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審決分類 審判 判定 同一 属する(申立て不成立) B65B
管理番号 1188927
判定請求番号 判定2008-600036  
総通号数 109 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許判定公報 
発行日 2009-01-30 
種別 判定 
判定請求日 2008-07-29 
確定日 2008-12-02 
事件の表示 上記当事者間の特許第2934067号の判定請求事件について、次のとおり判定する。 
結論 (イ)号図面及びその説明書に示す「製袋包装機」は、特許第2934067号発明の技術的範囲に属する。 
理由 第1 請求の趣旨
本件判定の請求の趣旨は、イ号製品(KBF-6000X)カタログに示す装置(以下「イ号装置」という。)が特許第2934067号発明(以下、「本件特許発明」という。)の技術的範囲に属しない、との判定を求めたものである。

第2 本件特許発明
本件特許発明は、本件特許に係る無効審判事件(無効2007-800245号)において、平成20年1月18日付けでなされた訂正請求に対して「訂正を認める。本件審判の請求は、成り立たない。」とした審決が同年8月4日に確定したことにより、当該訂正請求によって訂正された明細書(以下「訂正明細書」という。)及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲に記載された次のとおりのものと認める。
「【請求項1】 フイルムロールから繰り出されたフイルムをフォーマーでチューブ状に形成しながらフイルムの合わせ目をシールし、さらにそのチューブの上下をエンドシールして袋を成形するようになっている製袋包装機において、
前記フォーマーのスカート部にフイルムを沿わせるためのガイドローラを、前記スカート部に対して前記ガイドローラと一体で接近と離間とが可能なスライド手段に、前記ガイドローラと前記フイルムの移動方向との角度を直角に保って前記ガイドローラの両端を枢支して設けるとともに、
前記該スライド手段を、前記ガイドローラと前記フイルムの移動方向との角度を直角に保ったまま前記スライド手段を前記フイルムの移動方向に前進および後退させる移動機構と該移動機構を駆動するモータとを備え前記ガイドローラを前記スカート部の隣接位置で自動停止させる位置決め手段に連係した
ことを特徴とする製袋包装機。
【請求項2】 スライド手段には、フイルムの蛇行を修正する蛇行防止手段が設けられている請求項1の製袋包装機。
【請求項3】 蛇行防止手段は、フイルムの搬送経路内に間隔をおいて配置した1対の平行ローラと、該平行ローラをフイルムの搬送面内で回動させて、該平行ローラ間にS字状に掛け渡されたフイルムを搬送経路に対して傾斜させる調整手段とを具えている請求項2の製袋包装機。
【請求項4】 平行ローラの一方のローラは、フイルムの張力を検出するロードセルに回転可能に支持されているとともに、該ロードセルの出力は、フイルムロールの繰り出しを制御する張力制御手段にフィードバック量として入力される請求項3の製袋包装機。」(下線部は平成20年1月18日付け訂正請求によって訂正された箇所を示す。)

上記請求項1(以下「特許発明1」という。)を請求人による分説に基づいて記載すると、以下のとおりである。
A)フイルムロールから繰り出されたフイルムをフォーマーでチューブ状に形成しながらフイルムの合わせ目をシールし、さらにそのチューブの上下をエンドシールして袋を成形するようになっている製袋包装機において、
B)前記フォーマーのスカート部にフイルムを沿わせるためのガイドローラを、前記スカート部に対して前記ガイドローラと一体で接近と離間とが可能なスライド手段に、前記ガイドローラと前記フイルムの移動方向との角度を直角に保って前記ガイドローラの両端を枢支して設けるとともに、
C)前記該スライド手段を、前記ガイドローラと前記フイルムの移動方向との角度を直角に保ったまま前記スライド手段を前記フイルムの移動方向に前進および後退させる移動機構と該移動機構を駆動するモータとを備え前記ガイドローラを前記スカート部の隣接位置で自動停止させる位置決め手段に連係した
D)ことを特徴とする製袋包装機。

