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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G06Q
管理番号 1184978
審判番号 不服2002-20938  
総通号数 107 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2008-11-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2002-10-29 
確定日 2008-10-07 
事件の表示 特願2000-378168「通信ネットワークを用いた商品販売方法における販売者の商品データの入力方法」拒絶査定不服審判事件〔平成14年 5月24日出願公開、特開2002-150072〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願の手続の経緯は、概略以下のとおりである。
平成12年11月 6日 出願
平成13年 4月13日付け 拒絶理由通知
平成13年 6月22日付け 手続補正書
平成14年 5月21日付け 拒絶理由通知 (最後)
平成14年 7月29日付け 手続補正書
平成14年 9月24日付け 補正却下の決定(平成14年7月29日 付け手続補正書による補正に対するもの)
平成14年 9月24日付け 拒絶査定
平成14年10月29日 審判請求
平成17年 1月31日付け 審決

平成17年 3月17日 出訴(平成17年(行ケ)10393号)
平成17年12月 8日言渡 判決(審決取消し)

平成18年 6月28日付け 審理再開通知
平成18年 7月11日付け 拒絶理由通知
平成18年 9月19日付け 手続補正書
平成19年 2月 6日付け 拒絶理由通知 (最後)
平成19年 4月16日付け 手続補正書

ここで、原審における上記平成14年5月21日付け拒絶理由通知(最後)は、「平成13年6月22日付けでした手続補正は、願書に最初に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものでないから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない。」ことを理由とするものであり、これに対して同年7月29日付けで上記手続補正書が提出されたが、この補正については、「特許法第17条の2第4項の各号に掲げるいずれの事項を目的とするものにも該当せず、同法第17条の2第4項の規定に違反するものである」として、同法第53条第1項の規定により、同年9月24日付けで上記補正却下の決定がなされ、前記拒絶理由通知(最後)の理由により、上記拒絶査定がなされた。
これに対して、審判請求人は、同年7月29日付けの前記手続補正は却下されるべきものではなく、本願は拒絶すべきものではない旨主張して、上記審判請求をおこなったが、審判において、前記補正却下の決定は妥当なものであり、前記拒絶理由通知(最後)の理由で本願は拒絶すべきものであるから審判の請求は成り立たない旨の上記審決がなされた。
そこで、審判請求人は、出訴し、上記判決において、「審決が、本件補正却下は適法であると判断したことは、誤りである。」旨が判示されるとともに、前記審決が取り消されたものである。


第2 平成14年7月29日付け手続補正に対する補正却下の決定について
前項第1に記載した平成14年7月29日付け手続補正書による補正に対する補正却下の決定は、平成17年12月8日言渡の判決において「審決が、本件補正却下は適法であると判断したことは、誤りである。」旨判示されたので、再開された本件審理においては、前記平成14年7月29日付け手続補正書により補正された明細書及び図面を審理の対象にすることとする。


第3 当審から通知した拒絶理由
(3-1)平成18年7月11日付け当審拒絶理由通知の概要
前項第2に記載したとおり、再開された本件審理においては前記平成14年7月29日付け手続補正書により補正された明細書及び図面を審理の対象にすることを明示した上で、当審から拒絶理由を通知した。その概要は、次のとおりである。
『本件出願の請求項1?3に係る発明は、その出願前日本国内または外国において頒布された下記の刊行物に記載された発明に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

1.特開2000-306000号公報
2.東京鋲螺協同組合規格委員会 編、「ねじ総合カタログ 1976年版」、第7版(76年改版)、(昭和51年1月)、東京鋲螺協同組合 発行、まえがき頁、第36-37頁、第64-65頁、第86-87頁
3.「精機製品 NSKリニアガイド・ボールねじ(CAT.No.315b)」、(1995年3月)、日本精工株式会社 発行、第3頁、第A122-A123頁
4.実開平 6-20070号公報
5.特開平10-21304号公報
6.本間康裕 著「アウトソース研究; 新進商会 売るだけ売って後はお任せ 電子商店の業務を全面支援」、日経ネットビジネス、No.50、日経BP社発行(1999.8.15)、第90頁?第92頁 』

(3-2)平成19年2月6日付け当審拒絶理由通知(最後)の概要
前項(3-1)の当審拒絶理由通知に対して、平成18年9月19日付けで手続補正がなされたので、当審から改めて通知した平成19年2月6日付け当審拒絶理由通知(最後)の理由の概要は、次のとおりである。
『1 平成18年9月19日付けでした手続補正は、下記の点で願書に最初に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものでないから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない。

請求項3についてされた補正は、この出願の願書に最初に添付した明細書または図面に記載した事項の範囲内においてしたものということはできない。

2 平成18年9月19日付けの手続補正書で補正されたところの、本件の特許請求の範囲は、下記の点で、特許を受けようとする発明が発明の詳細な説明に記載したものでないから、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。

請求項3の発明は、実質的には発明の詳細な説明に記載したものでない。

3 本件出願の請求項1,2,4に係る発明は、その出願前日本国内または外国において頒布された下記の刊行物に記載された発明に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献1. 特開2000-306000号公報
引用文献2.(周知例) 東京鋲螺協同組合規格委員会 編、「ねじ総合カタログ 1976年版」、第7版(76年改版)、(昭和51年1月)、東京鋲螺協同組合 発行、まえがき頁、第36-37頁、第64-65頁、第86-87頁
引用文献3.(周知例) 「精機製品 NSKリニアガイド・ボールねじ(CAT.No.315b)」、(1995年3月)、日本精工株式会社 発行、第3頁、第A122-A123頁
引用文献4.(周知例) 実開平 6-20070号公報
引用文献5.(周知例) 特開平10-21304号公報
引用文献6.(周知例) 本間康裕 著「アウトソース研究; 新進商会 売るだけ売って後はお任せ 電子商店の業務を全面支援」、日経ネットビジネス、No.50、日経BP社発行(1999.8.15)、第90頁?第92頁
引用文献7. 笛田進吾 著「HTMLエディター百花繚乱・後編 (制作実践編)最新HTMLエディターの使い勝手を検証」(1996年7月1日)、INTERNETmagagine No.18、株式会社インプレス 発行、第210頁-第220頁 』


第4 請求人の主張の概要
上記(3-2)の平成19年2月6日付け当審拒絶理由通知(最後)に対して、平成19年4月16日付けで手続補正書と共に出された意見書の中での請求人の主張の概要は、次のとおりである。
(4-1)補正の根拠
新たな請求項1は、商品を桝目で選択するプログラムには付加的な要素を加えることなく、発明の名称を、補正前の広い概念である「通信ネットワークを用いた商品販売方法」から「通信ネットワークを用いた商品販売方法」に含まれる「販売者の商品データの入力方法」に更に限定するものであるので、限定的減縮に相当するものである。
また、新たな請求項1において、「複数の商品に共通する説明事項である商品見本の画像、商品名、商品説明を含む共通事項を受付けて」の補正を加えることは、明細書、図面に裏付けされており、プログラムの4つのステップのうちの「商品一覧表を作成し、表示するステップ」の内容を限定するものである。
(4-2)補正後の本願発明について
本願発明は、(略)ステップの組み合わせ手順に特徴があり、この特徴のため、販売者側には、複数の商品データを入力する際に、同じ共通事項にかかるデータを繰り返して入力していた手間と、商品一覧表の横軸、縦軸の第1の条件、第2の条件にかかるデータを繰り返して入力していた手間が軽減されるものである。この方法で作成された商品が掲載された商品表を購入者に閲覧操作させて、商品の購入の便宜を図ることはむしろ副次的なものである。
(4-3)進歩性について
引用例は、一見すれば、本願のプログラムで作成される商品一覧表を想起させるようであるが、商品データの入力を軽減する工夫はなく、本願発明の課題である、商品データの入力軽減は何ら示唆されておらず、しかも、このような本願の課題は、出願時の技術水準から言って周知であることを示す証拠も存在しない。
(4-3-1)相違点1、2について
引用例1に開示された表のうち、「献立n 人分の食材必要量は以下の商品の組み合わせとなります」の表示は、通常の解釈から言えば、表に示された内容を案内するガイドメッセージないし、タイトルであって、複数の商品に共通な事項とはいえない。
本願発明では、共通な事項には、商品画像の見本、商品名、商品説明などの商品の顔となる複数の情報を含ませて、差異を明確にしており、商品表のガイドメッセージないし、タイトルでないことは明らかである。かりに、このようなガイドメッセージが商品説明であると解したとしても、本願発明との対比において、商品についての説明事項に含まれる「商品説明」と一致するだけである。本願発明の「複数の商品に共通する説明事項」には商品画像の見本、商品名を含んでいるので、全体としては一致しない。
また、引用例発明の一覧表は、タイトル欄に必要な食材商品名と記入された各列が複数の商品、食材An、食材Bn、食材Cn・・・を特定しており、このような態様が、第1の条件と第2の条件との組み合わせで1つの商品を特定すると言えるはずはなく、本願の商品一覧表とは、着想背景が全く異なっている。
(4-3-2)引用例2?引用例4の周知例で、紹介されている一覧表は、従来から商品カタログや、商品分類表として広く使用しているものであり、本請求人も十分に知悉している形態である。
これらの周知例は、ねじ、ねじりコイルばねの規格や寸法形状、標準在庫シリーズの分類を見やすくするため、部品の規格表、カタログなどとして利用されているマトリクス表示方法に示したものであるが、いずれも電子商取引における販売者の商品のデータ入力とは無縁のものであり、販売者の商品データの入力手間を軽減するものではない。
したがって、そのような着想もない周知の表形態が、電子商取引を対象としている本願発明の商品表の作成の動機にはなり得ないことは明らかである。
(4-3-3)相違点4について
本請求人にすれば、引用例7による紹介によらなくても、表作成機能を備えたワープロソフトや表計算ソフトやホームページ作成ソフトが出願時にすでに存在していたことは十分に認識しているところである。
本願発明において、最も重要なことは、商品表を作成するプログラムが、販売者による商品データの入力操作に対応して実行され、表を作成しながら、データが入力できる点にあり、合議体の判断は、本願発明における各ステップの組み合わせが、販売者の商品データの入力操作に有機的に結合している点を度外視し、看過しているものという他はない。
引用例7について、本請求人の意見を述べると、「列と行の数を指定するだけでテーブルができる」ことについては、ワープロソフトや表計算ソフトやホームページ作成ソフトにおいて、従来は1本づつ入力することが必要とされていた罫線の入力を軽減するための機能であることを示しているにすぎない。
また、画面として例示されている「国立博物館」、「東京国立博物館」、「下町風俗資料館」などを表示した表は、本願発明の商品表に表示される共通事項に対応したものではなく、合議体が言及している、表についての説明タイトル「上野・浅草エリア」は表のタイトルであり、複数の商品に共通する事項とは全くかけ離れたものである。
(4-4)本願発明による特段の効果について
本意見書と同日に提出する添付資料A、Bは、本請求人が認識している、従来方法と、本願発明方法を実施した場合のデータ入力数を比較したものであるが、この比較例から、本願発明では、データの入力工数が著しく軽減されていることが理解されるはずであり、特段の効果を有していることが示されている。
(4-5)当業者、出願時の技術水準について
本願に対する当業者、出願当初の技術水準は、電子商取引のシステムを使用し、実際に運営している業者を基準にすべきである。本請求人は、本願発明が属する技術分野には、出願時からインターネット上で、店子に対してバーチャル店舗も管理運営をしている楽天などの運営管理会社が当業者として含まれるものと推察するが、それらの運営管理会社も、購入者の便宜を図るためにホームページを種々更新している事実はあっても、販売者側の商品データの入力手間については何ら工夫はなく、現在に至っているのが現状である。
本願発明の解決課題である、電子商取引における販売者の商品データの入力軽減は、本願の出願前には当業者すら思い付かなかったものであり、本請求人が、商品の販売情報を、共通事項と桝目状の商品一覧表とに分離して、商品表を作成しながら、入力するプログラムを開発し、提案することでいち早く解決しえたものである。


