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審決分類 審判 査定不服 発明同一 特許、登録しない。 G03B
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G03B
管理番号 1182184
審判番号 不服2006-24405  
総通号数 105 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2008-09-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2006-10-27 
確定日 2008-07-28 
事件の表示 特願2002-15699「カメラのストロボ装置」拒絶査定不服審判事件〔平成15年7月30日出願公開、特開2003-215675〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成14年(2002年)1月24日に出願された特願2002-15699号の特許出願であって、原審における平成18年4月17日付の拒絶理由通知に対し、平成18年6月19日付の意見書とともに同日付の手続補正書が提出されたところ、前記拒絶理由により平成18年9月25日付で拒絶査定がなされ、これに対し、拒絶査定不服審判の請求が平成18年10月27日になされ、その審判請求の日から30日以内の平成18年11月27日に手続補正書が提出され、その後、前記平成18年11月27日付の手続補正に基づいて補正された本願特許出願について原審審査官により前置審査がなされ、その前置審査の結果としての特許庁長官宛の前置報告書を審判請求人に送付することにより、原審審査官による前置審査に対する審判請求人の意見を徴集すべく、当審において平成20年4月9日付で審尋したところ、審判請求人から平成20年5月8日付の回答書が提出されたものである。

第2 平成18年11月27日付の手続補正についての補正の却下の決定

[補正の却下の決定の結論]
平成18年11月27日付の手続補正を却下する。

[理由]
1 補正の内容
平成18年11月27日付の手続補正(以下、この補正を「本件補正」という。)は、平成18年6月19日付の手続補正により補正された特許請求の範囲の、
「【請求項1】 カメラボディに内蔵又は外付けされるカメラのストロボ装置において、
R、G、Bの三色のLEDで構成され、各色の発光量を独立して制御することにより、発光するストロボ光の色温度の調整が可能なストロボ光源と、
前記ストロボ光源に供給する電圧を昇圧する昇圧手段と、
特定の被写体を撮影するのに適した色温度が記憶された記憶手段と、
前記記憶手段に記憶された色温度の読出しを指示する指示手段と、
前記指示手段によって色温度が読み出されると、その読み出された色温度となるように前記ストロボ光源から発光されるストロボ光の色温度を調整する調整手段と、
を備えたことを特徴とするカメラのストロボ装置。
【請求項2】 前記記憶手段には、人物を撮影するのに適した色温度が記憶されていることを特徴とする請求項1に記載のカメラのストロボ装置。
【請求項3】 カメラボディに内蔵又は外付けされるカメラのストロボ装置において、
R、G、Bの三色のLEDで構成され、各色の発光量を独立して制御することにより、発光するストロボ光の色温度の調整が可能なストロボ光源と、
前記ストロボ光源に供給する電圧を昇圧する昇圧手段と、
被写界の色温度を検出するための色温度検出手段と、
前記色温度検出手段で検出された色温度となるように前記ストロボ光源から発光されるストロボ光の色温度を調整する調整手段と、
を備えたことを特徴とするカメラのストロボ装置。
【請求項4】 カメラボディに内蔵又は外付けされるカメラのストロボ装置において、
R、G、Bの三色のLEDで構成され、各色の発光量を独立して制御することにより、発光するストロボ光の色温度の調整が可能なストロボ光源と、
前記ストロボ光源に供給する電圧を昇圧する昇圧手段と、
前記ストロボ光源が発光する色温度を設定する色温度設定手段と、
前記色温度設定手段で設定された色温度となるように前記ストロボ光源から発光されるストロボ光の色温度を調整する調整手段と、
を備えたことを特徴とするカメラのストロボ装置。
【請求項5】 カメラボディに外付けされ、シャッタ開に同期してストロボ光を発光するカメラのストロボ装置において、
R、G、Bの三色のLEDで構成され、各色の発光量を独立して制御することにより、発光するストロボ光の色温度の調整が可能なストロボ光源と、
前記ストロボ光源に供給する電圧を昇圧する昇圧手段と、
被写界の色温度を検出するための色温度検出手段と、
前記色温度検出手段で検出された色温度となるように前記ストロボ光源から発光されるストロボ光の色温度を調整する調整手段と、
を備えたことを特徴とするカメラのストロボ装置。
【請求項6】 前記ストロボ光源から出射されるストロボ光を前方に向けて反射する反射傘と、
前記ストロボ光源から出射されるストロボ光を拡散させる拡散板と、
を備えたことを特徴とする請求項1?5のいずれか一に記載のカメラのストロボ装置。
【請求項7】 前記ストロボ光源の周囲温度を検出する温度検出手段と、
前記温度検出手段で検出される前記ストロボ光源の周囲温度に基づいて、その周囲温度にかかわらず所要の発光量が得られるように前記ストロボ光源への電流制御を行う電流制御手段と、
を備えたことを特徴とする請求項1?6のいずれか一に記載のカメラのストロボ装置。」
の記載を、
「【請求項1】 カメラボディに内蔵又は外付けされるカメラのストロボ装置において、
R、G、Bの三色のLEDで構成され、各色の発光量を独立して制御することにより、発光するストロボ光の色温度の調整が可能なストロボ光源と、
前記ストロボ光源に供給する電圧を昇圧し、この昇圧した電圧により1/60秒以上、前記LEDに電流を継続供給できるコンデンサを充電させる昇圧手段と、
被写界の色温度を検出するための色温度検出手段と、
前記色温度検出手段で検出された色温度となるように前記ストロボ光源から発光されるストロボ光の色温度を発光時間で調整する調整手段と、
を備えたことを特徴とするカメラのストロボ装置。
【請求項2】 カメラボディに外付けされ、シャッタ開に同期してストロボ光を発光するカメラのストロボ装置において、
R、G、Bの三色のLEDで構成され、各色の発光量を独立して制御することにより、発光するストロボ光の色温度の調整が可能なストロボ光源と、
前記ストロボ光源に供給する電圧を昇圧し、この昇圧した電圧により1/60秒以上、前記LED群に電流を継続供給できるコンデンサを充電させる昇圧手段と、
被写界の色温度を検出するための色温度検出手段と、
前記色温度検出手段で検出された色温度となるように前記ストロボ光源から発光されるストロボ光の色温度を発光時間で調整する調整手段と、
を備えたことを特徴とするカメラのストロボ装置。
【請求項3】 前記ストロボ光源の周囲温度を検出する温度検出手段と、
前記温度検出手段で検出される前記ストロボ光源の周囲温度に基づいて、その周囲温度にかかわらず所要の発光量が得られるように前記ストロボ光源への電流制御を行う電流制御手段と、
を備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載のカメラのストロボ装置。」
と補正することを含むものである。

2 補正の適否の検討
(1)新規事項の追加禁止要件についての検討
本件補正が、願書に最初に添付した明細書及び図面に記載された事項の範囲内においてした補正であると認めることができるので、本件補正は、いわゆる新規事項の追加の禁止要件に違背する補正ではないから、特許法第17条の2第3項の規定に適合する。

(2)補正の目的要件についての検討
つぎに、本件補正が特許法第17条の2第4項の規定に適合するか否か、すなわち、同法第17条の2第1項第4号の規定により、拒絶査定不服審判の請求の日から30日以内になされた特許請求の範囲についてする補正が、同法第17条の2第4項の第1号ないし第4号に掲げる補正の目的に該当する補正であるか否かについて検討する。

ア 本件補正における補正の目的要件についての判断
(ア)まず、本件補正は、特許請求の範囲の本件補正前の旧請求項1ないし旧請求項7の7個の請求項のうちの、旧請求項1、旧請求項2、旧請求項4及び旧請求項6の4個の請求項を削除するための補正であるから、特許法第17条の2第4項の第1号に掲げる「請求項の削除」の事項を目的とする補正に該当する(なお、本件補正前の請求項1を「旧請求項1」といい、本件補正後の請求項1を「新請求項1」などということがある。以下同様。)。

(イ)そして、本件補正における新請求項1の補正は、旧請求項3に記載されていた「昇圧手段」及び「調整手段」の発明特定事項を、それぞれ「前記ストロボ光源に供給する電圧を昇圧し、この昇圧した電圧により1/60秒以上、前記LED群に電流を継続供給できるコンデンサを充電させる昇圧手段」及び「前記色温度検出手段で検出された色温度となるように前記ストロボ光源から発光されるストロボ光の色温度を発光時間で調整する調整手段」のように限定的に減縮するための補正であるから、特許法第17条の2第4項の第2号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」の事項を目的とする補正に該当する。

(ウ)また、本件補正における新請求項2の補正は、旧請求項3に記載されていた「昇圧手段」及び「調整手段」の発明特定事項を、それぞれ「前記ストロボ光源に供給する電圧を昇圧し、この昇圧した電圧により1/60秒以上、前記LED群に電流を継続供給できるコンデンサを充電させる昇圧手段」及び「前記色温度検出手段で検出された色温度となるように前記ストロボ光源から発光されるストロボ光の色温度を発光時間で調整する調整手段」のように限定的に減縮するための補正であるから、特許法第17条の2第4項の第2号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」の事項を目的とする補正に該当する。

(エ)そして、本件補正における新請求項3の補正は、上記(ア)の「請求項の削除」の補正に伴い、旧請求項7を新請求項3とするとともに、旧請求項7中の「請求項1?6のいずれか一に記載のカメラのストロボ装置。」の記載を「請求項1又は2に記載のカメラのストロボ装置。」とすることにより、請求項間の引用関係の整合を図るための補正であるから、特許法第17条の2第4項の第4号に掲げる「明りようでない記載の釈明」の事項を目的とする補正に該当する。

イ まとめ
以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第4項第1号ないし第4号に掲げるいずれかの補正の目的に該当する補正であるので、本件補正は、補正の目的要件については適法であるといえる。

(3)独立特許要件の有無
上記のとおり、本件補正に係る新請求項1ないし新請求項3についての補正は、特許法第17条の2第4項第1号の「請求項の削除」、同第2号の「特許請求の範囲の減縮」及び同第4号の「明りようでない記載の釈明」のいずれかをその補正の目的としている。
そして、本件補正に係る新請求項1についての補正が、特許法第17条の2第4項第2号の「特許請求の範囲の減縮」を目的とする補正を含んでいるので、本件補正後の少なくとも新請求項1に記載された発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか否か、すなわち、特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか否かについて、次に検討する。

ア 本願の本件補正後の新請求項1に記載され発明
本件補正後の新請求項1に記載された発明(以下、これを「本願補正発明1」という。)は、次のとおりのものである(上記「第2」の「1 補正の内容」欄を参照)。
「【請求項1】 カメラボディに内蔵又は外付けされるカメラのストロボ装置において、
R、G、Bの三色のLEDで構成され、各色の発光量を独立して制御することにより、発光するストロボ光の色温度の調整が可能なストロボ光源と、
前記ストロボ光源に供給する電圧を昇圧し、この昇圧した電圧により1/60秒以上、前記LEDに電流を継続供給できるコンデンサを充電させる昇圧手段と、
被写界の色温度を検出するための色温度検出手段と、
前記色温度検出手段で検出された色温度となるように前記ストロボ光源から発光されるストロボ光の色温度を発光時間で調整する調整手段と、
を備えたことを特徴とするカメラのストロボ装置。」

