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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 H01L
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H01L
管理番号 1188583
審判番号 不服2007-25272  
総通号数 109 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2009-01-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2007-09-13 
確定日 2008-11-25 
事件の表示 特願2001-569556「スピンコーティングの際に臨界サイズを二次元適応プロセス制御する方法」拒絶査定不服審判事件〔平成13年 9月27日国際公開、WO01/71425、平成15年 9月24日国内公表、特表2003-528454〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由
第1 手続の経緯
本願は2001年3月2日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2000年3月20日、米国)を国際出願日とする出願であって、平成18年11月21日付けで拒絶の理由が通知され、平成19年5月7日付けで意見書及び手続補正書が提出されたが、平成19年6月14日付けで拒絶の査定がされたため、これを不服として平成19年9月13日付けで本件審判請求がされるとともに、平成19年10月11日付けで手続補正(以下、「本件補正」という。)がなされたものである。


第2 補正の却下の決定

[補正の却下の決定の結論]
平成19年10月11日付けの手続補正を却下する。

[理由]
1 本件補正の内容
本件補正は、平成19年5月7日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲についての

「【請求項1】 基材上にある高分子材料を乾燥する方法であって、
高分子材料の温度及び基材付近の周囲温度を測定し、該周囲温度は、基材プロセス位置中で基材にできる限り近く、基材プロセス位置から垂直方向に離れて測定され、
基材温度を決定し、
測定した周囲温度の変動を検出し、
測定した周囲温度の検出した変動に応じて基材温度、高分子材料の温度及び基材乾燥スピン速度の少なくとも1つを調整する
ことを含む、方法。
【請求項2】 与えられた高分子材料について、高分子材料の温度が周囲温度の一次関数である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】 与えられた高分子材料について、高分子材料の温度が第一定数×周囲温度の一次関数+第二定数である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】 与えられた高分子材料について、基材乾燥スピン速度が周囲温度の二次関数である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】 与えられた高分子材料について、基材乾燥スピン速度が第一定数×周囲温度の二次関数+第二定数×周囲温度+第三定数である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】 前記高分子材料がレジスト材料である、請求項1に記載の方法。
【請求項7】 基材と熱的に接合した基材支持体の温度を測定することによって基材温度を検出する、請求項1に記載の方法。
【請求項8】 IRセンサー、音響センサー、光学センサー、熱電対及び抵抗温度装置の1つによって基材温度を検出する、請求項1に記載の方法。
【請求項9】 高分子材料の温度を直接測定することによって、又は高分子材料の温度を制御するために使用される流体媒体の温度を測定することによって、高分子材料の温度を検出する、請求項1に記載の方法。
【請求項10】 高分子材料を基材表面に施す前に目的の値からの周囲温度の変動を測定する、請求項1に記載の方法。
【請求項11】 さらに、測定した周囲温度の検出した変動に応じて基材温度、高分子材料の温度、周囲温度及び基材乾燥スピン速度の少なくとも1つを調整した後に高分子材料を基材表面に供給することを含む請求項1に記載の方法。
【請求項12】 周囲温度を測定するときの基材プロセス位置からの垂直方向の距離が0.1インチ?50インチである、請求項1に記載の方法。
【請求項13】 基材が半導体ウエハである、請求項1に記載の方法。
【請求項14】 高分子材料を基材に供給する前に基材温度を検出し、高分子材料の温度及び周囲温度を測定する、請求項1に記載の方法。
【請求項15】 基材上に存在する高分子材料を乾燥する方法であって、
高分子材料の温度及び基材付近の周囲温度を測定し、該周囲温度は、基材プロセス位置から垂直方向に離れたそのプロセス位置中、できる限り基材に近く測定され、
基材温度を決定し、
測定した周囲温度の変動を検出し、
測定した周囲温度の検出した変動に応じて基材温度、高分子材料の温度及び基材乾燥スピン速度の少なくとも2つを調整する
ことを含む、方法。
【請求項16】 さらに、測定した周囲温度の検出した変動に応じて基材温度、高分子材料の温度、及び基材乾燥スピン速度の少なくとも2つを調整した後に高分子材料を基材表面に供給することを含む請求項15に記載の方法。
【請求項17】 基材表面に存在する高分子材料を乾燥する方法であって、
高分子材料の温度及び基材付近の周囲温度を測定し、該周囲温度は、基材プロセス位置中で基材にできる限り近く、基材プロセス位置から垂直方向に離れて測定され、
基材温度を決定し、
決定した基材温度の変動を検出し、
