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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1178452
審判番号 不服2005-21258  
総通号数 103 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2008-07-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2005-11-04 
確定日 2008-05-22 
事件の表示 平成11年特許願第118886号「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成12年11月 7日出願公開、特開2000-308707〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は閉成11年4月27日の出願であって、平成17年9月28日付けで拒絶の査定がされたため、これを不服として同年11月4日付けで本件審判請求がされるとともに、同年12月2日付けで明細書についての手続補正(以下「本件補正」という。)がされたものである。

第2 補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
平成17年12月2日付けの手続補正を却下する。

[理由]
1.補正事項及び補正目的
本件補正は特許請求の範囲を補正するものであり、具体的には補正前請求項1記載の「前記音選択手段は、前記所定の遊技状態毎に設けられている」を「前記音選択手段は、前記所定の遊技状態に関連して発生する音毎に設けられている」(下線部が補正により追加された。)と補正するものである。
請求人は、本件補正が平成18年改正前特許法17条の2第4項2号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とする旨主張しており、この主張については当審も認める。そのため、本件補正後の請求項1に係る発明(以下「補正発明」という。)については、独立特許要件についての検討を行う。

2.補正発明の認定
補正発明は、本件補正により補正された明細書の特許請求の範囲【請求項1】に記載された事項によって特定される次のとおりのものと認める。
「複数の所定の遊技状態が設けられ、各所定の遊技状態に関連した音を遊技者が選択するための音選択手段と、
該音選択手段による選択に応じた音出力信号を発生する音出力信号発生手段と、
前記音出力信号に応じた音を出す音発生手段とを備え、
前記音選択手段は、前記所定の遊技状態に関連して発生する音毎に設けられていることを特徴とする遊技機。」

3.引用刊行物記載の発明の認定
原査定の拒絶の理由に引用された実公平4-48219号公報(以下「引用例」という。)には、
「パチンコ球が入賞したときに、遊技状態に応じて異なる効果音を発するための効果音信号を発生する特定音発生回路を有するパチンコ遊技機において、前記遊技状態に対応する検出信号を発生する検出手段と、前記特定音発生回路の効果音の種類が異なるものを有する複数の種別効果音発生手段と、該種別効果音発生手段を切り換える切換信号を発する切換手段と、該切換手段からの切換信号を受けて前記複数の種別効果音発生手段のうちの一つを選択し、遊技状態に応じて発生する効果音の種類を切り換える切換制御手段と、該切換制御手段により選択した種別効果音発生手段からの効果音信号を増幅し、効果音として発する拡声手段とを具備するパチンコ遊技機。」(1欄2?16行)との発明(以下「引用発明」という。)が記載されている。

4.補正発明と引用発明の一致点及び相違点の認定
引用発明は「遊技状態に応じて異なる効果音を発するための効果音信号を発生する特定音発生回路を有するパチンコ遊技機」(補正発明の「遊技機」の一種である。)であり、「効果音の種類が異なるものを有する複数の種別効果音発生手段」、「種別効果音発生手段を切り換える切換信号を発する切換手段」、「遊技状態に応じて発生する効果音の種類を切り換える切換制御手段」及び「切換制御手段により選択した種別効果音発生手段からの効果音信号を増幅し、効果音として発する拡声手段」を具備するのだから、「切換手段」が補正発明の「各所定の遊技状態に関連した音を遊技者が選択するための音選択手段」に相当し、「切換制御手段」と「種別効果音発生手段」が補正発明の「音選択手段による選択に応じた音出力信号を発生する音出力信号発生手段」に相当し、「拡声手段」が補正発明の「音出力信号に応じた音を出す音発生手段」に相当する。
したがって、補正発明と引用発明は、
「複数の所定の遊技状態が設けられ、各所定の遊技状態に関連した音を遊技者が選択するための音選択手段と、
該音選択手段による選択に応じた音出力信号を発生する音出力信号発生手段と、
前記音出力信号に応じた音を出す音発生手段とを備える遊技機。」である点で一致し、次の点で相違する。
〈相違点〉補正発明が「前記音選択手段は、前記所定の遊技状態に関連して発生する音毎に設けられている」と限定しているのに対し、引用発明にはその限定がない点。

