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審決分類 審判 判定 同一 属さない(申立て不成立) B65D
管理番号 1197059
判定請求番号 判定2008-600034  
総通号数 114 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許判定公報 
発行日 2009-06-26 
種別 判定 
判定請求日 2008-07-11 
確定日 2009-05-13 
事件の表示 上記当事者間の特許第2708135号の判定請求事件について、次のとおり判定する。 
結論 イ号物件説明資料に示す消毒器「て・きれいき TEK-101A」及び「て・きれいき TEK-103A」は、特許第2708135号発明の技術的範囲に属しない。 
理由 1 請求の趣旨
請求人の提出した、判定請求書、弁駁書、審尋回答書、及び審尋回答書についての問合に対する回答FAX(以下、「回答FAX」という。)の記載からみて、本件判定請求の趣旨は、甲第3号証のカタログ、甲第3号証の3の説明資料、及び甲第3号証の4の取扱説明書に示す「て・きれいき TEK-101A」及び「て・きれいき TEK-103A」(以下、「イ号物件」という。)が請求人所有の特許第2708135号発明の技術的範囲に属する、との判定を求めるものである。

2 手続の経緯
(1)平成2年9月19日 本件特許に係る特許出願
(特願平2-247293)
(2)平成9年10月17日 特許登録(特許2708135号)
(3)平成20年7月11日 判定請求
(4)平成20年9月17日 答弁書提出
(5)平成20年10月31日 弁駁書提出
(6)平成20年12月1日 弁駁書について審尋
(発送日:平成20年12月3日)
(7)平成21年2月2日 審尋に対する回答書(審尋回答書)
(8)平成21年3月17日 審尋回答書について問合(FAX)
(9)平成21年3月25日 問合に対する回答(FAX)
(10)平成21年4月28日 判定請求同意書(被請求人からのFAX)

3 本件特許発明
本件特許発明は、明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定されるとおりのものであり、それを構成要件に分説すると、次のとおりである。

A 飲粧材が排出されるべき物体を装置下面に非載置の状態で非接触式物体検出が可能な位置に物体検出位置が設定され、この物体検出位置から外れない任意の位置に挿入された任意の大きさ、形状で上面位置不定の物体を検出してあらかじめ決定された所定量の飲粧材を排出する飲粧材排出装置において、
B 飲粧材を貯蔵するための飲粧材貯蔵手段と
C 前記飲粧材貯蔵手段から飲粧材を排出するための電気機械変換手段と
D 前記飲粧材貯蔵手段からの飲粧材が排出されるべき任意の大きさ、形状の物体を非接触式に検出するための非接触式物体検出手段と
E 飲粧材の排出状態を報知する報知手段と
F 前記非接触式物体検出手段並びに電気機械変換手段に接続され、前記非接触式物体検出手段による上面位置不定の物体の検出に基づいて前記電気機械変換手段を所定時間作動させることにより前記飲粧材貯蔵手段からあらかじめ決定された所定量の飲粧材の排出を行なう電気機械変換制御手段と
G 前記報知手段に接続された駆動手段を含む報知制御手段であって、前記電気機械変換制御手段により排出された飲粧材の実質的な最後部が前記上面位置不定の物体の上面に到達して消滅した後、前記飲粧材の仮想的最後部が前記物体の上面より下流に位置する前記非接触式物体検出位置に少なくとも到達した後に前記駆動手段から出力される制御信号により前記報知手段から全ての飲粧材の排出が終了したことを報知させる制御を行う報知制御手段と
H を備えたことを特徴とする飲粧材排出装置。

4 イ号物件
甲第3号証のカタログ、甲第3号証の3の説明資料、及び甲第3号証の4の取扱説明書の記載からみて、「て・きれいき TEK-101A」及び「て・きれいき TEK-103A」(以下、双方とも「イ号物件」という。)の構成を分説して示すと、次のとおりのものと認める。
なお、請求人が平成21年2月2日付けの審尋回答書に添付して提出した甲第3号証の4には、判定請求時に提出された甲第3号証の3とは異なる説明内容が含まれているが、甲第3号証の3記載された物件も、甲第3号証の4に記載された物件も、いずれもイ号物件であるとして判定することについては、請求人及び被請求人間に争いはない。

a 手指の挿入が検出されると消毒液を所定量噴霧する手指消毒器
b 消毒液タンク
c 超音波霧化ユニット
d 手指センサー
e 運転ランプ
f 挿入された手指の検出に基づいて超音波霧化ユニットを所定時間作動させることにより消毒液タンクからあらかじめ決定された所定量の消毒液の噴霧を行なう制御
g 消毒液の噴霧が終わった後、所定時間経過後に運転ランプが消灯する制御
h 手指消毒器て・きれいき。

