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審判番号(事件番号) データベース 権利
判定2008600021 審決 特許
判定2008600014 審決 特許

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審決分類 審判 判定 同一 属する(申立て成立) B62J
管理番号 1180850
判定請求番号 判定2008-600023  
総通号数 104 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許判定公報 
発行日 2008-08-29 
種別 判定 
判定請求日 2008-04-15 
確定日 2008-07-10 
事件の表示 上記当事者間の特許第2832623号の判定請求事件について、次のとおり判定する。 
結論 (イ)号図面及びその説明書に示す「イ号スクータ型車両」は、特許第2832623号発明の技術的範囲に属する。 
理由 1.請求の趣旨・手続の経緯
(1)本件判定請求の請求の趣旨は、イ号図面並びにイ号図面説明書に示すスクータ型車両は、特許第2832623号の技術的範囲に属するとの判定を求めるものである。
(2)本件判定請求は、平成20年4月15日になさたものである。
本件判定請求人は、特許第2832623号(以下に「本件特許発明」という。)の特許権者である。
本判定請求人は、別紙のイ号図面並びにイ号図面説明書に示すスクータ型車両(以下に「イ号物件」という。)が本件特許発明の侵害と判断し、このような事態に対処するため、各地の税関に対して輸入差し止めの申し立てを行い、その輸入差し止めの認定手続が開始されるように手配しているところであり、その申立書の添付資料とするにあたり、イ号物件の属否について特許庁の判断を求める次第であるとして判定請求を行っているものである。
(3)これに対して、本判定被請求人は、平成20年6月9日に判定請求答弁書を提出して、イ号図面ならびにその説明書に示すスクータ型車両は、特許第2832623号発明の技術範囲に属しないとの判定を求める趣旨の答弁を行っている。

2.本件特許発明
本件特許発明は、本件特許明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1に記載されたとおりのものにあって(以下、請求項1に係る発明を「本件特許発明」という。)、その構成要件を符号A.?D.を付して分説すると次のとおりである。

「【請求項1】
A.エンジン(E)をシート(13)下部に車体前方に向けて略水平に配設したスイング式のパワーユニット(P)の上部に左右一対のエンジン側ブラケット(22l,22r)を突設し、それらエンジン側ブラケット(22l,22r)を防振リンク(L)を介して車体フレーム(F)に固定の左右一対の車体側ブラケット(23l,23r)に連結し、そのパワーユニット(P)の上方に物品収納部(12)を設けてなる自動二・三輪車において、
B.前記エンジン(E)の吸気通路(I)を構成するエアクリーナ(38)、コンチューブ(42)およびキャブレター(39)を車体後方から前方に向けて略水平に且つ上下に重合させずに配設するとともに、この吸気通路(I)の少なくとも一部を前記防振リンク(L)に側面視で重ね合わせて配置し、
C.前記防振リンク(L)は、
C-1:その左右両端に於いて、左右の車体側ブラケット(23l,23r)にそれぞれ枢支連結される左右一対の車体側取付部(24,25)が、
C-2:またその下部中央に於いて、左右のエンジン側ブラケット(22l,22r)間に枢支連結される取付パイプ(27)のその長さ方向に沿って結合されるエンジン側取付部(28a)が夫々形成されていて、
C-3:そのエンジン側取付部(28a)よりも上方で且つ左右一対の車体側取付部(24,25)の中間に、前記吸気通路(I)が貫通する開口(35)を有している、
ことを特徴とする、
D.自動二・三輪車の吸気通路配置構造。」

3.イ号物件の構成の特定
判定請求書、判定請求書に添付されたイ号図面説明書、イ号図面(図1?13)、及び、判定請求答弁書の答弁の理由を参照してイ号物件の構成の特定を以下に行う。なお、部材名(部材番号を含む。)は、スクータとしての通常の技術用語であるので、判定請求書において請求人が用いているものを採用した。

