• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 特17条の2、3項新規事項追加の補正 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 特36条4項詳細な説明の記載不備 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1178683
審判番号 不服2005-16229  
総通号数 103 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2008-07-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2005-08-25 
確定日 2008-05-30 
事件の表示 平成11年特許願第 45369号「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成12年 9月 5日出願公開、特開2000-237378〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は平成11年2月23日の出願であって、平成17年7月14日付けで拒絶の査定がされた(その過程において平成17年2月14日付け手続補正が却下された。)ため、これを不服として同年8月25日付けで本件審判請求がされるとともに、同年9月9日付けで明細書についての手続補正(以下「本件補正」という。)がされたものである。

第2 補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
平成17年9月9日付けの手続補正を却下する。

[理由]
1.補正内容及び補正目的
本件補正は特許請求の範囲の補正を含み、請求項数が9から8に減少している。そして、本件補正後の請求項2?8は補正前の請求項3?9と実質的に同一(引用する請求項番号は1減じられている。)であるから、補正前の請求項1又は2のいずれか一方が削除されたものと認める。
ところで、本件補正前の請求項3は請求項2を、請求項4は請求項3を、請求項5は請求項4を、請求項6は請求項5を、及び請求項7は請求項6をそれぞれ引用しており、請求項1を引用していない。そうすると、削除された請求項が請求項2であるとすると、本件補正後の請求項2?6は新設請求項になり、請求項の新設は補正目的として認められていないから、それだけで違法というべきである。
そこで、請求項1が削除され、それに伴い請求項2を独立形式に書き換えた上で、さらなる補正をしたと解することにする。
本件補正は、補正前の請求項2(請求項1記載部分を含む。)に対して、「停止制御中断手段によって図柄の停止表示制御が一部の表示列について中断されている遊技の間」(以下「CT期間」という。)の残りの表示列について、「単独で入賞を構成する複数の所定の図柄以外の図柄に対しては、停止制御中断手段によって図柄の停止表示制御が一部の表示列について中断されていない遊技の間と異なる所定の制御コマ数で引き込む図柄の停止表示制御を行うが、単独で入賞を構成する複数の所定の図柄に対しては、引き込む図柄の停止表示制御を行わず、」と限定するものであり、これは「停止表示制御手段」についての限定と認める。以下、「単独で入賞を構成する複数の所定の図柄」を「単独入賞図柄」といい、それ以外の図柄を「通常図柄」いうことにする。
しかし、通常図柄に対して、「所定の制御コマ数で引き込む図柄の停止表示制御を行」えば、引き込まない場合よりも入賞確率が大きくなる。そうすると、本件補正は、CT期間における通常図柄での入賞確率を高くするという、本件補正前の請求項2に係る発明には存在しない課題を追加するものであるから、平成18年改正前特許法17条の2第4項2号には該当せず、そのような補正事項は同項1号,3号又は4号の何れにも該当しない。
すなわち、本件補正は平成18年改正前特許法17条の2第4項の規定に違反している。

2.新規事項追加
「停止制御中断手段によって図柄の停止表示制御が一部の表示列について中断されていない遊技の間と異なる所定の制御コマ数で引き込む図柄の停止表示制御」との文言又はこれを同視できる文言は、願書に最初に添付した明細書(以下、添付図面を含めて「当初明細書」という。)には記載されていない。「異なる所定の制御コマ数」というからには、「停止制御中断手段によって図柄の停止表示制御が一部の表示列について中断されていない遊技の間」(以下「通常遊技期間」という。)における「制御コマ数」よりも多い場合を含むが、当初明細書の【図18】等によれば、通常遊技期間の制御コマ数は4であり、CT期間のそれは1以下である。CT期間の制御コマ数は例示であろうし、当初明細書に「この際行われる引き込み制御の制御コマ数は、図18(b)に示すように1または0となり、一般遊技中における制御コマ数4に比べて小さくなる。」(段落【0103】)との記載があることを考慮すると、「1以下」に限る必要はないかもしれないが、通常遊技期間の制御コマ数よりも多くてもよいことにはならない。
また、当初明細書の【図18】等によれば、引き込む図柄は「帽子」及び「サボテン」のみであって、【図17】(b)のBB,RB又は再遊技図柄は引き込まない。ところが、補正後の請求項1におけるCT期間中の引き込み対象は「単独で入賞を構成する複数の所定の図柄以外の図柄」であるから、BB,RB又は再遊技図柄も含まれる。このようなことは当初明細書に記載されていないし、自明の事項でもない。
すなわち、本件補正は特許法17条の2第3項の規定に違反している。