第5 平成19年4月16日付けの手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成19年4月16日付けの手続補正を却下する。

[理由]
(5-1)手続補正の内容
平成19年4月16日付けの手続補正(以下「本件補正」という。)は、
本件補正前の特許請求の範囲である、
「【請求項1】
商品を桝目で選択するプログラムを活用した、通信ネットワークを用いた商品販売方法であって、
上記商品を桝目で選択するプログラムは、販売者側のサーバに保存され、
販売者が入力した、複数の商品に共通する説明事項を受付けて、予め準備された、所定の横軸と縦軸とで特定される桝目を有した商品一覧表を作成し、表示するステップと、
販売者が設定入力した上記商品一覧表の桝目の横軸に表示すべき、商品の規格、種類、色、型のうちから選択された第1の条件を受付けるステップと、
販売者が設定入力した上記商品一覧表の桝目の縦軸に表示すべき、商品のサイズ、色、長さ、大きさ、重さのうちから選択された第2の条件を受付けるステップと、
上記商品一覧表の横軸と縦軸とで特定される商品について、販売者が入力した販売単価を受付けるステップとを備え、かつ
購入者が通信端末器を通じて上記販売者側のサーバにアクセスして来たときには、
購入者の通信端末器に、上記共通事項と上記商品一覧表とを表示させるステップと、
購入者が上記商品一覧表の横軸の桝目と縦軸の桝目とで特定される商品を選択し、その商品の購入数量の入力を受付けて、購入金額を演算して、演算結果を表示するステップと
を少なくとも備えていることを特徴とする、通信ネットワークを用いた商品販売方法。
【請求項2】
商品を桝目で選択するプログラムを活用した、通信ネットワークを用いた商品販売方法であって、
上記商品を桝目で選択するプログラムは、販売者側のサーバに保存され、
販売者が入力した、複数の商品に共通する説明事項を受付けて、予め準備された、所定の横軸と縦軸とで特定される桝目を有した商品一覧表を作成し、表示するステップと、
販売者が設定入力した上記商品一覧表の桝目の横軸に表示すべき、商品の規格、種類、色、型のうちから選択された第1の条件を受付けるステップと、
販売者が設定入力した上記商品一覧表の桝目の縦軸に表示すべき、商品のサイズ、色、長さ、大きさ、重さのうちから選択された第2の条件を受付けるステップと、
上記商品一覧表の横軸と縦軸とで特定される商品について、販売者が入力した販売単価を受付けるステップとを少なくとも備えていることを特徴とする、通信ネットワークを用いた商品販売方法。
【請求項3】
請求項1において、
商品を桝目で選択するプログラムは、
上記販売者が設定入力した、上記第1、第2の条件の数に応じて、上記商品一覧表の横軸の桝目、縦軸の桝目を可変させるようにしていることを特徴とする、通信ネットワークを用いた商品販売方法。
【請求項4】
請求項1または2に記載の商品を桝目で選択するプログラムを記録した、コンピュータで読取り可能な記録媒体。」
を、
「【請求項1】
商品を桝目で選択するプログラムを活用した、通信ネットワークを用いた商品販売方法における販売者の商品データの入力方法であって、
上記商品を桝目で選択するプログラムは、販売者側のサーバに保存され、
販売者が入力した、複数の商品に共通する説明事項である商品見本の画像、商品名、商品説明を含む共通事項を受付けて、予め準備された、所定の横軸と縦軸とで特定される桝目を有した商品一覧表を作成し、表示するステップと、
販売者が設定入力した上記商品一覧表の桝目の横軸に表示すべき、商品の規格、種類、色、型のうちから選択された第1の条件を受付けるステップと、
販売者が設定入力した上記商品一覧表の桝目の縦軸に表示すべき、商品のサイズ、色、長さ、大きさ、重さのうちから選択された第2の条件を受付けるステップと、
上記商品一覧表の横軸と縦軸とで特定される商品について、販売者が入力した販売単価を受付けるステップとを少なくとも備えていることを特徴とする、通信ネットワークを用いた商品販売方法における販売者の商品データの入力方法。
【請求項2】
請求項1に記載の商品を桝目で選択するプログラムを記録した、コンピュータで読取り可能な記録媒体。」
とする補正を含むものである。
(下線は、補正箇所を示すものとして補正書に表示されたものをそのまま援用した。)

(5-2)本件補正についての検討
本件補正は、特許法第17条の2第1項第2号の規定に基づいて最後に受けた拒絶理由通知に対してなされたものであり、本件補正のうち特許請求の範囲についてする補正は、願書に最初に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてしなければならない(同条第3項)というだけでなく、同条第4項第1号?第4号に掲げる、請求項の削除、特許請求の範囲の減縮、誤記の訂正、明りょうでない記載の釈明を目的とするものに限られる。
まずは、本件補正のうち特許請求の範囲についてする補正が同条第4項第1号?第4号に掲げる事項を目的とした補正であるかどうかの検討を行う。
本件補正のうち特許請求の範囲についてする補正は、
a)本件補正前の請求項1及び同請求項3を削除する補正、
b)本件補正前の請求項2に記載した発明を特定するために必要な事項である「通信ネットワークを用いた商品販売方法」を「通信ネットワークを用いた商品販売方法における販売者の商品データの入力方法」とするとともに、「複数の商品に共通する説明事項」を「複数の商品に共通する説明事項である商品見本の画像、商品名、商品説明を含む共通事項」として、本件補正後の請求項1とする補正、
c)前記a)に伴って、本件補正前の請求項4を、本件補正後の請求項1のみを引用して、本件補正後の請求項2とする補正、
である。

これを検討するに、前記a)は、請求項の削除を目的とする補正であり、前記b)は、上記第4の(4-1)の請求人の主張に照らせば、限定的減縮を目的とする補正であり、前記c)は、前記a)に伴ってした補正であるから、請求項の削除を目的とする補正の範疇に該当する補正であると認められる。してみれば、本件補正は、特許法第17条の2第4項第1号及び第2号を目的とするものに該当する。

そこで、本件補正後の前記請求項1に記載された発明(以下「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(平成15年改正前特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第4項の規定に適合するか)について以下に検討する。

