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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 特17条の2、3項新規事項追加の補正 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1190475
審判番号 不服2007-5408  
総通号数 110 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2009-02-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2007-02-21 
確定日 2009-01-05 
事件の表示 平成11年特許願第332027号「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成12年 6月 6日出願公開、特開2000-153017〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成7年4月17日に出願された特願平7-91164号の一部を特許法44条1項の規定により新たな特許出願とした特願平7-93710号の一部をさらに同法44条1項の規定により新たな特許出願としたものであって、平成19年1月18日付けで拒絶の査定がされたため、これを不服として同年2月21日付けで本件審判請求がされるとともに、同年3月15日付けで明細書についての手続補正(以下「本件補正」という。)がされたものである。

第2 補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
平成19年3月15日付けの手続補正を却下する。

[理由]
1.補正事項及び補正目的
本件補正は特許請求の範囲の補正を含んでおり、補正前の「特定の入賞態様」を「通常ゲームとボーナスゲームとから構成されるビッグボーナスゲームである入賞態様」と限定し、「前記可変表示部に表示された図柄の組合せと、当該図柄の組合せが並んだ入賞ラインとに対応して選択された報知態様で遊技者への報知」を「前記所定の図柄の組合せに対応して選択された報知態様で遊技者への報知を行い、前記所定の図柄の組合せが並んだ入賞ラインに対応して選択された報知態様で遊技者への報知」と補正するととともに、「前記ビッグボーナスゲーム中において、前記通常ゲーム時には入賞図柄の組合せが並んだ入賞ラインに対応して選択された報知態様で遊技者への報知を行い、前記ボーナスゲーム時には入賞図柄の組合せが並ぶと1つの報知態様で遊技者への報知を行う」との事項を追加するものであり、これらは特許請求の範囲の減縮を目的とするものと認める。そこで、本件補正後の請求項1に係る発明(以下「補正発明」という。)については、独立特許要件の判断を行う。

3.新規事項追加
「ビッグボーナスゲーム中において、・・・前記ボーナスゲーム時には入賞図柄の組合せが並ぶと1つの報知態様で遊技者への報知を行う」との事項について検討する。
請求人は、この補正の根拠として願書に最初に添付した明細書又は図面(以下、これらを総称して「当初明細書」という。)の段落【0029】?【0034】、【0089】?【0095】及び【図21】をあげている。
請求人があげた上記段落中、「ボーナスゲーム時」の報知について記載されているのは、段落【0094】だけであり、同段落には「この入賞判定の結果、セットされた入賞フラグの種類に応じて且つ前述した遊技者による停止ボタン操作に基づいてリールの停止制御が行われる(ST84)。そして、リールの停止時の表示が所定の入賞図柄組合せか否かを判定し(ST85)、“NO”であればST80に戻り、“YES”のとき、入賞ライン報知デモを行う(ST86)。これは、図10(F)の入賞ライン報知デモである。」(段落【0094】)との記載がある。そして、請求人は補正根拠にあげていないが、当初明細書の【図10】(F)には「ボーナスゲーム時に入賞図柄(JAC)が発生した場合」の点滅パターンが図示されており、それが1通りであることは認める。
