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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1188833
審判番号 不服2006-12255  
総通号数 109 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2009-01-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2006-06-14 
確定日 2008-12-04 
事件の表示 特願2001-246779「音声入力を用いて表示画面上のキャラクタを動作させるプログラム及びこれを記憶した外部記憶媒体」拒絶査定不服審判事件〔平成15年 2月25日出願公開、特開2003- 53028〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は平成13年8月15日の出願であって、平成17年11月17日付けで拒絶の理由が通知され、平成18年1月19日付けで意見書及び手続補正書が提出され、平成18年2月9日付けで拒絶の理由(いわゆる「最後の拒絶理由通知」である。)が通知され、平成18年4月14日付けで意見書及び手続補正書が提出されたが、平成18年4月14日付けの手続補正が平成18年5月8日付けで却下されるとともに、平成18年2月9日付けの拒絶理由通知書に記載した理由により平成18年5月8日付けで拒絶の査定がされたため、これを不服として平成18年6月14日付けで本件審判請求がされるとともに、平成18年7月12日付けで手続補正(以下、「本件補正」という。)がなされたものである。


第2 補正の却下の決定

[補正の却下の決定の結論]
平成18年7月12日付けの手続補正を却下する。

[理由]
1 本件補正の内容
本件補正は、平成18年1月19日付けの手続補正により補正された明細書の特許請求の範囲についての

「【請求項1】
表示画面において複数のキャラクタを表示させる機能と、プレーヤによる操作部の操作に基づいて前記複数のキャラクタに所望の動作を行わせる機能とをゲーム機に実現させつつゲームを進行させるプログラムであって、
ゲームを行う前に所定の動作を表示画面に表示させる機能と、所定の動作の表示後、当該所定の動作を行うきっかけとしての音声を入力することを促す表示を表示画面に行なわせる機能と、入力されたプレーヤの音声を予め記憶させる機能と、記憶された音声を特定のキャラクタの前記所定の動作に対応させる機能と、
ゲーム進行中に入力されたプレーヤの音声と記憶された音声とを比較しほぼ同じであるかを認識する機能と、同じであると認識された音声に基づいて、表示画面において特定のキャラクタのみに所定の動作をさせる機能とをゲーム機に実現させるためのプログラム。
【請求項2】
前記複数のキャラクタの各々を個別に動作させるプレーヤの音声を予め記憶させる機能と、ゲーム進行中に入力されたプレーヤの音声と予め記憶された音声とを比較しほぼ同じであると認識された音声入力に基づいて、前記表示画面において、前記複数のキャラクタのうちいずれかのキャラクタのみを動作させる機能とをゲーム機に実現させるための請求項1に記載のプログラム。
【請求項3】
ゲーム進行中に入力された前記プレーヤの音声の内容を認識する機能と、認識した内容に応じて、所定のキャラクタに異なる動作を行わせる機能とをゲーム機に実現させるための請求項1又は請求項2に記載のプログラム。
【請求項4】
ゲーム進行中のプレーヤの音声入力に基づいて、前記表示画面において、所定のキャラクタが行う複数の動作のうちプレーヤに対していずれか選択させる選択画面を表示する機能を実現させるための請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のプログラム。
【請求項5】
前記プレーヤの操作部の操作による動作に優先して前記プレーヤの音声入力による動作を所定のキャラクタに行わせる機能を実現させるための請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のプログラム。
【請求項6】
前記複数のキャラクタはプレーヤの操作する味方キャラクタであり、前記表示画面において、プレーヤが操作する味方キャラクタと、敵キャラクタとを対戦させて格闘させる格闘ゲームを進行させる機能を実現させるための請求項1乃至請求項5のいずれかに記載のプログラム。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6のいずれかに記載のプログラムを記憶した外部記憶媒体。」

の記載を、

「【請求項1】
表示画面において複数のキャラクタを表示させる機能と、プレーヤによる操作部の操作に基づいて前記複数のキャラクタに所望の動作を行わせる機能とをゲーム機に実現させつつゲームを進行させるプログラムであって、
ゲームを行う前に、ゲーム進行中に前記複数のキャラクタが行う所定の動作を表示画面に表示させる機能と、
前記所定の動作の表示後、当該所定の動作を行うきっかけとして、前記プレーヤ自身が決めた、前記プレーヤ自身の音声とその内容とを入力することを促す表示を表示画面に行なわせる機能と、
前記複数のキャラクタの各々を個別に動作させるために予め入力された前記プレーヤ自身が決めた音声とその内容を予め記憶させる機能と、 記憶された前記音声とその内容を前記複数のキャラクタの前記所定の動作に対応させる機能と、
ゲーム進行中に入力されたプレーヤの音声とその内容と、予め記憶された前記プレーヤ自身の音声とその内容とを比較しほぼ同じであるかを認識する機能と、
同じであると認識された音声とその内容に基づいて、表示画面において前記複数のキャラクタのうちいずれかのキャラクタのみに前記所定の動作をさせる機能とをゲーム機に実現させるためのプログラム。
【請求項2】
ゲーム進行中に入力された前記プレーヤの音声とその内容を認識する機能と、認識した音声とその内容に応じて、所定のキャラクタに異なる動作を行わせる機能とをゲーム機に実現させるための請求項1に記載のプログラム。
【請求項3】
ゲーム進行中のプレーヤの音声入力に基づいて、前記表示画面において、所定のキャラクタが行う複数の動作のうちプレーヤに対していずれか選択させる選択画面を表示する機能を実現させるための請求項1又は請求項2に記載のプログラム。
【請求項4】
前記プレーヤの操作部の操作による動作に優先して前記プレーヤの音声入力による動作を所定のキャラクタに行わせる機能を実現させるための請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のプログラム。
【請求項5】
前記複数のキャラクタはプレーヤの操作する味方キャラクタであり、前記表示画面において、プレーヤが操作する味方キャラクタと、敵キャラクタとを対戦させて格闘させる格闘ゲームを進行させる機能を実現させるための請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のプログラム。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のいずれかに記載のプログラムを記憶した外部記憶媒体。」

と補正することを含むものである。

2 本件補正の適否の検討
(1)目的要件(平成18年改正前の特許法第17条の2第4項)についての検討
ア 本件補正のうち本件補正前の旧請求項1ないし2を本件補正後の請求項1とする補正は、(ア)本件補正前の旧請求項1を削除するとともに、(イ)「所定の動作」を「ゲーム進行中に前記複数のキャラクタが行う所定の動作」と限定し、(ウ)「音声」を「前記プレーヤ自身が決めた、前記プレーヤ自身の音声とその内容」と限定し、(エ)予め記憶される「入力されたプレーヤの音声」を「前記複数のキャラクタの各々を個別に動作させるために予め入力された前記プレーヤ自身が決めた音声とその内容」と限定する補正であるから、平成18年改正前の特許法第17条の2第4項第1号に掲げる「請求項の削除」を目的とする補正及び同法第17条の2第4項第2号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とする補正に当たる。

イ 本件補正のうち本件補正前の旧請求項3ないし7を本件補正後の請求項2ないし6とする補正は、本件補正前の旧請求項1を削除するとともに、それに伴って請求項の番号を繰り上げることを目的とする補正であるから、平成18年改正前の特許法第17条の2第4項第1号に掲げる「請求項の削除」を目的とする補正に当たる。

ウ したがって、本件補正は、同法第17条の2第4項の規定に適合する。

(2)独立特許要件についての検討
上記「2 本件補正の適否の検討」の「(1)目的要件」の欄で検討したとおり、本件補正は、平成18年改正前の特許法第17条の2第4項第2号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とする補正を含むものである。そこで、本件補正が、同法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項に規定する要件を満たすか否か、すなわち、本件補正後の請求項1に係る発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるかどうかを検討する。

