• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1184039
審判番号 不服2007-13409  
総通号数 106 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2008-10-31 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2007-05-09 
確定日 2008-09-10 
事件の表示 特願2002-132179「射撃ゲーム装置」拒絶査定不服審判事件〔平成15年11月11日出願公開、特開2003-320161〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由
第1 手続の経緯・本願発明の認定
本願は平成14年5月7日の出願であって、平成18年12月22日付けで拒絶の理由が通知され、平成19年3月19日付けで意見書及び手続補正書が提出されたが、平成19年3月30日付けで拒絶の査定がされたため、これを不服として平成19年5月9日付けで本件審判請求がされたものである。
したがって、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成19年3月19日付けの手続補正により補正された明細書の特許請求の範囲【請求項1】に記載された事項によって特定される次のとおりのものと認める。

「1個以上の受光部を備えたターゲットと、
前記1個以上の受光部に照射する光線を発射する光線銃とを備え、
前記ターゲットが、
射撃タイミングを表示する射撃タイミング発生手段と、
前記受光部からの受光信号に基づいて射撃の結果を判定する射撃命中判定手段と、
前記射撃タイミング発生手段が前記射撃タイミングを表示してから前記受光部に前記光線が当たるまでの射撃所要時間を計数する射撃時間計数手段と、
前記射撃時間計数手段が計数した前記射撃所要時間に基づいてプレイの結果を判定して各種の動作指令を出力するプレイ結果判定指令手段と、
前記動作指令を受けて第1の状態から第2の状態に変位する変位部材を備えた変位機構と、
射撃の結果を表示する表示手段とを備え、
前記表示手段が効果音によって射撃の結果を表示する音響表示手段を含んでおり、
前記プレイ結果判定指令手段は、前記射撃命中判定手段がn(nは正の整数)回の命中を判定するまでは、前記射撃所要時間の長さに応じて、前記音響表示手段に前記効果音に強弱を付けて射撃の結果を表示させ、前記射撃命中判定手段がn+1回の命中を判定すると、前記変位機構と前記音響表示手段とを一緒に動作させ、且つ前記射撃所要時間の長さに応じて、前記音響表示手段に前記効果音に強弱を付けて射撃の結果を表示させる前記動作指令を出力することを特徴とする射撃ゲーム装置。」


第2 当審の判断
1 引用刊行物の記載事項
原査定の拒絶の理由に引用され、本願の出願前に頒布された刊行物である特開2001-137546号公報(以下、「引用例1」という。)には、以下のア乃至オの記載が図示とともにある。

ア 「【請求項1】 プレイヤーが操作するための入力操作部材を備え、該入力操作部材の操作動作における時間の速さを競うようにした遊戯装置において、
前記入力操作部材が待機状態にあるか否かを検出する手段と、前記所定の動作が完了したか否かを検知する手段と、プレイヤーに対し前記入力操作部材の操作許可を報知する操作許可報知手段と、前記入力操作部材の操作許可がなされてから所定の動作完了までの時間を計測する計時手段と、前記入力操作部材の操作が前記操作許可報知手段の報知後かを監視する手段とを有することを特徴とする遊戯装置。」

イ 「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、プレイ前に待機状態に保持されるプレイヤーが操作するための入力操作部材を備え、該入力操作部材の操作動作が完了するまでの時間の速さを競うようにした、早撃ちシューティングゲーム等に適した遊戯装置に関するものである。」

