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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G11B
審判 査定不服 4項3号特許請求の範囲における誤記の訂正 特許、登録しない。 G11B
審判 査定不服 4項4号特許請求の範囲における明りょうでない記載の釈明 特許、登録しない。 G11B
審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 特許、登録しない。 G11B
審判 査定不服 特17条の2、3項新規事項追加の補正 特許、登録しない。 G11B
管理番号 1178362
審判番号 不服2005-8193  
総通号数 103 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2008-07-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2005-05-02 
確定日 2008-05-21 
事件の表示 特願2002-181424「マルチチャネルストリームの記録装置及び方法と、それによる記録媒体」拒絶査定不服審判事件〔平成15年 3月28日出願公開、特開2003- 91973〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯

本願は、平成14年6月21日(パリ条約による優先権主張2001年6月21日、韓国)の出願であって、拒絶理由の通知に応答して平成16年9月22日付けで手続補正がなされたが、平成17年1月25日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、同年5月2日に拒絶査定不服審判が請求されるとともに、同日付けで手続補正がなされ、更に同月30日付けで手続補正がなされたものである。


第2 平成17年5月2日付けの手続補正についての補正却下の決定

[補正却下の決定の結論]

平成17年5月2日付けの手続補正を却下する。

[理由]

1.本件補正1

平成17年5月2日付けの手続補正(以下「本件補正1」という。)は、特許請求の範囲について補正をするもので、補正前(平成16年9月22日付け手続補正書参照)、
「【請求項1】 複数のチャネルである複数の再生経路を表す少なくともビデオデータの再生を管理するためのデータ構造が記録された記録媒体であって、少なくともビデオデータからなる伝送ストリームを格納するためのデータ領域を備え、前記伝送ストリームは複数の伝送パケットに分割され、前記複数の伝送パケットはそれぞれ前記複数の再生経路のいずれか1つに関連付けられ、前記複数の再生経路のそれぞれ1つに関連付けられた複数の伝送パケットは、複数のデータブロックにグループ分けされ、前記データブロックごとに互いにインターリーブされているとともに、ナビゲーション情報を格納するためのナビゲーション領域を更に備え、前記ナビゲーション情報は、それぞれ前記複数の再生経路の1つに関連付けられた複数のマップを含み、前記複数のマップのそれぞれは、それらマップのそれぞれに関連付けられた前記複数の再生経路のビデオデータのための位置情報を提供することを特徴とする記録媒体。
【請求項2】 前記複数のデータブロックのそれぞれが、ビデオデータの少なくとも1つのIピクチャを表すことを特徴とする請求項1に記載の記録媒体。
【請求項3】 前記データブロックのそれぞれが、すくなくとも1つのグループのピクチャであるGOPを表すことを特徴とする請求項2に記載の記録媒体。
【請求項4】 前記ナビゲーション領域はナビゲーションデータアイテムを含み、前記ナビゲーションデータアイテムは、前記複数の再生経路のそれぞれを再生するための前記ナビゲーション情報を提供することを特徴とする請求項1に記載の記録媒体。
【請求項5】 前記ナビゲーション領域はナビゲーションリストを含み、前記ナビゲーションリストは少なくとも前記ナビゲーションデータアイテムを含むことを特徴とする請求項4に記載の記録媒体。
【請求項6】 前記ナビゲーションデータアイテムは、前記ナビゲーションデータアイテムによって前記複数の再生経路のための前記ナビゲーション情報が提供されることを示す複数再生経路表示手段を含むことを特徴とする請求項5に記載の記録媒体。
【請求項7】 前記ナビゲーションデータアイテムは、前記ナビゲーションデータアイテムによって前記複数の再生経路のための前記ナビゲーション情報が提供されることを示す複数再生経路表示手段を含むことを特徴とする請求項4に記載の記録媒体。
【請求項8】 前記ナビゲーション領域は前記ナビゲーションデータアイテムを含み、前記ナビゲーションデータアイテムは、前記複数の再生経路を再生するための前記ナビゲーション情報を提供することを特徴とする請求項1に記載の記録媒体。
【請求項9】 前記ナビゲーション領域は前記ナビゲーションリストを含み、前記ナビゲーションリストは少なくとも前記ナビゲーションアイテムを含むことを特徴とする請求項8に記載の記録媒体。
【請求項10】 前記ナビゲーションデータアイテムは、前記ナビゲーションデータアイテムによって前記複数の再生経路のための前記ナビゲーション情報が提供されることを示す複数再生経路表示手段を含むことを特徴とする請求項8に記載の記録媒体。
【請求項11】 前記複数の再生経路のそれぞれがデジタルチャネルを表すことを特徴とする請求項1に記載の記録媒体。
【請求項12】 前記複数の再生経路のそれぞれがRFチャネルのサブチャネルを表すことを特徴とする請求項1に記載の記録媒体。
【請求項13】 複数のチャネルである複数の再生経路を表す少なくともビデオデータの再生を管理するためのデータ構造を記録する方法であって、少なくともビデオデータからなる伝送ストリームを記録媒体に記録する過程を備え、前記伝送ストリームは複数の伝送パケットに分割され、前記複数の伝送パケットはそれぞれ前記複数の再生経路のいずれか1つに関連付けられ、前記複数の再生経路のそれぞれ1つに関連付けられた複数の伝送パケットは互いにインターリーブされていることを特徴とするデータ構造を記録する方法。
【請求項14】 複数のチャネルである複数の再生経路を表す少なくともビデオデータの再生期間を管理するためのデータ構造を再生する方法であって、少なくともビデオデータからなる伝送ストリームを記録媒体から再生する過程を備え、前記伝送ストリームは複数の伝送パケットに分割され、前記複数の伝送パケットはそれぞれ前記複数の再生経路のいずれか1つに関連付けられ、前記複数の再生経路のそれぞれ1つに関連付けられた複数の伝送パケットは互いにインターリーブされていることを特徴とするデータ構造を再生する方法。
【請求項15】 複数のチャネルである複数の再生経路を表す少なくともビデオデータの再生期間を管理するためのデータ構造を記録する装置であって、記録媒体にデータを記録する光記録手段をドライブするためのドライバーと、前記記録媒体に少なくともビデオデータからなる伝送ストリームを記録する前記ドライバーを制御するための制御手段を備え、前記伝送ストリームは複数の伝送パケットに分割され、前記複数の伝送パケットはそれぞれ前記複数の再生経路のいずれか1つに関連付けられ、前記複数の再生経路のそれぞれ1つに関連付けられた複数の伝送パケットは互いにインターリーブされていることを特徴とするデータ構造を記録する装置。
【請求項16】 複数のチャネルである複数の再生経路を表す少なくともビデオデータの再生期間を管理するためのデータ構造を再生する装置であって、記録媒体に記録されたデータを再生する光再生手段をドライブするドライバーと、前記記録媒体から、少なくともビデオデータからなる伝送ストリームを再生する前記ドライバーを制御するための制御手段とを備え、前記伝送ストリームは複数の伝送パケットに分割され、前記複数の伝送パケットはそれぞれ前記複数の再生経路のいずれか1つに関連付けられ、前記複数の再生経路のそれぞれ1つに関連付けられた複数の伝送パケットは互いにインターリーブされていることを特徴とするデータ構造を再生する装置。」
としていたものを、