しかし、当初明細書には「ボーナスゲームを実行する。このとき、1枚賭けで所定のシンボル組合せ(例えば、図4の区分[D]の“JAC-JAC-JAC”)が揃うと(その発生の確率は約9/10。図18のステップ32及び34)、15枚のコインが払い出される。」(段落【0029】)との記載があり、【図10】(F)は「1枚賭け」であることを前提とした報知と理解すべきである。そして、「1枚賭け」においては、入賞ラインが1つしかないことは技術常識に属するから、【図10】(F)については、もともと入賞ラインが1つしかないために、点滅パターンが1通りであると理解すべきである。
ところが、本件補正後の請求項1においては、ビッグボーナスゲーム中のボーナスゲームにおける入賞ラインが単一である旨の限定がないから、本件補正は同限定と無関係に「ボーナスゲーム時には入賞図柄の組合せが並ぶと1つの報知態様で遊技者への報知を行う」との新たな技術的事項を導入するものといわざるを得ない。
したがって、本件補正は平成6年法律116号改正附則6条によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法17条の2第2項において準用する同法17条2項の規定に違反するので、同法159条1項において読み替えて準用する同法53条第1項の規定により却下されなければならない。

3.補正発明の認定
補正発明は、本件補正により補正された明細書の特許請求の範囲【請求項1】に記載されたとおりの次のものと認める。
「複数の図柄を可変表示する可変表示部と、該可変表示部の可変表示の停止を目的として遊技者によって操作される停止操作部と、前記可変表示部の可変表示が停止したときの入賞態様について乱数サンプリングにより入賞判定を行い、その判定結果及び前記停止操作部での停止操作に基づいて前記可変表示部の可変表示動作を制御する制御部とを備えた遊技機において、
前記制御部は、前記可変表示部の可変表示が停止した結果、所定の図柄の組合せが表示されると、当該所定の図柄の組合せとは異なる予め定められた図柄の組合せが表示されたときと同様に、通常ゲームとボーナスゲームとから構成されるビッグボーナスゲームである入賞態様を発生させると共に、複数種類の視覚的又は聴覚的な報知態様のうちから、前記所定の図柄の組合せに対応して選択された報知態様で遊技者への報知を行い、前記所定の図柄の組合せが並んだ入賞ラインに対応して選択された報知態様で遊技者への報知を行い、前記ビッグボーナスゲーム中において、前記通常ゲーム時には入賞図柄の組合せが並んだ入賞ラインに対応して選択された報知態様で遊技者への報知を行い、前記ボーナスゲーム時には入賞図柄の組合せが並ぶと1つの報知態様で遊技者への報知を行うように構成したことを特徴とする遊技機。」

4.引用刊行物の記載事項
原査定の拒絶の理由に引用された特開平6-114143号公報(以下「引用例1」という。)は発明の名称を「スロットマシン」とする公開公報であって、以下のア?セの記載が図示とともにある。
ア.「遊技者がコインを投入してスタートレバー12を押圧操作すれば、可変表示装置70が可変開始されて各可変表示部5L?5Rにより複数種類の識別情報が可変表示される。次に、遊技者が各ストップボタン9L,9C,9Rを押圧操作すれば、それに対応する各可変表示部5L,5C,5Rの可変表示が停止されるように構成されている。」(段落【0009】)
イ.「図中21?23は有効ライン表示ランプであり、前述した賭数に応じて有効となる有効ラインに対応する有効ライン表示ランプのみが点灯または点滅し、どの有効ラインが有効になっているかを遊技者が認識できるように構成されている。」(段落【0012】)
ウ.「可変表示装置70の停止時の表示結果が賭数に応じた有効ライン(当りライン)上において「AAA」となればビッグボーナスゲームが開始されるとともにコインが15枚払出される。一方、有効な有効ライン上において「BBB」となればボーナスゲームが開始されるとともにコインが15枚払出される。さらに有効ライン上において「CCC」または「DDD」となれば小役の図柄の組合せが成立してコインが15枚払出される。有効ライン上において「EEE」となれば小役が成立してコインが8枚払出される。有効ライン上において左図柄と中図柄とが共に「F」となれば小役が成立して6枚のコインが払出される。また、有効ライン上において左図柄のみ「F」となれば小役が成立して3枚のコインが払出される。」(段落【0018】)
