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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1184100
審判番号 不服2005-4616  
総通号数 106 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2008-10-31 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2005-03-17 
確定日 2008-09-11 
事件の表示 特願2002-297740「通信端末」拒絶査定不服審判事件〔平成16年4月30日出願公開、特開2004-129861〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、特許法第30条第1項及び同条第3項の規定(以下、これを「新規性喪失の例外規定」という。)を受けようとする特許出願として、平成14年(2002年)10月10日に出願された特願2002-297740号の出願であって、平成14年11月11日に「新規性の喪失の例外証明書提出書」が提出され、平成16年10月26日付の原審における拒絶理由通知に対し、平成17年1月17日付で意見書とともに同日付の手続補正書が提出されたところ、平成17年2月3日付で拒絶査定がなされ、これに対して、前記拒絶査定を不服として、平成17年3月17日に拒絶査定不服審判の請求がなされるとともに、前記審判請求の日から30日以内の平成17年4月15日に手続補正書が提出され、その後、前記平成17年4月15日付の手続補正に基づいて補正された本願特許出願について審査官により前置審査がなされ、その前置審査の結果としての特許庁長官宛の前置報告書を審判請求人に送付することにより、審査官による前置審査に対する審判請求人の意見を徴集すべく、当審において平成20年4月9日付で審尋したところ、審判請求人から平成20年5月15日付の回答書が提出されたものである。

第2 出願人が提出した上記「新規性の喪失の例外証明書提出書」についての検討
1 上記「新規性の喪失の例外証明書提出書」の内容
(1)「新規性の喪失の例外証明書提出書」に添付された、「新規性喪失の例外規定」の適用を受けるために証拠書類の刊行物として提示された「携帯電話J-SA51の商品宣伝カタログ」の写しについて
ア 上記刊行物の商品宣伝カタログの表紙に、宣伝すべき商品名としての「J-SA51 by SANYO」のタイトルが、その写真とともに記載されている。

イ 上記刊行物の商品宣伝カタログの最終頁下欄に、発行者として「Jーフォン株式会社」の法人名が記載されており、また、製造者として「三洋電機株式会社」と「三洋テレコミュニケーションズ株式会社」の法人名が記載されている。そして、「記載内容は2002年9月現在のものです。」の注釈が併記されている。

ウ カタログが宣伝する商品としての携帯電話「J-SA51」についての機能を紹介するページに、次の事項が記載されている。
「GAME
チェリーのミラクルフォトルーム SANYOオリジナルゲーム
カメラで撮った画像を使って、「パズルゲーム」や「パズルdeメール」が楽しめます。
●パズルゲーム
「16パズル」「まわれ!16パズル」
制限時間が少なくなったり、おじゃまキャラが出現したりするので、楽しみながら「パズルゲーム」で遊べます。
難易度により9枚/16枚/25枚に分割された画像を動かして、画像を完成させるゲーム
●パズルdeメール
J-SA51のユーザー同士でパズルメールを作って相手に送ったり、送られてきたパズルゲームで遊ぶことができます。
送られてきたパズルゲームをクリアすると隠しメッセージが出現!」

エ さらに、上記刊行物の商品宣伝カタログが、印刷会社から平成14年9月18日に配送されたことを示す運送会社が発行した納品書の伝票写しが添付されている。

(2)「新規性の喪失の例外証明書提出書」に添付された、「新規性喪失の例外規定」の適用を受けるために証拠書類として提示されたWEBサイト「STEL WEB SITE及びJ-SA51」のプリントアウトについて
ア 上記WEBサイト「STEL WEB SITE及びJ-SA51」が、平成14年9月27日に、http://www.stel-web.com/index.htmlのインターネットアドレスにて、三洋電機株式会社及び三洋テレコミニュケーションズ株式会社により発表したものであることを立証する旨の、三洋電機株式会社及び三洋テレコミニュケーションズ株式会社の双方の代表取締役社長名の記名・捺印がなされた平成14年10月21日付けの証明書が添付されている。

イ 当該http://www.stel-web.com/index.htmlのインターネットアドレスにて発表された上記WEBサイト「STEL WEB SITE及びJ-SA51」のプリントアウトには、写真とともに次の事項が掲載されている。
「GAME SANYOオリジナルゲーム
チェリーのミラクルフォトルーム
■パズルゲーム 「16パズル」「まわれ!16パズル」
撮影した画像を難易度により9枚/16枚/25枚に分割、シャッフルされたものを、並び替えて、元の画像を完成させていくパズルゲームです。
制限時間が少なくなったり、お邪魔キャラが出現したりするのでハラハラ、ドキドキ。
■パズルdeメール
J-SA51のユーザー同士でパズルメールを作って相手に送ったり、送られてきたパズルゲームで遊ぶことができます。
送られてきたパズルゲームをクリアすると隠しメッセージが出現!」(当該WEBサイトのプリントアウトの「J-SA51のOther Function」のページ)

(3)「新規性の喪失の例外証明書提出書」に添付された、「新規性喪失の例外規定」の適用を受けるために、博覧会に出品したことの証拠書類として提示された平成14年10月28日付けの「特許法第30条等の規定に基づく博覧会への出品に関する証明願」について
ア 上記「特許法第30条等の規定に基づく博覧会への出品に関する証明願」には次の事項が記載されている。
出品者名:三洋電機株式会社代表取締役社長 桑野幸徳
三洋テレコミニュケーションズ株式会社代表取締役社長 壽英司
主催者:情報通信ネットワーク産業協会
社団法人電子情報技術産業協会
社団法人日本パーソナルコンピュータソフトウェア協会
1.博覧会の名称:「CEATEC JAPAN2002」
2.出品年月日:2002年10月1日?10月5日
3.開催地:千葉県千葉市美浜区中瀬2-1
日本コンベンションセンター(幕張メッセ)
4.出品物の名称:J-SA51(PDC方式携帯端末)
5.出品物の技術的特徴:別紙の通り
(別紙)
出品物の技術的特徴の説明
【特徴】
任意の第1メッセージを含む通信データを通信相手から受信する受信手段と、
第1メッセージ出力操作に応答してゲーム画面を出力するゲーム画面出力手段と、
前記ゲーム画面出力手段によって出力されたゲーム画面をゲーム操作に従って進行する進行手段、および
前記進行手段による前記ゲーム画面の進行状態が所定条件を満たしたとき前記第1メッセージを出力する第1メッセージ出力手段を備える、通信端末。

イ 上記アの記載事項について、「上記の通り相違ないことを証明します。」として、平成14年11月5日付けで、主催者の一である社団法人電子情報技術産業協会会長 谷口 一郎の記名・捺印がされている。

2 本願の「新規性喪失の例外規定」の適用に際して、必要な要件について
新規性喪失の例外規定」の適用に際して、必要とされている要件は次の要件1?要件3である。
要件1:発明を公開した日から6月以内に特許出願をしたこと
要件2:発明の新規性喪失の事由が特許法第30条第1項又は第3項に規定された公開であること
要件3:特許を受ける権利を有する者が公開し、その者が特許出願をしたこと

そこで、本願が「新規性喪失の例外規定」の適用を受けるために提出した前記「新規性の喪失の例外証明書提出書」に添付された証拠書類の内容が、上記要件1?要件3を満たしているか否かについて、次に検討する。

3 「新規性喪失の例外規定」の適用についての当審の判断
(1)要件1について
本願は平成14年10月10日に特許出願されたものであるところ、平成14年11月11日に提出された「新規性の喪失の例外証明書提出書」により証明されるべき本願の新規性の喪失の事由の日付(発明を公開した日)は、平成14年9月(商品宣伝カタログの日付)又は平成14年9月27日(WEBサイトの発表日)又は平成14年10月1日(博覧会出品の日付)であり、いずれの場合も、本願の特許出願日の平成14年10月10日よりも6月以内であることが明らかであるから、本願は、上記要件1を満たしている。

(2)要件2について
平成14年11月11日に提出された「新規性の喪失の例外証明書提出書」により証明されるべき本願の新規性の喪失は、
ア 情報伝達媒体である刊行物(商品宣伝カタログ)に発表したこと
イ 情報伝達媒体であるインターネットのWEBサイトに発表(公開)したこと
ウ 博覧会に出品したこと
を事由としているから、本願は、上記要件2を満たしている。

(3)要件3について
ア 上記要件3について、次の(ア)、(イ)及び(ウ)の場合に分けて検討すると、
(ア)情報伝達媒体である刊行物(商品宣伝カタログ)に発表した場合の要件3については、
a 特許を受ける権利を有する者が刊行物(商品宣伝カタログ)に発表していること
b 特許を受ける権利を有する者が特許出願をしていること
の各要件を満たすことが必要とされており、また、
(イ)情報伝達媒体であるインターネットのWEBサイトに発表した場合の要件3については、
a 特許を受ける権利を有する者がWEBサイトに発表していること
b 特許を受ける権利を有する者が特許出願をしていること
の各要件を満たすことが必要とされており、そして、
(ウ)博覧会に出品した場合の要件3については、
a 特許を受ける権利を有する者が博覧会に出品していること
b 特許を受ける権利を有する者が特許出願をしていること
の各要件を満たすことが必要とされている。

イ 一方、本願の願書面に記載されている発明者、発表者(公開者)及び出願人については、それぞれ次のとおりの者となっている。
(ア)本願の願書面に記載されている発明者は、「新日本コンピュータマネジメント株式会社内 廣田奈保」、「三洋電機株式会社内 渡辺慎太郎」、「カプコン株式会社内 吉田孝」及び「カプコン株式会社内 山本信行」である。
(イ)本願の願書面に記載されている出願人は、「三洋電機株式会社」、「三洋テレコミニュケーションズ株式会社」及び「カプコン株式会社」である。
(ウ)平成14年11月11日に提出された「新規性の喪失の例外証明書提出書」によれば、前記「新規性の喪失の例外証明書提出書」により証明されるべき本願の新規性の喪失の事由となった「ア 情報伝達媒体である刊行物(商品宣伝カタログ)に発表した場合」の発表者(公開者)は、「Jーフォン株式会社」、「三洋電機株式会社」及び「三洋テレコミュニケーションズ株式会社」であり、また、「イ 情報伝達媒体であるインターネットのWEBサイトに発表した場合」の発表者(公開者)は、「三洋電機株式会社」及び「三洋テレコミニュケーションズ株式会社」であり、そして、「ウ 博覧会に出品した場合」の発表者(公開者)は、「三洋電機株式会社」及び「三洋テレコミニュケーションズ株式会社」である。
(エ)出願人の「三洋テレコミニュケーションズ株式会社」が、同じ出願人の「三洋電機株式会社」に吸収合併(平成16年9月1日登記)されたことについては、平成16年9月22日付で提出された出願人名義変更届(一般継承)に添付された「権利の承継を証明する書面」により、確認することができる。