「【請求項1】複数のチャネルである複数の再生経路を表す少なくともビデオデータの再生を管理するためのデータ構造が記録された記録媒体であって、少なくともビデオデータからなる伝送ストリームを格納するためのデータ領域を備え、前記伝送ストリームは複数の伝送パケットに分割され、前記複数の伝送パケットはそれぞれ前記複数の再生経路のいずれか1つに関連付けられ、前記複数の再生経路のそれぞれ1つに関連付けられた複数の伝送パケットは、複数のデータブロックにグループ分けされ、前記データブロックごとに互いにインターリーブされているとともに、プログラムチェーン情報を格納するためのナビゲーション領域を更に備え、前記プログラムチェーン情報は、少なくとも1つのプログラム情報と少なくとも2つのセル情報を含み、少なくとも2つのセル情報のそれぞれは、前記複数の再生経路の1つに関連付けられた複数のマップを含み、前記複数のマップのそれぞれは、それらマップのそれぞれに関連付けられた前記複数の再生経路のビデオデータのための位置情報を提供することを特徴とする記録媒体。
【請求項2】前記複数の再生経路のそれぞれがデジタルチャネルを表すことを特徴とする請求項1に記載の記録媒体。
【請求項3】前記複数の再生経路のそれぞれがRFチャネルのサブチャネルを表すことを特徴とする請求項1に記載の記録媒体。
【請求項4】複数のチャネルである複数の再生経路を表す少なくともビデオデータの再生を管理するためのデータ構造を記録する方法であって、少なくともビデオデータからなる伝送ストリームを記録媒体から記録する過程と、
ナビゲーション領域にプログラムチェーン情報を格納する過程と、を備え、
前記プログラムチェーン情報は、少なくとも1つのプログラム情報と少なくとも2つのセル情報を含み、少なくとも2つのセル情報のそれぞれは、前記複数の再生経路の1つに関連付けられた複数のマップを含み、前記複数のマップのそれぞれは、それらマップのそれぞれに関連付けられた前記複数の再生経路のビデオデータのための位置情報を提供するとともに、
前記伝送ストリームは複数の伝送パケットに分割され、前記複数の伝送パケットはそれぞれ前記複数の再生経路のいずれか1つに関連付けられ、前記複数の再生経路のそれぞれ1つに関連付けられた複数の伝送パケットは互いにインターリーブされていることを特徴とするデータ構造を記録する方法。
【請求項5】複数のチャネルである複数の再生経路を表す少なくともビデオデータの再生期間を管理するためのデータ構造を記録する装置であって、記録媒体にデータを記録する光記録手段をドライブするためのドライバーと、前記記録媒体に少なくともビデオデータからなる伝送ストリームを記録媒体から記録する前記ドライバーを制御するための制御手段と、
ナビゲーション領域にプログラムチェーン情報を格納する手段と、を備え、
前記プログラムチェーン情報は、少なくとも1つのプログラム情報と少なくとも2つのセル情報を含み、少なくとも2つのセル情報のそれぞれは、前記複数の再生経路の1つに関連付けられた複数のマップを含み、前記複数のマップのそれぞれは、それらマップのそれぞれに関連付けられた前記複数の再生経路のビデオデータのための位置情報を提供するとともに、
前記伝送ストリームは複数の伝送パケットに分割され、前記複数の伝送パケットはそれぞれ前記複数の再生経路のいずれか1つに関連付けられ、前記複数の再生経路のそれぞれ1つに関連付けられた複数の伝送パケットは互いにインターリーブされていることを特徴とするデータ構造を記録する装置。」
と補正しようとするものである。

