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審決分類 審判 全部無効 2項進歩性  G01N
審判 全部無効 特36 条4項詳細な説明の記載不備  G01N
管理番号 1181958
審判番号 無効2007-800203  
総通号数 105 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2008-09-26 
種別 無効の審決 
審判請求日 2007-09-25 
確定日 2008-07-30 
事件の表示 上記当事者間の特許第2036486号発明「乾海苔の夾雑物検出装置」の特許無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。 
理由 1.手続の経緯・本件発明
本件特許第2036486号は、平成1年3月27日に特許出願され、平成7年7月19日に出願公告(特公平7-65973号)され、平成8年3月28日に特許権の設定登録が行われた。
そして、無効審判請求人株式会社川島製作所により請求項1及び2に係る特許について本件無効審判の請求がなされ、被請求人から答弁書が提出され、平成20年5月9日に口頭審理が行われたものである。

本件特許の請求項1及び2に係る発明は、本件特許明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1及び2に記載された、次のとおりのものである。(以下、請求項1及び2に係る発明を、それぞれ「本件発明1」及び「本件発明2」という。)
「【請求項1】
乾海苔の搬送方向に所定の間隔を隔てて設けられた2つの海苔搬送用ベルトコンベアと、これらの海苔搬送用ベルトコンベアの間隙を照射するように海苔搬送面の一方に配置された光源と、前記搬送面に対し前記光源と同じ方向に設けられ前記光源より照射された光の反射光を受光するラインイメージセンサと、前記ラインイメージセンサに入光する光量の変化を検出する手段と、該光量が設定値以上になったときに夾雑物混入信号を、夾雑物除去を行う選別手段に出力する手段とを備えたことを特徴とする乾海苔の夾雑物検出装置。
【請求項2】
ラインイメージセンサを検出位置より60°±30°に設置し、光源を前記ラインイメージセンサと同じ方向の45°±30°に光軸が位置するように設置したことを特徴とする請求項1記載の乾海苔の夾雑物検出装置。」

2.請求人の主張
無効審判請求人は、証拠方法として次の甲第1?22号証を提出するとともに、審判請求書及び平成20年5月9日付け口頭審理陳述要領書において、以下の無効理由を主張をしている。
[証拠方法]
甲第1号証:特公昭62-668号公報
甲第2号証:実願昭61-113618号のマイクロフィルム(請求人は、「実開昭63-20791号公報」と記載しているが、このように解する。)
甲第3号証:特開昭63-225155号公報
甲第4号証:特開昭59-102487号公報
甲第5号証:特開昭60-180567号公報
甲第6号証:特開昭60-180569号公報
甲第7号証:特開昭63-295946号公報
甲第8号証:特開昭62-200246号公報
甲第9号証:特開昭62-212553号公報
甲第10号証:特開昭63-288593号公報
甲第11号証:平成6年7月11日付提出の意見書
甲第12号証:平成6年12月28日付提出の意見書
甲第13号証:説明図
甲第14号証:特開平2-253142号公報
甲第15号証:大阪地方裁判所 平成19年(ワ)第5015号特許権侵害差止等請求事件 原告提出の訴状(写) (抜粋)
甲第16号証:平成5年9月3日付文書
甲第17号証:特開昭63-52862号公報
甲第18号証:特開昭63-94950号公報
甲第19号証:説明図
甲第20号証:書籍「目視検査の自動化技術」(抜粋)
甲第21号証:特開平2-40542号公報
甲第22号証:特開平1-205819号公報

[無効理由その1]
本件発明1及び本件発明2は、甲第4?9号証および甲第17号証に開示された技術に、甲第1?3号証および甲第18号証に開示された技術を、組み合わせることにより、容易に発明をすることができたものである。この組み合わせは、甲第10号証を始め甲第6号証,甲第18号証,甲第22号証等でも、示唆,教示されている。したがって、本件発明1及び本件発明2は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、本件特許は、同法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきものである。

[無効理由その2]
本件発明1及び本件発明2は、発明の効果欄に記載された効果を発揮しないので、特許法第36条第4項第1号の規定に違反し、特許を受けることができないものである。したがって、本件特許は、特許法第123条第1項第4号に該当し、無効とすべきものである。
なお、請求人は、無効理由その2として、本件発明は、発明の効果欄に記載された効果を発揮しないので、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないとも主張していたが、この主張は、平成20年5月9日の口頭審理において、撤回している。

[無効理由その3]
本件特許に関し、平成6年7月11日付けで行われた補正は、特許法旧第41条((注)平成5年改正前の特許法第41条)の規定に違反して行われたものであるので、同法旧第40条((注)平成5年改正前の特許法第40条)の規定により、その出願日が補正日まで繰り下げられるべきである。
そこで、本件発明1及び本件発明2は、繰り下がった出願日(補正日)前の公知資料や公知文献、すなわち甲第15,16,21,22号証その他に基づき、容易に発明することができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。したがって、本件特許は、同法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきものである。

3.被請求人の反論
無効審判被請求人は、答弁書において、以下の主張をしている。
[無効理由その1]
甲第1?10号証には、本件発明の構成要件についての記載がなく、また、構成要件を組み合わせることを示唆する記載もない。また、甲第1?10号証を組み合わせても、反射型でノイズの低減をはかるために間隙を利用することは示唆されないのであるから、本件発明は、甲第1?10号証から容易に発明できるものでもない。
そもそも、本件発明において選別の対象となる夾雑物は非常に微細で発見しにくいワラやビニル類などの、肉眼では容易に選別できないものであるため、繊細な検出方法が必要となるのである。そして、本件発明は、反射光により乾海苔の表面を観察し、夾雑物を検出するものであるから、既存の乾海苔を透過させる透過光により穴、破れ、裂け、縦割れ等の形状の検知手段からは容易に発明できるものではない。そして、反射光を利用する場合、原理的には間隙は不要のはずであるが、本件発明は、ノイズを抑えて反射の感度を良好にするため、乾海苔以外のベルト等の物体によって反射されることがないよう、特に間隙を設けたものであり、これは従来の技術を組み合わせても容易に想到しうるものではない。

[無効理由その2]
請求人の「・・・本件特許が効果を発揮するのは、ベルトコンベアとして、紐ベルトコンベアではなく、平帯ベルトコンベアが使用された場合に限定されるべきである」の主張は、何ら根拠のない意味不明な主張である。また、本件発明では、間隔を隔てて設けられた2つのベルトコンベアは検出位置にはないので、平帯ベルトコンベアに限定されるものではない。

[無効理由その3]
特許請求の範囲の補正は、出願当初明細書又は図面により裏付けられているので、出願当初明細書又は図面に記載した範囲内において補正したものであり、明細書の要旨を変更しないものである。また、効果の欄の補正事項は、本件特許公報に開示されている事項であり、要旨変更の補正ではない。
したがって、出願日が補正書提出日まで繰り下がるものではなく、甲第15号証や甲第16号証に記載された発明、公知,公用という技術は、本件特許出願後に知られたものであるから、請求人の主張は失当である。

4.無効理由その1について
以下に、無効審判請求人が主張する無効理由その1について検討する。
4-1.甲各号証の記載事項
4-1-1.甲第1号証(特公昭62-668号公報)
甲第1号証には、「海苔の出来連続判定仕分け装置」に関する発明が記載されており、以下の記載がある。
(甲1a)【特許請求の範囲】に「1 海苔を平坦に広げた状態で移送する移送路の上流側に設置される出来判定装置と下流側に設置される仕分け装置との組み合わせからなり、前記出来判定装置は、移送されてくる海苔の表面に光を照射するとともにその透過光により海苔の出来を判定する構造をなし、前記仕分け装置は、・・・構造をなすことを特徴とする海苔の出来連続判定仕分け装置。
2 出来判定装置は、海苔を吸着保持した状態で移送する搬送コンベアと、移送されてくる海苔に連続して光を照射する光源と、海苔を介して該光源と対向し透過光により海苔の縦横寸法や穴の形成状態を測定する第1の受光部と、海苔の欠けを測定する第2の受光部、海苔の裂けを強制的に開かせる圧縮ガスの噴射部、およびそれにより強制的に開かせられた裂けを測定する第3の受光部とからなる特許請求の範囲第1項記載の装置。」(第1頁左下欄第2行から右下欄第2行)
(甲1b)「出来判定装置」について、「ここで出来判定装置1は、移送されてくる海苔の下面から光を照射し、その透過光により海苔の出来を判定する構造をなす。この出来判定装置1は、第2図からも明らかなように、僅かな間隙をおいて連設され海苔2を吸着保持して移送する2台の搬送コンベア3a,3bと、移送されてくる海苔2にその下方から連続して光を照射する光源4と、海苔2を介して該光源4と対向し透過光により海苔2の縦横寸法や穴の形成状態を測定する第1の受光部6、海苔2の欠けを測定する第2の受光部7、海苔2の裂けを強制的に開かせる圧縮ガスの噴射部8、およびそれに強制的に開かせられた裂けを測定する第3の受光部9等を備えている。・・・
まず第1の受光部6は、この実施例では256ビツトに細分されたイメージセンサであり、決められた幅(例えば海苔の幅200mmをややオーバーする長さ)を256に区分し、レンズ系を介して海苔の外形寸法や穴の状態を測定できるようになつている。第2の受光部7は、海苔の幅方向に配設された多数の受光素子群からなる欠け測定用センサとそれよりもやや上流側に設けられた幅方向の基準を決めるためのセンサとからなる。また第3の受光部9は圧縮ガスの噴射部8に近接して位置し、圧縮ガスの噴射により強制的に開かせられた裂けを測定するようになつている。」(第2頁右欄第35行から第3頁左欄第32行)

