• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 産業上利用性 特許、登録しない。 G06F
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G06F
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06F
管理番号 1185050
審判番号 不服2004-20552  
総通号数 107 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2008-11-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2004-10-05 
確定日 2008-09-11 
事件の表示 特願2002- 28622「インターネット通信販売による商品の販売方法」拒絶査定不服審判事件〔平成15年 8月15日出願公開、特開2003-228658〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成14年2月5日の出願であって、平成16年8月31日付(平成16年9月7日発送)で拒絶査定がなされ、これに対し、同年10月5日付で拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに、同年11月2日付で手続補正がなされたものである。

2.平成16年11月2日付の手続補正についての補正却下の決定

[補正却下の決定の結論]

平成16年11月2日付の手続補正を却下する。

[理由]

(1)補正の内容
平成16年11月2日付の手続補正(以下「本件補正」という。)により、請求項1は、
「【請求項1】 商品の販売元が彩色商品カタログのデジタル・データ情報を、インターネット通信販売システムを介して送信し、この商品カタログのデジタル・データを受信した消費者が自己のパソコンのモニタに表示された商品カタログのデジタル画像を見て、その中から購買希望の商品を選択して、販売元にその選択された商品の注文情報を送信することにより所望の商品を購入するインターネット通信販売システムを介する商品の販売方法であって、
(イ)販売元が少なくとも一つの彩色商品の見本画像と色変化尺度としての基準色画像を組込んだ商品カタログを作成し、この商品カタログのカラー画像データをデジタル商品カタログとしてインターネット通信販売システムを介して消費者に送信し、
(ロ)このデジタル商品カタログを受信した消費者が、受信データをパソコンのモニタにデジタル画像として表示し、
(ハ)この消費者が、パソコンを操作してモニタに表示されたデジタル商品カタログの基準色画像の色を自己が所有する印刷された前記基準色画像の色に実質的に合致させ、同時に色が調整されたモニタ表示のデジタル商品カタログの彩色商品画像の中から所望の商品を選択して、販売元にその選択された商品の注文情報を送信することを
特徴とするインターネット通信販売システムを介する商品の販売方法。」
と補正された。

(2)補正の目的の適否
特許請求の範囲に関する本件補正は、補正前の請求項3ないし5を削除し、請求項1を補正するものであり、請求項1に関する本件補正は、
(2-1)本件補正前の請求項1の「彩色商品カタログ」を「彩色商品カタログのデジタル・データ情報」と補正することにより、「彩色商品カタログ」が「デジタル・データ情報」から構成されることを限定し、
(2-2)本件補正前の請求項1の「通信販売システムを介して宣伝」および「消費者に宣伝」を「通信販売システムを介して送信」および「消費者に送信」と補正することにより、「宣伝」という技術的に不明確な記載を、「送信」という、より明りょうな下位概念の記載に改め、
(2-3)本件補正前の請求項1の「基準色画像」を「色変化尺度としての基準色画像」と補正することにより、「基準色画像」が「色変化尺度」として用いられるものであることを限定し、
(2-4)本件補正前の請求項1の「商品カタログ」を「デジタル商品カタログ」と補正することにより、「商品カタログ」が「デジタル」情報から構成される点を限定し、
(2-5)本件補正前の請求項1の「販売元に注文」を「販売元にその選択された商品の注文情報を送信」と補正することにより、「販売元に注文」という処理が商品の注文情報を送信することによって行われることを限定する
ものであるから、請求項1に関する本件補正は特許法第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、補正後の請求項1に記載された発明(以下「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第4項の規定に適合するか)について以下に検討する。

(3)特許法第29条柱書関係
まず、本願補正発明が、特許法第2条でいう「自然法則を利用した技術的思想の創作」に該当し、特許法第29条第1項柱書の規定を満たすかどうか検討する。

(3-1)請求人の主張
請求人は、審判請求書において、次のように主張している。
「上記の各補正事項に関する説明に明らかにしたとおり、補正後の請求項1および2に記載された事項により構成される発明は、人間の精神活動に基づく行為の手順を記載したものではなく、コンピュータによる情報処理の手順を記載したものとして表現されています。
したがって、本願発明が、特許法第29条柱書きに規定された発明には当らないとする拒絶理由(「拒絶理由1」)は解消されたものと考えます。」
また、請求人は、平成19年3月1日付上申書において、次のように主張している。
『本願発明では、「色化け」の物差しとして、潜在消費者が容易に入手できる基準色画像Kを原商品カタログXに組込んで表示させ、この宣伝販売システムによって潜在消費者のPCのモニタに表示された商品カタログ(デジタル画像)Yの一部であって前記基準色画像Kに対応する画像部分K’の色調を、潜在消費者が準備した基準色画像Z(商品カタログに組み込んだ基準色画像Kに相当)の色調と実質的に合致させるカラーマチング処理を行い、商品カタログが単一頁の場合は、この潜在消費者のモニタに表示されたデジタル商品カタログYの残余の部分の色調がこのカラーマチング処理の条件と同時に、且つ同1条件で色補正されること、商品カタログが数頁で構成され、基準色画像Zが付記されていない頁に対しては前述の基準色画像Zに関する画像色補正条件でその他の頁の色補正されることを基本的記述思想としております。換言すれば、モニタ表示デジタル画像の色補正は、原画像の発信元と受信先で構成される一対のシステム間での画像伝達において、画像伝達によって発生する「色化け」は、受信先のモニタに表示されたデジタル画像の、限定された一部分(「基準色画像k」に対応する部分)の色だけを対象として原画像の対応部分の色とカラーマッチさせれば、受信先のモニタに表示されたデジタル画像の色は発信先の原画像の色と実質的に合致した色に変化するという自然現象を活用することが本願発明の原点であります。従って、前述の審査指針からも本願発明は特許法で規定する発明として認められるべきであります。』、『モニタ表示デジタル画像Y」の色調補正に関する本願発明は、公知の基準色画像を組み込んだ商品カタログを製作し、PCの機能を活用した作業ステップによって、発明の目的である「インターネット商品販売システムの致命的欠陥である「色化け」問題を解決した発明であって、この発明を構成する作業ステップは使用するPCの機能を組み合わせ機能として活用するステップであり、単なる人の行為の手順ではなく、この発明を構成する各ステップによって得られた効果を順序良く組合わせることによって目的達成する効果が得られる「自然法則を利用した典型的な発明」であります。従って、審査官のご判断は、前述の審査指針に反すると考えます。尚、本願発明では商品カタログに記載された基準色画像に関するするカラーマッチングに限り公知の手法を採用しておりますが、このカラーマッチングのステップは、モニタ表示画像全体の色を原商品カタログの色と合致させるための一作業ステップに過ぎず、従って本願発明は特許法第29条柱書に規定する産業上利用することができる発明の条件を満たしていることを強調いたします。』

