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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1181954
審判番号 不服2007-22098  
総通号数 105 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2008-09-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2007-08-09 
確定日 2008-07-31 
事件の表示 平成11年特許願第298299号「情報処理装置及び方法、並びにデータ記憶装置」拒絶査定不服審判事件〔平成13年 4月24日出願公開、特開2001-113043〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由
第1 手続の経緯
本願は平成11年10月20日の出願であって、平成19年1月31日付けで拒絶理由が通知され、平成19年3月19日付けで意見書及び手続補正書が提出され、平成19年4月13日付けで拒絶理由(いわゆる「最後の拒絶理由通知」である。)が通知され、平成19年6月15日付けで意見書及び手続補正書が提出されたが、平成19年6月15日付けの手続補正が平成19年7月4日付けで却下されるとともに、平成19年4月13日付け拒絶理由通知書に記載した理由により平成19年7月4日付けで拒絶の査定がされたため、これを不服として平成19年8月9日付けで本件審判請求がされるとともに、平成19年9月10日付けで手続補正(以下、「本件補正」という。)がなされたものである。


第2 補正の却下の決定

[補正の却下の決定の結論]
平成19年9月10日付けの手続補正を却下する。

[理由]
1.本件補正の内容
本件補正は、平成19年3月19日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲についての

「【請求項1】 取り外し可能なデータ記憶装置に記録されているデータに応じて情報信号を処理して、操作対象となるモデルを有する仮想空間を提供する情報処理装置において、
上記データ記憶装置に記録されているデータを受信する受信手段と、
上記受信手段で受信された上記データからデータ記憶装置の使用者に関する情報を取得する情報取得手段と、
上記情報取得手段によって取得された上記使用者に関する情報に応じた処理を行う処理手段であって、上記情報に基づいて上記仮想空間上のモデルを加工し、加工したモデルデータを上記データ記憶装置に記憶し、上記データ記憶装置に対応する入力操作装置に応じた処理を行うことを含む処理手段と
を備えることを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】 上記使用者に関する情報は、上記データ記憶装置の使用者に関する画像情報であることを特徴とする請求項1記載の情報処理装置。
【請求項3】 上記使用者に関する情報は、上記データ記憶装置の使用者に関する音声情報であることを特徴とする請求項1記載の情報処理装置。
【請求項4】 上記使用者に関する情報は、上記データ記憶装置の使用者に関するテクスチャ情報であることを特徴とする請求項1記載の情報処理装置。
【請求項5】 上記使用者に関する情報は、上記データ記憶装置の使用者に関するテキスト情報であることを特徴とする請求項1記載の情報処理装置。
【請求項6】 取り外し可能なデータ記憶装置に記録されているデータに応じて情報信号を処理して、操作対象となるモデルを有する仮想空間を提供するプログラムを記録した情報記録媒体において、
受信手段が、上記データ記憶装置に記録されているデータを受信するステップと、
情報取得手段が、上記受信ステップで受信された上記データからデータ記憶装置の使用者に関する情報を取得するステップと、
情報処理手段が、上記情報取得ステップによって取得された上記使用者に関する情報に応じた処理を行うステップであって、上記情報に基づいて上記仮想空間上のモデルを加工し、加工したモデルデータを上記データ記憶装置に記憶し、上記データ記憶装置に対応する入力操作装置に応じた処理を行うことを含むステップと
を備えることを特徴とするコンピュータプログラムが記録されている情報記録媒体。
【請求項7】 情報処理装置にデータを供給するデータ記憶装置において、
使用者に関する情報を記憶する記憶部と、
使用者に関する情報を問い合わせる制御信号を上記情報処理装置から受信する受信手段と、
上記記憶部に記憶されている使用者に関する情報を上記情報処理装置に送信する送信手段と、
上記情報処理装置により上記使用者に関する情報に基づいて加工された仮想空間上のモデルデータを受信する受信手段と
を備えることを特徴とするデータ記憶装置。
【請求項8】 上記使用者に関する情報は、上記使用者に関する画像情報であることを特徴とする請求項7記載のデータ記憶装置。
【請求項9】 上記使用者に関する情報は、上記使用者に関する音声情報であることを特徴とする請求項7記載のデータ記憶装置。
【請求項10】 上記使用者に関する情報は、上記使用者に関するテクスチャ情報であることを特徴とする請求項7記載のデータ記憶装置。
【請求項11】 上記使用者に関する情報は、上記使用者に関するテキスト情報であることを特徴とする請求項7記載のデータ記憶装置。」

