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審決分類 審判 全部無効 特36条4項詳細な説明の記載不備  C08G
審判 全部無効 特120条の4、2項訂正請求(平成8年1月1日以降)  C08G
審判 全部無効 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  C08G
審判 全部無効 2項進歩性  C08G
管理番号 1199233
審判番号 無効2008-800161  
総通号数 116 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2009-08-28 
種別 無効の審決 
審判請求日 2008-08-25 
確定日 2009-05-11 
訂正明細書 有 
事件の表示 上記当事者間の特許第3894326号発明「合成樹脂発泡体の製造方法」の特許無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 訂正を認める。 特許第3894326号の請求項1?24に係る発明についての特許を無効にする。 審判費用は、被請求人の負担とする。 
理由 第1.手続の経緯
特許第3894326号は、平成14年10月21日(優先権主張 平成13年11月13日 日本国)を国際出願日とする出願に係る特許であって、平成18年12月12日に特許権の設定の登録(請求項の数36)がなされたものである。
その後、平成19年10月3日付けで、セントラル硝子株式会社から特許無効審判の請求(審判の請求に係る請求項1、2、13、14、25、26)がなされ、無効2007-800213として審理され、同年12月21日付けで訂正の請求がなされ(訂正後の請求項の数34)、平成20年6月23日付けで、「訂正を認める。特許第3894326号の請求項1、2、23、24に係る発明についての特許を無効にする。」との審決がなされ、当該審決は確定している。
そして、平成20年8月25日付けで、セントラル硝子株式会社から本件特許無効審判の請求(審判の請求に係る請求項3?22、25?34)がなされ、その後、当審において以下の手続がなされたものである。

答弁書(被請求人) 平成20年11月21日付け
訂正請求書(被請求人) 平成20年11月21日付け
弁駁書(請求人) 平成20年12月26日付け
口頭審理陳述要領書(請求人) 平成21年 3月 2日付け
口頭審理陳述要領書(被請求人) 平成21年 3月 2日付け
上申書(被請求人) 平成21年 3月 2日付け
第1回口頭審理 平成21年 3月 2日
上申書(請求人) 平成21年 3月 4日付け


第2.訂正の請求について
1.訂正の内容
被請求人による訂正の請求は、平成19年12月21日付け訂正請求書に添付した訂正明細書(以下、「特許明細書」という。)を、平成20年11月21日付け訂正請求書に添付した訂正明細書(以下、単に「訂正明細書」という。)のとおり訂正することを求めるものであり、その訂正(以下、「本件訂正」という。)の内容は、以下の訂正事項1?33からなるものである。

1-1.訂正事項1
訂正前の請求項1、2、23及び24を削除する。

1-2.訂正事項2
訂正前の請求項3の
「【請求項3】
発泡剤の存在下に、ポリオールとポリイソシアネート化合物とを反応させてポリウレタンまたはポリイソシアヌレートの発泡体を製造する方法において、
前記発泡剤として、1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパンと1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタン、更に、沸点が15℃以上のハロゲン化エーテルを含む混合物を使用し、
前記発泡剤とポリオールとを含むプレミックスを調製する工程を有し、
得られるプレミックスの気相組成における1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパン/1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタンの重量比が、25℃において1.5以上である発泡体の製造方法。」

「【請求項1】
発泡剤の存在下に、ポリオールとポリイソシアネート化合物とを反応させてポリウレタンまたはポリイソシアヌレートの発泡体を製造する方法において、
前記発泡剤として、1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパンと1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタン、更に、沸点が15℃以上のハロゲン化エーテルを含む混合物を使用し、
前記発泡剤とポリオールとを含むプレミックスを調製する工程を有し、
得られるプレミックスの気相組成における1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパン/1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタンの重量比が、25℃において1.7?4である発泡体の製造方法。」
と訂正する。

1-3.訂正事項3
訂正前の請求項4の
「【請求項4】
得られたプレミックスの40℃における蒸気圧が、前記プレミックス中の発泡剤の重量組成比及びHFC245fa/HFC365mfc重量組成比を変えずに沸点が15℃以上のハロゲン化エーテルを除いたプレミックスの40℃における蒸気圧に対して、95%以下である請求項3に記載の発泡体の製造方法。」

「【請求項2】
得られたプレミックスの40℃における蒸気圧が、前記プレミックス中の発泡剤の重量組成比及びHFC245fa/HFC365mfc重量組成比を変えずに沸点が15℃以上のハロゲン化エーテルを除いたプレミックスの40℃における蒸気圧に対して、95%以下である請求項1に記載の発泡体の製造方法。」
と訂正する。

1-4.訂正事項4
訂正前の請求項5の
「【請求項5】
沸点が15℃以上のハロゲン化エーテルが、以下に示される化合物からなる群から選択される少なくとも1種の化合物である請求項3に記載の発泡体の製造方法:
1,1,2,2-テトラフルオロエチルジフルオロメチルエーテル、1,1,2,2-テトラフルオロエチルメチルエーテル、2,2,2-トリフルオロエチル-1,1,2,2-テトラフルオロエチルエーテル、1,1,2,3,3,3-ヘキサフルオロプロピルメチルエーテル、2,2,3,3-テトラフルオロプロピル-1,1,2,2-テトラフルオロエチルエーテル、1,1,2,2-テトラフルオロエチル-2,2,3,3,3-ペンタフルオロプロピルエーテル、1,1,2,3,3,3-ヘキサフルオロプロピル2,2,3,3,3-ペンタフルオロプロピルエーテル、ノナフルオロブチルメチルエーテル、ノナフルオロブチルエチルエーテル、1-トリフルオロメチル-1,2,2,2-テトラフルオロエチルメチルエーテル、パーフルオロプロピルメチルエーテル、2,2,3,3,3-ペンタフルオロプロピルジフルオロメチルエーテル、1,1,2,3,3,3-ヘキサフルオロプロピル-2,2,2-トリフルオロエチルエーテル、2,2,3,4,4,4-ヘキサフルオロブチルジフルオロメチルエーテル、1,1,2,3,3,3-ヘキサフルオロプロピル-1,1,2,2-テトラフルオロプロピルエーテル、1,1,2,3,3-ペンタフルオロ-2-トリフルオロメチルメチルエーテル、パーフルオロプロピルエポキシド、1,2,2-トリフルオロエチレントリフルオロメチルエーテルおよび1,2,2-トリフルオロエチレン-1,1,2,2,3,3,3-ヘプタフルオロプロピルエーテル。」

「【請求項3】
沸点が15℃以上のハロゲン化エーテルが、1,1,2,2-テトラフルオロエチルメチルエーテルである請求項1に記載の発泡体の製造方法。」
と訂正する。

1-5.訂正事項5
訂正前の請求項6の
「【請求項6】
発泡剤の存在下に、ポリオールとポリイソシアネート化合物とを反応させてポリウレタンまたはポリイソシアヌレートの発泡体を製造する方法において、
前記発泡剤として、1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパンと1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタン、更にグリコール化合物を含む混合物を使用し、
前記発泡剤とポリオールとを含むプレミックスを調製する工程を有し、
得られるプレミックスの気相組成における1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパン/1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタンの重量比が、25℃において1.5以上である発泡体の製造方法。」

「【請求項4】
発泡剤の存在下に、ポリオールとポリイソシアネート化合物とを反応させてポリウレタンまたはポリイソシアヌレートの発泡体を製造する方法において、
前記発泡剤として、1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパンと1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタン、更に以下の式(A)?(C)で示される化合物からなる群から選択される少なくとも1種のグリコール化合物;
式(A) C_(a)H_(2a+1)O(CH_(2)CH_(2)O)_(b)C_(c)H_(2c+1)
[式中、a, bおよびcは、独立にa=1, 2, 3, 4、b=1, 2, 3, 4、c=0, 1, 2, 3, 4]、
式(B) C_(d)H_(2d+1)COO(CH_(2)CH_(2)O)_(e)CO C_(f)H_(2f+1)
[式中、d, eおよびfは、独立にd=0, 1, 2, 3, 4、e=1, 2, 3, 4、f=0, 1, 2, 3, 4]、および
式(C) C_(i)H_(2i+1)COO(CH_(2)CH_(2)O)_(j)C_(k)H_(2k+1)
[式中、i, jおよびkは、独立にi=0, 1, 2, 3, 4、j=1, 2, 3, 4、k=0, 1, 2, 3, 4]
を含む混合物を使用し、
前記発泡剤とポリオールとを含むプレミックスを調製する工程を有し、
得られるプレミックスの気相組成における1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパン/1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタンの重量比が、25℃において1.7?4である発泡体の製造方法。」
と訂正する。

1-6.訂正事項6
訂正前の請求項7の
「【請求項7】
得られたプレミックスの40℃における蒸気圧が、グリコール化合物を除いた以外は前記プレミックスと同じ重量組成比のプレミックスの40℃における蒸気圧に対して、95%以下である請求項6に記載の発泡体の製造方法。」

「【請求項5】
得られたプレミックスの40℃における蒸気圧が、グリコール化合物を除いた以外は前記プレミックスと同じ重量組成比のプレミックスの40℃における蒸気圧に対して、95%以下である請求項4に記載の発泡体の製造方法。」
と訂正する。

1-7.訂正事項7
訂正前の請求項8を削除する。

1-8.訂正事項8
訂正前の請求項9の
「【請求項9】
発泡剤の存在下に、ポリオールとポリイソシアネート化合物とを反応させてポリウレタンまたはポリイソシアヌレートの発泡体を製造する方法において、
前記発泡剤として、1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパンと1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタン、更に、(i)沸点が15℃以上のハロゲン化エーテルと(ii)グリコール化合物を含む混合物を使用し、
前記発泡剤とポリオールとを含むプレミックスを調製する工程を有し、
得られるプレミックスの気相組成における1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパン/1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタンの重量比が、25℃において1.5以上である発泡体の製造方法。」

「【請求項6】
発泡剤の存在下に、ポリオールとポリイソシアネート化合物とを反応させてポリウレタンまたはポリイソシアヌレートの発泡体を製造する方法において、
前記発泡剤として、1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパンと1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタン、更に、(i)沸点が15℃以上のハロゲン化エーテルと(ii)以下の式(A)?(C)で示される化合物からなる群から選択される少なくとも1種のグリコール化合物;
式(A) C_(a)H_(2a+1)O(CH_(2)CH_(2)O)_(b)C_(c)H_(2c+1)
[式中、a, bおよびcは、独立にa=1, 2, 3, 4、b=1, 2, 3, 4、c=0, 1, 2, 3, 4]、
式(B) C_(d)H_(2d+1)COO(CH_(2)CH_(2)O)_(e)CO C_(f)H_(2f+1)
[式中、d, eおよびfは、独立にd=0, 1, 2, 3, 4、e=1, 2, 3, 4、f=0, 1, 2, 3, 4]、および
式(C) C_(i)H_(2i+1)COO(CH_(2)CH_(2)O)_(j)C_(k)H_(2k+1)
[式中、i, jおよびkは、独立にi=0, 1, 2, 3, 4、j=1, 2, 3, 4、k=0, 1, 2, 3, 4]
を含む混合物を使用し、
前記発泡剤とポリオールとを含むプレミックスを調製する工程を有し、
得られるプレミックスの気相組成における1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパン/1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタンの重量比が、25℃において1.7?4である発泡体の製造方法。」
と訂正する。

1-9.訂正事項9
訂正前の請求項10の
「【請求項10】
得られたプレミックスの40℃における蒸気圧が、前記プレミックスから(i)沸点が15℃以上のハロゲン化エーテルと(ii)グリコール化合物を除いた以外は同じ重量組成比のプレミックスの40℃における蒸気圧に対して、95%以下である請求項9に記載の発泡体の製造方法。」

「【請求項7】
得られたプレミックスの40℃における蒸気圧が、前記プレミックスから(i)沸点が15℃以上のハロゲン化エーテルと(ii)グリコール化合物を除いた以外は同じ重量組成比のプレミックスの40℃における蒸気圧に対して、95%以下である請求項6に記載の発泡体の製造方法。」
と訂正する。

1-10.訂正事項10
訂正前の請求項11の
「【請求項11】
沸点が15℃以上のハロゲン化エーテルが、以下に示される化合物からなる群から選択される少なくとも1種の化合物である請求項9に記載の発泡体の製造方法:
1,1,2,2-テトラフルオロエチルジフルオロメチルエーテル、1,1,2,2-テトラフルオロエチルメチルエーテル、2,2,2-トリフルオロエチル-1,1,2,2-テトラフルオロエチルエーテル、1,1,2,3,3,3-ヘキサフルオロプロピルメチルエーテル、2,2,3,3-テトラフルオロプロピル-1,1,2,2-テトラフルオロエチルエーテル、1,1,2,2-テトラフルオロエチル-2,2,3,3,3-ペンタフルオロプロピルエーテル、1,1,2,3,3,3-ヘキサフルオロプロピル2,2,3,3,3-ペンタフルオロプロピルエーテル、ノナフルオロブチルメチルエーテル、ノナフルオロブチルエチルエーテル、1-トリフルオロメチル-1,2,2,2-テトラフルオロエチルメチルエーテル、パーフルオロプロピルメチルエーテル、2,2,3,3,3-ペンタフルオロプロピルジフルオロメチルエーテル、1,1,2,3,3,3-ヘキサフルオロプロピル-2,2,2-トリフルオロエチルエーテル、2,2,3,4,4,4-ヘキサフルオロブチルジフルオロメチルエーテル、1,1,2,3,3,3-ヘキサフルオロプロピル-1,1,2,2-テトラフルオロプロピルエーテル、1,1,2,3,3-ペンタフルオロ-2-トリフルオロメチルメチルエーテル、パーフルオロプロピルエポキシド、1,2,2-トリフルオロエチレントリフルオロメチルエーテルおよび1,2,2-トリフルオロエチレン-1,1,2,2,3,3,3-ヘプタフルオロプロピルエーテル。」

「【請求項8】
沸点が15℃以上のハロゲン化エーテルが、1,1,2,2-テトラフルオロエチルメチルエーテルである請求項6に記載の発泡体の製造方法。」
と訂正する。

1-11.訂正事項11
訂正前の請求項12を削除する。

1-12.訂正事項12
訂正前の請求項13の
「【請求項13】
ポリウレタンまたはポリイソシアヌレート用発泡剤であって、
1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパンと1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタン、更に、沸点が15℃以上のハロゲン化エーテルを含み、
発泡剤とポリオールとを含むプレミックスとしたときに、プレミックスの気相組成における1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパン/1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタンの重量比が、25℃において1.5以上となる発泡剤。」

「【請求項9】
ポリウレタンまたはポリイソシアヌレート用発泡剤であって、
1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパンと1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタン、更に、沸点が15℃以上のハロゲン化エーテルを含み、
発泡剤とポリオールとを含むプレミックスとしたときに、プレミックスの気相組成における1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパン/1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタンの重量比が、25℃において1.7?4となる発泡剤。」
と訂正する。

1-13.訂正事項13
訂正前の請求項14の
「【請求項14】
発泡剤とポリオールとを含むプレミックスとしたときに、
前記プレミックスの40℃における蒸気圧が、前記プレミックス中の発泡剤の重量組成比及びHFC245fa/HFC365mfc重量組成比を変えずに沸点が15℃以上のハロゲン化エーテルを除いたプレミックスの40℃における蒸気圧に対して95%以下である請求項13に記載の発泡剤。」

「【請求項10】
発泡剤とポリオールとを含むプレミックスとしたときに、
前記プレミックスの40℃における蒸気圧が、前記プレミックス中の発泡剤の重量組成比及びHFC245fa/HFC365mfc重量組成比を変えずに沸点が15℃以上のハロゲン化エーテルを除いたプレミックスの40℃における蒸気圧に対して95%以下である請求項9に記載の発泡剤。」
と訂正する。

1-14.訂正事項14
訂正前の請求項15の
「【請求項15】
沸点15℃以上のハロゲン化エーテルが、以下に示される化合物からなる群から選択される少なくとも1種の化合物である請求項13に記載の発泡剤:
1,1,2,2-テトラフルオロエチルジフルオロメチルエーテル、1,1,2,2-テトラフルオロエチルメチルエーテル、2,2,2-トリフルオロエチル-1,1,2,2-テトラフルオロエチルエーテル、1,1,2,3,3,3-ヘキサフルオロプロピルメチルエーテル、2,2,3,3-テトラフルオロプロピル-1,1,2,2-テトラフルオロエチルエーテル、1,1,2,2-テトラフルオロエチル-2,2,3,3,3-ペンタフルオロプロピルエーテル、1,1,2,3,3,3-ヘキサフルオロプロピル2,2,3,3,3-ペンタフルオロプロピルエーテル、ノナフルオロブチルメチルエーテル、ノナフルオロブチルエチルエーテル、1-トリフルオロメチル-1,2,2,2-テトラフルオロエチルメチルエーテル、パーフルオロプロピルメチルエーテル、2,2,3,3,3-ペンタフルオロプロピルジフルオロメチルエーテル、1,1,2,3,3,3-ヘキサフルオロプロピル-2,2,2-トリフルオロエチルエーテル、2,2,3,4,4,4-ヘキサフルオロブチルジフルオロメチルエーテル、1,1,2,3,3,3-ヘキサフルオロプロピル-1,1,2,2-テトラフルオロプロピルエーテル、1,1,2,3,3-ペンタフルオロ-2-トリフルオロメチルメチルエーテル、パーフルオロプロピルエポキシド、1,2,2-トリフルオロエチレントリフルオロメチルエーテルおよび1,2,2-トリフルオロエチレン-1,1,2,2,3,3,3-ヘプタフルオロプロピルエーテル。」

「【請求項11】
沸点15℃以上のハロゲン化エーテルが、1,1,2,2-テトラフルオロエチルメチルエーテルである請求項9に記載の発泡剤。」
と訂正する。

1-15.訂正事項15
訂正前の請求項16の
「【請求項16】
ポリウレタンまたはポリイソシアヌレート用発泡剤であって、
1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパンと1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタン、更に、グリコール化合物を含み、
発泡剤とポリオールとを含むプレミックスとしたときに、プレミックスの気相組成における1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパン/1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタンの重量比が、25℃において1.5以上となる発泡剤。」

「【請求項12】
ポリウレタンまたはポリイソシアヌレート用発泡剤であって、
1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパンと1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタン、更に、以下の式(A)?(C)で示される化合物からなる群から選択される少なくとも1種のグリコール化合物;
式(A) C_(a)H_(2a+1)O(CH_(2)CH_(2)O)_(b)C_(c)H_(2c+1)
[式中、a, bおよびcは、独立にa=1, 2, 3, 4、b=1, 2, 3, 4、c=0, 1, 2, 3, 4]、
式(B) C_(d)H_(2d+1)COO(CH_(2)CH_(2)O)_(e)CO C_(f)H_(2f+1)
[式中、d, eおよびfは、独立にd=0, 1, 2, 3, 4、e=1, 2, 3, 4、f=0, 1, 2, 3, 4]、および
式(C) C_(i)H_(2i+1)COO(CH_(2)CH_(2)O)_(j)C_(k)H_(2k+1)
[式中、i, jおよびkは、独立にi=0, 1, 2, 3, 4、j=1, 2, 3, 4、k=0, 1, 2, 3, 4]
を含み、
発泡剤とポリオールとを含むプレミックスとしたときに、プレミックスの気相組成における1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパン/1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタンの重量比が、25℃において1.7?4となる発泡剤。」
と訂正する。

1-16.訂正事項16
特許請求の範囲の請求項17の
「【請求項17】
ポリオールと発泡剤とを含むプレミックスとしたときに、
前記プレミックスの40℃における蒸気圧が、前記プレミックスからグリコール化合物を除いた以外は前記プレミックスと同じ重量組成比のプレミックスの40℃における蒸気圧に対して、95%以下である請求項16に記載の発泡剤。」

「【請求項13】
ポリオールと発泡剤とを含むプレミックスとしたときに、
前記プレミックスの40℃における蒸気圧が、前記プレミックスからグリコール化合物を除いた以外は前記プレミックスと同じ重量組成比のプレミックスの40℃における蒸気圧に対して、95%以下である請求項12に記載の発泡剤。」
と訂正する。

1-17.訂正事項17
訂正前の請求項18を削除する。

1-18.訂正事項18
訂正前の請求項19の
「【請求項19】
ポリウレタンまたはポリイソシアヌレート用発泡剤であって、
1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパンと1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタン、更に、(i)沸点が15℃以上のハロゲン化エーテルと(ii)グリコール化合物を含み、
発泡剤とポリオールとを含むプレミックスとしたときに、プレミックスの気相組成における1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパン/1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタンの重量比が、25℃において1.5以上となる発泡剤。」

「【請求項14】
ポリウレタンまたはポリイソシアヌレート用発泡剤であって、
1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパンと1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタン、更に、(i)沸点が15℃以上のハロゲン化エーテルと(ii)以下の式(A)?(C)で示される化合物からなる群から選択される少なくとも1種のグリコール化合物;
式(A) C_(a)H_(2a+1)O(CH_(2)CH_(2)O)_(b)C_(c)H_(2c+1)
[式中、a, bおよびcは、独立にa=1, 2, 3, 4、b=1, 2, 3, 4、c=0, 1, 2, 3, 4]、
式(B) C_(d)H_(2d+1)COO(CH_(2)CH_(2)O)_(e)CO C_(f)H_(2f+1)
[式中、d, eおよびfは、独立にd=0, 1, 2, 3, 4、e=1, 2, 3, 4、f=0, 1, 2, 3, 4]、および
式(C) C_(i)H_(2i+1)COO(CH_(2)CH_(2)O)_(j)C_(k)H_(2k+1)
[式中、i, jおよびkは、独立にi=0, 1, 2, 3, 4、j=1, 2, 3, 4、k=0, 1, 2, 3, 4]
を含み、
発泡剤とポリオールとを含むプレミックスとしたときに、プレミックスの気相組成における1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパン/1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタンの重量比が、25℃において1.7?4となる発泡剤。」
と訂正する。

1-19.訂正事項19
訂正前の請求項20の
「【請求項20】
ポリオールと発泡剤とを含むプレミックスとしたときに、
前記プレミックスの40℃における蒸気圧が、前記プレミックスから(i)沸点が15℃以上のハロゲン化エーテルと(ii)グリコール化合物を除いた以外は同じ重量組成比のプレミックスの40℃における蒸気圧に対して、95%以下である請求項19に記載の発泡剤。」

「【請求項15】
ポリオールと発泡剤とを含むプレミックスとしたときに、
前記プレミックスの40℃における蒸気圧が、前記プレミックスから(i)沸点が15℃以上のハロゲン化エーテルと(ii)グリコール化合物を除いた以外は同じ重量組成比のプレミックスの40℃における蒸気圧に対して、95%以下である請求項14に記載の発泡剤。」
と訂正する。

1-20.訂正事項20
訂正前の請求項21の
「【請求項21】
沸点が15℃以上のハロゲン化エーテルが、以下に示される化合物からなる群から選択される少なくとも1種の化合物である請求項19に記載の発泡剤:
1,1,2,2-テトラフルオロエチルジフルオロメチルエーテル、1,1,2,2-テトラフルオロエチルメチルエーテル、2,2,2-トリフルオロエチル-1,1,2,2-テトラフルオロエチルエーテル、1,1,2,3,3,3-ヘキサフルオロプロピルメチルエーテル、2,2,3,3-テトラフルオロプロピル-1,1,2,2-テトラフルオロエチルエーテル、1,1,2,2-テトラフルオロエチル-2,2,3,3,3-ペンタフルオロプロピルエーテル、1,1,2,3,3,3-ヘキサフルオロプロピル2,2,3,3,3-ペンタフルオロプロピルエーテル、ノナフルオロブチルメチルエーテル、ノナフルオロブチルエチルエーテル、1-トリフルオロメチル-1,2,2,2-テトラフルオロエチルメチルエーテル、パーフルオロプロピルメチルエーテル、2,2,3,3,3-ペンタフルオロプロピルジフルオロメチルエーテル、1,1,2,3,3,3-ヘキサフルオロプロピル-2,2,2-トリフルオロエチルエーテル、2,2,3,4,4,4-ヘキサフルオロブチルジフルオロメチルエーテル、1,1,2,3,3,3-ヘキサフルオロプロピル-1,1,2,2-テトラフルオロプロピルエーテル、1,1,2,3,3-ペンタフルオロ-2-トリフルオロメチルメチルエーテル、パーフルオロプロピルエポキシド、1,2,2-トリフルオロエチレントリフルオロメチルエーテルおよび1,2,2-トリフルオロエチレン-1,1,2,2,3,3,3-ヘプタフルオロプロピルエーテル。」

「【請求項16】
沸点が15℃以上のハロゲン化エーテルが、1,1,2,2-テトラフルオロエチルメチルエーテルである請求項14に記載の発泡剤。」
と訂正する。

1-21.訂正事項21
訂正前の請求項22を削除する。

1-22.訂正事項22
訂正前の請求項25の
「【請求項25】
発泡剤とポリオールとを含むプレミックスであって、
発泡剤が、1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパンと1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタン、更に、沸点が15℃以上のハロゲン化エーテルを含む混合物であり、プレミックスの気相組成における1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパン/1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタンの重量比が、25℃で1.5以上であるプレミックス。」

「【請求項17】
発泡剤とポリオールとを含むプレミックスであって、
発泡剤が、1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパンと1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタン、更に、沸点が15℃以上のハロゲン化エーテルを含む混合物であり、プレミックスの気相組成における1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパン/1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタンの重量比が、25℃で1.7?4であるプレミックス。」
と訂正する。

1-23.訂正事項23
訂正前の請求項26の
「【請求項26】
プレミックスの40℃における蒸気圧が、前記プレミックス中の発泡剤の重量組成比及びHFC245fa/HFC365mfc重量組成比を変えずに沸点が15℃以上のハロゲン化エーテルを除いたプレミックスの40℃における蒸気圧に対して、95%以下である請求項25に記載のプレミックス。」

「【請求項18】
プレミックスの40℃における蒸気圧が、前記プレミックス中の発泡剤の重量組成比及びHFC245fa/HFC365mfc重量組成比を変えずに沸点が15℃以上のハロゲン化エーテルを除いたプレミックスの40℃における蒸気圧に対して、95%以下である請求項17に記載のプレミックス。」
と訂正する。

