、通常含水比40?200%、更には含水比60?150%程度の含水比の高い土壌であり、」(【0007】)、
VII-4-3.「含水比の高いものには、例えば、関東ローム層があり、通常60?120%前後の含水比を示し、粘着性が大きいが、本発明の改良方法により固化および造粒されるため砂のような流動性が付与され、粘着性および水中での膨潤性が無くなり、地盤支持力が向上し埋め戻し再利用可能とすることができる。」(【0008】)、
VII-4-4.「本発明に使用する石灰は、生石灰または消石灰であるが、好ましくは生石灰である。」(【0016】)。
VII-5. 甲第5号証は、「建設発生土改良剤ソイルハードによる粒状改良土、スーパーソイル、審査証明依頼者:三菱化学株式会社、株式会社ソイルベスト」(土木系材料技術審査証第0702号平成7年6月30日)と題する報告書であって本願出願前に頒布された刊行物であることは明らかである。甲第5号証には、以下の記載がある。
VII-5-1.「II 審査証明の詳細
1.審査証明対象技術
1.1技術の概要
粒状改良土「スーパーソイル」とは、建設発生土改良材ソイルハードにより、土を粒状化させ、さらに、生石灰を使用することにより、そのまま固化させたものであり、透水性の低い砂質土、高含水比の粘性土を良質の砂として再利用するものである。
(1)ソイルハードによる土の改良機構
図II-1.1にソイルハードによる土の改良機構を示す。
<1>土の性質は、遊離水があるか否かで大きく変わる。軟弱土は土粒子の間に遊離水が多い状態としてモデル化できる。
<2>ここに、ソイルハードを微量添加し、混練すると、ソイルハードが内部の水を吸って溶解しながら、解砕された土の粒子表面を包む。
<3>撹拌により土の粒子表面に均一に被覆させるため、遊離水としての性質を失わせ、疑似固定水(吸着水)として粒子表面に固定される。このため、土の性質が大きく変化する。また、被膜で保護された土は互に付着せず、混合機により球状に造粒される。
<4>次に、固化剤として生石灰の粉末を加えると、粒子表面に生石灰が被覆されると共に、石灰とソイルハードが反応して水に溶けなくなる。
<5>被覆した生石灰は、水と反応して発熱しながら消石灰となるため、改良土の水分を蒸発させながら、石灰分布の高い表面から浸透しつつポゾラン反応により強度が発現する。通常7日間養生して使用する。
「スーパーソイル」は透水性が良好で、雨水等によっても柔らかくならず、「建設発生土利用技術マニュアル」による土質区分の第2種改良土に相当する。
「スーパーソイル」は、電気、通信などのケーブル、上下水道管、ガス管などの道路部における地中埋設管工事の埋戻し土や、擁壁の裏込め材等の構造物の埋戻し土として適用できる。」(第10頁)、
VII-5-2.「ソイルハード」の原材料が化学物質名水溶性アクリル樹脂(ポリアクリルアミド)である旨表示されている(第12頁、原料の仕様と「スーパーソイル」の性能と題する表II-1.1)。
VII-5-3.「3.1対象土の適用性の確認方法
これまでの実績では、塑性限界から液性限界までの細粒分の多い砂質土から火山灰粘性土まで改良できたが、土質が変った場合には、ソイルハードによる粒状化試験を行い、改良可否の判断を行う。」(第60頁第1乃至4行)
VII-6. 甲第6号証には、以下の記載がある。
VII-6-1.「建設発生土とカルボキシル基含有水溶性重合体粉末とを攪拌混合機で混合して粒状物を得、該粒状物に石灰粉末を添加して転動混合機で混合し、次いで養生することを特徴とする再生土の製造方法。」(【請求項1】)、
VII-6-2.「本発明における建設発生土とは、具体的には、上下水道工事、道路工事、宅地造成工事などの一般の土木・建設工事に伴って発生する軟弱または粘着性の高い土である。本発明において土質の改良が期待できる建設発生土は、土質によって含水比は異なるが、含水比が40?200%、好ましくは50?150%程度のものであり、含水比が100%前後の関東ロームのような高含水比の土も含まれる。」(【0007】)、