イ 引用刊行物及び記載事項
(ア)本願の特許出願前に頒布された刊行物である特開平11-133490号公報(以下、「引用刊行物1」という。)には、「フラッシュ内蔵レンズ付きフィルムユニット」に関し、図面の記載とともに次の事項が記載されている。
「【特許請求の範囲】
【請求項1】 赤色光、青色光、及び緑色光を各々発光する3枚のチップを有する白色発光ダイオードをフラッシュの光源に用いたことを特徴とするフラッシュ内蔵レンズ付きフィルムユニット。
【請求項2】 前記白色発光ダイオードより赤色光、青色光、及び緑色光を均等な色光で発光させることを特徴とする請求項1に記載のフラッシュ内蔵レンズ付きフィルムユニット。
【請求項3】 赤色光を発光する発光ダイオード、青色光を発光する発光ダイオード、及び緑色光を発光する発光ダイオードをフラッシュの光源に用いたことを特徴とするフラッシュ内蔵レンズ付きフィルムユニット。
【請求項4】 前記3個の発光ダイオードを均等な色光で同時に発光させることを特徴とする請求項3に記載のフラッシュ内蔵レンズ付きフィルムユニット。
【請求項5】 予め製造工程で内蔵するフィルムのISO感度を1000以上としたことを特徴とする請求項1?4の何れか1項に記載のフラッシュ内蔵レンズ付きフィルムユニット。
【請求項6】 フラッシュ撮影モードへの切り替えに連動して、シャッタ速度を1/60以下に切り替えることを特徴とする請求項1?5の何れか1項に記載のフラッシュ内蔵レンズ付きフィルムユニット。
【請求項7】 フラッシュ用電源として、単4形電池、若しくは単5形電池を2本用いたことを特徴とする請求項1?6の何れか1項に記載のフラッシュ内蔵レンズ付きフィルムユニット。
【請求項8】 フラッシュ用電源として、単3形電池、単4形電池、若しくは単5形電池を1本用い、前記白色発光ダイオードの駆動電圧まで昇圧させる昇圧回路を備えたこと特徴とする請求項1,2,5または6に記載のフラッシュ内蔵レンズ付きフィルムユニット。
【請求項9】 フラッシュ用電源として、単3形電池、単4形電池、若しくは単5形電池を1本用い、前記3個の発光ダイオードの駆動電圧まで昇圧させる昇圧回路を備えたこと特徴とする請求項3?6の何れか1項に記載のフラッシュ内蔵レンズ付きフィルムユニット。」
「【0001】【発明の属する技術分野】 本発明はフラッシュを内蔵したレンズ付きフィルムユニットに関する。
【0002】【従来の技術】 ストロボを内蔵したレンズ付きフィルムユニットは従来より各種市販されている。しかし、ストロボを発光させる回路は複雑であり、電池の電圧を略350Vに昇圧させる発振トランス等の昇圧回路、充電した電荷を蓄える大型のメインコンデンサ、充電したことを表示するネオン管等の表示回路、放電管にトリガー電圧を付与するトリガートランス等の各種の回路を必要とした。このために、ストロボを内蔵すると小型化は困難であり、また原価高になっていた。
【0003】 また、ストロボ撮影のときは、メインコンデンサが充電してネオン管が点灯するまで待たなければならず、シャッタチャンスを逃してしまうといったことがしばしばあった。
【0004】【発明が解決しようとする課題】 かかる問題に鑑み、非常に簡単な回路でフラッシュ撮影が可能なフラッシュ内蔵レンズ付きフィルムユニットを提案することを本発明の課題とするものであり、この結果、小型化、原価低減に寄与するところが大であり、更にフラッシュ撮影時に待ち時間を不要としたものである。
【0005】【課題を解決するための手段】 上記課題は下記の何れかにより解決される。
【0006】 丸1赤色光、青色光、及び緑色光を各々発光する3枚のチップを有する白色発光ダイオードをフラッシュの光源に用いたことを特徴とするフラッシュ内蔵レンズ付きフィルムユニット。
【0007】 丸2赤色光を発光する発光ダイオード、青色光を発光する発光ダイオード、及び緑色光を発光する発光ダイオードをフラッシュの光源に用いたことを特徴とするフラッシュ内蔵レンズ付きフィルムユニット。
【0008】【発明の実施の形態】 本発明のフラッシュ内蔵レンズ付きフィルムユニットにおける実施の形態を図1乃至図6を参照して詳細に説明する。
【0009】 図1はフラッシュ発光部の図であり、図1(A)は正面図、図1(B)は縦断面図である。
【0010】 同図において、1はフラッシュ光を発光する白色発光ダイオード、2は白色発光ダイオード1が発光したフラッシュ光を被写体に向けて所定の画角で反射する反射傘である。白色発光ダイオード1は赤色光、青色光、及び緑色光を各々発光する3枚のチップを有する発光ダイオードであり、3枚のチップの内、任意のチップのみを発光させることもでき、また所定の複数のチップを発光させることもできる。通常のフラッシュ撮影のために用いるときは、赤色光、青色光、及び緑色光を均等な色光で同時に発光させる。すると、光の三原色の加色混合により白色光が発光する。しかし、被写体を特殊な色に照明したいときは、任意のチップを発光させるか、若しくは3枚のチップを同時に発光させても不均等な色光で発光させればよい。
【0011】 従って、白色発光ダイオード1の脚の数は、3枚のチップを任意に制御するときは、アース端子を含めて4本の脚が必要であり、常に3枚のチップを均等な色光で同時に発光させるように白色発光ダイオード1を製造したときは、2本の脚があればよい。
【0012】 次ぎに、フラッシュ回路図を図2に基づいて説明する。白色発光ダイオードDは抵抗R、シンクロスイッチS-SWと共に電池Bと直列に接続されている。白色発光ダイオードDは略1.8V?2.5Vの範囲で発光するので、負荷抵抗Rを直列に接続して、3Vとなる2本の電池に接続されている。シンクロスイッチS-SWは図示していないシャッタ羽根の開放動作に連動してオンとなるスイッチである。
【0013】 このように本フラッシュ回路は非常に簡単であって、従来のストロボ回路の如く、電池の電圧を高圧に昇圧させる発振トランス等の昇圧回路、充電した電荷を蓄える大型のメインコンデンサ、充電したことを表示するネオン管等の表示回路、放電管にトリガー電圧を付与するトリガートランス等の各種の回路を必要としない。従って、小型化に大きく寄与すると共に、多大な原価低減となり、更に部品点数が削減されるので信頼性が向上する。
【0014】 また、充電動作を必要としないので、シンクロスイッチS-SWがオンになりさえすれば白色発光ダイオードDは常に発光するので、ストロボの如き待ち時間は不要であり、充電表示も不要となる。従って、ストロボ撮影の如きネオン管が点灯するまでの待ち時間に貴重なシャッタチャンスを逃してしまうといった問題は生じない。
【0015】 なお、3Vとなる2本の電池を必要とするので、電池は単4形若しくは単5形の如き小さい電池が好ましいが、場合によっては、3Vのリチウム電池を1本用いてもよい。
【0016】 光量をストロボと同1条件で比較すると、現在の白色発光ダイオードを用いたフラッシュは光量が充分でない。この問題を解決するために、下記の対策が必要となる。
【0017】 先ず、レンズ付きフィルムユニットには製造工程で予めフィルムが装填されるが、高感度のフィルムを装填することによりフラッシュの光量不足を補うことができるので、ISO感度1000以上のフィルムを用いることが望ましい。
【0018】 また、シャッタ速度は低速の方がフラッシュの光量不足を補うことができるが、シャッタ速度が定速[当審注:「低速」の明らかな誤記と認める。]であると日中での撮影に露出過度になるので、日中等でのフラッシュを用いないときには高速と、フラッシュ撮影のときには低速と、シャッタ速度の切り替えができることが望ましい。そして、フラッシュ撮影時にはシャッタ速度は1/60以下に切り替えられることが望ましい。
【0019】 フラッシュ用電源としては、3Vにするため小型で1.5Vの単4形電池、若しくは単5形電池を2本用いることが望ましい。
【0020】 また、フラッシュ用電源として1.5Vの単3形電池、単4形電池、若しくは単5形電池を1本のみ用いるときは、図3のフラッシュ回路図の如く構成すればよい。
【0021】 即ち、メインスイッチM-SWを設け、メインスイッチM-SWをオンさせたときは昇圧回路5により白色発光ダイオードDの駆動電圧、即ち約3.0V以上まで昇圧させて、その電荷をコンデンサCに蓄積し、シンクロスイッチS-SWのオンによりコンデンサCの電荷を放電させることによって白色発光ダイオードDを発光させる。
【0022】 なお、発光開始のタイミングは従来のストロボのようにシャッタ全開時ではなく、図4の発光タイミング図に示すようにシャッタ開動作の開始と同時に行い、シャッタ閉動作の終了時まで発光を持続するようにすることが望ましい。
【0023】 以上の実施の形態は、フラッシュの発光源として白色発光ダイオードを1本用いたものであるが、赤色光、青色光、及び緑色光を各々発光する3本の発光ダイオードをまとめて用いてもよい。
【0024】 このように構成したフラッシュ発光部の正面図を図5に示す。11は赤色光発光ダイオード、12は青色光発光ダイオード、13は緑色光発光ダイオードであり、14は反射傘である。
【0025】 図6に電源として3Vの電池Bを用いたフラッシュ回路図を示す。本フラッシュ回路図は、負荷抵抗R1に赤色光発光ダイオードD1、負荷抵抗R2に青色光発光ダイオードD2、負荷抵抗R3に緑色光発光ダイオードD3を直列に接続したもので、図2に示したフラッシュ回路図と基本的に差はない。従って、図示していないシャッタ羽根の開放動作に連動してシンクロスイッチS-SWがオンになれば、赤色光発光ダイオードD1、青色光発光ダイオードD2、及び緑色光発光ダイオードD3が同時に発光し、均等な3色の加色混合により白色光を発光する。
【0026】 また、各々の発光ダイオードと直列に各々スイッチを接続し、任意のスイッチをオン・オフさせて、任意の1個、若しくは2個の発光ダイオードのみを発光させることにより、被写体を特殊な色に照明して敢えて不自然な発色となる写真表現をすることもできる。
【0027】 また、図3に示すように1.5Vの電池を1本用い、昇圧させてから発光ダイオードを発光させるようにしてもよい。
【0028】 なお、光量を大きくするために、白色発光ダイオードを複数本用いるか、又は赤色光、青色光、及び緑色光の各々の発光ダイオードを複数本用いるようにしてもよい。特に、赤色光、青色光、及び緑色光の発光ダイオードを複数本用いる場合は、その本数を各色とも同じにする必要はなく、各発光ダイオードの発光強度に応じて所望の発光色と発光強度になるように各色の本数を変えてもよい。
【0029】 なお、発光ダイオードの光の放射角度は撮影レンズの撮影画角よりも広いものを用いることが望ましい。
【0030】 更に、発光させる際に流す電流も許容最大電流を越えない範囲で、それに近い電流を流す回路とすることが望ましい。
【0031】【発明の効果】 請求項1?9に記載のフラッシュ内蔵レンズ付きフィルムユニットによれば、従来のストロボの如き複雑で高価な回路を不要とし、非常に簡単な回路構成となるので、小型化及び原価低減に寄与するところが大である。また、発光ダイオードを駆動可能な電圧である3Vの電圧の電池を電源として用いれば、常に撮影可能であって、待ち時間が不要であるので、従来のストロボの如きシャッタチャンスを逃すといったことは生じない。」

