ポートフォリオを新規に作成して保存 |
|
|
既存のポートフォリオに追加保存 |
|
審判番号(事件番号) | データベース | 権利 |
---|---|---|
判定2007600092 | 審決 | 特許 |
判定2007600073 | 審決 | 特許 |
PDFをダウンロード |
審決分類 |
審判 判定 同一 属さない(申立て成立) B65B |
---|---|
管理番号 | 1179073 |
判定請求番号 | 判定2007-600075 |
総通号数 | 103 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許判定公報 |
発行日 | 2008-07-25 |
種別 | 判定 |
判定請求日 | 2007-10-09 |
確定日 | 2008-06-10 |
事件の表示 | 上記当事者間の特許第2598262号の判定請求事件について、次のとおり判定する。 |
結論 | (イ)号図面及びその説明書に示す「包装機の横シ-ル装置」は、特許第2598262号発明の技術的範囲に属しない。 |
理由 |
1.請求の趣旨 本件判定請求は、イ号製品カタログに示す装置は、特許第2958262号に係る発明(以下、「本件特許発明」という。)の技術的範囲に属しない、との判定を求めるものである。 2.本件特許発明 本件特許発明は、明細書または図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1及び2に記載された次のとおりのものと認める。 「【請求項1】 シートロールから長尺のシートを連続的に繰り出し、繰り出されたシートをフォーマーで筒状に成形しながらシートの合わせ目を縦シールし、縦シールされた筒状シートに投入される物品を袋単位長さで横シールして密封包装する包装機の横シール装置であって、開閉自在にされた一対の横シール本体を近接させ前期筒状シートを挟んで横シールする横シール手段と、前記横シール手段をサーボモーターにより開閉駆動する第1の駆動手段と、前記横シール手段をシートの送り速度で垂直方向に移動させる第2の駆動手段と、設定された袋の幅に基づいて前期横シール手段の開閉ストロークを変更させて前記第1の駆動手段を制御する制御手段と、を備えたことを特徴とする包装機の横シール装置。 【請求項2】 前記横シール手段に設定されるシール時間と連続送りされるシートの送り速度に応じて横シール手段の開閉速度を算出する演算手段を具備し、算出された開閉速度で前記第1の駆動手段を駆動制御することを特徴とする特許請求の範囲第(1)項に記載の包装機の横シール装置。」 この請求項1を分説すると、下記のようになる。 (A)シートロールから長尺のシートを連続的に繰り出し、 (B)繰り出されたシートをフォーマーで筒状に成形しながらシートの合わせ目を縦シールし、 (C)縦シールされた筒状シートに投入される物品を袋単位長さで横シールして密封包装する (D)包装機の横シール装置であって、 (E)開閉自在にされた一対の横シール本体を近接させ前記筒状シートを挟んで横シールする横シール手段と、 (F)前記横シール手段をサーボモーターにより開閉駆動する第1の駆動手段と、 (G)前記横シール手段をシートの送り速度で垂直方向に移動させる第2の駆動手段と、 (H)設定された袋の幅に基づいて前記横シール手段の開閉ストロークを変更させて前記第1の駆動手段を制御する制御手段と、を備えたことを特徴とする (I)包装機の横シール装置。 そこで、特許請求の範囲の請求項2は、請求項1の従属項であることから、まず、特許請求の範囲の請求項1のみを検討の対象とする。 3.イ号 (1)イ号装置について イ号装置である縦ピロー包装機「KBF-6000X」は、甲1号証ないし甲3号証を参照し、本件特許発明の記載ぶりに沿って説明すると、下記のとおりのものである。 (a)シートロールから長尺のシートを間欠的に繰り出し、 (b)繰り出されたシートをフォーマーで筒状に成形し、停止状態でシートの合わせ目を縦シールし、 (c)縦シールされた筒状シートに投入される物品を袋単位長さで横シールして密封包装する (d)包装機の横シール装置であって、 (e)開閉自在にされた一対の横シール本体を近接させ前記筒状シートを挟んで横シールする横シーラと、 (f)前記横シーラをサーボモーターにより開閉駆動するクランク機構と、 (g)前記横シーラをシートの送り速度とは異なる速度で垂直方向に移動させる前記クランク機構と、 (h)設定された袋の幅に基づいて前記横シーラの開閉ストロークを変更させて前記クランク機構を制御する制御手段と、を備えたことを特徴とする (i)包装機の横シール装置。 