VII-6-3.「上記の工程による原料土からの粒状物は、粒径が通常0?60mmの範囲のものであり、好ましくは粒径が0?6mmのものが50%以上のものである。、必要に応じて、篩分して粒子の粒径をそろえてもよい。次に、該に粒状物に、石灰粉末60を添加し、転動混合機40に導入し、粒子を転動しながら石灰の粉を粒子表面に付着させる。この結果、土の表面に水溶性重合体と石灰が被覆され瞬時に反応固化し」(【0018】)、
VII-6-4.「一方、本発明の転動混合機を用いて石灰粉末の混合した場合は、処理土を養生した場合の透水性の低下は見られない。解砕混合機でないと土の粒状物と石灰の混合が完全にできず充分な強度を有する再生土を得ることができないのではないかとの問題が懸念されたが、実際は、意外なことに転動混合機を用いた混合方法では土の粒子が殆ど潰れることなく、土の粒子表面で水溶性重合体と石灰が反応固化し、養生すれば粒子内部までの固化が進むのである。
石灰粉末の最適な添加量は、建設発生土の性質に応じて異なり特に限定されないが、建設発生土に対して、通常0.2?20重量%、好ましくは0.5?10重量%である。また、カルボキシル基含有水溶性重合体粉末と石灰粉末の重量比は、通常1:1?1:100、好ましくは1:2?1:50であり、建設発生土の含水比、必要とする再生土の強度などにより適宜、選択できる。」(【0021】乃至【0022】)、
VII-7. 甲第7号証には、以下の記載がある。
VII-7-1.「含水土壌に水溶性高分子を添加して粒状化後、石灰で処理した再生土から成る透水性地盤形成用資材。」(【請求項1】)、
VII-7-2.「水溶性高分子が、親水性基としてカルボキシル基を有する単量体を全単量体に対し5?60モル%含む重合体である請求項3に記載の資材。」(【請求項4】)、
VII-7-3.「含水土壌が土木及び建築工事等で発生した建設発生土である請求項6に記載の方法。」(【請求項8】)。
VII-8. 甲第8号証芙蓉地質株式会社HP「芙蓉地質 地盤情報 土と岩の話(19)土粒子の大きさと粘土」(l)には、以下の記載がある。
VII-8-1.図-1 粒径の区分とその呼び名(日本統一土質分類)には、「粘土」と「シルト」の境界が「5μm」、「シルト」と「細砂」の境界が「74μm」である旨示されている。(http://www.fuyo-geo.co.jp/pages/chiban_jouhou/chiban19.html)。
VII-9. 甲第9号証には、以下の記載がある。
VII-9-1.「一般的に言って、これら懸濁物質はマイナスに帯電している。したがってこれにカチオン性の高分子凝集剤を加えてもよいのだが、ふつうはまず硫酸アルミニウムなどの無機塩の水溶液を加え、ゆっくりかくはんして荷電を中和し、小さなフロックを作る。その後にアニオン性の高分子凝集剤の水溶液(有効成分濃度0.05?0.1%)を加え、再度ゆっくりかくはんしてフロックを成長させる手段がよく使われる。前に述べた無機塩と高分子凝集剤の特性をうまく利用するのである。」(第419頁下から7乃至2行)。
VII-10. 甲第10号証には、以下の記載がある。
VII-10-1.「無機系凝集剤が単独で使用される場合は、きわめてまれになってきている。たいていの場合、高分子凝集剤の併用での処理が行われる。」(第278頁最終行乃至第279頁第2行)、
VII-10-2.「コロイド質の共存する懸濁液に対しては、通常、硫酸バンドや、PAC、塩化第二鉄といった「凝集剤」が併用されている」(第282頁下から9乃至8行)、
VII-10-3.「これらの凝結剤の添加後(pH調整が必要ならその後)すみやかに、高分子凝集剤による凝集テストを行わなければならない。」(第282頁下から2乃至最終行)、
VII-10-4.「(4)脱水テスト
・・・
硫酸バンド、塩化第二鉄、等の無機の凝結剤の併用で分離されたスラッジに対しては、通常、アニオン系、ノニオン形の高分子凝集剤が用いられる」(第286頁下から16乃至10行)、

VIII.当審の判断
VIII-1.無効理由2について
VIII-1-1.本件特許発明1について
