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審決分類 審判 査定不服 特17条の2、3項新規事項追加の補正 特許、登録しない。 G06Q
審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 特許、登録しない。 G06Q
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06Q
管理番号 1185121
審判番号 不服2007-18845  
総通号数 107 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2008-11-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2007-07-05 
確定日 2008-09-25 
事件の表示 特願2005-181322「情報配信方法、情報配信装置」拒絶査定不服審判事件〔平成17年12月22日出願公開、特開2005-353076〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成15年2月7日(優先権主張平成14年12月24日)に出願した特願2003-31666号の一部を平成17年6月21日に新たな特許出願としたものであって、平成18年6月19日付及び平成19年2月19日付で手続補正がなされ、平成19年2月19日付の手続補正が平成19年5月30日付で却下されるとともに、同日付で拒絶査定がなされ、これに対し、同年7月5日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに、同年8月6日付で手続補正がなされ、さらに、平成20年4月4日付で早期審理に関する事情説明書が提出され、平成20年6月23日付で上申書が提出されたものである。

2.平成19年8月6日付の手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成19年8月6日付の手続補正を却下する。
[理由]
(1)本件補正前の特許請求の範囲の記載について
平成18年6月19日付の手続補正の内容からみて、平成18年12月14日付の拒絶理由通知を最後の拒絶理由通知としたことに誤りはなく、また、平成19年2月19日付の手続補正の内容からみて、当該手続補正を却下した平成19年5月30日付の補正の却下の決定の判断に誤りはないと認められる。
なお、平成18年12月14日付の拒絶理由通知を最後の拒絶理由通知としたこと、及び平成19年5月30日付の補正の却下の決定により当該手続補正を却下したことに対して、審判請求人は、何も主張をしていないと認められる。
したがって、平成19年8月6日付の手続補正(以下「本件補正」という。)の補正前の特許請求の範囲は、平成18年6月19日付の手続補正書により補正された特許請求の範囲に記載された、以下のとおりのものである。
「【請求項1】
プログラムを格納した記憶部と前記プログラムに従った情報処理を実行する処理部と表示部とを有する複数の携帯端末の各々に対して、記憶装置に記憶された処理プログラムに従って処理を実行する処理装置を有する配信装置から、ネットワークを介して情報を配信する方法であって、
前記配信装置は、携帯端末に配信するテロップ情報を前記記憶装置に格納しており、
前記配信装置は、前記処理プログラムに従った前記処理装置の制御により、前記携帯端末へ前記テロップ情報を配信し、
前記携帯端末は、前記プログラムに従った前記処理部の制御により、前記配信されたテロップ情報のテロップ表示および情報を前記表示部において待ち受け画面として表示し、
前記携帯端末は、前記プログラムに従った前記処理部の制御により、当該携帯端末に対する利用者からの入力に応じて、前記待ち受け画面への表示内容に関連する関連情報の要求を示す関連情報要求を、前記配信装置へ送信し、
前記配信装置は、前記処理プログラムに従った前記処理装置の制御により、前記関連情報要求に対応する関連情報を検索し、
前記配信装置は、前記処理プログラムに従った前記処理装置の制御により、前記携帯端末へ前記関連情報を送信し、
前記携帯端末は、前記プログラムに従った前記処理部の制御により、前記送信された関連情報を前記表示画面に表示する、
ことを特徴とする情報配信方法。
【請求項2】
前記配信装置は、前記処理プログラムに従った前記処理装置の制御により、前記情報を前記携帯端末へ所定の配信タイミング毎に配信することを特徴とする請求項1に記載の情報配信方法。
【請求項3】
前記配信装置は、前記処理プログラムに従った前記処理装置の制御により、前記テロップ情報を前記携帯端末へ、テロップ情報配信契機に従ったタイミングで配信することを特徴とする請求項2に記載の情報配信方法。
【請求項4】
前記配信装置は、前記処理プログラムに従った前記処理装置の制御により、前記テロップ情報の前記携帯端末への配信を、テロップ情報配信契機に従ったタイミングとしての、予め定められた所定タイミングもしくは前記情報の配信以降の前記携帯端末での所定処理実行時に実行することを特徴とする請求項3に記載の情報配信方法。
【請求項5】
前記配信装置は、テロップ情報配信契機の時間帯、前記携帯端末の利用者の属性および前記携帯端末へ配信された情報の属性のうち少なくとも1つと前記テロップ情報との関係を定めたテロップテーブルを有し、
前記配信装置は、前記処理プログラムに従った前記処理装置の制御により、テロップ情報配信契機の時間帯、前記携帯端末の利用者の属性および前記携帯端末へ配信された情報の属性のうち少なくとも1つに対応するテロップ情報を、前記テロップテーブルから検索し、
前記配信装置は、前記処理プログラムに従った前記処理装置の制御により、前記携帯端末へ、前記検索されたテロップ情報を送信する、
ことを特徴とする請求項3に記載の情報配信方法。
【請求項6】
前記携帯端末は、前記プログラムに従った前記処理部の制御により、テロップ情報配信契機の時間帯、前記携帯端末の利用者の属性および前記携帯端末へ配信された情報の属性のうち少なくとも1つを含むテロップ配信要求を送信し、
前記配信装置は、前記処理プログラムに従った前記処理装置の制御により、前記送信されたテロップ配信要求に含まれるテロップ情報配信契機の時間帯、前記携帯端末の利用者の属性および前記携帯端末へ配信された情報の属性のうち少なくとも1つと対応するテロップ情報を、前記テロップテーブルから検索することを特徴とする請求項5に記載の情報配信方法。
【請求項7】
前記配信装置は、配信対象である複数の前記情報を前記記憶装置に記憶しており、
前記携帯端末は、前記プログラムに従った前記処理部の制御により、当該携帯端末の状況に応じて情報配信契機を検知し、
前記携帯端末は、前記プログラムに従った前記処理部の制御により、前記情報配信契機に前記情報配信装置へ情報配信要求を送信し、
前記配信装置は、前記情報配信要求を受信し、
前記配信装置は、前記処理プログラムに従った前記処理装置の制御により、前記受信した情報配信要求に対応した情報を検索し、
前記配信装置は、前記処理プログラムに従った前記処理装置の制御により、前記携帯端末へ、前記検索された情報を配信することを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の情報配信方法。
【請求項8】
前記携帯端末は、前記プログラムに従った前記処理部の制御により、情報配信契機を検知した場合、前記記憶装置に格納され、当該携帯端末の待ち受け画面を制御する待ち受けプログラムを起動し、
前記携帯端末は、前記待ち受けプログラムに従った前記処理部の制御により、前記情報配信要求を配信装置に送信し、
前記携帯端末は、前記待ち受けプログラムに従った前記処理部の制御により、前記配信装置より配信された前記情報を前記表示画面に表示する、
ことを特徴とする請求項7に記載の情報配信方法。
【請求項9】
前記携帯端末は、前記プログラムに従った前記処理部の制御により、当該携帯端末の状況として、当該携帯端末の稼働状況を監視し、
前記携帯端末は、前記プログラムに従った前記処理部の制御により、前記情報配信契機の到来を、予め定めた所定基準以下の稼働状況の発生により検知する、
ことを特徴とする請求項7または8のいずれかに記載の情報配信方法。
【請求項10】
前記携帯端末は、前記プログラムに従った前記処理部の制御により、前記稼働状況として、当該携帯端末を利用した通話の有無、トラフィック量や各種データ処理量を監視することを特徴とする請求項7に記載の情報配信方法。
【請求項11】
前記携帯端末は、前記プログラムに従った前記処理部の制御により、前記情報配信契機の到来を、前記配信装置からの起動要請データの受信により検知することを特徴とする請求項7に記載の情報配信方法。
【請求項12】
プログラムを格納した記憶部と前記プログラムに従った情報処理を実行する処理部と表示部とを有する複数の携帯端末の各々に、ネットワークを介して接続可能であり、記憶装置に記憶された処理プログラムに従って処理を実行する処理装置および送受信装置を有する情報配信装置であって、
前記携帯端末に配信するテロップ情報を前記記憶装置に格納しており、
前記送受信装置が、前記処理プログラムに従った前記処理装置の制御により、前記携帯端末へ前記テロップ情報を配信することによって、前記携帯端末において、前記プログラムに従った前記処理部の制御により、前記配信されたテロップ情報のテロップ表示および情報を前記表示部において待ち受け画面として表示させ、
前記送受信装置が、前記処理プログラムに従った前記処理装置の制御により、前記携帯端末に対する利用者からの入力に応じた、前記待ち受け画面への表示内容に関連する関連情報の要求を示す関連情報要求を、前記携帯端末から受信し、
前記処理プログラムに従って前記処理装置が、前記関連情報要求に対応する関連情報を検索し、
前記送受信装置が、前記処理プログラムに従った前記処理装置の制御により、前記携帯端末へ前記関連情報を送信することによって、前記携帯端末において、前記プログラムに従った前記処理部の制御により、前記送信された関連情報を前記表示画面に表示させることを特徴とする情報配信装置。
【請求項13】
前記送受信装置は、前記処理プログラムに従った前記処理装置の制御により、前記情報を前記携帯端末へ所定の配信タイミング毎に配信することを特徴とする請求項12に記載の情報配信装置。
【請求項14】
前記送受信装置は、前記処理プログラムに従った前記処理装置の制御により、前記テロップ情報を前記携帯端末へ、テロップ情報配信契機に従ったタイミングで配信することを特徴とする請求項13に記載の情報配信装置。
【請求項15】
前記送受信装置は、前記処理プログラムに従った前記処理装置の制御により、前記テロップ情報の前記携帯端末への配信を、テロップ情報配信契機に従ったタイミングとしての、予め定められた所定タイミングもしくは前記情報の配信以降の前記携帯端末での所定処理実行時に実行することを特徴とする請求項14に記載の情報配信装置。
【請求項16】
テロップ情報配信契機の時間帯、前記携帯端末の利用者の属性および前記携帯端末へ配信された情報の属性のうち少なくとも1つと前記テロップ情報との関係を定めたテロップテーブルを有し、
前記処理プログラムに従って前記処理装置は、テロップ情報配信契機の時間帯、前記携帯端末の利用者の属性および前記携帯端末へ配信された情報の属性のうち少なくとも1つに対応するテロップ情報を、前記テロップテーブルから検索し、
前記送受信装置は、前記処理プログラムに従った前記処理装置の制御により、前記携帯端末へ、前記検索されたテロップ情報を送信することを特徴とする請求項14に記載の情報配信装置。
【請求項17】
前記送受信装置は、前記処理プログラムに従った前記処理装置の制御により、前記携帯端末から、テロップ情報配信契機の時間帯、前記携帯端末の利用者の属性および前記携帯端末へ配信された情報の属性のうち少なくとも1つを含むテロップ配信要求を受信し、
前記処理プログラムに従って前記処理装置は、前記送信されたテロップ配信要求に含まれるテロップ情報配信契機の時間帯、前記携帯端末の利用者の属性および前記携帯端末へ配信された情報の属性のうち少なくとも1つと対応するテロップ情報を、前記テロップテーブルから検索することを特徴とする請求項16に記載の情報配信装置。
【請求項18】
配信対象である複数の前記情報を前記記憶装置に記憶しており、
前記送受信装置は、前記携帯端末において、前記プログラムに従った前記処理部の制御により、当該携帯端末の状況に応じて情報配信契機が検知された場合、前記携帯端末から前記情報配信契機に情報配信要求を受信し、
前記処理プログラムに従って前記処理装置は、前記受信した情報配信要求に対応した情報を検索し、
前記送受信装置は、前記処理プログラムに従った前記処理装置の制御により、前記携帯端末へ、前記検索された情報を配信することを特徴とする請求項12乃至17のいずれかに記載の情報配信装置。
【請求項19】
前記送受信装置は、前記携帯端末において、前記プログラムに従った前記処理部の制御により、情報配信契機を検知し、前記記憶装置に格納され当該携帯端末の待ち受け画面を制御する待ち受けプログラムが起動された場合、前記携帯端末から前記情報配信要求を受信することにより、
前記携帯端末において、前記待受けプログラムに従った前記処理部の制御により、前記配信された前記情報を前記表示画面に表示可能とすることを特徴とする請求項18に記載の情報配信装置。
【請求項20】
前記送受信装置は、前記携帯端末からの前記情報配信要求の受信を、
前記携帯端末において、前記プログラムに従った前記処理部の制御により、当該携帯端末の状況として当該携帯端末の稼働状況を監視し、前記情報配信契機の到来を、予め定めた所定基準以下の稼働状況の発生により検知した場合に、
実行することを特徴とする請求項18に記載の情報配信装置。
【請求項21】
前記送受信装置は、記携帯端末からの前記情報配信要求の受信を、
前記携帯端末において、前記プログラムに従った前記処理部の制御により、前記稼働状況として当該携帯端末を利用した通話の有無、トラフィック量や各種データ処理量を監視し、前記情報配信契機の到来を、予め定めた所定基準以下の稼働状況の発生により検知した場合に、
実行することを特徴とする請求項18に記載の情報配信装置。
【請求項22】
前記送受信装置は、前記処理プログラムに従った前記処理装置の制御により、前記携帯端末に対し、前記情報配信契機の通知として起動要請データを送信することを特徴とする請求項18に記載の情報配信装置。」

