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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) A63F
管理番号 1196185
審判番号 不服2006-3442  
総通号数 114 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2009-06-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2006-02-23 
確定日 2009-04-23 
事件の表示 特願2003- 54664「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成16年 8月 5日出願公開、特開2004-216102〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由
1.手続きの経緯

本願は、平成15年2月28日の特許出願(平成14年11月20日に出願された特願2002-337131号を基礎とする優先権主張がされている)である。平成18年1月18日付で拒絶査定がされたのに対し、同年2月23日に拒絶査定不服審判が請求されるとともに同日付で明細書についての手続補正書が提出された。当審においてこれを審理した結果、平成20年11月4日付で平成18年2月23日付手続補正書を却下し、同日付で拒絶理由を通知したのに対して、平成21年1月9日付で意見書と手続補正書が提出され、その後さらに同月13日付で手続補正書が提出されたものであ
る。


2.本願発明の認定

本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成21年1月13日付け手続補正により補正された明細書の特許請求の範囲の【請求項1】に記載された、次のとおりのものと認める。

「複数の図柄が外周面に描かれた回転自在なリールと、
前記リールの前面に設けられ、画像が表示される表示装置と、
画像制御回路が設けられた副制御基板と、
スケール回路が設けられたスケール基板と、
前記表示装置、前記副制御基板、前記スケール基板のそれぞれに独立的に電源を供給する電源供給手段と、
を備え、
前記画像制御回路は、
前記表示装置での表示内容を決定する手段と、
前記表示内容に応じた画像信号を生成し、生成した画像信号を前記スケール回路に供給する手段と、
を有し、
前記スケール回路は、
前記画像制御回路から供給された画像信号が正常であるか否かを判別する手段と、
前記画像制御回路から供給された画像信号が正常である場合に、画像信号を拡大画像信号として変換し、変換した拡大画像信号を記憶装置に記憶する手段と、
前記画像制御回路から供給された画像信号が正常でない場合に、前記リールを視認可能とする透過性の高い画像を表示させる信号を前記記憶装置に記憶する手段と、
前記記憶装置が記憶する信号を前記表示装置に供給する手段と、
を有することを特徴とする遊技機。」


3.引用刊行物に記載される事項の認定

これに対して、本願出願日前に頒布された刊行物であり、当審が拒絶の理由に引用した特開2001-252394号公報(以下、「引用例1」という。)には、下記の記載がされている。

ア.「この遊技機においては、前面側表示手段と背後側表示手段とによって重畳表示を行うので、前面側表示手段の表示自体(例えば図柄、文字、記号など)は不透明でもよいが、無表示の領域(例えば図柄の周囲あるいは表示を行っていないとき)は透光性(当然ながら透明でもよい)であることを要する。もちろん、表示自体が透光性であっても構わない。具体的な例として・・・・透明EL(エレクトロルミネッセンス)パネルや透過型の液晶表示器が例示される。」(段落【0008】)
イ.「遊技の実行中は前面側表示手段と背後側表示手段との重畳表示によって当たり外れの表示をバラエティ豊かにし、待機状態では上述の案内や広告などのメッセージを表示する」(段落【0012】)
ウ.「【実施例】図1は本実施例のスロットマシン15の表示部の概要図である。前面枠11にはパネル6が装着されており、遊技店に設置した状態で遊技者7に対面する位置に表示窓6aが設けられている。パネル6の背面側には、前面側表示手段に該当する光透過型の透明ELパネル5が取り付けられている。」(段落【0020】)
エ.「また、透明ELパネル5の背後側(図2に示す筐体10の内部)には、背後側表示手段に該当する回転リール表示器2が配されている。回転リール表示器2は、3個のリール2aとこれらを回転駆動するモータ2b(図4参照)等から構成されている。各リール2aには、図1(b)に例示する図柄2c($、7、X等)が描かれており、表示窓6aからは各3個の図柄2cを見ることができる。つまり、3つのリール2aにより3×3のマトリクス状の表示が行われる。」(段落【0021】)
オ.「前面枠11の内側で透明ELパネル5の斜め上方となる位置には、照明手段に該当する蛍光灯9が配されており、蛍光灯9を点灯することでリール2aを照明できる。さらに前面枠11には、スタートレバー3、ストップスイッチ4等のスロットゲームを行うために遊技者が操作するスイッチ類やメダル投入口14等が設置されている。図1(b)に示すように、ストップスイッチ4は、各リール2aに対応する位置に1個ずつ配されている。」(段落【0022】)
カ.「このスロットマシン15の制御系の要部は図4に示すとおりである。本体メイン基板13にはCPU20a、ROM20b、RAM20c、入力回路20d、出力回路20e等が実装されている。」(段落【0025】)
キ.「出力回路20eには、駆動回路12、蛍光灯9、モータ2b等が接続されており、本体メイン基板13は、駆動回路12を介しての透明ELパネル5の表示内容の制御、蛍光灯9の点滅制御、モータ2bの制御等が可能である。」(段落【0027】)
ク.「スロットマシン15にはゲームを実行するモード(実行状態)と待機しているモード(待機状態)とがある。まずゲームの実行について説明する。なお、実行状態では、蛍光灯9は点灯されており、リール2aを十分に照明している。」(段落【0028】)
ケ.「なお、この実施例では、CPU20aが状態判別手段(利用状態判別処理、S51、S56、S58)、制御手段(S52)及び前面側表示制御手段(例えばS53、S59及びゲーム時の表示)として機能している。」(段落【0049】)