エ.「ビッグボーナスゲーム中あるいはボーナスゲーム中ではない通常ゲーム中に、当りライン上に「G」すなわち「JAC」が3つ揃えば、再ゲームが成立して後述するようにコイン投入等を行なうことなくスタート操作を行なうのみで再度可変表示装置70が可変開始される。また、ビッグボーナスゲーム中にこの「G」が有効ライン上に3つ揃えばボーナスゲームの開始が行なわれる。また、ボーナスゲーム中にこの「G」が当りライン上に3つ揃えばボーナスゲーム中の入賞となりコインが15枚払出される。なお、ボーナスゲーム中に入賞が発生する有効な当りラインは可変表示部における中段の横一列のみである。」(段落【0019】)
オ.「S66に進み、格納されているランダム値R(図6参照)を用いて所定の演算を行なう処理がなされる。このランダムカウンタのランダム値Rは、前述したように、1賭けの場合には1つの値であるが2賭けの場合には2つの値を有し、3賭けの場合には3つの値を有する。ゆえに、1賭けの場合にはその1つの値を用いて所定の演算を行なうことになるが、2賭けの場合には2つの値を用いて所定の演算を行ない、3賭けの場合には3つの値を用いて所定の演算を行なうことになる。その所定の演算とは、ランダム値R同士を加算したり減算したり乗じたり除したりあるいは所定の関数に代入して答えを算出したりする演算である。ゆえに、このランダムカウンタのランダム値Rの数が多いほどすなわち1枚賭けよりも2枚賭けあるいは2枚賭けよりも3枚賭けの場合ほどS66による演算結果の値がランダムな値となる。次にS67により、その演算結果を各当選の判定値と比較する処理が行なわれる。この各当選の判定値は、ビッグボーナスゲーム当選の判定値,ボーナスゲーム当選の判定値,小役当選の判定値,再ゲーム当選の判定値の4種類がある。なお、この各当選の判定値は、テーブルの形でROM47に記憶され、賭数が多いほどその当選判定値の範囲(領域)が広くなって当選しやすいように構成されている。」(段落【0042】)
カ.「ボーナスゲームフラグではなくビッグボーナスゲームフラグがセットされている場合にはS71によりYESの判断がなされてS72に進み、S67による比較結果、ランダム値Rを用いた演算結果がボーナスゲーム許容値に含まれているか否かの判断がなされる。スロットマシンのゲーム状態がビッグボーナス中において、可変表示装置の可変停止時の表示結果が「JAC」の停止図柄の組合せになった場合には、前述したようにビッグボーナスゲーム中におけるボーナスゲームが開始されるのであり、そのために、S72により、ビッグボーナスゲーム中におけるボーナスゲームを発生させるか否かの判定が行なわれるのである。」(段落【0047】)
キ.「スロットマシンの場合には、停止制御の仕方が不自然にならないようにするために遊技者がストップボタン9L,9C,9Rを押圧操作してから0.2秒程度のある限られた非常に短い所定時間内に対応するリールを停止させなければならず、その非常に短い所定時間内にリールが回転できる回転角度が4図柄分程度となっている。ゆえに、ストップボタンが押圧操作されてから4図柄以上先にあるJAC図柄を有効な有効ライン上に停止制御させることは不可能であるために、S120により、4図柄先以内にJAC図柄がある場合にJAC図柄を有効ライン上に停止制御させるのである。」(段落【0051】)
ク.「ビックボーナス当選フラグがセットされている場合にはS126に進み、他のリールが停止しているか否かの判断がなされ、他のリールがまだ停止していない場合にはS127に進み、現在の図柄番号から4図柄先以内にビックボーナス図柄(本実施例ではA)があるか否かの判断がなされ、ある場合にはS128によりビックボーナス図柄を有効ライン上に停止させた後S152に進む。一方、現在の図柄番号から4図柄先以内にビックボーナス図柄がない場合にはその回のゲームにおけるビックボーナスゲームの開始を諦めてS139に進む。」(段落【0056】)
