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審決分類 審判 査定不服 特17条の2、3項新規事項追加の補正 特許、登録しない。 G06F
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06F
管理番号 1196205
審判番号 不服2006-27206  
総通号数 114 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2009-06-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2006-11-30 
確定日 2009-04-23 
事件の表示 平成 8年特許願第 98951号「情報統合表示方法及び装置、情報統合表示システム」拒絶査定不服審判事件〔平成 9年11月 4日出願公開、特開平 9-288677〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯

本願は、平成8年4月19日の出願であって、平成18年10月23日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、平成18年11月30日に拒絶査定不服審判の請求がなされるとともに、平成18年12月28日付けで手続補正がなされたものである。




第2 平成18年12月28日付けの手続補正についての補正却下の決定

〔結論〕

平成18年12月28日付けの手続補正を却下する。

〔理由〕

1.補正内容

平成18年12月28日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)は、特許請求の範囲の請求項1乃至5の補正を含むものであって、特許請求の範囲の請求項1に関して、

「【請求項1】 記憶媒体に記憶されている記憶媒体識別情報を広域ネットワークを介してサーバに送信する手段と、
上記記憶媒体に記憶されている非更新情報を再生する手段と、
上記記憶媒体を再生する際に更新情報を上記非更新情報と同時に表示する旨の指示がページ記述言語を用いて記憶されている場合、上記記憶媒体識別情報に基づいて上記サーバが返信したページ記述言語のレイアウト情報を有する更新情報を取得する手段と、
上記サーバ側から取得した上記ページ記述言語のレイアウトに従って上記更新情報と上記非更新情報とを組み合わせた表示情報を生成する手段と
を有することを特徴とする情報統合表示装置。」

と変更する補正を含むものである。


つまり、本件補正は、
「上記記憶媒体を再生する際に更新情報を上記非更新情報と同時に表示する旨の指示がページ記述言語を用いて記憶されている場合、上記記憶媒体識別情報に基づいて上記サーバが返信したページ記述言語のレイアウト情報を有する更新情報を取得する手段」
と変更する補正を含むものである。



2.本件補正に対する判断

本出願当初明細書又は図面には、更新情報の取得に関して、

「 【0037】
先ず、図3のステップST1における手元文書を開く処理として、例えば記憶装置(ディスク・ドライブ)125に対して光ディスク126を挿入する。または、上記挿入された光ディスク126の所定領域から所定の情報の読み出しを行い、文書データ格納部127に格納するまでの処理を、上記手元文書を開く処理に含めることもできる。ここで、例えば上記光ディスク126の所定領域に上記所定の情報として例えばHTMLのようなページ記述言語のファイルが記録されているときには、ステップST2にて当該ページ記述言語の解析を行う。
【0038】
次に、上記ページ記述言語を解析した結果、上記光ディスク126に記録されている前記非更新情報の文書を表示装置124に表示する際に、当該非更新情報と共に外部の文書を同時に表示する旨の指示が得られたときには、ステップST3における外部文書の取得の判定処理においてイエスと判断する。或いは、上述のようなページ記述言語が光ディスク126に記録されていない場合において、当該光ディスク126に記録されている非更新情報の文書を表示装置124に表示する際に、当該非更新情報と共に外部の文書を同時に表示する旨の指示が有ったときにも、ステップST3における外部文書の取得の判定処理においてイエスと判断する。なお、ステップST3にてノーと判断したときには後述するステップST7の処理に進む。
【0039】
上記ステップST3にてイエスと判断されたときには、ステップST4に示すように、当該クライアント端末120からサーバ100に対して文書情報の送信を行う。ここで、上記ステップST2にてページ記述言語の解析を行ったときには、得られたページの情報を文書情報としてサーバ100に送信する。また、上記光ディスク126にページ記述言語が記録されていなかった場合には、例えば前記ブラウザ121において当該クライアント端末120の手元にある情報(例えば情報の内容や作成日、ドライブ名や挿入されたディスクのIDなど)や所在を示すID情報などを文書情報としてサーバ100に送信する。
【0040】
このとき、サーバ100の通信部111側では、図4のステップST20のようにクライアント端末120からの要求待ち状態となっている。
【0041】
当該サーバ100では、図4の上記ステップST20にてクライアント端末120からの送信を受けると、ステップST21にて送信終了通知を受けるまでステップST22からステップST24までの処理を行う。ステップST22では、例えば通信部111において上記クライアント端末120から受け取った文書情報の解析を行い、さらに必要であれば文書データ格納部113に当該受け取った文書情報の記憶を行う。ここで例えば、当該クライアント端末120からの文書情報が上記ページの情報である場合、通信部111では当該ページの解析を行い、ステップST23にて当該ページの記述に応じた文書情報を文書データ格納部113から取得し、さらにページ記述部112においてページを作成し、ステップST24にて上記文書データ格納部113からの文書情報と共に通信部11
1からクライアント端末120側に送信する。また、上記クライアント端末120から受け取った文書情報が上記ID情報などである場合には、通信部11にて当該ID情報等の解析を行い、このID情報等の解析結果に応じた文書情報を上記文書データ格納部113から取得し、ページ記述部112において作成したページと共に通信部111からクライアント端末120に送信する。」