そうしてみると、引用刊行物1の上記摘記事項及び図面の図示からみて、前記引用刊行物1には、次の発明(以下、これを「引用発明1」という。)の記載が認められる。
「赤色光、青色光及び緑色光を発光する三色の発光ダイオードをフラッシュ光源に用いたフラッシュ回路を有するレンズ付きフィルムユニットに内蔵されるフラッシュにおいて、
前記フラッシュ回路が、複数本の赤色光発光ダイオード、複数本の青色光発光ダイオード及び複数本の緑色光発光ダイオードの三色の各発光ダイオード11,12,13から構成されるフラッシュ光源と、フラッシュ用電源としての1.5Vの電池Bと、前記電池Bの電圧を昇圧させる昇圧回路5と、前記昇圧回路5により充電した電荷を蓄えるコンデンサCと、メインスイッチM-SWと、シャッタ羽根の開放動作に連動してオンとなるシンクロスイッチS-SWと、前記三色の各発光ダイオード11,12,13と直列に各々接続する任意のスイッチとを備え、
前記三色の各発光ダイオード11,12,13は、それらの発光強度に応じて所望の発光色と発光強度になるように各色の発光ダイオード11,12,13の本数が変えてあり、
前記メインスイッチM-SWをオンさせて前記昇圧回路5により前記三色の各発光ダイオード11,12,13の駆動電圧である約3.0V以上まで昇圧させて、その電荷をコンデンサCに蓄積し、シンクロスイッチS-SWのオンによりコンデンサCの電荷を放電させるとともに、前記任意のスイッチをオン・オフさせて、前記三色の各発光ダイオード11,12,13のうちの任意の発光ダイオードを個別に発光させることにより、被写体を特殊な色に照明して敢えて不自然な発色となる写真表現をすることもできる発光ができるようになっており、
そして、発光開始のタイミングが、シャッタ開動作の開始と同時に行い、シャッタ閉動作の終了時まで発光を持続するようにしてあり、
フラッシュ撮影時にシャッタ速度が1/60以下の低速に切り替えることができるレンズ付きフィルムユニットに内蔵されるフラッシュ」

(イ)本願の特許出願前に頒布された刊行物である特開2001-215579号公報(以下、「引用刊行物2」という。)には、「撮像装置及びそのストロボ制御方法」に関し、図面の記載とともに次の事項が記載されている。
「【0001】【発明の属する技術分野】 本発明は、ストロボ撮影の発光素子としてLEDを用いた撮像装置及びこの装置で適用されるストロボ制御方法に関する。」
「【0007】【課題を解決するための手段】 請求項1記載の発明は、撮像対象に向けて設けられた複数個のLEDと、撮像タイミングに同期して上記複数個のLEDを露光時間内に順次点灯駆動する駆動制御手段とを具備したことを特徴とする。
【0008】 上記のような構成とすれば、ストロボの光源を構成する個々のLEDでの1回の点灯時間をごく短いものとしながら、発光強度、点灯間隔及び点灯回数を可変して露光時間中に複数のLEDで循環的に点灯させるようにしたため、LEDに負担をかけずに所望の点灯状態を得ることができる。
【0009】 請求項2記載の発明は、上記請求項1記載の発明において、上記複数個のLEDは所定の点灯間隔で循環的に点灯することを特徴とする。
【0010】 このような構成とすれば、上記請求項1記載の発明の作用に加えて、LEDの構成個数に応じた、より明るいストロボとすることができる。
【0011】 請求項3記載の発明は、上記請求項1記載の発明において、上記複数個のLEDは少なくとも赤色で点灯するもの、緑色で点灯するもの、及び青色で点灯するものの3個を含むことを特徴とする。
【0012】 このような構成とすれば、上記請求項1記載の発明の作用に加えて、LEDによる白色ストロボ光源を実現することができる。
【0013】 請求項4記載の発明は、上記請求項3記載の発明において、上記駆動制御手段は、上記複数個のLEDの個々の点灯時間を加減して色温度調整を行なうことを特徴とする。
【0014】 このような構成とすれば、上記請求項3記載の発明の作用に加えて、ストロボの点灯状態によっても色温度調整を行なうことができるため、撮像の段階でホワイトバランス調整を行ない、撮像後の画像信号処理を簡略化することができる。」
「【0065】 なお、上記実施の形態では、モノクロのデジタルカメラであるものとして例えば3個の赤色LED27a?27cを点灯駆動するものとして説明したが、本発明はこれに限るものではなく、例えばLEDをRGB、すなわち赤色で点灯するもの、緑色で点灯するもの、及び青色で点灯するものの3個を少なくとも含む白色光源として構成し、カラー画像を得ることができるものとしても良い。
【0066】 この場合、さらに上記図2及び図3で示したように個々のLEDを均一の時間で順次点灯駆動するのではなく、個々のLEDの発光色に対応してその点灯時間の幅を制御部18が加減設定できるものとして構成すれば、ストロボ光源の点灯状態によっても色温度を任意に調整することができるため、撮像の段階でホワイトバランス調整を行ない、撮像後の画像信号処理を簡略化することができる。」

(ウ)本願の特許出願前に頒布された刊行物である特開平5-134301号公報(以下、「周知技術文献1」という。)には、「閃光光源の色温度変更装置」に関し、図面の記載とともに次の事項が記載されている。
「【0001】【産業上の利用分野】 本発明は、被写界の色温度に応じて、閃光光源の色温度を変更する閃光光源の色温度変更装置に関する。」
「【0003】【発明が解決しようとする課題】 しかしながら、従来のカメラの自動日中シンクロシステムでは、主要被写体と背景との色温度のバランスまでは考えられていないので、撮影シ-ンによっては、色温度のバランスが崩れる場合があり、このような場合には、非常に不自然な写真になるという問題があった。
【0004】 すなわち、例えば、背景が夕焼けやタングステン照明の場合には、背景が赤色っぽく写るが、従来の閃光装置は、色温度が5500[K]程度の為、人物が白色っぽく写り、背景に比較して大変不自然な写真になるという問題があった。
【0005】 本発明は、かかる従来の問題を解決するためになされたもので、主要被写体と背景との色温度のバランスを調整することができる閃光光源の色温度変更装置を提供することを目的とする。
【0006】【課題を解決するための手段】 請求項1の閃光光源の色温度変更装置は、被写界の色温度を測定する色温度計測手段と、前記色温度計測手段で測定された色温度に基づいて、閃光装置の閃光光源の色温度を変更する色温度変更手段とを有するものである。
【0007】 請求項2の閃光光源の色温度変更装置は、請求項1において、色温度変更手段は、閃光光源の色温度を、色温度計測手段で測定された色温度に近づける方向に変更するものである。
【0008】 請求項3の閃光光源の色温度変更装置は、請求項2において、色温度変更手段は、色温度計測手段で計測された色温度が、所定値以下の時にのみ閃光光源の色温度を変更するものである。
【0009】 請求項4の閃光光源の色温度変更装置は、請求項1ないし3において、色温度変更手段は、閃光光源の色温度の変更量を外部入力する外部入力部を有しているものである。
【0010】 請求項5の閃光光源の色温度変更装置は、請求項1ないし4において、色温度計測手段および色温度変更手段は、閃光装置またはカメラ本体側に設けられているものである。
【0011】 請求項6の閃光光源の色温度変更装置は、請求項1ないし5において、色温度変更手段は、閃光装置の閃光回路のインダクタンスを変更することにより、閃光光源の色温度を変更するものである。」
「【0021】 なお、図において符号43は反射傘である。また、符号45は、色温度計測用素子であり、この色温度計測用素子45は、集光レンズ47を介して被写界の色温度を計測する。
【0022】 図2は、この実施例の閃光光源の色温度変更装置を示すブロック図である。符号51は、定常光測光手段であり、この定常光測光手段51は、集光レンズ23、露出演算用測光素子25、不図示の測光回路から構成されている。
【0023】 符号52は、閃光測光手段であり、この閃光測光手段52は、集光レンズ39、調光用の受光素子41、不図示の調光回路から構成されている。 符号53は、色温度計測手段であり、この色温度計測手段53は、色温度計測用素子45、集光レンズ47、不図示の色温度演算回路から構成されている。
【0024】 符号54は、閃光手段であり、この閃光手段54は、電子閃光装置33を有している。符号55は、色温度変更手段であり、この色温度変更手段55は、色温度計測手段53の出力に応じて、閃光の色温度を変更する。なお、詳細については、後述する。
【0025】 符号56は、CPUであり、このCPU56は、色温度計測手段53の出力に基づき、閃光手段54が発光する閃光の色温度を計算し、色温度変更手段55に出力する。」
「【0036】 ステップS6で、Lをインダクタンス変更回路63により設定する。ステップS7で、発光し、調光して終了する。以上のように構成された閃光光源の色温度変更装置では、色温度計測手段53で測定された被写界の色温度に基づいて、閃光装置33の閃光光源の色温度が変更されるため、色温度のバランスを、確実に調整することができる。
【0037】 また、色温度変更手段55により、閃光光源の色温度が、色温度計測手段53で測定された色温度に近づく方向に変更されるため、例えば、背景が夕焼けやタングステン照明の場合に、人物もやや赤色っぽくなり、不自然さがなくなる。」
「【0056】 なお、以上述べた実施例では、色温度計測手段を閃光装置側に配置した例について説明したが、本発明はかかる実施例に限定されるものではなく、例えば、カメラ本体側に設けても良いことは勿論である。」
「【0057】【発明の効果】 請求項1の閃光光源の色温度変更装置では、色温度計測手段で測定された被写界の色温度に基づいて、閃光装置の閃光光源の色温度が変更されるため、色温度のバランスを、例えば、被写体を赤っぽくしたり、青っぽくしたり好み等に応じて任意に調整することができる。
【0058】 請求項2の閃光光源の色温度変更装置では、色温度変更手段により、閃光光源の色温度が、色温度計測手段で測定された色温度に近づく方向に変更されるため、例えば、背景が夕焼けやタングステン照明の場合に、人物もやや赤色っぽくなり、不自然さがなくなる。
【0059】 請求項3の閃光光源の色温度変更装置では、色温度計測手段で計測された色温度が、所定値以下の時にのみ閃光光源の色温度が変更されるため、例えば、一般に嫌われるところの、人物が青色っぽくなるのを防止できる。
【0060】 請求項4の閃光光源の色温度変更装置では、外部入力部から、閃光光源の色温度の変更量を入力できるため、色温度のバランスを、例えば、好み等に応じて任意に調整することができる。
【0061】 請求項5の閃光光源の色温度変更装置では、色温度計測手段および色温度変更手段が、閃光装置またはカメラ本体側に設けられるため、閃光装置の交換が可能となる。
【0062】 請求項6の閃光光源の色温度変更装置では、閃光装置の閃光回路のインダクタンスを変更することにより、閃光光源の色温度を変更するため、色温度の変更を簡易,確実に行うことができる。」