の記載を、

「【請求項1】 複数存在するスロットに挿入される取り外し可能なデータ記憶装置に記録されているデータに応じて情報信号を処理して、操作対象となるモデルを有する仮想空間を提供する情報処理装置において、
上記データ記憶装置に記録されているデータを受信する受信手段と、
上記受信手段で受信された上記データからデータ記憶装置の使用者に関する情報を取得する情報取得手段と、
上記情報取得手段によって取得された上記使用者に関する情報に応じた処理を行う処理手段であって、上記情報に基づいて上記仮想空間上のモデルを加工し、加工したモデルデータを上記データ記憶装置に記憶し、上記データ記憶装置を挿入する各スロットに対応するように接続された入力操作装置に応じた処理を行うことを含む処理手段と
を備えることを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】 上記使用者に関する情報は、上記データ記憶装置の使用者に関する画像情報であることを特徴とする請求項1記載の情報処理装置。
【請求項3】 上記使用者に関する情報は、上記データ記憶装置の使用者に関する音声情報であることを特徴とする請求項1記載の情報処理装置。
【請求項4】 上記使用者に関する情報は、上記データ記憶装置の使用者に関するテクスチャ情報であることを特徴とする請求項1記載の情報処理装置。
【請求項5】 上記使用者に関する情報は、上記データ記憶装置の使用者に関するテキスト情報であることを特徴とする請求項1記載の情報処理装置。
【請求項6】 複数存在するスロットに挿入される取り外し可能なデータ記憶装置に記録されているデータに応じて情報信号を処理して、操作対象となるモデルを有する仮想空間を提供するプログラムを記録した情報記録媒体において、
受信手段が、上記データ記憶装置に記録されているデータを受信するステップと、
情報取得手段が、上記受信手段による上記受信ステップで受信された上記データからデータ記憶装置の使用者に関する情報を取得するステップと、
情報処理手段が、上記情報取得手段による上記情報取得ステップによって取得された上記使用者に関する情報に応じた処理を行うステップであって、上記情報に基づいて上記仮想空間上のモデルを加工し、加工したモデルデータを上記データ記憶装置に記憶し、上記データ記憶装置を挿入する各スロットに対応するように接続された入力操作装置に応じた
処理を行うことを含むステップと
を実行させるためのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な情報記録媒体。
【請求項7】 情報処理装置にデータを供給するデータ記憶装置において、
使用者に関する情報を記憶する記憶部と、
使用者に関する情報を問い合わせる制御信号を上記情報処理装置から受信する受信手段と、
上記記憶部に記憶されている使用者に関する情報を上記情報処理装置に送信する送信手段と、
上記情報処理装置により上記使用者に関する情報に基づいて加工された仮想空間上のモデルデータを受信する受信手段と
を備えることを特徴とするデータ記憶装置。
【請求項8】 上記使用者に関する情報は、上記使用者に関する画像情報であることを特徴とする請求項7記載のデータ記憶装置。
【請求項9】 上記使用者に関する情報は、上記使用者に関する音声情報であることを特徴とする請求項7記載のデータ記憶装置。
【請求項10】 上記使用者に関する情報は、上記使用者に関するテクスチャ情報であることを特徴とする請求項7記載のデータ記憶装置。
【請求項11】 上記使用者に関する情報は、上記使用者に関するテキスト情報であることを特徴とする請求項7記載のデータ記憶装置。」

と補正することを含むものである。

2.本件補正の適否の検討
(1)目的要件(平成18年改正前の特許法第17条の2第4項)についての検討
本件補正が平成18年改正前の特許法第17条の2第4項の規定に適合するか否かを検討する。

ア. 本件補正における請求項1についての補正は、本件補正前の旧請求項1における「取り外し可能なデータ記憶装置」を「複数存在するスロットに挿入される取り外し可能なデータ記憶装置」と限定し、本件補正前の旧請求項1における「データ記憶装置に対応する入力操作装置」を「データ記憶装置を挿入する各スロットに対応するように接続された入力操作装置」と限定する補正であり、同法第17条の2第4項第2号における「特許請求の範囲の減縮」を目的とする補正に当たる。

イ. 本件補正における請求項6についての補正のうち、本件補正前の旧請求項6における「取り外し可能なデータ記憶装置」を「複数存在するスロットに挿入される取り外し可能なデータ記憶装置」と限定し、本件補正前の旧請求項6における「データ記憶装置に対応する入力操作装置」を「データ記憶装置を挿入する各スロットに対応するように接続された入力操作装置」と限定する補正は、同法第17条の2第4項第2号における「特許請求の範囲の減縮」を目的とする補正に当たる。
また、本件補正における請求項6についての補正のうち、本件補正前の旧請求項6における「情報取得手段が、上記受信ステップで受信された上記データからデータ記憶装置の使用者に関する情報を取得するステップ」を「情報取得手段が、上記受信手段による上記受信ステップで受信された上記データからデータ記憶装置の使用者に関する情報を取得するステップ」とし、本件補正前の旧請求項6における「情報処理手段が、上記情報取得ステップによって取得された上記使用者に関する情報に応じた処理を行うステップであって」を「情報処理手段が、上記情報取得手段による上記情報取得ステップによって取得された上記使用者に関する情報に応じた処理を行うステップであって」とする補正は、平成19年4月13日付けの拒絶理由の理由1(同法第36条第6項第2号)を解消するために「受信手段」と「情報取得手段」と「情報処理手段」との関係を明確にすることを目的とする補正であるから、同第4号の「明りようでない記載の釈明」に当たる。
さらに、本件補正前の旧請求項6における「備えることを特徴とするコンピュータプログラムが記録されている情報記録媒体」を「実行させるためのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な情報記録媒体」とする補正は、平成19年4月13日付けの拒絶理由の理由1(同法第36条第6項第2号)を解消するために発明を明確にすることを目的とする補正であるから、同第4号の「明りようでない記載の釈明」に当たる。