ウ 「【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を添付図面に従って説明する。図1は、本発明に係る遊戯装置の一例として、シューティングゲーム機の全体構成を示す側面図、図2はその正面図である。
【0011】図1および図2において、本実施形態のシューティングゲーム機は2つの筐体1,10を有している。第1の筐体1には、前面側、すなわちプレイヤーPに対向する面に表示窓2が設けられ、該表示窓2の内側に標的3が配設されている。他方、第2の筐体10にはプレイヤーPが操作する入力操作部材としての銃型入力部材11やコイン装置13等が設けられている。この第1筐体1と第2筐体10は、プレイヤーPから見て第2筐体10が手前で、第1筐体1が奥側となるように並べて配置されている。なお、第1筐体1に設けられた標的3はコップであるが、標的3は西部劇に登場する無法者等を模った人形モデル等でも良い。
【0012】第2筐体1(審決注:「第2筐体10」の明らかな誤記である。)には、その上部に銃型入力部材11を収容するホルダー部12が形成され、また前面側部にはコイン装置13が設けられている。銃型入力部材11は、そのトリガを引くと、適宜光線、例えばキセノン光線等を照射する光線銃であって、上記した標的3は銃型入力部材11から照射される光線を感知する、所定の動作が完了したか否かを検知する手段としての命中検知センサを備えている。
【0013】上記ホルダー部12は、図1および図3に示すように、その上部に銃型入力部材11の銃身側を挿入する凹部14が設けられ、該凹部14内には銃型入力部材11の有無を検知するセンサ15が設けられている。本実施形態におけるセンサ15は、発光素子と受光素子からなる光透過型センサであって、銃型入力部材11がホルダー部12に挿入されていると、センサ15の発光素子の光を遮ることで銃型入力部材11が検知される。」

エ 「【0014】図4は、上記遊戯装置における制御装置の回路構成を示すブロック図であって、制御装置は所定のゲームプログラムにより制御を行うゲーム制御部20を有し、該ゲーム制御部20には計時手段としてのタイマー部21を備えている。このゲーム制御部20は、コイン装置13に所定のコインが投入された信号若しくは適宜スタートボタン等の操作部の信号を受けて装置をゲームスタンバイ状態にするように構成されている。
【0015】このゲームスタンバイ状態では、センサ15が銃型入力部材11を検知しているかが判断され、センサ15が銃型入力部材11を検知していない場合には音声合成部22を介したスピーカー23からの音声や表示ランプ等で、銃型入力部材11をホルダー部12に挿入するよう知らせる。また、銃型入力部材11が既にホルダー部12に挿入されている場合、センサ15がオンされるので本実施形態における待機状態と判断される。
【0016】この待機状態であることが検知されると、ゲームを開始可能状態であると判断して操作許可報知手段としての操作許可表示部24が音声合成部22を介して音声により操作許可の合図を発する。そして、プレイヤーPが合図を受けて銃型入力部材11をホルダー部12から抜くと、センサ15がオフされて銃型入力部材11がホルダー部12から抜かれたとゲーム制御部20が判断する。タイマー部21は、操作許可の合図から作動し、標的命中信号までの時間を計時する。
【0017】プレイヤーは、上記操作許可の合図を受けて銃型入力部材11を素早くホルダー部12から引き抜き、標的3を撃ち、標的3に当ると命中センサー16がこれを検知し、その信号をゲーム制御部20に出力する。そして、タイマー部21が操作許可の合図から標的命中までの時間を計時してその時間や早撃ちランク等を図示していない表示部に表示する。このとき、音声を用いてゲーム結果をプレイヤーに知らせても良い。なお、本実施形態の標的は早撃ちを競うものであるので、標的3は大きく命中し易いものが有利である。
【0018】このように構成された遊戯装置は、操作許可表示部24の合図から標的3に命中するまでの速さを計時することができ、さらに銃型入力部材11がホルダー部12から抜かれる時間も計時できるので、合図から銃型入力部材11がホルダー部12から抜かれる時間と、ホルダー部12から抜かれて標的に命中するまでの時間とが判り、プレイした時間配分をプレイヤーに知らせることができる。また、合図よりも先に銃型入力部材11がホルダー部12から抜かれた場合もゲーム制御部20によって検知できるので、かかる場合には違反プレイであることをプレイヤーに知らせることができる。すなわち、ゲーム制御部20が銃型入力部材11の操作が操作許可表示部24の許可報知後か監視する手段を兼ねている。(以下省略)」