決定した基材温度の検出した変動に応じて高分子材料の温度、周囲温度及び基材乾燥スピン速度の少なくとも1つを調整する
ことを含む、方法。
【請求項18】 与えられた高分子材料について、高分子材料の温度が周囲温度の一次関数である、請求項17に記載の方法。
【請求項19】 与えられた高分子材料について、高分子材料の温度が、第一定数×周囲温度の一次関数+第二定数である、請求項17に記載の方法。
【請求項20】 与えられた高分子材料について、基材乾燥スピン温度が周囲温度の二次関数である、請求項17に記載の方法。
【請求項21】 与えられた高分子材料について、前記基材の乾燥スピン温度が、第一定数×周囲温度の二次関数+第二定数×周囲温度+第三定数である、請求項17に記載の方法。
【請求項22】 前記高分子材料がレジスト材料である、請求項17に記載の方法。
【請求項23】 基材と熱的に接合した基材支持体の温度を測定することによって基材温度を検出する、請求項17に記載の方法。
【請求項24】 IRセンサー、音響センサー、光学センサー、熱電対及び抵抗温度装置の1つによって基材温度を検出する、請求項17に記載の方法。
【請求項25】 高分子材料の温度の一つを直接測定することによって、又は高分子材料の温度を制御するために使用される流体媒体の温度を測定することによって、高分子材の料温度を検出する、請求項17に記載の方法。
【請求項26】 さらに、決定した基材温度の検出した変動に応じて周囲温度、高分子材料の温度及び基材乾燥スピン速度の少なくとも1つを調整した後に高分子材料を基材表面に供給することを含む請求項17に記載の方法。
【請求項27】 基材表面に高分子材料を施す前に基材温度の変動を決定する、請求項17に記載の方法。
【請求項28】 周囲温度を測定するときの基材プロセス位置からの垂直方向の距離が0.1インチ?50インチである、請求項17に記載の方法。
【請求項29】 基材が半導体ウエハである、請求項17に記載の方法。
【請求項30】 高分子材料を基材に供給する前に基材温度を検出し、高分子材料の温度及び周囲温度を測定する、請求項17に記載の方法。
【請求項31】 基材表面上に存在する高分子材料を乾燥する方法であって、
高分子材料の温度及び基材付近の周囲温度を測定し、該周囲温度は、基材プロセス位置中で基材にできる限り近く、基材プロセス位置から垂直方向に離れて測定され、
基材温度を決定し、
決定した基材温度の変動を検出し、
決定した基材温度の検出した前記変動に応じて高分子材料の温度、周囲温度及び基材乾燥スピン速度の少なくとも2つを調整することを含む前記方法。
【請求項32】 さらに、決定した基材温度の検出した変動に応じて周囲温度、高分子材料の温度及び基材乾燥スピン速度の少なくとも2つを調整した後に高分子材料を基材表面に供給することを含む請求項31に記載の方法。
【請求項33】 基材表面上に存在する高分子材料を乾燥する方法であって、
高分子材料の温度及び基材付近の周囲温度を測定し、該周囲温度は、基材プロセス位置中で基材にできる限り近く、基材プロセス位置から垂直方向に離れて測定され、
基材温度を決定し、
測定した高分子材料の温度の変動を検出し、
測定した高分子材料の温度の検出した変動に応じて基材温度、周囲温度及び基材乾燥スピン速度の少なくとも1つを調整することを含む前記方法。
【請求項34】 与えられた高分子材料について、高分子材料の温度が周囲温度の一次関数である、請求項33に記載の方法。
【請求項35】 与えられた高分子材料について、高分子材料の温度が第一定数×周囲温度の一次関数+第二定数である、請求項33に記載の方法。
【請求項36】 与えられた高分子材料について、基材乾燥スピン速度が周囲温度の二次関数である、請求項33に記載の方法。
【請求項37】 与えられた高分子材料について、基材乾燥スピン速度が第一定数×周囲温度の二次関数+第二定数×周囲温度+第三定数である、請求項33に記載の方法。
【請求項38】 高分子材料がレジスト材料である、請求項33に記載の方法。
【請求項39】 基材と熱的に接合した基材支持体の温度を測定することによって基材温度を検出する、請求項33に記載の方法。
【請求項40】 IRセンサー、音響センサー、光学センサー、熱電対及び抵抗温度装置の1つによって基材温度を検出する、請求項33に記載の方法。
【請求項41】 高分子材料の温度の1つを直接測定することによって、又は高分子材料の温度を制御するために使用される流体媒体の温度を測定することによって、高分子材料の温度を検出する、請求項33に記載の方法。
【請求項42】 高分子材料を基材表面に施す前に高分子材料の温度の変動を測定する、請求項33に記載の方法。
【請求項43】 さらに、測定した高分子材料の温度の検出した変動に応じて基材温度、高分子材料の温度、周囲温度及び基材乾燥スピン速度の少なくとも1つを調整した後に高分子材料を基材表面に供給することを含む請求項33に記載の方法。
【請求項44】 周囲温度を測定するときの基材プロセス位置からの垂直方向の距離が0.1インチ?50インチである、請求項33に記載の方法。
【請求項45】 基材が半導体ウエハである、請求項33に記載の方法。
【請求項46】 高分子材料を基材に供給する前に基材温度を検出し、高分子材料の温度及び周囲温度を測定する、請求項33に記載の方法。
【請求項47】 基材表面上に存在する高分子材料を乾燥する方法であって、
高分子材料の温度及び基材付近の周囲温度を測定し、該周囲温度は、基材プロセス位置中で基材にできる限り近く、基材プロセス位置から垂直方向に離れて測定され、
基材温度を決定し、
測定した高分子材料の温度の変動を検出し、
測定した高分子材料の温度の検出した変動に応じて基材温度、周囲温度及び基材乾燥スピン速度の少なくとも2つを調整することを含む前記方法。
【請求項48】 さらに、測定した高分子材料の温度の検出した変動に応じて基材温度、周囲温度及び基材乾燥スピン速度の少なくとも2つを調整した後に高分子材料を基材表面に供給することを含む請求項47に記載の方法。」