2.補正の適否

そこで、本件補正1が適法なものであるか否かについて検討する。

請求項1は、本件補正前、
「ナビゲーション情報を格納するためのナビゲーション領域を更に備え、前記ナビゲーション情報は、それぞれ前記複数の再生経路の1つに関連付けられた複数のマップを含み、前記複数のマップのそれぞれは、それらマップのそれぞれに関連付けられた前記複数の再生経路のビデオデータのための位置情報を提供する」
としていたものを、
「プログラムチェーン情報を格納するためのナビゲーション領域を更に備え、前記プログラムチェーン情報は、少なくとも1つのプログラム情報と少なくとも2つのセル情報を含み、少なくとも2つのセル情報のそれぞれは、前記複数の再生経路の1つに関連付けられた複数のマップを含み、前記複数のマップのそれぞれは、それらマップのそれぞれに関連付けられた前記複数の再生経路のビデオデータのための位置情報を提供する」
と、上記下線部を補正するものである。
上記「ナビゲーション情報」については、「図4ないし7は、前述した図3のような形態でマルチチャネルストリームを記録する時生成記録されるナビゲーション情報の構成例を図示したものである」(【0023】)と本願明細書に記載されている。そして、図4ないし図7のうち図5および図6は各々、図4中の「PG_TY」「C_TY」をより詳細に説明にする為の図であり(【0025】【0028】)、「プログラム情報とセル情報はプログラムチェーン情報に、タイムマップとタイムマップ情報は記録集合体情報に挿入される」(【0021】)というもので、他方「ナビゲーション情報」は、プログラム情報とセル情報とを含むプログラムチェーン情報PGCI(図4)と、タイムマップとタイムマップ情報とを含む記録集合体情報HOBI(図7)とを組み合わせて形成されると認められる。また前記HOBIは、前記PGCI内のセル情報CIに含めて記録された記録集合体情報サーチポインタ番号情報HOBI_SRPNによって相互に連結される(【0031】)もので、前記PGCI及びHOBIは、各々択一的な要素ではなく、直列的に組み合わさる事によってナビゲーション情報を構成する要素群であると認められる。
とすれば、請求項1についての補正は、補正前の「ナビゲーション情報」に係る構成のうち前記HOBIに対応する発明特定事項、すなわち他の事項と直列的に組み合わさる事項、を削除するものであるから、補正前の請求項1に記載された発明を減縮するものとは言えない。
そして、「誤記の訂正」及び「拒絶理由通知に係る拒絶の理由に示す事項についてするところの明りょうでない記載の釈明」を目的とするものでもない事は明らかである。

3.本件補正1についてのむすび

以上のとおりであるから、本件補正1は、平成18年改正前特許法第17条の2第4項の各号に掲げる事項のいずれにも該当するものでなく、特許法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。


第3 平成17年5月30日付けの手続補正についての補正却下の決定

[補正却下の決定の結論]

平成17年5月30日付けの手続補正を却下する。

[理由]

1.本件補正2

本件補正1は上記第2のとおり却下された。次に平成17年5月30日付けの手続補正(以下「本件補正2」という。)は、特許請求の範囲について補正をするもので、上記第2[理由]1.本件補正1の補正前(平成16年9月22日付け手続補正書参照。)に記載していたものを、
「【請求項1】複数のチャネルである複数の再生経路を表す少なくともビデオデータの再生を管理するためのデータ構造が記録された記録媒体であって、
少なくともビデオデータからなる伝送ストリームを格納するためのデータ領域を備え、
前記伝送ストリームは、複数の伝送パケットに分割され、前記複数の伝送パケットはそれぞれ、前記複数の再生経路のうちいずれか1つに関連付けられ、
前記複数の再生経路のそれぞれ1つに関連付けられた複数の伝送パケットは、複数のデータブロックにグループ分けされ、前記データブロックごとに互いにインターリーブされているとともに、前記各再生経路を指示する第1ナビゲーションユニット、前記複数の第1ナビゲーションユニットを含む第2ナビゲーションユニット、及び複数の第2ナビゲーションユニットを含む第3ナビゲーションユニットから構成されるものの、
第3ナビゲーション内に構成された第2ナビゲーションユニットは、並んでいる順に再生され、
第2ナビゲーションユニット内の第1ナビゲーションユニットは、複数の第1ナビゲーションユニットのうちいずれか1つが選択再生される特徴を有するナビゲーション情報、及び前記それぞれの再生経路のビデオデータのための位置情報を提供するためのマップ情報を提供するためのナビゲーション領域をさらに備えることを特徴とする記録媒体。
【請求項2】前記第1ナビゲーションユニットはセル情報CIであり、前記第2ナビゲーションユニットはプログラム情報PGであり、そして、前記第3ナビゲーションユニットはプログラムチェーン情報PGCであることを特徴とする請求項1に記載の記録媒体。」
と補正しようとするものである。

