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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  G11B
管理番号 1192197
異議申立番号 異議2002-70966  
総通号数 111 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2009-03-27 
種別 異議の決定 
異議申立日 2002-04-12 
確定日 2008-12-18 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第3219751号「放送内容受信装置」の請求項1に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第3219751号の請求項1に係る特許を取り消す。 
理由
1.手続の経緯
本件特許第3219751号の請求項1に係る発明についての出願は、昭和63年6月6日に出願した特願昭63-138679号の分割出願である特願平10-58567号をさらに分割出願して特願2000-135905号としたものを分割出願して特願2000-294017号(平成12年9月27日出願)としたものであり、平成13年8月10日にその発明について特許権の設定登録(請求項の数1)がなされた後、その特許について、百本弘之、小林勝男、及び、原田清子より特許異議の申立てがなされ、平成14年6月20日付けで取消しの理由が通知され、その指定期間内である平成14年8月7日に特許異議意見書が提出され、平成16年1月7日付けで取消しの理由が通知され、その指定期間内である平成16年3月17日に訂正請求がなされるとともに特許異議意見書が提出されたものである。

2.訂正の適否について

〔2-1〕訂正の内容
特許権者が求めている訂正の内容は、以下のとおりのものである。

(1)訂正事項a
特許査定時の明細書の特許請求の範囲の請求項1の記載を次のとおりに訂正する。
「【請求項1】
受信された、テレビの放映内容から、指定されたチャンネルを抽出するチューナを備えた放送内容受信装置において、
少なくともテレビの各番組内容とその開始時刻とその放映チャンネルとを含む情報を、外部から当該放送内容受信装置のRAMに一旦取り込む入力手段と、
前記入力手段によりRAMに取り込まれた上記情報から、当該放送内容受信装置の電源を投入した日の各チャンネルのテレビの番組内容を取り出して、チャンネルの違い毎にテレビ受像機に縦もしくは横の内の1方向に並べて表示するチャンネル表示手段と、
当該放送内容受信装置の電源を投入した日の、前記入力手段により取り込まれた上記情報中の同一チャンネルの番組を、その放送順に、上記1方向と垂直な方向に並べて、上記テレビ受像機に表示する放送順序表示手段と、
該放送順序表示手段及び上記チャンネル表示手段により上記テレビ受像機に表示されたテレビの番組内容の中から任意の番組内容が表示されている位置を指定するための位置指定手段と、
該位置指定手段により指定された位置に表示されている番組内容を、指定されなかった位置の番組内容と識別可能に表示する識別表示手段と、
該識別表示手段にて識別可能に表示された箇所に対応する番組内容を所望の番組として設定するための設定手段と、
該設定手段にて設定された箇所に対応する番組のチャンネルを上記情報から取り出して、所望の番組のチャンネルとして設定するチャンネル補完手段と、
上記設定手段にて設定された箇所に対応する番組の開始時刻を上記情報から取り出して、所望の番組の情報として設定する開始時刻補完手段と、
該開始時刻補完手段により設定された開始時刻になると、上記チャンネル補完手段により設定されたチャンネルを上記チューナに抽出させる放送内容出力手段と、
前記チューナにより復調されたチャンネルの映像信号を一旦ビデオメモリに蓄えた後、出力する映像出力部と
を備え、
前記位置指定手段がカーソルキーであり、しかも上下左右の番組に選択箇所を移動可能なものであることを特徴とする放送内容受信装置。」

(2)訂正事項b
特許請求の範囲の上記訂正に伴い、特許査定時の明細書における発明の詳細な説明の段落[0005]、及び[0006]の記載を訂正する。

〔2-2〕訂正の目的の適否、新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・ 変更の有無の存否
(1)訂正事項aについて
上記訂正事項aは、特許査定時の特許請求の範囲の請求項1に係る発明において、「入力手段」が、テレビの各番組内容とその開始時刻とその放映チャンネルとを含む情報を、外部から当該放送内容受信装置に取り込む際に、RAMに一旦取り込む点、チューナにより復調されたチャンネルの映像信号を一旦ビデオメモリに蓄えた後、出力する映像出力部を備える点、及び、位置指定手段がカーソルキーであり、しかも上下左右の番組に選択箇所を移動可能なものである点を限定するものであるから、特許請求の範囲を減縮することを目的とした明細書の訂正に該当する。
(2)訂正事項bについて
上記訂正事項bは、特許査定時の請求項1が上記のように訂正されたことに対応して発明の詳細な説明の記載を訂正するものであり、明りょうでない記載の釈明を目的とした訂正に該当する。
また、訂正事項a、bのいずれも新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
(3)訂正に対するむすび
したがって、上記訂正は、特許法第120条の4第3項で準用する平成6年法律第116号による改正前の特許法第126条第1項ただし書、及び同条第2項の規定に適合するので、当該訂正を認める。

3.特許異議申立てについて

〔3-1〕申立ての理由の概要
(1)異議申立人百本弘之は、本件特許の請求項1に係る発明は、甲第1号証(特願昭63-32820号(特開平1-209399号公報)昭和63年2月17日出願、平成元年8月23日公開)に記載された発明と同一であるから、特許法第29条の2の規定に該当し、また、甲第2号証(米国特許第4,706,121号明細書(1987年))、又は、甲第3号証(特改昭60-61935号公報)に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定に該当する。さらに、本件特許に係る平成13年7月2日付けの手続補正は、願書に添付した明細書又は図面の要旨を変更するものであるから、本件特許に係る出願は平成13年7月2日にしたものとみなされるべきである。したがって、本件特許の請求項1に係る発明は、甲第4号証(特開2001-134999号公報)に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定に該当する。さらに、本件特許の請求項1に係る発明は、発明の詳細な説明に記載されていないものであるから、本件出願は、特許法第36条第3項又は第4項の規定を満たしていない。したがって、本件の請求項1に係る発明の特許は取り消されるべき旨、主張する。
なお、異議申立人百本弘之は、平成14年5月9日付けで上申書を提出し、上記甲第2号証及び甲第3号証に係る主張について、参考資料1(特開昭49-135513号公報)を補強資料として提出している。
(2)異議申立人小林勝男は、本件特許の請求項1に係る発明は、甲第1号証(米国特許第4,706,121号明細書(1987年))、甲第2号証(特開昭49-135513号公報)、甲第3号証(雑誌「Cable Vision:1987年9月14日号」の一部抜粋)、甲第4号証(特開昭60-61935号公報)、及び、参考資料1(特開昭56-47182号公報)に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定に該当する。したがって、本件の請求項1に係る発明の特許は取り消されるべき旨、主張する。
(3)異議申立人原田清子は、本件特許の請求項1に係る発明は、先願に係る甲第1号証(特願昭63-32820号(特開平1-209399号公報))に記載された発明と同一であるから、特許法第29条の2の規定に該当する。また、本件特許の請求項1に係る発明は親特許である甲第2号証(特許第2838892号)の訂正後の請求項1に係る発明と同一であるから、特許法第39条第2項の規定に該当する。さらに、本件特許の請求項1に係る発明は、甲第3?5号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定に該当する。したがって、本件の請求項1に係る発明の特許は取り消されるべき旨、主張する。

〔3-2〕取消理由通知の概要
当審で通知した取消しの理由は、概要以下のとおりである。
(1)平成14年6月20日付けの取消理由通知(省略)
(2)平成16年1月7日付けの取消理由通知
「理 由 1.
【特許法第29条第2項違反について】
1 本件発明(省略)
2 刊行物とその記載事項
刊行物1:米国特許第4,706,121号明細書(1987年11月10日)
(申立人百本弘之の甲第2号証、同小林勝男の甲第1号証、
同原田清子の甲第3号証)
刊行物2:特開昭60-61935号公報
(申立人百本弘之の甲第3号証、同小林勝男の甲第4号証)
刊行物3:特開昭49-135513号公報
(申立人百本弘之の提出した参考資料1、同小林勝男の甲第
2号証)
刊行物4:雑誌「Cable Vision」1987年9月14日号の抜粋
(申立人小林勝男の甲第3号証)
刊行物5:特開昭56-47812号公報
(申立人小林勝男の参考資料1)
刊行物6:特開昭62-60372号公報
(申立人原田清子の甲第号証第4号証)
刊行物7:特開昭63-54884号公報
(申立人原田清子の甲第5号証)
3 本件発明と刊行物に記載されたものとの対比・判断(省略)
4 まとめ
したがって、本件請求項1に係る発明は、刊行物1?7に記載された発明に 基づいて当業者が容易に発明をすることができたものと認められるので、請求項1に係る発明の特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものである。

