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審決分類 審判 判定 同一 属さない(申立て成立) A47J
管理番号 1179072
判定請求番号 判定2008-600001  
総通号数 103 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許判定公報 
発行日 2008-07-25 
種別 判定 
判定請求日 2007-12-30 
確定日 2008-06-05 
事件の表示 上記当事者間の特許第2882686号の判定請求事件について、次のとおり判定する。 
結論 イ号図面及びイ号写真に示す圧力鍋の蓋の開閉装置は、特許第2882686号発明の技術的範囲に属しない。 
理由 1.請求の趣旨
本件判定の請求の趣旨は、イ号図面及びイ号写真に示す圧力鍋の「蓋の開閉装置」(以下、「イ号物件」という。)は、特許第2882686号発明(以下、「本件特許発明」という。)の技術的範囲に属しない、との判定を求めるものである。

2.本件特許発明
本件特許発明は、願書に添付された明細書及び図面(以下、「特許明細書」という。)の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1?24に記載された次のとおりのものと認める。

【請求項1】蓋(1)を釜本体(2)上にロック/ロック解除して圧力調理容器を形成する装置であって
蓋(1)を釜本体(2)上にロックする位置とロック解除位置との間で蓋(1)上に向き合うように半径方向に移動可能に装着された少なくとも2つの締付けジョーと(15a,15b)と、前記締付けジョー(15a,15b)がロック位置またはロック解除位置の一方または他方を固定するように該締付けジョーの移動を制御する手段(50)と、各締付けジョー(15a,15b)に連結され、各締付けジョー(15a,15b)と一体になった駆動アームで形成された駆動要素(20a,20b)であって、該駆動アーム(20a,20b)の少なくとも一方はロック穴(25a,25b,250)を備えているものと、蓋(1)上に装着され、容器内に発生した圧力の作用を受けて上方位置と下方位置を占めるようになった少なくとも1つのロック弁(10)であって、該ロック弁(10)と前記ロック穴(25a,25b,250)は、締付けジョー(15a,15b)がロック位置にあるとき、該ロック弁(10)が上方位置でロック穴(25a,25b,250)とかみ合って、締付けジョー(15a,15b)をロック位置にロックするように相対的に配置されているものとを備えた装置において、該装置は、2つの駆動アーム(20a,20b)に連結されたロック弁(10)を備え、該駆動アームは少なくとも締付けジョーのロック位置で重なり合うようになっており、該駆動アームの各々はロック位置と一致するように配置されたロック穴(25a,25b)を備えていることを特徴とする装置。(以下、「本件特許発明1」という。)
【請求項2】前記駆動アーム(20a,20b)は、例えば、一方が他方の中にスライドによって自動案内されるように、半径方向に案内されることを特徴とする請求項1に記載の装置。(以下、「本件特許発明2」という。)
【請求項3】駆動アーム(20a,20b)は、相互間で移動可能かつピボット回転可能な一対のリンクロッドをその両端の各々に備え、制御手段(50)に連結された変形可能平行四辺形(ワット・リンク)を形成していることを特徴とする請求項1または2に記載の装置。(以下、「本件特許発明3」という。)
【請求項4】前記リンクロッドの一方に設けられた1つのロック穴(250)を備えていることを特徴とする請求項3に記載の装置。(以下、「本件特許発明4」という。)
【請求項5】駆動アーム(20a,20b)は、蓋(1)上に回転可能に装着され、制御手段(50)に連結された中央バー(260)を介して相互に連結されていることを特徴とする請求項1または2に記載の装置。(以下、「本件特許発明5」という。)
【請求項6】中央バー(260)は容器の回転軸(Ox)を中心に回転可能であり、スライダを形成する2つのオリフィス(261a,261b)を備え、中央バー(260)を回転させると、前記オリフィス内で作用バー(250a,250b)がスライドして、各駆動アーム(20a,20b)を延長させて駆動アーム(20a,20b)の半径方向の移動を制御するようにしたことを特徴とする請求項5に記載の装置。(以下、「本件特許発明6」という。)
【請求項7】駆動アーム(20a,20b)の半径方向の運動のガイド手段を備え、該ガイド手段は蓋(1)と一体になっていることを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の装置。(以下、「本件特許発明7」という。)