4.対比 そこで、イ号装置の構成が本件特許発明を充足するか否かについて検討する。 (1) 構成要件(C)?(F)(H)(I)について 本件特許発明の構成要件(C)?(F)(H)(I)は、それぞれ(C)「縦シールされた筒状シートに投入される物品を袋単位長さで横シールして密封包装する」、(D)「包装機の横シール装置であって、」、(E)「開閉自在にされた一対の横シール本体を近接させ前記筒状シートを挟んで横シールする横シール手段と、」、(F)「前記横シール手段をサーボモーターにより開閉駆動する第1の駆動手段と、」、(H)「設定された袋の幅に基づいて前期横シール手段の開閉ストロークを変更させて前記第1の駆動手段を制御する制御手段と、を備えたことを特徴とする」、(I)「包装機の横シール装置。」というものである。 一方、イ号装置の構成(c)?(f)(h)(i)は、それぞれ(c)「縦シールされた筒状シートに投入される物品を袋単位長さで横シールして密封包装する」、(d)「包装機の横シール装置であって、」、(e)「開閉自在にされた一対の横シール本体を近接させ前記筒状シートを挟んで横シールする横シーラと、」、(f)「前記横シーラをサーボモーターにより開閉駆動するクランク機構と、」、(h)「設定された袋の幅に基づいて前記横シーラの開閉ストロークを変更させて前記クランク機構を制御する制御手段と、を備えたことを特徴とする」、(i)「包装機の横シール装置。」というものである。 本件特許発明、イ号装置はともに、包装機の横シール装置である点で同じである。そして、本件特許発明の「横シール手段」は、イ号装置の「横シーラ」に対応する。そして、本件特許発明の「第1の駆動手段」「第2の駆動手段」は、ともにイ号装置の「クランク機構」に対応する。 そうすると、本件特許発明の構成要件(C)?(F)(H)(I)と、イ号装置の構成(c)?(f)(h)(i)とは実質的に同一であるから、イ号物品は、本件特許発明の構成要件(C)?(F)(H)(I)を充足する。 (2)構成要件(A)(B)(G)について 本件特許発明の構成要件(A)(B)(G)は、(A)「シートロールから長尺のシートを連続的に繰り出し、」、(B)「繰り出されたシートをフォーマーで筒状に成形しながらシートの合わせ目を縦シールし、」、(G)「前記横シール手段をシートの送り速度で垂直方向に移動させる第2の駆動手段」を備える、構成である。 一方、イ号装置の構成(a)(b)(g)は、(a)「シートロールから長尺のシートを間欠的に繰り出し、」、(b)「繰り出されたシートをフォーマーで筒状に成形し、停止状態でシートの合わせ目を縦シールし、」、(g)「前記横シール手段(横シーラ)をシートの送り速度とは異なる速度で垂直方向に移動させる第2の駆動手段(クランク機構)」を備える、構成である。 1)構成要件(A)について イ号装置の構成(a)は、本件特許発明の構成要件(A)が、シートロールから長尺のシートを「連続的」に繰り出すのに対し、「間欠的」に繰り出す点で相違する。 ここで、一般に、「間欠」とは、「一定の時間を隔てて起こること。止んで、また、起こること。」(広辞苑第6版)の意味であり、「連続」とは「つらねつづけること。」(同広辞苑第6版)の意味である。すなわち、送りについていえば、「間欠的に繰り出す」とは、「停止と送りとを交互に繰り返すことによって繰り出す」ことであり、「連続的に繰り出す」とは、「とぎれることなく繰り出す」ことを意味するものである。イ号装置の構成は、シートを連続的に繰り出すものではない。 したがって、このイ号装置の構成は、シートを連続的に繰り出すという構成を欠くものであるから、本件特許発明に包含されるものではない。 2)構成要件(B)について イ号装置の構成(b)は、本件特許発明の構成要件(B)が、「繰り出されたシートをフォーマーで筒状に成形しながらシートの合わせ目を縦シール」するのに対し、「繰り出されたシートをフォーマーで筒状に成形し、停止状態でシートの合わせ目を縦シール」する点で相違する。 このイ号装置の構成(b)は、構成(a)の長尺のシートを「間欠的に」繰り出す動作に伴って生じる動作であり、長尺のシートが停止状態にあるときにシートの合わせ目の縦シールを行っている。これに対し、本件特許発明の構成要件(B)は、繰り出されたシートをフォーマーで筒状に成形しながらシートの合わせ目を縦シールするものである。 