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審決分類 審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G06K
審判 査定不服 特17条の2、3項新規事項追加の補正 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G06K
管理番号 1181951
審判番号 不服2007-13410  
総通号数 105 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2008-09-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2007-05-09 
確定日 2008-07-31 
事件の表示 特願2001-255154「ICカード機能を具備した携帯電話端末」拒絶査定不服審判事件〔平成15年 3月 7日出願公開、特開2003- 67684〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続きの経緯
本願は、平成13年8月24日に特許出願されたものであって、平成19年4月3日付けで拒絶査定され、同年5月9日付けで審判請求がなされたものである。これに対し、当審において平成19年11月1日付けで拒絶理由が通知され、平成20年1月7日付けで手続補正がなされ、更に、同年2月27日付けで最後の拒絶理由が通知され、同年5月1日付けで手続補正がなされたものである。

2.平成20年5月1日付け手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成20年5月1日付けの手続補正を却下する。

[理由]
(1)補正後の本願発明
平成20年5月1日付け手続補正(以下、「本件手続補正」という。)により、特許請求の範囲の請求項1は、

「提携会社と情報データの送受信をするための携帯電話端末用アンテナ(14)を有する携帯電話端末機(5)と、改札口に備えられたリーダ/ライタ装置(35)と送受信をするためのICカード機能部用アンテナ(18)を有するICカード機能部(6)とを備えた携帯電話端末(2)であって、前記携帯電話端末機(5)はCPU(13)を内蔵し、前記ICカード機能部(6)はCPU(17)を内蔵し、前記CPU(13)は、前記ICカード機能部と情報データの入出力を行うためのI/O装置(7)、携帯電話端末の操作を行うための操作部(10)、携帯電話端末機(5)内の通信部(11)および情報を表示するための表示部(12)を制御し、前記CPU(17)は前記携帯電話端末機(5)と情報データの入出力を行うためのI/O装置(8)、前記アンテナ(18)を備えた送受信部(16)、メモリ(15)及び電源供給装置(20)を制御し、前記メモリ(15)には定期券の有効期限が記憶され、前記ICカード機能部(6)の送受信部(16)は前記リーダ/ライタ装置(35)が発信する電磁波を検出し、前記CPU(17)は前記検出信号を受けて前記電源供給装置(20)に対し、前記ICカード機能部用アンテナ(18)が前記リーダ/ライタ装置の磁界領域内に存在するときのみ作動し、且つ前記CPU(17)が決定する通信時間相当のみ前記電源(9)からの電力を前記ICカード機能部の各部へ供給するように制御することを特徴とするICカード機能を具備した携帯電話端末。」

から

「提携会社と情報データの送受信をするための携帯電話端末用アンテナ(14)を有する携帯電話端末機(5)と、改札口に備えられたリーダ/ライタ装置(35)と送受信をするためのICカード機能部用アンテナ(18)を有するICカード機能部(6a)とを備えた携帯電話端末(2)であって、前記携帯電話端末機(5)はCPU(13)を内蔵し、前記ICカード機能部(6a)はCPU(17)を内蔵し、前記CPU(13)は、前記ICカード機能部と情報データの入出力を行うためのI/O装置(7)、携帯電話端末の操作を行うための操作部(10)、携帯電話端末機(5)内の通信部(11)および情報を表示するための表示部(12)を制御し、前記CPU(17)は前記携帯電話端末機(5)と情報データの入出力を行うためのI/O装置(8)、前記アンテナ(18)を備えた送受信部(16)及びメモリ(15)を制御し、前記メモリ(15)には定期券の有効期限が記憶され、前記ICカード機能部(6a)の送受信部(16)は前記リーダ/ライタ装置(35)が発信する電磁波を検出し、前記電源供給装置(20)は前記検出信号を受けて前記ICカード機能部(6a)の各部への電源供給を開始し、前記ICカード機能部用アンテナ(18)が前記リーダ/ライタ装置の磁界領域内に存在するときのみ作動し、且つ前記CPU(17)が決定する通信時間相当のみ前記電源(9)からの電力を前記ICカード機能部の各部へ供給するとともに、前記CPU(17)の指示に基づいて前記電源供給を停止することを特徴とするICカード機能を具備した携帯電話端末。」
と補正された。

