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審決分類 審判 判定 同一 属さない(申立て不成立) E02D
管理番号 1195335
判定請求番号 判定2009-600008  
総通号数 113 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許判定公報 
発行日 2009-05-29 
種別 判定 
判定請求日 2009-02-04 
確定日 2009-04-10 
事件の表示 上記当事者間の特許第3271951号の判定請求事件について,次のとおり判定する。 
結論 (イ)号図面及びその説明書に示す「土木構築物」は,特許第3271951号の請求項5に係る発明の技術的範囲に属しない。 
理由 第1 請求の趣旨
本件判定の請求の趣旨は,イ号図面及びその説明書に示す「土木構築物」(以下「イ号物件」という。)は,特許第3271951号(以下「本件特許」という。)の請求項5に係る発明(以下「本件発明」という。)の技術的範囲に属する,との判定を求めるものである。
なお,本件特許は請求人の所有する特許であり,イ号物件は請求人が実施を検討しているものである。

第2 本件発明
本件発明を,構成要件に分説すると,次のとおりである。
「A1 積み上げられた石から延び部材が略平行に延ばされ、
A2 前記各延び部材の先端部が、支持台を備えて該支持台により起立される共通の網状体に連結具を介してそれぞれ連結され、
A3 前記各延び部材、前記網状体及び前記支持台が、裏込材料中に埋設されている、
A4 ことを特徴とする土木構築物。」

第3 イ号物件
1 イ号図面及びその説明書に記載された事項
イ号図面及びその説明書には,イ号物件について,次の事項が記載されている。
(イ)「土木構築物10は、積み上げられた自然石21を有する。・・・各自然石21は、略水平に延びるジョイント金具付アンカーシャフト30を一体的に有している。」(イ号図面の説明書1頁19?22行)
(ロ)「この土木構築物10は、その底部に、コンクリートを固めることによって構成された支持台11を有する。・・・支持台11のうち、法面2aよりも若干前方側において、鉄筋を利用して構成されたアンカーピン12が上方に向けて突出するように埋め込まれている。」(同1頁5?9行)
(ハ)「図3に示すように、背面金網13の下端部は、アンカーピン12の背面側に位置された状態で、番線(針金)14によってアンカーピン12に一体となるように連結されている。」(同1頁15?17行)
(ニ)「ジョイント金具付アンカーシャフト30は、背面シャフト40を介して背面金網13に連結、一体化されている。」(同1頁22?23行)
(ホ)「各自然石21におけるジョイント金具付アンカーシャフト30と背面シャフト31とは、それぞれ略水平に伸びると共に、互いに略平行な関係とされている。」(同2頁2?4行)
(ヘ)「背面シャフト40の係合41は、図2に示すように、前記背面金網13に対して係合(連結)される。」(同2頁16?17行)
(ト)「背面シャフト40とジョイント金具付アンカーシャフト30との連結に際しては、まず、図5に示すように、背面シャフト40前端部を連結用筒部材34内に挿通し、その後図6に示すように当該前端部を略180度折り返すことにより行われる(折り返し部が符合42で示される)。」(同2頁20?23行)
(チ)「この図7は、支持台11から突出されたアンカーピン12に対して、背面金網13の下端部を番線14によって一体化した状態である。この状態では、背面金網13は、その自重によって、アンカーピン12付近を除いて、法面2aにもたれかかった(よりかかった)状態とされる。」(同3頁11?14行)
(リ)「自然石21と背面金網13との間の空間K1、および背面金網13と法面2aとの間の空間K2には、それぞれ、詰石や砕石等からなる裏込材料26が充填されている。」(同1頁24行?2頁2行)
(ヌ)「法面2aの前側(河川1側)に、護岸用の土木構築物10が構成される。」(同1頁5行)

2 イ号物件
上記記載事項(イ)ないし(ヌ),イ号図面,及び本件判定請求書の「(5)本件特許発明とイ号発明との対比」の記載によれば,イ号物件は,次の構成を有するものと認められる。
「a1 積み上げられた自然石21にそれぞれジョイント金具付アンカーシャフト30が一体化されて,各ジョイント金具付アンカーシャフト30が,略水平でかつ互いに略平行な関係でもって後方(背面金網13側)に向けて延びている,
a2 背面金網13は,その自重によって,アンカーピン12付近を除いて,法面2aにもたれかかった(よりかかった)状態とされ,支持台11に埋設されたアンカーピン12に対して,上下方向に延びる背面金網13の下端部が番線14によって連結,一体化されており,各ジョイント金具付アンカーシャフト30の後端部(先端部)がそれぞれ,共通の背面金網13に対して背面シャフト40を介して連結されている,
a3 各ジョイント金具付アンカーシャフト30,背面金網13,および支持台11が,それぞれ裏込材料26中に埋設されている,
a4 護岸用の土木構築物10。」

第4 請求人の主張
1 イ号物件は,本件発明の構成要件A1,A3及びA4を有する。また,本件発明の構成要件A2の「支持台により起立される共通の網状体」の意味は,「網状体が各延び部材に対して共通用とされていること」と「網状体が支持台から一体的に上方に向けて延びている」こととを含むが,「起立」は必ずしも「自立」に限定されるものではないから,イ号物件は本件発明の構成要件A2を有する。したがって,イ号物件は本件発明の技術的範囲に属するものである。
2 仮に,本件特許発明において,「起立」は「自立」を意味するというように狭く限定解釈されたとしても,この相違は均等の範囲であって,イ号物件は本件発明の技術的範囲に属するものである。