(2)本件補正の内容について
そして、本件補正により、請求項1は、
「プログラムを格納した記録部と前記プログラムに従った情報処理を実行する処理部と表示部とを有する複数の携帯端末の各々に対して、記憶装置に記憶された処理プログラムに従って処理を実行する処理装置を有する配信装置から、ネットワークを介して情報を配信する方法であって、
前記配信装置は、携帯端末に配信するジャンル別のテロップ情報を前記記憶装置に格納しており、該ジャンル別のテロップ情報は、携帯端末の利用者により選択可能であり、 前記配信装置は、前記処理プログラムに従った前記処理装置の制御により、前記携帯端末へ前記テロップ情報を、テロップ情報配信契機に従ったタイミングで配信し、
前記携帯端末は、前記プログラムに従った前記処理部の制御により、前記配信されたテロップ情報および情報を前記表示部において待ち受け画面として表示し、
前記携帯端末は、前記プログラムに従った前記処理部の制御により、当該携帯端末に対する利用者からの入力に応じて、該携帯端末の表示部の待ち受け画面へ表示された前記テロップ情報を含む前記待ち受け画面への表示内容に関連する関連情報の要求を示す関連情報要求を、前記配信装置へ送信し、
前記配信装置は、前記処理プログラムに従った前記処理装置の制御により、前記関連情報要求に対応する関連情報を検索し、
前記配信装置は、前記処理プログラムに従った前記処理装置の制御により、前記携帯端末へ前記関連情報を送信し、
前記携帯端末は、前記処理プログラムに従った前記処理装置の制御により、前記送信された関連情報を前記表示画面に表示する、
ことを特徴とする情報配信方法。」
と補正された。
また、本件補正により、請求項3及び請求項12は削除され、補正前の請求項4-6,8-11,13-22は、補正後の請求項3-5,7-10,11-20とされた。
また、本件補正により、補正前の請求項7は、
「前記配信装置は、配信対象である複数の前記情報を前記記憶手段に記憶しており、
前記携帯端末は、前記プログラムに従った前記処理部の制御により、当該携帯端末の状況に応じて情報配信契機を検知し、
前記携帯端末は、前記プログラムに従った前記処理部の制御により、前記情報配信契機を検知した場合、前記情報配信契機に前記情報配信装置へ情報配信要求を送信し、
前記配信装置は、前記情報配信要求を受信し、
前記配信装置は、前記処理プログラムに従った前記処理装置の制御により、前記受信した情報配信要求に対応した情報を検索し、
前記配信装置は、前記処理プログラムに従った前記処理装置の制御により、前記携帯端末へ、前記検索された情報を配信することを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の情報配信方法。」
と補正され、補正後の請求項6とされた。
また、本件補正により、補正前の請求項12は、
「プログラムを格納した記憶部と前記プログラムに従った情報処理を実行する処理部と表示部とを有する複数の携帯端末の各々に、ネットワークを介して接続可能であり、記憶装置に記憶された処理プログラムに従って処理を実行する処理装置および送受信装置を有する情報配信装置であって、
前記携帯端末に配信するジャンル別のテロップ情報を前記記憶装置に格納しており、該ジャンル別のテロップ情報は、携帯端末の利用者により選択可能であり、 前記送受信装置が、前記処理プログラムに従った前記処理装置の制御により、前記携帯端末へ前記テロップ情報を、テロップ情報配信契機に従ったタイミングで配信することによって、前記携帯端末において、前記プログラムに従った前記処理部の制御により、前記配信されたテロップ情報および情報を前記表示部において待ち受け画面として表示させ、
前記送受信装置が、前記処理プログラムに従った前記処理装置の制御により、前記携帯端末に対する利用者からの入力に応じた、該携帯端末の表示部の待ち受け画面へ表示された前記テロップ情報を含む前記待ち受け画面への表示内容に関連する関連情報の要求を示す関連情報要求を、前記携帯端末から受信し、
前記処理プログラムに従って前記処理装置が、前記関連情報要求に対応する関連情報を検索し、
前記送受信装置が、前記処理プログラムに従った前記処理装置の制御により、前記携帯端末へ前記関連情報を送信することによって、前記携帯端末において、前記プログラムに従った前記処理部の制御により、前記送信された関連情報を前記表示画面に表示させることを特徴とする情報配信装置。」
と補正され、補正後の請求項11とされた。
なお、下線は補正箇所を示すために付記したものである。

(3)本件補正に関する審判請求人の主張
平成20年6月23日付の上申書(以下「上申書」という。)における本件補正に関する審判請求人の主張の概要は以下のとおりである。
「まずは、審判請求時以降の補正内容とその適法性について順を追って説明する。
I.審判請求時(H19.8.6)の補正について
(1)補正事項1
請求項1に、
「プログラムを格納した記憶部と前記プログラムに従った情報処理を実行する処理部と表示部とを有する複数の携帯端末の各々に対して、記憶装置に記憶された処理プログラムに従って処理を実行する処理装置を有する配信装置から、ネットワークを介して情報を配信する方法であって、
前記配信装置は、携帯端末に配信するテロップ情報を前記記憶装置に格納しており、
前記配信装置は、前記処理プログラムに従った前記処理装置の制御により、前記携帯端末へ前記テロップ情報を、テロップ情報配信契機に従ったタイミングで配信し、
前記携帯端末は、前記プログラムに従った前記処理部の制御により、前記配信されたテロップ情報および情報を前記表示部において待ち受け画面として表示し、
前記携帯端末は、前記プログラムに従った前記処理部の制御により、当該携帯端末に対する利用者からの入力に応じて、前記テロップ情報を含む前記待ち受け画面への表示内容に関連する関連情報の要求を示す関連情報要求を、前記配信装置へ送信し、
前記配信装置は、前記処理プログラムに従った前記処理装置の制御により、前記関連情報要求に対応する関連情報を検索し、
前記配信装置は、前記処理プログラムに従った前記処理装置の制御により、前記携帯端末へ前記関連情報を送信し、
前記携帯端末は、前記プログラムに従った前記処理装置の制御により、前記送信された関連情報を前記表示画面に表示する、
ことを特徴とする情報配信方法。」とあるのを、
「プログラムを格納した記録部と前記プログラムに従った情報処理を実行する処理部と表示部とを有する複数の携帯端末の各々に対して、記憶装置に記憶された処理プログラムに従って処理を実行する処理装置を有する配信装置から、ネットワークを介して情報を配信する方法であって、
前記配信装置は、携帯端末に配信するジャンル別のテロップ情報を前記記憶装置に格納しており、該ジャンル別のテロップ情報は、前記携帯端末の利用者により選択可能であり、 前記配信装置は、前記処理プログラムに従った前記処理装置の制御により、前記携帯端末へ前記テロップ情報を、テロップ情報配信契機に従ったタイミングで配信し、
前記携帯端末は、前記プログラムに従った前記処理部の制御により、前記配信されたテロップ情報および情報を前記表示部において待ち受け画面として表示し、
前記携帯端末は、前記プログラムに従った前記処理部の制御により、当該携帯端末に対する利用者からの入力に応じて、該携帯端末の表示部の待ち受け画面へ表示された前記テロップ情報を含む前記待ち受け画面への表示内容に関連する関連情報の要求を示す関連情報要求を、前記配信装置へ送信し、
前記配信装置は、前記処理プログラムに従った前記処理装置の制御により、前記関連情報要求に対応する関連情報を検索し、
前記配信装置は、前記処理プログラムに従った前記処理装置の制御により、前記携帯端末へ前記関連情報を送信し、
前記携帯端末は、前記処理プログラムに従った前記処理装置の制御により、前記送信された関連情報を前記表示画面に表示する、
ことを特徴とする情報配信方法。」と補正した。
(2)また、補正事項2
請求項6に、
「前記配信装置は、配信対象である複数の前記情報を前記記憶手段に記憶しており、
前記携帯端末は、前記プログラムに従った前記処理部の制御により、前記情報配信契機を検知した場合、前記情報配信契機に前記情報配信装置へ情報配信要求を送信し、
前記配信装置は、前記情報配信要求を受信し、
前記配信装置は、前記処理プログラムに従った前記処理装置の制御により、前記受信した情報配信要求に対応した情報を検索し、
前記配信装置は、前記処理プログラムに従った前記処理装置の制御により、前記携帯端末へ、前記検索された情報を配信することを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の情報配信方法。」とあるのを、
「前記配信装置は、配信対象である複数の前記情報を前記記憶手段に記憶しており、
前記携帯端末は、前記プログラムに従った前記処理部の制御により、当該携帯端末の状況に応じて情報配信契機を検知し、
前記携帯端末は、前記プログラムに従った前記処理部の制御により、前記情報配信契機を検知した場合、前記情報配信契機に前記情報配信装置へ情報配信要求を送信し、
前記配信装置は、前記情報配信要求を受信し、
前記配信装置は、前記処理プログラムに従った前記処理装置の制御により、前記受信した情報配信要求に対応した情報を検索し、
前記配信装置は、前記処理プログラムに従った前記処理装置の制御により、前記携帯端末へ、前記検索された情報を配信することを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の情報配信方法。」と補正した。
上記補正事項1、2の補正目的および根拠は以下のとおりである。

(1)補正の目的について
上記補正事項1は、「前記配信装置は、携帯端末に配信するテロップ情報を前記記憶装置に格納しており、」を、「前記配信装置は、携帯端末に配信するジャンル別のテロップ情報を前記記憶装置に格納しており、該ジャンル別のテロップ情報は、前記携帯端末の利用者により選択可能であり、」と限定し、「前記待ち受け画面への表示内容」を、「該携帯端末の表示部の待ち受け画面へ表示された前記テロップ情報を含む前記待ち受け画面への表示内容」と限定し、「前記携帯端末は、前記プログラムに従った前記処理装置の制御により、前記送信された関連情報を前記表示画面に表示する、」を、「前記携帯端末は、前記処理プログラムに従った前記処理装置の制御により、前記送信された関連情報を前記表示画面に表示する、」と限定するものである。つまり、補正事項1は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。また、補正事項1は、実質上請求項の範囲を拡張し、変更するものではない。
また、補正事項2は、「前記配信装置は、配信対象である複数の前記情報を前記記憶手段に記憶しており、」と「前記携帯端末は、前記プログラムに従った前記処理部の制御により、前記情報配信契機を検知した場合、前記情報配信契機に前記情報配信装置へ情報配信要求を送信し、」との間に「前記携帯端末は、前記プログラムに従った前記処理部の制御により、前記情報配信契機を検知した場合、前記情報配信契機に前記情報配信装置へ情報配信要求を送信し、」を追加したものであるが、この追加は、平成19年6月5日(発送日)の補正の却下の決定に基き補正却下された請求項6を、補正却下前の平成18年6月19日付手続補正書の請求項7に記載してあった内容を追加し、補正却下前に戻したものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
(2)補正の根拠について
上記補正事項1は、段落0083の「図14は本実施形態におけるジャンル別テロップテーブルを示す図・・・この処理により、例えばテーブル1300より雑誌ジャンルを特定し、特定した雑誌ジャンルに関連づけされたテロップ情報を抽出する」、段落0036の「ユーザからの選択や支持を受け付ける入力部」、段落0066の「ユーザによる配信内容の設定事項を受信したサーバ」、段落0086の「前記テロップ情報を表示するテロップ表示部1502、中吊り広告1501の配列を変更」、段落0051の「前記配信内容設定画面630?650において設定内容をユーザに問う選択情報として、配信情報のジャンルテーブル410から抽出した広告情報のジャンル、最新ジャンル別雑誌名テーブル720より抽出した雑誌名、配信時間帯テーブル730より抽出した配信時間帯情報が想定できる。」等の記載に基づくものである。
また、「テロップ情報を含む前記待ち受け画面への表示内容」については、段落0027の「広告データベースには、他にテロップのデータも格納されている。」、段落0071の「広告データベース177より該当中吊り広告に関する目次テキストの情報を抽出する」、段落0041の「ここで、前記待ち受け画面600は、以降、サーバ170より配信された中吊り広告を表示する画面となる。そこで、中吊り広告601、当該中吊り広告601やその配信時間帯などと適宜対応付けして配信されるテロップを表示するテロップ表示部602・・・」の記載、段落0065の「テロップ配信契機の時間帯、ユーザの属性、およびテロップ配信対象となる中吊り広告の属性の少なくとも何れかの情報と配信テロップ情報との関係を定めたテーブル(テロップテーブル)1300、1400に、前記テロップ配信要求を照合する。この処理により、例えばテーブル1300より雑誌ジャンルを特定し、特定したジャンルに関連づけされたテロップ情報をテーブル1400より抽出する(s1007、s1008)。」の記載、段落0066の「抽出したテロップ情報は携帯端末100に送信され、携帯端末100ではこれを受信する(s1009)。そして既に示したテロップ表示部に出力し、処理を終了する(s1010、s1011)。」の記載、段落0067の「上述のごとく中吊り広告やテロップ情報がサーバ170より携帯端末100に配信されたならば、携帯端末100ではこれらを待ち受け画面にて表示する(s808)。」の記載、図14のジャンル別テロップテーブル1400の「ビジネス雑誌「○○」」等の記載に基づくものである。
つまり、待ち受け画面600に表示される表示内容は、広告情報とテロップ情報であり、また目次テキスト情報でもあり、これらの情報が関連づけられていることを根拠としている。
また、上記補正事項2は、平成19年6月5日付補正の却下の決定時の補正却下の原因である「前記携帯端末は、前記プログラムに従った前記処理部の制御により、前記情報配信契機を検知した場合、前記情報配信契機に前記情報配信装置へ情報配信要求を送信し、」の記載について、平成18年6月19日付け手続補正書の請求項7の記載に基づき行ったものである。」

審判請求人の上記主張を検討すると、上記(1)で述べたとおり、本件補正前の特許請求の範囲の記載は、平成18年6月19日付の手続補正書により補正された特許請求の範囲に記載された、上記のとおりのものであるが、審判請求人が採用している本件補正前の特許請求の範囲の記載が、平成18年6月19日付の手続補正書により補正された特許請求の範囲の記載とは異なるので、審判請求人の主張における補正事項の認定を採用することはできない。

(4)新規事項の追加について
(4-1)当初明細書等に記載された事項
願書に最初に添付された明細書及び図面(以下「当初明細書等」という。)には、テロップ情報の配信について以下の事項が記載されている。
(A)「【0015】
以下に本発明の実施形態について図面を用いて詳細に説明する。図1は本実施形態におけるシステム構成図である。また図2に示す本実施形態の携帯端末における機能ブロック図も用い、携帯端末100の詳細についても併せて説明する。本発明における携帯端末100は一例として例えば携帯電話機を想定し、本発明の広告管理方法を実現するプログラム(図中では待ち受けプログラム101)を例えばプログラムデータベース102に格納し、これを演算装置たるCPU103らがOS(Operating Systems)104に基づきメモリ105に適宜読み出すなどして広告管理方法を実行する。
【0016】
なお、前記プログラムデータベース102には、待ち受けプログラム101の他、携帯端末100が本来備える機能を実現するアプリケーションプログラムが格納されている。ここでの例では、GPSアプリケーション106、Webアプリケーション107、メール機能アプリケーション108、電話機能アプリケーション109が含まれている。
【0017】
一方、前記メモリ105には、各アプリケーションプログラムや機能毎に適宜な記憶領域が確保されているものとする。ここでは例えば、待ち受けプログラム(待ち受けアプリと図示)用領域110、GPS用領域111、Web用領域112、メール用領域113、電話用領域114、そして広告配信サーバより取得した広告情報の格納領域たる広告情報格納部115が含まれる。なお、図2において示したメモリ105は、前記各アプリケーション101および106?109らを格納するなどの割当て領域110?114の構成例を示している。よって図2は機能ブロックとメモリ105との関係を示しているとも言える。
【0018】
また、OS104が各アプリケーションプログラム101、106?109を読み出す際には、各アプリケーションプログラム毎のI/F(インターフェイス)部116を用いるものとする。
他に、携帯端末100が携帯電話機であれば携帯電話ネットワーク150および携帯電話基地局151を介して広告配信サーバたる情報仲介者サーバ170と接続して広告情報を取得するなどデータ通信を実行するI/O117、広告情報の出力を実行する出力部118(出力インターフェイス)、ユーザからの選択や指示を受け付ける入力部119(入力インターフェイス)、および広告配信契機を検知するために日付や時刻の情報を制御するカレンダー機能部120を備えている。ユーザは、この携帯端末100を利用して中吊り広告などの広告情報およびこれに関連する情報の閲覧等を行うことになる。」