4-1-2.甲第2号証(実願昭61-113618号のマイクロフィルム)
甲第2号証には、「不良海苔選別装置」に関する発明が記載されており、以下の記載がある。
(甲2a)「産業上の利用分野」として、「本案は孔や破れ等の不良海苔選別装置に関するものである。」(明細書第1頁第20行から第2頁第1行)
(甲2b)「実施例」として、「海苔搬出及び移送コンベヤ8、9、10によつてコンベヤラインAを形成し、コンベヤ9、10間に海苔通過光センサー1を設ける。この光センサー1は海苔11の彎曲通過装置12を通過して開く亀裂や孔等に下方の光電管13から照射される光が通過し、上方に設けたカメラ14によつて通過光15を検出するようになつている。検出された通過光量はコントロールセンター16によつて設定値と比較され多い場合は落下案内開閉板3の往復回動軸17の動作用回転ソレノイドを信号によつて第1図実線から仮想線側に開閉動作させることができ検出不良海苔11を下方の収容函5に落下収容させる。通過光量が設定値より少い場合は上昇案内開閉板4の往復回動軸18の動作用回転ソレノイド19を信号によつて第1図実線から仮想線側に開閉動作させることができ海苔11を斜上方の上昇案内コンベヤ7に案内上昇させ同コンベヤ7によつて収容函6内に収容させることができるものである。」(明細書第4頁第9行から第5頁第7行)

4-1-3.甲第3号証(特開昭63-225155号公報)
甲3号証には、「海苔検査装置」に関する発明が記載されており、以下の記載がある。
(甲3a)「発明が解決しようとする問題点」として、「本発明は上記の事情に鑑み、海苔が縦に割れている場合には、これを検出することができる海苔検査装置を提供することを目的としている。」(第2頁左上欄第5?7行)
(甲3b)「実施例」として、「第1図は本発明による海苔検査装置の一実施例を示すブロック図である。
この図に示す海苔検査装置は、搬送部1と、撮像部2と、処理部3と、切替え部4とを備えており、海苔5が挿入されたとき、これを搬送しながら、その画像を取り込むとともに、この画像に基づいて前記海苔5に縦穴があるかどうかを検査する。そして、縦穴がなければ、これを良品ストック部6に入れ、また縦穴があれば、これを不良品ストック部7に入れる。
搬送部1は、複数の駆動プーリ8と、これらの各駆動プーリ8に対応する複数の従動プーリ9と、これら駆動プーリ8と従動プーリ9との間に、各々張設されるベルト10とを備えており、導入端側から海苔5が挿入されたとき、これを搬送面に沿って矢印A方向に搬送する。この場合、第2図に示す如く搬送部1の導入端側にある各プーリ8、9のうち、撮像部2側にある下側の従動プーリ9は、その中央部側が太く形成され、またこれに対応して上側の従動プーリ9は中央部側が細く形成されている。これによって、海苔5に縦穴があるとき、この縦穴の左右縁がずらされて撮像部2でこの縦穴を容易に検出することができる。
また撮像部2は、前記搬送部1によつて搬送されている海苔5を下から照明するランプ11と、このランプ11によつて照明されている海苔5を上から撮像するラインセンサ12とを備えており、海苔5を撮像して得られたシリアル画像を処理部3に供給する。」(第2頁右上欄第4行から左下欄第12行)

4-1-4.甲第4号証(特開昭59-102487号公報)
甲第4号証には、「海苔の品質連続選別装置」に関する発明が記載されており、以下の記載がある。
(甲4a)【特許請求の範囲】に「(1)・・・平坦な状態に広げられて移送されてくる海苔に光を照射し、その反射光より海苔の品質を測定する手段と、を有する海苔の品質連続選別装置。
(2)上記品質測定手段は、海苔に連続して光を照射する光照射装置と、この光照射装置で照射された部分の海苔の色調を測定する色差計と、上記照射光の海苔からの反射光を受けて海苔の光沢を測定する光沢計とからなる特許請求の範囲第1項記載の海苔の品質連続選別装置。」(第1頁左下欄第5行から右下欄第7行)
(甲4b)「架台1の上方であつて、平面支持板10の上部のほぼ中央には測定箱13が設けられ、この測定箱13の下部をネツト状ベルト5上に載置されて移送されてくる海苔14の品質を測定する手段として、海苔14に光線を照射する光照射装置15と、この光を照射された海苔の色調、例えば黒味や緑味を測定する色差計16と、海苔からの反射光を受けて海苔の光沢を測定する光沢計17とが測定箱13の内部に配置されている。」(第2頁右下欄第5?14行)
(甲4c)「このようにして、品質が測定された海苔は、更にネット状ベルト5によつて移送され、移送路の下流側から排出される。そして、このように排出された海苔は、例えば、上記処理装置に連結された図示せぬ分類装置に供給され、測定された品質に基づいて選別され、例えば同一品質毎に所定の箇所に積み重ねられる。」(第4頁右下欄第1?8行)

4-1-5.甲第5号証(特開昭60-180567号公報)
甲第5号証には、「海苔の色艶連続判定仕分け装置」に関する発明が記載されており、以下の記載がある。
(甲5a)【特許請求の範囲】に「1. 海苔を平坦に広げた状態で移送する移送路の上流側に設置される色艶判定装置と下流側に設置される仕分け装置との組み合わせからなり、前記色艶判定装置は、移送されてくる海苔の表面に光を照射するとともにその反射光により海苔の色艶を判定する構造をなし、前記仕分け装置は、・・・を備えた構造をなすことを特徴とする海苔の色艶連続判定仕分け装置。
2. 色艶判定装置は、海苔を吸着保持した状態で移送する搬送コンベアと、移送されてくる海苔に連続して光を照射する光照射部と、照射された部分の海苔の色調を測定する色差計と、その反射光により海苔の光沢を測定する光沢計とからなる特許請求の範囲第1項記載の装置。」(第1頁左下欄第5行から右下欄第5行)
(甲5b)「第1図は本発明にかかる海苔の色艶連続判定仕分け装置の一実施例を示す概念図であり、第2図はその説明図である。本発明にかかる海苔の色艶連続判定仕分け装置は、海苔を平坦に広げた状態で移送する移送路の上流側に設置される色艶判定装置1と下流側に設置される仕分け装置10との組み合わせからなる。
ここで色艶判定装置1は、移送されてくる海苔の表面に光を照射し、その反射光により海苔の色艶を判定する構造をなす。この色艶判定装置1は、海苔2を吸着保持して移送する搬送コンベア3と、移送されてくる海苔2に連続して光を照射する光照射部4と、照射された部分の海苔の色調を測定する色差計5と、その反射光により海苔の光沢を測定する光沢計6とを備えている。・・・また、この搬送コンベア3の上方には、測定箱9が設置され、その内部に前記光照射部4、色差計5、および光沢計6が収容される。」(第2頁左下欄第15行から右下欄第19行)

