• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 全部無効 2項進歩性  A61J
審判 全部無効 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  A61J
管理番号 1187796
審判番号 無効2007-800005  
総通号数 109 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2009-01-30 
種別 無効の審決 
審判請求日 2007-01-11 
確定日 2008-11-13 
訂正明細書 有 
事件の表示 上記当事者間の特許第3694446号発明「開口点眼容器及びそれの製造方法」の特許無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 訂正を認める。 特許第3694446号の請求項1?9に係る発明についての特許を無効とする。 審判費用は、被請求人の負担とする。 
理由 1.手続の経緯

本件特許第3694446号に係る発明は、平成12年8月11日に特許出願されたものであって、平成17年7月1日にその発明について特許権の設定登録がなされた。

これに対し、請求人千寿製薬株式会社より平成19年1月11日に無効審判の請求がなされ、被請求人参天製薬株式会社より平成19年4月2日に答弁書が提出されるとともに訂正の請求がなされ、さらに、請求人千寿製薬株式会社より平成19年5月11日に弁駁書が提出され、その後、平成19年7月10日に両人より口頭審理陳述要領書が提出され、同年同日に口頭審理が行われたものである。

2.訂正の請求

被請求人は、平成19年4月2日付け訂正請求書により本件特許明細書の訂正を請求しているので、まず、この訂正の可否について検討する。

2-1.訂正の内容

上記訂正請求書の訂正の内容は、本件特許発明の明細書を訂正請求書に添付した訂正明細書のとおりに訂正しようとするものであり、その訂正の内容は、概略、以下の訂正事項A?Cのとおりである。

訂正事項A
特許請求の範囲の請求項1の記載を、次のように訂正する。
「【請求項1】 ブロー成形又は真空成形と同時に液体が密封状態で充填されている熱可塑性材料製の容器本体の先端部に、前記容器本体の先端部が加熱された状態で、凸状成形型によって容器軸線方向から圧接され形成される先端側ほど内径が大となる有底円錐状の凹部を備え、
この凹部の底面に、針状成形型を容器軸線方向から圧接して貫通形成することにより、前記容器本体から押出される液滴量を設定量に制御可能な小径の注液孔を備え、
さらに、前記凸状成形型による成形時、および、前記針状成形型による成形時の少なくとも何れか一方のときに、前記容器本体の注液筒部に、椀状の成形面を有する成形型により、前記凹部の外側に成形した外周面を備えた開口点眼容器。」

訂正事項B
特許請求の範囲の請求項2の記載を、次のように訂正する。
「【請求項2】 ブロー成形又は真空成形と同時に液体が密封状態で充填されている熱可塑性材料製の容器本体の先端部に、前記容器本体の先端部が加熱された状態で、凸状成形型によって容器軸線方向から圧接され形成される先端側ほど内径が大となる有底円錐状の凹部を備え、
この凹部は、この凹部の底面に前記容器本体から押出される液滴量を設定量に制御可能な小径の注液孔を貫通形成可能となる形状を備え、
さらに、前記凸状成形型による成形時に、前記容器本体の注液筒部に、椀状の成形面を有する成形型により、前記凹部の外側に成形した外周面を備えた開口点眼容器。」

訂正事項C
明細書の段落【0009】の【課題を解決するための手段】の記載を、次のように訂正する。
「本発明の請求項1による開口点眼容器の特徴構成は、ブロー成形又は真空成形と同時に液体が密封状態で充填されている熱可塑性材料製の容器本体の先端部に、前記容器本体の先端部が加熱された状態で、凸状成形型によって容器軸線方向から圧接され形成される先端側ほど内径が大となる有底円錐状の凹部を備え、この凹部の底面に、針状成形型を容器軸線方向から圧接して貫通形成することにより、前記容器本体から押出される液滴量を設定量に制御可能な小径の注液孔を備え、さらに、前記凸状成形型による成形時、および、前記針状成形型による成形時の少なくとも何れか一方のときに、前記容器本体の注液筒部に、椀状の成形面を有する成形型により、前記凹部の外側に成形した外周面を備えた点にある。
上記特徴構成によれば、ブロー成形や真空成形等による成形と同時に液体が密封状態で充填されている熱可塑性材料製の容器本体(ボトルパック型の容器本体)を利用して、この容器本体の先端部に、先端側ほど内径が大となる有底円錐状の凹部と、容器本体から押出される液滴量を設定量に制御するための小径の注液孔とを直接形成できる。そのため、射出成形された中栓部材を用いる開口点眼容器に比して容器本体を製造するための金型が少なくて済むととともに、有底円錐状の凹部と小径の注液孔との存在により、容器本体の押圧操作に連れて常に一定量の液体を確実に滴下投与することができる。
しかも、前記凹部を成形する凸状成形型及び前記注液孔を形成する針状成形型を容器軸線方向から圧接するだけであるから、多数の容器本体を移送しながら有底円錐状の凹部と小径の注液孔とを形成することも可能である。
従って、ボトルパック型の容器本体の先端部に中栓機能を発揮させるための有底円錐状の凹部と小径の注液孔とを形成するだけであるから、ボトルパック型の容器本体の持つ利点である製造コスト面での優位性を損なうことなく、常に一定量の液体を確実に滴下投与することができる。
また、凸状成形型の椀状成形面により、容器本体の注液筒部の外周面に突出しているブロー成形時のバリを除去することができる。 本発明による開口点眼容器で特に重要な点は、液滴量を設定量に制御するための小径の注液孔を貫通形成することができる形状をもった凹部を、成形と同時に液体が密封状態で充填されている熱可塑性材料製の容器本体の先端部に形成することである。このことから、本発明の枠内には、そのような凹部が形成された半完成品としての開口点眼容器もはいるものである。
そのような開口点眼容器の構成は、請求項2に記載するように、ブロー成形又は真空成形と同時に液体が密封状態で充填されている熱可塑性材料製の容器本体の先端部に、前記容器本体の先端部が加熱された状態で、凸状成形型によって容器軸線方向から圧接され形成される先端側ほど内径が大となる有底円錐状の凹部を備え、この凹部は、この凹部の底面に容器本体から押出される液滴量を設定量に制御可能な小径の注液孔を貫通形成可能となる形状を備え、さらに、前記凸状成形型による成形時に、前記容器本体の注液筒部に、椀状の成形面を有する成形型により、前記凹部の外側に成形した外周面を備えるという特徴を備えている。」

2-2.訂正の当否

上記訂正事項Aは、凸状成形型を容器本体の先端部に圧接することにより形成される有底円錐状の凹部の態様について、「前記容器本体の先端部が加熱された状態で」との限定を付加するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。そして、これは、実質上特許請求の範囲を拡張又は変更するものではない。
また、上記訂正事項Bも、上記訂正事項Aと同様に、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張又は変更するものではない。
さらに、上記訂正事項Cは、上記訂正事項A及びB、すなわち、請求項1及び2の記載に整合させて発明の詳細な説明の記載を訂正するものであるから、明りょうでない記載の釈明を目的とするものである。そして、これは、願書に添付した明細書に記載した事項の範囲内の訂正であり、かつ、実質上特許請求の範囲を拡張又は変更するものでもない。

以上のとおりであるから、平成19年4月2日付けの訂正は,特許法第134条の2第1項に規定される事項を目的とするものであって、同条第5項の規定によって準用する特許法第126条第3項及び第4項の規定に適合するので、当該訂正を認める。

3.本件発明

平成19年4月2日付けの訂正請求は認められたので、本件の請求項1?9に係る発明(以下、それぞれ順に、「本件発明1」?「本件発明9」という。)は、訂正明細書及び図面の記載からみて、訂正明細書の特許請求の範囲の請求項1?9に記載された事項により特定される、次のとおりのものと認める。(なお、上記訂正明細書における特許請求の範囲の請求項2末尾の「・・・(略)・・・前記凹部の外側に形成にした外周面を備えた開口点眼容器。」との記載のうちの「形成」との記載は、本件発明の内容やこれまでの手続の経緯などからみて、「成形」の誤記であることは明らかであるので、以下、そのように記載されたものとして扱う。)

「【請求項1】 ブロー成形又は真空成形と同時に液体が密封状態で充填されている熱可塑性材料製の容器本体の先端部に、前記容器本体の先端部が加熱された状態で、凸状成形型によって容器軸線方向から圧接され形成される先端側ほど内径が大となる有底円錐状の凹部を備え、
この凹部の底面に、針状成形型を容器軸線方向から圧接して貫通形成することにより、前記容器本体から押出される液滴量を設定量に制御可能な小径の注液孔を備え、
さらに、前記凸状成形型による成形時、および、前記針状成形型による成形時の少なくとも何れか一方のときに、前記容器本体の注液筒部に、椀状の成形面を有する成形型により、前記凹部の外側に成形した外周面を備えた開口点眼容器。
【請求項2】 ブロー成形又は真空成形と同時に液体が密封状態で充填されている熱可塑性材料製の容器本体の先端部に、前記容器本体の先端部が加熱された状態で、凸状成形型によって容器軸線方向から圧接され形成される先端側ほど内径が大となる有底円錐状の凹部を備え、
この凹部は、この凹部の底面に前記容器本体から押出される液滴量を設定量に制御可能な小径の注液孔を貫通形成可能となる形状を備え、
さらに、前記凸状成形型による成形時に、前記容器本体の注液筒部に、椀状の成形面を有する成形型により、前記凹部の外側に成形した外周面を備えた開口点眼容器。
【請求項3】 前記容器本体には、該容器本体の凹部を密封する状態でキャップを脱着自在に螺合装着するためのネジ部が一体形成されている請求項1又は2記載の開口点眼容器。
【請求項4】 前記凹部の深さが2?7mmの範囲に構成されている請求項1、2又は3記載の開口点眼容器。
【請求項5】 前記凹部の先端側の口元径が2?4mmの範囲に構成されている請求項1、2、3又は4記載の開口点眼容器。
【請求項6】 請求項1、3、4又は5記載の開口点眼容器の製造方法であって、ブロー成形又は真空成形と同時に液体が密封状態で充填されている容器本体の先端部に、前記凹部を成形する凸状成形型、及び、前記注液孔を形成する針状成形型を容器軸線方向から圧接し、
さらに、前記凸状成形型による成形時、および、前記針状成形型による成形時の少なくとも何れかのときに、椀状の成形面により前記容器本体の注液筒部の外周面を成形する開口点眼容器の製造方法。
【請求項7】 請求項2記載の開口点眼容器の製造方法であって、ブロー成形又は真空成形と同時に液体が密封状態で充填されている容器本体の先端部に、前記凹部を成形する凸状成形型を容器軸線方向から圧接し、さらに、前記凸状成形型による成形時に、椀状の成形面により前記容器本体の注液筒部の外周面を成形する開口点眼容器の製造方法。
【請求項8】 少なくとも前記凸状成形型で成形される部位を、成形前に加熱手段で座屈しない温度に加熱する請求項6又は7記載の開口点眼容器の製造方法。
【請求項9】 前記凸状成形型と針状成形型とが一体形成されている単一の成形型を用いて、容器の先端部に凹部と注液孔とを成形する請求項6記載の開口点眼容器の製造方法。」

4.請求人及び被請求人の主張の概略

4-1.請求人の主張の概略

請求人は、本件発明1?9の特許を無効とする、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、以下の(1)及び(2)の理由を挙げて、本件発明1?9の特許は特許法第123条第1項第2号に、また、本件発明1?5の特許は特許法第123条第1項第4号にそれぞれ該当するから無効とされるべきであると主張し、証拠方法として甲第1号証?甲第12号証を提出している。

(1)本件発明1?9は、甲第1号証?甲第12号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。
(2)本件発明1?5は、その発明が明確でないから、特許法第36条第6項第2号に規定される要件を満たしていない。