【請求項8】ガイド手段は駆動アーム(20a,20b)を締め付ける支持部品(30)で形成されていることを特徴とする請求項7に記載の装置。(以下、「本件特許発明8」という。)
【請求項9】支持部品(30)は駆動アーム(20a,20b)を包み込んでいることを特徴とする請求項8に記載の装置。(以下、「本件特許発明9」という。)
【請求項10】ガイド手段はU字状横断面のプレートで形成され、駆動アーム(20a,20b)を締め付けて支持していることを特徴とする請求項8または9に記載の装置。(以下、「本件特許発明10」という。)
【請求項11】駆動アーム(20a,20b)は雌側アーム(20b)と、雌側アーム内に滑り込む雄側アーム(20a)とで形成され、該アームの相対的行程は、一方のアーム、好ましくは雄側アーム(20a)に設けられたスリット(40)によって制限され、該スリット内において、他方のアーム、好ましくは雌側アーム(20b)と一体になったつめ(41)が、一定のロック位置とロック解除位置に対応する2つのストップ位置間を移動可能になっていることを特徴とする請求項1ないし10のいずれかに記載の装置。(以下、「本件特許発明11」という。)
【請求項12】駆動アーム(20a,20b)の相対的行程は、支持プレート(30)に設けられ、前記つめ(41)と雌側アーム(20b)と一体になったつめ(41b)がそれぞれ通り抜けるようにした2つの開口(40a,40b)によって制限されていることを特徴とする請求項11に記載の装置。(以下、「本件特許発明12」という。)
【請求項13】駆動アーム(20a,20b)は、彈性復帰手段(45)によって常時ロック位置に付勢されていることを特徴とする請求項1ないし12のいずれかに記載の装置。(以下、「本件特許発明13」という。)
【請求項14】前記彈性復帰手段(45)は駆動アーム(20a,20b)の各々の間に介装されたスプリングであることを特徴とする請求項13に記載の装置。(以下、「本件特許発明14」という。)
【請求項15】締付けジョー(15a,15b)の開閉を制御する装置において、該開閉制御装置は、蓋(1)上をほぼ半径方向に、あらかじめ決めた行程上を移動可能に装着された制御手段(56)を備え、該制御手段(56)はその移動時に駆動アーム(20a,20b)とかみ合ってその半径方向の移動を制御するようにしたことを特徴とする請求項1ないし14のいずれかに記載の装置。(以下、「本件特許発明15」という。)
【請求項16】前記制御手段(56)は駆動アーム(20a,20b)に作用して、外側に向かう半径方向と内側に向かう半径方向に移動させることを特徴とする請求項15に記載の装置。(以下、「本件特許発明16」という。)
【請求項17】前記制御手段(56)は駆動アーム(20a,20b)に作用して、外側に向かう半径方向に移動させ、該制御手段(56)は、蓋(1)上に移動可能に装着された制御ボタン(52)と連動するように連結されて、内側に向かう半径方向の駆動アーム(20a,20b)の移動を制御するようにしたことを特徴とする請求項15に記載の装置。(以下、「本件特許発明17」という。)
【請求項18】前記制御手段(56)は、駆動アーム(20a,20b)をロック解除位置に拘束する手段(60)を備え、前記制御ボタン(52)は、該拘束手段(60)の解除を制御する解放手段(53,54)を備えていることを特徴とする請求項17に記載の装置。(以下、「本件特許発明18」という。)
【請求項19】前記制御手段は手操作で制御される押しボタン(56)であることを特徴とする請求項15ないし18のいずれかに記載の装置。(以下、「本件特許発明19」という。)
【請求項20】前記押しボタン(56)は、三角ゾーン(58)を介して駆動アーム(20a,20b)とかみ合って駆動アーム(20a,20b)を引き離すように作用することを特徴とする請求項19に記載の装置。(以下、「本件特許発明20」という。)
【請求項21】前記拘束手段(60)は三角ゾーン(58)に設けられたくり抜き(60)によって形成され、駆動アーム(20a,20b)と一体になったつめ(41,41b)と共同作用することを特徴とする請求項20に記載の装置。(以下、「本件特許発明21」という。)
【請求項22】前記制御ボタン(52)は押込み作用によって軸方向に移動可能であることを特徴とする請求項17または18に記載の装置。(以下、「本件特許発明22」という。)
【請求項23】前記解放手段(53,54)は制御ボタン(52)を軸方向に押し込んだとき押しボタン(56)とかみ合うようになっている作用フィンガ(53)を備えていることを特徴とする請求項18ないし22のいずれかに記載の装置。(以下、「本件特許発明23」という。)
【請求項24】制御手段(56)と制御ボタン(52)は蓋(1)の中央位置に装着され、蓋のグリップを形成していることを特徴とする請求項17ないし23のいずれかに記載の装置。(以下、「本件特許発明24」という。)

