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審決分類 審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) D06F
審判 査定不服 特36条4項詳細な説明の記載不備 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) D06F
管理番号 1191832
審判番号 不服2004-15900  
総通号数 111 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2009-03-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2004-07-29 
確定日 2009-01-29 
事件の表示 特願2001-268071「洗濯機及びそのシステムデータ変更方法」拒絶査定不服審判事件〔平成14年 5月14日出願公開、特開2002-136794〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯・本願発明
本件審判請求に係る出願(以下、「本願」という。)は、平成13年9月4日(パリ条約による優先権主張2000年9月4日、大韓民国)の出願であって、平成16年4月27日付け(発送日:同年4月30日)で拒絶査定がなされ、これに対し、同年7月29日付けで拒絶査定不服審判の請求がなされ、さらに、当審において、平成19年8月17日付け(発送日:同月20日)で拒絶理由を通知したところ、平成20年1月21日に意見書(以下、「本件意見書」という。)が提出されるとともに、同日付けで手続補正(以下、「本件補正」という。)がなされたものである。

したがって、本願の請求項1に係る発明は、本件補正により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものである(以下、「本願発明」という。)。

「洗濯水を貯蔵するための外槽と、
前記外槽内に回転自在に取り付けられた内槽と、
前記内槽を駆動するためのモーターと、
負荷部であって、洗濯水の給水のための給水手段と、洗濯水の排水のための排水手段とを含んでいる負荷部と、
前記負荷部の駆動を制御し、その動作状態を読み込むためのマイコンと、
ユーザーが各種動作命令を入力するため、および洗濯機の機能設定のためのキー入力部と、
洗濯機機能及び洗濯機動作状態をディスプレイするためのディスプレイ部と、
外部装置とのデータの送/受信のためのインターフェース部と、
読み出し/書き込みが可能で前記外部装置から受信されたプログラム、洗濯工程関連プログラム、前記負荷部の使用履歴、その他のデータを格納するためのメモリであって、前記使用履歴は、前記洗濯工程関連プログラムの実行の結果に関連したさらなるユーザー入力を含む、メモリと を有している洗濯機であって、
前記マイコンは、前記メモリに格納された使用履歴を前記インターフェース部を介して前記外部装置に送信し、前記使用履歴に含まれている前記さらなるユーザー入力に基づく洗濯工程関連プログラムであって、前記インターフェース部を介して前記外部装置から送信される洗濯工程関連プログラムを受信し、前記メモリに格納された洗濯工程関連プログラムを前記受信された洗濯工程関連プログラムに変更することを特徴とする洗濯機。」(下線は補正箇所を示す。)

2.当審における拒絶理由
平成19年8月17日付けで通知した拒絶理由(以下、「本件拒絶理由」という。)の概要は、次のとおりである。

(1)特許法第36条第6項について
ア.請求項1について
(ア)平成16年3月4日付手続補正(以下、「手続補正」という。)で補正された請求項1に「負荷部」という事項が記載されている。
しかしながら、 ・・・省略・・・ 、「負荷部」は、その範囲が不明である。(以下、「本件拒絶理由1」という。)

(イ)手続補正で補正された請求項1に「負荷部の使用履歴」という事項が記載されている。
しかしながら、 ・・・省略・・・ 、「負荷部の使用履歴」が具体的にどのように取得されるものであるのか不明である。(以下、「本件拒絶理由2」という。)

(ウ)手続補正で補正された請求項1に、「前記使用履歴に基づく洗濯工程関連プログラム」という事項が記載されている。
しかし、「前記使用履歴に基づく洗濯工程関連プログラム」が、今までの洗濯工程関連プログラムを具体的にどのように変更した洗濯工程関連プログラムであるのか不明である。(以下、「本件拒絶理由3」という。)

したがって、特許請求の範囲の記載が、特許を受けようとする発明を明確に表現したものとはいえないから、特許法第36条第6項第2号の規定に違反するものである。

イ.請求項6、8、9、10、14-16、22、23について
・・・省略・・・

(2)特許法第36条第4項について
発明の詳細な説明において、「負荷部の使用履歴」や「洗濯機の使用履歴」が具体的にどのように取得されるものであるのか不明であり、また、「使用履歴に基づく洗濯工程関連プログラム」や、「洗濯機の使用履歴に基づいて設定されて前記外部装置からダウンロードされた洗濯工程関連プログラム」が、今までの洗濯工程関連プログラムをどのように変更した洗濯工程関連プログラムであるのか不明であり、これら事項について、当業者が実施できる程度に明確かつ十分に説明されていない。

