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審決分類 審判 訂正 4項(134条6項)独立特許用件 訂正しない G01N
審判 訂正 特120条の4、2項訂正請求(平成8年1月1日以降) 訂正しない G01N
審判 訂正 特36条4項詳細な説明の記載不備 訂正しない G01N
審判 訂正 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 訂正しない G01N
管理番号 1189378
審判番号 訂正2008-390073  
総通号数 110 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2009-02-27 
種別 訂正の審決 
審判請求日 2008-06-30 
確定日 2008-12-17 
事件の表示 特許第3624199号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 請求の趣旨
本件審判の請求の趣旨は、特許第3624199号(平成7年9月21日出願、平成16年12月10日設定登録)の明細書を本件訂正審判請求書に添付された訂正明細書のとおりに訂正することすることを求めるものであって、その内容は次のとおりである。
1 訂正事項1
特許第3624199号の特許請求の範囲の請求項1を
「血漿分析部と、全血分析部と、血液検体が収容された検体容器を検体ラックに架設された状態で前記血漿分析部から前記全血分析部へ搬送することができる搬送装置と、この搬送装置により前記血漿分析部から前記全血分析部へ搬送される間の検体容器を回転させることにより前記検体容器中の血液検体を攪拌する攪拌部とからなり、前記血漿分析部において、前記搬送装置によって搬送される検体容器中で血漿と血液とに分離された血液検体より血漿を吸引してこの血漿の分析を行った後、前記攪拌部において、検体容器中の血液検体が攪拌により全血状態とされ、続いて前記全血分析部において、前記搬送装置によって搬送される検体容器中の全血状態の血液検体を吸引して分析を行うことを特徴とする血液自動分析装置。」に訂正する。

2 訂正事項2
同じく明細書の段落【0005】を
「【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するため、本発明は、血漿分析部と、全血分析部と、血液検体が収容された検体容器を検体ラックに架設された状態で前記血漿分析部から前記全血分析部へ搬送することができる搬送装置と、この搬送装置により前記血漿分析部から前記全血分析部へ搬送される間の検体容器を回転させることにより前記検体容器中の血液検体を攪拌する攪拌部とからなり、前記血漿分析部において、前記搬送装置によって搬送される検体容器中で血漿と血液とに分離された血液検体より血漿を吸引してこの血漿の分析を行った後、前記攪拌部において、検体容器中の血液検体が攪拌により全血状態とされ、続いて前記全血分析部において、前記搬送装置によって搬送される検体容器中の全血状態の血液検体を吸引して分析を行うものである。前記攪拌部は、前記血液検体を収容する検体容器を把持して回転させるものであることが好ましい。」に訂正する。

第2 訂正拒絶の理由
平成20年8月6日付けで通知した訂正の拒絶の理由の概要は、本件訂正は、特許法第126条第1項第1号ないし第3号のいずれを目的としたものでもない。また、仮に、本件訂正が、特許法第126条第1項第1号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当するとしても、本件訂正明細書は、特許法第36条第4項及び第6項第2号に規定した要件を満たしていないため、本件訂正後の請求項1に係る発明は、特許出願の際独立して特許を受けることができないものであり、 本件訂正は特許法第126条第5項の規定に適合しない、というものである。