の記載を、

「【請求項1】 基材上にある高分子材料を乾燥する方法であって、
高分子材料の温度及び基材付近の周囲温度を測定し、該周囲温度は、基材プロセス位置中で基材にできる限り近く、基材プロセス位置から垂直方向に離れて測定され、
基材温度を決定し、
測定した周囲温度の変動を検出し、
測定した周囲温度の検出した変動に応じて基材温度、高分子材料の温度及び基材乾燥スピン速度の少なくとも1つを調整して、第1の制御限界内で高分子材料の二次元プロファイルの均一性を制御し且つ第2の制御限界内で高分子材料の平均膜厚を制御する
ことを含む、方法。
【請求項2】 与えられた高分子材料について、高分子材料の温度が周囲温度の一次関数である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】 与えられた高分子材料について、高分子材料の温度が第一定数×周囲温度の一次関数+第二定数である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】 与えられた高分子材料について、基材乾燥スピン速度が周囲温度の二次関数である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】 与えられた高分子材料について、基材乾燥スピン速度が第一定数×周囲温度の二次関数+第二定数×周囲温度+第三定数である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】 前記高分子材料がレジスト材料である、請求項1に記載の方法。
【請求項7】 基材と熱的に接合した基材支持体の温度を測定することによって基材温度を検出する、請求項1に記載の方法。
【請求項8】 IRセンサー、音響センサー、光学センサー、熱電対及び抵抗温度装置の1つによって基材温度を検出する、請求項1に記載の方法。
【請求項9】 高分子材料の温度を直接測定することによって、又は高分子材料の温度を制御するために使用される流体媒体の温度を測定することによって、高分子材料の温度を検出する、請求項1に記載の方法。
【請求項10】 高分子材料を基材表面に施す前に目的の値からの周囲温度の変動を測定する、請求項1に記載の方法。
【請求項11】 さらに、測定した周囲温度の検出した変動に応じて基材温度、高分子材料の温度、周囲温度及び基材乾燥スピン速度の少なくとも1つを調整した後に高分子材料を基材表面に供給することを含む請求項1に記載の方法。
【請求項12】 周囲温度を測定するときの基材プロセス位置からの垂直方向の距離が0.1インチ?50インチである、請求項1に記載の方法。
【請求項13】 基材が半導体ウエハである、請求項1に記載の方法。
【請求項14】 高分子材料を基材に供給する前に基材温度を検出し、高分子材料の温度及び周囲温度を測定する、請求項1に記載の方法。
【請求項15】 基材上に存在する高分子材料を乾燥する方法であって、
高分子材料の温度及び基材付近の周囲温度を測定し、該周囲温度は、基材プロセス位置から垂直方向に離れたそのプロセス位置中、できる限り基材に近く測定され、
基材温度を決定し、
測定した周囲温度の変動を検出し、
測定した周囲温度の検出した変動に応じて基材温度、高分子材料の温度及び基材乾燥スピン速度の少なくとも2つを調整して、第1の制御限界内で高分子材料の二次元プロファイルの均一性を制御し且つ第2の制御限界内で高分子材料の平均膜厚を制御する
ことを含む、方法。
【請求項16】 さらに、測定した周囲温度の検出した変動に応じて基材温度、高分子材料の温度、及び基材乾燥スピン速度の少なくとも2つを調整した後に高分子材料を基材表面に供給することを含む請求項15に記載の方法。
【請求項17】 基材表面に存在する高分子材料を乾燥する方法であって、
高分子材料の温度及び基材付近の周囲温度を測定し、該周囲温度は、基材プロセス位置中で基材にできる限り近く、基材プロセス位置から垂直方向に離れて測定され、
基材温度を決定し、
決定した基材温度の変動を検出し、
決定した基材温度の検出した変動に応じて高分子材料の温度、周囲温度及び基材乾燥スピン速度の少なくとも1つを調整して、第1の制御限界内で高分子材料の二次元プロファイルの均一性を制御し且つ第2の制御限界内で高分子材料の平均膜厚を制御する
ことを含む、方法。
【請求項18】 与えられた高分子材料について、高分子材料の温度が周囲温度の一次関数である、請求項17に記載の方法。
【請求項19】 与えられた高分子材料について、高分子材料の温度が、第一定数×周囲温度の一次関数+第二定数である、請求項17に記載の方法。
【請求項20】 与えられた高分子材料について、基材乾燥スピン温度が周囲温度の二次関数である、請求項17に記載の方法。
【請求項21】 与えられた高分子材料について、前記基材の乾燥スピン温度が、第一定数×周囲温度の二次関数+第二定数×周囲温度+第三定数である、請求項17に記載の方法。
【請求項22】 前記高分子材料がレジスト材料である、請求項17に記載の方法。
【請求項23】 基材と熱的に接合した基材支持体の温度を測定することによって基材温度を検出する、請求項17に記載の方法。
【請求項24】 IRセンサー、音響センサー、光学センサー、熱電対及び抵抗温度装置の1つによって基材温度を検出する、請求項17に記載の方法。
【請求項25】 高分子材料の温度の一つを直接測定することによって、又は高分子材料の温度を制御するために使用される流体媒体の温度を測定することによって、高分子材の料温度を検出する、請求項17に記載の方法。
【請求項26】 さらに、決定した基材温度の検出した変動に応じて周囲温度、高分子材料の温度及び基材乾燥スピン速度の少なくとも1つを調整した後に高分子材料を基材表面に供給することを含む請求項17に記載の方法。
【請求項27】 基材表面に高分子材料を施す前に基材温度の変動を決定する、請求項17に記載の方法。
【請求項28】 周囲温度を測定するときの基材プロセス位置からの垂直方向の距離が0.1インチ?50インチである、請求項17に記載の方法。
【請求項29】 基材が半導体ウエハである、請求項17に記載の方法。
【請求項30】 高分子材料を基材に供給する前に基材温度を検出し、高分子材料の温度及び周囲温度を測定する、請求項17に記載の方法。
【請求項31】 基材表面上に存在する高分子材料を乾燥する方法であって、
高分子材料の温度及び基材付近の周囲温度を測定し、該周囲温度は、基材プロセス位置中で基材にできる限り近く、基材プロセス位置から垂直方向に離れて測定され、
基材温度を決定し、
決定した基材温度の変動を検出し、
決定した基材温度の検出した前記変動に応じて高分子材料の温度、周囲温度及び基材乾燥スピン速度の少なくとも2つを調整して、第1の制御限界内で高分子材料の二次元プロファイルの均一性を制御し且つ第2の制御限界内で高分子材料の平均膜厚を制御する
ことを含む、方法。
【請求項32】 さらに、決定した基材温度の検出した変動に応じて周囲温度、高分子材料の温度及び基材乾燥スピン速度の少なくとも2つを調整した後に高分子材料を基材表面に供給することを含む請求項31に記載の方法。
【請求項33】 基材表面上に存在する高分子材料を乾燥する方法であって、
高分子材料の温度及び基材付近の周囲温度を測定し、該周囲温度は、基材プロセス位置中で基材にできる限り近く、基材プロセス位置から垂直方向に離れて測定され、
基材温度を決定し、
測定した高分子材料の温度の変動を検出し、
測定した高分子材料の温度の検出した変動に応じて基材温度、周囲温度及び基材乾燥スピン速度の少なくとも1つを調整して、第1の制御限界内で高分子材料の二次元プロファイルの均一性を制御し且つ第2の制御限界内で高分子材料の平均膜厚を制御する
ことを含む、方法。
【請求項34】 与えられた高分子材料について、高分子材料の温度が周囲温度の一次関数である、請求項33に記載の方法。
【請求項35】 与えられた高分子材料について、高分子材料の温度が第一定数×周囲温度の一次関数+第二定数である、請求項33に記載の方法。
【請求項36】 与えられた高分子材料について、基材乾燥スピン速度が周囲温度の二次関数である、請求項33に記載の方法。
【請求項37】 与えられた高分子材料について、基材乾燥スピン速度が第一定数×周囲温度の二次関数+第二定数×周囲温度+第三定数である、請求項33に記載の方法。
【請求項38】 高分子材料がレジスト材料である、請求項33に記載の方法。
【請求項39】 基材と熱的に接合した基材支持体の温度を測定することによって基材温度を検出する、請求項33に記載の方法。
【請求項40】 IRセンサー、音響センサー、光学センサー、熱電対及び抵抗温度装置の1つによって基材温度を検出する、請求項33に記載の方法。
【請求項41】 高分子材料の温度の1つを直接測定することによって、又は高分子材料の温度を制御するために使用される流体媒体の温度を測定することによって、高分子材料の温度を検出する、請求項33に記載の方法。
【請求項42】 高分子材料を基材表面に施す前に高分子材料の温度の変動を測定する、請求項33に記載の方法。
【請求項43】 さらに、測定した高分子材料の温度の検出した変動に応じて基材温度、高分子材料の温度、周囲温度及び基材乾燥スピン速度の少なくとも1つを調整した後に高分子材料を基材表面に供給することを含む請求項33に記載の方法。
【請求項44】 周囲温度を測定するときの基材プロセス位置からの垂直方向の距離が0.1インチ?50インチである、請求項33に記載の方法。
【請求項45】 基材が半導体ウエハである、請求項33に記載の方法。
【請求項46】 高分子材料を基材に供給する前に基材温度を検出し、高分子材料の温度及び周囲温度を測定する、請求項33に記載の方法。
【請求項47】 基材表面上に存在する高分子材料を乾燥する方法であって、
高分子材料の温度及び基材付近の周囲温度を測定し、該周囲温度は、基材プロセス位置中で基材にできる限り近く、基材プロセス位置から垂直方向に離れて測定され、
基材温度を決定し、
測定した高分子材料の温度の変動を検出し、
測定した高分子材料の温度の検出した変動に応じて基材温度、周囲温度及び基材乾燥スピン速度の少なくとも2つを調整して、第1の制御限界内で高分子材料の二次元プロファイルの均一性を制御し且つ第2の制御限界内で高分子材料の平均膜厚を制御する
ことを含む、方法。
【請求項48】 さらに、測定した高分子材料の温度の検出した変動に応じて基材温度、周囲温度及び基材乾燥スピン速度の少なくとも2つを調整した後に高分子材料を基材表面に供給することを含む請求項47に記載の方法。」