第3 イ号物件
1.甲第1号証、甲第2号証及びイ号製品(KBF-6000X)カタログが示す事項
(イ)甲第1号証第7?8頁の「各部の構成・名称」の図には、イ号製品(KBF-6000X)の全体構成が記載されており、「内フレーム部」,「第一ロール部」及び「円筒・フォーマー部」の位置関係が記載されている。
(ロ)甲第2号証第23頁の「12.内フレーム部」の図には、イ号製品の内フレーム部の分解図が記載されており、内フレーム部が「プレート1」及び「カバー20」から構成されることが記載されている。
(ハ)甲第2号証第27頁の「14.第一ロール部」の図には、イ号製品の第一ロール部の分解図が記載されており、第一ロールは、内フレームから延在するプレート1,1に支持されたアジャスター34,34に両端を枢支されており、モータ41が駆動されると、スパーギア37,38を介してシャフト26が回動し、シャフト26の回動はスパイラルギア25,25及びスパイラルギヤ24,24を介して左右平行なネジ棒21,21を回動する。これによって、第一ロールをフイルムの移動方向と直角を保ってその両端を枢支しているアジャスタ34,34がネジ棒21,21上をフォーマ方向に接近・離間することが記載されている。
(ニ)甲第1号証第35頁「製品の切換・設定・調整」の図中に「第一ロールスイッチをタッチすると、第一ロール調整画面が表示されます。(丸文字の矢印)をタッチして位置の調整を行います。☆第一ロールの位置は製品を切り換えると自動調整されますので微調整としてください。」と記載されている。
(ホ)イ号製品(KBF-6000X)カタログ第2頁の最終行に「第一ロール・日付け装置・縦シーラなどのアジャスト部を品種ごとに設定し、再現性のある全自動調整が可能です。」と記載されている。
以上より、イ号装置の第一ロール(本件特許発明のガイドローラに相当)部は、次のとおりのものと認める。
(1)内フレームから延在するプレートに支持され、第一ロールをフォーマーのスカート部に接近・離間が可能なようにフイルムの移動方向と直角を保ってその両端を枢支しているアジャスタ34,34を、左右平行なネジ棒21,21を回動駆動して移動させることによって、第1ロールをフォーマ方向に接近・離間する。
(2)予め調整段階において、包装袋の寸法に応じて、フォーマに対して第一ロールの位置を調整し、その調整された位置を記憶させる。
(3)品種切換をした場合、品種を入力することにより、予め記憶されている位置に自動的に移動する。

2.イ号装置
イ号装置は、本件判定請求の趣旨に照らし、前記甲第1号証、甲第2号証及びイ号製品カタログの記載からみて、請求人が判定請求書において特定する、次のとおりのものと認める。
a)フイルムロールから繰り出されたフイルムをフォーマーでチューブ状に形成しながらフイルムの合わせ目をシールし、さらにそのチューブの上下をエンドシールして袋を成形するようになっている製袋包装機において、
b)前記フォーマーのスカート部にフイルムを沿わせるためのガイドローラを、内フレーム部から延在するプレートに、前記ガイドローラと前記フィルムの移動方向との角度を直角に保って前記ガイドローラの両端を枢支して、前記スカート部に対して接近と離間とが可能に設けるとともに、
c)前記ガイドローラを、前記フイルムの移動方向との角度を直角に保ったまま前記ガイドローラを前記フイルムの移動方向に前進及び後退させる移動機構と該移動機構を駆動するモータとを備え前記スカート部の隣接位置で自動停止させる位置決め手段に連係した
d)ことを特徴とする製袋包装機。