2.補正の適否

そこで、本件補正2が適法なものであるか否かについて検討する。
請求項1は、本件補正前
「ナビゲーション情報を格納するためのナビゲーション領域を更に備え、前記ナビゲーション情報は、それぞれ前記複数の再生経路の1つに関連付けられた複数のマップを含み、前記複数のマップのそれぞれは、それらマップのそれぞれに関連付けられた前記複数の再生経路のビデオデータのための位置情報を提供する」
としていたものを、
「前記各再生経路を指示する第1ナビゲーションユニット、前記複数の第1ナビゲーションユニットを含む第2ナビゲーションユニット、及び複数の第2ナビゲーションユニットを含む第3ナビゲーションユニットから構成されるものの、
第3ナビゲーション内に構成された第2ナビゲーションユニットは、並んでいる順に再生され、
第2ナビゲーションユニット内の第1ナビゲーションユニットは、複数の第1ナビゲーションユニットのうちいずれか1つが選択再生される特徴を有するナビゲーション情報、及び前記それぞれの再生経路のビデオデータのための位置情報を提供するためのマップ情報を提供するためのナビゲーション領域をさらに備える」
と、上記下線部を補正しようとするものである。
上記補正において、少なくとも再生経路を指示するとする「第1ナビゲーションユニット」「第2ナビゲーションユニット」「第3ナビゲーションユニット」との構成要件はいずれも、出願当初の明細書乃至図面に記載がない。
そして、請求人は上記補正の根拠を明確にしていない。
また、請求項2において各「ナビゲーションユニット」は各々「セル情報CI」「プログラム情報PG」「プログラムチェーン情報PGC」と特定されているが、(出願当初明細書において「プログラム情報」及び「プログラムチェーン情報」は各々「PGI」及び「PGCI」であって、本件補正2における「PG」及び「PGC」という表記は各々「PGI」及び「PGCI」の誤記と判断するとしても、)当該特定は各「ナビゲーションユニット」が下位概念として「プログラム情報」「プログラムチェーン情報」を各々含む事を示しているに過ぎず、請求項1における各「ナビゲーションユニット」の技術的範囲を特定するものでない。
結局、「第1ナビゲーションユニット」「第2ナビゲーションユニット」及び「第3ナビゲーションユニット」は、出願当初の明細書乃至図面に記載されてない事項(以下、「新規事項」という。)を追加するものである。

仮に、本件補正2が新規事項を追加するものではないとして、本件補正2の請求項1を本件補正前の請求項1と比較すると、「ナビゲーション情報」に係る特定事項を「複数の第1ナビゲーションユニットのうちいずれか1つが選択再生される特徴を有する」とするものである。これは、少なくとも、「それぞれ前記複数の再生経路の1つに関連付けられた複数のマップを含」むという補正前の請求項1における「ナビゲーション情報」に係る特定事項を削除するものであるから、減縮を目的とするものではない。そして「誤記の訂正」及び「拒絶理由通知に係る拒絶の理由に示す事項についてするところの明りょうでない記載の釈明」を目的とするものでもない事は明らかである。

3.本件補正2についてのむすび

以上のとおりであるから、本件補正2は、特許法第17条の2第3項の規定に違反するものであり、仮に同項の規定には違反しないとしても平成18年改正前特許法第17条の2第4項の各号に掲げる事項のいずれにも該当するものでなく、特許法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。


第4 本発明について

1.本発明

平成17年5月2日付け手続補正は上記第2のとおり、平成17年5月30日付け手続補正は上記第3のとおり却下されたので、本件特許出願の請求項1ないし16に係る発明は、平成16年9月22日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし16に記載された事項により特定されるものと認めるところ、その請求項1に係る発明は上記第2[理由]1.本件補正1の補正前の【請求項1】として記載したとおりのものである。(以下「本発明」という。)