と補正することを含むものである。

2 本件補正の適否の検討
(1)目的要件(平成18年改正前の特許法第17条の2第4項)についての検討
本件補正における請求項1乃至48についての補正のうち、本件補正前の旧請求項1における「測定した周囲温度の検出した変動に応じて基材温度、高分子材料の温度及び基材乾燥スピン速度の少なくとも1つを調整する」ことを「測定した周囲温度の検出した変動に応じて基材温度、高分子材料の温度及び基材乾燥スピン速度の少なくとも1つを調整して、第1の制御限界内で高分子材料の二次元プロファイルの均一性を制御し且つ第2の制御限界内で高分子材料の平均膜厚を制御する」こととする補正は、「測定した周囲温度の検出した変動に応じて」行う「基材温度、高分子材料の温度及び基材乾燥スピン速度の少なくとも1つ」の「調整」を、「第1の制御限界内で高分子材料の二次元プロファイルの均一性を制御し且つ第2の制御限界内で高分子材料の平均膜厚を制御する」との態様で行うという前記「調整」
の態様を限定するものであるから、平成18年改正前の特許法第17条の2第4項第2号における「特許請求の範囲の減縮」を目的とする補正に当たる。
また、本件補正における請求項15,17,31,33,47についての補正も、同様に、「調整」の態様を限定する補正であるから、平成18年改正前の特許法第17条の2第4項第2号における「特許請求の範囲の減縮」を目的とする補正に当たる。
したがって、本件補正は、同法第17条の2第4項の規定に適合する。

(2)独立特許要件についての検討
そこで、本件補正後の請求項1に係る発明(以下、「補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるかどうか、すなわち、平成18年改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項に規定する要件を満たすか否かについて、検討する。

ア 補正発明の認定
補正発明は、本件補正により補正された明細書の特許請求の範囲【請求項1】に記載された事項によって特定される次のとおりのものと認める。

「基材上にある高分子材料を乾燥する方法であって、
高分子材料の温度及び基材付近の周囲温度を測定し、該周囲温度は、基材プロセス位置中で基材にできる限り近く、基材プロセス位置から垂直方向に離れて測定され、
基材温度を決定し、
測定した周囲温度の変動を検出し、
測定した周囲温度の検出した変動に応じて基材温度、高分子材料の温度及び基材乾燥スピン速度の少なくとも1つを調整して、第1の制御限界内で高分子材料の二次元プロファイルの均一性を制御し且つ第2の制御限界内で高分子材料の平均膜厚を制御する
ことを含む、方法。」

イ 引用刊行物の記載事項
原査定の拒絶の理由に引用され、本願の優先日前に頒布された刊行物である特開平5-2777号公報(以下、「引用例1」という。)には、以下の(ア)?(オ)の記載が図示とともにある。