第3 当審の判断
1 訂正の目的の適否、特許請求の範囲の拡張、変更の有無、新規事項の追加の有無
(1)訂正事項1について
ア 血液自動分析装置の構成として、「血液検体が収容された検体容器を検体ラックに架設された状態で前記血漿分析部から前記全血分析部へ搬送することができる搬送装置」の構成を付加する訂正は、血液自動分析装置において搬送手段を備えることは技術常識であることから、特許請求の範囲の減縮を目的としているといえる。
そして、願書に添付した明細書又は図面には、搬送装置という用語の記載はないものの、検体ラックを搬送することについて、段落【0007】及び【0008】に記載されており、血漿分析部から全血分析部への検体ラックの搬送については、「第1横送り装置8Aによって1ホールピッチごと、あるいは連続して矢印Bで示す横方向に移動させる」(【0007】)、及び「第1ラック排出プール2Aは、前記第1横送り装置8によって第1ラック導入プール1Aから搬送されてきた測定済みの検体ラック5を矢印Cで示す縦方向に搬送して一時的に保管できるようになっている。第2ラック導入プール1Bは、前記第1ラック導入プール1Aと同一の構成になっている。第1ラック排出プール2Aに整列させられた先頭の検体ラック5は、第2横送り装置8Bによって矢印D方向に向かって第2ラック導入プール1Bに移動させることができる。第2ラック導入プール1B内にて矢印E方向に向かって装置中央に移動した検体ラック5は、第3横送り装置8Cによって1ホールピッチごと、あるいは連続して矢印Fで示す横方向に移動させる」(【0008】)と記載されており、検体ラックを矢印Bで示す横方向に移動させる第1横送り装置8A、矢印Cで示す縦方向に搬送する装置、矢印Dで示す横方向に移動させる第2横送り装置8B、矢印Eで示す縦方向に搬送する装置、及び矢印Fで示す横方向に移動させる第3横送り装置8Cで構成される装置は、「血液検体が収容された検体容器を検体ラックに架設された状態で前記血漿分析部から前記全血分析部へ搬送することができる搬送装置」ということができるから、上記訂正は、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内のものといえ、特許請求の範囲を拡張し又は変更するものでもない。

イ 攪拌部について、訂正前の、配置を規定した攪拌部である「血漿分析部と全血分析部の間に血液検体を攪拌する攪拌部を設け」る構成が削除され、これに代わり「搬送装置により前記血漿分析部から前記全血分析部へ搬送される間の検体容器を回転させることにより前記検体容器中の血液検体を攪拌する攪拌部」の構成が付加された。
そして、「搬送装置により前記血漿分析部から前記全血分析部へ搬送される間の検体容器を回転させることにより前記検体容器中の血液検体を攪拌する攪拌部」との記載は、「搬送される間」が、攪拌が行われる時期を規定したと解される他、搬送しながら検体容器を回転させるとも解することができる記載であるため、特許請求の範囲の減縮を目的としたものとはいえない。また、誤記の訂正、明りょうでない記載の釈明のいずれを目的としたものでもない。

ウ 「血漿と血液とに分離された血液検体より血漿を吸引」することについて、「前記搬送装置によって搬送される検体容器中で」との限定を付加する訂正は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
そして、願書に添付した明細書又は図面には、段落【0015】に、「ステップ115で第1横送り装置8Aによって検体ラック5を矢印B方向に1ポート横送りする。続いて、ステップ116において、吸引ノズル12を降下させながら液面を検出し、さらに吸引量分ノズルを降下させ、ステップ117で当該吸引ノズル12により血漿を吸引する。」と記載されており、第1横送り装置8Aにより搬送される検体ラック中の検体容器中で、血漿を吸引することが記載されているから、上記訂正は、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内のものといえ、特許請求の範囲を拡張し又は変更するものでもない。

エ 「全血状態の血液検体を吸引」することについて、「前記搬送装置によって搬送される検体容器中の」との限定を付加する訂正は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
そして、願書に添付した明細書又は図面には、段落【0017】に、「検体容器内で血漿と血球とに分離されていた血液検体は全血状態となる。そこで、ステップ136で検体容器4を降下させて元の位置に戻し、ステップ137で検体容器4をはなした後、ステップ138で第3横送り装置8Cによって検体ラック5を矢印F方向に1ポート横送りする。続いて、ステップ139において、吸引ノズル12を管底よりやや高い位置まで降下させ、ステップ140で当該吸引ノズル12により全血を吸引する。」と記載されており、第3横送り装置8Cによって搬送される検体ラック中の検体容器中で、全血状態の血液検体を吸引することが記載されているから、上記訂正は、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内のものといえ、特許請求の範囲を拡張し又は変更するものでもない。

(2)訂正事項2について
ア 上記「(1)ア、ウ、エ」に対応した訂正事項については、特許請求の範囲の訂正に伴い、整合性を取るための訂正であるから、明りょうでない記載の釈明といえる。