1-24.訂正事項24
訂正前の請求項27の
「【請求項27】
前記の沸点15℃以上のハロゲン化エーテルが、以下に示される化合物からなる群から選択される少なくとも1種の化合物である請求項25に記載のプレミックス:
1,1,2,2-テトラフルオロエチルジフルオロメチルエーテル、1,1,2,2-テトラフルオロエチルメチルエーテル、2,2,2-トリフルオロエチル-1,1,2,2-テトラフルオロエチルエーテル、1,1,2,3,3,3-ヘキサフルオロプロピルメチルエーテル、2,2,3,3-テトラフルオロプロピル-1,1,2,2-テトラフルオロエチルエーテル、1,1,2,2-テトラフルオロエチル-2,2,3,3,3-ペンタフルオロプロピルエーテル、1,1,2,3,3,3-ヘキサフルオロプロピル2,2,3,3,3-ペンタフルオロプロピルエーテル、ノナフルオロブチルメチルエーテル、ノナフルオロブチルエチルエーテル、1-トリフルオロメチル-1,2,2,2-テトラフルオロエチルメチルエーテル、パーフルオロプロピルメチルエーテル、2,2,3,3,3-ペンタフルオロプロピルジフルオロメチルエーテル、1,1,2,3,3,3-ヘキサフルオロプロピル-2,2,2-トリフルオロエチルエーテル、2,2,3,4,4,4-ヘキサフルオロブチルジフルオロメチルエーテル、1,1,2,3,3,3-ヘキサフルオロプロピル-1,1,2,2-テトラフルオロプロピルエーテル、1,1,2,3,3-ペンタフルオロ-2-トリフルオロメチルメチルエーテル、パーフルオロプロピルエポキシド、1,2,2-トリフルオロエチレントリフルオロメチルエーテルおよび1,2,2-トリフルオロエチレン-1,1,2,2,3,3,3-ヘプタフルオロプロピルエーテル。」

「【請求項19】
前記の沸点15℃以上のハロゲン化エーテルが、1,1,2,2-テトラフルオロエチルメチルエーテルである請求項17に記載のプレミックス。」
と訂正する。

1-25.訂正事項25
訂正前の請求項28の
「【請求項28】
発泡剤とポリオールとを含むプレミックスであって、
発泡剤が、1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパンと1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタン、更に、グリコール化合物を含む混合物であり、プレミックスの気相組成における1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパン/1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタンの重量比が、25℃で1.5以上であるプレミックス。」

「【請求項20】
発泡剤とポリオールとを含むプレミックスであって、
発泡剤が、1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパンと1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタン、更に、以下の式(A)?(C)で示される化合物からなる群から選択される少なくとも1種のグリコール化合物;
式(A) C_(a)H_(2a+1)O(CH_(2)CH_(2)O)_(b)C_(c)H_(2c+1)
[式中、a, bおよびcは、独立にa=1, 2, 3, 4、b=1, 2, 3, 4、c=0, 1, 2, 3, 4]、
式(B) C_(d)H_(2d+1)COO(CH_(2)CH_(2)O)_(e)CO C_(f)H_(2f+1)
[式中、d, eおよびfは、独立にd=0, 1, 2, 3, 4、e=1, 2, 3, 4、f=0, 1, 2, 3, 4]、および
式(C) C_(i)H_(2i+1)COO(CH_(2)CH_(2)O)_(j)C_(k)H_(2k+1)
[式中、i, jおよびkは、独立にi=0, 1, 2, 3, 4、j=1, 2, 3, 4、k=0, 1, 2, 3, 4]
を含む混合物であり、プレミックスの気相組成における1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパン/1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタンの重量比が、25℃で1.7?4であるプレミックス。」
と訂正する。

1-26.訂正事項26
訂正前の請求項29の
「【請求項29】
プレミックスの40℃における蒸気圧が、前記プレミックスからグリコール化合物を除いた以外は前記プレミックスと同じ重量組成比のプレミックスの40℃における蒸気圧に対して、95%以下である請求項28に記載のプレミックス。」

「【請求項21】
プレミックスの40℃における蒸気圧が、前記プレミックスからグリコール化合物を除いた以外は前記プレミックスと同じ重量組成比のプレミックスの40℃における蒸気圧に対して、95%以下である請求項20に記載のプレミックス。」
と訂正する。

1-27.訂正事項27
訂正前の請求項30を削除する。

1-28.訂正事項28
訂正前の請求項31の
「【請求項31】
発泡剤とポリオールとを含むプレミックスであって、
発泡剤が、1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパンと1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタン、更に、(i)沸点が15℃以上のハロゲン化エーテルと(ii)グリコール化合物を含む混合物であり、プレミックスの気相組成における1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパン/1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタンの重量比が、25℃で1.5以上であるプレミックス。」

「【請求項22】
発泡剤とポリオールとを含むプレミックスであって、
発泡剤が、1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパンと1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタン、更に、(i)沸点が15℃以上のハロゲン化エーテルと(ii)以下の式(A)?(C)で示される化合物からなる群から選択される少なくとも1種のグリコール化合物;
式(A) C_(a)H_(2a+1)O(CH_(2)CH_(2)O)_(b)C_(c)H_(2c+1)
[式中、a, bおよびcは、独立にa=1, 2, 3, 4、b=1, 2, 3, 4、c=0, 1, 2, 3, 4]、
式(B) C_(d)H_(2d+1)COO(CH_(2)CH_(2)O)_(e)CO C_(f)H_(2f+1)
[式中、d, eおよびfは、独立にd=0, 1, 2, 3, 4、e=1, 2, 3, 4、f=0, 1, 2, 3, 4]、および
式(C) C_(i)H_(2i+1)COO(CH_(2)CH_(2)O)_(j)C_(k)H_(2k+1)
[式中、i, jおよびkは、独立にi=0, 1, 2, 3, 4、j=1, 2, 3, 4、k=0, 1, 2, 3, 4]
を含む混合物であり、プレミックスの気相組成における1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパン/1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタンの重量比が、25℃で1.7?4であるプレミックス。」

1-29.訂正事項29
訂正前の請求項32の
「【請求項32】
プレミックスの40℃における蒸気圧が、前記プレミックスから(i)沸点が15℃以上のハロゲン化エーテルと(ii)グリコール化合物を除いた以外は前記プレミックスと同じ重量組成比のプレミックスの40℃における蒸気圧に対して、95%以下である請求項31に記載のプレミックス。」

「【請求項23】
プレミックスの40℃における蒸気圧が、前記プレミックスから(i)沸点が15℃以上のハロゲン化エーテルと(ii)グリコール化合物を除いた以外は前記プレミックスと同じ重量組成比のプレミックスの40℃における蒸気圧に対して、95%以下である請求項22に記載のプレミックス。」
と訂正する。

1-30.訂正事項30
訂正前の請求項33の
「【請求項33】
前記の沸点15℃以上のハロゲン化エーテルが、以下に示される化合物からなる群から選択される少なくとも1種の化合物である請求項31に記載のプレミックス:
1,1,2,2-テトラフルオロエチルジフルオロメチルエーテル、1,1,2,2-テトラフルオロエチルメチルエーテル、2,2,2-トリフルオロエチル-1,1,2,2-テトラフルオロエチルエーテル、1,1,2,3,3,3-ヘキサフルオロプロピルメチルエーテル、2,2,3,3-テトラフルオロプロピル-1,1,2,2-テトラフルオロエチルエーテル、1,1,2,2-テトラフルオロエチル-2,2,3,3,3-ペンタフルオロプロピルエーテル、1,1,2,3,3,3-ヘキサフルオロプロピル2,2,3,3,3-ペンタフルオロプロピルエーテル、ノナフルオロブチルメチルエーテル、ノナフルオロブチルエチルエーテル、1-トリフルオロメチル-1,2,2,2-テトラフルオロエチルメチルエーテル、パーフルオロプロピルメチルエーテル、2,2,3,3,3-ペンタフルオロプロピルジフルオロメチルエーテル、1,1,2,3,3,3-ヘキサフルオロプロピル-2,2,2-トリフルオロエチルエーテル、2,2,3,4,4,4-ヘキサフルオロブチルジフルオロメチルエーテル、1,1,2,3,3,3-ヘキサフルオロプロピル-1,1,2,2-テトラフルオロプロピルエーテル、1,1,2,3,3-ペンタフルオロ-2-トリフルオロメチルメチルエーテル、パーフルオロプロピルエポキシド、1,2,2-トリフルオロエチレントリフルオロメチルエーテルおよび1,2,2-トリフルオロエチレン-1,1,2,2,3,3,3-ヘプタフルオロプロピルエーテル。」

「【請求項24】
前記の沸点15℃以上のハロゲン化エーテルが、1,1,2,2-テトラフルオロエチルメチルエーテルである請求項22に記載のプレミックス。」
と訂正する。

1-31.訂正事項31
訂正前の請求項34を削除する。

1-32.訂正事項32
訂正前の段落【0057】の
「ハロゲン含有化合物を含む発泡剤とポリオールとの混合物(プレミックス)の蒸気圧は、特に制限されないが、通常17?32℃程度、好ましくは18?28程度、より好ましくは20?28℃程度である。」

「ハロゲン含有化合物を含む発泡剤とポリオールとの混合物(プレミックス)の沸点は、特に制限されないが、通常17?32℃程度、好ましくは18?28℃程度、より好ましくは20?28℃程度である。」
と訂正する。

1-33.訂正事項33
訂正前の段落【0061】の
「【0061】
エチレングリコール化合物としては、以下の式(A)?式(C)で示される化合物などを例示することができる。
式(A) C_(a)H_(2a+1)(OCH_(2)CH_(2)O)_(b)C_(c)H_(2c+1)
[式中、a, bおよびcは、独立にa=0, 1, 2, 3, 4、b=1, 2, 3, 4、c=0, 1, 2, 3, 4]、
式(B) C_(d)H_(2d+1)CO(OCH_(2)CH_(2)O)_(e)CO C_(f)H_(2f+1)
[式中、d, eおよびfは、独立にd=0, 1, 2, 3, 4、e=1, 2, 3, 4、f=0, 1, 2, 3, 4]および
式(C) C_(i)H_(2i+1)CO(OCH_(2)CH_(2)O)_(j)C_(k)H_(2k+1)
[式中、i, jおよびkは、独立にi=0, 1, 2, 3, 4、j=1, 2, 3, 4、k=0, 1, 2, 3, 4]。」

「【0061】
エチレングリコール化合物としては、以下の式(A)?式(C)で示される化合物などを例示することができる。
式(A) C_(a)H_(2a+1)O(CH_(2)CH_(2)O)_(b)C_(c)H_(2c+1)
[式中、a, bおよびcは、独立にa=1, 2, 3, 4、b=1, 2, 3, 4、c=0, 1, 2, 3, 4]、
式(B) C_(d)H_(2d+1)COO(CH_(2)CH_(2)O)_(e)CO C_(f)H_(2f+1)
[式中、d, eおよびfは、独立にd=0, 1, 2, 3, 4、e=1, 2, 3, 4、f=0, 1, 2, 3, 4]および
式(C) C_(i)H_(2i+1)COO(CH_(2)CH_(2)O)_(j)C_(k)H_(2k+1)
[式中、i, jおよびkは、独立にi=0, 1, 2, 3, 4、j=1, 2, 3, 4、k=0, 1, 2, 3, 4]。」
と訂正する。

2.訂正の適否
2-1.訂正事項1について
訂正事項1は、無効2007-800213の審決によって、無効にされた特許に係る請求項である請求項1、2、23及び24を削除するものであるから、明りょうでない記載の釈明を目的とするものに該当する。
また、訂正事項1が特許明細書に記載した事項の範囲内においてするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでないことは明らかである。

2-2.訂正事項2について
訂正事項2は、特許無効審判の請求がされた請求項3に係る訂正事項であって、
(2-1)請求項3のプレミックスの気相組成における1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパン/1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタンの重量比を、特許明細書の段落【0032】の記載に基づいて、「25℃において1.5以上」から「25℃において1.7?4」に限定し、
(2-2)訂正事項1による請求項1及び2の削除に伴い、請求項3の項番号を繰り上げて請求項1とするものであるから、特許請求の範囲の減縮及び明りょうでない記載の釈明を目的とするものに該当する。
また、訂正事項2が特許明細書に記載した事項の範囲内においてするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでないことは明らかである。

2-3.訂正事項3について
訂正事項3は、特許無効審判の請求がされた請求項4に係る訂正事項であって、訂正事項1及び2による請求項番号の整序に伴い、請求項4の項番号を繰り上げて請求項2とし、請求項4で引用する請求項3の項番号を繰り上げて請求項1とするものであるから、明りょうでない記載の釈明を目的とするものに該当する。
また、訂正事項3が特許明細書に記載した事項の範囲内においてするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでないことは明らかである。

2-4.訂正事項4について
訂正事項4は、特許無効審判の請求がされた請求項5に係る訂正事項であって、
(4-1)請求項5の沸点が15℃以上のハロゲン化エーテルを、「以下に示される化合物からなる群から選択される少なくとも1種の化合物:
1,1,2,2-テトラフルオロエチルジフルオロメチルエーテル、1,1,2,2-テトラフルオロエチルメチルエーテル、・・・および1,2,2-トリフルオロエチレン-1,1,2,2,3,3,3-ヘプタフルオロプロピルエーテル。」から「1,1,2,2-テトラフルオロエチルメチルエーテル」に限定し、
(4-2)訂正事項1及び2による請求項番号の整序に伴い、請求項5の項番号を繰り上げて請求項3とし、請求項5で引用する請求項3の項番号を繰り上げて請求項1とするものであるから、特許請求の範囲の減縮及び明りょうでない記載の釈明を目的とするものに該当する。
また、訂正事項4が特許明細書に記載した事項の範囲内においてするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでないことは明らかである。

2-5.訂正事項5について
訂正事項5は、特許無効審判の請求がされた請求項6に係る訂正事項であって、以下の訂正事項(5-1)?(5-3)からなるものである。
(5-1)請求項6の「グリコール化合物」を、「以下の式(A)?(C)で示される化合物からなる群から選択される少なくとも1種のグリコール化合物;
式(A) C_(a)H_(2a+1)O(CH_(2)CH_(2)O)_(b)C_(c)H_(2c+1)
[式中、a, bおよびcは、独立にa=1, 2, 3, 4、b=1, 2, 3, 4、c=0, 1, 2, 3, 4]、
式(B) C_(d)H_(2d+1)COO(CH_(2)CH_(2)O)_(e)CO C_(f)H_(2f+1)
[式中、d, eおよびfは、独立にd=0, 1, 2, 3, 4、e=1, 2, 3, 4、f=0, 1, 2, 3, 4]、および
式(C) C_(i)H_(2i+1)COO(CH_(2)CH_(2)O)_(j)C_(k)H_(2k+1)
[式中、i, jおよびkは、独立にi=0, 1, 2, 3, 4、j=1, 2, 3, 4、k=0, 1, 2, 3, 4]」
とする訂正事項。
(5-2)請求項6のプレミックスの気相組成における1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパン/1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタンの重量比を、「25℃において1.5以上」から「25℃において1.7?4」とする訂正事項。
(5-3)請求項6を請求項4とする訂正事項。

2-5-1.訂正事項(5-1)について
訂正事項(5-1)は、より詳細にいえば、以下の訂正事項(5-1-1)及び(5-1-2)からなるものである。
(5-1-1)請求項6の「グリコール化合物」を、「以下の式(A)?(C)で示される化合物からなる群から選択される少なくとも1種のグリコール化合物;
式(A) C_(a)H_(2a+1)(OCH_(2)CH_(2)O)_(b)C_(c)H_(2c+1)
[式中、a, bおよびcは、独立にa=1, 2, 3, 4、b=1, 2, 3, 4、c=0, 1, 2, 3, 4]、
式(B) C_(d)H_(2d+1)CO(OCH_(2)CH_(2)O)_(e)CO C_(f)H_(2f+1)
[式中、d, eおよびfは、独立にd=0, 1, 2, 3, 4、e=1, 2, 3, 4、f=0, 1, 2, 3, 4]、および
式(C) C_(i)H_(2i+1)CO(OCH_(2)CH_(2)O)_(j)C_(k)H_(2k+1)
[式中、i, jおよびkは、独立にi=0, 1, 2, 3, 4、j=1, 2, 3, 4、k=0, 1, 2, 3, 4]」
とする訂正事項。
(5-1-2)更に上記式(A)?(C)を、
「式(A) C_(a)H_(2a+1)O(CH_(2)CH_(2)O)_(b)C_(c)H_(2c+1)
[式中、a, bおよびcは、独立にa=1, 2, 3, 4、b=1, 2, 3, 4、c=0, 1, 2, 3, 4]、
式(B) C_(d)H_(2d+1)COO(CH_(2)CH_(2)O)_(e)CO C_(f)H_(2f+1)
[式中、d, eおよびfは、独立にd=0, 1, 2, 3, 4、e=1, 2, 3, 4、f=0, 1, 2, 3, 4]、および
式(C) C_(i)H_(2i+1)COO(CH_(2)CH_(2)O)_(j)C_(k)H_(2k+1)
[式中、i, jおよびkは、独立にi=0, 1, 2, 3, 4、j=1, 2, 3, 4、k=0, 1, 2, 3, 4]」
とする訂正事項。

2-5-1-1.訂正事項(5-1-1)について
訂正事項(5-1-1)は、請求項6の「グリコール化合物」を、特許明細書の請求項8の記載に基づいて、「式(A)?(C)で示される化合物からなる群から選択される少なくとも1種のグリコール化合物」に限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
また、訂正事項(5-1-1)が特許明細書に記載した事項の範囲内においてするものであることは明らかである。

2-5-1-2.訂正事項(5-1-2)について
特許明細書には、式(A)?(C)で表されるグリコール化合物に関して、以下の事項が記載されている。
「【0061】
エチレングリコール化合物としては、以下の式(A)?式(C)で示される化合物などを例示することができる。
式(A) C_(a)H_(2a+1)(OCH_(2)CH_(2)O)_(b)C_(c)H_(2c+1)
[式中、a, bおよびcは、独立にa=0, 1, 2, 3, 4、b=1, 2, 3, 4、c=0, 1, 2, 3, 4]、
式(B) C_(d)H_(2d+1)CO(OCH_(2)CH_(2)O)_(e)CO C_(f)H_(2f+1)
[式中、d, eおよびfは、独立にd=0, 1, 2, 3, 4、e=1, 2, 3, 4、f=0, 1, 2, 3, 4]、および
式(C) C_(i)H_(2i+1)CO(OCH_(2)CH_(2)O)_(j)C_(k)H_(2k+1)
[式中、i, jおよびkは、独立にi=0, 1, 2, 3, 4、j=1, 2, 3, 4、k=0, 1, 2, 3, 4]」
【0062】
式(A)で示されるエチレングリコール化合物の具体例として、例えば、エチレングリコール、エチレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールプロピルエーテル、エチレングリコールジプロピルエーテル、エチレングリコールブチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールプロピルエーテル、ジエチレングリコールジプロピルエーテル、ジエチレングリコールブチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、トリエチレングリコールメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールエチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールプロピルエーテル、トリエチレングリコールジプロピルエーテル、トリエチレングリコールブチルエーテル、トリエチレングリコールジブチルエーテル、テトラエチレングリコールなどを例示できる。
【0063】
式(B)で示されるエチレングリコール化合物の具体例として、例えば、エチレングリコールモノフォルメート、エチレングリコールジフォルメート、ジエチレングリコールモノフォルメート、ジエチレングリコールジフォルメート、トリエチレングリコールモノフォルメート、トリエチレングリコールジフォルメート、エチレングリコールモノアセテート、エチレングリコールジアセテート、ジエチレングリコールモノアセテート、ジエチレングリコールジアセテート、トリエチレングリコールモノアセテート、トリエチレングリコールジアセテート、エチレングリコールモノプロピオネート、エチレングリコールジプロピオネート、ジエチレングリコールモノプロピオネート、ジエチレングリコールジプロピオネート、トリエチレングリコールモノプロピオネート、トリエチレングリコールジプロピオネートなどを例示できる。
【0064】
式(C)で示されるエチレングリコール化合物の具体例として、例えば、エチレングリコールメチルエーテルフォルメート、エチレングリコールエチルエーテルフォルメート、エチレングリコールプロピルエーテルフォルメート、エチレングリコールメチルエーテルアセテート、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、エチレングリコールプロピルエーテルアセテート、エチレングリコールメチルエーテルプロピオネート、エチレングリコールエチルエーテルプロピオネート、エチレングリコールプロピルエーテルプロピオネート、ジエチレングリコールメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールメチルエーテルフォルメート、ジエチレングリコールエチルエーテルフォルメート、ジエチレングリコールプロピルエーテルフォルメート、ジエチレングリコールエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールプロピルエーテルアセテート、ジエチレングリコールメチルエーテルプロピオネート、ジエチレングリコールエチルエーテルプロピオネート、ジエチレングリコールプロピルエーテルプロピオネート、トリエチレングリコールメチルエーテルフォルメート、トリエチレングリコールエチルエーテルフォルメート、トリエチレングリコールプロピルエーテルフォルメート、トリエチレングリコールメチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールエチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールプロピルエーテルアセテート、トリエチレングリコールメチルエーテルプロピオネート、トリエチレングリコールエチルエーテルプロピオネート、トリエチレングリコールプロピルエーテルプロピオネートなどを例示できる。」
(段落【0061】?【0064】)

2-5-1-2-1.式(A)について
特許明細書の段落【0062】には、式(A)で表されるグリコール化合物の具体例として、「エチレングリコール、エチレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールプロピルエーテル、エチレングリコールジプロピルエーテル、エチレングリコールブチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル」なるエチレングリコール及びそのアルキルエーテル誘導体、「ジエチレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールプロピルエーテル、ジエチレングリコールジプロピルエーテル、ジエチレングリコールブチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル」
なるジエチレングリコールのアルキルエーテル誘導体、「トリエチレングリコールメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールエチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールプロピルエーテル、トリエチレングリコールジプロピルエーテル、トリエチレングリコールブチルエーテル、トリエチレングリコールジブチルエーテル」なるトリエチレングリコールのアルキルエーテル誘導体、「テトラエチレングリコール」が例示されている。

一方、訂正前の請求項6に記載された式(A)は、
「式(A) C_(a)H_(2a+1)(OCH_(2)CH_(2)O)_(b)C_(c)H_(2c+1)
[式中、a, bおよびcは、独立にa=0, 1, 2, 3, 4、b=1, 2, 3, 4、c=0, 1, 2, 3, 4]」
で表されるものであり、b=1、2、3、4の場合に、それぞれ、以下の化学式(以下、それぞれ、「式(A-1)」?「式(A-4)」という。)を表すものである。
式(A-1) C_(a)H_(2a+1)OCH_(2)CH_(2)OC_(c)H_(2c+1)
式(A-2) C_(a)H_(2a+1)OCH_(2)CH_(2)OOCH_(2)CH_(2)OC_(c)H_(2c+1)
式(A-3) C_(a)H_(2a+1)OCH_(2)CH_(2)OOCH_(2)CH_(2)OOCH_(2)CH_(2)OC_(c)H_(2c+1)
式(A-4) C_(a)H_(2a+1)OCH_(2)CH_(2)OOCH_(2)CH_(2)OOCH_(2)CH_(2)OOCH_(2)CH_(2)OC_(c)H_(2c+1)
式(A-1)は、特許明細書に例示されたエチレングリコール及びそのアルキルエーテル誘導体を表すものとして適切であるが、式(A-2)?式(A-4)は、いずれも、その化学式中にパーオキサイド結合を有するものであり、特許明細書に例示されたジエチレングリコールのアルキルエーテル誘導体、トリエチレングリコールのアルキルエーテル誘導体及びテトラエチレングリコールを表すものとして適切でないから、訂正前の式(A)の記載は、何らかの誤記を含むものと認められる。

そして、式(A)中の「(OCH_(2)CH_(2)O)_(b)」なる化学式は、特許明細書に例示されたエチレングリコール及びそのアルキルエーテル、ジエチレングリコールのアルキルエーテル誘導体、トリエチレングリコールのアルキルエーテル誘導体及びテトラエチレングリコールにおける、エチレングリコール部分、ジエチレングリコール部分、トリエチレングリコール部分及びテトラエチレングリコール部分の化学構造をそれぞれ表すことを意図しているものと認められるところ、これらの化学構造は、通常「O(CH_(2)CH_(2)O)_(b)」なる化学式により表されるものである。

してみると、訂正前の式(A)の
「式(A) C_(a)H_(2a+1)(OCH_(2)CH_(2)O)_(b)C_(c)H_(2c+1)
[式中、a, bおよびcは、独立にa=1, 2, 3, 4、b=1, 2, 3, 4、c=0, 1, 2, 3, 4]」
が、訂正後の式(A)の
「式(A) C_(a)H_(2a+1)O(CH_(2)CH_(2)O)_(b)C_(c)H_(2c+1)
[式中、a, bおよびcは、独立にa=1, 2, 3, 4、b=1, 2, 3, 4、c=0, 1, 2, 3, 4]、
の誤記であることは明らかである。

2-5-1-2-2.式(B)について
特許明細書の段落【0063】には、式(B)で表されるグリコール化合物の具体例として、「エチレングリコールジフォルメート」、「エチレングリコールジアセテート」、「エチレングリコールジプロピオネート」なるエチレングリコールのジエステル誘導体、「ジエチレングリコールジフォルメート」、「ジエチレングリコールジアセテート」、「ジエチレングリコールジプロピオネート」なるジエチレングリコールのジエステル誘導体、及び
「トリエチレングリコールジフォルメート」、「トリエチレングリコールジアセテート」、「トリエチレングリコールジプロピオネート」なるトリエチレングリコールのジエステル誘導体が例示されている。

なお、同段落に式(B)で表されるグリコール化合物の具体例として例示された「エチレングリコールモノフォルメート」、「ジエチレングリコールモノフォルメート」、「トリエチレングリコールモノフォルメート」、「エチレングリコールモノアセテート」、「ジエチレングリコールモノアセテート」、「トリエチレングリコールモノアセテート」、「エチレングリコールモノプロピオネート」、「ジエチレングリコールモノプロピオネート」、「トリエチレングリコールモノプロピオネート」は、エチレングリコールのモノエステル誘導体、ジエチレングリコールのモノエステル誘導体又はトリエチレングリコールのモノエステル誘導体であるから、本来、モノエステル誘導体の化学式である式(C)で表されるグリコール化合物の具体例として例示すべきものを誤って、式(B)で表されるグリコール化合物の具体例として例示したものと認められる。

そして、上記「2-5-1-2-1.式(A)について」で述べた理由と同様の理由により、訂正前の式(B)の
「式(B) C_(d)H_(2d+1)CO(OCH_(2)CH_(2)O)_(e)CO C_(f)H_(2f+1)
[式中、d, eおよびfは、独立にd=0, 1, 2, 3, 4、e=1, 2, 3, 4、f=0, 1, 2, 3, 4]」
は、訂正後の式(B)の
「式(B) C_(d)H_(2d+1)COO(CH_(2)CH_(2)O)_(e)CO C_(f)H_(2f+1)
[式中、d, eおよびfは、独立にd=0, 1, 2, 3, 4、e=1, 2, 3, 4、f=0, 1, 2, 3, 4]、」
の誤記であることは明らかである。