3.独立特許要件の判断その1
本件補正の補正目的が違法であることは1.で説示したとおりであるが、仮にこれが適法であり、平成18年改正前特許法17条の2第4項2号に該当するとした場合の判断を以下において行う。また、「停止制御中断手段によって図柄の停止表示制御が一部の表示列について中断されていない遊技の間と異なる所定の制御コマ数で引き込む図柄」から、BB,RB,再遊技図柄を除外して検討する。
本件補正後の請求項1に係る発明(以下「補正発明」という。)は、本件補正により補正された明細書の特許請求の範囲【請求項1】に記載された事項によって特定されるものであり、その記載は次のとおりである。
「種々の図柄を複数列に可変表示する可変表示装置と、この可変表示装置の可変表示を停止させる可変表示停止手段と、乱数抽選によって入賞態様を決定する入賞態様決定手段と、この入賞態様決定手段によって決定された入賞態様および前記可変表示停止手段の操作に応じて前記可変表示装置が可変表示する図柄の停止表示制御を行う停止表示制御手段と、この停止表示制御手段によって入賞ライン上に所定の図柄が停止表示されると入賞を発生させて遊技者に配当を付与する配当付与手段と、特定条件が成立したときに前記入賞態様決定手段によって決定された所定の入賞態様を無効化する無効化手段と、無効化された所定の前記入賞態様に応じた図柄についての前記停止表示制御手段による停止表示制御を前記特定条件が成立したときに予め定められた条件に従って前記可変表示装置の一部の表示列について中断する停止制御中断手段とを備えた遊技機において、
前記可変表示装置は、単独で入賞を構成し前記配当付与手段によってその単独入賞に対してそれぞれ異なる配当が付与される複数の所定の前記図柄が少なくとも1つの表示列にその可変表示方向に沿って連続して配置され、その可変表示方向で隣接する2個の所定の前記図柄が組み合わされて新たな1つの図柄を構成し、前記停止表示制御手段は、前記停止制御中断手段によって図柄の停止表示制御が一部の表示列について中断されている遊技の間、残りの表示列について、単独で入賞を構成する複数の所定の前記図柄以外の図柄に対しては、前記停止制御中断手段によって図柄の停止表示制御が一部の表示列について中断されていない遊技の間と異なる所定の制御コマ数で引き込む図柄の停止表示制御を行うが、単独で入賞を構成する複数の所定の前記図柄に対しては、引き込む図柄の停止表示制御を行わず、複数の所定の前記図柄が連続して配置された前記表示列が一部の前記表示列であるか残りの前記表示列であるかに関わらず、前記停止制御中断手段によって図柄の停止表示制御が一部の表示列について中断されている遊技の間、常に、前記可変表示停止手段の操作に応じて、単独で入賞を構成する複数の所定の前記図柄を複数の入賞ライン上に同時に停止表示するか、または単独で入賞を構成する複数の所定の前記図柄のうちの1つを複数の入賞ライン上に停止表示することを特徴とする遊技機。」
上記記載によれば、CT期間中の「一部の表示列」及び「残りの表示列」につき、停止順序との関係は規定されていない。
また、「特定条件が成立したときに前記入賞態様決定手段によって決定された所定の入賞態様を無効化する無効化手段と、無効化された所定の前記入賞態様に応じた図柄についての前記停止表示制御手段による停止表示制御を前記特定条件が成立したときに予め定められた条件に従って前記可変表示装置の一部の表示列について中断する停止制御中断手段とを備えた遊技機」であるから、CT期間中は所定の入賞態様が無効化、すなわち、当選しないのと等価である。
上記2つの事実をもとに検討するに、図柄を引き込むためには目標となる図柄が定まっていなければならない。そして、「残りの表示列」が「一部の表示列」よりも後に停止操作されるのであれば、既に停止した表示列の図柄に基づき、目標となる図柄を定めることは、本願明細書の「CT期間中においては、・・・例えば、第1リール3および第2リール4に帽子が揃っている場合、またはサボテンが揃っている場合には帽子またはサボテンが1コマまで引き込み制御される。つまり、停止ボタン18の操作タイミングに有効化ライン上に帽子またはサボテンが存在しなくても、1コマの制御コマ数の範囲内にこれらシンボルが存在する場合、停止表示制御手段73によって第3リール5が1コマだけ滑らせられ、帽子またはサボテンの入賞が発生させられる。」(段落【0103】?【0104】)等の記載から、どのような制御を行うのか明確に理解できるけれども、停止順序が逆であれば、入賞態様が無効化されているため、目標となる図柄をどのように定めるのか理解できない。
すなわち、本件補正後の発明の詳細な説明の記載は、補正発明を実施可能な程度に記載したものと認めることができず、平成14年改正前特許法36条4項に規定する要件を満たしていない。また、CT期間中の「一部の表示列」及び「残りの表示列」につき、停止順序が定まっているのだとすると、本件補正後の請求項1の記載は著しく不明確であり、特許法36条6項2号に規定する要件を満たしていない。
いずれにせよ、補正発明は特許出願の際独立して特許を受けることができない。