ア 本願補正発明の認定
本願補正発明は、本件補正により補正された明細書の特許請求の範囲の【請求項1】に記載された事項によって特定される次のとおりのものと認める。

「表示画面において複数のキャラクタを表示させる機能と、プレーヤによる操作部の操作に基づいて前記複数のキャラクタに所望の動作を行わせる機能とをゲーム機に実現させつつゲームを進行させるプログラムであって、
ゲームを行う前に、ゲーム進行中に前記複数のキャラクタが行う所定の動作を表示画面に表示させる機能と、
前記所定の動作の表示後、当該所定の動作を行うきっかけとして、前記プレーヤ自身が決めた、前記プレーヤ自身の音声とその内容とを入力することを促す表示を表示画面に行なわせる機能と、
前記複数のキャラクタの各々を個別に動作させるために予め入力された前記プレーヤ自身が決めた音声とその内容を予め記憶させる機能と、 記憶された前記音声とその内容を前記複数のキャラクタの前記所定の動作に対応させる機能と、
ゲーム進行中に入力されたプレーヤの音声とその内容と、予め記憶された前記プレーヤ自身の音声とその内容とを比較しほぼ同じであるかを認識する機能と、
同じであると認識された音声とその内容に基づいて、表示画面において前記複数のキャラクタのうちいずれかのキャラクタのみに前記所定の動作をさせる機能とをゲーム機に実現させるためのプログラム。」

イ 引用刊行物の記載事項
原査定の拒絶の理由に引用され、本願の出願前に頒布された刊行物である特開2001-224851号公報(以下、「引用例1」という。)には、以下の(ア)ないし(サ)の記載が図面とともにある。

(ア)「【請求項4】 音声入力部,D/A変換部,音声認識部を備えたゲーム装置において、ゲームに登場する選手の動作を、手動入力または音声によってプレイヤの所定の言葉で登録できる登録部と、前記音声認識部により認識された内容を解釈する実行内容解釈部と、前記実行内容解釈部の解釈内容に対し、前記登録部の登録内容を参照するデータ参照部と、前記参照の結果、該当するデータが存在する場合、そのデータ内容を実行する命令実行部とを有し、前記登録したプレイヤの言葉による音声入力操作により画面上の選手の動作指示を行うことを特徴とする音声認識ゲーム装置。」

(イ)「【請求項5】 音声入力部,D/A変換部,音声認識部を備えたゲーム装置において、前記音声認識部により認識された内容を解釈する実行内容解釈部と、画面に表示される対象物が指定されたとき指定中を示す表示を行うデータが蓄積されているデータメモリ部と、前記実行内容解釈部の解釈内容に対し、前記データメモリ部に蓄積されているデータを参照するデータ参照部と、前記参照の結果、該当するデータが存在する場合、そのデータ内容を実行する命令実行部とを有し、音声によって画面上の特定の対象を指定し、その対象の指定中を示す表示を画面中に行うことを特徴とする音声認識ゲーム装置。」

(ウ)「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、サッカーゲームなどにおいて、選手であるキャラクタの動作,状態や周辺状況などを音声入力により指示してゲームを進行させることができる音声認識ゲーム装置に関する。
【0002】
【従来の技術】音声認識を用いた従来のゲーム装置は、プレイヤがある固定のキャラクタに話しかけ反応をみるというものや特定のキャラクタ(動いているもの)などを対象にして作用するものが存在している。従来の音声認識ゲーム装置は、このように特定の対象を直接的に動作させてゲームの一部を進行させるものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】従来のゲーム装置の入力手段としては、ボタン操作部,パッド,方向キー,レバーにより入力する手動入力が主であった。通常、手動入力だけでゲームを進行させることが可能であるが、ゲーム内容によっては手動入力だけでは十分でない場合がある。特にキャラクタの内面を表現してそれをゲームに反映する場合には手動入力では限界がある。また、主人公キャラクタの動作を操作するものが多く、その操作を中心にゲームが進行していく。このような場合、主人公キャラクタを操作中に、他のキャラクタの行動をプレイヤの意思通り指示したいという要請がある。両手で操作することが多い手動入力部では、主人公キャラクタの動作を指示することで一杯になり、他の操作をする余裕はない。
【0004】また、ゲーム中に特定の対象を指定してその対象に指定中を示す表示を行うことにより、指定された対象を音声により操作するとともに指定中での操作をより分かりやすくしたいという要請がある。さらにはゲームに登場するキャラクタ以外の周辺状況は手動入力では指示することは困難な側面がある。本発明の目的は、上記諸問題を解決するとともに各要請に応えることができる音声認識ゲーム装置を提供することにある。」

(エ)「【0006】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明をさらに詳しく説明する。図1は、本発明による音声認識ゲーム装置の実施の形態を説明するための図で、(a)はゲーム装置の外観図,(b)は音声入力の流れを示す図である。音声認識ゲーム装置1に向かってマイク2で入力することによりゲームを進行させることができる。プレイヤ3が発した音声は、マイク21を通じて入力され、A/D変換される。音声認識する場合、ディジタルデータを内部データ(命令)と一致するか参照する。そして一致した内部データ(命令)がCPUで処理される。
【0007】図2は、本発明による音声認識ゲーム装置の実施の形態を示す回路ブロック図である。操作装置6のゲーム開始用のボタン等を押すと、入出力制御装置8を介してCPU11に伝達され、ゲームが起動される。バックアップメモリ9にはコイン数・プレイ数・難易度の設定値が格納される。CPU11はプログラムROM18よりゲーム全体を制御するプログラムを読み出し、読み出したプログラムにしたがって画像制御回路12を制御し初期画面をCRT13に表示させる。プログラムROM18にはゲーム制御プログラムの他に音声入力内容を実行させるためのデータが格納されており、ゲーム開始時にその内容がデータメモリ部11cに格納される。」

(オ)「【0008】(中略)操作装置6は、ボタン入力部,レバー入力,十字キー(方向キー)により構成されており、ゲームを進行させることができ、同時にマイク2からも音声入力することができる。」

(カ)「【0009】CPU11は音声認識された入力データの実行内容を解釈する実行内容解釈部11a,各実行内容対応にどのように画面を操作するかのデータが蓄積されているデータメモリ部11c,実行内容解釈結果に対し、データメモリ部11cのデータを参照し一致する部分を検出するデータ参照部11bおよび一致したデータ内容を実行する命令を出力する命令実行部11dを含んでいる。」

(キ)「【0010】図3は、音声でサッカーゲームのパス,シュートを指示する例を示す図である。通常操作では、図3(a)に示すように操作装置6の十字キーにより対象となる選手を移動させ、ボタン操作によりサッカーゲームのシュート,パスを行うことができる。選手の移動は、図3(b)に示すように十字キーにより行いつつ、マイク2でパス,シュートを行うことができる。また、図3(c)に示すように選手の移動も音声により「前」「後」「右」「左」と発して移動させ、パス,シュートを音声指示することができる。
【0011】例えば、「左」と音声入力されると、音声認識手段10はその入力を認識し、実行内容解釈部11aで「左」という内容を解釈する。データメモリ部11cには、ゲーム開始のときに制御プログラムとともにプログラムROM18に格納されているデータが読み込まれている。データ参照部11bは、データメモリ部11cからデータを読み出し、実行内容解釈部11aで解釈した「左」に対するデータを参照する。命令実行部11dは参照した結果、一致するデータの命令を実行する。これにより画像制御回路12はボールを持った選手を左方向に移動させる画像処理を行い、CRT13上では対象の選手が左方向に移動する。」