4-1-6.甲第6号証(特開昭60-180569号公報)
甲第6号証には、「海苔の品質連続判定仕分け装置」に関する発明が記載されており、以下の記載がある。
(甲6a)【特許請求の範囲】に「1. 海苔を平坦に広げた状態で移送する移送路の上流側に設置される出来判定装置並びに色艶判定装置と下流側に設置される仕分け装置との組み合わせからなり、前記出来判定装置は、移送されてくる海苔の表面に光を照射するとともにその透過光により海苔の出来を判定する構造、また前記色艶判定装置は、移送されてくる海苔の表面に光を照射するとともにその反射光により海苔の色艶を判定する構造をなし、前記仕分け装置は、・・・を備えた構造をなすことを特徴とする海苔の品質連続判定仕分け装置。
2. 出来判定装置は、海苔を吸着保持した状態で移送する搬送コンベアと、移送されてくる海苔に連続して光を照射する光源と、海苔を介して該光源と対向し透過光により海苔の縦横寸法や穴の形成状態を測定する第1の受光部と、海苔の欠けを測定する第2の受光部、海苔の裂けを強制的に開かせる圧縮ガスの噴出部、およびそれにより強制的に開かせられた裂けを測定する第3の受光部とからなる特許請求の範囲第1項記載の装置。
3. 色艶判定装置は、海苔を吸着保持した状態で移送する搬送コンベアと、移送されてくる海苔に連続して光を照射する光照射部と、照射された部分の海苔の色調を測定する色差計と、その反射光により海苔の光沢を測定する光沢計とからなる特許請求の範囲第1項記載の装置。」(第1頁左下欄第5行から右下欄第19行)
(甲6b)「このような構成の海苔の品質連続判定仕分け装置の動作は次の如くである。仕分けされるべき海苔2は、まず出来判定装置1の搬送コンベア3aで移送され、各種測定装置がセットされている部分に達したときには平坦に広げられた状態となる。ここで光源4によって海苔の下面の所定長さ全幅に光(例えば660μm波長の単色光)が照射される。そして第1の受光部6で海苔2の縦横寸法や穴の状態が測定され、第2の受光部7で海苔の欠けが測定され、更に第3の受光部9で海苔の裂け(破れ)が測定される。」(第5頁左上欄第2?13行)
(甲6c)「次に色艶判定装置では、搬送コンベア21で移送される海苔は、測定箱27の少なくとも真下に達したときには平坦な状態となる。ここで光照射部22によって海苔の表面のほぼ一定面積に光が照射され、その色艶が色差計23で、また光沢が光沢計24でそれぞれ測定される。測定結果については、例えば海苔の端から端まで測定してマイクロコンピュータ等によって色調と光沢の平均値を算出し、その結果に基づき等級分けを行うように処理させることも可能である。」(第5頁左下欄第14行から右下欄第4行)

4-1-7.甲第7号証(特開昭63-295946号公報)
甲第7号証には、「パルプシート材の夾雑物検出方法」に関する発明が記載されており、以下の記載がある。
(甲7a)【特許請求の範囲】に「パルプシート材の夾雑物検出に当り、パルプ製造工程のパルプシート上部に投光器及び光電素子型カメラを取付け、移動するパルプシート表面に前記投光器から光を照射し、その反射光を光電素子型カメラで受光して、連続的にパルプシート中の夾雑物を検出することを特徴とするパルプシート材の夾雑物検出方法。」(第1頁左下欄第5?11行)
(甲7b)「実施例」として「第1図は、本発明の一実施例を示したものであるが、つぎに図示例に基づいて本発明を説明する。ドラム型フィルター1外周面にパルプシート2が載置されて走行しており、該ドラム型フィルター1の上部に、パルプシート2表面から185mm離れた位置に投光器3及び光電素子型カメラ4が取付けられ、ドラム型フィルター1上を走行するパルプシート2表面に、前記投光器3から光を照射し、その反射光を光電素子型カメラ4で受光する。
光電素子型カメラ4で受光された光量は、電流又は電圧等の電気信号に変換され、該電気信号5が検出信号処理回路6に入力される。
前記検出信号処理回路6には、検出信号処理基板が内蔵されており、電気信号5を所定の演算処理方法に基づき演算する。茲に演算によって求められる結果は、単位時間当りの夾雑物の個数及び大きさは勿論であるが、ドラム型フィルター1に取付けられているパルスモーター又は光電スイッチ等(図示省略)の信号を検出信号処理回路6に入力することによって、パルプシート材の移動速度が演算され、パルプシート材の単位表面積当り(例えば1m^(2)当り)の夾雑物の個数及び大きさが瞬時に演算できる。」(第3頁右下欄第17行から第4頁右上欄第4行)

4-1-8.甲第8号証(特開昭62-200246号公報)
甲第8号証には、「瓦製品の表面検査方法および搬送検査装置」に関する発明が記載されており、以下の記載がある。
(甲8a)【特許請求の範囲】に「(1) 搬送コンベア上を表面上向き水平方向に定間隔で搬送される瓦製品を進行方向後方より該瓦製品に平行に且つ、搬送コンベアより仰角10度?80度の範囲に光源及びテレビ・カメラを設置せしめ、該テレビ・カメラにより当該瓦製品を撮影してその画像をコンピューターにより画像処理せしめ、基準との比較により良否を判定し、不良品については信号を出し、後続設置せしめた不良品取出し装置によって取出さしめる様にしたことを特徴とする瓦製品の表面検査方法。」(第1頁左下欄第5?15行)
(甲8b)「要するに本発明は、搬送コンベア1上を表面上向き水平方向に定間隔で搬送される瓦製品2を進行方向後方より該瓦製品2に平行に且つ、搬送コンベア1上より仰角10度?80度の範囲に光源6、6a及びテレビ・カメラ7、7aを設置せしめ、該テレビ・カメラ7、7aにより当該瓦2を撮影してその画像をコンピューターにより画像処理せしめ基準との比較により良否を判定し、不良品については信号を出さしめ、後続して設置せしめた不良品取出し装置8によって取出しを行わしめる様にしたので、検査する瓦製品2の表面は釉薬面であり、該釉薬はその性質上焼成後はガラス質となるため非常に強い正反射の反射率を有し、正反射の存在する方向からの光源により撮影された画像は、画像処理のデーターとはならず、又瓦製品2の釉薬面は複雑な曲面形状を有するため、テレビ・カメラ7、7aによる撮影も困難性を有すると雖も、本発明にあっては瓦製品2の進行方向後方より該瓦製品2に平行に且つ、搬送コンベア1上より仰角10度?80度の範囲にテレビ・カメラ7、7aを設置せしめたことにより、焼成後がガラス質となる釉薬処理が施された瓦表面の正反射による反射率及び表面の複雑な曲面形状を有するものであっても、容易にその撮影をなさしめ光学的な検査により判別を可能としたのである。」(第3頁左下欄第9行から右下欄第14行)

4-1-9.甲第9号証(特開昭62-212553号公報)
甲第9号証には、「乾海苔選別機」に関する発明が記載されており、以下の記載がある。
(甲9a)「産業上の利用分野」として「本発明は、付着した異物を検知するための異物検知装置を備えた乾海苔選別機に関する。」(第1頁左下欄末行から右下欄第1行)
(甲9b)「問題点を解決するための手段及び作用」として、「本発明は、以上の目的を達成するために、不良品を乾海苔のパスライン外へ排出するエジェクト装置を備え、該エジェクト装置より上流側パスラインの上下を挟む位置に一対の検知ロールを配置し、該一対の検知ロールの一方をパスラインに対して上下方向へ変位可能とすると共に該検知ロールの変位を検出する検出系を設け、該検出系からの信号により、前記エジェクト装置を駆動することを特徴とする。
上下方向に変位可能な検知ロールは、走行する乾海苔の厚さに応じて動作し、異物が付着していることを示す変位量に達したときに検出系がこれを捉え、同時に検出系の信号によってエジェクト装置を作動し、異物が付着している乾海苔をパスライン外へ排出する。」(第2頁左上欄第12行から右上欄第6行)