(エ)本願の特許出願前に頒布された刊行物である特開昭63-261331号公報(以下、「周知技術文献2」という。)には、「カメラ用の発光色温度制御方法」に関し、図面の記載とともに次の事項が記載されている。
「(イ)産業上の利用分野
本発明は、カメラ用の発光色温度制御方法に関し、特に電子スチルカメラのストロボの発光色温度制御方法に関する。」(1頁右欄4行?1頁右欄7行)
「(ニ)問題点を解決するための手段
本発明は、周囲の色温度を検出する色温度検出手段からの信号によりストロボの発光色温度を制御することを特徴とする。
(ホ)作 用
本発明に依れば、ストロボの発光色温度を周囲の色温度に合わせて可変する。」(2頁左上欄18行?2頁右上欄4行)
「(10)はカメラの表面に取り付けられたR・G・B(赤・緑・青)のカラーセンサである。」(2頁右上欄8行?2頁右上欄10行)
「(62)は、(B-G)と(R-G)信号の値に応じて、ストロボ(50)(52)の発光量の比(発光時間の比)を決定する比率設定回路である。つまり、この比率設定回路(62)はカメラの周囲の色温度を示す(R-G)信号及び(B-G)信号(色温度情報信号)により、周囲の色温度と同じ色温度でストロボが発光するように2つのストロボ(50)(52)の発光量の比率を設定している。」(2頁右下欄13行?3頁左上欄1行)
「尚、このストロボ制御回路(46)(48)はストロボの発光時間を制御して発光量の調整を行なっている。尚、ストロボ(50)(52)が同じ時間だけ発光した場合の、この両方の発光を合成した光の色温度は従来のストロボ(54)(56)の色温度(昼日光)と同じになるようにフィルタ(58)(60)の特性を選んである。
カメラの周囲が赤っぽい色温度が昼日光に比べ低い場合の動作を述べる。この時、ホワイトバランスを調整するために増幅器(34)の利得が減少する(及び若しくは増幅器(36)の利得が増加する)。これにより、赤色の映像成分が相対的に減少してホワイトバランスが調整きれる。そして、ストロボ制御回路(46)(48)は、比率設定回路(62)からの信号によりストロボ(50)の発光時間がストロボ(52)の発光時間に比べて長くなるように制御される(第2図C参照)。つまり、イエロー(ye=R+G)のストロボ(50)の方が、シアン(Cy=B+G)のストロボ(52)より長い間発光するので、ストロボ(50)(52)からの合成光は、赤っぽくなり、周囲の色温度に合致する。
尚、カメラの周囲が青っぽい場合(色温度が昼日光に比べ高い場合)、ストロボ(50)(52)の発光時間は、例えば、第2図(d)に示す様になる。
又、カメラの周囲の色温度が昼日光と同じ場合は、第2図(a)(b)等に示す様になる。」(3頁左上欄18行?3頁左下欄2行)
「上記の様に、上記実施例では、カラーセンサ(10)により周囲の色温度情報を得て、この色温度情報によりホワイトバランスを調整すると共に、異なる2色のフィルタ(58)(60)のストロボ(54)(56)を備え、この2つのストロボ(54)(56)の発光時間の比率を前記温度情報信号により決定している。そして、このストロボ(54)(56)からの光を合成した合成光の色温度を周囲の色温度に合致せしめている。よって、日中シンクロ時にも、被写体は、周囲と同等の色温度のストロボ光で照らし出される。そして、この撮影された映像は、増幅器(34)(36)によってホワイトバランスが為される。」(3頁左下欄16行?3頁右下欄7行)
「又、本実施例は、ストロボとカメラを一体物として説明し、ホワイトバランス調整用の色温度情報を兼用してストロボの発光色温度を調整したがストロボがカメラと別体の場合は、専用の色温度情報検出手段をこのストロボに内蔵するようにすれば良い。」(3頁右下欄18行?4頁左上欄3行)

ウ 対比
本願補正発明1と上記引用発明1とを対比する。
(ア)まず、引用発明1における「レンズ付きフィルムユニット」、「フラッシュ」及び「複数本の赤色光発光ダイオード、複数本の青色光発光ダイオード及び複数本の緑色光発光ダイオードの三色の各発光ダイオード11,12,13から構成されるフラッシュ光源」のそれぞれが、本願補正発明1の「カメラ」、「ストロボ装置」及び「R、G、Bの三色のLEDで構成されるストロボ光源」にそれぞれ相当することは明らかである。

(イ)そして、引用発明1の「前記電池Bの電圧を昇圧させる昇圧回路5」は、「前記三色の各発光ダイオード11,12,13の駆動電圧である約3.0V以上まで昇圧させて、その電荷をコンデンサCに蓄積し、シンクロスイッチS-SWのオンによりコンデンサCの電荷を放電させる」ものであるから、引用発明1の前記「前記電池Bの電圧を昇圧させる昇圧回路5」と本願補正発明1の「昇圧手段」とは、ともに「ストロボ光源に供給する電圧を昇圧し、この昇圧した電圧により前記LEDに電流を継続供給できるコンデンサを充電させる」点で共通しているといえる。

(ウ)また、引用発明1は、「前記任意のスイッチをオン・オフさせて、前記三色の各発光ダイオード11,12,13のうちの任意の発光ダイオードを個別に発光させることにより、被写体を特殊な色に照明して敢えて不自然な発色となる写真表現をすることもできる発光ができるようになって」いることから、引用発明1も「ストロボ光の色温度を調整する調整手段」を備えているということができるので、引用発明1と本願補正発明1とは、ともに「ストロボ光の色温度を調整する調整手段」を備えている点で共通している。

(エ)そうすると、本願補正発明1と引用発明1とは、
「カメラボディに内蔵されるカメラのストロボ装置において、
R、G、Bの三色のLEDで構成され、各色の発光量を独立して制御することにより、発光するストロボ光の色温度の調整が可能なストロボ光源と、
前記ストロボ光源に供給する電圧を昇圧し、この昇圧した電圧により前記LEDに電流を継続供給できるコンデンサを充電させる昇圧手段と、
前記ストロボ光源から発光されるストロボ光の色温度を調整する調整手段と、を備えたカメラのストロボ装置」
である点で一致し、次の点で構成が相違する。
相違点1:本願補正発明1が「被写界の色温度を検出するための色温度検出手段」を備え、「前記色温度検出手段で検出された色温度となるようにストロボ光の色温度を調整する」のに対し、引用発明1は、前記構成を備えていない点。
相違点2:ストロボ光の色温度を調整する調整手段が、本願補正発明1では、「ストロボ光の色温度を発光時間で調整する」のに対し、引用発明1では、「ストロボ光の色温度を発光時間で調整する」ものとされていない点。
相違点3:コンデンサのLEDに電流を継続供給できる時間が、本願補正発明1では、「1/60秒以上」であるのに対し、引用発明1では、前記限定がなされていない点。
相違点4:カメラのストロボ装置が、本願補正発明1は、「カメラボディに内蔵又は外付けされる」のに対し、引用発明1は、「カメラボディに内蔵される」にとどまり、「カメラボディに外付けされる」ものではない点。

エ 相違点についての検討
(ア)相違点1について
上記周知技術文献1には、被写界の色温度に応じて、閃光光源の色温度を変更する閃光光源の色温度変更装置に関して、「被写界の色温度を測定する色温度計測手段と、前記色温度計測手段で測定された色温度に基づいて、閃光光源の色温度を、色温度計測手段で測定された色温度に近づける方向に変更する色温度変更手段とを有する閃光光源の色温度変更装置」が記載されている。
また、上記周知技術文献2にも、電子スチルカメラのストロボの発光色温度制御方法に関して、「周囲の色温度を検出する色温度検出手段であるカメラの表面に取り付けられたR・G・B(赤・緑・青)のカラーセンサ10からの信号により、ストロボの発光色温度を周囲の色温度に合わせて可変させてストロボの発光色温度を制御する手段」が記載されている。
かかる周知技術文献1及び周知技術文献2の記載からみて、「被写界の色温度を検出するための色温度検出手段」を備え、「前記色温度検出手段で検出された色温度となるようにストロボ光の色温度を調整する」ことは、本願特許出願時の周知技術であるといえる。
してみれば、引用発明1に上記周知技術を付加することにより、引用発明1が、前記相違点1に係る本願補正発明1の「被写界の色温度を検出するための色温度検出手段」を備え、「前記色温度検出手段で検出された色温度となるようにストロボ光の色温度を調整する」構成とすることは、前記周知技術に基いて、当業者が何ら困難性を要せずに、容易に想到することができることである。

(イ)相違点2について
上記引用刊行物2に記載の「ストロボ撮影の発光素子としてLEDを用いた撮像装置」について、その段落【0065】に「なお、上記実施の形態では、モノクロのデジタルカメラであるものとして例えば3個の赤色LED27a?27cを点灯駆動するものとして説明したが、本発明はこれに限るものではなく、例えばLEDをRGB、すなわち赤色で点灯するもの、緑色で点灯するもの、及び青色で点灯するものの3個を少なくとも含む白色光源として構成し、カラー画像を得ることができるものとしても良い。」、段落【0066】に「この場合、さらに上記図2及び図3で示したように個々のLEDを均一の時間で順次点灯駆動するのではなく、個々のLEDの発光色に対応してその点灯時間の幅を制御部18が加減設定できるものとして構成すれば、ストロボ光源の点灯状態によっても色温度を任意に調整することができるため、撮像の段階でホワイトバランス調整を行ない、撮像後の画像信号処理を簡略化することができる。」が記載されている。
しかして、上記引用刊行物2に記載の「ストロボ撮影の発光素子としてLEDを用いた撮像装置」における「LEDをRGB、すなわち赤色で点灯するもの、緑色で点灯するもの、及び青色で点灯するものの3個を少なくとも含む白色光源」は、本願補正発明1の「R、G、Bの三色のLEDで構成されるストロボ光源」に対応するものである。
そして、上記引用刊行物2に記載の「ストロボ撮影の発光素子としてLEDを用いた撮像装置」における「個々のLEDの発光色に対応してその点灯時間の幅を制御部18が加減設定できるものとして構成すれば、ストロボ光源の点灯状態によっても色温度を任意に調整することができる」の構成は、「ストロボ光の色温度を発光時間で調整する」構成にほかならない。
なお、上記周知技術文献2にも、「尚、このストロボ制御回路(46)(48)はストロボの発光時間を制御して発光量の調整を行なっている。」が記載されている。
してみれば、引用発明1の「ストロボ光の色温度を調整する調整手段」として、引用刊行物2に記載の「個々のLEDの発光色に対応してその点灯時間の幅を制御部18が加減設定できる」手段を採用することにより、前記相違点2に係る本願補正発明1の「ストロボ光の色温度を発光時間で調整する」構成とすることは、引用刊行物2に記載の発明に基づいて、当業者が何ら困難性を要せずに、容易に想到することができることである。