(B)「【0020】
上記のような携帯端末100に対し、携帯電話ネットワーク150らを通じて結ばれるのが広告配信サーバたる情報仲介者サーバ170(以下、サーバ170)である。このサーバ170は、演算装置たるCPU171、当該CPU171が演算時に使用するメモリ172、ネットワーク150らを介した携帯端末100やPDA130とのデータ通信を行うI/O173、前記待ち受けプログラムを携帯端末100に配信するためのダウンロード用プログラム174およびサーバとして本来備える基本プログラム175を格納したプログラムデータベース176を備える。他に、携帯端末100が備えるとした前記カレンダー機能部120を、同様にカレンダー機能部182として備えることができる」

(C)「【0022】
このような構成のサーバ170は、前記の携帯端末100より広告配信要求を受信し、この広告配信要求に応じた広告情報を前記広告データベース177より抽出する。また、前記抽出した広告情報は該当携帯端末100に配信する。携帯端末100側で広告配信契機を検知せず、サーバ170側で各携帯端末100の広告配信契機を管理・検知する場合、前記配信に際しては、携帯端末100毎に定められた配信契機を前記カレンダー機能182と照合しつつ、配信契機の到来を知見するものとできる。
【0023】
また、サーバ170は、広告情報の配信先である携帯端末100より、当該携帯端末100において広告情報に対してなされた各種要求(閲覧、広告情報のレイアウトや配信順の変更、関連情報の取得など)の受付け処理またはこれに応じてなされた処理、の履歴情報を受信しログデータベース178に格納する。そしてこの履歴情報に基づいて、例えば各ユーザ毎の、所定時間帯で最も閲覧頻度の高い広告を認識し、これにより該当携帯端末100のユーザにおける広告毎の注目度を算定する。サーバ170は前記注目度の高低に応じて広告情報の配信順または出力形態を定める処理を行う。
【0024】
他方、広告情報に対する出力形態の変更または関連情報の取得の要求を携帯端末より受信して、この要求に応じて、前記広告情報の出力形態を変更するか、前記関連情報を広告データベース177より抽出して、携帯端末100に送信する。出力形態の変更処理としては、例えば複数配信する中吊り広告の、いずれを最前列で出力する形態とするかを変更する(つまり並び替えの処理)。
【0025】
広告データベース177には、他にテロップのデータも格納されている。サーバ170は携帯端末100よりテロップ配信要求を受信すると、テロップ配信契機の時間帯、ユーザの属性、およびテロップ配信対象となる広告情報の属性の少なくともいずれかの情報と配信テロップ情報との関係を定めたテロップテーブル(テーブルデータベース180に格納)に、テロップ配信要求を照合する。これにより、該当するテロップ情報を抽出し、携帯端末100に送信する。」

(D)「【0048】
サーバ170は配信内容設定画面630?650を携帯端末100に順次送信し、中吊り広告の配信時間帯、広告ジャンル、および雑誌の各設定項目について設定欄631、641、651にて設定入力を受け付ける(s309)。ユーザによる配信内容の設定事項を受信したサーバ170は、当該配信内容をテーブルデータベース180における前記会員管理テーブル700において該当ユーザと関連づけして記録し、処理を終了する(s310)。
【0049】
他方、前記処理選択画面620において購買結果入力部624に対応するボタン627の押下を受け付けたならば、後述する購買情報処理を実行し(s311)、処理を終了する(s312)。
【0050】
ここでサーバ170が備えるテーブルデータベース180が備える各種テーブルのデータ構造について説明する。図7は本実施形態におけるテーブル構成例1を示す図である。前述したようにユーザの各種情報を格納するのが会員管理テーブル700である。前記サーバ170はこの会員管理テーブル700を参照して会員認証を実行する。また、広告情報の配信内容、広告情報の閲覧等に応じたポイント数などをこのテーブルに記録する。このため、ユーザIDをキーとし、ユーザの氏名、生年月日、性別、登録年月日、配信内容およびポイント数などの各種ユーザ情報が関連づけされたレコードをユーザ毎に形成する。
【0051】
また、前記配信内容設定画面630?650において設定内容をユーザに問う選択情報として、配信情報のジャンルテーブル710から抽出した広告情報のジャンル、最新ジャンル別雑誌名テーブル720より抽出した雑誌名、配信時間帯テーブル730より抽出した配信時間帯情報が想定できる。
【0052】
前記配信情報のジャンルテーブル710は、ジャンルIDをキーとしてジャンル情報が関連づけされたデータ構造をなす。最新ジャンル別雑誌名テーブル720は、雑誌名IDをキーとして、雑誌名および雑誌ジャンルの情報を関連づけたデータ構造をなしている。そして、配信時間帯テーブル730は、時間帯IDをキーとして配信時間帯情報を関連づけしたデータ構造をなしている。
【0053】
以上のように配信設定や会員登録の処理が完了したならば、ユーザが登録した配信内容に従ってサーバ170より携帯端末100に向けて中吊り広告601などの広告情報が自動配信される。以下、前記配信とログ情報の処理ステップ(s313)について説明を行う。
【0054】
図8は本実施形態における広告配信とログ情報の処理フロー図である。携帯端末100で上記したように待ち受け画面が出力部118に表示されているとする(s800)。そこで例えば、携帯端末100のカレンダー機能120が、予め設定された広告配信契機の到来を検知する。この検知内容はOS104が認識し、前記待ち受けプログラム101をプログラムデータベース102よりメモリ105の所定領域110により読み出して起動する(s801)。
【0055】
この待ち受けプログラム101の起動に際しては、他にも、携帯端末100の稼働状況(例:通話有無、トラフィック量や各種データ処理量の多寡など)をOS104が監視して、所定基準以下の稼動状況の発生時期をもって前記広告配信契機とすることも出来る。
【0056】
また、広告配信契機がサーバ170のテーブルデータベース180における会員管理テーブル700(記憶装置)に記録されており、カレンダー機能182でもって広告配信契機を検知したサーバ170から起動要請を受付けるとしてもよい。この場合、携帯端末100ではこの起動要請を受けて待ち受けプログラム101の起動を実行することとなる。
【0057】
起動した待ち受けプログラム101は、メモリ105においてこれまでに格納されている中吊り広告のログ情報900(中吊り広告閲覧の履歴情報)をサーバ170に送信する(s802)。前記ログ情報のデータ形態としては、中吊り広告毎の配信日をキーとして、配信時間帯、雑誌名(訴求商品として)、中吊り広告ログ(閲覧有無のフラグ。以下同様)、目次テキストログ、及び記事トピックログが関連づけされたものとなる(図9参照)。
【0058】
ここまでのステップでは、中吊り広告のみの閲覧(例:当該中吊り広告に関連或いは派生する情報まで深く閲覧されていない)の履歴情報がある場合に対応しており、例えば前記ログ情報1100における中吊り広告IDを前記履歴情報とし、携帯端末100の起動毎または起動中の所定タイミングでサーバ170に送信される。なお、前記ログ情報は、携帯端末100における入力部119を介した各種要求の受付け処理またはこれに応じてなされた処理、の履歴情報を携帯端末100のメモリ105(記憶装置)に格納したものである。」

(E)「【0062】
サーバ170は、前記ログ情報1100に基づいて該当ユーザにおける広告毎の重要度(注目度)を算定する(s1001)。つまり、前記ログ情報1100において、どの雑誌の中吊り広告について、ユーザがどこまで深く情報を要求したかを、“中吊り”、“目次テキスト”、および“記事トピック”の各ログ数を合算することで算定できる。前記ログ情報1100における例では、“雑誌D”のログ数合計が“3”となり時間帯2では最もユーザにとって重要度が高いと認識できる。
【0063】
サーバ170は前記重要度を算定したならば、当該重要度の高低に応じて中吊り広告の配信順等を定める(s1002)。図12は本実施形態の中吊り表示順ログにおける変更処理例を示す図である。携帯端末100に配信される中吊り広告は複数であることを常とするため、携帯端末100の出力部118における中吊り広告の配列を定めておく必要がある。そこでサーバ170は、前記重要度を時間帯毎に勘案し、重要度の高いものほど最前列で表示するような設定を行う。例えば、中吊り表示順ログ1200で示すように、変更前では“雑誌C”を1番目、“雑誌D”を2番目の配列で表示する設定を行っていたが、変更後には、中吊り表示順ログ1210で示すように、“雑誌D”の重要度が最も高かったことを受けて前記配列が入れ替わった設定となっている。以上のように配信順を定めたならば、これに則して広告データベース177より最新の中吊り広告を抽出し、携帯端末100に配信する(s1003)。
【0064】
携帯端末100ではこれを受信し(s1004)、メモリ105の広告情報格納部115に格納する。そして出力部118において表示する。また、携帯端末100は、予め定めた所定タイミングまたは前記中吊り広告の受信以降の所定処理実行時、であるテロップ配信契機を検知し、テロップ配信要求をサーバ170に送信する(s1005)。
【0065】
図13は本実施形態における雑誌ジャンルログを示す図であり、図14は本実施形態におけるジャンル別テロップテーブルを示す図である。サーバ170ではこのテロップ配信要求を受信し(s1006)、 テロップ配信契機の時間帯、ユーザの属性、およびテロップ配信対象となる中吊り広告の属性の少なくともいずれかの情報と配信テロップ情報との関係を定めたテーブル(テロップテーブル)1300、1400に、前記テロップ配信要求を照合する。この処理により、例えばテーブル1300より雑誌ジャンルを特定し、特定した雑誌ジャンルに関連づけされたテロップ情報をテーブル1400より抽出する(s1007、s1008)。
【0066】
抽出したテロップ情報は携帯端末100に送信され、携帯端末100ではこれを受信する(s1009)。そして既に示したテロップ表示部に出力し、処理を終了する(s1010、s1011)。
【0067】
上述のごとく中吊り広告やテロップ情報がサーバ170より携帯端末100に配信されたならば、携帯端末100ではこれらを待ち受け画面にて表示する(s808)。当該表示後、中吊り広告について画面操作がユーザからなされなかった場合(s809:NO)、待機状態を継続する。
【0068】
他方、何らかの画面操作がなされた場合(s809:YES)、画面操作があった旨の情報をメモリ105に格納する(s810)。画面操作として想定できるのがまずは中吊り広告の配置順列を入れ替えることである。図15は本実施形態における中吊り広告のめくり処理にかかる画面遷移図である。ここで示す待ち受け画面1500では、配信された“雑誌A”“雑誌B”“雑誌C”が順次配列された形態の中吊り広告1501を含み、また、前記テロップ情報を表示するテロップ表示部1502、中吊り広告1501の配列を変更し、例えば前記の“雑誌A?C”のいずれかを最前列に表示するかの指定を受け付けるめくり部1503を含む。また、当該めくり部1503に対応するボタン1504が携帯端末100の入力部119に設定されている。
【0069】
前記めくり部1504に対応するボタン1504がユーザにより押下された場合、これを受けた待ち受けプログラム101が前記中吊り広告1501における配列を変更処理する。待ち受け画面1510および1520において、この変更処理が繰り返されて最前列に表示する雑誌がAからB、そしてBからCへ変遷した状況を示す。
【0070】
また、前記待ち受け画面1500?1520のいずれかにおいて閲覧した雑誌の中吊り広告について、さらに深い情報をユーザが欲したする。その場合、図16に示すように待ち受け画面1600(ここでは“雑誌A”について閲覧中)の目次テキスト部1602に対応するボタン1603をユーザは押下する。つまり、中吊り広告について目次テキスト要求があったと認識できる(s811:YES)。他方、当該要求がない場合(s811:NO)、待機状態を維持する。
【0071】
前記要求があった場合、携帯端末100側ではこれを受け付けて、サーバ170に通知する(s812)。サーバ170ではこれを受信し(s813)、広告データベース177より該当中吊り広告に関する目次テキストの情報を抽出する。なお目次テキストの情報とは、例えば前記雑誌の目次をテキストベースで構成したデータである。抽出した目次テキストの情報は、携帯端末100に配信される(s814)。他方、この目次テキスト情報の配信処理に際して、当該処理の履歴を中吊り広告と対応づけし、ユーザごとにログデータベース178に格納する(s815)。
【0072】
携帯端末100で前記目次テキストの情報を受信し(s816)、目次画面1610において目次テキスト情報1611として出力する(s817)。更にこの目次画面1610において、記事部1612に対応するボタン1613がユーザより押下されたとすれば(s818:YES)、携帯端末100ではこれを受けて、該当目次に関する記事トピックの要求をサーバ170に発する(s819)。
【0073】
サーバ170ではこれを受信し(s820)、広告データベース177において該当する記事トピックを抽出する。抽出した記事トピックは携帯端末100に配信する(s821)。サーバ170ではこの配信処理に伴って、当該処理のログ情報をログデータベース178に格納する。他方、携帯端末100ではこれを受信する(s823)。そして、記事トピック画面1620において記事トピック情報1621として表示し(s824)、処理を終了する(s825)。
【0074】
なお、中吊り広告等を携帯端末100における待ち受け画面に出力するに際し、前記待ち受けプログラム101は、携帯端末100における壁紙或いは待ち受け画像などの背景画像の設定を行う機能(処理部)に対し、前記中吊り広告にて背景画像を構成する指示を行って、出力処理を実行することもできる。」

(F)第15図及び第16図

(4-2)新規事項の追加についての当審の判断
(A)「前記携帯端末は、前記処理プログラムに従った前記処理装置の制御により、前記送信された関連情報を前記表示画面に表示する」との事項について
上記摘記事項(A)、(B)及び(E)には、携帯端末が、携帯端末の記憶部(記録部)に格納されたプログラムに従った処理部の制御により、送信された関連情報を表示画面に表示することは記載されているものの、上記摘記事項(A)、(B)及び(E)には、携帯端末が、配信装置の記憶装置に記憶された処理プログラムに従った処理装置の制御により、送信された関連情報を表示画面に表示することは記載されておらず、また、その記載からみて自明な事項とも認められないので、「前記携帯端末は、前記処理プログラムに従った前記処理装置の制御により、前記送信された関連情報を前記表示画面に表示する」との事項は、新規事項を含むものである。

(B)「該ジャンル別のテロップ情報は、携帯端末の利用者により選択可能であり」との事項について
上記摘記事項(E)の段落【0065】には、テロップ情報のジャンルが、携帯端末の利用者により選択可能であることが記載されているものの、上記摘記事項(E)の段落【0065】には、ジャンル別のテロップ情報が、携帯端末の利用者により選択可能であることが記載されているとは認められず、また、それらの事項は自明な事項とも認められないので、「該ジャンル別のテロップ情報は、携帯端末の利用者により選択可能であり」との事項は、新規事項を含むものである。

(4-3)新規事項の追加についてのまとめ
以上のとおり、本件補正は、新規事項を追加するものであり、願書に最初に添付された明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものでないから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない。

(5)補正の目的
(5-1)補正事項について
請求項1に係る本件補正は、以下の補正事項を含んでいると認められる。
(ア)「前記配信されたテロップ情報のテロップ表示および情報」を「前記配信されたテロップ情報および情報」に変更する補正事項。(以下「補正事項ア」という。)