ケ.「ボーナス当選フラグがセットされている場合にはS133に進み、他のリールが停止しているか否かの判断がなされる。他のリールが停止していない段階ではS134に進み、現在の図柄番号から4図柄先以内にボーナス図柄(本実施例ではB)があるか否かの判断がなされ、ある場合にはS135に進みボーナス図柄を有効となっている有効ライン上に停止させる制御が行なわれ、S152に進む。」(段落【0057】)
コ.「小役当選フラグがセットされていると判断された場合にはS140に進み、他のリールが停止しているか否かの判断がなされ、まだ他のリールが停止していない段階ではS144に進む。S144では、セットされた小役当選フラグの種類に対応する小役図柄が現在の図柄番号から4図柄先以内にあるか否かの判断がなされ、ない場合にはS146に進みただちにリールを停止させてS152に進む。一方、S144により小役図柄があると判断された場合にはS145に進み、その小役図柄を有効ライン上に停止させる制御が行なわれてS152に進む。」(段落【0058】)
サ.「図15は、入賞判定処理のプログラムを示すフローチャートである。まずS153により、ボーナスゲームフラグがセットされているか否かの判断がなされ、セットされていない場合にはS159に進み、ビッグボーナスゲームフラグがセットされているか否かの判断がなされてセットされていない場合にS163に進み、有効ライン上に入賞があったか否かの判断がなされる。・・・S163により有効ライン上に入賞があったと判断された場合にはS165に進み、入賞した有効ラインに対応する有効ライン表示ランプを点滅させる。」(段落【0061】)
シ.「ビックボーナス入賞であると判断された場合にはS167に進み、各小役当選判定値をビックボーナス時の値にし、ビックボーナスゲームカウンタを「30」にセットし、ボーナス回数カウンタを「3」にセットし、ビックボーナス当選フラグをクリアし、払出し予定数を「15」にセットし、ビックボーナスゲームフラグをセットし、遊技効果ランプを第1態様で点滅させ、ビッグボーナス音をスピーカから発生させる処理が行なわれる。」(段落【0062】)
ス.「ボーナスゲームフラグがセットされている場合にはS153によりYESの判断がなされてS154に進み、ボーナスゲームカウンタを「1」減算し、S155に進み、有効ライン上にJAC入賞があるか否かの判断がなされ、ない場合には払出し予定数を「0」にセットしてコイン払出し制御に移行する。一方、有効ライン上にJAC入賞がある場合にはS156に進み、払出し予定数を「15」にセットし、JAC入賞カウンタを「1」減算し、S157により、入賞した有効ラインに相当する有効ライン表示ランプを点滅させた後コイン払出し制御に移行する。」(段落【0063】)
セ.「ビックボーナスゲームフラグがセットされている場合にはS159によりYESの判断がなされてS160に進み、ビックボーナスゲームカウンタを「1」減算し、S161により有効ラインにJAC入賞があるか否かの判断がなされ、ない場合にはS163に進むが、ある場合にはS162に進む。S162では、ボーナスゲームカウンタを「12」にセットし、JAC入賞カウンタを「8」にセットし、ボーナスゲームフラグをセットし、払出し予定数を「8」にセットし、遊技効果ランプを第2態様で点滅させ、ボーナス音をスピーカから発生させる。このように、前記S169はビックボーナスゲームでない通常ゲーム時においてボーナスゲームが開始された時に行なわれる処理であり、S162の方は、ビックボーナスゲームが開始されている段階でボーナスゲームが成立したときに行なわれる処理である。」(段落【0064】)

5.引用例1記載の発明の認定
引用例1に記載されたスロットマシンは、記載アのとおり、遊技者が各ストップボタン9L,9C,9Rを押圧操作することにより、それに対応する各可変表示部5L,5C,5Rの可変表示が停止されるものであるが、記載オ?コのとおり、ランダムな値を各当選の判定値と比較した比較結果と遊技者のストップボタン押圧操作に基づいて、可変表示を停止制御するものである。