4-1-10.甲第10号証(特開昭63-288593号公報)
甲第10号証には、「搬送物体撮影装置」に関する発明が記載されており、以下の記載がある。
(甲10a)「産業上の利用分野」として「本発明は、物体の形状計測や特徴量抽出などのために使用されるもので、詳しくは、物体を載置して一定の搬送速度で搬送するコンベア、そのコンベア上の物体を撮影するテレビカメラ、及び、そのテレビカメラの画像を静止画像に変える画像変換装置を設けた搬送物体撮影装置に関する。」(第1頁右下欄第14?20行)
(甲10b)「発明が解決しようとする問題点」として「本発明の目的は、コンベアに載置された物体の下面を、物体を上下反転させる装置を無くして撮影できるようにし、物体が定形品でも不定形品でも、従来技術よりもはるかに簡単かつ安価な設備で済むようにする点にある。」(第2頁左上欄第13?17行)
(甲10c)「問題点を解決するための手段」として、「本発明の特徴構成は、コンベアに載置されて一定の搬送速度Sで搬送される物体を撮影するテレビカメラを、前記コンベアの隙間の下方にその隙間から物体の下面を撮すように配置し、前記コンベアにより搬送されてきた物体の先端が前記隙間に到達した時点と、その物体の後端が前記隙間に対して通過完了した時点を検出するタイミング検出用センサーを設け、前記テレビカメラからの画像を静止画像に変える画像変換装置に、前記タイミング検出用センサーからの情報に基いて前記隙間への物体到達時点から前記隙間に対する通過完了時点にわたって、前記テレビカメラからの画像により物体搬送方向において設定巾lの静止スリット画像を設定された時間間隔t、つまり、前記搬送速度Sと前記設定巾lに対する関係が次式
t = l/S
を満たす時間間隔tで作成するスリット画像作成手段、並びに、
前記スリット画像作成手段からの複数の静止スリット画像を記憶して、記憶した静止スリット画像により物体夫々の全体静止画像を合成する画像合成手段を設けたことにあり、その作用効果は次の通りである。」(第2頁左上欄第19行から左下欄第2行)
(甲10d)「第3撮影位置の搬送下手側においてローラコンベア(2)に、第2図及び第3図に示すようにコークス搬送に支障の無い適当巾の隙間(32)を形成し、その隙間(32)からコークスの下面を、反射鏡(39)を介して撮すための第4テレビカメラ(4d)と第4照明具(5d)を隙間(32)の下方に配置し、コークスブリーズが第4テレビカメラ(4d)のレンズ上に落下しないように構成してある。」(第3頁左上欄第12?20行)

4-1-11.甲第17号証(特開昭63-52862号公報)
甲第17号証には、「干し海苔の品質判定方法」に関する発明が記載されており、以下の記載がある。
(甲17a)「実施例」として「まず、光沢の判定を行うには、定型海苔の表面を多数の測定区画、例えば縦18、横15の270区画に区分し、第1図に示すように、白色光源lからの光をハーフミラー2を透過させた後海苔3の表面に垂直に放射させ、海苔3の表面からの正反射光をハーフミラー2によって反射させ、受光素子4に入射させて各測定区画の正反射率を連続的に測定する。
受光素子4に入射させた光は電気信号に変換された後、一度マイクロコンピュータ5の記憶装置5aに記憶され、各測定区画の測定が終了した時点で分布演算装置5bによって正反射率分布が求められ、更に形状・中央値演算装置5cによって分布の形と中央値の反射率とが算出される。
・・・・・
そして、算出された正反射率分布の形及び中央値の反射率と、予め何人かのパネラ-の判定結果に基づいて定めた正反射率分布の形及び中央値の反射率に関するある評価基準の検量線とを判定装置5dによって比較判定して光沢の判定を行う。
・・・・・
ついで、色味の判定を行うには、定型海苔の表面を多数の測定区画、例えば縦18、横15の270区画に区分し、第3図に示すように、白色光源1からの光を海苔3の表面に放射させ、海苔3の表面からの拡散反射光を630nmの干渉フィルター6を通過させた後受光素子4に入射させて各測定区画の拡散反射率を連続的に測定する。
・・・・・
しかして、受光素子4に入射された光は電気信号に変換された後、一度マイクロコンピュータ5の記憶装置5aに記憶され、各測定区画の測定が終了した時点で分布演算装置5bによって拡散反射率分布が求められ、更に形状・中央値演算装置5cによって分布の形と中央値の反射率とが算出される。
・・・・・
算出された拡散反射率分布の形及び中央値の反射率と、予め何人かのパネラ-の測定結果に基づいて定めた拡散反射率分布の形及び中央値の反射率に関するある評価基準の検量線とを、判定装置5dによって比較判定して色味の判定を行う。
ここで、色味、すなわち拡散反射率分布と海苔の品質との間には、次のような相関関係があった。
・・・・・
最後に、光沢の判定と色味の判定とに基づいて品質の判定が行われる。」(第2頁右下欄第8行から第4頁左上欄第10行)

4-1-12.甲第18号証(特開昭63-94950号公報)
甲第18号証には、「焼海苔製造装置」に関する発明が記載されており、以下の記載がある。
(甲18a)「特許請求の範囲」に「(1)海苔を移送装置により加熱装置内を通過させることによって焙焼する焼海苔製造装置において、海苔が前記加熱装置によって焙焼された後の海苔の光合成色素量を非破壊的に検出する検出装置と、前記検出装置による検出値から算出した光合成色素の減少率が所定範囲に入るように前記加熱装置の加熱条件および前記移送装置の移送条件を制御する焙焼制御装置とを備えたことを特徴とする焼海苔製造装置。
(2)海苔の光合成色素はクロロフィルまたはカロテノイドである特許請求の範囲第1項記載の焼海苔製造装置。」(第1頁左下欄第5?16行)
(甲18b)「本実験ではハロゲンランプを光源として乾海苔および焼海苔に光を当て、透過した光をフィルターおよびハーフミラ-を介して分光して、波長820nmと波長675nmの透過光を測定し、標準値と比較してクロロフィル量を求めた。」(第3頁左上欄第6?10行)
(甲18c)第1図には、2つの移送コンベア5の間隙の上方に検出装置1を配置した焼海苔製造装置が示されている。

4-2.本件発明1について
4-2-1.甲第4?8,17号証記載の発明を基本引例とした対比・判断
請求人は、甲第4?8,17号証グループの技術(反射検出方式)に、甲第1?3,18号証グループの技術(コンベア間検出方式)を組み合わせることにより、本件発明は容易に考えだすことができたものであると主張しているので、先ず、この点について検討する。

甲第4?6号証には、上記4-1-4.?4-1-6.の摘記事項から、それぞれ「海苔を移送する搬送コンベアと、該搬送コンベア上の海苔に光を照射する光源と、該光源と同じ方向に配置され、海苔からの反射光により海苔の色調を測定する色差計及び海苔の光沢を測定する光沢計からなる色艶判定装置と、該色艶判定装置の出力により海苔を仕分ける仕分け装置とを備える海苔の品質判定仕分け装置」(以下、「甲第4?6号証記載の発明」という。)が、記載されていると認められる。また、甲第17号証にも、上記4-1-11.の摘記事項から、搬送手段は記載されていないが、同様に、海苔に光を照射する光源と、該光源と同じ方向に配置され、海苔からの反射光により海苔の光沢の判定と色味の判定に基づいて品質の判定を行う装置が記載されている。
本件発明1とこの発明とを対比する。
甲第4?6号証記載の発明の「海苔を移送する搬送コンベア」、「光を照射する光源」及び「仕分け装置」は、それぞれ本件発明1の「海苔搬送用ベルトコンベア」、「光源」及び「選別手段」に相当するものである。
そして、海苔の色調を測定する色差計及び海苔の光沢を測定する光沢計が受光手段を備えていることは明らかであり、また、色差計及び光沢計からなる色艶判定装置が該受光手段の光の変化を検出することは明らかであるから、甲第4?6号証記載の発明の「該光源と同じ方向に配置され、海苔からの反射光により海苔の色調を測定する色差計及び海苔の光沢を測定する光沢計からなる色艶判定装置」は、本件発明1の「前記搬送面に対し前記光源と同じ方向に設けられ前記光源より照射された光の反射光を受光するラインイメージセンサ」、「前記ラインイメージセンサに入光する光量の変化を検出する手段」及び「該光量が設定値以上になったときに夾雑物混入信号を、夾雑物除去を行う選別手段に出力する手段」と、搬送面に対し光源と同じ方向に設けられ該光源より照射された光の反射光を受光する受光手段と、前記受光手段に入光する光の変化を検出する手段と、該検出する手段の出力により選別信号を選別手段に出力する手段という点で、共通するものである。
さらに、甲第4?6号証記載の発明の「海苔の品質判定仕分け装置」は、本件発明1の「乾海苔の夾雑物検出装置」と、海苔の品質判定装置という点で共通するものである。
してみると、本件発明1と甲第4?6号証記載の発明とは、「海苔搬送用ベルトコンベアと、海苔搬送面の一方に配置された光源と、前記搬送面に対し前記光源と同じ方向に設けられ前記光源より照射された光の反射光を受光する受光手段と、前記受光手段に入光する光の変化を検出する手段と、該検出する手段の出力により選別信号を選別手段に出力する手段とを備えた海苔の品質判定装置。」で一致するが、次の点で相違すると認められる。
(相違点1)
本件発明1が、海苔の搬送方向に所定の間隔を隔てて2つの海苔搬送用ベルトコンベアを設け、これらの海苔搬送用ベルトコンベアの間隙を照射するように光源を配置しているのに対して、甲第4?6号証記載の発明では、搬送コンベア上の海苔を照射するように光源を配置している点。
(相違点2)
本件発明1が、反射光を受光するラインイメージセンサに入光する光量の変化を検出して、該光量が所定値以上になったときに夾雑物混入信号を出力しているのに対して、甲第4?6号証記載の発明では、海苔の色調を測定する色差計及び海苔の光沢を測定する光沢計からなる色艶判定装置の出力から仕分け信号を出力している点。
(相違点3)
本件発明1が、乾海苔の夾雑物検出装置であるのに対して、甲第4?6号証記載の発明が、海苔の色調及び光沢から品質を判定する装置である点。