2.引用文献

これに対し、原査定の拒絶の理由において引用された刊行物である特開2001-67802号公報(以下「引用例1」という。)には、記録媒体に関して図面とともに次の事項が記載されている。なお下線は当審で付与した。
(1)「【請求項5】番組を構成するデジタルデータを、最低限連続しなければならない規定されたデータ長単位で、ディスク状記録媒体に記録する記録方法において、互いに異なる第1及び第2の番組を構成する各デジタルデータを、それぞれ、前記規定されたデータ長単位で、交互に前記ディスク状記録媒体に記録することを特徴とするマルチチャンネル記録方法。」
(2)「【請求項8】前記ディスク状記録媒体を再生する再生手段に対して、前記第1及び第2の番組のうち、再生が要求された方の番組を再生することを指示するための情報を、前記ディスク状記録媒体に記録することを特徴とする請求項5記載のマルチチャンネル記録方法。」
(3)「【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、例えばRTR(Real Time Recorder)-DVD(Digital Versatile Disk)等のディスク状記録媒体に、複数の番組を同時記録するためのマルチチャンネル記録装置及び記録方法に関する。」
(4)「【0009】ここでは、リアルタイムで録画中に、ディフェクトやジャンプ発生時にも連続再生が可能なように、最低限AV(Audio Video)データが連続しなければならないデータ長単位を規定しており、これをCDA(Contiguous Data Area)と称している。
【0010】このCDAブロックの制限は、ディスクに連続して配置され、さらに、その長さはECC(Error Correcting Code)ブロックの正数倍になっており、CDA長は、記録レートにより変化し、基本的には、ピックアップがディスクの最内周から最外周までアクセスする時間より長い時間、バッファ内のデータがなくならない程度の時間、再生できるだけのデータ量が必要となってくる。」
(5)「【0012】この場合、現在のVTRでは実現できなかった要求のうち、ディスクメディアになったことにより可能になるものがある。それが、TVの2番組以上を同時に記録したいという要求である。」
(6)「【0016】また、この発明に係るマルチチャンネル記録方法は、番組を構成するデジタルデータを、最低限連続しなければならない規定されたデータ長単位で、ディスク状記録媒体に記録する記録方法を対象としている。そして、互いに異なる第1及び第2の番組を構成する各デジタルデータを、それぞれ、規定されたデータ長単位で、交互にディスク状記録媒体に記録するようにしている。」
(7)「【0023】ビデオファイルは、図2に示すように、階層構造で管理されており、1つのVOBSは複数のVOB(Video Object)で構成されており、1つのVOBは複数のVOBU(Video Object Unit)で構成されている。また、VOBUは、複数の様々な種類のデータからなっているパックによって構成されている。1パックは、1つ以上のパケットとパックヘッダとで構成され、各ビデオデータ、オーディオデータは、このパケット内に記録されている。
【0024】ここで、パックは、データ転送処理を行なう最小単位である。
【0025】また、このセルには、再生すべきVOBの番号と、そのVOB内での再生時間が登録されており、このセルの再生情報にしたがってVOBが再生されることになる。
【0026】このPGCの構造を実際に記録してあるのがPGC情報PGCIである。再生処理は、このPGCIにしたがって行なわれ、記録時または編集時にPGCIを作成することになる。
【0027】また、記録再生DVDでは、記録順に再生する(VTRライクな再生処理)ための特別なPGCをオリジナルPGCと称し、このオリジナルPGCの情報はORG_PGCIに記録されている。また、編集等により作成されるPGCをユーザーデファインドPGCと称し、このユーザーデファインドPGCの情報はUD_PGCIに記録されている。
【0028】以上のことから、ORG_PGCは1ディスクに1つとなり、UD_PGCは複数存在することになる。
【0029】図3は、光ディスク11に対してデータの記録再生を行なう記録再生装置を示している。この記録再生装置は、主として、A/V(Audio/Video)入力部12、MPU(Microprocessing Unit)部13、表示部14、デコーダ部15、エンコーダ部16、TVチューナー部17、STC(System Time Clock)部18、D(Data)-PRO(Processer)部19、一時記憶部20、ディスクドライブ部21、キー入力部22、V(Video)ミキシング部23、フレームメモリ部24、TV受信機25用のD/A(Digital/Analogue)変換部26及びデジタル出力用のI/F(Inter/Face)部27,28を有している。
【0030】エンコーダ部16は、A/D(Analogue/Digital)変換部16a、ビデオエンコード部16b、オーディオエンコード部16c、SP(Sub Picture)エンコード部16d、フォーマッタ部16e及びバッファメモリ部16fより構成されている。
【0031】デコーダ部15は、メモリ15aを内蔵した分離部15b、ビデオデコード部15c、SPデコード部15d、オーディオデコード部15e、V-PRO部15f及びスピーカ29用のD/A変換部15gより構成されている。