オ 図4では、「標的作動装置6」は光線銃である銃型入力部材11から照射される光線を受光しているから、図4の「標的作動装置6」は「命中センサー16」の明らかな誤記である。
そして、図4と上記記載ウ及びエから、「ゲーム制御部20」は、操作許可報知手段としての「操作許可表示部24」、「光線銃の有無を検知するセンサ15」、「標的作動装置6」すなわち「命中センサー16」から信号を受信していることが読み取れる。

また、原査定の拒絶の理由に引用され、本願の出願前に頒布された刊行物である登録実用新案第3002721号公報(以下、「引用例2」という。)には、以下のカ乃至コの記載が図示とともにある。

カ 「【請求項1】 受光部を有するターゲットと、このターゲットの前記受光部に向けて赤外線を発射するための光線銃とを備えた的当て玩具において、前記ターゲットは自走式の走行体となっており、このターゲットには、バッテリと、このバッテリを電源とし正逆転可能なモータと、常時には前記モータを正転させるとともに前記赤外線を受光したときに前記モータを正転から逆転に一時的に切り換えるモータ制御部と、前記モータを動力源とし少なくとも当該モータの正転時にその動力を駆動輪に伝達して当該駆動輪を回転させる駆動機構と、前記モータを動力源とし少なくとも当該モータの正転時に前記駆動輪を所定の鉛直軸を中心に旋回させて前記ターゲットの走行方向を切り換える方向変更機構と、前記モータを動力源とし当該モータの逆転時に前記ターゲットのボディを揺動させる揺動機構とを具備することを特徴とする的当て玩具。
【請求項2】 前記駆動機構および方向変更機構は前記モータの正転時にのみ作動するように構成されていることを特徴とする請求項1記載の的当て玩具。
【請求項3】 前記ターゲットには人形体が乗せられるとともに、前記ターゲット内部には、前記モータを動力源とし当該モータの逆転時に前記人形体を動作させる人形体動作機構が設けられていることを特徴とする請求項1または請求項2記載の的当て玩具。
【請求項4】 前記揺動機構は、少なくとも、前記駆動輪の車軸に固定して設けられた偏心カムと、当該偏心カムと同じに偏心する偏心軸穴を介して当該偏心カムに連結される前記駆動輪と、前記偏心カムおよび前記駆動輪との間に構成される一方向クラッチとを含んで構成され、一方、前記駆動機構は、前記偏心カムおよび前記一方向クラッチを介して前記駆動輪を回転させるように構成されていることを特徴とする請求項1?請求項3いずれか記載の的当て玩具。
【請求項5】 前記人形体動作機構は、前記人形体の身体の一部を動作させる身体動作機構と、前記人形体を飛び出させる人形体飛出し機構とによって構成されていることを特徴とする請求項3記載の的当て玩具。」

キ 「【0001】
【産業上の利用分野】
本考案は、的当て玩具に関するもので、さらに詳しくは、受光部を有するターゲットと、このターゲットの前記受光部に向けて赤外線を発射するための光線銃とを備えた的当て玩具に関するものである。」

ク 「【0005】
【課題を解決するための手段】
第1の手段は、受光部を有するターゲットと、このターゲットの前記受光部に向けて赤外線を発射するための光線銃とを備えた的当て玩具において、前記ターゲットは自走式の走行体となっており、このターゲットには、バッテリと、このバッテリを電源とし正逆転可能なモータと、常時には前記モータを正転させるとともに前記赤外線を受光したときに前記モータを正転から逆転に一時的に切り換えるモータ制御部と、前記のモータを動力源とし少なくとも当該モータの正転時にその動力を駆動輪に伝達して当該駆動輪を回転させる駆動機構と、前記モータを動力源とし少なくとも当該モータの正転時に前記駆動輪を所定の鉛直軸を中心
に旋回させて前記ターゲットの走行方向を切り換える方向変更機構と、前記モータを動力源とし当該モータの逆転時に前記ターゲットのボディを揺動させる揺動機構とを具備することを特徴とするものである。
【0006】
第2の手段は、第1の手段において、前記駆動機構および方向変更機構が前記モータの正転時にのみ作動するように構成されていることを特徴とするものである。
【0007】
第3の手段は、第1および第2の手段おいて、前記ターゲットに人形体が乗せられるとともに、前記ターゲット内部には、前記モータを動力源とし当該モータの逆転時に前記人形体を動作させる人形体動作機構が設けられていることを特徴とするものである。
【0008】
第4の手段は、第1?第3の手段において、前記揺動機構が、少なくとも、前記駆動輪の車軸に固定して設けられた偏心カムと、当該偏心カムと同じに偏心する偏心軸穴を介して当該偏心カムに連結される前記駆動輪と、前記偏心カムおよび前記駆動輪との間に構成される一方向クラッチとを含んで構成され、一方、前記駆動機構が、前記偏心カムおよび前記一方向クラッチを介して前記駆動輪を回転させるように構成されていることを特徴とするものである。
【0009】
第5の手段において、第3の手段において、前記人形体動作機構が、前記人形体の身体の一部を動作させる身体動作機構と、前記人形体を飛び出させる人形体飛出し機構とによって構成されていることを特徴とするものである。」