(3-2)当審の判断
(i)特許法は、「産業上利用することができる発明」に対して、所定の要件を充足した場合に、特許を受けることができると規定し(特許法第29条第1項)、「発明」については、「自然法則を利用した技術的思想の創作のうち高度のものをいう」と定義している(特許法第2条第1項)。
したがって、たとえ技術的思想の創作であったとしても、その思想が、専ら、人間の精神活動を介在させた原理や法則、社会科学上の原理や法則(例えば、経済法則)、人為的な取り決めなどを利用したものであり、自然法則を利用していない場合には、特許を受けることはできない。
そして、自然法則を利用しているか否かは、請求項に係る技術的思想の創作を全体として判断すべきであり、仮に、技術的思想の創作を特定する事項の中に、自然法則を利用した部分があっても、請求項に係る技術的思想の創作を全体として把握するに際し、当該部分がごく些細な部分であって、技術的な観点で有用な意義を有するものではない場合には、当該部分の存在によって、自然法則の利用性が肯定されるものではない。

(ii)これを本件についてみるに、本願補正発明の発明を特定するための事項(以下「発明特定事項」という。)を便宜上分説し、分説された各発明特定事項に、どのような原理や法則が利用されているかを明らかにし、本願補正発明が全体として自然法則を利用しているといえるか検討する。

本願補正発明1の発明特定事項は、次のとおり分説することができる。

a)商品の販売元が彩色商品カタログのデジタル・データ情報を、インターネット通信販売システムを介して送信し、この商品カタログのデジタル・データを受信した消費者が自己のパソコンのモニタに表示された商品カタログのデジタル画像を見て、その中から購買希望の商品を選択して、販売元にその選択された商品の注文情報を送信することにより所望の商品を購入するインターネット通信販売システムを介する商品の販売方法であって、
b)販売元が少なくとも一つの彩色商品の見本画像と色変化尺度としての基準色画像を組込んだ商品カタログを作成し、この商品カタログのカラー画像データをデジタル商品カタログとしてインターネット通信販売システムを介して消費者に送信し、
c)このデジタル商品カタログを受信した消費者が、受信データをパソコンのモニタにデジタル画像として表示し、
d)この消費者が、パソコンを操作してモニタに表示されたデジタル商品カタログの基準色画像の色を自己が所有する印刷された前記基準色画像の色に実質的に合致させ、同時に色が調整されたモニタ表示のデジタル商品カタログの彩色商品画像の中から所望の商品を選択して、販売元にその選択された商品の注文情報を送信する
e)ことを特徴とするインターネット通信販売システムを介する商品の販売方法。

まず、a)およびe)について検討すると、商品の販売方法として「インターネット通信販売システム」、「パソコン」、「パソコンのモニタ」という情報処理装置を利用していることは明確であるものの、「インターネット通信販売システム」を利用して、彩色商品カタログのデジタル・データ情報を送信しているのは「商品の販売元」であって、前記「商品の販売元」は、その記載から人の組織であることは明らかであり、「パソコン」を利用して、商品カタログのデジタルデータを受信し、パソコンのモニタに表示された商品カタログのデジタル画像を見、購買希望の商品を選択し、販売元に商品の注文情報を送信しているのは「消費者」であって、前記「消費者」は、その記載から自然人であることは明らかである。
したがって、a)およびe)は、前記の情報処理装置を利用しているものの、全体としてはこれらの手段を道具として用いる人為的取り決めそのものが記載されているに過ぎず、a)およびe)に自然法則を利用した技術思想はない。

次に、b)について検討すると、「一つの彩色商品の見本画像と色変化尺度としての基準色画像を組込んだ商品カタログを作成」および「この商品カタログのカラー画像データをデジタル商品カタログとしてインターネット通信販売システムを介して消費者に送信」とあるが、「商品カタログの作成」および商品カタログのカラー画像データの消費者への「送信」は、いずれも人の組織である「販売元」が行うものであり、人為的な取り決めおよび人間の精神活動を伴うものである。さらに、前記画像に関わる物理的特性または技術的性質に基づく情報処理を具体的に行うものでもない。
したがって、b)は「インターネット通信販売システム」という情報処理装置を利用しているものの、全体としてはこれらの手段を道具として用いる人為的取り決めそのものが記載されているに過ぎず、b)に自然法則を利用した技術思想はない。

さらに、c)について検討すると、「受信データをパソコンのモニタにデジタル画像として表示」とあるが、この「表示」は自然人である「消費者」が行うものであり、その記載から明らかに人為的な取り決めおよび人間の精神活動を伴うものである。さらに、前記デジタル画像に関わる物理的性質または技術的性質に基づく情報処理を具体的に行うものでもない。
したがって、c)は「インターネット通信販売システム」という情報処理装置を利用しているものの、全体としてはこれらの手段を道具として用いる人為的な取り決めそのものが記載されているに過ぎず、c)に自然法則を利用した技術思想はない。

そして、d)について検討すると、「モニタに表示されたデジタル商品カタログの基準色画像の色を自己が所有する印刷された前記基準色画像の色に実質的に合致させ」、「同時に色が調整されたモニタ表示のデジタル商品カタログの彩色商品画像の中から所望の商品を選択し」、「販売元にその選択された商品の注文情報を送信する」とあるが、これら「合致」、「選択」および「送信」は、自然人である「消費者」が行うものであり、その記載から人為的取り決めおよび人間の精神活動を伴うものであることは明らかである。
さらに、前記「モニタに表示されたデジタル商品カタログの基準色画像の色」と「自己が所有する印刷された前記デジタル画像の基準色画像の色」とを一致させるのは、その記載から自然人の「消費者」が行うものであって、基準色画像の物理的性質または技術的性質に基づく情報処理を具体的に行うものではない。そして、「同時に色が調整されたモニタ表示のデジタル商品カタログの彩色商品画像」との記載からも、「色が調整」されることは特定できるものの、「デジタル商品カタログの彩色商品画像」の物理的性質または技術的性質に基づく情報処理を具体的に行うものとも特定できない。
したがって、d)は「パソコン」、「パソコンのモニタ」という情報処理装置を利用しているものの、全体としてはこれらの手段を道具として用いる人為的な取り決めそのものが記載されているに過ぎず、d)に自然法則を利用した技術思想はない。

そして、a)からe)の全体の記載からみても、本願補正発明は、専ら、人為的な取り決めおよび人間の精神活動を伴う行為にとどまり、情報処理装置を利用しているものの、その利用は、人為的な取り決めおよび人間の精神活動を伴う行為に関連した道具としての利用にとどまるものであるから、本願補正発明は、全体として自然法則を利用した技術思想ではない。

(iii)なお、請求人は、上記(3-1)で示したように、「補正後の請求項1および請求項2にかかる発明はコンピュータによる情報処理の手順を記載したものとして表現されている」および「限定された一部分の色だけを対象として原画像の対応部分の色とカラーマッチさせれば、受信先のモニタに表示されたデジタル画像の色は発信先の原画像の色と実質的に合致した色に変化するという自然現象を活用する」旨主張しているが、前記(ii)で検討したように、本願補正発明は、専ら、人為的取り決めおよび人間の精神活動を伴う行為にとどまっており、また、画像の「合致」についても、本願補正発明1は、モニタに表示された基準色画像と印刷された基準色画像を見て、自然人である消費者が感覚に基づいて調整するものであり、物理的性質または技術的性質に基づく情報処理を具体的に行うものとは認められない。
発明が自然法則を利用した技術思想であるというためには、仮に、技術的思想の創作を特定する事項の中に、自然法則を利用した部分があっても、請求項に係る技術的思想の創作を全体として把握するに際し、当該部分がごく些細な部分であって、技術的な観点で有用な意義を有するものではない場合には、当該部分の存在によって自然法則の利用性が肯定されるものではない。したがって、請求人の主張を認めることはできない。