これらの相違点について検討する。
(相違点1について)
甲第1?3号証には、それぞれ、海苔の出来判定装置、すなわち、海苔の孔、欠け、破れ、割れ等の検出装置において、海苔の搬送方向に間隔を隔てて2つの搬送コンベアを設けるとともに、これらの搬送コンベアの間隙を照射するように海苔搬送面の下方に光源を設け、海苔を透過した光を、搬送面の上方に設けた受光部(カメラ、ラインセンサ)で検出するように構成することが記載されている。同様に、甲第18号証にも、海苔の測定装置において、2つの搬送コンベアの間隙を光源により照射し、海苔の透過光を反対側に設けた検出装置により検出することが示唆されている。
しかし、甲第1?3、18号証記載の発明は、海苔の搬送面の一方に光源を配置し、海苔を透過した光を、光源とは反対側に設けた受光部で検出するものであるから、光源からの光を通過させるためには、海苔の搬送方向に間隔を隔てて2つの搬送コンベアを設けるとともに、これらの搬送コンベアの間隙を照射することが必然の事項である。これに対して、甲第4?6号証記載の発明は、搬送面に対し光源と同じ方向に受光部を設け、光源より照射された光の反射光を検出するものであるから、搬送コンベアの間隙を光源により照射する必要性はなく、実際、甲第4?6号証に記載されているように、搬送コンベア上の海苔に光源からの光を照射しているものである。そして、甲第1?3、18号証にも、海苔の搬送面の一方に光源を配置し、搬送面に対し光源と同じ方向に受光部を設け、光源より照射された光の反射光を検出する装置において、海苔の搬送方向に所定の間隔を隔てて2つの海苔搬送用ベルトコンベアを設け、これらの海苔搬送用ベルトコンベアの間隙を照射するように光源を配置することを示唆する記載はない。
してみると、甲第1?3、18号証記載の上記技術を甲第4?6号証記載の発明に組み合わせる動機付けは無いと言うべきである。

(ア)請求人は、甲第10号証には、このような反射検出方式とコンベア間での検出位置との組み合わせ結合を示唆する技術が開示されている、と主張している。
甲第10号証には、上記4-1-10.の摘記事項から、搬送物体撮影装置において、物体の下面を撮影するために、コンベアの隙間の下方に照明具及びテレビカメラを配置して、隙間から静止スリット画像を撮影し、複数の静止スリット画像から全体静止画像を合成することが記載されていると認められる。
しかし、甲第4?6号証記載の発明は、海苔の搬送面の上方に光源を配置し、該光源と同じ上方に海苔からの反射光により海苔の色調及び光沢を測定する色差計及び光沢計を配置するものであり、海苔の下面の撮影を必要とするものではないから、甲第10号証を考慮しても、海苔を透過した光を検出する甲第1?3、18号証記載の技術を組み合わせる動機付けは無いと言うべきである
また、甲第10号証記載の発明自体と、甲第4?6号証記載の発明との組み合わせを検討しても、甲第4?6号証記載の発明は、海苔の搬送面の上方に光源を配置し、該光源と同じ上方に海苔からの反射光により海苔の色調及び光沢を測定する色差計及び光沢計を配置するものであって、海苔の下面から海苔の色調や光沢を測定する必要性はないから、甲第10号証記載の発明自体を甲第4?6号証記載の発明に組み合わせる動機付けも無いと言うべきである。
(イ)請求人は、甲第6号証の第6頁右下欄の16行?20行に、「色調や光沢品質の色艶判定装置20(甲第4?6,17号証の反射検出方式)と、穴や破れ品質の出来判定装置1(甲第1?3,18号証のコンベア間検出方式)とが、一体となった構成であってもよい」とも記載されており、両者の組み合わせが示唆されていると主張している。
しかし、甲第6号証の刊行物において、色艶判定装置20と出来判定装置1とを一体とするとしても、どのように一体とするかは明らかでない。また、仮に、同一箇所に色艶判定装置20と出来判定装置1とを配置すると、両者の光源からの光が錯綜し、正常な検出が行えないことから、そのような配置はとり得るものではない。そして、甲第6号証の上記記載は、別の装置として構成されている色艶判定装置20と出来判定装置1とを、単に、一つの装置上に色艶判定手段と出来判定手段とを連続して配置するとも解されるから、両者の組み合わせが示唆されているとは言えない。
(ウ)請求人は、「甲第18号証は色素計に関するが、この甲第18号証では、同種の色差計や光沢計で採用された甲第4?6,17号証の反射検出方式ではなく、甲第1?3号証と同様のコンベア間検出方式が採用されている。つまり、色素,色差,光沢等の品質に関して、反射検出方式とコンベア間検出方式とが、適宜採用されている状況にある。」と主張している。
しかし、甲第18号証記載の発明は、透過光を利用しているからコンベア間検出方式を採用しているのであって、反射検出方式を採用しているものではないから、甲第18号証から、反射検出方式とコンベア間検出方式との組み合わせが示唆されているとは言えない。
(エ)請求人は、甲第22号証が反射検出方式とコンベア間検出方式の組み合わせを示唆するとも主張しているが、甲第22号証は、本件特許の出願日より後の、平成元年8月18日に公知となった刊行物であるから、本件発明1が容易であることの証拠として用いることはできない。

(相違点2及び相違点3について)
本件発明1が、海苔の夾雑物検出装置であり、海苔に付着する貝殻、虫、ビニル類、木屑、紙等の異物を検出するものであるのに対して、甲第4?6号証記載の発明は、海苔の色調や光沢を色差計や光沢計により検出するものである。そして、海苔の夾雑物と海苔の色調や光沢とは、海苔の品質という上位概念では共通するものの、海苔の夾雑物の検出と海苔の色調や光沢の検出とは明らかに相違するものであって、その検出手段も相違点2にみられるように、夾雑物の検出が、ラインイメージセンサに入光する光量の変化を検出して、該光量が所定値以上になったときに夾雑物混入信号を出力しているのに対して、色調や光沢の検出は色差計や光沢計を用いるものである。したがって、甲第4?6号証記載の発明からは、相違点2や相違点3の構成が容易想到ということはできない。

次に、甲第7号証には、上記4-1-7.の摘記事項から、「ドラム型フィルター1の外周面にパルプシート2を載置して走行させ、該ドラム型フィルター1の上部で、パルプシート2から離れた位置に投光器3及び光電素子型カメラ4を取り付け、ドラム型フィルター1上を走行するパルプシート2表面に、前記投光器3から光を照射し、その反射光を光電素子型カメラ4で受光し、光量を表す電気信号を検出信号処理回路6で処理することにより連続的にパルプシート材の夾雑物を検出する装置。」が記載されていると認められる。
また、甲第8号証には、上記4-1-8.の摘記事項から、「搬送コンベア上を表面上向き水平方向に定間隔で搬送される瓦製品を進行方向後方より該瓦製品に平行に且つ、搬送コンベアより仰角10度?80度の範囲に光源及びテレビ・カメラを設置せしめ、該テレビ・カメラにより当該瓦製品を撮影してその画像をコンピューターにより画像処理せしめ、基準との比較により良否を判定し、不良品については信号を出し、後続設置せしめた不良品取出し装置によって取出さしめる様にした瓦製品の表面検査装置。」が記載されていると認められる。
しかし、甲第7号証記載の発明は、「パルプシート材の夾雑物を検出する装置」であり、また、甲第8号証記載の発明は、瓦製品の表面欠陥であるはりつき、ピンホール、施釉不良、釉はげの不良を検査する「瓦製品の表面検査装置」であって、本件発明1の「乾海苔の夾雑物検出装置」とは、対象が異なるものである。
したがって、甲第7号証又は甲第8号証記載の発明を基本引例として、本件発明1が容易想到とすることはできない。