ケ 「【0012】
実施例の的当て玩具は、大別して、方向を変えつつ走行するターゲット2(図1)と、このターゲット2に対して赤外線を発する光線銃3(図2)とから構成されている。ターゲット2には、カエルの頭部形状を持つ回転式の操作子2aが設けられ、この操作子2aをON側に回すと、ターゲット2は前進、左旋回、後進および右旋回のサイクルを繰り返して行う。その間、軽快なバックミュージックがターゲット2から発しられる。そして、このターゲット2に向けて光線銃3から赤外線を発射し、それがターゲット2の的2bにうまく当たると、ターゲット2は方向変更を止めて、その場でターゲット2が上下に揺動を行うとともに、ターゲット2上に乗ったカエル人形(以下、単にカエルという)4が口を1回開ける。また、当たる回数によって、バックミュージックが止み、「ポヨヨーン」という音を発するとともに、カエル4がターゲット2から威勢良く飛び出す。また、再度ゲームを行うにあたっては、カエル4をターゲット2に取り付けるとともに、ターゲット2のリセット釦5を押せば良い。」

コ 「【0028】
続いて、このように構成された的当て玩具の全体的な動作を作用とともに説明する。
【0029】
操作子2aをON側に回すと、スイッチSW1がONしてバックミュージックが発せられるとともに、モータMが正転する。そして、駆動機構30によって前輪20が回転する。一方、モータ動力は、方向変更機構50にも伝えられ、この方向変更機構50によりターゲット2は次々に走行方向を変えることになる。このターゲット2の受光窓2bに銃口を向けて光線銃3のトリガ3bを引き、赤外線がうまく受光窓2bに当たると、モータMが所定時間逆転し、揺動機構40が働き、ターゲット2のボディ22は上下に揺動する。また、身体動作機構61が働き、カエル4は口を1回口をあける。赤外線が受光窓2bに当たる毎に前記の動作が繰り返される。そして、所定回数当たると、人形体飛出し機構62が働き、カエル4が運転席2eから飛び出すことになる。この直後、バックミュージックは止むとともに、モータMも停止する。再度、ゲームを行うには、ターゲット2にカエル4をセットし、リセット釦5を押せば、爪車87が下動し、爪車87が元位置に復帰することにより、スイッチSW2が常閉状態に戻りゲームが再スタートし始める。」

2 引用例1,2記載の発明の認定
(1)引用例1記載の発明の認定
ア 引用例1の上記記載オより、引用例1の「ゲーム制御部」は「光線銃の有無を検知するセンサ」から信号を受信しているから、引用例1の上記記載事項エの段落【0015】に記載された「センサ15が銃型入力部材11を検知しているか」を「判断」したり、「銃型入力部材11が既にホルダー部12に挿入されている場合、センサ15がオンされるので本実施形態における待機状態と判断」したりするのは、「ゲーム制御部」であると認めることができる。