3.本件特許発明1について
本件特許発明のうち、まず、本件特許発明1について検討する。
本件特許発明1の構成要件を分説すると、次のとおりである。

A 蓋(1)を釜本体(2)上にロック/ロック解除して圧力調理容器を形成する装置であって
B 蓋(1)を釜本体(2)上にロックする位置とロック解除位置との間で蓋(1)上に向き合うように半径方向に移動可能に装着された少なくとも2つの締付けジョーと(15a,15b)と、
C 前記締付けジョー(15a,15b)がロック位置またはロック解除位置の一方または他方を固定するように該締付けジョーの移動を制御する手段(50)と、
D 各締付けジョー(15a,15b)に連結され、各締付けジョー(15a,15b)と一体になった駆動アームで形成された駆動要素(20a,20b)であって、
E 該駆動アーム(20a,20b)の少なくとも一方はロック穴(25a,25b,250)を備えているものと、
F 蓋(1)上に装着され、容器内に発生した圧力の作用を受けて上方位置と下方位置を占めるようになった少なくとも1つのロック弁(10)であって、
G 該ロック弁(10)と前記ロック穴(25a,25b,250)は、締付けジョー(15a,15b)がロック位置にあるとき、該ロック弁(10)が上方位置でロック穴(25a,25b,250)とかみ合って、締付けジョー(15a,15b)をロック位置にロックするように相対的に配置されているものとを備えた装置において、
H 該装置は、2つの駆動アーム(20a,20b)に連結されたロック弁(10)を備え、
I 該駆動アームは少なくとも締付けジョーのロック位置で重なり合うようになっており、
J 該駆動アームの各々はロック位置と一致するように配置されたロック穴(25a,25b)を備えていることを特徴とする
K 装置。