a.スクータであって、
-1 エンジン(108)をシート(105)(図1、図5参照)下部に配置し、車体前方に向けて略水平にスイング式のパワーユニット(102)が配設されている。(図1、図5参照)
-2 エンジン(108)は、車体前方に向けて水平に対して5度の角度をつけて配置されている。(図5参照。判定請求答弁書の7答弁の理由(1)を参酌。)
-3 パワーユニット(102)の上部に相当するエンジン(108)のクランクケース(108a)の上部に、左右一対のエンジン側ブラケット(114,114)が突設されている。(図4、図5及び図8参照)
-4 車体(107)の左右の部材(107a,107b)に設けた車体側ブラケット(115,115)に防振リンク(116)が連結され、防振リンク(116)にエンジン側ブラケット(114,114)が連結されている。(図5、図6及び図8参照)
-5 パワーユニット(102)上方で、シート(105)の下には、周囲をカバー(106a)で覆われた物品収納部(106)が配置されている。(図1-3参照)
-6 フレーム(107)の左右の部材(107a,107b)に物品収納部(106)の底部、側部を支持するステイ(107c)、(107d)が設けられており、このステイで物品収納部(106)が支持され、周囲をカバー(106a)で覆う。(図5参照)
-7 この物品収納部(106)を支持するステイ(107c)、(107d)の下方に、パワーユニット(102)のエンジン(108)が位置し、パワーユニット(102)のエンジン(108)の上方に、物品収納部(106)が配置されている。(図5参照)
b.-1 エンジン(108)の吸気通路(110)は、最後部のエアクリーナ(111)、これの前方に延びるコンチューブ(112)、コンチューブ(112)に接続したキャブレター(113)を備え、これらは、略水平に且つ、上下に重なり合うことなく配設されている。(図6、図7、図8及び図11参照)
-2 これらエアクリーナ(111)、コンチューブ(112)、キャブレター(113)は、車体後方から前方に向けて配設されており、吸気通路の一部であるコンチューブ(112)は、防振リンク(116)に対し、側面視で重ね合わせて配置されている。(図6、図11、図12参照)
c.-1 防振リンク(116)は、凹状の空間部(118)の上端から左右に伸びる腕部(116a)の両端部、正確には、左右一対のレバー状の車体側取付部(117,117)が車体(107)の左右の部材(107a、107b)に取り付けられた車体側ブラケット(115)に枢支されている。(図9、図10、図13参照。判定請求答弁書の7答弁の理由(1)を参酌。以下-7まで同じ。)
-2 ここで、凹状の空間部(118)は、車体に取り付けられた際に左側に伸びる腕が右側に伸びる腕より短く、左右の車体側ブラケットからみると、左側によって配置されている。
-3 また、防振リンク(116)は、防振リンクの下端部(119)内に設けられた左右に伸びる結合管(120)と、上記左側の腕部(116a)の先に設けられた取付部(117)から上記結合管に向かい、その延長上に伸びるパイプ部(117a)とを有し、上記結合管(120)と、パイプ部(117a)とを用いてエンジン側ブラケット(114)に枢支されている。
-4 防振リンクとエンジン側ブラケットとの連結関係を示す要部の拡大斜視図である図13には、防振リンクの下端部(119)の長手方向に亘って、表面形態が平坦でない部位が見て取れ、該平坦でない部分は実質的に上記-3の防振リンクの下端部(119)内に設けられた左右に伸びる結合管(120)を、防振リンクの下端部(119)に結合した形跡と認められる。
したがって、結合管(120)は、防振リンクの下端部(119)と、その長手方向に亘って結合されている。
-5 左側のエンジン側ブラケット(114)は、結合管(120)と、パイプ部(117a)との間で枢支されている。
-6 このエンジン側ブラケットは、上記車体側ブラケット(115)の間で左側に寄って配置されている。
-7 防振リンク(116)のエンジン側取付部(119a)の上方部分で、上端部の左右に延びるパイプ状の腕部(116a,116a)間に、凹状の空間部(118)が設けられている。
-8 そして、吸気通路の一部を構成するコンチューブ(112)は、この防振リンク(116)の凹状の空間部(118)において、防振リンクの下端部(119)の上を車体前後方向に通過する形態で、この防振リンクの下端部(119)の上方に載置されており、結果として、防振リンク(116)を、コンチューブ(112)が迂回すること無しに貫通している。(図6、図7、図8、図11及び図12参照。判定請求答弁書の7答弁の理由(1)を参酌。)