イ 引用例1の上記記載事項エの段落【0017】における「音声を用いてゲーム結果をプレイヤーに知らせても良い」との記載から、引用例1の「早撃ちシューティングゲーム機」には、音声を用いてゲーム結果をプレイヤーに知らせる手段が設けられていると認めることができる。

ウ 引用例1の遊戯装置は「早撃ちシューティングゲーム機」であるから、引用例1の「光線銃」の大きさは、プレイヤーが前記「光線銃」を手にとって素早く射撃動作に移ることができる程度の大きさしかない。したがって、前記「光線銃」の大きさは「第1筐体」及び「第2筐体」に比べて非常に小さい。また、引用例1の図1を参照しても、前記「光線銃」の大きさは「第1筐体」及び「第2筐体」に比べて非常に小さいと認められる。さらに、引用例1の遊戯装置が「早撃ちシューティングゲーム機」であることから、ゲーム中は、光線銃だけがプレイヤーによって動かされ、「第1筐体」及び「第2筐体」は動かない状態にあることは明らかである。
そして、動かない大きなゲーム本体部とプレイヤーが操作する小さな操作部とからなるゲーム装置では、前記ゲーム装置のゲーム制御部等は動かないゲーム本体部に設けられるのが技術常識である。
したがって、引用例1の「ゲーム制御部」、「操作許可報知手段」、「表示部」、及び上記イで述べた「音声を用いてゲーム結果をプレイヤーに知らせる手段」は、いずれも「光線銃」には存在せず、「第1筐体」または「第2筐体」のいずれかに存在すると認めることができる。

エ 引用例1の上記記載事項エの段落【0017】に記載された「タイマー部21が操作許可の合図から標的命中までの時間」や「早撃ちランク」等を「表示部に表示」させたり、上記イで述べた「音声を用いてゲーム結果をプレイヤーに知らせる手段」に「音声を用いて」「プレイヤーに知らせ」させたりすることができるのは、引用例1の「命中センサー」及び「操作許可報知手段」から信号を受信し、前記光線銃の操作許可の合図がなされてから標的命中までの時間を計時するタイマー部を備えた「ゲーム制御部」しかあり得ない。
したがって、引用例1の上記記載事項エの段落【0017】に記載された「タイマー部21が操作許可の合図から標的命中までの時間を計時してその時間や早撃ちランク等を図示していない表示部に表示」させたり、「音声を用いてゲーム結果をプレイヤーに知らせる手段」に「音声を用いてゲーム結果をプレイヤーに知らせ」させたりするのは、「ゲーム制御部」であると認めることができる。

オ したがって、引用例1には次のような発明が記載されていると認めることができる。

「光線銃と、プレイヤーに対向する面に表示窓が設けられ、該表示窓の内側に人形モデルである標的が配設された第1の筐体と、前記光線銃を収容する凹部と該凹部内に設けられた前記光線銃の有無を検知するセンサが形成された第2筐体とを有する早撃ちシューティングゲーム機において、
前記標的は、前記光線銃から照射される光線を検知し、検知した信号をゲーム制御部に出力する命中センサーを備え、
前記第1筐体または前記第2筐体は、プレイヤーに対し前記光線銃の操作許可の合図を報知する操作許可報知手段と、前記光線銃の操作許可の合図がなされてから標的命中までの時間を計時するタイマー部を備えたゲーム制御部と、前記光線銃の操作許可の合図から標的命中までの時間や早撃ちランク等を表示する表示部と、音声を用いてゲーム結果をプレイヤーに知らせる手段とを有し、
前記ゲーム制御部は、前記光線銃の操作が前記操作許可報知手段の報知後かを監視し、操作許可の合図から標的命中までの時間や早撃ちランク等を前記表示部に表示させ、このとき、前記音声を用いてゲーム結果をプレイヤーに知らせる手段に音声を用いてゲーム結果をプレイヤーに知らせさせるものである、
早撃ちシューティングゲーム機。」(以下、「引用発明1」という。)