(1)イ号物件
当合議体は、イ号図面及びその説明の記載をふまえて、イ号物件における「ロック穴」は、駆動アーム120a、120bの一方に備えられると認定し、同様に、「ロック弁」は1つであり、蓋101上に装着され、2つの駆動アーム120a、120bの一方に連結されると認定し、「駆動アーム120a、120b」は、締付けジョー115a、115bのロック位置で重なり合わず、回転板140を介して連結状態が維持され、一方にはロック位置と一致するようにロック穴123aが配置されると認定した。
当合議体が認定したイ号物件の構成を分説すると次のとおりである。
「(a)蓋101を釜本体102上にロック/ロック解除する圧力鍋の蓋の開閉装置であって、
(b)蓋101を釜本体102上にロックする位置とロック解除位置との間で蓋101上に向き合うように半径方向に移動可能に装着された少なくとも2つの締付けジョー115a、115bと、
(c)前記締付けジョー115a、115bがロック位置またはロック解除位置の一方または他方を固定するように該締付けジョーの移動を制御する手段140、160と、
(d)各締付けジョー115a、115bに連結され、各締付けジョー115a、115bと一体になった駆動アームで形成された駆動要素120a、120bであって、
(e)該駆動アーム120a、120bの一方はロック穴123aを備えているものと、
(f)蓋101上に装着され、容器内に発生した圧力の作用を受けて上方位置と下方位置を占めるようになった1つのロック弁170であって、
(g)該ロック弁170と前記ロック穴123aは、締付けジョー115a、115bがロック位置にあるとき、該ロック弁170が上方位置でロック穴123aとかみ合って、締付けジョー115a、115bをロック位置にロックするように相対的に配置されているものとを備えた装置において、
(h)該装置は、2つの駆動アーム120a、120bの一方に連結されたロック弁170を備え、
(i)該駆動アームは締付けジョーのロック位置で重なり合わずに、両駆動アームは回転板140を介して連結状態で維持されており、
(j)該駆動アームの一方にはロック位置と一致するように配置されたロック穴123aを備えている、
(k)圧力鍋の蓋の開閉装置。」
(2)対比・判断
(2-1)イ号物件の構成が本件特許発明1の各構成要件を充足するか否かについて検討する。
(ア)構成要件Aについて
イ号物件の構成(a)における「蓋101」、「釜本体102」、「圧力鍋の蓋の開閉装置」は、それぞれ、本件特許発明1の「蓋(1)」、「釜本体(2)」、「圧力調理容器を形成する装置」に相当するから、イ号物件の構成(a)は本件特許発明1の構成要件Aを充足する。
(イ)構成要件Bについて
イ号物件の構成(b)における「2つの締付けジョー115a、115b」は、本件特許発明1の「2つの締付けジョー(15a,15b)」に相当するから、イ号物件の構成(b)は本件特許発明1の構成要件Bを充足する。
(ウ)構成要件Cについて
イ号物件の構成(c)における「締付けジョーの移動を制御する手段140、160」は、締付けジョー115a、115bがロック位置またはロック解除位置の一方または他方を固定するように締付ジョーの移動を制限する手段であり、本件特許発明1の「締付けジョーの移動を制御する手段(50)」に相当するから、イ号物件の構成(c)は本件特許発明1の構成要件Cを充足する。
(エ)構成要件Dについて
イ号物件の構成(d)における「駆動アームで形成された駆動要素120a、120b」は、本件特許発明1の「駆動アームで形成された駆動要素(20a,20b)」に相当するから、イ号物件の構成(d)は本件特許発明1の構成要件Dを充足する。
(オ)構成要件Eについて
イ号物件の構成(e)における「ロック穴123a」は、駆動アーム120a、120bの一方に備えられたものであり、本件特許発明1の「一方」は「少なくとも一方」に含まれる概念であるから、イ号物件の構成(e)は本件特許発明1の構成要件Eを充足する。
(カ)構成要件Fについて
イ号物件の構成(f)における「ロック弁170」は1つであり、「1つ」は「少なくとも1つ」に含まれる概念であるから、イ号物件の構成(f)は本件特許発明1の構成要件Fを充足する。
(キ)構成要件Gについて
イ号物件の構成(g)における「ロック弁170」と「ロック穴123a」は、ロック弁170が上方位置でロック穴123aとかみ合って、締付けジョー115a、115bをロック位置にロックするように相対的に配置されていることから、イ号物件の構成(g)は本件特許発明1の構成要件Gを充足する。
(ク)構成要件Hについて
本件特許発明1の構成要件Hにおける「ロック弁(10)」は、2つの駆動アーム(20a,20b)に連結されたものである。
しかるに、イ号物件の構成(h)における「ロック弁170」は、2つの駆動アーム120a、120bの一方に連結されたものであって、2つの駆動アーム120a、120bに連結されたものではない。
したがって、イ号物件の構成(h)でいう「ロック弁170」は、本件特許発明1の構成要件Hを充足しない。
(ケ)構成要件Iについて
本件特許発明1の構成要件Iにおける「駆動アーム」は、少なくとも締付けジョーのロック位置で重なり合うものである。
しかるに、イ号物件の構成(i)でいう「駆動アーム」は、締付けジョーのロック位置で重なり合うものではない。
したがって、イ号物件の構成(g)でいう「駆動アーム」は、本件特許発明1の構成要件Iを充足しない。
(コ)構成要件Jについて
本件特許発明1の構成要件Jにおける「駆動アームの各々」は、ロック位置と一致するように配置されたロック穴(25a,25b)を備えているものである。
しかるに、イ号物件の構成(j)でいう「駆動アーム」は、その一方にはロック位置と一致するように配置されたロック穴123aを備えているものであって、その各々には、ロック位置と一致するように配置されたロック穴(25a,25b)を備えているものではない。
したがって、イ号物件の構成(j)でいう「駆動アーム」は、本件特許発明1の構成要件Jを充足しない。
(サ)構成要件Kについて
イ号物件の構成(k)における「圧力鍋の蓋の開閉装置」は、蓋を釜本体上にロック/ロック解除する装置であるから、イ号物件の構成(k)は本件特許発明1の構成要件Kを充足する。