4.引用刊行物の記載事項
原査定の拒絶の理由に引用された「パチスロ攻略マガジン」6月号,6?10頁(株式会社双葉社,1998年6月1日発行。以下「引用例1」という。)には、パチスロ「ウルトラマン倶楽部3」の紹介記事が掲載されており、以下のア?オの記載又は図示がある。
ア.6頁中段に「CT機とは・・・リール制御は通常プレイ時とは異なったモノとなっており、全てのリールが引き込み制御を完全に行う事は認められていない。つまり必ずどこかのリールがビタ止まりになるという訳。」との記載がある。
イ.6頁右下部の囲み欄に「普通のパチスロは成立フラグ絵柄を最大4コマまで引き込む制御があるのだが、この機種のCT中のリール制御は、全リール1コマもスベらずに停止する。但し、BIG&リプレイ図柄は狙っても揃わない。逆にフラグが成立した時は引き込み制御が働く。」との記載があり、「リールが無制御だと、こんなことも起こってしまう」との記載と「7枚チェリー×2ライン+5枚小役」の成立図が示されている。
ウ.7頁右上部に「役の構成」との表が掲載されており、左リールにチェリーが停止すれば中リール及び右リールの停止図柄に拘わらず1枚配当であること、並びに左リールに黒バー付きのチェリー(以下「黒チェリー」という。)が停止すれば中リール及び右リールの停止図柄に拘わらず7枚配当であることが読み取れる。その他、同表には15枚小役及び5枚小役も掲載されている。
エ.7頁中央部分には、「BIG」、「小役」及び「リプレイ」につき、通常時はすべて抽選するが、CT中には「小役」のみ抽選しないことを示す表が記載されている。
オ.7頁下段に「「じゃあ目押しが下手な人は小役が取れないの?」という疑問が湧いてくる。しかし案ずることはない。リール配列の左リール○19(審決注;丸付き数字の19であるが、都合によりこのように表記する。)の黒チェリーをみて欲しい。この小役の払い出しは7枚で、それが角に止まれば14枚のコインが払い出されるのだ。しかも目押しは簡単で、ボーナス絵柄を確認できる程度の能力があれば、簡単に狙えるぞ。」との記載がある。

5.引用例1記載の発明の認定
記載又は図示ア?オを含む引用例1の全記載及び図示によれば、引用例1には次のような発明が記載されていると認めることができる。
「通常時とCT中のプレイが可能なパチスロ機であって、
小役には、左リールにチェリーが停止すれば中リール及び右リールの停止図柄に拘わらず1枚配当である役、左リールに黒チェリーが停止すれば中リール及び右リールの停止図柄に拘わらず7枚配当である役、並びにその他の15枚小役及び5枚小役があり、
通常時には、BIG、小役及びリプレイのすべてについて抽選を行い、CT中にはBIG及びリプレイについては抽選を行うが、小役については抽選を行わず、
抽選により入賞した場合には最大4コマまで引き込む制御を行い、CT中の小役については全リール1コマもスベらずに停止するような制御を行い、CT中には、黒チェリー×2ライン+5枚小役の成立が可能なようにされているパチスロ。」(以下「引用発明1」という。)