2-5-1-2-3.式(C)について
特許明細書の段落【0064】には、式(C)で表されるエチレングリコール化合物の具体例として、「エチレングリコールメチルエーテルフォルメート、エチレングリコールエチルエーテルフォルメート、エチレングリコールプロピルエーテルフォルメート、エチレングリコールメチルエーテルアセテート、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、エチレングリコールプロピルエーテルアセテート、エチレングリコールメチルエーテルプロピオネート、エチレングリコールエチルエーテルプロピオネート、エチレングリコールプロピルエーテルプロピオネート」なるエチレングリコールのモノエステル誘導体、「ジエチレングリコールメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールメチルエーテルフォルメート、ジエチレングリコールエチルエーテルフォルメート、ジエチレングリコールプロピルエーテルフォルメート、ジエチレングリコールエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールプロピルエーテルアセテート、ジエチレングリコールメチルエーテルプロピオネート、ジエチレングリコールエチルエーテルプロピオネート、ジエチレングリコールプロピルエーテルプロピオネート」なるジエチレングリコールのモノエステル誘導体、「トリエチレングリコールメチルエーテルフォルメート、トリエチレングリコールエチルエーテルフォルメート、トリエチレングリコールプロピルエーテルフォルメート、トリエチレングリコールメチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールエチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールプロピルエーテルアセテート、トリエチレングリコールメチルエーテルプロピオネート、トリエチレングリコールエチルエーテルプロピオネート、トリエチレングリコールプロピルエーテルプロピオネート」なるトリエチレングリコールのモノエステル誘導体が例示されている。

そして、上記「2-5-1-2-1.式(A)について」で述べた理由と同様の理由により、訂正前の式(C)の
「式(C) C_(i)H_(2i+1)CO(OCH_(2)CH_(2)O)_(j)C_(k)H_(2k+1)
[式中、i, jおよびkは、独立にi=0, 1, 2, 3, 4、j=1, 2, 3, 4、k=0, 1, 2, 3, 4]」
が、訂正後の式(C)の
「式(C) C_(i)H_(2i+1)COO(CH_(2)CH_(2)O)_(j)C_(k)H_(2k+1)
[式中、i, jおよびkは、独立にi=0, 1, 2, 3, 4、j=1, 2, 3, 4、k=0, 1, 2, 3, 4]」
の誤記であることは明らかである。

2-5-1-2-4.訂正事項(5-1-2)についてのまとめ
してみると、訂正事項(5-1-2)は、誤記の訂正を目的とするものに該当する。
また、訂正事項(5-1-2)は、誤記を本来意図していたことが明らかな記載に正すものであるから、特許明細書に記載した事項の範囲内においてするものである。

2-5-1-3.訂正事項(5-1)についてのまとめ
したがって、訂正事項(5-1-1)及び(5-1-2)からなる訂正事項(5-1)は、特許請求の範囲の減縮及び誤記の訂正を目的とするものに該当し、また、特許明細書に記載した事項の範囲内においてするものである。

2-5-2.訂正事項(5-2)について
訂正事項(5-2)は、請求項6のプレミックスの気相組成における1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパン/1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタンの重量比を、特許明細書の段落【0032】の記載に基づいて、「25℃において1.5以上」から「25℃において1.7?4」に限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
また、訂正事項(5-2)が特許明細書に記載した事項の範囲内においてするものであることは明らかである。

2-5-3.訂正事項(5-3)について
訂正事項(5-3)は、訂正事項1による請求項1及び2の削除に伴い、請求項6の項番号を繰り上げて請求項4とするものであるから、明りょうでない記載の釈明を目的とするものに該当する。
また、訂正事項(5-3)が特許明細書に記載した事項の範囲内においてするものであることは明らかである。

2-5-4.訂正事項5についてのまとめ
したがって、訂正事項(5-1)?(5-3)からなる訂正事項5は、特許請求の範囲の減縮、誤記の訂正及び明りょうでない記載の釈明を目的とするものに該当する。
また、訂正事項5は、特許明細書に記載した事項の範囲内においてするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでない。

2-6.訂正事項6について
訂正事項6は、特許無効審判の請求がされた請求項7に係る訂正事項であって、訂正事項1及び5による請求項番号の整序に伴い、請求項7の項番号を繰り上げて請求項5とし、請求項7で引用する請求項6の項番号を繰り上げて請求項4とするものであるから、明りょうでない記載の釈明を目的とするものに該当する。
また、訂正事項6が特許明細書に記載した事項の範囲内においてするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでないことは明らかである。

2-7.訂正事項7について
訂正事項7は、特許無効審判の請求がされた請求項8に係る訂正事項であって、請求項8を削除するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
また、訂正事項7が特許明細書に記載した事項の範囲内においてするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでないことは明らかである。

2-8.訂正事項8について
訂正事項8は、特許無効審判の請求がされた請求項9に係る訂正事項であって、以下の訂正事項(8-1)?(8-3)からなるものである。
(8-1)請求項9の「グリコール化合物」を、「以下の式(A)?(C)で示される化合物からなる群から選択される少なくとも1種のグリコール化合物;
式(A) C_(a)H_(2a+1)O(CH_(2)CH_(2)O)_(b)C_(c)H_(2c+1)
[式中、a, bおよびcは、独立にa=1, 2, 3, 4、b=1, 2, 3, 4、c=0, 1, 2, 3, 4]、
式(B) C_(d)H_(2d+1)COO(CH_(2)CH_(2)O)_(e)CO C_(f)H_(2f+1)
[式中、d, eおよびfは、独立にd=0, 1, 2, 3, 4、e=1, 2, 3, 4、f=0, 1, 2, 3, 4]、および
式(C) C_(i)H_(2i+1)COO(CH_(2)CH_(2)O)_(j)C_(k)H_(2k+1)
[式中、i, jおよびkは、独立にi=0, 1, 2, 3, 4、j=1, 2, 3, 4、k=0, 1, 2, 3, 4]」
とする訂正事項。
(8-2)請求項9のプレミックスの気相組成における1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパン/1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタンの重量比を、「25℃において1.5以上」から「25℃において1.7?4」とする訂正事項。
(8-3)請求項9を請求項6とする訂正事項。

2-8-1.訂正事項(8-1)について
訂正事項(8-1)は、より詳細にいえば、以下の訂正事項(8-1-1)及び(8-1-2)からなるものである。
(8-1-1)請求項9の「グリコール化合物」を、「以下の式(A)?(C)で示される化合物からなる群から選択される少なくとも1種のグリコール化合物;
式(A) C_(a)H_(2a+1)(OCH_(2)CH_(2)O)_(b)C_(c)H_(2c+1)
[式中、a, bおよびcは、独立にa=1, 2, 3, 4、b=1, 2, 3, 4、c=0, 1, 2, 3, 4]、
式(B) C_(d)H_(2d+1)CO(OCH_(2)CH_(2)O)_(e)CO C_(f)H_(2f+1)
[式中、d, eおよびfは、独立にd=0, 1, 2, 3, 4、e=1, 2, 3, 4、f=0, 1, 2, 3, 4]、および
式(C) C_(i)H_(2i+1)CO(OCH_(2)CH_(2)O)_(j)C_(k)H_(2k+1)
[式中、i, jおよびkは、独立にi=0, 1, 2, 3, 4、j=1, 2, 3, 4、k=0, 1, 2, 3, 4]」
とする訂正事項。
(8-1-2)更に上記式(A)?(C)を、
「式(A) C_(a)H_(2a+1)O(CH_(2)CH_(2)O)_(b)C_(c)H_(2c+1)
[式中、a, bおよびcは、独立にa=1, 2, 3, 4、b=1, 2, 3, 4、c=0, 1, 2, 3, 4]、
式(B) C_(d)H_(2d+1)COO(CH_(2)CH_(2)O)_(e)CO C_(f)H_(2f+1)
[式中、d, eおよびfは、独立にd=0, 1, 2, 3, 4、e=1, 2, 3, 4、f=0, 1, 2, 3, 4]、および
式(C) C_(i)H_(2i+1)COO(CH_(2)CH_(2)O)_(j)C_(k)H_(2k+1)
[式中、i, jおよびkは、独立にi=0, 1, 2, 3, 4、j=1, 2, 3, 4、k=0, 1, 2, 3, 4]」
とする訂正事項。

2-8-1-1.訂正事項(8-1-1)について
訂正事項(8-1-1)は、請求項9の「グリコール化合物」を、特許明細書の請求項12の記載に基づいて、「式(A)?(C)で示される化合物からなる群から選択される少なくとも1種のグリコール化合物」に限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
また、訂正事項(8-1-1)が特許明細書に記載した事項の範囲内においてするものであることは明らかである。

2-8-1-2.訂正事項(8-1-2)について
上記「2-5-1-2.訂正事項(5-1-2)について」で述べた理由と同様の理由により、訂正事項(8-1-2)は、誤記の訂正を目的とするものに該当し、また、特許明細書に記載した事項の範囲内においてするものである。

2-8-1-3.訂正事項(8-1)についてのまとめ
したがって、訂正事項(8-1-1)及び(8-1-2)からなる訂正事項(8-1)は、特許請求の範囲の減縮及び誤記の訂正を目的とするものに該当し、また、特許明細書に記載した事項の範囲内においてするものである。

2-8-2.訂正事項(8-2)について
訂正事項(8-2)は、請求項9のプレミックスの気相組成における1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパン/1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタンの重量比を、特許明細書の段落【0032】の記載に基づいて、「25℃において1.5以上」から「25℃において1.7?4」に限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
また、訂正事項(8-2)が特許明細書に記載した事項の範囲内においてするものであることは明らかである。

2-8-3.訂正事項(8-3)について
訂正事項(8-3)は、訂正事項1及び7による請求項番号の整序に伴い、請求項9の項番号を繰り上げて請求項6とするものであるから、明りょうでない記載の釈明を目的とするものに該当する。
また、訂正事項(8-3)が特許明細書に記載した事項の範囲内においてするものであることは明らかである。

2-8-4.訂正事項8についてのまとめ
したがって、訂正事項(8-1)?(8-3)からなる訂正事項8は、特許請求の範囲の減縮、誤記の訂正及び明りょうでない記載の釈明を目的とするものに該当する。
また、訂正事項8は、特許明細書に記載した事項の範囲内においてするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでない。

2-9.訂正事項9について
訂正事項9は、特許無効審判の請求がされた請求項10に係る訂正事項であって、訂正事項1、7及び8による請求項番号の整序に伴い、請求項10の項番号を繰り上げて請求項7とし、請求項10で引用する請求項9の項番号を繰り上げて請求項6とするものであるから、明りょうでない記載の釈明を目的とするものに該当する。
また、訂正事項9が特許明細書に記載した事項の範囲内においてするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでないことは明らかである。

2-10.訂正事項10について
訂正事項10は、特許無効審判の請求がされた請求項11に係る訂正事項であって、
(10-1)請求項11の沸点が15℃以上のハロゲン化エーテルを、「以下に示される化合物からなる群から選択される少なくとも1種の化合物:
1,1,2,2-テトラフルオロエチルジフルオロメチルエーテル、1,1,2,2-テトラフルオロエチルメチルエーテル、・・・および1,2,2-トリフルオロエチレン-1,1,2,2,3,3,3-ヘプタフルオロプロピルエーテル。」から「1,1,2,2-テトラフルオロエチルメチルエーテル」に限定し、
(10-2)訂正事項1、7及び8による請求項番号の整序に伴い、請求項11の項番号を繰り上げて請求項8とし、請求項11で引用する請求項9の項番号を繰り上げて請求項6とする
ものであるから、特許請求の範囲の減縮及び明りょうでない記載の釈明を目的とするものに該当する。
また、訂正事項10が特許明細書に記載した事項の範囲内においてするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでないことは明らかである。

2-11.訂正事項11について
訂正事項11は、特許無効審判の請求がされた請求項12に係る訂正事項であって、請求項12を削除するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
また、訂正事項11が特許明細書に記載した事項の範囲内においてするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでないことは明らかである。

2-12.訂正事項12について
訂正事項12は、特許無効審判の請求がされた請求項13に係る訂正事項であって、
(12-1)請求項13のプレミックスの気相組成における1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパン/1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタンの重量比を、特許明細書の段落【0032】の記載に基づいて、「25℃において1.5以上」から「25℃において1.7?4」に限定し、
(12-2)訂正事項1、7及び11による請求項番号の整序に伴い、請求項13の項番号を繰り上げて請求項9とする
ものであるから、特許請求の範囲の減縮及び明りょうでない記載の釈明を目的とするものに該当する。
また、訂正事項12が特許明細書に記載した事項の範囲内においてするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでないことは明らかである。

2-13.訂正事項13について
訂正事項13は、特許無効審判の請求がされた請求項14に係る訂正事項であって、訂正事項1、7、11及び12による請求項番号の整序に伴い、請求項14の項番号を繰り上げて請求項10とするとともに、請求項14で引用する請求項13の項番号を繰り上げて請求項9とするものであるから、明りょうでない記載の釈明を目的とするものに該当する。
また、訂正事項13が特許明細書に記載した事項の範囲内においてするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでないことは明らかである。

2-14.訂正事項14について
訂正事項14は、特許無効審判の請求がされた請求項15に係る訂正事項であって、
(14-1)請求項15の沸点が15℃以上のハロゲン化エーテルを、「以下に示される化合物からなる群から選択される少なくとも1種の化合物:
1,1,2,2-テトラフルオロエチルジフルオロメチルエーテル、1,1,2,2-テトラフルオロエチルメチルエーテル、・・・および1,2,2-トリフルオロエチレン-1,1,2,2,3,3,3-ヘプタフルオロプロピルエーテル。」から「1,1,2,2-テトラフルオロエチルメチルエーテル」に限定し、
(14-2)訂正事項1、7、11及び12による請求項番号の整序に伴い、請求項15の項番号を繰り上げて請求項11とするとともに、請求項15で引用する請求項13の項番号を繰り上げて請求項9とする
ものであるから、特許請求の範囲の減縮及び明りょうでない記載の釈明を目的とするものに該当する。
また、訂正事項14が特許明細書に記載した事項の範囲内においてするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでないことは明らかである。

2-15.訂正事項15について
訂正事項15は、特許無効審判の請求がされた請求項16に係る訂正事項であって、以下の訂正事項(15-1)?(15-3)からなるものである。
(15-1)請求項16の「グリコール化合物」を、「以下の式(A)?(C)で示される化合物からなる群から選択される少なくとも1種のグリコール化合物;
式(A) C_(a)H_(2a+1)O(CH_(2)CH_(2)O)_(b)C_(c)H_(2c+1)
[式中、a, bおよびcは、独立にa=1, 2, 3, 4、b=1, 2, 3, 4、c=0, 1, 2, 3, 4]、
式(B) C_(d)H_(2d+1)COO(CH_(2)CH_(2)O)_(e)CO C_(f)H_(2f+1)
[式中、d, eおよびfは、独立にd=0, 1, 2, 3, 4、e=1, 2, 3, 4、f=0, 1, 2, 3, 4]、および
式(C) C_(i)H_(2i+1)COO(CH_(2)CH_(2)O)_(j)C_(k)H_(2k+1)
[式中、i, jおよびkは、独立にi=0, 1, 2, 3, 4、j=1, 2, 3, 4、k=0, 1, 2, 3, 4]」
とする訂正事項。
(15-2)請求項16のプレミックスの気相組成における1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパン/1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタンの重量比を、「25℃において1.5以上」から「25℃において1.7?4」とする訂正事項。
(15-3)請求項16を請求項12とする訂正事項。

2-15-1.訂正事項(15-1)について
訂正事項(15-1)は、より詳細にいえば、以下の訂正事項(15-1-1)及び(15-1-2)からなるものである。
(15-1-1)請求項16の「グリコール化合物」を、「以下の式(A)?(C)で示される化合物からなる群から選択される少なくとも1種のグリコール化合物;
式(A) C_(a)H_(2a+1)(OCH_(2)CH_(2)O)_(b)C_(c)H_(2c+1)
[式中、a, bおよびcは、独立にa=1, 2, 3, 4、b=1, 2, 3, 4、c=0, 1, 2, 3, 4]、
式(B) C_(d)H_(2d+1)CO(OCH_(2)CH_(2)O)_(e)CO C_(f)H_(2f+1)
[式中、d, eおよびfは、独立にd=0, 1, 2, 3, 4、e=1, 2, 3, 4、f=0, 1, 2, 3, 4]、および
式(C) C_(i)H_(2i+1)CO(OCH_(2)CH_(2)O)_(j)C_(k)H_(2k+1)
[式中、i, jおよびkは、独立にi=0, 1, 2, 3, 4、j=1, 2, 3, 4、k=0, 1, 2, 3, 4]」
とする訂正事項。
(15-1-2)更に上記式(A)?(C)を、
「式(A) C_(a)H_(2a+1)O(CH_(2)CH_(2)O)_(b)C_(c)H_(2c+1)
[式中、a, bおよびcは、独立にa=1, 2, 3, 4、b=1, 2, 3, 4、c=0, 1, 2, 3, 4]、
式(B) C_(d)H_(2d+1)COO(CH_(2)CH_(2)O)_(e)CO C_(f)H_(2f+1)
[式中、d, eおよびfは、独立にd=0, 1, 2, 3, 4、e=1, 2, 3, 4、f=0, 1, 2, 3, 4]、および
式(C) C_(i)H_(2i+1)COO(CH_(2)CH_(2)O)_(j)C_(k)H_(2k+1)
[式中、i, jおよびkは、独立にi=0, 1, 2, 3, 4、j=1, 2, 3, 4、k=0, 1, 2, 3, 4]」
とする訂正事項。

2-15-1-1.訂正事項(15-1-1)について
訂正事項(15-1-1)は、請求項16の「グリコール化合物」を、特許明細書の請求項18の記載に基づいて、「式(A)?(C)で示される化合物からなる群から選択される少なくとも1種のグリコール化合物」に限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
また、訂正事項(15-1-1)が特許明細書に記載した事項の範囲内においてするものであることは明らかである。

2-15-1-2.訂正事項(15-1-2)について
上記「2-5-1-2.訂正事項(5-1-2)について」で述べた理由と同様の理由により、訂正事項(15-1-2)は、誤記の訂正を目的とするものに該当し、また、特許明細書に記載した事項の範囲内においてするものである。

2-15-1-3.訂正事項(15-1)についてのまとめ
したがって、訂正事項(15-1-1)及び(15-1-2)からなる訂正事項(15-1)は、特許請求の範囲の減縮及び誤記の訂正を目的とするものに該当し、また、特許明細書に記載した事項の範囲内においてするものである。

2-15-2.訂正事項(15-2)について
訂正事項(15-2)は、請求項16のプレミックスの気相組成における1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパン/1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタンの重量比を、特許明細書の段落【0032】の記載に基づいて、「25℃において1.5以上」から「25℃において1.7?4」に限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
また、訂正事項(15-2)が特許明細書に記載した事項の範囲内においてするものであることは明らかである。

2-15-3.訂正事項(15-3)について
訂正事項(15-3)は、訂正事項1、7及び11による請求項番号の整序に伴い、請求項16の項番号を繰り上げて請求項12とするものであるから、明りょうでない記載の釈明を目的とするものに該当する。
また、訂正事項(15-3)が特許明細書に記載した事項の範囲内においてするものであることは明らかである。

2-15-4.訂正事項15についてのまとめ
したがって、訂正事項(15-1)?(15-3)からなる訂正事項15は、特許請求の範囲の減縮、誤記の訂正及び明りょうでない記載の釈明を目的とするものに該当する。
また、訂正事項15は、特許明細書に記載した事項の範囲内においてするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでない。

2-16.訂正事項16について
訂正事項16は、特許無効審判の請求がされた請求項17に係る訂正事項であって、訂正事項1、7、11及び15による請求項番号の整序に伴い、請求項17の項番号を繰り上げて請求項13とするとし、請求項17で引用する請求項16の項番号を繰り上げて請求項12とするものであるから、明りょうでない記載の釈明を目的とするものに該当する。
また、訂正事項16が特許明細書に記載した事項の範囲内においてするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでないことは明らかである。

2-17.訂正事項17について
訂正事項17は、特許無効審判の請求がされた請求項18に係る訂正事項であって、請求項18を削除するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
また、訂正事項17が特許明細書に記載した事項の範囲内においてするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでないことは明らかである。

2-18.訂正事項18について
訂正事項18は、特許無効審判の請求がされた請求項19に係る訂正事項であって、以下の訂正事項(18-1)?(18-3)からなるものである。
(18-1)請求項19の「グリコール化合物」を、「以下の式(A)?(C)で示される化合物からなる群から選択される少なくとも1種のグリコール化合物;
式(A) C_(a)H_(2a+1)O(CH_(2)CH_(2)O)_(b)C_(c)H_(2c+1)
[式中、a, bおよびcは、独立にa=1, 2, 3, 4、b=1, 2, 3, 4、c=0, 1, 2, 3, 4]、
式(B) C_(d)H_(2d+1)COO(CH_(2)CH_(2)O)_(e)CO C_(f)H_(2f+1)
[式中、d, eおよびfは、独立にd=0, 1, 2, 3, 4、e=1, 2, 3, 4、f=0, 1, 2, 3, 4]、および
式(C) C_(i)H_(2i+1)COO(CH_(2)CH_(2)O)_(j)C_(k)H_(2k+1)
[式中、i, jおよびkは、独立にi=0, 1, 2, 3, 4、j=1, 2, 3, 4、k=0, 1, 2, 3, 4]」
とする訂正事項。
(18-2)請求項19のプレミックスの気相組成における1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパン/1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタンの重量比を、「25℃において1.5以上」から「25℃において1.7?4」に限定する訂正事項。
(18-3)請求項19を請求項14とする訂正事項。

2-18-1.訂正事項(18-1)について
訂正事項(18-1)は、より詳細にいえば、以下の訂正事項(18-1-1)及び(18-1-2)からなるものである。
(18-1-1)請求項19の「グリコール化合物」を、「以下の式(A)?(C)で示される化合物からなる群から選択される少なくとも1種のグリコール化合物;
式(A) C_(a)H_(2a+1)(OCH_(2)CH_(2)O)_(b)C_(c)H_(2c+1)
[式中、a, bおよびcは、独立にa=1, 2, 3, 4、b=1, 2, 3, 4、c=0, 1, 2, 3, 4]、
式(B) C_(d)H_(2d+1)CO(OCH_(2)CH_(2)O)_(e)CO C_(f)H_(2f+1)
[式中、d, eおよびfは、独立にd=0, 1, 2, 3, 4、e=1, 2, 3, 4、f=0, 1, 2, 3, 4]、および
式(C) C_(i)H_(2i+1)CO(OCH_(2)CH_(2)O)_(j)C_(k)H_(2k+1)
[式中、i, jおよびkは、独立にi=0, 1, 2, 3, 4、j=1, 2, 3, 4、k=0, 1, 2, 3, 4]」
とする訂正事項。
(18-1-2)更に上記式(A)?(C)を、
「式(A) C_(a)H_(2a+1)O(CH_(2)CH_(2)O)_(b)C_(c)H_(2c+1)
[式中、a, bおよびcは、独立にa=1, 2, 3, 4、b=1, 2, 3, 4、c=0, 1, 2, 3, 4]、
式(B) C_(d)H_(2d+1)COO(CH_(2)CH_(2)O)_(e)CO C_(f)H_(2f+1)
[式中、d, eおよびfは、独立にd=0, 1, 2, 3, 4、e=1, 2, 3, 4、f=0, 1, 2, 3, 4]、および
式(C) C_(i)H_(2i+1)COO(CH_(2)CH_(2)O)_(j)C_(k)H_(2k+1)
[式中、i, jおよびkは、独立にi=0, 1, 2, 3, 4、j=1, 2, 3, 4、k=0, 1, 2, 3, 4]」
とする訂正事項。

2-18-1-1.訂正事項(18-1-1)について
上記訂正事項(18-1-1)は、請求項19の「グリコール化合物」を、特許明細書の請求項22の記載に基づいて、「式(A)?(C)で示される化合物からなる群から選択される少なくとも1種のグリコール化合物」に限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
また、訂正事項(18-1-1)が特許明細書に記載した事項の範囲内においてするものであることは明らかである。

2-18-1-2.訂正事項(18-1-2)について
上記「2-5-1-2.訂正事項(5-1-2)について」で述べた理由と同様の理由により、訂正事項(18-1-2)は、誤記の訂正を目的とするものに該当し、また、特許明細書に記載した事項の範囲内においてするものである。

2-18-1-3.訂正事項(18-1)についてのまとめ
したがって、訂正事項(18-1-1)及び(18-1-2)からなる訂正事項(18-1)は、特許請求の範囲の減縮及び誤記の訂正を目的とするものに該当し、また、特許明細書に記載した事項の範囲内においてするものである。

2-18-2.訂正事項(18-2)について
訂正事項(18-2)は、請求項19のプレミックスの気相組成における1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパン/1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタンの重量比を、特許明細書の段落【0032】の記載に基づいて、「25℃において1.5以上」から「25℃において1.7?4」に限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
また、訂正事項(18-2)が特許明細書に記載した事項の範囲内においてするものであることは明らかである。

2-18-3.訂正事項(18-3)について
訂正事項(18-3)は、訂正事項1、7、11及び17による請求項番号の整序に伴い、請求項19の項番号を繰り上げて請求項14とするものであるから、明りょうでない記載の釈明を目的とするものに該当する。
また、訂正事項(18-3)が特許明細書に記載した事項の範囲内においてするものであることは明らかである。

2-18-4.訂正事項18についてのまとめ
したがって、訂正事項(18-1)?(18-3)からなる訂正事項18は、特許請求の範囲の減縮、誤記の訂正及び明りょうでない記載の釈明を目的とするものに該当する。
また、訂正事項18は、特許明細書に記載した事項の範囲内においてするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでない。

2-19.訂正事項19について
訂正事項19は、特許無効審判の請求がされた請求項20に係る訂正事項であって、訂正事項1、7、11、17及び18による請求項番号の整序に伴い、請求項20の項番号を繰り上げて請求項15とし、請求項20で引用する請求項19の項番号を繰り上げて請求項14とするものであるから、明りょうでない記載の釈明を目的とするものに該当する。
また、訂正事項19が特許明細書に記載した事項の範囲内においてするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでないことは明らかである。

2-20.訂正事項20について
訂正事項20は、特許無効審判の請求がされた請求項21に係る訂正事項であって、
(20-1)請求項21の沸点が15℃以上のハロゲン化エーテルを、「以下に示される化合物からなる群から選択される少なくとも1種の化合物:
1,1,2,2-テトラフルオロエチルジフルオロメチルエーテル、1,1,2,2-テトラフルオロエチルメチルエーテル、・・・および1,2,2-トリフルオロエチレン-1,1,2,2,3,3,3-ヘプタフルオロプロピルエーテル。」から「1,1,2,2-テトラフルオロエチルメチルエーテル」に限定し、
(20-2)訂正事項1、7、11、17及び18による請求項番号の整序に伴い、請求項21の項番号を繰り上げて請求項16とし、請求項21で引用する請求項19の項番号を繰り上げて請求項14とする
ものであるから、特許請求の範囲の減縮及び明りょうでない記載の釈明を目的とするものに該当する。
また、訂正事項20が特許明細書に記載した事項の範囲内においてするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでないことは明らかである。

2-21.訂正事項21について
訂正事項21は、特許無効審判の請求がされた請求項22に係る訂正事項であって、請求項22を削除するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
また、訂正事項21が特許明細書に記載した事項の範囲内においてするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでないことは明らかである。