ア.段落【0072】?【0073】に「また、ドライブマイコン22は前記モーター20、負荷21の使用履歴をシステムマイコン27に伝送する。即ち、モーター20の温度上昇及び速度、給水時間、排水時間などのデータをシステムマイコン27を介してフラッシュロム25に格納する。」と記載されているが、明細書全体を参酌しても、「負荷部の使用履歴」を具体的にどのようにして取得しているか、検知手段等を含め不明であり、また、負荷の使用履歴である、給水時間、排水時間などのデータがどのような手順でどのようにして取得されるものであるのか不明である。(以下、「本件拒絶理由4」という。)

イ.本願の各請求項に係る発明は、段落【0117】や段落【0119】の記載から、プログラムを変更又は切り替えて洗濯工程が最適に制御される洗濯機に係わるものであると解され、給水時間や排水時間は、プログラムにより予め設定された時間と考えられる。
そして、段落【0072】?【0077】に、給水時間や排水時間が、「使用履歴に基づく洗濯工程関連プログラム」や、「洗濯機の使用履歴に基づいて設定されて前記外部装置からダウンロードされた洗濯工程関連プログラム」の「使用履歴」である旨記載されているが、予め設定された給水時間、排水時間の履歴に基づいて、ユーザーの何が具体的にわかり、洗濯工程関連プログラムのどこをどのように変更して、そのユーザーにあった洗濯工程関連プログラムとするのか不明である。(以下、「本件拒絶理由5」という。)

ウ.段落【0078】に「ユーザーが新婚夫婦から子供ができてその構成員が変更されることによって、おむつなどの洗濯物が発生した場合既存の洗濯行程ではユーザーが要求する水準の衛生的な洗濯がなされなかったので製造メーカに提供されるソフトウェア又はサービスマンを介して既存の洗濯プログラムの濯ぎ行程が強化されるようにプログラム又はシステムデータを変更したり、おむつなど衛生にフォーカスを合わせた洗濯プログラムを新たに追加できる。」と記載されているが、この場合、どのような「負荷部の使用履歴」から、ユーザーの構成員に、おむつの必要な子供が追加されたことが分かるのか、そして、そのユーザーにあう洗濯工程関連プログラムとは、具体的にどこをどのように変更したものであるのか不明である。(以下、「本件拒絶理由6」という。)

エ.段落【0017】に「洗濯機が取り付けられた家庭の水圧は、設置位置(高地帯/低地帯)、給水方式などによって洗濯のための給水時間が長くなるとユーザーは給水に異常があると認識のうえ、製造メーカに知らせる。」と記載されているが、例えば、設置位置(高地帯/低地帯)、又、給水方式は、「負荷部の使用履歴」によりどのように把握され、そして、その場合の洗濯工程関連プログラムとは具体的にどこをどのように変更させたものとするのか不明である。(以下、「本件拒絶理由7」という。)

3.請求人の主張、及び、当審の判断
(1)本件拒絶理由1について
請求人は、明細書の特許請求の範囲を本件補正の請求項1のように補正した上で、本件意見書において、請求項1に記載された「・・・外槽と、・・・内槽と、・・・モーターと、・・・給水手段と、・・・排水手段とを含んでいる負荷部と」という事項を、「・・・外槽と、・・・内槽と、・・・モーターと、負荷部であって、・・・給水手段と、・・・排水手段とを含んでいる負荷部と」という事項に補正し、「負荷部には外槽、内槽、モーターが含まれないことを明確にした」ので、本件拒絶理由1が解消した旨、主張する。

請求人の上記主張は、「給水手段」「排水手段」の修飾語として「負荷部であって、」なる文言を追加したから、外槽、内槽、モーターは負荷部に含まれない、というものと解される。
しかしながら、負荷部については、依然として、「洗濯水の給水のための給水手段と、洗濯水の排水のための排水手段とを含んでいる」と記載されており、当該記載は、「負荷部」が給水手段及び排水手段以外のものを含むことを許容するものであるから、「負荷部」には、どのようなものまで含まれるのか、その技術的範囲が明確でなく、特許を受けようとする発明が明確でない。(下線は審決において付す。)