ウ.したがって、本件補正は、同法第17条の2第4項の規定に適合する。

(2)独立特許要件についての検討
そこで、本件補正後の請求項1に係る発明(以下、「補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるかどうか、すなわち、平成18年改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項に規定する要件を満たすか否かについて、検討する。

ア.補正発明の認定
補正発明は、本件補正により補正された明細書の特許請求の範囲【請求項1】に記載された事項によって特定される次のとおりのものと認める。

「複数存在するスロットに挿入される取り外し可能なデータ記憶装置に記録されているデータに応じて情報信号を処理して、操作対象となるモデルを有する仮想空間を提供する情報処理装置において、
上記データ記憶装置に記録されているデータを受信する受信手段と、
上記受信手段で受信された上記データからデータ記憶装置の使用者に関する情報を取得する情報取得手段と、
上記情報取得手段によって取得された上記使用者に関する情報に応じた処理を行う処理手段であって、上記情報に基づいて上記仮想空間上のモデルを加工し、加工したモデルデータを上記データ記憶装置に記憶し、上記データ記憶装置を挿入する各スロットに対応するように接続された入力操作装置に応じた処理を行うことを含む処理手段と
を備えることを特徴とする情報処理装置。」

イ.引用刊行物の記載事項
原査定の拒絶の理由に引用された特開平2-179079号公報(以下、「引用例1」という。)には、以下の(ア)?(カ)の記載が図示とともにある。

(ア)「〔従来の技術〕
例えば人間等の絵(いわゆるキャラクタ)をコンピュータグラフィックスによってテレビジョン受像機等のモニタに描写し、このキャラクタを操作者の入力指示に応じて動かすと共にその他の処理を行なうことによってゲームを行なうテレビゲームシステムがある。」(第1頁左欄第19行?同頁右欄第5行)

(イ)「〔発明が解決しようとする課題〕
上述の如く、キャラクタのパターンはプログラムによって固定的に設定されているため、市販のゲームソフト等の他人が作成したプログラムによるゲームを行なう場合には操作者は自分と顔の異なるキャラクタを自分として操作することになる。そこで、例えば操作者が自分の顔のキャラクタを設定することが考えられるが、この場合にはプログラムを変更するしかなく、非常に面倒である上に、自分の顔に似たパターンを作成するのは困難である。また、操作者がコンピュータのプログラムに関する知識を有していない場合にはプログラムの変更を行なうことができず、自分の顔と異なるキャラクタを用いるしかない。
本発明はこのような事情を考慮してなされたものであり、その目的とするところは、キャラクタのパターンを所望のパターンに容易に変更することができるテレビゲームシステムを提供することにある。」(第1頁右欄第19行?第2頁左上欄第17行)

(ウ)「第1図は同テレビゲームシステムの構成を示すブロック図である。図中、1は本テレビゲームシステム全体の制御を行なう制御部である。この制御部1にはバス2を介してROM3およびRAM4とが接続されている。ここでROM3は、ゲームのプログラムを格納すると共にキャラクタのパターンを格納したキャラクタジェネレータ3aを有する。RAM4は、表示する画像信号を作成するためにデータの展開を行なうビデオRAM (以下、VRAMと称する)4aおよび登録されたキャラクタのパターンを記憶するメモリ手段としてのキャラクタ登録メモリ4bとを有し、制御部1が様々な処理動作を行なうものである。
更に、制御部1にはバス2を介して、CRTコントローラ5,信号処理回路6,登録スイッチ7,モードスイッチ8,他の操作スイッチ9が接続されている。このうち、CRTコントローラ5はCRT10への出力を制御するものである。また、信号処理回路6は、フロッピディスクドライブ(以下、FDDと称する)11によってスチルビデオフロッピディスク(以下、SVFと称する)15を読取って得られ、A/D変換器12でデジタル化された画像信号を、コンピュータグラフィックスの画像信号と同じ信号形態に変換するものである。なお、SVF15には、電子スチルカメラ16によって得られた画像信号が記録されている。すなわち、信号処理回路6は電子スチルカメラ16によって撮影された、すなわち実写して得られた画像信号を入力し、この実写画像信号を本テレビゲームシステムの信号形態に変換する実写入力変換手段を構成するものである。
また、登録スイッチ7は登録画像を指定するためのスイッチであり、本登録スイッチ7が操作されたときにSVF15から読出されて処理された画像が登録キャラクタのパターンとしてキャラクタ登録メモリ4bに登録される。モードスイッチ8は表示するキャラクタとしてキャラクタジェネレータ3aに格納されたオリジナルのパターンを用いるか、キャラクタ登録メモリ4bに記憶された登録パターンを用いるかを選択するスイッチである。そして、他の操作スイッチ9は、ジョイスティックやトリガスイッチ、リセットボタン等であり、登録スイッチ7およびモードスイッチ8以外のスイッチである。
なお、制御部1は例えばマイクロコンピュータを主制御回路として有するものであり、本来のゲーム画像の所定部分(キャラクタ部分)を登録されている画像(登録キャラクタ)に置換する出力画像信号変換手段としてのデータ展開制御手段1aを備えている。」(第2頁右上欄第19行?第3頁左上欄第8行)