(5-3)引用例
(5-3-1)引用例1
(5-3-1-1)平成19年2月6日付け当審拒絶理由通知(最後)(以下「当審拒絶理由通知(最後)」という。)で引用した引用文献1.である特開2000-306000号公報(平成12年11月2日公開)(以下「引用例1」という)には、図面とともに次の事項が記載されている。
(ア)本発明の予約注文システムは、処理装置、主記憶装置、補助記憶装置、入出力装置などから構成される計算機上で、コンピュータプログラムを実行して実現される。 (【0014】)
(イ)提供されたコンピュータプログラムは、可搬型媒体から直接計算機の主記憶装置にロードされ(略)て実行する。(略) (【0015】)
(ウ)まず、図2の構成と機能を説明する。点線で囲まれた部分は食材等を並べて販売するスーパーマーケットである。利用者は自宅等に備えてネットワーク13で接続されたパソコン等個人端末機14(14a?14n)(略)を使用して画面との対話により予約注文システムの中核部である予約注文制御部23に商品の予約注文を行う。 (【0017】)
(エ)予約注文制御部23には上記の端末機等の他、ネットワーク13を経由して接続されたスーパーマーケットの本部サーバ11に用意された献立メニュ12やレシピが得られるようになっており、また、構内で接続されたPOSサーバ21にある食材の価格表22、あるいは直接接続して備えられた食材在庫表25から最新の在庫状況と最新の価格により好みの献立に必要な食材の買物を提示して利用者の便に供することができるように構成されている。(【0020】)
(オ)図3には請求項1に対応して、買物計画&予約パック注文画面の説明図を示す。(略) 買物の計画を立てるにあたって各商品の必要量を算出したとき標準外の量の商品でも、あらかじめ予約すれば販売するお店が利用者が来店前に販売できる商品として用意することができるようにするのである。(略) 端末機の画面であらかじめ買物計画をするために、まず商品の一覧を表示し利用者に必要な商品毎に必要量を入力してもらう。(略) (【0022】?【0024】)
(カ)例えば、商品名として1番のパックAは標準パックでは内容量が100gで45円である。分割して標準外の量のパックがほしいときには予約パックが提示されているので半量の50gのものが用意されていることが分かる。購入個数、予約個数の欄にアンダーラインがある部分に個数を入力するようになっているのでそれぞれの必要数を入力する。(略)(【0026】)
(キ)このようにして、必要な商品について数量を指定すると合計価格が計算され買物計画が妥当なものかを判断することができる。(略) (【0027】)
(ク)図4は請求項2乃至請求項4の実施の形態として食材商品の買物計画を行う時の個人端末機14あるいは店内端末機26の画面の説明をするものである。(略)このような情報紹介は利用者としても毎日の献立に悩んでいる問題解決につながり歓迎される。(略)上記したようにそれぞれの購入者の事情と、大量に且つ少ない人手で販売しなければならない販売店の事情と、を満足させる方法が本発明の実施の形態である。
図4(a)は最初に提示する旬の献立メニュである。(【0029】?【0033】)
(ケ)図4(b)には上記メニュから一つの献立を選択されたとき、表示される画面、すなわち、献立に必要な食材をこのスーパーマーケットで販売している商品を組み合わせて準備できるように必要な商品名、量目、価格を食材リストとして提示する。(略)先に説明した実施の形態と同様に商品としては店頭に並んでいる標準パックの他に予約注文を条件として予約パックも組み合わせた表示画面となっている。(【0034】)
(コ)(略)ステップS103では食材在庫表に基づき在庫のある食材のみを使用する献立を選びメニュ表示する。ステップS104においては内容を見て献立を選択し、料理する人数を入力する。ステップS105は指定された人数分の献立に必要な食材量となるように標準パック商品と予約パック商品の内容量の組合せで提示する。ステップS106でPOSサーバの食材価格表に基づき各食材のパック商品の価格を合わせて提示する。ステップS107では利用者は手持ちの材料を考慮して買物数量を修正し総合計ボタンを押して総合計金額など買物計画を確認する。ステップS108では予約パックが必要か否かを調べ、必要ないときはこれで終了する。必要であるときにはステップS109で予約ボタンを押して予約注文制御部に予約パック注文情報を送信する。(【0038】)
(サ)上記実施の形態において、予約して注文する商品は店頭に並べて販売されていないもの(予約パック)を対象としているが、標準パックも合わせてこれらを同様に予約の対象としてもよい。(【0039】)
(シ)図4の(b)には、「献立n 3人分の食材必要量は以下の商品の組合せとなります」という商品に関する説明項目が表示され、かつ、横軸と縦軸とを有する一覧表の罫線が引かれ、その一覧表の縦軸に、「必要な食材商品名」として、「食材An」、「食材Bn」、「食材Cn」、「食材Dn」、「食材Nn」が表示され、横軸に、「標準パック」、「予約パック」が表示され、縦軸と横軸とで特定される枡目、例えば、縦軸の「食材An」と横軸の「標準パック」とで特定される枡目には、単価「45円」というように、商品の単価が表示された食材リストが記載されている。
(ス)図6には、献立の食材商品予約注文フローチャートとして、献立が選択されて人数が入力された後、S105の「指定された人数分の献立に必要な食材量となるように標準パック商品と予約パック商品の内容量の組み合わせで提示する」ステップ、次いで、S106の「POSサーバの食材価格表に基づき各食材のパック商品の価格を合わせて提示する」ステップが記載されている。

(5-3-1-2)引用例発明
上記摘記事項(ウ)、(エ)、(カ)、(ケ)、(コ)、(サ)、(シ)によれば、引用例1には、ネットワークを用いた商品予約注文方法が記載され、かつ、この商品予約注文方法は、利用者が、縦軸と横軸とで特定される枡目を有した商品一覧表から、例えば、食材Anの標準パックの商品を、縦軸の「食材An」と横軸の「標準パック」とで特定される枡目で選択するようになっていて、この商品予約注文方法の一連の処理を実行し実現するのは、上記摘記事項(ア)、(イ)によればコンピュータプログラムである。してみれば、引用例1には、商品を桝目で選択するコンピュータプログラムを用いた、ネットワークを用いた商品予約注文方法が記載されているといえる。
また、前記コンピュータプログラムは、上記摘記事項(ア)、(イ)、(ウ)によれば、スーパーマーケットの計算機に保存されていることは、明らかである。
また、上記摘記事項(ウ)、(カ)、(ケ)、(シ)によれば、利用者が個人端末機を通じて上記スーパーマーケットの計算機にアクセスすると、利用者の個人端末機に、図4(b)として示された対話画面が提示され、当該対話画面には、「献立n 3人分の食材必要量は以下の商品の組合せとなります」という商品についての説明事項とともに、縦軸に、「必要な食材商品名」として、「食材An」、「食材Bn」、「食材Cn」、「食材Dn」、「食材Nn」が表示され、横軸に、「標準パック」、「予約パック」が表示され、商品の種類に対応した所定の横軸と縦軸とで特定される桝目を有し、さらに商品一覧表の横軸と縦軸とで特定される商品、例えば、縦軸の「食材An」と横軸の「標準パック」とで特定される食材Anの標準パックの商品に対応する枡目に、「45円」という単価が表示された商品一覧表が、ネットワークを経由して提示される。そして、こうしたネットワークを経由した商品一覧表の提示を実現するためには、引用例1に明記はないものの、前記ネットワークを用いた商品予約注文方法が、少なくとも、商品についての説明事項と、所定の横軸と縦軸とで特定される桝目を有し、桝目の横軸に第1の項目を表示し、桝目の縦軸に第2の項目を表示し、横軸と縦軸とで特定される商品について単価を表示した商品一覧表を準備するステップを備えることは、自明であるといえる。

以上の事項を本件補正後の請求項1の記載に沿って整理すると、引用例1には、
「 商品を桝目で選択するコンピュータプログラムを利用した、ネットワークを用いた商品予約注文方法であって、
上記商品を桝目で選択するコンピュータプログラムは、スーパーマーケットの計算機に保存され、
商品についての説明事項と、所定の横軸と縦軸とで特定される桝目を有し、桝目の横軸に第1の項目を表示し、桝目の縦軸に第2の項目を表示し、横軸と縦軸とで特定される商品について単価を表示した商品一覧表を準備するステップ
を少なくとも備えている、ネットワークを用いた商品予約注文方法。」
の発明(以下「引用例発明」という。)が開示されていると認められる。

(5-3-2)引用例2
当審拒絶理由通知(最後)で周知例として引用した引用文献2.である、東京鋲螺協同組合規格委員会編、「ねじ総合カタログ 1976年版」、第7版(76年改版)、(昭和51年1月)、東京鋲螺協同組合 発行、まえがき頁、第36-37頁、第64-65頁、第86-87頁(以下「引用例2」という)には、次の事項が記載されている。
(セ)本書は販売業者の団体である東京鋲螺協同組合規格委員会がねじを取扱う人にとってねじと関連部品の規格や新製品の寸法形状等を,見やすく,使いやすく,日常の商取引に利用出来る様に編集いたしました。(まえがき頁)
(ソ)第36頁冒頭に、「六角ボルト」との記載があり、その下に、六角ボルトの図面が記載され、その下に、ねじ径の呼びdと基準寸法及び許容差との関係を示す表が記載され、同頁末尾に、備考として「1.ねじの呼びにかっこを付けたものはなるべく用いない。」、「2.ねじ先は,平先または丸先に面取りするものとし,・・・」等の記載がある。
(タ)第36頁に続く第37頁に、横軸にねじ径の呼び(d)の規格である「M3」,「M4」,「M5」・・・が表示され、縦軸にねじの長さの呼び(l)である「6」,「8」,「10」・・・が表示され、横軸の条件と縦軸の条件とで特定される「わく」内に、「0.73」,「1.35」,「0.84」・・・の重量数値が表示された一覧表が記載されている。
(チ)第86頁冒頭に、「アプセット六角ボルト」との記載があり、その下に、ボルトの図面が記載され、その下に、ねじの呼びと基準寸法及び許容差との関係を示す表が記載され、同頁末尾に、「材料 JIS B1051に準ずる」、「表面処理 一般に亜鉛メッキ・・・」等の記載がある。
(ツ)第86頁に続く第87頁に、横軸にねじ径の呼び(d)の規格である「M3×0.5」,「M3.5」,「M4」・・・が表示され、縦軸にねじの長さの呼び(l)である「5」,「6」,「(7)」・・・が表示され、横軸の条件と縦軸の条件とで特定される「わく」内に、「±0.5」または「±0.7」の数値が表示された一覧表が記載されている。