甲第1号証の記載事項VII-1-2.には、「廃泥水をスラリー槽20に一時的に貯溜し、このスラリー槽20内の廃泥水を前記スクリューデカンタ12に供給する。また、スクリューデカンタ12には高分子溶解貯留槽22から凝集剤を添加して廃泥水にフロックを形成し、この状態でスクリューデカンタ12を撹拌することにより、遠心力の作用で泥土ケーキと水とに固液分離され」て「どろどろの状態」の「泥土ケーキ」が記載されている。また、同記載事項VII-1-6.には、スラリー槽20に弁を介して連なるPAC槽が示されており、「PAC」(ポリ塩化アルミニウム)が、「無機凝集剤」であって(記載事項VII-10-2.「通常、硫酸バンドや、PAC、塩化第二鉄といった「凝集剤」が併用されている」参照。)、たいていの場合、高分子凝集剤と併用されること(記載事項VII-10-1.「無機系凝集剤が単独で使用される場合は、きわめてまれになってきている。たいていの場合、高分子凝集剤の併用での処理が行われる。」参照。)に鑑みれば「無機凝集剤と高分子凝集剤を添加して廃泥水にフロックを形成し」ているということができる。そして、同記載事項VII-1-1.には、こうして得られた「予備的に脱水処理されて水分が多分に含まれた泥土ケーキに、高分子吸水剤を添加して撹拌する一次混練工程と、一次混練を所定時間行った後に固化剤を添加して更に撹拌する二次混練工程とを含むことを特徴とする改良土の生成方法。」が記載されており、さらに、同記載事項VII-1-5.に「前記一次混練工程では、泥土ケーキの水分を効率的に減水することができ」、「前記一次混練工程により脱水された泥土ケーキを、二次混練工程により固化剤を添加して撹拌することにより、泥土ケーキを土質材料として使用可能な強度が得られるまで固化する」とあるから、これら甲第1号証の記載事項を本件特許発明に則して整理すると、「無機凝集剤と高分子凝集剤を添加して廃泥水にフロックを形成し、泥土ケーキと水とに予備的に脱水処理されて水分が多分に含まれたどろどろの状態の泥土ケーキに高分子吸水材を添加して効率的に減水する一次混練工程と、その後、所定時間の経過後にセメント系の固化剤を添加して土質材料として使用可能な強度が得られるまで固化する二次混練工程とを含むことを特徴とする改良土の生成方法。」の発明が記載されているといえる(以下、「引用発明」という。)。
本件特許発明1と引用発明を対比すると、引用発明の「高分子吸水材」は、同記載事項VII-1-3.に「高分子吸水剤」が「アクリルアミドやグルコース等」であることが記載され、これらは、「水溶性高分子」であることは自明であるから、本件特許発明1の「水溶性高分子」に相当するものと認められ、引用発明の「セメント系の固化剤」は、「水硬性材料」でホッパーから供給しており(記載事項VII-1-2.)「粉体」ということができるから、引用発明の「無機凝集剤と高分子凝集剤を添加して廃泥水にフロックを形成し」、「泥土ケーキと水とに予備的に脱水処理」、「泥土ケーキに高分子吸水材を添加して効率的に減水する一次混練工程」及び「所定時間の経過後にセメント系の固化剤を添加して土質材料として使用可能な強度が得られるまで固化する二次混練工程」が本件特許発明1の「泥土に高分子凝集剤及び無機凝集剤を添加して濃縮する濃縮工程」、「この濃縮した泥土を脱水する脱水工程」、「脱水後の泥土に水溶性高分子を混合する工程」及び「粉体の水硬性材料を混合する工程」に相当するものと認められ、引用発明の「泥土ケーキ」を用いた「方法」は、本件特許発明1の「泥土の処理方法」に含まれるということができるから、結局、引用発明と本件特許発明1は、
「泥土の処理方法において、
前記泥土に高分子凝集剤及び無機凝集剤を添加して濃縮する濃縮工程と、
この濃縮した泥土を脱水する脱水工程と、
脱水後の泥土に水溶性高分子を混合する工程と、
粉体の水硬性材料を混合する工程とにより構成することを特徴とする、
泥土の処理方法。」の点で一致し、両発明は以下の点で相違するものと認められる。
相違点<1>本件特許発明1は「粒状化」であるのに対して、引用発明が「改良土の生成」である点、
相違点<2>本件特許発明1は「液性限界から塑性限界の範囲内まで」脱水するのに対して、引用発明が予備的に脱水処理されて「水分が多分に含まれたどろどろの状態」であったものを「一次混練工程」において「効率的に減水する」点、