(エ)「第4図は以上の如く構成されたテレビゲームシステムの外観の一例を示す図である。なお、第1図と同一部分には同一符号を付する。
ここではCRT10として同図に示す如くテレビジョン受像機20のCRTを用いるものとなっている。そして、その他の部分についてはシステム本体30内に設けられている。
システム本体30の上面には、登録スイッチ7,モードスイッチ8,その他の操作スイッチ9がそれぞれ設けられている。このうち登録スイッチ7は第1キヤラクタ乃至第3キヤラクタのそれぞれに2つずつのボタンスイッチ71a,71b、72a,72b、73a,73bが割当てられている。そして、1つのキャラクタに対する2つのボタンスイッチは71a,72a,73aが「パターンA」に、71b,72b,73bが「パターンB」にそれぞれ対応している。
また、その他の操作スイッチ9としては、ジョイスティック9a,トリガボタン9b,リセットボタン9c等が設けられている。
31はROMカートリッジ挿入孔であり、ROM3等が内蔵されたROMカートリッジ32が挿入されるものとなっている。また11aはFDD11のディスク挿入孔であり、ここからSVF15がFDD11にセットされる。
次に以上の如く構成されたテレビゲームシステムの動作を説明する。まず、キャラクタとして登録する人の顔を正面および横から電子スチルカメラ16で撮影する。そして、SVF15をFDD11にセットし、上記撮影した画像を再生させる。このときの再生画像はCRT10に表示される。
この状態において、登録スイッチ7が押下されると、FDD11によってSVF15から読取った画像信号をA/D変換器12でデジタル信号に変換したのち、信号処理回路6で本システムの信号形態に変換し、押下されたボタンスイッチに対応するキャラクタ登録メモリ4bの領域に格納する。具体的には、第1キャラクタに「主人公」、第2キャラクタに「お姫様」、第3キャラクタに「悪魔」といった具合にゲーム毎に設定されており、従って操作者は自分の顔を「主人公として登録する場合には自分の顔を正面から撮影した画像を再生させた状態でボタンスイッチ71aを押す。また自分の顔を横から撮影した画像を再生させた状態でボタンスイッチ71bを押す。これにより、顛を正面から撮影した画像を信号処理して得られたパターンが第1キャラクタの「パターンA」として、また顔を横から撮影した画像を信号処理して得られたパターンが第1キャラクタの「パターンB」としてそれぞれキャラクタ登録メモリ4bに格納される。」(第3頁右上欄第4行?同頁右下欄第14行)

(オ)「ここで、信号処理回路では例えば明るさを4値化したり、色をR,G,Bのいずれかにする等の大雑把な量子化を行ない、制御部1により作成される画像信号の形態と同一形態にする。なおこの信号処理回路にペインティング機能等をもたせて画像の修正を施すようにしても良い。」(第3頁右下欄第14行?同頁右下欄第19行)

(カ)「またモードスイッチ8が「登録」側であるときにはデータ展開制御手段1aを用い、キャラクタジェネレータ3aに格納されているオリジナルのキャラクタパターンの頭の部分(第6図中の破線で示される部分)のみを、キャラクタ登録メモリ4bに登録されているキャラクタに置換えてVRAM4aに展開する。従って、第7図に示す如く、頭の部分のみが実写画像に基いて作成されたパターンのキャラクタが構成される。
かくしてVRAM4aに展開された背景等の画像およびキャラクタの画像はCRTコントローラ5で適宜合成されてCRT10へと与えられて表示される。
これらのキャラクタパターンの展開は第2および第3のキャラクタに対しても同様に行なわれる。
かくして本テレビゲームシステムであれば、電子スチルカメラによって得られた実写画像に基いて作成したパターンのキャラクタを登録し、この登録したキャラクタをオリジナルのキャラクタに替えて表示することができ、従って操作者等の顔のキャラクタとすることができる。
これにより、操作者は自分の顔を登録しておけば、自分と同じ顔のキャラクタが画面中を動いているので精神的にゲーム内に入込むことができ、ゲームをより楽しむことができる。また、他人の顔を登録して様々なキャラクタとして使用すれば、更にゲームが楽しくなる。」(第4頁左上欄第20行?同頁左下欄第7行)

ウ.引用例1記載の発明の認定
引用例1の記載(エ)の「第4図は以上の如く構成されたテレビゲームシステムの外観の一例を示す図である。なお、第1図と同一部分には同一符号を付する。ここではCRT10として同図に示す如くテレビジョン受像機20のCRTを用いるものとなっている。そして、その他の部分についてはシステム本体30内に設けられている。」という記載と第1図及び第4図から、第1図に示されたテレビゲームシステムの各構成要素うちCRTを除いた部分はシステム本体内に設けられている。
したがって、引用例1には次のような発明が記載されていると認めることができる。