(5-3-3)引用例3
当審拒絶理由通知(最後)で周知例として引用した引用文献3.である、「精機製品 NSKリニアガイド・ボールねじ(CAT.No.315b)」、(1995年3月)、日本精工株式会社 発行、第3頁、第A122-A123頁(以下「引用例3」という)には、次の事項が記載されている。
(テ)さて従来、精機製品という駆動系、案内系の精密機械部品の総合カタログを用意して皆様のご便宜をはかってまいりました。(略) A、B、Cのページの前の部分には一般技術解説を載せ、その後に寸法表を配する構成となっています。 (第3頁)
(ト)見開きのA122頁とA123頁の上部に、「精密ボールねじ(標準在庫品)」との記載があり、その下に、「1.1 製品分類」及び「1.2 使用上の注意事項」の記載があり、「Sシリーズボールねじ軸端の円筒部」の写真が掲載されている。
(ナ)見開きのA122頁とA123頁の下部に、横軸にリード(mm)の長さである「1」,「1.5」,「2」・・・が表示され、縦軸にねじ軸外径(mm)である「4」,「6」,「8」・・・が表示され、横軸の条件と縦軸の条件とで特定される「わく」内に、製品分類を示す○,●,◎,□とともに製品掲載ページが表示された一覧表が記載されている。

(5-3-4)引用例4
当審拒絶理由通知(最後)で周知例として引用した引用文献4.である、実開平6-20070号公報(以下「引用例4」という)には、次の事項が記載されている。
(ニ)【産業上の利用分野】この考案は、多種類のねじりコイルばねを表示したねじりコイルばねの規格一覧表に関し、ねじりコイルばねを選択する場合に使用されるものである。(同公報段落【0001】)
(ヌ)【考案が解決しようとする課題】しかしながら、時代の流れにともなって、ねじりコイルばねの必要性が高まり、この結果、誰にでも必要とするばねを容易に選択できる規格一覧表が必要となってきた。(同公報段落【0003】)
(ネ)【課題を解決するための手段】この考案に係るねじりコイルばねの規格一覧表においては、矩形の表本体を枡目状に区画して所要数の「ねじりコイルばね表示欄」を設け、前記表本体の一端縁における各々の前記「ねじりコイルばね表示欄」の外側に「コイル線径表示欄」を配置し、この「コイル線径表示欄」の外側に複数の当該「コイル線径表示欄」を覆うようにして「コイル内径表示欄」を配置し、且つ、前記表本体の他端縁における各々の前記「ねじりコイルばね表示欄」の外側に「コイルの巻数および腕部の角度表示欄」を配置し、前記他端縁を前記一端縁に対して垂直状態に配置するとともに前記「ねじりコイルばね表示欄」に少なくとも当該コイルばねの「ばね定数」を表示することによって達成された。(同公報段落【0005】?同【0008】)
(ノ)【作用】この考案に係るねじりコイルばねの規格一覧表は上記のように構成されているため、まず、目安とする「コイル内径表示欄」を選択し、この「コイル内径表示欄」に相応する複数の「コイル線径表示欄」のによって適宜な「コイル線径表示欄」を選択する。そして、別途に、適宜な「コイルの巻数および腕部の角度表示欄」を選択し、選択した前記「コイル線径表示欄」とこの「コイルの巻数および腕部の角度表示欄」との交差する「ねじりコイルばね表示欄」を選択し、“ばね定数”の数値を検討しながら必要とする「ねじりコイルばね」を選択することができる。
なお、前記一端縁を水平に採るとともに前記他端縁を垂直に採れば、目安とする「コイル内径表示欄」が水平軸に位置するため、必要とするねじりコイルばねを選択しやすいものである。(略) (同公報段落【0009】?同【0011】)
(ハ)(略)この「ねじりコイルばね表示欄」4には、当該ねじりコイルばねの“製品番号”と“価格コード”と“バネ定数(gf・mm/deg) ”が表示されている。(同公報段落【0014】)
(ヒ)図1及び図2には、「ねじりコイルばねの規格一覧表に示されるねじりコイルばねの正面図」(【図面の簡単な説明】)及び「同右側面図」(【図面の簡単な説明】)が示され、図3の規格一覧表には、その上部に「ねじりばね」の表示、及び、「ステンレス線 SUS304-WPB」の表示、及び、「単位:mm」の表示が付されている。

(5-3-5)引用例5
当審拒絶理由通知(最後)で周知例として引用した引用文献5.である、特開平10-21304公報(以下「引用例5」という)には、次の事項が記載されている。
(フ)【発明の属する技術分野】
本発明は、ネットワークを通じて、商品情報の提供及び注文を行うオンラインショッピングシステムに関する。 (同公報段落【0001】)
(へ)【従来の技術】
近年のショッピングには、様々な形態がある。例えば、消費者が直接店舗に行って、その場で代金を支払い、商品を購入する方法がある。(略)
また、通信販売の形態もあり、例えば、店舗から消費者の家へ紙のカタログを送付し、消費者がそのカタログを見て購入したい商品を探し、注文書を作成して店舗へ郵送する方法である。(略)
また、通信販売の他の形態として、店舗から、消費者の家へ紙のカタログを送付するのではなくネットワークを通じて商品情報を提供する方法がある。消費者は提供された商品情報を見て購入したい商品を探し、その場で注文セット数を入力してネットワークを通じて店舗に対し商品の注文を行う。(略) (同公報段落【0002】?同【0004】)
(ホ)【発明が解決しようとする課題】
前記中の通信販売について、紙のカタログによる方法及びネットワークによる方法の2つについて、課題を説明する。
紙のカタログによる方法では、商品情報の見易さや親しみやすさの面では優れている。(略)
一方、ネットワークによる方法では、カタログを作成するための資源が少量である事、商品情報を消費者に即座に届ける事ができる事、消費者の商品の注文を即座に店舗に届ける事ができる事、が利点として上げられる。(略)
従って、本発明の目的は、紙のカタログとネットワークによる商品情報の提供の両方の利点を取り込んだ、オンラインショッピングシステムを提供することにある。 (同公報段落【0005】?同【0009】)
(マ)【課題を解決するための手段】
本発明によれば、画面上にアルバム形式のユーザーインターフェースを配置し、その上に商品情報(商品の写真、商品名、販売形態、価格)をレイアウトして表示するオンラインショッピングシステムが提供される。(略)
また、本発明によれば、アルバム形式の商品情報の表示と同時に注文入力枠を設ける事により、ユーザが商品情報を検索しながら商品の注文セット数を注文入力枠に入力する事が可能なユーザインターフェースを含んだオンラインショッピングシステムが提供される。 また、本発明によれば、ユーザが注文セット数を注文入力枠に入力後、商品の注文をネットワークを通じて行う事が可能な機能を含んだオンラインショッピングシステムが提供される。 (同公報段落【0010】?同【0013】)
(ミ) 図11に示すように、ユーザが目次504のプルダウンボタンをクリックすると、システムは目次ウィンドウ541をオープンする。目次ウィンドウ541はカタログタイトル9・カタログアイコン10・分類項目タイトル15・分類項目アイコン16から成る。ユーザが目次ウィンドウ541のいずれかのタイトルまたはアイコンをクリックすると、(略) 該当分類の商品情報を先頭から商品情報表示領域502に表示する。 (同公報段落【0038】)
(ム)<<商品情報表示領域502への表示>><カタログ表示形式551> 図12に示すように、ユーザがカタログボタン506をクリックすると、システムはカタログ表示処理110を起動し、商品情報表示領域502に複数の商品をカタログのイメージで表示する(カタログ表示形式551)。 (同公報段落【0039】)
(メ)図11には、「食品カタログ」の表示画面の左上に、プルダウンメニューのウィンドウが表示され、「食品カタログ」の下に「野菜」、「肉・魚」・・・が階層的に表示されている。

(5-3-6)引用例6
当審拒絶理由通知(最後)で周知例として引用した引用文献6.である、本間康裕 著「アウトソース研究; 新進商会 売るだけ売って後はお任せ 電子商店の業務を全面支援」、日経ネットビジネス、No.50、日経BP社発行(1999.8.15)、第90頁?第92頁(以下「引用例6」という)には、次の事項が記載されている。
(モ)新進商会は、4月から電子商店のバックエンド業務のアウトソーシング・サービス「Bittrade」を開始した。受注処理からクレジットカード認証のセキュリティ、配送までを請け負う総合サービスで、主に中小企業に売り込んでいく。 (第90頁 タイトル下)
(ヤ)パソコンや周辺機器の販売を手がけるセンチュリー(東京都千代田区)・・(略)・・新進商会(東京都港区)が提供するEC(電子商取引)支援サービス 「Bittrade」の利用を決定。6月4日に電子商店を新装オープンしたところ、売上倍増という結果が出た。・・(略)・・東京・秋葉原で実際に3店舗経営しているが、Webサイトでその一店舗分に匹敵する売り上げを稼ぎ出した。「買い物カゴ機能を使ってボタン1つで商品を選択できるようになるなど、ユーザーの使い勝手が向上した。さらに、500点だった商品を800点に増やすなど・・・(略) (第90頁左欄第4頁?同中欄第7行)
(ユ)基本的に電子商店はユーザ企業自身が運営するため、Webサイトを自由にデザインできるほか、自社ドメインで運営できるなど、電子モールに出店するより制約が少ない。 (第91頁左欄第19頁?同中欄第2行)
(ヨ)さらに「Live Commerce」と呼ばれる電子カタログや、電子商店宣伝用に電子メールによるDMサービスも利用・・・(略) (第91頁右欄第7頁?同第10行)
(ラ)今後メーカーブランドのパソコンやMP3プレーヤー、衣料品やがん具、雑貨など、徐々に取り扱う商品の種類を増やしていく。・・(略)・・取り扱い商品数は8月初旬の段階で約6000点で、年間3億の売り上げを目標としている。 (第92頁右欄第5頁?同第12行)
(リ)第92頁右上に、画面3『新進商会が運営する「Bitmart」』が掲載され、その下に、「Bittradeのデモも兼ねて、Webサイトでソフトやパソコンなど6000点の商品を販売している。」の記載があり、当該画面には、横軸に「商品イメージ」、「商品名」、「説明」、「定価」・・が表示され、縦軸に、メーカー名の「(株)東芝」、「Bitmart」・・が表示された一覧表が示されている。