(2-2)上記本件特許発明1のイ号物件と異なる部分が均等であるか否かについて
本件特許発明1のイ号物件と異なる部分、すなわちその構成要件H、I、Jが、イ号物件の構成(h)、(i)、(j)と均等であるというための要件の一つとして、本件特許発明1の構成要件H、I、Jが発明の本質的な部分ではないという要件がある(最高裁平成6年(オ)第1083号(平成10年2月24日判決言渡)・民集52巻1号113頁参照)。
そこでこの要件について検討する。

本件の特許明細書(甲第1号証)の発明の詳細な説明には、本件特許発明の目的として「さらに、従来の装置は、締付けジョーが完全なロック位置にあることを確認し、従って容器が正しく閉じていることを確認するためのシステムを備えていない。事実、締付けジョーまたはその移動を確実にする部品の拘束が部分的であるために、あるいはその移動が不完全であるために、締付けジョーは蓋を釜本体上に部分的にしかロックできないことが明らかになっている。従って、圧力調理容器の場合には、締付けジョーが完全にかつ正しく閉じていることを検出することは、使用者の安全上非常に重要なことである。
発明の概要
以上に鑑みて、本発明の目的は上述した問題点を解消することにあり、そのために、単純化と高信頼化、締付けジョーの正しい位置付け、および釜本体上の蓋の完全かつ安全な閉塞を可能にする、調理容器の新規なロック/ロック解除装置を提案することである。
本発明の別の目的は、締付けジョーの移動を特に容易化すると共に、強固で単純化した新規なロック/ロック解除装置を提供することである。
本発明の別の目的は、全体の剛性と組立て性とを改善した新規なロック/ロック解除装置を提案することである。
本発明の別の目的は、締付けジョーが常時ロック位置に付勢されている新規なロック/ロック解除装置を提供することである。」(第3ページ第6欄第1?25行)と記載されており、また、発明の作用として「本発明によるロック/ロック解除装置によれば、ロック弁がロック穴25a,25bを通り抜けることは、駆動アーム20a,20bが、従って締付けジョー15a,15bが完全なロック位置にあるときだけ行われるので、圧力上昇は完全かつ安全に行われることになる。」(第6ページ第12欄第27?31行)と記載されている。これらの記載事項をふまえると、本件特許発明が締付けジョーの正しい位置付け、および釜本体上の蓋の完全かつ安全な閉塞に係るものであることが明らかである。そして、本件特許発明1は、2つの駆動アーム(20a,20b)に連結されたロック弁(10)を備え、駆動アームは少なくとも締付けジョーのロック位置で重なり合うようになっており、駆動アームの各々はロック位置と一致するように配置されたロック穴(25a,25b)を備えていること、すなわちその構成要件H、I、Jによって、所与の目的を達成していると理解できる。
したがって、本件特許発明1の本質的な部分は、上記構成要件H、I、Jにある。
以上から、本件特許発明1のイ号物件と異なる部分は、均等であるための前記要件を満たしていない。したがって、その他の均等であるための要件について検討するまでもなく、上記本件特許発明1のイ号物件と異なる部分が均等であるとはいえないことは、明らかである。

(3)むすび
よって、イ号物件は本件特許発明1の技術的範囲に属しない。


4.本件特許発明2?本件特許発明24について
イ号物件は、本件特許発明1の技術的範囲に属しないのであるから、イ号物件が本件特許発明1に対して他の発明特定事項を付加したものである本件特許発明2?24の技術的範囲にも属しないことは明らかである。


5.むすび
以上のとおりであるから、イ号物件は、本件特許発明の技術的範囲に属しない。

よって、結論のとおり判定する。
 
別掲
 
判定日 2008-05-26 
出願番号 特願平8-503708
審決分類 P 1 2・ 1- ZA (A47J)
最終処分 成立  
特許庁審判長 岡本 昌直
特許庁審判官 長崎 洋一
関口 哲生
登録日 1999-02-05 
登録番号 特許第2882686号(P2882686)
発明の名称 蓋を釜本体上に締付けジョーでロック/ロック解除する装置  
代理人 谷 義一  
代理人 阿部 和夫  
代理人 玉利 冨二郎  
代理人 立川 登紀雄  
復代理人 藤本 健司  

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