引用例1の記載ウ等の「図柄」と記載アの「識別情報」に実質的な相違はない。
引用例1の記載サ?セ及び【図15】は、入賞判定処理についての記載及び図示であるが、これらによれば、ビックボーナス入賞時には「ビックボーナスゲームカウンタを「30」にセットし、ボーナス回数カウンタを「3」にセット」(記載シ)であるから、ビックボーナスゲームフラグがセットされている場合の遊技には、ボーナスゲームとそれ以外の遊技がある。
記載セは、ボーナスゲームフラグがセットされておらず、ビックボーナスゲームフラグがセットされている場合の説明であるから、ここでの「JAC入賞」はボーナスゲーム入賞を意味する。また、入賞した有効ラインに相当する有効ライン表示ランプを点滅させるのは、ボーナスゲームにおけるJAC入賞、ビックボーナスゲームフラグもボーナスゲームフラグもセットされていない状態でのすべての入賞、及びボーナスゲームフラグはセットされておらず、ビックボーナスゲームフラグがセットされている状態での、ボーナスゲーム以外の入賞の場合であり、同状態でのボーナスゲーム入賞の場合には有効ライン表示ランプを点滅させない。
したがって、引用例1には次のような発明が記載されていると認めることができる。
「遊技者がスタートレバー押圧操作により、可変表示装置の各可変表示部により複数種類の図柄が可変表示され、ランダムな値を各当選の判定値と比較した比較結果と遊技者のストップボタン押圧操作に基づいて、操作されたストップボタンに対応する可変表示部の可変表示が停止されるように構成されたスロットマシンであって、
ビックボーナスゲームフラグもボーナスゲームフラグもセットされていない状態での当選にはビッグボーナスゲーム当選,ボーナスゲーム当選,小役当選及び再ゲーム当選の4種類があり、
ビッグボーナスゲームに当選し、「AAA」という図柄の組み合わせが成立すると、ビックボーナス入賞であると判断され、ビックボーナスゲームカウンタを「30」にセットし、ボーナス回数カウンタを「3」にセットし、ビックボーナスゲームフラグをセットし、遊技効果ランプを第1態様で点滅させ、ビッグボーナス音をスピーカから発生させる処理を行い、
ビックボーナスゲームフラグがセットされている場合にも、ボーナスゲームに当選し入賞成立することがあり、
ボーナスゲームに入賞すると、ボーナスゲームフラグがセットされ、可変表示部における中段の横一列のみが有効ラインとされる遊技を実行し、
ボーナスゲームにおける入賞、ビックボーナスゲームフラグもボーナスゲームフラグもセットされていない状態でのすべての入賞、及びボーナスゲームフラグはセットされておらず、ビックボーナスゲームフラグがセットされている状態でのボーナスゲーム以外の入賞の場合があれば、入賞した有効ラインに対応する有効ライン表示ランプを点滅させるように構成されたスロットマシン。」(以下「引用発明1」という。)

6.補正発明と引用発明1の一致点及び相違点の認定
引用発明1の「ストップボタン」は補正発明の「停止操作部」に相当し、引用発明1の「ランダムな値を各当選の判定値と比較」と補正発明の「乱数サンプリングにより入賞判定」には相違がないから、「複数の図柄を可変表示する可変表示部と、該可変表示部の可変表示の停止を目的として遊技者によって操作される停止操作部と、前記可変表示部の可変表示が停止したときの入賞態様について乱数サンプリングにより入賞判定を行い、その判定結果及び前記停止操作部での停止操作に基づいて前記可変表示部の可変表示動作を制御する」点は補正発明と引用発明1の一致点であり、そのための「制御部とを備えた遊技機」であることも一致点である。
引用発明1の「「AAA」という図柄の組み合わせが成立」は補正発明の「前記可変表示部の可変表示が停止した結果、所定の図柄の組合せが表示」に相当する。引用発明1では「ビックボーナスゲームフラグがセットされている場合にも、ボーナスゲームに当選し入賞成立することがあ」るのだから、ビックボーナスゲームフラグはボーナスゲームとそれ以外のゲーム(補正発明の「通常ゲーム」に相当)とから構成されている。また、引用発明1では「「AAA」という図柄の組み合わせが成立」ことにより、「遊技効果ランプを第1態様で点滅させ、ビッグボーナス音をスピーカから発生させる処理を行」うのであるから、「所定の図柄の組合せが表示されると、・・・通常ゲームとボーナスゲームとから構成されるビッグボーナスゲームである入賞態様を発生させると共に、複数種類の視覚的又は聴覚的な報知態様のうちから、・・・選択された報知態様で遊技者への報知を行」う点では、補正発明と共通する。