相違点<3>本件特許発明1は「粉体の」水溶性高分子を添加しているのに対して、引用発明は高分子吸水材が粉体であるか否かについて記載のない点、
相違点<4>本件特許発明1が「粒状化物の表面に水硬性材料を添加する」のに対して、引用発明は、「土質材料として使用可能な強度が得られるまで固化する」点。
これら相違点について検討する。
最初に、相違点<3>については、本件特許明細書に「粉体の」水溶性高分子を添加する技術的意義が記載されていないので、粉体で添加することは、当業者であれば混合を効率的に行うため任意になし得るの供給形態の選択にすぎずぎない。
相違点<1> 、相違点<2>及び相違点<4>については、相互に関連するので、まとめて検討する。
本件特許発明1が「粒状化」する目的は、本件特許明細書の【0031】に記載されるように、「廃材として処理されていた泥土を埋戻土や路盤材等の骨材の代替え材として有効活用が図れる。」ことにある。この点からみると周知技術に係る上記記載事項VII-5-1.に「『建設発生土利用技術マニュアル』による土質区分の第2種改良土に相当する」「『スーパーソイル』は、電気、通信などのケーブル、上下水道管、ガス管などの道路部における地中埋設管工事の埋戻し土や、擁壁の裏込め材等の構造物の埋戻し土として適用できる。」とあり、上記相違点<1>について本件特許発明1と引用発明の「改良土」と共通すると認められ、相違点<2>に係る引用発明の「一次混練工程」において「効率的に減水する」ことにより当然「どろどろ状態」であったものよりも「改良土」とするのに適した含水比まで脱水されたものと認められる。この点については、同記載事項VII-5-3.に「これまでの実績では、塑性限界から液性限界までの細粒分の多い砂質土から火山灰粘性土まで改良できた」旨記載があり、改良土とするに適する含水比が「塑性限界から液性限界まで」と認められ、細粒の粉体を造粒等成形する際に液体状のものを避け塑性変形が可能な状態まで水分を減らす必要があることは、幼児期の泥遊び(泥団子作り)、工作(紙粘土作り)、調理作業(麺やパンの生地作り)等で一般人も経験的に得る知識ということができ、それを土質工学的表現である土のコンシステンシー「含水量の多少によりドロドロの液体状、ベトベトした塑性状、ボロボロとした半固体状、さらにカチカチの固体状になる。」(被請求人の提出した乙第2号証)を利用して、「液性限界から塑性限界の範囲内まで」と表現することは、当業者であれば容易になし得ることといえる。
さらに、相違点<4>の「粒状化物の表面に水硬性材料を添加する」点も引用発明の「一次混練工程と、その後、所定時間の経過後にセメント系の固化剤を添加して土質材料として使用可能な強度が得られるまで固化する二次混練工程」を経ることにより土質材料の土粒のそれぞれ表面にセメント材料が付着することは自明であり、格別の相違とは認められない。
そして、本件特許発明1が奏する効果についても、引用発明の「改質土」という目的からみても格別のものとすることはできない。
したがって、本件特許発明1は、引用発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。
VIII-1-2.本件特許発明2について
本件特許発明2は、本件特許発明1において、水溶性高分子がカルボキシル基を含有していることを特定するものであるが、甲第3号証の記載事項VII-3-1.に「カルボキシル基含有水溶性重合体粉末を添加混合し、次に、石灰を添加混合することを特徴とする軟弱土の改良方法」とされ、水溶性重合体粉末としてカルボキシル基含有のものを用いることは当業者であれば適宜なし得る材料限定と認められ、請求項2における特定により、格別の効果を奏するものとすることもできない。
したがって、本件特許発明2は、引用発明及び甲第3号証に記載された発明並びに周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。
VIII-1-3.本件特許発明3について