なお、甲第10号証にも、「搬送物体撮影装置」、実施例としては、コークスの撮影装置が記載されているのであって、「海苔の夾雑物検出装置」は示されてはいない。

4-2-2.甲第9号証記載の発明を基本引例とした対比・判断
請求人が無効理由その1の証拠として提出したものの内、甲第9号証のみが「乾海苔に付着する異物を検知するための検知装置」を開示しているので、次に、甲第9号証に基づいて本件発明1が容易想到であるかを検討する。

甲第9号証には、上記4-1-9.の摘記事項から、「乾海苔のパスラインの上下を挟む位置に一対の検知ロールを配置し、該一対の検知ロールの一方をパスラインに対して変位可能とすると共に該検知ロールの変位を検出する検出系を設け、該検出系からの信号により、エジェクト装置を駆動するようにした乾海苔の異物検知装置。」(以下、「甲第9号証記載の発明」という。)が記載されているものと認められる。
本件発明1と甲第9号証記載の発明とを対比すると、甲第9号証記載の発明の検知ロールを含む検知系と、本件発明1の光源やラインイメージセンサなどからなる手段とは、乾海苔の夾雑物を検知し夾雑物混入信号を、夾雑物除去を行う選別手段に出力する手段という点で共通するものである。
したがって、本件発明1と甲第9号証記載の発明とは、「海苔搬送用ベルトコンベアと、乾海苔の夾雑物を検知し夾雑物混入信号を、夾雑物除去を行う選別手段に出力する手段とを備えた乾海苔の夾雑物検出装置。」という点で一致し、次の点で相違するものである。
(相違点)
乾海苔の夾雑物を検知し夾雑物混入信号を選別手段に出力する手段が、本件発明1では、海苔搬送用ベルトコンベアの間隙を照射するように海苔搬送面の一方に配置された光源と、前記搬送面に対し前記光源と同じ方向に設けられ前記光源より照射された光の反射光を受光するラインイメージセンサと、前記ラインイメージセンサに入光する光量の変化を検出する手段と、該光量が設定値以上になったときに夾雑物混入信号を出力する手段とを備えたものであるのに対して、甲第9号証記載の発明では、検知ロールを含む検知系である点。

この相違点について検討する。
甲第7号証には、上記のように、ドラム型フィルター1の外周面にパルプシート2を載置して走行させ、該ドラム型フィルター1の上部で、パルプシート2から離れた位置に投光器3及び光電素子型カメラ4を取り付け、ドラム型フィルター1上を走行するパルプシート2表面に、前記投光器3から光を照射し、その反射光を光電素子型カメラ4で受光し、光量を表す電気信号を検出信号処理回路6で処理することにより連続的にパルプシート材の夾雑物を検出する装置が記載されており、パルプシートと乾海苔とで対象物は異なるが、シート材の夾雑物の検出という点で共通するものである。
しかし、本件発明1は、2つの海苔搬送用ベルトコンベアの間隙を照射するように海苔搬送面の一方に配置された光源と、前記搬送面に対し前記光源と同じ方向に設けられ前記光源より照射された光の反射光を受光するラインイメージセンサとを備えるものであって、この構成の技術的意味は、特許明細書の「発明の効果」欄に記載された「乾海苔の検出位置を、2つの海苔搬送ベルトコンベアの間隙としたことにより、光源により照射された光は乾海苔以外のベルト等によって反射されることがないため、ラインイメージセンサで観察した映像にはノイズが乗らず、夾雑物の検出を高精度に行うことができる。」という点にあるものと認められる。
甲第7号証記載の発明は、ドラム型フィルター1の外周面にパルプシート2を載置して走行させ、・・・ドラム型フィルター1上を走行するパルプシート2表面に、前記投光器3から光を照射し、その反射光を光電素子型カメラ4で受光するものであるから、甲第7号証には、搬送コンベアやドラム型フィルター等の搬送手段上ではない位置で対象物を照射するように光源を配置することにより、搬送手段からの反射光によるノイズを除去する構成、すなわち、本件発明1の、2つの海苔搬送用ベルトコンベアの間隙を照射するように光源を配置するという構成は記載も示唆もされていない。また、この構成は、甲第9号証にも、請求人が提出した他の証拠方法にも、記載も示唆もされていない。
したがって、請求人の提示した甲第9号証や甲第7号証や、その他の証拠方法からは、上記相違点の構成が容易とすることはできない。

そして、本件発明1は、特許明細書の「発明の効果」欄に記載された「乾海苔の検出位置を、2つの海苔搬送ベルトコンベアの間隙としたことにより、光源により照射された光は乾海苔以外のベルト等によって反射されることがないため、ラインイメージセンサで観察した映像にはノイズが乗らず、夾雑物の検出を高精度に行うことができる。」という、甲各号証記載の発明からは予測されない作用効果を奏するものと認められる。

4-2-3.むすび
以上のとおり、請求人が無効理由その1の証拠方法として提示した甲第1?10,17,18号証には、本件発明1の、2つの海苔搬送用ベルトコンベアの間隙を照射するように海苔搬送面の一方に配置された光源と、前記搬送面に対し前記光源と同じ方向に設けられ前記光源より照射された光の反射光を受光するラインイメージセンサとを備えることにより、光源により照射された光は乾海苔以外のベルト等によって反射されることがないため、ラインイメージセンサで観察した映像にはノイズが乗らず、夾雑物の検出を高精度に行うことができるという構成及び効果を示唆するものはないから、本件発明1が、甲第1?10,17,18号証に記載された発明から当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。

4-3.本件発明2について
本件発明2は、本件発明1に対して、「ラインイメージセンサを検出位置より60°±30°に設置し、光源を前記ラインイメージセンサと同じ方向の45°±30°に光軸が位置するように設置した」との構成を付加するものであるが、本件発明2は、本件発明1の構成を前提とするものであって、上記4-2.で述べたように、本件発明1は甲第1?10,17,18号証に記載された発明から容易想到といえるものではないから、本件発明2も、甲第1?10,17,18号証に記載された発明から容易想到とすることはできない。

5.無効理由その2について
(1)請求人は、無効理由その2に関して、口頭審理陳述要領書で、次のように主張している。
「本件特許発明は、発明の効果欄に記載された効果を発揮しないので、・・(中略)・・同法第36条第4項第1号の規定に違反し、特許を受けることができないものである。
本件特許発明の主要効果は、『乾海苔の検出位置を、2つのベルトコンベアの間隙としたことにより、光源からの照射光が乾海苔以外のベルト等によって反射されることがないため、ラインイメージセンサによる映像にノイズが乗らないこと』、にある。
これに対し、本件特許発明の構成要件A?E,G,Hは、この効果発揮のための必須要件を具備していない。発明の詳細な説明の記載不備その他に起因し、請求項記載の構成要件のみにて、効果を発揮するとは認められない(実施可能要件違反)。」
(口頭審理陳述要領書第7頁第2?13行)

請求人は、特許法第36条第4項第1号違反と主張しているが、実施可能要件違反、及び発明の詳細な説明の記載不備とも記載し、また、現行特許法の第36条第4項第1号違反が発明の詳細な説明の記載不備を規定するものであるから、請求人の主張は、本件特許について適用される平成2年改正前の特許法第36条第3項違反(発明の詳細な説明の記載不備)を主張していると解して、まず検討する。
そして、平成2年改正前の特許法第36条第3項は、発明の詳細な説明には、当業者が容易にその実施をすることができる程度に、その発明の目的、構成及び効果を記載しなければならない旨、規定している。