4.引用刊行物記載の発明の認定

記載事項ア.にあるとおり、引用例1には「前面側表示手段と背後側表示手段とによって重畳表示を行い、前面側表示手段は図柄、文字、記号などの表示を行うとともに無表示の領域は透光性であることを要する遊技機」なる事項が開示されている。また、記載事項イ.にあるとおり、「遊技の実行中は前面側表示手段と背後側表示手段との重畳表示によって当たり外れの表示をバラエティ豊かにし、待機状態では案内や広告などのメッセージを表示する」というものである。
そして、より具体的な内容を実施形態で見れば、記載事項ウ.によると「前面側表示手段」として「光透過型の透明ELパネル5」を用いており、「前面枠11」に装着した「パネル6」の背面側に取り付けられている。記載事項エ.によると「透明ELパネル5の背後側」には、「背後側表示手段」として「図柄2c($、7、X等)が描かれ」た「3つのリール2a」からなる「回転リール表示器2」が設けられている。また、同記載事項エ.によると「3つのリール2aにより3×3のマトリクス状の表示」が行われている。
さらに、記載事項オ.によると「前面枠11の内側で透明ELパネル5の斜め上方となる位置」には「点灯することでリール2aを照明できる」「蛍光灯9」が設けられている。記載事項ク.によると、「ゲームを実行するモード(実行状態)と待機しているモード(待機状態)」のうち、「実行状態では、蛍光灯9は点灯されており、リール2aを照明」している。
次に、制御について見ると、記載事項キ.によれば「本体メイン基板13は、駆動回路12を介しての透明ELパネル5の表示内容の制御、蛍光灯9の点滅制御、モータ2bの制御等」を行っている。より具体的には、記載事項カ.及び記載事項ケ.によると「本体メイン基板13」に設けられた「CPU20a」が、「状態判別手段」及び「ゲーム時」も含めた「前面側表示制御手段」としての機能を担当している。

以上を整理すると、引用例1には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。

「前面側表示手段と背後側表示手段とによって重畳表示を行い、前面側表示手段は図柄、文字、記号などを表示するとともに無表示の領域は透光性を要する遊技機において、
前面側表示手段として前面枠11に装着したパネル6の背面側に取り付けられた光透過型の透明ELパネル5を備え、
背後側表示手段として図柄2c($、7、X等)が描かれた3つのリール2aからなる回転リール表示器2を備え、3つのリール2aにより3×3のマトリクス状の表示が行われ、
CPU20aが設けられた本体メイン基板13を備え、
前面枠11の内側で透明ELパネル5の斜め上方となる位置には点灯することでリール2aを照明できる蛍光灯9を備え、
CPU20aは、状態判別手段、及びゲーム時も含めて駆動回路12を介して透明ELパネル5の表示内容の制御を行う表示制御手段としての機能を担当し、本体メイン基板13は蛍光灯9の点滅制御、モータ2bの制御等も行っており、
遊技の実行中は蛍光灯9は点灯されており、リール2aを照明し、
重畳表示によって当たり外れの表示をバラエティ豊かにする、遊技機。」