と記載されている。

当該記載によれば、
「 【0037】
・・・(中略)・・・ここで、例えば上記光ディスク126の所定領域に上記所定の情報として例えばHTMLのようなページ記述言語のファイルが記録されているときには、ステップST2にて当該ページ記述言語の解析を行う。・・・
【0038】
・・・(中略)・・・或いは、上述のようなページ記述言語が光ディスク126に記録されていない場合において、当該光ディスク126に記録されている非更新情報の文書を表示装置124に表示する際に、当該非更新情報と共に外部の文書を同時に表示する旨の指示が有ったときにも、ステップST3における外部文書の取得の判定処理においてイエスと判断する。・・・」
というように、
〔ケース1〕(本件補正後の特許請求の範囲第1項のケース)光ディスク126の所定領域にHTMLのようなページ記述言語のファイルが記録されて『いる』場合、
〔ケース2〕光ディスク126の所定領域にHTMLのようなページ記述言語のファイルが記録されて『いない』場合、
で場合分けされていることが理解できる。

そして、本出願当初明細書段落【0037】乃至【0041】について、上記〔ケース1〕及び〔ケース2〕についての記載を抜き出すと、

〔ケース1〕
「 【0037】
・・・(中略)・・・ここで、例えば上記光ディスク126の所定領域に上記所定の情報として例えばHTMLのようなページ記述言語のファイルが記録されているときには、ステップST2にて当該ページ記述言語の解析を行う。
【0038】
次に、上記ページ記述言語を解析した結果、上記光ディスク126に記録されている前記非更新情報の文書を表示装置124に表示する際に、当該非更新情報と共に外部の文書を同時に表示する旨の指示が得られたときには、ステップST3における外部文書の取得の判定処理においてイエスと判断する。・・・(中略)・・・
【0039】
上記ステップST3にてイエスと判断されたときには、ステップST4に示すように、当該クライアント端末120からサーバ100に対して文書情報の送信を行う。ここで、上記ステップST2にてページ記述言語の解析を行ったときには、得られたページの情報を文書情報としてサーバ100に送信する。・・・(中略)・・・
【0040】
・・・(中略)・・・
【0041】
当該サーバ100では、図4の上記ステップST20にてクライアント端末120からの送信を受けると、ステップST21にて送信終了通知を受けるまでステップST22からステップST24までの処理を行う。ステップST22では、例えば通信部111において上記クライアント端末120から受け取った文書情報の解析を行い、さらに必要であれば文書データ格納部113に当該受け取った文書情報の記憶を行う。ここで例えば、当該クライアント端末120からの文書情報が上記ページの情報である場合、通信部111では当該ページの解析を行い、ステップST23にて当該ページの記述に応じた文書情報を文書データ格納部113から取得し、さらにページ記述部112においてページを作成し、ステップST24にて上記文書データ格納部113からの文書情報と共に通信部11
1からクライアント端末120側に送信する。・・・(中略)・・・」