ウ しかして、前記「(3)要件3について」欄の「イ」に記載したように、本願の出願に係る発明について特許を受ける権利を有する者は、発明時においては、願書面に記載されているとおり、第一義的に上記「イ」の「(ア)」に記載した4人の発明者であるところ、出願時における特許を受ける権利を有する者としての出願人「三洋電機株式会社」が発明者「三洋電機株式会社内 渡辺慎太郎」から、また、出願人「カプコン株式会社」が発明者「カプコン株式会社内 吉田孝」及び発明者「カプコン株式会社内 山本信行」から、それぞれ特許を受ける権利を承継し得たことは、各社の社内規則の職務発明の規約により推認し得ることである。
しかしながら、出願人の「三洋テレコミニュケーションズ株式会社」が、本願の特許出願時(平成14年10月10日)に、誰から特許を受ける権利を承継し得たかについては、その事実を裏付ける手掛かりが何らも存在していないことにより、全く把握することができない。
そうすると、出願人が提出した上記「新規性の喪失の例外証明書提出書」に記載してある事項を検討しても、情報伝達媒体である刊行物(商品宣伝カタログ)に発表し、情報伝達媒体であるインターネットのWEBサイトに発表し、博覧会に出品した発表者(公開者)であって、かつまた、特許を受ける権利を有する者として本願の願書面に表示されている出願人でもある「三洋テレコミニュケーションズ株式会社」は、上記要件3の「特許を受ける権利を有する者が公開し、その者が特許出願をしたこと」の要件を満たしていないことになる。

エ また、本願の願書面における発明者欄の「新日本コンピュータマネジメント株式会社内 廣田奈保」の記載から、発明者の廣田奈保が「新日本コンピュータマネジメント株式会社」の従業員であることが容易に推認できるところ、仮に発明者の廣田奈保が有する特許を受ける権利を、当該社内規則の職務発明の規約に則り、「新日本コンピュータマネジメント株式会社」に譲渡したと推認し得たとしても、前記「新日本コンピュータマネジメント株式会社」が有する特許を受ける権利を、さらに前記「新日本コンピュータマネジメント株式会社」から、本願の出願人である「三洋電機株式会社」、同「三洋テレコミニュケーションズ株式会社」及び同「カプコン株式会社」のいずれかが承継したのか、承継しなかったのかについても、それを裏付ける手掛かりが何らも存在していないことにより、全く把握することができない。
そうすると、出願人が提出した上記「新規性の喪失の例外証明書提出書」に記載してある事項を検討しても、特許を受ける権利を有する発明者の廣田奈保又は前記発明者の廣田奈保から特許を受ける権利を譲渡され得る「新日本コンピュータマネジメント株式会社」のいずれかが、刊行物(商品宣伝カタログ)に発表し、また、WEBサイトに発表し、そして博覧会に出品したという事実を把握することができないばかりでなく、特許を受ける権利を有する発明者の廣田奈保又は前記発明者の廣田奈保から特許を受ける権利を譲渡され得る「新日本コンピュータマネジメント株式会社」のいずれかが、本願の特許出願をしたという事実をも把握することができない。

オ さらに、出願人が提出した上記「新規性の喪失の例外証明書提出書」に記載してある事項を検討しても、特許を受ける権利を有する者として本願の願書面に表示されている出願人である「カプコン株式会社」が、刊行物(商品宣伝カタログ)に発表し、また、WEBサイトに発表し、そして博覧会に出品したという事実を把握することができない。

カ 本願が、「新規性喪失の例外規定」の適用を受けるために必要とされる要件は、上記「2」欄に記載のとおり、「要件3:特許を受ける権利を有する者が公開し、その者が特許出願をしたこと」が必要とされているのであり、これによれば、発表(公開)時においては、特許を受ける権利を有する者が公開し、そして、出願時においては、やはり特許を受ける権利を有する者が特許出願をしたことが要件とされているのに対して、本願の出願に係る発明についての発明者、発表者(公開者)及び出願人のそれぞれは、上記「3」欄の「(3)要件3について」の「ウ」ないし「オ」において検討したとおり、本願の出願に係る発明についての発明者、発表者(公開者)及び出願人のそれぞれの関係が首尾一貫しておらず、発明者と発表者(公開者)の関係、発表者(公開者)と出願人の関係及び発明者と出願人の関係が区々であり、発明者、発表者(公開者)及び出願人の関係に齟齬があることが明らかである。

キ したがって、本願は、上記「2」欄に前述した「新規性喪失の例外規定」の適用に際して必要とされている3要件のうちの要件3[特許を受ける権利を有する者が公開し、その者が特許出願をしたこと]を満たしているということができない。

4 まとめ
(1)以上のとおりであり、本願について、特許法第30条第1項及び同条第3項の規定を受けようとするために提出した「新規性の喪失の例外証明書提出書」に記載してある事項を検討した結果、上記「2」欄に前述した要件3[特許を受ける権利を有する者が公開し、その者が特許出願をしたこと]を満たしていないから、本願について、特許法第30条第1項及び同条第3項の規定の適用を受けることができない。

(2)したがって、本願の特許出願日が平成14年10月10日であるところ、前記「新規性の喪失の例外証明書提出書」に添付された、「新規性喪失の例外規定」の適用を受けるために証拠書類の刊行物として提示された「携帯電話J-SA51の商品宣伝カタログ」は、その「記載内容は2002年9月現在のものです。」の注釈に基づき、本願の特許出願前の2002年(平成14年)9月末日に発行されたものと認める。

(3)また、前記「新規性の喪失の例外証明書提出書」に添付された、「新規性喪失の例外規定」の適用を受けるために証拠書類として提示されたWEBサイト「STEL WEB SITE及びJ-SA51」は、その証明書中の「平成14年9月27日に、http://www.stel-web.com/index.htmlのインターネットアドレスにて、三洋電機株式会社及び三洋テレコミニュケーションズ株式会社により発表したものである」の立証趣旨に基づき、本願の特許出願前の平成14年9月27日に当該WEBサイトに掲載されたものと認める。

第3 平成17年4月15日付の手続補正についての補正の却下の決定

[補正の却下の決定の結論]
平成17年4月15日付の手続補正を却下する。

[理由]
1 補正の内容
平成17年4月15日付の手続補正(以下、この補正を「本件補正」という。)は、平成17年1月17日付の手続補正により補正された特許請求の範囲の、
「【請求項1】 電子メールを受信する受信手段、
前記受信手段によって受信された電子メールに含まれるタイトル情報およびメインメッセージ情報を第1閲覧操作に応答して出力するタイトル/メインメッセージ出力手段、
前記受信手段によって受信された電子メールに付加メッセージ情報を含む付加メール情報が含まれるか否かを判別する判別手段、
前記判別手段の判別結果が肯定的であるとき前記第1閲覧操作の後に行われる第2閲覧操作に応答してゲームを出力するゲーム出力手段、および
前記付加メッセージ情報を前記ゲーム出力手段によって出力されるゲームの進行状態に応じて出力する付加メッセージ情報出力手段を備える、通信端末。
【請求項2】 前記電子メールは前記ゲーム出力手段によって出力されるゲームの要素となるゲーム情報をさらに含む、請求項1記載の通信端末。
【請求項3】 前記ゲームのアプリケーションプログラムを所定のサイトからダウンロードするダウンロード手段をさらに備える、請求項1または2記載の通信端末。
【請求項4】 通信端末のCPUに、
受信された電子メールに含まれるタイトル情報およびメインメッセージ情報を第1閲覧操作に応答して出力するタイトル/メインメッセージ出力ステップ、
前記受信された電子メールに付加メッセージ情報を含む付加メール情報が含まれるか否かを判別する判別ステップ、
前記判別ステップの判別結果が肯定的であるとき前記第1閲覧操作の後に行われる第2閲覧操作に応答してゲームを出力するゲーム出力ステップ、および
前記付加メッセージ情報を前記ゲーム出力ステップによって出力されるゲームの進行状態に応じて出力する付加メッセージ情報出力ステップを実行させるメッセージ制御プログラム。
【請求項5】 通信端末のCPUに、
受信された電子メールに含まれるタイトル情報およびメインメッセージ情報を第1閲覧操作に応答して出力するタイトル/メインメッセージ出力ステップ、
前記受信された電子メールに付加メッセージ情報を含む付加メール情報が含まれるか否かを判別する判別ステップ、
前記判別ステップの判別結果が肯定的であるとき前記第1閲覧操作の後に行われる第2閲覧操作に応答してゲームを出力するゲーム出力ステップ、および
前記付加メッセージ情報を前記ゲーム出力ステップによって出力されるゲームの進行状態に応じて出力する付加メッセージ情報出力ステップを実行させるメッセージ制御プログラムを記録した記録媒体。
【請求項6】 通信端末によって実行されるメッセージ制御方法であって、
(a) 電子メールを受信し、
(b) 前記ステップ(a)で受信された電子メールに含まれるタイトル情報およびメインメッセージ情報を第1閲覧操作に応答して出力し、
(c) 前記ステップ(a)で受信された電子メールに付加メッセージ情報を含む付加メール情報が含まれるか否かを判別し、
(d) 前記ステップ(c)の判別結果が肯定的であるとき前記第1閲覧操作の後に行われる第2閲覧操作に応答してゲームを出力し、そして
(e) 前記付加メッセージ情報を前記ゲーム出力手段によって出力されるゲームの進行状態に応じて出力する、メッセージ制御方法。」
の記載を、
「【請求項1】 電子メールを受信する受信手段、
前記受信手段によって受信された電子メールに含まれるタイトル情報およびメインメッセージ情報を第1閲覧操作に応答して出力するタイトル/メインメッセージ出力手段、
前記受信手段によって受信された電子メールに付加メッセージ情報を含む付加メール情報が含まれるか否かを判別する判別手段、
前記判別手段の判別結果が肯定的であるとき前記第1閲覧操作の後に行われる第2閲覧操作に応答してゲームを出力するゲーム出力手段、および
前記付加メッセージ情報を前記ゲーム出力手段によって出力されるゲームの進行状態に応じて出力する付加メッセージ情報出力手段を備え、
前記ゲームは送信者によって撮影された静止画像を形成するシャッフルされた複数の分割画像を並べ替えるパズルゲームであり、
前記付加メッセージ情報出力手段は前記複数の分割画像の並び替えに成功したときに前記付加メッセージ情報を出力する、通信端末。
【請求項2】 前記電子メールは前記ゲーム出力手段によって出力されるゲームの要素となるゲーム情報をさらに含む、請求項1記載の通信端末。
【請求項3】 前記ゲームのアプリケーションプログラムを所定のサイトからダウンロードするダウンロード手段をさらに備える、請求項1または2記載の通信端末。
【請求項4】 通信端末のCPUに、
受信された電子メールに含まれるタイトル情報およびメインメッセージ情報を第1閲覧操作に応答して出力するタイトル/メインメッセージ出力ステップ、
前記受信された電子メールに付加メッセージ情報を含む付加メール情報が含まれるか否かを判別する判別ステップ、
前記判別ステップの判別結果が肯定的であるとき前記第1閲覧操作の後に行われる第2閲覧操作に応答してゲームを出力するゲーム出力ステップ、および
前記付加メッセージ情報を前記ゲーム出力ステップによって出力されるゲームの進行状態に応じて出力する付加メッセージ情報出力ステップを実行させるメッセージ制御プログラムであって、
前記ゲームは送信者によって撮影された静止画像を形成するシャッフルされた複数の分割画像を並べ替えるパズルゲームであり、
前記付加メッセージ情報出力ステップは前記複数の分割画像の並び替えに成功したときに前記付加メッセージ情報を出力する、メッセージ制御プログラム。
【請求項5】 通信端末のCPUに、
受信された電子メールに含まれるタイトル情報およびメインメッセージ情報を第1閲覧操作に応答して出力するタイトル/メインメッセージ出力ステップ、
前記受信された電子メールに付加メッセージ情報を含む付加メール情報が含まれるか否かを判別する判別ステップ、
前記判別ステップの判別結果が肯定的であるとき前記第1閲覧操作の後に行われる第2閲覧操作に応答してゲームを出力するゲーム出力ステップ、および
前記付加メッセージ情報を前記ゲーム出力ステップによって出力されるゲームの進行状態に応じて出力する付加メッセージ情報出力ステップを実行させるメッセージ制御プログラムを記録した記録媒体であって、
前記ゲームは送信者によって撮影された静止画像を形成するシャッフルされた複数の分割画像を並べ替えるパズルゲームであり、
前記付加メッセージ情報出力ステップは前記複数の分割画像の並び替えに成功したときに前記付加メッセージ情報を出力する、記憶媒体。
【請求項6】 通信端末によって実行されるメッセージ制御方法であって、
(a)電子メールを受信し、
(b)前記ステップ(a)で受信された電子メールに含まれるタイトル情報およびメインメッセージ情報を第1閲覧操作に応答して出力し、
(c)前記ステップ(a)で受信された電子メールに付加メッセージ情報を含む付加メール情報が含まれるか否かを判別し、
(d)前記ステップ(c)の判別結果が肯定的であるとき前記第1閲覧操作の後に行われる第2閲覧操作に応答してゲームを出力し、そして
(e)前記付加メッセージ情報を前記ゲーム出力手段によって出力されるゲームの進行状態に応じて出力し、
前記ゲームは送信者によって撮影された静止画像を形成するシャッフルされた複数の分割画像を並べ替えるパズルゲームであり、
前記ステップ(e)は前記複数の分割画像の並び替えに成功したときに前記付加メッセージ情報を出力する、メッセージ制御方法。」
と補正することを含むものである。