本件発明1及び本件発明2は、上記「1.手続の経緯・本件発明」に記載したとおりのものである。
そして、本件明細書の「発明の詳細な説明」の欄の「実施例」の説明、及び、実施例を示す第1図には、発明の実施例として、乾海苔Aの搬送方向に間隙を隔てて2つの海苔搬送用ベルトコンベア1及び2を設け、これらの海苔搬送用ベルトコンベア1と2の間隙を照射するように海苔搬送面の上方に光源8を配置し、前記搬送面に対し前記光源8と同じ方向である上方に前記光源8より照射された光の反射光を受光するラインイメージセンサ9を設けると共に、選別手段としてのシャッター10を備えた乾海苔の夾雑物検出装置が記載されている。また、発明の詳細な説明に「本実施例では、乾海苔の上側の表面に付着した異物検出を行っているが、下側にも光源及びラインイメージセンサを設置して、両面の異物検出を行うことができる。」と記載されており、光源8及びラインイメージセンサ9を搬送面の下側に配置した具体的な図面は無いが、下側に配置する際には、第1図の夾雑物検出装置において、海苔搬送用ベルトコンベア1と2の間隙を照射するように海苔搬送面の下方に光源8を配置し、前記搬送面に対し下方に前記光源8より照射された光の反射光を受光するラインイメージセンサ9を設けることは当業者が容易に実施できる事項と認められる。
そして、本件明細書には、「発明が解決しようとする課題」として、「本発明は、このような従来の問題点に鑑みてなされたものであり、誤動作の要因となる可動部を有しない検出手段を設けて正確な異物検出を行うことを目的とする。」と記載され、また、「発明の効果」として、「以上に説明したように、本発明においては、乾海苔を移動させながら乾海苔表面の反射光の変化をラインイメージセンサで検出することにより、異物の付いた海苔を検出することとしている。このように、乾海苔に非接触で異物を検出することができるため、誤動作を少なくすることができ、また、小さな異物まで検出することができるため、乾海苔製品の品質向上、歩留り向上を図ることができる。また、作業者による選別労力を本発明の機械化に置き換えることにより、人員合理化を図ることができる。さらに、乾海苔の検出位置を、2つの海苔搬送ベルトコンベアの間隙としたことにより、光源により照射された光は乾海苔以外のベルト等によって反射されることがないため、ラインイメージセンサで観察した映像にはノイズが乗らず、夾雑物の検出を高精度に行うことができる。」と記載されている。
したがって、本件明細書の発明の詳細な説明には、本件発明1及び本件発明2を当業者が容易に実施することができる程度に、その発明の目的、構成及び効果が記載されていると認められ、実施可能要件違反ということはできない。

(2)無効理由その2について、請求人は、具体的には、以下のように主張している。(口頭審理陳述要領書第7頁第15行から第9頁第21行)
(1)第1に、まず被請求人は、・・・本件特許発明が作用効果を発揮するのは、「検出対象の乾海苔に穴,破れ,薄部分がある」場合である旨、述べている。
しかしながら、この「穴,破れ,薄部分」に関しては、その特許公報や甲第11,12号証の意見書等中では、一切記載がない。従って、「穴,破れ,薄部分」を前提とした被請求人の作用効果の主張は、予測困難であり認められない。
(2)第2に、本件特許発明の実施例は、いわゆる「表異物検出」に関する。「表異物検出」では、搬送される乾海苔の上側に、光源とラインイメージセンサが配されて、乾海苔上面に付着した夾雑物(異物)を検出する。
そして「表異物検出」において、本件特許発明が作用効果を発揮するのは、平帯ベルトコンベア使用の場合である。すなわち、まず上記(1)により「穴,破れ、薄部分がある」場合は考慮すべきでなく、又、紐ベルトコンベア使用の場合は乾海苔下に隠れてしまい反射可能性はない。もって、左右にはみ出た平帯ベルトコンベアの場合のみに、反射可能性が存在する。
従って、本件特許発明の構成要件Aは、「平帯ベルトコンベア使用の海苔搬送用ベルトコンベア」と、限定,訂正されるべきである。
(3)第3に、本件特許発明は、いわゆる「裏異物検出」に関しては、作用効果を発揮しない。「裏異物検出」では、上記「表異物検出」とは上下逆に、搬送される乾海苔の下側に、光源とラインイメージセンサが配されて、乾海苔下面に付着した夾雑物(異物)を検出する。
・・・・・
本件特許発明は、構成要件A,Bの「ベルトコンベア間の間隔や間隙」設定を、作用効果発揮の必須要件とする。これに対し、「表異物検出」の場合とは異なり、「裏異物検出」では、そこは、最初から空間(「発受光空間」や「当然空間」)となっている。「裏異物検出」において元々存在する空間スペースに、更に間隔や間隙を設定することは、矛盾であり成り立たない。
従って、本件特許発明が作用効果を発揮し得るのは、その実施例の「表異物検出」のみに限られる。構成要件Bは,「海苔搬送面の上側に配置された光源」と、限定,訂正されるべきである。
(4)第4に、本件特許発明の作用効果は、「検出位置を間隙とした」ので、→「照射光が反射されず」、→「センサに受光されずノイズが乗らないこと」にある。
これに対し、甲第19号証に示したように、「検出位置を間隙とした」にもかかわらず→「照射光が、間隙に隣接配置された押えローラー6にて反射され」、→「センサ13に受光されてノイズとなる」、ことが考えられる。
従って本件特許発明は、「光源とラインイメージセンサによる乾海苔の検出位置を、ベルトコンベアの間隙とすると共に、ラインイメージセンサに反射光を受光させる他の反射物が、間隙に隣接配置されていない」旨の構成要件を、付加,訂正されるべきである。
(5)第5に、本件特許発明では、ラインイメージセンサに反射,受光された乾海苔と夾雑物の光量比較方式により(黒色系の乾海苔光量<白色系の夾雑物光量)、夾雑物を検出する・・・。
これに対し、偏光フィルタの採用により、ラインイメージセンサには、乾海苔の反射光は受光されず、夾雑物の反射光のみが受光され、もって、(乾海苔と夾雑物との光量比較方式ではなく)夾雑物反射光の有無判定方式により、夾雑物を検出する方式も海苔業界では用いられている(甲第20号証を参照)。
従って、本件特許発明の構成要件Cは、「乾海苔と夾雑物の反射光を共に受光するラインイメージセンサ」と、限定,訂正されるべきである。
(6)第6に、なお被請求人は、作用効果に関し、上申書で「実験報告書」を提出した。そして、「検出位置の背後を鉄板で遮蔽して、選別動作をした所、ノイズが多く選別が混乱した」由。
これについては、次の各点を指摘しておく。
a.実験は「裏異物検出」に関するが、上記(3)で述べたように、乾海苔上側は「当然空間」となっており、わざわざ鉄板その他で遮蔽することは、ありえない。
b.上記(5)で述べたように、本件特許発明は、乾海苔と夾雑物との光量比較方式よりなるが、そこに更にその他の光量が追加されるとノイズとなり、元々微妙な光量比較が容易に混乱する。これに対し有無判定方式では、このような虞はない。
c.実験結果のノイズ混乱は、実験条件や実験使用機の性能問題でもある。

請求人のこれらの主張は、平成2年改正前の特許法第36条第3項違反(発明の詳細な説明の記載不備)に限らず同法第36条第4項第1号又は第2号違反(特許請求の範囲の記載不備)を主張しているとも解されるが、以下に個別に検討する。
(1)請求人は、「穴,破れ,薄部分」に関しては本件明細書等に一切記載がないので、「穴,破れ,薄部分」を前提とした作用効果の主張は認められないと主張する。
しかし、本件発明の目的、構成、効果は、上記(1)で述べたとおりであって、「穴,破れ,薄部分」を前提とした主張がなされているからと言って、記載不備とはいえない。
そして、乾海苔に穴,破れ,薄部分が存在することは技術常識であり、このような穴,破れ,薄部分を通して、照射光が透過し、また反射光が透過してくることも明らかであるから、被請求人の主張する作用効果は自明の事項と認められる。
(2)請求人は、本件特許発明が作用効果を発揮するのは、平帯ベルトコンベア使用の場合だけであるから、「平帯ベルトコンベア使用の」と限定,訂正されるべきである旨、主張している。
しかし、海苔搬送用ベルトコンベアが、平帯ベルトコンベアであるか紐ベルトコンベアであるかに拘わらず、本件発明1のように、海苔搬送用ベルトコンベアの間隙を照射するように光源を配置すると、ベルト等からの反射によるノイズを防止することができるという作用効果を奏するものと解される。してみると、特許請求の範囲の記載において「平帯ベルトコンベア使用の」と限定していないことが、記載不備ということはできない。
(3)請求人は、本件特許発明が作用効果を発揮するのは、その実施例の「表異物検出」のみに限られるから、「海苔搬送面の上側に配置された光源」と限定,訂正されるべきである旨、主張している。
しかし、表異物検出に限らず、裏異物検出の場合も、本件発明1のように、海苔搬送用ベルトコンベアの間隙を照射するように光源を配置すると、ベルト等からの反射によるノイズを防止することができるという作用効果を奏するものと解される。してみると、特許請求の範囲の記載において、表異物検出である「海苔搬送面の上側に配置された光源」と限定していないことが記載不備ということはできない。
(4)請求人は、例えば、間隙に隣接配置された押えローラーがあると、これからの反射によりノイズとなるから、特許請求の範囲の記載において、「ラインイメージセンサに反射光を受光させる他の反射物が、間隙に隣接配置されていない」旨の構成要件を、付加,訂正されるべきである旨、主張している。
しかし、本件発明1は、海苔搬送用ベルトコンベアの間隙を照射するように光源を配置するという構成により、乾海苔に最も接近して配置される搬送用ベルトコンベアからの反射によるノイズを防止できるという作用効果を奏するものと解され、特許請求の範囲の記載において、表異物検出である「ラインイメージセンサに反射光を受光させる他の反射物が、間隙に隣接配置されていない」と限定していないことが記載不備ということはできない。
(5)請求人は、偏光フィルタの採用により、夾雑物反射光の有無判定方式により夾雑物を検出する方式も用いられているから、特許請求の範囲の記載において「乾海苔と夾雑物の反射光を共に受光するラインイメージセンサ」と、限定,訂正されるべきである旨、主張している。
しかし、請求人が、その根拠とする本件特許明細書の指摘箇所(特公平7-65973号の第3頁左欄の第35?36行、第2頁左欄の47行)などからは、必ずしも乾海苔からの受光光量と夾雑物からの受光光量とを検出装置で比較して検出しているとはいえず、むしろ、光量の変化を検出していると解され、本件発明1の「前記光源より照射された光の反射光を受光するラインイメージセンサと、前記ラインイメージセンサに入光する光量の変化を検出する手段と、該光量が設定値以上になったときに夾雑物混入信号を、・・・出力する手段」という記載で必要な構成は記載されていると認められるから、特許請求の範囲の記載において、「乾海苔と夾雑物の反射光を共に受光するラインイメージセンサ」と限定していないことが記載不備ということはできない。
(6)請求人は、被請求人が上申書で提出した「実験報告書」に、疑問点を指摘しているが、この主張は、記載不備の主張には該当しない。
以上のとおりであるから、請求人の主張する点が記載不備ということはできず、また、本件特許に記載不備があるということはできない。