(ク)「【0021】図10は、予め音声で登録しておくことにより、サッカーゲームのシュートの動作を他の言葉で指示する例を示す図である。通常、音声入力で「シュート」と発すれば、図10(a)に示すように選手がシュートする画面表示を行う。プレイヤが望む言葉で画面上の選手の動作を指示するためには、サッカーゲームを最初に起動したとき、選手の動作指示に対する言葉を予め登録する。例えば、シュート動作に関する言葉を登録したい場合には操作装置6の操作によりCRT13に登録画面を表示させる。マイク2から「ダイナマイトシュート」という言葉を入力すると、そのシュート動作の画像データがダイナマイトシュートというアドレスでデータメモリ部11cに格納される。
【0022】ゲーム中にプレイヤが「ダイナマイトシュート」と発すると、音声認識手段10はその入力を認識し、実行内容解釈部11aで「ダイナマイトシュート」という内容を解釈する。データメモリ部11cには、上述したようにダイナマイトシュートに対する、威力のあるシュートボールの動きを表示する画像データが格納されている。データ参照部11bは、データメモリ部11cからデータを読み出し、実行内容解釈部11aで解釈した「ダイナマイトシュート」に対するデータを参照する。命令実行部11dは参照した結果、一致するデータの命令を実行する。これにより画像制御回路12は、威力のあるシュートを行う画面を表示するように制御する。CRT13には選手がダイナマイトシュートを行う画像が表示される。」

(ケ)「【0024】図12は、音声で特定の対象を指定し、その指定中を表示する例を示す図である。この実施の形態は、サッカーゲームのように多数の対象が存在し、音声入力により操作する対象を選択するものである。特定の一人を指定したり、グループ単位で指定したりするものである。例えば、サッカーゲームでディフェンスの守備位置に3人いたとする。「ディフェンス!あがれ」と発すると、音声認識手段10はその入力を認識し、実行内容解釈部11aで「ディフェンス」という内容を先ず解釈し、つぎに「あがれ」という内容を解釈する。データメモリ部11cには、ゲーム開始時に、選択対象のデータや、どのように動作するかの画像のデータが格納されている。
【0025】データ参照部11bは、データメモリ部11cからデータを読み出し、実行内容解釈部11aで解釈した「ディフェンス」に対するデータを参照する。命令実行部11dは、参照した結果、一致するデータの命令を実行する。これにより画像制御回路12は、ディフェンス3人を指定する画像を表示するように制御する。そして「あがれ」に対するデータを参照し、命令実行部11dにより命令を実行する。CRT13には図12(a)に示すようにディフェンス3人が上がっていく画像が表示される。
【0026】つぎに背番号指定で「10番」と音声入力すると、音声認識手段10はその入力を認識し、実行内容解釈部11aで「10番」という内容を先ず解釈する。データ参照部11bは、データメモリ部11cからデータを読み出し、実行内容解釈部11aで解釈した「10番」に対するデータを参照する。命令実行部11dは参照した結果、一致するデータの命令を実行する。これにより画像制御回路12は、10番の選手を指定する画像を表示するように制御する。CRT13には図12(b)に示すように10番が指定されている画像が表示される。名字で「田中」と言えば、上記と同様な処理で田中という選手が選択されている画面が表示される。」

(コ)「【0027】
【発明の効果】以上、説明したように本発明によれば、以下のような種々の効果を得ることができる。(中略)また、プレイヤが希望する言葉を登録し、その登録した言葉で操作を割り当てることができる。さらに音声によって特定の対象を指定し、その対象の指定中を示す表示物を画面上に表示でき、画面上の従来指定しずらい動作,状態およびゲームの周辺環境などを容易に表示できるという効果がある。」

(サ)図9及び図12から、複数のキャラクタが画面に表示されていることが読み取れる。

原査定の拒絶の理由に引用され、本願の出願前に頒布された刊行物である特開2000-181676号公報(以下、「引用例2」という。)には、以下の(シ)ないし(タ)の記載が図面とともにある。

(シ)「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、画像処理装置に関し、より特定的には、入力される使用者の音声に応答して対話相手オブジェクトの表示状態を変化させるような画像処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】音声で入力された言葉の意味を認識する音声認識装置は、従来から様々な分野で利用されている。例えば、認識された音声に応答して、ディスプレイの表示画像の内容(例えば、キャラクタ)を変化させるような画像処理装置(例えば、ビデオゲーム装置)が従来から知られている(例えば、特開平9-230890号公報)。」

(ス)「【0031】
【発明の実施の形態】図1は、本発明の一実施形態に係るビデオゲームシステムの構成を示す外観図である。図1において、本実施形態のビデオゲームシステムは、ビデオゲーム機本体10と、ROMカートリッジ20と、ビデオゲーム機本体10に接続されるテレビジョン受像機30と、コントローラ40と、音声認識ユニット50と、マイクロフォン60とを備えている。
【0032】ROMカートリッジ20は、ゲームプログラムやキャラクタデータ等のゲームに関するデータを固定的に記憶した外部ROMを含み、ビデオゲーム機本体10に着脱自在に構成される。コントローラ40は、両手または片手で把持可能な形状のハウジングに、複数のスイッチを設けて構成される。各スイッチの機能は、ゲームプログラムによって任意に定義され得る。なお、コントローラ40は、本実施形態に興味あるスイッチとして、ハウンジングの裏側に設けられるZボタン40Zを含む。音声認識ユニット50は、マイクロフォン60でピックアップされた音声の単語認識を行う。」

(セ)「【0037】図3は、音声認識ユニット50のより詳細な構成を示すブロック図である。図3において、音声認識ユニット50は、A/D変換器51と、制御部52と、音声データROM53と、辞書RAM54と、インタフェイス55とを備えている。制御部52は、DSP(ディジタル・シグナル・プロセッサ)521と、プログラムROM522と、ワークRAM523とを含む。
【0038】A/D変換器51は、マイクロフォン60がピックアップしたアナログ音声信号をディジタル音声データに変換する。A/D変換器51から出力されるディジタル音声データは、DSP521に与えられる。DSP521は、プログラムROM522に記憶されている動作プログラムに従って動作を行う。ワークRAM523は、DSP521がデータ処理を行う上で必要となるデータを記憶する。音声データROM53は、音声合成の元となる各素音(すなわち、母音および子音)についての音声データを記憶している。辞書RAM54は、ゲームにおいて使用する(換言すれば、マイクロフォン60から入力されることが予定されている)複数の単語のデータをコードデータの形で記憶している。DSP521は、マイクロフォン60から音声データが入力されると、辞書RAM54からいずれか1つの単語データを選択して読み出し、音声データROM53に記憶されている複数の素音データの中から対応する素音データを読み出して合成することにより、単語として構成された音声データを作成する。そして、DSP521は、合成した単語の音声データと、マイクロフォン60から入力された単語の音声データとを比較し、その類似度を表す相関距離を計算する。ここでは、相関距離が小さいほど類似度が高くなるものとする。DSP521は、類似度すなわち相関距離の計算を辞書RAM54に記憶されている全ての単語について行う。その後、DSP521は、入力された単語と類似度の高い単語について、計算した相関距離と対応する単語のコード番号とを、インタフェイス55を介してビデオゲーム機本体10に送る。」