第4 対比
特許発明1とイ号装置とを対比すると、イ号装置の構成(a),(d)は、特許発明1の構成(A),(D)を充足することは明白である。
次に、特許発明1の構成(B)とイ号装置の構成(b)とを対比すると、両者は、機能的にみて、「(B’)前記フォーマーのスカート部にフイルムを沿わせるためのガイドローラを、前記ガイドローラと前記フイルムの移動方向との角度を直角に保って前記ガイドローラの両端を枢支し、前記スカート部に対して接近と離間とが可能に設ける」点、同様に、特許発明1の構成(C)とイ号装置の構成(c)とを対比すると、両者は「(C’)前記ガイドローラと前記フイルムの移動方向との角度を直角に保ったまま前記フイルムの移動方向に前進および後退させる移動機構と該移動機構を駆動するモータとを備え前記ガイドローラを前記スカート部の隣接位置で自動停止させる位置決め手段に連係した」点で一致するが、次の相違点で、イ号装置の構成(b),(c)は、特許発明1の構成(B),(C)を文言上充足しない。
〈相違点〉
特許発明1においては、ガイドローラの両端を枢支するスライド手段が、ガイドローラと一体で接近と離間するのに対し、イ号装置においては、ガイドローラが内フレーム部から延在するプレートにガイドローラの両端が枢支されている点のみが特定され、ガイドローラを、フイルムの移動方向との角度を直角に保ってその両端を枢支し、スカート部に対して接近と離間させるための具体的な駆動機構等の構成が特定されていない点。

第5 相違点についての検討
前記相違点についてさらに詳細にみてみると、特許発明1のスライド手段について、訂正明細書の【発明の詳細な説明】には、以下のように記載されている。
「【0007】…… 15は機械本体の天板であって、フォーマー6の反対側の上部にフイルム4の移動方向と直角向きにガイドローラ16が枢支され、天板15の上面にはユニットベース17が設けられ、このユニットベース17の上面にはガイドローラ16からフォーマー6に向かって1対のガイドレール18が設けられている。ユニットベース17の上方に間隔をおいてベース19が平行に配置され、このベース19の裏面にはガイドレール18に係合して摺動するスライダ21が取付けられ、またフォーマー6寄りの表面にはガイドローラ16と平行にガイドローラ32が枢支されている。ベース19の裏面には本体天板及びユニットベース17に設けられている開口を貫通している1対の脚部22が垂設され、これらの脚部22を連結する連結杆23にナット24が設けられ、このナット24は機体本体に設けられたモータ26によって回動され、かつフイルム4の移動方向に沿って配置されているねじ棒27に螺合している。」
また、平成20年1月18日付け訂正請求書に以下のように記載されている。
「すなわち、ベース19が、ガイドローラ32とフイルム4の移動方向との角度を直角に保ったままベース19をフイルム4の移動方向に前進および後退させる移動機構と、該移動機構を駆動するモータ26が記載されている。
上記の通り、スライド手段を、ガイドローラとフイルムの移動方向との角度を直角に保ったまま前記スライド手段を前記フイルムの移動方向に前進および後退させる移動機構と該移動機構を駆動するモータとを備え…」(第7頁第22?27行)
以上より、本件特許発明の特許公報図1、図2における、裏面にスライダ21を取付けられたベース19が、スライド手段に相当すると解することができる。
一方、前記「第3 イ号物件」1.で検討したように、イ号装置(6000X型包装機)では、内フレームから延在するプレート1,1に支持され、ネジ棒21、21に螺合しているアジャスタ34、34にガイドローラ(第一ロール8)の両端が枢支されていて、フイルムの装着時やフォーマの交換時にモータ41を駆動してネジ棒21、21を回動し、これに螺合しているアジャスタ34、34を移動させることにより、上記ガイドローラをスカート部に接近・離間させるものである。
よって、該ガイドローラを、上記モータによりフォーマーのスカート部に接近・離間が可能なようにフイルムの移動方向との角度を直角に保ってその両端を枢支しているのは、上記内フレームから延在するプレートに支持され、ネジ棒21、21に螺合するアジャスタ34,34であって、特許発明1において実施されている、スライド手段(ベース19)と同様なものではない。
以上のことから、ガイドローラの両端をアジャスタ34、34で枢支したイ号装置は、特許発明1のガイドローラと一体で、ガイドローラの両端を枢支するスライド手段を有するものではなく、特許発明1の構成要件を充足しない。