引用発明1では、「ボーナスゲームにおける入賞、ビックボーナスゲームフラグもボーナスゲームフラグもセットされていない状態でのすべての入賞、及びボーナスゲームフラグはセットされておらず、ビックボーナスゲームフラグがセットされている状態でのボーナスゲーム以外の入賞の場合があれば、有効ライン表示ランプを点滅させる」のであり、「入賞した有効ラインに対応する有効ライン表示ランプを点滅」は補正発明の「前記所定の図柄の組合せが並んだ入賞ラインに対応して選択された報知態様で遊技者への報知」及び「入賞図柄の組合せが並ぶと1つの報知態様で遊技者への報知」に相当するから、「前記所定の図柄の組合せが並んだ入賞ラインに対応して選択された報知態様で遊技者への報知を行」うことは補正発明と引用発明1の一致点である。
また、上記のことをビックボーナスゲームフラグがセットされている状態(補正発明の「ビッグボーナスゲーム中」に相当)に限ってみると、通常ゲーム時であってボーナスゲーム以外の入賞の場合に有効ライン表示ランプを点滅させ、ボーナスゲーム時には中段の横一列の有効ライン表示ランプを点滅させることになる。そして、通常ゲーム時では有効ラインが複数とおりあるから、「入賞した有効ラインに対応する有効ライン表示ランプを点滅」は補正発明の「入賞図柄の組合せが並んだ入賞ラインに対応して選択された報知態様で遊技者への報知」に相当し、「ボーナスゲーム時には中段の横一列の有効ライン表示ランプを点滅」は補正発明の「入賞図柄の組合せが並ぶと1つの報知態様で遊技者への報知」に相当する。結局のところ、「ビッグボーナスゲーム中において、前記通常ゲーム時には入賞図柄の組合せが並んだ入賞ラインに対応して選択された報知態様で遊技者への報知」について、ボーナスゲーム入賞時にもかかる報知を行うかどうかの点は相違点であるが、その余の点では補正発明と引用発明1に相違はない。
したがって、補正発明と引用発明1の一致点及び相違点は次のとおりである。
〈一致点〉
「複数の図柄を可変表示する可変表示部と、該可変表示部の可変表示の停止を目的として遊技者によって操作される停止操作部と、前記可変表示部の可変表示が停止したときの入賞態様について乱数サンプリングにより入賞判定を行い、その判定結果及び前記停止操作部での停止操作に基づいて前記可変表示部の可変表示動作を制御する制御部とを備えた遊技機において、
前記制御部は、前記可変表示部の可変表示が停止した結果、所定の図柄の組合せが表示されると、通常ゲームとボーナスゲームとから構成されるビッグボーナスゲームである入賞態様を発生させると共に、複数種類の視覚的又は聴覚的な報知態様のうちから、選択された報知態様で遊技者への報知を行い、前記所定の図柄の組合せが並んだ入賞ラインに対応して選択された報知態様で遊技者への報知を行い、前記ビッグボーナスゲーム中において、前記通常ゲーム時には入賞図柄の組合せが並んだ入賞ラインに対応して選択された報知態様で遊技者への報知を行うことがあり、前記ボーナスゲーム時には入賞図柄の組合せが並ぶと1つの報知態様で遊技者への報知を行うように構成した遊技機。」
〈相違点1〉補正発明は「所定の図柄の組合せが表示されると、当該所定の図柄の組合せとは異なる予め定められた図柄の組合せが表示されたときと同様に、通常ゲームとボーナスゲームとから構成されるビッグボーナスゲームである入賞態様を発生させると共に、複数種類の視覚的又は聴覚的な報知態様のうちから、前記所定の図柄の組合せに対応して選択された報知態様で遊技者への報知を行い、前記所定の図柄の組合せが並んだ入賞ラインに対応して選択された報知態様で遊技者への報知を行い」と限定、すなわち、「所定の図柄の組合せとは異なる予め定められた図柄の組合せ」も「ビッグボーナスゲームである入賞態様」に割り当てられており、「前記所定の図柄の組合せに対応して選択された報知態様で遊技者への報知を行」うのに対し、引用発明1では「所定の図柄の組合せ」だけが「ビッグボーナスゲームである入賞態様」に割り当てられている点。