(イ)「前記プログラムに従った前記処理部の制御により」を「前記処理プログラムに従った前記処理装置の制御により」に変更する補正事項。(以下「補正事項イ」という。)

(5-2)補正の目的についての当審の判断
(ア)補正事項アについて
補正事項アは、発明特定事項である「のテロップ表示」の記載を削除するものであり、補正前の記載では、「情報」が「テロップ情報の情報」であると解されるのに対し、補正後の記載では、「テロップ情報以外の情報」と解されるので、実質的に特許請求の範囲を変更するものであり、請求の範囲を限定的に減縮したものとは認められない。
したがって、補正事項アが、特許法第17条の2第4項第2号に掲げられた「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものに該当するとは認められない。
また、補正事項アが、特許法第17条の2第4項第1号に掲げられた「請求項の削除」、同項第3号の「誤記の訂正」、同項第4号の「明りょうでない記載の釈明」のいずれかを目的とするものに該当しないことは明らかである。
よって、補正事項アは、特許法第17条の2第4項に規定する要件を満たしていない。

(イ)補正事項イについて
「前記プログラム」は携帯端末の記憶部に記憶されたプログラムであるのに対し、「前記処理プログラム」は、配信装置の記憶装置に記憶されたプログラムであり、また、「前記処理部」は携帯端末の処理手段であるのに対し、「前記処理装置」は配信装置の処理手段であるので、本件補正により、携帯端末が使用するプログラムも、そのプログラムに従って制御を行う処理手段も変更されている。
そうすると、補正事項イは、実質的に特許請求の範囲を変更するものであり、補正後の「前記処理プログラムに従った前記処理装置の制御により」の事項が、補正前の「前記プログラムに従った前記処理部の制御により」の事項の下位概念とは認められないので、補正事項イが請求の範囲を限定的に減縮したものとは認められない。
したがって、補正事項イが、特許法第17条の2第4項第2号に掲げられた「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものに該当するとは認められない。
また、補正事項イが、特許法第17条の2第4項第1号に掲げられた「請求項の削除」、同項第3号の「誤記の訂正」、同項第4号の「明りょうでない記載の釈明」のいずれかを目的とするものに該当しないことは明らかである。
よって、補正事項イは、特許法第17条の2第4項に規定する要件を満たしていない。

(5-3)補正の目的についてのまとめ
上記補正事項ア及び補正事項イを含む本件補正は、特許法第17条の2第4項に規定する要件を満たしていない。

(6)補正の適否について
以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第3項及び第4項の規定に違反するものであり、特許法第159条第1項で準用する特許法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。

(7)補正案について
平成20年4月4日付の早期審理に関する事情説明書において補正案が提示され、上申書において前記補正案を一部修正した補正案(以下「本件補正案」という。)が提示されているので、本件補正案を採用できるかどうか以下に検討する。

(7-1)本件補正案の内容
上述のとおり、本件補正は却下され、平成19年2月19日付の手続補正は、平成19年5月30日付で却下されたので、本件補正案の補正前の特許請求の範囲は、平成18年6月19日付の手続補正書により補正された特許請求の範囲に記載されたとおりのものである。
そうすると、本件補正案により、請求項1は、
「携帯端末が電話やメール機能を実現する処理プログラムとは他に配信装置からの配信情報を受信し、該配信情報を携帯端末の待ち受け画面に表示する待ち受けプログラムを格納した記憶部と前記待ち受けプログラムに従った情報処理を実行する処理部と表示部とを有する複数の携帯端末の各々に対して、記憶装置に記憶された情報配信処理プログラムに従って処理を実行する処理装置を有する配信装置から、ネットワークを介して情報を前記待ち受けプログラムに基づき実行する携帯端末に配信する方法であって、
前記配信装置は、前記携帯端末に配信するジャンル別のテロップ情報を前記記憶装置に格納しており、該ジャンル別のテロップ情報は、前記携帯端末の利用者により選択可能であり、 前記配信装置は、前記情報配信処理プログラムに従った前記処理装置の制御により、前記携帯端末へ前記テロップ情報を、テロップ情報配信契機に従ったタイミングで配信し、
前記携帯端末は、前記待ち受けプログラムに従った前記処理部の制御により、前記配信されたテロップ情報および情報を前記表示部において待ち受け画面として表示し、
前記携帯端末は、前記待ち受けプログラムに従った前記処理部の制御により、当該携帯端末に対する利用者からの入力に応じて、該携帯端末の表示部の待ち受け画面へ表示された前記テロップ情報を含む前記待ち受け画面への表示内容に関連する関連情報の要求を示す関連情報要求を、前記配信装置へ送信し、
前記配信装置は、前記情報配信処理プログラムに従った前記処理装置の制御により、前記関連情報要求に対応する関連情報を検索し、
前記配信装置は、前記情報配信処理プログラムに従った前記処理装置の制御により、前記携帯端末へ前記関連情報を送信し、
前記携帯端末は、前記待ち受けプログラムに従った前記処理部の制御により、前記送信された関連情報を前記表示部の待ち受け画面に表示する、
ことを特徴とする情報配信方法。」
と補正される。
また、本件補正案により、請求項2は、
「前記配信装置は、前記情報配信処理プログラムに従った前記処理装置の制御により、前記情報を前記携帯端末へ所定の配信タイミング毎に配信することを特徴とする請求項1に記載の情報配信方法。」
と補正される。
また、本件補正案により、請求項3及び請求項14は、削除される。
また、本件補正案により、請求項4は、
「前記配信装置は、前記情報配信処理プログラムに従った前記処理装置の制御により、前記テロップ情報の前記携帯端末への配信を、テロップ情報配信契機に従ったタイミングとしての予め定められた所定タイミングもしくは前記情報の配信以降の前記携帯端末での所定処理実行時に実行することを特徴とする請求項1に記載の情報配信方法。」
と補正され、補正後の請求項3とされる。
また、本件補正案により、請求項5は、
「前記配信装置は、テロップ情報配信契機の時間帯、前記携帯端末の利用者の属性および前記携帯端末へ配信された情報の属性のうち少なくとも1つと前記テロップ情報との関係を定めたテロップテーブルを有し、
前記配信装置は、前記情報配信処理プログラムに従った前記処理装置の制御により、テロップ情報配信契機の時間帯、前記携帯端末の利用者の属性および前記携帯端末へ配信された情報の属性のうち少なくとも1つに対応するテロップ情報を、前記テロップテーブルから検索し、
前記配信装置は、前記情報配信処理プログラムに従った前記処理装置の制御により、前記携帯端末へ、前記検索されたテロップ情報を送信する、
ことを特徴とする請求項1に記載の情報配信方法。」
と補正され、補正後の請求項4とされる。
また、本件補正案により、請求項6は、
「前記携帯端末は、前記待ち受けプログラムに従った前記処理部の制御により、テロップ情報配信契機の時間帯、前記携帯端末の利用者の属性および前記携帯端末へ配信された情報の属性のうち少なくとも1つを含むテロップ配信要求を送信し、
前記配信装置は、前記情報配信処理プログラムに従った前記処理装置の制御により、前記送信されたテロップ配信要求に含まれるテロップ情報配信契機の時間帯、前記携帯端末の利用者の属性および前記携帯端末へ配信された情報の属性のうち少なくとも1つと対応するテロップ情報を、前記テロップテーブルから検索することを特徴とする請求項4に記載の情報配信方法。」
と補正され、補正後の請求項5とされる。
また、本件補正案により、請求項7は、
「前記配信装置は、配信対象である複数の前記情報を前記記憶手段に記憶しており、
前記携帯端末は、前記待ち受けプログラムに従った前記処理部の制御により、当該携帯端末の状況に応じて情報配信契機を検知し、
前記携帯端末は、前記待ち受けプログラムに従った前記処理部の制御により、前記情報配信契機を検知した場合、前記情報配信契機に前記情報配信装置へ情報配信要求を送信し、
前記配信装置は、前記情報配信要求を受信し、
前記配信装置は、前記情報配信処理プログラムに従った前記処理装置の制御により、前記受信した情報配信要求に対応した情報を検索し、
前記配信装置は、前記情報配信処理プログラムに従った前記処理装置の制御により、前記携帯端末へ、前記検索された情報を配信することを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の情報配信方法。」
と補正され、補正後の請求項6とされる。
また、本件補正案により、請求項8は、
「前記携帯端末は、前記待ち受けプログラムに従った前記処理部の制御により、前記情報配信契機を検知した場合、前記記憶装置に格納され、当該携帯端末の待ち受け画面を制御する待ち受けプログラムを起動し、
前記携帯端末は、前記待ち受けプログラムに従った前記処理部の制御により、前記情報配信要求を配信装置に送信し、
前記携帯端末は、前記待ち受けプログラムに従った前記処理部の制御により、前記配信装置より配信された前記情報を前記表示画面に表示する、
ことを特徴とする請求項6に記載の情報配信方法。」
と補正され、補正後の請求項7とされる。
また、本件補正案により、請求項9は、
「前記携帯端末は、前記待ち受けプログラムに従った前記処理部の制御により、当該携帯端末の状況として、当該携帯端末の稼働状況を監視し、
前記携帯端末は、前記待ち受けプログラムに従った前記処理部の制御により、前記情報配信契機の到来を、予め定めた所定基準以下の稼働状況の発生により検知する、
ことを特徴とする請求項6または7のいずれかに記載の情報配信方法。」
と補正され、補正後の請求項8とされる。
また、本件補正案により、請求項10は、
「前記携帯端末は、前記待ち受けプログラムに従った前記処理部の制御により、前記稼働状況として、当該携帯端末を利用した通話の有無、トラフィック量や各種データ処理量を監視することを特徴とする請求項6に記載の情報配信方法。」
と補正され、請求項9とされる。
また、本件補正案により、請求項11は、
「前記携帯端末は、前記待ち受けプログラムに従った前記処理部の制御により、前記情報配信契機の到来を、前記配信装置からの起動要請データの受信により検知することを特徴とする請求項6に記載の情報配信方法。」
と補正され、補正後の請求項10とされる。
また、本件補正案により、請求項12は、
「携帯端末が電話やメール機能を実現する処理プログラムとは他に配信装置からの配信情報を受信し、該配信情報を携帯端末の待ち受け画面に表示する待ち受けプログラムを格納した記憶部と前記待ち受けプログラムに従った情報処理を実行する処理部と表示部とを有する複数の携帯端末の各々に、ネットワークを介して接続可能であり、記憶装置に記憶された情報配信処理プログラムに従って処理を実行する処理装置および送受信装置を有する情報配信装置であって、
前記携帯端末に配信するジャンル別のテロップ情報を前記記憶装置に格納しており、該ジャンル別のテロップ情報は、携帯端末の利用者により選択可能であり、 前記送受信装置が、前記情報配信処理プログラムに従った前記処理装置の制御により、前記携帯端末へ前記テロップ情報を、テロップ情報配信契機に従ったタイミングで配信することによって、前記携帯端末において、前記待ち受けプログラムに従った前記処理部の制御により、前記配信されたテロップ情報および情報を前記表示部において待ち受け画面として表示させ、
前記送受信装置が、前記情報配信処理プログラムに従った前記処理装置の制御により、前記携帯端末に対する利用者からの入力に応じた、該携帯端末の表示部の待ち受け画面へ表示された前記テロップ情報を含む前記待ち受け画面への表示内容に関連する関連情報の要求を示す関連情報要求を、前記携帯端末から受信し、
前記情報配信処理プログラムに従って前記処理装置が、前記関連情報要求に対応する関連情報を検索し、
前記送受信装置が、前記情報配信処理プログラムに従った前記処理装置の制御により、前記携帯端末へ前記関連情報を送信することによって、前記携帯端末において、前記待ち受けプログラムに従った前記処理部の制御により、前記送信された関連情報を前記表示画面に表示させることを特徴とする情報配信装置。」
と補正され、補正後の請求項11とされる。
また、本件補正案により、請求項13は、
「前記送受信装置は、前記情報配信処理プログラムに従った前記処理装置の制御により、前記情報を前記携帯端末へ所定の配信タイミング毎に配信することを特徴とする請求項12に記載の情報配信装置。」
と補正され、補正後の請求項12とされる
また、本件補正案により、請求項15は、
「前記送受信装置は、前記情報配信処理プログラムに従った前記処理装置の制御により、前記テロップ情報の前記携帯端末への配信を、テロップ情報配信契機に従ったタイミングとしての、予め定められた所定タイミングもしくは前記情報の配信以降の前記携帯端末での所定処理実行時に実行することを特徴とする請求項14に記載の情報配信装置。」
と補正され、補正後の請求項13とされる。
また、本件補正案により、請求項16は、
「テロップ情報配信契機の時間帯、前記携帯端末の利用者の属性および前記携帯端末へ配信された情報の属性のうち少なくとも1つと前記テロップ情報との関係を定めたテロップテーブルを有し、
前記情報配信処理プログラムに従って前記処理装置は、テロップ情報配信契機の時間帯、前記携帯端末の利用者の属性および前記携帯端末へ配信された情報の属性のうち少なくとも1つに対応するテロップ情報を、前記テロップテーブルから検索し、
前記送受信装置は、前記情報配信処理プログラムに従った前記処理装置の制御により、前記携帯端末へ、前記検索されたテロップ情報を送信することを特徴とする請求項14に記載の情報配信装置。」
と補正され、補正後の請求項14とされる。
また、本件補正案により、請求項17は、
「前記送受信装置は、前記情報配信処理プログラムに従った前記処理装置の制御により、前記携帯端末から、テロップ情報配信契機の時間帯、前記携帯端末の利用者の属性および前記携帯端末へ配信された情報の属性のうち少なくとも1つを含むテロップ配信要求を受信し、
前記情報配信処理プログラムに従って前記処理装置は、前記送信されたテロップ配信要求に含まれるテロップ情報配信契機の時間帯、前記携帯端末の利用者の属性および前記携帯端末へ配信された情報の属性のうち少なくとも1つと対応するテロップ情報を、前記テロップテーブルから検索することを特徴とする請求項16に記載の情報配信装置。」
と補正され、補正後の請求項15とされる。
また、本件補正案により、請求項18は、
「配信対象である複数の前記情報を前記記憶装置に記憶しており、
前記送受信装置は、前記携帯端末において、前記待ち受けプログラムに従った前記処理部の制御により、当該携帯端末の状況に応じて情報配信契機が検知された場合、前記携帯端末から前記情報配信契機に情報配信要求を受信し、
前記情報配信処理プログラムに従って前記処理装置は、前記受信した情報配信要求に対応した情報を検索し、
前記送受信装置は、前記情報配信処理プログラムに従った前記処理装置の制御により、前記携帯端末へ、前記検索された情報を配信することを特徴とする請求項12乃至17のいずれかに記載の情報配信装置。」
と補正され、補正後の請求項16とされる。
また、本件補正案により、請求項19は、
「前記送受信装置は、前記携帯端末において、前記待ち受けプログラムに従った前記処理部の制御により、情報配信契機を検知し、前記記憶装置に格納され当該携帯端末の待ち受け画面を制御する待ち受けプログラムが起動された場合、前記携帯端末から前記情報配信要求を受信することにより、
前記携帯端末において、前記待受けプログラムに従った前記処理部の制御により、前記配信された前記情報を前記表示画面に表示可能とすることを特徴とする請求項18に記載の情報配信装置。」
と補正され、補正後の請求項17とされた。
また、本件補正案により、請求項20は、
「前記送受信装置は、前記携帯端末からの前記情報配信要求の受信を、
前記携帯端末において、前記待ち受けプログラムに従った前記処理部の制御により、当該携帯端末の状況として当該携帯端末の稼働状況を監視し、前記情報配信契機の到来を、予め定めた所定基準以下の稼働状況の発生により検知した場合に、
実行することを特徴とする請求項18に記載の情報配信装置。」
と補正され、補正後の請求項18とされた。
また、本件補正案により、請求項21は、
「前記送受信装置は、記携帯端末からの前記情報配信要求の受信を、
前記携帯端末において、前記待ち受けプログラムに従った前記処理部の制御により、前記稼働状況として当該携帯端末を利用した通話の有無、トラフィック量や各種データ処理量を監視し、前記情報配信契機の到来を、予め定めた所定基準以下の稼働状況の発生により検知した場合に、
実行することを特徴とする請求項18に記載の情報配信装置。」
と補正され、補正後の請求項19とされた。
また、本件補正案により、請求項22は、
「前記送受信装置は、前記情報配信処理プログラムに従った前記処理装置の制御により、前記携帯端末に対し、前記情報配信契機の通知として起動要請データを送信することを特徴とする請求項18に記載の情報配信装置。」
と補正され、補正後の請求項20とされる。
なお、下線は補正箇所を示すために付記したものである。