本件特許発明3は、本件特許発明1又は本件特許発明2において、水硬性材料が生石灰であることを特定するものであるが、甲第4号証の記載事項VII-4-1.に「含水土壌に平均粒径0.05?0.4mmのカルボキシル基含有水溶性重合体粉末を添加混合し、次に、石灰を添加混合し、更に、養生することを特徴とする含水土壌の改良方法。」とされ、同記載事項VII-4-3.に「地盤支持力が向上し埋め戻し再利用可能とすることができる。」とあり、石灰の添加混合は埋め戻しとして再利用可能を目的とするものであり、さらに、同記載事項VII-4-4.「本発明に使用する石灰は、生石灰または消石灰であるが、好ましくは生石灰である」から、埋め戻しのために含水土壌にカルボキシル基含有水溶性重合体粉末を添加混合し、次に「生石灰」を用いることは当業者であれば適宜なし得る材料限定と認められ、請求項3における特定により、格別の効果を奏するものとすることもできない。
したがって、本件特許発明3は、引用発明、甲第3号証に記載された発明及び甲第4号証に記載された発明並びに周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

IX.むすび
以上のとおり、申し立てられた他の無効理由である特許法第36条第4項の規定について検討するまでもなく、本件特許発明1乃至本件特許発明3は、甲第1号証、甲第3号証及び甲第4号証に記載された発明並びに周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件特許1乃至3は、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものであり、同法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきものである。
審判に関する費用については、特許法第169条第2項の規定で準用する民事訴訟法第61条の規定により、被請求人が負担すべきものとする。
よって、結論のとおり審決する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
泥土の処理方法
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
泥土を脱水して粒状化する泥土の処理方法において、
前記泥土に高分子凝集剤及び無機凝集剤を添加して濃縮する濃縮工程と、
この濃縮した泥土を液性限界から塑性限界の範囲内まで脱水する脱水工程と、
脱水後の泥土に粉体の水溶性高分子を混合して粒状化する工程と、
前記粒状化物に粉体の水硬性材料を混合して粒状化物の表面に水硬性材料を添加する工程とにより構成することを特徴とする、
泥土の処理方法。
【請求項2】
請求項1に記載の泥土の処理方法において、水溶性高分子がカルボシキル基を含有していることを特徴とする、泥土の処理方法。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の泥土の処理方法において、水硬性材料が生石灰であることを特徴とする、泥土の処理方法。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は河川、湖沼、海域等の水底に堆積したヘドロ(泥土)の有効利用技術に関し、より詳細には泥土を粒状化する泥土の処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
生活用水の流れ込む湖沼やダム或いは港湾に堆積する泥土は富栄養であり、そのため水質の悪化だけでなく周辺環境への悪影響が指摘されている。
従来、この種の泥土の処理方法としては、つぎの2方法が知られている。
【0003】
▲1▼固化方法
天日乾燥させた泥土にセメント系固化材を添加して固化し、この固化物を埋設処理する方法。
【0004】
▲2▼焼結方法(例えば特開昭55-116498号公報)
泥土を脱水して造粒化した後、この造粒物を摂氏千度前後の高温で焼結する方法。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
前記した従来の泥土の処理方法には次のような課題がある。
<イ>固化方法にあっては、広大な処理場や処分場を必要とし、これらの用地を確保することが困難である。