第5 当審の判断
1 本件発明とイ号物件との対比・判断
本件発明の構成要件A1とイ号物件の構成a1とを対比すると,構成a1の「自然石21」及び「ジョイント金具付アンカーシャフト30」は構成要件A1の「石」及び「延び部材」に相当するから,構成a1は構成要件A1を充足する。
また,本件発明の構成要件A3とイ号物件の構成a3とを対比すると,構成a3の「詰石や砕石等からなる裏込材料26」は構成要件A3の「裏込材料」に相当するから,構成a3は構成要件A3を充足する。
また,本件発明の構成要件A4とイ号物件の構成a4とを対比すると,構成a4の「護岸用の土木構築物10」は構成要件A4の「土木構築物」に相当するから,構成a4は構成要件A4を充足する。
そして,本件発明の構成要件A2とイ号物件の構成a2とを対比すると,構成a2の「背面金網13」は構成要件A2の「網状体」に相当し,以下同様に,構成a2の「背面シャフト40」は構成要件A2の「連結具」に,構成a2の「支持台11」は構成要件A2の「支持台」に,それぞれ相当する。
しかしながら,構成要件A2の網状体が「・・・支持台により起立される共通の網状体・・・」であるのに対し,構成a2の背面金網13は「・・・その自重によって,アンカーピン12付近を除いて,法面2aにもたれかかった(よりかかった)状態とされ,支持台11に埋設されたアンカーピン12に対して,上下方向に延びる背面金網13の下端部が番線14によって連結,一体化され」た構成である点で相違する。

上記相違について,請求人は,本件発明の構成要件A2の「起立」は必ずしも「自立」に限定されるものではないと主張するので,本件発明の構成要件A2の「支持台により起立される・・・網状体」の意味について検討すると,本件特許公報には,次の事項が記載されている。
(A2-1)「【0010】
【発明の効果】・・・さらに、網状体に、該網状体を起立させる支持台が備えられていることから、支持台の重量を利用して摩擦力を一層増大させることができるばかりか、施工位置において支持台により網状体を起立させた状態として、延び部材の連結作業、連結位置調整作業等を簡単に行わせることができることになる。」(本件特許公報の段落【0010】)
(A2-2)「【0059】・・・先ず、予め、支持台55を備えてその支持台55により起立される網状体56を用意し、支持台55を施工位置に載置することにより、網状体56を起立させる。・・・支持台55はコンクリートにより形成されており、支持台55を載置したとき、それらは重量定着物になると共に、網状体56を傾斜状態で起立させるようになっている。」(本件特許公報の段落【0059】)
(A2-3)本件特許公報の【図29】には,支持台55に網状体56が起立した状態に保持されていることが示されている。
そして,上記(A2-1)ないし(A2-3)を参酌すると,本件発明の構成要件A2の「支持台により起立される・・・網状体」は,網状体が支持台により起立した状態に保持されること,すなわち「自立」すること,を意味していることが明らかであるから,請求人の主張のように解釈することはできない。

したがって,構成a2は構成要件A2を充足しない。

2 均等の判断
最高裁平成6年(オ)第1083号判決(平成6年2月24日)は,特許請求の範囲に記載された構成中に対象製品等と異なる部分が存在する場合であっても,以下の(1)ないし(5)の要件をすべて満たす場合には,特許請求の範囲に記載された構成と均等なものとして,対象製品等は特許発明の技術的範囲に属するものとするのが相当であると判示している。
「(積極的要件)
(1)相違部分が特許発明の本質的部分でなく,
(2)相違部分を対象製品等におけるものと置き換えても,特許発明の目的を達することができ,同一の作用効果を奏するものであって,
(3)右のように置き換えることに,当業者が,対象製品の製造等の時点において容易に想到することができたものであり,
(消極的要件)
(4)対象製品等が,特許発明の特許出願時における公知技術と同一又は当業者が公知技術から出願時に容易に推考できたものでなく,かつ,
(5)対象製品等が,特許発明の出願手続において,特許請求の範囲から意識的に除外されたものに当たる等の特段の事情もない。」

しかるに,上記「第5」の「1」で検討したとおり,本件特許公報の上記記載事項(A2-1)ないし(A2-3)の記載によれば,本件発明は,網状体が「支持台により起立される」ことによって,延び部材の連結作業,連結位置調整作業等を簡単に行わせることができるとの効果を奏するものであるから,「支持台により起立される共通の網状体」は,本件発明の本質的部分である。
また,請求人は,本件発明に係る特許出願の審査の過程において,「また、拒絶理由の対象となっている請求項13については、網状体が支持台を備えて該支持台により起立されるものに限定した上で新請求項5とし、その新請求項5が、拒絶理由の対象となっていない請求項4(新請求項1)を利用しているものであることを明確に致しました。」(平成13年10月17日付けの意見書第2頁第5?8行参照。)と述べており,網状体が支持台により起立されるものでないものは,出願手続において,特許請求の範囲の請求項5から意識的に除外されている。
よって,イ号物件は,均等の判断における上記要件(1)及び(5)を満たさないので,他の要件について判断するまでもなく,特許請求の範囲の請求項5に記載された構成と均等なものとして,本件発明の技術的範囲に属するとはいえない。

第6 むすび
以上のとおりであるから,イ号物件は,本件発明の技術的範囲に属しない。
よって,結論のとおり判定する。
 
別掲
 
判定日 2009-03-31 
出願番号 特願平11-216671
審決分類 P 1 2・ 1- ZB (E02D)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 横井 巨人赤木 啓二高橋 三成  
特許庁審判長 山口 由木
特許庁審判官 宮崎 恭
関根 裕
登録日 2002-01-25 
登録番号 特許第3271951号(P3271951)
発明の名称 土木構築物用施工石、土木構築物用施工石の製造方法、土木構築物用施工石の使用方法、土木構築物用施工石ユニット及び土木構築物  
代理人 村田 実  
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