(5-3-7)引用例7
当審拒絶理由通知(最後)で引用した引用文献7.である笛田進吾著「HTMLエディター百花繚乱・後編 (制作実 践編)最新HTMLエディターの使い勝手を検証」(1996年7月1日)、INTERNETmagagine No.18、株式会社インプレス 発行、第210頁-第220頁 (以下「引用例7」という)には、図面とともに次の事項が記載されている。
(a)最新のHTMLエディターを使えば、HTMLタグの知識がなくてもワープロ感覚でホームページが作れるようになった。(略)今回は、集めた素材から各HTMLエディターを使ってホームページを作り上げるまでの使い勝手について、制作段階ごとに比較・検証してみたい。(略)制作上のチェックポイントは、
1 文字の装飾と位置揃え
2 画像の張り込み
3 リンクの設定とチェック
4 表の作成
5 フォームの作成
の5つである。(第210頁 中段 第1-15行)
(b)表形式のデータをきれいに見せるためには表を活用したい。(略)表作成機能を搭載したHTMLエディターがむしろ主流になりつつあるようだ(今回の試用ソフトウェアの9本中6本が対応済み)。 (第218頁冒頭の「4 表の作成」のタイトルの下)
(c)WZ-EDITOR
[書式]→[挿入]→[表]を選び、列と行の数を指定するだけでテーブルができる。あとはセルの中にデータを書き込んでいくだけでよい。 (第218頁 中段中 「WZ-EDITOR」に関する説明 第1-4行)
(d)前記(c)の記載の下に、図面として表が作成される画面が例示されていて、作成されている表の縦軸に、「名称(内容)」として、「国立博物館」、「東京国立博物館」、「下町風俗資料館」などが表示され、同横軸に、「最寄り駅」、「徒歩時間」、「入場料」などの項目が表示され、縦軸と横軸とで特定されるセルには、例えば「国立博物館」の行について、「JR上野駅」、「5分」、「400円」などと表示されている。また、当該表の上部には、「上野・浅草エリア」という表についての説明タイトルが表示されている。
(e)COSAIC
高機能な表作成機能を備えたのがこのCOSAICだ。手順は[ツールパレット]から[表]アイコンを選ぶと表示されるダイアログで行数と列数を指定し、[新規]ボタンをクリックする。行数や列数はボタンのクリックだけで簡単に変更でき、表のセルの中に別の表を入れ子にすることも簡単にできる。表内の文字入力でややレスポンスが遅く感じられるのは、高機能の代償といったところだろう。 (第218頁 上段左 「COSAIC」に関する説明)
(f)I-Write
[フレーム]メニューから[表挿入]を選ぶと表示されるダイアログで表のサイズと行数・列数を入力すれば簡単に表ができる。行や列の挿入・削除も、[表]メニューや[表]パレットを使って、ワープロ感覚で軽快に行える。表内の位置揃えは中央揃えのみに対応。 (第218頁 上段右 「I-Write」に関する説明)
(g)ホームページビルダー
ホームページビルダーの特長の一つは表の作成が簡単にできるところ。列や行を増やすのは[行挿入]・[列挿入]のアイコンをクリックするだけでOKだ。[属性変更]ボタンで表の属性とセルの属性が設定できるほか、セルの連結もできる。 (第218頁 下段左 「ホームページビルダー」に関する説明)
(h)WordToWeb
ワープロのWordそのままの表作成機能が利用できる。[表]ボタンをクリックし、行と列の数を指定するだけで表ができあがる。(略)。[作表メニュー]からは、行の挿入やセルの分割・結合も思いのままで、マシンの性能にもよるがかなり軽快な操作が期待できる。 (第218頁 下段中 「WordToWeb」に関する説明)
(i)Internet Assistant
WordToWebと同様、表作成は軽快に行える。すべて[罫線] メニューの中で作業する。セル内の文字の位置も細かく設定できる 。 (第218頁 中段右 「Internet Assistant」に関する説明)
(j)第218頁の前記(e)?(i)のソフトウェア「COSAIC」、ソフトウェア「I-WRITE」、ソフトウェア「ホームページビルダー」、ソフトウェア「WordToWeb」、ソフトウェア「Internet Assistant」に関しても、ソフトウェア「WZ-EDITOR」に関する前記(d)の記載と同様の記載がある。

(5-4)対比
(5-4-1)そこで、本願補正発明(以下「前者」という。)と引用例発明(以下「後者」という。)とを対比すると、後者の「ネットワーク」、「スーパーマーケット」、「単価」は、それぞれ、前者の「通信ネットワーク」、「販売者」、「販売単価」に相当する。
また、後者の「スーパーマーケットの計算機」は、その機能を利用者の端末に提供するものであることから、前者の「販売者側のサーバ」に相当するといえる。
また、後者の「商品を桝目で選択するコンピュータプログラム」は、後記する相違点はあるものの、商品を桝目で選択する機能を有する点で、後者の「商品を桝目で選択するプログラム」に対応する。なお、後者のプログラムを「用い」ることと、前者のプログラムを「活用」することとは、単なる認識の相違による表現上の相違であって技術的な意義の上での相違でないことは、明らかである。
また、商品一覧表とともに表示する事項として、後者の「商品についての説明事項」と、前者の「複数の商品に共通する説明事項」とは、後記する相違点はあるものの、ともに「商品の説明事項」という点で共通する。
また、後者の「商品についての説明事項と、所定の横軸と縦軸とで特定される桝目を有し、桝目の横軸に第1の項目を表示し、桝目の縦軸に第2の項目を表示し、横軸と縦軸とで特定される商品について単価を表示した商品一覧表を準備するステップ」と前者の「販売者が入力した、複数の商品に共通する説明事項である商品見本の画像、商品名、商品説明を含む共通事項を受付けて、予め準備された、所定の横軸と縦軸とで特定される桝目を有した商品一覧表を作成し、表示するステップと、販売者が設定入力した上記商品一覧表の桝目の横軸に表示すべき、商品の規格、種類、色、型のうちから選択された第1の条件を受付けるステップと、販売者が設定入力した上記商品一覧表の桝目の縦軸に表示すべき、商品のサイズ、色、長さ、大きさ、重さのうちから選択された第2の条件を受付けるステップと、上記商品一覧表の横軸と縦軸とで特定される商品について、販売者が入力した販売単価を受付けるステップ」とは、いずれも、通信ネットワークを介して利用者の端末に商品についての説明事項を付した商品一覧表を表示させることができるように、販売者が当該商品一覧表を準備する情報処理の工程であるから、後記する相違点はあるものの、ともに「商品についての説明事項と、所定の横軸と縦軸とで特定される桝目を有し、桝目の横軸に第1の項目を表示し、桝目の縦軸に第2の項目を表示し、横軸と縦軸とで特定される商品について販売単価を表示した商品一覧表を準備するステップ」という点で共通する。
また、利用者が商品の予約注文を行う方法ということは、販売者の側からみれば商品を販売する方法ということができ、さらに、前者の「商品販売方法」は、上記(5-2)で検討したように本件補正が限定的減縮であるという主旨からすると、商品販売方法であって、しかも販売者の商品データの入力方法までも含む広い概念であるから、後記する相違点はあるものの、後者の「商品予約注文方法」は、前者の「商品販売方法」に対応するといえる。

(5-4-2)そうすると、両者は、
「 商品を桝目で選択するプログラムを活用した、通信ネットワークを用いた商品販売方法であって、
上記商品を桝目で選択するプログラムは、販売者側のサーバに保存され、
商品についての説明事項と、所定の横軸と縦軸とで特定される桝目を有し、桝目の横軸に第1の項目を表示し、桝目の縦軸に第2の項目を表示し、横軸と縦軸とで特定される商品について販売単価を表示した商品一覧表を準備するステップ
を少なくとも備えている、通信ネットワークを用いた商品販売方法。」
である点で一致し、下記の点で相違する。