5 請求人の主張の要旨
請求人の提出した、判定請求書、弁駁書、審尋回答書、及び回答FAXの記載からみて、請求人の主張の要旨は、次のとおりである。
(1)イ号物件の構成要素a?hは、それぞれ本件特許発明の構成要件A?Hを充足する。そして、イ号物件は、本件特許発明の効果である「飲粧材の受け損ないを未然に防止できる」という効果を奏する。したがって、イ号物件は、本件特許発明の技術範囲に属する。
(2)本件特許発明の「飲粧材」は、「飲食物」又は「化粧材」を意味するものであり、「化粧材」の例として「洗剤」及び「付け薬」が本件特許明細書に記載されている。そして、広辞苑第3版によれば、「洗剤」は「洗浄剤」の意味であり、「洗浄」と「洗滌」は同じ意味である。そして、「洗滌剤」は、「創面などを洗滌して、局所の殺菌・消毒または異物の除去に用いる薬液。」という意味であるから、イ号物件が噴霧する「消毒液」は、本件特許発明の「化粧材」に含まれる。また、広辞苑第3版によれば「消毒剤」は「消毒薬」を意味し、「消毒薬」は「消毒用の薬剤。ヨード・アルコール…」などを意味するから、「付け薬」に該当する消毒薬も存在する。すると、この点からも、イ号物件が噴霧する「消毒液」は、本件特許発明の「化粧材」に含まれる。
(3)イ号物件の「運転ランプ」が、センサーの作動停止の解除を報知するものであっても、副次的機能として「全ての消毒液の噴霧が終了したこと」を結果として「報知」していると考えるのが合理的であるから、イ号物件の構成e「運転ランプ」と、構成g「消毒液の噴霧が終わった後、所定時間経過後に運転ランプが消灯する制御」は、それぞれ本件特許発明の構成要件E、Gを充足する。
(4)イ号物件が「手指の受液面積より大きな噴霧面積となるようにしている」としても、受液面積外に噴霧される消毒液は、そもそもはじめから、手が受け取ることができない消毒液であるから、受け損なう、受け損なわないについては問題外の部分である。したがって、イ号物件が「手指の受液面積より大きな噴霧面積となるようにしている」ことにより、「受け損ないが生じる」とはいえず、イ号物件も本件特許発明と同様に「受け損ないが生じない」効果を奏するものである。

6 被請求人の主張の要旨
被請求人の提出した、答弁書の記載からみて、被請求人の主張の要旨は、次のとおりである。
(1)イ号物件は、本件特許発明の構成要件A?Hを充足せず、また、本件特許発明の効果も奏しない。したがって、イ号物件は、本件特許発明の技術範囲に属しない。
(2)本件特許発明の「飲粧材」は、「飲食物」又は「化粧材」を意味するところ、イ号物件の「消毒液」は、「飲食物」でも「化粧材」でもないから、本件特許発明の「飲粧材」に該当しない。したがって、イ号物件は、本件特許発明の構成要件A?Hのいずれをも充足しない。
(3)イ号物件で消毒液の噴霧状態を報知する手段は、「運転ランプ」ではなく、噴霧中点灯し噴霧終了と同時に消灯する「手元ランプ」である。したがって、イ号物件のe「運転ランプ」は、本件特許発明の構成要件Eを充足しない。
また、イ号物件では、超音波霧化ユニットのトランジスタの連続動作による過熱を避けるため、噴霧終了後の所定時間手指センサーの作動を一時停止状態とし、この間、消毒室に手を入れても噴霧動作しないようにしている。イ号物件の「運転ランプ」が、噴霧終了後約3秒間継続点灯するよう制御しているのは、手指センサーの一時停止状態であることを報知するものであり、運転ランプの消灯は、手指センサーが再び作動可能状態となり、消毒室に手を入れると消毒液の噴霧が可能となったことを報知するものである。
イ号物件の「運転ランプ」が、噴霧終了後約3秒間継続点灯し、その後消灯するのは、消毒液の仮想的最後部が手指に到達し、全ての消毒液の噴霧が終了したことを報知するものではないから、イ号物件の「運転ランプ」の点灯消灯の制御は、本件特許発明の構成要件Gを充足しない。
(4)イ号物件は、手指に満遍なく消毒液を噴霧するために手指の受液面積より大きな噴霧面積となるように噴霧するので、消毒液の受け損ないが生じる。したがって、イ号物件は、受け損ないを未然に防止することができるという本件特許発明の効果を生じない。