〔ケース2〕
「 【0037】
・・・(中略)・・・
【0038】
・・・(中略)・・・或いは、上述のようなページ記述言語が光ディスク126に記録されていない場合において、当該光ディスク126に記録されている非更新情報の文書を表示装置124に表示する際に、当該非更新情報と共に外部の文書を同時に表示する旨の指示が有ったときにも、ステップST3における外部文書の取得の判定処理においてイエスと判断する。・・・(中略)・・・
【0039】
上記ステップST3にてイエスと判断されたときには、ステップST4に示すように、当該クライアント端末120からサーバ100に対して文書情報の送信を行う。・・・(中略)・・・また、上記光ディスク126にページ記述言語が記録されていなかった場合には、例えば前記ブラウザ121において当該クライアント端末120の手元にある情報(例えば情報の内容や作成日、ドライブ名や挿入されたディスクのIDなど)や所在を示すID情報などを文書情報としてサーバ100に送信する。
【0040】
・・・(中略)・・・
【0041】
当該サーバ100では、図4の上記ステップST20にてクライアント端末120からの送信を受けると、ステップST21にて送信終了通知を受けるまでステップST22からステップST24までの処理を行う。ステップST22では、例えば通信部111において上記クライアント端末120から受け取った文書情報の解析を行い、さらに必要であれば文書データ格納部113に当該受け取った文書情報の記憶を行う。・・・(中略)・・・また、上記クライアント端末120から受け取った文書情報が上記ID情報などである場合には、通信部11にて当該ID情報等の解析を行い、このID情報等の解析結果に応じた文書情報を上記文書データ格納部113から取得し、ページ記述部112において作成したページと共に通信部111からクライアント端末120に送信する。」

となる。

つまり、〔ケース1〕(本件補正後の特許請求の範囲第1項のケース)では、「得られたページの情報を文書情報としてサーバ100に送信」し、サーバ100にて当該文書情報に基づき所定の処理を行っており、
〔ケース2〕の如く、「クライアント端末120の手元にある情報(例えば情報の内容や作成日、ドライブ名や挿入されたディスクのIDなど)や所在を示すID情報などを文書情報としてサーバ100に送信」し、サーバ100にて当該ID情報に基づき所定の処理を行っているのではない。

したがって、「〔ケース1〕において、『記憶媒体識別情報に基づいて』サーバが返信すること」は、本出願当初明細書又は図面に記載された事項ではない。また、該「〔ケース1〕において、『記憶媒体識別情報に基づいて』サーバが返信すること」は、本出願当初明細書又は図面の記載から自明な事項とも認められない。

してみれば、本件補正中の
「上記記憶媒体を再生する際に更新情報を上記非更新情報と同時に表示する旨の指示がページ記述言語を用いて記憶されている場合、上記記憶媒体識別情報に基づいて上記サーバが返信したページ記述言語のレイアウト情報を有する更新情報を取得する手段」
と変更する補正は、
当業者によって、本出願当初明細書又は図面のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものであると認められ、本出願当初明細書又は図面に記載した事項の範囲内において行うものではない。



3.むすび

本件補正は、特許法第17条の2第3項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。




第3 本願発明について

1.本願発明の認定

本件補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項4に係る発明は、平成18年6月26日付けの手続補正書の特許請求の範囲第4項に記載されたとおりのものと認められるところ、その請求項4に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、次のとおりのものである。
(なお、本願発明(請求項4に係る発明)を上記本件補正によって補正したものが、上記「第2 平成18年12月28日付けの手続補正についての補正却下の決定」で検討した、本件補正後の請求項1に係る発明に対応する。)

「【請求項4】 記憶媒体に記憶されている記憶媒体識別情報を広域ネットワークを介してサーバに送信する手段と、
上記記憶媒体に記憶されている非更新情報を再生する手段と、
上記記憶媒体識別情報に基づいて上記サーバが返信した更新情報を取得する手段と、
上記サーバ側から取得した更新情報と上記非更新情報とを組み合わせた表示情報を生成する手段と
を有することを特徴とする情報統合表示装置。」