(7-2)本件補正案についての審判請求人の主張
上申書における本件補正案についての審判請求人の主張の概要は以下のとおりである。
「次に今回新たに案出した補正案について説明する。
(1)補正事項1
請求項1に、
「プログラムを格納した記録部と前記プログラムに従った情報処理を実行する処理部と表示部とを有する複数の携帯端末の各々に対して、記憶装置に記憶された処理プログラムに従って処理を実行する処理装置を有する配信装置から、ネットワークを介して情報を配信する方法であって、
前記配信装置は、携帯端末に配信するジャンル別のテロップ情報を前記記憶装置に格納しており、該ジャンル別のテロップ情報は、前記携帯端末の利用者により選択可能であり、
前記配信装置は、前記処理プログラムに従った前記処理装置の制御により、前記携帯端末へ前記テロップ情報を、テロップ情報配信契機に従ったタイミングで配信し、
前記携帯端末は、前記プログラムに従った前記処理部の制御により、前記配信されたテロップ情報および情報を前記表示部において待ち受け画面として表示し、
前記携帯端末は、前記プログラムに従った前記処理部の制御により、当該携帯端末に対する利用者からの入力に応じて、該携帯端末の表示部の待ち受け画面へ表示された前記テロップ情報を含む前記待ち受け画面への表示内容に関連する関連情報の要求を示す関連情報要求を、前記配信装置へ送信し、
前記配信装置は、前記処理プログラムに従った前記処理装置の制御により、前記関連情報要求に対応する関連情報を検索し、
前記配信装置は、前記処理プログラムに従った前記処理装置の制御により、前記携帯端末へ前記関連情報を送信し、
前記携帯端末は、前記処理プログラムに従った前記処理装置の制御により、前記送信された関連情報を前記表示画面に表示する、
ことを特徴とする情報配信方法。」とあるのを、
「携帯端末が電話やメール機能を実現する処理プログラムとは他に配信装置からの配信情報を受信し、該配信情報を携帯端末の待ち受け画面に表示する待ち受けプログラムを格納した記憶部と前記待ち受けプログラムに従った情報処理を実行する処理部と表示部とを有する複数の携帯端末の各々に対して、記憶装置に記憶された情報配信処理プログラムに従って処理を実行する処理装置を有する配信装置から、ネットワークを介して情報を前記待ち受けプログラムに基づき実行する携帯端末に配信する方法であって、
前記配信装置は、前記携帯端末に配信するジャンル別のテロップ情報を前記記憶装置に格納しており、該ジャンル別のテロップ情報は、前記携帯端末の利用者により選択可能であり、
前記配信装置は、前記情報配信処理プログラムに従った前記処理装置の制御により、前記携帯端末へ前記テロップ情報を、テロップ情報配信契機に従ったタイミングで配信し、
前記携帯端末は、前記待ち受けプログラムに従った前記処理部の制御により、前記配信されたテロップ情報および情報を前記表示部において待ち受け画面として表示し、
前記携帯端末は、前記待ち受けプログラムに従った前記処理部の制御により、当該携帯端末に対する利用者からの入力に応じて、該携帯端末の表示部の待ち受け画面へ表示された前記テロップ情報を含む前記待ち受け画面への表示内容に関連する関連情報の要求を示す関連情報要求を、前記配信装置へ送信し、
前記配信装置は、前記情報配信処理プログラムに従った前記処理装置の制御により、前記関連情報要求に対応する関連情報を検索し、
前記配信装置は、前記情報配信処理プログラムに従った前記処理装置の制御により、前記携帯端末へ前記関連情報を送信し、
前記携帯端末は、前記待ち受けプログラムに従った前記処理部の制御により、前記送信された関連情報を前記表示部の待ち受け画面に表示する、
ことを特徴とする情報配信方法。」と補正し、
(2)補正事項2
請求項11に、
「プログラムを格納した記憶部と前記プログラムに従った情報処理を実行する処理部と表示部とを有する複数の携帯端末の各々に、ネットワークを介して接続可能であり、記憶装置に記憶された処理プログラムに従って処理を実行する処理装置および送受信装置を有する情報配信装置であって、
前記携帯端末に配信するジャンル別のテロップ情報を前記記憶装置に格納しており、該ジャンル別のテロップ情報は、携帯端末の利用者により選択可能であり、
前記送受信装置が、前記処理プログラムに従った前記処理装置の制御により、前記携帯端末へ前記テロップ情報を、テロップ情報配信契機に従ったタイミングで配信することによって、前記携帯端末において、前記プログラムに従った前記処理部の制御により、前記配信されたテロップ情報および情報を前記表示部において待ち受け画面として表示させ、
前記送受信装置が、前記処理プログラムに従った前記処理装置の制御により、前記携帯端末に対する利用者からの入力に応じた、該携帯端末の表示部の待ち受け画面へ表示された前記テロップ情報を含む前記待ち受け画面への表示内容に関連する関連情報の要求を示す関連情報要求を、前記携帯端末から受信し、
前記処理プログラムに従って前記処理装置が、前記関連情報要求に対応する関連情報を検索し、
前記送受信装置が、前記処理プログラムに従った前記処理装置の制御により、前記携帯端末へ前記関連情報を送信することによって、前記携帯端末において、前記プログラムに従った前記処理部の制御により、前記送信された関連情報を前記表示画面に表示させることを特徴とする情報配信装置。」とあるのを、
「携帯端末が電話やメール機能を実現する処理プログラムとは他に配信装置からの配信情報を受信し、該配信情報を携帯端末の待ち受け画面に表示する待ち受けプログラムを格納した記憶部と前記待ち受けプログラムに従った情報処理を実行する処理部と表示部とを有する複数の携帯端末の各々に、ネットワークを介して接続可能であり、記憶装置に記憶された情報配信処理プログラムに従って処理を実行する処理装置および送受信装置を有する情報配信装置であって、
前記携帯端末に配信するジャンル別のテロップ情報を前記記憶装置に格納しており、該ジャンル別のテロップ情報は、携帯端末の利用者により選択可能であり、
前記送受信装置が、前記情報配信処理プログラムに従った前記処理装置の制御により、前記携帯端末へ前記テロップ情報を、テロップ情報配信契機に従ったタイミングで配信することによって、前記携帯端末において、前記待ち受けプログラムに従った前記処理部の制御により、前記配信されたテロップ情報および情報を前記表示部において待ち受け画面として表示させ、
前記送受信装置が、前記情報配信処理プログラムに従った前記処理装置の制御により、前記携帯端末に対する利用者からの入力に応じた、該携帯端末の表示部の待ち受け画面へ表示された前記テロップ情報を含む前記待ち受け画面への表示内容に関連する関連情報の要求を示す関連情報要求を、前記携帯端末から受信し、
前記情報配信処理プログラムに従って前記処理装置が、前記関連情報要求に対応する関連情報を検索し、
前記送受信装置が、前記情報配信処理プログラムに従った前記処理装置の制御により、前記携帯端末へ前記関連情報を送信することによって、前記携帯端末において、前記待ち受けプログラムに従った前記処理部の制御により、前記送信された関連情報を前記表示画面に表示させることを特徴とする情報配信装置。」と補正する。
(3)補正事項3
請求項2乃至10、請求項12乃至20に
「処理プログラム」とあるのを、
「情報配信処理プログラム」と補正し、
「プログラム」とあるのを、
「待ち受けプログラム」と補正する。

上記補正事項1?3の補正目的および根拠は以下のとおりである。
(1)補正の目的について
上記補正事項1は、「プログラムを格納した記録部と前記プログラムに従った情報処理を実行する処理部と表示部とを有する複数の携帯端末の各々に対して、記憶装置に記憶された処理プログラムに従って処理を実行する処理装置を有する配信装置から、ネットワークを介して情報を配信する方法」を、「携帯端末が電話やメール機能を実現する処理プログラムとは他に配信装置からの配信情報を受信し、該配信情報を携帯端末の待ち受け画面に表示する待ち受けプログラムを格納した記憶部と前記待ち受けプログラムに従った情報処理を実行する処理部と表示部とを有する複数の携帯端末の各々に対して、記憶装置に記憶された情報配信処理プログラムに従って処理を実行する処理装置を有する配信装置から、ネットワークを介して情報を前記待ち受けプログラムに基づき実行する携帯端末に配信する方法」と限定し、又は誤記を訂正し、「前記処理プログラムに従った前記処理装置の制御により」を、「前記情報配信処理プログラムに従った前記処理装置の制御により」に限定、又は明瞭とし、「前記プログラムに従った前記処理部の制御により」を、「前記待ち受けプログラムに従った前記処理部の制御により」と限定、又は明瞭とし、「前記携帯端末は、前記待ち受けプログラムに従った前記処理部の制御により、前記送信された関連情報を前記表示部の待ち受け画面に表示する」に限定、又は明瞭、誤記の訂正とするものであるから、補正事項1は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
また、補正事項2は、「プログラムを格納した記憶部と前記プログラムに従った情報処理を実行する処理部と表示部とを有する複数の携帯端末の各々に、ネットワークを介して接続可能であり、記憶装置に記憶された処理プログラムに従って処理を実行する処理装置および送受信装置を有する情報配信装置」を、「携帯端末が電話やメール機能を実現する処理プログラムとは他に配信装置からの配信情報を受信し、該配信情報を携帯端末の待ち受け画面に表示する待ち受けプログラムを格納した記憶部と前記待ち受けプログラムに従った情報処理を実行する処理部と表示部とを有する複数の携帯端末の各々に、ネットワークを介して接続可能であり、記憶装置に記憶された情報配信処理プログラムに従って処理を実行する処理装置および送受信装置を有する情報配信装置」と限定、又は明瞭とし、「前記処理プログラムに従った前記処理装置の制御により」を、「前記情報配信処理プログラムに従った前記処理装置の制御により」に限定し、「前記プログラムに従った前記処理部の制御により」を、「前記待ち受けプログラムに従った前記処理部の制御により」に限定するものであるから、補正事項2は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。また補正事項2は、実質上請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
また、補正事項3は、「処理プログラム」を、「情報配信処理プログラム」に限定、又は明瞭とし、「プログラム」を「待ち受けプログラム」に限定、又は明瞭とするものであるから、当該補正事項3は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。またこの補正事項3は、実質上請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
(2)補正の根拠について
補正事項1は、明細書の段落0015、段落0018及び図1、図2、図8に記載、若しくは示唆されている。特に、「携帯端末が電話やメール機能を実現する処理プログラムとは他に配信装置からの配信情報を受信し、該配信情報を携帯端末の待ち受け画面に表示する待ち受けプログラム」については、段落0018の「前記プログラムデータベース102には、待ち受けプログラムの他、携帯端末100が本来備える機能を実現するアプリケーションプログラムが格納されている。」という記載、また「前記待ち受けプログラムに従った情報処理を実行する処理部」については、段落0015の「本発明の広告管理方法を実現するプログラム(図中では待ち受けプログラム101)を例えばプログラムデータベース102に格納し、これを演算装置たるCPU103らがOS(Operating System)104に基づきメモリ105に適宜読み出すなどして広告管理方法を実現する」との記載を補正の根拠としている。補正事項2及び補正事項3も同上である。
なお、上記の新たな補正案にて示すように、情報処理装置は、「テロップ情報および情報を前記表示部において待ち受け画面として表示」している携帯端末から、前記情報に対しての利用者からの関連情報の要求を受信した場合、該当する関連情報要求を携帯端末に配信することとなる。これは、テロップ情報に対する関連情報の要求を情報処理装置が受付けるとの意ではなく、「情報」に関する関連情報の要求を情報処理装置が受け付けて該当情報を配信するとの意である。

II 独立特許要件について
本願発明は、要件として「配信情報を携帯端末の待ち受け画面に表示する待ち受けプログラムを格納した記憶部と前記待ち受けプログラムに従った情報処理を実行する処理部」、「前記待ち受けプログラムに従った前記処理部の制御により、前記送信された関連情報を前記表示画面に表示させることを特徴とする情報配信装置」を有し、それにより優れた利便性のもと広告配信を行うと共に、確度の高い広告効果という顕著な効果を達成することを特徴とする。しかるに、各引用例には上記要件がなく、本願発明の特徴を何も期待することができないから、本願発明を各引用例から容易になし得たというべきではない。
また、本願発明は上記構成と「前記情報配信処理プログラム(の起動時において、該待ち受けプログラム)に従った前記処理装置の制御により、前記携帯端末へ前記テロップ情報を、テロップ情報配信契機に従ったタイミングで配信することによって、前記携帯端末において、前記待ち受けプログラムに従った前記処理部の制御により、前記配信されたテロップ情報および情報を前記表示部において待ち受け画面として表示させ」の要件を組合わせることにより、引用例個々の技術から予測できない上述した利便性、確度の高い広告効果を達成するから、各引用例を単に寄せ集めたものではない。