2-22.訂正事項22について
訂正事項22は、特許無効審判の請求がされた請求項25に係る訂正事項であって、
(22-1)請求項25のプレミックスの気相組成における1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパン/1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタンの重量比を、特許明細書の段落【0032】の記載に基づいて、「25℃において1.5以上」から「25℃において1.7?4」に限定し、
(22-2)訂正事項1、7、11、17及び21による請求項番号の整序に伴い、請求項25の項番号を繰り上げて請求項17とする
ものであるから、特許請求の範囲の減縮及び明りょうでない記載の釈明を目的とするものに該当する。
また、訂正事項22が特許明細書に記載した事項の範囲内においてするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでないことは明らかである。

2-23.訂正事項23について
訂正事項23は、特許無効審判の請求がされた請求項26に係る訂正事項であって、訂正事項1、7、11、17、21及び22による請求項番号の整序に伴い、請求項26の項番号を繰り上げて請求項18とし、請求項26で引用する請求項25の項番号を繰り上げて請求項17とするものであるから、明りょうでない記載の釈明を目的とするものに該当する。
また、訂正事項23が特許明細書に記載した事項の範囲内においてするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでないことは明らかである。

2-24.訂正事項24について
訂正事項24は、特許無効審判の請求がされた請求項27に係る訂正事項であって、
(24-1)請求項27の沸点が15℃以上のハロゲン化エーテルを、「以下に示される化合物からなる群から選択される少なくとも1種の化合物:
1,1,2,2-テトラフルオロエチルジフルオロメチルエーテル、1,1,2,2-テトラフルオロエチルメチルエーテル、・・・および1,2,2-トリフルオロエチレン-1,1,2,2,3,3,3-ヘプタフルオロプロピルエーテル。」から「1,1,2,2-テトラフルオロエチルメチルエーテル」に限定し、
(24-2)訂正事項1、7、11、17、21及び22による請求項番号の整序に伴い、請求項27の項番号を繰り上げて請求項19とし、請求項27で引用する請求項25の項番号を繰り上げて請求項17とする
ものであるから、特許請求の範囲の減縮及び明りょうでない記載の釈明を目的とするものに該当する。
また、訂正事項24が特許明細書に記載した事項の範囲内においてするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでないことは明らかである。

2-25.訂正事項25について
訂正事項25は、特許無効審判の請求がされた請求項28に係る訂正事項であって、以下の訂正事項(25-1)?(25-3)からなるものである。
(25-1)請求項28の「グリコール化合物」を、「以下の式(A)?(C)で示される化合物からなる群から選択される少なくとも1種のグリコール化合物;
式(A) C_(a)H_(2a+1)O(CH_(2)CH_(2)O)_(b)C_(c)H_(2c+1)
[式中、a, bおよびcは、独立にa=1, 2, 3, 4、b=1, 2, 3, 4、c=0, 1, 2, 3, 4]、
式(B) C_(d)H_(2d+1)COO(CH_(2)CH_(2)O)_(e)CO C_(f)H_(2f+1)
[式中、d, eおよびfは、独立にd=0, 1, 2, 3, 4、e=1, 2, 3, 4、f=0, 1, 2, 3, 4]、および
式(C) C_(i)H_(2i+1)COO(CH_(2)CH_(2)O)_(j)C_(k)H_(2k+1)
[式中、i, jおよびkは、独立にi=0, 1, 2, 3, 4、j=1, 2, 3, 4、k=0, 1, 2, 3, 4]」
とする訂正事項。
(25-2)請求項28のプレミックスの気相組成における1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパン/1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタンの重量比を、「25℃において1.5以上」から「25℃において1.7?4」とする訂正事項。
(25-3)請求項28を請求項20とする訂正事項。

2-25-1.訂正事項(25-1)について
訂正事項(25-1)は、より詳細にいえば、以下の訂正事項(25-1-1)及び(25-1-2)からなるものである。
(25-1-1)請求項28の「グリコール化合物」を、「以下の式(A)?(C)で示される化合物からなる群から選択される少なくとも1種のグリコール化合物;
式(A) C_(a)H_(2a+1)(OCH_(2)CH_(2)O)_(b)C_(c)H_(2c+1)
[式中、a, bおよびcは、独立にa=1, 2, 3, 4、b=1, 2, 3, 4、c=0, 1, 2, 3, 4]、
式(B) C_(d)H_(2d+1)CO(OCH_(2)CH_(2)O)_(e)CO C_(f)H_(2f+1)
[式中、d, eおよびfは、独立にd=0, 1, 2, 3, 4、e=1, 2, 3, 4、f=0, 1, 2, 3, 4]、および
式(C) C_(i)H_(2i+1)CO(OCH_(2)CH_(2)O)_(j)C_(k)H_(2k+1)
[式中、i, jおよびkは、独立にi=0, 1, 2, 3, 4、j=1, 2, 3, 4、k=0, 1, 2, 3, 4]」
とする訂正事項。
(25-1-2)更に上記式(A)?(C)を、
「式(A) C_(a)H_(2a+1)O(CH_(2)CH_(2)O)_(b)C_(c)H_(2c+1)
[式中、a, bおよびcは、独立にa=1, 2, 3, 4、b=1, 2, 3, 4、c=0, 1, 2, 3, 4]、
式(B) C_(d)H_(2d+1)COO(CH_(2)CH_(2)O)_(e)CO C_(f)H_(2f+1)
[式中、d, eおよびfは、独立にd=0, 1, 2, 3, 4、e=1, 2, 3, 4、f=0, 1, 2, 3, 4]、および
式(C) C_(i)H_(2i+1)COO(CH_(2)CH_(2)O)_(j)C_(k)H_(2k+1)
[式中、i, jおよびkは、独立にi=0, 1, 2, 3, 4、j=1, 2, 3, 4、k=0, 1, 2, 3, 4]」
とする訂正事項。

2-25-1-1.訂正事項(25-1-1)について
訂正事項(25-1-1)は、請求項28の「グリコール化合物」を、特許明細書の請求項30の記載に基づいて、「式(A)?(C)で示される化合物からなる群から選択される少なくとも1種のグリコール化合物」に限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
また、訂正事項(25-1-1)が特許明細書に記載した事項の範囲内においてするものであることは明らかである。

2-25-1-2.訂正事項(25-1-2)について
上記「2-5-1-2.訂正事項(5-1-2)について」で述べた理由と同様の理由により、訂正事項(25-1-2)は、誤記の訂正を目的とするものに該当し、また、特許明細書に記載した事項の範囲内においてするものである。

2-25-1-3.訂正事項(25-1)についてのまとめ
したがって、訂正事項(25-1-1)及び(25-1-2)からなる訂正事項(25-1)は、特許請求の範囲の減縮及び誤記の訂正を目的とするものに該当し、また、特許明細書に記載した事項の範囲内においてするものである。

2-25-2.訂正事項(25-2)について
訂正事項(25-2)は、請求項28のプレミックスの気相組成における1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパン/1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタンの重量比を、特許明細書の段落【0032】の記載に基づいて、「25℃において1.5以上」から「25℃において1.7?4」に限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
また、訂正事項(25-2)が特許明細書に記載した事項の範囲内においてするものであることは明らかである。

2-25-3.訂正事項(25-3)について
訂正事項(25-3)は、訂正事項1、7、11、17及び21による請求項番号の整序に伴い、請求項28の項番号を繰り上げて請求項20とするものであるから、明りょうでない記載の釈明を目的とするものに該当する。
また、訂正事項(25-3)が特許明細書に記載した事項の範囲内においてするものであることは明らかである。

2-25-4.訂正事項25についてのまとめ
したがって、訂正事項(25-1)?(25-3)からなる訂正事項25は、特許請求の範囲の減縮、誤記の訂正及び明りょうでない記載の釈明を目的とするものに該当する。
また、訂正事項25は、特許明細書に記載した事項の範囲内においてするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでない。

2-26.訂正事項26について
訂正事項26は、特許無効審判の請求がされた請求項29に係る訂正事項であって、訂正事項1、7、11、17、21及び25による請求項番号の整序に伴い、請求項29の項番号を繰り上げて請求項21とし、請求項29で引用する請求項28の項番号を繰り上げて請求項20とするものであるから、明りょうでない記載の釈明を目的とするものに該当する。
また、訂正事項26が特許明細書に記載した事項の範囲内においてするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでないことは明らかである。

2-27.訂正事項27について
訂正事項27は、特許無効審判の請求がされた請求項30に係る訂正事項であって、請求項30を削除するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
また、訂正事項27が特許明細書に記載した事項の範囲内においてするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでないことは明らかである。

2-28.訂正事項28について
訂正事項28は、特許無効審判の請求がされた請求項31に係る訂正事項であって、以下の訂正事項(28-1)?(28-3)からなるものである。
(28-1)請求項31の「グリコール化合物」を、「以下の式(A)?(C)で示される化合物からなる群から選択される少なくとも1種のグリコール化合物;
式(A) C_(a)H_(2a+1)O(CH_(2)CH_(2)O)_(b)C_(c)H_(2c+1)
[式中、a, bおよびcは、独立にa=1, 2, 3, 4、b=1, 2, 3, 4、c=0, 1, 2, 3, 4]、
式(B) C_(d)H_(2d+1)COO(CH_(2)CH_(2)O)_(e)CO C_(f)H_(2f+1)
[式中、d, eおよびfは、独立にd=0, 1, 2, 3, 4、e=1, 2, 3, 4、f=0, 1, 2, 3, 4]、および
式(C) C_(i)H_(2i+1)COO(CH_(2)CH_(2)O)_(j)C_(k)H_(2k+1)
[式中、i, jおよびkは、独立にi=0, 1, 2, 3, 4、j=1, 2, 3, 4、k=0, 1, 2, 3, 4]」
とする訂正事項。
(28-2)請求項31のプレミックスの気相組成における1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパン/1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタンの重量比を、「25℃において1.5以上」から「25℃において1.7?4」とする訂正事項。
(28-3)請求項31を請求項22とする訂正事項。

2-28-1.訂正事項(28-1)について
訂正事項(28-1)は、より詳細にいえば、以下の訂正事項(28-1-1)及び(28-1-2)からなるものである。
(28-1-1)請求項31の「グリコール化合物」を、「以下の式(A)?(C)で示される化合物からなる群から選択される少なくとも1種のグリコール化合物;
式(A) C_(a)H_(2a+1)(OCH_(2)CH_(2)O)_(b)C_(c)H_(2c+1)
[式中、a, bおよびcは、独立にa=1, 2, 3, 4、b=1, 2, 3, 4、c=0, 1, 2, 3, 4]、
式(B) C_(d)H_(2d+1)CO(OCH_(2)CH_(2)O)_(e)CO C_(f)H_(2f+1)
[式中、d, eおよびfは、独立にd=0, 1, 2, 3, 4、e=1, 2, 3, 4、f=0, 1, 2, 3, 4]、および
式(C) C_(i)H_(2i+1)CO(OCH_(2)CH_(2)O)_(j)C_(k)H_(2k+1)
[式中、i, jおよびkは、独立にi=0, 1, 2, 3, 4、j=1, 2, 3, 4、k=0, 1, 2, 3, 4]」
とする訂正事項。
(28-1-2)更に上記式(A)?(C)を、
「式(A) C_(a)H_(2a+1)O(CH_(2)CH_(2)O)_(b)C_(c)H_(2c+1)
[式中、a, bおよびcは、独立にa=1, 2, 3, 4、b=1, 2, 3, 4、c=0, 1, 2, 3, 4]、
式(B) C_(d)H_(2d+1)COO(CH_(2)CH_(2)O)_(e)CO C_(f)H_(2f+1)
[式中、d, eおよびfは、独立にd=0, 1, 2, 3, 4、e=1, 2, 3, 4、f=0, 1, 2, 3, 4]、および
式(C) C_(i)H_(2i+1)COO(CH_(2)CH_(2)O)_(j)C_(k)H_(2k+1)
[式中、i, jおよびkは、独立にi=0, 1, 2, 3, 4、j=1, 2, 3, 4、k=0, 1, 2, 3, 4]」
とする訂正事項。

2-28-1-1.訂正事項(28-1-1)について
訂正事項(28-1-1)は、請求項31の「グリコール化合物」を、特許明細書の請求項34の記載に基づいて、「式(A)?(C)で示される化合物からなる群から選択される少なくとも1種のグリコール化合物」に限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
また、訂正事項(28-1-1)が特許明細書に記載した事項の範囲内においてするものであることは明らかである。

2-28-1-2.訂正事項(28-1-2)について
上記「2-5-1-2.訂正事項(5-1-2)について」で述べた理由と同様の理由により、訂正事項(28-1-2)は、誤記の訂正を目的とするものに該当し、また、特許明細書に記載した事項の範囲内においてするものである。

2-28-1-3.訂正事項(28-1)についてのまとめ
したがって、訂正事項(28-1-1)及び(28-1-2)からなる訂正事項(28-1)は、特許請求の範囲の減縮及び誤記の訂正を目的とするものに該当し、また、特許明細書に記載した事項の範囲内においてするものである。

2-28-2.訂正事項(28-2)について
訂正事項(28-2)は、請求項31のプレミックスの気相組成における1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパン/1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタンの重量比を、特許明細書の段落【0032】の記載に基づいて、「25℃において1.5以上」から「25℃において1.7?4」に限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
また、訂正事項(28-2)が特許明細書に記載した事項の範囲内においてするものであることは明らかである。

2-28-3.訂正事項(28-3)について
訂正事項(28-3)は、訂正事項1、7、11、17、21及び27による請求項番号の整序に伴い、請求項31の項番号を繰り上げて請求項22とするものであるから、明りょうでない記載の釈明を目的とするものに該当する。
また、訂正事項(28-3)が特許明細書に記載した事項の範囲内においてするものであることは明らかである。

2-28-4.訂正事項28についてのまとめ
したがって、訂正事項(28-1)?(28-3)からなる訂正事項28は、特許請求の範囲の減縮、誤記の訂正及び明りょうでない記載の釈明を目的とするものに該当する。
また、訂正事項28は、特許明細書に記載した事項の範囲内においてするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでない。

2-29.訂正事項29について
訂正事項29は、特許無効審判の請求がされた請求項32に係る訂正事項であって、訂正事項1、7、11、17、21、27及び28による請求項番号の整序に伴い、請求項32の項番号を繰り上げて請求項23とするとし、請求項32で引用する請求項31の項番号を繰り上げて請求項22とするものであるから、明りょうでない記載の釈明を目的とするものに該当する。
また、訂正事項29が特許明細書に記載した事項の範囲内においてするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでないことは明らかである。

2-30.訂正事項30について
訂正事項30は、特許無効審判の請求がされた請求項33に係る訂正事項であって、
(30-1)請求項33の発泡剤において、沸点が15℃以上のハロゲン化エーテルを、「以下に示される化合物からなる群から選択される少なくとも1種の化合物:
1,1,2,2-テトラフルオロエチルジフルオロメチルエーテル、1,1,2,2-テトラフルオロエチルメチルエーテル、・・・および1,2,2-トリフルオロエチレン-1,1,2,2,3,3,3-ヘプタフルオロプロピルエーテル。」から「1,1,2,2-テトラフルオロエチルメチルエーテル」に限定し、
(30-2)訂正事項1、7、11、17、21、27及び28による請求項番号の整序に伴い、請求項33の項番号を繰り上げて請求項24とし、請求項33で引用する請求項31の項番号を繰り上げて請求項22とする
ものであるから、特許請求の範囲の減縮及び明りょうでない記載の釈明を目的とするものに該当する。
また、訂正事項30が特許明細書に記載した事項の範囲内においてするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでないことは明らかである。

2-31.訂正事項31について
訂正事項31は、特許無効審判の請求がされた請求項34に係る訂正事項であって、請求項34を削除するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
また、訂正事項31が特許明細書に記載した事項の範囲内においてするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでないことは明らかである。

2-32.訂正事項32について
訂正事項32は、明細書の段落【0057】に係る訂正事項であって、以下の訂正事項(32-1)及び(32-2)からなるものである。
(32-1)段落【0057】の「蒸気圧」を「沸点」とする訂正事項。
(32-2)段落【0057】の「18?28」を「18?28℃」とする訂正事項。

2-32-1.訂正事項(32-1)について
特許明細書の段落【0056】及び【0057】には、以下の事項が記載されている。
「【0056】
ポリオール、HFC245fa、HFC365mfc、ハロゲン含有化合物などを含むプレミックスの沸点は、17℃?32℃程度になることが好ましい。
【0057】
ハロゲン含有化合物を含む発泡剤とポリオールとの混合物(プレミックス)の蒸気圧は、特に制限されないが、通常17?32℃程度、好ましくは18?28程度、より好ましくは20?28℃程度である。」

そして、上記段落【0057】の「蒸気圧は、・・・、通常17?32℃程度、・・・、より好ましくは20?28℃程度である。」との記載からみて、訂正前の「蒸気圧」は温度を単位とする何らかの物性の誤記であると認められ、また、段落【0056】における段落【0057】と同趣旨の「・・・プレミックスの沸点は、17℃?32℃程度になることが好ましい。」との記載からみて、訂正前の「蒸気圧」が訂正後の「沸点」の誤記であることは明らかである。

2-32-2.訂正事項(32-2)について
訂正前の段落【0057】の「18?28」は、その直前の「通常17?32℃程度」なる温度範囲の好ましい範囲を記載したものであるから、「℃」の単位が脱落した誤記であることは明らかである。

2-32-3.訂正事項32についてのまとめ
したがって、訂正事項32は、誤記の訂正を目的とするものに該当する。
また、訂正事項32は、誤記を本来意図していたことが明らかな記載に正すものであるから、特許明細書に記載した事項の範囲内においてするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでない。

2-33.訂正事項33について
訂正事項33は、特許明細書の発明の詳細な説明の段落【0061】に係る訂正事項であって、訂正事項5、8、15、18、25及び28に伴い、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の段落【0061】の記載との間に生じた不整合を整合させるものであるから、明りょうでない記載の釈明を目的とするものに該当する。
また、訂正事項33が特許明細書に記載した事項の範囲内においてするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでないことは明らかである。

3.請求人の主張についての検討
3-1.請求人の主張
請求人は、平成20年12月26日付け弁駁書、平成21年3月2日付け口頭審理陳述要領書及び平成21年3月4日付け上申書において、訂正事項5、8、15、18、25、28及び33に関して、概略以下の(主張1)?(主張3)のとおり主張している。
(主張1)
「式(A)のエチレングリコール化合物の具体例として挙げられている第1次訂正明細書の[0062]に記載のエチレングリコールHO-C_(2)H_(4)-OHおよびエチレングリコールメチルエーテルHO-C_(2)H_(4)-O-CH_(3)は、訂正前の構造式(A)C_(a)H_(2a+1)(OCH_(2)CH_(2)O)_(b)C_(c)H_(2c+1)に合致しており、少なくともエチレングリコールおよびエチレングリコールメチルエーテルについて、訂正前の構造式(A)C_(a)H_(2a+1)(OCH_(2)CH_(2)O)_(b)C_(c)H_(2c+1)に誤りはない。これらの他にも、第1次訂正明細書の[0062]に記載された化合物(たとえば、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールプロピルエーテル、エチレングリコールジプロピルエーテル、エチレングリコールブチルエーテルおよびエチレングリコールジブチルエーテル)が訂正前の構造式(A)に合致する。
式(B)のエチレングリコール化合物の具体例として挙げられている第1次訂正明細書の[0063]に記載された化合物(たとえば、エチレングリコールジフォルメート、エチレングリコールジアセテート、エチレングリコールジプロピオネート)が訂正前の構造式(B)に合致する。
また、式(C)のエチレングリコール化合物の具体例として挙げられている第1次訂正明細書の[0064]に記載の化合物(たとえば、エチレングリコールメチルエーテルフォルメート、エチレングリコールエチルエーテルフォルメート、エチレングリコールプロピルエーテルフォルメート、エチレングリコールメチルエーテルアセテート、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、エチレングリコールプロピルエーテルアセテート、エチレングリコールメチルエーテルプロピオネート、エチレングリコールエチルエーテルプロピオネート、エチレングリコールプロピルエーテルプロピオネート)が訂正前の構造式(C)に合致する。
したがって、第1次訂正明細書の記載によれば、式(A)、(B)および(C)がいずれも誤った構造式を示しているということではなく、本件訂正前の式(A)、(B)および(C)に必ずしも誤記があるとはいえない。」
(口頭審理陳述要領書第3頁最下行?第4頁第26行)
(主張2)
「仮に、式(A)、(B)および(C)が誤っているとしても、11月21日付け訂正請求書に添付された訂正明細書(以下、『第2次訂正明細書』という)に記載された式(A)、(B)および(C)であることは、本件特許出願当初の明細書の記載から自明ではない。
被請求人は『式(A)?(C)で示される化合物の誤った構造式を、基準明細書の段落0062?0065、同段落0110の実施例3および4に具体的に示されるグリコール化合物の記載に基づき正しい構造式に訂正するものである』(訂正請求書・15頁5行?8行)と主張する。
被請求人が訂正の根拠としている、第2次訂正明細書の[0063]には、訂正された式(B)で示されるエチレングリコール化合物の具体例として、○1(審決注:○で囲まれた数字が表記できないため、○の右側に数字を付して表記する。以下、同様。)エチレングリコールモノフォルメート、○2エチレングリコールモノアセテートおよび○3エチレングリコールモノプロピオネートが記載されている
○1エチレングリコールモノフォルメート
HCO-O-CH_(2)-CH_(2)-OH
○2エチレングリコールモノアセテート
CH_(3)-CO-O-CH_(2)-CH_(2)-OH
○3エチレングリコールモノプロピオネート
CH_(3)-CH_(2)-CO-O-CH_(2)-CH_(2)-OH
しかしながら、これらの化合物は、本件訂正後の式(B)の式『C_(d)H_(2d+1)COO(CH_(2)CH_(2)O)_(e)CO C_(f)H_(2f+1)』で表すことはできない。したがって、本件訂正後の式(B)は、発明の詳細な説明に記載に挙げられた具体的な化合物の例と矛盾することとなり、当初明細書の記載から自明とはいえない。
したがって、第1次訂正明細書の請求項6(本件訂正後の請求項4)に記載の式(A)?(C)の訂正は134条の2第1項第2号の誤記の訂正に該当しない。」
(口頭審理陳述要領書第4頁最下行?第5頁第24行)
(主張3)
「また、式(A)?(C)を訂正することによって、本件訂正前に含まれていなかった化合物を新たに包含することとなるから、本件訂正は実質上特許請求の範囲を拡張し、または変更することになる。
したがって、本件訂正は134条の2第5項が準用する126条4項の要件を満たさない。」
(口頭審理陳述要領書第5頁第25行?第6頁第3行)

3-2.(主張1)についての検討
請求人が訂正前の式(A)に合致するとして指摘した化合物は、いずれも、同式(A)においてb=1である場合の化学式に該当するもののみである。
そして、上記「2-5-2-1.式(A)について」で述べたとおり、訂正前の式(A)においてb=2、3、4である場合の化学式は、特許明細書の段落【0062】に例示された化合物を表すものとして適切でないから、訂正前の式(A)の記載が何らかの誤記を含むものであることは明らかである。
また、同様の理由により、訂正前の式(B)及び式(C)の記載が何らかの誤記を含むものであることも明らかである。

3-3.(主張2)についての検討
上記「2-5-2-2.式(B)について」で述べたとおり、請求人が訂正明細書の式(B)で表すことができないとして指摘した化合物は、いずれも、エチレングリコールのモノエステル誘導体であるから、本来、モノエステル誘導体の化学式である式(C)で表されるグリコール化合物の具体例として例示すべきものを誤って、式(B)で表されるグリコール化合物の具体例として例示したものと認められる。
また、請求人が指摘していない「ジエチレングリコールモノフォルメート」、「トリエチレングリコールモノフォルメート」、「ジエチレングリコールモノアセテート」、「トリエチレングリコールモノアセテート」、「ジエチレングリコールモノプロピオネート」、「トリエチレングリコールモノプロピオネート」なるジエチレングリコール又はトリエチレングリコールのモノエステル誘導体も、本来、モノエステル誘導体の化学式である式(C)で表されるグリコール化合物の具体例として例示すべきものを誤って、式(B)で表されるグリコール化合物の具体例として例示したものと認められる。
そして、上記モノエステル誘導体以外の特許明細書の段落【0063】に例示された化合物は、いずれも訂正明細書の式(B)で表すことができるものであるから、訂正前の式(B)の記載が、本来、訂正後の式(B)の記載を意図していたものであることは明らかである。

3-4.(主張3)についての検討
上記「2-5-2.訂正事項(5-2)について」で述べたとおり、式(A)?式(C)の訂正は、誤って記載された化学式を、本来意図していたことが明らかな化学式に正すものであるから、訂正前の式(A)?式(C)の化学式に包含されていなかった新たな化合物を追加するものでないことは明らかである。

3-5.請求人の主張についての検討のまとめ
してみると、請求人が主張する(主張1)?(主張3)は、いずれも採用することができないものである。

4.訂正の請求についてのまとめ
したがって、上記訂正事項1?33からなる本件訂正は、特許法第134条の2第1項ただし書第1号?第3号に掲げる事項を目的とし、同条第5項において準用する同法第126条第3項及び第4項の規定に適合するから、本件訂正を認める。


第3.本件発明
「第2.訂正の請求について」で述べたとおり、本件訂正は認められたから、特許第3894326号の請求項1?24に係る発明(以下、それぞれ、「本件発明1」?「本件発明24」という。)は、訂正明細書の記載からみて、それぞれ、その特許請求の範囲の請求項1?24に記載された事項により特定される以下のとおりのものである。