イ 上記「(1)イ」に対応した訂正事項は、上記「(1)イ」に記載したと同様の理由で、誤記の訂正、明りょうでない記載の釈明のいずれを目的としたものでもない。

(3)まとめ
上記「(1)イ」、「(2)イ」に記載したとおり、本件訂正は、特許法第126条第1項第1号ないし第3号のいずれを目的としたものでもない。

2 独立特許要件
仮に、本件訂正が、特許法第126条第1項第1号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当するとして、本件訂正後の前記請求項1に記載された発明(以下、「訂正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第126条第5項の規定に適合するか)について以下に検討する。

(1)明細書の記載要件について
ア 訂正明細書の請求項1の「前記搬送装置により前記血漿分析部から前記全血分析部へ搬送される間の検体容器を回転させることにより前記検体容器中の血液検体を攪拌する攪拌部」との記載は、「搬送される間」が、攪拌が行われる時期を規定したと解される他、発明の詳細な説明には、搬送しながら検体容器を回転させることについては記載がないにもかかわらず、搬送しながら検体容器を回転させるとも解することができる記載であるため、記載が明確でない。

イ 同じく請求項1の「前記搬送装置によって搬送される検体容器中で血漿と血液とに分離された血液検体より血漿を吸引してこの血漿の分析を行った」との記載の「前記搬送装置」と、「前記搬送装置によって搬送される検体容器中の全血状態の血液検体を吸引して分析を行う」との記載の「前記搬送装置」は、搬送装置の異なる部分であるにも係わらず、同じく「前記搬送装置」と記載されているため、記載が明確でない。

ウ 訂正明細書段落【0005】の記載についても、上記ア、イと同様の理由で、記載が明確でない。

エ まとめ
したがって、本件訂正明細書の記載は、特許法第36条第4項及び第6項第2号に規定した要件を満たしていないため、本件訂正発明は、特許出願の際独立して特許を受けることができない。

(2)進歩性について
ア 刊行物の記載事項
本件訂正審判請求書に添付された先行技術文献である、本件特許の出願前に頒布された刊行物1ないし5には、以下の事項がそれぞれ記載されている。

(刊行物1:特開平6-265554号公報の記載事項)
(1a)「【請求項3】検体が血球を含んでいるか否かを判別する検体種別判別手段(7)と、検体が血球を含んでいることを示す検体種別判別手段(7)の判別結果に応答して、血球を含む検体により分析可能な測定項目のみが選択されているか否かを判別する測定項目判別手段(3)(8)と、血球を含む検体により分析可能な測定項目のみが選択されていることを示す測定項目判別手段(8)の判別結果に応答して、検体を撹拌する検体撹拌手段(6)(9)とを含むことを特徴とする血液生化学成分の分析装置。
【請求項4】検体撹拌手段(6)(9)が、検体の吸入、吐出を行なう吸入ノズル(6)と、吸入ノズル(6)を検体収容槽の下部まで下降させた状態で検体を所定量だけ吸入させる吸入制御手段(9)と、吸入ノズル(6)を上昇させて検体を吐出させる吐出制御手段(9)とを含んでいる請求項3に記載の血液生化学成分の分析装置。」
(1b)「【0017】図1はこの発明の血液生化学成分の分析方法の一実施例を説明するフローチャートであり、ステップSP1において必要数のキュベット1をキュベットステージ2にセットし、ステップSP2において図示しない分析開始スイッチが操作されるまで待ち、ステップSP3においてキュベットステージ2を所定距離だけ移動させ、ステップSP4において測定項目指示データを読み取り、ステップSP5において検体の種別を判別する。
【0018】ステップSP5において検体の種別が全血であると判別された場合には、ステップSP6において、測定項目が全血で測定可能な項目であるか否かを判別する。測定項目に全血で測定可能な項目以外の項目が含まれている場合には、ステップSP7において正確な測定を行なうことができない旨を表示し、ステップSP8において測定処理を続行すべきであるか否かの指示を待つ。そして、測定処理を続行すべきでないことが指示された場合には、再びステップSP1の処理を行なう。
【0019】上記ステップSP6において測定項目の全てが全血で測定可能な項目であると判別された場合には、ステップSP9において検体の撹拌を行ない、ステップSP10において、セットされた全てのキュベットに対する撹拌が行なわれたか否かを判別し、撹拌が行なわれていないキュベットが存在していれば、再びステップSP3の処理を行なう。逆に、ステップSP10において全てのキュベットに対する撹拌が行なわれたと判別された場合には、ステップSP11において測定のための一連の処理を行なう。上記ステップSP5において検体の種別が血清であると判別された場合、またはステップSP8において測定処理を続行すべきことが指示された場合には、ステップSP12において測定のための一連の処理を行なう。尚、ステップSP11における一連の処理と、ステップSP12における一連の処理とは互に同一である。」