【0032】ビデオ信号の流れは、以下のようになる。まず、入力されたA/V信号は、A/D変換部16aでデジタルデータに変換される。このデジタルデータは、各エンコード部16b,16c,16dに供給される。
【0033】すなわち、ビデオデータはビデオエンコード部16bに入力されて、MPEG圧縮される。オーディオデータはオーディオエンコード部16cに入力されてAC-3圧縮またはMPEGオーディオ圧縮される。文字放送等の文字データはSPエンコード部16dに入力されて、ランレングス圧縮される。
【0034】さらに、各エンコード部16b,16c,16dでは、圧縮データをパック化した場合に、1パックが2048バイトになるようにパケット化して、フォーマッタ部16eに出力している。フォーマッタ部16eでは、各パケットをパック化し、さらに、多重化して、1CDA貯まる毎に、D-PRO部19に出力している。
【0035】また、このとき、例えば、1GOP(Group of Picture)毎にVOBUとし、そのときの切り分け情報をバッファメモリ部16fに保存し、切り分け情報がある程度貯まったときにMPU部13に転送して、MPU部13では、その情報をもとにタイムマップ情報を作成する(GOP先頭割り込み等のときに送る)。
【0036】ここで、切り分け情報(VOBU情報)としては、VOBUの大きさ、VOBU先頭から最後までの再生時間、VOBU先頭からフレーム内符号化画像であるIピクチャのエンドアドレス等が考えられる。また、上記切り分け情報を元に、直接、フォーマッタ部16eがタイムマップ情報を作成し、TMAPの形でMPU部13へ渡すことも考えられる。」
(8)「【0047】さらに、ビデオデータを管理するためにVMG内にM_AVFITI(MovieAV File Information Table Information)と、再生順序を制御するためにPGCIが記録され、ファイルシステムにはCDA単位でデータを管理するために、AV専用ファイルエクステントとして予約CDAテーブルを記録している。
【0048】これらのうち、切り分け情報によりM_AVFITIの中のTMAPI(TimeMap Information)を作成し、記録した順にPGCIを設定するのがORG_PGCIで、CDA単位で記録した内容をCDAテーブルに反映させている。
【0049】ここで、PGCIは、図5に示すように、VMGに含まれている。また、PGCIは、PGC_GI(PGCに含まれるPGの数、セルの数が含まれる)、PGIT[PGのタイプ:プロテクション/ノンプロテクション、PG内のセルの数、プライマリテキスト情報、アイテムテキストへのSRP(Search Pointer)番号、サムネールポインタ]、CI_SRPT(セルサーチポインタテーブル)、CIT(セル情報テーブル)で構成されている。
【0050】さらに、CITは、CI#1?#jで構成され、CIは、C_GI(セルタイプ、VOB情報VOBIへのサーチポインタ:セルの再生すべきVOB番号、セルの再生開始時間、終了時間)と、C_EPI#1?#k[EP(Entry Point)タイプ(テキスト情報有り/無し)、EPの再生時間、テキスト情報)とで構成されている。
【0051】次に、VOBを再生するための情報として、図6に示すように、M_VOBIがVMGに含まれる。このM_VOBIには、TMAPIが含まれ、このTMAPIには、TMAP_GI(TMUの数、VOBU_ENTの数、タイムオフセット、アドレスオフセット:本VOBのビデオファイル内での先頭からファイルポインタ)、TM_ENT#1?#n(10secおきのVOBU_ENTの番号、time difference、VOBUアドレス:本VOBUのビデオファイル内での先頭からファイルポインタ)、VOBU_ENT#1?#m(VOBU先頭からIピクチャの最終データまで相対アドレス、VOBUの再生時間、VOBUのサイズ)で構成されている。」
(9)「【0055】ここで、2番組の記録処理について、図7及び図8に示すフローチャートを参照して説明する。
【0056】1.ファイルシステムデータを読み込み、空き容量があるかどうかをチェックし、容量がない場合には、その旨を表示して終了する。
【0057】2.空き容量がある場合には、後述する録画前処理を行ない、書き込みアドレスを決定する。
【0058】3.エンコーダ部16に対して録画初期設定を行なう。このとき、フォーマッタ部16eに、PG、セル、VOBUの区切り条件を設定し、フォーマッタ部16eの方で、自動的に区切るようにする。また、前記アライン処理を行なう場合にも、フォーマッタ部16eに設定する。
【0059】4.以下の5?11の処理をタスク毎に、分割し、番組毎に並列処理する。
【0060】5.エンコーダ部16に録画開始命令を設定する。
【0061】6.最初の1CDA分がバッファメモリ部16f内に貯まったら、ディスクドライブ部21に書き込みアドレスと書き込み長、書き込み命令を発行する。
【0062】7.切り分け情報が貯まったかどうかをチェックし、貯まっている場合には、フォーマッタ部16eより、切り分け情報を読み込む。
【0063】8.1CDA分のデータがバッファメモリ部16f内に貯まったかどうかをチェックし、貯まってない場合には10の処理に移行する。
【0064】9.貯まった場合には、後述する録画中のCDA処理を行ない、記録アドレス、記録長、記録命令をディスクドライブ部21に発行する。」