2.引用例の認定

原査定の拒絶の理由に引用された、特開平5-298337号公報(以下、「引用例」という)には、図面とともに以下の技術事項が記載されている。

(ア)
「 【0001】
【産業上の利用分野】
この発明は、CD-ROM等の電子出版媒体をカタログとして利用するカタログショッピングシステムに関する。」

(イ)
「 【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記した従来のカタログショッピング方法においては、以下のような問題が指摘される。
【0005】
・・・(中略)・・・
【0006】
さらにカタログによる販売方式であると、カタログの価格表示の修正を即座にできないために、バーゲンセールのような期間を設定しにくいという問題もある。また、クレジットカードを利用して銀行口座から引き落としを希望する場合、自己の所有するクレジットカードがその販売会社に有効であるかどうかを勘違いして注文ミスすることがある。」

(ウ)
「 【0009】
そこでこの発明は、カタログの内容(価格、販売期間等)の修正が便利で、融通性があること、納品期日や入手期日を知ることが容易であること、発注者が利用するカードと販売会社が取り扱うカードとの種類の対比が確実であり注文ミスを生じないこと、加えて希望商品の確実で迅速なサーチが可能であり、カタログ媒体の保管、取り扱いが便利であること、ユーザの会計管理も可能であることを等を実現できるカタログショッピングシステムを提供することを目的とする。」

(エ)
「 【0012】
【実施例】
以下、この発明の実施例を図面を参照して説明する。」

(オ)
「 【0013】
図1は、カタログショッピングシステムのユーザ側端末の基本構成を示している。200は端末本体であり、変調及び復調手段を含むモデム220が設けられ、電話回線を通じて各種の販売会社のホスト制御部300との交信を行うことができる。端末本体200内部には、システムを制御するためのシステム制御部201、表示部202、入力部203、電子出版媒体アクセス部204、変調及び復調手段を含むモデム205、カード読み取り部206、データ記憶部207が設けられている。モデム204は、電話回線を通じて各種の販売会社のホスト制御部300と接続され、ユーザ側端末と販売会社のホスト制御部300との交信を実現させることができる。」

(カ)
「 【0014】
表示部202は、電子カタログの内容あるい操作ガイド、グラフィック表示等を行うもので、例えば液晶表示装置が利用されている。入力部203は、液晶表示装置の前面に例えばタッチパネルを配置することにより実現されており、表示内容とタッチスイッチ入力部が対応するようにシステム制御部201により制御される。電子出版媒体アクセス部204は、例えばCD-ROMをアクセスする部分であり、CD-ROMは、カタログ情報を格納しており販売会社から送られてきたもので、商品、その商品コード、価格等の情報が含まれている。電子出版媒体アクセス部204には、CDに貼られたバーコード情報を読み取るための媒体識別手段が設けられている。また、ディスク交換を検出するディスク交換検出手段も設けられ、システム制御部201へ割り込み信号を与えるようになっている。モデム205は、電話回線を通じて販売会社のホスト制御部300と接続状態を得るが、必要に応じてシステム制御部201からの指定により、指定に応じて販売会社のホスト制御部と接続され、データの送受信を行うことができる。」

(キ)
「 【0020】
さらにこのシステムには、表示内容を高級化するために、テレビジョン等のモニタ400を接続して表示させることもできる。カタログショッピングを行う場合に、商品を次々と映し出して見ることも可能である。勿論、この場合はCD-ROMには、映像情報も格納されている。なお、電子出版媒体のアクセス手段としては、CD-ROMに限らず、磁気テープ、VTR一体型等の手段を用いても良い。」

(ク)
「 【0021】
図2は、このシステムの動作の一例を示すフローチャートである。・・・」

(ケ)
「 【0029】
図4は、システムの他の実施例の動作例を説明するために示したフローチャートである。CD-ROMに記録されている価格データ等に変化があると、購入を行うユーザ側では商品購入時に正確な予算管理を行えない。そこで、このシステムでは、商品決定時には新たな正確なデータを使用でき、正確な予算管理、正当な値段の商品の購入ができるようにしている。」