(ソ)「【0074】その後、ゲームプログラムの処理が進行して、ゲームモードが音声認識ゲームモードに移行した場合の動作について説明する。この場合、まず、図9のステップS304において、音声認識ゲーム処理を実行中であることが判断される。従って、プレイヤからの音声入力が必要となるが、本実施形態では、可能な限りプレイヤの音声のみが入力されるような配慮がなされている。すなわち、本実施形態は、プレイヤがZボタン40Zを押圧中のときのみ音声入力を受け付ける構成となっている。これによって、Zボタン押圧時以外にプレイヤが発声する音声以外の音(例えば、生活雑音)が入力されるのをある程度避けることができる。しかしながら、プレイヤは、しばしば音声入力のためにZボタン40Zを押圧するのを忘れる場合がある。そこで、CPU11は、Zボタン40Zが押圧されているか否かを判断し(ステップS311)、押圧されていない場合は、押圧されていない時間を計測する(ステップS312)。そして、CPU11は、この計測時間が所定時間を越えたか否かを判断し(ステップS313)、越えた場合は、Zボタン40Zの押圧を促すようなメッセージを表示するための表示データをRAM15の表示リスト領域150(図6参照)に登録する(ステップS314)。登録された表示データは、後に説明する図7の描画処理(ステップS5)において、ディスプレイ31に表示される。
【0075】自発的にあるいはディスプレイ31に表示されたメッセージに促されてプレイヤがZボタン40Zを押圧すると、CPU11は、図8のステップS301において、音声認識ゲーム処理を実行中であり、かつZボタン40Zが押圧中であることを判断し、音声認識ユニット50に対して音声認識処理の実行を指示する(ステップS315)。応じて、音声認識ユニット50は、図11に示すフローチャートに沿って音声認識動作を実行する。図11を参照して、音声認識ユニット50のDSP521は、まずCPU11からの音声認識命令を受け取ったことを判断し(ステップS316)、マイクロフォン60から出力される音声信号を入力する(ステップS317)。次に、DSP521は、入力したアナログの音声信号を、A/D変換器51によって、ディジタル音声信号に変換させる(ステップS318)。次に、DSP521は、入力された音声と辞書RAM54に記憶された各単語とを比較する(ステップS320)。このとき、DSP521は、前述したように、辞書RAM54からいずれか1つの単語データを選択して読み出し、音声データROM53に記憶されている複数の素音データの中から対応する素音データを読み出して合成することにより、単語として構成された音声データを作成する。そして、DSP521は、合成した単語の音声データと、マイクロフォン60から入力された単語の音声データとを比較し、その類似度を表す相関距離を計算する。ここでは、相関距離が小さいほど類似度が高くなるものとする。DSP521は、類似度すなわち相関距離の計算を辞書RAM54に記憶されている全ての単語について行う。全単語についての相関距離の計算が終了すると、DSP521は、処理完了フラグをONする(ステップS320)。この処理完了フラグは、例えばRAM15内のフラグ領域159F(図6参照)に設けられている。その後、DSP521は、ステップS316の動作に戻る。
【0076】一方、CPU11は、処理完了フラグがONされたことに基づいて、音声認識ユニット50での音声認識処理が完了したと判断する(ステップS302)。そして、CPU11は、音声認識ユニット50に対して取込命令を出力する(ステップS321)。応じて、音声認識ユニット50のDSP521は、CPU11から取込命令が出されたことを判断し(ステップS322)、第1順位の単語(すなわち、辞書RAM54に登録された単語の中で、音声入力された単語と最も類似度の高い単語)のコード番号と相関距離値とを、インタフェイス55を介してビデオゲーム機本体10に送る(ステップS323)。さらに、DSP521は、第2順位の単語(すなわち、辞書RAM54に登録された単語の中で、音声入力された単語と2番目に類似度の高い単語)のコード番号と相関距離値とを、インタフェイス55を介してビデオゲーム機本体10に送る(ステップS324)。次に、DSP521は、処理完了フラグをOFFする(ステップS325)。その後、DSP521は、ステップS316の動作に戻る。
【0077】CPU11は、上記ステップS323およびS324でDSP521から送られてくる単語のコード番号と相関距離値とを取り込む(ステップS326)。次に、CPU11の動作は、ステップS303のZボタン処理を経由した後、ステップS305の音声認識ゲーム処理ルーチンに入る。このステップS305において、CPU11は、音声認識ゲーム処理の実行中であることを判断し(ステップS306)、現在のゲームのレベルが、レベル1であるか、レベル2であるか、レベル3であるかを判断する(ステップS327およびS328)。CPU11は、判断の結果、現在のゲームのレベルがレベル1である場合は、レベル1のゲーム処理を実行し(ステップS329)、レベル2である場合は、レベル2のゲーム処理を実行し(ステップS330)、レベル3である場合は、レベル3のゲーム処理を実行する(ステップS331)。」