(ア)「【請求項1】ガラス原盤上へのレジストコート方法においてコート中のチャンバー内の温湿度、ガラス原盤の温度、レジストの温度、シンナーの蒸発量の変動をセンサーで感知してコーター回転数を膜厚が一定になるように自動制御してコートすることを特徴とするレジストコート方法。」

(イ)「【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は光メモリー用として使用される光ディスク用スタンパの製作工程のレジストコート方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の光メモリー製造用レジストコート方法は、スピンコーターの周辺、およびチャンバー内の温度、湿度を管理してコートする方法であった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、前述の従来技術のように温度および湿度を高い精度で管理することは非常に困難であり、同一回転数、同一回転時間でコートしても膜厚にばらつきがでてしまう。さらに、このような高精度な温度、湿度管理システムは非常に高価であるという問題点を有している。そこで、本発明はこのような問題点を解決するもので、その目的とするところは、コート中のチャンバー内の温湿度、ガラス原盤の温度、レジストの温度、シンナーの蒸発量の変動をセンサーで感知してコーターの回転数を膜厚が一定になるように自動制御してレジストコートする方法を提供することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明のレジストコート方法はガラス原盤上へのレジストコート方法において、チャンバー内の温度湿度、ガラス原盤とレジストの温度および、シンナーの蒸発量の変動をセンサーで感知してスピンコーターの回転数を変化させて膜厚を一定にコントロールすることを特徴とする。」

(ウ)「【0005】
【実施例】
(実施例1)図1は本発明の実施例1における光メモリー用レジストコート方法の概略図である。
【0006】以下に、本発明の実施例1を図面にもとづいて説明する。
【0007】図1において環境温度の管理されていない雰囲気で1140Åの膜厚のコートを行なった。(湿度、シンナーの蒸発量は一定とする)ガラス原盤、チャンバー内、およびレジストの温度を温度(審決注:「湿度」は明らかな誤記である。)センサー(5?7)でモニターし、それぞれの温度から1140Åの膜厚をうるための最適なコーターの回転数をコンピューターではじき出し、その回転数で回転するように、信号をコーターのモータに送る。上記3ヶ所の温度と、1140Åをうるためのコーターの回転数は表1のとうりであった。このように、コート中のガラス原盤、チャンバー内、レジストの温度を常にモニターし、温度の変動に対し、スピンコーターの回転数を自動制御することにより、今まで±5%程度の膜厚のばらつきがあったものが、±1%程度のばらつきに抑えることができた。この結果、歩留りが80%から98%まで上がった。」

(エ)【表1】には、回転数の単位がrpmであることが記載されている。
(オ)「【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光メモリー用レジストコート方法のチャンバー内概略図。
【符号の説明】
1 チャンバー
2 ターンテーブル
3 ガラス原盤
4 ノズル
5 チャンバー内温度センサー
6 レジスト液温センサー
7 ガラス原盤温度センサー
8 チャンバー内湿度センサー
9 シンナー蒸発度センサー」

また、原査定の拒絶の理由に引用され、本願の優先日前に頒布された刊行物である特開平2-307566号公報(以下、「引用例2」という。)には、以下の(カ)?(コ)の記載が図示とともにある。

(カ)「回転塗布する装置において、回転塗布雰囲気の温度及び湿度の少なくとも一方の条件により塗布液の温度を制御する手段を設けたことを特徴とする塗布装置。」(第1頁左欄第5?8行)

(キ)「[産業上の利用分野]
本発明は塗布装置に関する。
[従来の技術及び発明が解決すべき課題]
塗布装置には次のようなものがある。
半導体集積回路製造のウェハ処理工程の中で薄膜の所望のパターンを得るため、ウェハ上に形成された薄膜上に所望のパターンに作成した金属薄膜等でマスクを作成し、その上に感光性のレジストを塗布した後露光し現像を行っている。このレジストを塗布する塗布工程は高品質な半導体を形成するために均一な塗布膜を形成することが必要条件である。そのため、一定量のレジスト液を供給する機構によりウェハ上に設置されたノズルよりレジストを滴下させ、ウェハを吸着等で固定したチャックをチャックを包囲するカップ内で高速回転させて塗布を行うスピンコータがある。
ここでレジスト塗布膜の膜厚は、レジスト液の粘度及び温度、ウェハの温度、あるいはウェハの回転数、周囲の温度・湿度等の環境により相互に影響を受けるものであることが判明してきた。そのため、現況はこれらの各パラメータをウェハチャックを包囲するカップ内の条理条件を一定条件にコントロールして膜厚の精度を確保している。しかし、一定条件にコントロールするための温度・湿度調整設備はコストが高くなり、又、各パラメータは相互に関連性があり、最適条件設定が困難であった。
本発明は以上のような欠点を解消するためになされたもので、非常に均一な膜を塗布できる塗布装置を提供することを目的とする。」(第1頁左欄第10行?第1頁右欄第19行)

(ク)「[課題を解決するための手段]
上記の目的を達成するため本発明のレジスト塗布装置は、回転塗布する装置において、回転塗布雰囲気の温度及び湿度の少なくとも一方の条件により塗布液の温度を制御する。
[作用]
本発明の塗布装置は、回転塗布中の環境温度、湿度に応じて塗布液の温度例えばノズルから供給されるノズルの温度を制御することにより膜厚を均一化するものである。環境温度が高いと塗布膜たとえばレジスト膜厚はたとえばウェハ周辺部で厚く、中央部で薄くなり、環境温度が低い場合レジストは逆に延伸され難く、中央部が厚く周辺部が薄くなる。」(第1頁右欄第20行?第2頁左上欄第13行)