6.補正発明と引用発明1の一致点及び相違点の認定
引用発明1の左,中及び右のリールには、チェリー及び黒チェリーを含む種々の図柄が描かれており、これら3つのリール全体が補正発明の「可変表示装置」に相当する。
引用発明1は「パチスロ」(遊技機の一種である。)であり、しかもCT中のプレイが可能であるから、「可変表示装置の可変表示を停止させる可変表示停止手段」を備えることは自明である(6頁右上部の写真中、中央付近の3つのボタンがこれに該当すると推定できる。)。
引用発明1では「通常時には、BIG、小役及びリプレイのすべてについて抽選を行い、CT中にはBIG及びリプレイについては抽選を行う」のであるが、パチスロにおける抽選が乱数を用いた抽選であることは技術常識に属するから、引用発明1は「乱数抽選によって入賞態様を決定する入賞態様決定手段」を備える。
引用発明1における「抽選により入賞した場合には最大4コマまで引き込む制御」と補正発明の「入賞態様決定手段によって決定された入賞態様および前記可変表示停止手段の操作に応じて前記可変表示装置が可変表示する図柄の停止表示制御」には相違がないから、引用発明1は補正発明の「停止表示制御手段」を備える。引用発明1が「停止表示制御手段によって入賞ライン上に所定の図柄が停止表示されると入賞を発生させて遊技者に配当を付与する配当付与手段」を備えることは当然である。
引用発明1では、CT期間に小役(補正発明の「所定の入賞態様」に相当)についての抽選を行わないため、抽選により小役が当選することはない。他方、補正発明においては、所定の入賞態様が当選することはあるものの無効化されるから、所定の入賞態様が当選しないのと等価である。すなわち、「所定の入賞態様」につき、「特定条件が成立したときに」入賞態様決定手段により有効な当選結果に結びつかない限度では、補正発明と引用発明1は一致する。
引用発明1では、「CT中の小役については全リール1コマもスベらずに停止するような制御を行」のであるが、これは停止表示制御手段による停止表示制御の中断にほかならないから、「予め定められた条件に従って前記可変表示装置の一部の表示列について」との限定の有無はともかくとして、引用発明1が補正発明の「停止制御中断手段」を備えることは明らかである。
引用発明1における、左リールのチェリー及び黒チェリーは、補正発明の「単独で入賞を構成し前記配当付与手段によってその単独入賞に対してそれぞれ異なる配当が付与される複数の所定の前記図柄」に相当する。
したがって、補正発明と引用発明1は、
「種々の図柄を複数列に可変表示する可変表示装置と、この可変表示装置の可変表示を停止させる可変表示停止手段と、乱数抽選によって入賞態様を決定する入賞態様決定手段と、この入賞態様決定手段によって決定された入賞態様および前記可変表示停止手段の操作に応じて前記可変表示装置が可変表示する図柄の停止表示制御を行う停止表示制御手段と、この停止表示制御手段によって入賞ライン上に所定の図柄が停止表示されると入賞を発生させて遊技者に配当を付与する配当付与手段と、特定条件が成立したときに、所定の入賞態様が入賞態様決定手段により有効な当選結果に結びつかないようにする手段と、前記所定の入賞態様に応じた図柄についての前記停止表示制御手段による停止表示制御を前記特定条件が成立したときに中断する停止制御中断手段とを備えた遊技機において、
前記可変表示装置は、単独で入賞を構成し前記配当付与手段によってその単独入賞に対してそれぞれ異なる配当が付与される複数の所定の前記図柄が少なくとも1つの表示列に配置された遊技機。」である点で一致し、以下の各点で相違する。
〈相違点1〉「所定の入賞態様が入賞態様決定手段により有効な当選結果に結びつかないようにする手段」につき、補正発明が「前記入賞態様決定手段によって決定された所定の入賞態様を無効化する無効化手段」としているのに対し、引用発明1が同手段を採用しているかどうか不明な点。
〈相違点2〉「停止制御中断手段」につき、補正発明では「予め定められた条件に従って前記可変表示装置の一部の表示列について中断」としているのに対し、引用発明1では常に中断している点。
〈相違点3〉CT期間において、補正発明が「停止表示制御手段は、前記停止制御中断手段によって図柄の停止表示制御が一部の表示列について中断されている遊技の間、残りの表示列について、単独で入賞を構成する複数の所定の前記図柄以外の図柄に対しては、前記停止制御中断手段によって図柄の停止表示制御が一部の表示列について中断されていない遊技の間と異なる所定の制御コマ数で引き込む図柄の停止表示制御を行う」と限定しているのに対し、引用発明1では、すべての小役(「単独で入賞を構成する複数の所定の前記図柄以外の図柄」が含まれる。)に対して、すべての表示列について停止表示制御を中断する点。
〈相違点4〉補正発明が「単独で入賞を構成し前記配当付与手段によってその単独入賞に対してそれぞれ異なる配当が付与される複数の所定の前記図柄」を「少なくとも1つの表示列にその可変表示方向に沿って連続して配置」し、「その可変表示方向で隣接する2個の所定の前記図柄が組み合わされて新たな1つの図柄を構成し」ており、CT期間において「単独で入賞を構成する複数の所定の前記図柄に対しては、引き込む図柄の停止表示制御を行わず、複数の所定の前記図柄が連続して配置された前記表示列が一部の前記表示列であるか残りの前記表示列であるかに関わらず、前記停止制御中断手段によって図柄の停止表示制御が一部の表示列について中断されている遊技の間、常に、前記可変表示停止手段の操作に応じて、単独で入賞を構成する複数の所定の前記図柄を複数の入賞ライン上に同時に停止表示するか、または単独で入賞を構成する複数の所定の前記図柄のうちの1つを複数の入賞ライン上に停止表示する」としているのに対し、引用発明1では「可変表示方向に沿って連続して配置」しておらず、「その可変表示方向で隣接する2個の所定の前記図柄が組み合わされて新たな1つの図柄を構成」するとも、「単独で入賞を構成する複数の所定の前記図柄を複数の入賞ライン上に同時に停止表示する」ともいえない(「単独で入賞を構成する複数の所定の前記図柄のうちの1つを複数の入賞ライン上に停止表示」することは当然ある。)点。