〔相違点1〕商品についての説明事項として、前者は、「複数の商品に共通する説明事項である商品見本の画像、商品名、商品説明を含む共通事項」であるのに対し、後者は、そうではない点。
〔相違点2〕前者は、商品一覧表の桝目の横軸に表示される第1の項目が、「商品の規格、種類、色、型のうちから選択された第1の条件」であり、商品一覧表の桝目の縦軸に表示される第2の項目が、「商品のサイズ、色、長さ、大きさ、重さのうちから選択された第2の条件」であるのに対し、後者は、そうではない点。
〔相違点3〕前者が、商品販売方法における販売者の商品データの入力方法であって、「販売者が入力した、商品についての説明事項を受付けて、予め準備された、所定の横軸と縦軸とで特定される桝目を有した商品一覧表を作成し、表示するステップ」と、「販売者が設定入力した上記商品一覧表の桝目の横軸に表示すべき第1の条件を受付けるステップ」と、「販売者が設定入力した上記商品一覧表の桝目の縦軸に表示すべき第2の条件を受付けるステップ」と、「上記商品一覧表の横軸と縦軸とで特定される商品について、販売者が入力した販売単価を受付けるステップ」の各ステップを備えるのに対し、後者は、少なくとも「商品についての説明事項と、所定の横軸と縦軸とで特定される桝目を有し、桝目の横軸に第1の項目を表示し、桝目の縦軸に第2の項目を表示し、横軸と縦軸とで特定される商品について単価を表示した商品一覧表を準備するステップ」を備える商品販売方法ではあるものの、一覧表を準備する個々のステップについての明記がなく、商品販売方法に含まれる販売者の商品データの入力方法については記載がない点。

(5-5)判断
(5-5-1)相違点1,2について
この相違点1,2は、基本的には、表示すべき情報の内容(コンテンツ)の相違に関するものである。
引用例1の実施例として開示されたものは、利用者に選択された献立に必要な食材のパック商品を対象としているが、後者においては、例えばラインアップ化された商品群のように、商品の属性によって縦軸と横軸を有する枡目の一覧表に整理できる商品であれば、前記実施例の食材のパック商品に限ることなく、他の商品をも対象とし得ることは当業者にとって明らかであり、後者において他の商品を対象とすることに何ら阻害要因は見当たらない。そして、後者においてある商品を対象とした場合、商品一覧表とともに表示する商品に関する説明事項の情報の内容(コンテンツ)、及び、一覧表の桝目の縦軸と横軸にそれぞれ設定される商品属性の内容(コンテンツ)は、商品を整理して利用者にわかりやすく紹介するためのものであるから、当該対象とする商品に応じて、任意に設定し得ることもまた当業者にとって明らかである。ここで、商品を一覧表に整理して紹介する場合に、当該一覧表とともに表示する商品に関する説明事項として、商品見本の画像、商品名、商品説明が典型的な例であること、及び、商品一覧表の桝目の横軸・縦軸に設定される商品属性として、商品の規格、種類、色、型、サイズ、長さ、大きさ、重さが典型的な例であることは、社会常識が教えるところである。

例えば、当審拒絶理由通知(最後)で周知例として引用した引用例2には、ねじの商品カタログにおいて、一覧表のねじに共通するところの、図面、「六角ボルト」、「冷間成形リベット」、・・・という名称、ねじの材質や備考等が一覧表に付して記載され、当該一覧表の桝目の横軸にM3、M4、・・・という「規格」を設定し、縦軸に「長さ」の種別を設定した、ねじの一覧表が記載され、かつ、まえがき頁には同文献が「日常の商取引に利用出来る様に編集」したものである旨が記載されている。
また、同引用例3には、精機ボールねじの商品カタログにおいて、一覧表のボールねじに共通するところの、見本の写真画像、「精密ボールねじ(標準在庫品)」という名称、「1.1 製品分類」及び「1.2 使用上の注意事項」が一覧表に付して記載され、一覧表の桝目の横軸にリード長さの種別を設定し、縦軸にねじ軸外形の「サイズ」種別を設定した点が記載されている。
また、同引用例4には、ねじりコイルばねを選択するための規格一覧表において、一覧表のねじりコイルばねに共通するところの、ねじりコイルばねの図面、「ねじりばね」という名称、「ステンレス線 SUS304-WPB」という材質説明が規格一覧表に付して記載され、規格一覧表の桝目の横軸に、内径とアーム長と線径を組み合わせた規格を設定し、縦軸に、巻数と角度を組み合わせた規格を設定した点が記載されている。
これら周知例によれば、複数の属性によって規格化され標準在庫化された商品群を販売する者が、そうした商品に共通する説明事項である商品見本の図面や画像、商品名、商品説明を含む共通事項を、一覧表の商品の共通事項として任意に設定して表示し、更に商品一覧表の桝目の横軸に、商品の規格等の属性を商品に応じて任意に設定して表示し、かつ桝目の縦軸に商品のサイズ、長さ等の他の属性を商品に応じて任意に設定して表示し、桝目の縦軸、横軸の条件に合った商品を一覧表の形式で表示した構成の商品カタログや規格一覧表を、従来より慣用していたと認められる。
ここで、前記各周知例は、印刷物である商品カタログや規格一覧表についての事例であるが、販売者が、商品群を整理して利用者にわかりやすく紹介するために、商品一覧表とともに表示する商品に関する説明事項の情報の内容(コンテンツ)、及び、一覧表の桝目の縦軸と横軸にそれぞれ設定される商品属性の内容(コンテンツ)を、商品に応じて工夫し設定する事情は、商品一覧表が、印刷物として提示される場合と、ネットワークを介して電子的に提示される場合とで異なるわけではない。

また、例えば、引用例1の他、当審拒絶理由通知(最後)で周知例として引用した引用例5、引用例6の上記各摘記事項から、本願出願時点では、既に、ネットワークを用いて様々な商品群の情報を表として整理して紹介し販売する方法が広く知られていたことが認められる。

そうすると、ラインアップ化された商品群のような商品の属性によって縦軸と横軸を有する枡目の一覧表に整理できる商品を、ネットワークを用いて販売することは当業者が容易に着想し得た事項であり、その際、そのような販売方法を検討する当業者が、業界で慣用されている商品カタログの一覧表と同様の商品一覧表を利用者に提示して販売する販売方法を記載した引用例1に接し、商品に関する説明事項の内容(コンテンツ)として、商品に共通する説明事項である商品見本の画像、商品名、商品説明を含む共通事項を設定するとともに、商品一覧表の桝目の横軸に商品の規格,種類、色、型のうちから選択された属性を設定し、かつ桝目の縦軸に商品のサイズ、色、長さ、大きさ、重さのうちから選択された他の属性を設定するようにして、相違点1及び2に係る構成を得ることは、容易に想到し得る事項であると判断できる。

請求人は、上記(4-3-1)として摘記したように、引用例1に開示された表の「献立n 3人分の食材必要量は以下の商品の組合せとなります」の表示は、複数の商品に共通な事項とはいえず、本願補正発明のように商品画像の見本、商品名が含まれていない旨主張するので、これについて検討する。
一般に、複数の商品を一覧表として利用者に提示し購入を促そうとする場合、その一覧表で紹介される商品がどういうものであるのかを利用者が理解しやすいように、商品に関する説明事項として様々な表示を一覧表に添付することは、上記検討のとおり商慣行として普通におこなわれてきた事項といえる。
引用例1に開示された実施例では、「献立n 3人分の食材必要量は以下の商品の組合せとなります」と表示されており、請求人のいうとおり、確かに一覧表の複数の商品に共通な事項ではないし、商品画像の見本、商品名は含まれていない。しかしながら、これは、実施例の商品一覧表で提示される商品が、料理の献立nに用いる食材群であることに起因するものであることは明らかである。
これに対して、例えばボルトのような非常に多くのラインアップを有する商品を一覧表で提示する場合、類似する様々な種別の商品が存在することから、その一覧表で紹介される商品がどういうものであるのかを利用者が理解し識別しやすくするために、引用例2に示されるように、「六角ボルト」、「アプセット六角ボルト」というような商品名、その商品名の商品の形状を示す図面、材料や表面処理など一覧表の商品に共通する仕様を、一覧表の商品に応じて示す必要があり、これらを一覧表近傍に表示してあるのが通例である。
このように、商品一覧表に付す表示の内容は、利用者が理解しやすいようにするという表示の趣旨からして、一覧表の商品の種類や性質、販売者の工夫などの要因によって任意に選択され得る事項であって、商品一覧表が、印刷物として提示される場合と、ネットワークを介して電子的に提示される場合とでこうした事情が異なるわけではない。
そして、上記したとおり、引用例発明は、商品群を枡目の一覧表に整理できる商品であれば、食材のパック商品に限ることなく、他の商品をも対象とし得るものである。
してみれば、請求人が指摘するように、引用例1の実施例の表の「献立n 3人分の食材必要量は以下の商品の組合せとなります」の表示が、複数の商品に共通な事項ではなく、商品画像の見本、商品名が含まれていないからといって、そのことが、引用例発明において、複数の商品の共通事項や、商品画像の見本、商品名を表示するようにすることに阻害要因があることを示すものでもなければ、これらを表示するようにすることに困難性があることを示すものでもない。
したがって、請求人の前記主張は、上記判断を覆す根拠にはなり得ない。

また、請求人は、上記(4-3-1)で摘記したように、引用例1に開示された商品一覧表について、食材商品名と記入された各列が複数の商品、食材An、食材Bn、食材Cn・・・を特定しており、このような態様が、第1の条件と第2の条件との組み合わせで1つの商品を特定すると言えるはずはなく、本願補正発明の商品一覧表とは、着想背景が全く異なっている旨をも主張するので、これについて検討する。
引用例1に開示された枡目の一覧表は、桝目の横軸には「標準パック」及び「予約パック」という商品のパックの種類が設定され、かつ桝目の縦軸には「食材An」,「食材Bn」,・・・「食材Nn」という食材の商品名が設定され、桝目の縦軸の条件と横軸の条件との組み合わせ、例えば横軸が「標準パック」という条件で縦軸が「食材An」という条件の組み合わせで、食材Anの標準パックの商品が特定されるわけであるから、請求人の主張が当を得ないことは明らかである。