以上のことから、判定請求書、判定請求書に添付されたイ号図面説明書及びイ号図面(図1?13)を参照すると、イ号物件の構成は、次のとおり特定されるものである(その構成を符号a?dを付して分説した)。

「a.-1 エンジン(108)をシート(105)下部に車体前方に向けて水平に対して5度の角度をつけて配置したスイング式のパワーユニット(102)が配設されている。
-2 パワーユニット(102)の上部に相当するエンジンのクランクケース(108a)の上部に、左右一対のエンジン側ブラケット(114,114)が突設されている。
-3 左右一対のエンジン側ブラケット(114,114)を防振リンク(116)を介して車体(107)の左右の部材(107a,107b)に設けた車体側ブラケット(115,115)に連結している。
-4 パワーユニット(102)の上方に物品収納部(106)を配置している。
スクータにおいて、
b.-1 エンジン(108)の吸気通路(110)を構成するエアクリーナ(111)、コンチューブ(112)、およびキャブレター(113)を車体後方から前方に向けて略水平に且つ、上下に重なり合うことなく配設されている。
-2 吸気通路の一部であるコンチューブ(112)が、防振リンク(116)に対し、側面視で重ね合わせて配置されている。
c.-1 防振リンク(116)は、その左右端部にある左右一対のレバー状の車体側取付部(117,117)に於いて、車体側ブラケット(115)にそれぞれ枢支連結される左右一対の車体側取付部(117,117)が、形成されている。
-2 防振リンク(116)は、その下部の車体側ブラケット(115)の間で左側に寄った位置に於いて、エンジン側ブラケット(114,114)間に枢支連結される結合管(120)をその内に設けて、長手方向に亘って結合された防振リンクの下端部(119)が形成されている。
-3 防振リンク(116)は、そのエンジン側取付部(119a)の上方部分で、且つ左右一対のレバー状の車体側取付部(117,117)の間に、吸気通路の一部を構成するコンチューブ(112)が防振リンク(116)を迂回すること無しに貫通する凹状の空間部(118)が設けられている。
d. スクータ。」

4.対比・判断
(1)構成要件Aの充足性について
-1 まず、本件特許請求の範囲の請求項1に記載されている「エンジン(E)を・・・車体前方に向けて略水平に配設した・・・」の「略水平」は、「略」が表すように、完全な「水平」以外のものを全て排除するものでないことは、明らかであり、さらに、本件特許明細書においては、「第1図に示す・・・シリンダ8を車体前方に向けて概略水平に配設したエンジンE」と記載されている様に、「略水平」が第1図程度の傾斜(少なく見ても10度以上)を含む意味で使用されていることは明らかである。
そうすると、イ号物件のエンジン(108)は、車体前方に向けて水平に対して5度の角度をつけて配置されているものであるので、「車体前方に向けて略水平に配設した」ものといえる。
そして、イ号物件の「エンジン(108)をシート(105)下部に車体前方に向けて水平に対して5度の角度をつけて配置したスイング式のパワーユニット(102)が配設されている。」は、(本件請求項1で言う)「エンジン(E)をシート(13)下部に車体前方に向けて略水平に配設したスイング式のパワーユニット(P)」の構成と言える。
-2 イ号物件の「パワーユニット(102)の上部に相当するエンジンのクランクケース(108a)の上部」は、(本件請求項1で言う)「パワーユニット(P)の上部」と言える。
したがって、イ号物件の「パワーユニット(102)の上部に相当するエンジンのクランクケース(108a)の上部に、左右一対のエンジン側ブラケット(114,114)が突設されている。」は、(本件請求項1で言う)「パワーユニット(P)の上部に左右一対のエンジン側ブラケット(22l,22r)を突設し」の構成と言える。
-3 イ号物件の「車体(107)の左右の部材(107a,107b)に設けた(車体側ブラケット)」は、(本件請求項1で言う)「車体フレーム(F)に固定の左右一対の(車体側ブラケット)」と言える。
したがって、イ号物件の「左右一対のエンジン側ブラケット(114,114)を防振リンク(116)を介して車体(107)の左右の部材(107a,107b)に設けた車体側ブラケット(115,115)に連結している。」は、(本件請求項1で言う)「それらエンジン側ブラケット(22l,22r)を防振リンク(L)を介して車体フレーム(F)に固定の左右一対の車体側ブラケット(23l,23r)に連結し」た構成と言える。
-4 イ号物件の「パワーユニット(102)の上方に物品収納部(106)を配置している。」は、(本件請求項1で言う)「そのパワーユニット(P)の上方に物品収納部(12)を設けてなる」構成と言える。
-5 イ号物件の「スクータ」は、(本件請求項1で言う)「自動二・三輪車」と言え、このことを、上記-1から-4とまとめると、
イ号物件の
「a.-1 エンジン(108)をシート(105)下部に車体前方に向けて水平に対して5度の角度をつけて配置したスイング式のパワーユニット(102)が配設されている。
-2 パワーユニット(102)の上部に相当するエンジンのクランクケース(108a)の上部に、左右一対のエンジン側ブラケット(114,114)が突設されている。
-3 左右一対のエンジン側ブラケット(114,114)を防振リンク(116)を介して車体(107)の左右の部材(107a,107b)に設けた車体側ブラケット(115,115)に連結している。
-4 パワーユニット(102)の上方に物品収納部(106)を配置している。
スクータ(において、)」は、
(本件請求項1で言う)「エンジン(E)をシート(13)下部に車体前方に向けて略水平に配設したスイング式のパワーユニット(P)の上部に左右一対のエンジン側ブラケット(22l,22r)を突設し、それらエンジン側ブラケット(22l,22r)を防振リンク(L)を介して車体フレーム(F)に固定の左右一対の車体側ブラケット(23l,23r)に連結し、そのパワーユニット(P)の上方に物品収納部(12)を設けてなる自動二・三輪車(において、)」の構成と言える。