〈相違点2〉ビッグボーナスゲーム中において、補正発明では「前記通常ゲーム時には入賞図柄の組合せが並んだ入賞ラインに対応して選択された報知態様で遊技者への報知を行」としているのに対し、引用発明1では「通常ゲーム時には入賞図柄の組合せが並んだ」としても、それがボーナスゲーム入賞であれば「入賞ラインに対応して選択された報知態様で遊技者への報知を行」わない点。

7.相違点の判断及び補正発明の独立特許要件の判断
(1)相違点1について
原査定の拒絶の理由に引用され1995年2月1日に株式会社双葉社より発行された「パチスロ攻略マガジン2月号」第4巻第2号12頁(以下「引用例2」という。)には、パチスロ機「トリプルウイナー3」の紹介記事が掲載されており、「その名も「トリプルウイナー」。名前の通り、3つの7が採用されているのがこの機種のウリだ。・・・同じ色が3つ並べばビッグボーナス・・・ビッグボーナスがかかると、ファンファーレが高らかに鳴り響くぞ!ちなみにこのファンファーレ、FM音源を採用しており、色別に3種類のモノがある。」との記載がある。要するに、引用例2には「予め定められた図柄の組合せ」として3種類の組合せを「ビッグボーナスゲームである入賞態様」に割り当て、どの組合せが並ぶかによって選択された報知態様で遊技者に聴覚的な報知を行うことが記載されている。
引用発明1に引用例2記載の技術を適用することを妨げる理由はないから、適用することは当業者にとって想到容易である。引用例2記載の技術を適用した場合、3種類の組合せのうちどれを補正発明の「所定の図柄の組合せ」としても、相違点1に係る補正発明の構成に至る。
したがって、相違点1に係る補正発明の構成を採用することは当業者にとって想到容易である。

(2)相違点2について
引用発明1では、ビッグボーナスゲーム中だけでなく、ビックボーナスゲームフラグもボーナスゲームフラグもセットされていない状態においてもボーナスゲーム入賞に入賞することがあり、この場合には有効ライン表示ランプを点滅させている。
また、ビッグボーナスゲーム中のボーナスゲーム入賞の場合だけを、他の入賞と区別して、有効ライン表示ランプを点滅させないことの利点は見あたらず、他の入賞同様有効ライン表示ランプを点滅させることを妨げる要因も見あたらない。
そうであれば、ビッグボーナスゲーム中の通常遊技を含むすべての遊技において、すべての入賞に対して、入賞した有効ラインに対応する有効ライン表示ランプを点滅、すなわち、相違点2に係る補正発明の構成を採用することには何の困難性もなく、当業者にとって想到容易といわなければならない。

(3)補正発明の独立特許要件の判断
相違点1,2に係る補正発明の構成を採用することは当業者にとって想到容易であり、これら構成を採用したことによる格別の作用効果を認めることもできない。
したがって、補正発明は引用発明1及び引用例2記載の技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができない。
すなわち、本件補正は、平成18年法律55号改正附則3条1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法17条の2第5項において準用する同法126条5項の規定に違反するので、同法159条1項において読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下されなければならない。

[補正の却下の決定のむすび]
以上述べたとおりであるから、補正の却下の決定の結論のとおり決定する。

第3 本件審判請求についての判断
1.本願発明の認定
本件補正が却下されたから、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、平成18年10月12日付けで補正された明細書の特許請求の範囲【請求項1】に記載されたとおりの次のものと認める。