2 補正の適否の検討
(1)新規事項の追加禁止要件についての検討
本件補正が、願書に最初に添付した明細書及び図面に記載された事項の範囲内においてした補正であると認めることができるので、本件補正は、いわゆる新規事項の追加の禁止要件に違背する補正ではないから、特許法第17条の2第3項の規定に適合する。

(2)補正の目的要件についての検討
つぎに、本件補正が平成18年改正前特許法第17条の2(以下、「改正前特許法第17条の2」と略称する。)第4項の規定に適合するか否か、すなわち、同法第17条の2第1項第4号の規定により、拒絶査定不服審判の請求の日から30日以内になされた特許請求の範囲についてする補正が、改正前特許法第17条の2第4項の第1号ないし第4号に掲げる補正の目的に該当する補正であるか否かについて検討する。

ア 本件補正における補正の目的要件についての判断
(ア)本件補正における新請求項1(本件補正前の請求項1を「旧請求項1」といい、本件補正後の請求項1を「新請求項1」などということがある。以下同様。)の補正は、旧請求項1に記載されていた「ゲーム」及び「付加メッセージ情報出力手段」の各発明特定事項を、それぞれ「前記ゲームは送信者によって撮影された静止画像を形成するシャッフルされた複数の分割画像を並べ替えるパズルゲームであり」及び「前記付加メッセージ情報出力手段は前記複数の分割画像の並び替えに成功したときに前記付加メッセージ情報を出力する」に限定的に減縮するためにする補正であるから、改正前特許法第17条の2第4項第2号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とする補正に該当する。

(イ)本件補正における新請求項4の補正は、旧請求項4に記載されていた「ゲーム」及び「付加メッセージ情報出力ステップ」の各発明特定事項を、それぞれ「前記ゲームは送信者によって撮影された静止画像を形成するシャッフルされた複数の分割画像を並べ替えるパズルゲームであり」及び「前記付加メッセージ情報出力ステップは前記複数の分割画像の並び替えに成功したときに前記付加メッセージ情報を出力する」に限定的に減縮するためにする補正であるから、改正前特許法第17条の2第4項第2号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とする補正に該当する。

(ウ)本件補正における新請求項5の補正は、旧請求項5に記載されていた「ゲーム」及び「付加メッセージ情報出力ステップ」の各発明特定事項を、それぞれ「前記ゲームは送信者によって撮影された静止画像を形成するシャッフルされた複数の分割画像を並べ替えるパズルゲームであり」及び「前記付加メッセージ情報出力ステップは前記複数の分割画像の並び替えに成功したときに前記付加メッセージ情報を出力する」に限定的に減縮するためにする補正であるから、改正前特許法第17条の2第4項第2号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とする補正に該当する。

(エ)本件補正における新請求項6の補正は、旧請求項6に記載されていた「ゲーム」及び「ステップ(e)」の各発明特定事項を、それぞれ「前記ゲームは送信者によって撮影された静止画像を形成するシャッフルされた複数の分割画像を並べ替えるパズルゲームであり」及び「前記ステップ(e)は前記複数の分割画像の並び替えに成功したときに前記付加メッセージ情報を出力する」に限定的に減縮するためにする補正であるから、改正前特許法第17条の2第4項第2号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とする補正に該当する。

(オ)また、本件補正における新請求項2及び新請求項3の補正は、それぞれ新請求項1及び新請求項1又は2を引用する請求項であり、上記(ア)に前述したとおり、新請求項1が限定的に減縮されたことにより、前記新請求項1を引用する新請求項2及び新請求項1又は2を引用する新請求項3もそれぞれ限定的に減縮されたことになるから、やはり、本件補正における新請求項2及び新請求項3の補正も、新請求項1と同じく、旧請求項1又は旧請求項2に記載されていた「ゲーム」及び「付加メッセージ情報出力手段」の各発明特定事項を、それぞれ「前記ゲームは送信者によって撮影された静止画像を形成するシャッフルされた複数の分割画像を並べ替えるパズルゲームであり」及び「前記付加メッセージ情報出力手段は前記複数の分割画像の並び替えに成功したときに前記付加メッセージ情報を出力する」に限定的に減縮するためにする補正であるから、改正前特許法第17条の2第4項第2号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とする補正に該当する。

イ まとめ
以上のとおり、本件補正は、いずれも改正前特許法第17条の2第4項第2号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」に該当する補正であるので、本件補正は、補正の目的要件については適法であるといえる。

(3)独立特許要件の有無
上記のとおり、本件補正に係る新請求項1ないし新請求項6についての補正は、改正前特許法第17条の2第4項第2号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」をその補正の目的としているので、本件補正後の少なくとも新請求項1に記載された発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか否か、すなわち、改正前特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか否かについて、次に検討する。

ア 本願の本件補正後の新請求項1に記載され発明
本件補正後の新請求項1に記載された発明(以下、これを「本願補正発明1」という。)は、次のとおりのものである(上記「第3」の「1 補正の内容」欄を参照)。
「【請求項1】 電子メールを受信する受信手段、
前記受信手段によって受信された電子メールに含まれるタイトル情報およびメインメッセージ情報を第1閲覧操作に応答して出力するタイトル/メインメッセージ出力手段、
前記受信手段によって受信された電子メールに付加メッセージ情報を含む付加メール情報が含まれるか否かを判別する判別手段、
前記判別手段の判別結果が肯定的であるとき前記第1閲覧操作の後に行われる第2閲覧操作に応答してゲームを出力するゲーム出力手段、および
前記付加メッセージ情報を前記ゲーム出力手段によって出力されるゲームの進行状態に応じて出力する付加メッセージ情報出力手段を備え、
前記ゲームは送信者によって撮影された静止画像を形成するシャッフルされた複数の分割画像を並べ替えるパズルゲームであり、
前記付加メッセージ情報出力手段は前記複数の分割画像の並び替えに成功したときに前記付加メッセージ情報を出力する、通信端末。」