[証拠方法]
甲第1号証:実願昭50-56101号(実開昭51-138446号)の マイクロフィルム
甲第2号証:実願昭52-40230号(実開昭53-136944号)の マイクロフィルム
甲第3号証:実願昭58-147404号(実開昭60-54544号)の マイクロフィルム
甲第4号証:特開平3-212383号公報
甲第5号証:登録実用新案第3056117号公報
甲第6号証:特許第2896770号公報
甲第7号証:特公昭48-33634号公報
甲第8号証:特公平3-66141号公報
甲第9号証:特開平9-314649号公報
甲第10号証:特開平7-33650号公報
甲第11号証:特公平3-61461号公報
甲第12号証:特開平2-139347号公報

4-2.被請求人の主張の概略

これに対して、被請求人は、請求人の主張する無効理由はいずれも失当であり、本件審判の請求は成り立たない旨主張している。

5.当審の判断

5-1.理由(1)について

A.甲号証の記載事項

(a)甲第1号証には、図面とともに次の事項が記載されている。

a-1.「本考案は内部を無塵もしくは無菌状態にした弾性の大きい内部空虚の合成樹脂製密封容器本体(1)の上部を細頸部(2)に形成し、この細頸部頂上に凹入部(3)を設け、この凹入部の底(4)を肉薄とした薬液等の容器にかかるものである。
本考案容器は第1図に示すように完全に密封されている。この容器を例えば製薬会社に送り、そこで内部が無塵状態だけの場合は滅菌を施こし、薬液(例えば目薬)充填用注入針(5)の先を容器細頸部(2)頂上の凹入部(3)に入れ、凹入部底の肉薄部に突き刺し、容器内に薬液を注入する。・・・(中略)・・・また薬液は、容器を逆さにして容器の側壁を押すことにより、注入針で明けられた孔から外部に押し出され・・・(中略)・・・薬液が目薬の場合、第4図のように正確に所要の箇所へ落下する。」(明細書第1ページ第10行?第2ページ第8行)
a-2.「なお、図示のように容器の細頸部(2)と容器本体との間の外周にねじ部(6)を設けると、蓋(7)のねじをそこにねじ込んだとき、蓋の底部に設けた突出部(8)が容器細頸部頂上の凹入部に一杯に密嵌するようにする。」(明細書第2ページ第13行?第17行)
a-3.第1図及び第2図には、容器本体(1)の先端部に、該容器本体(1)の軸線方向上方へ開口する有底の凹入部(3)及びその外側の外周面が形成されている態様が図示されている。また、第3図には、注入針(5)を、容器本体(1)の軸線方向から凹入部底(4)に貫通させている様子が開示されている。さらに、第4図には、逆さにされた容器本体(1)の先端から、液滴が人間の眼球へ向けて滴下する様子が図示されているが、上記a-1.の記載を参酌すれば、そこには、薬液として目薬を用いた場合の、容器本体(1)が開口点眼容器として機能したものが示されていることは明らかといえる。

上記記載事項a-1.?a-3.を総合し、同一符号が付された用語を統一して整理すると、甲第1号証には、「開口点眼容器」に関する物、及び、製造方法の発明として、次の各発明(以下、それぞれ、「甲1発明A」、「甲1発明B」という。)が記載されていると認められる。

甲1発明A
「弾性の大きい合成樹脂製の容器本体の細頸部頂上に有底の凹入部を備え、完全に密封された容器本体の前記凹入部の底に容器本体の軸線方向から注入針を突き刺し貫通させることにより該容器本体内に薬液が注入され、該薬液は、容器本体を逆さにしてその側壁を押すことにより、注入針で明けられた孔から外部に押し出されるとともに、前記凹入部の外側には外周面が形成されており、また、上記細頸部と容器本体との間の外周にはねじ部が設けられ、蓋のねじをそこにねじ込んだとき、蓋の底部に設けた突出部が細頸部頂上の凹入部に一杯に密嵌するようにされている開口点眼容器。」

甲1発明B
「完全に密封された弾性の大きい合成樹脂製の容器本体の細頸部頂上に有底の凹入部を設け、この凹入部の底に、容器本体の軸線方向から注入針を突き刺し貫通させることにより、該容器本体内に薬液を注入するとともに該容器本体を逆さにしてその側壁を押すことにより前記薬液を外部に押し出すための孔を形成した、前記凹入部の外側に外周面を備えた開口点眼容器の製造方法。」

(b)甲第5号証には、図面とともに次の事項が記載されている。

b-1.「【考案の属する技術分野】本考案は、目薬を装填する容器本体に取付けられる目薬容器の点眼用ノズルに関するものである。」(段落【0001】)
b-2.「【従来の技術】従来、この種点眼用ノズルは、図2に示すように、目薬が装填される容器本体Vの上部側に螺合する内ねじをもつ取付部11を備えたノズル本体1からなり、その取付部11の上方内部には前記容器本体Vに開口するエア溜り部12を、またノズル本体1の上端側には前記エア溜り部12に絞り部13を介して連通する目薬滴下通路14を形成している。因みに、従来の病院等で使用される点眼用ノズルの場合は、エア溜り部12が、直径(a)4.5mm、高さ(b)4.7mm、容積(v)74.7mm3 とされ、かつ、目薬滴下通路14が、直径(c)2.0mm、長さ(d)7.0mmとされている。」(段落【0002】)
b-3.「【考案の実施の形態】以下、この考案の一実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は本考案の点眼用ノズルを示しており、このノズルの基本構造は、前述した従来のものと同様であるので、同一符号を付して詳細な説明は省略する。同図のノズルは、ノズル本体1に形成するエア溜り部12を、直径(a)4.5mm、高さ(b)10.5mm、容積(v)166.9mm3 とし、かつ、目薬滴下通路14を、直径(c)2.0mm、長さ(d)5.4mmとしている。図中、15は図略の栓体を取付けるための螺着部である。また、同図の実施形態では、ノズル本体1の取付部11を容器本体Vの上部側に螺着して取付けるようにしたが、本考案は、ノズル本体1を容器本体Vの上部側に圧入して取付けるようにしたものにも適用できる。」(段落【0012】)
b-4.図1及び図2には、点眼用ノズルの縦断面図として、絞り部13よりも大きな径を有して上方へ開口して伸びる目薬滴下通路14が示されるとともに、該通路の長さをd、該通路の上部開口の直径をcとすることが図示されている。

(c)甲第6号証には、図面とともに次の事項が記載されている。

c-1.「【発明の属する技術分野】この発明は、液体、粉粒体などを充填包装する樹脂成形容器を連続して製造することができる、成形と充填とが一貫して可能な樹脂成形容器の製造方法と製造装置とに関する
【従来の技術】従来から、液体、粉粒体などの物質は、例えばアンプルや滴壜、洗剤容器等、樹脂成形容器に充填された状態で商品として流通している。この様な商品に使用される樹脂成形容器は一般にブロー成形又は真空成形により製造され、製造工程中に充填物の充填も行って、容器の原料樹脂と充填物とから商品として流通可能な状態になるまで一貫して加工されるボトルシステムとなっている。」(段落【0001】?【0002】)
c-2.「【発明の実施の形態】このような構成とした樹脂成形容器の製造方法と製造装置を実施するに当たっては、先ず押出し成形器9から熱可塑性合成樹脂がパリソンと呼称する樹脂管3となって本体金型1の中に押出され、次に本体金型1が閉じて容器7の容器底部73に相当する部位の樹脂管3の底部32のシーリングが行われる。
本体金型1が閉じると同時に当該本体金型1の上部に設けた、樹脂管3の上部31の上部開口保持装置4に依り、前記上部31を真空吸引して開口部を保持し、マンドレル2の挿入を容易にする。次にマンドレル2を前記上部31の開口部から挿入して本体金型1の首部を塞ぎ、圧縮空気によりブロー成形により容器本体部71を成形する。この時ブローに換えて真空成形を選択することができる。
続いてマンドレル2の圧縮空気を充填物6に切換えて所定量を充填する。充填物6の充填中、或いは充填終了後に、前記上部31を真空吸引したままで上部開口保持装置4を上方に移動して樹脂管3の上部31即ち容器口部72に相当する部位を延伸し、当該部位の肉厚を所望の厚さの薄肉とする。
次にマンドレル2が後退し、口部スライドコア5が左右から閉じて容器をシールすると同時に、真空吸引して容器口部72が成形される。続いて本体金型1及び上部開口保持装置4並びに口部スライドコア5が開いて容器が取出される。」(段落【0009】?【0012】)

(d)甲第9号証には、図面とともに次の事項が記載されている。

d-1.「【発明の属する技術分野】本発明は、例えば、浣腸容器のような、ノズルを備えた容器本体とキヤップとからなる液体容器の製造方法に関する。」(段落【0001】)
d-2.「本発明の液体容器の製造方法は、まず、2次加工前の容器本体2をポリエチレンのような熱可塑性樹脂を用いて、ブロー成形により成形する。この際、ノズル3の形状は、例えば、図4に示すように、中空の円筒体であって、その端部の開口部が縮径された形状をしたもの、又は図5に示すように、中空の円筒体をその軸方向に垂直に切断した形状をしたもの、のような形状に成形する。」(段落【0010】)
d-3.「次に、ノズル3の口部3aを滑らかな曲面に仕上げると同時に、上記折り返し部3bを成形する。この加工には、例えば、図7?9に示した丸め金型20を用いる。・・・(略)・・・」(段落【0013】)
d-4.「金型本体21は、有底管状体211とその底部中央部に突設された針状体212からなる丸め加工部及び脚部213より構成される。有底管状体211の底部211aは略半球状とされ、その中央部から、下部が円筒体212a、上部が円錐体212b状の形状をした針状体212が突設されている。上記の針状体212の円筒体212aの直径は、2次加工しようとするノズル3の折り返し部3bの内径にほぼ等しくされている。・・・(略)・・・」(段落【0014】)
d-5.「上記の丸め金型20を用いて、丸め加工は以下のようにして行われる。まず、誘導コイル22及び冷却用パイプ23、24に冷却水(例えば、約9℃の水)を通流する。次に、高周波発振器に取り付けられた誘導コイル22に高周波を短時間(例えば、1.5秒)発振し、誘導加熱により金型本体21を最高温度約150℃程度に加熱し発振を停止する。
金型本体21が上記最高温度に達すると同時に、前記のバリ取り加工を終了した後の容器本体2のノズル3の口部3aを、金型本体21の針状体212に被せるようにして(図7に矢印で示した。ただし、図7では、容器本体2は、丸め金型20に対して実際よりも小さく描かれている)差し込んでゆき、口部3aの先端部を、有底管状体211の内部211cに沿わせ、次いで、有底管状体211の内部211cから底面にかけての曲がり形状211eに沿わせてゆき、更に、有底管状体211の底面から針状体212の基部にかけての曲がり形状211fに沿わせつつ押し込み、更に、口部3aの先端部が、針状体212の基部を回り込み、針状体212の基部よりもやや上部にまで達するようにする(ノズル3の口部3aの差し込み開始から、口部3aの先端部が針状体212の基部を回り込み、該基部よりもやや上部にまで達するまでの時間は、短時間でありほぼ瞬時で終了する)。
この状態でしばらく(例えば、約3秒)保持した後、ノズル3の口部3aを金型本体21から抜くことにより丸め加工が終了する。得られた容器本体2は、ノズル3の口部3aが滑らかな曲面に仕上げられていると同時に、折り返し部3bが成形されている。・・・(略)・・・」(段落【0018】?【0020】)
d-6.「次いで、図7に示した丸め金型20(図9に示した針状体212の下部の円筒体212aの直径2.7mm、有底管状体211の内部211c部分の内径6.3mm、有底管状体211の内部211c部分の最上部?有底管状体211の最底面までの長さ4mm、冷却用パイプ23及び24の銅パイプの外径4mm)を用いて、丸め加工した。」(段落【0028】)
d-7.「【発明の効果】本発明の構成は上記の通りであり、本発明の製造方法によれば、バリ跡が残らず、ノズルが変形しない液体容器が得られ、また、バリ取り装置及び丸め加工装置とも複雑な加工装置ではなく簡便なものであり、それぞれの加工に要する時間が大変短い。また、ノズルの口部には折り返し部がついており、キヤップの嵌合部としっかり嵌合されるので、液体をいれた保存時に液漏れが発生せず、また、上記のようにバリ取り加工及び丸め加工がなされるので、使用時に人体を傷つけることがない、液体容器が得られる。」(段落【0033】)
d-8.上記記載事項d-5、d-6によれば、ノズル3の口部3aの口径は、該ノズル3の成形に使用される丸め金型20の円筒体212aの直径が2.7mmであることからして、およそ2.7mm程度であることは明らかである。