理 由 2.(省略)」

〔3-3〕特許法第29条第2項違反について
(1)本件発明
上記「2.」で示したように訂正が認められたので、本件特許第3219751号の請求項1に係る発明は、平成16年3月17日付け訂正明細書の特許請求の範囲の請求項1に記載されたとおりのものである(以下、「本件発明」という。)。

(2)取消理由通知の引用例及びその記載
当審で通知した平成16年1月7日付けの取消しの理由において引用した刊行物1(以下、「引用例」という。)には、以下の技術事項からなる発明が図面とともに記載乃至開示されている。

<引用例>(米国特許第4,706,121号明細書(1987年))
TV SCHEDULE SYSTEM AND PROCESS(TVスケジュールのシステムと方法)に関するものであり、以下の技術事項からなる発明が図面とともに記載乃至開示されている。

(i)「1. 発明の分野
本発明は、ユーザがスケジュールから予め選択した番組を呈示するよう、テレビ受像機を制御するための電子システムと方法に関する。特に、本発明は、種々の形で組み合わせられる選択基準をユーザが使用して放送番組の選択を行うことができるようにする電子システムと方法に関する。さらに詳しくは、本発明は、放送形態のスケジュール情報を受信し、次いでそのスケジュール情報を処理して選択を行う電子システムと方法に関する。本発明はさらに、ユーザがメニューから簡単な選択を行うことにより、ビデオ・カセット・レコーダ(VCR)を無人でプログラムできるようにするシステムに関する。」(第1欄第10?24行)
(1. Field of the Invention
This invention relates to an electronic system and a process for controlling a television set to present programs selected in advance from a schedule by a user. More particularly, it relates to such an electronic system and process which allows the user to make the broadcast program selection criteria that can be combined in different ways. Most especially, the invention relates to such an electronic system and process which receives the schedule information in broadcast form and then processes the schedule information to make the selections. The invention further relates to a system that will enable a user to program a video cassette recorder(VCR)for unattended operation by making a simple selection from a menu.)

(ii)「本発明のまたさらに別の目的は、選択された放送番組の時刻にテレビ受像機がオンになっているかどうかを判定し、テレビ受像機がオンになっていない場合、選択された番組をVCRまたは他の番組録画装置に自動的に供給する該システム及び方法を提供することである。」(第3欄第25?33行)
(It is still another object of the invention to privide such a system and process which will determine if the television set is turned on at the time of the selected broadcast program and automatically supply the selected program to a VCR or other program recording device if the television set is not turned on.)

(iii)「記憶手段はデータプロッセッサによって選択された番組に関するスケジュール情報を受信するよう接続される。プログラム可能なチューナがテレビ受信機への接続のために提供される。プログラム可能チューナは、データプロセッサからの制御信号を受信するよう接続されるので、選択された番組の放送時に選択された番組に関する放送信号をテレビ受信機に供給することができる。」(第4欄第44?52行)
(A storage means is connected to receive the schedule information for programs selected by the data processor. A programmable tuner is provided for connection to the television receiver. The programmable tuner is connected to receive control signals from the data processor for causing the programmable tuner to supply broadcast signals for the selected programs to the television receiver at the time of the selected program broadcasts.)

(iv)「本発明によるシステム及び方法の好適な形態では、スケジュール情報は、水平または垂直帰線間隔といった従来のテレビ放送では使用されていない部分を使って放送されたり、周波数変調(FM)放送といった別個の放送としても放送されたりする。」(第4欄第61?67行)
(In a prefered form of a system and process in accordance with the invention, the schedule information is also broadcast, either during an otherwise unused portion of a convenient television broadcast, such as during a horizontal or vertical flyback interval, or as a separate broadcast, such as a frequency modulation(FM)broadcast.)

(v)「図2は、水平または垂直帰線のような、TVフレーム中で普通使用されない部分を使用して、従来のテレビ放送の一部としてテレビ・スケジュール情報を放送するために使用される、同様のシステム50の構成図である。マイクロコンピュータ22のI/Oポート24は線路52によってバッファ54に接続され、・・・」(第6欄第60?66行)
(FIG.2 is a block diagram of a similar system 50 that is used to broadcast the television schedule information as part of an otherwise conventional television broadcast, using a normally unused portion of the TV frame, such as the horizontal or vertical flyback. The I/O port 24 of the microcomputer 22 is connected by line 52 to a buffer 54,・・・)

(vi)「図3は、図1のFM受信機システム20と組み合わせて使用される受信機及びテレビ受信機制御システム90のブロック図である。FMアンテナ92はシステム20からの放送信号を受信し、同信号は線路96上でFM受信機94に供給される。FM受信機94はFM放送信号を線路100上のSCA副搬送波復号器98に供給する。復号器98はFM放送信号からスケジュール情報信号を分離し、スケジュール情報信号を線路104上のデータ復調器102に供給する。データ復調器102はスケジュール情報信号をデジタル形式に変換し、デジタル・スケジュール・データ信号を線路108上のシステム制御ユニット106、特にシステム制御ユニット106のCPU110に供給する。メモリ111は113でCPU110に接続される。
・・・(中略)・・・
CPU110は、ユーザ選択に基づいて、線路134上のプログラム可能TVチューナ132に制御出力を供給する。ユーザ選択基準に基づいてスケジュール情報から選択された番組を識別する情報が、CPU110によってメモリ111に記憶される。」(第7欄第33?64行)
(FIG.3 is a block diagram of a receiver and television receiver control system 90 which is used in combination with the FM tranmitter system 20 of FIG.1. An FM antenna 92 receives the broadcast signals from the system 20, which are supplied to FM receiver 94 on line 96. FM receiver 94 supplies the FM broadcast signals to an SCA subcarriar decorder 98 on line 100. The decoder 98 strips the schedule information signals from the FM broadcast signals and supplies the schedule information signals to a data demodulator 102 on line104. The data demodulator 102 converts the schedule information signals to digital form and supplies the digital schedule data signals to system control unit 106 on line 108, more paticularly, to CPU 110 of the system control unit 106. A memory 111 is connected to the CPU 110 at 113.
・・・・・
The CPU 110 supplies control outputs, based on user selections, to a programmable TV tuner 132 on line 134. Information identifying programs selected from the schedule information on the basis of the user selection criteria is stored in memory 111 by the CPU 110.)

(vii)「図4は、図2に示される送信機システム50と共に使用される別の受信機システム160のブロック図である。アンテナ162は送信機システム50からTV放送信号を受信し、それを線路166上のプログラム可能TVチューナ164に供給する。チューナ164は放送信号を、線路170上の番組データ・タイミング制御装置168、線路171上のデータ復調器169及び線路174上のビデオ・スイッチャ172に供給する。制御装置168の出力は線路176上の復調器169に供給される。復調器169は、TV放送信号から分離されデジタル化された番組スケジュール情報信号を、線路182上のシステム制御ユニット180のCPU178に供給する。」(第8欄第23?35行)
(FIG.4 is ablock diagram of another receiver system 160, which may be used with the transmitter system 50 shown in FIG.2. Antenna 162 receives the TV broadcast signal from the transmitter system 50 and supplies it to a programmable TV tuner 164 on line 166. The tuner 164 supplies the broadcast signal to a program data timing controller 168 on line 170, to data demodulator 169 on line 171 and to a video switcher 172 on line 174. The output of controller 168 is supplied to the demodulator 169 on line 176. The demodulator 169 supplies the program schedule information signals, which have been stripped from the TV broadcast signsls and digitized, to CPU 178 system control unit 180 on line 182.)