イ 引用刊行物及び記載事項
(ア)原審における拒絶査定の理由に引用された、本願の特許出願前に頒布された刊行物である特開2001-259224号公報(以下、「引用刊行物1」という。)には、「メッセージ交換機能を備えたゲームシステム、そのゲームシステムで使用するゲーム装置、メッセージ交換システム、およびコンピュータ読取可能な記憶媒体」に関し、図面の記載とともに次の事項が記載されている。
「【0001】【発明の属する技術分野】 本発明は、メッセージ交換機能を備えたゲームシステムに関する。」
「【0004】 そこで、本発明はゲーム機ならではの機能を活かしてメッセージ交換が行えるゲームシステム、メッセージ交換システムおよびそれらに適したコンピュータ読み取り可能な記憶媒体を提供することを目的とする。」
「【0031】 請求項21の発明は、請求項1のゲームシステムをメッセージ交換システムとして定義したものであって、メッセージの作成手段(4,10)および作成されたメッセージを送信する手段(10)を備えた第1の端末装置(1)と、前記メッセージの受信手段(10)および受信したメッセージを所定の表示装置(3)の画面上に表示させる表示制御手段(10)を備えた第2の端末装置(1)とを具備し、前記第2の端末装置は、所定のゲームをユーザに実行させるゲーム実行手段(10)と、前記ゲームにて所定の条件が満たされるまでは前記メッセージの少なくとも一部について表示を禁止し、前記条件が満たされると前記メッセージの表示が禁止されていた部分の表示を許可する表示許可制御手段(10)とを備えたことを特徴とする。
【0032】 このメッセージ交換システムによれば、請求項1のゲームシステムと同様にメッセージの受信者が所定のゲームをプレイして所定の条件を満たさない限り、受信したメッセージの少なくとも一部が表示されない。これにより、メッセージの読み取りに娯楽性が付加され、メッセージのみを交換する場合よりもメッセージのやり取りを楽しめるようになる。また、同一のゲームの繰り返しであっても、プレイした結果として表示されるメッセージは毎回異なるから、結果としてゲームの繰り返しに対してユーザが飽きにくくなり、メッセージ交換システムに対するユーザの興味を長期に亘って維持できる。」
「【0045】【発明の実施の形態】 図1は本発明のゲームシステムを構成するゲーム装置としての携帯型ゲーム機を示している。携帯型ゲーム機1は、本体2と、その本体2に取り付けられた表示装置としての液晶モニタ3と、入力装置4とを有している。入力装置4は、方向指示スイッチ5と、複数の押釦スイッチ6a?6dとを備えている。方向指示スイッチ5は例えば十字型の操作部材5aを有し、その操作部材5aの上下左右方向の操作(上下左右の端部の押し込み操作)に対応した信号を出力する。このような入力装置4の構成は周知であり、種々変形が可能である。例えば操作部材5aに代え、上下左右にそれぞれ一つずつ押釦スイッチが配置されてもよい。押釦スイッチ6a?6dの個数および配置は種々変更してよいが、以下の説明では押釦スイッチ6aをAボタン、押釦スイッチ6bをBボタン、押釦スイッチ6cをSTARTボタン(スタートボタン)、押釦スイッチ6dをSELECTボタン(セレクトボタン)と呼ぶ。但し、これらのボタンを区別する必要がないときは押釦スイッチ6と表現する。この他に、ゲーム機1には電源スイッチ、音量調整用の操作部材等が設けられるが、それらは省略した。
【0046】 図2はゲーム機1に設けられた制御装置10の構成を示している。制御装置10は、マイクロプロセッサを利用したCPU11を主体とするコンピュータとして構成されている。CPU11には、主記憶装置としてのROM12およびRAM13と、画像処理回路14と、サウンド処理回路15とがバス16を介してそれぞれ接続される。ROM12には、ゲーム機1の基本的な制御(例えば起動処理)に必要なプログラムが格納される。RAM13にはCPU11に対する作業領域が確保される。画像処理回路14はCPU11からの描画指示に応じて液晶モニタ3を制御してその画面上に所定の画像を表示させる。サウンド処理回路15はCPU11からの発音指示に応じたアナログ音声信号を生成してスピーカ7に出力する。
【0047】 CPU11にはバス16を介して入力装置4の各スイッチ5,6が接続され、それによりCPU11は各スイッチ5,6の操作状態を判別可能である。また、バス16には、制御装置10とは別体の外部記憶装置17が接続される。外部記憶装置17は例えば本体2に対して着脱自在なカセット型に構成され、その内部には記憶媒体としてROM18およびユーザ用のメモリ19が設けられる。ROM18には、制御装置10を本発明の各手段として機能させるためのプログラムおよびその実行に必要な各種のデータが予め記録される。メモリ19はフラッシュメモリのような書き換え可能なROMが使用され、そこには例えばゲームのセーブデータ等が必要に応じて記録される。外部記憶装置17の記憶媒体は半導体記憶素子に限らず、磁気記憶媒体、光学式記憶媒体、光磁気記憶媒体等の各種の記憶媒体を使用してよい。なお、バス16と各要素との間には必要に応じてインターフェース回路が介在されるが、それらの図示は省略した。制御装置10の構成は上記に限定されず、種々の制御装置を使用してよい。
【0048】 ゲーム機1を所定の通信回線や他のゲーム機等に接続するため、CPU11には、バス16を介して通信制御回路20が接続される。通信制御回路20には通信インターフェース21を介して通信コネクタ22が接続される。通信制御回路20としては、例えばDSP(デジタルシグナルプロセッサ)とソフトウエアとの組み合わせにより、モデムやネットワークインターフェースとして機能するものが利用できる。通信コネクタ22やインターフェース21をゲーム機1に対して外部接続される周辺機器として設けてもよい。
【0049】 以上の構成のゲーム機1では、外部記憶装置17のROM18に記録されたプログラムをRAM13にロードしてCPU11で実行することにより、様々なジャンルのゲームをモニタ3の画面上でプレイすることができる。また、通信制御回路20を制御して所定のネットワークにゲーム機1を接続し、他のゲーム機1との間でメッセージを交換することもできる。ネットワーク接続は例えば図3(a)に示す形態で実現できる。この例では、携帯電話やPHS等の移動体通信端末電話機(以下、携帯電話で代表する。)30とゲーム機1の通信コネクタ22とを通信ケーブル31で接続し、ゲーム機1から携帯電話30を制御して所定のアクセスポイント32に電話をし、アクセスポイント32から所定のネットワーク33を介してサーバー34に接続することで、ゲーム機1がネットワーク端末として機能する。但し、本発明のゲームシステムはこのようなネットワークを介してメッセージを交換するものに限定されず、ゲーム機1同士の接続は種々の形態で実現してよい。例えば図3(b)に示すように、ゲーム機1同士を通信ケーブル36で接続してゲーム機1間でメッセージを交換してもよい。赤外線等を利用した無線通信を利用してゲーム機1同士を接続してもよい。
【0050】 次に、外部記憶装置17のROM18に記録されたプログラムによって実現されるメッセージ交換機能について図4?図9を参照して説明する。メッセージ交換機能は、メッセージの送信者のときに使用される機能と、メッセージの受信者のときに使用される機能とを含んでいる。前者はさらにメッセージの作成、そのメッセージに対する読み取り条件の設定および送信を行うための機能を含み、後者はメッセージの受信および表示を行うための機能を含んでいる。図4および図5はメッセージの送信者のときにモニタ3に表示される代表的な画面を、図6?図8は受信者のときにモニタ3に表示される代表的な画面の例をそれぞれ示している。本実施形態のゲーム1機におけるメッセージ交換機能の特徴は、受信者が図7のゲーム画面210を利用して行われる音楽ゲームにて所定の条件を満たさない限り、受信したメッセージの全文字を読み取ることができない点にある。従って、まず図6?図8を参照して受信時に使用される機能を説明する。
【0051】 メッセージの受信はユーザがゲーム機1をサーバー34に接続し、所定のダウンロード操作を行うことによって達成される。メッセージが受信されると図6のタイトル画面200が表示される。タイトル画面200は、受信したメッセージを開くためにプレイすべき曲のタイトルが表示される曲名表示部201と、受信したメッセージのタイトル、送信者、送信日時が表示されるメッセージ情報部202とを含んでいる。
【0052】 ユーザが所定の操作を行うとゲーム開始となり、図7(a)のゲーム画面210が表示される。ゲーム画面210は、インジケータ211、文章ウインドウ212、割り当て文字ウインドウ213、達成度ゲージ214を含んでいる。インジケータ211は区切線220によって視覚的に6つの領域221a?221f、すなわち区切線220の間の領域221a、221c、221eおよび221fと、区切線220上の領域221bおよび221dに区分可能である。各領域221a?221fはゲーム機1の入力装置4のいずれかの操作部に対応付けられている。例えば、領域221aは方向指示スイッチ5の左側、領域221bは方向指示スイッチ5の上側、領域221cは方向指示スイッチ5の右側、領域221dはBボタン6b、領域221eはAボタン、領域221fはSTARTボタン6cまたはSELECTボタン6dに対応付けられている。
【0053】 ゲームが開始されると、タイトル画面200で表示された曲の再生が開始される。再生開始後、インジケータ211の各領域221a?221fの上端にはマーク222…222が所定の順序で出現する。マーク222が出現するタイミングは曲毎に予め決まっている。出現したマーク222は曲のテンポに応じた速度でインジケータ211内を上から下へと移動する。マーク222がインジケータ211の下端の判定基準線223に達すると、そのマーク222が表示されている領域221a?221fに対応する操作部を操作すべきタイミングが到来する(図では領域221eに対応する操作部であるAボタン6aの操作タイミングが到来している。)。なお、インジケータ211の表示範囲は例えば曲の2小節分に設定される。つまり、判定基準線223が曲の現在位置に相当し、そこから2小節の間に実行すべき操作に対応したマーク222がインジケータ211に表示される。
【0054】 マーク222と判定基準線223とによって示されたタイミングに合わせてユーザが入力装置4を操作すると、その操作時期とマーク222によって指示されたタイミングとの一致度が検出され、その一致度に応じてユーザの操作が例えば数段階に評価される。この評価はマーク222毎に行われる。一定のレベル以上の評価が与えられたマークはクリアとなる。例えば、ユーザの操作をレベルの高い方から順に「Great」、「Good」、「Bad」および「Poor」に分類し、「Great」または「Good」と判定されたマーク222についてはクリアされたものと扱われる。クリアされたマーク222の数の増加に応じて文章ウインドウ212に表示されたメッセージが徐々に明らかになっていく。ゲーム開始当初は図7(b)に示すように文章ウインドウ212にはメッセージがすべてマスクされた状態で表示される。マーク222にはメッセージの文字が適当な数ずつ割り当ててあり、ユーザがマーク222をクリアすると、そのマーク222に割り当てられている文字列のみマスクが解除されて表示される(図7(c))。
【0055】 文字列が割り当てられたすべてのマーク222がクリアされると図7(a)に示すように全てのマスクが除去されてメッセージの全文が文章ウインドウ212に表示される。なお、割り当て文字ウインドウ213には、判定基準線223に達したマーク222がクリアされたとき、そのマーク222に割り当てられている文字列が表示される。達成度ゲージ214にはゲームの達成度がバーグラフ形式で表示される。クリアされたマーク222の数が一定量増加する毎にセグメント214aの点灯数が増加し、ゲージ214の右端まで全てのセグメント214aが点灯すればゲームクリア(メッセージの表示完了)となる。文章ウインドウ212に表示されたメッセージのマスクが開いた比率として達成度ゲージ214の表示を変化させてもよい。
【0056】 ユーザは全てのメッセージが表示されるまでゲームを何回でも繰り返しプレイできる。2回目以降のプレイでは、既にクリアされたマーク222は他のマーク222とは異なる態様で表示される。例えば他のマーク222よりも目立たない色で表示される。これにより、ユーザは、これからクリアすべきマーク222と、既にクリアしたマーク222とを明瞭に区分できる。
【0057】 メッセージの表示が完了すると図8のクリア画面230が表示される。クリア画面230は、メッセージのタイトル、送信者、送信日時を示すメッセージ情報部231、メッセージの本文が表示される文章ウインドウ232、処理メニューが表示されるメニュー表示部233を含んでいる。メニュー表示部233には、メッセージに対する返信の作成機能を使用するための「ヘンジ」、メッセージの転送機能を使用するための「テンソウ」、メッセージの削除を意味する「サクジョ」およびゲームの終了を意味する「EXIT」が用意されているが、一般の電子メールソフトで使用可能な各種の機能をメニュー表示部233から選択可能としてもよい。
【0058】 以上のようなプレイを可能にするため、外部記憶装置17のROM18には図9(a)に示すデータ群が予め記録されている。このデータ群は、曲再生用波形データ群、効果音再生用波形データ群、操作指示用データ群および画像データ群を含んでいる。曲再生用波形データ群は、ゲームで使用可能な複数の曲のそれぞれを再生するための波形を記述したデータの集合である。メッセージを送信する際のユーザの気分に適した曲が選択できるように、曲再生用波形データ群には様々なジャンルの曲を用意しておくことが望ましい。効果音再生用波形データ群は、ゲーム中にユーザの操作に応じて発音させる複数の効果音のそれぞれの波形を記述したデータの集合である。操作指示用データ群は、曲に合わせた入力装置4の一連の操作を定義した曲毎のデータの集合である。この操作指示用データ群に含まれる曲毎の操作指示用データに基づいて、上述したインジケータ211のマーク222の表示位置や出現のタイミングが決定される。換言すれば、操作指示用データは、曲の先頭から終わりまでにインジケータ211に表示すべきマーク222の分布を記述したデータである。画像データ群はマーク222等を表示するためのデータの集合である。
【0059】 一方、図9(b)に示すように、送信者からサーバー34を介して送られるメッセージにはメッセージのタイトル、送信者、送信日時等の情報を含んだメッセージヘッダおよびメッセージの本文が含まれるが、これらに対してさらにゲーム用データが添付される。ゲーム用データには、メッセージの本文を読み取るためにプレイすべき曲を指定する情報と、その曲に対応してインジケータ211に表示される各マーク222に対するメッセージの文字列の割り当てを指定した割り付けデータが含まれる。」
「【0078】 図10の処理により作成された送信データは図12の送信処理によりサーバー34に送信される。この送信処理はユーザが入力装置4を操作してメッセージの送信を指示したときに実行され、まずRAM13に未送信データが存在するか否か判断される(ステップS41)。存在しないときは処理を終え、存在するときはその未送信データの送信が実行される(ステップS42)。この処理は携帯電話30との間でプロトコルを確立する処理、携帯電話30からアクセスポイントに発信してネットワークとの間でプロトコルを確立する手順、送信データをサーバー34に送り出す手順等、一般のネットワーク送信で実行されている各種の手順に従って送信が行われる。送信データの送信が完了すると図12の処理が終了する。
【0079】 サーバー34に保存されたメッセージは受信者が入力装置4に対して所定の受信操作を行うことにより受信側のユーザのゲーム機1に転送(ダウンロード)される。図13は受信側におけるメッセージの受信処理を示している。この処理では、まず自己宛にメッセージが着信しているか否かがサーバー34に問い合わされ、サーバー34からの回答によりメッセージ着信の有無が判断される(ステップS101)。着信がないときは以降の処理はキャンセルされて受信処理が完了する。一方、着信があればダウンローダ[当審注:「ダウンロード」の誤記と認める。]が開始され(ステップS102)、ダウンロードが終了するとRAM13の一時受信エリアに格納されたダウンロードデータに基づいて送信データが復元され、これがRAM13の所定の保存エリアに保存される(ステップS103)。以上により受信処理が完了する。受信完了によりアクセスポイント32に対する電話回線は自動的に接続される。なお、メッセージが着している[当審注:「着信している」の誤記と認める。]場合、そのヘッダ部分の情報のみをモニタ3に表示し、ダウンロードするか否かをユーザに選択させ、ユーザがダウンロードを指示したメッセージについてのみステップS102以下の処理を実行してもよい。受信したデータはユーザの指示により外部記憶装置17のメモリ19に保存される。
【0080】 図14は受信したメッセージに対するゲーム処理の手順を示すフローチャートである。この処理は、ユーザが受信したメッセージの中から読みたいものを指定することにより開始される。まず、ゲームを実行するために必要なデータが外部記憶装置17からRAM13の所定の作業エリアにロードされる(ステップS111)。この場合に必要なデータには、メッセージのゲーム用データにて指定されている曲の再生用波形データ、効果音波形データ、操作指示用データ、画像データ等が含まれる。
【0081】 次に、そのメッセージに関するゲームのプレイ回数が識別される(ステップS112)。プレイ回数は例えばRAM13または外部記憶装置17のメモリ19にメッセージと対応付けて記録される。受信後、初めてゲームをプレイする場合にはプレイ回数のデータが存在しないのでステップS112ではプレイ回数が0として識別される。続くステップS113ではプレイ回数の記録値に1が加算される。そして、加算後のプレイ回数が4回以内か否か判断され(ステップS114)、4回以内であれば効果音Aが再生される(ステップS115)。一方、プレイ回数が4回を越えているときは9回以内か否かさらに判断され(ステップS116)、9回以内であれば効果音Bが再生される(ステップS117)。9回を越えていれば効果音は再生されない。効果音Aは観客の歓声を模した音、効果音Bは観客の不安げなざわめきを模した音にそれぞれ設定される。これにより、一つのメッセージを完全に表示させるまでのプレイの繰り返し回数に応じてゲーム開始時の反応が変化し、その回数が多いプレイヤーに一種の焦燥感を与えて緊張させることができる。繰り返しに当たってのゲーム機1の反応の変化は音によるものに限らず、これに代え、または追加して映像による変化を与えてもよい。
【0082】 続くステップS118では図7のゲーム画面210が表示される。その後、曲の再生が開始され(ステップS119)、マーク222をスクロールさせるために必要な演算が実行される(ステップS120)。これは、次のフレームで新たに出現するマーク222を操作指示用データから特定するとともに、既に出現している各マーク222の次のフレームにおける座標を演算する処理である。スクロール用演算が終了すると、次いでユーザの操作が評価される(ステップS121)。この処理は前回のステップS121の処理時点から今回の処理時点までの入力装置4の操作をキーバッファに保存し、それら保存された実際の操作と操作指示用データで定義されている操作との一致度により実際の操作を評価する処理である。もっとも、入力装置4が操作される毎に割り込み処理を実行して操作指示用データで定義されている操作との一致度を求めてもよい。入力装置4の操作に応答して適当な効果音を再生してもよい。
【0083】 続くステップS122では一定のレベル以上の評価が与えられたマーク222がクリアとしてRAM13に記憶される。次いで、クリアされたマーク222の個数と、文字が割り当てられているマーク222の総数との比からゲームの達成度が演算される(ステップS123)。さらに、達成度が100%に達したか否か判断され(ステップS124)、100%でないときは曲が所定の終了位置まで再生されたか否か判断される(ステップS125)。終了でないときはステップS126で画面表示が更新される。このとき、文章ウインドウ212ではクリアされたマーク222に対応する文字列のマスクが解除され、割り当て文字ウインドウ213にはその文字列が表示され、達成度ゲージ214の表示がステップS123の計算結果に応じて更新される。また、インジケータ211のマーク222の位置が更新され、クリア済みのマーク222の表示態様が変更される。ステップS126の処理後はステップS120へと処理が戻される。
【0084】 ステップS125で曲終了と判断されたときはステップS127で所定のゲーム結果を示す画面がモニタ3に表示され、その後、ユーザにゲームを中止するか否か確認が求められる(ステップS127)。中止が選択されないときはステップS113へ処理が戻され、中止が選択されたときはゲーム処理が終了する。ステップS124で達成度が100%と判断されたときは図8のクリア画面220が表示され、これをもってゲーム処理が完了する。
【0085】 本発明は上述した実施形態に限定されることなく、種々の形態にて実施してよい。マーク222に対する文字列の割り当てを送信者側で行ったが、受信者側のゲーム機1が受信したメッセージに対して自動的に割り当てを行ってもよい。メッセージの表示の許可は文字列毎でなくメッセージの全体として許可するか否かをゲームの状況に基づいて判断してもよい。メッセージを表示させるために実行させるゲームは音楽ゲームに限らず、ダンスゲーム、シューティングゲーム、ドライブゲーム、ロールプレイングゲーム等、種々のゲームを採用することができ、メッセージの表示を許可するための条件も様々に設定してよい。例えばシューティングゲームでは狙撃対象と文字列とを対応させておき、狙撃が成功する毎に徐々にメッセージが開くように設定することができる。
【0086】 本発明はゲーム機1の間でメッセージを交換するシステムに限定されず、ゲーム機1以外からのメッセージを取り込んでゲームを行わせてもよい。その場合、メッセージには図9(b)のゲーム用データが存在しないので、受信したゲーム機1側でこれに当たるデータを作成すればよい。曲に関しては乱数などを利用して適当に決定すればよいし、マーク222と文字との対応関係は図11で説明した自動モードを受信側のゲーム1機で実行すればよい。
「【0087】【発明の効果】 以上に説明したように、本発明によれば、メッセージの受信者が所定のゲームをプレイして所定の条件を満たさない限り、受信したメッセージの少なくとも一部が表示されない。これにより、メッセージの読み取りに娯楽性が付加され、メッセージのみを交換する場合よりもメッセージのやり取りを楽しめるようになる。そのため、ゲーム装置ならではの機能を活かしてメッセージ交換が行えるようになる。また、同一のゲームの繰り返しであっても、プレイした結果として表示されるメッセージは毎回異なるから、結果としてゲームの繰り返しに対してユーザが飽きにくくなり、ゲームの興趣を長期に亘って維持できる。」