(ケ)「[実施例]
本発明の塗布装置をレジスト塗布装置に適用した一実施例を図面を参照して説明する。
第1図に図示のレジスト塗布装置は、真空吸着等によってウェハWを載置固定し、モータ(回転駆動機構)1の回転軸に固定される上面円板状チャック2の円板中心部の上方に吐出ノズル(ノズル)3が設けられる。吐出ノズル3はロットの切れ目等で吐出ノズル3からのディスペンスが所定時間実行されない場合、吐出ノズル3先端でレジスト液が長時間空気と接触されることにより固まってしまうことがあるのでダミーディスペンスを実行する必要があり、吐出ノズル3をチャック2上方から外側位置に退避させるため、スキャナー4により移動自在となっている。この吐出ノズル3が接続されるレジストの供給装置であるレジスト供給系5はレジスト収納容器6に収納されたレジスト7を所望の一定量供給するポンプ8例えばベローズポンプ等、フィルタ容器9及びポンプ8を連動して開閉されるバルブV_(1)、レジスト6を吐出ノズル3から吐出後レジストを吐出ノズル3内に引き戻し、レジストの液だれあるいは固化を防止するためのサックバックバルブ10から構成される。
また、レジスト塗布時にレジストが装置外部へ飛散するのを防止するため処理容器としてカップ11がチャック2を包囲して設けられる。カップ11は上下動可能であってウェハWの搬出入時には図示の位置より下降しチャック8が露出して搬入出を容易にする。さらにカップ11にはカップ11内の環境を測定する温度センサ12及び湿度センサ13が設けられ、カップ11の下部にはドレイン管、排気管等(図示せず)が接続される。
さらに、本発明のレジスト塗布装置には、吐出ノズル3に温度調整手段であるヒータ15が設けられる。CPUに入力される温度センサ12及び湿度センサ13からの入力信号によりCPUから発信される信号に従ってヒータ15を動作させ塗布液の温度を制御する温度調整コントローラ14が備えられる。温度調整手段はヒータに限らず吐出ノズル3を二重管にし、レジスト通過路の周囲に温度調整水の循環流路を設けたものであってもよい。温度調整手段(ヒータ15)の加熱によリレジスト温度を調整することによりレジスト粘度が変えられる。」(第2頁左上欄第18行?第2頁右下欄第2行)

(コ)「以上のような構成のレジスト塗布装置を用いて均一な厚さを有するレジスト膜の形成方法を説明する。
ウェハWが図示しない搬送機構によりチャック2上に吸着されて支持されるとカップ11は第1図に図示のように上昇し、モータ1の回転に伴いチャック2に吸着されたウェハWは予め定められた期間例えば1000回転/secで塗布し、その後さらに例えば4000回転/secで所定期間回転する。このような高速回転するウェハW上にレジスト供給系5より配管を通ってレジスト6が吐出ノズル3より一定量滴下される。滴下されたレジスト6は、この時のカップ11内の温度がレジスト膜形成の最適温度より低い場合は第2図の断面図に示すようにウェハWの中央部18の膜厚が厚いレジスト膜17が形成されるが、温度センサ12の出力によりCPUからの信号で予め入力されているカップ11内温度と湿度の少なくとも1条件とレジスト粘度(温度)の関係より温度調整コントローラ14がヒータ15を動作させレジスト温度を上昇させて、中央部が薄く周辺部が厚い膜厚を形成するよう調整することにより中央部と周辺部に生じる膜厚の不均一性を相殺し、第4図に示すような均一な膜厚のレジスト膜17を得ることができる。また、カップ内11内の温度がレジスト膜形成の最適温度より高い場合は第3図に示すようにウェハWの周辺部19の膜厚が厚いレジスト膜17が形成されるが、同様に温度調整コントローラ14により、ヒータ15を停止させレジスト温度を低下させ、中央部の厚い周辺部の薄い膜厚を形成するようにして不均一性の相殺により第4図のような均一な膜厚のレジスト膜17を得る。」(第2頁右下欄第3行?第3頁左上欄第14行)

ウ 引用例1,2記載の発明の認定
(ア)引用例1の上記記載事項(ア)乃至(オ)から、引用例1には次のような発明が記載されていると認めることができる。

「スピンコーターによるガラス原盤上へのレジストコート方法において、チャンバー内の湿度、シンナーの蒸発量が一定の下で、コート中のチャンバー内の温度、ガラス原盤の温度、レジスト液の温度の変動をセンサーで感知して、レジストの膜厚のばらつきを±1%程度に抑えるようにスピンコーターの回転数(rpm)を自動制御してスピンコートするレジストコート方法。」(以下、「引用発明1」という。)

(イ)また、引用例2の上記記載事項(カ)乃至(コ)から、引用例2には、ウェハを吸着等で固定したチャックを前記チャックを包囲するカップ内で高速回転させてウェハ上へのレジスト液の塗布を行うスピンコータによるレジスト膜の形成方法において、ウェハ中央部と周辺部とでレジスト膜厚が均一になるように、温度センサにより測定された前記カップ内の温度に応じてレジスト液の温度を制御することが記載されていると認められる。

エ 補正発明と引用発明1の一致点及び相違点の認定
(ア)引用発明1の「ガラス原盤」は、補正発明の「基材」に相当する。
また、引用発明1の「スピンコーター」の「チャンバー」内の「シンナー」は、技術常識に照らすと、「レジスト液」に含まれる溶媒であり、シンナーが溶媒として用いられるレジストの材料は、通常、高分子材料である(例えば、特開平6-4910号公報(段落【0026】?【0034】)を参照。)。したがって、引用発明1の「レジスト」は補正発明の「高分子材料」に相当する。
さらに、引用発明1における「スピンコーターによる」「レジストコート方法」では、通常、スピンコーターによる被処理基板の回転の際に前記被処理基板にコートされる溶液や溶媒の乾燥を伴うものである(例えば、特開昭62-225269号公報(第2頁左下欄第2?7行)を参照。)。
したがって、引用発明1の「スピンコーターによるガラス原盤上へのレジストコート方法」は、補正発明の「基材上にある高分子材料を乾燥する方法」に相当する。