(ウ)相違点3について
引用刊行物1の段落【0018】に、「また、シャッタ速度は低速の方がフラッシュの光量不足を補うことができるが、シャッタ速度が低速であると日中での撮影に露出過度になるので、日中等でのフラッシュを用いないときには高速と、フラッシュ撮影のときには低速と、シャッタ速度の切り替えができることが望ましい。そして、フラッシュ撮影時にはシャッタ速度は1/60以下に切り替えられることが望ましい。」が記載されている。
また、引用刊行物1の段落【0022】には、「なお、発光開始のタイミングは従来のストロボのようにシャッタ全開時ではなく、図4の発光タイミング図に示すようにシャッタ開動作の開始と同時に行い、シャッタ閉動作の終了時まで発光を持続するようにすることが望ましい。」が記載されている。
かかる引用刊行物1の上記記載によれば、引用発明1では、シャッタ速度を1/60(秒)以下に設定できることが明らかである。また、引用発明1では、フラッシュ撮影時のフラッシュの発光開始のタイミング及び発光持続時間が、シャッタ開動作の開始からシャッタ閉動作の終了時までとされていることも、明らかなことである。
さすれば、引用発明1におけるシャッタ速度を、1/60(秒)以下であるところの、例えば1/60(秒)ジャストに設定した場合において、引用発明1では、発光開始のタイミングをシャッタ全開時ではなく、図4の発光タイミング図に示すようにシャッタ開動作の開始と同時に行い、シャッタ閉動作の終了時まで発光を持続するようにすることができることから、シャッタ速度を1/60(秒)ジャストに設定した場合のフラッシュの発光持続時間は、シャッタ開動作の開始からシャッタ閉動作の終了時までの1/60(秒)の間となることは、明らかなことである。
してみると、引用発明1のコンデンサCが三色の各発光ダイオードに電流を継続供給できる時間は、本願補正発明1の「1/60秒以上」の時間の範囲内である「1/60(秒)」であることになるから、引用発明1は、「1/60(秒)」である点において、前記相違点3に係る本願補正発明1のコンデンサのLEDに電流を継続供給できる時間が「1/60秒以上」であるという時間範囲の条件を満たしているということができる。
そして、引用発明1のコンデンサCが三色の各発光ダイオードに電流を継続供給できる「1/60(秒)」の時間を、本願補正発明1のような「1/60秒以上」に変更することは、当業者が必要に応じて適宜設定できる設計事項である。

(エ)相違点4について
上記周知技術刊行物2の3頁右下欄18行?4頁左上欄3行に、「又、本実施例は、ストロボとカメラを一体物として説明し、ホワイトバランス調整用の色温度情報を兼用してストロボの発光色温度を調整したがストロボがカメラと別体の場合は、専用の色温度情報検出手段をこのストロボに内蔵するようにすれば良い。」が記載されている。
このように、フラッシュ(ストロボ装置)とカメラとを一体物とするか、あるいは、フラッシュ(ストロボ装置)とカメラとを別体とするかは、当業者が必要に応じてなし得る設計事項である。
そうすると、引用発明1のカメラボディに内蔵されるフラッシュを、前記相違点4に係る本願補正発明1の「カメラボディに内蔵又は外付けされる」構成に変更することは、何ら困難を要することではなく、当業者が必要に応じてなし得る設計事項にすぎない。

そして、本願補正発明1の奏する作用効果は、引用発明1及び引用刊行物2に記載された発明、並びに周知技術から予測できる範囲内のものであって、格別のものということができない。

オ まとめ
したがって、本願補正発明1は、引用発明1及び引用刊行物2に記載された発明、並びに周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願補正発明1は特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。

3 むすび
以上のとおりであり、本件補正後の特許請求の範囲に記載された請求項1に係る発明(本願補正発明1)が、特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項に規定するところの「特許出願の際独立して特許を受けることができるもの」に適合していないから、本件補正は、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明について
1 本願発明
上記「第2」欄に前述した理由により、平成18年11月27日付の手続補正が却下されたので、当審が審理すべき本願発明は、平成18年6月19日付手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし7に記載された事項により特定されるとおりのものであるところ、特にその請求項1に係る発明(以下、これを「本願発明1」という。)は、次のとおりのものである(上記「第2」の「1 補正の内容」欄を参照)。
「【請求項1】 カメラボディに内蔵又は外付けされるカメラのストロボ装置において、
R、G、Bの三色のLEDで構成され、各色の発光量を独立して制御することにより、発光するストロボ光の色温度の調整が可能なストロボ光源と、
前記ストロボ光源に供給する電圧を昇圧する昇圧手段と、
特定の被写体を撮影するのに適した色温度が記憶された記憶手段と、
前記記憶手段に記憶された色温度の読出しを指示する指示手段と、
前記指示手段によって色温度が読み出されると、その読み出された色温度となるように前記ストロボ光源から発光されるストロボ光の色温度を調整する調整手段と、
を備えたことを特徴とするカメラのストロボ装置。」

2 原審の拒絶査定の理由2(特許法第29条の2の特許要件違反)に引用された先願引用例及び当該先願引用例に記載の発明
先願引用例:特願2001-257660号(平成13年8月28日出願)の願書に最初に添付した明細書又は図面(特開2003-66519号公報、平成15年3月5日出願公開)