B.対比・判断

(1)本件発明1について

本件発明1と物の発明である甲1発明Aとを対比すると、後者の「有底の凹入部」は前者の「有底」の「凹部」に相当し、以下同様に、「容器本体の細頸部頂上」は「容器本体の先端部」に、「凹入部の底」は「凹部の底面」に、「注入針」は「針状成形型」に、それぞれ相当し、また、後者の「容器本体の細頸部頂上」に備えられた「有底の凹入部の外側」に形成された「外周面」は、前者の「容器本体の注液筒部」における「凹部の外側」の「外周面」に相当するものといえる。また、後者の「薬液」と前者の「液体」とは、ともに、「容器本体」に「注入」された「液体」である点で共通しており、また、容器本体の材質に関し、後者の「弾性の大きい合成樹脂」と前者の「熱可塑性材料」とは、いずれも、「合成樹脂」である点で変わりはない。さらに、後者の、「容器本体の軸線方向から注入針を突き刺し貫通」させた「注入針で明けられ」、「容器本体を逆さにしてその側壁を押すことにより」「薬液」を「外部に押し出」す「孔」は、前者の「針状成形型を容器軸線方向から圧接して貫通形成」され、「液滴」を「容器本体から押出」す「小径の注液孔」に相当するものといえる。

してみると、両発明は、本件発明1の記載に倣って表現すると次の点で一致する。

「液体が注入されている合成樹脂製の容器本体の先端部に有底の凹部を備え、この凹部の底面に、針状成形型を容器軸線方向から圧接して貫通形成された、前記容器本体から液滴が押出される小径の注液孔を備え、さらに、前記容器本体の注液筒部における前記凹部の外側に外周面を備えた開口点眼容器。」

また、両者は以下の点で相違する。

(相違点1a)
合成樹脂製の容器本体に関し、前者は、ブロー成形又は真空成形された熱可塑性材料製のものであるのに対し、後者は、そのようなものであるか否か明らかではない点。
(相違点2a)
容器本体への液体の注入に関し、前者では、ブロー成形又は真空成形と同時に密封状態で充填しているのに対し、後者では、完全に密封された容器本体へ、すなわち、容器本体の成形後に液体を注入している点。
(相違点3a)
容器本体の先端部に備えられた凹部の形成について、前者では、容器本体の先端部が加熱された状態で、凸状成形型によって容器軸線方向から圧接され形成されるのに対し、後者では、どのように形成しているのか不明である点。
(相違点4a)
容器本体の先端部に備えられた有底の凹部の形状が、前者では、先端側ほど内径が大となる円錐状であるのに対し、後者では、そのような形状であるのか否か明らかではない点。
(相違点5a)
液滴が押出される小径の注液孔について、前者では、その押出される液滴量を設定量に制御可能であるのに対し、後者では、その点は明示されていない点。
(相違点6a)
容器本体の注液筒部における凹部の外側の外周面を、前者では、凸状成形型による成形時、及び、針状成形型による成形時の少なくとも何れか一方のときに、前記容器本体の注液筒部に、椀状の成形面を有する成形型により成形しているのに対し、後者では、どのように成形しているのか不明である点。

上記相違点1a?6aについて判断する。

(相違点1a)について
合成樹脂製の容器の製造において、該容器を熱可塑性材料を用いてブロー成形又は真空成形により成形することは、例えば、甲第6号証、甲第8号証、甲第9号証などにも開示されるように周知の技術であるから、甲1発明Aにおける容器本体の成形に際しても、上記周知技術を採用して上記相違点1aに係る本件発明1の発明特定事項とすることは、当業者であれば容易に想到しうることというべきである。

(相違点2a)について
本件発明1においては、容器本体への液体の注入は該容器本体の成形と同時に密封状態で充填するように行われ、その後に注液孔が形成されているが、本件発明1は「開口点眼容器」という物の発明であり、本件発明1において、上記のように、容器本体への液体の注入を「容器本体の成形と同時に密封状態で充填」されるようなタイミングで行った点は、最終的な製品としての「開口点眼容器」という物を特定する事項として、容器本体の成形後に液体の注入及び注液孔の形成を同時に行っている甲1発明Aの「開口点眼容器」との対比において、何らの区別を与えるものではない。したがって、両者は、上記相違点2aにおいて実質的に相違しているとはいえない。

(相違点3a)について
一般に、容器の成形において、一旦ブロー成形された容器の一部を加熱し、そこに特定形状の型を圧接させる後加工によって容器を所望の形状に成形することは、従来周知の技術である(例えば、特開昭54-91566号公報、特開昭61-192539号公報を参照。)。
一方、甲第9号証には、上記d-1.?d-8.の記載事項を総合すると、浣腸容器のような、ブロー成形されたノズルを備えた容器において、該ノズルに加熱された所定形状の型を圧接することにより、口径2.7mm程度の口部を形成する旨の記載があり、いいかえれば、そこには、口径2.7mm程度の口部を有するような小型のブロー成形容器に対しても、該容器を加熱しつつ成形型を圧接させて後加工を行う技術が示されているといえる。
してみれば、甲1発明Aの開口点眼容器における凹部の形成に際しても、該点眼容器と同様の小型の容器に後加工を施す上記甲第9号証に開示の技術を踏まえ、上記周知の容器成形技術を適用して、上記相違点3aに係る本件発明1の発明特定事項とすることが、当業者にとって格別困難であるということはできない。

(相違点4a)について
一般に、注液部として機能する開口点眼容器先端の有底の凹部形状を、先端側ほど内径が大となる円錐状とすることは、甲第3号証や甲第4号証にも記載されるように周知の技術であり、これを、甲1発明Aにおける開口点眼容器先端の凹部の形成においても適用して、上記相違点4aに係る本件発明1の発明特定事項とすることは、当業者であれば容易に想到しうることというべきである。

なお、被請求人は、答弁書及び口頭審理陳述要領書において、上記甲第3号証及び甲第4号証に記載の注液部は、容器本体とは別に樹脂の射出成形法より形成されたものであることが明らかであって、容器本体がブロー成形等で形成される本件発明とは技術分野が異なるものであり、それら甲第3、4号証に記載の注液部の凹部形状を甲第1号証に記載の容器に組み合わせて本件発明とすることには阻害要因がある旨主張している。しかしながら、点眼容器の注液部として機能させる上での凹部の望ましい形状は、該注液部の成形方法の相違により左右されるものではないから、上記被請求人の主張は当を得たものとはいえない。また、ブロー成形されたノズルに後加工によって寸法の小さな成形を行うことは、上述したように、甲第9号証に記載されるように公知であることから、かかる凹部形状の形成が後加工によっては不可能と思われていたとも認められない。

(相違点5a)について
甲1発明Aも、本件発明1と同じく、容器本体の注液孔から液滴を押出す開口点眼容器であり、そのような点眼容器としての使用目的や機能をかんがみれば、甲1発明Aの注液孔も、程度の差こそあれ、本件発明1と同様に、容器本体から押出される液滴量が所望の設定量に制御可能となるような構成を有していることは当然のことといえる。したがって、上記相違点5aにおいて両者は実質的に相違しているとはいえない。

ところで、本件発明1の「容器本体から押出される液滴量を設定量に制御可能」との点に関し、本件明細書の段落【0009】には、「【課題を解決するための手段】・・・(略)・・・有底円錐状の凹部と小径の注液孔との存在により、容器本体の押圧操作に連れて常に一定量の液体を確実に滴下投与することができる。・・・(略)・・・」との記載があり、また、被請求人は、口頭審理陳述要領書の「5.(2)陳述要望事項2について」において、「本件発明は『ボトルパック型の容器本体の先端部に中栓機能を発揮させるための有底円錐状の凹部と小径の注液口とを形成する』ものである。すなわち、本発明の『有底円錐状の凹部6b及び小径の注液孔6c』は、従来の射出成形による中栓部材と同様な形状であり、液滴量の制御についても射出成形による中栓部材と同様である。」と述べている。 そこで、念のため、本件発明1の「容器本体から押出される液滴量を設定量に制御可能」との発明特定事項が、「有底円錐状の凹部と小径の注液孔」という構成に特有のものと解釈し、上記相違点5aについて検討したとしても、有底の凹部と小径の注液孔とを有する甲1発明Aの開口点眼容器において該凹部の形状を「円錐状」とすることは、上記相違点4aにおいて検討したとおり当業者が容易に想到できたことであるから、結局、本件発明1における「容器本体から押出される液滴量を設定量に制御可能」との点も、当業者にとって想到容易なことというべきである。

(相違点6a)について
開口点眼容器は、その先端部を人間の眼球に近接させて使用するものであるから、安全性を考慮し、該先端部を、容器製造時のバリや凹凸等が存在しないような、極力滑らかな曲面で形成すべきことは自明の技術事項であり、一方、容器成形後に、バリなどの不要な部分を除去するために、所望の成形面を有する成形型を用いて容器の所定箇所を成形することは、例えば、甲第6号証、甲第7号証、甲第8号証にも記載されるように周知の技術にすぎないから、甲1発明Aの注液筒部においても、上記自明の技術事項を考慮しつつ、該周知の技術を適用して上記相違点6aに係る本件発明1の発明特定事項とすることは、当業者であれば容易に想到しうることである。

そして、本件発明1が奏する作用効果も、甲1発明A、甲第9号証に記載の発明、及び、周知技術から当業者が予測し得る範囲のものである。

したがって、本件発明1は、甲1発明A、甲第9号証に記載の発明、及び、周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

(2)本件発明2について

本件発明2は、本件発明1の発明特定事項のうち、「凹部」の態様について、「この凹部の底面に、針状成形型を容器軸線方向から圧接して貫通形成することにより、前記容器本体から押出される液滴量を設定量に制御可能な小径の注液孔を備え」としたものを、「この凹部は、この凹部の底面に前記容器本体から押出される液滴量を設定量に制御可能な小径の注液孔を貫通形成可能となる形状を備え」とし、また、「外周面」の成形について、「前記凸状成形型による成形時、および、前記針状成形型による成形時の少なくとも何れか一方のときに」としたものを、「前記凸状成形型による成形時に」として、それぞれその限定を緩和したものである。そうすると、本件発明2の発明特定事項についてさらなる限定を付加した本件発明1が、上記「(1)本件発明1について」において検討したように当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件発明2も、同様の理由により、当業者が容易に発明をすることができたものといえる。
なお、ブロー成形時に液体を充填すること自体は周知の技術である。