III 待ち受けプログラム(待ち受けアプリ)と通常のプログラム(通常アプリ)との違い
本件出願における「待ち受けプログラム」は、従来の携帯電話機が備える待ち受け機能とは異なるものである。このことは、例えば、段落[0020]、[0044]、[0045]で示すように、サーバ(情報処理装置)が「待ち受けプログラムを携帯端末に配信するためのダウンロード用プログラム」を備えて、携帯端末に対し必要に応じて配信される既存プログラムとは全く別体のプログラムであること、並びに、段落[0034]や段落[0036]に記載の如く、「プログラムを実行する上での優先順位」や「電話や電子メールなどの処理が割り込んだ場合・・・処理優先」等の機能を備えていることから明らかである。
一方、従来の携帯電話機における「待ち受け」は、単純に壁紙等を画面表示させておくだけの機能であり、上述した、「プログラムを実行する上での優先順位」や「電話や電子メールなどの処理が割り込んだ場合・・・処理優先」等の機能を備えていない。
一方、本件出願における「待ち受けプログラム」は、段落[0074]に示すように、サーバ(情報処理装置)が従来の待ち受け機能部に対して、中吊り広告(広告情報)にて背景画像を構成すべく指示を行う、ものであり、本件出願の発明を実現するための全く新規な機能を備えるプログラムであることは明らかである。
上記について本願明細書中の記載箇所と対応付けて、前記待ち受けプログラム101がどのようなプログラムであり、どのように実行されるものであるかの観点から補足説明を行う。下記では、明細書中の段落およびその記載と、該当記載における前記待ち受けプログラムの説明内容とを対にして、段落[0017]以降の該当段落毎に順を追った説明となっている。
段落[0017]
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施形態について図面を用いて詳細に説明する。図1は本実施形態におけるシステム構成図である。また図2に示す本実施形態の携帯端末における機能ブロック図も用い、携帯端末100の詳細についても併せて説明する。本発明における携帯端末100は一例として例えば携帯電話機を想定し、本発明の広告管理方法を実現するプログラム(図中では待ち受けプログラム101)を例えばプログラムデータベース102に格納し、これを演算装置たるCPU103らがOS(Operating Systems)104に基づきメモリ105に適宜読み出すなどして広告管理方法を実行する。
⇒『本発明の広告管理方法を実現するプログラム』は『待ち受けプログラム101』であることが記載されている。
『待ち受けプログラム101』は『プログラムデータベース102』に格納されており、『これを演算装置たるCPU103らがOS(Operating Systems)104に基づきメモリ105に適宜読み出す』より、『待ち受けプログラム101』は、『OS(Operating Systems)104』により、『メモリ105』に読み出されて『広告管理方法』が実行されると記載されている。
段落[0018]
なお、前記プログラムデータベース102には、待ち受けプログラム101の他、携帯端末100が本来備える機能を実現するアプリケーションプログラムが格納されている。
ここでの例では、GPSアプリケーション106、Webアプリケーション107、メール機能アプリケーション108、電話機能アプリケーション109が含まれている。
⇒『前記プログラムデータベース102』には、『待ち受けプログラム101』の他に、『携帯端末100が本来備える機能を実現するアプリケーションプログラム』が格納されていることが記載されている。

段落[0019]
一方、前記メモリ105には、各アプリケーションプログラムや機能毎に適宜な記憶領域が確保されているものとする。ここでは例えば、待ち受けプログラム(待ち受けアプリと図示)用領域110、GPS用領域111、Web用領域112、メール用領域113、電話用領域114、そして広告配信サーバより取得した広告情報の格納領域たる広告情報格納部115が含まれる。なお、図2において示したメモリ105は、前記各アプリケーション101および106?109らを格納するなどの割当て領域110?114の構成例を示している。よって図2は機能ブロックとメモリ105との関係を示しているとも言える。
⇒『前記メモリ105』には、『各アプリケーションプログラムや機能毎に適宜な記憶領域が確保』されていることが記載されている。もちろん、『待ち受けプログラム(待ち受けアプリと図示)用領域110』が確保されていると共に、『携帯端末100が本来備える機能を実現するアプリケーションプログラム』のための『適宜な記憶領域』も、別個に確保されている。【0017】の記載からも、これらの『適宜な記憶領域』に『前記プログラムデータベース102』から『待ち受けプログラム101』や『携帯端末100が本来備える機能を実現するアプリケーションプログラム』が読み出されて、実行されることが記載されていると言える。ここでソフトウェアの一般的な技術から考えると、『メモリ105』上には『待ち受けプログラム101』や『携帯端末100が本来備える機能を実現するアプリケーションプログラム』のプログラム自体が読み出され実行されると共に、これらの実行に必要なプログラムのワークメモリも同時に確保されていることは容易に推測される。

段落[0020]
また、OS104が各アプリケーションプログラム101、106?109を読み出す際には、各アプリケーションプログラム毎のI/F(インターフェイス)部116を用いるものとする。
他に、携帯端末100が携帯電話機であれば携帯電話ネットワーク150および携帯電話基地局151を介して広告配信サーバたる情報仲介者サーバ170と接続して広告情報を取得するなどデータ通信を実行するI/O117、広告情報の出力を実行する出力部118(出力インターフェイス)、ユーザからの選択や指示を受け付ける入力部119(入力インターフェイス)、および広告配信契機を検知するために日付や時刻の情報を制御するカレンダー機能部120を備えている。ユーザは、この携帯端末100を利用して中吊り広告などの広告情報およびこれに関連する情報の閲覧等を行うことになる。
⇒『各アプリケーションプログラム101、106?109』が、『各アプリケーションプログラム毎のI/F(インターフェイス)部116』により『メモリ105』に読み出されることが記載されている。

段落[0030]
なお、上記した待ち受けプログラム101は、一例としてJAVA(登録商標)などのオブジェクト指向型プログラミング言語により構築することができる。サーバ170に対する携帯端末100のアクセスがWWWブラウザを介したものであれば、例えばJavaアプレットにより前記待ち受けプログラムを構成できる。但し、本発明の広告管理方法を実現するプログラムはJAVAにより構築される例だけに限定されず、他のいかなる言語・手法であっても同様の機能を構築できるならば、そのいずれも採用できる。また、前記待ち受けプログラム101は本発明の広告管理方法を実現するプログラムの称呼の一例にすぎない。よって、サーバ170より広告情報等を自ら取得する機能等を有して本発明の広告管理方法を実現するプログラムであればいずれのものでもよい。
⇒『待ち受けプログラム101』の実施形態の一例としてJAVA言語によるものがあるが、他のいかなる言語・手法であってもよい。

段落[0034]
携帯端末100の電源スイッチがONしたとする(s300)。これはユーザが入力部119等を操作して主体的に行った場合と、携帯端末100の備える電源管理機能(前記待ち受けプログラムが含むか、または制御する。)が前記広告配信契機など所定タイミングにあわせて電源をONした場合と、サーバ170が前記広告配信契機などの所定タイミングを検知して前記電源管理プログラムに指示を行った場合とが想定できる。
段落[0035]
このように携帯端末100の電源がONし処理が開始されるに先立ち、携帯端末100が元来担っている電話や電子メールなどの処理プログラムと、前記待ち受けプログラム101とのプログラム上の優先度をあらかじめ定義しておく必要がある。
⇒『前記待ち受けプログラム101』と『携帯端末100が本来備える機能を実現するアプリケーションプログラム』との間の、プログラムを実行する上での優先順位は予め決定されており、その優先順位に従って、どのプログラムを実行するかが決定されることが記載されている。
段落[0036]
図4は本実施形態における優先度処理フロー図である。本発明の広告管理方法のもと、
中吊り広告など各種広告情報の配信サービスを享受するユーザは、例えば当該サービスの契約をサーバ170の管理団体等と結ぶ際に、携帯端末100で主として稼働するプログラムを前記待ち受けプログラム101とすることに同意しているものとする。したがってこの携帯端末100では、電話や電子メールなどの処理が割り込んだ場合だけこれら処理を優先させることとなる。
⇒ここでは、『電話や電子メールなどの処理が割り込んだ場合』即ち『携帯端末100が本来備える機能を実現するアプリケーションプログラム』が処理されている場合以外に、常にユーザの同意に従い、『前記待ち受けプログラム101』を実行することが出来ることが記載されている。
段落[0037]
以下、この優先度処理のフローを説明する。携帯端末100の電源が上述のごとくONする(s400)。この状態で例えば電話の発呼や着信の処理がなされたとする。つまり割り込み操作である(s401)。すると、携帯端末100の前記OS104は、待ち受けプログラム101が起動しているか否かを判定する(s402)。
段落[0038]
ここで起動していないと判定されれば(s402:NO)、前記割り込み操作に応じ、例えば電話機能アプリケーション109を起動し割り込み処理を実行する(s403)。そして、例えばこの電話に関する処理が終了すれば(s404)、通常の待機状態へ戻る。
⇒携帯端末100の電源ON時、『前記待ち受けプログラム101』が起動されていないと判断されれば、『前記割り込み操作』の処理(ここでは『この電話に関する処理』)を実行した後、通常の待機状態へ戻ることが記載されている。

段落[0039]
他方、前記判定にて待ち受けプログラム101が起動していると判定されれば(s402:YES)、前記OS104は当該待ち受けプログラム101に対して中断指示を行い(s405)、前記割り込み処理の終了まで待機させる。割り込み処理が終了すれば(s406)、前記OS104は前記待ち受けプログラム101に復帰指示を行い通常の待機状態へと戻る(s407)。
⇒携帯端末100の電源ON時、『前記待ち受けプログラム101』が起動されていると判断されれば、『当該待ち受けプログラム101に対して中断指示を行い』待ち受けプログラムを中断させ、『前記割り込み操作』の処理(ここでは『この電話に関する処理』)を実行した後、『前記待ち受けプログラム101』に復帰することが記載されている。
これは、『前記待ち受けプログラム101』の優先順位が『携帯端末100が本来備える機能を実現するアプリケーションプログラム』よりも低く、『携帯端末100が本来備える機能を実現するアプリケーションプログラム』の実行が必要になった場合には、一旦『前記待ち受けプログラム101』を中断し、『携帯端末100が本来備える機能を実現するアプリケーションプログラム』を割り込んで実行し終了後に、『前記待ち受けプログラム101』の中断時点から復帰可能であることを示している。このことは、『前記待ち受けプログラム101』を実行するための『メモリ105』上の『待ち受けプログラム(待ち受けアプリと図示)用領域110』が、『携帯端末100が本来備える機能を実現するアプリケーションプログラム』を実行するための『メモリ105』上の個々のメモリとは別個に設けられていることからも、容易に推定される。即ち、OS(Operating Systems)104は、『待ち受けプログラム(待ち受けアプリと図示)用領域110』に『前記待ち受けプログラム101』の中断状態を保持しておき、復帰時にメモリ上の中断状態を読み出して復帰処理を行うわけである。

段落[0043]
前記待ち受け画面600において、ユーザによるポータルWEB部603に対応するボタン606の押下がなされた場合、携帯端末100はこれを受けてサーバ170の提供するポータル画面610にアクセスする(s303)。この画面610では、会員確認のためのIDや名前といった基本情報の入力が入力欄611にて促される。そこで適宜な情報が入力された上、送信部612に対応するボタン615が押下されたならば、前記基本情報が携帯端末100からサーバ170に送信される。
⇒『前記待ち受けプログラム101』は、『サーバ170の提供するポータル画面610
』にWEBアクセスが可能であることが記載されている。即ち、『前記待ち受けプログラ
ム101』からhttpプロトコルが実行可能である。
段落[0055]
図8は本実施形態における広告配信とログ情報の処理フロー図である。携帯端末100で上記したように待ち受け画面が出力部118に表示されているとする(s800)。そこで例えば、携帯端末100のカレンダー機能120が、予め設定された広告配信契機の到来を検知する。この検知内容はOS104が認識し、前記待ち受けプログラム101をプログラムデータベース102よりメモリ105の所定領域110により読み出して起動する(s801)。
段落[0056]
この待ち受けプログラム101の起動に際しては、他にも、携帯端末100の稼働状況(例:通話有無、トラフィック量や各種データ処理量の多寡など)をOS104が監視して、所定基準以下の稼動状況の発生時期をもって前記広告配信契機とすることも出来る。
⇒『待ち受けプログラム101』は、電源ON時の起動の他に、『所定基準以下の稼動状況の発生時期をもって』起動する方法が記載されている。
以上、本願発明における「待ち受けプログラム」の特筆すべき特徴は、
(1)プログラムデータベースから読み出され、メモリ上で実行
(2)その実行のために、携帯端末が本来備える機能を実現するアプリケーションプログラムとは別個のメモリの割当あり
(3)携帯端末が本来備える機能を実現するアプリケーションプログラムより低い優先順位で実行可能
(4)待ち受けプログラムが携帯端末が本来備える機能を実現するアプリケーションプログラムに割り込まれた場合、一旦中断し再度復帰可能
(5)待ち受けプログラムからWEBアクセスが可能
(6)実施形態の一例としてJAVA言語によるものがあるが、他のいかなる言語・手法でよい
(7)電源ON時に可能、又所定基準以下の稼動状況の発生時期をもって起動可能、となる。

ここで一旦、パソコンの世界でのプログラムの実行について検討してみる。本願の出願当初から、パソコン上でのプログラムの実行という点では、マルチタスク処理が当然のことであった。
即ち、複数の巨大なプログラムをパソコンの巨大なメモリ上の読み込み、超高速なCPUの処理時間を時分割して複数のプログラムに割り当て、いかにも同時に複数のプログラムが実行されているかのように処理を行う、マルチタスク処理である。
これは携帯端末に比較して、巨大なメモリと超高速なCPUを有しているパソコン故に可能な処理であり、到底同様な処理を携帯端末で実行すると、処理能力オーバとなり全く現実的な処理が不可能となってしまう。
よって、パソコンの技術をそのまま携帯端末に適用することは不可能であり、せめて、本願における待ち受けプログラムの特徴を携帯端末に適用すること程度が限界であったと思量する。したがって本件出願における「待ち受けプログラム」は、パーソナルコンピュータとは異なりリソースが非常に限定的である「携帯電話機」において、従来の携帯電話機が備える待ち受け機能とは異なった、より高度な処理を実現するものであることが明らかである。」

そして、補正案における補正事項の認定についての主張を検討すると、上述のとおり、本件補正は、却下すべきものであるので、本件補正案による補正前の特許請求の範囲の記載は、平成18年6月19日付の手続補正書により補正された特許請求の範囲の記載であり、審判請求人が採用している本件補正案による補正前の特許請求の範囲の記載が、平成18年6月19日付の手続補正書により補正された特許請求の範囲の記載とは異なるので、審判請求人の補正事項の認定を採用することはできない。

(7-3)新規事項の追加について
(a)「該ジャンル別のテロップ情報は、前記携帯端末の利用者により選択可能であり」との事項について
上記摘記事項には、テロップ情報のジャンルが、携帯端末の利用者により選択可能であることが記載されているものの、上記摘記事項には、ジャンル別のテロップ情報が、携帯端末の利用者により選択可能であることが記載されているとは認められず、また、それらの事項はら自明な事項とも認められない。