(viii)「2.キーボード操作の概要
図5は、図3及び図4の遠隔制御送信機116及び188で使用されるキーボード220の配置を示す。キー222-244は以下の意味を有する。
・・・・・
↑232:ポインタを一覧表示の一番上に移動する。ポインタが一番上の行にある時押すと前のページに自動スクロールする。
↓234:ポインタを一覧表示の一番下に移動する。ポインタが一番下の行にある時押すと次のページに自動スクロールする。
→236:次のページに移動する。ポインタの位置は変更されない。最後のページが表示されている場合1週間の一覧表示の始めに戻る。
←238:前のページに移動する。ポインタは変更されない。一覧表示がすでに始めにある場合、1週間の一覧表示の終わりに戻る。」(第9欄第46行?第10欄第2行)
(2.Summary of Keyboard Operation
FIG.5 shows the layout of keyboard 220 used in the remote control transmitters 116 and 188 of FIG.3 and 4. The keys 222-244 have the following significance:
・・・・・
↑232:Moves pointer to top of listing;auto scrolls to previous page if pressed when pointer is on top line.
↓234:Moves pointer to bottom of listing;auto scrolls to next page if pressed when pointer is on bottom line.
→236:Moves to next page;pointer location unchanged. Wraps to start of week listing when last page is displayed.
←238:Moves to previous page;pointer unchanged. Wraps to end of week if listing is already at start. )

(ix)「 MGマスタ・ガイド・モード
このモードでは、一覧表示から番組を直接選択できる。平均的なユーザにとって、マスタ・ガイド(MG)モードが使用する唯一のモードである。MGモードのアクセスするには、MGキー222を一度押す。MGモードを出るにはMGキー222をもう一度押すか、ポインタが所望の番組の一にある場合SELキー228を押す。 TVキーが押された後、TVスケジューラ160が手動モードにある場合、キーボード220は数字キーだけを押すことで従来のTVセレクタとして使用される。手動チャンネル・セレクタとして使用される場合、新しいチャンネルが選択される都度、チャンネル番号が画面の一番下の行に表示される。特定のチャンネル上で受信された信号にサービス名が関連する場合、チャンネル番号でなくチャンネル名が表示される。すなわち、チャンネル3がHBOである場合、HBOが表示される。チャンネルが選択される都度、チャンネル番号またはチャンネル名、番組の名称、番組開始後の経過時間、及び番組の残り時間が画面の一番下の行に表示される。例えば、ユーザがそのチャンネルを走査すると、次のように表示される。
---------------------------------- HBO プライジーの名誉 番組開始後の経過時間 55分
番組終了までの残り時間 35分
---------------------------------- ・・・(中略)・・・
以下は、MGキー222が押された時の画面の一例である。一覧表示は常に直前30分前から開始される。ポインタは常に最後になされた選択(この例では、ウオール・ストリート・ウイーク)に置かれることに注意されたい。
----------------------------------
9:00 ホテル・シリーズ チャンネル7
ニュース チャンネル2
ウオール・ストリート・ウイーク チャンネル17
映画 F2、チャンネル20
9:15 映画 HBO
9:30 SF通り チャンネル2
水曜日、6月30日、ゴールデンアワー:午後6時?午後11時、
テーマ2、時刻:午後9時23分、チャンネル・グループ2、残り時間:7分、ウオール・ストリート・ウイーク
----------------------------------
画面一番下の3行のステータス行以外に、画面は16行の番組情報を一覧表示することに注意されたい。」(第10欄第12?62行)
( MG Master Guide Mode
This mode allows direct selection of a program from the listing. For the average user, the Master Guide(MG)mode is the only mode used. To access the MG mode, press the MG key 222 once: to exit mode, press the MG key 222 a second time, or use the SEL key 228 if the pointer is positioned at the desired program.
TV keyboard 220 may be used as a conventional TV selector by pressing the digit keys only, when the TV scheduler 160 is in the manual mode after the TV key is pressed. When used as a manual channel selector, each time that a new channel is selected, a channel number will appear on the bottom line of the screen. If a service name is associated with a signal received on a particular channel, the channel name will be displayed, rather than the channel number. Thus, if channel 3 is HBO, HBO will be displayed. Each time a channel is selected, a channel number or channel name, the name of the program, how long the program has been on, and how long remains for the program will appear on the bottom lines of the screen. For example, when the user scans the channel, it will show:
----------------------------------
HBO Prizzi's Honor on for 55 minutes
end in 35 minutes
---------------------------------- ・・・・・
The following is a typical screen when the MG key 222 is pressed. Listing always starts at the nearest previous half-hour. Note that the pointer always is positioned at the last selection made(Wall Street Week, in this example.)
----------------------------------
9:00 Hotel series Ch7
News Ch2
Wall Street Week Ch17
Movie F2,Ch20
9:15 Movie HBO
9:30 Streets of SF Ch2
Wed.Jun 30, Prime:6 pm 11pm, theme 2 on
Time:9:23 PM Channel group 2 on Time
remaining: 7min, Wall Street Week
----------------------------------
Note that screen will list 16 lines of program information not including the three status lines at the bottom of the screen.)

(x)「3.MGモードでの詳細な操作
MGキー222が押されると、TV画面は直前の0分ちょうどの時刻に始まる番組の一覧を表示する。例えば、時刻が2:17である場合、表示は2:00から始まる。必要であれば、ユーザは一覧表示が始まる時刻を入力することができる。
・・・(中略)・・・
カーソル・キー232?236を使用して異なる番組を選択することができる。」(第11欄第26?52行)
(3. Detailed Operation in the MG mode
When the MG key 222 is pressed, the TV screen will display a listing of programs starting at the nearest full hour. For example, if the time is 2:17, the display will start at 2:00. If desired, the user can enter the hour when the listing will start.
・・・・・
The cursor keys 232-236 can be used to select a different program.)

(xi)「 MGモードの例
午後2時から一覧表示を始めるには、以下のキーを押す。
MG222、2の数字キー246、P240、SEL228
TVはすぐに、SELキー228が押された時にポインタのそばに表示されていた番組を表示する。」(第12欄第4?9行)
(Example of MG Mode
To start listing at 2 pm, press the following keys:
MG 222, 2 digit key 246, P 240, SEL 228
The TV will immediately display the program next to the pointer when the SEL key 228 is pressed.)

(xii)「 PG A テーマ設定
Aキー242が押されると、画面上にテーマの一覧が表示される。UP/DOWNキー232?234が使用され、一覧表示に追加するテーマのそばに選択カーソルを置く。SELキー228は選択されたテーマを一覧表示に追加するために使用され、Cキー230はそれを取り消すために使用される。各テーマが選択されると、カーソルはそのテーマが選択されたことを示すマーカによって強調される。2つのページに31までのテーマを表示することができる。」(第12欄第44?54行)
( PG A Theme Setup
When the A key 242 is pressed, a list of themes appears on the screen. The Up/Down keys 232-234 may be used to position the selection cursor next to the theme to be added to the list. The SEL key 228 is used to add to the list while the C key 230 can be used to cancel a selected theme. As each theme is selected, the cursor is enhanced by a marker identifying the themes selected. There can be up to 31 themes displayed on two pages.)

(xiii)「 5.フローチャートの説明
以下は図3のCRU110または図4のCPU178に関するプログラム・シーケンスの説明である。
データ復調器102、図3またはデータ復調器169、図4から受信されたデータは図6の一時バッファ300に記憶される。バッファは、放送の休止時間システム・クロック128、図3または194、図4によって有効になる。別の実現例では、バッファ300は常に有効である。図3のROM112または図4のROM184中の加入者のIDが、図6の決定ブロック301によって受信されたデータと比較される。一致が見られれば、番組マスタはプログラミング・データを受信する用意ができる。別の実現例では、プログラミング・データを受信するためIDの一致は必要ない。」
(第16欄第45?59行)
(5. Flow Diagram Description
The following is a description of the program sequences for the CPU 110 in FIG.3 or the CPU 178 in FIG.4.
Received data from data demodulator 102, FIG.3 or data demodulator 169, FIG.4, is stored in temporary buffer 300 of FIG.6. The buffer is enabled by the system clock 128, FIG.3 or 194, FIG.4 during down time of the broadcast. In another implementation, the buffer 300 is always enabled. The ID of the subscriber in ROM 112 of FIG.3 or ROM 184 of FIG.4. is compared with the received data, by decision block 301 of FIG.6. If a match is found, the Program Master is ready to receive programming data. In another implementation, no ID match is required to receive the progrmming data.)