「【請求項1】
発泡剤の存在下に、ポリオールとポリイソシアネート化合物とを反応させてポリウレタンまたはポリイソシアヌレートの発泡体を製造する方法において、
前記発泡剤として、1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパンと1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタン、更に、沸点が15℃以上のハロゲン化エーテルを含む混合物を使用し、
前記発泡剤とポリオールとを含むプレミックスを調製する工程を有し、
得られるプレミックスの気相組成における1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパン/1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタンの重量比が、25℃において1.7?4である発泡体の製造方法。
【請求項2】
得られたプレミックスの40℃における蒸気圧が、前記プレミックス中の発泡剤の重量組成比及びHFC245fa/HFC365mfc重量組成比を変えずに沸点が15℃以上のハロゲン化エーテルを除いたプレミックスの40℃における蒸気圧に対して、95%以下である請求項1に記載の発泡体の製造方法。
【請求項3】
沸点が15℃以上のハロゲン化エーテルが、1,1,2,2-テトラフルオロエチルメチルエーテルである請求項1に記載の発泡体の製造方法。
【請求項4】
発泡剤の存在下に、ポリオールとポリイソシアネート化合物とを反応させてポリウレタンまたはポリイソシアヌレートの発泡体を製造する方法において、
前記発泡剤として、1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパンと1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタン、更に以下の式(A)?(C)で示される化合物からなる群から選択される少なくとも1種のグリコール化合物;
式(A) C_(a)H_(2a+1)O(CH_(2)CH_(2)O)_(b)C_(c)H_(2c+1)
[式中、a, bおよびcは、独立にa=1, 2, 3, 4、b=1, 2, 3, 4、c=0, 1, 2, 3, 4]、
式(B) C_(d)H_(2d+1)COO(CH_(2)CH_(2)O)_(e)CO C_(f)H_(2f+1)
[式中、d, eおよびfは、独立にd=0, 1, 2, 3, 4、e=1, 2, 3, 4、f=0, 1, 2, 3, 4]、および
式(C) C_(i)H_(2i+1)COO(CH_(2)CH_(2)O)_(j)C_(k)H_(2k+1)
[式中、i, jおよびkは、独立にi=0, 1, 2, 3, 4、j=1, 2, 3, 4、k=0, 1, 2, 3, 4]
を含む混合物を使用し、
前記発泡剤とポリオールとを含むプレミックスを調製する工程を有し、
得られるプレミックスの気相組成における1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパン/1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタンの重量比が、25℃において1.7?4である発泡体の製造方法。
【請求項5】
得られたプレミックスの40℃における蒸気圧が、グリコール化合物を除いた以外は前記プレミックスと同じ重量組成比のプレミックスの40℃における蒸気圧に対して、95%以下である請求項4に記載の発泡体の製造方法。
【請求項6】
発泡剤の存在下に、ポリオールとポリイソシアネート化合物とを反応させてポリウレタンまたはポリイソシアヌレートの発泡体を製造する方法において、
前記発泡剤として、1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパンと1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタン、更に、(i)沸点が15℃以上のハロゲン化エーテルと(ii)以下の式(A)?(C)で示される化合物からなる群から選択される少なくとも1種のグリコール化合物;
式(A) C_(a)H_(2a+1)O(CH_(2)CH_(2)O)_(b)C_(c)H_(2c+1)
[式中、a, bおよびcは、独立にa=1, 2, 3, 4、b=1, 2, 3, 4、c=0, 1, 2, 3, 4]、
式(B) C_(d)H_(2d+1)COO(CH_(2)CH_(2)O)_(e)CO C_(f)H_(2f+1)
[式中、d, eおよびfは、独立にd=0, 1, 2, 3, 4、e=1, 2, 3, 4、f=0, 1, 2, 3, 4]、および
式(C) C_(i)H_(2i+1)COO(CH_(2)CH_(2)O)_(j)C_(k)H_(2k+1)
[式中、i, jおよびkは、独立にi=0, 1, 2, 3, 4、j=1, 2, 3, 4、k=0, 1, 2, 3, 4]
を含む混合物を使用し、
前記発泡剤とポリオールとを含むプレミックスを調製する工程を有し、
得られるプレミックスの気相組成における1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパン/1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタンの重量比が、25℃において1.7?4である発泡体の製造方法。
【請求項7】
得られたプレミックスの40℃における蒸気圧が、前記プレミックスから(i)沸点が15℃以上のハロゲン化エーテルと(ii)グリコール化合物を除いた以外は同じ重量組成比のプレミックスの40℃における蒸気圧に対して、95%以下である請求項6に記載の発泡体の製造方法。
【請求項8】
沸点が15℃以上のハロゲン化エーテルが、1,1,2,2-テトラフルオロエチルメチルエーテルである請求項6に記載の発泡体の製造方法。
【請求項9】
ポリウレタンまたはポリイソシアヌレート用発泡剤であって、
1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパンと1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタン、更に、沸点が15℃以上のハロゲン化エーテルを含み、
発泡剤とポリオールとを含むプレミックスとしたときに、プレミックスの気相組成における1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパン/1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタンの重量比が、25℃において1.7?4となる発泡剤。
【請求項10】
発泡剤とポリオールとを含むプレミックスとしたときに、
前記プレミックスの40℃における蒸気圧が、前記プレミックス中の発泡剤の重量組成比及びHFC245fa/HFC365mfc重量組成比を変えずに沸点が15℃以上のハロゲン化エーテルを除いたプレミックスの40℃における蒸気圧に対して95%以下である請求項9に記載の発泡剤。
【請求項11】
沸点15℃以上のハロゲン化エーテルが、1,1,2,2-テトラフルオロエチルメチルエーテルである請求項9に記載の発泡剤。
【請求項12】
ポリウレタンまたはポリイソシアヌレート用発泡剤であって、
1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパンと1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタン、更に、以下の式(A)?(C)で示される化合物からなる群から選択される少なくとも1種のグリコール化合物;
式(A) C_(a)H_(2a+1)O(CH_(2)CH_(2)O)_(b)C_(c)H_(2c+1)
[式中、a, bおよびcは、独立にa=1, 2, 3, 4、b=1, 2, 3, 4、c=0, 1, 2, 3, 4]、
式(B) C_(d)H_(2d+1)COO(CH_(2)CH_(2)O)_(e)CO C_(f)H_(2f+1)
[式中、d, eおよびfは、独立にd=0, 1, 2, 3, 4、e=1, 2, 3, 4、f=0, 1, 2, 3, 4]、および
式(C) C_(i)H_(2i+1)COO(CH_(2)CH_(2)O)_(j)C_(k)H_(2k+1)
[式中、i, jおよびkは、独立にi=0, 1, 2, 3, 4、j=1, 2, 3, 4、k=0, 1, 2, 3, 4]
を含み、
発泡剤とポリオールとを含むプレミックスとしたときに、プレミックスの気相組成における1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパン/1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタンの重量比が、25℃において1.7?4となる発泡剤。
【請求項13】
ポリオールと発泡剤とを含むプレミックスとしたときに、
前記プレミックスの40℃における蒸気圧が、前記プレミックスからグリコール化合物を除いた以外は前記プレミックスと同じ重量組成比のプレミックスの40℃における蒸気圧に対して、95%以下である請求項12に記載の発泡剤。
【請求項14】
ポリウレタンまたはポリイソシアヌレート用発泡剤であって、
1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパンと1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタン、更に、(i)沸点が15℃以上のハロゲン化エーテルと(ii)以下の式(A)?(C)で示される化合物からなる群から選択される少なくとも1種のグリコール化合物;
式(A) C_(a)H_(2a+1)O(CH_(2)CH_(2)O)_(b)C_(c)H_(2c+1)
[式中、a, bおよびcは、独立にa=1, 2, 3, 4、b=1, 2, 3, 4、c=0, 1, 2, 3, 4]、
式(B) C_(d)H_(2d+1)COO(CH_(2)CH_(2)O)_(e)CO C_(f)H_(2f+1)
[式中、d, eおよびfは、独立にd=0, 1, 2, 3, 4、e=1, 2, 3, 4、f=0, 1, 2, 3, 4]、および
式(C) C_(i)H_(2i+1)COO(CH_(2)CH_(2)O)_(j)C_(k)H_(2k+1)
[式中、i, jおよびkは、独立にi=0, 1, 2, 3, 4、j=1, 2, 3, 4、k=0, 1, 2, 3, 4]
を含み、
発泡剤とポリオールとを含むプレミックスとしたときに、プレミックスの気相組成における1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパン/1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタンの重量比が、25℃において1.7?4となる発泡剤。
【請求項15】
ポリオールと発泡剤とを含むプレミックスとしたときに、
前記プレミックスの40℃における蒸気圧が、前記プレミックスから(i)沸点が15℃以上のハロゲン化エーテルと(ii)グリコール化合物を除いた以外は同じ重量組成比のプレミックスの40℃における蒸気圧に対して、95%以下である請求項14に記載の発泡剤。
【請求項16】
沸点が15℃以上のハロゲン化エーテルが、1,1,2,2-テトラフルオロエチルメチルエーテルである請求項14に記載の発泡剤。
【請求項17】
発泡剤とポリオールとを含むプレミックスであって、
発泡剤が、1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパンと1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタン、更に、沸点が15℃以上のハロゲン化エーテルを含む混合物であり、プレミックスの気相組成における1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパン/1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタンの重量比が、25℃で1.7?4であるプレミックス。
【請求項18】
プレミックスの40℃における蒸気圧が、前記プレミックス中の発泡剤の重量組成比及びHFC245fa/HFC365mfc重量組成比を変えずに沸点が15℃以上のハロゲン化エーテルを除いたプレミックスの40℃における蒸気圧に対して、95%以下である請求項17に記載のプレミックス。
【請求項19】
前記の沸点15℃以上のハロゲン化エーテルが、1,1,2,2-テトラフルオロエチルメチルエーテルである請求項17に記載のプレミックス。
【請求項20】
発泡剤とポリオールとを含むプレミックスであって、
発泡剤が、1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパンと1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタン、更に、以下の式(A)?(C)で示される化合物からなる群から選択される少なくとも1種のグリコール化合物;
式(A) C_(a)H_(2a+1)O(CH_(2)CH_(2)O)_(b)C_(c)H_(2c+1)
[式中、a, bおよびcは、独立にa=1, 2, 3, 4、b=1, 2, 3, 4、c=0, 1, 2, 3, 4]、
式(B) C_(d)H_(2d+1)COO(CH_(2)CH_(2)O)_(e)CO C_(f)H_(2f+1)
[式中、d, eおよびfは、独立にd=0, 1, 2, 3, 4、e=1, 2, 3, 4、f=0, 1, 2, 3, 4]、および
式(C) C_(i)H_(2i+1)COO(CH_(2)CH_(2)O)_(j)C_(k)H_(2k+1)
[式中、i, jおよびkは、独立にi=0, 1, 2, 3, 4、j=1, 2, 3, 4、k=0, 1, 2, 3, 4]
を含む混合物であり、プレミックスの気相組成における1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパン/1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタンの重量比が、25℃で1.7?4であるプレミックス。
【請求項21】
プレミックスの40℃における蒸気圧が、前記プレミックスからグリコール化合物を除いた以外は前記プレミックスと同じ重量組成比のプレミックスの40℃における蒸気圧に対して、95%以下である請求項20に記載のプレミックス。
【請求項22】
発泡剤とポリオールとを含むプレミックスであって、
発泡剤が、1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパンと1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタン、更に、(i)沸点が15℃以上のハロゲン化エーテルと(ii)以下の式(A)?(C)で示される化合物からなる群から選択される少なくとも1種のグリコール化合物;
式(A) C_(a)H_(2a+1)O(CH_(2)CH_(2)O)_(b)C_(c)H_(2c+1)
[式中、a, bおよびcは、独立にa=1, 2, 3, 4、b=1, 2, 3, 4、c=0, 1, 2, 3, 4]、
式(B) C_(d)H_(2d+1)COO(CH_(2)CH_(2)O)_(e)CO C_(f)H_(2f+1)
[式中、d, eおよびfは、独立にd=0, 1, 2, 3, 4、e=1, 2, 3, 4、f=0, 1, 2, 3, 4]、および
式(C) C_(i)H_(2i+1)COO(CH_(2)CH_(2)O)_(j)C_(k)H_(2k+1)
[式中、i, jおよびkは、独立にi=0, 1, 2, 3, 4、j=1, 2, 3, 4、k=0, 1, 2, 3, 4]
を含む混合物であり、プレミックスの気相組成における1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパン/1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタンの重量比が、25℃で1.7?4であるプレミックス。
【請求項23】
プレミックスの40℃における蒸気圧が、前記プレミックスから(i)沸点が15℃以上のハロゲン化エーテルと(ii)グリコール化合物を除いた以外は前記プレミックスと同じ重量組成比のプレミックスの40℃における蒸気圧に対して、95%以下である請求項22に記載のプレミックス。
【請求項24】
前記の沸点15℃以上のハロゲン化エーテルが、1,1,2,2-テトラフルオロエチルメチルエーテルである請求項22に記載のプレミックス。


第4.請求人の主張の概要
請求人は、特許第3894326号の請求項3?22、25?34に係る発明についての特許を無効にする、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求めたところ、本件訂正により、請求項3?22、25?34は、請求項1?24に訂正された。
審判請求書、本件訂正後に請求人が提出した平成20年12月26日付け弁駁書、平成21年3月2日付け口頭審理陳述要領書及び同年3月4日付け上申書の記載からみて、本件特許無効審判の請求の趣旨は、「本件訂正後の特許第3894326号の請求項1?24に係る発明についての特許(以下、まとめて「本件特許」ということがある。)を無効にする。審判費用は被請求人の負担とする。」旨の審決を求めるものと認められる。
そして、請求人は、以下の「1.無効理由の概要」で述べる無効理由1?5により、本件特許は無効にすべきものであると主張し、その証拠方法として、以下の「2.証拠方法」で述べる甲第1号証?甲第5号証、甲第7号証?甲第12号証及び参考資料1を提出している。

1.無効理由の概要
1-1.無効理由1
本件発明1?3、9?11、17?19は、甲第1号証又は甲第2号証に記載された発明と、甲第3号証に記載された発明と、甲第7号証に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。
したがって、本件発明1?3、9?11、17?19についての特許は、特許法第123条第1項第2号に該当し、無効にされるべきである。

1-2.無効理由2
本件発明4、5、12、13、20、21は、甲第1号証又は甲第2号証に記載された発明と、甲第4号証又は甲第5号証に記載された発明と、甲第7号証に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。
したがって、本件発明4、5、12、13、20、21についての特許は、特許法第123条第1項第2号に該当し、無効にされるべきである。

1-3.無効理由3
本件発明6?8、14?16、22?24は、甲第1号証又は甲第2号証に記載された発明と、甲第3号証に記載された発明と、甲第4号証又は甲第5号証に記載された発明と、甲第7号証に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。
したがって、本件発明6?8、14?16、22?24についての特許は、特許法第123条第1項第2号に該当し、無効にされるべきである。

1-4.無効理由4
訂正明細書の発明の詳細な説明は、本件発明1?24を、当業者が実施をすることができる程度に、明確かつ十分に記載されていないから、本件特許に係る出願は、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない。
したがって、本件発明1?24についての特許は、特許法第123条第1項第4号に該当し、無効にされるべきである。

1-5.無効理由5
本件発明1?24は、訂正明細書の発明の詳細な説明に記載したものでないから、本件特許に係る出願は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。
したがって、本件発明1?24についての特許は、特許法第123条第1項第4号に該当し、無効にされるべきである。

2.証拠方法
甲第1号証:特開2001-247645号公報
甲第2号証:特開2001-310923号公報
甲第3号証:特開平4-359936号公報
甲第4号証:特開平2-235982号公報
甲第5号証:特表平5-505205号公報
甲第7号証:施工部会・ウレタン対策専門部会編「ウレタン火災を防ごう
」,社団法人建築業協会,平成11年10月発行
甲第8号証:化学大辞典編集委員会編「化学大辞典3 縮刷版」,共立出
版株式会社,2001年9月20日縮刷版第37刷発行,第
95?96頁「グリコール」の項
甲第9号証:化学大辞典編集委員会編「化学大辞典4 縮刷版」,共立出
版株式会社,2001年9月20日縮刷版第37刷発行,第
758頁「蒸気圧降下」の項
甲第10号証:実験成績証明書(2007年4月26日 セントラル硝子
(株)化学研究所 玉井良一作成)
甲第11号証:化学大辞典編集委員会編「化学大辞典4 縮刷版」,共立
出版株式会社,2001年9月20日縮刷版第37刷発行
,第830頁「触媒」の項
甲第12号証:新村出編「広辞苑 第五版」,株式会社岩波書店,199
8年11月11日第5版第1刷発行,第1342頁「触媒
」の項
参考資料1:日本ウレタン工業協会のウェブページの一部(「もっと!知
りたいウレタン」(http://www.urethane-jp.org/shiritai/
shiritai_03_02.html )及び「トピックス」(http://www.u
rethane-jp.org/topics/2003/10/hfc_1.html))を印字した
もの(それぞれ2008年1月21日付け及び2008年1
月24日付け)

なお、請求人の提出した甲第6号証は、平成21年3月2日に行われた第1回口頭審理において参考資料1とされた(第1回口頭審理調書 請求人の2の項)。
また、甲第1号証?甲第5号証及び甲第7号証?甲第12号証の成立について当事者間に争いはない。


第5.被請求人の主張の概要
被請求人は、「本件審判請求は成り立たない。審判費用は請求人の負担とする。」旨の審決を求め、本件特許は、上記無効理由1?5によっては無効とすることができないと主張し、その証拠方法として乙第1号証?乙第4号証を提出している。

1.証拠方法
乙第1号証:特許第3894326号の平成19年12月21日付け訂正
請求書に添付した訂正明細書
乙第2号証:「圧縮式ヒートポンプ用新規冷媒研究開発 評価報告書」,
新エネルギー・産業技術総合開発機構 環境負荷物質低減技
術開発委員会,平成8年3月発行,第42?43頁の写し
乙第3号証:「1994 INTERNATIONAL CFC AND HALON ALTERNATIVES
CONFERENCE CONFERENCE PROCEEDINGS」,1994年1
0月24日発行
乙第4号証:特開2005-23259号公報

なお、乙第1号証?乙第4号証の成立について当事者間に争いはない。


第6.無効理由5についての検討
請求人の主張する無効理由5の詳細は、
「発明の詳細な説明に記載された『プレミックス燃焼性の克服』という課題を解決するための手段が、本件発明の構成要件に反映されておらず、結果的に本件発明は当該課題を解決できていない範囲を含んでいる。
よって、本件発明は発明の詳細な説明に記載した範囲を超えている。」
(口頭審理陳述要領書第26頁第4?7行)
というものである。
そこで、本件発明1?24の全般にわたり、発明の詳細な説明に記載された課題を解決し得るか否かについて、以下に検討する。

1.本件発明1について
1-1.本件発明1の発明特定事項
本件発明1は、「発泡剤の存在下に、ポリオールとポリイソシアネート化合物とを反応させてポリウレタンまたはポリイソシアヌレートの発泡体を製造する方法」に関するものであって、「発泡剤として、1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパンと1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタン、更に、沸点が15℃以上のハロゲン化エーテルを含む混合物を使用し、前記発泡剤とポリオールとを含むプレミックスの気相組成における1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパン/1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタンの重量比が、25℃において1.7?4である」プレミックス(以下、「ハロゲン化エーテル含有プレミックス」という。)を用いることを、発明を特定するために必要と認める事項(以下、「発明特定事項」という。)として有するものである。

1-2.本件発明1の解決しようとする課題
訂正明細書の発明の詳細な説明(以下、単に「発明の詳細な説明」という。)には、本件発明1の解決しようとする課題に関して、以下の事項が記載されている。
「【0013】
しかしながら、HFC365mfcには燃焼範囲(3.8%?13.3%)があり、燃焼する可能性がある。発泡剤としては、不燃性である方が適当である。特に建築現場等で発泡して使用する場合は不燃性が強く求められている。また、HFC365mfcも、ポリオールに対する溶解性は、HCFC141bやCFC11に比較するとやや低い。
【0014】
このように、HFC-365mfcをHCFC-141bの代替品として有効に使用するために、その燃焼性、溶解性等を制御する技術の開発が望まれている。
【0015】
一方、特表2001-506291には、HFC365mfc 50?99重量%並びにHFC245faなどのフルオロ炭化水素1?50重量%を含有する混合物が、ポリウレタン発泡材料などの発泡プラスチックを製造するための発泡ガスとして使用できることが開示されている。前記公報に記載されている混合物は、HFC365mfcの割合が50重量%以上99%以下であるので、HFC365mfcの可燃性の課題が依然として解消されていないと考えられる。
【0016】
また、米国特許6451867号には、51?99重量%のHFC245faと1?49重量%のHFC365mfcを含む組成物が開示されている。この文献には、HFC245fa過剰の組成とすると、断熱性の指標であるk-ファクターがHFC245faまたはHFC365mfc単独の場合よりも改善されることが開示されている。しかしながら、発泡剤やプレミックスの燃焼性については記載がない。
【0017】
また、特開2002-47323号公報には、硬質ポリウレタンファームを製造する際に、ハイドロフルオロカーボンを発泡剤として使用し、且つ特定のフッ素系界面活性剤を使用する旨が開示されている。上記文献には、ハイドロフルオロカーボンとして、5?95重量%のHFC245faと95?5重量%のHFC365mfcの混合物を使用できると記載されている。上記文献は、難燃性に優れた硬質ポリウレタンフォームを得ることを課題としているが、プレミックスの難燃性については、何ら記載されていない。
【0018】
発 明 の 開 示
本発明は、HFC-245faまたはHF365mfcの発泡剤としての性能は維持したままで、HFC-245faおよびHFC365mfcの有する課題を解決または低減した発泡剤および前記発泡剤を使用した合成樹脂発泡体の製造方法および前記発泡剤を含むプレミックスを提供することを主な目的とする。
【0019】
本発明者は、従来技術における上記の如き問題点に鑑みて研究を重ねた結果、発泡剤の存在下に、ポリオールとポリイソシアネート化合物とを反応させて、ポリウレタン、ポリイソシアヌレートなどの合成樹脂発泡体を製造する方法において、1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパンと1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタンとを含み、特定の組成を有する混合物を発泡剤として用いることにより、目的を達成し得ることを見出し、ここに本発明を完成するに至った。」(段落【0013】?【0019】)
「【0027】
実際の発泡体の製造工程においては、発泡剤とポリオールとを含む混合物、即ち、プレミックスの状態とした時に不燃性であることが求められる。プレミックスは、発泡剤とポリオール以外に、通常、発泡剤製造用触媒、整泡剤、分解抑制剤(安定剤)等を含んでいる。」
(段落【0027】)

上記記載事項からみて、本件発明1は、少なくとも、プレミックスの燃焼性の抑制を、その解決しようとする課題として有するものと認められる。

1-3.発明の詳細な説明の記載についての検討
本件発明1の全般にわたり、上記プレミックスの燃焼性の抑制なる課題を解決し得るか否かについて、以下に検討する。

1-3-1.具体例の記載
発明の詳細な説明には、本件発明1の発明特定事項であるハロゲン化エーテル含有プレミックスの燃焼性に関する具体的な評価試験結果として、実施例4及び12に「1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパン/1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタン/1,1,2,2-テトラフルオロエチルメチルエーテル(60重量部/15重量部/25重量部)およびジエチレングリコールモノエチルエーテル(7重量部)」なる組成の「発泡剤(ト)」から得られるプレミックスの気相部の組成の測定結果が示され、この組成と同じ組成のガスについての燃焼性試験結果が「不燃性」であることが示されている。

1-3-2.プレミックスの組成に関する記載
発明の詳細な説明には、本件発明1のハロゲン化エーテル含有プレミックスの組成について以下の事項が記載されている。
「【0031】
したがって、例えば25℃において不燃性のプレミックスを得ることを目的とする場合には、プレミックスの気相組成が25℃において、HFC245fa/HFC365mfc の重量比が1.5以上程度、好ましくは1.86以上程度となるようにHFC245faとHC365mfcの仕込み量を設定すればよい。このことは、単にHFC245faとHFC365mfcからなる発泡剤の気相組成が不燃か可燃かどうかを議論すればよいという考えとは大きく異なる。本発明者は、鋭意研究の結果、プレミックスの気相組成を不燃とすることにより、上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0032】
本発明の発泡剤においては、発泡剤、ポリオールなどを含むプレミックスとした時に、プレミックスの気相組成におけるFHC245faとHFC365mfcの重量比が、25℃において1.5以上程度であるのが好ましく、1.7以上程度がより好ましく、1.7?4程度であるのが最も好ましい。さらに、発泡剤、ポリオールなどを含むプレミックスとした時に、プレミックスの気相組成におけるFHC245faとHFC365mfcの重量比が、40℃において、1.85以上程度となるのが好ましく、1.9以上程度となるのがより好ましく、1.9?4程度であるのが最も好ましい。」
(段落【0031】?【0032】)
「【0035】
本発明の発泡剤は、更に、ハロゲン化炭化水素、ハロゲン化アルコール及びハロゲン化エーテルからなる群から選択される少なくとも1種の化合物であって沸点が15℃以上であるハロゲン含有化合物を含んでいてもよい。即ち、本発明の発泡剤は、1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパンと1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタンとハロゲン化炭化水素、ハロゲン化アルコール及びハロゲン化エーテルからなる群から選択される少なくとも1種の化合物であって沸点が15℃以上であるハロゲン含有化合物とを含んでいてもよい。上記のような沸点15℃以上のハロゲン含有化合物を発泡剤に添加することにより、プレミックスの蒸気圧を低下させることができ、場合によってはプレミックスの燃焼性をさらに抑制することができる。
【0036】
ハロゲン含有化合物を含む発泡剤を用いる場合には、発泡剤、ポリオールなどを含むプレミックスとした時に、プレミックスの気相組成におけるFHC245faとHFC365mfcの重量比が、25℃において、1?6程度となるのが好ましい。
・・・
【0039】
発泡剤中のHFC-245faとHFC365fmcとハロゲン含有化合物との混合割合は、用途、合成樹脂発泡体原料の組成などに応じて任意に選択できる。例えば、HFC245fa、HFC365mfc、ハロゲン含有化合物、ポリオールなどを含むプレミックスの40℃程度における蒸気圧が、ハロゲン含有化合物を除いた以外は前記プレミックスと同じ重量組成比のプレミックスの40℃における蒸気圧に対して、通常95%以下程度であり、好ましくは70?90%程度であり、より好ましくは70?85%程度となるようにHFC-245faとHFC365mfcとハロゲン含有化合物との比を設定するのが好ましい。より具体的な例を挙げると、(a)ハロゲン含有化合物:A重量部、(b)HFC-245faとHFC365mfcの合計:B重量部および(c)ポリオール:C重量部からなるプレミックスの場合、前記(a)?(c)を含むプレミックスの蒸気圧が、40℃程度において、(b)HFC-245faとHFC365mfcの合計:B重量部および(c)ポリオール:C重量部からなるプレミックスの蒸気圧に対して、95%以下程度、好ましくは90%以下程度、より好ましくは85%以下程度となるようにHFC-245faとHFC365mfcとハロゲン含有化合物との比を設定するのが好ましい。なお、蒸気圧の比の測定には、ポリオール100重量部に対して、HFC-245faとHFC365mfcとハロゲン含有化合物の合計量が、20?70重量部程度であるプレミックスを用いる。」
(段落【0035】?【0039】)
「【0048】
(c)ハロゲン化エーテル
本発明において用いるハロゲン化エーテルの沸点は、1気圧(約0.1MPa)において、通常15℃以上程度であり、好ましくは25?110℃程度、より好ましくは30?95℃程度である。ハロゲン化エーテルの中ではハイドロフルオロエーテル(HFE)が好ましい。
【0049】
本発明において用いるハイドロフルオロエーテルは、沸点が15℃以上であれば、特に制限されないが、HFEに含まれる炭素数は、通常3以上程度、好ましくは3 ?7程度、より好ましくは3?6程度である。
【0050】
沸点が15℃以上のハイドロフルオロエーテルとしては、例えば、・・・、1,1,2,2-テトラフルオロエチルメチルエーテル(CF_(2)HCF_(2)OCH_(3)、沸点37℃)、・・・などが好ましい。
・・・
【0052】
本発明において用いるハロゲン含有化合物は、難燃性であることが好ましい。しかしながら、ハロゲン含有化合物自身が、難燃性である必要は必ずしもなく、発泡剤としたときに難燃性となればよい。特に、プレミックスとした時に、難燃性となるようなハロゲン含有化合物が好ましい。この様なハロゲン含有化合物としては、・・・、1,1,2,2-テトラフルオロエチルメチルエーテル、・・・などを例示することができる。
・・・
【0054】
本発明において用いるハロゲン含有化合物としては、それ自身単独で発泡剤として使用できる化合物も好ましい。即ち、それ自身が、低い熱伝導率を有し、且つ沸点が15?90℃程度であるハロゲン含有化合物が好ましい。ハロゲン含有化合物の熱伝導率は、気体とした時に、1気圧(約0.1MPa)程度において、8?20mW/mK程度が好ましいこのようなハロゲン含有化合物としては、・・・、1,1,2,2-テトラフルオロエチルメチルエーテル、・・・などを例示することができる。ハロゲン含有化合物自身が発泡剤である場合には、ハロゲン含有化合物を含む発泡剤の添加量は、HFC-245faとHFC365mfcのみからなる発泡剤の添加量と同程度とすることができる。即ち、発泡剤中に占めるHFC-245faおよびHFC365mfcの割合を低下させることができる。よって、本発明の発泡剤とポリオールとを含むプレミックスの蒸気圧において、HFC245faおよびHFC365mfcの分圧の合計を低下させる効果がより大きくなる。また、実際に発泡させた場合、ハロゲン含有化合物自身が発泡剤として働き、発泡体中に凝縮物として残存したりする懸念がなくなる。
【0055】
HFC245faとHFC365mfcとハロゲン含有化合物との混合割合は、ハロゲン含有化合物の種類、用途、処方などに応じて任意に選択できるが、発泡剤の沸点、即ち蒸気圧が1気圧(約0.1MPa)になる温度が、17?35℃程度になる割合が好ましく、18?30℃程度になる割合が特に好ましい。
・・・
【0058】
HFC-245fa、HFC365mfcとハロゲン含有化合物との混合割合は、特に制限されず、ハロゲン含有化合物の種類などに応じて適宜設定することができるが、3者の合計を100モルとした時に、ハロゲン含有化合物は、通常50モル未満程度、好ましくは40モル未満、より好ましくは30モル未満、特に好ましくは25?3モル程度である。本発明の発泡剤としては、プレミックスとした時の蒸気圧や燃焼性に問題がなければ、ハロゲン含有化合物を加えない混合物であってもよい。
【0059】
ハロゲン含有化合物を含む場合、HFC-245faとHFC365mfcの比率は、特に制限されないが、HFC-245faとHFC365mfcの合計を100重量%とした時に、HFC-245fa:HFC365mfc=95?52重量%:5?48重量%であり、特に好ましくは、HFC-245fa:HFC365mfc=90?50重量%:10?50重量%である。」
(段落【0048】?【0059】)