(コ)
「 【0030】
CD-ROMが装填されると、システム制御部201は、CDのディスクIDを読み取る。一方、システム制御部201のデータ記憶部(バックアップ付き)には、カタログ販売会社のホスト制御部から送られたディスクIDが格納されている。この場合、このディスクに記述されている商品に関して、価格変動があった場合には、ディスクIDに変更データを加えている。従って、所有するディスクIDとデータ記憶部のディスクIDとを比較すれば、商品価格に変化があったのか否かの判断が可能である(ステップB1、B2、B3)。不一致の場合には、パーシャルRAMにデータ更新フラッグを発生させ(ステップB5)、一致した場合には、CD-ROMの有効期限データをカレンダー情報と比較して期限切れであるかどうかを判定する(ステップB4)。期限切れの場合もデータ更新フラッグを発生させる。ディスクIDが一致し、かつ有効期限内であれば、そのまま、通常処理(ステップB15)にジャンプしても良い。ディスクIDが不一致の場合、あるいは有効期限切れの場合には、ステップB6において、販売会社のホスト制御部との回線接続が行われ、ディスクIDとデータ更新フラッグが伝送される。」

(サ)
「 【0031】
販売会社のホスト制御部は、ディスクID等の情報を受信し、当該ディスクに記録されている商品に関して次にバーゲン情報が存在するか否かを判定する(ステップB8)。バーゲン情報がない場合には、データ更新フラッグが伝送されてきているかどうかを判定する(ステップB10)。更新フラッグがなければ、回線切断(ステップB14)が行われる。バーゲン情報が存在した場合には、バーゲン情報がユーザ側端末へ送出される(ステップB9)。データ更新フラッグが存在した場合には、価格データに変更があるかどうかの判定がなされ(ステップB11)、変更があった場合には、最新価格データがユーザ側端末に送出され、またバーゲン情報が存在した場合には、価格データ及び有効期限データ、さらにには当該商品コードの情報等が伝送される(ステップB12)。」

(シ)
「 【0032】
販売会社のホスト制御部から伝送されてきたデータは、データ記憶部に保存され、回線が切断される(ステップB13、ステップB14)。以後は、先に説明したような、商品検索及び購入手続きが実行可能となる。商品購入手続きを行う場合、バーゲン情報処理モードを実行するようにモード指定が行われるようにしても良い。図5は、パーシャルRAM(データ記憶部)に格納されているディスクID、データ有効期限、更新商品等の番号や価格データのフォーマットの例を示している。」

(ス)
「 【0033】
上記のシステムでは、CD-ROMから読み取ったディスクIDを自己の記憶しているディスクIDと比較して、一致、不一致を判断している。しかし、CD-ROMから読み取ったディスクIDを、すぐに回線を通じて対応する販売会社のホスト制御部へ伝送し、ホスト制御部において現在有効なディスクのIDと比較することにより、ユーザが使用しているCD-ROMが最新のものか否かを判定するようにしても良い。そして、古いCD-ROMであれば、追加すべき、あるいは修正すべきデータを、すぐにユーザ側端末へ伝送する方法でも良い。」


以上の引用例の記載によれば、引用例には以下の事項が開示されていると認められる。

(a)
引用例の上記(オ)の「図1は、カタログショッピングシステムのユーザ側端末の基本構成を示している。200は端末本体であり、変調及び復調手段を含むモデム220が設けられ、電話回線を通じて各種の販売会社のホスト制御部300との交信を行うことができる。端末本体200内部には、システムを制御するためのシステム制御部201、表示部202、入力部203、電子出版媒体アクセス部204、変調及び復調手段を含むモデム205、カード読み取り部206、データ記憶部207が設けられている。モデム204は、電話回線を通じて各種の販売会社のホスト制御部300と接続され、ユーザ側端末と販売会社のホスト制御部300との交信を実現させることができる。」という記載から、

引用例には、「モデムと、電子出版媒体アクセス部と、データ記憶部とを有することを特徴とするカタログショッピングシステムのユーザ側端末」が開示されていると認められる。