さらに泥土の処理に長時間を要し、処理効率が悪い。
又、このようにして処理された処理土は、土中に含まれる有機物に起因して異臭を発生して周辺環境を害する。
<ロ>焼結方法の場合は、脱水後、キルン等により焼結するので処理コストが高くつくうえに処理効率が悪い。
【0006】
本発明は以上の問題点を解決するためになされたもので、その目的とするところは、処理効率を改善できると共に、周辺環境への悪影響のない泥土の処理方法を提供することにある。
【0007】
さらに本発明の他の目的は、埋戻土や路盤材等として有効利用が図れる泥土の処理方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1に係る発明は、泥土を脱水して粒状化する泥土の処理方法において、
前記泥土に高分子凝集剤及び無機凝集剤を添加して濃縮する濃縮工程と、
この濃縮した泥土を液性限界から塑性限界の範囲内まで脱水する脱水工程と、
脱水後の泥土に粉体の水溶性高分子を混合して粒状化する工程と、
前記粒状化物に粉体の水硬性材料を混合して粒状化物の表面に水硬性材料を添加する工程とにより構成することを特徴とする、
泥土の処理方法である。
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の泥土の処理方法において、水溶性高分子がカルボシキル基を含有していることを特徴とする、泥土の処理方法である。
請求項3に係る発明は、請求項1又は請求項2に記載の泥土の処理方法において、水硬性材料が生石灰であることを特徴とする、泥土の処理方法である。
【0009】
【発明の実施の形態1】
以下本発明の実施の形態について説明する。
【0010】
〈イ〉処理原理
本発明は、泥土を脱水する脱水工程と、脱水した泥土に粉体の水溶性高分子を混合して粒状化する粒状化工程と、さらにこれに粉体の水硬性材料を混合して粒状土とするコーティング工程を経て泥土を処理するものである。
以下に各工程内容について説明する。
【0011】
〈ロ〉濃縮工程
高含水比の泥土に高分子凝集剤及び無機凝集剤を添加して濃縮し、この濃縮した泥土を対象に、脱水工程、粒状化工程、コーティング工程を経て粒状土を作成する。
【0012】
高分子凝集剤としては、例えばポリアクリルアミド系等の一般的なものが使用できる。
【0013】
又、無機凝集剤としては、例えば硝酸バント等を使用できる。
【0014】
〈ハ〉脱水工程
一般に浚渫直後の泥土(超軟弱粘土)の含水比は300%程度あり、このような高含水比の泥土を粒状化するには、含水比を大幅に落とす必要がある。
【0015】
本発明は土が持つ液性限界から塑性限界の範囲内まで脱水するものである。これは泥土を粒状化するために必要最小限の脱水を図り、脱水作業を簡易にするためである。ここでいう「液性限界」とは、細粒土のコンシステンシーの限界のひとつで、土を練り返したときの液性状態と塑性状態の境界の含水比を意味する。また「塑性限界」とは細粒土のコンシステンシーの限界のひとつで、土を練り返したときの塑性状態と半固体状態の境界をなす含水比を意味する。
【0016】
又、脱水手段としては、簡易脱水機、真空脱水による脱水等公知の脱水手段を適用できる。
【0017】
〈ニ〉粒状化工程
脱水してケーキ状に化した泥土に粉体の水溶性高分子を混合して粒状化する。
水溶性高分子はカルボシキル基含有のもので、例えばソイルハード(商品名、ソイルベスト社製)などを使用できる。
【0018】
粒状化物を作成する際、カルボシキル基含有の水溶性高分子を添加することで、泥土中の窒素源である有機物がこの水溶性高分子により抑制され、溶解割合が低下する。
【0019】
〈ホ〉コーティング工程
つぎに粒状化物に粉体の水硬性材料を添加して混合する。水硬性材料としては生石灰等を使用できる。
【0020】
一般に泥土は多くの有機物やりんや窒素等の栄養塩を多量に含むことが知られている。このような泥土を液性限界まで脱水すれば、カルボシキル基含有の水溶性高分子による粒状化が可能となるが、その反面、この粒状物は強度的に弱い難点がある。
【0021】