(10)「【0073】5.VMGが光ディスク11内にあるかどうかをチェックし、無い場合には、ワークRAM内にVMGテーブルを構築し、ある場合には、光ディスク11よりVMGテーブルを読み込み、MPU部13のワークRAM内に展開する。ここで、構築した構築した初期状態のVMGを光ディスク11内のファイルシステムで指定された領域にファイルとして保存しても良い。ここで、もし、保存しなくても、録画終了時に、録画内容を反映させた形で更新された内容のVMGを保存すれば良い。
(11)「【0105】さらに、この実施の形態における2番組記録の場合のPGCI作成処理は、図13に示すようになる。
【0106】1.記録したVOB1(録画処理1により発生したVOB)をセル1として登録する。
【0107】2.記録したVOB2(録画処理2により発生したVOB)をセル2として登録する。
【0108】3.前記セル1をプログラム1とし、セル2をプログラム2として、ORG_PGCIに登録する。
(12)「【0122】また、録画処理1における録画中のCDA処理の動作について、図15に示すフローチャートにより説明する。
【0123】1.最後に記録したCDA番号を取り出し、その番号以降のCDAで未使用のCDAを探し(次のCDA番号=“0000”)、見つからずにCDAテーブルを一周した場合には、記録できるCDAが無いので、その旨をメインルーチンに返して終了する。
【0124】2.未使用のCDAがあった場合に、そのCDAが録画処理2で使用中のCDAかどうかチェックし、録画処理2で使用中のものの場合には、1の処理に移行する。未使用のCDAで、録画処理2で使用していない場合、見つけた未使用CDAのスタートアドレス、CDAサイズを次回記録時の記録アドレス、記録サイズとし、CDAテーブルの中の最後に記録したCDAの項の次のCDA番号の所とnow_cda1に見つけた未使用CDA番号を設定して、この処理を終了する。
【0125】これにより、記録を終わったCDAより先のCDA(記録している方向)で、未使用のCDAに記録を行なう。このとき、録画処理2で記録中のCDAは避けるようにすることになる。ただし、未記録の領域が記録方向に無い場合には、リードインへヘッドを移動して、改めて記録する方向に未記録領域が無いか検索を行なう。」
(13)「【0130】また、録画処理2における録画開始、及び録画中のCDA処理の動作について、図17に示すフローチャートにより説明する。
【0131】1.録画開始かどうかをチェックし、開始時には、録画処理1で記録中のCDA番号を録画処理2の最後に記録したCDA番号(now_cda2←now_cda1)とする。
【0132】2.最後に記録したCDA番号を読み出す(cda_num2←now_cda2)。
【0133】3.次のCDAから未使用かどうかを調べるために、そのCDA番号(cda_num2)をインクリメントする。
【0134】4.cda_num2以降のCDAで未使用のCDAを探し(次のCDA番号=“0000”)、見つからずにCDAテーブルを一周した場合には、記録できるCDAが無いので、その旨をメインルーチンに返して終了する。
【0135】5.未使用のCDAがあった場合に、そのCDAが録画処理1で使用中のCDAかどうかチェックし、録画処理1で使用中のものの場合には、3の処理に移行する。未使用のCDAで、録画処理1で使用していない場合、見つけた未使用CDAのスタートアドレス、CDAサイズを次回記録時の記録アドレス、記録サイズとし、CDAテーブルの中の最後に記録したCDAの項の次のCDA番号の所とnow_cda2に見つけた未使用CDA番号を設定して、この処理を終了する。
【0136】つまり、記録を終わったCDAより先のCDA(記録している方向)で、未使用のCDAに記録を行なう。このとき、録画処理1で記録中のCDAは避けるようにすることになる。ただし、未記録の領域が記録方向に無い場合には、リードインへヘッドを移動して、改めて記録方向に未記録領域が無いか検索を行なう。」
(14)「【0142】これらのCDA処理により、図19(a),(b)に示されるように、録画処理1で記録したCDAと録画処理2で記録したCDAは、CDA単位で交互に記録されるようになる。
【0143】これにより、録画処理1で発生したVOBをVOB1とし、録画処理2で発生したVOBをVOB2として、各切り分け情報よりTMAPIをそれぞれ作成する。
【0144】また、論理的なイメージとしては、図20に示すように、録画順の再生を行なうために用意されたORG_PGC上では、録画処理1で発生したVOBをPG1とし、録画処理2で発生したVOBをPG2として登録し、再生の順番を決める。
(15)【0168】9.転送が終了していない場合には、キー入力をチェックし、特殊再生を行なう場合には、その方向をセットし、TMAPIを利用して読み出しFPを計算して、特殊再生時のCDA処理を行ない、この処理を終了する。そうでない場合は、8の処理に移行する。特殊再生の目的FPは、一定の時間を飛ばすようにTMAPIよりFPを求める。また、このとき、一定時間でなく、一定のVOBUを飛ばしてFPを求める方法も考えられる。このとき、セルの最後まで行ったときは、PGCIにより、次のセル情報を読み出し、セルが使用しているVOB番号よりTMAPIを選択し(1VOBに1TMAPIが存在する)、同じように読み出しFPを求める。また、セルがなくなれば、そこで終了とする。」