(b)
引用例の上記(オ)の「図1は、カタログショッピングシステムのユーザ側端末の基本構成を示している。200は端末本体であり、変調及び復調手段を含むモデム220が設けられ、電話回線を通じて各種の販売会社のホスト制御部300との交信を行うことができる。端末本体200内部には、システムを制御するためのシステム制御部201、表示部202、入力部203、電子出版媒体アクセス部204、変調及び復調手段を含むモデム205、カード読み取り部206、データ記憶部207が設けられている。モデム204は、電話回線を通じて各種の販売会社のホスト制御部300と接続され、ユーザ側端末と販売会社のホスト制御部300との交信を実現させることができる。」という記載、

引用例の上記(コ)の「CD-ROMが装填されると、システム制御部201は、CDのディスクIDを読み取る。一方、システム制御部201のデータ記憶部(バックアップ付き)には、カタログ販売会社のホスト制御部から送られたディスクIDが格納されている。この場合、このディスクに記述されている商品に関して、価格変動があった場合には、ディスクIDに変更データを加えている。従って、所有するディスクIDとデータ記憶部のディスクIDとを比較すれば、商品価格に変化があったのか否かの判断が可能である(ステップB1、B2、B3)。不一致の場合には、パーシャルRAMにデータ更新フラッグを発生させ(ステップB5)、一致した場合には、CD-ROMの有効期限データをカレンダー情報と比較して期限切れであるかどうかを判定する(ステップB4)。期限切れの場合もデータ更新フラッグを発生させる。ディスクIDが一致し、かつ有効期限内であれば、そのまま、通常処理(ステップB15)にジャンプしても良い。ディスクIDが不一致の場合、あるいは有効期限切れの場合には、ステップB6において、販売会社のホスト制御部との回線接続が行われ、ディスクIDとデータ更新フラッグが伝送される。」という記載、

引用例の上記(ス)の「上記のシステムでは、CD-ROMから読み取ったディスクIDを自己の記憶しているディスクIDと比較して、一致、不一致を判断している。しかし、CD-ROMから読み取ったディスクIDを、すぐに回線を通じて対応する販売会社のホスト制御部へ伝送し、ホスト制御部において現在有効なディスクのIDと比較することにより、ユーザが使用しているCD-ROMが最新のものか否かを判定するようにしても良い。そして、古いCD-ROMであれば、追加すべき、あるいは修正すべきデータを、すぐにユーザ側端末へ伝送する方法でも良い。」という記載から、

引用例には、「CD-ROMに記憶されているディスクIDを電話回線を介してホスト制御部に伝送するモデム」が開示されていると認められる。


(c)
上記(b)の「CD-ROMに記憶されているディスクIDを電話回線を介してホスト制御部に伝送するモデム」という開示、

引用例の上記(カ)の「表示部202は、電子カタログの内容あるい操作ガイド、グラフィック表示等を行うもので、例えば液晶表示装置が利用されている。・・・(中略)・・・電子出版媒体アクセス部204は、例えばCD-ROMをアクセスする部分であり、CD-ROMは、カタログ情報を格納しており販売会社から送られてきたもので、商品、その商品コード、価格等の情報が含まれている。」という記載から、
(なお、「表示部」が、「電子出版媒体アクセス部」によって読み取られる「電子カタログの内容」すなわち「カタログ情報」(商品、その商品コード、価格等の情報)のうち、「商品」の情報を表示できることは明らかである。)

引用例には、「上記CD-ROMに記憶されている商品の情報を再生する電子出版媒体アクセス部」が開示されていると認められる。


(d)
上記(b)の「CD-ROMに記憶されているディスクIDを電話回線を介してホスト制御部に伝送するモデム」という開示、

引用例の上記(サ)の「販売会社のホスト制御部は、ディスクID等の情報を受信し、当該ディスクに記録されている商品に関して次にバーゲン情報が存在するか否かを判定する(ステップB8)。バーゲン情報がない場合には、データ更新フラッグが伝送されてきているかどうかを判定する(ステップB10)。更新フラッグがなければ、回線切断(ステップB14)が行われる。バーゲン情報が存在した場合には、バーゲン情報がユーザ側端末へ送出される(ステップB9)。データ更新フラッグが存在した場合には、価格データに変更があるかどうかの判定がなされ(ステップB11)、変更があった場合には、最新価格データがユーザ側端末に送出され、またバーゲン情報が存在した場合には、価格データ及び有効期限データ、さらにには当該商品コードの情報等が伝送される(ステップB12)。」という記載、