第6 「均等の検討」について
均等の判断は、平成6年(オ)第1083号(平成10年2月24日判決言渡)最高裁判決で判示された以下の要件をすべて満たしたとき均等と判断する。
(1)特許請求の範囲に記載された構成中のイ号と異なる部分が発明の本質的な部分ではない(発明の本質的な部分)。
(2)前記異なる部分をイ号のものと置き換えても特許発明の目的を達成することができ、同一の作用効果を奏する(置換可能性)。
(3)前記異なる部分をイ号のものと置き換えることが、イ号の実施の時点において当業者が容易に想到することができたものである(置換容易性)。
(4)イ号が特許発明の出願時における公知技術と同一または当業者が公知技術から出願時に容易に推考できたものではない(自由技術の除外)。
(5)イ号が特許発明の特許出願手続において特許請求の範囲から意識的に除外される等の特段の事情がない(禁反言:出願等の経緯の参酌)。
したがって、これらの各要件に基づいて、均等か否かの判断を行う。

1.請求人は、判定請求書において「本件特許発明は、ガイドローラ32,テンション調整用ローラ30,36及びガイドローラ16がスライド手段(ベース19)上に一体化され、該スライド手段(ベース19)をフォーマー交換時に移動退避させることにより、上記蛇行防止手段やテンション調整手段の再調整を不要とした点を特徴とし、該スライド手段(ベース19)は本特許発明の本質的部分になることが明らかである。」(第21頁第17?22行)旨主張する。
上記請求人の主張は、特許発明1のガイドローラと一体で、ガイドローラの両端を枢支するスライド手段が本質的部分であって、特許発明1とイ号装置が均等でないことを主張するものであり、以下この点について検討する。
まず、前記本件特許発明の【請求項1】の記載からみて、特許発明1においては「蛇行防止手段」を構成要件とはしていないものと認めることができる。
また、訂正明細書には、
「【0003】
【発明が解決しようとする課題】 ところでこのような製袋包装機においては、(1)フォーマー6のスカート部12に円滑にフイルム4を供給して、良好なチューブ5を形成することができるように、ガイドローラ11はスカート部12に近接して設けられて、該ガイドローラ11でフイルム4をフォーマー6に沿わせるようにしている。ところがこのガイドローラ11は、フイルム4の装着時やフォーマー6の交換時に邪魔になるので、邪魔にならない位置に退避させなければならないが、そのためのスカート部12に対するガイドローラ11のセット、リセットを手動で行わなければならず、その作業が煩わしいのに加えて製袋包装機の作業性を悪くしている。また(2)フイルム4の合わせ目を適切な量に保持するため、フイルム4の蛇行を防止することが必要であり、そのためにフォーマー6の前段に蛇行防止手段が設けられている。そしてこの蛇行防止手段は蛇行制御の応答性を良好にするために、なるべくフォーマー6の近くに設置するのがよいのであるが、このようにするとフイルム4の装着時やフォーマー6の交換時に邪魔になる。さらに(3)蛇行防止手段のほかに蛇行を検出する装置も必要となって、部品数が増え製袋包装機の構造を複雑にするというような各種の問題があった。
【0004】
そこでこの発明の目的は、前記のような従来の製袋包装機のもつ問題を解消し、フイルムの装着時やフォーマーの交換時等にガイドローラ及び蛇行防止手段を、人手によらずに邪魔にならない位置に自動的に移動させて、製袋包装機の作業性を良好にし、部品数を減らしてコンパクトとなった製袋包装機を提供するにある。」
と記載されており、段落【0003】ではガイドローラに関する課題(1)と蛇行防止手段に関する課題(2)とが明確に区別されている。
よって、蛇行防止手段を構成要件としない特許発明1は上記課題のうち(1)を解決し、ガイドローラを、人手によらずに邪魔にならない位置に自動的に移動させて、製袋包装機の作業性を良好にするという効果を奏するものである。
したがって、フイルムの移動方向との角度を直角に保ったまま、ガイドローラを前記フイルムの移動方向に前進及び後退させる移動機構と該移動機構を駆動するモータとを備え前記スカート部の隣接位置で自動停止させる位置決め手段に連係した構成が特許発明1の作用効果を奏するための特徴構成といえ、この構成を有し、前記作用効果を奏する公知技術は存在しなかったのであるから、特許発明1の本質的構成といえる。
すなわち、特許発明1とイ号装置の相違点は、以下のとおり当業者が適宜設計変更し得る範囲の相違にすぎず、本件装置発明の本質的部分ということはできない。