「人間等の絵(いわゆるキャラクタ)をコンピュータグラフィックスによってテレビジョン受像機等のモニタに描写し、このキャラクタを操作者の入力指示に応じて動かすことによってゲームを行なうテレビゲームシステムにおいて、
操作者の顔の画像信号が記録されたスチルビデオフロッピディスクがディスク挿入孔にセットされるフロッピディスクドライブと、
前記フロッピディスクドライブによって前記スチルビデオフロッピディスクを読取って得られ、A/D変換器でデジタル化された画像信号をコンピュータグラフィックスの画像信号と同じ信号形態に変換するとともに画像の修正を施す信号処理回路と、
前記信号処理回路によって処理された画像が登録キャラクタのパターンとして登録されるキャラクタ登録メモリと、
キャラクタジェネレータに格納されているオリジナルのキャラクタパターンの頭の部分のみをキャラクタ登録メモリに登録されているキャラクタに置換えてビデオRAMに展開するデータ展開制御手段を備えるとともに、テレビゲームシステム全体の制御を行なう制御部と、
前記制御部と接続されたジョイスティックと、
を備えるテレビゲームシステムのシステム本体。」(以下「引用発明1」という。)

エ.補正発明と引用発明1の一致点及び相違点の認定
(ア)引用発明1の「ディスク挿入孔」が補正発明の「スロット」に相当する。
したがって、引用発明1の「スチルビデオフロッピディスク」が、補正発明の「スロットに挿入される取り外し可能なデータ記憶装置」に相当する。

(イ)引用発明1の「フロッピディスクドライブ」は、「スチルビデオフロッピディスク」に記録された操作者の顔の画像信号を読取っている。
したがって、引用発明1の「フロッピディスクドライブ」が、補正発明の「データ記憶装置に記録されているデータを受信する受信手段」に相当する。

(ウ)引用発明1の「信号処理回路」は、フロッピディスクドライブで読み取られ、その後A/D変換器でデジタル化された操作者の顔の画像信号を、コンピュータグラフィックスの画像信号と同じ信号形態に変換するとともに画像の修正を施している。そして、引用発明1の「操作者の顔の画像信号」は、補正発明の「使用者に関する情報」に相当する。
したがって、引用発明1の「信号処理回路」が、補正発明の「上記受信手段で受信された上記データからデータ記憶装置の使用者に関する情報を取得する情報取得手段」に相当する。

(エ)引用発明1の「制御部」の「データ展開制御手段」は、オリジナルのキャラクタパターンの頭の部分のみを「信号処理回路」によって処理された操作者の顔の画像に置換えている。したがって、引用発明1におけるオリジナルのキャラクタパターンの頭の部分のみを「信号処理回路」によって処理された操作者の顔の画像に置換えることが、補正発明の「上記情報に基づいて上記仮想空間上のモデルを加工」することに相当する。
また、引用発明1の「人間等の絵(いわゆるキャラクタ)をコンピュータグラフィックスによってテレビジョン受像機等のモニタに描写し、このキャラクタを操作者の入力指示に応じて動かすことによってゲームを行なうテレビゲームシステム」における「ジョイスティック」は、通常、前記「キャラクタ」を動かすための操作者の入力指示をテレビゲームシステムに与える手段であるから、引用発明1の「ジョイスティック」は補正発明の「入力操作装置」に相当する。そして、引用発明1の「制御部」は「テレビゲームシステム全体の制御を行なう」ものであり、前記「制御部」には前記「ジョイスティック」が接続されている。したがって、引用発明1の「制御部」は前記「ジョイスティック」によって与えられる操作者の入力指示に応じてキャラクタを動かす処理を行っていると認められ、引用発明1における「ジョイスティック」によって与えられる操作者の入力指示に応じてキャラクタを動かす処理を行う「制御部」が補正発明の「入力操作装置に応じた処理を行うことを含む処理手段」に相当する。
したがって、引用発明1の「制御部」は、補正発明の「上記情報取得手段によって取得された上記使用者に関する情報に応じた処理を行う処理手段であって、上記情報に基づいて上記仮想空間上のモデルを加工し、入力操作装置に応じた処理を行うことを含む処理手段」に相当する。

(オ)引用発明1の「テレビゲームシステムのシステム本体」は、「テレビゲームシステム全体の制御を行なう制御部」を備えているから、引用発明1の「テレビゲームシステムのシステム本体」が、補正発明の「情報処理装置」に相当する。

(カ)したがって、補正発明と引用発明1とは、

「スロットに挿入される取り外し可能なデータ記憶装置に記録されているデータに応じて情報信号を処理して、操作対象となるモデルを有する仮想空間を提供する情報処理装置において、
上記データ記憶装置に記録されているデータを受信する受信手段と、
上記受信手段で受信された上記データからデータ記憶装置の使用者に関する情報を取得する情報取得手段と、
上記情報取得手段によって取得された上記使用者に関する情報に応じた処理を行う処理手段であって、上記情報に基づいて上記仮想空間上のモデルを加工し、入力操作装置に応じた処理を行うことを含む処理手段と
を備えることを特徴とする情報処理装置。」