(3-3)結論
以上で検討したとおりであるから、本願補正発明は、特許法第2条第1項に規定する発明に該当せず、特許法第29条第1項柱書に規定する要件を満たしていないので、特許出願の際独立して特許を受けることができるものではない。

(4)特許法第29条第2項関係
仮に、本願補正発明が、「自然法則を利用した技術的思想の創作」である特許法上の「発明」に該当するとして、本願補正発明が、その出願前日本国内又は外国において頒布された引用例に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるかどうか以下に検討する。

(4-1)請求人の主張
請求人は、審判請求書において、次のように主張している。
『引用文献1には、本願の請求項1に係る発明の「彩色商品の見本画像と基準色画像(本願発明の「基準色画像」は本願明細書に定義しているように、引用文献1で言う「標準イメージ」とは全く異なるものです。)を組込んだ商品カタログを作成し、これをデジタル商品カタログとして、インターネットを介して消費者に提供し、この基準色画像に基づいて色化けを補正するという」基本的技術思想が記載も示唆もされていません。
そして、本願発明は、これらの技術的特徴により、本願明細書段落0009に記載のインターネット通信販売における色化け問題を解決し、また段落0013に記載された、インターネット通信販売の「色品質を重視した商品の選択が効率的に高い精度で可能となる」という、格別の作用効果を奏することができるものであります。』
また、請求人は、平成17年11月18日付上申書において、次のように主張している。
『[インターネット販売における、基準色画像を付記したカタログの存在について]
インターネット通信販売において、カタログに基準色画像を付記したカタログは本願出願前に存在しておりましたでしょうか?もし存在していたならば、具体的にお示し頂きたい。早くとも本願の公開までにはないと信じております、たぶん現在でも存在していないと推測します。本願の明細書で明示しているように、カタログに基準色画像を付記することが本願発明の必須要件の一つでありますが、現実にはRGB基準色画像を採用することが最も効果的であります。この基準画像は本願の出願時点でも国際的に何処でも容易く入手できる画像であることが(前述※2)、本願発明の実用度を高める要因となっております。
因みに、前述のようにRGB基準色画像が容易に入手できるので、一般家庭において本願発明が容易に実施可能であり、特許法第1条の最終部分「もって産業の発達に寄与することを目的とする」を文字通り発揮させる効果を期待する次第であります。
以上により、審査官殿の誤解は氷解したものと考えます。』

(4-2)引用例
(ア)原審の拒絶の理由に引用された特開平09-160572号公報(以下「引用例1」という。)には、図面とともに、下記の事項が記載されている。

(i)「【0002】
【従来の技術】従来より、CD-ROM等に格納されたイメージデータをパーソナルコンピュータ(PC)等の表示装置に表示することが行われている。しかし、ディスプレイの特性により、イメージデータの色調や濃淡が正しく表示されないことがある。PC等の表示装置においては、調整つまみの操作により表示画面の輝度とコントラストを調整することはできるが、赤、緑、青の三原色のそれぞれの構成、すなわち、表示色の色調を調整することはできないのが通常である。また、カラーテレビの受像機のように色調を調整できる表示装置を使用した場合であっても、表示したイメージデータを見て、正しい色調に調整することが必要となる場合が多い。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】このため、従来の表示装置では、利用の形態によっては、以下のような解決すべき課題があった。例えば、業者から受け取ったCD-ROM化した商品カタログに格納されたイメージデータを消費者が自宅のPC等の表示装置に表示して商品の選択を行う商品取引システムが普及しつつある。
【0004】こうしたシステムを利用して商品を注文した場合、商品選択の際にPC等の表示装置に表示された商品イメージと、実際に配送されてきた商品の間で、色彩や質感が異なったものと感じられることがあり、注文した消費者に不満を抱かせることが多かった。」(段落【0002】?【0004】)

(ii)「【0007】ここで、前記表示装置3としてはコンピュータ用のディスプレイや一般のテレビ等が利用され、外部記憶装置5としてはハードディスクやCD-ROM等が利用され、制御用コントローラ6としてはコンピュータのキーボードやマウス、コンピュータゲーム機のコントロールパッド等が利用されるもので、上記構成は、一般的なパーソナルコンピュータやコンピュータゲーム機等と同等のハードウエア構成となっている。
【0008】図2は商品取引システムを構成するホストコンピュータの一例を示すブロック図で、ホストコンピュータ22は、様々な処理を行うプロセッサ(CPU)11、処理する情報を一時的に格納するためのメモリ(MEM)12、実行するプログラムや処理に必要な情報を記憶するための外部記憶装置(DSK)13、公衆網等と接続する通信装置(MODEM)14等で構成されている。
【0009】図3は商品取引システムの全体構成を示すブロック図である。商品取引システムは、利用者の操作する操作端末21と、複数の操作端末21と公衆網23等を経由して接続されるホストコンピュータ23から構成される。次に、上述した商品取引システムにおける取引の概要を説明する。商品情報は、CD-ROMで提供されるものを用いたり、公衆網を経由して送信されてきたものをハードディスクに格納して用いるものである。
【0010】商品情報は、文字、イメージ、音声、ビデオ等の情報で構成されており、あらかじめデジタル化された特定の形式のデータファイルとして格納されている。なお、ファイルの形式は、SGML等に代表される標準フォーマットでもかまわないし、商品情報を参照する操作端末で処理可能な専用のフォーマットでもかまわない。
【0011】ここでは、商品情報がCD-ROMで提供されているとすると、商品情報はCD-ROMから読み出され、プロセッサ1により格納されているフォーマットに従い情報を再生し、表示装置3に表示したり、音声として音声出力装置4に出力される。通常、商品情報はCD-ROMに複数件分格納されており、利用者による制御用コントローラ6の操作やあらかじめ決められている順番に従って切り替え表示される。
【0012】そして、利用者は商品情報を参照しているときに、購入したい商品があった場合には、制御用コントローラ6を操作してその商品を選択し購入する。プロセッサ1は、利用者の選択操作に従い商品発注用の電文を作成し、通信装置9を経由してホストコンピュータ22に送信する。送信された電文は、ホストコンピュータ22側の通信装置14を経由して通知され、通知された電文はプロセッサ11により処理され、外部記憶装置13等に格納され、発注が完了したことになる。」(段落【0007】?【0012】)