(b)「前記携帯端末は、前記待ち受けプログラムに従った前記処理部の制御により、前記送信された関連情報を前記表示部の待ち受け画面に表示する」との事項について
上記摘記事項(E)の段落【0073】及び上記摘記事項(F)の第16図からみて、目次を目次画面に表示すること、及び記事トピックを記事トピック画面に表示することは記載されているものの、関連情報である目次や記事トピックを待ち受け画面に表示することは記載されておらず、それらの記載からみて自明な事項とも認められない。
以上のとおり、本件補正案は、願書に最初に添付された明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものでないから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない。

(7-4)補正の目的について
本件補正案は「前記配信されたテロップ情報のテロップ表示および情報」を「前記配信されたテロップ情報および情報」に変更する補正事項を含む
当該補正事項は、発明特定事項である「テロップ表示」を削除するものであるので、実質的に特許請求の範囲を拡大・変更するものであり、請求の範囲を限定的に減縮したものとは認められない。
したがって、当該補正事項が、特許法第17条の2第4項第2号に掲げられた「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものに該当するとは認められない。
また、当該補正事項が、特許法第17条の2第4項第1号に掲げられた「請求項の削除」、同項第3号の「誤記の訂正」、同項第4号の「明りょうでない記載の釈明」のいずれをも目的としないものであることは明らかである。
よって、当該補正事項は、特許法第17条の2第4項の規定に違反するものであり、当該補正事項を含む本件補正案による補正は、特許法第159条第1項で準用する特許法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。

(7-5)独立特許要件について
上申書において、独立特許要件について言及しているが、本件補正案が、特許法第17条の2第4項第2号に掲げられた「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものに該当するとは認められないので、特許法第17条の2第5項で準用する同法第126条第5項に規定する要件(独立特許要件)については検討する必要がないことは明らかであるが、仮に、本件補正案が、特許法第17条の2第4項第2号に掲げられた「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものに該当するとして、本件補正案の請求項1に記載された発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)について以下に検討する。
「前記配信されたテロップ情報および情報を前記表示部において待ち受け画面として表示させ」の記載では、「情報」がどのような情報か不明であり、配信されたテロップ情報以外にどのような情報を配信するのか不明である。
また、「該ジャンル別のテロップ情報は、前記携帯端末の利用者により選択可能であり」の記載では、どのようにしてジャンル別のテロップ情報を携帯端末の利用者により選択可能にするのか不明である。
以上のとおり、本件補正案の内容では、請求項1の記載に不備があるため、請求項1に係る発明が明確であるとは認められないので、本件補正案では、本件出願は特許法第36条第6項第2号の規定を満たしていない。
したがって、補正案の請求項1に係る発明は、特許出願の際独立して特許を受けることができないものであるので、本件補正案による補正は、特許法第17条の2第5項で準用する同法第126条第5項の規定に違反するものであり、特許法第159条第1項で準用する特許法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。

なお、上申書において、本件補正案により補正される請求項1に係る発明について進歩性を主張しているが、上述のとおり、本件補正案の請求項1に係る発明が明確でないため、進歩性については検討しないこととする。

(7-6)本件補正案による補正の採否について
本件補正案を採用する格別の理由があるとは認められず、また、上述のとおり、本件補正案は、却下されるべきものであるので、本件補正の代わりに本件補正案による補正を採用することができない。

3.本願発明
上記のとおり、本件補正案を採用することができず、平成19年8月6日付の手続補正は上記のとおり却下され、平成19年2月19日付の手続補正は同年5月30日付で却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、平成18年6月19日付手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。
「プログラムを格納した記憶部と前記プログラムに従った情報処理を実行する処理部と表示部とを有する複数の携帯端末の各々に対して、記憶装置に記憶された処理プログラムに従って処理を実行する処理装置を有する配信装置から、ネットワークを介して情報を配信する方法であって、
前記配信装置は、携帯端末に配信するテロップ情報を前記記憶装置に格納しており、
前記配信装置は、前記処理プログラムに従った前記処理装置の制御により、前記携帯端末へ前記テロップ情報を配信し、
前記携帯端末は、前記プログラムに従った前記処理部の制御により、前記配信されたテロップ情報のテロップ表示および情報を前記表示部において待ち受け画面として表示し、
前記携帯端末は、前記プログラムに従った前記処理部の制御により、当該携帯端末に対する利用者からの入力に応じて、前記待ち受け画面への表示内容に関連する関連情報の要求を示す関連情報要求を、前記配信装置へ送信し、
前記配信装置は、前記処理プログラムに従った前記処理装置の制御により、前記関連情報要求に対応する関連情報を検索し、
前記配信装置は、前記処理プログラムに従った前記処理装置の制御により、前記携帯端末へ前記関連情報を送信し、
前記携帯端末は、前記プログラムに従った前記処理部の制御により、前記送信された関連情報を前記表示画面に表示する、
ことを特徴とする情報配信方法。」

4.引用例
(1)引用例1
原査定の拒絶の理由として引用された特開2002-77400号公報(以下「引用例1」という。)には、図面とともに、以下の事項が記載されている。
(a)「【0022】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を具体例を用いて説明する。図1は本発明の広告情報送受信システムを示す概略図である。図に示す携帯電話機1は、アンテナ2やディスプレイ3やダイヤルキー4などを備えたよく知られた構成のものである。この携帯電話機1には図に示すように、記憶装置5と表示制御手段6とが設けられている。このシステムでは、この記憶装置5と表示制御手段6とを広告情報11の表示制御に使用する。
【0023】携帯電話機1は、図に示す基地局7を通じて他の電話機に接続したり、インターネット等のネットワークに接続をする。基地局7は交換機や送受信機を備えており図示しない上位局と接続されている。この基地局7には記憶装置8と広告情報送信手段9とが設けられている。
【0024】図のシステムでは、携帯電話機1の通話を制御する基地局7に、待ち受け状態の携帯電話機1を検出して広告情報11を送信する広告情報送信手段9を設ける。記憶装置8には広告発信元で制作されて提供された広告情報11が記憶されている。この広告情報11は、広告を提供する様々な業者が作成して、携帯電話会社に送信依頼をしたものである。なおこの記憶装置8は、基地局7でなく基地局7の上位局に備え付けられたものであってもよい。
【0025】広告情報送信手段9が送信した広告情報11は、携帯電話機1の待ち受け状態の時に携帯電話機1に送信され、携帯電話機1の記憶装置5に記憶される。表示制御手段6は、後で説明するような手順によって、記憶装置5に記憶された広告情報11を携帯電話機1のディスプレイ3に表示するよう制御する。
【0026】図2の(a)は基地局のハードウエアブロック図で(b)は携帯電話機のハードウエアブロック図である。上記のような動作を実行するために、基地局及び携帯電話機は、例えばこの図に示すような構成とされる。図の(a)に示すように、基地局7には基地局全体の動作を制御する制御用プロセッサ21が設けられている。送受信機22、交換機機能部23、通話制御機能部24、記憶装置8及び広告情報送信手段9が、制御用プロセッサ21に制御される。
【0027】送受信機22は、基地局7における一般の通話制御を行なうためのアンテナなどを含む送受信設備である。交換機機能部23は、携帯電話機を用いた通話の交換制御を行なう部分である。通話制御機能部24は、ルーティング制御や、送受信機22、交換機機能部23の動作を制御する部分である。これらの部分の機能は既存のものと全く変わらない。
【0028】この他に、基地局7には、既に説明した記憶装置8と広告情報送信手段9とが設けられている。すなわち基地局7では、送受信機22や交換機機能部23を用いて通話制御機能部24が実際の通話制御を従来通りの方法で行なう一方、この基地局7が通話を制御するエリア内で位置登録された全ての携帯電話機について、通話中かどうかの判断をする。通話中でないと判断した場合、すなわち、携帯電話機1が待ち受け状態と判断した場合には、広告情報送信手段9が起動し、記憶装置8から広告情報を読み出して、該当する携帯電話機に対し広告情報を送信する。
【0029】携帯電話機は図の(b)に示すように、制御用プロセッサ30と送受信機31、通話制御機能部32、ブラウザ33、記憶装置5、表示制御手段6、表示切り替え手段36、ウェブページアクセス手段37、受信モード選択手段38、付帯データ解析手段39、Eメール送信手段28及び受信通知29を備えている。
【0030】制御用プロセッサ30は、携帯電話機全体の動作を制御するプロセッサである。送受信機31や通話制御機能部32は、携帯電話機に備えられた従来通りの通話機能を制御するための部分である。ブラウザ33は、携帯電話機を用いてインターネットにアクセスしホームページなどを閲覧するために必要なアプリケーションプログラムである。記憶装置5は、受信した広告情報11を記憶する。表示制御手段6は、複数の広告情報11が受信されて記憶装置5に記憶されたとき、そのいずれかを選択してディスプレイ3に表示する機能を持つ。
【0031】表示切り替え手段36は、図1に示した携帯電話機1のディスプレイ3に表示された画面の表示を切り替える制御を行なう部分である。広告情報には、後で説明するように初期画面データと付帯データとが含まれるが、携帯電話機1のダイヤルキー4が押されると、これらの画面が順に切り替えられる。ウェブページアクセス手段37は、携帯電話機の所定のダイヤルキー4が押された時ブラウザ33を起動し、プロバイダに接続してホームページなどを閲覧できる状態にする制御を行なう部分である。
【0032】受信モード選択手段38は、このシステムを利用した広告情報の受信を拒絶するモードと受信を許容するモードのいずれか一方を選択できるように制御する部分である。携帯電話機の使用者が広告情報の受信を必要としない場合には、所定のフラグなどによってその状態を表示し、基地局7に対して広告情報の受信を拒絶することができる。
【0033】付帯データ解析手段39は、ディスプレイ3に表示された広告情報の付帯データの内容を解析するとともに、付帯データの内容に応じて、例えば、ウェブページアクセス手段37等を呼び出してその処理を起動する機能を持つ。Eメール送信手段は、携帯電話機のディスプレイ3に表示された広告情報の付帯データにEメールアドレスが含まれるとき、ネットワークを通じて該当するアドレスにEメールを送信する手順を実行する機能を持つ。また、受信通知手段29は、基地局7から携帯電話機1に広告情報が受信された時、ディスプレイ3にその旨を示すメッセージ等を表示して、広告情報が受信されたことを通知する機能を持つ。
【0034】図3の(a)は基地局の具体的な広告情報送信動作を示すフローチャートで、(b)は携帯電話機の広告情報受信処理の概略動作を示すフローチャートである。まず上記の基地局7は、図3のステップS1において、記憶装置8(図1)に記憶された広告情報11の中から、対象となる携帯電話機1へ送信すべき広告情報の選択を行なう。広告情報11には、例えば有効期限などが記録されており、有効期限の切れた広告情報を除外したものが携帯電話機1に送信される。また、地域的あるいは時間的、あるいは携帯電話の利用者別に、様々なふるいわけをして、適切な広告情報のみを送信することもできる。
【0035】ステップS2では、対象となる携帯電話機の電話番号を選択する。そして,その携帯電話機が待ち受け状態かどうかをステップS3において判断する。これは基地局の交換機機能部23などの情報を取得して判断すればよい。待ち受け状態と判断するとステップS4に進む。そして広告情報受信許容モードかどうかを判断する。これは携帯電話機1の受信モード選択手段38(図2)に記録された所定のフラグの内容で判断してもよいし、あらかじめ携帯電話機1が基地局7に対し受信モードを登録することによって、基地局側で自動的に判断できるようにしてもよい。ここで広告情報受信許容モードである場合にのみステップS5に進み、広告情報の送信を行なう。
【0036】なおこのような広告情報の送信は、携帯電話会社が携帯電話機の待ち受け状態を検出して行ない、例えば、通信負荷の軽い時間帯に余った通信能力を利用して送信することができるので、通信コストを非常に安くすることができるという効果がある。もちろん、個別に携帯電話機を発呼して広告情報を送信してもよいし、ブロードキャストモードで基地局が通話を管理する全ての携帯電話機に対し一括して広告情報を送信するようにしてもよい。ブロードキャストモードの際に通話中の携帯電話機があれば、同一の動作を繰り返して広告情報を全ての携帯電話機に送信するようにすればよい。
【0037】図の(b)に示すように、基地局7から広告情報11を受信した携帯電話機1は(ステップS6)、その広告情報を図1に示す記憶装置5に記憶する(ステップS7)。そして、受信通知手段29が、後で図5を用いて説明するようにして,ディスプレイ3に対し広告情報を受信した旨を表示する(ステップS8)。なお携帯電話機による広告情報の受信は、携帯電話機の中に設けられた記憶装置に伝言を記憶しておく既存の技術をそのまま利用すればよい。複数の広告情報を受信した場合には、それぞれ所定の識別番号を付けて記憶することもできる。」(第4頁左欄第20行-第5頁右欄第19行)

(b)「【0050】図5は具体的な携帯電話機への広告情報表示画面例を示す説明図である。図6は携帯電話機が広告情報を受信してから広告情報を表示するまでの具体的な動作フローチャートである。図7は広告情報を表示した後の携帯電話機の具体的な動作フローチャートである。図5から図7までを参照しながら携帯電話機の広告情報表示動作を説明する。
【0051】まず広告情報が受信されると、図6のステップS11において受信通知手段29(図2)が広告情報の受信を検出する。そしてステップS12において図4を用いて説明したデータヘッダの読み取りを行なう。さらに、ステップS13で、最初のコンテンツのカテゴリを調べて、壁紙データを検出する。そしてその壁紙をステップS14において携帯電話機のディスプレイ3に表示する。
【0052】図5の画面V1は、このように壁紙データを表示した状態の画面である。こうして初期画面データが表示される。図の例では、携帯電話機1の待ち受け状態で、旅行会社の広告情報として海外ツアーという壁紙が表示されている。なお、複数のコンテンツを含む場合に、例えば、受信通知手段29が各コンテンツのタイトルをピックアップして編集し、メニュー情報V0を生成して表示するようにしてもよい。
【0053】このような初期画面データをきめておけば、携帯電話機1のディスプレイ3に広告情報をスクロール表示する場合に比べると、携帯電話機の消費電力を抑えたまま広告情報の存在を携帯電話の使用者に伝えることができる。次に、図6のステップS15において、ファンクションキーが押されたかどうかの判断をする。フアンクションキーは、携帯電話機1のダイャルキー4のいずれかである。
【0054】携帯電話機1の使用者が広告情報の詳細を知りたいと考えた場合には、携帯電話機1の所定のファンクションキーを押す。これによって壁紙がスクロールされ、図5の画面V2に示したような画像が表示される(ステップS16)。なお、この例では壁紙の一部にこのようなメニュー形式の画面を含めたが、この部分は壁紙とは別のコンテンツであっても差し支えない。ここで図6のステップS17、S18、S19において、「お知らせ」、「申し込み」、「ホームページ」のうちのいずれかの項目が選択されたかを判断する。
【0055】1番のキーが押されたと判断すると、図7に示す1番の処理に進む。また2番のキーが押されたと判断すると、図7に示す2番の処理に進む。3番のキーが押されたと判断すると、図7に示す3番の処理に進む。1番のキーが押された場合には図7のステップS20において、コンテンツ106(図4)の中からテキストデータ120(図4)を検出する。
【0056】そしてステップS21において、そのテキストデータ120の内容を表示する。この例では図5の画面V3に示すように文字データによって携帯電話の使用者にツアーのお知らせを行なっている。すなわちこの例では例えばニューヨーク、オーストラリア、マレーシアに格安ツアープランがありますといったお知らせをする。その後、図7に示すステップS22でリセットキーが押されたと判断するとステップS23に進み、メニュー画像の表示状態に戻る。
【0057】図6のステップS18において2番のキーが押されたと判断すると、図7の(b)に示すステップS25に進む。そしてここでコンテンツ106(図4)の中からお問い合わせ電話番号116を検出する。お問い合わせ電話番号116を検出すると、図2に示した通話制御機能部32がその電話番号を取得して、該当する電話番号に自動的に発呼する(ステップS26)。その後は携帯電話機の使用者が相手先に対し問い合わせなどを行なえばよい。図5の画像V4はその発呼中の状態を示している。
【0058】図6のステップS19において3番のキーが押されたと判断すると、図7(c)に示すステップS30に進む。このステップS30ではコンテンツ106(図4)の中からホームページアドレス117を検出する。ホームページアドレス117を検出した場合には、図2に示したウェブページアクセス手段37が、ブラウザ33を起動し、該当するURLを用いてウェブページを開く(ステップS31)。その結果図5の画面V5に示したような広告発信元のホームページが携帯電話機のディスプレイに表示される。
【0059】なお、上記の説明ではよく知られた構成の携帯電話機を利用したシステムを紹介した。しかし、携帯電話機として機能するものであれば、その形状や構造は問わない。例えば、携帯電話機能を持ったモバイルコンピュータでもよいし、携帯電話機として動作する腕時計でもよい。また、基地局も、携帯電話機の通話を制御して通話状態かどうかを判断し、広告情報を送信する機能を持つものであれば、どのような設備であっても構わない。さらに、本発明は、携帯電話機のみならず、持ち運びをすることがない一般の固定式の電話機を含むネットワーク上でも採用することができる。」(第6頁右欄第17行-第7頁右欄第5行)