上記先願引用例には、「カメラ装置及びカメラ装置における発光制御方法」に関し、図面の図示とともに、次の事項が記載されている。
「【特許請求の範囲】
【請求項1】 カメラ本体に配置され赤、緑、青の発色光を被写体に照射する複数の発光ダイオードからなる発光手段と、
これら複数の発光ダイオードの少なくとも一つの発光量を可変的に設定する設定手段と、
この設定手段により設定された発光量に従って、撮影時における前記複数の発光ダイオードの発光量を制御する制御手段と
を備えることを特徴とするカメラ装置。
【請求項2】 前記設定手段は、操作入力に応じて前記複数の発光ダイオードの発光量を設定することを特徴とする請求項1記載のカメラ装置。
【請求項3】 前記操作入力により設定される発光量で、操作入力時にも前記発光ダイオードを発光させることを特徴とする請求項2記載のカメラ装置。
【請求項4】 前記操作入力は、表示手段に表示される色サンプルを選択する選択入力であり、
前記設定手段は、選択入力された前記色サンプルに応じて、当該色サンプルが示す色を発光させるための複数の発光ダイオードの発光量を設定することを特徴とする請求項2記載のカメラ装置。
【請求項5】 前記設定手段は、撮影モードに応じて前記複数の発光ダイオードの発光量を設定すること特徴とする請求項1記載のカメラ装置。
【請求項6】 前記設定手段は、前記カメラ本体に設けられている撮像手段により取り込まれる画像成分を分析して、その分析結果に基づき前記複数の発光ダイオードの最適な発光量を設定することを特徴とする請求項1記載のカメラ装置。
【請求項7】 前記設定手段は、前記カメラ本体に設けられている撮像手段により予め撮像された画像の色に基づき、当該色を発光させるための複数の発光ダイオードの発光量を設定することを特徴とする請求項1記載のカメラ装置。
【請求項8】 カメラ本体に配置され赤、緑、青の発色光を被写体に照射する複数の発光ダイオードからなる発光手段を制御する発光制御方法であって、
これら複数の発光ダイオードの少なくとも一つの発光量を可変的に設定する設定ステップと、
この設定ステップで設定された発光量に従って、撮影時における前記複数の発光ダイオードの発光量を制御する制御ステップと
を含むことを特徴とするカメラ装置における発光制御方法。」
「【0001】【発明の属する技術分野】
【0002】 本発明は、LED(Light Emitting Diode)からの光を被写体に照射して撮影を行うカメラ装置及びカメラ装置における発光制御方法に関する。
【0003】【従来の技術】
【0004】 従来、銀塩カメラや電子スチルカメラ等のカメラ装置においては、暗所での撮影時や逆光での撮影時に適正な撮影を可能とするために、ストロボで代表される閃光装置が設けられている。この閃光装置の多くは放電管を利用している。また、レンズの前面に各種フィルターを選択的に装着して撮影することも行われている。各種フィルターを選択的に用いることにより、撮影画像を実際の目で見た画像とは雰囲気が異なるものとしたり画像に色を付加する等、使用したフィルターに対応する特殊効果(フィルター効果)を撮影画像に付与することができる。
【0005】【発明が解決しようとする課題】
【0006】 しかしながら、放電管を利用した閃光装置は、その閃光のためにコンデンサに電力をチャージする必要がある。したがって、コンデンサに電力をチャージしている間は発光できないという制約があり、シャッターチャンスを失ってしまう場合がある。
【0007】 また、フィルターをレンズの前面に装着して所望の特殊効果を得るには、使用するであろう複数のフィルターを常に携帯する必要があり、煩雑となってしまう。さらに、現在レンズ前面に装着されているフィルターを他のフィルターに交換する交換作業を要することから、この点においても煩雑であるとともに、交換作業時間を要することによりシャッターチャンスを失ってしまう場合もあった。
【0008】 本発明は、かかる従来の課題に鑑みてなされたものであり、制約や煩雑性を伴うことなく特殊効果(フィルター効果)を撮影画像に付与することのできるカメラ装置を提供することを目的とする。
【0009】【課題を解決するための手段】
【0010】 前記課題を解決するために請求項1の発明にあっては、カメラ本体に配置され赤(R)、緑(G)、青(B)の発色光を被写体に照射する複数の発光ダイオードからなる発光手段と、これら複数の発光ダイオードの少なくとも一つの発光量を可変的に設定する設定手段と、この設定手段により設定された発光量に従って、撮影時における前記複数の発光ダイオードの発光量を制御する制御手段とを備える。
【0011】 つまり、この発明は、複数の発光ダイオードからなる発光手段を撮影時の閃光装置として用いるものである。したがって、閃光装置としてストロボを用いた場合のように、コンデンサに電力をチャージしている間は発光できないという制約がなく、シャッターチャンスを失ってしまうこともない。
【0012】 また、赤、緑、青の発色光を被写体に照射する複数の発光ダイオードの少なくとも一つの発光量を可変的に設定して、撮影時における複数の発光ダイオードの発光量を制御すれば、複数の発光ダイオードからなる発光手段からの発光色が変化する。したがって、所望の色を被写体に照射して撮影を行うことができ、複数のフィルターを携帯したり、レンズ前面に装着されているフィルターを他のフィルターに交換する交換作業を要することなく、撮影者が所望する特殊効果を撮影画像に付与することができる。
【0013】 また、請求項2記載の発明にあっては、前記設定手段は、操作入力に応じて前記複数の発光ダイオードの発光量を設定する。したがって、撮影者は操作入力により、発光手段から被写体に照射される光の色を任意に変化させることができ、これにより撮影者が所望する特殊効果が撮影画像に付与される。
【0014】 また、請求項3記載の発明にあっては、前記操作入力により設定される発光量で、操作入力時にも前記発光ダイオードを発光させる。したがって撮影者は、複数の発光ダイオードからの発光により生成される発光色を目で確認しつつ、所望の発光色設定することが可能となる。
【0015】 また、請求項4記載の発明にあっては、前記操作入力は、表示手段に表示される色サンプルを選択する選択入力であり、前記設定手段は、選択入力された前記色サンプルに応じて、当該色サンプルが示す色を発光させるための複数の発光ダイオードの発光量を設定する。したがって、表示手段に表示される色サンプルを選択する簡単な操作により、発光手段から選択した色サンプルが示す色の光を発光手段から被写体に照射させ得る。
【0016】 また、請求項5記載の発明にあっては、前記設定手段は、撮影モードに応じて前記複数の発光ダイオードの発光量を設定する。したがって、「人物撮影モード」や「マクロ撮影モード」等の撮影モードが設定された場合には、これら撮影モードに適した複数の発光ダイオードの発光量が設定されて、撮影時における発光量を制御されて、通常の撮影とは異なる雰囲気の画像を容易に撮影することができる。
【0017】 また、請求項6記載の発明にあっては、前記設定手段は、前記カメラ本体に設けられている撮像手段により取り込まれる画像成分を分析して、その分析結果に基づき前記複数の発光ダイオードの最適な発光量を設定する。よって、撮影モードに関係なくどのような撮影モードの時であっても、容易に見栄えのよい画像を撮影することができる。
【0018】 また、請求項7記載の発明にあっては、前記設定手段は、前記カメラ本体に設けられている撮像手段により予め撮像された画像の色に基づき、当該色を発光させるための複数の発光ダイオードの発光量を設定する。したがって、入力操作による設定では困難な中間色発光も自動設定することができる。
【0019】 また、請求項8記載の発明にあっては、カメラ本体に配置され赤、緑、青の発色光を被写体に照射する複数の発光ダイオードからなる発光手段を制御する発光制御方法であって、これら複数の発光ダイオードの少なくとも一つの発光量を可変的に設定する設定ステップと、この設定ステップで設定された発光量に従って、撮影時における前記複数の発光ダイオードの発光量を制御する制御ステップとを含む。したがって、この請求項8記載の発明によれば、記載したステップでMPU等に処理を実行させることにより、請求項1に記載した発明と同様の効果を得ることが可能となる。
【0020】【発明の実施の形態】
【0021】 以下、本発明の一実施の形態を図にしたがって説明する。図1?3は、本実施の形態にかかる電子スチルカメラ1の外観を示す図であって、図1は正面図、図2は平面図、図3は背面図である。
【0022】 図1に示すように電子スチルカメラ1は、カメラ本体2の正面側にレンズ3、調光センサ4、及びLED(Light Emitting Diode)群5を有する。このLED群5は、発光色が赤である赤色LED51R?55R、発光色が緑である緑色LED51G?55G、及び発光色が青である青色LED51B?55Bで構成され、各々5個ずつ水平方向に配列されている。これら赤色LED51R?55R、緑色LED51G?55G、青色LED51B?55Bは、後述するMPU19の制御により、個々に点灯及び消灯が可能であるのみならず、個々に発光量も可変である。したがって、LED群5は、赤色LED51R?55R、緑色LED51G?55G、青色LED51B?55Bの点灯、消灯及び発光量(以下、点灯、消灯及び発光量を総称して単に発光量という。)により、あらゆる色の発光及び同一色であっても濃度が異なる色の発光が可能である。
【0023】 図2に示すようにカメラ本体2の上面には、撮影ダイアル6、電源/ファンクションスイッチ7、シャッターキー8、コントロールパネル9、及び複数の機能キー10が設けられている。撮影ダイアル6は、「人物撮影モード」「マクロ撮影モード」等の撮影モードを設定するためのダイアルである。また、図3に示すように背面には、メニューキー11、カーソルキー12、セットキー13、液晶モニター・スイッチ14、光学ファインダ15、及びTFT液晶モニター16が設けられている。
【0024】 図4は、電子スチルカメラ1の電気的構成の概略を示すブロック構成図である。電子スチルカメラ1は、撮像手段であるCCD17により撮像した画像をJPEG形式に変換する等の画像処理機能を備えたMPU19を中心に構成されている。CCD17の受光面には、前記レンズ3、フォーカスレンズ20、絞り21を通過して被写体の光学像が結像される。フォーカスレンズ20はAFモータ等からなる駆動機構22に保持されており、MPU19からの制御信号によりAFドライバー23が出力する駆動信号が駆動機構22に供給されることにより光軸上を前後に移動する合焦動作を行う。絞り21は、MPU19からの制御信号に基づき絞り駆動部24が発生する駆動信号により駆動し、CCD17に入射する被写体像の光量を調整する。
【0025】 また、MPU19には、タイミング信号を発生するTG(Timing Generator )25が接続されており、TG25が発生したタイミング信号に基づきVドライバー26(垂直方向ドライバー)がCCD17を駆動し、それに伴いCCD17により被写体像の輝度に応じたアナログの撮像信号が出力されユニット回路18へ送られる。ユニット回路18は、CCD17から出力された撮像信号を保持するCDSと、CDSから撮像信号を供給されるアナログアンプであるゲイン調整アンプ(AGC)と、ゲイン調整アンプに増幅され調整された撮像信号を画像データに変換するA/D変換器(AD)とからなり、CCD17の出力信号は、ここで黒レベルを合わせてサンプリングされデジタル信号としてMPU19に送られる。送られたデジタル信号(撮像信号)はDRAM27に一時保存されるとともに、MPU19によって各種の画像処理が施された後、最終的には圧縮された映像信号としてフラッシュメモリ(FLASH)28に保存される。保存された映像信号は、必要に応じてMPU19に読み出され、伸長処理、輝度信号及び色信号の付加等の処理を経てデジタルビデオ信号やアナログビデオ信号に生成される。
【0026】 さらに、MPU19にはMROM29と、電源回路30、図1?3に示した各種のキーやスイッチを含む操作キー部31、前記TFT液晶モニター16、前記LED群5が接続されている。MROM29は、後述するフローチャートに示すMPU19の動作プログラムが記録されたプログラムROMである。また、MROM29には撮影時の適正な露出値(EV)に対応する絞り値(F)とシャッタースピードとの組み合わせを示すプログラム線図を構成するプログラムAEデータが格納されている。
【0027】 加えて、MROM29には、後述する図5(E)に示すように、「白」「赤」「緑」「黄」「橙」・・・等の色のサンプルと、当該色の光を発生させるための赤色LED51R?55R、緑色LED51G?55G、青色LED51B?55Bの発光量とが対応して記憶されている。さらに、MROM29には、前記撮影ダイアル6の操作により「人物撮影モード」が設定された場合に、人物を見栄えよく撮影できる赤色LED51R?55R、緑色LED51G?55G、青色LED51B?55Bの発光量と、「マクロ撮影モード」が設定された場合に、接写の被写体を見栄えよく撮影できる赤色LED51R?55R、緑色LED51G?55G、青色LED51B?55Bの発光量とが記憶されている。
【0028】 MPU19は、内蔵するRAMをワーキングメモリとして前記動作プログラムに従い動作することにより本発明の設定手段及び制御手段として機能する。また、前記プログラム線図に従って前記CCD17の電荷蓄積時間や、前記絞り21の開放度、前記ユニット回路18のゲイン調整アンプ(AGC)のゲイン設定等を行う。MPU19が設定した電荷蓄積時間はシャッターパルスとして、TG25を介してVドライバー26に供給され、これに従いVドライバー26がCCD17を駆動することにより電荷蓄積時間すなわち露光時間が制御される。つまりCCD17は電子シャッターとして機能する。また、MROM29に格納された動作プログラムには、オートフォーカス制御に関するプログラムが含まれており、かかるプログラムに基づきMPU19は、前記フォーカスレンズ20を駆動させピント合わせ(オートフォーカス)を行う。
【0029】 TFT液晶モニター16は、録画モードにおいては逐次撮像された画像をスルー画像として表示し、再生モードにおいては前記フラッシュメモリ28に記録された画像データから生成されたアナログビデオ信号に基づく映像を表示する。LED群5は、シャッターキー8の操作時(撮影時)に必要に応じて駆動され補助光を発する。
【0030】 なお、前述したMROM29に記憶されているプログラムデータ等は、その記録内容の保持が可能であれば、別途固定的に設けたもの、若しくは脱着自在に装着可能なICカード等の他の記録媒体に記録される構成にしてもよく、更に、前記プログラムデータ等をパソコン等の他の機器から供給可能な構成としてもよい。
【0031】 次に、以上の構成からなる電子スチルカメラ1の動作について説明する。ユーザがメニューキー11を操作すると、図5(A)に示す「通常発光」「発光設定」・・・等のメニューがTFT液晶モニター16に表示される。ここで「通常発光」は、撮影時にLED群5を構成する全てのLEDを発光させて通常のフラッシュとして用いる場合の設定であり、「発光設定」は後述するようにLED群5を構成するLEDの発光量制御により、フィルターを用いた場合と同様の特殊効果を撮影画像に付与するための設定である。
【0032】 そして、図5(A)の画面状態においてユーザがカーソルキー12を操作して「発光設定」上にカーソルを移動させて、セットキー13を操作すると、「発光設定」が選択されたこととなる。すると、図5(B)に示す「マニュアル」「撮影シーン」「撮影画像」「予備撮影」からなる次の発光モードのメニュー画面がTFT液晶モニター16に表示される。
【0033】 この状態からMPU19は、MROM29に格納されているプログラムに従って図6のフローチャートに示す手順で処理を実行する。すなわち、図5(B)に示した「マニュアル」「撮影シーン」「撮影画像」「予備撮影」のいずれかがユーザに選択(設定)されたかを判断する(ステップS1)。そして、前述と同様のカーソルキー12とセットキー13の操作により、「マニュアル」が選択された場合にはマニュアルモード処理を実行し(ステップS2)、「撮影シーン」が選択された場合には撮影シーン対応モード処理を実行する(ステップS3)。また、「撮影画像」が選択された場合には撮影画像対応モード処理を実行し(ステップS4)、「予備撮影」が選択された場合には予備撮影モード処理を実行する(ステップS5)。
【0034】 丸1マニュアルモード処理
図5(B)に示すように「マニュアル」が選択されて、ステップS2のマニュアルモード処理が選択されると、図7に示すフローチャートに従ってマニュアルモード処理が実行される。まず、図5(C)に示す「発光ON」と「発光OFF」とからなる次のメニュー画面がTFT液晶モニター16に表示され、この表示状態で、ユーザはカーソルキー12とセットキー13の操作により、「発光ON」又は「発光OFF」を選択する(ステップS21)。
【0035】 「発光する」が選択された場合には、図5(D)に示すようにTFT液晶モニター16には、RED(赤)、GREEN(緑)、BLUE(青)毎にメーターを表示させ、このメータ表示させた発光量でLED群5を構成する赤色LED51R?55R、緑色LED51G?55G、青色LED51B?55Bを発光させて、RGB各LEDの発光量を決定する(ステップS22)。
【0036】 すなわち、図5(D)に示したように、TFT液晶モニター16にRED(赤)、GREEN(緑)、BLUE(青)毎のメーターが表示されている状態で、カーソルキー12を操作すると、これに伴って各メーターの点灯数が変化し、かつ、これに同期して赤色LED51R?55R、緑色LED51G?55G、青色LED51B?55Bの発光量が変化する。したがって、ユーザはカーソルキー12を操作し、赤色LED51R?55R、緑色LED51G?55G、青色LED51B?55Bの発光量を変化させて、メーターを参照しつつ実際に被写体に当たる光の色を観察する。無論、発光させるのはRGBのうち一つだけでもよいし、三色を任意に組み合わせることもできる。そして、所望の色の光が被写体に当たった時点で、セットキー13を操作すると、ステップS22での処理によりRGBの発光量が決定される。
【0037】 ここで、TFT液晶モニター16には、図5(D)に示したような、RED(赤)、GREEN(緑)、BLUE(青)毎のメーターだけを表示しても良いが、撮像されたスルー画像の上に重ねて表示するようにしても良い。重ねた表示例としては、スルー画像の全面に重ねて表示しても、スルー画像の右端等に小さくサブ画面のように重ねてもかまわない。ユーザが光に当たっている被写体をスルー画像でも確認することができ、各LEDの設定が更にやりやすくなる。
【0038】 しかる後に、シャッターキー8が操作されると、撮影処理が実行されて(ステップS24)、前述のステップS22で決定されたRGBの発光量に従って赤色LED51R?55R、緑色LED51G?55G、青色LED51B?55Bを発光させて、撮像した画像をフラッシュメモリ28に保存する。
【0039】 また、ステップS21での選択の結果、「発光する」が選択されてなかった場合には、色のサンプルメニューからRGBの発光量を決定する(ステップS23)。すなわち、「発光する」が設定されていない場合には、TFT液晶モニター16には、図5(E)に示すように、「白」「赤」「緑」「黄」「橙」・・・等の色のサンプルが表示される。この表示状態で、カーソルキー12を操作してカーソルを所望のサンプル上に移動させてセットキー13を操作により、サンプルメニューからの色の決定がなされる。したがって、この場合にはLED群5の点灯及びこれに伴う電力消費がないことから、予め所望の発光色が決定されているならば、「発光する」を選択しない方が好ましい。
【0040】 この表示される色のサンプルと、当該色の光を発生させるための赤色LED51R?55R、緑色LED51G?55G、青色LED51B?55Bの発光量との関係は、前述のようにMROM29に記憶されている。したがって、ステップS23の処理が終了した後、シャッターキー8が操作されて撮影処理が実行されると(ステップS24)、決定された色のサンプルに対応する発光量で赤色LED51R?55R、緑色LED51G?55G、青色LED51B?55Bが発光している状態で、撮像した画像をフラッシュメモリ28に保存する。
【0041】 したがって、以上のマニュアルモード処理によれば、ユーザがLEDの発光量を任意に設定して、所望の色を被写体に投光して撮影を行うことができる。よって、従来にように、複数のフィルターを携帯したり、レンズ前面に装着されているフィルターを他のフィルターに交換する交換作業を要することなく、容易に撮影者が所望する特殊効果を撮影画像に付与することができる。
【0042】 丸2撮影シーン対応モード処理
【0043】 前記撮影シーン対応モード処理(ステップS3)が選択されると、図8に示すフローチャートに従って撮影シーン対応モード処理が実行される。まず、ユーザの前記撮影ダイアル6の操作により「人物撮影モード」が設定されているか否かを判断する(ステップS31)。「人物撮影モード」が設定されていた場合には、前述のようにMROM29に記憶されている、「人物撮影モード」が設定されていた場合に、人物を見栄えよく撮影できる赤色LED51R?55R、緑色LED51G?55G、青色LED51B?55Bの発光量を読み出して設定する(ステップS32)。そして、シャッターキー8が操作されて撮影処理が実行されると(ステップS35)、設定された発光量で赤色LED51R?55R、緑色LED51G?55G、青色LED51B?55Bが発光している状態で、撮像した画像をフラッシュメモリ28に保存する。
【0044】 また、「人物撮影モード」が設定されていない場合には「マクロ撮影モード」が設定されているか否かを判断する(ステップS33)。「マクロ撮影モード」が設定されていた場合には、前述と同様にMROM29に記憶されている、「マクロ撮影モード」が設定されていた場合に、接写の被写体を見栄えよく撮影できる赤色LED51R?55R、緑色LED51G?55G、青色LED51B?55Bの発光量を読み出して設定する(ステップS34)。ここで、「マクロ撮影モード」時には、接写によりカメラ本体2が被写体に近づいて影になり易いことを考慮して、RGBの発光量が設定されている。そして、シャッターキー8が操作されて撮影処理が実行されると(ステップS35)、設定された発光量で赤色LED51R?55R、緑色LED51G?55G、青色LED51B?55Bが発光している状態で、撮像した画像をフラッシュメモリ28に保存する。
【0045】 したがって、この撮影シーン対応モードによれば、「人物撮影モード」及び「マクロ撮影モード」において、各モードに適したLEDの発光が行われて、見栄えのよい撮影を行うことができる。また、フィルター効果に関する知識がないユーザであっても、通常の撮影とは異なる雰囲気の画像を容易に撮影することができる。
【0046】 なお、本実施の形態における撮影シーン対応モード処理では、予めMROM29に記憶されている各撮影モードに対応するRGBの発光量を読み出して、LED群5を発光させるようにしたが、後述する撮影画像対応モードの機能を組み合わせて、被写体画像を検出してRGBの発光量を設定するようにしてもよい。これにより、「人物撮影モード」において当該人物の皮膚の色(色白、色黒)に応じた適切なRGB発光や、逆光を考慮したRGB発光が可能となる。また、マクロ撮影も同様に被写体が例えば花の場合、色も様々であるので、被写体を検出してから、被写体画像を検出してRGBの発光量を設定するようにしてもよい。
【0047】 丸3撮影画像対応モード処理
【0048】 前記撮影画像対応モード(ステップS4)が選択されると、図9に示すフローチャートに従って撮影画像対応モード処理が実行される。まず、CCD17からの画像を分析する(ステップS41)。ここで、画像の分析とは、画像全体の色の割合、例えば全体的に黄色い、青い等の判断であり、この分析結果により画像に合うRGBの発光量を決定する(ステップS42)。そして、シャッターキー8が操作されて撮影処理が実行されると(ステップS43)、設定された発光量で赤色LED51R?55R、緑色LED51G?55G、青色LED51B?55Bが発光している状態で、撮像した画像をフラッシュメモリ28に保存する。
【0049】 したがって、この撮影画像対応モードによれば、被写体が真っ赤な花であるとそれに見合うようなRGB発光がなされ、夕焼けなどの光で全体的に橙色がかった状況である場合には、違和感のない同系色の発光がなされる等のRGB発光がなされる。よって、前述した撮影シーン対応モードと同様にユーザは特に意識することなく、しかも撮影モードに関係なくどのような撮影モードの時であっても、容易に見栄えのよい画像を撮影することができる。
【0050】 丸4予備撮影モード処理
【0051】 前記予備撮影モード(ステップS5)が選択されると、図10に示すフローチャートに従って予備撮影モード処理が実行される。先ず一回目の撮影を行って設定したい色の被写体を撮影する(ステップS51)。つまり、ある色の壁があり、この壁に色と同じ色をLED群5により発光させたい場合には、LED群5をOFFにした状態で当該壁を撮影する。次に、撮影した画像から発光色を設定する(ステップS52)。つまり、前記壁が橙色であれば、LED群5の発光により橙色が照射されるように、赤色LED51R?55R、緑色LED51G?55G、青色LED51B?55Bの発光量を設定する。
【0052】 しかる後に、ユーザが撮影したい被写体にレンズ3を向けてシャッターキー8を操作すると、前述のステップS52で設定された発光量で赤色LED51R?55R、緑色LED51G?55G、青色LED51B?55Bが発光動作して、二回目の撮影、発光がなされる(ステップS53)。次いで、撮影処理が実行されて(ステップS54)、赤色LED51R?55R、緑色LED51G?55G、青色LED51B?55Bが発光している状態で、撮像した画像をフラッシュメモリ28に保存する。
【0053】 したがって、この予備撮影モードによれば、周囲に存在する壁等の物体の色に近似する色の発光を行うことができ、例えば、ステップS51の一回目の撮影で蛍光灯を撮影することにより、ステップS53では蛍光灯の発光色と同一色あるいは近似色をLED群5から発光させることができる。よって、屋外で撮影しても、蛍光灯のある室内で撮影したかの如く表現された画像を撮影することができる。また、マニュアルモードでの設定では困難な中間色発光も自動設定することができ、容易に微妙な色の発光設定が可能となる。
【0054】 なお上記の各モードにおいて、画像を保存した後の次の撮影は、図5(A)?(B)に示すメニュー画面で変更をしない限り前回と同じ設定で撮影が行われる。
【0055】 なお、本実施の形態においては、赤色LED51R?55R、緑色LED51G?55G、青色LED51B?55Bを5個ずつ水平方向に直線的に配置するようにしたが、LED群5を構成するLEDの配置形態や個数はこれに限ることなく、撮影時に必要な光量が得られれば、他の配置形態及び個数であってもよく、また、赤、青、緑のLEDは同数である必要もない。
【0056】【発明の効果】
【0057】 以上説明したように本発明は、複数の発光ダイオードからなる発光手段を撮影時の閃光装置として用いるようにしたことから、発光できないという制約がなく、シャッターチャンスを失ってしまう不都合を解消することができる。また、所望の色を被写体に照射して撮影を行うことができることから、複数のフィルターを携帯したり、フィルター交換作業を要することなく、容易に特殊効果を撮影画像に付与することができる。
【0058】 また、複数の発光ダイオードの発光量を設定するための操作入力時にも発光を行うようにしたことから、複数の発光ダイオードからの発光により生成される発光色を目で確認しつつ設定を行うことができ、容易かつ正確に所望の発光色設定が可能となる。
【0059】 また、選択された色サンプルに応じて、当該色サンプルが示す色を発光させるための複数の発光ダイオードの発光量を設定するようにしたことから、色サンプルを選択する簡単な操作により、選択した色サンプルが示す色の光を被写体に照射して撮影を行うことができる。
【0060】 また、撮影モードに応じて複数の発光ダイオードの発光量を設定するようにしたことから、フィルター効果に関する知識がない撮影者であっても、通常の撮影とは異なる雰囲気の画像を容易に撮影することができる。
【0061】 また、カメラ本体に取り込まれる画像成分を分析して、その分析結果に基づき複数の発光ダイオードの最適な発光量を設定するようにしたことから、撮影者は特に意識することなく、しかも撮影モードに関係なくどのような撮影モードの時であっても、容易に見栄えのよい画像を撮影することができる。
【0062】 また、予め撮像された画像の色に基づき、当該色を発光させるための複数の発光ダイオードの発光量を設定するようにしたことから、入力操作による設定では困難な中間色発光も自動設定することができ、容易に微妙な色の発光設定が可能となる。」