上記各摘示事項及び図面の記載を総合勘案すると、引用例1には、以下の発明が記載されているものと認められる。
「第1及び第2の番組を構成する各デジタルデータを、それぞれ、規定されたデータ長(CDA)単位で、交互に記録(録画処理1、録画処理2)する記録媒体であって、
前記CDAは、ビデオデータ等からなる前記デジタルデータを、データ転送処理を行なう最小単位にパック化し、さらに当該パックを多重化してなるものであり、
さらに、ビデオデータを管理するためにVMG内にM_AVFITIと、再生順序を制御するためにPGCIが記録され、
上記VMGは指定された領域にファイルとして保存され、
上記PGCIには、録画処理1により発生したVOB(VOB1)をセル1として登録し、録画処理2により発生したVOB(VOB2)をセル2として登録し、(VOB1、VOB2の)各切り分け情報によりM_AVFITIの中のTMAPI(タイムマップ情報)をそれぞれ作成する記録媒体。」

3.対比・判断

そこで、本発明と引用例1の発明とを対比する。

(1)引用例1の発明における「番組」は、本発明の「チャネル」及び「再生経路」に相当する。
(2)引用例1の発明における「PGCI」は、本発明の「データ構造」に相当する。
(3)引用例1の発明における「ビデオデータ等」は、本発明の「伝送ストリーム」に相当する。
(4)引用例1の発明において、各「ビデオデータ等」は記録媒体に記録されるのであるから、「ビデオデータ」を格納するための領域を記録媒体が備えることは明らかである。よって引用例1の発明は、本発明の「少なくともビデオデータからなる伝送ストリームを格納するためのデータ領域を備え」という構成要件に相当する構成要件を有していると言える。
(5)引用例1の発明における「CDA」は、本発明の「データブロック」に相当する。
(6)引用例1の発明における「規定されたデータ長(CDA)単位で、交互に記録」は、各データ長(CDA)単位で異なる領域に交互に記録されることを意味することは明らかであるから、本発明の「データブロックごとに互いにインターリーブされている」に相当する。
(7)引用例1の発明における「VMG」は本発明の「ナビゲーション情報」に相当する。
(8)引用例1の発明における「VMGは指定された領域にファイルとして保存され、」は、本発明の「ナビゲーション情報を格納するためのナビゲーション領域を更に備え、」に相当する。
(9)引用例1において「TMAPI」を構成する要素のうち少なくとも「アドレスオフセット:本VOBのビデオファイル内での先頭からファイルポインタ」や「VOBUアドレス:本VOBUのビデオファイル内での先頭からファイルポインタ」(【0051】)は番組のビデオデータのための位置情報と言えるから、引用文献1の発明における各「TMAPI(タイムマップ情報)」は、本発明における「それぞれ前記複数の再生経路の1つに関連付けられた複数のマップ」に相当し、更に、本発明における「それぞれに関連付けられた前記複数の再生経路のビデオデータのための位置情報を提供する」に相当する機能を有すると言える。

そうすると、前記両発明は次の点で一致する。
<一致点>
「複数のチャネルである複数の再生経路を表す少なくともビデオデータの再生を管理するためのデータ構造が記録された記録媒体であって、少なくともビデオデータからなる伝送ストリームを格納するためのデータ領域を備え、前記伝送ストリームは複数のパケットに分割され、前記複数のパケットはそれぞれ前記複数の再生経路のいずれか1つに関連付けられ、前記複数の再生経路のそれぞれ1つに関連付けられた複数のパケットは、複数のデータブロックにグループ分けされ、前記データブロックごとに互いにインターリーブされているとともに、ナビゲーション情報を格納するためのナビゲーション領域を更に備え、前記ナビゲーション情報は、それぞれ前記複数の再生経路の1つに関連付けられた複数のマップを含み、前記複数のマップのそれぞれは、それらマップのそれぞれに関連付けられた前記複数の再生経路のビデオデータのための位置情報を提供することを特徴とする記録媒体。」

そして、次の点で相違する。
<相違点>
本発明では、伝送ストリームは「複数の伝送パケット」に分割され、「複数の再生経路のそれぞれ1つに関連付けられ」た「複数の伝送パケット」は、「複数のデータブロックにグループ分けされ、前記データブロックごとに互いにインターリーブされている」のに対し、引用例1の発明では、第1及び第2の番組は構成するビデオデータ等がパック化され、パックは規定されたデータ長(CDA)単位に多重化され、CDA単位で交互に記録されている点。

上記相違点について検討する。
複数のプログラムを各々構成するところの複数のパケット(伝送パケット)が時分割多重されてなるトランスポートストリーム(伝送ストリーム)の中から各プログラムを構成する伝送パケットを選択することによって1つ以上のプログラムを選択して記録することは、周知(必要であれば、特開平9-200690号公報(【従来の技術】他)、特開平10-51737号公報(【従来の技術】他)、特開2000-312342号公報(【特許請求の範囲】他)等参照。)である。
すると、引用例1の発明において、複数の番組を各々構成するところの複数の伝送パケットが時分割多重されてなる伝送ストリームの中から各プログラムを構成する伝送パケットを選択することによって各チャネル(番組)を構成するビデオデータ等を選択すること、即ち、上記相違点のように「伝送ストリームは複数の伝送パケットに分割され、前記複数の伝送パケットはそれぞれ前記複数の再生経路のいずれか1つに関連付けられ、前記複数の再生経路のそれぞれ1つに関連付けられた複数の伝送パケットは、複数のデータブロックにグループ分けされ、」とする構成は、当業者が適宜容易に想到し得たものである。

上記相違点の判断を総合しても、本発明の奏する効果は引用例1に記載された発明及び周知の事項から当業者が十分予測可能なものであって格別なものとは言えない。

5.本発明についてのむすび

以上のとおり、本願の請求項1に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物に記載された発明に基いて容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は、その余の請求項について論及するまでもなく拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2007-12-12 
結審通知日 2007-12-18 
審決日 2008-01-09 
出願番号 特願2002-181424(P2002-181424)
審決分類 P 1 8・ 572- Z (G11B)
P 1 8・ 561- Z (G11B)
P 1 8・ 574- Z (G11B)
P 1 8・ 573- Z (G11B)
P 1 8・ 121- Z (G11B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 田付 徳雄溝本 安展  
特許庁審判長 江畠 博
特許庁審判官 吉川 康男
小松 正
発明の名称 マルチチャネルストリームの記録装置及び方法と、それによる記録媒体  
代理人 紺野 正幸  
代理人 山川 茂樹  
代理人 山川 政樹  
代理人 黒川 弘朗  
代理人 西山 修  

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