2.特許発明1において、スライダーに両端を枢支したガイドローラを、イ号装置のようにネジ棒21、21に螺合しているアジャスタ34、34に両端を枢支したガイドローラに置換しても、フイルムの移動方向との角度を直角に保ったまま、ガイドローラを前記フイルムの移動方向に前進及び後退させることは可能であって、位置決め手段に連係することで特許発明1と同一の作用効果を奏するので、置換可能性が認められる。

3.前記のように置換することは、遅くともイ号装置の製造の時点において、本件特許公報を見た当業者が容易に行えるものであった。
すなわち、無効2007-800245号無効審判事件において、審判請求書第9頁第26?36行には「また、甲第3号証のP.26「アジャストローラ部」の図には、「アジャストローラ部のローラ(26)の位置をステッピングモータ(6)の制御回路駆動によって枢軸されたネジ(17)と同(17)が回転することにより、ネジ(17)と同(17)上をアジャスタ(21)とフランジ(22)に固着されたシャフト(19)に装填されるローラ(26)がステッピングモータ(6)の回転動作により、巻取紙から繰出された包装紙の日付捺印装置に対する可動位置を予め設定した位置にセットさせていること」が記載されている。…上記第1ロール及びアジャストロールの構造はKBF-6000型シリーズにおいてすべて同じである。」と記載されているとともに、該甲第3号証第26頁の図には前記構成が記載されている。
そして、該構成は、ねじ(17)、(17)がイ号装置のネジ棒21、21に、同じく、これに螺合しているアジャスタ(21)とフランジ(22)がアジャスタ34、34に相当し、アジャスタ(21)とフランジ(22)でローラ(26)両端を枢支しているので、イ号装置のネジ棒に螺合しているアジャスタ34,34に両端を枢支したローラの構成に相当する。
また、同第9頁第14?16行には「甲第3号証は、1990年3月27日に作成された「KBF-6100型縦型包装機のパーツリスト」であり、本特許の出願前に甲第1号証と共に顧客に配布されたものである。」、第13頁第29行から第14頁第16行には「上記のように、甲第1?3号証の取扱説明書は、出願前に日本国内において広く頒布された刊行物である。…さらに顧客の質問があれば、前記取扱説明書等を用いてその機械の内部構造をも説明する。この時、購入前の顧客は不特定多数に相当する。…展示会の来訪者は、任意に機械を見ることができる。さらに見学者の質問があれば、一般ユーザである限りその機械の内部構造も説明する。この時の見学者は不特定多数に相当する。…従って、上記KBF-6000型縦ピロ-包装機の前記構造は、本特許の出願前に公然知られた発明、もしくは本特許の出願前に公然実施された発明に相当する。」と記載されており、KBF-6000型シリーズのアジャストロールのすべてにおいて前記構成が用いられ、周知であったものと認められる。
したがって、前記のような周知技術を参照して、特許発明1のスライダーに両端を枢支したガイドローラを、イ号装置のように置換することは、遅くともイ号装置の製造時点において、特許発明1を知った当業者にとっては容易であったことは明白である。
なお、請求人は、無効2007-800245号無効審判事件における審決の「また、仮に当業者が、引用発明Aにおける第1ローラ部のローラ(7)に、引用発明Bに係るローラの前進及び後退機構を採用することを想到し得たとしても、第1ローラ部のローラ(7)の両端をアジャスタ(21)に枢支し、各アジャスタ(21)を2本のネジに螺合し、ステッピングモータにより各アジャスタ(21)を個別に前進及び後退させて、予め設定した位置に移動させることに留まり、本件特許発明1のように、フォーマーのスカート部にフイルムを沿わせるためのガイドローラの両端をスライド手段に枢支し、このスライド手段を、ファーマーの交換にかかわらず、スカート部の隣接位置で自動停止させる位置決め手段に連係させるという構成の採用には直ちには到らない。」(第16頁第21?30行)の記載を挙げて、「審決は、本件特許発明1が上記引用発明の組み合わせたものとは相違するという前提に立つものであるから、上記審決の認定に従えば、上記引用発明A,Bの組合せにより容易に想到し得る本件イ号装置の第一ロールの構造は、本件特許発明1の技術的範囲に属さないことになることはとは明らかである。」(判定請求書第20頁第20?24行)旨主張しているが、前記審決では「請求人が主張するとおり、KBF-6000型縦型包装機において、この第1ローラ部のローラ(7)が前面に設けられていることから、手動により容易に調整し得るものであるとしても、このこと自体、本願出願前において、第1ローラ部のローラ(7)の前進、後退を自動化する着想がなんらなかったことにほかならず、請求人の主張、各甲号証、参考資料をすべて総合したとしても、本願出願前において、当業者が第1ローラ部のローラ(7)をモータにより自動的に前進又は後退させることを容易に想到し得たとする根拠は見いだし得ない。」(第15頁第32行から第16頁第1行)とした上で、前記のように、「仮に当業者が、引用発明Aにおける第1ローラ部のローラ(7)に、引用発明Bに係るローラの前進及び後退機構を採用することを想到し得たとしても、第1ローラ部のローラ(7)の両端をアジャスタ(21)に枢支し、各アジャスタ(21)を2本のネジに螺合し、ステッピングモータにより各アジャスタ(21)を個別に前進及び後退させて、予め設定した位置に移動させることに留まり、…スカート部の隣接位置で自動停止させる位置決め手段に連係させるという構成の採用には直ちには到らない。」として、引用発明A,Bから、前記1.で述べた、フイルムの移動方向との角度を直角に保ったまま、ガイドローラを前記フイルムの移動方向に前進及び後退させる移動機構と該移動機構を駆動するモータとを備え前記スカート部の隣接位置で自動停止させる位置決め手段に連係したという、本質的構成を有する特許発明1が容易に発明をすることができたものではないとしているのであって、イ号装置が特許発明1の技術的範囲に属さない旨述べているのではない。よって、請求人の主張を採用することはできない。