である点で一致し、以下の点で相違する。

〈相違点1〉
補正発明では、「スロット」が「複数存在する」のに対し、引用発明1では、「フロッピディスクドライブ」の「ディスク挿入孔」が複数存在するものとされていない点。

〈相違点2〉
補正発明の「処理手段」が、「加工したモデルデータを上記データ記憶装置に記憶」する処理を行っているのに対し、引用発明1の「制御部」は、頭の部分のみが「信号処理回路」によって処理された操作者の顔の画像に置換えられたキャラクタパターンを「スチルビデオフロッピディスク」に記憶する処理を行っていない点。

〈相違点3〉
補正発明の「入力操作装置」が、「データ記憶装置を挿入する各スロットに対応するように接続され」ているのに対し、引用発明1の「ジョイスティック」は、「スチルビデオフロッピディスク」が挿入される「フロッピディスクドライブ」の「ディスク挿入孔」に対応するように接続されるものとされていない点。

オ.相違点についての判断
以下、本審決では「発明を特定するための事項」という意味で「構成」との用語を用いることがある。

(ア)相違点1,3について
ロール・プレイング・ゲーム等、キャラクタを操作者の入力指示に応じて動かすテレビゲームの分野では、複数のプレイヤがそれぞれ保有する記録媒体に記録されたゲームに関する情報をゲームに反映させて複数のプレイヤ間でゲームを楽しむことができるようにするために、前記ゲームに関する情報が記録された記録媒体が着脱自在に装着される部分を複数設けることや、ゲーム情報が記録された複数の記録媒体のそれぞれに対応してゲーム操作部を設けることは、本願出願時において当業者に周知の技術的事項である(特開昭63-242293号公報(公報第4頁右下欄第3?11行、第2図)、特開平4-26432号公報(公報第8頁左下欄第1行?同頁右下欄第6行、第12?13図)を参照。)。
そして、引用発明1と上記周知技術とは、キャラクタを操作者の入力指示に応じて動かすテレビゲームである点で共通し、かつ、引用発明1の「操作者の顔の画像信号が記録されたスチルビデオフロッピディスク」もゲームに関する情報が記録された記録媒体であるから、引用発明1に上記周知技術を適用して、「フロッピディスクドライブ」の「ディスク挿入孔」を複数設けるとともに、「スチルビデオフロッピディスク」のそれぞれに対応して「ジョイスティック」を設けるべく、「ジョイスティック」が「スチルビデオフロッピディスク」が挿入される「フロッピディスクドライブ」の「ディスク挿入孔」に対応して接続されるようにすることは、当業者にとって想到容易である。
したがって、相違点1,3に係る補正発明の構成を採用することは、当業者にとって想到容易である。

(イ)相違点2について
ロール・プレイング・ゲーム等、キャラクタを操作者の入力指示に応じて動かすテレビゲームの分野では、ゲームに関する情報をゲーム装置に対して着脱可能な記録媒体に記録することは、本願出願時において当業者に周知の技術的事項である(特開昭63-242293号公報の「能力データ記憶部」、特開平4-26432号公報の「外部メモリ」を参照。)。
そして、引用発明1と上記周知技術とは、キャラクタを操作者の入力指示に応じて動かすテレビゲームである点で共通し、かつ、引用発明1における頭の部分のみが「信号処理回路」によって処理された操作者の顔の画像に置換えられたキャラクタパターンもゲームに関する情報であるから、引用発明1に上記周知技術を適用して、引用発明1における頭の部分のみが「信号処理回路」によって処理された操作者の顔の画像に置換えられたキャラクタパターンを「スチルビデオフロッピディスク」に記憶する処理を「テレビゲームシステム全体の制御を行なう制御部」に行わせるようにすることは、当業者にとって想到容易である。
したがって、相違点2に係る補正発明の構成を採用することは、当業者にとって想到容易である。