(タ)「【0080】次に、図13を参照して、レベル2のゲーム処理について説明する。このレベル2のゲーム処理では、プレイヤの音声入力に応答して、対話相手オブジェクトに対応する動作を行わせる。対話相手オブジェクトが行う動作としては、プログラム上で予め複数種類の動作が準備されている。従って、対話相手オブジェクトにプレイヤが意図する動作を行わせるためには、その動作に対応する単語の音声を入力する必要がある。マイクロフォン60から音声入力があると、辞書RAM54に登録されている単語の内、入力された音声と最も似ている単語が選択され、予め準備された動作に対応する単語と比較される。比較の結果、一致するものがあると、その単語に対応する動作が実行される。比較の結果、一致するものがない場合は、辞書RAM54に登録されている単語の内、入力された音声と2番目に似ている単語が選択され、予め準備された動作に対応する単語と比較される。比較の結果、一致するものがあると、その単語に対応する動作が実行される。比較の結果、一致するものがない場合は、正しい単語を入力させるための処理が行われる。
【0081】図13を参照して、CPU11は、まず、メッセージ表示処理を行う(ステップS345)。このメッセージ表示処理の詳細は、図14に示されている。図14を参照して、CPU11は、まず、表示すべきメッセージを決定する(ステップS346)。次に、CPU11は、決定されたメッセージのデータをRAM15から読み出す(ステップS347)。次に、CPU11は、辞書RAM54に記憶されている全単語データを検出し(ステップS348)、当該単語データとRAM15から読み出したメッセージデータとを比較することにより、当該メッセージデータ中に当該単語と対応する単語が存在するか否かを判断する(ステップS349)。次に、CPU11は、メッセージデータ中に辞書RAM54に登録された単語と一致する単語が存在する場合、当該単語に相当する部分の表示色を、他のメッセージ文の表示色と変化させるように、メッセージデータの色データを補正する(ステップS350)。次に、CPU11は、色補正が施されたメッセージデータをRAM15の表示リスト領域150(図6参照)に登録する(ステップS351)。このとき登録された表示データは、後に説明する図7の描画処理(ステップS5)において、ディスプレイ31に表示される。図20は、ディスプレイ31に表示されるメッセージの一例を示している。図20には、メッセージとして「さいしょはれんしゅうじゃ。ピカチュウがスイカのそばにちかよったらそこだとおしえてやるのじゃ。」と表示されている。そして、「ピカチュウ」「スイカ」「そこだ」の表示色が他のメッセージ文と異なる表示色になっている。このように、メッセージ文中において、辞書RAM54に登録されている単語の部分の表示色を他の部分の表示色と異ならせることにより、プレイヤは、入力可能な単語を容易に知ることができる。その結果、プレイヤは、入力すべき単語が分からずに、やみくもに発声を繰り返すことが無くなり、ゲームに対して興味を無くしてしまうような事態を防止できる。なお、実際のゲームでは、ゲームの進行に応じて、ステップS345で表示するメッセージの内容が変更されるであろう。ステップS351の後、メッセージ表示処理が終了し、CPU11は、図13のレベル2のゲーム処理に戻る。
【0082】再び図13に戻って、CPU11は、マイクロフォン60から音声入力があったか否かを判断する(ステップS352)。音声入力があった場合、CPU11は、対話相手オブジェクトが音声入力に応答する動作を行うことが可能か否かを判断する(ステップS353)。例えば、プログラム中で規定された一連の画像処理であって、音声入力に応答しない画像処理を実行中である場合は、対話相手オブジェクトが音声入力に応答する動作を行うことが不可能であると判断される。次に、CPU11は、図8のステップS326で取り込まれた音声認識ユニット50の音声認識結果の中から、第1順位の単語(すなわち、音声入力された単語に最も類似する単語)を検出する(ステップS354)。次に、CPU11は、検出された第1順位の単語が、プログラム上で予め予定されているいずれかの単語に該当するか否かを判断する(ステップS355?S357)。いずれかの単語に該当する場合、CPU11は、対話相手オブジェクトに該当する動作をさせるための表示データの演算を行う(ステップS358?S360)。一方、第1順位の単語がプログラム上で予定されている単語のいずれにも該当しない場合、CPU11は、図8のステップS326で取り込まれた音声認識ユニット50の音声認識結果の中から、第2順位の単語(すなわち、音声入力された単語に2番目に類似する単語)を検出する(ステップS361)。次に、CPU11は、検出された第2順位の単語が、プログラム上で予め予定されているいずれかの単語に該当するか否かを判断する(ステップS362?S364)。いずれかの単語に該当する場合、CPU11は、対話相手オブジェクトに該当する動作をさせるための表示データの演算を行う(ステップS365?S367)。なお、本実施形態では、レベル2のゲーム処理の一例として、図21の画面表示例に示すように、対話相手オブジェクトに対してスイカ割りを行わせることを想定している。このスイカ割りゲームは、目隠しをされた対話相手オブジェクトがプレイヤの指示する方向へ進んでいき、指示されたところで所持している棒を振り下ろしてスイカを割るゲームである。そのため、プログラム上で予定されている単語としては、対話相手オブジェクトの移動方向を決めるための単語「右」「左」と、棒を振り下ろしてスイカを割らせるための単語「そこだ」とが示されている。もっともゲームの進行度合いあるいはゲームの種類によっては、予定されている単語を増減することも、他の単語を採用することも可能である。
【0083】上記ステップS358?S360、ステップS365?S367における表示データの演算処理が終了すると、CPU11は、ステップS368の認識不能処理を実行する。この認識不能処理の詳細は、図15に示されている。図15を参照して、CPU11は、まず、入力された音声が認識されなかった連続回数を計算する(ステップS369)。ここで、認識されなかったとは、第1順位および第2順位の単語の両方が、プログラム上で予定されている単語(すなわち、「右」「左」「そこだ」)のいずれにも該当しない場合を言う。この場合、ステップS358?S360、ステップS365?S367のいずれかを通過しているのであるから、入力されている単語の認識が行われており、計算される認識不能連続回数は0回となる。従って、CPU11は、計算された認識不能連続回数が予め定める所定回数以下であることを判断し(ステップS370)、今度は、認識できなかった継続時間を計算する(ステップS371)。このとき計算される継続時間は、0秒である。従って、CPU11は、計算された認識不能継続時間が予め定める所定時間以下であることを判断し、ステップS368の認識不能処理を終了する。このように、第1順位または第2順位の単語がプログラム上で予定されている単語のいずれかに該当すると判断された場合は、ステップS368の認識不能処理をスルーすることになる。ステップS368の後、CPU11は、ステップS358?S360、ステップS365?S367のいずれかで演算された表示データをRAM15の表示リスト領域150(図6参照)に登録する(ステップS373)。このとき登録された表示データは、後に説明する図7の描画処理(ステップS5)において、ディスプレイ31に表示される。」

ウ 引用例1記載の発明の認定
(ア)引用例1の上記記載事項(サ)から、引用例1の音声認識サッカーゲーム装置の画面には複数のサッカー選手キャラクタが表示されることが記載されている。また、引用例1の音声認識ゲーム装置で楽しむゲームはサッカーゲームであって、サッカーは11人のサッカー選手からなるサッカーチーム同士が対戦するゲームであるから、引用例1の音声認識サッカーゲーム装置の画面には、複数のサッカー選手キャラクタが表示されることは明らかである。

(イ)引用例1の上記記載事項(オ)及び(キ)から、引用例1の音声認識サッカーゲーム装置では、音声入力部と操作装置の十字キー及びボタン入力部とにより、画面上のサッカー選手キャラクタを移動させたり画面上のサッカー選手キャラクタにパスやシュートをさせたりしていると認められる。

(ウ)引用例1の上記記載事項(ク)(段落【0021】)の「シュート動作」や上記記載事項(ク)(段落【0022】)における「選手がダイナマイトシュートを行う」ことは、いずれも引用例1の「音声認識サッカーゲーム」における「選手の動作」(引用例1の上記記載事項(ア)、上記記載事項(ク)(段落【0021】)を参照。)の一例であることは明らかである。
また、引用例1の上記記載事項(ク)(段落【0021】)の「ダイナマイトシュート」という言葉は、音声認識サッカーゲームにおける「プレイヤが望む言葉」(上記記載事項(ク)(段落【0021】)を参照。)の一例であることも明らかである。
すると、引用例1の上記記載事項(ア)及び引用例1の上記記載事項(ク)(段落【0021】)から、引用例1の音声認識サッカーゲームでは、サッカーゲームを最初に起動したときに、サッカー選手キャラクタの動作を予めプレイヤが望む言葉で登録するために登録画面を画面に表示し、サッカー選手キャラクタの前記動作の画像データをプレイヤが望む言葉でデータメモリ部に登録していることは明らかである。また、引用例1の上記記載事項(ア)及び引用例1の上記記載事項(ク)(段落【0021】ないし【0022】)から、引用例1の音声認識サッカーゲームでは、サッカーゲーム中にプレイヤが前記プレイヤが望む言葉を発して音声入力したときに、前記音声入力を音声認識手段が認識し、前記音声認識手段により認識された内容を実行内容解釈部で解釈し、データ参照部はデータメモリ部から動作の画像データを読み出して前記実行内容解釈部で解釈された前記内容に対するデータを参照し、命令実行部は前記実行内容解釈部で解釈した内容と一致するサッカー選手キャラクタの動作の画像データの命令を実行し、サッカー選手キャラクタが前記動作を行う画像を画面に表示していることは明らかである。

(エ)引用例1の上記記載事項(エ)(段落【0007】)から、上記(ア)ないし(ウ)の音声認識サッカーゲーム装置の画面の表示やCPU等の動作は、引用例1の上記記載事項(エ)(段落【0007】)の「ゲーム全体を制御する」「ゲーム制御プログラム」によって制御されていることは明らかである。