(xiiii)「 アラームと無人録画
・・・(中略)・・・
502でTV126または200がオンでない場合、503でアラーム156または217は予定された番組の開始5分前に鳴る。504でTVがまだオンでない場合、505でプログラム可能チューナ、図3の132または図4の164のプログラム可能チューナが予定された番組に変更される。506で、それぞれライン154またはライン218上の信号によって、VCR150または216はオンになり、その番組を録画する。507で番組が終了すると、500で新しい検索が開始される。」(第20欄第38?58行)
(Alarm and Unattended Recording
・・・・・
If the TV 126 or 200 is not on at 502, the alarm 156 or 217 will be sounded five minutes before the start of the scheduled program at 503. If the TV is still not on at 504, the programmable tuner 132 of FIG.3 or 164 of FIG.4 will be set to the scheduled program at 505. The VCR 150 or 216 will be turned on by a signal on line 154 or line 218, respectively, to record the program at 506. At the end of the program at 507, a new search is commenced at 500.)

(xv)「放送形式
各番組一覧表示は以下の情報によって構成される。
--------------------------------
開始時刻 時間、分
番組の長さ 時間、分
チャンネル番号 2桁の数字
テーマ分類番号 2桁の数字
テーマ下位分類番号 2桁の数字
リンク番号(シリーズ番組の場合のみ) 3桁の数字
オプシション拡張一覧表示 300文字までのテキスト
番組の終了 1つの文字
衛星記号 2つの文字
衛星名 5つの文字
暗号化及び特殊放送標識 1つの文字
--------------------------------
」(第20欄第66行?第21欄第15行)
( Broadcast Format
Each program listing is framed with the following information;
--------------------------------
Start time hour, minute
Duration of program hour, minute
Channel number two digits
Theme classification number two digits
Theme subclassification number two digits
Linking number(only for serial shows) three digits
Optional expanded listing text up to 300 character
End of Program single character
Satelite symbol two characters
Satelite name five characters
Encrypted and any special broadcast indicators one character
--------------------------------
)

(xvi)「TVスケジューラへの入力として、直接放送の代わりに放送情報を含むディスケットを使用することができる。ディスケットは、プログラム可能TVチューナを制御するコンピュータによって読み取られる。」(第22欄第14?19行)
(A diskette containing broadcast information could be used instead of a direct broadcast as an input to the TV scheduler. The diskette can be read by a computer that controls a programmable TV tuner.)

(xvii)「1. スケジュール情報からの放送番組のユーザ選択を可能にするようテレビ受信機を制御するシステムであって、データ・プロセッサと、前記データ・プロセッサに接続される前記スケジュール情報のための第1入力手段と、前記データ・プロセッサに接続される第2ユーザ選択入力手段とを備え、前記データ・プロセッサはユーザ入力に基づいて前記スケジュール情報から番組を選択するよう構成され、さらに前記データ・プロセッサによって選択された番組に関する前記スケジュール情報を受信するよう接続される記憶手段と、前記テレビ受信機に接続されるプログラム可能チューナとを備え、前記プログラム可能チューナは、前記プログラム可能チューナに選択された前記番組に関する放送信号を前記テレビ受信機に供給させるため選択された放送の時刻に前記データ・プロセッサから制御信号を受信するよう接続され、前記データ・プロセッサは、前記データ・プロセッサによって選択された放送番組の時刻に作動信号を番組録画器に供給し、かつ選択された前記番組に関する前記放送信号を前記番組録画器に供給するよう構成され、前記システムは、前記テレビ受信機が前記番組録画器に供給された選択された前記番組に関する前記放送信号以外の番組を受信できるようにするよう構成されたシステム。」(第22欄第27?51行)
(1. A system for controlling a television receiver to allow user selection of broadcast programs from schedule information, which comprises a data processor, a first input means for the schedule information connected to said data processor, a second user selection input means connected to said data processor, said data processor being configured to select programs from the schedule information based on user inputs, storage means connected to receive the schedule information for programs selected by said data processor, and a programmable tuner for connection to the television receiver, said programmable tuner being connected to receive control signals from said data processor at a time of a selected broadcast for causing said programmable tuner to supply broadcast signals for the selected program to the television receiver, said data processor being configured to supply an actuating signal to a program recorder at the time of a broadcast program recorder selected by said data processor and to supply the broadcast signal for the selected program to said program recorder, said system being configured to allow said television receiver to receive a different program than the broadcast signal for the selected program supplied to said program recorder.)

(3)対比
本件発明と引用例に記載された発明とを対比する。
引用例における摘記事項(i)、及び(ii)によれば、引用例に記載された発明は、放送形態のスケジュール情報を受信し、ユーザは選択基準に基づいて多数のスケジュール情報を処理して放送番組の選択を行い、選択された番組をVCR(ビデオ・カセット・レコーダ)または他の録画装置に自動的に供給(プログラム)する電子システムと方法に関するものである。また、同摘記事項(iii)、(vi)、及び(vii)によれば、引用例に記載された受信機システムは、アンテナ133、162からのTV放送信号を受信し、それをプログラム可能なチューナ132、164に供給し、選択された番組の放送時に選択された番組に関する放送信号をTV受信機126、200に供給するものであり、該TV放送信号にはチャンネル情報も含まれることは明らかであるから、引用例に記載された受信機システムは、「受信されたテレビの放送内容から指定されたチャンネルを抽出するチューナ」を備えた「放送内容受信装置」であるといえる。
同摘記事項(iv)、(v)によれば、引用例に記載されたシステムは、テレビスケジュール情報(番組情報)をテレビ放送信号から受信するようなものである。同摘記事項(iii)によれば、引用例の「電子システム」は、データ・プロセッサによって選択された番組に関するスケジュール情報を受信する「記憶手段」を備えるものであり、同摘記事項(vi)によると、スケジュール情報信号はCPU110(図3)に供給され、ユーザ選択基準に基づいてスケジュール情報から選択された番組を識別する情報が「メモリ111」(図3)に記憶されるものである。そして、同摘記事項(xiii)によれば、受信したスケジュールデータが一時的に「バッファ300」(図6)に記憶されることが示されている。さらに、同摘記事項(xvi)によれば、ディスケットにスケジュール情報が格納されることも示されている。上記「記憶手段」、「メモリ111」(図3)、「バッファ300」(図6)、及び「ディスケット」は、テレビ放送のスケジュール(番組)情報を記憶する「記憶手段」という限りにおいて、本件発明における「RAM」と共通する。そして、同摘記事項(ix)によれば、MGキーが押されて番組を一覧表示する際には、番組名称、チャンネル番号またはチャンネル名、番組開始時刻が表示されるものであるから、該「記憶手段」には、番組名称、チャンネル、番組開始時刻が記憶されていることは明らかである。また、同摘記事項(xv)によれば、各番組一覧表示は、各番組の開始時刻、チャンネル番号、テーマ分類番号等の情報から構成されることが示されており、「記憶手段」にはこれらの情報が記憶されるものである。
同摘記事項(ix)、(x)によれば、MGマスタ・ガイド・モードの状態で、番組開始時刻、番組名(内容)、チャンネルからなるテレビ番組の一部が放送順に一覧表示されていることは明らかである。
同摘記事項(viii)、(x)によれば、遠隔制御送信機116及び118で使用されるキーボード220のカーソル・キー232、234、236、238により、上下左右に選択ポインタの位置を移動させ、これらのキーを使用して異なる番組を選択することができるものであるから、該各キーは、表示されたテレビ番組の中から任意の番組が表示されている位置を選択(指定)するものという意味で本件発明における「位置指定手段」に相当する。
同摘記事項(xi)によれば、MGマスタ・ガイド・モードの状態で、ポインタが所望の番組のところに位置した状態で、SELキー228を押すことにより番組が予約できることが示されており、選択(指定)された番組にポインタが表示され、その意味で選択(指定)されない位置の番組と識別(表示)可能になっていることが示されている。該「SELキー」は、本件発明における「設定手段」に相当する。
同摘記事項(xiiii)によれば、番組表に設定された時刻になると、番組表に設定された各チャンネルの番組がプログラム可能チューナ132、164に設定され、当該番組を録画することが示されているので、引用例に記載のシステムは、SELキー(設定手段)で設定した番組のチャンネル、開始時刻を所望の番組のチャンネル、開始時刻として設定するものであり、設定開始時刻になると、この設定チャンネルをチューナに抽出するものであることは明らかである。