したがって、イ号物件の構成aは、本件特許発明の構成要件Aを充足する。

(2)構成要件Bの充足性について
-1 イ号物件の「上下に重なり合うことなく配設」は、(本件請求項1で言う)「上下に重合させずに配設」と、同じく「吸気通路の一部であるコンチューブ(112)は、「吸気通路(I)の少なくとも一部」と、「防振リンク(116)に対し・・重ね合わせて配置されている。」は、「防振リンク(L)に・・重ね合わせて配置」と言えるので、イ号物件の
「b.-1 エンジン(108)の吸気通路(110)を構成するエアクリーナ(111)、コンチューブ(112)、およびキャブレター(113)を車体後方から前方に向けて略水平に且つ、上下に重なり合うことなく配設されている。
-2 吸気通路の一部であるコンチューブ(112)が、防振リンク(116)に対し、側面視で重ね合わせて配置されている。」は、
(本件請求項1で言う)「前記エンジン(E)の吸気通路(I)を構成するエアクリーナ(38)、コンチューブ(42)、およびキャブレター(39)を車体後方から前方に向けて略水平に且つ上下に重合させずに配設するとともに、この吸気通路(I)の少なくとも一部を前記防振リンク(L)に側面視で重ね合わせて配置し」の構成と言える。

したがって、イ号物件の構成bは、本件特許発明の構成要件Bを充足する。

(3)構成要件Cの充足性について
-1 イ号物件の「(防振リンク(116)の)左右端部にある左右一対のレバー状の車体側取付部(117,117)」は、(本件請求項1で言う)「(前記防振リンク(L)の)左右両端」と言える。
したがって、イ号物件の「c.-1 防振リンク(116)は、その左右端部にある左右一対のレバー状の車体側取付部(117,117)に於いて、車体側ブラケット(115)にそれぞれ枢支連結される左右一対の車体側取付部(117,117)(が、形成されている。)」は、(本件請求項1で言う)「前記防振リンク(L)は、その左右両端に於いて、左右の車体側ブラケット(23l,23r)にそれぞれ枢支連結される左右一対の車体側取付部(24,25)(が・・・形成されていて)」の構成と言える。
-2 イ号物件の「エンジン側ブラケット(114,114)間」は、エンジン側ブラケット(114,114)が左右一対で配されたものであるので、(本件請求項1で言う)「左右のエンジン側ブラケット(22l,22r)間」と言え。
また、「結合管(120)」は、エンジン側ブラケット(114,114)を取り付けるパイプ形状のものであるので、(本件請求項1で言う)「取付パイプ(27)」と言える。
また、「(結合管(120)をその内に設けて、)長手方向に亘って結合された下端部(119)」は、(本件請求項1で言う)「(取付パイプ(27)・・の)長さ方向に沿って結合されるエンジン側取付部(28a)」と言える。
(なお、本件特許発明の「長さ方向に沿って結合」に関して、判定被請求人は判定請求答弁書で、「本件特許の特許公報・・・には、『・・・防振リンクの下部中央に位置するエンジン側取付部と、・・・取付パイプとを広範囲に結合一体化できるようにしたことで、該エンジン側取付部、延いては防振リンク自体の剛性強度が該取付パイプによって効果的に高められる。』とこの取付パイプを別体として構成することによる効果が記載され、特許請求の範囲にも『長さ方向に沿って結合する』と別体であることを当然の前提とした記載がなされている一方、両者を一体化することについては何ら記載も示唆もない。したがって、本構成要件は、取付パイプに相当する部材が防振リンクと一体化されて形成されている形態を排除する趣旨と解さざるを得ない。」旨の主張を行っているが、該効果に係る記載は「エンジン側取付部と、・・・取付パイプとを広範囲に結合一体化できるようにしたことで・・・剛性強度が・・・高められる。」と言うものであって、最終的にはエンジン側取付部と取付パイプとを結合一体化することを意図した記載と認められる。したがって、該記載を根拠として「本構成要件は、取付パイプに相当する部材が防振リンクと一体化されて形成されている形態を排除する趣旨」との結論を導くことには無理があり、逆に、本件特許発明の「長さ方向に沿って結合」が、「エンジン側取付部と、・・取付パイプとを・・結合一体化」するものを包含することを示すものと認められる。したがって、上記判定被請求人の主張は採用出来るものではない。)
さらに、本件特許請求の範囲の請求項1に記載されている「防振リンク(L)」の「下部中央」は、本件特許明細書の【図面の簡単な説明】で、中心からオフセットした位置にエンジン側取付部(28a)を配したものを、本発明の一実施例として第3図、第4図に開示していることを考慮しても、該「(下部)中央」は、上記中心からオフセットした位置も包含した「(防振リンク(L)の・・)中央」と解するのが適当であるので、イ号物件の「防振リンク(116)・・の下部の車体側ブラケット(115)の間で左側に寄った位置に於いて・・下端部(119)が形成されている。」は、(本件請求項1で言う)「(防振リンク(L)・・)の下部中央に於いて・・エンジン側取付部(28a)が・・・形成されて」の構成と言える。