7 当審の判断
(1)本件特許明細書には、下記a?eの記載があり、審尋回答書には、下記fの記載がある。
a「従来この種デスペンサ分野では…実公昭60-12225号等が知られている。…後例は同様にカップが装置底面に載置された状態で商品払出中を表示するランプを所定時間遅延点灯させることによりカップの飲粧材の受け損ないを防止する例である。」(特許公報2頁左欄5?14行)
b「又後例においてもカップ載置形式であり、カップの大きさ特にカップの背高が低くなった場合、設定した遅延時間と合わなくなり飲粧材の受け損ないを完全に防止出来ない。又本願の先願に係る特願平1-196670号においても任意の大きさ、形状の物体に対して飲粧材の受け損ないを完全に防止するには不十分であった。本発明は上述難点に鑑み、物体非載置形式の飲粧材排出装置において、任意の大きさ、形状の物体の任意位置の挿入に対して飲粧材の受け損ないを未然に防止することを目的とする。」(特許公報2頁左欄18?27行)
c「以上が本願の先願に係る説明であるが、この例においても物体が飲粧材を受け損なうことがあった。すなわち報知部LMが飲粧材の排出終了を報知した直後に物体を取り出した場合、排出された飲粧材が物体上面に未だ到達できていないこともあり、装置下面が汚される危険性が存在した。これは電気機械変換部EMと報知部LMのオンオフ動作の関係が不十分であったことに基因するものである。」(特許公報5頁左欄48行?右欄5行)
d「T時間の遅延時間があれば飲粧材の最後部の実質的な部分DEが物体上面SEに十分到達する。即ち飲粧材の実質的な最後部DEが物体上面に到達して拡散、吸収等により消滅した時点でこれを報知すれば飲粧材の受け損ないを防止することは可能となる。しかしそれでは、任意の位置(高さ)での物体検出に対して又は任意の大きさ、形状の物体に対して飲粧材の受け損ないを完全に防止することは不可能である。」(特許公報6頁右欄15?22行)
e「これに対し本発明は排出された飲粧材の実質的な最後部DEが物体又は飲粧材表面に到達して消滅した後、前記飲粧材の仮想的最後部が物体検出位置DTに到達するまでの余裕時間を確保し即ち第9図のT時間又はそれ以上経過してから全ての飲粧材の排出を終了したことの報知を開始させるように構成したので、物体SN1、SN2、SN3のどの位置でも更にはそれ意外の物体検出位置から外れない任意の位置に挿入しても飲粧材の受け損ないを未然に防止することが出来る。」(特許公報6頁右欄35?44行)
f「本件特許発明は、明細書6頁右欄39行目から45行目に記載されているように、「即ち第9図のT時間又は『それ以上経過してから』全ての飲粧材の排出を終了したことの報知を開始させるように構成したので、・・飲粧材の受け損ないを未然に防止することが出来る。即ち本願第1図や、乙1号の手元ランプでは、受け損ない防止用のランプとしてはその効果が、不十分であり、さらに所定時間、遅延させれば、受け損ない防止効果は高まります。つまり説明図2Aに示すように、第2モードの自由排出中に、最後部が検出位置に到達した時点TT以上の時間TAになってから、全ての飲粧材の排出が終了したことを報知させるようにしたことが本件の特徴であります。同様の効果を奏する文献として、実公昭60-12225号を、参考文献2として提示します。これは、本件の拒絶理由に引用された公報で、同明細書1頁左欄22行目から27行目に、「このことは次の販売動作待機状態が払出しのためのモータの回転終了をカムスイッチで拾い、その信号をもって、販売動作完了信号としていることと、モータの動作後も商品の排出管の通過に時間がかかり、コーヒー等の流出が続くことに原因するものである」と記載され、又同2頁左欄15行目?目右欄6行目に「タイマーを設け、この遅延時間によって・・カップを取り出して商品がカップに受けらず流出することがなくなる効果がある。」と記載されている。本件は、このような引例に対して、物体非載置型の排出装置において、機械が停止して自由排出状態になった後、飲粧材の最後部が非接触式物体検出位置に到達した『後に』、全ての飲粧材の排出が終了したことを報知させるようにしたことが特徴であります。」(審尋回答書7頁21行?最終行)(なお、この記載中「説明図2A」は、回答FAXにより「説明図2B」に訂正された。)