(iii)「【0013】ここで、商品情報の中のイメージは、表示装置3の特性や調整により、現物の色調や濃淡が正しく表示されないことがある。そこで、図1で説明した操作端末に色調・濃淡の補正表示機能を搭載することで、表示装置3の調整つまみ等を操作せずに色調や濃淡の調整を行えるようにする。
(-中略-)
【0016】上述したように、各ピクセルのRGBの値を変化させることでイメージの色調や濃淡を調整できることを利用して、標準となるイメージに対して色調や濃淡を段階的に少しずつ変化させたイメージを作成するため、図1で説明したプロセッサ1は、サンプル作成用パラメータを用いて、標準イメージを構成する各ピクセルのRGBの各値を演算して変化させる。そして、表示装置3に、標準イメージと、この標準イメージに対して色調や濃淡を段階的に少しずつ変化させたイメージを並べて表示する。
【0017】図5は色調・濃淡選択イメージの一例を示す説明図である。なお図5においては、RGBの各値を同じ値だけ変化させたもの、すなわち濃淡を変化させたイメージを用い、図面上ではハッチングの間隔で濃淡の変化を表すものとする。また、太線で描かれている枠を選択枠として、この選択枠内のイメージが現在選択されているイメージであるとする。
【0018】利用者は、この表示を見ながら、標準として別途用意された写真等と見比べて、最も適切なものを選択する。(-中略-)
【0019】(-中略-)ここで、図5に示す状態で「決定」ボタンが押されると、「-1」のイメージが選択されることになる。なお、この制御用コントローラ6の機能は、パーソナルコンピュータのキーボードやマウス等でも実現可能である。
【0020】そして、プロセッサ1はこの選択された-1の値を不揮発性メモリ7に格納する。この値が表示する表示装置3と取り込んだ時のイメージの差であり、その差を補正するパラメータとなる。以降、イメージを表示するときに、プロセッサ1はこの値を不揮発性メモリ7から読み出して、この値をパラメータとして表示しようとしているイメージの色調や濃淡を補正する演算を行い、表示装置3に色調や濃淡を補正したイメージを表示する。なお、図5では濃淡を変化させたイメージを表示することとしたが、同様の機能で色調を補正するための値を決定することもできる。色調の調整であれば、例えば赤に対してのみ演算をすることにより、「赤っぽい」イメージを生成し、赤に関する色調整を行うことができる。」(段落【0013】?【0020】)

(iv)「【0022】図8は上述した第1の実施の形態の色調・濃淡補正表示機能の論理ブロック図である。商品情報がCD-ROMに格納されているものとすると、プロセッサ1は、セットされたCD-ROMからまず標準イメージを取り込む。この標準イメージに対して、プロセッサ1は、イメージ演算部1aでサンプル作成用のパラメータを用いて色調や濃淡を補正する演算を行い、表示装置3に標準イメージに対して色調や濃淡を段階的に少しずつ変化させたイメージを並べて表示する。ここでの演算および表示は、図5で説明した1つのパラメータを求めるためのもの、あるいは図7で説明した複数のパラメータを求めるためのもののどちらでも可能である。
【0023】利用者はこの表示を見て、制御用コントローラ6を操作して最適と思うイメージを選択する。そして、プロセッサ1は選択されたイメージの色調や濃淡を決める補正値を不揮発性メモリ7に格納する。以降、このCD-ROM内のイメージを表示するときには、CD-ROMから商品情報の中のイメージを取り込むと、プロセッサ1は不揮発性メモリ7から補正値を読み出し、イメージ演算部1aでこの補正値をパラメータとして表示しようとしているイメージの色調や濃淡を補正する演算を行い、表示装置3に色調や濃淡を補正したイメージを表示する。
【0024】以上説明したように、本発明の第1の実施の形態の色調・濃淡補正表示機能によれば、標準イメージに対して色調や濃淡を段階的に少しずつ異ならせたイメージを並べて表示して、この中から最適と思われるイメージを選択させることで、色調や濃淡の補正値を得ることとしたので、表示装置の特性や調整に影響されず、正しい色調や濃淡で商品情報を表示することができる。」(段落【0022】?【0024】)

上記摘記事項(i)には、業者から消費者がCD-ROM化した商品カタログを受け取り、商品の選択を行う商品取引システムの構成が記載されており、上記摘記事項(ii)には、商品情報に関して「商品情報は、CD-ROMで提供されるものを用いたり、公衆網を経由して送信されてきたものをハードディスクに格納して用いるものである。」および「商品情報は、文字、イメージ、音声、ビデオ等の情報で構成されており、あらかじめデジタル化された特定の形式のデータファイルとして格納されている。」と記載されており、また、上記摘記事項(iv)には、標準イメージに関して「商品情報がCD-ROMに格納されて提供されるものとしたが、公衆網を経由して提供されるものであってもよい。この場合は標準イメージのデータを公衆網を経由して提供」すると記載されている。また、CD-ROM化あるいは公衆網経由して提供される以上、これらのデータはデジタルデータ化されていることは明らかであるから、引用例1には「業者が商品カタログのデジタルデータを商品取引システムを介して利用者に送信」すること、および、商品カタログが「商品イメージを含む複数の商品情報データと標準イメージ」から構成されていることが記載されているということができる。

上記摘記事項(ii)には、商品情報の利用者への提供方法として「商品情報は、CD-ROMで提供されるものを用いたり、公衆網を経由して送信されてきたものをハードディスクに格納して用いるものである。」と記載されており、商品情報の表示について「商品情報がCD-ROMで提供されているとすると、商品情報はCD-ROMから読み出され、プロセッサ1により格納されているフォーマットに従い情報を再生し、表示装置3に表示したり、音声として音声出力装置4に出力される。」と記載されており、商品の注文について「利用者は商品情報を参照しているときに、購入したい商品があった場合には、制御用コントローラ6を操作してその商品を選択し購入する。プロセッサ1は、利用者の選択操作に従い商品発注用の電文を作成し、通信装置9を経由してホストコンピュータ22に送信する。送信された電文は、ホストコンピュータ22側の通信装置14を経由して通知され、通知された電文はプロセッサ11により処理され、外部記憶装置13等に格納され、発注が完了したことになる。」と記載されていることから、「商品カタログのデジタルデータを受信した利用者が利用者の操作端末の表示装置に表示された商品カタログの商品イメージを見て、その中から購入したい商品を選択して、ホストコンピュータにその選択した商品発注用の電文をホストコンピュータに送信する」こと、および、「デジタル化された商品カタログを受信した利用者は、受信した前記デジタル化された商品カタログを操作端末の表示装置に表示」することが記載されているということができる。

上記摘記事項(iii)には、補正値を求めるにあたり「各ピクセルのRGBの値を変化させることでイメージの色調や濃淡を調整できることを利用して、標準となるイメージに対して色調や濃淡を段階的に少しずつ変化させたイメージを作成する」、「図7は色調・濃淡選択イメージの他の例を示す説明図であり、この図7のようにイメージ表示を2次元にして、各軸で演算するパラメータを変化、例えば横は赤を変化させ、縦は青を変化させるように表示し、表示されているイメージの中から最適と思うものを選択するようにすれば、一度の複数のパラメータを決定することができる。」および「プロセッサ1は選択されたイメージの色調や濃淡を決める補正値を不揮発性メモリ7に格納する。」と記載されており、これらの記載から、引用例1には、利用者が「前記操作端末を操作して前記表示装置に前記標準イメージの色調・濃淡を変化させたイメージを複数表示し、別途用意された写真等と見比べて最も適切なものを選択する」ことでイメージの色調や濃淡を決める「補正値」を求めることが記載されているということができる。