(オ)したがって、引用例1の上記記載事項(ア)ないし(ク)から、引用例1には次のような発明が記載されていると認めることができる。

「画面に複数のサッカー選手キャラクタを表示させる機能と、音声入力部と操作装置の十字キー及びボタン入力部とにより、前記画面上のサッカー選手キャラクタを移動させたり前記画面上のサッカー選手キャラクタにパスやシュートをさせたりする機能を音声認識サッカーゲーム装置に行わせるとともにゲーム全体を制御する音声認識サッカーゲーム制御プログラムであって、
サッカーゲームを最初に起動したときに、サッカー選手キャラクタの動作を予めプレイヤが望む言葉で登録するために登録画面を前記画面に表示させる機能と、サッカー選手キャラクタの前記動作の画像データをプレイヤが望む言葉でデータメモリ部に登録させる機能と、
サッカーゲーム中にプレイヤが前記言葉を発して音声入力したときに、前記音声入力を音声認識手段に認識させる機能と、前記音声認識手段により認識された内容を実行内容解釈部で解釈させる機能と、前記データメモリ部から前記動作の画像データを読み出し、前記実行内容解釈部で解釈された前記内容に対するデータをデータ参照部に参照させる機能と、前記実行内容解釈部で解釈した内容と一致するサッカー選手キャラクタの動作の画像データの命令を命令実行部に実行させて、サッカー選手キャラクタが前記動作を行う画像を前記画面に表示させる機能と
を音声認識サッカーゲーム装置に行わせる音声認識サッカーゲーム制御プログラム。」(以下、「引用発明1」という。)

(カ)引用例1の上記記載事項(ケ)(段落【0024】)には、「音声で特定の対象を指定」する際、「特定の一人を指定」することができることが記載されている。
また、引用例1の上記記載事項(ケ)(段落【0024】)の「ディフェンス!あがれ」のうち「ディフェンス」は音声で指定される特定の対象の一例であり、「ディフェンス!あがれ」のうち「あがれ」はサッカー選手キャラクタの動作の一例であることも明らかである。
すると、引用例1の上記記載事項(イ)、(ウ)(段落【0004】)、(ケ)(【0024】ないし【0025】)から、引用例1の音声認識サッカーゲームでは、サッカーゲーム中にプレイヤが画面上の特定のサッカー選手キャラクタを指定するとともにサッカー選手キャラクタを操作する言葉を発して音声入力したときに、前記音声入力を音声認識手段が認識し、前記音声認識手段により認識された内容のうち先ず前記画面上の特定のサッカー選手キャラクタを指定する内容を実行内容解釈部で解釈し、つぎに前記音声認識手段により認識された内容のうちサッカー選手キャラクタを操作する内容を前記実行内容解釈部で解釈し、データ参照部は前記データメモリ部から画像のデータを読み出して前記実行内容解釈部で解釈された前記指定された特定のサッカー選手キャラクタに対するデータを参照し、命令実行部は前記実行内容解釈部で解釈した内容と一致する前記指定された特定のサッカー選手キャラクタに対するデータの命令を実行し、前記指定された特定のサッカー選手キャラクタを指定する画像を前記画面に表示し、前記データ参照部は前記データメモリ部から画像のデータを読み出して前記実行内容解釈部で解釈されたサッカー選手キャラクタを操作する内容に対する画像データを参照し、前記命令実行部は前記実行内容解釈部で解釈した内容と一致するサッカー選手キャラクタの動作の画像データの命令を実行し、前記特定のサッカー選手キャラクタが前記動作を行う画像を前記画面に表示していることは明らかである。

(キ)引用例1の上記記載事項(エ)(段落【0007】)から、上記(ア)ないし(ウ)、(カ)の音声認識サッカーゲーム装置の画面の表示やCPU等の動作は、引用例1の上記記載事項(エ)(段落【0007】)の「ゲーム全体を制御する」「ゲーム制御プログラム」によって制御されていることは明らかである。

(ク)すると、引用例1の上記記載事項(ア)ないし(キ)、(ケ)から、引用例1には次のような発明も記載されていると認めることができる。

「画面に複数のサッカー選手キャラクタを表示させる機能と、音声入力部と操作装置の十字キー及びボタン入力部とにより、前記画面上のサッカー選手キャラクタを移動させたり前記画面上のサッカー選手キャラクタにパスやシュートをさせたりする機能を音声認識サッカーゲーム装置に行わせるとともにゲーム全体を制御する音声認識サッカーゲーム制御プログラムであって、
サッカーゲーム中にプレイヤが前記画面上の特定のサッカー選手キャラクタを指定するとともにサッカー選手キャラクタを操作する言葉を発して音声入力したときに、前記音声入力を音声認識手段に認識させる機能と、前記音声認識手段により認識された内容のうち先ず前記画面上の特定のサッカー選手キャラクタを指定する内容を実行内容解釈部で解釈させ、つぎに前記音声認識手段により認識された内容のうちサッカー選手キャラクタを操作する内容を前記実行内容解釈部で解釈させる機能と、前記データメモリ部から画像のデータを読み出し、前記実行内容解釈部で解釈された前記指定された特定のサッカー選手キャラクタに対するデータをデータ参照部に参照させる機能と、前記実行内容解釈部で解釈した内容と一致する前記指定された特定のサッカー選手キャラクタに対するデータの命令を命令実行部に実行させて、前記指定された特定のサッカー選手キャラクタを指定する画像を前記画面に表示させる機能と、前記データメモリ部から画像のデータを読み出し、前記実行内容解釈部で解釈されたサッカー選手キャラクタを操作する内容に対する画像データを前記データ参照部に参照させる機能と、前記実行内容解釈部で解釈した内容と一致するサッカー選手キャラクタの動作の画像データの命令を前記命令実行部に実行させて、前記特定のサッカー選手キャラクタが前記動作を行う画像を前記画面に表示させる機能と
を音声認識サッカーゲーム装置に行わせる音声認識サッカーゲーム制御プログラム。」(以下、「引用発明2」という。)

エ 本願補正発明と引用発明1の一致点及び相違点の認定
(ア)引用発明1の「画面」、「複数のサッカー選手キャラクタ」、「操作装置」、「音声認識サッカーゲーム制御プログラム」は、それぞれ、本願補正発明の「表示画面」、「複数の選手キャラクタ」、「操作部」、「プログラム」に相当する。
したがって、引用発明1の「画面に複数のサッカー選手キャラクタを表示させる機能」は本願補正発明の「表示画面において複数のキャラクタを表示させる機能」に相当し、引用発明1の「音声入力部と操作装置の十字キー及びボタン入力部とにより、前記画面上のサッカー選手キャラクタを移動させたり前記画面上のサッカー選手キャラクタにパスやシュートをさせたりする機能」は本願補正発明の「プレーヤによる操作部の操作に基づいて前記複数のキャラクタに所望の動作を行わせる機能」に相当し、引用発明1の「ゲーム全体を制御する音声認識サッカーゲーム制御プログラム」は本願補正発明の「ゲームを進行させるプログラム」に相当する。

(イ)引用発明1では「サッカーゲームを最初に起動したときに、サッカー選手キャラクタの動作を予めプレイヤが望む言葉で登録するために、登録画面を前記画面に表示させ」ているから、引用発明1の前記「登録画面」では、前記「プレイヤが望む言葉」を入力することを促す表示がなされていることは明らかである。
また、引用発明1では、「サッカー選手キャラクタの前記動作の画像データをプレイヤが望む言葉でデータメモリ部に登録」するのであるから、前記登録画面にはプレイヤが望む言葉を付与するサッカー選手キャラクタの動作の画像が当然表示されているはずである。
したがって、引用発明1の「サッカーゲームを最初に起動したときに、サッカー選手キャラクタの動作を予めプレイヤが望む言葉で登録するために登録画面を前記画面に表示させる機能」と、本願補正発明の「ゲームを行う前に、ゲーム進行中に前記複数のキャラクタが行う所定の動作を表示画面に表示させる機能」及び「前記所定の動作の表示後、当該所定の動作を行うきっかけとして、前記プレーヤ自身が決めた、前記プレーヤ自身の音声とその内容とを入力することを促す表示を表示画面に行なわせる機能」とは、「ゲームを行う前に、ゲーム進行中に前記複数のキャラクタが行う所定の動作を表示画面に表示させる機能」及び「当該所定の動作を行うきっかけとして、前記プレーヤ自身が決めた、前記プレーヤ自身の音声とその内容とを入力することを促す表示を表示画面に行なわせる機能」である点で一致する。