そうしてみると、引用刊行物1の上記摘記事項及び図面の図示からみて、前記引用刊行物1には、次の発明(以下、これを「引用発明1」という。)の記載が認められる。
「メッセージの作成手段および作成されたメッセージを送信する手段を備え、携帯電話30と接続する第1のゲーム端末装置1と、通信制御回路20、通信インターフェース21及び通信コネクタ22とからなる前記メッセージの受信手段および受信したメッセージを所定の表示装置3の画面上に表示させる表示制御手段を備え、携帯電話30と接続する第2のゲーム端末装置1とを具備するメッセージ交換システムに使用するゲーム端末装置において、
前記携帯電話30と接続する第2のゲーム端末装置1が、
ダンスゲーム、シューティングゲーム、ドライブゲーム、ロールプレイングゲーム等の所定のゲームを受信者に実行させるゲーム実行手段と、
前記ゲームにて所定の条件が満たされるまでは前記メッセージの少なくとも一部について表示を禁止し、前記条件が満たされると前記メッセージの表示が禁止されていた部分の表示を許可する表示許可制御手段とを備えた、
ゲーム機ならではの機能を活かしてメッセージ交換が行えるメッセージ交換機能を有し、
前記メッセージ交換機能は、メッセージの送信者のときに使用されるメッセージの作成、そのメッセージに対する読み取り条件の設定および送信を行うための機能と、メッセージの受信者のときに使用されるメッセージの受信および表示を行うための機能とを含み、
送信処理は携帯電話30との間でプロトコルを確立する処理、携帯電話30からアクセスポイントに発信してネットワークとの間でプロトコルを確立する手順、送信データをサーバー34に送り出す手順等、一般のネットワーク送信で実行されている各種の手順に従って送信が行われるものとされ、
受信処理は、サーバー34に保存されたメッセージは受信者が入力装置4に対して所定の受信操作を行うことにより受信側の受信者のゲーム端末装置1に転送され、まず自己宛にメッセージが着信しているか否かがサーバー34に問い合わされ、サーバー34からの回答によりメッセージ着信の有無が判断されて、メッセージが着信している場合、そのヘッダ部分の情報のみをモニタ3に表示し、ダウンロードするか否かを受信者に選択させ、受信者がダウンロードを指示したメッセージについてのみダウンロードが開始され、ダウンロードが終了するとRAM13の一時受信エリアに格納されたダウンロードデータに基づいて送信データが復元されて、RAM13の所定の保存エリアに保存されることにより受信処理が完了し、アクセスポイント32に対する電話回線は自動的に接続されるものとされ、
ゲーム処理は、受信者が受信したメッセージの中から読みたいものを指定することにより開始されることとされ、
ゲーム端末装置1におけるメッセージ交換機能は、受信者がゲーム画面210を利用して行われる音楽ゲームにて所定の条件を満たさない限り、受信したメッセージの全文字を読み取ることができないようになっており、
メッセージの受信は受信者がゲーム端末装置1をサーバー34に接続し、所定のダウンロード操作を行うことによって達成され、メッセージが受信されると、タイトル画面200に、受信したメッセージを開くためにプレイすべき曲のタイトルが表示される曲名表示部201と、受信したメッセージのタイトル、送信者、送信日時が表示されるメッセージ情報部202とが表示され、
受信者が所定の操作を行うとゲーム開始となり、ゲーム画面210が表示され、タイトル画面200で表示された曲の再生が開始されて、マーク222と判定基準線223とによって示されたタイミングに合わせて受信者が入力装置4を操作すると、その操作時期とマーク222によって指示されたタイミングとの一致度が検出され、その一致度に応じて受信者の操作が例えば数段階に評価されるようになっており、
ゲーム開始当初は文章ウインドウ212にはすべてマスクされた状態で表示されているメッセージが、一定のレベル以上の評価が与えられてクリアされたマーク222の数の増加に応じてマスクが徐々に解除され、すべてのマーク222がクリアされると、文章ウインドウ212にメッセージの全文が表示され、
次に、クリア画面230に、送信者からサーバー34を介して送られるメッセージのタイトル、送信者、送信日時等の情報を含んだメッセージヘッダおよびメッセージの本文が表示される、メッセージ交換システムに使用する、携帯電話30と接続するゲーム端末装置」