(3)本件発明3について

本件発明3と物の発明である甲1発明Aとを対比すると、後者において、「容器本体」の「細頸部と容器本体との間の外周にはねじ部が設けられ、蓋のねじをそこにねじ込んだとき、蓋の底部に設けた突出部が細頸部頂上の凹入部に一杯に密嵌するようにされている」ことは、その機能・作用からみて、前者において、「容器本体には、該容器本体の凹部を密封する状態でキャップを脱着自在に螺合装着するためのネジ部が一体形成されている」ことと変わりはない。
してみると、本件発明3は本件発明1を引用するものであるから、本件発明3と甲1発明Aとは、
「液体が注入されている合成樹脂製の容器本体の先端部に有底の凹部を備え、この凹部の底面に、針状成形型を容器軸線方向から圧接して貫通形成された、前記容器本体から液滴が押出される小径の注液孔を備え、さらに、前記容器本体の注液筒部における前記凹部の外側に外周面を備え、前記容器本体には、該容器本体の凹部を密封する状態でキャップを脱着自在に螺合装着するためのネジ部が一体形成されている開口点眼容器。」
である点で一致し、上記「(1)本件発明1について」に記載した相違点1a?6aにおいて相違するが、該相違点1a?6aについての判断は、上記「(1)本件発明1について」に示したとおりである。

そして、本件発明3が奏する作用効果も、甲1発明A、甲第9号証に記載の発明、及び、周知技術から当業者が予測し得る範囲のものである。

したがって、本件発明3は、甲1発明A、甲第9号証に記載の発明、及び、周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

(4)本件発明4について

本件発明4は本件発明1を引用するものであるから、本件発明4と物の発明である甲1発明Aとを対比すると、両者は、上記「(1)本件発明1について」に示した点で一致するとともに、上記相違点1a?6aに加え、次の点で相違する。

(相違点7)凹部の深さについて、前者では、2?7mmの範囲に構成されているのに対し、後者では、その深さが明らかではない点。

相違点1a?6aについての判断は、上記「(1)本件発明1について」に示したとおりであるから、以下、上記相違点7について検討する。
甲第5号証には、上記b-1.?b-4.の記載事項からみて、目薬容器の点眼用ノズルにおいて、ノズル本体1に設けた目薬滴下通路14の長さ(d)を5.4mmや7.0mmとすること、すなわち、本件発明4の用語を用いて表現すれば、容器本体先端の凹部の深さを2?7mmの範囲に含まれる値とする技術が開示されており、そもそも、該凹部の深さを2?7mm程度とすることは、開口点眼容器において通常採用されているものにすぎないから、それらを考慮し、甲1発明Aの開口点眼容器の凹部形成に際しても、その深さを2?7mmとして上記相違点7に係る本件発明4の発明特定事項とすることは、当業者であれば容易に想到しうることである。

そして、本件発明4が奏する作用効果も、甲1発明A、甲第5、9号証に記載の発明、及び、周知技術から当業者が予測し得る範囲のものである。

したがって、本件発明4は、甲1発明A、甲第5、9号証に記載の発明、及び、周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

(5)本件発明5について

本件発明5は本件発明1を引用するものであるから、本件発明5と物の発明である甲1発明Aとを対比すると、両者は、上記「(1)本件発明1について」に示した点で一致するとともに、上記相違点1a?6aに加え、次の点で相違する。

(相違点8)凹部の先端側の口元径について、前者では、2?4mmの範囲に構成されているのに対し、後者では、その口元径が明らかではない点。

相違点1a?6aについての判断は、上記「(1)本件発明1について」に示したとおりであるから、以下、上記相違点8について検討する。
甲第5号証には、上記b-1.?b-4.の記載事項からみて、目薬容器の点眼用ノズルにおいて、ノズル本体1に設けた目薬滴下通路14の上部開口の直径(c)を2.0mmとすること、すなわち、本件発明5の用語を用いて表現すれば、容器本体先端の凹部の口元径を2?4mmの範囲に含まれる値とする技術が開示されており、そもそも、該凹部の口元径を2?4mm程度とすることは、開口点眼容器において通常採用されているものにすぎないから、それらを考慮し、甲1発明Aの開口点眼容器の凹部形成に際しても、その口元径を2?4mmとして上記相違点8に係る本件発明5の発明特定事項とすることは、当業者であれば容易に想到しうることである。

そして、本件発明5が奏する作用効果も、甲1発明A、甲第5、9号証に記載の発明、及び、周知技術から当業者が予測し得る範囲のものである。

したがって、本件発明5は、甲1発明A、甲第5、9号証に記載の発明、及び、周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

(6)本件発明6について

本件発明6は上記「3.本件発明」において認めたとおりのものであるが、本件発明1を引用するものであるから、以下のように表現することができる。

「ブロー成形又は真空成形と同時に液体が密封状態で充填されている熱可塑性材料製の容器本体の先端部に、前記容器本体の先端部が加熱された状態で、凸状成形型によって容器軸線方向から圧接され形成される先端側ほど内径が大となる有底円錐状の凹部を備え、
この凹部の底面に、針状成形型を容器軸線方向から圧接して貫通形成することにより、前記容器本体から押出される液滴量を設定量に制御可能な小径の注液孔を備え、
さらに、前記凸状成形型による成形時、および、前記針状成形型による成形時の少なくとも何れか一方のときに、前記容器本体の注液筒部に、椀状の成形面を有する成形型により、前記凹部の外側に成形した外周面を備えた開口点眼容器の製造方法であって、
ブロー成形又は真空成形と同時に液体が密封状態で充填されている容器本体の先端部に、前記凹部を成形する凸状成形型、及び、前記注液孔を形成する針状成形型を容器軸線方向から圧接し、
さらに、前記凸状成形型による成形時、および、前記針状成形型による成形時の少なくとも何れかのときに、椀状の成形面により前記容器本体の注液筒部の外周面を成形する開口点眼容器の製造方法。」

さらに、これにおいて、重複した事項を整理して表現し直せば、本件発明6は次のとおりのものと認めることができる。

「ブロー成形又は真空成形と同時に液体が密封状態で充填されている熱可塑性材料製の容器本体の先端部に、前記容器本体の先端部が加熱された状態で、凸状成形型を容器軸線方向から圧接することにより先端側ほど内径が大となる有底円錐状の凹部を形成し、
この凹部の底面に、針状成形型を容器軸線方向から圧接して貫通することにより、前記容器本体から押出される液滴量を設定量に制御可能な小径の注液孔を形成し、
さらに、前記凸状成形型による成形時、および、前記針状成形型による成形時の少なくとも何れか一方のときに、前記容器本体の注液筒部に、椀状の成形面を有する成形型により、前記凹部の外側の外周面を成形する開口点眼容器の製造方法。」

そこで、本件発明6と製造方法の発明である甲1発明Bとを対比すると、後者の「有底の凹入部」は前者の「有底」の「凹部」に相当し、以下同様に、「容器本体の細頸部頂上」は「容器本体の先端部」に、「凹入部の底」は「凹部の底面」に、「注入針」は「針状成形型」に、それぞれ相当し、また、後者の「容器本体の細頸部頂上」に備えられた「有底の凹入部の外側」の「外周面」は、前者の「容器本体の注液筒部」における「凹部の外側」の「外周面」に相当するものといえる。また、後者の「薬液」と前者の「液体」とは、ともに、「容器本体」に「注入」された「液体」である点で共通しており、また、容器本体の材質に関し、後者の「弾性の大きい合成樹脂」と前者の「熱可塑性材料」とは、いずれも、「合成樹脂」である点で変わりはない。さらに、後者において、「容器本体の軸線方向から注入針を突き刺し貫通させることにより、」「該容器本体を逆さにしてその側壁を押すことにより」「薬液を外部に押し出すための孔を形成」することは、前者において、「針状成形型を容器軸線方向から圧接して貫通することにより、」「液滴」を「容器本体から押出」す「小径の注液孔を形成」することに相当するといえる。

してみると、両発明は、本件発明6の記載に倣って表現すると次の点で一致する。

「合成樹脂製の容器本体の先端部に有底の凹部を設け、この凹部の底面に、針状成形型を容器軸線方向から圧接して貫通することにより、液滴を容器本体から押出す小径の注液孔を形成した、前記容器本体の注液筒部における前記凹部の外側に外周面を備えた開口点眼容器の製造方法。」

また、両者は以下の点で相違する。

(相違点1b)
合成樹脂製の容器本体に関し、前者は、ブロー成形又は真空成形された熱可塑性材料製のものであるのに対し、後者は、そのようなものであるか否か明らかではない点。
(相違点2b)
容器本体への液体の注入に関し、前者では、ブロー成形又は真空成形と同時に密封状態で充填しているのに対し、後者では、完全に密封された容器本体へ、すなわち、容器本体の成形後に液体を注入している点。
(相違点3b)
容器本体の先端部に設けられた凹部の形成について、前者では、容器本体の先端部が加熱された状態で、凸状成形型によって容器軸線方向から圧接され形成されるのに対し、後者では、どのように形成しているのか不明である点。
(相違点4b)
容器本体の先端部に設けられた有底の凹部の形状が、前者では、先端側ほど内径が大となる円錐状であるのに対し、後者では、そのような形状であるのか否か明らかではない点。
(相違点5b)
液滴が押出される小径の注液孔について、前者では、その押出される液滴量を設定量に制御可能であるのに対し、後者では、その点は明示されていない点。
(相違点6b)
容器本体の注液筒部における凹部の外側の外周面を、前者では、凸状成形型による成形時、及び、針状成形型による成形時の少なくとも何れか一方のときに、前記容器本体の注液筒部に、椀状の成形面を有する成形型により成形しているのに対し、後者では、どのように成形しているのか不明である点。

上記相違点1b?6bについて判断する。

上記相違点1b?6bのうち、相違点1b、3b?6bについての判断は、それぞれ、上記「(1)本件発明1について」での相違点1a、3a?6aについての説示において、「甲1発明A」を「甲1発明B」に、「本件発明1」を「本件発明6」に、「相違点1a、3a?6a」の各々を「相違点1b、3b?6b」の各々に、それぞれ置き換えたものと同様であるが、相違点2aについての上記「(1)本件発明1について」での判断は、本件発明1が物の発明であることを踏まえてなされたものであるから、上記相違点2bについては、方法の発明である本件発明6に係る相違点として、以下に判断する。

甲第6号証には、上記c-1.?c-2.の記載事項からみて、ブロー成形又は真空成形により樹脂成形容器を製造する工程中に液体等を該容器へ充填してからシールすること、すなわち、本件発明6の用語を用いて表現すれば、容器本体のブロー成形又は真空成形と同時に液体を密封状態で充填する技術が開示されているといえる。
そして、甲1発明Bにおいては、容器本体の成形後に液体が注入されているが、これは、甲第1号証における上記a-1.の記載事項を勘案すれば、容器の製造・供給事業所(容器メーカー)と液体(薬液)の充填事業所(製薬会社)が異なるなどの事情によるものであるのは明らかといえるから、もし、そのような流通上の事情が存在しない状況下であれば、甲1発明Bにおいても、上記甲第6号証に記載された液体の充填技術を採用し、容器本体の成形と同時に液体の充填を行って上記相違点2bに係る本件発明6の発明特定事項とすることは、当業者であれば容易に想到しうることというべきである。

そして、本件発明6が奏する作用効果も、甲1発明B、甲第6、9号証に記載の発明、及び、周知技術から当業者が予測し得る範囲のものである。

したがって、本件発明6は、甲1発明B、甲第6、9号証に記載の発明、及び、周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

(7)本件発明7について

本件発明7は、上記「3.本件発明」において認めたとおりのものであるが、本件発明2を引用するものであるから、上記「(6)本件発明6について」と同様に、重複した事項を整理して表現し直せば、本件発明7は次のとおりのものと認めることができる。

「ブロー成形又は真空成形と同時に液体が密封状態で充填されている熱可塑性材料製の容器本体の先端部に、前記容器本体の先端部が加熱された状態で、凸状成形型を容器軸線方向から圧接することにより、先端側ほど内径が大となる有底円錐状であって、その底面に前記容器本体から押出される液滴量を設定量に制御可能な小径の注液孔を貫通成形可能となる形状を備えた凹部を形成し、
さらに、前記凸状成形型による成形時に、前記容器本体の注液筒部に、椀状の成形面を有する成形型により、前記凹部の外側の外周面を成形する開口点眼容器の製造方法。」