(ウ)引用発明1の「サッカー選手キャラクタの前記動作の画像データをプレイヤが望む言葉でデータメモリ部に登録させる機能」と、本願補正発明の「前記複数のキャラクタの各々を個別に動作させるために予め入力された前記プレーヤ自身が決めた音声とその内容を予め記憶させる機能」及び「記憶された前記音声とその内容を前記複数のキャラクタの前記所定の動作に対応させる機能」とは、「前記複数のキャラクタを動作させるために予め入力された前記プレーヤ自身が決めた音声とその内容を予め記憶させる機能」及び「記憶された前記音声とその内容を前記複数のキャラクタの前記所定の動作に対応させる機能」である点で一致する。

(エ)引用発明1の「音声認識サッカーゲーム制御プログラム」は、「サッカーゲームを最初に起動したときに」、「サッカー選手キャラクタの前記動作の画像データをプレイヤが望む言葉でデータメモリ部に登録させる機能」と、「サッカーゲーム中に」、「前記データメモリ部から前記動作の画像データを読み出し、前記実行内容解釈部で解釈された前記内容に対するデータをデータ参照部に参照させる機能」と、「前記実行内容解釈部で解釈した内容と一致するサッカー選手キャラクタの動作の画像データの命令を命令実行部に実行させて、サッカー選手キャラクタが前記動作を行う画像を前記画面に表示させる機能」とを音声認識サッカーゲーム装置に行わせるものであるから、引用発明1の「前記データメモリ部から前記動作の画像データを読み出し、前記実行内容解釈部で解釈された前記内容に対するデータをデータ参照部に参照させる機能」では、「サッカーゲームを最初に起動したときに」「データメモリ部に登録」された「プレイヤが望む言葉」と「サッカーゲーム中に」「前記実行内容解釈部で解釈した内容」とが「一致する」かを認識していることは明らかである。
したがって、引用発明1の「サッカーゲーム中にプレイヤが前記言葉を発して音声入力したときに、前記音声入力を音声認識手段に認識させる機能と、前記音声認識手段により認識された内容を実行内容解釈部で解釈させる機能と、前記データメモリ部から前記動作の画像データを読み出し、前記実行内容解釈部で解釈された前記内容に対するデータをデータ参照部に参照させる機能」と、本願補正発明の「ゲーム進行中に入力されたプレーヤの音声とその内容と、予め記憶された前記プレーヤ自身の音声とその内容とを比較しほぼ同じであるかを認識する機能」とは、「ゲーム進行中に入力されたプレーヤの音声とその内容と、予め記憶された前記プレーヤ自身の音声とその内容とを比較し同じであるかを認識する機能」である点で一致する。

(オ)引用発明1の「前記実行内容解釈部で解釈した内容と一致するサッカー選手キャラクタの動作の画像データの命令を命令実行部に実行させて、サッカー選手キャラクタが前記動作を行う画像を前記画面に表示させる機能」と、本願補正発明の「同じであると認識された音声とその内容に基づいて、表示画面において前記複数のキャラクタのうちいずれかのキャラクタのみに前記所定の動作をさせる機能」とは、「同じであると認識された音声とその内容に基づいて、表示画面において前記複数のキャラクタのうちいずれかのキャラクタに前記所定の動作をさせる機能」の点で一致する。

(カ)すると、本願補正発明と引用発明1とは、

「表示画面において複数のキャラクタを表示させる機能と、プレーヤによる操作部の操作に基づいて前記複数のキャラクタに所望の動作を行わせる機能とをゲーム機に実現させつつゲームを進行させるプログラムであって、
ゲームを行う前に、ゲーム進行中に前記複数のキャラクタが行う所定の動作を表示画面に表示させる機能と、
当該所定の動作を行うきっかけとして、前記プレーヤ自身が決めた、前記プレーヤ自身の音声とその内容とを入力することを促す表示を表示画面に行なわせる機能と、
前記複数のキャラクタの各々を個別に動作させるために予め入力された前記プレーヤ自身が決めた音声とその内容を予め記憶させる機能と、 記憶された前記音声とその内容を前記複数のキャラクタの前記所定の動作に対応させる機能と、
ゲーム進行中に入力されたプレーヤの音声とその内容と、予め記憶された前記プレーヤ自身の音声とその内容とを比較しほぼ同じであるかを認識する機能と、
同じであると認識された音声とその内容に基づいて、表示画面において前記複数のキャラクタのうちいずれかのキャラクタのみに前記所定の動作をさせる機能とをゲーム機に実現させるためのプログラム。」

である点で一致し、以下の点で相違する。

〈相違点1〉
本願補正発明では、「ゲームを行う前に、ゲーム進行中に前記複数のキャラクタが行う所定の動作を表示画面に表示させ」た「後」に、「当該所定の動作を行うきっかけとして、前記プレーヤ自身が決めた、前記プレーヤ自身の音声とその内容とを入力することを促す表示を表示画面に行なわせる」のに対し、引用発明1では、かかる前後関係について限定がない点。

〈相違点2〉
本願補正発明の「前記複数のキャラクタの各々を個別に動作させるために予め入力された前記プレーヤ自身が決めた音声とその内容を予め記憶させる機能」により記憶される予め入力された前記プレーヤ自身が決めた音声とその内容は「前記複数のキャラクタの各々を個別に動作させる」ものであるのに対し、引用発明1のデータメモリ部に登録されるプレイヤが望む言葉は複数のサッカー選手キャラクタの動作であって、複数のサッカー選手キャラクタの「各々」の「個別の」動作でない点。

〈相違点3〉
本願補正発明では「ゲーム進行中に入力されたプレーヤの音声とその内容と、予め記憶された前記プレーヤ自身の音声とその内容とを比較し」、「ほぼ同じであるかを認識する」のに対し、引用発明1では「サッカーゲームを最初に起動したときに」「データメモリ部に登録」された「プレイヤが望む言葉」と「サッカーゲーム中に」「前記実行内容解釈部で解釈した内容」とが「一致する」かを認識している点。

〈相違点4〉
本願補正発明では「同じであると認識された音声とその内容に基づいて、表示画面において」「前記所定の動作をさせる」対象が「前記複数のキャラクタのうちいずれかのキャラクタのみ」であるのに対し、引用発明1では「前記動作を行う画像を前記画面に表示させる」対象が「複数の」「サッカー選手キャラクタ」であって「複数の」「サッカー選手キャラクタ」のいずれかのキャラクタのみであるとの限定がない点。

オ 相違点についての判断
(ア)相違点1について
引用発明1において「サッカー選手キャラクタの動作を予めプレイヤが望む言葉で登録する」には、サッカー選手キャラクタの動作に対し「プレイヤが望む言葉」を登録する前に、プレイヤが望む言葉を付与する対象であるサッカー選手キャラクタの動作の画像をプレイヤが画面で確認する必要があることは明らかである。
すると、引用発明1では、「サッカーゲームを最初に起動したときに」、サッカー選手キャラクタの動作の画像を表示した後に「登録画面を前記画面に表示させ」ることは、当業者にとって容易に想到し得る。
したがって、上記相違点1に係る本願補正発明の発明特定事項を採用することは、当業者にとって想到容易である。