そうすると、先願引用例の上記摘記事項及び図面の図示からみて、前記先願引用例には、次の発明(以下、これを「先願発明」という。)の記載が認められる。
「カメラ本体2に配置され、赤色LED51R?55R、緑色LED51G?55G、青色LED51B?55BのLED群5から構成され、赤(R)、緑(G)、青(B)の発色光を被写体に照射する複数の発光ダイオードからなる発光手段の光を被写体に照射して撮影を行う電子スチルカメラ1の閃光装置において、
被写体を選択する撮影ダイアル6の操作により選択された前記被写体と、前記赤色LED51R?55R、緑色LED51G?55G、青色LED51B?55BのLED群5を構成する複数の発光ダイオードの発光量との関係が記憶されているMROM29と、
前記撮影ダイアル6により被写体が選択されることにより、前記MROM29に記憶されている被写体と、前記赤色LED51R?55R、緑色LED51G?55G、青色LED51B?55BのLED群5を構成する複数の発光ダイオードの発光量との関係を読み出して、前記赤色LED51R?55R、緑色LED51G?55G、青色LED51B?55BのLED群5を構成する複数の発光ダイオードの少なくとも一つの発光量を可変的に設定するとともに、前記設定手段により設定された発光量に従って、撮影時における前記複数の発光ダイオードの発光量を制御するMPU19と、を備え、
前記赤色LED51R?55R、緑色LED51G?55G、青色LED51B?55Bは、前記MPU19の制御により、個々に点灯及び消灯が可能であるのみならず、個々に発光量も可変であり、LED群5は、赤色LED51R?55R、緑色LED51G?55G、青色LED51B?55Bの点灯、消灯及び発光量により、あらゆる色の発光及び同一色であっても濃度が異なる色の発光が可能であり、
前記MPU19は、被写体が人物撮影モードの場合に、前記MROM29に記憶されている人物を見栄えよく撮影できる赤色LED51R?55R、緑色LED51G?55G、青色LED51B?55Bの発光量を読み出して設定し、また、被写体が接写撮影モードの場合には、前記MROM29に記憶されている接写の被写体を見栄えよく撮影できる赤色LED51R?55R、緑色LED51G?55G、青色LED51B?55Bの発光量を読み出して設定して、シャッターキー8が操作されて撮影処理が実行されると、設定された発光量で赤色LED51R?55R、緑色LED51G?55G、青色LED51B?55Bを発光させるようになっており、
前記MPU19が、予めMROM29に記憶されている各撮影モードに対応する赤(R)、緑(G)、青(B)のLED群5を構成する複数の発光ダイオードの発光量を読み出して、前記赤(R)、緑(G)、青(B)の発色光を、選択された被写体に応じて照射する複数の発光ダイオードの少なくとも一つの発光量を可変的に設定して、撮影時における複数の発光ダイオードの発光量を制御することにより、各撮影モードに適したLED群5を構成する複数の発光ダイオードを発光させるようにして、複数の発光ダイオードからなる発光手段からの発光色が変化して、所望の色を被写体に照射して見栄えのよい撮影を行うことができるようにした電子スチルカメラ1の閃光装置」