5.本願発明と引用発明の一致点及び相違点の認定

本願発明と引用発明とを比較すると、まず両者は、「遊技機」である点で一致している。
次に、引用発明における「図柄2c($、7、X等)」は本願発明における「複数の図柄」に相当し、引用発明における「回転リール表示器2」の「リール2a」は本願発明における「リール」に相当する。また、引用発明の「リール2a」は回転自在であることが明らかである。さらに、引用発明の「図柄2c」はリールの外側から「蛍光灯9」により照明されて視認可能なものであるとともに、特に「リール2a」を半透明にしたうえで「リール2a」の内部から照明して視認可能とするものでもないから、リールの内周面でなく「外周面」に描かれていることも明らかである。すなわち、「複数の図柄が外周面に描かれた回転自在なリール」を有することは、引用発明と本願発明との一致点である。
引用発明における「透明ELパネル5」は、「背後側表示手段」である「リール2a」に対して「前面側表示手段」として「図柄、文字、記号など」の表示を行うものであるから、本願発明における「前記リールの前面に設けられ、画像が表示される表示装置」に相当する。
引用発明における「CPU20a」は、「表示制御手段としての機能を担当」しているから、本願発明における「画像制御回路」とは、「画像制御機能を有する回路」という点で一致する。そして、引用発明において当該「CPU20a」が設けられた「本体メイン基板13」は、制御機能を奏する基板すなわち「制御基板」である点で、本願発明における「副制御基板」と一致する。

以上を整理すると、本願発明と引用発明とは、

「複数の図柄が外周面に描かれた回転自在なリールと、
前記リールの前面に設けられ、画像が表示される表示装置と、
画像制御機能を有する回路が設けられた制御基板と、
を備えた遊技機。」

である点で一致し、以下の点で相違する。

<相違点1>
本願発明では、「画像制御回路」が「副制御基板」に設けられるとともに、「前記表示装置での表示内容を決定する手段」と「前記表示内容に応じた画像信号を生成し、生成した画像信号」を他の部材に「供給する手段」とを有するのに対し、引用発明の「CPU20a」はそのような手段を有するか不明であるとともに、少なくとも「状態判別手段」としての機能も有しており、「本体メイン基板13」に設けられている点。

<相違点2>
本願発明は「スケール回路が設けられたスケール基板」を有し、「前記スケール回路」は「画像制御回路」から「画像信号」を供給されるとともに、「前記画像制御回路から供給された画像信号が正常であるか否かを判別する手段」を備えており、「前記画像制御回路から供給された画像信号が正常である場合」と「前記画像制御回路から供給された画像信号が正常でない場合」とで異なる処理を行うのに対して、引用発明は「スケール回路」及び「スケール基板」を有さない点。

<相違点3>
本願発明では、相違点2の「スケール回路」が、画像信号が正常な場合と正常でない場合との処理を行ううえで、「前記画像制御回路から供給された画像信号が正常である場合に、画像信号を拡大画像信号として変換し、変換した拡大画像信号を記憶装置に記憶する手段と、前記画像制御回路から供給された画像信号が正常でない場合に、前記リールを視認可能とする透過性の高い画像を表示させる信号を前記記憶装置に記憶する手段と、前記記憶装置が記憶する信号を前記表示装置に供給する手段と、を有する」のに対して、引用発明は「スケール回路」を有さず、そうなってはいない点。