(イ)引用発明1の「レジスト液の温度」、「コート中のチャンバー内の温度」は、それぞれ、補正発明の「高分子材料の温度」、「基材」の「周囲温度」に相当する。

(ウ)補正発明の「基材温度を決定」するという意味は不明瞭であるから、発明の詳細な説明の欄の記載を参照して、補正発明における前記「基材温度を決定」するという意味を検討する。
発明の詳細な説明の欄の段落【0008】には、補正発明の「基材温度を決定」することについて、「基材の温度は、基材と熱的に接合される基材支持体の温度を測定することによって決定してもよい。」と記載されている。他方、同段落には、「高分子材料の温度は、高分子材料の温度を直接測定する」とも記載されている。この両者の記載から、補正発明の「基材温度を決定」することとは、「基材」の「温度」を直接測定するのではなく、前記「基材」と熱的に接合される基材支持体の温度を測定する等して、間接的に前記「基材」の温度を検知するという意味であると解するのが妥当である。
すると、補正発明の「基材温度を決定」することと引用発明1の「ガラス原盤の温度」「の変動をセンサーで感知」することとは、基材温度を検知する点で一致する。

(エ)引用発明1の「コート中のチャンバー内の温度」「の変動をセンサーで感知」することは、補正発明の「測定した周囲温度の変動を検出」することに相当する。

(オ)引用発明1の「スピンコーターの回転数」の単位は「rpm」であり、「rpm」は1分間当たりの回転数を表す単位である。また、上記(ア)で述べたとおり、引用発明1における「スピンコーターによる」「レジストコート方法」では、通常、スピンコーターによる被処理基板の回転の際に前記被処理基板にコートされる溶液や溶媒の乾燥を伴うものである。したがって、引用発明1の「スピンコーターの回転数(rpm)」は、補正発明の「基材乾燥スピン速度」に相当する。
また、引用発明1の「ばらつきを±1%程度に抑える」ことは、補正発明の「第2の制御限界内」に相当する。
したがって、引用発明1の「コート中のチャンバー内の温度」「の変動をセンサーで感知して、レジストの膜厚のばらつきを±1%程度に抑えるようにスピンコーターの回転数(rpm)を自動制御」することは、補正発明の「測定した周囲温度の検出した変動に応じて基材温度、高分子材料の温度及び基材乾燥スピン速度の少なくとも1つを調整して、第2の制御限界内で高分子材料の膜厚を制御する」ことに相当する。

(カ)すると、補正発明と引用発明1とは、

「基材上にある高分子材料を乾燥する方法であって、
高分子材料の温度及び基材の周囲温度を測定し、
基材温度を検知し、
測定した周囲温度の変動を検出し、
測定した周囲温度の検出した変動に応じて基材温度、高分子材料の温度及び基材乾燥スピン速度の少なくとも1つを調整して、第2の制御限界内で高分子材料の膜厚を制御する
ことを含む、方法。」

である点で一致し、以下の点で相違する。

〈相違点1〉
補正発明の「周囲温度」は「基材付近の周囲温度」であって、前記「周囲温度」は、「基材プロセス位置中で基材にできる限り近く、基材プロセス位置から垂直方向に離れて測定され」るものであるのに対し、引用発明1には「ガラス原盤」の周囲温度である「コート中のチャンバー内の温度」についてかかる限定がなされていない点。

〈相違点2〉
基材温度を検知する際、補正発明では、「基材温度」を「決定」する、すなわち、前記「基材」と熱的に接合される基材支持体の温度を測定する等して、前記「基材」の温度を間接的に検知しているのに対し、引用発明1では「ガラス原盤」の「温度」を「センサー」で直接測定している点。

〈相違点3〉
補正発明の「基材上にある高分子材料を乾燥する方法」では「測定した周囲温度の検出した変動に応じて基材温度、高分子材料の温度及び基材乾燥スピン速度の少なくとも1つを調整して、第1の制御限界内で高分子材料の二次元プロファイルの均一性を制御」するのに対し、引用発明1の「スピンコーターによるガラス原盤上へのレジストコート方法」ではかかる制御を行っていない点。

〈相違点4〉
補正発明では「測定した周囲温度の検出した変動に応じて基材温度、高分子材料の温度及び基材乾燥スピン速度の少なくとも1つを調整して」、「第2の制御限界内」とされる対象が高分子材料の「平均膜厚」であるのに対し、引用発明1では「コート中のチャンバー内の温度」「の変動をセンサーで感知して」、「ばらつきを±1%程度に抑える」ようにされる対象がレジストの「膜厚」である点。

オ 相違点についての判断
(ア)相違点1について
引用発明1において、「コート中のチャンバー内の温度」「の変動をセンサーで感知して」、「レジストの膜厚のばらつきを±1%程度に抑えるようにスピンコーターの回転数を自動制御」するのは、「チャンバー内の温度」「の変動」がスピンコーターによりガラス原盤上に形成されるレジストの膜厚に変動をもたらすからである。そして、レジストにより近い位置におけるチャンバー内の温度の変動が、スピンコーターによりガラス原盤上に形成されるレジストの膜厚により大きな変動をもたらすことは、当業者にとって自明である。
また、スピンコーターによりレジストを基材上に塗布する装置において、レジストが形成される基材から垂直方向に離れた位置においてチャンバー内の温度を検出することは、本願の優先日前において当業者に周知の事項である(例えば、特開平8-186072号公報(段落【0114】?【0118】、図20)、特開平4-368117号公報(段落【0035】?【0043】、図1,2)、特開平3-268418号公報(第6頁右下欄第2行?第7頁右上欄第17行、第1図)を参照。)。
すると、引用発明1の「スピンコーターによるガラス原盤上へのレジストのコート方法」において、前記「コート中のチャンバー内の温度」「の変動」を感知する「センサー」を、レジストが形成されるガラス原盤にできるだけ近い位置であって且つレジストが形成されるガラス原盤から垂直方向に離れた位置に配置することは、当業者にとって容易に想到し得る。
したがって、相違点1に係る補正発明の発明特定事項を採用することは、当業者にとって想到容易である。