引用例の上記(シ)の「販売会社のホスト制御部から伝送されてきたデータは、データ記憶部に保存され、回線が切断される(ステップB13、ステップB14)。以後は、先に説明したような、商品検索及び購入手続きが実行可能となる。商品購入手続きを行う場合、バーゲン情報処理モードを実行するようにモード指定が行われるようにしても良い。図5は、パーシャルRAM(データ記憶部)に格納されているディスクID、データ有効期限、更新商品等の番号や価格データのフォーマットの例を示している。」という記載から、

引用例には、「上記ディスクIDに基づいて上記ホスト制御部から伝送されてきた最新価格データを取得するデータ記憶部」が開示されていると認められる。


(e)
上記(c)の「上記CD-ROMに記憶されている商品の情報を再生する電子出版媒体アクセス部」という開示、

上記(d)の「上記ディスクIDに基づいて上記ホスト制御部から伝送されてきた最新価格データを取得するデータ記憶部」という開示、

引用例の上記(カ)の「表示部202は、電子カタログの内容あるい操作ガイド、グラフィック表示等を行うもので、例えば液晶表示装置が利用されている。・・・(中略)・・・電子出版媒体アクセス部204は、例えばCD-ROMをアクセスする部分であり、CD-ROMは、カタログ情報を格納しており販売会社から送られてきたもので、商品、その商品コード、価格等の情報が含まれている。」という記載、
(なお、「表示部」が、「電子出版媒体アクセス部」によって読み取られる「電子カタログの内容」すなわち「カタログ情報」(商品、その商品コード、価格等の情報)のうち、「商品」だけでなく「その商品コード、価格等」の情報を表示できることは明らかである。)

引用例の上記(ス)の「上記のシステムでは、CD-ROMから読み取ったディスクIDを自己の記憶しているディスクIDと比較して、一致、不一致を判断している。しかし、CD-ROMから読み取ったディスクIDを、すぐに回線を通じて対応する販売会社のホスト制御部へ伝送し、ホスト制御部において現在有効なディスクのIDと比較することにより、ユーザが使用しているCD-ROMが最新のものか否かを判定するようにしても良い。そして、古いCD-ROMであれば、追加すべき、あるいは修正すべきデータを、すぐにユーザ側端末へ伝送する方法でも良い。」という記載から、

引用例には、「上記ホスト制御部から取得した最新価格データと上記商品の情報とを表示する」ことが開示されていると認められる。


以上の引用例の記載によれば、引用例には下記の発明(以下、「引用例発明」という。)が開示されていると認められる。

「CD-ROMに記憶されているディスクIDを電話回線を介してホスト制御部に伝送するモデムと、
上記CD-ROMに記憶されている商品の情報を再生する電子出版媒体アクセス部と、
上記ディスクIDに基づいて上記ホスト制御部から伝送されてきた最新価格データを取得するデータ記憶部と、を備え、
上記ホスト制御部から取得した最新価格データと上記商品の情報とを表示することを 特徴とするカタログショッピングシステムのユーザ側端末。」