したがって、上記請求人の主張は、採用できない。

(2)本件拒絶理由2について
上記「3.(1)」で述べたとおり、依然として、「負荷部」そのものが明確でないから、「負荷部の使用履歴」も、明確でない。
仮に、「負荷部」が、明細書記載の「給水バルブ及び排水バルブなど各種負荷21」(段落【0065】参照)、すなわち、「洗濯水の給水のための給水手段」、「洗濯水の排水のための排水手段」であるとして、発明の詳細な説明を参酌するに、段落【0072】?【0073】に「また、ドライブマイコン22は前記モーター20、負荷21の使用履歴をシステムマイコン27に伝送する。即ち、モーター20の温度上昇及び速度、給水時間、排水時間などのデータをシステムマイコン27を介してフラッシュロム25に格納する。」ことは記載されているが、明細書全体を参酌しても、「負荷部の使用履歴」を具体的にどのようにして取得しているか、検知手段等を含め不明であり、また、負荷の使用履歴である、給水時間、排水時間などのデータがどのような手順でどのようにして取得されるものであるのか不明である。
したがって、「負荷部の使用履歴」が具体的にどのように取得されるものであるのか、依然として不明であり、特許を受けようとする発明が明確でない。

ところで、請求人は本件意見書で、「検知手段が当業者にとって明確であり、検知手段が本願明細書に暗にサポートされていることも明らかだからです。また、本願の主題は、検知手段が、使用履歴を検知する点ではなく、マイコンが、使用履歴をアップロードして、使用手段に基づいたプログラムをダウンロードする点にあることも斟酌してください。」(第2頁第1-4行)と主張する。
しかしながら、検知手段が当業者にとって明確である理由も、また、検知手段が本願明細書に暗にサポートされていることも、明らかでなく、使用履歴を正確に検知(把握)できなければ、使用履歴をアップロードできず、引いては、使用手段に基づいたプログラムをダウンロードすることもできないから、請求人の主張は当を得ていない。
また、本願発明に限らず、本願の各請求項に係る発明は、「既に貯蔵されたプログラムを洗濯機の使用環境、家庭構成員の変化、生活パターンの変化、季節の変化などによって適切なプログラムに切り替え又は変更できるようにした洗濯機及びそのシステムデータ変更方法を提供すること」(段落【0022】参照)を目的とするものであり、負荷部の使用履歴が正確に把握できなければ、適切なプログラムに切り替え又は変更できることはかなわず、本願の各請求項に係る発明は、適切なプログラムに変更するための前提条件(正確な使用履歴の取得)において不明なものであって、上記目的が達成できるとは認められない。

したがって、負荷部の使用履歴を正確に把握することは本願発明の必須の技術事項であり、上記請求人の主張は採用できない。

(3)本件拒絶理由3について
請求人は、明細書の段落【0072】、【0074】の記載に基づき、特許請求の範囲を本件補正の請求項1のように補正した上で、本件意見書において、請求項1に記載された「負荷部の使用履歴」という事項に関して、「前記使用履歴は、前記洗濯工程関連プログラムの実行の結果に関連したさらなるユーザー入力を含む」という事項を追加し、また、「前記使用履歴に基づく洗濯工程関連プログラム」という事項を、「前記使用履歴に含まれている前記さらなるユーザー入力に基づく洗濯工程関連プログラム」という事項に補正した(なお、これら補正の事項は、本願明細書に明記された事項ではない。)ので、本件拒絶理由3が解消した旨主張する。