(2)引用例2記載の発明の認定
引用例2の上記記載事項カ乃至コから、引用例2には、受光部を有するターゲットと、前記ターゲットの前記受光部に向けて赤外線を発射するための光線銃とを備えた的当て玩具において、前記ターゲットに向けて前記光線銃から赤外線を発射し、それが前記ターゲットの的にうまく当たると、前記ターゲットは方向変更を止めて、その場で前記ターゲットが上下に揺動を行うとともに、前記ターゲット上に乗った人形体が口を1回開け、所定回数当たると、人形体飛出し機構が働き、前記人形体が前記ターゲットから威勢良く飛び出すようにしたことが記載されていると認められる。

3 本願発明と引用発明1の一致点及び相違点の認定
ア 引用発明1の「前記光線銃から照射される光線を検知」する「命中センサー」、「光線銃」、「早撃ちシューティングゲーム機」は、それぞれ、本願発明の「1個以上の受光部」、「前記1個以上の受光部に照射する光線を発射する光線銃」、「射撃ゲーム装置」に相当する。
また、引用例1の「早撃ちシューティングゲーム機」は、「光線銃」と「第1筐体」と「第2筐体」とを有するゲーム機であって、上記「(1)引用例1記載の発明の認定」の「ウ」の欄で述べたとおり、ゲーム中は、光線銃だけがプレイヤーによって動かされ、「第1筐体」及び「第2筐体」は動かない状態にあることから、引用発明1の「人形モデルである標的が配設された第1の筐体」及び「第2筐体」が本願発明の「ターゲット」に相当する。

イ 引用発明1の「プレイヤーに対し前記光線銃の操作許可の合図を報知する操作許可報知手段」、「前記光線銃の操作許可の合図がなされてから標的命中までの時間を計時するタイマー部」は、それぞれ、本願発明の「射撃タイミングを表示する射撃タイミング発生手段」、「前記射撃タイミング発生手段が前記射撃タイミングを表示してから前記受光部に前記光線が当たるまでの射撃所要時間を計数する射撃時間計数手段」に相当する。

ウ 引用発明1の「命中センサー」は「前記光線銃から照射される光線を検知し、検知した信号をゲーム制御部に出力」しているから、引用例1の「ゲーム制御部」には、前記「命中センサー」から出力される信号に基づいて「光線銃」から照射される光線が標的に命中したか否かを判定する手段が当然備わっており、引用例1のかかる判定手段が本願発明の「前記受光部からの受光信号に基づいて射撃の結果を判定する射撃命中判定手段」に相当する。

エ 引用発明1の「ゲーム制御部」は、「操作許可の合図から標的命中までの時間や早撃ちランク等を表示部に表示させ、このとき、前記音声を用いてゲーム結果をプレイヤーに知らせる手段に音声を用いてゲーム結果をプレイヤーに知らせさせる」ものであるから、引用発明1の「ゲーム制御部」は「タイマー部」で計時された「操作許可の合図から標的命中までの時間」を判断し、その時間に応じて、「表示部」に対し「操作許可の合図から標的命中までの時間や早撃ちランク等」を表示する信号を出力するとともに、「音声を用いてゲーム結果をプレイヤーに知らせる手段」に対し「音声を用いてゲーム結果をプレイヤーに知らせ」る信号を出力していることは明らかである。そして、引用発明1におけるこれらの信号が本願発明の「各種の動作指令」に相当し、引用発明1において「タイマー部」で計時された「操作許可の合図から標的命中までの時間」を判断する「ゲーム制御部」が本願発明の「前記射撃時間計数手段が計数した前記射撃所要時間に基づいてプレイの結果を判定」「するプレイ結果判定指令手段」に相当する。
したがって、引用発明1の「操作許可の合図から標的命中までの時間や早撃ちランク等を表示部に表示させ、このとき、前記音声を用いてゲーム結果をプレイヤーに知らせる手段に音声を用いてゲーム結果をプレイヤーに知らせる」「ゲーム制御部」は、本願発明の「前記射撃時間計数手段が計数した前記射撃所要時間に基づいてプレイの結果を判定して各種の動作指令を出力するプレイ結果判定指令手段」に相当する。