<相違点4>
本願発明は「前記表示装置、前記副制御基板、前記スケール基板のそれぞれに独立的に電源を供給する電源供給手段」を有するのに対し、引用発明は「独立的」な「電源供給手段」を有するか明らかでない点。


6.相違点の判断及び本願発明の進歩性

(1)相違点1について
相違点1について検討する。たとえば特開2001-120715号公報に「(サブ制御基板)サブ制御基板80は、スロットマシン10の制御のうち、特に演出に係る部分を担当するものであり、・・・・」(段落【0036】)及び「なお、図2では省略しているが、演出用周辺機器として画像表示装置40を設ける場合は、出力画像を制御するための画像制御IC、表示画像データの記憶手段であるキャラクタROMやビデオRAM等がサブ制御基板80に搭載され、画像表示装置40は、画像制御ICを介してI/Oポート82に接続される。」(段落【0039】)と記載されているように、スロットマシンの如き遊技機において、サブ制御基板を設けて演出に係る部分を担当させ、そこに画像制御IC、表示画像データの記憶手段等を設けることは、遊技機に必要な制御機能を適宜に割り振る制御回路の設計として格別の事項ではないから、引用発明の遊技機において、「本体メイン基板13」のほかにサブ制御基板を設けるとともに、そこに画像制御ICや表示画像データの記憶手段等を設けて、「CPU20a」が担っていた画像制御の機能を移すことは、設計事項というべきである。その際、演出に係る部分をサブ制御基板に分担させる一環として、画像制御ICに「透明ELパネル5」での表示内容を決定させるとともに、表示画像データの記憶手段に記憶されたデータを用いて決定した表示内容に応じた画像信号を生成させ、生成した画像信号を他の部材に対して供給させるようにして、相違点1に係る本願発明の構成を得ることは、遊技機の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が適宜なし得る事項と言わざるを得ない。

(2)相違点2について
引用発明で用いられているELパネルの如く、解像度が物理的に固定された表示器については、たとえば特開2001-142452号公報の段落【0002】-【0003】に記載されているように、「水平同期信号及び垂直同期信号による同期をとって、一画面につき・・・・のデータからなる画像信号を送らなければ、正しい画像は得られない。・・・・これら固定画素数のパネルに異なる画素数の画像を表示させるためには、入力される画像データの画素密度を変換してパネルに送る必要がある。」といったことは従来知られていたのであるから、そのような表示パネルの特性に応じた公知の適正表示策をとることは、設計的な配慮というべきである。
そして、特開2001-83927号公報(以下、「引用例2」という。)に示される如く、「解像度変換」(段落【0038】)を行うとともに「水平同期信号及び垂直同期信号が正しく入力されているか、即ち入力映像信号が正常に入力されているか否かを判別」(段落【0057】)し、「不正規な信号が入力されているとき、・・・液晶パネル3のミュート」(段落【0059】)を働かせ、「様々な解像度の映像信号を入力可能にし、・・・ディスプレイパネルの誤動作と劣化を防止」(段落【0023】)する手段を、ドットマトリックスディスプレイパネルの前段に設けることは公知である。そうであれば、引用発明において、使用するパネルの特性に応じた適正表示策として当該手法を採用し、「透明ELパネル5」の前段に画像信号を監視して正常異常を判断するとともに、正常であれば画素密度の変換を、異常であればミュート処理を行う手段を、スケール回路として設けることは、当業者であれば十分に想到できたであろう事項というべきである。その際、該スケール回路に<相違点1>で検討した「画像制御回路」からの「画像信号」が供給されるようにし、またそのスケール回路を「画像制御回路」とディスプレイパネルとの中間に位置する独立な基板上に設けることは、設計事項と言わざるを得ない。
すなわち、相違点2に係る本願発明の構成を得ることは当業者にとって困難ではない。