したがって、イ号物件の「-2 防振リンク(116)は、その下部の車体側ブラケット(115)の間で左側に寄った位置に於いて、エンジン側ブラケット(114,114)間に枢支連結される結合管(120)をその内に設けて、長手方向に亘って結合された防振リンクの下端部(119)が形成されている。」は、(本件請求項1で言う)「(防振リンク(L)は・・また)その下部中央に於いて、左右のエンジン側ブラケット(22l,22r)間に枢支連結される取付パイプ(27)にその長さ方向に沿って結合されるエンジン側取付部(28a)が・・・形成されていて」の構成と言える。
-3 イ号物件の「エンジン側取付部(119a)の上方部分」は、(本件請求項1で言う)「エンジン側取付部(28a)よりも上方」と言える。
また、本件特許請求の範囲の請求項1に記載されている「車体側取付部(24,25)」の「中間」は、「中間」なる用語に、広義の「二つの物事・地点の間」と言う意味と、狭義の「そのまんなか」と言う意味の両方の意味が存在する(いずれも、株式会社岩波書店 広辞苑第五版より抜粋)ものの、本件特許明細書の記載内容(特に「(2) 作用・・・防振リンクは、エンジン側取付部よりも上方で且つ左右一対の車体側取付部の中間に、前記吸気通路が貫通する開口を有するため、吸気通路を、防振リンクを迂回させずに該リンクの周辺において略水平に(従って極力曲がらずに)無理なく取回すことができ・・・」や、「C.発明の効果・・・防振リンクは、エンジン側取付部よりも上方で且つ左右一対の車体側取付部の中間に、前記吸気通路が貫通する開口を有するため、吸気通路を、防振リンクを迂回させずに該リンクの周辺において略水平に(従って極力曲がらずに)無理なく取回すことが可能となり・・・」)を考慮すると、該「中間」を、あえて狭義の意味で解する必要性は存在しないので、該「中間」は広義の「二つの物事・地点の間」と言う意味と解するのが適当であり、イ号物件の「左右一対のレバー状の車体側取付部(117,117)の間」は、(本件請求項1で言う)「左右一対の車体側取付部(24,25)の中間」と言える。
また、本件特許請求の範囲の請求項1に記載されている「吸気通路(I)が貫通する開口(35)」の「貫通」は、(1)「貫通」が、「貫きとおすこと。貫きとおること。」(株式会社岩波書店 広辞苑第五版より抜粋)を意味した用語であるものの、判定被請求人が判定請求答弁書で主張している「吸気通路が当該開口を貫通すると言えるためには、吸気通路の所定の横断面全てが開口B内に含まれる必要がある」ことまで、一義的に定義するものではないこと、(2)本件特許明細書の本件発明の作用効果に係る記載(「(2) 作用・・・吸気通路が貫通する開口を有するため、吸気通路を、防振リンクを迂回させずに・・・略水平に・・・取回すことができ・・・」「C.発明の効果・・・吸気通路が貫通する開口を有するため、吸気通路を、防振リンクを迂回させずに・・・極力曲がらずに・・・取回すことが可能・・・」)を見ても、本件発明が「吸気通路の所定の横断面全てが開口内に含まれる必要がある」様なものでないこと、(3)判定被請求人が主張の根拠として示している本件特許公報第5図は、連結パイプ26がコンチューブ42の上方を迂回しているために「吸気通路の所定の横断面全てが開口内に含まれる」構成となっているものの、同特許公報第8欄第11行目?第13行目においては「連結パイプ26は・・適宜省略することが可能」とされており、その場合「吸気通路の所定の横断面全てが開口内に含まれる」構成とならないこと、を考慮すると、「吸気通路(I)が貫通する開口(35)」の「貫通」を被請求人が主張するような意味で解釈することは適当なものでない。
そうすると、イ号物件の「吸気通路の一部を構成するコンチューブ(112)が防振リンク(116)を迂回すること無しに貫通する凹状の空間部(118)」は、(本件請求項1で言う)「吸気通路(I)が貫通する開口(35)」と言え、イ号物件の「-3 防振リンク(116)は、そのエンジン側取付部(119a)の上方部分で、且つ左右一対のレバー状の車体側取付部(117,117)の間に、吸気通路の一部を構成するコンチューブ(112)が防振リンク(116)を迂回すること無しに貫通する凹状の空間部(118)が設けられている。」は、(本件請求項1で言う)「(防振リンク(L)は・・)そのエンジン側取付部(28a)よりも上方で且つ左右一対の車体側取付部(24,25)の中間に、前記吸気通路(I)が貫通する開口(35)を有している」の構成と言える。