1-3-3.プレミックスの燃焼性についての検討
上記「1-3-1.具体例の記載」で摘示したとおり、発明の詳細な説明には、ハロゲン化エーテル含有プレミックスとして、実施例4及び12の「1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパン/1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタン/1,1,2,2-テトラフルオロエチルメチルエーテル(60重量部/15重量部/25重量部)およびジエチレングリコールモノエチルエーテル(7重量部)」なる組成の発泡剤から得られるプレミックスの具体例しか記載されていない。
また、上記「1-3-2.プレミックスの組成に関する記載」で摘示したとおり、発明の詳細な説明の段落【0058】に、ハロゲン化エーテル含有プレミックスの発泡剤の組成に関して、「HFC-245fa、HFC365mfcとハロゲン含有化合物との混合割合は、特に制限されず、ハロゲン含有化合物の種類などに応じて適宜設定することができるが、3者の合計を100モルとした時に、ハロゲン含有化合物は、通常50モル未満程度、好ましくは40モル未満、より好ましくは30モル未満、特に好ましくは25?3モル程度である。本発明の発泡剤としては、プレミックスとした時の蒸気圧や燃焼性に問題がなければ、ハロゲン含有化合物を加えない混合物であってもよい。」と記載されていることからみて、ハロゲン化エーテル含有プレミックスの発泡剤が、「1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパンと1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタンと沸点が15℃以上のハロゲン化エーテルの合計量を100モルとしたときに、沸点が15℃以上のハロゲン化エーテルの量が50モル以上である混合物」を包含することは明らかである。
しかしながら、発明の詳細な説明には、本件発明1の発明特定事項であるハロゲン化エーテル含有プレミックスのうち、「1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパンと1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタン、更に、沸点が15℃以上のハロゲン化エーテルを含み、1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパンと1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタンと沸点が15℃以上のハロゲン化エーテルの合計量を100モルとしたときに、沸点が15℃以上のハロゲン化エーテルの量が50モル以上である混合物を使用し、前記発泡剤とポリオールとを含むプレミックスの気相組成における1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパン/1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタンの重量比が、25℃において1.7?4である」プレミックス(以下、「ハロゲン化エーテル50モル以上含有プレミックス」という。)について、何ら記載されておらず、また、その燃焼性に関する具体的な評価試験結果も示されていない。

上記ハロゲン化エーテル50モル以上含有プレミックスの燃焼性について検討する。
ハロゲン化エーテル50モル以上含有プレミックスは、実施例4及び12のプレミックスに比して、より高い割合の「沸点が15℃以上のハロゲン化エーテル」を含有するものであるから、その気相部においても、より高い割合の「沸点が15℃以上のハロゲン化エーテル」を含有するものと認められる。
また、発明の詳細な説明の実施例4及び12、段落【0050】、【0052】及び【0054】の記載からみて、ハロゲン化エーテル50モル以上含有プレミックスにおける「沸点が15℃以上のハロゲン化エーテル」には、「1,1,2,2-テトラフルオロエチルメチルエーテル」が包含されるものと認められ、かかる「1,1,2,2-テトラフルオロエチルメチルエーテル」は、例えば、被請求人自身が提出した乙第2号証及び乙第3号証に記載されているように、その引火点が-20℃未満であり、いわゆる可燃性を有する物質であることは、技術常識である。
してみると、ハロゲン化エーテル50モル以上含有プレミックスにおいて、「沸点が15℃以上のハロゲン化エーテル」が「1,1,2,2-テトラフルオロエチルメチルエーテル」であるものは、技術常識からみると、その気相部において、実施例4及び12のプレミックスに比して、より高い割合の可燃性物質の蒸気を含有する蓋然性が高い。
したがって、ハロゲン化エーテル50モル以上含有プレミックスにおいて、「沸点が15℃以上のハロゲン化エーテル」が「1,1,2,2-テトラフルオロエチルメチルエーテル」であるものは、実施例4及び12のプレミックスと同様に、その気相部の燃焼試験結果が「不燃性」であるものとは、直ちには認められないから、当該プレミックスについては、その燃焼性が抑制されていると認められず、また、これを覆すべき理由も見い出せない。

1-3-4.発明の詳細な説明の記載についての検討のまとめ
よって、発明の詳細な説明の記載により、ハロゲン化エーテル含有プレミックスを発明特定事項として有する本件発明1の全般にわたり、発明の詳細な説明に記載されたプレミックスの燃焼性の抑制なる課題を解決し得るものとは認められない。

1-4.被請求人の主張についての検討
1-4-1.被請求人の主張
被請求人は、平成20年11月21日付け答弁書及び平成21年3月2日付け口頭審理陳述要領書において、無効理由5に関して、概略、以下のとおり主張している。
(主張1)
「本件発明では、HFC245faとHFC365mfcを含むプレミックスの燃焼性がプレミックスの気相の燃焼性に大きく依存することを見出し完成されたものである。そのため、プレミックスにおけるHFC245faとHFC365mfcの気相重量比を所定の範囲に設定できれば、プレミックスの燃焼性を低減することができる。」
(答弁書第25頁下から第6行?同第2行)
(主張2)
「しかしながら、既に、本件発明3にかかる進歩性の項でも述べたように、本件発明3では、可燃性のHFE-254pcを用いた場合であっても、プレミックスにおけるHFC245fa/HFC365mfcの気相重量比を1.7?4に設定することにより、プレミックスが不燃化できるのである。具体的には、本件特許明細書の段落0052には、『ハロゲン含有化合物(沸点15℃以上のハロゲン化エーテルを包含する)自身が、難燃性である必要は必ずしもなく、発泡剤としたときに難燃性となればよい。特に、プレミックスとした時に、難燃性となるようなハロゲン含有化合物が好ましい。・・・1,1,2,2,-テトラフルオロエチルメチルエーテル(HFE-254pc)などを例示することができる。』と記載されている。また、実施例4ではHFE-254pcを含む発泡剤を用いてプレミックスを不燃化できることが具体的に示されている。よって、本件発明3には課題解決手段が十分に反映されている。本件発明8、11、16、19及び24についても同様である。」
(口頭審理陳述要領書第27頁第15行?第28頁第1行)

1-4-2.(主張1)についての検討
上記「1-3-3.プレミックスの燃焼性についての検討」で述べたとおり、本件発明1の発明特定事項であるハロゲン化エーテル含有プレミックスのうち、ハロゲン化エーテル50モル以上含有プレミックスにおいて、「沸点が15℃以上のハロゲン化エーテル」が「1,1,2,2-テトラフルオロエチルメチルエーテル」であるものは、実施例4及び12のプレミックスと同様に、その気相部の燃焼試験結果が「不燃性」であるものとは、直ちには認められないから、当該プレミックスについては、その燃焼性が抑制されているとは認められない。
してみると、プレミックスの燃焼性の抑制なる課題は、発泡剤とポリオールとを含むプレミックスの気相組成における1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパン/1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタンの重量比のみによって解決されるものとは認められない。

1-4-3.(主張2)についての検討
上記「1-4-2.(主張1)についての検討」で述べたとおり、プレミックスの燃焼性の抑制なる課題は、発泡剤とポリオールとを含むプレミックスの気相組成における1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパン/1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタンの重量比のみによって解決されるものとは認められない。
また、実施例4及び12で燃焼性に関する具体的な評価試験結果が示されたプレミックスは、本件発明1の発明特定事項であるハロゲン化エーテル含有プレミックスの具体的態様のごく一部にすぎず、かかる限られた実施例の記載をもって、本件発明1の発明特定事項であるハロゲン化エーテル含有プレミックスの全般にわたり、燃焼性が抑制されているとすることはできない。

1-4-4.被請求人の主張の検討についてのまとめ
したがって、上記(主張1)及び(主張2)は、いずれも採用することができないものである。

1-5.本件発明1についてのまとめ
よって、本件発明1は、発明の詳細な説明に記載したものでない。

2.本件発明2について
本件発明2は、請求項1を引用して記載した請求項2に係るものであり、「発泡剤の存在下に、ポリオールとポリイソシアネート化合物とを反応させてポリウレタンまたはポリイソシアヌレートの発泡体を製造する方法」に関するものであって、本件発明1と同様に、少なくとも、ハロゲン化エーテル含有プレミックスを用いることを、発明特定事項として有するものである。
したがって、「1.本件発明1について」で述べた理由と同様の理由により、本件発明2は、発明の詳細な説明に記載したものでない。

3.本件発明3について
本件発明3は、請求項1を引用して記載した請求項3に係るものであり、「発泡剤の存在下に、ポリオールとポリイソシアネート化合物とを反応させてポリウレタンまたはポリイソシアヌレートの発泡体を製造する方法」に関するものであって、本件発明1と同様に、少なくとも、ハロゲン化エーテル含有プレミックスを用いることを発明特定事項として有し、更に「沸点が15℃以上のハロゲン化エーテルが、1,1,2,2-テトラフルオロエチルメチルエーテルである」ことを発明特定事項として有するものである。
したがって、「1.本件発明1について」で述べた理由と同様の理由により、本件発明3は、発明の詳細な説明に記載したものでない。

4.本件発明4について
4-1.本件発明4の発明特定事項
本件発明4は、「発泡剤の存在下に、ポリオールとポリイソシアネート化合物とを反応させてポリウレタンまたはポリイソシアヌレートの発泡体を製造する方法」に関するものであって、「発泡剤として、1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパンと1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタン、更に以下の式(A)?(C)で示される化合物からなる群から選択される少なくとも1種のグリコール化合物(以下、単に「グリコール化合物」という。);
式(A) C_(a)H_(2a+1)O(CH_(2)CH_(2)O)_(b)C_(c)H_(2c+1)
[式中、a, bおよびcは、独立にa=1, 2, 3, 4、b=1, 2, 3, 4、c=0, 1, 2, 3, 4]、
式(B) C_(d)H_(2d+1)COO(CH_(2)CH_(2)O)_(e)CO C_(f)H_(2f+1)
[式中、d, eおよびfは、独立にd=0, 1, 2, 3, 4、e=1, 2, 3, 4、f=0, 1, 2, 3, 4]、および
式(C) C_(i)H_(2i+1)COO(CH_(2)CH_(2)O)_(j)C_(k)H_(2k+1)
[式中、i, jおよびkは、独立にi=0, 1, 2, 3, 4、j=1, 2, 3, 4、k=0, 1, 2, 3, 4]
を含む混合物を使用し、前記発泡剤とポリオールとを含むプレミックスの気相組成における1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパン/1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタンの重量比が、25℃において1.7?4である」プレミックス(以下、「グリコール化合物含有プレミックス」という。)を用いることを、発明特定事項として有するものである。

4-2.本件発明4の解決しようとする課題
上記「1-2.本件発明1の解決しようとする課題」で述べたとおり、本件発明4は、少なくとも、プレミックスの燃焼性の抑制を、その解決しようとする課題として有するものと認められる。

4-3.発明の詳細な説明の記載についての検討
本件発明4の全般にわたり、プレミックスの燃焼性の抑制なる課題を解決し得るか否かについて、以下に検討する。

4-3-1.具体例の記載
発明の詳細な説明には、本件発明4の発明特定事項であるグリコール化合物含有プレミックスの燃焼性に関する具体的な評価試験結果として、実施例3に「HFC245fa 5gとHFC365mfc 5gとジエチレングリコールモノエチルアセテート0.7g」なる組成の発泡剤から得られるプレミックスの気相部の組成の測定結果、及びこの組成と同じ組成のガスについての燃焼性試験結果が「不燃性」であること、実施例10に「1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパン/1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタン(60重量部/40重量部)およびジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート(7重量部)」なる組成の「発泡剤(ホ)」から得られるプレミックスの気相部の組成と同じ組成のガスについての燃焼性試験結果が「不燃性」であること、実施例4及び12に「1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパン/1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタン/1,1,2,2-テトラフルオロエチルメチルエーテル(60重量部/15重量部/25重量部)およびジエチレングリコールモノエチルエーテル(7重量部)」なる組成の「発泡剤(ト)」から得られるプレミックスの気相部の組成の測定結果、及びこの組成と同じ組成のガスについての燃焼性試験結果が「不燃性」であることが示されている。

4-3-2.プレミックスの組成に関する記載
発明の詳細な説明には、本件発明4のグリコール化合物含有プレミックスの組成に関して、上記「1-3-2.プレミックスの組成に関する記載」で挙げた事項に加え、以下の事項が記載されている。
「【0059】
・・・
*相溶化剤
本発明の発泡剤は、更にグリコール系化合物及び/又はフッ素含有界面活性剤を含んでいてもよい。即ち、本発明の発泡剤は、1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパンと1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタンとグリコール系化合物及び/又はフッ素含有界面活性剤とを含む混合物であってもよい。または、1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパンと1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタンと沸点が15℃以上のハロゲン含有化合物とグリコール系化合物及び/又はフッ素含有界面活性剤とを含む混合物であってもよい。
【0060】
HFC245faおよびHFC365mfcは、HCFC141bと比較するとポリオールへの溶解性が低い。グリコール系化合物とフッ素含有界面活性剤は、相溶化剤として作用するので、グリコール系化合物及び/又はフッ素含有界面活性剤を用いることにより、発泡剤のポリオールへの相溶性が改善される。相溶性が改善されるとプレミックスから発泡剤が揮発することによるロスを低下できるとともに、プレミックスの蒸気圧を低減できる。特にプレミックス中のHFC245faの割合が高い場合はプレミックスの蒸気圧が高くなりやすいので、グリコール系化合物及び/又はフッ素含有界面活性剤を使用してプレミックスの蒸気圧を低減するのが好ましい。即ち、燃焼性をさらに抑制するためにはHFC245faの割合を増加すればよいが、その場合は発泡剤、プレミックスともに蒸気圧が増加する方向となる。その場合、グリコール系化合物及び/又はフッ素含有界面活性剤を添加することにより、燃焼性をほとんど変えずに蒸気圧だけを低下させることができる。
*グリコール系化合物
本発明において用いるグリコール系化合物としては、例えば、エチレングリコール化合物、プロピレングリコール化合物などを例示することができる。
【0061】
エチレングリコール化合物としては、以下の式(A)?式(C)で示される化合物などを例示することができる。
式(A) C_(a)H_(2a+1)O(CH_(2)CH_(2)O)_(b)C_(c)H_(2c+1)[式中、a, bおよびcは、独立にa=1, 2, 3, 4、b=1, 2, 3, 4、c=0, 1, 2, 3, 4]、
・・・
【0065】
エチレングルコール系化合物としては、式(A)においてaおよびcが1以上であるジエーテル化合物、式(B)においてdおよびfが1以上であるジエステル化合物、式(C)においてkおよびiが1以上であるエーテルエステル化合物などが好ましく、・・・などがより好ましく、エチレングリコールモノメチルエーテル、・・・も好適に用いることができる。
・・・
【0068】
グリコール化合物としては、難燃性のものが好ましい。しかしながら、グリコール化合物が全く不燃である必要はなく、HFC-245faとHFC365fmcとの混合物としたときに、難燃性を保てる程度であればよい。グリコール化合物としては、危険物第4類、3石以上程度の難燃性を有していることが好ましいが、プレミックスとした時に、危険物第4類、3石以上程度の難燃性を有している限り、グリコール化合物の難燃性は、特に制限されない。なお、危険物第4類、3石以上程度の難燃性とは、1気圧、20℃で液体の化合物の発火点が100℃以上程度で、引火点が70℃以上程度であることを意味する。難燃性のグリコール化合物を用いると、発泡剤を難燃性に保ち、現場での発泡時に要求される難燃性を維持できる。例えば、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテートの引火点は110℃であり、エチレングリコールジアセテートの引火点は96℃であり、ともに20℃において液体である。従って、これらのグリコール化合物は、危険物第4類、3石以上の難燃性を有している。」
(段落【0059】?【0068】)
「【0079】
発泡剤中のHFC-245faとHFC365fmcとグリコール化合物及び/又はフッ素含有界面活性剤との混合割合は、用途、合成樹脂発泡体原料の組成などに応じて任意に選択できる。例えば、HFC245fa、HFC365mfc、グリコール化合物及び/又はフッ素含有界面活性剤、ポリオールなどを含むプレミックスの40℃程度における蒸気圧が、グリコール化合物及び/又はフッ素含有界面活性剤を除いた以外は前記プレミックスと同じ重量組成比のプレミックスの40℃における蒸気圧に対して、通常95%以下程度であり、好ましくは70?90%程度であり、より好ましくは70?85%程度となるようにHFC-245faとHFC365mfcとグリコール化合物及び/又はフッ素含有界面活性剤との比を設定するのが好ましい。より具体的な例を挙げると、(a) グリコール化合物及び/又はフッ素含有界面活性剤:A重量部、(b)HFC-245faとHFC365mfcの合計:B重量部および(c)ポリオール:C重量部からなるプレミックスの場合、前記(a)?(c)を含むプレミックスの蒸気圧が、40℃程度において、(b)HFC-245faとHFC365mfcの合計:B重量部および(c)ポリオール:C重量部からなるプレミックスの蒸気圧に対して、95%以下程度、好ましくは90%以下程度、より好ましくは85%以下程度となるようにHFC-245faとHFC365mfcとグリコール化合物及び/又はフッ素含有界面活性剤との比を設定するのが好ましい。なお、蒸気圧の比の測定には、ポリオール100重量部に対して、HFC-245faとHFC365mfcとグリコール化合物及び/又はフッ素含有界面活性剤の合計量が、20?70重量部程度であるプレミックスを用いる。
【0080】
または、HFC-245fa、HFC365mfc、グリコール化合物及び/又はフッ素含有界面活性剤、ポリオールなどを含むプレミックスの沸点、即ちプレミックスの蒸気圧が1気圧(約0.1MPa)になる温度が、通常15℃以上程度、好ましくは17?35℃程度、より好ましくは18?30℃程度になるように、HFC-245fa、HFC365mfc、フッ素含有界面活性剤などの混合比を設定すればよい。
【0081】
グリコール化合物及び/又はフッ素含有界面活性剤を含む本発明の発泡剤において、HFC-245faとHFC365mfcの配合量の合計は、HFC-245faとHFC365mfcとフッ素含有界面活性剤との総量に対して、通常50重量%以上程度、好ましくは65?99重量%程度、より好ましくは75?98重量%程度である。なお、HFC365mfcとHFC245faを発泡剤とするプレミックスの蒸気圧や燃焼性に問題がなければフッ素含有界面活性剤は、加えなくてもよい。
【0082】
HFC245faとHFC365mfcとグリコール化合物及び/又はフッ素含有界面活性剤とを含む発泡剤におけるHFC245faとHFC365mfcとグリコール化合物及び/又はフッ素含有界面活性剤の混合割合は、発泡剤の沸点が、17?35℃程度になる割合が好ましく、18?30℃になる割合がより好ましい。
【0083】
HFC245faとHFC365mfcとグリコール化合物及び/又はフッ素含有界面活性剤とを含む発泡剤におけるHFC-245faとHFC365mfcとの混合比率は、HFC-245faとHFC365mfcの合計を100重量%とした時に、HFC-245fa:HFC365mfc=90?54重量%:10?46重量%であり、特に好ましくは、HFC-245fa:HFC365mfc=80?60重量%:20?40重量%である。
【0084】
更に、ハロゲン含有化合物を含む場合、即ち、ハロゲン含有化合物とHFC245faとHFC365mfcとグリコール化合物及び/又はフッ素含有界面活性剤とを含む発泡剤におけるHFC-245faとHFC365mfcとの混合比率は、HFC-245faとHFC365mfcの合計を100重量%とした時に、HFC-245fa:HFC365mfc=95?52重量%:5?48重量%であり、特に好ましくは、HFC-245fa:HFC365mfc=90?50重量%:10?50重量%である。
【0085】
以上のように、本発明の発泡剤としては、HFC245faとHFC365mfcの混合物をベースとしてプレミックスとした場合に、プレミックスの気相成分が不燃性となるように各成分の混合比を調製したものが好ましい。また、プレミックスの蒸気圧を下げたり燃焼性を改善するために、ハロゲン化炭化水素、ハロゲン化アルコール、ハイドロフルオロエーテルなどのハロゲン含有化合物を加えることができる。さらに、ハロゲン含有化合物の有無に関係なく、相溶化剤であるグリコール化合物、フッ素含有界面活性剤またはその両者を発泡剤に加えることができる。」
(段落【0079】?【0085】)

4-3-3.プレミックスの燃焼性についての検討
上記「4-3-1.具体例の記載」で摘示したとおり、発明の詳細な説明には、グリコール化合物含有プレミックスとして、実施例3の「HFC245fa 5gとHFC365mfc 5gとジエチレングリコールモノエチルアセテート0.7g」なる組成の発泡剤から得られるプレミックス、実施例10の「1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパン/1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタン(60重量部/40重量部)およびジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート(7重量部)」なる組成の発泡剤から得られるプレミックス、実施例4及び12の「1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパン/1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタン/1,1,2,2-テトラフルオロエチルメチルエーテル(60重量部/15重量部/25重量部)およびジエチレングリコールモノエチルエーテル(7重量部)」なる組成の発泡剤から得られるプレミックスの具体例しか記載されていない。
また、上記「4-3-2.プレミックスの組成に関する記載」で摘示したとおり、発明の詳細な説明の段落【0081】に、グリコール化合物含有プレミックスの発泡剤の組成に関して、「グリコール化合物及び/又はフッ素含有界面活性剤を含む本発明の発泡剤において、HFC-245faとHFC365mfcの配合量の合計は、HFC-245faとHFC365mfcとフッ素含有界面活性剤との総量(審決注:「HFC-245faとHFC365mfcとグリコール化合物及び/又はフッ素含有界面活性剤との総量」の誤記と認められる。)に対して、通常50重量%以上程度、好ましくは65?99重量%程度、より好ましくは75?98重量%程度である。なお、HFC365mfcとHFC245faを発泡剤とするプレミックスの蒸気圧や燃焼性に問題がなければフッ素含有界面活性剤は、加えなくてもよい。」と記載されていることからみて、グリコール化合物含有プレミックスの発泡剤が、「1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパンと1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタンとグリコール化合物との総量に対して、グリコール化合物の量が50重量%以上である混合物」を包含することは明らかである。
しかしながら、発明の詳細な説明には、本件発明4の発明特定事項であるグリコール化合物含有プレミックスのうち、「1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパンと1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタン、更に、沸点が15℃以上のハロゲン化エーテルを含み、1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパンと1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタンとグリコール化合物との総量に対して、グリコール化合物の量が50重量%以上である混合物を使用し、前記発泡剤とポリオールとを含むプレミックスの気相組成における1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパン/1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタンの重量比が、25℃において1.7?4である」プレミックス(以下、「グリコール化合物50重量%以上含有プレミックス」という。)について、何ら記載されておらず、また、その燃焼性に関する具体的な評価試験結果も示されていない。

上記グリコール化合物50重量%以上含有プレミックスの燃焼性について検討する。
グリコール化合物50重量%以上含有プレミックスは、実施例3、4、10及び12のプレミックスに比して、より高い割合の「グリコール化合物」を含有するものであるから、その気相部においても、より高い割合の「グリコール化合物」を含有するものと認められる。
また、発明の詳細な説明の段落【0065】の記載からみて、グリコール化合物50重量%以上含有プレミックスにおける「グリコール化合物」には、「エチレングリコールモノメチルエーテル」が包含されるものと認められ、かかる「エチレングリコールモノメチルエーテル」は、例えば、化学大辞典編集委員会編「化学大辞典2 縮刷版」,共立出版株式会社,1993年6月1日縮刷版第34刷発行,第37?38頁「β-オキシエチルメチルエーテル」の項に記載されているように、エチレングリコールメチルエーテルは、その引火点が32℃であり、いわゆる可燃性を有する物質であることは、技術常識である。
してみると、グリコール化合物50重量%以上含有プレミックスにおいて、「グリコール化合物」が「エチレングリコールモノメチルエーテル」であるものは、技術常識からみると、その気相部において、実施例3、4、10及び12のプレミックスに比して、より高い割合の可燃性物質の蒸気を含有する蓋然性が高い。
したがって、グリコール化合物50重量%以上含有プレミックスにおいて、「グリコール化合物」が「エチレングリコールモノメチルエーテル」であるものは、実施例3、4、10及び12のプレミックスと同様に、その気相部の燃焼試験結果が「不燃性」であるものとは、直ちには認められないから、当該プレミックスについては、その燃焼性が抑制されていると認められず、また、これを覆すべき理由も見い出せない。

4-3-4.発明の詳細な説明の記載についての検討のまとめ
よって、発明の詳細な説明の記載により、グリコール化合物含有プレミックスを発明特定事項として有する本件発明4の全般にわたり、発明の詳細な説明に記載されたプレミックスの燃焼性の抑制なる課題を解決し得るものとは認められない。