(2)上記の記載からみて、本件特許発明は、飲粧材の排出装置において、機械が停止した直後にカップ等の受け物体を取り出すと、自由排出状態にあり、未だに受け物体に達していない飲粧材を受け損なうことがあるという課題を解決するため、「機械が停止して自由排出状態になった後、飲粧材の最後部が非接触式物体検出位置に到達した『後に』、全ての飲粧材の排出が終了したことを報知させるようにした」ものと認められる。
そうすると、全ての飲粧材の排出が終了したことの報知は、単に「飲粧材の最後部が非接触式物体検出位置に到達した『後に』」行うだけでは不十分であり、飲粧材排出装置を使用する者が、当該報知が飲粧材の排出終了の報知であることを認識できる程度の時期に行うことが必要と認められる。使用者が、飲粧材の排出終了の報知であると認識できないような時期に行われる報知であれば、使用者は、通常、当該報知の終了を待つことなくカップ等の受け物体を取り出してしまうと推認されるから、そのような時期を逸した報知は、本件発明の課題の解決に資するものとはいえない。
すると、本件特許発明の構成要件E「飲粧材の排出状態を報知する報知手段」は、単なる「飲粧材の排出状態を報知する報知手段」を意味するものではなく、当該報知手段による排出終了の報知が、飲粧材排出装置を使用する者にとって飲粧材の排出終了の報知であることを認識できる程度の時期(以下、「排出終了直後」という。)に排出終了の報知を行う報知手段を意味するものと認められる。
同様に、本件特許発明の構成要件Gの「排出された飲粧材の実質的な最後部が前記上面位置不定の物体の上面に到達して消滅した後、前記飲粧材の仮想的最後部が前記物体の上面より下流に位置する前記非接触式物体検出位置に少なくとも到達した後に…全ての飲粧材の排出が終了したことを報知させる制御」も、単に「排出された飲粧材の実質的な最後部が…消滅した後、前記飲粧材の仮想的最後部が…非接触式物体検出位置に少なくとも到達した後に」排出が終了したことを報知させる制御を行うことを意味するものではなく、排出終了直後(使用者が飲粧材の排出終了の報知であることを認識できる程度の時期)に報知させる制御を行うことを意味するものと認められる。

(3)審尋回答書には、下記g?jの記載がある。
g「請求人は、実際の機械(イ号物件TEK-101A)を確認しました。運転ランプは、噴霧開始から終了まで、約4秒間点灯し続けます。消毒液の噴霧は、約2.6秒間続きます。運転ランプの点灯中、消毒液は噴霧され続けていません。」(審尋回答書5頁12?14行)
h「請求人は、実際の機械(イ号物件TEK-101A)を使用してみて、消毒液の噴霧終了即ち消毒液が空中から存在しなくなった後、運転ランプが消灯することを確認しました。さらに、2009年1月22日に神奈川県産業技術センター(海老名市)において、高速撮影にて運転ランプと噴霧状態との関係を調べました。この結果によれば、運転ランプは噴霧開始から約4秒間点灯し、消毒液(1ml)の噴霧は、約2.5秒間続いた後、消毒液が空中から見えなくなり、それから約1.5秒後に運転ランプが消灯することが判明しました。」(審尋回答書5頁22?28行)
i「又、消毒液の噴霧を報知するものは運転ランプではなく手元ランプとすることが合理的であるとの、審判官殿のご指摘も、「強制噴霧が終了した」の意味では納得できます。しかし説明図2Aに示すように手元ランプの消灯時点4.484では、未だ全ての消毒液の噴霧が終了した状態ではありません。まだ消毒液の残余部分が空中に存在しています。その後、4.540の時点で、消毒液は完全に空中に存在しなくなり、その後、約1.5秒経過した時点6.000で、運転ランプは消灯します。」(審尋回答書7頁1?7行)(なお、この記載中「説明図2A」は、回答FAXにより「説明図2B」に訂正された。)
j「霧化ユニットによる強制噴霧の終了により、消毒液に後端が発生し、この後端が検出位置に到達した後に、運転ランプが消灯することは、説明図2Aより明らかです。即ち、図で手元ランプが時点4.484付近で消灯した後、消毒液の後端が検出位置に到達し(この現象は霧状の消毒液ではっきりとした確認はできない)、その後、時点4.540付近で空中から完全に存在しなくなり(これは明確に確認できる)、その約1.5秒後の時点6.000で運転ランプが消灯する。」(審尋回答書8頁5?11行)(なお、この記載中「説明図2A」は、回答FAXにより「説明図2B」に訂正された。)
これら記載からみて、イ号物件では、消毒液の噴霧(強制噴霧)終了後、遅くとも56m秒(0.056=4.540-4.484)以内に、消毒液の後端が検出位置に到達しているものと認められる。