したがって、イ号物件の構成cは、本件特許発明の構成要件Cを充足する。
(4)構成要件Dの充足性について

-1 イ号物件の「スクータ」は、(本件請求項1で言う)「自動二・三輪車」と言える。
また、符号a?dを付して分説されたイ号物件の構成は、全体として「吸気通路配置構造」を含むものであって、イ号物件の符号a?d記載の構成は、(本件請求項1で言う)「自動二・三輪車の吸気通路配置構造」と言える。

したがって、イ号物件の構成a?dは、本件特許発明の構成要件Dを充足する。

以上のことから、イ号物件の構成a?dは、本件特許発明の構成要件A?Dの全てを充足する。

5.むすび
以上のとおりであるから、イ号物件は、本件特許発明の技術的範囲に属する。
よって、結論のとおり判定する。
 
別掲
 
判定日 2008-06-30 
出願番号 特願平2-7662
審決分類 P 1 2・ 1- YA (B62J)
最終処分 成立  
前審関与審査官 石井 孝明  
特許庁審判長 川向 和実
特許庁審判官 高木 進
中川 真一
登録日 1998-10-02 
登録番号 特許第2832623号(P2832623)
発明の名称 自動二・三輪車の吸気通路配置構造  
代理人 下田 容一郎  
代理人 鰺坂 和浩  
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