さらに、請求人は、上記(4-3-2)で摘記したように、引用例2?引用例4の周知例で、紹介されている一覧表は、いずれも電子商取引における販売者の商品のデータ入力とは無縁のものであり、販売者の商品データの入力手間を軽減するものではないから、電子商取引を対象としている本願補正発明の商品表の作成の動機にはなり得ない旨を主張するので、これについて検討する。
当審からの拒絶理由通知において引用例2?引用例4の周知例をあげた主旨は、上記検討のとおりであり、前記各周知例は、電子商取引を対象としている本願補正発明の商品表の作成の動機になることを示すためにあげたものではないから、請求人の主張は、引用例2?引用例4の周知例の主旨を正解しないものである。

したがって、前記請求人の各主張を充分勘案し検討したとしても、相違点1及び2に係る本願補正発明の構成を得ることは、引用例発明、及び周知技術に基づいて、当業者が容易に想到し得る事項であると判断せざるを得ない。

(5-5-2)相違点3について
引用例7の概要は、通信ネットワークを介して利用者端末にホームページを表示するための情報を作成するホームページ作成技術に関するもので、「文字の装飾と位置揃え」、「画像の貼り込み」、「表の作成」などの項目について、9種類のHTMLエディター、即ちホームページ作成ソフトウェア、を比較・検証するというものである。
ここで、引用例7の「表の作成」の項に着目すると、上記摘記事項(c)の「列と行の数を指定するだけでテーブルができる。あとはセルの中にデータを書き込んでいくだけでよい。」との記載、及び、上記摘記事項(d)の図面の記載から、ホームページ作成ソフトウェア「WZ-EDITOR」には、列と行の数を指定することによって、所定の横軸と縦軸とで特定されるセルを有した表が作成されて表示されるステップが備えられ、当該表は、セルへの書き込みに先立って、予め準備されるものであると解することができる。そして、表の横軸の項目と縦軸の項目とが定まらないうちは、横軸と縦軸とで特定されるセルに所定の書き込みができないわけであるから、当該ホームページ作成ソフトウェアは、前記ステップに続いて、上記表のセルの横軸に表示すべき作成者が設定した第1の項目の入力を受付けるステップと、上記表のセルの縦軸に表示すべき作成者が設定した第2の項目の入力を受付けるステップとを備え、次いで横軸と縦軸とで特定されるセルに対して作成者がした所定の書き込みを受付けるステップを備えることが、明らかであるといえる。さらに、当該表の上部には、「上野・浅草エリア」という表についての説明タイトルが表示されていることから、当該ホームページ作成ソフトウェアは、作成者が入力した説明タイトルを受付けるステップをも備えることは、自明である。
また、上記摘記事項(e)ないし(j)によれば、「COSAIC」、「I-WRITE」、「ホームページビルダー」、「WordToWeb」、「Internet Assistant」の各ホームページ作成ソフトウェアについても、「WZ-EDITOR」と同様のことがいえる。
さらに、上記摘記事項(c),(e),(f),(g),(h),(i)の各ホームページ作成ソフトウェアについての記載によれば、使い勝手の検証として表作成が簡単にできる旨の記載がある点で共通する。
そうすると、引用例7には、ホームページ作成ソフトウェアが、所定の横軸と縦軸とで特定されるセルを有した表を予め準備作成し、表示するステップと、当該表のセルの横軸に表示すべき作成者が設定した第1の項目の入力を受付けるステップと、当該表のセルの縦軸に表示すべき作成者が設定した第2の項目の入力を受付けるステップと、当該表の横軸と縦軸とで特定されるセルに作成者が行う所定の書き込みを受付けるステップとを備えるとともに、表について作成者が設定した説明タイトルの入力を受付けるステップを備えるところの、表を作成するためのデータの入力方法が開示されていると認められる。また、当該データの入力方法の技術は、本願出願の4年以上前に頒布された引用例7において、多種類の市販のホームページ作成ソフトウェアを対象にして比較検証がなされているわけであるから、本願出願日時点では、既に広く知られていた技術であり、これらホームページ作成ソフトウェアを利用すれば表作成が簡単にできるという技術的効果とともに広く世の中に浸透していたと認められる。

ところで、引用例1記載の商品予約注文方法は、そもそもが、ネットワークを介して利用者の端末に商品についての説明事項を付した枡目の商品一覧表を表示させ、利用者に横軸と縦軸とで特定される桝目の商品を選択させることで商品の注文を受ける商品販売方法であるから、先の相違点1及び2について検討したように、商品の属性によって縦軸と横軸を有する枡目の一覧表に整理できるような商品であれば、実施例として例示された食材のパック商品に限ることなく、様々な他の商品をも対象とし得る販売方法である。そして、ネットワークを介して利用者の端末にそうした枡目の商品一覧表を表示させるためには、販売者側でそうした枡目の商品一覧表をデータとして作成準備する必要があるわけであるから、この商品一覧表のデータ作成の方法については、引用例1に明記はないものの、様々な公知の技術の採用が考えられるところである。
而して、引用例発明、即ち後者は、少なくとも「商品についての説明事項と、所定の横軸と縦軸とで特定される桝目を有し、桝目の横軸に第1の項目を表示し、桝目の縦軸に第2の項目を表示し、横軸と縦軸とで特定される商品について単価を表示した商品一覧表を準備するステップ」を備えるわけであるから、当業者の視点からすれば、後者において、そのような商品についての説明事項を付した商品一覧表を準備するにあたり、できるだけ簡単に表作成をする方法を採用しようと努めることはごく自然な発想であり、前記商品一覧表作成に際してのデータ入力の省力という技術的課題は当業者が容易に予測し得た範囲内の事項であるといえる。
そして、上記したように、ネットワークを介して利用者の端末に一覧表を表示させるために、作成者が予め一覧表のデータを作成する方法としては、本願出願時点で前記引用例7記載の技術が既に広く知られていたわけであるから、引用例1に接しその商品販売方法の実施を検討する当業者にとって、後者の前記商品一覧表を準備するステップについて前記引用例7記載の技術を適用することにより、販売者が入力した商品についての説明事項を受付け、予め準備された、所定の横軸と縦軸とで特定される枡目を有した商品一覧表を作成し、表示するステップと、販売者が設定した当該商品一覧表の枡目の横軸に表示すべき第1の項目の入力を受付けるステップと、販売者が設定した当該商品一覧表の枡目の縦軸に表示すべき第2の項目の入力を受付けるステップと、当該商品一覧表の横軸と縦軸とで特定される商品について、販売者が入力した販売単価の入力を受付けるステップとを備えるようにして、商品販売方法における販売者の商品データの入力方法とすることは、容易に想到し得ることであると判断できる。
そして、後者に対して、簡単に表作成をすることができる前記引用例7記載の技術を適用した場合、データ入力の省力という技術的効果が得られることは当業者が容易に予測し得た範囲内の事項である。

請求人は、上記(4-3)冒頭で摘記したように、引用例1について、本願発明の課題である、商品データの入力軽減は何ら示唆されておらず、しかも、このような本願の課題は、出願時の技術水準から言って周知であることを示す証拠も存在しない旨を主張するので、これについて検討する。
引用例1は、既に検討したとおり、少なくとも「商品についての説明事項と、所定の横軸と縦軸とで特定される桝目を有し、桝目の横軸に第1の項目を表示し、桝目の縦軸に第2の項目を表示し、横軸と縦軸とで特定される商品について単価を表示した商品一覧表を準備するステップ」を備える商品販売方法ではあるものの、一覧表を準備する個々のステップについての明記がないわけであるから、なるほど請求人の主張のとおり、本願発明の課題である商品データの入力軽減についての記載はないし、入力軽減についての示唆も明文的にはない。
しかしながら、引用例1は、そもそもが、ネットワークを介して利用者の端末に商品についての説明事項を付した枡目の商品一覧表を表示させ、利用者に横軸と縦軸とで特定される桝目の商品を選択させることで商品の注文を受ける商品販売方法であるから、既に検討のとおり、この商品販売方法を実現するためには、販売者側としては、利用者に提示する前記商品一覧表をデータとして準備することが避けて通れないプロセスとして認識されることは明らかである。そして、引用例1に接しその商品販売方法の実施を検討する当業者の視点からすれば、とにかくそのような商品についての説明事項を付した商品一覧表を利用者に提示できるようにするために準備しなければならないわけであるから、自らの業務経験と技術的な知識に照らし、数多くの商品データを含む商品一覧表作成をできるだけ簡単にする方法を採用しようと努めることはごく自然な発想であり、前記商品一覧表作成に際してのデータ入力の省力という技術的課題は当業者が容易に予測し得た範囲内の事項であるといえる。
してみれば、引用例1についての前記請求人の主張は、上記当審の判断を覆す根拠にはならない。