7.相違点の判断及び補正発明の独立特許要件の判断その2
(1)相違点1について
CT期間において、「所定の入賞態様」がすべてハズレと同じ扱いをされる点では補正発明と引用発明1に相違はない。また、引用発明1では、CT期間にBIG及びリプレイについて抽選を行うのであるが、これらの当選確率が通常時と異なる旨の記載は引用例1にはない。抽選対象となるBIG及びリプレイの当選確率を、通常時とCT期間で等しくすることは設計事項というべきである。
一般に、複数の入賞態様の何れに当選しているか又はハズレであるかを決定するには、抽選テーブルを用いるのが一般的である。また、当選しても、それを無効化してハズレと同じ扱いをすることは周知であることを考慮すると、CT期間にも抽選対象となる入賞態様の当選確率が同じであるのならば、同一の抽選テーブルを用い、「所定の入賞態様」に当選した場合に、それを無効化することに困難性はない。
したがって、相違点1に係る補正発明の構成を採用することは当業者にとって想到容易である。

(2)相違点2について
引用発明1は、CT期間に小役図柄に対してすべての表示列の停止制御を中断しているのであるが、引用例1の記載アには、一部の表示列の停止制御を中断することも示唆されており、一部の表示列の停止制御を中断するパチスロは周知である。
そして、一部の表示列の停止制御を中断し、残りの表示列の停止制御を中断しないのであれば、中断するかしないかの条件(補正発明の「予め定められた条件」に相当)を定めておかなければならない。
したがって、相違点2に係る補正発明の構成を採用することは当業者にとって想到容易である。

(3)相違点3について
本件出願前に頒布された特開平9-285596号公報(以下「引用例2」という。)は発明の名称を「スロットマシン」とする公開公報であって、「上記した実施の形態では、停止制御解除手段163は、各ストップスイッチ70のストップ信号に従って、図柄表示装置40の移動表示を停止させる停止制御解除ゲームを行わせると説明した。しかし、停止制御解除ゲームは、これに限られず、停止制御解除手段163は、例えば最初に移動表示を停止させる図柄表示装置40に対応するストップスイッチ70のみ、ストップスイッチ70のストップ信号に従って図柄表示装置40の移動表示を停止させる。なお、他のストップスイッチ70によって図柄の移動表示を停止させる図柄表示装置40については、例えば最初に移動表示を停止した図柄表示装置40に停止表示された図柄に対応した、予め定められた停止図柄の組合せ情報、あるいは停止表示された図柄に対応した、予め定められた優先順位情報にもとづいて停止制御される。」(段落【0076】)との記載がある。ここで「各ストップスイッチ70のストップ信号に従って、図柄表示装置40の移動表示を停止させる停止制御解除ゲーム」とはまさに引用発明1のCTにほかならず、「他のストップスイッチ70によって図柄の移動表示を停止させる図柄表示装置40については、例えば最初に移動表示を停止した図柄表示装置40に停止表示された図柄に対応した、予め定められた停止図柄の組合せ情報、あるいは停止表示された図柄に対応した、予め定められた優先順位情報にもとづいて停止制御」は補正発明のCT(2番目以降の停止表示であることが「予め定められた条件」に該当する。)にほかならない。
相違点2に係る補正発明の構成を採用することの容易性は前項で述べたとおりであるが、以下では、その具体例として、引用例2に記載されたように、停止順に従って、一部の表示列及び残りの表示列とした場合(そのようにすることは当然容易である。)の検討を行う。
引用例1の記載オによれば、CT期間に遊技者が最も多く狙う図柄は黒チェリーであると解され、この図柄自体は、引用例17頁のリール配列図のとおり、中リール及び右リールにも存在するが、遊技者にとって意味があるのは左リールの黒チェリーのみである。
そうであれば、引用発明1において、CT期間に遊技者が最初に停止するリール(表示列)は左リールである場合が多く、左リールが最初に停止された場合、中及び右リール(補正発明の「残りの表示列」に相当)における単独入賞図柄(チェリー及び黒チェリー)は、そもそも入賞態様を構成しない図柄であるのに対し、その他の小役図柄(補正発明の「単独で入賞を構成する複数の所定の前記図柄以外の図柄」に相当。)は入賞態様を構成する図柄であるから、この図柄を対象として所定の制御コマ数で引き込む図柄の停止表示制御を行うことは、引用例2記載の上記技術を採用する上での当然の帰結である。
さらに、本件出願前に頒布された「パチスロ必勝本SPECIAL vol.1」(平成10年9月10日 辰巳出版株式会社発行。)36?65頁(以下「引用例3」という。)には、請求人が製造販売したパチスロ機「サンダーV」についての紹介記事が掲載されており、44頁中段右部には「ベル狙いの注意点」として「ベルを狙うのには3連Vの下が最も目押しが容易だが、最高で2コマしかスベらないのが難点なのだ」との記載がある。
もとより、引用発明1では、CT期間にはすべての小役についてすべての表示列の停止制御を中断するのであるが、これを引用例2記載の上記技術に変更した場合、単独入賞図柄以外の小役に対して、残りの表示列について停止制御することは、それだけ入賞可能性を高めることに結びつき、遊技者にとって有利である。そして、どの程度まで遊技者に利益を与えるかは設計事項というべきであり、「所定の制御コマ数」が大きいほど遊技者にとって有利であるとともに、CT期間中の措置ではないものの、「所定の制御コマ数」を通常よりも少なくすることが上記のとおり引用例3に記載されているのだから、遊技者の利益をほどほどにとどめるため、「所定の制御コマ数」を「前記停止制御中断手段によって図柄の停止表示制御が一部の表示列について中断されていない遊技の間」よりも小さくする(その結果、「前記停止制御中断手段によって図柄の停止表示制御が一部の表示列について中断されていない遊技の間と異なる所定の制御コマ数」となる。)ことは当業者にとって想到容易である。
以上のとおりであるから、相違点3に係る補正発明の構成を採用することは当業者にとって想到容易である。