6.無効理由その3について
請求人は、平成6年7月11日付けで提出された補正の内、次の補正事項は要旨変更であると主張している。
(1)特許請求の範囲請求項1の「間隔を隔てて設けられたベルトコンベア」、「ベルトコンベアの間隙を照射する光源」、及び、海苔搬送面の下側に配置された光源を含むこととなる「海苔搬送面の一方に配置された光源」と記載した点。
(2)「発明の効果」欄に「乾海苔の検出位置を、2つの海苔搬送ベルトコンベアの間隙としたことにより、光源により照射された光は乾海苔以外のベルト等によって反射されることがないため、ラインイメージセンサで観察した映像にはノイズが乗らず、夾雑物の検出を高精度に行うことができる。」旨を、記載した点。

請求人の主張する上記補正事項が要旨変更に当たるか、検討する。
(1)上記請求項1の補正について、
「間隔や間隙」に関連する記載として、出願当初の明細書第5頁第4?11行(甲第14号証の第2頁左下欄第4?11行)に「第1図は、本発明の夾雑物検出装置の実施例を示す概略図である。
図において、Aは長方形状の乾海苔、1及び2は海苔搬送用ベルトコンベヤ、3?5は押さえローラである。ベルトコンベヤ1と2の間には、ガイド板6,7が設けられており、その上に乾海苔Aが送られる。ガイド板6とガイド板7の間の中心がテレビカメラ9の検出位置であり、」と記載され、また、第1図には、海苔搬送用ベルトコンベヤ1と海苔搬送用ベルトコンベア2とは間隔を隔てて配置されており、該ベルトコンベア1と2の間にはガイド板6,7が設けられており、該ガイド板6とガイド板7との間の中心に光源8からの光が照射されることが示されている。そして、このように間隔を隔てて配置された2つの海苔搬送用ベルトコンベアの間のすきまを間隙と称するのは、通常の事項である。
したがって、「間隔を隔てて設けられた2つの海苔搬送用ベルトコンベア」及び「これらの海苔搬送用ベルトコンベアの間隙を照射するように・・・配置された光源」は、当初明細書及び図面に記載された事項の範囲内のものであり、この記載を加入する上記補正事項が明細書の要旨を変更するものとはいえない。

次に、「海苔搬送面の一方に配置された光源」に関連する記載として、出願当初の明細書第5頁第8?14行(甲第14号証の第2頁左下欄第8?14行)に「ベルトコンベヤ1と2の間には、ガイド板6,7が設けられており、その上に乾海苔Aが送られる。ガイド板6とガイド板7の間の中心がテレビカメラ9の検出位置であり、この位置より上方45°±30°に光源8が設置され、テレビカメラ9は光源8と同じ方向の60°±30°の位置に設けられている。」と記載され、また、第1図には、海苔搬送面の上方に配置された光源8、及び海苔搬送面の上方に配置されたテレビカメラ9が示されている。そして、出願当初の明細書第10頁第4?7行(甲第14号証の第3頁右下欄第4?7行)に「また、本実施例では、乾海苔の上側の表面に付着した異物検出を行っているが、下側にも光源及びテレビカメラを設置して、両面の異物検出を行うことができる。」と記載されている。
この記載から、光源及びテレビカメラ(ラインイメージセンサ)を海苔搬送面の上方だけでなく、海苔搬送面の下方に設けることも記載されているから、「海苔搬送面下側に配置された光源」を含むような「海苔搬送面の一方に配置された光源」は、当初明細書に記載された事項の範囲内のものであり、この記載を加入する上記補正事項が明細書の要旨を変更するものとはいえない。

(2)上記「発明の効果」欄の補正について、
「乾海苔の検出位置を、2つの海苔搬送ベルトコンベアの間隙としたこと」は上述のとおり、出願当初の明細書に記載した事項範囲内のである。
そして、出願当初の明細書第8頁第19行から第9頁第8行(甲第14号証の第3頁右上欄第19行から左下欄第8行)に「乾海苔Aがガイド板6,7上に移送されると、テレビカメラ9は、光源8からの光の反射光を光源8の長手方向に沿って走査する。・・・反射像がなくなり、海苔全ての走査が終わると、」と記載されていることから、本願発明は乾海苔からの反射光を検出するものである。また、第1図において、海苔の搬送面に対して光源8の反対側に反射板14が設けられており、この反射板14の説明として出願当初の明細書第5頁第20行から第6頁第2行(甲第14号証の第2頁左下欄第20行から右下欄第2行)に「14は乾海苔が無いときの光源8の乱反射による誤動作を防ぐ反射板である。」と記載されていることから、海苔の搬送面に対して、光源8とは反対側からの反射光がテレビカメラ9に入射することにより誤動作することが示唆されている。これらの記載と、第1図において、海苔搬送ベルトコンベアの間隙の、光源からの光の照射位置に、ベルトコンベア等の物体が存在しないことから、光源8から乾海苔Aに光を照射した際に、ベルトコンベアからの反射光は存在せず、ノイズとならないことは明らかである。
してみると、発明の効果欄の上記効果の記載は出願当初の明細書及び図面の記載から自明の事項と認められ、したがって、この記載を加入する上記補正事項が明細書の要旨を変更するものとはいえない。

以上のとおりであるから、平成6年7月11日付けの手続補正は明細書の要旨を変更するものではなく、本件特許の出願日がこの手続補正の日まで繰り下がるものではない。
そして、甲第15号証に示される被告製品の販売日、甲第16号証の文書の作成日、甲第21号証及び甲第22号証の刊行物の頒布日は、本件特許の出願日である平成1年3月27日以降である。したがって、これらの証拠から、本件発明1及び本件発明2が、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるとすることはできない。

7.むすび
以上のとおりであるから、請求人の主張及び証拠方法によっては、本件の請求項1及び2に係る発明の特許を無効とすることはできない。
審判に関する費用については、特許法第169条第2項の規定で準用する民事訴訟法第61条の規定により、請求人が負担すべきものとする。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2008-06-23 
出願番号 特願平1-75528
審決分類 P 1 113・ 531- Y (G01N)
P 1 113・ 121- Y (G01N)
最終処分 不成立  
特許庁審判長 高橋 泰史
特許庁審判官 後藤 時男
田邉 英治
登録日 1996-03-28 
登録番号 特許第2036486号(P2036486)
発明の名称 乾海苔の夾雑物検出装置  
代理人 合志 元延  
代理人 小堀 益  
代理人 堤 隆人  
代理人 小堀 益  
代理人 堤 隆人  
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