(イ)本願の特許出願前に頒布された刊行物である特開2001-177799号公報(以下、「引用刊行物2」という。)には、「プリント供給装置及び情報記憶媒体」に関し、図面の記載とともに次の事項が記載されている。
「【0001】【発明の属する技術分野】 本発明は、撮影された画像を用いたゲームを行い、途中終了した場合には当該ゲーム途中における画像を画像シールとして印刷出力するプリント供給装置等に関する。」
「【0006】 本発明の課題は、上記問題点を解決するため、プリント供給装置にゲーム性を加味し、単なる撮影画像の画像シールとは異なる面白さが加わった画像シールを印刷出力することを目的とするとともに、プリント供給装置以外のゲーム装置等への適用をも可能とすることである。」
「【0010】 ここで、撮影手段と印刷出力手段とを備える構成としたが、例えば、被写体を撮影した撮影画像を外部から入力・記憶する家庭用のゲーム装置やコンピュータ等であってもよく、その場合には、撮影手段が不要となる他、印刷出力手段による印刷先を外部のプリンタ(印刷装置)とするように構成してもよい。」
「【0014】 また、請求項4記載の発明のように、請求項1記載の発明のプリント供給装置において、前記ゲーム実行手段は、前記複数の部分画像をスライドさせながら並べ替えることによって(例えば、図8のゲーム演算部310が実行する画像分解プログラム422;図10のステップS6におけるシャッフル)、前記複数の部分画像の合成表示を分解前の元の撮影画像に戻すための所与のゲームを実行することとしてもよい。
【0015】 この請求項4記載の発明によれば、スライドさせながら並べ替えることによる所与のゲームとして、例えば、撮影画像に基づくスライドパズルゲーム等を楽しむことができる。
【0016】 ここで、当該ゲームの実行前に、予め部分画像をシャッフルすることが必要となるが、これは、例えば、分解手段が部分画像への分解を行う際に行うこととして実現が可能である。具体的には、発明の実施の形態において、画像分解プログラム422を実行することによって実現されるものと同等のことである。また、上記シャッフルにおいて、シャッフルする回数や列等を制限することによって、当該ゲームの難易度を設定することも可能である。」
「【0031】 図1において、プリント供給装置700は、撮影用のCCDカメラ210と、ディスプレイ510と、操作部110と、シール受取口610とを有している。プリント供給装置700は、CCDカメラ210によってプレーヤ710の画像を撮影し、撮影した画像に基づいて、15パズルと呼ばれるスライドパズルゲームを実行する(15パズルについては後述する。)。プレーヤ710は、操作部110を用いてパズルに対する指示入力を行うが、制限時間内にパズルを解けなかった場合には、プリント供給装置700が、そのゲーム途中状態の撮影画像を画像シールとして印刷し、シール受取口610から排出する。」
「【0035】 図5は、シャッフルされた撮影画像を示す図である。また、図6は、プレーヤ710によって部分画像が移動されている状態を示す図である。プレーヤ710は、図5においてシャッフルされた撮影画像から、移動させる部分画像を1つずつ選択・移動させることによって、シャッフルされていない元の撮影画像に戻すゲームを楽しむ。これが、15パズルと呼ばれるスライドパズルゲームである。」
「【0043】 なお、本実施の形態においては、制限時間の違いが難易度となることとして説明するが、撮影画像を9分割や25分割することとしもよく、また、16分割された画像の内、例えば2列のみをシャッフルさせることとしてもよい。」
「【0068】 以上のように、本発明によれば、プリント供給装置にゲーム性を加味し、撮影画像が単に画像シールとして印刷出力されることとは異なる面白さを加えることができる。具体的には、そのゲームは、撮影画像に基づいて行われるスライドパズルゲームであり、制限時間内にゲームが完成できなかった場合には、撮影画像とは異なる、変わった画像シールが印刷されることとなるため、面白みのある画像シールとすることができる。」
「【要約】【課題】 本発明の課題は、プリント供給装置にゲーム性を加味し、単なる撮影画像の画像シールとは異なる面白さが加わった画像シールを印刷出力することを目的とする。
【解決手段】 撮影部20によってプレーヤの画像を撮影し、撮影した画像に基づいて、15パズルと呼ばれるスライドパズルゲームを実行する。プレーヤは、操作部10を用いてパズルに対する指示入力を行うが、制限時間内にパズルを解けなかった場合には、その時点の撮影画像を画像シールとして印刷出力する。」

(ウ)本願の特許出願前に頒布された刊行物である特開2002-126355号公報(以下、「引用刊行物3」という。)には、「コンピュータ装置とこの装置を用いたゲームの遊技方法、及びコンピュータゲームの配信システムとその配信方法」に関し、図面の記載とともに次の事項が記載されている。
「【0001】【発明の属する技術分野】 本発明は、コンピュータ装置とこの装置を用いたゲームの遊技方法、及びコンピュータゲームの配信システムとその配信方法に係わり、特に、デジタルカメラ等の装置で取り込んだ画像データをゲーム内に取り込み、取り込んだ画像を用いてゲームを楽しむことを可能にしたコンピュータ装置とこの装置を用いたゲームの遊技方法、及びコンピュータゲームの配信システムとその配信方法に関する。」
「【0011】 以下に、第1の具体例を実際のゲームを例にして詳細に説明する。図3(a)に示したものは、第2のコンピュータ2のディスプレイ装置23上に表示されたゲーム1aの表示画面を示す図である。このゲーム1aは、ゲーム画面が、ほぼ正方形の16区画(以下、部分という)に分割されて、その内の例えば、部分A1には、絵Aが表示されないようになっている。同図において、絵Aを斜線で示した。そして、残りの15区画の絵Aの中で、前記部分A1に隣接する部分を、部分A1と置き換えることを、順に繰り返すことで、絵Aを完成するようにしたゲームである。さて、このようなゲームにおいて、同じ絵を用いてゲームを繰り返し、楽しんでいると飽きてくる。このような場合、絵Aを遊技者の好きな絵に変えることが出来れば、同じゲームを新鮮な気持ちで楽しむことが出来る。」
「【0014】 勿論、画像を取り込むための装置としては、ディジタルカメラの他、スキャナから取り込むように構成しても良いし、インターネットからダウンロードして、ディスク装置に保存してある画像データを、前記のホルダに転送することで、好みの画像をゲーム1a内に取り込むように構成しても良い。なお、取込む画像の種類としては、拡張子が以下の画像データ、例えば、(*.jpg)、(*.gif)、(*.pct)、(*.pic)(*.bmp)が考えられるが、他の画像データでも本発明に適用することができる。」
「【要約】【課題】 ゲーム画面を遊技者の好みにあったデザインに変更可能にしたコンピュータゲームの配信システムを提供するものである。
【解決手段】 第1のコンピュータ1からインターネット3を介して配信されるゲーム1aを第2のコンピュータ2がダウンロードし、前記第2のコンピュータ2上でゲーム1aを行うようにしたコンピュータゲームの配信システムであって、前記第1のコンピュータ1は、前記ゲーム1aと共に、前記第2のコンピュータ装置2に接続可能な外部装置21からの画像を取り込むための画像取込手段1bを配信し、前記ゲーム1aをダウンロードした第2のコンピュータ2は、前記ダウンロードした画像取込手段1bを介して前記外部装置21から所定の画像を前記第2のコンピュータ装置2内に取り込み、取り込んだ画像を用いてゲーム1aを行うように構成したことを特徴とする。」