(2)補正目的の適否について
本件手続補正は、特許法第17条の2第1項第2号に規定する最後に受けた拒絶理由通知に対する補正であり、特許請求の範囲についてする補正であるので、同条第4項各号に規定するいずれかの要件を満たすものでなければならない。

(2-1)特許請求の範囲の減縮
本件発明のICカード機能部は、「ICカード機能部用アンテナ(18)が前記リーダ/ライタ装置の磁界領域内に存在するときのみ作動」するものであり、電源供給の開始のための発明特定事項が、補正前の発明では「ICカード機能部(6)の送受信部(16)は前記リーダ/ライタ装置(35)が発信する電磁波を検出し、前記CPU(17)は前記検出信号を受けて前記電源供給装置(20)に対し、・・・・・・・・・制御する」ものであったのに対し、補正後の発明では「ICカード機能部(6a)の送受信部(16)は前記リーダ/ライタ装置(35)が発信する電磁波を検出し、前記電源供給装置(20)は前記検出信号を受けて前記ICカード機能部(6a)の各部への電源供給を開始」するものに補正された。このように、補正前の発明では電源供給の開始にCPUが関与していたのに対し、補正後の発明ではCPUが関与しないものとなったのであるから、この補正は電源供給のための発明特定事項を限定するものではない。従って、本件手続補正は、特許請求の範囲の減縮には当たらず、特許法第17条の2第4項第2号に掲げる目的に該当しない。

(2-2)請求項の削除、誤記の訂正、明りょうでない記載の釈明
本件手続補正は、請求項を削除するものではなく、また、誤記の訂正に当たらないことは明らかである。
補正前の発明における電源供給の開始のための発明特定事項は、明りょうであり、これに対して記載不備を指摘する拒絶の理由は通知されていないから、明りょうでない記載の釈明には当たらない。
従って、本件手続補正は、特許法第17条の2第4項第1号、第3号又は第4号に掲げる目的に該当しない。

(2-3)むすび
以上のとおり、本件手続補正は、特許法第17条の2第4項に掲げるいずれの目的にも該当しないから、同法第159条第1項で準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

3.本願発明について
(1)本願発明
平成20年5月1日付けの手続補正は、前記のとおり却下されたので、本願発明は平成20年1月7日付けで補正された明細書及び図面の記載からみて、その請求項1に記載された次のとおりのものである。

「提携会社と情報データの送受信をするための携帯電話端末用アンテナ(14)を有する携帯電話端末機(5)と、改札口に備えられたリーダ/ライタ装置(35)と送受信をするためのICカード機能部用アンテナ(18)を有するICカード機能部(6)とを備えた携帯電話端末(2)であって、前記携帯電話端末機(5)はCPU(13)を内蔵し、前記ICカード機能部(6)はCPU(17)を内蔵し、前記CPU(13)は、前記ICカード機能部と情報データの入出力を行うためのI/O装置(7)、携帯電話端末の操作を行うための操作部(10)、携帯電話端末機(5)内の通信部(11)および情報を表示するための表示部(12)を制御し、前記CPU(17)は前記携帯電話端末機(5)と情報データの入出力を行うためのI/O装置(8)、前記アンテナ(18)を備えた送受信部(16)、メモリ(15)及び電源供給装置(20)を制御し、前記メモリ(15)には定期券の有効期限が記憶され、前記ICカード機能部(6)の送受信部(16)は前記リーダ/ライタ装置(35)が発信する電磁波を検出し、前記CPU(17)は前記検出信号を受けて前記電源供給装置(20)に対し、前記ICカード機能部用アンテナ(18)が前記リーダ/ライタ装置の磁界領域内に存在するときのみ作動し、且つ前記CPU(17)が決定する通信時間相当のみ前記電源(9)からの電力を前記ICカード機能部の各部へ供給するように制御することを特徴とするICカード機能を具備した携帯電話端末。」

(2)拒絶の理由
これに対し、当審から平成20年2月27日付けで通知された拒絶の理由は以下のとおりである。

『 1)平成20年1月7日付けでした手続補正は、下記の点で願書に最初に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものでないから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない。