4-4.本件発明4についてのまとめ
本件発明4は、発明の詳細な説明に記載したものでない。

5.本件発明5について
本件発明5は、請求項4を引用して記載した請求項5に係るものであり、「発泡剤の存在下に、ポリオールとポリイソシアネート化合物とを反応させてポリウレタンまたはポリイソシアヌレートの発泡体を製造する方法」に関するものであって、本件発明4と同様に、少なくとも、グリコール化合物含有プレミックスを用いることを、発明特定事項として有するものである。
したがって、「4.本件発明4について」で述べた理由と同様の理由により、本件発明5は、発明の詳細な説明に記載したものでない。

6.本件発明6について
6-1.本件発明6の発明特定事項
本件発明6は、「発泡剤の存在下に、ポリオールとポリイソシアネート化合物とを反応させてポリウレタンまたはポリイソシアヌレートの発泡体を製造する方法」に関するものであって、少なくとも、「発泡剤として、1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパンと1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタン、更に、(i)沸点が15℃以上のハロゲン化エーテルと(ii)以下の式(A)?(C)で示される化合物からなる群から選択される少なくとも1種のグリコール化合物;
式(A) C_(a)H_(2a+1)O(CH_(2)CH_(2)O)_(b)C_(c)H_(2c+1)
[式中、a, bおよびcは、独立にa=1, 2, 3, 4、b=1, 2, 3, 4、c=0, 1, 2, 3, 4]、
式(B) C_(d)H_(2d+1)COO(CH_(2)CH_(2)O)_(e)CO C_(f)H_(2f+1)
[式中、d, eおよびfは、独立にd=0, 1, 2, 3, 4、e=1, 2, 3, 4、f=0, 1, 2, 3, 4]、および
式(C) C_(i)H_(2i+1)COO(CH_(2)CH_(2)O)_(j)C_(k)H_(2k+1)
[式中、i, jおよびkは、独立にi=0, 1, 2, 3, 4、j=1, 2, 3, 4、k=0, 1, 2, 3, 4]
を含む混合物を使用し、前記発泡剤とポリオールとを含むプレミックスの気相組成における1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパン/1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタンの重量比が、25℃において1.7?4である」プレミックス(以下、「ハロゲン化エーテル及びグリコール化合物含有プレミックス」という。)を用いることを、発明特定事項として有するものである。

6-2.本件発明6の解決しようとする課題
上記「1-2.本件発明1の解決しようとする課題」で述べたとおり、本件発明6は、プレミックスの燃焼性の抑制を、その解決しようとする課題として有するものと認められる。

6-3.発明の詳細な説明の記載についての検討
本件発明6の全範囲にわたり、プレミックスの燃焼性の抑制なる課題を解決し得るか否かについて、以下に検討する。

6-3-1.具体例の記載
発明の詳細な説明には、本件発明6の発明特定事項であるハロゲン化エーテル及びグリコール化合物含有プレミックスの燃焼性に関する具体的な評価試験結果として、実施例4及び12に「1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパン/1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタン/1,1,2,2-テトラフルオロエチルメチルエーテル(60重量部/15重量部/25重量部)およびジエチレングリコールモノエチルエーテル(7重量部)」なる組成の「発泡剤(ト)」から得られるプレミックスの気相部の組成の測定結果が示され、この組成と同じ組成のガスについての燃焼性試験結果が「不燃性」であることが示されている。

6-3-2.プレミックスの組成に関する記載
発明の詳細な説明には、本件発明6のハロゲン化エーテル及びグリコール化合物含有プレミックスの組成に関して、上記「1-3-2.プレミックスの組成に関する記載」及び「4-3-2.プレミックスの組成に関する記載」で挙げた事項が記載されている。

6-3-3.プレミックスの燃焼性についての検討
上記「6-3-1.具体例の記載」で摘示したとおり、発明の詳細な説明には、ハロゲン化エーテル及びグリコール化合物含有プレミックスとして、実施例4及び12の「1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパン/1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタン/1,1,2,2-テトラフルオロエチルメチルエーテル(60重量部/15重量部/25重量部)およびジエチレングリコールモノエチルエーテル(7重量部)」なる組成の発泡剤から得られるプレミックスの具体例しか記載されていない。
また、上記「1-3-2.プレミックスの組成に関する記載」及び「4-3-2.プレミックスの組成に関する記載」で摘示したとおり、ハロゲン化エーテル及びグリコール化合物含有プレミックスの発泡剤の組成に関して、発明の詳細な説明の段落【0058】に、「HFC-245fa、HFC365mfcとハロゲン含有化合物との混合割合は、特に制限されず、ハロゲン含有化合物の種類などに応じて適宜設定することができるが、3者の合計を100モルとした時に、ハロゲン含有化合物は、通常50モル未満程度、好ましくは40モル未満、より好ましくは30モル未満、特に好ましくは25?3モル程度である。本発明の発泡剤としては、プレミックスとした時の蒸気圧や燃焼性に問題がなければ、ハロゲン含有化合物を加えない混合物であってもよい。」と記載され、同段落【0081】に、グリコール化合物含有プレミックスの発泡剤の組成に関して、「グリコール化合物及び/又はフッ素含有界面活性剤を含む本発明の発泡剤において、HFC-245faとHFC365mfcの配合量の合計は、HFC-245faとHFC365mfcとフッ素含有界面活性剤との総量(審決注:「HFC-245faとHFC365mfcとグリコール化合物及び/又はフッ素含有界面活性剤との総量」の誤記と認められる。)に対して、通常50重量%以上程度、好ましくは65?99重量%程度、より好ましくは75?98重量%程度である。なお、HFC365mfcとHFC245faを発泡剤とするプレミックスの蒸気圧や燃焼性に問題がなければフッ素含有界面活性剤は、加えなくてもよい。」と記載されていることからみて、ハロゲン化エーテル及びグリコール化合物含有プレミックスの発泡剤が、「1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパンと1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタンと沸点が15℃以上のハロゲン化エーテルの合計量を100モルとしたときに、沸点が15℃以上のハロゲン化エーテルの量が50モル以上であるか、1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパンと1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタンとグリコール化合物との総量に対して、グリコール化合物の量が50重量%以上である混合物」を包含することは明らかである。
しかしながら、発明の詳細な説明には、本件発明6の発明特定事項であるハロゲン化エーテル及びグリコール化合物含有プレミックスのうち、「1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパンと1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタン、更に、(i)沸点が15℃以上のハロゲン化エーテルと(ii)グリコール化合物を含み、1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパンと1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタンと沸点が15℃以上のハロゲン化エーテルの合計量を100モルとしたときに、沸点が15℃以上のハロゲン化エーテルの量が50モル以上であるか、1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパンと1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタンとグリコール化合物との総量に対して、グリコール化合物の量が50重量%以上である混合物を使用し、前記発泡剤とポリオールとを含むプレミックスの気相組成における1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパン/1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタンの重量比が、25℃において1.7?4である」プレミックス(以下、「ハロゲン化エーテル50モル以上又はグリコール化合物50重量%以上含有プレミックス」という。)について、何ら記載されておらず、また、その燃焼性に関する具体的な評価試験結果も示されていない。

上記ハロゲン化エーテル50モル以上又はグリコール化合物50重量%以上含有プレミックスの燃焼性について検討する。
ハロゲン化エーテル50モル以上又はグリコール化合物50重量%以上含有プレミックスは、実施例4及び12のプレミックスに比して、より高い割合の「沸点が15℃以上のハロゲン化エーテル」又は「グリコール化合物」を含有するものであるから、その気相部においても、より高い割合の「沸点が15℃以上のハロゲン化エーテル」又は「グリコール化合物」を含有するものと認められる。
また、上記「1-3-3.プレミックスの燃焼性についての検討」及び「4-3-3.プレミックスの燃焼性についての検討」で述べたとおり、ハロゲン化エーテル50モル以上又はグリコール化合物50重量%以上含有プレミックスにおける「沸点が15℃以上のハロゲン化エーテル」及び「グリコール化合物」には、それぞれ、「1,1,2,2-テトラフルオロエチルメチルエーテル」及び「エチレングリコールモノメチルエーテル」が包含されるものと認められ、かかる「1,1,2,2-テトラフルオロエチルメチルエーテル」及び「エチレングリコールモノメチルエーテル」は、いわゆる可燃性を有する物質であることは、技術常識である。
してみると、ハロゲン化エーテル50モル以上又はグリコール化合物50重量%以上含有プレミックスにおいて、「沸点が15℃以上のハロゲン化エーテル」が「1,1,2,2-テトラフルオロエチルメチルエーテル」であり、「グリコール化合物」が「エチレングリコールモノメチルエーテル」であるものは、技術常識からみると、その気相部において、実施例4及び12のプレミックスに比して、より高い割合の可燃性物質の蒸気を含有する蓋然性が高い。
したがって、ハロゲン化エーテル50モル以上又はグリコール化合物50重量%以上含有プレミックスにおいて、「沸点が15℃以上のハロゲン化エーテル」が「1,1,2,2-テトラフルオロエチルメチルエーテル」であり、「グリコール化合物」が「エチレングリコールモノメチルエーテル」であるものは、実施例4及び12のプレミックスと同様に、その気相部の燃焼試験結果が「不燃性」であるものとは、直ちには認められないから、当該プレミックスについては、その燃焼性が抑制されていると認められず、また、これを覆すべき理由も見い出せない。

6-3-4.発明の詳細な説明の記載についての検討のまとめ
よって、発明の詳細な説明の記載により、ハロゲン化エーテル及びグリコール化合物含有プレミックスを発明特定事項として有する本件発明6の全般にわたり、発明の詳細な説明に記載されたプレミックスの燃焼性の抑制なる課題を解決し得るものとは認められない。

6-4.本件発明6についてのまとめ
本件発明6は、発明の詳細な説明に記載したものでない。

7.本件発明7について
本件発明7は、請求項6を引用して記載した請求項7に係るものであり、「発泡剤の存在下に、ポリオールとポリイソシアネート化合物とを反応させてポリウレタンまたはポリイソシアヌレートの発泡体を製造する方法」に関するものであって、本件発明6と同様に、少なくとも、ハロゲン化エーテル及びグリコール化合物含有プレミックスを用いることを、発明特定事項として有するものである。
したがって、「6.本件発明6について」で述べた理由と同様の理由により、本件発明7は、発明の詳細な説明に記載したものでない。

8.本件発明8について
本件発明8は、請求項6を引用して記載した請求項8に係るものであり、「発泡剤の存在下に、ポリオールとポリイソシアネート化合物とを反応させてポリウレタンまたはポリイソシアヌレートの発泡体を製造する方法」に関するものであって、本件発明6と同様に、少なくとも、ハロゲン化エーテル及びグリコール化合物含有プレミックスを用いることを発明特定事項として有し、更に「沸点が15℃以上のハロゲン化エーテルが、1,1,2,2-テトラフルオロエチルメチルエーテルである」ことを発明特定事項として有するものである。
したがって、「6.本件発明6について」で述べた理由と同様の理由により、本件発明8は、発明の詳細な説明に記載したものでない。

9.本件発明9?16について
本件発明9?16は、「ポリウレタンまたはポリイソシアヌレート用発泡剤」に関するものであって、前記発泡剤が、それぞれ、本件発明1?8のプレミックスの調製に用いられる発泡剤と同じ組成を有することを発明特定事項とするものである。
してみると、上記「1.本件発明1について」?「8.本件発明8について」で述べた理由と同様の理由により、本件発明9?16の全般にわたり、発明の詳細な説明に記載されたプレミックスの燃焼性の抑制なる課題を解決し得るものとは認められない。
したがって、本件発明9?16は、発明の詳細な説明に記載したものでない。

10.本件発明17?24について
本件発明17?24は、「発泡剤とポリオールとを含むプレミックス」に関するものであって、前記プレミックスが、それぞれ、本願発明1?8で用いられるプレミックスと同じ組成を有することを、発明特定事項とするものである。
してみると、上記「1.本件発明1について」?「8.本件発明8について」で述べた理由と同様の理由により、本件発明17?24の全般にわたり、発明の詳細な説明に記載されたプレミックスの燃焼性の抑制なる課題を解決し得るものとは認められない。
したがって、本件発明17?24は、発明の詳細な説明に記載したものでない。

11.無効理由5についての検討のまとめ
よって、本件発明1?24は、発明の詳細な説明に記載したものでないから、本件特許に係る出願は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。