5.相違点の判断及び補正発明の独立特許要件の判断
一般に複数の項目についての設定を行うに当たり、項目毎の設定を可とすることも、複数の項目を一括して設定することも周知である。前者であれば、ユーザの好みを的確に反映できる反面、設定が面倒である。そのため、複数の項目について代表的な設定例を複数用意(例えば、全自動洗濯機における各種モード、カラーTVにおける画像設定(通常画面以外に、映画に適した画面やTVゲームに適した画面の設定などがある。)等)しつつも、項目毎の設定を可とするものが周知(上記全自動洗濯機やカラーTVに個別の設定が可能なものも多くある。)である。
設定対象を効果音に限っても、原査定の拒絶の理由に引用された「Oh!PC」第15巻第16号(ソフトバンク株式会社,1997年2月1日発行)に「画面に警告を表示するときやWindows95が終了するときなど、イベントごとに鳴るサウンドを設定することができる。」(183頁右欄,見出しを除いての11?14行)と、同じく引用された「ここがポイントWindows98」(エーアイ出版株式会社,1998年9月30日発行)に「Windowsでは起動時や何かのエラーが起こったときなど、イベントごとにさまざまなサウンド(WAVEファイル)が鳴る。「サウンド」を使えば、各イベントに自由なサウンドを割り当てられる。」(142頁左欄下3行?中欄2行)とそれぞれ記載されているように、イベントごとのサウンド(遊技機ではないものの、複数の各状態に関連した音といえる。)を設定することが周知であるほか、本件出願当時には、携帯電話の着信音(着信音は「効果音」の一種である。)を電話番号別に設定登録することや、電話用の着信音とメール用の着信音を個別設定することが周知である。
すなわち、本件出願当時には、複数の項目についての設定を行うに当たり、項目ごとの設定を可とすることが、設定内容が効果音であるかどうかに関係なく周知である。
引用発明は「遊技状態に応じて異なる効果音を発する」以上、設定対象となり得る効果音は複数存するところ、引用例には「切換スイツチ12が押圧されていないときは、・・・第1の種別効果音発生手段54(たとえば、効果音として機械音を発する)を選択している。」(6欄31?37行)、「次に、切換スイツチ12が押圧されると・・・第2の種別効果音発生手段55(たとえば、効果音として怪獣音を発する)を選択する。」(7欄21?26行)、「次に、切換スイツチ12が押圧されると・・・第3の種別効果音発生手段56(たとえば、効果音として小鳥音を発する)を選択する。」(7欄41行?8欄2行)及び「次に、切換スイツチ12が押圧されると・・・中央制御回路60(たとえば、効果音として音楽を発する)を選択する。」(8欄17?22行)と記載があることから、引用発明の実施例においては複数の効果音として「機械音」、「怪獣音」、「小鳥音」又は「音楽」の1つを一括して選択(設定ともいえる。)している。
しかし、前示のとおり、設定対象となり得る効果音が複数存し、設定対象毎に設定することが周知である以上、遊技者の操作上の便宜を図って一括設定とするか、それとも遊技者の好みを的確に反映できるように個別設定可とするかは、任意に選択できる事項であり、個別設定可とすることに困難性がないことは明らかである。
そして、効果音(所定の遊技状態に関連して発生する音)毎に個別設定するということは、相違点に係る補正発明の構成を採用することにほかならない。
したがって、相違点に係る補正発明の構成を採用することは当業者にとって想到容易であり、同構成を採用したことによる格別の作用効果を認めることもできない。
すなわち、補正発明は引用発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができない。

[補正の却下の決定のむすび]
本件補正は平成18年改正前特許法17条の2第4項2号に掲げる事項を目的とするものであり、補正発明が特許出願の際独立して特許を受けることができない以上、同条5項で準用する同法126条5項の規定に違反している。
したがって、本件補正は特許法159条1項で読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下されなければならない。
よって、補正の却下の決定の結論のとおり決定する。

第3 本件審判請求についての判断
1.本願発明の認定
本件補正が却下されたから、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、平成17年8月9日付けで補正された明細書の特許請求の範囲【請求項1】に記載あsれた事項によって特定される次のとおりのものと認める。
「複数の所定の遊技状態が設けられ、各所定の遊技状態に関連した音を遊技者が選択するための音選択手段と、
該音選択手段による選択に応じた音出力信号を発生する音出力信号発生手段と、
前記音出力信号に応じた音を出す音発生手段とを備え、
前記音選択手段は、前記所定の遊技状態毎に設けられていることを特徴とする遊技機。」

2.本願発明の進歩性の判断
本願発明と補正発明を比較すると「音選択手段は、前記所定の遊技状態毎に設けられている」(本願発明)か「音選択手段は、前記所定の遊技状態に関連して発生する音毎に設けられている」(補正発明)かの相違しかなく、音選択手段を所定の遊技状態に関連して発生する音毎に設ければ、音選択手段を所定の遊技状態毎に設ける結果になることは明らかである。
そして、補正発明が引用発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたことは「第2[理由]4,5」で述べたとおりであるから、本願発明も引用発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたといわざるを得ず、そうである以上、本願発明は特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。

第4 むすび
本件補正は却下されなければならず、本願発明が特許を受けることができない以上、本願のその余の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶を免れない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2008-03-19 
結審通知日 2008-03-25 
審決日 2008-04-08 
出願番号 特願平11-118886
審決分類 P 1 8・ 121- Z (A63F)
P 1 8・ 575- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 井海田 隆  
特許庁審判長 津田 俊明
特許庁審判官 ▲吉▼川 康史
土屋 保光
発明の名称 遊技機  
代理人 藤田 和子  

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