したがって、イ号装置の構成(b)は、繰り出されたシートをフォーマーで筒状に成形しながらシートの合わせ目を縦シールする構成を欠くものであるから、本件特許発明に包含されるものではない。 3)構成要件(G)について イ号装置の構成(g)は、本件特許発明の構成要件(G)が、「前記横シール手段をシートの送り速度で垂直方向に移動させる第2の駆動手段」を有するのに対し、「前記横シール手段(横シーラ)をシートの送り速度とは異なる速度で垂直方向に移動させる第2の駆動手段(前記クランク機構)」を有する点で相違する。 ここで、イ号製品カタログ3頁下段には、「シゴキ装置で、かみ込みロスを低減」と題するコラムの中で、「横シール部への製品の導入と舞い上がりを防ぐ『上下シャッター』と『横シール閉じ2段モーション』(特許出願済)、それにシゴキ動作が加わり、かみ込みロスを抑えます。」と記載されている。 そうすると、イ号装置における横シール装置は、シートの送り速度に対応して上下動するものではないから、本件特許発明(G)の構成要件である「前記横シール手段をシートの送り速度で垂直方向に移動させる第2の駆動手段」という構成を欠くものである。 それゆえ、イ号物品の構成(g)は、本件特許発明の構成要件(G)を具備せず、本件特許発明の構成要件(G)とイ号物品の構成(g)とは、構成及びその作用効果が相違するものであるから、イ号物品は本件特許発明の構成要件(G)を充足しない。 以上のように、イ号物品の構成(a)?(i)は、イ号物品の構成(c)?(f)(h)(i)が本件特許発明の構成要件(C)?(F)(H)(I)に相当しても、イ号物品の構成(a)(b)(g)は、本件特許発明に記載されているものとはいえない。 それゆえ、イ号装置の構成は、本件特許発明の構成要件の技術的範囲に属しないものである。 5.均等の判断 (1)判定被請求人の主張 判定被請求人は、判定答弁書(2)(第2頁?第5頁)において、 「(2)構成要件A 構成要件Aは、『シートロールから長尺のシートを連続的に繰り出し』である。本件実施例においては、シートロール6の取付け軸を駆動する『モータ20』が当該繰り出し動作を担う(本件特許公報3頁5欄4行?7行、図1及び図2参照)。 ところで、イ号装置は、『巻き取りフイルムをサーボモータで駆動させ、巻き径に応じて最適な繰り出しを行う』(イ号製品カタログ3頁『フイルムにやさしい、安定した繰り出し』の項を参照。)ものであるから、イ号装置においても、当該サーボモータによって、『シートロールから長尺のシートを繰り出す』ものであると認められる。・・・ (3)構成要件B 構成要件Bは、『繰り出されたシートをフォーマーで筒状に成形しながらシートの合わせ目を縦シールし』である。 ここで、請求人は、上記『成形しながら』の意味を曲解し、『構成要件Bの「筒状に成形しながらシートの合わせ目を縦シールし」の部分は、成形と同時にシートを停止することなく連続的にシートの合わせ目を縦シールするものと解釈できる』と、クレームには全く存在しない文言を付加して、不合理な限定解釈をしている。・・・ (4)構成要件G 構成要件Gは、『前記横シール手段をシートの送り速度で垂直方向に移動させる第2の駆動手段』である。 まず、イ号装置においても『横シール手段を垂直方向に移動させる駆動手段』を具備することについては、争いがない(イ号製品カタログ3頁「シゴキ装置で、かみ込みロスを低減」の項の右側面図、判定請求書4頁28行?30行参照)。)・・・ 請求人は『イ号装置においては、「横シーラ」を閉じた状態で「紙送り」をする設定は可能であるが、その場合も「横シール手段をシートの送り速度で垂直方向に移動させる」ことはでき』ないと主張するが(弁駁書5頁2行?4行)、「横シーラ」を閉じた状態で「紙送り」の速度とが異なれば、フィルムに引っ張りや弛みが生じて適切に横シールを施すことができないのは当業者にとって自明事項である。したがって、このばいには、両者の速度を一致させていると考えるのが、寧ろ自然であり、・・・また、両者は、それぞれサーボモータによって駆動されるため(判定請求書9頁3行?7行参照)、両者の速度を一致させたり、同期させたりすることなど造作ないことである。・・・」と主張する。 (2)均等の条件 ところで、最高裁平成6年(オ)1083号(平成10年2月24日)判決は、均等の条件について、次のように述べている。 