上記摘記事項(iv)には、「以降、このCD-ROM内のイメージを表示するときには、CD-ROMから商品情報の中のイメージを取り込むと、プロセッサ1は不揮発性メモリ7から補正値を読み出し、イメージ演算部1aでこの補正値をパラメータとして表示しようとしているイメージの色調や濃淡を補正する演算を行い、表示装置3に色調や濃淡を補正したイメージを表示する。」、上記摘記事項(ii)には、「商品情報がCD-ROMで提供されているとすると、商品情報はCD-ROMから読み出され、プロセッサ1により格納されているフォーマットに従い情報を再生し、表示装置3に表示したり、音声として音声出力装置4に出力される。」、「利用者は商品情報を参照しているときに、購入したい商品があった場合には、制御用コントローラ6を操作してその商品を選択し購入する。プロセッサ1は、利用者の選択操作に従い商品発注用の電文を作成し、通信装置9を経由してホストコンピュータ22に送信する。」と記載されており、これらの記載から、引用例1には利用者が「補正値により色調や濃淡が補正された上で表示装置に表示された商品カタログの商品イメージを含む商品情報の中から購入したい商品を選択して、ホストコンピュータに商品発注用の電文を送信する」ことが記載されているということができる。

してみれば、引用例1には、
「業者が商品カタログのデジタルデータを、商品取引システムを介して送信し、商品カタログのデジタルデータを受信した利用者が利用者の操作端末の表示装置に表示された商品カタログの商品イメージを見て、その中から購入したい商品を選択して、ホストコンピュータにその選択した商品発注用の電文をホストコンピュータに送信する商品の取引方法において、
業者がデジタル化された商品カタログとして商品イメージを含む複数の商品情報データと標準イメージを商品取引システムを介して利用者に送信し、
前記デジタル化された商品カタログを受信した利用者は、受信した前記デジタル化された商品カタログを操作端末21の表示装置3に表示し、
利用者が、前記操作端末を操作して前記表示装置に前記標準イメージの色調・濃淡を変化させたイメージを複数表示し、別途用意された写真等と見比べて最も適切なものを選択することで求められる補正値により色調や濃淡が補正された上で表示装置に表示された商品カタログの商品イメージを含む商品情報の中から購入したい商品を選択して、ホストコンピュータに商品発注用の電文を送信する
ことを特徴とする商品の取引方法。」
との発明(以下「引用例発明」という。)が記載されている。

(4-3)周知例
[周知例1]
当該技術分野の周知技術を開示する、本願出願前に公開された特開平11-19050号公報には、図面と共に以下の事項が記載されている。

「【請求項2】 患者側に設けられた撮像装置により撮像された画像を受信し、医療従事者側に設けられたカラー画像表示装置に該患者の画像を表示する医療用画像伝送装置であって、
前記撮像装置から伝送された基準色見本を表す信号に基づいて、前記カラー画像表示装置の表示画面のうちの予め定められた一定の場所に位置し且つ該基準色見本を表す基準色見本画像を発生する基準色見本画像発生手段と、
前記カラー画像表示装置の表示画面のうちの予め定められた一定の場所に表示される前記基準色見本画像と対比可能に配置された、前記基準色見本を表す基準色見本部材と、
前記カラー画像表示装置において表示される基準色見本画像と前記基準色見本部材とを撮像する色補正用撮像装置と、
該色補正用撮像装置により撮像された前記基準色見本画像と前記基準色見本部材との色の差が予め設定された判断基準値を超えたか否かを判定し、該色の差が該判断基準値を超えたことを表す色ずれ出力を行う色ずれ判定出力手段と、
前記カラー画像表示装置において表示される基準色見本画像の色を、前記基準色見本部材により表される基準色見本と一致させるために手動操作される表示色調整操作装置とを、含むことを特徴とする医療用画像伝送装置。」(【特許請求の範囲】)

[周知例2]
当該技術分野の周知技術を開示する、本願出願前に公開された特開2001-251523号公報には、図面と共に以下の事項が記載されている。
「【0012】〔第1実施形態〕この実施形態は原画像をシステムAからシステムBにMOを介して伝達し、システムBのモニタに表示されたデジタル画像の色を原画像の色と目測で実質的に合致するデジタル画像として表示させる場合を想定した本願発明の代表的例である。次にこの実施態様の結果を確認する為に実施した実験結果について図2に示したフローチャートを参照して説明する。先ずシステムA、Bに共通する基準色画像として周知のRGB基準色画像(図3)を選択し、伝達所望の原画像として図6に示す果物の写真(プリント)を採用した。
【0013】先ず準備作業の第1ステップとして、この基準色画像ZをシステムAのスキャナ4でスキャンしてコンピュータ1のメモリにデジタル・データとして格納し、MOドライブ5によってこのデジタル・データをMOに書込み、第2ステップとしてこのMOのデジタル・データをシステムBのMOドライブを介してシステムBのコンピュータ6のメモリに格納し、モニタ7にデジタル画像Z1 として表示させた。
【0014】次に第3ステップとして、デジタル画像Z1 の色を目視で基準色画像Zと実質的に合致するように、コンピュータ6を操作してモニタ表示の色データ〔明度、コントラスト、彩度、色バランス(R、G、B)〕を調節し、モニタに基準色画像Zの色と実質的に合致した色のデジタル画像を表示させ、この作業で生じた前記色データの原点(零点)からの偏差を読み取って、この資源による画像伝達の場合に伝達先のシステムのモニタに表示されたデジタル画像の色をこのデジタル画像に対応する原画像の色と実質的に合致させる画像色補正に適用する補正値αとして設定して準備作業を終了した。因みにこの補正値は明度(-54)、コントラスト(-9)、彩度(0)、色バランス〔R(-8)、G(0)、B(-6)〕であった。
【0015】次にこの実験の第4ステップとして図6に示した果物のプリント写真XをシステムAのスキャナ2でスキャンし、コンピュータのメモリに格納し、MOドライブ5でこのデータをMOに書込み、第5ステップとしてこのMOをシステムBに伝達し、モニタ7にデジタル画像X1 として表示させた。次いで第6ステップとしてこのデジタル画像X1 を対象として前記補正値αを適用して画像色の補正作業をコンピュータを操作して実施した結果、原画像Xと目視で実質的に合致した色のデジタル画像X2 をシステムBのモニタに表示させることが出来た。」(段落【0012】?【0015】)