(刊行物2:特開平7-55814号公報の記載事項)
(2a)「【請求項1】キャップ付きの複数の試料容器を一定方向に保持する保持部材と、この保持部材を間欠移動させる間欠移動手段と、アーム部材と、このアーム部材に回転可能に取り付けられた回転部材と、この回転部材に取り付けられ、試料容器のキャップを掴み・離すために回動軸のまわりに回動可能な複数の掴み手を有するハンド部材と、このハンド部材に連結され、回転部材を貫通して往復移動可能な軸部材を有する連結手段と、この連結手段の軸部材を往復移動させることによりハンド部材を回動させる第1駆動手段と、回転部材を回転させる第2駆動手段と、第1駆動手段および第2駆動手段を制御する制御手段とを備えてなり、ハンド部材が、第1駆動手段および連結手段により回動して、その複数の掴み手が1つの試料容器のキャップを掴み、次いで、回転部材が、第2駆動手段により回転して、その試料容器をキャップを介して軸線のまわりに回転させる試料容器回転装置。」
(2b)「【0001】【産業上の利用分野】この発明は、試料容器回転装置に関するものであり、さらに詳しくは、分析すべき血液などの試料(検体やその他の試料)が入れられた試料容器(検体容器)を、その容器に貼付されたバーコードラベルのコードを読み取る目的や、その容器内の試料を混合して均一化する目的などで、その容器の軸線のまわりに回転させるための試料容器回転装置に関するものである。」

(刊行物3:臨床検査,vol.37,no.11,1993年 増刊号,p.182-187の記載事項)
(3a)図4には、検体検査自動化システムとして、糖分析装置の下流にHA8121と記載された装置2つが隣接して配置され、これらの3者間が線で結ばれた図が記載されている。(第186頁)

(刊行物4:日本臨床検査自動化学会会誌 JJCLA,vol.17,No.3,1992,p.233-236の記載事項)
(4a)「自動ヘモグロビン分析計HLC-732GHbIIIの開発と評価」と題する論文であって、2.装置の特徴として、
「(2)検体の自動攪拌,自動希釈:検体は自動攪拌により均一化した後,自動希釈し分析する。」と記載され(第233頁右欄第3行目?第4行目)、
3.操作法と測定原理として、
「オートサンプラに採血管を,そのままセットでき・・・採血管のサイズ・・・識別する。次に低速回転を行いながらバーコードを読み,その後,高速回転によりサンプルを攪拌し血球を均一化する。そして,自動希釈し測定を行なう。」と記載されている(第234頁左欄第8行目?第14行目)

(刊行物5:日本臨床検査自動化学会大会抄録,1994,p.549の記載事項)
(5a)「ヘモグロビンA1c測定の迅速化を目指して」と題する論文であって、
「2,HLC-723GHbIIIの搬送ラインシステム(LA)連結・・・(運用)・・・4,データCheck終了後,検体は,血糖ラインへ」と記載されている(第549頁右欄第14行目?第24行目)