本件発明7は、本件発明6の発明特定事項のうち、「凹部」の態様について、「底面に、針状成形型を容器軸線方向から圧接して貫通形成することにより、前記容器本体から押出される液滴量を設定量に制御可能な小径の注液孔を形成し」としたものを、「底面に前記容器本体から押出される液滴量を設定量に制御可能な小径の注液孔を貫通成形可能となる形状を備え」とし、また、「外周面」の成形について、「前記凸状成形型による成形時、および、前記針状成形型による成形時の少なくとも何れか一方のときに」としたものを、「前記凸状成形型による成形時に」として、それぞれその限定を緩和したものである。そうすると、本件発明7の発明特定事項についてさらなる限定を付加した本件発明6が、上記「(6)本件発明6について」において検討したように当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件発明7も、同様の理由により、当業者が容易に発明をすることができたものといえる。

(8)本件発明8について

本件発明8は本件発明6を引用するものであるから、本件発明8と製造方法の発明である甲1発明Bとを対比すると、両者は、上記「(6)本件発明6について」に示した点で一致するとともに、上記相違点1b?6bに加え、次の点で相違する。

(相違点9)凹部の形成に際して、前者では、少なくとも前記凸状成形型で成形される部位を、成形前に加熱手段で座屈しない温度に加熱しているのに対し、後者では、そのようにしているか明らかではない点。

相違点1b?6bについての判断は、上記「(6)本件発明6について」に示したとおりであるから、以下、上記相違点9について検討する。
容器本体の凹部の成形を該成形部位が加熱された状態で凸状成形型により行うことが当業者にとって甲1発明Bから想到容易であることについては、上記「(6)本件発明6について」の相違点3bについての判断において示したとおりである。そして、容器を凸状成形型によって加熱成形する際に、その加熱温度を容器が座屈しない程度のものに設定することは、成形の目的からして当業者にとって自明のことにすぎない。

そして、本件発明8が奏する作用効果も、甲1発明B、甲第6、9号証に記載の発明、及び、周知技術から当業者が予測し得る範囲のものである。

したがって、本件発明8は、甲1発明B、甲第6、9号証に記載の発明、及び、周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

(9)本件発明9について

本件発明9は本件発明6を引用するものであるから、本件発明9と製造方法の発明である甲1発明Bとを対比すると、両者は、上記「(6)本件発明6について」に示した点で一致するとともに、上記相違点1b?6bに加え、次の点で相違する。

(相違点10)容器の先端部に凹部と注液孔とを形成するにあたり、前者では、凸状成形型と針状成形型とが一体形成されている単一の成形型を用いているのに対し、後者では、上記注液孔は針状成形型で形成され、上記凹部はどのように形成しているのか不明である点。

相違点1b?6bについての判断は、上記「(6)本件発明6について」に示したとおりであるから、以下、上記相違点10について検討する。
容器先端の凹部の成形を凸状成形型により行うことが当業者にとって甲1発明Bから想到容易であることについては、上記「(6)本件発明6について」の相違点3bについての判断において示したとおりである。そして、上記凹部と注液孔とを、それぞれ凸状成形型と針状成形型とを用いて成形型で形成しようとするときに、それら各成形型を別々に用いるか、あるいは、それら各成形型の形状を合わせて一体とした単一の成形型を用いるかは、当業者が作業効率等を勘案して適宜決定し得る設計的事項にすぎない。

そして、本件発明9が奏する作用効果も、甲1発明B、甲第6、9号証に記載の発明、及び、周知技術から当業者が予測し得る範囲のものである。

したがって、本件発明9は、甲1発明B、甲第6、9号証に記載の発明、及び、周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

5-2.理由(2)について

請求人は、審判請求書及び弁駁書において、本件明細書の特許請求の範囲の請求項1?5は、開口点眼容器という物の発明でありながら、その各部の構成が製造方法によって特定される形式で記載されており、本件発明1?5に係る容器が、それら製法によって得られるものに特定(限定)されるか否かについて疑念を生じるものとなっているから、上記請求項1?5の記載では、発明の範囲が不明確である、旨主張している。
ところで、請求項が製造方法による物の特定を含む結果、発明の範囲が不明確となるか否かの検討は、当業者が、出願時の技術常識を考慮して、請求項に記載された当該物を特定するための事項から、当該製造方法により製造される具体的な物を想定できる場合は、発明の範囲は明確であり、発明を明確に把握することができる、と判断することにより行っている。そこで検討すると、確かに、本件明細書の請求項1?5の記載においては、開口点眼容器の各部分の構成を特定するために製造方法的な表現が用いられているが、それら製造方法的な表現に係る手段によって得られるものを、上記点眼容器の各部分を特定する具体的な物の態様として想定することが困難とはいえない。よって、本件発明1?5の範囲が不明確であるということはできない。
したがって、請求人の主張する理由(2)は採用できない。

6.むすび

以上のとおりであるから、本件発明1?9は、請求人の主張する理由(1)のとおり、特許法第29条第2項の規定に違反して特許されたものである。
したがって、本件発明1?9に係る特許は、同法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきものである。