[周知例3]
当該技術分野の周知技術を開示する、本願出願前に公開された特開平10-173943号公報には、図面と共に以下の事項が記載されている。
「【0019】本発明の色補正方法においては、観察台16に配置されたハードコピー14の画像12のカラーパッチ12aと観察台26に配置されたCRTの表示ソフトコピー画像20のカラーパッチ20aとをそれぞれ環境光の存在下で観察者の目28で目視し、カラーパッチ12aとカラーパッチ20aとの色が同じに見えない場合には、例えば、CRT22の表示画面21にソフトコピー画像20として表示されたカラーパッチ20aの色、すなわち色味を、例えば図2(b)に示すようにパッチ20aとともに表示された色味調整手段(GUI;graphic user interface, あるいはスライダーバーやボタンともいう)32を観察者の手29で図示しないキーボードやマウスなどを使って操作して、少しずつ変化させ、すなわち、ハードコピー画像12のカラーパッチの色と測色基準色空間において一致する測色値から少しだけずらした測色値を持つ色のパッチ20aを出力し、新しく表示されたソフトコピー画像20のパッチ20aの色とハードコピー画像12のパッチ12aの色とを再び、それぞれ環境光の存在下で観察者の目28で目視することを、パッチ20aの色がパッチ12aの色と同じ色に見えるまで繰り返すものである。」、
「【0023】ここで、ハードコピー画像12は、本発明の非自己発光型記録媒体に記録された画像、すなわち観察に観察用光源が必要な画像であれば、特に制限的ではなく、例えば、印刷物、写真、カラー複写機によるカラーコピーなどを挙げることができる。また、非自己発光型記録媒体としては、例えば、印刷用紙、写真用印画紙、コピー用紙などを挙げることができる。なお、ハードコピー画像12が記録されたハードコピー14を出力するプリンタ30も特に制限的ではなく、例えば印刷機、複写機、写真プリンタ等の従来公知のプリンタを挙げることができる。一方、ソフトコピー画像20は、本発明の自己発光型記録媒体に表示された画像であればよく、自己発光型記録媒体としては、図示例のCRT22に限定されず、自己発光により表示画像の観察に別な観察光源が不要なものであれば、特に制限的ではなく、液晶表示装置(LCD)、プラズマディスプレイなどあってもよい。」(段落【0019】、【0023】)

上記周知例1?3の記載からみて、基準色を示す画像が印刷等により表示された部材と、画面に表示された基準色を示す画像とを目視で比較して、手動で一致させることで色の調整を行う技術は、周知技術(以下「周知技術1」という。)であるといえる。
また、上記周知例1の記載からみて、色の補正の対象となる画像と基準色を示す画像を同時に表示させ、前記基準色を示す画像にもとづいて色を調整することで、同時に表示されている画像の色を補正する技術は、周知技術(以下「周知技術2」という。)であるといえる。

(4-4)対比
本願補正発明と引用例発明を比較すると、

(a)引用例発明の「業者」、「利用者」、「商品カタログ」、「取引」、「購入」、「操作端末」、「表示装置」、「商品イメージ」、「色調の補正」、「デジタルデータ」、「商品発注用の電文」は、本願補正発明の「商品の販売元」、「消費者」、「彩色商品カタログ」、「販売」、「購買」、「パソコン」、「モニタ」、「商品カタログのデジタル画像」、「色の調整」、「デジタル・データ情報」、「商品の注文情報」に相当する。

(b)引用例発明の「商品イメージを含む複数の商品情報」は、利用者が購入するための商品を選択するために表示されるものであるから、本願補正発明の「少なくとも一つの彩色商品の見本画像」に相当する。

(c)引用例発明の「標準イメージ」は、商品イメージの表示にあたり、その色調および濃淡の補正に用いられるものであり、一方、本願補正発明の「色変化尺度としての基準色画像」も、「商品画像」の色を調整するために用いられていることから、引用例発明の「標準イメージ」は、本願補正発明の「色変化尺度としての基準色画像」と、商品を選択するための商品画像情報の「色調補正のための補正用画像情報」である点で共通する。

(d)引用例発明の「受信した前記デジタル化された商品カタログ」を、「表示装置」に表示することは、引用例発明の商品カタログが商品イメージを含んでいる以上、本願発明の「彩色商品の見本画像」を「モニタ」に「デジタル画像」として表示することに相当するものである。

(e)引用例発明の「商品取引システム」は、公衆網の通信を利用して商品の販売を行うものであり、本願補正発明の「インターネット通信販売システム」は、特にインターネットを利用して商品の販売を行うものであり、両者は少なくとも「通信手段を利用した販売システム」である点で共通する。

(f)引用例発明の「標準として別途用意された写真」とは、標準イメージに対して段階的に少しずつ「色調や濃淡」を変化させたイメージを並べて表示して、最適なイメージを選択することにより、「色調や濃淡」の補正値を求めるものであるから、引用例発明の「標準として別途用意された写真」と、本願補正発明の「印刷された基準色画像」とは、色調の補正のための「印刷された補正用画像」である点で共通する。

(g)引用例発明の「ホストコンピュータ」は、発注のための電文を受信するためのものであり、そもそも取引において発注を受けるのは商品を販売するである業者であることは自明であるから、引用例発明の「ホストコンピュータ」は、本願補正発明の「販売元」の概念に包摂される。

してみると、両者は、
「商品の販売元が彩色商品カタログのデジタル・データ情報を、通信手段を利用した販売システムを介して送信し、この商品カタログのデジタル・データ情報を受信した消費者が自己のパソコンのモニタに表示された商品カタログの商品のデジタル画像を見て、その中から購買希望の商品を選択して、販売元にその選択された商品の注文情報を送信することにより所望の商品を購入する通信手段を利用した販売システムを介する商品の販売方法であって、
販売元が、少なくとも一つの彩色商品の見本画像および色調補正のための補正用画像情報を商品カタログとして通信手段を利用した販売システムを介して消費者に送信し、
このデジタル商品カタログを受信した消費者が、受信データをパソコンのモニタにデジタル画像として表示し、
この消費者が、パソコンを操作してモニタに表示された補正用画像と印刷された補正用画像とを比較することで、色が調整されたモニタ表示のデジタル商品カタログの彩色商品画像の中から所望の商品を選択して、販売元にその選択された商品の注文情報を送信する
ことを特徴とする通信手段を利用した販売システム」
である点で一致し、以下の点で相違する。

(相違点1)
本願補正発明では、「販売元」が消費者に送信する商品を選択するための情報として「少なくとも一つの彩色商品の見本画像」と「色変化尺度としての基準色画像」を組み込んだ「商品カタログ」を「作成する」のに対して、引用例発明では、そのような「商品カタログ」を作成することについては記載されていない点。

(相違点2)
本願補正発明では、商品カタログの「カラー画像データ」を消費者に送信するとしているのに対して、引用例発明では、どのような形式で送信するか、特定していない点。

(相違点3)
本願補正発明では、販売元から消費者に商品カタログを送信する際に用いられる通信手段としてインターネットを用いた通信販売システムを介しているのに対して、引用例発明では、「通信網」を用いることは記載されているものの、インターネットを用いる点が記載されていない点。

(相違点4)
本願補正発明では、色の調整にあたり「モニタに表示された」基準色画像の色を、「印刷された」基準色画像の色に合致させるように消費者が操作することで、同時にモニタに表示されている商品カタログの彩色商品画像の色を調整するのに対して、引用例発明では、標準イメージの色彩および濃淡を変化させたもののなかから、標準として用意された写真等とを目視で見比べて、適切なものを選択することで「補正値」を求め、この「補正値」をパラメータとして表示しようとするイメージの色調や濃淡を補正するものである点。