(エ)本願の特許出願前に頒布された刊行物であり、本願の明細書中に先行技術文献として開示されている特開平10-99543号公報(以下、「引用刊行物4」という。)には、「コンピュータ式タイルパズルゲーム装置の制御方法及びタイルパズルゲーム制御プログラムを記憶した媒体」に関し、図面の記載とともに次の事項が記載されている。
「【0001】【発明の属する技術分野】 本発明は、ポインティング入力装置(例えばマウス入力装置など)、表示装置、タイマ/カウンタ装置、中央演算装置及びデータを格納する記憶装置から成り、その表示装置上に描かれた複数のタイルを、ポインティング入力装置の指示に従って、ある状態から次の状態へと並び替えて、この並び替える変化の状態を楽しみ、かつタイルを動かす回数及び初期状態から最終状態までの時間を競って遊ぶためのコンピュータ式タイルパズルゲーム装置の制御方法及びタイルパズルゲーム制御プログラムを記憶した媒体に関する。」
「【0011】 本発明は、上述したような問題点を解決するためになされたものであり、新しいポインティング入力装置の操作と、それに連動したタイルの特別な移動と表示により、並び替える多様な変化状態の面白さ、例えば混沌としたタイルの配置状態から秩序ある状態、すなわち正しいタイル配置へ替わる面白さと、そのスピーディな並び替えの楽しさ、及び表示画面上で美しく大きい画面を与えるコンピュータ式タイルパズルゲーム装置の制御方法及びその制御プログラムを記憶した媒体を提供することを目的とする。換言すれば、従来のコンピュータ式タイルパズルゲーム装置、すなわち15ゲームタイプやジグソーパズルタイプの欠点を克服した、新しい、より楽しく、面白いコンピュータ式パズルゲーム装置の制御方法及びその制御プログラムを記憶した媒体を提供することを目的とする。
【0012】 より具体的には、一枚の美しい完成図(最終秩序図、例えば、美しい絵)を細分割して得られる多数の部分破片(以下、タイルという)をでたらめにかき混ぜて出来る混沌とした集合配置状態(以下、無秩序図ということもある)から、もう一度タイルを並べ替えて完成図(以下、秩序図ということもある)を作る際に、新しいクリック操作とタイマ/カウンタを使用して、(1)同一画面内で、多数のタイルを扱って、(2)1操作毎(クリック操作の1セット毎)に新しく秩序と無秩序状態を作りながら、すなわち、ダイナミックで多様な並べ替え変化状態を作りながら、(3)スピーディに、(4)大きく美しい完成図を作ることにより、並べ替え手数と経過時間を測定して、その値を競うコンピュータ式タイルパズルゲーム装置の制御方法及びその制御プログラムを記憶した媒体を提供するものである。」
「【0029】 上述のようにして、スワップを繰り返し、スワップ回数と一致数をカウントしながら、最終の美しい完成画面を作りあげるのが、本発明によるパズルゲームである。最終完成図は、スキャナーや、電子スチルカメラ、あるいはコンピュータグラフィックスから、容易に美しい画面が得られることは、勿論である。また、ゲームのスタート画面は、この美しい完成画面を構成する多数のタイルの位置を乱数化して配置して作ることは、コンピュータの手法としてよく知られている。」
「【0055】【発明の効果】 以上説明してきたように、本発明に係るコンピュータ式タイルパズルゲーム装置の制御方法によれば、1つの集合タイル画面内においてポインティング入力装置のクリック操作により、新しく秩序と無秩序を作りながら、ダイナミックなタイルの並べ替え変化(クリックスワップ制御)が実行されるので、(1)並べ替え得るタイルの選択肢の多さ、(2)並べ替え得るタイルの混乱状態の複雑さ、(3)スタートから終了までの間のスピード感及びクリック操作毎のリズム感、(4)最終完成図の美しさと大きさ、(5)パズルを解く(困難を克服する)達成感、などの点で極めて優れた、無秩序状態から秩序状態へ並び替えて手数と時間を競うための大変ユニークで面白いゲームを生成することができる。」
「【要約】【課題】 コンピュータ式タイルパズルゲーム装置の制御方法において、ポインティング入力装置の操作に連動したタイルの特別な移動と表示により、並び替える多様な変化、例えば混沌としたタイルの配置状態から秩序ある状態へ替わる面白さと、そのスピーディな並び替えの楽しさ、表示画面上で美しく大きい画面を与えることを可能とする。
【解決手段】 表示装置の単一の集合タイル画面30内に、複数のタイルを位置情報に基づいて配置し、表示させる。2つの任意のタイル31の位置がポインティング入力装置により指示され、かつクリックされた時、それぞれ第1及び第2のクリックスワップ信号を発生させる。そのクリックスワップ信号により、2つのタイルの位置情報を交換する。これにより、タイルのスワップ移動制御が行える。」

(オ)本願の特許出願前に頒布された商品カタログである「J-SA51 by SANYO」、J-フォン株式会社、2002年9月末日発行(以下、「周知技術文献1」という。)には、「携帯電話J-SA51のゲーム機能」に関し、写真とともに次の事項が記載されている。
「GAME
チェリーのミラクルフォトルーム SANYOオリジナルゲーム
カメラで撮った画像を使って、「パズルゲーム」や「パズルdeメール」が楽しめます。
●パズルゲーム
「16パズル」「まわれ!16パズル」
制限時間が少なくなったり、おじゃまキャラが出現したりするので、楽しみながら「パズルゲーム」で遊べます。
難易度により9枚/16枚/25枚に分割された画像を動かして、画像を完成させるゲーム
●パズルdeメール
J-SA51のユーザー同士でパズルメールを作って相手に送ったり、送られてきたパズルゲームで遊ぶことができます。
送られてきたパズルゲームをクリアすると隠しメッセージが出現!」(カタログの「GAME」の項)

(カ)本願の特許出願前の平成14年9月27日に、http://www.stel-web.com/index.htmlのアドレスにてインターネットに公開され、「2002 SANYO Telecommunucations Co.Ltd.All Rights Reserved」と表示された「STEL WEB SITE及びJ-SA51」のWEBサイト(以下、「周知技術文献2」という。)には、写真とともに次の事項が掲載されている。
「GAME SANYOオリジナルゲーム
チェリーのミラクルフォトルーム
■パズルゲーム 「16パズル」「まわれ!16パズル」
撮影した画像を難易度により9枚/16枚/25枚に分割、シャッフルされたものを、並び替えて、元の画像を完成させていくパズルゲームです。
制限時間が少なくなったり、お邪魔キャラが出現したりするのでハラハラ、ドキドキ。
■パズルdeメール
J-SA51のユーザー同士でパズルメールを作って相手に送ったり、送られてきたパズルゲームで遊ぶことができます。
送られてきたパズルゲームをクリアすると隠しメッセージが出現!」(当該WEBサイトの「J-SA51のOther Function」のページ)

ウ 対比
(ア)本願補正発明1と上記引用発明1とを対比すると、まず、引用発明1における「通信制御回路20、通信インターフェース21及び通信コネクタ22とからなる前記メッセージの受信手段」、「受信したメッセージを開くためにプレイすべき曲のタイトル、受信したメッセージのタイトル、送信者、送信日時」、「受信者がゲーム端末装置1をサーバー34に接続し、所定のダウンロード操作を行うこと」、「メッセージのタイトル、送信者、送信日時等の情報を含んだメッセージヘッダおよびメッセージの本文」、「受信者が所定の操作を行うとゲーム開始となり、」及び「携帯電話30と接続するゲーム端末装置」のそれぞれが、本願補正発明1の「電子メールを受信する受信手段」、「タイトル情報およびメインメッセージ情報」、「第1閲覧操作」、「付加メッセージ情報」、「第2閲覧操作」及び「通信端末」にそれぞれ相当することは明らかである。

(イ)また、引用発明1の「受信したメッセージを所定の表示装置3の画面上に表示させる表示制御手段」が、本願補正発明1の「前記受信手段によって受信された電子メールに含まれるタイトル情報およびメインメッセージ情報を第1閲覧操作に応答して出力するタイトル/メインメッセージ出力手段」に相当する。

(ウ)そして、引用発明1では、受信者がゲーム端末装置1をサーバー34に接続し、所定のダウンロード操作を行った後に、「所定のゲームを受信者に実行させるゲーム実行手段」によりゲームが開始することから、引用発明1の前記「所定のゲームを受信者に実行させるゲーム実行手段」が、本願補正発明1の「前記第1閲覧操作の後に行われる第2閲覧操作に応答してゲームを出力するゲーム出力手段」に相当する。

(エ)さらに、引用発明1の「前記ゲームにて所定の条件が満たされるまでは前記メッセージの少なくとも一部について表示を禁止し、前記条件が満たされると前記メッセージの表示が禁止されていた部分の表示を許可する表示許可制御手段」が、本願補正発明1の「前記付加メッセージ情報を前記ゲーム出力手段によって出力されるゲームの進行状態に応じて出力する付加メッセージ情報出力手段」に相当する。

(オ)そして、引用発明1は「音楽ゲームのすべてのマーク222がクリアされるとメッセージの全文が表示される」ものであり、一方、本願補正発明1は、「前記複数の分割画像の並び替えに成功したときに前記付加メッセージ情報を出力する」構成であることから、本願補正発明1と引用発明1の両者は、付加メッセージ情報を出力するのが、ともに「ゲームに成功したときに」である点で共通しているといえる。