カ.補正発明の独立特許要件の判断
以上のとおりであるから、相違点に係る補正発明の構成を採用することは当業者にとって想到容易である。
また、平成19年9月10日付けの審判請求書の請求の理由の欄において、「本願発明は、上述のように、データ記憶装置に記憶された使用者に関する情報を、情報処理装置に一度登録(ストア)するような手順を経ることなく、データ記憶装置から使用者に関する情報を選択し、キャラクタに適用させることができるので、複雑な操作を経ることなく使用者に関する情報を反映させた仮想人間モデルを作成し、さらにそのモデルデータをデータ記憶装置に記憶させることができる」という効果を主張しているが、補正発明には、「受信手段」で受信された「データ」が「情報処理装置」に一度登録(ストア)されないことが記載されていないから、上記効果は補正発明に基づく効果とは認められず、上記主張は採用できない。さらに、補正発明には、「入力操作装置」が「データ記憶装置を挿入する各スロットに対応するように接続された」ことは記載されているものの、情報処理装置は、各データ記憶装置より送信されてきた信号に基づいて、各データ記憶装置がどの使用者によって使われているかを認識したり(本願明細書の段落【0053】を参照。)、各データ記憶装置が接続されている各スロットにそこに接続されている各データ記憶装置の使用者の情報を対応づけたり(本願明細書の段落【0054】を参照。)、情報処理装置が、各スロットに挿入されているデータ記憶装置の使用者に対し、各スロットに挿入されている入力操作装置を対応づけたり(本願明細書の段落【0055】を参照。)することは記載されていないから、本願明細書の段落【0056】に記載された効果や本願明細書の段落【0066】の「ゲーム上でも、メモリーカード管理画面でも、どのメモリーカードがどの使用者のものか瞬時に判別することができる。つまり、接続されるスロットの位置に依らず、メモリーカードに登録された使用者の情報に応じた処理を行うことができる。」という効果は補正発明の効果としては認められず、補正発明の効果は、本願明細書の段落【0066】の「使用者の情報を仮想空間に持ち込むことにより、よりリアルな仮想現実を使用者は楽しむことができる。」という効果にとどまるところ、かかる補正発明の効果は、引用例1の記載(カ)等に照らし、引用発明1及び周知技術から当業者が予測し得る程度のものに過ぎない。
したがって、補正発明は引用例1に記載された発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができない。
よって、本件補正は平成18年改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反する。

3.むすび
以上のとおり、本件補正は平成18年改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するから、本件補正は同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。


第3 本件審判請求についての判断
1.本願発明の認定
本件補正が却下され、また、平成19年6月15日付け手続補正も却下されたから、平成19年3月19日付けの手続補正により補正された明細書及び図面に基づいて審理すると、本願の請求項1,6に係る発明は、平成19年3月19日付けで補正された明細書の特許請求の範囲に記載された事項によって特定される次のとおりのものと認める。

「【請求項1】 取り外し可能なデータ記憶装置に記録されているデータに応じて情報信号を処理して、操作対象となるモデルを有する仮想空間を提供する情報処理装置において、
上記データ記憶装置に記録されているデータを受信する受信手段と、
上記受信手段で受信された上記データからデータ記憶装置の使用者に関する情報を取得する情報取得手段と、
上記情報取得手段によって取得された上記使用者に関する情報に応じた処理を行う処理手段であって、上記情報に基づいて上記仮想空間上のモデルを加工し、加工したモデルデータを上記データ記憶装置に記憶し、上記データ記憶装置に対応する入力操作装置に応じた処理を行うことを含む処理手段と
を備えることを特徴とする情報処理装置。」(以下、「本願発明1」という。)

「【請求項6】 取り外し可能なデータ記憶装置に記録されているデータに応じて情報信号を処理して、操作対象となるモデルを有する仮想空間を提供するプログラムを記録した情報記録媒体において、
受信手段が、上記データ記憶装置に記録されているデータを受信するステップと、
情報取得手段が、上記受信ステップで受信された上記データからデータ記憶装置の使用者に関する情報を取得するステップと、
情報処理手段が、上記情報取得ステップによって取得された上記使用者に関する情報に応じた処理を行うステップであって、上記情報に基づいて上記仮想空間上のモデルを加工し、加工したモデルデータを上記データ記憶装置に記憶し、上記データ記憶装置に対応する入力操作装置に応じた処理を行うことを含むステップと
を備えることを特徴とするコンピュータプログラムが記録されている情報記録媒体。」

そこで、本願発明1が特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないか否か、及び、特許請求の範囲の請求項6の記載が平成14年改正前の特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしているか否かついて検討する。

2.特許法第29条第2項について
(1)引用刊行物の記載事項及び引用例1記載の発明の認定
原査定の拒絶の理由に引用された引用例1には、「第2」の「2.本件補正の適否の検討」の「(2)独立特許要件についての検討」の「イ.引用刊行物の記載事項」の欄に摘記したとおりの事項が記載されており、前記引用例1に記載された発明(引用発明1)は、「第2」の「2.本件補正の適否の検討」の「(2)独立特許要件についての検討」の「ウ.引用例1記載の発明の認定」の欄に記載したとおりである。

(2)本願発明1と引用発明1の一致点及び相違点の認定
本願発明1は、補正発明から、「データ記憶装置」が「複数存在するスロットに挿入される」との限定を省くとともに、「データ記憶装置」と「入力操作装置」との対応が「データ記憶装置を挿入する各スロットに対応するように接続された」という態様で対応しているとの限定を省いたものである。
そして、この本願発明1と補正発明との違いと「第2」の「2.本件補正の適否の検討」の「(2)独立特許要件についての検討」の「エ.補正発明と引用発明1の一致点及び相違点の認定」で記載した事項を踏まえると、本願発明1と引用発明1とは、

「取り外し可能なデータ記憶装置に記録されているデータに応じて情報信号を処理して、操作対象となるモデルを有する仮想空間を提供する情報処理装置において、
上記データ記憶装置に記録されているデータを受信する受信手段と、
上記受信手段で受信された上記データからデータ記憶装置の使用者に関する情報を取得する情報取得手段と、
上記情報取得手段によって取得された上記使用者に関する情報に応じた処理を行う処理手段であって、上記情報に基づいて上記仮想空間上のモデルを加工し、入力操作装置に応じた処理を行うことを含む処理手段と
を備えることを特徴とする情報処理装置。」