(4-5)判断
(相違点1について)
引用例1には、「商品カタログ」を業者が作成することは記載されていないが、引用例1においても商品取引システムに用いる複数の商品情報を利用者に提供する以上、そのためのデータを提供者である業者が作成していることは自明である。また、一般に情報処理の分野において、必要なデータをまとめて提供することは一般的な周知事項であり、引用例1の上記摘記事項(ii)および(iv)から、複数の商品情報をCD-ROMで提供する場合に、CD-ROMには複数の商品情報に加えて、標準イメージを記憶した形で提供されることが記載されていることも考慮すれば、引用例発明においても「デジタル化されたイメージを含む複数の商品情報」に「標準イメージ」を組み込んだものを一つのデータとして利用者に提供するようにすることは当業者が容易に想到できたものであり、相違点1に係る本願補正発明の構成は当業者が容易に想到できた事項である。

(相違点2について)
引用例1には「商品カタログ」を、利用者にどのような形式で送るかについては記載されていないが、商品を利用者が選択するためには、商品イメージが利用者の目に見える形で表示できる形式で送る必要があることは明らかであり、その際に採用する形式として本願出願当時周知であったカラー画像形式で送ることも当業者であれば容易に想到できたものであり、相違点2に係る本願補正発明の構成は当業者が容易に想到できた事項である。

(相違点3について)
引用例1には、利用する通信手段として、公衆回線網を利用する構成が記載されているが、本願の出願当時、通信手段としてインターネットが一般的に普及しており、引用例発明においても、通信手段としてインターネットを利用した「商品取引システム」を用いて、利用者と業者間の情報のやり取りを、インターネットを利用した「商品取引システム」を介して行うようにすることも当業者が容易に想到できた事項であり、相違点3に係る本願補正発明の構成は当業者が容易に想到できた事項である。

(相違点4について)
画像の色の調整において、どのような調整方法を採用するかは当業者が周知の技術事項の中から適宜選択すべきものであり、前記周知技術1に示すように画面に表示される画像の色の調整において基準色を示す画像が印刷等により表示された部材と、画面に表示された基準色を示す画像とを目視で比較して、手動で一致させることで色の調整を行う技術も周知であることを考慮すれば、引用例発明において、表示装置に表示される商品情報のデジタル化されたイメージの色を補正するために、基準色を示す画像が印刷等により表示された部材と、画面に表示された基準色を示す画像とを目視で比較して、手動で一致させることで色の調整を行うようにすることも当業者が容易に想到できた事項である。
そして、この色の調整技術を採用した場合に、前記周知技術2に示すように色の補正の対象となる画像と基準色を示す画像を同時に表示させ、前記基準色を示す画像にもとづいて色を調整することで、同時に表示されている画像の色を補正する技術もまた周知であることを考慮すれば、引用例発明においても前記商品情報のデジタル化されたイメージと前記基準色を示す画像を同時に表示させ、前記基準色を示す画像にもとづいて色を調整することで、同時に表示されている前記商品情報のデジタル化されたイメージの色を補正するようにすることも当業者が容易に想到できた事項である。
したがって、相違点4に係る本願補正発明の構成は当業者が容易に想到できた事項である。

なお、請求人は、上記(4-1)で示したように、インターネット販売における商品カタログにおいて基準色画像を付記したカタログはこれまで存在していない旨主張している。しかしながら、引用例1は、インターネット販売に用いられることは記載されていないものの、本願の出願時においてもインターネットを利用した通信販売は既に一般的な事項であり、引用例発明の通信手段としてインターネットを利用した構成とすることも格別の困難性があるとは認められない。
また、引用例1は、色調整に用いる画像として標準イメージを用いたものであるが、色調整の手法として、基準色を示す画像を用いて調整を行うことも前記周知例1ないし3から本願出願当時周知であったことは明らかであり、引用例発明の色の補正に基準色を示す画像を用いて補正する構成を採用することも当業者においては容易に想到できたものである。したがって、請求人の主張を認めることはできない。

(4-6)結論
以上で検討したとおりであるから、本願補正発明は、特許法第29条第2項に規定する要件を満たしていないので、特許出願の際独立して特許を受けることができるものではない。

(5)むすび
以上、(3)、(4)で検討したとおりであるから、他の請求項の発明については検討するまでもなく、本件補正は、平成15年改正前特許法第17条の2第5項で準用する同法第126条第4項の規定に違反するので、特許法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである

3.本願発明
平成16年11月2日付の手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1にかかる発明(以下「本願発明」という。)は、平成16年6月21日付手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。

「【請求項1】 商品の販売元が彩色商品カタログを、インターネット通信販売システムを介して宣伝し、この商品カタログのデジタル・データを受信した消費者が自己のパソコンのモニタに表示された商品カタログのデジタル画像を見て、その中から購買希望の商品を選択して、販売元に注文することにより所望の商品を購入するインターネット通信販売システムを介する商品の販売方法であって、
(イ)販売元が、少なくとも一つの彩色商品の見本画像と基準色画像を組込んだ商品カタログを作成し、この商品カタログのカラー画像データをデジタル商品カタログとしてインターネット通信販売システムを介して消費者に宣伝し、
(ロ)このデジタル商品カタログを受信した消費者が、受信データをパソコンのモニタにデジタル画像として表示し、
(ハ)この消費者が、パソコンを操作してモニタに表示された商品カタログの基準色画像の色を自己が所有する印刷された前記基準色画像の色に実質的に合致させ、同時に色が調整されたモニタ表示の商品カタログの彩色商品画像の中から所望の商品を選択して販売元に注文することを
特徴とするインターネット通信販売システムを介する商品の販売方法。」

(1)原審の拒絶の理由の概要
本願発明に関し、原審の拒絶の理由は、拒絶査定の内容からみて、以下の理由1および2である。

(理由1)
請求項1の記載では、全体として自然法則を利用した技術的思想の創作であるとは認められないので、本願発明は、特許法第29条第1項柱書きに規定する用件を満たしていないから特許を受けることができない。

(理由2)
本願発明は、その出願前日本国内又は外国において頒布された引用例1に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

(2)上記理由1について

(i)特許法は、「産業上利用することができる発明」に対して、所定の要件を充足した場合に、特許を受けることができると規定し(特許法第29条第1項)、「発明」については、「自然法則を利用した技術的思想の創作のうち高度のものをいう」と定義している(特許法第2条第1項)。
したがって、たとえ技術的思想の創作であったとしても、その思想が、専ら、人間の精神活動を介在させた原理や法則、社会科学上の原理や法則(例えば、経済法則)、人為的な取り決めなどを利用したものであり、自然法則を利用していない場合には、特許を受けることはできない。
そして、自然法則を利用しているか否かは、請求項に係る技術的思想の創作を全体として判断すべきであり、仮に、技術的思想の創作を特定する事項の中に、自然法則を利用した部分があっても、請求項に係る技術的思想の創作を全体として把握するに際し、当該部分がごく些細な部分であって、技術的な観点で有用な意義を有するものではない場合には、当該部分の存在によって、自然法則の利用性が肯定されるものではない。

(ii)これを本件についてみるに、本願発明の発明を特定するための事項(以下「発明特定事項」という。)を便宜上分説し、分説された各発明特定事項に、どのような原理や法則が利用されているかを明らかにし、本願発明が全体として自然法則を利用しているといえるか検討する。