「特許請求の範囲に記載された構成中に対象製品等と異なる部分が存する場合であっても、(1) 右部分が特許発明の本質的部分ではなく、(2) 右部分を対象製品等におけるものと置き換えても、特許発明の目的を達することができ、同一の作用効果を奏するものであって、(3) 右のように置き換えることに、当該発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が、対象製品等の製造等の時点において容易に想到することができたものであり、(4) 対象製品等が、特許発明の特許出願時における公知技術と同一又は当業者がこれから右出願時に容易に推考できたものではなく、かつ、(5) 対象製品等が特許発明の特許出願手続において特許請求の範囲から意識的に除外されたものに当たるなどの特段の事情もないときは、右対象製品等は、特許請求の範囲に記載された構成と均等なものとして、特許発明の技術的範囲に属するものと解するのが相当である。」 また、上記(5)の条件でいう、「特許発明の特許出願手続において特許請求の範囲から意識的に除外されたものに当たるなどの特段の事情」について、同判決は、「(四)また、特許出願手続において出願人が特許請求の範囲から意識的に除外したなど、特許権者の側においていったん特許発明の技術的範囲に属しないことを承認するか、又は外形的にそのように解されるような行動をとったものについて、特許権者が後にこれと反する主張をすることは、禁反言の法理に照らし許されない」と述べている。 (3)検討 イ号装置の構成(a)(b)(g)に関して、上記条件のうち、 均等要件(1)( 本質的部分)の条件を満たすか否かを検討する。 1) 構成要件(a)について 本件特許発明の構成要件(A)は、それぞれ(A)「シートロールから長尺のシートを連続的に繰り出し」を行う構成である。 ここで、本件特許発明の構成要件(A)の構成について、本件特許発明には、次のように記載されている。 (3-1)「筒状シート10に対する送り装置11は、縦シール装置12の所定距離下方に配置され、ともに第1のサーボモータ13からシャフト、伝動ベルト、リンク機構などを介して筒状シート10と所定の圧で接触し、それを所定の速度で下方に送り出すとともにその速度に同期する速度で縦シール装置を移動せしめ、その熱溶着作用を有するシール機構により筒状シート10の縦方向接合部を封着している。この縦方向の縫着動作は、シール機構のシール可能長さに対応した縦シール装置12のボックスモーションによって繰り返されることで、筒状シート10の長さ10の長さ方向を封着した袋が連続して形成される。」(本件特許公報2頁4欄24行?34行) したがって、本件特許発明の課題からして、本件発明の構成要件は「シートを連続的に繰り出す」ことは明白であるから、当該構成要件(A)は、本件特許発明の本質的部分であるとするのが相当である。 一方、イ号装置の構成(a)は、「シートロールから長尺のシートを間欠的に繰り出し」を行う構成である。 ここで、シートを間欠的に繰り出すこと、すなわちシートの繰り出しの停止、動作を繰り返しながら、シートを繰り出すことは、シートロールから長尺のシートを連続的に繰り出す構成を含むものではない。 したがって、イ号装置の構成要件(a)は、本件特許発明の本質的部分である構成要件(A)を含むものでないから、前記均等の要件(1)を充足しないので、前記他の均等の要件(2)?(5)を検討するまでもなく、均等論適用の要件を欠いている。 2)構成要件(b)について 本件特許発明の構成要件(B)は、「繰り出されたシートをフォーマーで筒状に成形しながらシートの合わせ目を縦シール」する構成である。 ここで、本件特許発明の構成要件(B)の構成について、本件特許発明には、上記(3-1)のように記載されている。 したがって、本件特許発明の課題からして、本件発明の構成要件は、「繰り出されたシートの合わせ目を縦シール」するに際し、「シートをフォーマーで筒状に成形しながら」行うことは明白であるから、当該構成要件(B)は、本件特許発明の本質的部分であるとするのが相当である。 一方、イ号装置の構成(b)は、「繰り出されたシートをフォーマーで筒状に成形し、停止状態でシートの合わせ目を縦シール」する構成である。 ここで、繰り出されたシートの合わせ目を縦シールするに際し、シートを停止状態で行うことは、シートを成形しながら行う構成を含むものではない。 したがって、イ号装置の構成要件(b)は、本件特許発明の本質的部分である構成要件(B)を含むものでないから、前記均等の要件(1)を充足しないので、前記他の均等の要件(2)?