である点で一致し、以下の点で相違する。

〈相違点1〉
本願発明1の「処理手段」は、「加工したモデルデータを上記データ記憶装置に記憶」する処理を行っているのに対し、引用発明1の「制御部」は、頭の部分のみが「信号処理回路」によって処理された操作者の顔の画像に置換えられたキャラクタパターンを「スチルビデオフロッピディスク」に記憶する処理を行っていない点。

〈相違点2〉
本願発明1の「入力操作装置」が「データ記憶装置に対応する」ものであるのに対し、引用発明1の「ジョイスティック」は「スチルビデオフロッピディスク」に対応するものとされていない点。

(3)相違点についての判断及び本願発明1の進歩性の判断
ア.相違点1について
相違点1については、「第2」の「2.本件補正の適否の検討」の「(2)独立特許要件についての検討」の「オ.相違点についての判断」の「(イ)相違点2について」の欄で述べたとおりである(「補正発明」を「本願発明1」と読み替える。)。
したがって、相違点1に係る本願発明1の構成を採用することは、当業者にとって想到容易である。

イ.相違点2について
ロール・プレイング・ゲーム等、キャラクタを操作者の入力指示に応じて動かすテレビゲームの分野では、ゲームに関する情報が記録された記録媒体に対応してゲーム操作部を設けることは、本願出願時において当業者に周知の技術的事項である(特開昭63-242293号公報(公報第4頁右下欄第3?11行、第2図)、特開平4-26432号公報(公報第8頁左下欄第1行?同頁右下欄第6行、第12?13図)を参照。)。
そして、引用発明1と上記周知技術とは、キャラクタを操作者の入力指示に応じて動かすテレビゲームである点で共通し、かつ、引用発明1の「操作者の顔の画像信号が記録されたスチルビデオフロッピディスク」もゲームに関する情報が記録された記録媒体であるから、引用発明1に上記周知技術を適用して、「スチルビデオフロッピディスク」に対応して「ジョイスティック」を設けることは、当業者にとって想到容易である。
したがって、相違点2に係る本願発明1の構成を採用することは、当業者にとって想到容易である。

ウ.むすび
以上のとおりであるから、相違点に係る本願発明1の構成を採用することは当業者にとって想到容易である。
また、本願発明1には、「入力操作装置」が「データ記憶装置を挿入する各スロットに対応するように接続された」ことは記載されているものの、情報処理装置は、各データ記憶装置より送信されてきた信号に基づいて、各データ記憶装置がどの使用者によって使われているかを認識したり(本願明細書の段落【0053】を参照。)、各データ記憶装置が接続されている各スロットにそこに接続されている各データ記憶装置の使用者の情報を対応づけたり(本願明細書の段落【0054】を参照。)、情報処理装置が、各スロットに挿入されているデータ記憶装置の使用者に対し、各スロットに挿入されている入力操作装置を対応づけたり(本願明細書の段落【0055】を参照。)することは記載されていないから、本願明細書の段落【0056】に記載された効果や本願明細書の段落【0066】の「ゲーム上でも、メモリーカード管理画面でも、どのメモリーカードがどの使用者のものか瞬時に判別することができる。つまり、接続されるスロットの位置に依らず、メモリーカードに登録された使用者の情報に応じた処理を行うことができる。」という効果は本願発明1の効果としては認められず、本願発明1の効果は、本願明細書の段落【0066】の「使用者の情報を仮想空間に持ち込むことにより、よりリアルな仮想現実を使用者は楽しむことができる。」という効果にとどまるところ、かかる本願発明1の効果は、引用例1の記載(カ)等に照らし、引用発明1及び周知技術から当業者が予測し得る程度のものに過ぎない。
したがって、本願発明1は引用例1に記載された発明及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

3.特許法第36条第6項第2号について
請求項6に記載された各「ステップ」は、コンピュータプログラムによりコンピュータを機能させてはじめて実現されるステップであって、「コンピュータプログラム」単独では上記各ステップを実現することはできないから、上記各「ステップ」「を備えることを特徴とするコンピュータプログラム」の意味が不明である。すると、請求項6に係る発明は明確でない。
したがって、本願の特許請求の範囲の記載は、平成14年改正前の特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。

4.むすび
以上のとおり、本願発明1は特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができず、また、本願の特許請求の範囲の記載は平成14年改正前の特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていないから、本願は拒絶されるべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2008-05-29 
結審通知日 2008-06-03 
審決日 2008-06-17 
出願番号 特願平11-298299
審決分類 P 1 8・ 575- Z (A63F)
P 1 8・ 537- Z (A63F)
P 1 8・ 121- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 大山 栄成  
特許庁審判長 末政 清滋
特許庁審判官 佐藤 昭喜
日夏 貴史
発明の名称 情報処理装置及び方法、並びにデータ記憶装置  
代理人 小池 晃  
代理人 伊賀 誠司  
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