オ 引用発明1の「前記光線銃の操作許可の合図から標的命中までの時間や早撃ちランク等を表示する表示部」及び「音声を用いてゲーム結果をプレイヤーに知らせる手段」は、本願発明の「射撃の結果を表示する表示手段」に相当する。
そして、引用発明1の「音声を用いてゲーム結果をプレイヤーに知らせる手段」と本願発明の「効果音によって射撃の結果を表示する音響表示手段」とは、「音によって射撃の結果を表示する音響表示手段」である点で一致する。

カ 引用発明1の遊戯装置が「早撃ちシューティングゲーム機」であることや引用例1の上記記載事項エから、引用発明1の「ゲーム結果」には「操作許可の合図から標的命中までの時間」が含まれることは明らかである。また、引用発明1の「ゲーム制御部」は「操作許可の合図から標的命中までの時間や早撃ちランク等を表示部に表示させ、このとき、前記音声を用いてゲーム結果をプレイヤーに知らせる手段に音声を用いてゲーム結果をプレイヤーに知らせる」ものであるから、ゲーム結果に応じて音声が異なることは明らかである。
したがって、引用発明1の「前記ゲーム制御部は、前記光線銃の操作が前記操作許可報知手段の報知後かを監視し、操作許可の合図から標的命中までの時間や早撃ちランク等を前記表示部に表示させ、このとき、前記音声を用いてゲーム結果をプレイヤーに知らせる手段に音声を用いてゲーム結果をプレイヤーに知らせさせる」ことと本願発明の「前記プレイ結果判定指令手段は、前記射撃命中判定手段がn(nは正の整数)回の命中を判定するまでは、前記射撃所要時間の長さに応じて、前記音響表示手段に前記効果音に強弱を付けて射撃の結果を表示させ、前記射撃命中判定手段がn+1回の命中を判定すると、前記変位機構と前記音響表示手段とを一緒に動作させ、且つ前記射撃所要時間の長さに応じて、前記音響表示手段に前記効果音に強弱を付けて射撃の結果を表示させる前記動作指令を出力すること」とは、「前記プレイ結果判定指令手段は、前記射撃所要時間の長さに応じて、前記音響表示手段に」「音に」違い「を付けて射撃の結果を表示させる前記動作指令を出力すること」で一致する。

キ したがって、本願発明と引用発明1とは、
「1個以上の受光部を備えたターゲットと、
前記1個以上の受光部に照射する光線を発射する光線銃とを備え、
前記ターゲットが、
射撃タイミングを表示する射撃タイミング発生手段と、
前記受光部からの受光信号に基づいて射撃の結果を判定する射撃命中判定手段と、
前記射撃タイミング発生手段が前記射撃タイミングを表示してから前記受光部に前記光線が当たるまでの射撃所要時間を計数する射撃時間計数手段と、
前記射撃時間計数手段が計数した前記射撃所要時間に基づいてプレイの結果を判定して各種の動作指令を出力するプレイ結果判定指令手段と、
射撃の結果を表示する表示手段とを備え、
前記表示手段が音によって射撃の結果を表示する音響表示手段を含んでおり、
前記プレイ結果判定指令手段は、前記射撃所要時間の長さに応じて、前記音響表示手段に前記音に違いを付けて射撃の結果を表示させる前記動作指令を出力することを特徴とする射撃ゲーム装置。」

である点で一致し、以下の点で相違する。

〈相違点1〉
本願発明の「射撃ゲーム装置」は「前記動作指令を受けて第1の状態から第2の状態に変位する変位部材を備えた変位機構」を備え、本願発明の「プレイ結果判定指令手段」は、「前記射撃命中判定手段がn+1回の命中を判定すると、前記変位機構」を「動作させ」「る前記動作指令を出力する」のに対し、引用発明1の「早撃ちシューティングゲーム機」は、前記「変位機構」を備えておらず、引用発明1の「ゲーム制御部」は前記動作指令を出力しない点。