(イ)相違点2,4について
引用発明1と引用発明2に記載された発明とは、ともに音声認識ビデオゲームの分野に属する発明である。
すると、引用発明2に基づいて、引用発明1の「音声認識サッカーゲーム制御プログラム」に、「前記音声認識手段により認識された内容のうち」「特定のサッカー選手キャラクタを指定する内容を実行内容解釈部で解釈させる機能」を加えて、「前記特定のサッカー選手キャラクタが前記動作を行う画像を前記画面に表示させる」ようにすることは、当業者にとって容易に想到し得る。
そして、引用発明2のように「前記特定のサッカー選手キャラクタが前記動作を行う画像を前記画面に表示させる」には、データメモリ部に特定のサッカー選手キャラクタを指定するデータとサッカー選手キャラクタの動作のデータを格納して、前記データメモリ部に格納された特定のサッカー選手キャラクタを指定するデータとサッカー選手キャラクタの動作のデータとの組み合わせを利用して「前記特定のサッカー選手キャラクタが前記動作を行う画像を前記画面に表示させ」てもよいし、データメモリ部に特定のサッカー選手キャラクタの動作のデータを格納して、前記特定のサッカー選手キャラクタの動作のデータを利用して「前記特定のサッカー選手キャラクタが前記動作を行う画像を前記画面に表示させ」てもよいことは明らかであって、両者の間では「前記特定のサッカー選手キャラクタが前記動作を行う画像を前記画面に表示させる」のに必要なデータの数が相違するに過ぎないから(例えば、データメモリ部に特定のサッカー選手キャラクタを指定するデータとサッカー選手キャラクタの動作のデータを格納する場合にデータメモリ部に格納されるデータの数は、サッカーフィールド中のサッカー選手キャラクタの数(11名)とサッカー選手キャラクタの動作の数(例えば、3)の和(例えば、11+3=14)であるのに対し、データメモリ部に特定のサッカー選手キャラクタの動作のデータを格納する場合にデータメモリ部に格納されるデータの数は、サッカーフィールド中のサッカー選手キャラクタの数(11名)とサッカー選手キャラクタの動作の数(例えば、3)の積(例えば、11×3=33)である。)、データメモリ部に格納するデータを特定のサッカー選手キャラクタの動作のデータとすることは、当業者が適宜変更し得る設計的事項である。
したがって、上記相違点2,4に係る本願補正発明の発明特定事項を採用することは、当業者にとって想到容易である。

(ウ)相違点3について
引用例2の上記記載事項(シ)ないし(タ)から、引用例2には、認識された音声に応答してディスプレイ上のオブジェクトに動作を行わせるビデオゲーム装置において、マイクロフォンから音声入力があると、辞書RAMに登録されている単語のうち入力された音声と最も似ている単語が選択され、その単語に対応する動作を前記オブジェクトに行わせることが記載されていると認めることができる。そして、引用例2に記載された発明の「マイクロフォンから音声入力があると、辞書RAMに登録されている単語のうち入力された音声と最も似ている単語が選択され」ることは、本願補正発明の「ゲーム進行中に入力されたプレーヤの音声とその内容と、予め記憶された前記プレーヤ自身の音声とその内容とを比較しほぼ同じであるかを認識する機能」に相当する。
ここで、引用発明1と引用例2に記載された発明とは、ともに音声認識ビデオゲームの分野に属する発明である。
すると、引用例2に記載された発明に基づいて、引用発明1の「前記データメモリ部から前記動作の画像データを読み出し、前記実行内容解釈部で解釈された前記内容に対するデータをデータ参照部に参照させる機能」において、「サッカーゲーム中に」「前記実行内容解釈部で解釈した内容」が「サッカーゲームを最初に起動したときに」「データメモリ部に登録」された「プレイヤが望む言葉」に最も似ているかを認識するようにすることは、当業者にとって容易に想到し得る。
したがって、上記相違点3に係る本願補正発明の発明特定事項を採用することは、当業者にとって想到容易である。

カ 本願補正発明の独立特許要件の判断
以上のとおり、上記相違点1ないし4に係る本願補正発明の発明特定事項を採用することは、当業者にとって想到容易である。
また、本願補正発明の効果も、引用例1,2に記載された発明から当業者が予測し得る程度のものに過ぎない。
したがって、本願補正発明は引用例1,2に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができない。

3 むすび
したがって、本件補正は平成18年改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するから、本件補正は同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。


第3 本件審判請求についての判断
1 本願発明の認定
本件補正が却下され、平成18年4月14日付けの手続補正も平成18年5月8日付けで却下されたから、平成18年1月19日付けの手続補正により補正された明細書及び図面に基づいて審理すると、本願の請求項1に係る発明は、平成18年1月19日付けで補正された明細書の特許請求の範囲の【請求項1】に記載された事項によって特定される次のとおりのものと認める。

「表示画面において複数のキャラクタを表示させる機能と、プレーヤによる操作部の操作に基づいて前記複数のキャラクタに所望の動作を行わせる機能とをゲーム機に実現させつつゲームを進行させるプログラムであって、
ゲームを行う前に所定の動作を表示画面に表示させる機能と、所定の動作の表示後、当該所定の動作を行うきっかけとしての音声を入力することを促す表示を表示画面に行なわせる機能と、入力されたプレーヤの音声を予め記憶させる機能と、記憶された音声を特定のキャラクタの前記所定の動作に対応させる機能と、
ゲーム進行中に入力されたプレーヤの音声と記憶された音声とを比較しほぼ同じであるかを認識する機能と、同じであると認識された音声に基づいて、表示画面において特定のキャラクタのみに所定の動作をさせる機能とをゲーム機に実現させるためのプログラム。」(以下、「本願発明」という。)

2 引用刊行物の記載事項及び引用例1記載の発明の認定
原査定の拒絶の理由に引用された引用例1には、前記「第2 補正の却下の決定」の「2 本件補正の適否の検討」の「(2)独立特許要件についての検討」の「イ 引用刊行物の記載事項」の欄に摘記したとおりの事項が記載されており、引用例1に記載された発明(引用発明1,2)は、前記「第2 補正の却下の決定」の「2 本件補正の適否の検討」の「(2)独立特許要件についての検討」の「ウ 引用例1記載の発明の認定」の欄に記載したとおりである。

3 対比・判断
本願発明は、本願補正発明の発明特定事項から、前記「第2 補正の却下の決定」の「2 本件補正の適否の検討」の「(1)目的要件(平成18年改正前の特許法第17条の2第4項)についての検討」の欄で述べた限定事項を省いたものである。
そして、本願発明の発明特定事項をすべて含み、他の発明特定事項を付加したものに相当する本願補正発明が、前記「第2 補正の却下の決定」の「2 本件補正の適否の検討」の「(2)独立特許要件についての検討」の欄に記載したとおり、引用例1,2に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、前記「第2 補正の却下の決定」の「2 本件補正の適否の検討」の「(2)独立特許要件についての検討」の欄で示した理由と同様の理由により、引用例1,2に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

4 むすび
以上のとおり、本願発明は引用例1,2に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明は特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。そして、本願発明が特許を受けることができない以上、本願のその余の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は、拒絶されるべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2008-10-02 
結審通知日 2008-10-07 
審決日 2008-10-21 
出願番号 特願2001-246779(P2001-246779)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (A63F)
P 1 8・ 575- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 松川 直樹  
特許庁審判長 末政 清滋
特許庁審判官 村田 尚英
日夏 貴史
発明の名称 音声入力を用いて表示画面上のキャラクタを動作させるプログラム及びこれを記憶した外部記憶媒体  
代理人 松尾 憲一郎  

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