3 対比
そこで、本願発明1と上記先願発明とを対比する。
(1)まず、先願発明の「カメラ本体2」、「電子スチルカメラ1の閃光装置」及び「被写体を選択する撮影ダイアル6の操作により選択された前記被写体と、前記赤色LED51R?55R、緑色LED51G?55G、青色LED51B?55BのLED群5を構成する複数の発光ダイオードの発光量との関係が記憶されているMROM29」のそれぞれが、本願発明1の「カメラボディ」、「カメラのストロボ装置」及び「特定の被写体を撮影するのに適した色温度が記憶された記憶手段」のそれぞれに相当することは明らかである。

(2)また、先願発明の「赤色LED51R?55R、緑色LED51G?55G、青色LED51B?55BのLED群5から構成され、赤(R)、緑(G)、青(B)の発色光を被写体に照射する複数の発光ダイオードからなる発光手段」は、MPU19の制御により、個々に点灯及び消灯が可能であるのみならず、個々に発光量も可変であり、LED群5は、赤色LED51R?55R、緑色LED51G?55G、青色LED51B?55Bの点灯、消灯及び発光量により、あらゆる色の発光及び同一色であっても濃度が異なる色の発光が可能であることから、先願発明の前記「赤色LED51R?55R、緑色LED51G?55G、青色LED51B?55BのLED群5から構成され、赤(R)、緑(G)、青(B)の発色光を被写体に照射する複数の発光ダイオードからなる発光手段」が、本願発明1の「R、G、Bの三色のLEDで構成され、各色の発光量を独立して制御することにより、発光するストロボ光の色温度の調整が可能なストロボ光源」に相当するといえる。

(3)さらに、先願発明における「前記撮影ダイアル6により被写体が選択されることにより、前記MROM29に記憶されている被写体と、前記赤色LED51R?55R、緑色LED51G?55G、青色LED51B?55BのLED群5を構成する複数の発光ダイオードの発光量との関係を読み出して、前記赤色LED51R?55R、緑色LED51G?55G、青色LED51B?55BのLED群5を構成する複数の発光ダイオードの少なくとも一つの発光量を可変的に設定するMPU19」の機能が、本願発明1の「前記記憶手段に記憶された色温度の読出しを指示する指示手段」に相当する。

(4)そして、先願発明における「前記設定手段により設定された発光量に従って、撮影時における前記複数の発光ダイオードの発光量を制御するMPU19」の機能が、本願発明1の「前記指示手段によって色温度が読み出されると、その読み出された色温度となるように前記ストロボ光源から発光されるストロボ光の色温度を調整する調整手段」に相当するといえる。

(5)そうすると、本願発明1と先願発明との両者は、
「カメラボディに内蔵又は外付けされるカメラのストロボ装置において、
R、G、Bの三色のLEDで構成され、各色の発光量を独立して制御することにより、発光するストロボ光の色温度の調整が可能なストロボ光源と、
特定の被写体を撮影するのに適した色温度が記憶された記憶手段と、
前記記憶手段に記憶された色温度の読出しを指示する指示手段と、
前記指示手段によって色温度が読み出されると、その読み出された色温度となるように前記ストロボ光源から発光されるストロボ光の色温度を調整する調整手段と、を備えたことを特徴とするカメラのストロボ装置。」
である点で一致し、次の点で両者の構成が相違する。
相違点:本願発明1が、「前記ストロボ光源に供給する電圧を昇圧する昇圧手段」を備えるのに対して、先願発明は、「前記ストロボ光源に供給する電圧を昇圧する昇圧手段」を備えていない点。

4 相違点についての判断
(1)上記「第2 平成18年11月27日付の手続補正についての補正の却下の決定」欄の「イ 引用刊行物及び記載事項」の「(ア)」に示した引用刊行物1〔特開平11-133490号公報〕に、
「赤色光、青色光及び緑色光を発光する三色の発光ダイオードをフラッシュ光源に用いたフラッシュ回路を有するレンズ付きフィルムユニットに内蔵されるフラッシュにおいて、
前記フラッシュ回路が、複数本の赤色光発光ダイオード、複数本の青色光発光ダイオード及び複数本の緑色光発光ダイオードの三色の各発光ダイオード11,12,13から構成されるフラッシュ光源と、フラッシュ用電源としての1.5Vの電池Bと、前記電池Bの電圧を昇圧させる昇圧回路5と、前記昇圧回路5により充電した電荷を蓄えるコンデンサCと、メインスイッチM-SWと、シャッタ羽根の開放動作に連動してオンとなるシンクロスイッチS-SWと、前記三色の各発光ダイオード11,12,13と直列に各々接続する任意のスイッチとを備え、
前記三色の各発光ダイオード11,12,13は、それらの発光強度に応じて所望の発光色と発光強度になるように各色の発光ダイオード11,12,13の本数が変えてあり、
前記メインスイッチM-SWをオンさせて前記昇圧回路5により前記三色の各発光ダイオード11,12,13の駆動電圧である約3.0V以上まで昇圧させて、その電荷をコンデンサCに蓄積し、シンクロスイッチS-SWのオンによりコンデンサCの電荷を放電させるとともに、前記任意のスイッチをオン・オフさせて、前記三色の各発光ダイオード11,12,13のうちの任意の発光ダイオードを個別に発光させることにより、被写体を特殊な色に照明して敢えて不自然な発色となる写真表現をすることもできる発光ができるようになっており、
そして、発光開始のタイミングが、シャッタ開動作の開始と同時に行い、シャッタ閉動作の終了時まで発光を持続するようにしてあり、
フラッシュ撮影時にシャッタ速度が1/60以下の低速に切り替えることができるレンズ付きフィルムユニットに内蔵されるフラッシュ」
の発明が記載されていることは、前述したとおりである。

(2)そして、前記引用刊行物1に記載の発明のレンズ付きフィルムユニットに内蔵されるフラッシュが備える「フラッシュ用電源としての1.5Vの電池Bと、前記電池Bの電圧を昇圧させる昇圧回路5」は、前記三色の各発光ダイオード11,12,13の駆動電圧である約3.0V以上まで昇圧させて、その電荷をコンデンサCに蓄積し、シンクロスイッチS-SWのオンによりコンデンサCの電荷を放電させるためのものであるから、前記「フラッシュ用電源としての1.5Vの電池Bと、前記電池Bの電圧を昇圧させる昇圧回路5」は、本願発明1の「前記ストロボ光源に供給する電圧を昇圧する昇圧手段」に対応するものであるといえる。

(3)しかして、前記引用刊行物1の段落【0027】に、「また、図3に示すように1.5Vの電池を1本用い、昇圧させてから発光ダイオードを発光させるようにしてもよい。」と記載されているように、カメラにおけるストロボ装置、フラッシュ等の閃光装置の電源電圧が低い場合に、その電源電圧を昇圧して電荷を一旦コンデンサに蓄積し、当該コンデンサから蓄積した電荷を放出することにより前記閃光装置の光源に所要電圧で所要時間だけ所要電流を導通させて、露光に必要な所要発光量を確保するために、閃光装置に昇圧回路を設けることにより、閃光装置の光源に供給する電圧を昇圧させる昇圧手段が、本願特許出願時の周知の手段であり、かつ、広く慣用されている手段であることを参酌すると、「カメラにおけるストロボ装置、フラッシュ等の閃光装置の電源電圧が低い場合に、電圧を昇圧させてから発光ダイオードを発光させるようにする技術」は、閃光装置の電源電圧の高・低に応じて当業者が適宜付加できる周知慣用技術であるといえる。

(4)さらにいえば、先願発明に、前記周知慣用技術である「閃光装置の光源に供給する電圧を昇圧する昇圧手段」を付加したとしても、前記周知慣用技術を付加された先願発明は、LEDの発光自体が不可能になるわけではなく、単にコンデンサに電力をチャージしている間は発光できないという制約があるだけであり、本願発明1でも、「前記ストロボ光源に供給する電圧を昇圧する昇圧手段」によりコンデンサに電力をチャージしている間はLEDの発光ができなくなることから、本願発明1においても、先願発明に前記周知慣用技術を付加した場合の制約と同様の制約があるといえる。
以上のことから、先願発明に、前記周知慣用技術である「閃光装置の光源に供給する電圧を昇圧する昇圧手段」を付加したとしても、前記周知慣用手段の存在が先願発明の機能を阻害する要因となるとは認めることができない。

(5)そうすると、本願発明1に前記周知慣用技術を付加したことにより奏される本願発明1の効果は、ただ単に、前記周知慣用技術が奏する効果の範囲にとどまり、前記周知慣用技術が奏する効果の範囲を超えて、格別の相乗効果を奏するものと認めることができない。

(6)さすれば、本願発明1が前記相違点に係る「前記ストロボ光源に供給する電圧を昇圧する昇圧手段」を備えることは、先願発明に周知慣用技術である「閃光装置の光源に供給する電圧を昇圧する昇圧手段」を単に付加したものであって、前記周知慣用技術の付加が新たな効果を奏するものではないから、前記相違点は、先願発明に対する課題解決のための具体化手段における微差であるといえる。
したがって、本願発明1は、先願発明と実質同一の発明である。

5 まとめ
以上のとおりであるから、本願発明1は、先願発明と実質同一である。

6 むすび
以上のとおりであり、本願発明1は、本願発明1に係る当該特許出願の日前の他の特許出願〔上記引用例:特願2001-257660号〕であつて当該特許出願後に出願公開の発行がされたものの願書に最初に添付した明細書又は図面〔特開2003-66519号公報参照〕に記載された先願発明と実質同一であり、しかも、前記引用例の先願発明をした者が当該特許出願に係る本願発明1の発明者と同一の者でなく、また、本願特許出願の時において、当該特許出願人が前記引用例の特許出願の出願人と同一でもないから、本願発明1は、特許法第29条の2の規定により、特許を受けることができない。
したがって、本願の他の請求項に係る発明についての検討をするまでもなく、本願は、拒絶されるべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2008-06-05 
結審通知日 2008-06-06 
審決日 2008-06-17 
出願番号 特願2002-15699(P2002-15699)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G03B)
P 1 8・ 161- Z (G03B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 本田 博幸  
特許庁審判長 佐藤 昭喜
特許庁審判官 森林 克郎
越河 勉
発明の名称 カメラのストロボ装置  
代理人 松浦 憲三  
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