(4)相違点4について
引用発明1では、CT期間に黒チェリー×2ライン+5枚小役の成立が可能である。すなわち、黒チェリーを左リールの角に停止させた場合、他の小役との重複入賞が可能である。そして、どのような小役との重複入賞を可能とするかは、単なる設計事項であり、他の小役として黒チェリー以外の単独入賞図柄、すなわち左リールでのチェリー停止を選択することも設計事項というべきである。そのようにすれば、2つの単独入賞図柄が「複数の入賞ライン上に同時に停止表示する」こともあれば「単独で入賞を構成する複数の所定の前記図柄のうちの1つを複数の入賞ライン上に停止表示する」こともある。
そして、2つの単独入賞図柄(黒チェリー及びチェリー)の重複入賞を可能とするためには、これら2つの図柄を左リール(補正発明の「少なくとも1つの表示列」)の可変表示方向に沿って、1つ置き又は連続して配置するよりなく、連続配置とすることも設計事項である。
以上によれば、「単独で入賞を構成し前記配当付与手段によってその単独入賞に対してそれぞれ異なる配当が付与される複数の所定の前記図柄」を「少なくとも1つの表示列にその可変表示方向に沿って連続して配置」することは設計事項の域を出ない。その場合、2つの単独入賞図柄は隣接し、隣接した2つの図柄が組み合わされて新たな1つの図柄を構成するかどうかは専ら主観によるものである。すなわち、黒チェリーとチェリーが組み合わされて「チェリーセット」と見ることができるし、そもそも単独入賞図柄は任意の図柄でよいのだから、組み合わされて新たな1つの図柄を構成するような図柄を1つのリールに連続して配置することは、例えば高砂電器産業株式会社が本件出願前に製造販売したパチスロ機「ダブルオーセブンSP」(「パチスロジャーナル’98の65頁に紹介記事が掲載されている。)において採用されている(ただし、単独入賞図柄ではない。)ほか、紅まんじゅうと白まんじゅうで「紅白まんじゅう」であるとか、キングとクイーンで「王様夫妻」であるとか、弓と矢の組み合わせとか、いくらでも考えられる態様である。
しかも、隣接した2つの図柄が組み合わされて新たな1つの図柄を構成することの技術的意義を認めることもできない。この点請求人は、「可変表示方向で隣接する2個の図柄(上半太陽,下半太陽)で構成される新たな1つの図柄(太陽)は、大きな図柄面積を占めることによって目立つようになり、可変表示装置(3,4,5)の可変表示中に遊技者に視認され易くなる。従って、遊技者の目押し操作は、この新たな1つの図柄(太陽)の表示の動きを手掛かりにして行い易くなり、遊技の興趣は遊技の初心者にも十分享受されるようになる。」(平成17年9月9日付け手続補正書(方式)3頁3?8行)と主張するが、新たな1つの図柄の図柄面積等の限定は本件補正後の請求項1には存在しないから、補正発明の要旨に基づく主張ではなく、採用することができない。
ところで、「可変表示方向で隣接する2個の所定の前記図柄」を形状面での新たな図柄との趣旨に限定解釈することはできないが、実施例として記載されているのが、上記請求人の主張にあるように上半太陽及び下半太陽であることを考慮し、形状面での新たな図柄との趣旨であると仮に解釈した場合の検討を加えておく。
原査定の拒絶の理由に引用された特開平7-231974号公報に「変動表示される図柄の配列の中に、・・・「頭図柄」と「胴図柄」と「足図柄」とを含ませる。・・・同一人物の「頭図柄」と「胴図柄」と「足図柄」とが停止表示されて人物の完成された画像が表示された場合」(【要約】の【構成】欄)と、及び実願平3-88061号(実開平5-29576号)のCD-ROMに「各可動表示体が停止したとき、各可動表示体に表された図柄の断片により所定の図柄が生成される」(段落【0005】)とそれぞれ記載されており、これら記載における、個々の図柄は他の図柄と隣接した場合に、形状面での新たな図柄を構成するものである。もちろん、これら両文献においては、「組み合わされて新たな1つの図柄を構成」するための個々の図柄が「可変表示方向に隣接」しているものではない。しかし、「単独で入賞を構成し前記配当付与手段によってその単独入賞に対してそれぞれ異なる配当が付与される複数の所定の前記図柄」を「少なくとも1つの表示列にその可変表示方向に沿って連続して配置」することの技術的意義は認められるものの(それが容易であることは前示のとおりである。)、「組み合わされて新たな1つの図柄を構成」することの技術的意義はないのだから、上記2つの文献に示されるような「組み合わされて新たな1つの図柄」の元となる個々の図柄を引用発明1の単独入賞図柄に割り当て、これを可変表示方向に沿って連続して配置することに困難性はない。
残る検討項目は、「複数の所定の前記図柄が連続して配置された前記表示列が一部の前記表示列であるか残りの前記表示列であるかに関わらず、」との限定についてである。
CT期間に、単独入賞図柄以外の小役図柄を対象として、一部の表示列のみ停止制御を中断し、その他の表示列の停止制御を中断しないことが容易であることは(2)及び(3)で述べたとおりである。そのことが単独入賞図柄についても当てはまるかどうか検討する。引用発明1において、CT期間に遊技者が最初に停止するリールが左リールである場合、単独入賞図柄である関係から、残りの表示列(中及び右のリール)に対して停止制御することには意味がない。遊技者が最初に停止するリールがその他のリールである場合、左リールに対して停止制御するならば、単独入賞である関係上、残りのリールを停止させる時点において、常に単独入賞図柄による入賞の可能性が生じる。そして、黒チェリー(7枚配当の単独入賞図柄)を角に停止するか、それとも中央部に停止するかによって遊技者の利益は大きく異なるところ、角に停止することを許容しかつ停止制御すればあまりにも遊技者に有利であり、逆に中央部に停止することだけを許容すれば、7枚配当の単独入賞図柄を設けた趣旨が損なわれる。
ここまでは7枚配当の単独入賞図柄に着目し、同図柄に対して停止制御をCT期間中常に中断することの容易性について述べた。引用発明1の単独入賞図柄は、それ以外にもチェリー(1枚配当図柄)があり、これを停止制御すれば、黒チェリーを角に停止することのかえって妨げとなるおそれがあるから、1枚配当図柄もCT期間中常に停止制御の対象外とすることが合理的である。
したがって、単独入賞図柄に対しては、停止順序に関係なく(補正発明でいう「複数の所定の前記図柄が連続して配置された前記表示列が一部の前記表示列であるか残りの前記表示列であるかに関わらず」と実質的に同一。)、引き込む図柄の停止表示制御を行わない(可変表示停止手段の操作に応じてのみ停止する。)ことが合理的であり、そのようにすることに困難性はない。
以上のとおりであるから、相違点4に係る補正発明の構成を採用することも当業者にとって想到容易である。