(3)相違点3について
<相違点2>で検討した「スケール回路」について、上述引用例2の技術では「映像処理回路2D」(段落【0057】及び【図10】)の回路構成の細部が不明であるとともに、本願発明にいう「記憶装置」を有するか否かが明らかでないが、たとえば特開2000-98962号公報に「解像度変換回路3は、A/D変換回路2から出力された映像信号(デジタル信号)を走査線単位に拡大または圧縮して、その垂直有効ライン数が360本になるように解像度変換を行う。解像度変換用メモリ4は、解像度変換後のデータを一旦格納する。」(段落【0018】)と記載され、また特開2002-15327号公報に「画素数変換器100は、メモリ制御部500から入力される画像データS4に対して、コントーラ400から出力された制御データS7による画素数の変換比率等の動作に関する制御情報に応じた画素数変換の処理を行ない、処理結果の画像データS5をメモリ制御部500に出力する。・・・なおシステムによっては、入力の画像データS4が直接画像信号源2から入力される場合もあり、同様に出力の画像データS5が直接画像表示装置3に出力される場合もある。」(段落【0074】)と記載されているように、このような画素数変換を行うに際して、「メモリ」を設けて解像度変換後の画像信号を格納し、該「メモリ」を介して表示装置への出力を行わせる回路とすることは、システム設計として自由に設計できる事項に過ぎない。
そのうえで、特開2002-116729号公報に「例えば、グラフィックスコントローラに代表される画像処理システムの性能は、一般的な表示機能でQXGA程度が限界であり、画像家庭用ゲーム機等に代表される3次元(3D)のコンピュータグラフィックス(CG)ではVGA(Video Graphics Array)(640×480ドット)程度の低解像度の処理能力に留まっている。このように、例えば最先端の動画は未だVGA程度の解像度であるのに対し、パネルはその数倍から数十倍の解像度が製造できるようになっており、処理能力の格差が顕著に現れてきた。」(段落【0003】)と記載される如き背景状況からすれば、遊技機である引用発明を出発点とする場合、ディスプレイパネルに対して、画像信号が正常である場合の画素数変換が「拡大」処理となるような画像制御回路の能力で妥協する設計は、きわめて自然な選択と言わざるを得ない。
また一方、画像信号が異常であるときのミュート処理については、引用発明ではそもそも「背後側表示手段とによって重畳表示」を行う関係上「前面側表示手段」の「無表示の領域は透光性を要する」のであるから、引用発明を出発点とする以上はミュート処理時の「透明ELパネル5」を透過性の高い画像状態とすることは当然の選択と言わざるを得ない。そのため、先に検討したように「メモリ」を介して表示装置への出力を行うようなシステム設計を採用する際には、供給された画像信号が異常である場合のミュート処理として、透過性の高い画像を表示させる信号を該メモリに記憶して表示装置に出力させることは、当業者が適宜なし得た事項というほかはない。
すなわち、相違点3に係る本願発明の構成を得ることは、引用発明を出発点として先に検討した相違点2に係る本願発明の構成を得ることに付随して、当業者が適宜なし得る設計事項である。

(4)相違点4について
引用発明においても「透明ELパネル5」ほかの各手段に電源を供給する手段は当然に有するところ、故障の悪影響が相互に及ばないよう独立的な電源供給を装置内の各所に行うことは、特開2001-198316号公報の段落【0015】及び【図3】にも示されるとおり、遊技機の分野においても採用することが知られた周知技術であるから、<相違点1>及び<相違点2>で検討したサブ制御基板及びスケール基板も含め、電源供給手段による電源供給をそれぞれ独立的とするよう設計して、相違点4に係る本願発明の構成を得ることは当業者にとって容易である。

(5)本願発明の進歩性
以上のとおり、相違点1-4に係る本願発明の構成を得ることは困難ではなく、また、そのようにして本願発明の構成を採用したことによる効果も、格別のものとは認められない。

したがって、本願発明は引用発明および引用例2に記載された技術並びに周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。


7.むすび

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2009-02-17 
結審通知日 2009-02-24 
審決日 2009-03-09 
出願番号 特願2003-54664(P2003-54664)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 鉄 豊郎  
特許庁審判長 津田 俊明
特許庁審判官 小原 博生
有家 秀郎
発明の名称 遊技機  
代理人 正林 真之  

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