また、審判に関する費用については、特許法第169条第2項の規定で準用する民事訴訟法第61条の規定により、被請求人が負担すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
開口点眼容器及びそれの製造方法
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブロー成形又は真空成形と同時に液体が密封状態で充填されている熱可塑性材料製の容器本体の先端部に、前記容器本体の先端部が加熱された状態で、凸状成形型によって容器軸線方向から圧接され形成される先端側ほど内径が大となる有底円錐状の凹部を備え、
この凹部の底面に、針状成形型を容器軸線方向から圧接して貫通形成することにより、前記容器本体から押出される液滴量を設定量に制御可能な小径の注液孔を備え、
さらに、前記凸状成形型による成形時、および、前記針状成形型による成形時の少なくとも何れか一方のときに、前記容器本体の注液筒部に、椀状の成形面を有する成形型により、前記凹部の外側に成形した外周面を備えた開口点眼容器。
【請求項2】
ブロー成形又は真空成形と同時に液体が密封状態で充填されている熱可塑性材料製の容器本体の先端部に、前記容器本体の先端部が加熱された状態で、凸状成形型によって容器軸線方向から圧接され形成される先端側ほど内径が大となる有底円錐状の凹部を備え、
この凹部は、この凹部の底面に前記容器本体から押出される液滴量を設定量に制御可能な小径の注液孔を貫通形成可能となる形状を備え、
さらに、前記凸状成形型による成形時に、前記容器本体の注液筒部に、椀状の成形面を有する成形型により、前記凹部の外側に形成した外周面を備えた開口点眼容器。
【請求項3】
前記容器本体には、該容器本体の凹部を密封する状態でキャップを脱着自在に螺合装着するためのネジ部が一体形成されている請求項1又は2記載の開口点眼容器。
【請求項4】
前記凹部の深さが2?7mmの範囲に構成されている請求項1、2又は3記載の開口点眼容器。
【請求項5】
前記凹部の先端側の口元径が2?4mmの範囲に構成されている請求項1、2、3又は4記載の開口点眼容器。
【請求項6】
請求項1、3、4又は5記載の開口点眼容器の製造方法であって、ブロー成形又は真空成形と同時に液体が密封状態で充填されている容器本体の先端部に、前記凹部を成形する凸状成形型、及び、前記注液孔を形成する針状成形型を容器軸線方向から圧接し、
さらに、前記凸状成形型による成形時、および、前記針状成形型による成形時の少なくとも何れかのときに、椀状の成形面により前記容器本体の注液筒部の外周面を成形する開口点眼容器の製造方法。
【請求項7】
請求項2記載の開口点眼容器の製造方法であって、ブロー成形又は真空成形と同時に液体が密封状態で充填されている容器本体の先端部に、前記凹部を成形する凸状成形型を容器軸線方向から圧接し、さらに、前記凸状成形型による成形時に、椀状の成形面により前記容器本体の注液筒部の外周面を成形する開口点眼容器の製造方法。
【請求項8】
少なくとも前記凸状成形型で成形される部位を、成形前に加熱手段で座屈しない温度に加熱する請求項6又は7記載の開口点眼容器の製造方法。
【請求項9】
前記凸状成形型と針状成形型とが一体形成されている単一の成形型を用いて、容器の先端部に凹部と注液孔とを成形する請求項6記載の開口点眼容器の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、医療用点眼液に用いる開口点眼容器及びそれの製造方法の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
医療用点眼液においては点眼量を一定量に制御する必要がある。
この点眼量を制御できる一般的な開口点眼容器としては、成形された容器本体の筒状口部に、射出成形品の中栓部材を内嵌固定し、この中栓部材には、先端側ほど内径が大となる有底円錐状の凹部と、該凹部の底面中心位置で内外に貫通して、容器本体から押出される液滴量を制御する小径の注液孔とを形成するとともに、前記容器本体の筒状口部の外周面に形成された雄ネジ部に、中栓部材の有底円錐状凹部を嵌合状態で密封するための栓状突起を備えた射出成形品のキャップを螺合装着したものが汎用されている。
【0003】
この開口点眼容器による場合は、中栓部材に形成された有底円錐状の凹部及び該凹部の底面中心位置に貫通形成された小径の注液孔との存在により、容器本体の押圧操作に連れて常に一定量の液体を確実に滴下投与することができるものの、3つの部材をそれぞれ各別に射出成形するための金型が必要で、また各部材の洗浄・滅菌作業が必要となり、製造コストが高くなる。
【0004】
一方、製造コストを下げ,且つ、開口点眼容器としての機能を保持させ得る容器として一体成形容器が使用されている。この容器においては、ブロー成形又は真空成形と同時に液体が充填・封入されている熱可塑性材料製の容器本体(通称、ボトルパック型の容器本体)のうち、先端部側の外周面に形成した雄ネジ部に、容器本体の先端部に注液孔を貫通形成するための針状突起を一体形成してあるキャップを脱着自在に螺合して、該キャップの通常の閉止位置よりも一段深い締込み側への螺合操作により、キャップの針状突起で容器本体の先端部に注液孔を貫通形成するように構成していた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上述のボトルパック型の開口点眼容器では、射出成形された中栓部材を用いる開口点眼容器に比して製造コストの低廉化を図ることができる利点を有するものの、容器本体の先端部をキャップの針状突起で突き破りながら注液孔を形成するため、キャップの通常閉止位置からの締込み側への螺合操作量が適切に行われないと、注液孔の形状や大きさが不均一となり、容器本体から押出される液滴量の変動を招来する可能性がある。
【0006】
また、容器本体の先端部に注液孔が貫通形成された後において、キャップを通常閉止位置よりも締込み側に過剰操作すると、その過剰な締込み操作の度に、キャップの針状突起で注液孔を拡張することになり、容器本体から押出される液滴量が次第に増大する可能性がある。
【0007】
そのため、開口点眼容器の使用方法についての十分な説明が必要となるが、例え、十分な説明を施しても、キャップを締込み側へ適当に螺合操作して穿孔したり、或いは、キャップを過剰に締込み操作することがあるため、前述のような誤った使用を確実に回避することは困難であった。
【0008】
本発明は、上述の実状に鑑みて為されたものであって、その第1の主たる課題は、ボトルパック型の容器本体の持つ利点である製造コスト面での優位性を損なうことなく、容器本体の押圧操作に連れて常に一定量の液体を確実に滴下投与することができる開口点眼容器を提供する点にあり、第2の主たる課題は、製造コストの低廉化を促進することのできる製造方法を提供する点にある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1による開口点眼容器の特徴構成は、ブロー成形又は真空成形と同時に液体が密封状態で充填されている熱可塑性材料製の容器本体の先端部に、前記容器本体の先端部が加熱された状態で、凸状成形型によって容器軸線方向から圧接され形成される先端側ほど内径が大となる有底円錐状の凹部を備え、この凹部の底面に、針状成形型を容器軸線方向から圧接して貫通形成することにより、前記容器本体から押出される液滴量を設定量に制御可能な小径の注液孔を備え、さらに、前記凸状成形型による成形時、および、前記針状成形型による成形時の少なくとも何れか一方のときに、前記容器本体の注液筒部に、椀状の成形面を有する成形型により、前記凹部の外側に成形した外周面を備えた点にある。
上記特徴構成によれば、ブロー成形や真空成形等による成形と同時に液体が密封状態で充填されている熱可塑性材料製の容器本体(ボトルパック型の容器本体)を利用して、この容器本体の先端部に、先端側ほど内径が大となる有底円錐状の凹部と、容器本体から押出される液滴量を設定量に制御するための小径の注液孔とを直接形成できる。そのため、射出成形された中栓部材を用いる開口点眼容器に比して容器本体を製造するための金型が少なくて済むととともに、有底円錐状の凹部と小径の注液孔との存在により、容器本体の押圧操作に連れて常に一定量の液体を確実に滴下投与することができる。
しかも、前記凹部を成形する凸状成形型及び前記注液孔を形成する針状成形型を容器軸線方向から圧接するだけであるから、多数の容器本体を移送しながら有底円錐状の凹部と小径の注液孔とを形成することも可能である。
従って、ボトルパック型の容器本体の先端部に中栓機能を発揮させるための有底円錐状の凹部と小径の注液孔とを形成するだけであるから、ボトルパック型の容器本体の持つ利点である製造コスト面での優位性を損なうことなく、常に一定量の液体を確実に滴下投与することができる。
また、凸状成形型の椀状成形面により、容器本体の注液筒部の外周面に突出しているブロー成形時のバリを除去することができる。本発明による開口点眼容器で特に重要な点は、液滴量を設定量に制御するための小径の注液孔を貫通形成することができる形状をもった凹部を、成形と同時に液体が密封状態で充填されている熱可塑性材料製の容器本体の先端部に形成することである。このことから、本発明の枠内には、そのような凹部が形成された半完成品としての開口点眼容器もはいるものである。
そのような開口点眼容器の構成は、請求項2に記載するように、ブロー成形又は真空成形と同時に液体が密封状態で充填されている熱可塑性材料製の容器本体の先端部に、前記容器本体の先端部が加熱された状態で、凸状成形型によって容器軸線方向から圧接され形成される先端側ほど内径が大となる有底円錐状の凹部を備え、この凹部は、この凹部の底面に前記容器本体から押出される液滴量を設定量に制御可能な小径の注液孔を貫通形成可能となる形状を備え、さらに、前記凸状成形型による成形時に、前記容器本体の注液筒部に、椀状の成形面を有する成形型により、前記凹部の外側に形成した外周面を備えるという特徴を備えている。
【0010】
本発明の請求項3による開口点眼容器の特徴構成は、前記容器本体に、該容器本体の凹部を密封するキャップを脱着自在に螺合装着するためのネジ部が一体形成されている点にある。
上記特徴構成によれば、容器本体の成形と同時に、キャップを螺合装着するためのネジ部も形成することができるから、製造コストの低廉化を促進することができる。
【0011】
本発明の請求項4による開口点眼容器の特徴構成は、前記凹部の深さが2?7mmの範囲に構成されている点にある。
上記特徴構成によれば、前記凹部の深さはできるだけ深い方が望ましいが、歩留まりや安定した中栓機能を得る等の技術面から、5?7mmの範囲にあることが望ましいが、最も好ましくは6mm程度である。この凹部深さが適切な値より小さくなると、凹部の周囲に形成される容器内の環状の空間(液溜まり)に表面張力によって溜まる液によってその凹部の先端部、つまり注液孔が覆われ、容器を手で持った際に生じる圧力でその液溜まりの液が注液孔を通じて飛び出すといった問題が生じる。また、この凹部深さが適切な値より大きくなると、この凹部を形成する工程時に、凹部に亀裂がはいるといった不良が生じやすくなる。このような相反する条件を満たす最適解が6mmである。しかし、表面張力が小さい薬液の場合には液溜まりの量を少なく、凹部の深さはそれほど必要ではないので、凹部の深さを浅く設計することもできる。
【0012】
本発明の請求項5による開口点眼容器の特徴構成は、前記凹部の先端側の口元径が2?4mmの範囲に構成されている点にある。
上記特徴構成によれば、容器本体に充填される液体の液性(表面張力、粘度)に合わせてφ2.0mm?φ4.0mmの範囲内で調整する。
1滴量を一定化(目的に合わせて1滴量当たり25?50ミクロンリットルの範囲内に調整)するため、表面張力が大きい液性の場合は、前記口元径を小さくし、表面張力が小さい液性の場合は、前記口元径を大きくする。
【0013】
本発明の請求項6による開口点眼容器の製造方法の特徴構成は、ブロー成形又は真空成形と同時に液体が密封状態で充填されている容器本体の先端部に、前記凹部を成形する凸状成形型及び前記注液孔を形成する針状成形型を容器軸線方向から圧接し、さらに、前記凸状成形型による成形時、および、前記針状成形型による成形時の少なくとも何れかのときに、椀状の成形面により前記容器本体の注液筒部の外周面を成形する点にある。
上記特徴構成によれば、ブロー成形や真空成形等による成形と同時に液体が密封状態で充填されている熱可塑性材料製の容器本体(ボトルパック型の容器本体)を利用して、この容器本体の先端部に、先端側ほど内径が大となる有底円錐状の凹部と、容器本体から押出される液滴量を設定量に制御するための小径の注液孔とを直接形成するが故に、射出成形された中栓部材を用いる開口点眼容器に比して容器本体を製造するための金型が少なくて済むととともに、有底円錐状の凹部と小径の注液孔との存在により、容器本体の押圧操作に連れて常に一定量の液体を確実に滴下投与することができる。
しかも、前記凹部を成形する凸状成形型及び前記注液孔を形成する針状成形型を容器軸線方向から圧接するだけであるから、多数の容器本体を移送しながら有底円錐状の凹部と小径の注液孔とを形成することも可能である。
従って、ボトルパック型の容器本体の先端部に、中栓機能を発揮させるための有底円錐状の凹部と小径の注液孔とを形成するだけであり、しかも、多数の容器本体を移送しながら加工することが可能であるから、常に一定量の液体を確実に滴下投与することのできる開口点眼容器を製造コスト面で有利に製造することができる。
また、凸状成形型の椀状成形面により、容器本体の注液筒部の外周面に突出しているブロー成形時のバリを除去することができる。