(5)補正発明の独立特許要件の判断
相違点1?4に係る補正発明の構成を採用することは当業者にとって想到容易であり、これら構成を採用したことによる格別の作用効果を認めることはできない。
したがって、補正発明は引用発明1、引用例2,3記載の技術及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができない。

[補正の却下の決定のむすび]
以上述べたとおり、本件補正は特許法17条の2第3項の規定及び平成18年改正前の同法同条4項の規定に違反しており、仮に同項の規定に適合するとしても同項5号で準用する同法126条5項の規定に違反しているから、同法159条1項で読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下されなければならない。
よって、補正の却下の決定の結論のとおり決定する。

第3 本件審判請求についての判断
1.本願発明の認定
平成17年2月14日付け手続補正は原審において、本件補正は当審においてそれぞれ却下されたから、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、平成16年11月12日付けで補正された明細書の特許請求の範囲【請求項1】に記載された事項によって特定される次のとおりのものと認める。
「種々の図柄を複数列に可変表示する可変表示装置と、この可変表示装置の可変表示を停止させる可変表示停止手段と、乱数抽選によって入賞態様を決定する入賞態様決定手段と、この入賞態様決定手段によって決定された入賞態様および前記可変表示停止手段の操作に応じて前記可変表示装置が可変表示する図柄の停止表示制御を行う停止表示制御手段と、この停止表示制御手段によって入賞ライン上に所定の図柄が停止表示されると入賞を発生させて遊技者に配当を付与する配当付与手段と、特定条件が成立したときに前記入賞態様決定手段によって決定された所定の入賞態様を無効化する無効化手段と、無効化された所定の前記入賞態様に応じた図柄についての前記停止表示制御手段による停止表示制御を前記特定条件が成立したときに予め定められた条件に従って前記可変表示装置の一部の表示列について中断する停止制御中断手段とを備えた遊技機において、
前記可変表示装置は、単独で入賞を構成する所定の前記図柄が少なくとも1つの表示列にその可変表示方向に沿って連続して複数配置され、前記停止表示制御手段は、前記停止制御中断手段によって図柄の停止表示制御が一部の表示列について中断されている間、前記可変表示停止手段の操作に応じて、単独で入賞を構成する複数の所定の前記図柄を複数の入賞ライン上に同時に停止表示するか、または単独で入賞を構成する複数の所定の前記図柄のうちの1つを複数の入賞ライン上に停止表示し、前記配当付与手段は、単独で入賞を構成する複数の所定の前記図柄によって発生する各入賞態様に対してそれぞれ異なる配当を付与することを特徴とする遊技機。」