平成20年1月7日付け手続補正により「前記ICカード機能部(6)の送受信部(16)は前記リーダ/ライタ装置(35)が発信する電磁波を検出し、前記CPU(17)は前記検出信号を受けて前記電源供給装置(20)に対し、」前記ICカード機能部用アンテナ(18)が前記リーダ/ライタ装置の磁界領域内に存在するときのみ作動し、且つ前記CPU(17)が決定する通信時間相当のみ前記電源(9)からの電力を前記ICカード機能部の各部へ供給するように「制御する 」と補正され、電源供給装置が磁界領域内で作動するのが送受信部の検出信号を受けたCPUの制御による点を要件としている。
しかしながら、当初明細書【0039】【0040】段落および図3には、
「電源供給装置20は、通信端末機5の電源9からICカード機能部6aが動作するための電力を受けて、ICカード機能部6aの各部へその電力を供給するための装置である。電源供給装置20は、ICカード機能部6aのアンテナ18がリーダ/ライタ装置の磁界領域45内に存在する時のみ作動し、ICカード機能部6aの各部に電力が供給される。」
と記載されているのみであり、電源供給装置がCPUに制御されることは記載されていない。
次に、図3をみると、CPU17と送受信部16を結ぶラインに電源供給装置20が接続されており、CPUが電源供給装置に対し、何らかの制御を行う可能性があることは伺える。そして、【0040】段落には「 また、無駄な電力の消耗を避けるため、必要最低限の時間(通信時間相当)のみ、電力がICカード機能部6aの各部に供給されるようにした。」と記載されている。このことから、通信時間相当のみ電力が供給されるということは、所望の通信が終了したら電力供給を停止するものと受け取れる。通信が終了したことを認知するのは通信制御を行っているCPUと考えるのが普通であるから、電力の停止はCPUの指示に基づいて電源供給装置が行っているとみることはできる。従って、図3においてCPUと電源供給装置がデータラインのようなラインで接続され、CPUが電源供給装置に対して何らかの制御を行っていることは伺え、何らかの制御として電源供給を停止することは明細書記載の範囲内と言えるが、電源供給装置がICカード機能部6aの各部に電力を供給する点およびICカード機能部6aの各部にCPU17が含まれることを考慮すると、電源供給を開始する制御までCPUが行っているとは言えない。ISO/IEC1443の規格によりICカード機能部がリーダ/ライタ装置の磁界領域内に入ったことを検知する技術および明細書全体の記載によれば、電源供給装置がCPUを含むICカード機能部の各部に電源供給を開始すると解釈すべきである。
これに対し、上記補正内容は、電源供給装置に対し、電源供給の開始を含めてCPUが制御するものであるから、当初明細書又は図面に記載された事項から自明のものと言うことはできない。 』

(3)当審の判断
前記「(2)拒絶の理由」に記載したとおり、平成20年1月7日付け手続補正により補正された「前記ICカード機能部(6)の送受信部(16)は前記リーダ/ライタ装置(35)が発信する電磁波を検出し、前記CPU(17)は前記検出信号を受けて前記電源供給装置(20)に対し、」前記ICカード機能部用アンテナ(18)が前記リーダ/ライタ装置の磁界領域内に存在するときのみ作動し、且つ前記CPU(17)が決定する通信時間相当のみ前記電源(9)からの電力を前記ICカード機能部の各部へ供給するように「制御する 」という事項は、電源供給装置が磁界領域内で作動するのが送受信部の検出信号を受けたCPUの制御による点を要件としており、この点は当初明細書又は図面に記載したものではなく、また、自明に導き出せるものとも認められない。
よって、この補正は願書に最初に添付した明細書又は図面に記載した範囲内においてしたものではない。

(4)むすび
したがって、平成20年1月7日付け手続補正書による補正は、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしておらず、上記の平成20年2月27日付け拒絶理由は妥当なものと認められるので、本願はこの拒絶理由によって拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2008-06-02 
結審通知日 2008-06-03 
審決日 2008-06-16 
出願番号 特願2001-255154(P2001-255154)
審決分類 P 1 8・ 561- WZ (G06K)
P 1 8・ 572- WZ (G06K)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 大塚 良平  
特許庁審判長 吉岡 浩
特許庁審判官 冨吉 伸弥
野仲 松男
発明の名称 ICカード機能を具備した携帯電話端末  
代理人 小山 有  

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