「複数の図柄を可変表示する可変表示部と、該可変表示部の可変表示の停止を目的として遊技者によって操作される停止操作部と、前記可変表示部の可変表示が停止したときの入賞態様について乱数サンプリングにより入賞判定を行い、その判定結果及び前記停止操作部での停止操作に基づいて前記可変表示部の可変表示動作を制御する制御部とを備えた遊技機において、
前記制御部は、前記可変表示部の可変表示が停止した結果、所定の図柄の組合せが表示されると、当該所定の図柄の組合せとは異なる予め定められた図柄の組合せが表示されたときと同様に、特定の入賞態様を発生させると共に、これらの図柄の組合せが入賞ライン上に並んだ時、複数種類の視覚的又は聴覚的な報知態様のうちから、前記可変表示部に表示された図柄の組合せと、当該図柄の組合せが並んだ入賞ラインとに対応して選択された報知態様で遊技者への報知を行うように構成したことを特徴とする遊技機。」

2.本願発明の進歩性の判断
本願発明の「特定の入賞態様」は「通常ゲームとボーナスゲームとから構成されるビッグボーナスゲームである入賞態様」であってもよい。
本願発明の「前記可変表示部に表示された図柄の組合せと、当該図柄の組合せが並んだ入賞ラインとに対応して選択された報知態様で遊技者への報知を行うように構成」につき検討するに、請求人はこれを本件補正により「前記所定の図柄の組合せに対応して選択された報知態様で遊技者への報知を行い、前記所定の図柄の組合せが並んだ入賞ラインに対応して選択された報知態様で遊技者への報知を行い、」と補正するとともに、この補正が選択され得る「報知態様」を限定するものであると主張している。
本願明細書及び図面をみても、【図16】のST7において「B・Bゲーム発生?」の判断がYES(「所定の図柄の組合せが表示される」はこれに該当する。)であれば、ST8の「B・Bゲーム発生デモ及び入賞音」(「可変表示部に表示された図柄の組合せ」の報知がこれに該当)とST9の「入賞ライン報知デモ」(「図柄の組合せが並んだ入賞ラインとに対応して選択された報知態様で遊技者への報知」がこれに該当)が個別にされるように記載及び図示されているから、「前記可変表示部に表示された図柄の組合せ」及び「当該図柄の組合せが並んだ入賞ライン」に対応して1つの報知態様が選択されるものに限られず、「前記可変表示部に表示された図柄の組合せ」に対応して1つの報知態様が選択され、かつ「当該図柄の組合せが並んだ入賞ライン」に対応して1つの報知態様が選択されるものを含むことは明らかであり、本件補正では実施例に即した限定を試みたものと認める。
すなわち、補正発明の限定事項を一部省いたものが本願発明であり、補正発明が引用発明1及び引用例2記載の技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたのであるから、本願発明も引用発明1及び引用例2記載の技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができた(補正発明についての相違点2に対応する相違点は、本願発明については存在しない。)といわなければならず、本願発明は特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。

第4 むすび
本件補正は却下されなければならず、本願発明が特許を受けることができない以上、本願は拒絶を免れない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2008-10-29 
結審通知日 2008-11-04 
審決日 2008-11-17 
出願番号 特願平11-332027
審決分類 P 1 8・ 561- Z (A63F)
P 1 8・ 121- Z (A63F)
P 1 8・ 575- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 赤坂 祐樹  
特許庁審判長 津田 俊明
特許庁審判官 ▲吉▼川 康史
伊藤 陽
発明の名称 遊技機  
代理人 藤田 和子  
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