また、請求人は、上記(4-2)及び(4-4)で摘記したように、本願発明は、ステップの組み合わせ手順に特徴があり、この特徴のため、販売者側には、複数の商品データを入力する際に、同じ共通事項にかかるデータを繰り返して入力していた手間と、商品一覧表の横軸、縦軸の第1の条件、第2の条件にかかるデータを繰り返して入力していた手間が軽減されるものである旨を本願補正発明による特段の効果として主張するので、これについて検討する。
ここで、まず指摘をしておかなければならないことは、請求人が主張するところの、前者が有する入力する手間の軽減効果は、「販売単価が違う商品は、個別の商品ごとに画像、商品説明等をプログラムに入力しなければならない。従って商品ページが多くなり、商品の共通の商品説明事項がある商品でも、販売者は個々にデータを入力しなければなら」(本件補正により補正された明細書の発明の詳細な説明の段落【0003】、【0004】)ないという、同じ共通事項にかかるデータを繰り返して個々に入力する方法のみを従来技術とし、これを比較の対象として主張する効果であり、その効果の根拠となる前者の構成は、本件補正により補正された請求項1記載の各ステップであるということである。
上記引用例7記載の一覧表作成の例においても、理論的には、まず、第1行目の「国立博物館」について、カテゴリーが「上野・浅草エリア」であることを入力し、横軸の項目である「最寄り駅」、「徒歩時間」、「入場料」などと逐一対応させて、それぞれ「JR上野駅」、「5分」、「400円」などと入力し、次いで、第2行目以降の「東京国立博物館」、「下町風俗資料館」などについても第1行目の作業と同様の入力作業を繰り返して、図示の一覧表を作成する方法が考えられる。このような作業をすれば、確かに請求人のいう「データを繰り返して入力していた手間」が発生することになる。
しかしながら、引用例7記載の技術は、このような入力の形態をとらず、本項冒頭で検討した各ステップを備えたデータ入力を行う方法であって、いわば作成すべき表形式を利用してデータ入力を行う方法であり、表形式を利用してデータ入力を行うということは、前記データを繰り返して個々に入力する方法と比較をするならば、同種のデータ入力作業の共通部分だけをまとめて行うことを意味することに他ならないから、引用例7記載の技術は、本質的に「データを繰り返して入力していた手間が軽減される」という本願補正発明と同等の効果を有することは明らかである。
そして、引用例発明に対して引用例7記載の技術を適用することの容易想到性については、上記検討のとおりであるから、請求人が主張する効果は、当業者の視点からすれば、引用例発明と引用例7記載の技術との組み合わせから容易に予測できる効果であって、請求人がいうような本願補正発明による特段の効果とは認められない。

また、請求人は、上記(4-3-3)で摘記したように、本願発明において、最も重要なことは、商品表を作成するプログラムが、販売者による商品データの入力操作に対応して実行され、表を作成しながら、データが入力できる点にあり、合議体の判断は、本願発明における各ステップの組み合わせが、販売者の商品データの入力操作に有機的に結合している点を度外視し、看過しているものという他はない旨を主張するので、これについて検討する。
引用例7記載の技術においても、上記検討のとおり、表形式を利用してデータ入力を行いつつ利用者に提供する一覧表を作成するわけであるから、表を作成するプログラムが、作成者による表形式を利用したデータの入力操作に対応して実行され、表を作成しながら、データが入力できる点において変わりがない。一方、前者における「各ステップの組み合わせ」が、販売者の商品データの入力操作に有機的に結合している点については、本件補正により補正された請求項1の記載にその根拠を見いだすことができないから、この点についての請求人の主張は請求項の記載に基づかない主張である。
そして、引用例発明に対して引用例7記載の技術を適用することの容易想到性については、上記検討のとおりであるから、前記請求人の主張は、上記判断を覆す根拠にはならない。

また、請求人は、引用例7について、「列と行の数を指定するだけでテーブルができる」ことについては、罫線の入力を軽減するための機能であることを示しているにすぎず、画面として例示されている「国立博物館」、「東京国立博物館」、「下町風俗資料館」などを表示した表は、本願発明の商品表に表示される共通事項に対応したものではなく、表についての説明タイトル「上野・浅草エリア」は表のタイトルであり、複数の商品に共通する事項とは全くかけ離れたものである旨を主張するので、これについて検討する。
請求人は、まず、「列と行の数を指定するだけでテーブルができる」ことについて、罫線の入力を軽減するための機能であるとしているが、引用例7記載の技術は、この予め所定の横軸と縦軸とで特定されるセルを有するテーブルを表示させ、このテーブルの表形式を利用してセルにデータを入力し、表を作成していくわけであるから、罫線の入力を軽減するための機能にとどまるものではなく、請求人の主張が当を得ないものであることは明らかである。
また、引用例7に例示の表に付された説明である「上野・浅草エリア」は表のタイトルであり、複数の商品に共通する事項でないことは、確かに請求人のいうとおりであるが、この表に付された説明は、利用者に表の内容をわかりやすく紹介するためのものであるから、表の内容に応じて任意に設定し得るものであることは明らかであって、上記判断を覆す根拠にはならない。

さらに、請求人は、上記(4-5)で摘記したように、当業者、出願当初の技術水準は、電子商取引のシステムを使用し、実際に運営している業者を基準にすべきであるが、バーチャル店舗も管理運営をしている楽天などの運営管理会社も、販売者側の商品データの入力手間については何ら工夫はなく、本願発明の解決課題である、電子商取引における販売者の商品データの入力軽減は、本願の出願前には当業者すら思い付かなかった旨を主張するので、これについて検討する。
特許法第29条第2項でいう「その発明の属する技術分野における通常の知識を有する者」、即ち当業者について、審査基準では、「本願発明の属する技術分野の出願時の技術常識を有し、研究、開発のための通常の技術的手段を用いることができ、材料の選択や設計変更など通常の創作能力を発揮することができ、かつ、本願発明の属する技術分野の出願時の技術水準にあるもの全てを自らの知識とすることができる者」を想定したものである、としている。そして、本願の発明と引用例の発明を対比し進歩性の判断を行うにあたっては、当業者の視点に立ち、引用例に直接的に記載されている技術的事項だけでなく、引用例技術の背景、引用例技術に関連する社会常識、技術常識、慣用技術や周知技術などを参酌しながら、広い視野から総合的に検討し判断する必要があるといえる。
そうすると、請求人がいう電子商取引システムの運営管理会社というのは、あくまで電子商取引の管理運営に関しての当業者というべきであって、特許法第29条第2項でいう当業者の解釈としてはあまりに限定的に過ぎるものであり、仮にそうした運営管理会社によって出願時点における実施がなされていないとしても、そのこと自体が本願補正発明が解決すべき課題の容易想到性を否定する根拠とはなり得ないことになるから、請求人の主張は当を得ないものである。

以上検討すると、前記請求人の主張を充分勘案し検討したとしても、相違点3に係る本願補正発明の構成を得ることは、引用例発明及び引用例7に記載された発明並びに周知技術に基づいて、当業者が容易に想到し得る事項であると判断せざるを得ない。

(5-6-3)まとめ
本願補正発明の相違点1から3に係る構成を得ることは、上記検討のとおり、引用例発明及び引用例7に記載された発明並びに周知技術に基づいて、当業者が容易になし得た事項である。
そして、本願補正発明の課題及び作用効果も、上記検討のとおり、引用例発明及び引用例7に記載された発明並びに周知技術から当業者が容易に予測できる範囲のものである。

したがって、本願補正発明は、引用例1及び引用例7に記載された発明並びに周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

(5-7)むすび
以上のとおり、本件補正は、平成15年改正前特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第4項の規定に違反するので、特許法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。


第6 本願発明について
平成19年4月16日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項に係る発明は、平成18年9月19日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲、即ち上記(5-1)で本件補正前の特許請求の範囲として掲げた各請求項に記載された発明である。このうち、本願の請求項2に係る発明(以下「本願発明」という。)は、前記本件補正前の特許請求の範囲の請求項2に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。
「 商品を桝目で選択するプログラムを活用した、通信ネットワークを用いた商品販売方法であって、
上記商品を桝目で選択するプログラムは、販売者側のサーバに保存され、
販売者が入力した、複数の商品に共通する説明事項を受付けて、予め準備された、所定の横軸と縦軸とで特定される桝目を有した商品一覧表を作成し、表示するステップと、
販売者が設定入力した上記商品一覧表の桝目の横軸に表示すべき、商品の規格、種類、色、型のうちから選択された第1の条件を受付けるステップと、
販売者が設定入力した上記商品一覧表の桝目の縦軸に表示すべき、商品のサイズ、色、長さ、大きさ、重さのうちから選択された第2の条件を受付けるステップと、
上記商品一覧表の横軸と縦軸とで特定される商品について、販売者が入力した販売単価を受付けるステップとを少なくとも備えていることを特徴とする、通信ネットワークを用いた商品販売方法。」

(6-1)引用例
平成19年2月6日付けの当審拒絶理由通知(最後)に引用された引用例1ないし7の記載事項は、上記(5-3)の各項に記載したとおりである。

(6-2)対比・判断
本願発明は、前記第5で検討した本願補正発明から「通信ネットワークを用いた商品販売方法における販売者の商品データの入力方法」の限定事項である「における販売者の商品データの入力方法」との構成を省き、「複数の商品に共通する説明事項である商品見本の画像、商品名、商品説明を含む共通事項」の限定事項である「である商品見本の画像、商品名、商品説明を含む共通事項」との構成を省いたものである。
そうすると、本願発明の構成要件を全て含み、さらに他の構成要件を付加したものに相当する本願補正発明が、前記第5に記載したとおり、引用例1及び引用例7に記載された発明並びに周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、引用例1及び引用例7に記載された発明並びに周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

(6-3) むすび
以上のとおり、本願発明は、引用例1及び引用例7に記載された発明並びに周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、この出願は、他の請求項について検討するまでもなく、拒絶をすべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2005-01-13 
結審通知日 2005-01-18 
審決日 2005-01-31 
出願番号 特願2000-378168(P2000-378168)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (G06Q)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 ▲吉▼田 耕一  
特許庁審判長 佐藤 伸夫
特許庁審判官 小林 信雄
岩間 直純
赤穂 隆雄
山本 穂積
発明の名称 通信ネットワークを用いた商品販売方法における販売者の商品データの入力方法  
代理人 中井 宏行  

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