(カ)そうすると、本願補正発明1と引用発明1とは、
「電子メールを受信する受信手段、
前記受信手段によって受信された電子メールに含まれるタイトル情報およびメインメッセージ情報を第1閲覧操作に応答して出力するタイトル/メインメッセージ出力手段、
前記第1閲覧操作の後に行われる第2閲覧操作に応答してゲームを出力するゲーム出力手段、および
前記付加メッセージ情報を前記ゲーム出力手段によって出力されるゲームの進行状態に応じて出力する付加メッセージ情報出力手段を備え、
前記付加メッセージ情報出力手段はゲームに成功したときに前記付加メッセージ情報を出力する、通信端末」
である点で一致し、次の点で構成が相違する。
相違点1:本願補正発明1が「前記受信手段によって受信された電子メールに付加メッセージ情報を含む付加メール情報が含まれるか否かを判別する判別手段」を備えるのに対し、引用発明1は、前記構成を備えていない点。
相違点2:本願補正発明1が「前記判別手段の判別結果が肯定的であるとき」ゲームを出力するのに対し、引用発明1は、前記構成を備えていない点。
相違点3:本願補正発明1のゲームが「前記ゲームは送信者によって撮影された静止画像を形成するシャッフルされた複数の分割画像を並べ替えるパズルゲーム」であるのに対し、引用発明1は、音楽ゲームである点。
相違点4:「ゲームに成功したときに」が、本願補正発明1では「前記複数の分割画像の並び替えに成功したときに」であるのに対し、引用発明1では、「すべてのマーク222がクリアされると」である点。

エ 相違点についての検討
(ア)相違点1について
a メール等の通信装置において、先行するメールの表示に続く次のメールの存在に対して、その表示を要求するために操作ボタン等を操作することは、本願の出願時の周知慣用手段である。

b さすれば、引用発明1に前記周知慣用手段を適用することにより、相違点1に係る本願補正発明1の前記「前記受信手段によって受信された電子メールに付加メッセージ情報を含む付加メール情報が含まれるか否かを判別する判別手段」を備えるようにすることは、当業者が容易になし得ることである。

(イ)相違点2について
a ゲームのフローにおいて、ゲーム機が備える判別手段により判別が求められるステップでは、必ずYes(肯定的)の場合の判別結果とNo(否定的)の場合の判別結果とがあることは当然のことである。

b そして、前記「(ア)相違点1について」において検討したところの、前記周知慣用手段が適用された場合の引用発明1は、当然に「前記受信手段によって受信された電子メールに付加メッセージ情報を含む付加メール情報が含まれるか否かを判別する判断手段」を備えていることになるから、その場合の引用発明1が備える「前記受信手段によって受信された電子メールに付加メッセージ情報を含む付加メール情報が含まれるか否かを判別する判断手段」により導かれる判別結果に、「前記判別手段の判別結果が肯定的であるとき」が含まれることはいうまでもないことである。

c したがって、相違点2は、本願補正発明1と引用発明1との実質的な相違ではなく、本願補正発明1と引用発明1との相違点1に付随して表れる相対的、形式的な相違であるから、相違点1について前述した前記「(ア)相違点1について」における理由と同じく、相違点2に係る本願補正発明1の「前記判別手段の判別結果が肯定的であるとき」ゲームを出力する構成も、引用発明1に前記周知慣用手段を適用することにより、相違点2に係る本願補正発明1の前記「前記判別手段の判別結果が肯定的であるとき」ゲームを出力するように構成することは、当業者が容易になし得ることである。

(ウ)相違点3について
a 上記引用刊行物2に、「撮影部によってプレーヤの画像を撮影し、撮影した画像に基づいて、複数の部分画像をスライドさせながら並べ替えることによって、前記複数の部分画像の合成表示を分解前の元の撮影画像に戻す、15パズルと呼ばれるスライドパズルゲーム」について記載されている。
上記引用刊行物3に、「デジタルカメラ等の装置で取り込んだ画像データをゲーム内に取り込み、取り込んだ画像を用いて作成したゲーム画面が16区画に分割され、残りの15区画の絵Aの中で、部分A1に隣接する部分を、部分A1と置き換えることを順に繰り返すことで、絵Aを完成するようにしたゲーム」について記載されている。
上記引用刊行物4に、「表示装置上に描かれた複数のタイルを、ポインティング入力装置の指示に従って、ある状態から次の状態へと並び替えて、この並び替える変化の状態を楽しみ、かつタイルを動かす回数及び初期状態から最終状態までの時間を競って遊ぶためのコンピュータ式タイルパズルゲーム」について記載されている。
かかる引用刊行物2ないし引用刊行物4に記載されているように、「静止画像を複数の画像に分割され、シャッフルされた複数の分割画像を並べ替えるパズルゲーム」は、本願の出願時の周知技術であるといえるものである。

b さらに、上記周知技術文献1には、
「GAME
チェリーのミラクルフォトルーム SANYOオリジナルゲーム
カメラで撮った画像を使って、「パズルゲーム」や「パズルdeメール」が楽しめます。
●パズルゲーム
「16パズル」「まわれ!16パズル」
制限時間が少なくなったり、おじゃまキャラが出現したりするので、楽しみながら「パズルゲーム」で遊べます。
難易度により9枚/16枚/25枚に分割された画像を動かして、画像を完成させるゲーム
●パズルdeメール
J-SA51のユーザー同士でパズルメールを作って相手に送ったり、送られてきたパズルゲームで遊ぶことができます。
送られてきたパズルゲームをクリアすると隠しメッセージが出現!」
が記載されている。
そして、上記周知技術文献2にも、
「GAME SANYOオリジナルゲーム
チェリーのミラクルフォトルーム
■パズルゲーム 「16パズル」「まわれ!16パズル」
撮影した画像を難易度により9枚/16枚/25枚に分割、シャッフルされたものを、並び替えて、元の画像を完成させていくパズルゲームです。
制限時間が少なくなったり、お邪魔キャラが出現したりするのでハラハラ、ドキドキ。
■パズルdeメール
J-SA51のユーザー同士でパズルメールを作って相手に送ったり、送られてきたパズルゲームで遊ぶことができます。
送られてきたパズルゲームをクリアすると隠しメッセージが出現!」
が掲載されている。
かかる周知技術文献1及び周知技術文献2にあるように、「送信者によって撮影された静止画像を形成するシャッフルされた複数の分割画像を並べ替えるパズルゲーム」は、本願の出願時の周知技術であるといえるものである。

c してみれば、引用発明1の音楽ゲームに代えて、前記周知技術を採用することにより、相違点3に係る本願補正発明1の前記「前記ゲームは送信者によって撮影された静止画像を形成するシャッフルされた複数の分割画像を並べ替えるパズルゲーム」とすることは、当業者が何ら困難を要することではなく、容易に想到することができることである。

(エ)相違点4について
a 前記「(ウ)相違点3について」において検討したところの、前記周知技術が適用された場合の引用発明1は、当然に「送信者によって撮影された静止画像を形成するシャッフルされた複数の分割画像を並べ替えるパズルゲーム」を備えていることになるから、その場合の引用発明1が備える「送信者によって撮影された静止画像を形成するシャッフルされた複数の分割画像を並べ替えるパズルゲーム」により導かれるゲームに成功するときとは、「前記複数の分割画像の並び替えに成功したときに」であることに他ならない。

b したがって、相違点4は、本願補正発明1と引用発明1との実質的な相違ではなく、本願補正発明1と引用発明1との相違点3に付随して表れる相対的、形式的な相違であるから、相違点3について前述した前記「(ウ)相違点3について」における理由と同じく、相違点4に係る本願補正発明1の「前記複数の分割画像の並び替えに成功したときに」前記付加メッセージ情報を出力する構成も、引用発明1の音楽ゲームに代えて、前記周知技術を適用することにより、相違点4に係る本願補正発明1の前記「前記複数の分割画像の並び替えに成功したときに」前記付加メッセージ情報を出力するように構成することは、当業者が容易になし得ることというべきものである。

そして、本願補正発明1の奏する作用効果は、引用発明1、周知慣用手段及び周知技術から予測できる範囲内のものであって、格別のものということができない。

オ まとめ
したがって、本願補正発明1は、引用発明1、周知慣用手段及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願補正発明1は特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。

3 むすび
以上のとおりであり、本件補正後の特許請求の範囲に記載された請求項1に係る発明(本願補正発明1)が、改正前特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項に規定するところの「特許出願の際独立して特許を受けることができるもの」に適合していないから、本件補正は、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第4 本願発明について
1 本願発明
上記「第3」欄に前述した理由により、平成17年4月15日付の手続補正が却下されたので、当審が審理すべき本願発明は、平成17年1月17日付手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし請求項6に記載された事項により特定されるとおりのものであるところ、特にその請求項1に係る発明は、次のものである(上記「第3」の「1 補正の内容」欄を参照)。
「【請求項1】 電子メールを受信する受信手段、
前記受信手段によって受信された電子メールに含まれるタイトル情報およびメインメッセージ情報を第1閲覧操作に応答して出力するタイトル/メインメッセージ出力手段、
前記受信手段によって受信された電子メールに付加メッセージ情報を含む付加メール情報が含まれるか否かを判別する判別手段、
前記判別手段の判別結果が肯定的であるとき前記第1閲覧操作の後に行われる第2閲覧操作に応答してゲームを出力するゲーム出力手段、および
前記付加メッセージ情報を前記ゲーム出力手段によって出力されるゲームの進行状態に応じて出力する付加メッセージ情報出力手段を備える、通信端末。」(以下、これを「本願発明1」という。)

2 引用刊行物及び記載事項
本願の特許出願前に頒布された引用刊行物1ないし引用刊行物4には、上記「第3」の「2 補正の適否の検討」欄の「(3)独立特許要件の有無」の「イ 引用刊行物及び記載事項」の(ア)ないし(エ)に摘記したとおりの技術事項が記載されており、そして、前記引用刊行物1に記載されている発明(引用発明1)は、前記(ア)に前示のとおりである。

3 対比・判断
本願発明1は、本願補正発明1から、上記「第3」の「2 補正の適否の検討」欄で前述した限定を省いたものである。
そうすると、本願発明1の構成要件をすべて含み、さらに限定されたものに相当する本願補正発明1が、前記「第3」の「(3)独立特許要件の有無」の「エ 相違点についての検討」の「オ まとめ」欄に記載したとおり、引用発明1、周知慣用手段及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである以上、本願発明1も、本願補正発明1と同様に、引用発明1、周知慣用手段及び引用刊行物2ないし引用刊行物4に記載の周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたというべきものである。

4 むすび
以上のとおり、本願発明1は、引用発明1、周知慣用手段及び引用刊行物2ないし引用刊行物4に記載の周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明1は特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないので、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は、拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2008-07-09 
結審通知日 2008-07-15 
審決日 2008-07-28 
出願番号 特願2002-297740(P2002-297740)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (A63F)
P 1 8・ 575- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 宮本 昭彦  
特許庁審判長 佐藤 昭喜
特許庁審判官 武田 悟
森林 克郎
発明の名称 通信端末  
代理人 山田 義人  
代理人 山田 義人  

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