そうすると、本件発明と引用例に記載された発明とは、次の点で一致する。
<一致点>
受信された、テレビの放映内容から、指定されたチャンネルを抽出するチューナを備えた放送内容受信装置において、
少なくともテレビの各番組内容とその開始時刻とその放映チャンネルとを含む情報を、外部から当該放送内容受信装置の記憶手段に一旦取り込む入力手段と、
前記入力手段により記憶手段に取り込まれた上記情報から、各チャンネルのテレビの番組内容を取り出してテレビ受像機に並べて表示するチャンネル表示手段と、
前記入力手段により取り込まれた上記情報中の番組を、その放送順に、テレビ受像機に表示する放送順序表示手段と、
該放送順序表示手段及び上記チャンネル表示手段により上記テレビ受像機に表示されたテレビの番組内容の中から任意の番組内容が表示されている位置を指定するための位置指定手段と、
該位置指定手段により指定された位置に表示されている番組内容を、指定されなかった位置の番組内容と識別可能に表示する識別表示手段と、
該識別表示手段にて識別可能に表示された箇所に対応する番組内容を所望の番組として設定するための設定手段と、
該設定手段にて設定された箇所に対応する番組のチャンネルを上記情報から取り出して、所望の番組のチャンネルとして設定するチャンネル補完手段と、
上記設定手段にて設定された箇所に対応する番組の開始時刻を上記情報から取り出して、所望の番組の情報として設定する開始時刻補完手段と、
該開始時刻補完手段により設定された開始時刻になると、上記チャンネル補完手段により設定されたチャンネルを上記チューナに抽出させる放送内容出力手段と
を備え、
前記位置指定手段がカーソルキーであり、しかも上下左右の番組に選択箇所を移動可能なものである放送内容受信装置。

そして、次の各点で相違する。
<相違点>
(a) 「記憶手段」に関し、本件発明においては、「RAM」を使用するのに対し、引用例に記載された発明においては、「記憶手段」という他に、「メモリ111」(図3)、「バッファ300」(図6)、及び「ディスケット」を用いる点(以下、「相違点a」という。)。
(b) 画面表示される番組の内容に関し、本件発明においては、「当該放送内容受信装置の電源を投入した日」の番組を表示するものであるのに対し、引用例に記載された発明においては、このことについて特に示されていない点(以下、「相違点b」という。)
(c) テレビ番組の画面表示に関し、本件発明においては、チャンネルの違い毎に縦もしくは横の内の1方向に並べて表示する「チャンネル表示手段」、同一チャンネルの番組を放送順に上記1方向と垂直な方向に並べる「放送順序表示手段」を具えているのに対し、引用例に記載された発明は、これらの手段について特に示されていない点(以下、「相違点c」という。)。
(d) 本件発明においては、「チューナにより復調されたチャンネルの映像信号を一旦ビデオメモリに蓄えた後、出力する映像出力部」を備えるものであるのに対し、引用例に記載された発明においては、このことについて特に示されていない点(以下、「相違点d)という。)。

(4)判断
そこで、上記各相違点について検討する。
相違点aについて:
書込み読出し可能な記憶手段としてRAMは例示するまでもなく周知のものであるから、引用例に記載された発明においても、記憶手段として単に周知のRAMを用いることは当業者が必要に応じて適宜なし得た事項である。

相違点bについて:
引用例に記載された発明は、当日の番組情報が表示されるものであるが、一般には、むしろ、その日の番組情報をみようとして電源をオンするのが普通であるとも考えられる。また、主電源をオンすることによってスケジュール画像の表示ステップとし、テレビ画面上に当日のスケジュールを表示させること、すなわち、電源がオンされた日の必要なスケジュール情報を画面表示することは本願出願前に周知の技術である〔必要があれば、特開昭61-74475号公報(特に、第3頁右下欄?第4頁左上欄、第6頁左上欄の記載、第2図の表示ステップi、第3図F、G等)、及び、特開昭61-74476号公報(特に、第4頁左上欄?同頁右上欄の記載、第2図の表示ステップi、第3図F、G等)を参照。〕から、引用例に記載された発明においても、テレビ番組を画面上に番組表示しようとする際、電源がオンされた日のテレビのスケジュール情報であるテレビ番組情報を画面表示することは当業者が容易に想到できたものである。

相違点cについて:
引用例に記載された発明は、テレビ放送の番組内容をその開始時刻とその放映チャンネルとともに、放送順に縦の方向に並べて画面に表示するものである(摘記事項(ix)を参照。)が、むしろ、テレビ番組内容を放映チャンネル毎に時刻情報とともに並べ表形式で表示するのが普通である〔新聞、雑誌等のテレビ番組欄を想起されたい。また、特開昭61-113379号公報、及び、実願昭56-56229号(実開昭57-170166号公報)のマイクロフィルムを参照。〕。
したがって、引用例に記載された発明においても、上記周知のもののようにテレビ番組内容を放映チャンネル毎に時刻情報とともに放送順に並べ表形式で画面上に表示し(この場合、チャンネルを表示する「チャンネル表示手段」、番組を表示する「放送順序表示手段」を具えることになることは明らか)、番組設定したい領域を選択指示することによりその領域に対応する番組を選択することは当業者が容易に想到できたものである。

相違点dについて:
チューナで復調された映像信号をフレームメモリ、フィールドメモリ、ラインメモリ等のメモリに一旦書き込んだ後、読み出してディスプレイに出力する装置は本願出願前に周知の技術である(必要があれば、特開昭59-185485号公報、特開昭60-140989号公報、及び、特開昭49-91521号公報を参照されたい。)から、引用例に記載された発明においても、チューナにより復調されたチャンネルの映像信号を直接CRT表示部に出力することに替えて、上記周知技術のように一旦メモリ(なお、このメモリを「ビデオメモリ」と称するかどうかは単に用語上の問題に過ぎない。また、ビデオメモリ自体は周知のものである。「ビデオメモリ」に関しては、本願の出願当初の明細書の段落[0013]の末尾に単に「映像信号を選択し、これを一旦図示しない内部のビデオメモリに蓄えた後、テレビ受像機5に・・・出力する」とあるのみで、単に映像信号を蓄えるという機能を有するものとしてしか示されていないところである。)に書き込んだ(蓄えた)後出力するようにすることは当業者が容易に想到できたものである。この場合、映像信号を一旦メモリに蓄えるようにすれば該映像信号が再利用可能であることは、メモリの機能上技術的に当然のことであって格別のこととはいえない。

そして、本件発明が奏する効果も、引用例に記載された発明から当業者が十分に予測可能なものであって、格別のものとはいえない。

〔3-4〕むすび
以上のとおり、本件発明は、引用例に記載された発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本件発明についての特許は、拒絶の査定をしなければならない特許出願に対してされたものと認める。