ところで、上記「前記使用履歴は、前記洗濯工程関連プログラムの実行の結果に関連したさらなるユーザー入力を含む」なる補正事項の「前記使用履歴」に関して、上記補正事項の記載からみて、前記されている「使用履歴」は、「前記負荷部の使用履歴」のみであるから、「前記使用履歴」とは「前記負荷部の使用履歴」と解される。
しかしながら、本件補正により、「前記負荷部の使用履歴」に含まれることになった「前記洗濯工程関連プログラムの実行の結果に関連したさらなるユーザー入力」とは、どのようなものであるのか、すなわち、「前記洗濯工程関連プログラムの実行の結果に関連したさらなるユーザー入力」が含まれる「負荷部の使用履歴」が、どのようなものであるのか、明細書全体を参酌するも、不明である。
また、請求人は本件意見書において、「さらなるユーザー入力」には、本願明細書の段落【0074】に記載された「ユーザーが現在の洗濯行程結果に満足できずに再実行した行程などに対するデータ」が具体的に挙げられる(第2頁第12-14行参照)と主張しているので、検討するに、まず、「ユーザーが現在の洗濯行程結果に満足できずに再実行した行程などに対するデータ」がどのようなデータであり、かつ、該データが負荷部の使用履歴とどのように関連するのか不明であり、また、「ユーザーが現在の洗濯行程結果に満足できずに再実行した行程などに対するデータ」がどのように取得されるのか不明である(実行された行程の中のある行程において、マイコンは、「ユーザーが満足できずに」いることを、どのようなデータに基づいて判断しているのか、そして、そのようなユーザーが満足できずに再実行した行程であったことを判断できるデータは、負荷部の使用履歴とどのように関連するのか、また、そのようなユーザーが満足できずに再実行した行程であったことを判断できるデータを、どのように取得するのか、不明である)。
結局、そのような「ユーザーが現在の洗濯行程結果に満足できずに再実行した行程などに対するデータ」に基づく洗濯工程関連プログラムとは、今までの洗濯工程関連プログラムをどのように変更した洗濯工程関連プログラムであるのか、依然として不明である。

したがって、特許を受けようとする発明は、依然として明確でなく、上記請求人の主張は採用できない。

(4)本件拒絶理由4について
請求人は本件意見書において、「上記2.1.2において上述した理由と同一の理由から、この拒絶理由も解消されるべきです。」(第2頁第30-31行)と主張している。
また、本件意見書において、「2.1.2」における請求人の主張は、
「2.1.2 (イ)について
拒絶理由通知書には、「負荷部」が明確でないという見解に基づいて「負荷部の使用履歴」も明確でないという拒絶理由が示されています。
この拒絶理由は、上記2.1.1において上述した補正により「負荷部」が明確になったことにより、解消されるというべきです。
さらに、拒絶理由通知書には、明細書全体を参酌しても、「負荷部の使用履歴」を具体的にどのように取得しているか、検知手段等を含め不明であり、また、負荷の使用履歴である、給水時間、排水時間などのデータがどのような手順でどのようにして取得されるものであるか不明であるという見解に基づいた拒絶理由が示されています。
出願人は、この見解に同意することはできません。検知手段が当業者にとって明確であり、検知手段が本願明細書に暗にサポートされていることも明らかだからです。また、本願の主題は、検知手段が、使用履歴を検知する点ではなく、マイコンが、使用履歴をアップロードして、使用手段に基づいたプログラムをダウンロードする点にあることも斟酌してください。
少なくとも以上の理由から、この拒絶理由は解消されるべきです。」(第1頁下から10行-第2頁第5行)
というものである。

しかしながら、上記「3.(1)」でも検討したように、「負荷部」の技術的範囲が依然として不明であり、また、上記「3.(2)」でも検討したように、「負荷部の使用履歴」が具体的にどのように取得されるものであるのか、依然として不明であり、「負荷部」及び「負荷部の使用履歴」について、当業者が実施できる程度に明確かつ十分に説明されていない。

また、請求人は、検知手段が当業者にとって明確であり、検知手段が本願明細書に暗にサポートされていることも明らかであり、また、本願の主題は、検知手段が、使用履歴を検知する点ではなく、マイコンが、使用履歴をアップロードして、使用手段に基づいたプログラムをダウンロードする点にあることも斟酌すべきである(本件意見書の第1頁下から10行-第2頁第5行参照)旨主張しているが、上記「3.(2)」でも検討したように、検知手段が本願明細書に暗にサポートされていることが明らかとはいえず、また、本願の各請求項に係る発明の「既に貯蔵されたプログラムを洗濯機の使用環境、家庭構成員の変化、生活パターンの変化、季節の変化などによって適切なプログラムに切り替え又は変更できるようにした洗濯機及びそのシステムデータ変更方法を提供すること」という目的を勘案すると、負荷部の使用履歴を正確に把握できなければ、適切なプログラムに切り替え又は変更できることはかなわず、本願の各請求項に係る発明は、適切なプログラムに変更するための前提条件(正確な使用履歴の取得)において不明なものであって、上記目的を達成し得ない。
したがって、負荷部の使用履歴を正確に把握することは、当業者が、本願の各請求項に係る発明を実施する上で、必須の技術事項である。