2.本願発明と引用発明1の一致点及び相違点の認定
第2[理由]6で述べたことを踏まえると、本願発明と引用発明1は、
「種々の図柄を複数列に可変表示する可変表示装置と、この可変表示装置の可変表示を停止させる可変表示停止手段と、乱数抽選によって入賞態様を決定する入賞態様決定手段と、この入賞態様決定手段によって決定された入賞態様および前記可変表示停止手段の操作に応じて前記可変表示装置が可変表示する図柄の停止表示制御を行う停止表示制御手段と、この停止表示制御手段によって入賞ライン上に所定の図柄が停止表示されると入賞を発生させて遊技者に配当を付与する配当付与手段と、特定条件が成立したときに、所定の入賞態様が入賞態様決定手段により有効な当選結果に結びつかないようにする手段と、前記所定の入賞態様に応じた図柄についての前記停止表示制御手段による停止表示制御を前記可変表示装置の一部の表示列について中断する停止制御中断手段とを備えた遊技機において、
前記可変表示装置は、単独で入賞を構成する所定の前記図柄が少なくとも1つの表示列にその可変表示方向に沿って複数配置され、前記配当付与手段は、単独で入賞を構成する複数の所定の前記図柄によって発生する各入賞態様に対してそれぞれ異なる配当を付与する遊技機。」である点で一致し、「第2[理由]6」で述べた相違点1,相違点2及び次の相違点4’において相違する(相違点1,2については「補正発明」を「本願発明」と読み替える。)。
〈相違点4’〉本願発明が「単独で入賞を構成する所定の前記図柄」を「少なくとも1つの表示列にその可変表示方向に沿って連続して配置」し、「前記停止制御中断手段によって図柄の停止表示制御が一部の表示列について中断されている間、前記可変表示停止手段の操作に応じて、単独で入賞を構成する複数の所定の前記図柄を複数の入賞ライン上に同時に停止表示するか、または単独で入賞を構成する複数の所定の前記図柄のうちの1つを複数の入賞ライン上に停止表示」するのに対し、引用発明1では「可変表示方向に沿って連続して配置」しておらず、「単独で入賞を構成する複数の所定の前記図柄を複数の入賞ライン上に同時に停止表示する」ともいえない(「単独で入賞を構成する複数の所定の前記図柄のうちの1つを複数の入賞ライン上に停止表示」することは当然ある。)点。

3.相違点の判断及び本願発明の進歩性の判断
相違点1及び相違点2については、「第2[理由]7(1),(2)」で述べたとおり、当業者にとって想到容易である。
また、「第2[理由]7(4)」で述べたとおり、引用発明1を出発点として、黒チェリーを左リールの角に停止させた場合に重複入賞可能な他の小役をチェリーとすること、及びそのために黒チェリーとチェリーを左リールに連続配置とすることは設計事項であり、このような配置をすれば、CT期間に「可変表示停止手段の操作に応じて、単独で入賞を構成する複数の所定の前記図柄を複数の入賞ライン上に同時に停止表示する」こともあれば、「単独で入賞を構成する複数の所定の前記図柄のうちの1つを複数の入賞ライン上に停止表示」することも当然ある。
したがって、相違点4’に係る本願発明の構成を採用することには何の困難性もなく、当業者にとって想到容易である。
そして、これら相違点に係る本願発明の構成を採用したことによる格別の作用効果を認めることもできない。すなわち、本願発明は引用発明1及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。

第4 むすび
本件補正は却下されなければならず、本願発明が特許を受けることができない以上、本願のその余の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶を免れない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2008-03-19 
結審通知日 2008-03-25 
審決日 2008-04-11 
出願番号 特願平11-45369
審決分類 P 1 8・ 575- Z (A63F)
P 1 8・ 536- Z (A63F)
P 1 8・ 121- Z (A63F)
P 1 8・ 572- Z (A63F)
P 1 8・ 561- Z (A63F)
P 1 8・ 537- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 ▲吉▼川 康史  
特許庁審判長 津田 俊明
特許庁審判官 中槙 利明
小林 俊久
発明の名称 遊技機  
代理人 峯岸 武司  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