3.本願発明と引用例発明との対比

(1)
引用例発明の「CD-ROM」、「ディスクID」、「ホスト制御部」は、それぞれ、

本願発明の「記憶媒体」、「記憶媒体識別情報」、「サーバ」に相当する。


(2)
引用例発明の「CD-ROMに記憶されているディスクIDを電話回線を介してホスト制御部に伝送するモデム」と、

本願発明の「記憶媒体に記憶されている記憶媒体識別情報を広域ネットワークを介してサーバに送信する手段」とは、

「記憶媒体に記憶されている記憶媒体識別情報をサーバに送信する手段」という点で一致し、

本願発明では「広域ネットワークを介して」送信するのに対して、引用例発明では「電話回線を介して」送信する点、
で相違する。


(3)
引用例発明の「商品の情報」が更新対象ではないことを鑑みれば、

引用例発明の「上記CD-ROMに記憶されている商品の情報を再生する電子出版媒体アクセス部」は、

本願発明の「上記記憶媒体に記憶されている非更新情報を再生する手段」に相当する。


(4)
引用例発明の「最新価格データ」は、データが更新されて最新のものとなった「価格データ」であることは明らかであることを鑑みれば、

引用例発明の「上記ディスクIDに基づいて上記ホスト制御部から伝送されてきた最新価格データを取得するデータ記憶部」は、

本願発明の「上記記憶媒体識別情報に基づいて上記サーバが返信した更新情報を取得する手段」に相当する。


(5)
引用例発明の「上記ホスト制御部から取得した最新価格データと上記商品の情報とを表示することを特徴とするカタログショッピングシステムのユーザ側端末」と、

本願発明の「上記サーバ側から取得した更新情報と上記非更新情報とを組み合わせた表示情報を生成する手段とを有することを特徴とする情報統合表示装置」とは、

各種情報を表示するためには「表示情報を生成する手段」が必要であることは明らかであることを鑑みれば、

「上記サーバ側から取得した更新情報と上記非更新情報とからなる表示情報を生成する手段とを有することを特徴とする情報表示装置」という点で一致し、

本願発明の「情報表示装置」は、「更新情報と上記非更新情報とを組み合わせ」ることによって統合するのに対し、引用例発明の「情報表示装置」は、「更新情報と上記非更新情報とを組み合わせ」ることによって統合することが明記されていない点、
で相違する。


(6)
したがって、本願発明と引用例発明とは、

「記憶媒体に記憶されている記憶媒体識別情報をサーバに送信する手段と、
上記記憶媒体に記憶されている非更新情報を再生する手段と、
上記記憶媒体識別情報に基づいて上記サーバが返信した更新情報を取得する手段と、
上記サーバ側から取得した更新情報と上記非更新情報とからなる表示情報を生成する手段と
を有することを特徴とする情報表示装置。」

という点で一致し、

(相違点1)
本願発明では「広域ネットワークを介して」送信するのに対して、引用例発明では「電話回線を介して」送信する点、

(相違点2)
本願発明の「情報表示装置」は、「更新情報と上記非更新情報とを組み合わせ」ることによって統合するのに対し、引用例発明の「情報表示装置」は、「更新情報と上記非更新情報とを組み合わせ」ることによって統合することが明記されていない点、

で相違する。



4.相違点の判断

(1)相違点1について

サーバとクライアント(例:本願の「情報統合表示装置」)との間の情報通信を、広域ネットワーク(例:インターネット)を用いて実現することは、情報処理分野における周知技術である。

しかも、複数のコンピュータの間で情報通信するための伝送手段が、情報通信の利便性向上等の要因により、電話回線から広域ネットワークに置き換えられてきたことは、情報処理分野において周知である。

したがって、引用例発明において、情報通信の利便性を向上すべく、電話回線の代わりに広域ネットワークを使用し、本願発明の如く「広域ネットワークを介して」送信するように構成することは、当業者が容易に想到し得ることである。


(2)相違点2について

引用例には明記されていないものの、カタログショッピングにおいて、購入希望商品の価格が幾らなのかを知らしめる必要があることは明らかであることから、
「商品の上布」と「最新価格データ」とを組み合わせて統合することにより表示することが好ましいことも明らかである。

したがって、引用例発明において、更新情報である「最新価格データ」と非更新情報である「商品の情報」とを組み合わせて統合するように「情報表示装置」を構成することは、当業者が容易に想到し得ることである。



5.むすび

したがって、本願発明は、引用例発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法29条2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2009-02-18 
結審通知日 2009-02-24 
審決日 2009-03-09 
出願番号 特願平8-98951
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G06F)
P 1 8・ 561- Z (G06F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 深津 始  
特許庁審判長 田口 英雄
特許庁審判官 和田 財太
小曳 満昭
発明の名称 情報統合表示装置及び情報統合表示システム  
代理人 伊賀 誠司  
代理人 小池 晃  

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