そこで、前記工程で得られた粒状化物に水硬性材料を添加すると、水硬性材料により水和反応して発熱し、この水和熱によって更に脱水が進行すると共に、粒状化物の表面に水硬性材料の被膜が形成されて固くなる。
具体的には、泥土中のりんと水硬性材料中のカルシウムとが反応し、燐酸カルシウムの硬質被膜が形成される。この被膜は水に対して不溶解性を有するため、泥土中のりんなどの含有物の溶出を阻止する。
【0022】
【実施例】
室内配合で自然含水比が約350%のヘドロを真空脱水し、ヘドロの液性限界付近(約100%)まで含水比を下げる。
その後、水溶性高分子であるソイルハードを添加してよく撹拌混合した後、粉末生石灰を添加して粒状土を得る。
【0023】
このように粒状化して処理した粒状土の物理的性質を図1及び図2に示す。
図1は粒状化処理前のヘドロと処理後の粒状土の粒径加積曲線を示し、図2は締固め曲線を示す。図2によれば、最大乾燥密度が0.779g/cm3、最適含水比が59.4%であった。
【0024】
また図3にヘドロの含水比と一軸圧縮強さの関係を示す。図3によれば、含水比が高いにも拘らず生石灰の添加量が増すほど一軸圧縮強さに優れることが立証できた。
【0025】
また図4?図6にこの粒状土を水に浸漬させたときのpH,全窒素、全リンの経時的な溶出量の変化を示す。尚、図4のPhはガラス電極法により、図5の全窒素の溶出量は硫酸ヒドラジン還元吸光光度法(N換算)により、図6モリブデン青吸光光度法(P換算)により求めた。
【0026】
図4によれば粒状土を水に浸漬させて30日経過してもPhに何の変化も見られない。これは粒状土の表面を覆う不溶性の燐酸カルシウムの硬質被膜に起因していることが証明された。
【0027】
また図5によれば全窒素が53.4mg/lある泥土を処理した粒状土を水に浸漬させると2週間程度まで全窒素の溶出量が増すが、それ以降は安定していることが確認された。
【0028】
また図6によれば,全りんが0.119mg/lある泥土を処理した粒状土を水に浸漬させると1週間程度全リンの溶出量が増すが、その後は安定していることが確認された。
【0029】
【発明の実施の形態2】
前記実施の形態1は、泥土を機械的に脱水する場合について説明したが、この脱水工程を天日乾燥により行ってもよい。すなわち液性限界から塑性限界の範囲まで天日乾燥により脱水する。尚、脱水以降の工程は前記の実施の形態1と同様である。
【0030】
【発明の効果】
本発明はつぎの特有の効果を得ることができる。
〈イ〉本発明は多量の泥土の処理に好適で、しかも処理後の粒状土は水硬性材料の被膜で覆われるため異臭の問題もない。
〈ロ〉廃材として処理されていた泥土を埋戻土や路盤材等の骨材の代替え材として有効活用が図れる。
〈ハ〉高含水比の泥土に高分子凝集剤及び無機凝集剤を添加して濃縮し、この濃縮した泥土を対象に脱水工程、粒状化工程、コーティング工程を経て粒状土を作成すると脱水効果が向上して脱水工程を容易に行える。
【図面の簡単な説明】
【図1】粒状化処理前のヘドロと処理後の粒状土の物理的性質(粒径加積)の比較図
【図2】粒状化処理前のヘドロと処理後の粒状土の物理的性質(締固め)の比較図
【図3】ヘドロの含水比と一軸圧縮強さの関係を示す説明図
【図4】粒状土の経時的なPhの変化説明図
【図5】粒状土の経時的な全りんの溶出量の変化説明図
【図6】粒状土の経時的な全窒素の変化説明図
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
審理終結日 2008-03-05 
結審通知日 2008-03-07 
審決日 2008-03-18 
出願番号 特願平9-115267
審決分類 P 1 113・ 121- ZA (C02F)
最終処分 成立  
前審関与審査官 富永 正史  
特許庁審判長 板橋 一隆
特許庁審判官 斎藤 克也
松本 貢
登録日 2006-09-15 
登録番号 特許第3851927号(P3851927)
発明の名称 泥土の処理方法  
代理人 岡田 数彦  
代理人 山口 朔生  
代理人 山口 朔生  

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