4.イ号装置は、特許発明1の開示を待って初めて製造し得るようになったもので、少なくとも、本件特許発明の出願時における公知技術と同一または当業者がこれから容易に想到できたものではない。

5.無効2007-800245号無効審判事件において、の答弁書第13頁第3?5行に、「したがって、たとえ「ローラ」を移動させる手段が公知であったとしても、本件特許発明の特許性が否定されないことは明らかである。」と述べられているように、甲3号証に記載されたローラを移動させる手段が公知であっても、特許発明1の特許性は否定されないとし、ガイドローラを移動させる手段において、前記手段ではなく、両端を枢支するスライド手段を用いたことによる効果を特には述べていないので、イ号装置が、本件特許の出願手続きにおいて、特許請求の範囲から意識的に除外されたとの特段の事情はない。

以上より、最高裁判決平成6年(オ)第1083号に照らし、イ号装置は特許発明1と均等の範囲にあるものであって、イ号装置は本件特許発明の技術範囲に属するというべきである。

第7 むすび
したがって、イ号装置は、本件特許発明の技術的範囲に属するものと認められる。
よって結論のとおり判定する。
 
判定日 2008-11-19 
出願番号 特願平3-198864
審決分類 P 1 2・ 1- YB (B65B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 原 慧  
特許庁審判長 石原 正博
特許庁審判官 熊倉 強
遠藤 秀明
登録日 1999-05-28 
登録番号 特許第2934067号(P2934067)
発明の名称 製袋包装機  
代理人 野村 泰久  
代理人 吉村 雅人  
代理人 藤岡 宏樹  
代理人 松井 佳章  
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