してみると、引用例1には、
『「制御用プロセッサ(30)」と「ディスプレイ(3)」とを有する複数の「携帯端末機(1)」の各々に対して、「制御用プロセッサ(21)」を有する「基地局(7)」から情報を配信する方法であって、
前記「基地局(7)」は、「携帯電話機(1)」に配信する初期画面データ及び付随データを「記憶装置(8)」に格納しており、
前記「基地局(7)」は、「広告情報送信手段(9)」により、「携帯電話機(1)」へ初期画面データ及び付随データを配信し、
前記「携帯電話機(1)」は、「表示制御手段(6)」により、各コンテンツのタイトルを含む初期画面データを画面として表示し、
前記「携帯電話機(1)」は、「表示制御手段(9)」により、前記「携帯電話機(1)」に対する使用者からの入力に応じて、送信された付随データを「ディスプレイ(3)」の画面に表示する
ことを特徴とする広告情報配信情報配信方法。』
との発明(以下「引用例発明」という。)が記載されている。

(2)引用例2及び3
平成19年5月30日付の補正の却下の決定において、独立特許要件の検討の際に周知技術を示すために引用した特開2002-108784号公報(以下「引用例2」という。)には、図面とともに、以下の事項が記載されている。
(c)「【0024】図1は、本発明が適用されるメール配送システムのシステム構成の一例を示す図であり、本システムの構成のうち本発明に関係する部分のみを概念的に示している。
【0025】メール配送システムは、少なくとも、メールの作成機能を提供するメール作成サーバ100と、メール作成におけるテンプレートを提供するコンテンツサーバ200と、位置情報や店舗情報等の各種の情報を提供する情報提供サーバ300と、メール作成や各種情報に対する課金を行う課金サーバ400と、メールの送信または受信を行う携帯電話500またはPC600と、それぞれを接続する通信ネットワーク700とから構成される。」(第4頁右欄第8行-同頁同欄第20行)

(d)「【0038】ついで、メール作成サーバ100は、携帯電話500、コンテンツサーバ200および情報提供サーバ300から入手したデータ等に基づいてメールデータを作成し、完成したメールを着信側の端末に送信する(ステップS210)。
【0039】図6は、受信側の携帯電話500のディスプレイに表示される受信メール一覧画面の1例を示す図である。ユーザは、携帯電話500の操作ボタン等を操作して、所望の受信メールを選択する。
【0040】図7は、受信側の携帯電話500のディスプレイに表示される受信メール表示画面の1例を示す図である。702は、受信したメールに添付された画像データまたは動画データを表示する領域である。704は、テキストを表示する領域である。なお、テロップ表示の場合は、704にテキストが流れるように表示される。706は、次の添付されたデータを選択するボタンである。」(第5頁右欄第21行-同頁同欄第38行)

また、同様に引用された特開2002-33802号公報(以下「引用例3」という。)には、図面とともに、以下の事項が記載されている。
(e)「(システム構成について)図1に、本発明の第1の実施形態に係るシステム全体の概略構成を示す。携帯通信端末1は、所定のキャリア通信網2を介してインターネット3に接続可能に構成されている。インターネット3には、本発明に関係する構成要素としてアニメ作家が所有するパーソナルコンピュータ(以下、PC)4と、アニメ配信業者が管理するアニメ配信サーバ5と、主として動画・静止画などの画像コンテンツや音楽などのオーディオコンテンツを配信するコンテンツ配信業者が管理するコンテンツ配信サーバ7が接続されており、さらにアニメ配信サーバ5にはアニメライブラリ6が接続され、コンテンツ配信サーバ7には各種の情報サービスを行うサービス業者が所有する情報サービスサーバ8が接続されている。
【0024】なお、図1ではアニメ配信サーバ5及びアニメライブラリ6がコンテンツ配信サーバ7とは別に設けられているが、コンテンツ配信サーバ7と一体に設けられていてもよい。」(第5頁左欄第27行-同頁同欄第44行)

(f)「【0060】このようにコンテンツ編集処理では、原コンテンツに対してメッセージ、アンケート、コース選択画面及び広告などの付加情報を挿入する編集が行われることにより、携帯通信端末1のユーザに配信すべき最終的な動画コンテンツが生成される。
【0061】(動画コンテンツのダウンロード及び再生について)次に、このようにして作成された動画コンテンツをコンテンツサーバ5から携帯通信端末1にダウンロードして再生を行う方法の種々の例について、図8?図12を用いて説明する。上述した動画コンテンツを携帯通信端末1においてダウンロードし、かつ再生(閲覧)を行うためには、この動画コンテンツに対応した例えばJava(登録商標)のような予め定められた言語形式の閲覧用プログラム(以下、ビュワープログラムという)が必要である。」(第9頁左欄第6行-同頁同欄第20行)

(g)「【0071】(動画コンテンツの再生画面について)図15は、動画コンテンツの再生画面を示している。図2に示した携帯通信端末1の表示部13の表示画面50に、動画コンテンツ再生画面として映像表示領域51と文字表示領域52が割り当てられる。文字表示領域52は、この例では映像表示領域51の下部に設定された帯状の領域となっているが、その位置は映像表示領域51の上部でもよいし、場合によっては映像表示領域51の横でもよい。文字表示領域52(テロップ表示領域ともいう)には、図15(a)では台詞が表示され、図15(b)では広告が表示される。
【0072】このような文字表示領域52での表示内容の切り替えは、図16のフローチャートに示す手順に従って行われる。携帯通信端末1には図2に示したようにキー入力部12の一部としてマナーボタンがあり、このマナーボタンを押していわゆるマナーモードにすると、携帯通信端末1に着信があっても周囲への迷惑防止のために図3のサウンド用スピーカ部33から着信音は発せず、着信ランプ16の点滅や、図3のバイブレータ部31の振動、キー入力部12の下部のイルミネーション部32の点灯などによって、ユーザに着信が知らされる。
【0073】また、このマナーモードでは当然のことながら、動画コンテンツ再生時の台詞も、サウンド用スピーカ部33からの音声としては出力されないようにすることが迷惑防止の観点から望ましい。
【0074】そこで、図16(a)に示すように携帯通信端末1がマナーモードに設定されているか否かを判断し(ステップS91)、マナーモードのときは図15(a)に示したように文字表示領域52で台詞を文字として表示する(ステップS92)。これにより、サウンド用スピーカ部33から台詞が音声出力されないマナーモード時においても、台詞を文字で、つまり字幕スーパーとして認識することができる。
【0075】一方、マナーモードでないときは、サウンド用スピーカ部33から台詞が音声として出力されるので、文字表示領域52で別の情報、例えば図7(e)のようにして動画コンテンツ中に挿入された広告の情報を図15(b)に示したようにテロップ文字として表示する(ステップS93)。このようにすることにより、文字表示領域52を常に有効に利用することができる。」(第10頁左欄第24行-同頁右欄第13行)

以上の記載事項からみて、引用例2又は3には、
「情報を配信する装置が、テロップ表示する情報を携帯端末に配信し、前記携帯端末が、前記情報を表示画面にテロップ表示により表示する」との事項が開示されていると認められる。

5.対比
本願発明と引用例発明を比較すると、引用例発明の「制御する」、「制御用プロセッサ(30)」、「制御プロセッサ(21)」、「ディスプレイ(3)」、「携帯電話機(1)」、「基地局(7)」、「付随データ」、「記憶装置(8)」、「ディスプレイ(3)の表示画面」、「使用者」は、それぞれ、本願発明の「処理する」、「処理部」、「処理装置」、「表示部」、「携帯端末」、「配信装置」、「画面への表示内容に関連する関連情報」、「記憶装置」、「表示画面」、「利用者」に相当する。
また、引用例発明の「初期画面データ」と本願発明の「テロップ情報」は、配信される情報のデータという点では共通する。
そうすると、本願発明と引用例発明は、
「情報処理を実行する処理部と表示部とを有する複数の携帯端末の各々に対して、処理を実行する処理装置と記憶装置を有する配信装置から、情報を配信する方法であって、
前記配信装置は、携帯端末に配信する情報を前記記憶装置に格納しており、
前記配信装置は、前記処理装置の制御により、前記携帯端末へ前記情報を配信し、
前記携帯端末は、配信された情報のデータを表示部において待ち受け画面として表示し、
前記携帯端末は、携帯端末に対する利用者の入力に応じて、前記待ち受け画面への表示内容に関連する関連情報を表示画面に表示する、配信方法。」である点で一致し、以下の点で相違する。

(相違点1)
本願発明では、配信する情報がテロップ情報であり、携帯端末の画面に前記テロップ情報のテロップ表示及び情報を待ち受け画面として表示するのに対し、引用例発明では、配信する情報が初期画面データであり、また、その情報を待ち受け画面として表示しているかどうか明記されていない点。

(相違点2)
本願発明では、携帯端末が、前記携帯端末に対する利用者からの入力に応じて、待ち受け画面への表示内容に関連する関連情報の要求を配信装置に送信し、前記配信装置が、前記関連情報に対する関連情報を検索し、前記携帯端末へ前記関連情報を送信し、携帯端末は送信された関連情報を表示するのに対し、引用例発明では、配信する情報と前記関連情報を同時に送信して配信しており、そのようなことを行っていない。

(相違点3)
本願発明では、携帯端末が、プログラムを格納した記憶部を備え、前記記憶部に格納された前記プログラムに従って、各処理を行っており、配信装置が、記憶装置に処理プログラムを格納し、前記処理プログラムに従って各処理を実行するのに対し、引用例発明では、携帯端末及び配信装置がそのようになっているかどうか明記されていない点。

(相違点4)
本願発明では、情報をネットワークを介して配信しているのに対し、引用例発明では、ネットワークを介して情報を配信しているのかどうか明記されていない点。

6.当審の判断
(相違点1について)
引用例2又は3には、「情報を配信する装置が、テロップ表示する情報を携帯端末に配信し、前記携帯端末が、前記情報を表示画面にテロップ表示により表示する」との事項が開示されているので、配信する情報をテロップ情報とし、携帯端末の画面に前記テロップ情報のテロップ表示及び情報を表示することは当業者が容易に考えられる事項である。
また、引用例1の摘記事項(a)からみて、引用例発明では、携帯端末が待ち受け状態の場合に情報を配信していることが開示されており、携帯端末において、待ち受け画面において所定の情報を表示することは周知技術であるので、配信された情報を待ち受け画面として表示することは当業者が容易に考えられる事項である。
したがって、相違点1に係る本願発明は、引用例発明、及び引用例2又は3に記載された事項に基づいて当業者が容易に想到し得る事項である。

(相違点2について)
検索結果の要求を入力して検索手段に送信し、検索手段で情報を検索し、検索手段から検索結果を携帯端末に送信することは一般的に行われている周知技術であるので、引用例発明において、配信装置から携帯端末に、関連情報を予め送信する代わりに、携帯端末から関連情報要求を配信装置に送信し、配信装置で関連情報を検索し、その関連情報を携帯端末に送信することは当業者が容易に考えられる事項である。
したがって、相違点2に係る本願発明は、引用例発明及び上記周知技術に基づいて当業者が容易に想到し得る事項である。

(相違点3について)
プログラムを格納した記憶手段を備え、処理手段が、前記記憶手段に格納された前記プログラムに従って、各処理を行うことは、一般的に行われている周知技術であるので、引用例発明において、携帯端末を、プログラムを格納した記憶部を備え、前記記憶部に格納された前記プログラムに従って、各処理を行う構成とし、配信装置を、記憶装置に処理プログラムを格納し、前記処理プログラムに従って各処理を実行する構成とすることは当業者が容易に考えられる事項である。
したがって、相違点3に係る本願発明は、引用例発明及び上記周知技術に基づいて当業者が容易に想到し得る事項である。

(相違点4について)
情報をネットワークを介して配信することは一般的に行われている周知技術であるので、引用例発明において、情報をネットワークを介して配信することは当業者が容易に考えられる事項である。
したがって、相違点4に係る本願発明は、引用例発明及び上記周知技術に基づいて当業者が容易に想到し得る事項である。

そして、本願発明の作用効果も、引用例1、引用例2又は3、及び上記周知技術から当業者が予測できる範囲のものである。
したがって、本願発明は、引用例1に記載された発明、引用例2又は引用例3に記載された事項、及び上記周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

7.むすび
以上のとおり、本願発明は、引用例1に記載された発明、引用例2又は引用3に記載された事項、及び上記周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2008-07-17 
結審通知日 2008-07-22 
審決日 2008-08-14 
出願番号 特願2005-181322(P2005-181322)
審決分類 P 1 8・ 572- Z (G06Q)
P 1 8・ 561- Z (G06Q)
P 1 8・ 121- Z (G06Q)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 小山 和俊  
特許庁審判長 赤穂 隆雄
特許庁審判官 ▲吉▼田 耕一
久保田 健
発明の名称 情報配信方法、情報配信装置  
代理人 一色国際特許業務法人  

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