〈相違点2〉
本願発明の「音響表示手段」が発する「音」は「効果音」であり、前記「音響表示手段」は「効果音に強弱を付けて」射撃の結果を表示させるものであるのに対し、引用発明1の「音声を用いてゲーム結果をプレイヤーに知らせる手段」が発する「音」は「音声」であり、前記「音声を用いて「ゲーム結果をプレイヤーに知らせる」ものである点。

4 相違点1,2についての判断
(1)相違点1について
引用例2に記載された発明の「人形体」が「ターゲット上に乗った」状態、「人形体が前記ターゲットから威勢良く飛び出す」状態、「人形体飛出し機構」、「所定回数当たる」ことが、それぞれ、本願発明の「第1の状態」、「第2の状態」、「変位機構」、「n+1回の命中」に相当する。
そして、引用発明1と引用例2に記載された発明とは、人形体を標的とするシューティングゲーム装置である点で共通するから、引用発明1の「人形モデルである標的が配設された」「早撃ちシューティングゲーム機」に、引用例2に記載された発明の「人形体飛出し機構」を適用して、引用例2に記載された発明のように「所定回数当た」ってはじめて前記「人形体飛出し機構」を動作させるようにすることは、当業者にとって容易に想到し得る。
その際、引用発明1の「早撃ちシューティングゲーム機」では「ゲーム制御部」が「早撃ちシューティングゲーム機」の各部材の動作を制御しているから、前記「ゲーム制御部」に前記「人形体飛出し機構」を動作させる指令を出力させるようにするのは当然である。また、引用発明1の「音声を用いてゲーム結果をプレイヤーに知らせる手段」により「音声を用いてゲーム結果をプレイヤーに知らせさせる」こと及び引用例2に記載された発明の「人形体飛出し機構」を「働」かせることは、ともに、人形体である標的に命中したことに伴って遊戯装置が行う動作であるから、引用発明1の「音声を用いてゲーム結果をプレイヤーに知らせる手段」と引用例2に記載された発明の「人形体飛出し機構」とを一緒に動作させることは、当業者が適宜なし得る設計的事項である。

(2)相違点2について
遊戯装置の分野では、効果音に強弱を付けて遊戯の結果をプレイヤーに知らせることは、本願出願時において当業者に周知の技術的事項である(一例として、特開2001-218888号公報の段落【0067】を参照。)。そして、引用発明1の「早撃ちシューティングゲーム機」も遊戯装置であるから、引用発明1の「音声」に代えて上記周知技術の強弱が付けられた効果音を採用する程度のことは、当業者が適宜なし得る設計変更に過ぎない。
また、上記「3 本願発明と引用発明1の一致点及び相違点の認定」の「カ」の欄で述べたように、引用発明1の「早撃ちシューティングゲーム機」においてもゲーム結果に応じて異なる「音声」を用いて「ゲーム結果をプレイヤーに知らせ」ており、音量、音の種類、音の高低、音の長さ等の「音」に関するパラメータのうちどのパラメータをゲーム結果に応じて異ならせてゲーム結果をプレイヤーに知らせるかは当業者が適宜選択し得る設計的事項に過ぎないことからも、引用発明1の「音声」に代えて上記周知技術の強弱が付けられた効果音を採用する程度のことは、当業者が適宜なし得る設計変更に過ぎないといえる。

(3)以上のとおり、相違点1及び2に係る本願発明の発明特定事項を採用することは当業者にとって想到容易である。
また、これら発明特定事項を採用したことによる格別の作用効果を認めることもできない。

5 むすび
したがって、本願発明は引用例1及び2に記載された発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。そして、本願発明が特許を受けることができない以上、本願のその余の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶を免れない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2008-07-10 
結審通知日 2008-07-15 
審決日 2008-07-28 
出願番号 特願2002-132179(P2002-132179)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 植野 孝郎古川 直樹  
特許庁審判長 末政 清滋
特許庁審判官 日夏 貴史
佐藤 昭喜
発明の名称 射撃ゲーム装置  
代理人 西浦 ▲嗣▼晴  
  • この表をプリントする

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