また、上述した、本発明による凹部が形成されている半完成品としての開口点眼容器のための製造方法は、請求項7で示すように、ブロー成形又は真空成形と同時に液体が密封状態で充填されている容器本体の先端部に、前記凹部を成形する凸状成形型を容器軸線方向から圧接し、さらに、前記凸状成形型による成形時に、椀状の成形面により前記容器本体の注液筒部の外周面を成形することで特徴付けられ、前述の作用効果を有する。
【0014】
本発明の請求項8による開口点眼容器の製造方法の特徴構成は、少なくとも前記凸状成形型で成形される部位を、成形前に加熱手段で座屈しない温度に加熱する点にある。
上記特徴構成によれば、前記容器本体の先端部に形成される凹部の加工精度の向上と歩留まりの改善とを図ることができる。
【0015】
本発明の請求項9による開口点眼容器の製造方法の特徴構成は、前記凸状成形型と針状成形型とが一体形成されている単一の成形型を用いて、容器の先端部に凹部と注液孔とを成形する点にある。
上記特徴構成によれば、単一の成形型で有底円錐状の凹部と小径の注液孔とを形成することができるから、製造能率の向上と製造設備の簡素化を図ることができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
〔第1実施形態〕
図1は、主として医療用に用いられる本発明の開口点眼容器を示し、ブロー成形又は真空成形と同時に所定量の薬液が充填された可撓性のある熱可塑性材料製の容器本体Aと、該容器本体Aのネジ筒部5の外周面に形成された雄ネジ部5aに着脱自在に螺合されるキャップBとから構成されている。
【0017】
前記容器本体Aは、内側に彎曲する円形状の底部1と、これの周縁に連なる中空円筒状の胴部2と、該胴部2の肩部分2aに連続する円筒状の首部3と、該首部3の上側位置から直径方向外方に膨出する円環状段部4と、これの上側に連続する雄ネジ部5aを備えたネジ筒部5と、これの上側に連続する注液口6aを備えた注液筒部6とから構成されているとともに、前記首部3の円周方向二個所で、かつ、容器軸線Xを挟んで相対向する部位の各々には、容器軸線X方向に沿う板状のリブ3aが一体形成されている。
【0018】
前記容器本体Aの注液筒部6には、注液口6a側ほど内径が大となる有底円錐状の凹部6bが窪み形成され、この凹部6bの底面には、前記胴部2の指先による押圧操作に連れて容器本体Aから押出される液滴量を設定量に制御可能な小径の注液孔6cが形成されている。
【0019】
前記凹部6bの深さは2?7mmの範囲、好ましくは、5?7mmの範囲、最も好ましくは6mmに構成するとともに、前記注液口6aの口径(口元径)は、薬液の液性(表面張力、粘度)に合わせてφ2.0mm?φ4.0mmの範囲で調整する。
1滴量を一定化(目的に合わせて1滴量当たり25?50ミクロンリットルの範囲内に調整)するため、表面張力が大きい液性の場合は、前記注液口6aの口径を小さくし、表面張力が小さい液性の場合は、前記注液口6aの口径を大きくする。
【0020】
更に、前記注液孔6cは、φ0.1mm?φ0.8mmの範囲の径の針を用いて形成する。この針の径は、小さい方が好ましく、φ0.2mm程度が最も好ましいが、あまり小さいと技術的に困難となるので、実際には、φ0.4mm?φ0.6mmの範囲の針を用いる。
【0021】
前記容器本体Aの構成材料である熱可塑性材料としては、ポリエチレン、ポリエチレンーポリプロピレン、ポリプロピレン、ポリエチエチレンテレフタレート、ポリカーボネート等があり、また、前記キャップBには、容器本体Aの雄ネジ部5aに螺合したとき、該容器本体Aの凹部6bに内嵌して密封する栓状突起8が一体形成されている。
【0022】
前記凹部6b及び注液孔6cが形成される前の容器本体Aの製造方法については、当該技術分野において周知であるので、簡単に説明する。
図2(イ)に示すように、前記容器本体Aの円環状段部4から底部1までの範囲の部分を成形するための第1キヤビティ10を備えた一対の主成形金型11と、容器本体Aのネジ筒部5及び注液筒部6を成形するための第2キヤビティ12を備えた一対の副成形金型13とを開き作動させた状態で、それらの上部に配置した押出し機ヘッド14から、両金型11,13間を通して垂直方向に沿って細長く中空チューブ状の半溶融熱可塑性材料である所定長さのバリソン15を押出す。
【0023】
次に、図2(ロ)に示すように、前記主成形金型11を閉じ作動させるとともに、圧縮空気の吹き込み作用又は真空作用によって、主成形金型11の成形面11aに沿ってバリソン15を膨張させながら成形する。この状態で、図2(ハ)に示すように、薬剤供給管16から所定量の液体(薬液)を充填する。
この液体充填工程が終了すると、図2(二)に示すように、前記副成形金型13を閉じ作動させるとともに、圧縮空気の吹き込み作用又は真空作用によって、副成形金型13の成形面13aに沿ってバリソン15を膨張させながら成形し、成形と同時に充填された液体を密封(封入)する。
【0024】
次に、上述の如くブロー成形又は真空成形された容器本体Aの先端部である注液筒部6に有底円錐状の凹部6b及び小径の注液孔6cを形成する三方式の製造方法についてそれぞれ説明する。[第1方式の製造方法]
図3(イ)?(ニ)に示す第1方式の製造方法では、前記有底円錐状の凹部6bを成形する金属製の凸状成形型20と、前記注液孔6cを形成する金属製の針状成形型21とを用いる。
前記凸状成形型20は、取付け軸20Aの先端部に、有底円錐状の凹部6bを成形する円錐状成形突起20Bと、容器本体Aの注液筒部6の外周面を成形する椀状(釣り鐘状)の成形面20Cとを形成して構成されており、また、前記針状成形型21は、取付け軸21Aの先端部に、小径の注液孔6c形成する針状成形突起21Bを形成して構成されている。
【0025】
そして、この第1方式の製造方法では、図3(イ)に示すように、容器本体Aの先端部である注液筒部6の一部を、温風若しくはハロゲンランプ、レーザー光線等の第1加熱手段Cで室温又は70℃?150℃に加熱する。加熱温度は、容器本体Aの材質、形状にもよるが、容器本体Aの先端が少し軟化する温度が望ましい。
容器本体Aの熱可塑性材料が、ポリエチレンのように柔らかい樹脂材料である場合では、加熱しないと先端部が座屈するので、少なくとも前記凸状成形型20で成形される部位を、成形前に第1加熱手段Cで座屈しない温度に加熱する必要がある。しかし、座屈に耐え得る樹脂材料や形状の場合、即ち、凸状成形型20の容器軸線X方向からの押圧に耐え得る場合では、室温でも成形が可能である。
【0026】
次に、図3(ロ)に示すように第1加熱手段Cで加熱された容器本体Aの注液筒部6の一部が冷えないうちに、前記凸状成形型20を容器軸線X方向から押し当て、容器本体Aの注液筒部6に、注液口6a側ほど内径が大となる有底円錐状の凹部6bを成形する。
このとき、前記凸状成形型20の椀状成形面20Cにより、容器本体Aの注液筒部6の外周面に突出しているブロー成形時のバリを除去することができる。
【0027】
前記凸状成形型20自体は、成形される容器本体Aの注液筒部6の形状と肉厚に合わせ、室温から150℃の範囲で温度制御する。加熱温度として注液筒部6の先端の冷却固化を考慮し、できるだけ低い温度が望ましい。
この凸状成形型20は、充填される液体の液性に合わせて簡単に交換できるようにする。
【0028】
次に、図3(ハ)、(ニ)に示すように、前記容器本体Aの注液筒部6に形成された凹部6bの底面中央位置に対して、針状成形型21を容器軸線X方向から押し当て、胴部2の指先による押圧操作に連れて容器本体Aから押出される液滴量を設定量に制御可能な小径の注液孔6cを形成する。
この針状成形型21の針状突起21Bによる注液孔6cの形成工程において、針状突起21Bを室温のままで作業する方法と、針状突起21Bを加熱してから作業する方法が提案される。採用すべき方法は、形成する注液孔6cの形状や凹部6bの形状、されには容器のその他の形状や材質、製造コストなどの条件に応じて選択される。加熱を要する場合の加熱温度としては、針状成形型21の少なくとも針状突起21Bを、容器材質の樹脂が溶融する温度、130℃?180℃の範囲が好適である。
【0029】
針状成形型21の加熱は、高周波誘導加熱、ハロゲンランプ、温風等の第2加熱手段Dにより行い、針状成形型21の付根である取付け軸21Aは、ウォータージャケット、圧縮空気等の冷却手段Eで冷却するように構成する。
そして、前記針状成形型21が所定温度にまで冷却された時点で、該針状成形型21を所定形状に成形された容器本体Aの注液筒部6から容器軸線X方向に沿って抜き取る。
【0030】
前記針状成形型21は、樹脂の剥離性、離型性を良くするため、表面にメッキ若しくはポリテトラフルオロエチレンコーティング、特殊メッキの表面処理を施しても良い。この表面処理は、高温に耐えられ、かつ、簡単に剥離しないものが望ましい。
【0031】
[第2方式の製造方法]
図4(イ)?(ニ)に示す第2方式の製造方法では、第1方式と同様に、前記有底円錐状の凹部6bを成形する金属製の凸状成形型20と前記注液孔6cを形成する金属製の針状成形型21とを用いる。
前記凸状成形型20は、取付け軸20Aの先端部に、有底円錐状の凹部6bを成形する円錐状成形突起20Bのみを形成して構成されており、また、前記針状成形型21は、取付け軸21Aの先端部に、小径の注液孔6cを形成する針状成形突起21Bと、容器本体Aの注液筒部6の外周面を成形する椀状(釣り鐘状)の成形面21Cとを形成して構成され、更に、前記針状成形突起21Bの付け根部分21bは、前記円錐状成形突起20Bにて形成された凹部6bに沿う円錐形状に形成されている。
【0032】
第1方式では、図3(ロ)に示すように、凸状成形型20による成形時に、容器本体Aの注液筒部6の外周面に突出しているブロー成形時のバリを除去するように構成したが、この第2方式では、図4(ハ)に示すように、針状成形型21による成形時に、容器本体Aの注液筒部6の外周面に突出しているブロー成形時のバリを除去するように構成したものであり、それ以外の構成は、第1方式と同一である。
【0033】
[第3方式の製造方法]
図5(イ)?(ニ)に示す第3方式の製造方法では、前記有底円錐状の凹部6bを成形する凸状成形型と前記注液孔6cを形成する針状成形型とが一体形成されている金属製の単一の成形型22を用いる。この単一成形型22は、取付け軸22Aの先端部に、有底円錐状の凹部6bを成形する円錐状成形突起22Bと、容器本体Aの注液筒部6の外周面を成形する椀状(釣り鐘状)の成形面22Dとを形成するとともに、前記円錐状成形突起22Bの先端には、小径の注液孔6cを形成する針状成形突起22Cを同芯状態で一体形成して構成されている。
【0034】
この第3方式の製造方法では、図5(イ)、(ロ)に示すように、容器本体Aの注液筒部6の先端側を加熱せず、成形された温度(70℃?80℃)のままでも、室温にまで冷えてからでも良く、小径の注液孔6cを形成する針状成形突起22Cを、容器本体Aの注液筒部6の先端に対して凹部6bを形成する手前まで突き刺す。
【0035】
容器本体Aの注液筒部6の先端に突き刺された針状成形突起22Cは、図5(ハ)に示すように、第2加熱手段Dの一例である高周波誘導加熱手段により加熱される。加熱温度は、容器材料が溶融する温度付近が望ましく、通常120℃?200℃の範囲、好ましくは、160℃付近で制御される。
針状成形突起22C及び円錐状成形突起22Bを備えた単一成形型22は、図5(ニ)に示すように、加熱されながら2mmから8mm押し込まれ、容器本体Aの注液筒部6の先端側を容器軸線X方向から圧縮するように加圧しながら有底円錐状の凹部6bを成形する。
【0036】
この単一成形型22の円錐状成形突起22Bの押し込みは深い方が好ましいが、技術的問題から5?7mmの範囲とする。この時、溶融した容器本体Aの注液筒部6の先端部に気泡が入らないように、単一成形型22にガス抜き穴を設けても良い(先端部の樹脂を完全に溶融するので、ガス抜きが必要)。
【0037】
単一成形型22の付根である取付け軸22Aは、図11(イ)に示すように、ウォータージャケット、圧縮空気等の冷却手段Eで冷却するように構成する。
そして、前記単一成形型22が所定温度にまで冷却された時点で、該単一成形型22を所定形状に成形された容器本体Aの注液筒部6から容器軸線X方向に沿って抜き取る。
【0038】
前記単一成形型22は、樹脂の剥離性、離型性を良くするため、表面にメッキ若しくはポリテトラフルオロエチレンコーティング、特殊メッキの表面処理を施しても良い。この表面処理は、280℃以上に耐え得ることができ、かつ、簡単に剥離しないものが望ましい。そして、第1方式から第3方式の何れかの製造方法で成形された容器本体Aの先端部側の有底円錐状の凹部6b及び小径の注液孔6cは、中栓としての機能を有する。安定した1滴量、一滴の液滴内に気泡がかみ込むことの防止、また気泡の切れを良くすることが挙げられる。
また、上述した第2方式と第3方式においても、針状突起21B又は22Cよる注液孔6cの形成工程において、針状突起21B又は22Cを第2加熱手段Dによって加熱してから作業していたが、前述したように、場合によってはそのような加熱を行わず、室温状態の針状突起21B又は22Cを用いて注液孔6cの形成することも可能である。
【0039】
次に、前記第1方式から第3方式の製造方法に用いられる製造機について説明する。図6?図11に示すように、ブロー成形又は真空成形された多数の容器本体Aを一直線状の供給経路に沿って載置搬送する搬送供給手段Fと、該搬送供給手段Fにて載置搬送されてきた容器本体Aを先頭のものから円弧状の送込み経路に沿って搬送する容器送込み手段Gと、この容器送込み手段Gから送込まれてきた容器本体Aの肩部又はその近くを挟持して、該容器本体Aの水平方向及び少なくとも下方への移動を阻止した状態で円弧状の挟持移送経路に沿って移送する挾持移送手段Hと、該挾持移送手段Hの円弧状挟持移送経路に沿って移送されてくる加工後の容器本体Aを受け取って円弧状の送出し経路に沿って移送する容器送出し手段Jとが設けられている。