よって、上記請求人の主張は、採用できない。

(5)本件拒絶理由5について
請求人は本件意見書において、「使用履歴には、本願明細書の段落0074に記載されているように、「ユーザーが現在の洗濯行程結果に満足できず再実行した行程などに対するデータ」等も含まれています。本願では、適した洗濯工程関連プログラムは上記のようなデータに基づいて得られるものであり、どのようにしてユーザーにあう洗濯工程関連プログラムを得るかについては当業者には理解されるというべきです。」(第2頁第33-37行)と主張し、本件拒絶理由5が解消された旨主張している。

しかしながら、「ユーザーが現在の洗濯行程結果に満足できず再実行した行程などに対するデータ」と負荷部の使用履歴との関係が不明であり、また、「ユーザーが現在の洗濯行程結果に満足できずに再実行した行程などに対するデータ」がどのように取得されるのか不明(実行した行程の中からその行程が満足できずに再実行した行程であると分かるデータをどのように取得するのか不明)である。さらに、上記主張に「上記のようなデータ」とあるが、「上記のようなデータ」とは、具体的にいかなるデータで、どのように取得されるものであるのか不明である。
そして、そのようなデータに基づくプログラムとは、具体的にどのように変更されたプログラムであるのか、依然として不明であり、当業者が実施できる程度に明確かつ十分に説明されていない。

したがって、上記請求人の主張は、採用できない。

(5)本件拒絶理由6について
請求人は本件意見書において、本件拒絶理由5に対してと同様に、使用履歴には、本願明細書の段落【0074】に記載されているように、「ユーザーが現在の洗濯行程結果に満足できず再実行した行程などに対するデータ」等も含まれるものであるから、本件拒絶理由6が解消された旨主張している。

しかしながら、「ユーザーが現在の洗濯行程結果に満足できずに再実行した行程などに対するデータ」がどのように取得され、また、そのデータは具体的にいかなるデータであるのか不明である。
そして、「ユーザーが現在の洗濯行程結果に満足できずに再実行した行程などに対するデータ」から、どのようにしてユーザーの構成員に、おむつの必要な子供が追加されたことが分かるのか、そして、そのユーザーにあう洗濯工程関連プログラムとは、具体的にどこをどのように変更したものであるのか、依然として不明であり、当業者が実施できる程度に明確かつ十分に説明されていない。

したがって、上記請求人の主張は、採用できない。

(7)本件拒絶理由7について
請求人は本件意見書において、本件拒絶理由5、6に対してと同様に、使用履歴には、本願明細書の段落【0074】に記載されているように、「ユーザーが現在の洗濯行程結果に満足できず再実行した行程などに対するデータ」等も含まれるものであるから、本件拒絶理由7が解消された旨主張している。

しかしながら、「ユーザーが現在の洗濯行程結果に満足できず再実行した行程などに対するデータ」がどのように取得され、また、そのデータは具体的にいかなるデータであるのか不明である。
そして、「ユーザーが現在の洗濯行程結果に満足できずに再実行した行程などに対するデータ」から、設置位置(高地帯/低地帯)、又、給水方式がどのように把握され、その場合の洗濯工程関連プログラムとは具体的にどこをどのように変更させたものとするのか、依然として不明であり、当業者が実施できる程度に明確かつ十分に説明されていない。

したがって、上記請求人の主張は、採用できない。

4.まとめ
以上のとおりであるから、本件意見書及び本件補正を以てしても、本件拒絶理由は解消されていない。

したがって、本願は、特許法第36条第4項及び第6項に規定する要件を満たしていないので、拒絶されるべきものである。

よって、上記結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2008-09-04 
結審通知日 2008-09-05 
審決日 2008-09-19 
出願番号 特願2001-268071(P2001-268071)
審決分類 P 1 8・ 537- WZ (D06F)
P 1 8・ 536- WZ (D06F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 栗山 卓也  
特許庁審判長 岡 千代子
特許庁審判官 関口 哲生
佐野 遵
発明の名称 洗濯機及びそのシステムデータ変更方法  
代理人 安村 高明  
代理人 森下 夏樹  
代理人 山本 秀策  

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