本願発明の発明特定事項は、次のとおり分説することができる。

a)商品の販売元が彩色商品カタログを、インターネット通信販売システムを介して宣伝し、この商品カタログのデジタル・データを受信した消費者が自己のパソコンのモニタに表示された商品カタログのデジタル画像を見て、その中から購買希望の商品を選択して、販売元に注文することにより所望の商品を購入するインターネット通信販売システムを介する商品の販売方法であって、
b)販売元が少なくとも一つの彩色商品の見本画像と基準色画像を組込んだ商品カタログを作成し、この商品カタログのカラー画像データをデジタル商品カタログとしてインターネット通信販売システムを介して消費者に宣伝し、
c)このデジタル商品カタログを受信した消費者が、受信データをパソコンのモニタにデジタル画像として表示し、
d)この消費者が、パソコンを操作してモニタに表示された商品カタログの基準色画像の色を自己が所有する印刷された前記基準色画像の色に実質的に合致させ、同時に色が調整されたモニタ表示の商品カタログの彩色商品画像の中から所望の商品を選択して販売元に注文する
e)ことを特徴とするインターネット通信販売システムを介する商品の販売方法。

まず、a)およびe)について検討すると、商品の販売方法として「インターネット通信販売システム」、「パソコン」、「パソコンのモニタ」という情報処理装置を利用していることは明確であるものの、「インターネット通信販売システム」を利用して、彩色商品カタログを宣伝しているのは「商品の販売元」であって、前記「商品の販売元」は、その記載から人の組織であることは明らかであり、「パソコン」を利用して、商品カタログのデジタルデータを受信し、パソコンのモニタに表示された商品カタログのデジタル画像を見、購買希望の商品を選択し、販売元に商品を注文しているのは「消費者」であって、前記「消費者」は、その記載から自然人であることは明らかである。
したがって、a)およびe)は、前記の情報処理装置を利用しているものの、全体としてはこれらの手段を道具として用いるという人為的な取り決めそのものが記載されているに過ぎず、a)およびe)に自然法則を利用した技術思想はない。

次に、b)について検討すると、「少なくとも一つの彩色商品の見本画像と基準色画像を組込んだ商品カタログを作成」および「この商品カタログのカラー画像データをデジタル商品カタログとしてインターネット通信販売システムを介して消費者に宣伝」とあるが、「商品カタログの作成」および商品カタログのカラー画像データの消費者への「宣伝」は、いずれも人の組織である「販売元」が行うものであり、人為的な取り決めおよび人間の精神活動を伴うものである。さらに、前記画像に関わる物理的特性または技術的性質に基づく情報処理を具体的に行うものでもない。
したがって、b)は「インターネット通信販売システム」という情報処理装置を利用しているものの、全体としてはこれらの手段を道具として用いる人為的取り決めそのものが記載されているに過ぎず、b)に自然法則を利用した技術思想はない。

さらに、c)について検討すると、「受信データをパソコンのモニタにデジタル画像として表示」とあるが、この「表示」は自然人である「消費者」が行うものであり、その記載から明らかに人為的取り決めおよび人間の精神活動を伴うものである。さらに、前記デジタル画像に関わる物理的性質または技術的性質に基づく情報処理を具体的に行うものでもない。
したがって、c)は「インターネット通信販売システム」という情報処理装置を利用しているものの、全体としてはこれらの手段を道具として用いる人為的取り決めそのものが記載されているに過ぎず、c)に自然法則を利用した技術思想はない。

そして、d)について検討すると、「モニタに表示されたデジタル商品カタログの基準色画像の色を自己が所有する印刷された前記基準色画像の色に実質的に合致させ」、「同時に色が調整されたモニタ表示のデジタル商品カタログの彩色商品画像の中から所望の商品を選択し」、「販売元に注文する」とあるが、これら「合致」、「選択」および「注文」は、自然人である「消費者」が行うものであり、その記載から人為的な取り決めおよび人間の精神活動を伴うものであることは明らかである。
さらに、前記「モニタに表示された商品カタログの基準色画像の色」と「自己が所有する印刷された前記基準色画像の色」とを一致させるのは、その記載から自然人の「消費者」が行うものであって、基準色画像の物理的性質または技術的性質に基づく情報処理を具体的に行うものではない。そして、「同時に色が調整されたモニタ表示の商品カタログの彩色商品画像」との記載からも、「色が調整」されることは特定できるものの、「デジタル商品カタログの彩色商品画像」の物理的性質または技術的性質に基づく情報処理を具体的に行うものとも特定できない。
したがって、d)は「パソコン」、「パソコンのモニタ」という情報処理装置を利用しているものの、全体としてはこれらの手段を道具として用いる人為的な取り決めそのものが記載されているに過ぎず、d)に自然法則を利用した技術思想はない。

そして、a)からe)の全体の記載からみても、本願発明は、専ら、人為的な取り決めおよび人間の精神活動を伴う行為にとどまり、情報処理装置を利用しているものの、その利用は、人為的な取り決めおよび人間の精神活動を伴う行為に関連した道具としての利用にとどまるものであるから、本願発明は、全体として自然法則を利用した技術思想ではない。

以上で検討したとおりであるから、本願発明は、特許法第2条第1項に規定する発明に該当せず、特許法第29条第1項柱書に規定する要件を満たしていないので、特許出願の際独立して特許を受けることができるものではない。

(3)上記理由2について
(3-1)引用例
原査定の拒絶の理由に引用された引用例、およびその記載事項は、前記「2.(4)(4-2)(ア)」に記載したとおりである。

(3-2)対比・判断
本願発明は、前記「2.(4)」で検討した本願補正発明から「彩色商品カタログ」、「基準色画像」、および「商品カタログ」のそれぞれの限定事項である「デジタル・データ情報」、「色変化尺度としての」、および「デジタル」との事項を省き、「送信」および「選択された商品の注文情報を送信」という記載を上位概念の記載である「宣伝」、「注文」との記載に置き換えたものである。
そうすると、本願発明の構成事項を全て含み、さらに他の事項を付加したものに相当する本願補正発明が、前記「2.(4)」に記載したとおり、引用例1および周知技術に基づいて当業者が容易に発明できたものであるから、本願発明は、原査定の拒絶の理由として引用された引用例1に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

(4)むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第2条でいう「自然法則を利用した技術的思想の創作」である特許法上の「発明」に該当せず、特許法第29条第1項柱書の規定を満たしていないから特許を受けることができない。
また、仮に、本願発明が「自然法則を利用した技術的思想の創作」である特許法上の「発明」に該当するとしても、本願発明は、引用例1に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2007-07-30 
結審通知日 2007-07-31 
審決日 2007-08-20 
出願番号 特願2002-28622(P2002-28622)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G06F)
P 1 8・ 14- Z (G06F)
P 1 8・ 575- Z (G06F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 宮久保 博幸篠原 功一  
特許庁審判長 赤穂 隆雄
特許庁審判官 森次 顕
田川 泰宏
発明の名称 インターネット通信販売による商品の販売方法  
代理人 西山 雅也  
代理人 樋口 外治  
代理人 石田 敬  
代理人 永坂 友康  
代理人 石田 敬  
代理人 樋口 外治  
代理人 永坂 友康  
代理人 西山 雅也  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