よって、特許法の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第14条の規定に基づく、特許法等の一部を改正する法律の施行に伴う経過措置を定める政令(平成7年政令第205号)第4条第2項の規定により、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
放送内容受信装置
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】受信された、テレビの放映内容から、指定されたチャンネルを抽出するチューナを備えた放送内容受信装置において、
少なくともテレビの各番組内容とその開始時刻とその放映チャンネルとを含む情報を、外部から当該放送内容受信装置のRAMに一旦取り込む入力手段と、
前記入力手段によりRAMに取り込まれた上記情報から、当該放送内容受信装置の電源を投入した日の各チャンネルのテレビの番組内容を取り出して、チャンネルの違い毎にテレビ受像機に縦もしくは横の内の1方向に並べて表示するチャンネル表示手段と、
当該放送内容受信装置の電源を投入した日の、前記入力手段により取り込まれた上記情報中の同一チャンネルの番組を、その放送順に、上記1方向と垂直な方向に並べて、上記テレビ受像機に表示する放送順序表示手段と、
該放送順序表示手段及び上記チャンネル表示手段により上記テレビ受像機に表示されたテレビの番組内容の中から任意の番組内容が表示されている位置を指定するための位置指定手段と、
該位置指定手段により指定された位置に表示されている番組内容を、指定されなかった位置の番組内容と識別可能に表示する識別表示手段と、
該識別表示手段にて識別可能に表示された箇所に対応する番組内容を所望の番組として設定するための設定手段と、
該設定手段にて設定された箇所に対応する番組のチャンネルを上記情報から取り出して、所望の番組のチャンネルとして設定するチャンネル補完手段と、
上記設定手段にて設定された箇所に対応する番組の開始時刻を上記情報から取り出して、所望の番組の情報として設定する開始時刻補完手段と、
該開始時刻補完手段により設定された開始時刻になると、上記チャンネル補完手段により設定されたチャンネルを上記チューナに抽出させる放送内容出力手段と、
前記チューナにより復調されたチャンネルの映像信号を一旦ビデオメモリに蓄えた後、出力する映像出力部と
を備え、
前記位置指定手段がカーソルキーであり、しかも上下左右の番組に選択箇所を移動可能なものであることを特徴とする放送内容受信装置。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、テレビの放映内容を受信するための放送内容受信装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
所望のテレビ番組を、見損ねるという失敗は、テレビが登場して久しい今日においてもよくあることである。この失敗は、放送日時を間違えたり、他のことに気を取られて忘れてしまう等が主な原因である。また、放送時間に間にあうようにテレビの電源を入れたものの、チャンネルを間違え、しかもこれに気が付かないこともある。この場合、所望の番組とは異なる番組が画面に出力されてから正しいチャンネルに直すことになるので、冒頭の部分を見損ねてしまう。
この対策として、見たい番組をビデオ録画装置(いわゆるビデオテープレコーダ)に録画予約しておくという方法がある。しかしこうした録画装置では、録画開始時刻や収録番組のチャンネルの設定や録画終了時刻等、設定内容が多岐に亘り、設定にはかなりの手間と慣れとを要する。そこで、機械の操作に慣れない老人等でも簡易に録画予約の設定ができるよう、バーコードを使って録画開始時刻を読み込ませたり、一週間を単位として毎週同時刻に同じ番組を録画する機能を備えた録画装置も提案されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、こうした録画装置でも、バーコードといったいわば約束事を用いるため、操作が直感的ではなく、しかもその操作が煩雑であるという問題があった。特に、放映時間が連続する異なるチャンネルの番組を録画する場合や、同じ番組が週によって異なる時間帯に放映されるといった場合には、バーコードを使用してもその設定は極めて煩雑なものになってしまう。また、バーコードの場合、読み取りミスもあり得る。
【0004】
本発明は上記課題を解決し、見たいテレビ番組を見逃すことがなく、しかも容易に操作可能な放送内容受信装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1記載の放送内容受信装置は、受信された、テレビの放映内容から、指定されたチャンネルを抽出するチューナを備えた放送内容受信装置において、
少なくともテレビの各番組内容とその開始時刻とその放映チャンネルとを含む情報を、外部から当該放送内容受信装置のRAMに一旦取り込む入力手段と、
前記入力手段によりRAMに取り込まれた上記情報から、当該放送内容受信装置の電源を投入した日の各チャンネルのテレビの番組内容を取り出して、チャンネルの違い毎にテレビ受像機に縦もしくは横の内の1方向に並べて表示するチャンネル表示手段と、
当該放送内容受信装置の電源を投入した日の、前記入力手段により取り込まれた上記情報中の同一チャンネルの番組を、その放送順に、上記1方向と垂直な方向に並べて、上記テレビ受像機に表示する放送順序表示手段と、
該放送順序表示手段及び上記チャンネル表示手段により上記テレビ受像機に表示されたテレビの番組内容の中から任意の番組内容が表示されている位置を指定するための位置指定手段と、
該位置指定手段により指定された位置に表示されている番組内容を、指定されなかった位置の番組内容と識別可能に表示する識別表示手段と、
該識別表示手段にて識別可能に表示された箇所に対応する番組内容を所望の番組として設定するための設定手段と、
該設定手段にて設定された箇所に対応する番組のチャンネルを上記情報から取り出して、所望の番組のチャンネルとして設定するチャンネル補完手段と、
上記設定手段にて設定された箇所に対応する番組の開始時刻を上記情報から取り出して、所望の番組の情報として設定する開始時刻補完手段と、
該開始時刻補完手段により設定された開始時刻になると、上記チャンネル補完手段により設定されたチャンネルを上記チューナに抽出させる放送内容出力手段と、
前記チューナにより復調されたチャンネルの映像信号を一旦ビデオメモリに蓄えた後、出力する映像出力部とを備え、
前記位置指定手段がカーソルキーであり、しかも上下左右の番組に選択箇所を移動可能なものであることを特徴とする。
【0006】
【発明の実施の形態】
上記構成を有する本発明の放送内容受信装置は、以下のようにして所望の放映内容を受信する。
まず外部より入力手段を介して、少なくともテレビの番組内容、その開始時刻と、放映チャンネルとを含む情報を、当該放送内容受信装置に取り込む。ここで、テレビの番組内容(以下、単に番組内容ともいう)としては、番組名や、その略称や、その内容を代表する語句(例えば「ニュース」「ゴルフ」等)が考えられる。こうして取り込まれた情報から、チャンネル表示手段が、当該放送内容受信装置の電源を投入した日の各チャンネルのテレビの番組内容を取りだし、これをチャンネルの違い毎に、テレビ受像機に縦もしくは横の内の1方向に並べて表示し、放送順序表示手段が、その同一チャンネルの番組を放送順に、1方向と垂直な方向に並列させてしてテレビ受像機に表示する。これによりテレビ受像機には新聞の番組欄などと略同じ表形式にて番組内容が表示されることになる。
この状態で、位置指定手段、識別表示手段、および設定手段により所望の放送内容を選択する。位置指定手段は、表形式で表示された番組内容の中から任意の番組内容を指定するカーソルキーで、上下左右の番組に移動可能となっている。識別表示手段は、位置指定手段により指定された位置に表示されている番組内容の画面表示を、指定されなかった位置の番組内容と識別可能に表示する。そして設定手段は、操作されると識別表示手段にて識別可能に表示された箇所を所望の放送番組として設定する。
設定手段により画面の任意の位置が指定されると、チャンネル補完手段がその位置の番組に対応するチャンネルを、入力手段が取り込んだ情報から取り出して、所望の番組のチャンネルとして設定する。これと略同様に開始時刻補完手段が、その位置の番組に対応する開始時刻を、入力手段が取り込んだ情報から取り出して、所望の番組の開始時刻として設定する。そして放送内容出力手段が、設定された番組内容に対応する上記情報に基づき、その開始時刻になると、該番組内容に対応する放映チャンネルを上記チューナに抽出させる。
つまりチャンネルの選択を、従来行なわれていたように各チャンネルに対応する数字等によって行なうのではなく、番組内容に基づいて行なう。しかもテレビ受像機にされる表示は上記のような表形式にされることにより、各番組内容の開始時刻についても、時刻を表す数字という抽象的な情報は省略し、視覚的に表している。これにより、チャンネルや開始時刻といった、抽象的で誤り易い情報を操作者に認識させることなく、異なるチャンネルの番組内容や同じチャンネルの前後に放映される番組内容と対比させることにより操作者に認識させることができる。従って、異なるチャンネルや隣接する時刻の類似番組と誤っていないか、といった注意事項が直観的に喚起されることとなる。