(イ)相違点2について
スピンコーターによりレジストを基材上に塗布する装置において、前記「基材」と熱的に接合される基材支持体の温度を測定する等して、間接的に前記「基材」の温度を検知することは、本願の優先日前において当業者に周知の事項である(例えば、特開平11-121367号公報(段落【0071】、【0077】、図6)を参照。)。
すると、引用発明1の「スピンコーターによるガラス原盤上へのレジストのコート方法」において前記「ガラス原盤の温度」を感知する際、上記周知技術のように、前記「基材」と熱的に接合される基材支持体の温度を測定する等して、前記「基材」の温度を間接的に検知することは、当業者にとって容易に想到し得る。
したがって、相違点2に係る補正発明の発明特定事項を採用することは、当業者にとって想到容易である。

(ウ)相違点3について
引用例2に記載された発明における「ウェハ中央部と周辺部とでレジスト膜厚が均一になるように、温度センサにより測定された前記カップ内の温度に応じてレジスト液の温度を制御する」ことは、補正発明の「測定した周囲温度の検出した変動に応じて基材温度、高分子材料の温度及び基材乾燥スピン速度の少なくとも1つを調整して」、「高分子材料の二次元プロファイルの均一性を制御」することに相当する。
そして、引用発明1と引用例2に記載された発明とは、スピンコート法によるレジスト膜の形成方法である点で一致するから、引用発明1に引用例2に記載された発明を適用して、引用発明1において「ガラス原盤」の中央部と周辺部とでレジストの膜厚が均一になるように、チャンバー内の温度に応じてレジスト液の温度を制御することは、当業者にとって想到容易である。
その際、レジストの膜厚の均一性についてある一定の限界(補正発明の「第1の制御限界」に相当する。)を定めることは、レジストの膜厚、レジストに形成されるパターンの大きさ等の製造条件に応じて当業者が適宜設定し得る事項である。
したがって、相違点3に係る補正発明の発明特定事項を採用することは、当業者にとって想到容易である。

(エ)相違点4について
スピンコート法においてスピンコートされる膜の膜厚が所定範囲内に収まるようにスピンコートを行う際の諸条件を制御する際、前記膜の平均膜厚が所定範囲内に収まるように前記諸条件を制御することは、本願の優先日前において当業者に周知の技術的事項である(一例として、特開昭63-32921号公報(第1頁右欄第13行?第2頁右上欄第15行、第4頁右上欄第15行?同頁左下欄第3行)を参照。)。
すると、引用発明1において「コート中のチャンバー内の温度」「の変動をセンサーで感知して」、「ばらつきを±1%程度に抑える」ようにされる対象を「レジスト」の「平均膜厚」とすることは、当業者にとって容易に想到し得る。
したがって、相違点4に係る補正発明の発明特定事項を採用することは、当業者にとって想到容易である。

カ 補正発明の独立特許要件の判断
以上のとおり、上記相違点1?4に係る補正発明の発明特定事項を採用することは、当業者にとって想到容易である。
また、補正発明の効果は、引用例1,2に記載された発明及び周知技術から当業者が予測し得る程度のものに過ぎない。
したがって、補正発明は引用例1,2に記載された発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができない。

3 むすび
以上のとおり、本件補正は平成18年改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するから、本件補正は同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。


第3 本件審判請求についての判断
1 本願発明の認定
本件補正が却下されたから、平成19年5月7日付けの手続補正により補正された明細書及び図面に基づいて審理すると、本願の請求項1に係る発明は、平成19年5月7日付けで補正された明細書の特許請求の範囲に記載された事項によって特定される次のとおりのものと認める。

「基材上にある高分子材料を乾燥する方法であって、
高分子材料の温度及び基材付近の周囲温度を測定し、該周囲温度は、基材プロセス位置中で基材にできる限り近く、基材プロセス位置から垂直方向に離れて測定され、
基材温度を決定し、
測定した周囲温度の変動を検出し、
測定した周囲温度の検出した変動に応じて基材温度、高分子材料の温度及び基材乾燥スピン速度の少なくとも1つを調整する
ことを含む、方法。」(以下、「本願発明」という。)

2 引用刊行物の記載事項及び引用例1,2記載の発明の認定
原査定の拒絶の理由に引用された引用例1,2には、前記「第2 補正の却下の決定」の「2 本件補正の適否の検討」の「(2)独立特許要件についての検討」の「イ 引用刊行物の記載事項」の欄に摘記したとおりの事項が記載されており、引用例1に記載された発明(引用発明1)及び引用例2に記載された発明は、前記「第2 補正の却下の決定」の「2 本件補正の適否の検討」の「(2)独立特許要件についての検討」の「ウ 引用例1,2記載の発明の認定」の欄に記載したとおりである。

3 判断
本願発明は、補正発明の発明特定事項から、前記「第2 補正の却下の決定」の「2 本件補正の適否の検討」の「(1)目的要件(平成18年改正前の特許法第17条の2第4項)についての検討」の欄で述べた限定事項を省いたものである。
そして、本願発明の発明特定事項をすべて含み、他の発明特定事項を付加したものに相当する補正発明が、前記「第2 補正の却下の決定」の「2 本件補正の適否の検討」の「(2)独立特許要件についての検討」の欄に記載したとおり、引用例1,2に記載された発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、前記「第2 補正の却下の決定」の「2 本件補正の適否の検討」の「(2)独立特許要件についての検討」の欄で示した理由と同様の理由により、引用例1,2に記載された発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

4 むすび
以上のとおり、本願発明は引用例1,2に記載された発明及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明は特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。そして、本願発明が特許を受けることができない以上、本願のその余の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は、拒絶されるべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2008-07-03 
結審通知日 2008-07-04 
審決日 2008-07-15 
出願番号 特願2001-569556(P2001-569556)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (H01L)
P 1 8・ 121- Z (H01L)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 岩本 勉  
特許庁審判長 末政 清滋
特許庁審判官 江塚 政弘
日夏 貴史
発明の名称 スピンコーティングの際に臨界サイズを二次元適応プロセス制御する方法  
代理人 大賀 眞司  
代理人 稲葉 良幸  
代理人 大貫 敏史  
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