【0040】
また、前記容器送込み手段Gには、容器本体Aの先端部である注液筒部6の一部を加熱する第1加熱手段Cが配設されているとともに、前記挾持移送手段Hには、該挾持移送手段Hで挾持移送される容器本体Aの先端部に対して、選択的に付替え自在に装着される凸状成形型20又は針状成形型21若しくは単一成形型22を待機位置と成形加工位置とに切替え作動させる切替手段Kと、前記挾持移送手段Hの一対の挾持爪で挾持移送される容器本体Aのうち、一対の挾持爪から突出する先端側の部位に対して容器軸線X方向から外嵌する状態と離脱させた待機状態とに切替えられる芯出し手段Lとが配設され、更に、前記挾持移送手段Hの円弧状挾持移送経路の途中には、成形型である針状成形型21又は単一成形型22を加熱する第2加熱手段の一例である高周波誘導加熱手段Dが設けられている。
【0041】
前記搬送供給手段Fは、図6に示すように、機枠24に取付られた搬送フレーム25の長手方向両端部に、電動モータ26に連動された横軸芯周りで回転自在な駆動スプロケット(図示せず)と、横軸芯周りで回転自在な従動スプロケット(図示せず)とを設け、前記両スプロケットに亘って、多数の容器本体Aを載置搬送する無端搬送体29を巻回するとともに、無端搬送体29上の容器本体Aを搬送案内する左右一対の搬送ガイド板30を設けて構成されている。
【0042】
前記容器送込み手段Gは、図6、図7に示すように、電動モータ33に連動して縦軸芯周りで駆動回転される駆動回転板34の外周縁部に、前記搬送供給手段Fから送出されてくる先頭の容器本体Aが入り込み保持される複数の凹状の保持部35を円周方向に沿って一定ピッチで形成するとともに、前記各保持部35内に保持された容器本体Aの底部を受け止めて移送案内する載置ガイド板36と、前記各保持部35内に保持された容器本体Aの回転半径方向外方への抜け出し移動を阻止する移送ガイド37とを設けて構成されている。
【0043】
前記第1加熱手段Cは、前述した第1方式及び第二方式の製造時にのみ使用されるものであって、次のように構成されている。
即ち、図6、図7に示すように、前記容器送込み手段Gの駆動回転板34のうち、各保持部35に対応する部位(当該図面では簡略化して一箇所だけ記載してある)の各々に、該駆動回転板34に貫通形成された一対の貫通孔34aに沿って上下方向に摺動する一対の昇降ガイド軸40a,40bを備えた昇降枠40を、圧縮コイルスプリング41にて下降側に移動付勢した状態で設けるとともに、前記各昇降枠40の上部には、保持部35に保持された容器本体Aの注液筒部6の根元側部分に対して容器軸線X方向から脱着自在に外嵌可能な遮熱板42を取付けてある。
【0044】
また、前記各昇降枠40の下部に設けたローラ43の回動移動軌跡に対応位置する機枠24側の支持部材44には、搬送供給手段Fの容器供給位置から挾持移送手段Hへの容器受渡位置に送込み搬送されるとき、前記遮熱板42を容器本体Aの注液筒部6の根元側部分に外嵌させた遮熱作用姿勢に下降させ、かつ、容器受渡位置から容器供給位置に戻し搬送されるとき、前記圧縮コイルスプリング41の弾性復元力に抗して遮熱板42を上方に離間した待機姿勢に上昇させるカム部材45を高さ調節自在に取付けてある。
【0045】
更に、前記容器送込み手段Gの駆動回転板34のうち、各保持部35に対応する部位の各々には、各保持部35に保持された容器本体Aの先端部である注液筒部6の頂部に対して、200℃?500℃の熱風を供給する熱風供給管46を設けてある。
【0046】
前記挾持移送手段Hは、図6、図8、図10に示すように、電動モータ50に連動して縦軸芯周りで駆動回転される駆動回転板51の外周縁部で、かつ、その回転方向に所定間隔を隔てた複数箇所(当該図面では簡略化して一箇所だけ記載してある)の各々に、駆動回転板51の回転軸芯と平行な縦軸芯周りで回動自在な一対の作動軸42を支承し、両作動軸42の上端部には、容器本体Aの環状溝部となる首部3に対して水平方向から嵌合状態で挾持するための半円弧状の挾持面53aを備えた一対の挾持爪43を取付けるとともに、前記両作動軸42には、互いに噛合連動するギヤ54を外嵌固定し、更に、一方の作動軸42の下端部に固着した作動アーム55と駆動回転板51側との間に、前記一対の挾持爪43を開閉作動させる流体シリンダ56を架設してある。
【0047】
また、前記両挾持爪43に挾持移送される容器本体Aの底部1を載置状態で摺動案内する載置摺動ガイド板57と、前記両挾持爪43に挾持移送される容器本体Aの回転半径方向外方への抜け出し移動を阻止する移送ガイド部材58とを設けてある。
【0048】
そして、前記一対の挾持爪43で容器本体Aの首部3を挾持した状態では、該容器本体Aの水平方向及び少なくとも下方への移動を阻止した状態にあるから、容器本体Aと前記切替手段Kに付替え自在に装着される凸状成形型20又は針状成形型21若しくは単一成形型22との芯合わせ精度が高くなるとともに、成形型の押圧に伴う容器本体Aの容器軸線X方向での弾性変形に起因する有底円錐状の凹部6b及び小径の注液孔6cの加工精度の低下を抑制することができる。
【0049】
前記切替手段Kは、図8、図9に示すように、駆動回転板51のうち、各両挾持爪43に対応する複数箇所(当該図面では簡略化して一箇所だけ記載してある)の各々に、回転半径方向及び上下方向に往復移動される可動枠60を配置し、この可動枠60の先端側取付け部60Aの回転半径方向の二個所には、下方に向かって開口する軸装着口を備えた二本のホルダ筒軸62を、ナット63を介して脱着自在に取付けるとともに、前記各ホルダ筒軸62の軸装着口には、凸状成形型20の取付け軸20A又は針状成形型21の取付け軸21A若しくは単一成形型22の取付け軸22Aを選択的に付け替え自在に保持するナット61を螺合装着してある。
また、前記可動枠60の二本の水平スライド軸60Bを摺動自在に保持する昇降ブロック64には、駆動回転板51に対して昇降自在に摺動する二本の長さの異なる垂直スライド軸65,66を下方に延出し、そのうち、長尺の垂直スライド軸65の下端部を、機枠24に設けられた一対の昇降ガイド軸68に沿って摺動自在な昇降連結体67に連結するとともに、前記昇降連結体67の幅方向中央位置に上下方向から螺合されたネジ軸70を、機枠24に固定された電動モータ69に連動し、更に、前記昇降ブロック64に対して可動枠60を回転半径方向にスライド移動させる流体圧シリンダ71を、前記駆動回転板51に取付けてある。
【0050】
前記両ホルダ筒軸62のうち、回転半径方向内方に位置する短尺側の第1ホルダ筒軸62の軸芯は、一対の挾持爪43で挾持された容器本体Aの軸線Xと合致するように構成されていて、回転半径方向内方に位置する長尺側の第2ホルダ筒軸62に選択的に装着された凸状成形型20又は針状成形型21若しくは単一成形型22を成形作動させる場合には、前記流体圧シリンダ71を作動制御して、第2ホルダ筒軸62の軸芯が、一対の挾持爪43で挾持された容器本体Aの軸線Xと合致する位置までスライドさせる。
【0051】
また、前記両ホルダ筒軸62に選択的に装着された凸状成形型20又は針状成形型21若しくは単一成形型22を成形作動させる場合には、前記電動モータ69を駆動制御して可動枠60を所定量だけ下降させ、成形型を待機位置から成形加工位置に切替え作動させる。
【0052】
前記芯出し手段Lは、図8、図11に示すように、前記垂直スライド軸65,66に沿ってスライド移動自在に外装された可動筒状体75の上部に、一対の挾持爪43で挾持された容器本体Aのネジ筒部5に対して容器軸線X方向から外嵌する嵌合孔76aを形成してある芯出環状体76を取付けるとともに、前記可動筒状体75と機枠24側との間には、前記芯出環状体76を容器本体Aのネジ筒部5に嵌合する芯出し位置と上方に離間させた待機位置とに切替え作動させる流体圧シリンダ77を取付けてある。
【0053】
前記両ホルダ筒軸62の各々には、図11(イ)に示すように、冷却手段Eを構成するウォータージャケット80が形成されているとともに、前記ウォータージャケット80に冷却水を供給する給水接続管81と、ウォータージャケット80内の冷却水を排出する排水接続管82とが設けられている。
【0054】
そして、前述の如く、成形と同時に液体が密封状態で充填されている容器本体Aの肩部又はその近くを挾持して、該容器本体Aの水平方向及び少なくとも下方への移動を阻止した状態で経路に沿って移送する挾持移送手段Hと、該挾持移送手段Hで挾持移送される容器本体Aの先端部に対して、前記凹部6bを成形する凸状成形型20及び前記注液孔6cを形成する針状成形型21を待機位置と成形加工位置とに切替え作動させる切替手段Kとを設けた場合には、次の作用・効果を奏する。
【0055】
即ち、ブロー成形や真空成形等による成形と同時に液体が密封状態で充填されている熱可塑性材料製の容器本体A(ボトルパック型の容器本体)を利用して、この容器本体Aの先端部に、先端側ほど内径が大となる有底円錐状の凹部6bと、容器本体Aから押出される液滴量を設定量に制御するための小径の注液孔6cとを直接形成するが故に、射出成形された中栓部材を用いる開口点眼容器に比して容器本体を製造するための金型が少なくて済むととともに、有底円錐状の凹部6bと小径の注液孔6cとの存在により、容器本体Aの押圧操作に連れて常に一定量の液体を確実に滴下投与することができる。
【0056】
しかも、前記挾持移送手段Hで挾持移送される容器本体Aの先端部に対して、凸状成形型20及び針状成形型21を待機位置から成形加工位置に切替え作動させて有底円錐状の凹部6b及び小径の注液孔6cを形成する際、容器本体Aの肩部又はその近くを挾持移送手段Hで挾持して、該容器本体Aの水平方向及び少なくとも下方への移動を阻止してあるから、容器本体Aと凸状成形型20及び針状成形型21との芯合わせ精度が高くなるとともに、容器本体Aの容器軸線X方向での弾性変形に起因する有底円錐状の凹部6b及び小径の注液孔6cの加工精度の低下を抑制することができる。
【0057】
従って、容器本体Aの押圧操作に連れて常に一定量の液体を確実に滴下投与するための有底円錐状の凹部6b及び注液孔6cの加工精度の向上を図りながら、ボトルパック型の容器本体Aの持つ利点である製造コストの低廉化をより促進することができる。
【0058】
また、前述の如く、前記挾持移送手段Hの挾持爪53で挾持移送される容器本体Aのうち、挾持爪53から突出する先端側の部位に対して容器軸線X方向から外嵌する状態と離脱させた待機状態とに切替えられる芯出し手段Lが設けられている場合には、次の作用・効果を奏する。
【0059】
即ち、前記挾持移送手段Hの挾持爪53で挾持された容器本体Aの先端側の部位に対して、容器軸線X方向から芯出し手段Lを外嵌させることにより、容器本体Aと凸状成形型20及び針状成形型21との芯合わせ精度が更に高くなり、容器本体Aの押圧操作に連れて常に一定量の液体を確実に滴下投与するための有底円錐状の凹部6b及び注液孔6cの加工精度の向上を促進することができる。
【0060】
更に、前述の如く、前記挾持移送手段Hの挾持移送経路の途中に、成形型を加熱する高周波誘導加熱手段Dが設けられている場合には、前記挾持移送手段Hで容器本体Aを連続的に挟持移送しながら、その移送経路途中に設けた高周波誘導加熱手段Dによって、成形型を設定加熱温度にまで急速に過熱することができるから、製造能率及び加工精度の向上を促進しつつ歩留まりの改善をさらに図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の開口点眼容器を示す断面正面図
【図2】(イ)?(ニ)は、容器本体のブロー成形又は真空成形による成形工程図
【図3】(イ)?(ニ)は、第1方式による製造方法を示す工程説明図
【図4】(イ)?(ニ)は、第2方式による製造方法を示す工程説明図
【図5】(イ)?(ニ)は、第3方式による製造方法を示す工程説明図
【図6】開口点眼容器の製造機を示す概略平面図
【図7】容器送込み手段の拡大断面面図
【図8】挾持移送手段、切替手段、芯出手段の拡大断面図
【図9】切替手段の要部の拡大図
【図10】挾持爪の駆動系統図
【図11】(イ)?(ハ)は、第1方式による製造工程を示す要部の拡大断面図
【符号の説明】
A 容器本体
B キャップ
D 第2加熱手段(高周波誘導加熱手段)
H 挾持移送手段
K 切替手段
L 芯出手段
X 容器軸芯
5a ネジ部(雄ネジ部)
6b 凹部
6c 注液孔
20 凸状成形型
21 針状成形型
22 単一成形型
53 挾持爪
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
審理終結日 2007-07-30 
結審通知日 2007-08-02 
審決日 2007-08-21 
出願番号 特願2000-243923(P2000-243923)
審決分類 P 1 113・ 537- ZA (A61J)
P 1 113・ 121- ZA (A61J)
最終処分 成立  
前審関与審査官 田中 玲子門前 浩一  
特許庁審判長 山崎 豊
特許庁審判官 豊永 茂弘
鏡 宣宏
登録日 2005-07-01 
登録番号 特許第3694446号(P3694446)
発明の名称 開口点眼容器及びそれの製造方法  
代理人 土井 京子  
代理人 音野 太陽  
代理人 山崎 徹也  
代理人 山▲崎▼ 徹也  
代理人 谷口 操  
代理人 音野 太陽  
代理人 北村 修一郎  
代理人 高島 一  
代理人 中辻 敏春  
代理人 鎌田 光宜  
代理人 中辻 敏春  
代理人 栗原 弘幸  
代理人 北村 修一郎  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