そして番組内容の予約は、所望の番組内容が表示されている位置を位置指定手段にて指定し、設定手段を操作すれば完了し、この間、チャンネルの指定や、開始時刻の指定といった抽象的な情報を取り扱う必要がない。省略された開始時刻は、放送内容出力手段がチューナにチャンネルを抽出させる場合に必要となるが、これについては、開始時刻補完手段が、入力手段によって外部から取り込まれた情報により補完される。また、チャンネルについても、位置指定手段によって指定する訳ではないが、チャンネル補完手段によって情報により補完される。
【0007】
つまり、当該放送内容受信装置の操作者は、新聞などの番組欄を見て所望の番組を選ぶのと同じ感覚で予約を行なうことができる。すなわち、テレビ受像機に表形式で表示された番組内容を見て、所望の番組内容を位置指定手段で指定し、設定手段で設定すればよい。しかも位置指定手段にて指定した位置は、識別表示手段により他の位置と識別可能に表示される。このため、非常に視覚的で判り易いだけでなく、誤って隣の番組内容を予約してしまう心配がない。このため、予約ミスが非常に起こり難い。
【0008】
【実施例】
以上説明した本発明の構成・作用を一層明らかにするために、以下本発明の放送内容受信装置の一実施例として、録画予約制御装置に適用した例について説明する。まず、第1図は録画予約制御装置の基本的構成を、更に簡略化して例示したブロック図である。本図に示すように録画予約制御装置は、記憶手段と、表示制御手段と、選択手段と、録画設定手段と、録画予約手段とを主に構成されている。記憶手段は、テレビ放送に関する情報が格納されているもので、その情報の内容は、テレビ放送の内容とその各内容の放送開始・終了時刻が、1週間から4週間分程度に亘り格納されたものとなっている。表示制御手段は、記憶手段に記憶された情報をテレビ受像機に表形式で表示させるためのものであり、選択手段は、本発明の位置指定手段、識別表示手段、および設定手段を統合したもので、この表示された情報から所望の放送内容を選択するためのものである。こうして選択された情報に従い録画設定手段が、録画予約手段にその放映時間をビデオ録画装置に設定する。第2図は、実際の録画予約制御装置を示すもので、録画予約カード1の外観をビデオテープレコーダ(VTR)3とこれにケーブル4を介して接続されたテレビ受像機5と共に示す斜視図である。VTR3は、図示するように、ビデオカセットテープを挿入するカセット挿入部7,現在時を表示する時刻表示部8,カード形状の録画予約カード1を上方からスライド挿入する接続部10等を備える。
【0009】
録画予約カード1は、1週間ないし数週間のテレビ放送の番組の内容・時間等を予め記憶させたものであり、単体であるいは番組の内容を解説した週刊誌・月刊誌等と共に販売される。番組の内容等は、本実施例では、後述するように、ROMに記憶しているが、書換え可能なPROMないしバッテリによりバックアップされたRAMに記憶するものとして、自動販売機等で書き換えるものとしてもよい。この録画予約カード1は、VTR3の接続部10に装着して用いられる。
【0010】
録画予約カード1は、その表面には、「設定」「毎週」「連続」等の文字が刻印された制御キー11,12,13と、上下左右の矢印が刻印されたカーソルキー21,22,23,24とが設けられている。尚、その最下端には、VTR3内の接続部10に接続されるコネクタ30が設けられている。
【0011】
次に第3図に従って、録画予約カード1とVTR3の内部構成について説明する。図示するように、録画予約カード1の内部には、周知のCPU31,ROM32,RAM33を中心に、これらとバス34により相互に接続されたキー入力ポート35,入出力ポート38等が設けられている。
【0012】
ROM32には、制御プログラムと共に、1週間から4週間分程度の放映番組の簡単な内容と放映開始・終了時刻が記憶されている。また、キー入力ポート35には、カード表面に設けられた各キー11ないし13,21ないし24が接続されており、各キーの操作状態を入力する。入出力ポート38は、VTR3内部の制御装置とデータ等をやり取りするためのポートであり、録画予約カード1がVTR3に装着されたとき、コネクタ3を介してその内部のバス45に接続される。
【0013】
一方、VTR3の内部には、バス45により相互に接続された周知のCPU51,ROM52,RAM53,タイマ55のほか、アンテナ57を介してテレビ放送電波を受け映像・音声信号を復調するチューナ60,復調した信号をビデオテープに録画しあるいは再生する録画再生部65,映像信号をテレビ5に出力する映像信号出力部70等を備える。タイマ55は、年月日を管理するカレンダ機能および24時間の時計機能を備え、予め内部バス45を介してCPU51により設定された時刻なるとこれをCPU51に割込として報知すると共に、時刻表示部8に現在時を表示する。また、チューナ60は、CPU51の指令を受けて復調するチャンネルを選択することができる。選択されたチャンネルの復調された映像信号は、録画再生部65に出力されるが、この録画再生部65には、CPU51の制御信号も出力されており、録画再生部65はこの信号を受けて、映像信号の録画・再生に応じて、図示しない録画再生用ヘッドの駆動、テープリール駆動用モータの制御等を行なう。更に、映像信号出力部70は、チューナ60により復調されたあるチャンネルの映像信号、録画再生部65により再生された映像信号、CPU51がRAM53に記憶した画像データを読み出して生成する映像信号のうちの何れかひとつの映像信号を選択し、これを一旦図示しない内部のビデオメモリに蓄えた後、テレビ受像機5に常時出力する。
【0014】
次に、第4図に示す番組表の説明図、第5図,第6図に示すフローチャートに従って、録画予約カード1およびVTR3の各CPU31,51が実行する処理について説明する。録画予約カード1は、VTR3に装着されて電源が投入されると、第5図に示すカード側処理ルーチンを開始し、まず、カーソル位置の初期化等の処理を行なう(ステップ100)。カーソルの初期位置は、予め定めた原点であり、第4図に示す番組表では、最も小さな番号のチャンネルでかつ最も早い時間帯の番組(本実施例では番組A1)に対応した位置である。その後、ROM32から番組表を読み出し(ステップ110)、このうちカーソル位置に応じた領域の番組データおよびカーソル位置のデータを入出力ポート38を介してVTR3に出力する処理を行なう(ステップ120)。即ち、テレビ受像機5には、番組表の全てを一度に表示することができないので、カーソルの位置を中心に一画面分の番組データを出力するのである。出力された番組データは、コネクタ30を介して一旦RAM53に記憶され、後でCPU51の制御により映像信号出力部70に送られ、ここで映像信号に変換された後、テレビ受像機5に出力される。つまり、接続部10、及び接続部10から番組データを取り込む処理を行なうCPU51は、これらの外部にあるROM32からコネクタ30等を介して放送内容に関する情報を取り込むので、本発明の入力手段に相当する。続いて、録画予約カード1の表面に設けられたキーが操作されるのを待ち(ステップ130)、その入力キーに応じてステップ140以下の処理に移行する。
【0015】
入力されたキーがカーソルキーの場合には、操作されたキー21ないし24のいずれかに応じたカーソルデータを出力し(ステップ140)、RAM33に記憶されるカーソル位置情報を番組表の構成に応じて更新する処理を行なう(ステップ150)。例えば、カーソルが第4図に示す番組C3の位置にある場合に、上向き矢印のカーソルキー21が操作されたときには、そのデータをVTR3の映像信号出力部70に出力すると共に、録画予約カード1内のカーソル位置情報を番組C3から番組C2の位置に更新するのである。また、右向き矢印のカーソルキー24が操作された場合には、カーソル位置情報は、番組C3から番組D3の位置に更新される。以上の処理の後、ステップ120に戻り再びステップ120以下の処理を実行する。従って、カーソルが現在表示している領域の外に移動された場合には、ステップ120の処理により、表示される番組の領域も更新される。
【0016】
ステップ130の判断において入力キーが「設定」キー11であると判別された場合には、現在のカーソル位置情報に応じた番組の開始時刻とそのチャンネル番号とをROM32から読み出す(ステップ160)。ここで番組の開始時刻を読み出す処理が本発明の開始時刻補完手段に相当し、チャンネルを読み出す処理が本発明のチャンネル補完手段に相当する。続けて録画開始時刻をVTR3のCPU51に出力する処理を行なう(ステップ170)。例えば、カーソルが番組C3にある場合には、この番組の開始時刻8時45分とチャンネルCH5とが読み出され出力される。つまり設定キー11は本発明の設定手段に相当する。続いて、その番組の終了時刻を読み出して(ステップ180)、その時刻を出力する処理を行なう(ステップ190)。上述した例では、終了時刻9時30分が読み出され出力されることになる。
【0017】
一方、「毎週」キー12が入力された場合には、ROM3内に記憶された翌週以降の番組をサーチし(ステップ200)、現在カーソルが存在する番組と同一の番組が翌週以降に存在するか否かの判断を行なう(ステップ210)。翌週以降に同一番組が存在すれば、既述した「設定」キーの操作時と同様に、その番組の日付を含む開始時刻・チャンネルの読出と出力、更に終了時刻の読出と出力とを行なう(ステップ160ないし190)。同一番組がなければ、そのままステップ120に戻って、キー入力から処理を繰り返す。この処理により、翌週以降に同一番組が異なる時間帯に放映される場合でも、容易にこれを予約することができる。尚、VTR3側の処理については後述する。
【0018】
ステップ130において入力キーが「連続」キー13であった場合には、それまでに設定した複数の番組のうち連続する番組についてその終了時刻を取り消す処理を行なう(ステップ220)。この結果、連続する複数の番組(チャンネルが異なる場合も同一の場合も含む)の録画が設定された場合、ひとつの番組の放映時間が終了する度にVTR3の電源を落とすことがない。