(4)一方、イ号物件では、構成e「運転ランプ」が噴霧終了後も約3秒間(甲第3号証の3)又は約1.5秒間(甲第3号証の4)継続点灯し、その後に消灯するものである。この継続点灯時間は、消毒液の後端が検出位置に到達する時間(遅くとも56m秒)に比べて遙かに長大であり、「排出終了直後」に報知を行う報知手段であるとはいえない。したがって、イ号物件の構成eは、本件特許発明の構成要件Eを充足しない。
同様に、イ号物件の構成g「消毒液の噴霧が終わった後、所定時間経過後に運転ランプが消灯する制御」も、「排出終了直後」に運転ランプを消灯させる制御を行うものでないから、イ号物件の構成gは、本件特許発明の構成要件Gを充足しない。

(5)また、人間が視覚的刺激を受けてから手指の動き等として反応するまでの時間は200m秒程度であり、聴覚的刺激を受けてから手指の動き等として反応するまでの時間は150m秒程度であるといわれている(一例として、西田一夫 他5名著「視覚刺激に対する指先の反応時間の統計的性質」、山口大学工学部研究報告(第29巻1号)p85-90、1978年、山口大学工学部発行、(平成21年4月16日時点のURL:http://repository.oai.yamaguchi-u.ac.jp/yunoca/AN00244228/KJ00000156228.pdf )には、視覚刺激に反応してボタンを押すまでの時間がおよそ200m秒であることが示されている。)。
そうすると、イ号物件の通常の使用状態では、消毒液の噴霧(強制噴霧)終了と同時に消灯する手元ランプの消灯後、使用者が56m秒以内に消毒室から手を抜き出すことはないといえるから、イ号物件においては、「機械が停止した直後に受け物体を取り出すと、自由排出状態にあり、未だに受け物体に達していない飲粧材を受け損なうことがあるという課題」は存在せず、消毒液の噴霧(強制噴霧)終了と同時に噴霧終了を報知しても消毒液の受け損ないは生じないといえる。そして、消毒液の噴霧(強制噴霧)終了と同時に噴霧終了を報知しても消毒液の受け損ないは生じないのであるから、イ号物件において消毒液の噴霧(強制噴霧)終了後も運転ランプを継続点灯させることに「消毒液の受け損ないを防止する」という技術的意義がないことは明らかであり、このような「運転ランプ」の点灯消灯の制御によって「消毒液の受け損ないを防止する」という効果が生じるものでもない。
すると、イ号物件のe「運転ランプ」は、消毒液の噴霧状態を報知するものとはいえないから、本件特許発明の構成要件Eを充足せず、また、イ号物件のg「消毒液の噴霧が終わった後、所定時間経過後に運転ランプが消灯する制御」は、全ての消毒液の排出が終了したことを報知させる制御とはいえないから、本件特許発明の構成要件Gを充足しない。
このように、人間の反応時間を考慮した観点からみても、イ号物件は、本件特許発明の構成要件E、Gを充足しないものである。

8 むすび
以上のとおり、イ号物件は、本件特許発明の構成要件E、Gを充足しないから、他の構成要件について検討するまでもなく、イ号物件は、本件特許発明の技術的範囲に属しない。
よって、結論のとおり判定する。
 
別掲
 
判定日 2009-04-30 
出願番号 特願平2-247293
審決分類 P 1 2・ 1- ZB (B65D)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 加藤 昌人長谷川 吉雄  
特許庁審判長 栗林 敏彦
特許庁審判官 村山 禎恒
鈴木 由紀夫
登録日 1997-10-17 
登録番号 特許第2708135号(P2708135)
発明の名称 飲粧材排出装置  
代理人 高橋 勝利  
代理人 長島 繁樹  
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