(5)を検討するまでもなく、均等論適用の要件を欠いている。 2)構成要件(g)について 本件特許発明の構成要件(G)は、「前記横シール手段をシートの送り速度で垂直方向に移動させる第2の駆動手段」を有する構成である。 ここで、本件特許発明の構成要件(G)の構成について、本件特許発明には、下記のように記載されている。 (3-2)「横シール装置14は、縦シールされた筒状シート10を前後から挟んでそこに内挿されたヒータなどの熱により幅方向に所定の長さだけ熱溶着するシール機構と、幅方向の中央部分から筒状シート10を切断するカッターとを有している。また、この横シール装置14は、上記シール機構とカッターとを駆動する第3のサーボモータ15を含み、これらを全体として第2のサーボモータ16の回転力を変換して上下する昇降バー17によって上下方向、つまり筒状シート10の送り方向で等速移動するものである。」(3頁4欄35?43行) したがって、本件特許発明の課題からして、本件発明の構成要件は、「第2の駆動手段」が「横シール手段をシートの送り速度で垂直方向に移動させる」ことは明白であるから、当該構成要件(G)は、本件特許発明の本質的部分であるとするのが相当である。 一方、イ号装置の構成(g)は、「前記横シール手段(横シーラ)をシートの送り速度とは異なる速度で垂直方向に移動させる第2の駆動手段(クランク機構)」を備える構成である。 ここで、部材の移動に関し、シートの送り速度と同調させて移動させることは、シートの送り速度と異なる速度で移動させることを含むものではないから、第2の駆動手段(クランク機構)が、横シール手段(横シーラ)を垂直方向に移動させるに際し、シートの送り速度とは異なる速度で移動させることは、シートの送り速度で移動させる構成を含むものではない。 したがって、イ号装置の「第2の駆動手段」は、本件特許発明の本質的部分である「シートの送り速度で移動させる」構成を含むものでないから、前記均等の要件(1)を充足しないので、前記他の均等の要件(2)?(5)を検討するまでもなく、均等論適用の要件を欠いている。 よって、イ号装置は、本件特許発明の特許請求の範囲に記載された構成と均等なものとして、本件特許発明の技術的範囲に属するものと解することはできない。 また、請求項2以降は請求項1の従属項であることから、イ号物品の構成(a)(b)(g)が請求項1の構成要件(A)(B)(G)と基本的に構成及びその作用効果が相違するものであるから、請求項2以降を検討するまでもなく、イ物品の構成(a)(b)(g)は、本件特許発明の構成要件(A)(B)(G)を具備せず、また均等の要件を満足しないことに相違はない。 6.むすび 以上より、イ号装置は、本件特許発明の構成要件(A)(B)(G)を充足しない。したがって、イ号装置は、本件特許発明の技術的範囲に属しない。 |
別掲 |
イ号装置の構成 (a)シートロールから長尺のシートを間欠的に繰り出し、 (b)繰り出されたシートをフォーマーで筒状に成形し、停止状態でシートの合わせ目を縦シールし、 (c)縦シールされた筒状シートに投入される物品を袋単位長さで横シールして密封包装する (d)包装機の横シール装置であって、 (e)開閉自在にされた一対の横シール本体を近接させ前記筒状シートを挟んで横シールする横シーラと、 (f)前記横シーラをサーボモーターにより開閉駆動するクランク機構と、 (g)前記横シーラをシートの送り速度とは異なる速度で垂直方向に移動させる前記クランク機構と、 (h)設定された袋の幅に基づいて前記横シーラの開閉ストロークを変更させて前記クランク機構を制御する制御手段と、を備えたことを特徴とする (i)包装機の横シール装置。 イ号図面の要部(イ号製品カタログより) |
判定日 | 2008-05-29 |
出願番号 | 特願昭62-106011 |
審決分類 |
P
1
2・
1-
ZA
(B65B)
|
最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 森林 克郎 |
特許庁審判長 |
松縄 正登 |
特許庁審判官 |
中西 一友 佐野 健治 |
登録日 | 1997-01-09 |
登録番号 | 特許第2598262号(P2598262) |
発明の名称 | 包装機の横シ-ル装置 |
代理人 | 藤岡 宏樹 |
代理人 | 吉村 雅人 |
代理人 | 野村 泰久 |
代理人 | 松井 佳章 |