【0019】
以上、録画予約カード1側の処理について説明したが、この処理に応じて、VTR3側では次の処理が行なわれる。第6図に示すように、まず、録画予約カード1からデータの出力があるまで待ち(ステップ300)、データ出力があった場合には、その内容を判別する(ステップ310)。出力の内容がカーソルデータ(第5図ステップ140に対応)の場合には、CPU51は、映像信号出力部70にデータを出力し、表示している番組の反転位置を更新する(ステップ350)。例えば、第4図に斜線を施した番組C3が反転表示されている場合、録画予約カード1から下向き矢印のカーソルキー22が操作されたとの情報が送られたときには、番組C4を反転表示し番組C3を正常表示した映像信号の出力に切り換えるのである。つまりカーソルキー21ないし24が本発明の位置指定手段に相当し、指定された番組を反転表示させる処理が本発明の識別表示手段に相当する。
【0020】
一方、録画予約カード1からの出力の内容が番組表のデータである場合には、第5図ステップ120で出力されるデータに対応して、これを一旦RAM53に蓄えた後、テレビ受像機5に表示するデータとして映像信号出力部70にセットする処理(ステップ320)と、録画予約カード1が出力するカーソル位置データを入力する処理とを行なう(ステップ330)。続いて、入力したカーソル位置のデータに基づいて反転表示する番組の位置を映像信号出力部70に設定する処理を行なう(ステップ340)。
【0021】
また、録画予約カード1からの出力の内容がカード側の処理、ステップ170,190に対応した設定時刻情報の場合には、この情報を一旦RAM53に記憶し(ステップ360)、記憶した複数の時刻情報のうちもっとも現在時に近い日付・時刻をタイマ55にセットする処理を行なう(ステップ370)。タイマ55は、セットされた日付・時刻になるとCPU51に割込をかけ、チューナ60,録画再生部65を駆動して記憶されたチャンネルの番組をビデオカセットテープに録画する処理を行なわせる。
【0022】
これらステップ310ないし370の処理の終了後、ステップ300に戻って、録画予約カード1からのデータ出力まで待機する処理から繰り返す。
以上説明した録画予約カード1側の処理およびVTR3側の処理により、使用者は、次のようにして録画予約の設定を行なう。
【0023】
(1)まず、VTR3に録画予約カード1を装着し電源を投入すると、テレビ受像機5にその日の番組表の一部が、第4図に示すように、表形式で表示される。これが本発明のチャンネル表示手段と放送順序表示手段を兼ねた処理である。カーソルキー21ないし24を操作することにより、所望の番組を反転表示させることができ、現在表示されている領域の外に反転表示部を移動するようなカーソル操作がされた場合には、表示領域が更新される。尚、その日の番組表以外の番組表を表示させる処理は、特に説明しなかったが、専用のキーを設けてもよいし、カーソルキー21,22と他のキーとの組合せにより、前日もしくは翌日の番組表を表示するよう構成することも好適である。
【0024】
(2)所望の番組を反転表示させた状態で録画予約カード1の「設定」キー11を操作すると、その番組の日付を含む開始時刻とチャンネルおよび終了時刻が記憶され、VTR3はその開始時刻がくると、記憶されたチャンネルを、チューナ60にて受信・復調して出力し、録画再生部65は録画を開始し、終了時刻がくると録画を終了する。つまりこの部分の処理は、本発明の放送内容出力手段に相当する処理に、録画再生部65を制御する処理を加えた処理となっている。
【0025】
(3)ある番組の録画予約を行なった後、「毎週」キー12を操作すると、予めROM32内に記憶された翌週以降の番組の内容をサーチし、現在反転表示されている番組と同一のものが存在すれば、その日付を含む開始時刻・チャンネルおよび終了時刻を設定する。従って、同一の番組が異なる時間帯に放映されていても誤りなく録画予約を行なうことができる。
【0026】
(4)複数の番組の録画予約を設定した後、「連続」キー13を操作すると、録画予約した番組のうち、連続した時間帯になっている番組の終了時刻の設定を取り消す。従って、連続した時間帯で複数の番組を録画する場合、設定された各番組の終了毎にVTR3の電源を落とすことがなく、VTR3の耐久性上好ましい。
【0027】
以上説明したように、本実施例の録画予約カード1は、予め1週間ないし数週間分の番組の内容とその開始終了時刻を記憶しており、これをテレビ受像機5に表示して、番組の録画予約に供するので、録画予約を極めて簡単に行なうことができる。番組を選択するだけでよいので、時間の設定やバーコードの読取等の手間を要せず、機械の操作になれていない者にもその操作は容易である。更に、本実施例では、同一内容の番組をサーチすることができるので、連続番組が異なる時間帯に放映される場合でも、その録画予約を簡略に行なうことができる。
【0028】
以上本発明の実施例について説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、例えばカーソルキーに代えてテレビ受像機の画面上に設置されたタッチボードやマウスあるいはライトペンで所望の番組を選択する構成、設定操作のキーをVTR上に直接設けた構成等、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し得ることは勿論である。
【0029】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明の放送内容受信装置によれば、番組内容がテレビ受像機に表形式にて視覚的に表示される。これにより、チャンネルや開始時刻といった、抽象的で誤り易い情報を操作者に認識させることなく、異なるチャンネルの番組内容や同じチャンネルの前後に放映される番組内容と対比させることにより操作者に認識させることができる。従って、異なるチャンネルや隣接する時刻の類似番組と誤っていないか、といった注意事項が直観的に喚起されることとなる。
そして番組の内容の予約は、表形式で表示された番組内容の中から所望の番組内容が表示されている位置を位置指定手段にて指定し、設定手段を操作すれば完了する。この間、チャンネルや開始時刻といった抽象的な情報を取り扱う必要がない。開始時刻は、開始時刻補完手段によって補われ、チャンネルはチャンネル補完手段によって補われる。
つまり、当該放送内容受信装置の操作者は、新聞などの番組欄を見て所望の番組を選ぶのと同じ感覚で予約を行なうことができる。すなわち、テレビ受像機に表形式で表示された番組内容を見て、所望の番組内容を位置指定手段で指定し、設定手段で設定すればよい。しかも位置指定手段にて指定した位置は、識別表示手段により他の位置と識別可能に表示される。このため、非常に視覚的で判り易いだけでなく、誤って隣の番組内容を予約してしまう心配がない。このため、予約ミスが非常に起こり難い。
従って、本発明の放送内容受信装置によれば、抽出されたチャンネルの映像信号が所望の画像出力装置(例えばテレビ受像機)に表示されるように予め結線等をしておき、放映時間の前に上記操作を行なえば、所望の放映内容をその冒頭から見ることができる。従来提案されていた、放送内容と、そのバーコードとを並べて表示し、バーコードを装置に入力させる方式では、バーコードを一段読み違えて、所望の放送内容の隣に表示されている放送内容を選択してしまう虞があったが、本発明の放送内容受信装置によれば、放送内容が表示されている画面位置そのものがその他の位置と異なる表示状態にされるため、こうしたことがない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の基本的構成を例示するブロック図である。
【図2】本発明一実施例としての録画予約カード1の外観をビデオテープレコーダ3と共に示す斜視図である。
【図3】同じく録画予約カード1とビデオテープレコーダ3の内部構成を示すブロック図である。
【図4】実施例における番組の表示の一例を示す説明図である。
【図5】録画予約カード1側の処理を示すフローチャートである。
【図6】ビデオテープレコーダ3側の処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1…録画予約カード
3…ビデオテープレコーダ(VTR)
5…テレビ受像機
11,12,13…制御キー
21,22,23,24…カーソルキー
55…タイマ 60…チューナ
65…録画再生部 70…映像信号出力部
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2005-01-20 
出願番号 特願2000-294017(P2000-294017)
審決分類 P 1 651・ 121- ZA (G11B)
最終処分 取消  
前審関与審査官 山澤 宏  
特許庁審判長 片岡 栄一
特許庁審判官 山田 洋一
江畠 博
登録日 2001-08-10 
登録番号 特許第3219751号(P3219751)
権利者 エイディシーテクノロジー株式会社
発明の名称 放送内容受信装置  
代理人 今城 俊夫  
代理人 箱田 篤  
代理人 大塚 文昭  
代理人 村社 厚夫  
代理人 宍戸 嘉一  
代理人 熊倉 禎男  
代理人 足立 勉  
代理人 西島 孝喜  
代理人 中村 稔  
代理人 小川 信夫  
代理人 足立 勉  
代理人 竹内 英人  

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