イ 対比・判断
刊行物1には、検体が血球を含んでいるか否かを判別し、血球を含んでいる場合は、検体を攪拌してから測定処理を行う分析装置が記載されているが、1つの検体で、血球を含んでいる検体の測定項目と血球を含まない検体の測定項目の両方を測定するものではなく、当然、検体の血球を含んでいない血漿部分を吸引して分析し、残った検体を攪拌し、血球を含んだ部分を吸引して分析することは記載も示唆もされていない。
刊行物2には、試料容器をハンド部材の掴み手で把持して、試料容器に貼付されたバーコードの読み取りや、試料容器内の試料を混合均一化する目的で、試料容器の軸線の周りに回転させる試料容器回転装置が記載されているが、1つの全血試料について、分離した血漿部分を吸引し分析した後、試料を攪拌して全血試料を吸引して分析することは、記載も示唆もされていない。
刊行物3には、糖分析装置の下流側にHA8121と記載された装置2つが、隣接して配置された検体検査自動化システムが記載され、何本かの線が、3者の間に示されているが、糖分析装置で検体の血漿部分を吸引し分析しているとしても、この記載から、糖分析後の同じ検体の残部を用いてHA8121で分析することを読み取ることはできない。
刊行物4には、自動グリコヘモグロビン分析計HLC-723GHbIIIの特徴として、検体が自動攪拌により均一化された後、希釈、測定されることが記載されているが、同じ検体について、血漿を分離し測定を行うことは記載されていないし、HLC-723GHbIIIを血漿分析装置と接続することも記載されていない。
刊行物5には、HLC-723GHbIIIの搬送ラインシステム連結の運用として、検体は分析してデータをチェック後、血糖ラインへ搬送することが記載されているが、血糖ラインで分析終了後、検体を、HLC-723GHbIIIに搬送することは記載されていない。
そして、刊行物3ないし5には、血糖分析終了後の検体を、グリコヘモグロビン分析計へ搬送することを示唆する記載もない。
そうすると、HLC-723GHbIIIが検体の攪拌装置を備えているとしても、刊行物5に記載された発明で、HLC-723GHbIIIと血糖ラインの連結を逆にして、血糖ラインで分析終了後の検体を、HLC-723GHbIIIへ搬送し分析することが当業者にとって容易であったとはいえないし、また、刊行物3に記載された発明において、糖分析装置で分析終了後の検体を、HA8121に搬送し分析することが、当業者にとって容易であったとはいえないし、刊行物4に記載された発明のHLC-723GHbIIIの前に血漿分析部を連結し、血漿分析終了後の検体を、HLC-723GHbIIIに搬送し分析することが、当業者にとって容易であったとはいえない。
そして、本件訂正発明は、貧血検体や微量検定でも、全血状態の検体が十分に吸引することができるという効果を奏するものである。
なお、審判請求人の提出した、文献5のカタログは、発行年月日が不明であるため採用しなかったが、自動グリコヘモグロビン分析計HLC-723GHbIIIが、検体攪拌機構を有することが記載されているに過ぎない。

ウ まとめ
したがって、本件訂正発明は、刊行物1ないし5に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものということはできない。

(3)むすび
以上のとおり、本件訂正明細書の記載は、特許法第36条第4項及び第6項第2号に規定した要件を満たしていないため、本件訂正発明は、特許出願の際独立して特許を受けることができないものであり、本件訂正は特許法第126条第5項の規定に適合しない。

第4 結論
以上のとおり、本件訂正は、特許法第126条第1項の規定に違反するものであり、また、仮に、本件訂正が、特許法第126条第1項第1号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当するとしても、特許法第126条第5項の規定に適合しないものであり、本件訂正は認められない。
 
審理終結日 2008-10-20 
結審通知日 2008-10-22 
審決日 2008-11-05 
出願番号 特願平7-242950
審決分類 P 1 41・ 537- Z (G01N)
P 1 41・ 536- Z (G01N)
P 1 41・ 856- Z (G01N)
P 1 41・ 832- Z (G01N)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 ▲高▼見 重雄  
特許庁審判長 秋月 美紀子
特許庁審判官 岡田 孝博
田邉 英治
登録日 2004-12-10 
登録番号 特許第3624199号(P3624199)
発明の名称 血液自動分析装置  
代理人 吉田 稔  
代理人 臼井 尚  
代理人 仙波 司  
代理人 田中 達也  
代理人 鈴木 泰光  
代理人 古澤 寛  

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