第7.むすび
以上のとおりであるから、特許第3894326号の請求項1?24に係る発明についての特許は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであり、同法第123条第1項第4号に該当するので、請求人の主張する無効理由1?4について更に検討するまでもなく、無効にすべきものである。
審判に関する費用については、特許法第169条第2項において準用する民事訴訟法第61条の規定により、被請求人が負担すべきものとする。
よって、結論のとおり審決する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
合成樹脂発泡体の製造方法
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発泡剤の存在下に、ポリオールとポリイソシアネート化合物とを反応させてポリウレタンまたはポリイソシアヌレートの発泡体を製造する方法において、
前記発泡剤として、1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパンと1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタン、更に、沸点が15℃以上のハロゲン化エーテルを含む混合物を使用し、前記発泡剤とポリオールとを含むプレミックスを調製する工程を有し、
得られるプレミックスの気相組成における1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパン/1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタンの重量比が、25℃において1.7?4である発泡体の製造方法。
【請求項2】
得られたプレミックスの40℃における蒸気圧が、前記プレミックス中の発泡剤の重量組成比及びHFC245fa/HFC365mfc重量組成比を変えずに沸点が15℃以上のハロゲン化エーテルを除いたプレミックスの40℃における蒸気圧に対して、95%以下である請求項1に記載の発泡体の製造方法。
【請求項3】
沸点が15℃以上のハロゲン化エーテルが、1,1,2,2-テトラフルオロエチルメチルエーテルである請求項1に記載の発泡体の製造方法。
【請求項4】
発泡剤の存在下に、ポリオールとポリイソシアネート化合物とを反応させてポリウレタンまたはポリイソシアヌレートの発泡体を製造する方法において、
前記発泡剤として、1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパンと1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタン、更に以下の式(A)?(C)で示される化合物からなる群から選択される少なくとも1種のグリコール化合物;
式(A)C_(a)H_(2a+1)O(CH_(2)CH_(2)O)_(b)C_(c)H_(2c+1)
[式中、a,bおよびcは、独立にa=1,2,3,4、b=1,2,3,4、c=0,1,2,3,4]、
式(B)C_(d)H_(2d+1)COO(CH_(2)CH_(2)O)_(e)CO C_(f)H_(2f+1)
[式中、d,eおよびfは、独立にd=0,1,2,3,4、e=1,2,3,4、f=0,1,2,3,4]、および
式(C)C_(i)H_(2i+1)COO(CH_(2)CH_(2)O)_(j)C_(k)H_(2k+1)
[式中、i,jおよびkは、独立にi=0,1,2,3,4、j=1,2,3,4、k=0,1,2,3,4]
を含む混合物を使用し、
前記発泡剤とポリオールとを含むプレミックスを調製する工程を有し、
得られるプレミックスの気相組成における1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパン/1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタンの重量比が、25℃において1.7?4である発泡体の製造方法。
【請求項5】
得られたプレミックスの40℃における蒸気圧が、グリコール化合物を除いた以外は前記プレミックスと同じ重量組成比のプレミックスの40℃における蒸気圧に対して、95%以下である請求項4に記載の発泡体の製造方法。
【請求項6】
発泡剤の存在下に、ポリオールとポリイソシアネート化合物とを反応させてポリウレタンまたはポリイソシアヌレートの発泡体を製造する方法において、
前記発泡剤として、1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパンと1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタン、更に、(i)沸点が15℃以上のハロゲン化エーテルと(ii)以下の式(A)?(C)で示される化合物からなる群から選択される少なくとも1種のグリコール化合物;
式(A)C_(a)H_(2a+1)O(CH_(2)CH_(2)O)_(b)C_(c)H_(2c+1)
[式中、a,bおよびcは、独立にa=1,2,3,4、b=1,2,3,4、c=0,1,2,3,4]、
式(B)C_(d)H_(2d+1)COO(CH_(2)CH_(2)O)_(e)CO C_(f)H_(2f+1)
[式中、d,eおよびfは、独立にd=0,1,2,3,4、e=1,2,3,4、f=0,1,2,3,4]、および
式(C)C_(i)H_(2i+1)COO(CH_(2)CH_(2)O)_(j)C_(k)H_(2k+1)
[式中、i,jおよびkは、独立にi=0,1,2,3,4、j=1,2,3,4、k=0,1,2,3,4]
を含む混合物を使用し、
前記発泡剤とポリオールとを含むプレミックスを調製する工程を有し、
得られるプレミックスの気相組成における1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパン/1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタンの重量比が、25℃において1.7?4である発泡体の製造方法。
【請求項7】
得られたプレミックスの40℃における蒸気圧が、前記プレミックスから(i)沸点が15℃以上のハロゲン化エーテルと(ii)グリコール化合物を除いた以外は同じ重量組成比のプレミックスの40℃における蒸気圧に対して、95%以下である請求項6に記載の発泡体の製造方法。
【請求項8】
沸点が15℃以上のハロゲン化エーテルが、1,1,2,2-テトラフルオロエチルメチルエーテルである請求項6に記載の発泡体の製造方法。
【請求項9】
ポリウレタンまたはポリイソシアヌレート用発泡剤であって、
1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパンと1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタン、更に、沸点が15℃以上のハロゲン化エーテルを含み、
発泡剤とポリオールとを含むプレミックスとしたときに、プレミックスの気相組成における1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパン/1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタンの重量比が、25℃において1.7?4となる発泡剤。
【請求項10】
発泡剤とポリオールとを含むプレミックスとしたときに、
前記プレミックスの40℃における蒸気圧が、前記プレミックス中の発泡剤の重量組成比及びHFC245fa/HFC365mfc重量組成比を変えずに沸点が15℃以上のハロゲン化エーテルを除いたプレミックスの40℃における蒸気圧に対して95%以下である請求項9に記載の発泡剤。
【請求項11】
沸点15℃以上のハロゲン化エーテルが、1,1,2,2-テトラフルオロエチルメチルエーテルである請求項9に記載の発泡剤。
【請求項12】
ポリウレタンまたはポリイソシアヌレート用発泡剤であって、
1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパンと1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタン、更に、以下の式(A)?(C)で示される化合物からなる群から選択される少なくとも1種のグリコール化合物;
式(A)C_(a)H_(2a+1)O(CH_(2)CH_(2)O)_(b)C_(c)H_(2c+1)
[式中、a,bおよびcは、独立にa=1,2,3,4、b=1,2,3,4、c=0,1,2,3,4]、
式(B)C_(d)H_(2d+1)COO(CH_(2)CH_(2)O)_(e)CO C_(f)H_(2f+1)
[式中、d,eおよびfは、独立にd=0,1,2,3,4、e=1,2,3,4、f=0,1,2,3,4]、および
式(C)C_(i)H_(2i+1)COO(CH_(2)CH_(2)O)_(j)C_(k)H_(2k+1)
[式中、i,jおよびkは、独立にi=0,1,2,3,4、j=1,2,3,4、k=0,1,2,3,4]
を含み、
発泡剤とポリオールとを含むプレミックスとしたときに、プレミックスの気相組成における1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパン/1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタンの重量比が、25℃において1.7?4となる発泡剤。
【請求項13】
ポリオールと発泡剤とを含むプレミックスとしたときに、
前記プレミックスの40℃における蒸気圧が、前記プレミックスからグリコール化合物を除いた以外は前記プレミックスと同じ重量組成比のプレミックスの40℃における蒸気圧に対して、95%以下である請求項12に記載の発泡剤。
【請求項14】
ポリウレタンまたはポリイソシアヌレート用発泡剤であって、
1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパンと1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタン、更に、(i)沸点が15℃以上のハロゲン化エーテルと(ii)以下の式(A)?(C)で示される化合物からなる群から選択される少なくとも1種のグリコール化合物;
式(A)C_(a)H_(2a+1)O(CH_(2)CH_(2)O)_(b)C_(c)H_(2c+1)
[式中、a,bおよびcは、独立にa=1,2,3,4、b=1,2,3,4、c=0,1,2,3,4]、
式(B)C_(d)H_(2d+1)COO(CH_(2)CH_(2)O)_(e)CO C_(f)H_(2f+1)
[式中、d,eおよびfは、独立にd=0,1,2,3,4、e=1,2,3,4、f=0,1,2,3,4]、および
式(C)C_(i)H_(2i+1)COO(CH_(2)CH_(2)O)_(j)C_(k)H_(2k+1)
[式中、i,jおよびkは、独立にi=0,1,2,3,4、j=1,2,3,4、k=0,1,2,3,4]
を含み、
発泡剤とポリオールとを含むプレミックスとしたときに、プレミックスの気相組成における1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパン/1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタンの重量比が、25℃において1.7?4となる発泡剤。
【請求項15】
ポリオールと発泡剤とを含むプレミックスとしたときに、
前記プレミックスの40℃における蒸気圧が、前記プレミックスから(i)沸点が15℃以上のハロゲン化エーテルと(ii)グリコール化合物を除いた以外は同じ重量組成比のプレミックスの40℃における蒸気圧に対して、95%以下である請求項14に記載の発泡剤。
【請求項16】
沸点が15℃以上のハロゲン化エーテルが、1,1,2,2-テトラフルオロエチルメチルエーテルである請求項14に記載の発泡剤。
【請求項17】
発泡剤とポリオールとを含むプレミックスであって、
発泡剤が、1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパンと1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタン、更に、沸点が15℃以上のハロゲン化エーテルを含む混合物であり、プレミックスの気相組成における1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパン/1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタンの重量比が、25℃で1.7?4であるプレミックス。
【請求項18】
プレミックスの40℃における蒸気圧が、前記プレミックス中の発泡剤の重量組成比及びHFC245fa/HFC365mfc重量組成比を変えずに沸点が15℃以上のハロゲン化エーテルを除いたプレミックスの40℃における蒸気圧に対して、95%以下である請求項17に記載のプレミックス。
【請求項19】
前記の沸点15℃以上のハロゲン化エーテルが、1,1,2,2-テトラフルオロエチルメチルエーテルである請求項17に記載のプレミックス。
【請求項20】
発泡剤とポリオールとを含むプレミックスであって、
発泡剤が、1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパンと1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタン、更に、以下の式(A)?(C)で示される化合物からなる群から選択される少なくとも1種のグリコール化合物;
式(A)C_(a)H_(2a+1)O(CH_(2)CH_(2)O)_(b)C_(c)H_(2c+1)
[式中、a,bおよびcは、独立にa=1,2,3,4、b=1,2,3,4、c=0,1,2,3,4]、
式(B)C_(d)H_(2d+1)COO(CH_(2)CH_(2)O)_(e)CO C_(f)H_(2f+1)
[式中、d,eおよびfは、独立にd=0,1,2,3,4、e=1,2,3,4、f=0,1,2,3,4]、および
式(C)C_(i)H_(2i+1)COO(CH_(2)CH_(2)O)_(j)C_(k)H_(2k+1)
[式中、i,jおよびkは、独立にi=0,1,2,3,4、j=1,2,3,4、k=0,1,2,3,4]
を含む混合物であり、プレミックスの気相組成における1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパン/1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタンの重量比が、25℃で1.7?4であるプレミックス。
【請求項21】
プレミックスの40℃における蒸気圧が、前記プレミックスからグリコール化合物を除いた以外は前記プレミックスと同じ重量組成比のプレミックスの40℃における蒸気圧に対して、95%以下である請求項20に記載のプレミックス。
【請求項22】
発泡剤とポリオールとを含むプレミックスであって、
発泡剤が、1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパンと1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタン、更に、(i)沸点が15℃以上のハロゲン化エーテルと(ii)以下の式(A)?(C)で示される化合物からなる群から選択される少なくとも1種のグリコール化合物;
式(A)C_(a)H_(2a+1)O(CH_(2)CH_(2)O)_(b)C_(c)H_(2c+1)
[式中、a,bおよびcは、独立にa=1,2,3,4、b=1,2,3,4、c=0,1,2,3,4]、
式(B)C_(d)H_(2d+1)COO(CH_(2)CH_(2)O)_(e)CO C_(f)H_(2f+1)
[式中、d,eおよびfは、独立にd=0,1,2,3,4、e=1,2,3,4、f=0,1,2,3,4]、および
式(C)C_(i)H_(2i+1)COO(CH_(2)CH_(2)O)_(j)C_(k)H_(2k+1)
[式中、i,jおよびkは、独立にi=0,1,2,3,4、j=1,2,3,4、k=0,1,2,3,4]
を含む混合物であり、プレミックスの気相組成における1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパン/1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタンの重量比が、25℃で1.7?4であるプレミックス。
【請求項23】
プレミックスの40℃における蒸気圧が、前記プレミックスから(i)沸点が15℃以上のハロゲン化エーテルと(ii)グリコール化合物を除いた以外は前記プレミックスと同じ重量組成比のプレミックスの40℃における蒸気圧に対して、95%以下である請求項22に記載のプレミックス。
【請求項24】
前記の沸点15℃以上のハロゲン化エーテルが、1,1,2,2-テトラフルオロエチルメチルエーテルである請求項22に記載のプレミックス。
【発明の詳細な説明】
【0001】
技術分野
本発明は、ポリウレタンまたはポリイソシアヌレートの発泡体を製造する方法、前記方法に用いることのできる発泡剤およびプレミックスに関する。
【0002】
背景技術
ポリオールとポリイソシアネート化合物とを触媒と発泡剤の存在下に反応させて、合成樹脂発泡体を製造することは広く行われている。得られる合成樹脂発泡体としては、たとえばポリウレタン、ポリイソシアヌレートなどがある。
【0003】
上記ポリウレタン発泡体などの合成樹脂発泡体の製造に使用される有機化合物系発泡剤として、これまでトリクロロフルオロメタン(CFC-11)が主に使用されてきた。
【0004】
近年、ある種のフロンが、大気中に放出されると成層圏のオゾン層を破壊し、また、温室効果により地球の温暖化をもたらし、その結果、人類を含む地球上の生態系に重大な悪影響を及ぼすことが指摘されてきた。このため、オゾン層破壊の危険性の高いフロンについては、国際的な取り決めによって使用が制限されている。上記CFC-11は、この使用制限の対象となっている。この点から、オゾン層破壊又は地球温暖化問題を生ずることのない、或いはそのような危険性の低い新たな発泡剤の開発が必要となっていた。
【0005】
現在は、オゾン層に対する影響が小さいフロンとして、1,1-ジクロロ-1-フルオロエタン(HCFC-141b)または1,1-ジクロロ-2,2,2-トリフルオロエタンが、CFC-11の代替として使用されている。
【0006】
しかしながら、これらの物質も分子中に塩素原子を含むので、依然としてオゾン層を破壊する危険性がある。
【0007】
特開平2-29440号公報、特開平2-235982号公報等には、塩素を含まずオゾン層を破壊する危険性のないフッ素化炭化水素を用いて発泡体を製造する方法が、開示されている。また、特開平5-239251号公報には、1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパン(以下「HFC-245fa」ということがある)をプラスチック発泡体製造用発泡剤として使用することが開示されている。
【0008】
HFC-245faは、沸点15℃の不燃性の化合物であり、水素原子を含むフッ素化炭化水素であることから、オゾン層破壊のおそれはないものと考えられている。更に、HFC-245faは、沸点がCFC-11やHCFC-141bに近く、しかも、不燃性であるので、HCFC-141bに代わる発泡剤の非常に有力な候補として注目を集めている。
【0009】
HFC-245faの沸点(15℃)は、許容範囲ではあるものの、CFC-11(沸点24℃)やHCFC-141b(沸点32℃)に比べるとやや低い。そのため、環境温度が高い場合には、すぐに蒸発するので発泡体の製造が難しくなる。また、ポリオールに対する溶解性が必ずしも高くはなく、HFC-245faとポリオールとを含むプレミックスは、相分離を生じることがある。このため使用できるポリオールが限定されるという問題点がある。
【0010】
発泡剤の沸点が低い場合やポリオールに対する溶解性が低い場合には、ポリオールとイソシアネート化合物とを混合反応させて発泡体を製造する時に、混合不良、未反応成分の残留、ボイドと呼ばれる粗泡などが生じ易く、結果、硬質ウレタンフォームに要求される物性である強度や熱伝導率を悪化させることとなる。さらに、HFC-245fa自身または発泡体原料との混合品(特にポリオールとの混合物であるプレミックス)が、気象条件によってはかなり高い蒸気圧を持つので、ハンドリングが難しい。更に、運搬時や貯蔵時の容器として、これまでにない耐圧性を持つものが必要となる。
【0011】
このように、HFC-245faをHCFC-141bの代替品として有効に使用するために、その沸点、溶解性等を制御する技術の開発が望まれている。
【0012】
一方、1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタン(以下「HFC365mfc」ということがある)は、特開平2-235982号公報に発泡剤として開示されている。HFC365mfcは沸点が40℃であり、HFC245faとは逆に、CFC11やHCFC141bの沸点より高い。そのため、HFC245faのように、沸点が低いことに起因する課題は生じない。
【0013】
しかしながら、HFC365mfcには燃焼範囲(3.8%?13.3%)があり、燃焼する可能性がある。発泡剤としては、不燃性である方が適当である。特に建築現場等で発泡して使用する場合は不燃性が強く求められている。また、HFC365mfcも、ポリオールに対する溶解性は、HCFC141bやCFC11に比較するとやや低い。
【0014】
このように、HFC-365mfcをHCFC-141bの代替品として有効に使用するために、その燃焼性、溶解性等を制御する技術の開発が望まれている。
【0015】
一方、特表2001-506291には、HFC365mfc 50?99重量%並びにHFC245faなどのフルオロ炭化水素1?50重量%を含有する混合物が、ポリウレタン発泡材料などの発泡プラスチックを製造するための発泡ガスとして使用できることが開示されている。前記公報に記載されている混合物は、HFC365mfcの割合が50重量%以上99%以下であるので、HFC365mfcの可燃性の課題が依然として解消されていないと考えられる。
【0016】
また、米国特許6451867号には、51?99重量%のHFC245faと1?49重量%のHFC365mfcを含む組成物が開示されている。この文献には、HFC245fa過剰の組成とすると、断熱性の指標であるk-ファクターがHFC245faまたはHFC365mfc単独の場合よりも改善されることが開示されている。しかしながら、発泡剤やプレミックスの燃焼性については記載がない。
【0017】
また、特開2002-47323号公報には、硬質ポリウレタンファームを製造する際に、ハイドロフルオロカーボンを発泡剤として使用し、且つ特定のフッ素系界面活性剤を使用する旨が開示されている。上記文献には、ハイドロフルオロカーボンとして、5?95重量%のHFC245faと95?5重量%のHFC365mfcの混合物を使用できると記載されている。上記文献は、難燃性に優れた硬質ポリウレタンフォームを得ることを課題としているが、プレミックスの難燃性については、何ら記載されていない。
【0018】
発明の開示
本発明は、HFC-245faまたはHF365mfcの発泡剤としての性能は維持したままで、HFC-245faおよびHFC365mfcの有する課題を解決または低減した発泡剤および前記発泡剤を使用した合成樹脂発泡体の製造方法および前記発泡剤を含むプレミックスを提供することを主な目的とする。
【0019】
本発明者は、従来技術における上記の如き問題点に鑑みて研究を重ねた結果、発泡剤の存在下に、ポリオールとポリイソシアネート化合物とを反応させて、ポリウレタン、ポリイソシアヌレートなどの合成樹脂発泡体を製造する方法において、1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパンと1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタンとを含み、特定の組成を有する混合物を発泡剤として用いることにより、目的を達成し得ることを見出し、ここに本発明を完成するに至った。
【0020】
即ち、本発明は、以下の合成樹脂発泡剤の製造方法、発泡剤およびプレミックスに係る。
1.低沸点有機化合物系発泡剤(以下「発泡剤」ということがある)の存在下に、ポリオールとポリイソシアネート化合物とを反応させてポリウレタンまたはポリイソシアヌレートの発泡体を製造する方法において、低沸点有機化合物系発泡剤として、1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパン51?90重量%と1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタン49?10重量%とからなる混合物を使用することを特徴とする合成樹脂発泡体の製造方法。
2.低沸点有機化合物系発泡剤として、1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパン60?80重量%と1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタン40?20重量%とからなる混合物である上記1に記載の方法。
3.1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパン51?90重量%と1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタン49?10重量%とからなる混合物であるポリウレタンまたはポリイソシアヌレート用発泡剤。
4.1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパン60?80重量%と1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタン40?20重量%とからなる混合物である上記3に記載の発泡剤。
5.低沸点有機化合物系発泡剤の存在下に、ポリオールとポリイソシアネート化合物とを反応させてポリウレタンまたはポリイソシアヌレートの発泡体を製造する方法において、前記発泡剤として、1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパンと1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタンとを含む混合物を使用し、前記発泡剤とポリオールとを含むプレミックスを調製する工程を有し、得られるプレミックスの気相組成における1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパン/1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタンの重量比が、25℃において1.5以上である発泡体の製造方法。
6.低沸点有機化合物系発泡剤として、更に、ハロゲン化炭化水素、ハロゲン化アルコールおよびハロゲン化エーテルからなる群から選択される少なくとも1種の化合物であって沸点が15℃以上のハロゲン含有化合物を含む混合物を使用する上記5に記載の発泡体の製造方法。
7.得られたプレミックスの40℃における蒸気圧が、前記プレミックスから沸点が15℃以上のハロゲン含有化合物を除いたプレミックスの40℃における蒸気圧に対して、95%以下である上記5または6に記載の発泡体の製造方法。
8.低沸点有機化合物系発泡剤として、更にグリコール化合物及び/又はフッ素含有界面活性剤とを含む混合物を使用する上記5または6に記載の発泡体の製造方法。
10.得られたプレミックスの40℃における蒸気圧が、グリコール化合物及び/又はフッ素含有界面活性剤とを除いた以外は前記プレミックスと同じ重量組成比のプレミックスの40℃における蒸気圧に対して、95%以下である請求項8に記載の発泡体の製造方法。
11.ポリウレタンまたはポリイソシアヌレート用発泡剤であって、1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパンと1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタンとを含み、発泡剤とポリオールとを含むプレミックスとしたときに、プレミックスの気相組成における1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパン/1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタンの重量比が、25℃において1.5以上となる発泡剤。
12.更に、ハロゲン化炭化水素、ハロゲン化アルコールおよびハロゲン化エーテルからなる群から選択される少なくとも1種の化合物であって沸点が15℃以上のハロゲン含有化合物を含む上記11に記載の発泡剤。
13.発泡剤とポリオールとを含むプレミックスとしたときに、前記プレミックスの40℃における蒸気圧が、前記プレミックス中の発泡剤の重量組成比及びHFC245fa/HFC365mfc重量組成比を変えずに沸点が15℃以上のハロゲン含有化合物を除いたプレミックスの40℃における蒸気圧に対して95%以下である上記12に記載の発泡剤。
14.更に、グリコール化合物及び/又はフッ素含有界面活性剤を含む上記11または12に記載の発泡剤。
15.ポリオールと発泡剤とを含むプレミックスとしたときに、前記プレミックスの40℃における蒸気圧が、前記プレミックスからグリコール化合物及び/又はフッ素含有界面活性剤とを除いた以外は前記プレミックスと同じ重量組成比のプレミックスの40℃における蒸気圧に対して、95%以下である上記14に記載の発泡剤。
16.更に、(i)ハロゲン化炭化水素、ハロゲン化アルコールおよびハロゲン化エーテルからなる群から選択される少なくとも1種の化合物であって沸点が15℃以上のハロゲン含有化合物と(ii)グリコール化合物及び/又はフッ素含有界面活性剤とを含む請求項11に記載の発泡剤。
17.ポリオールと発泡剤とを含むプレミックスとしたときに、前記プレミックスの40℃における蒸気圧が、前記プレミックスから(i)沸点が15℃以上のハロゲン含有化合物と(ii)グリコール化合物及び/又はフッ素含有界面活性剤とを除いた以外は同じ重量組成比のプレミックスの40℃における蒸気圧に対して、95%以下である請求項16に記載の発泡剤。
18.発泡剤とポリオールとを含むプレミックスであって、発泡剤が、1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパンと1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタンとを含む混合物であり、プレミックスの気相組成における1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパン/1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタンの重量比が、25℃で1.5以上であるプレミックス。
19.発泡剤として、更に、ハロゲン化炭化水素、ハロゲン化アルコールおよびハロゲン化エーテルからなる群から選択される少なくとも1種の化合物であって沸点が15℃以上のハロゲン含有化合物を含む混合物を用いる上記18に記載のプレミックス。
20.プレミックスの40℃における蒸気圧が、前記プレミックス中の発泡剤の重量組成比及びHFC245fa/HFC365mfc重量組成比を変えずに沸点が15℃以上のハロゲン含有化合物を除いたプレミックスの40℃における蒸気圧に対して、95%以下である上記19に記載のプレミックス。
21.発泡剤として、更に、グリコール化合物及び/又はフッ素含有界面活性剤を含む混合物を用いる請求項33に記載のプレミックス。
22.プレミックスの40℃における蒸気圧が、前記プレミックスからグリコール化合物及び/又はフッ素含有界面活性剤とを除いた以外は前記プレミックスと同じ重量組成比のプレミックスの40℃における蒸気圧に対して、95%以下である請求項21に記載のプレミックス。
23.発泡剤として、更に、(i)ハロゲン化炭化水素、ハロゲン化アルコールおよびハロゲン化エーテルからなる群から選択される少なくとも1種の化合物であって沸点が15℃以上のハロゲン含有化合物と(ii)グリコール化合物及び/又はフッ素含有界面活性剤とを含む混合物を用いる請求項18に記載の発泡剤。
24.プレミックスの40℃における蒸気圧が、前記プレミックスから(i)沸点が15℃以上のハロゲン含有化合物と(ii)グリコール化合物及び/又はフッ素含有界面活性剤とを除いた以外は前記プレミックスと同じ重量組成比のプレミックスの40℃における蒸気圧に対して、95%以下である上記18に記載のプレミックス。
【0021】
本発明で用いる発泡剤は、1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパン(HFC245fa)と1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタン(HFC365mfc)とからなる混合物である。また、本発明では、HFC245faとHFC365mfcとを含む混合物、並びにHFC245faとHFC365mfcとハロゲン含有化合物とを含む混合物も発泡剤として用いることができる。本発明の発泡剤は、上記発泡剤に、更に、グリコール系化合物及び/又はフッ素含有化合物とを含んでいてもよい。以下、上述したような発泡剤を「本発明の発泡剤」とうことがある。
【0022】
本発明には、本発明の発泡剤とポリオールとを含むプレミックスも含まれる。更に、本発明には、本発明の発泡剤または本発明のプレミックスを用いる合成樹脂発泡体の製造方法も含まれる。
【0023】
1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタンは、沸点40℃のHFC(hydrofluorocarbon:ハイドロフルオロカーボン)であり、オゾン層を破壊する能力のない物質である。また、HFC365mfc自身も発泡剤として優れた性質をもっている。
【0024】
しかしながら、HFC365mfcは、可燃性である(引火点:-18?-25℃、燃焼範囲:3.8vol%?13.3vol%)。HFC365mfcは、発泡剤として使用される炭化水素系の発泡剤、例えばペンタン類と比較すれば、燃焼性は低い。また、HFC245faの欠点は、前述のごとく、沸点が低いこととポリオールに対する相溶性が低いことに関するものである。
【0025】
そこで、HFC245faの欠点を克服し且つ発泡剤としての性能を維持するため特定の組成でHFC245faとHFC365mfcを混合する混合発泡剤を発明するに至った。即ち、特定の組成で、沸点15℃のHFC245faと沸点40℃のHFC365mfcとを混合することにより、それらの混合物の沸点を15℃以上にすることができ、HFC245faの欠点を克服できる。しかも、HFC365mfcの欠点である燃焼性も、不燃性のHFC245faと混合することにより同時に解消される。さらには、両方のHFCが、それぞれほぼ同等の優れた断熱性能をもつので、いずれかのHFCを単独で使用する場合とほとんど同等レベルの断熱性能を維持することができるという利点もある。従って、本発明の発泡剤は、ウレタン樹脂のように断熱性能が強く要求される発泡体の発泡剤として好適に用いることができる。
【0026】
本発明者は、気体のHFC-245faと気体のHFC365mfcとの混合割合と燃焼性の関係を鋭意研究した。燃焼性は、ASHRAE法方式に準じた方法(10L、球形フラスコ、放電点火、25℃)で燃焼性を判定した。ASHRAE法については、ASHRAE STANDARD 34-2001、ASTM Designatiion:E681-94に記載されている。気体のHFC-245fa 55重量%と気体のHFC365mfc 45重量%からなる混合物は、可燃性を示したが、気体のHFC245fa 65重量%と気体のHFC365mfc35重量%とからなる混合物は、不燃性を示した。
【0027】
実際の発泡体の製造工程においては、発泡剤とポリオールとを含む混合物、即ち、プレミックスの状態とした時に不燃性であることが求められる。プレミックスは、発泡剤とポリオール以外に、通常、発泡剤製造用触媒、整泡剤、分解抑制剤(安定剤)等を含んでいる。
【0028】
プレミックスの気相組成におけるHFC245faとHFC365mfcの重量比は、発泡剤のみの場合の気相組成におけるHFC245faとHFC365mfcの重量比とは異なる。発泡剤は、プレミックスに含まれるポリオール、発泡剤製造用触媒、整泡剤、分解抑制剤(安定剤)等と溶け合うので、プレミックスとすることにより気相組成が変化する。なお、発泡剤、ポリオール、発泡剤製造用触媒、整泡剤、分解抑制剤(安定剤)などを含むプレミックスから発泡剤を除いたものを「システム液」ということがある。
【0029】
例えば、液相組成がHFC245fa 40重量%とHFC365mfc 60重量%からなる発泡剤の25℃における気相組成は、HFC245fa 62重量%とHFC365mfc 38重量%であり不燃性を示す。しかしながら、液相組成がHFC245fa 40重量%とHFC365mfc 60重量%である発泡剤に、OH価が300mgKOH/gポリエステルポリオールを混合したプレミックス(ポリオールに対する発泡剤の重量比は100:40)の25℃における気相組成は、HFC245fa 54重量%とHFC365mfc 46重量%となり可燃性を示す。このように、発泡剤の気相組成が不燃性であるからといって、プレミックスの気相組成が不燃性であるとは必ずしもいえない。先に述べたように、このことは発泡剤とポリオール類との相溶性に依存することから生じる現象であるので、プレミックスに含まれる触媒、整泡剤、安定剤(分解抑制剤)等の成分の影響も受ける場合がある。
【0030】
なお、プレミックスの気相組成は、各成分を混合および撹拌後、気相組成をガスクロマトグラフィー法によって測定した。
【0031】
したがって、例えば25℃において不燃性のプレミックスを得ることを目的とする場合には、プレミックスの気相組成が25℃において、HFC245fa/HFC365mfcの重量比が1.5以上程度、好ましくは1.86以上程度となるようにHFC245faとHC365mfcの仕込み量を設定すればよい。このことは、単にHFC245faとHFC365mfcからなる発泡剤の気相組成が不燃か可燃かどうかを議論すればよいという考えとは大きく異なる。本発明者は、鋭意研究の結果、プレミックスの気相組成を不燃とすることにより、上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0032】
本発明の発泡剤においては、発泡剤、ポリオールなどを含むプレミックスとした時に、プレミックスの気相組成におけるFHC245faとHFC365mfcの重量比が、25℃において1.5以上程度であるのが好ましく、1.7以上程度がより好ましく、1.7?4程度であるのが最も好ましい。さらに、発泡剤、ポリオールなどを含むプレミックスとした時に、プレミックスの気相組成におけるFHC245faとHFC365mfcの重量比が、40℃において、1.85以上程度となるのが好ましく、1.9以上程度となるのがより好ましく、1.9?4程度であるのが最も好ましい。
【0033】
HFC245faとHFC365mfcからなる混合物の沸点(蒸気圧が約0.1Mpaを示す温度)は、HFC245faの沸点よりも高くなる。HFC245faとHFC365mfcからなる発泡剤の沸点は、17?27℃程度が好ましく、18?27℃程度がより好ましく、20?27℃程度が最も好ましい。このような範囲となるように、HFC245faとHFC365mfcの混合割合を設定すればよい。この場合もプレミックスの沸点がこのようになればよい。即ち、プレミックスの蒸気圧が0.101MPaになる温度が17?27℃程度が好ましく、18?27℃程度がより好ましく、20?27℃程度が最も好ましい。この様なプレミックスの沸点が、17℃程度になるHFC-245faとHFC365mfcの混合割合は、HFC-245faのHFC365mfc合計を100重量%としたときに、HFC-245fa:HFC365mfc=90?80重量%:10?20重量%程度である。また、プレミックスの沸点が27℃程度になるHFC-245faとHFC365mfcの混合割合は、HFC-245faのHFC365mfc合計を100重量%としたときに、HFC-245fa:HFC365mfc=60?50重量%:40?50重量%程度である。
【0034】
一方、プレミックスでHFC365mfcの燃焼性を無視できるような範囲は、HFC365mfcが49?55重量%未満、好ましくは43?49重量%以下、さらに好ましくは43重量%以下である。
【0035】
以上のことから、HFC-245faとHFC365mfcの好ましい仕込み比率は、おおよそHFC-245fa:HFC365mfc=90?51重量%:10?49重量%となる。より好ましくは、HFC-245faとHFC365mfcの合計を100重量%とした時に、HFC-245fa:HFC365mfc=90?54重量%:10?46重量%程度であり、特に好ましくはHFC-245fa:HFC365mfc=80?60重量%:20?40重量%程度である。
*ハロゲン含有化合物
本発明の発泡剤は、更に、ハロゲン化炭化水素、ハロゲン化アルコール及びハロゲン化エーテルからなる群から選択される少なくとも1種の化合物であって沸点が15℃以上であるハロゲン含有化合物を含んでいてもよい。即ち、本発明の発泡剤は、1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパンと1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタンとハロゲン化炭化水素、ハロゲン化アルコール及びハロゲン化エーテルからなる群から選択される少なくとも1種の化合物であって沸点が15℃以上であるハロゲン含有化合物とを含んでいてもよい。上記のような沸点15℃以上のハロゲン含有化合物を発泡剤に添加することにより、プレミックスの蒸気圧を低下させることができ、場合によってはプレミックスの燃焼性をさらに抑制することができる。
【0036】
ハロゲン含有化合物を含む発泡剤を用いる場合には、発泡剤、ポリオールなどを含むプレミックスとした時に、プレミックスの気相組成におけるFHC245faとHFC365mfcの重量比が、25℃において、1?6程度となるのが好ましい。
【0037】
本発明において用いるハロゲン含有化合物は、F、Cl、Br、I等のハロゲン原子を少なくとも1種含む化合物である。本発明において用いるハロゲン含有化合物は、オゾン層を破壊する能力が実質的にゼロであることが好ましい。このようなハロゲン含有化合物としては、例えば、ハロゲン原子としてフッ素および/またはヨウ素を含む化合物などを例示することができる。オゾン層を破壊する危険性が全くなくなるという点においては、ハロゲン原子としてFのみを含むハロゲン含有化合物が好ましい。一方、臭素または塩素含有化合物であっても、沸点の比較的高い物質は蒸発し難いので、オゾン層を破壊する可能性は低くなる。実際、オゾン層の破壊を回避するため規制されているCFC(クロロフルオロ炭化水素)は、炭素数が3までである。したがって、本発明において用いるハロゲン含有化合物には、炭素数が4以上のクロロフルオロアルカンが含まれる。
【0038】
本発明において用いるハロゲン含有化合物の沸点は、1気圧(約0.1MPa)において通常15℃以上であり、好ましくは25℃以上程度、より好ましくは35?140℃程度である。
【0039】
発泡剤中のHFC-245faとHFC365fmcとハロゲン含有化合物との混合割合は、用途、合成樹脂発泡体原料の組成などに応じて任意に選択できる。例えば、HFC245fa、HFC365mfc、ハロゲン含有化合物、ポリオールなどを含むプレミックスの40℃程度における蒸気圧が、ハロゲン含有化合物を除いた以外は前記プレミックスと同じ重量組成比のプレミックスの40℃における蒸気圧に対して、通常95%以下程度であり、好ましくは70?90%程度であり、より好ましくは70?85%程度となるようにHFC-245faとHFC365mfcとハロゲン含有化合物との比を設定するのが好ましい。より具体的な例を挙げると、(a)ハロゲン含有化合物:A重量部、(b)HFC-245faとHFC365mfcの合計:B重量部および(c)ポリオール:C重量部からなるプレミックスの場合、前記(a)?(c)を含むプレミックスの蒸気圧が、40℃程度において、(b)HFC-245faとHFC365mfcの合計:B重量部および(c)ポリオール:C重量部からなるプレミックスの蒸気圧に対して、95%以下程度、好ましくは90%以下程度、より好ましくは85%以下程度となるようにHFC-245faとHFC365mfcとハロゲン含有化合物との比を設定するのが好ましい。なお、蒸気圧の比の測定には、ポリオール100重量部に対して、HFC-245faとHFC365mfcとハロゲン含有化合物の合計量が、20?70重量部程度であるプレミックスを用いる。
(a)ハロゲン化炭化水素
本発明において用いるハロゲン化炭化水素としては、直鎖または分枝状のハロゲン化炭化水素、環式ハロゲン化炭化水素などを例示でき、直鎖または分枝状のハロゲン化脂肪族炭化水素、脂環式ハロゲン化炭化水素が好ましい。ハロゲン化炭化水素は、全ての水素がハロゲン原子によって置換されたパーハロゲン化炭化水素であってもよく、含水素ハロゲン化炭化水素であってもよい。また、ハロゲン化炭化水素は、飽和炭化水素であっても、不飽和炭化水素であってもよい。
【0040】
ハロゲン化炭化水素の沸点は、1気圧(約0.1MPa)において、通常15℃以上程度であり、好ましくは30?140℃程度、より好ましくは40?120℃程度である。ハロゲン化炭化水素の炭素数は、沸点が15℃以上であれば特に制限されないが、通常4以上、好ましくは4?9程度、より好ましくは4?6程度である。
【0041】
ハロゲン化脂肪族炭化水素の具体例として、例えば、3,3,4,4,5,5,6,6,6-ノナフルオロ1-ヘキセン(CH_(2)=CH(CF_(2))_(3)CF_(3)、沸点58℃)、2,3,3,4,4,5,5-ヘプタフルオロ-1-ペンテン(CH_(2)=CFCF_(2)CF_(2)CF_(2)H)などのハイドロフルオロアルケン;
パーフルオロ-1-ブテン(CF_(2)=CFCF_(2)CF_(3))、パーフルオロヘキセン(C_(6)F_(12)、沸点46℃、49℃または51℃)、パーフルオロノネン(C_(9)F_(18))などのパーフルオロアルケン;
パーフルオロヘキサン(C_(6)F_(14)、沸点58℃)などのパーフルオロアルカン;
パーフルオロシクロブタン(c-C_(4)F_(8))などのパーフルオロシクロアルカン;
1,1,2,2,3,3,4,4-オクタフルオロブタン(CF_(2)HCF_(2)CF_(2)CF_(2)H 沸点44℃)、1,1,1,2,2,3,4,5,5,5-デカフルオロペンタン(CF_(3)CF_(2)CFHCFHCF_(3) 沸点54℃)、2-トリフルオロメチル-1,1,1,2,3,4,5,5,5-ノナフルオロペンタン(C_(6)F_(12)H_(2)、沸点53℃)、2-トリフルオロメチル-1,1,1,3,3,4,4,5,5,5-デカフルオロペンタン(C_(6)F_(13)H、沸点62℃)、1,1,2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,6-トリデカフルオロペンタン(H(CF_(2))_(6)F、沸点72℃)などのハイドロフルオロアルカン;
1,2,3,3,4,4-ヘキサフルオロシクロブタン(c-C_(4)F_(6)H_(2)、沸点63℃)、2,3,3,4,4,5,5-ペンタフルオロシクロペンタン(c-C_(5)F_(7)H_(3)、沸点83℃)などのハイドロフルオロシクロアルカン;
1,1,2,3,4,4-ヘキサフルオロ-1,2,3,4-テトラクロロブタン(CF_(2)ClCFClCFClCF_(2)Cl、沸点134℃)、2,3-ジクロロオクタフルオロブタン(CF_(3)CFClCFClCF_(3)、沸点63℃)、1,4-ジクロロオクタフルオロブタン(CF_(2)ClCF_(2)CF_(2)CF_(2)Cl、沸点66℃)などのクロロフルオロアルカン;
1-クロロ1,1,2,2,3,3,4,4-オクタフルオロブタン(CF_(2)ClCF_(2)CF_(2)CF_(2)H、沸点50℃)、1-クロロ-1,1,2,2,3,3,4,4,5,5,6,6-ドデカフルオロヘキサン(CF_(2)ClCF_(2)CF_(2)CF_(2)CF_(2)CF_(2)H、沸点78℃)などのハイドロクロロフルオロアルカン;
1,2-ジクロロヘキサフルオロシクロブタン(-CFClCFClCF_(2)CF_(2)-、沸点60℃)などのクロロフルオロシクロアルカン;
アイオドトリフルオロメチル(CF_(3)I)、1-アイオドナノフルオロブタン(CF_(2)ICF_(2)CF_(2)CF_(3)、沸点67℃)などのアイオドフルオロアルカン;
1-ブロモプロパン(CH_(2)BrCH_(2)CH_(3)、沸点71℃)、2-ブロモブタン(CH_(3)CHBrCH_(2)CH_(3)、沸点91℃)などのハイドロブロモアルカンなどを例示できる。
【0042】
これらの中では、3,3,4,4,5,5,6,6,6-ノナフルオロ1-ヘキセン、1,1,2,2,3,3,4,4-オクタフルオロブタン、1,1,2,3,4,4-ヘキサフルオロ-1,2,3,4-テトラクロロブタン、2,3-ジクロロオクタフルオロブタン、1,4-ジクロロオクタフルオロブタン、1-クロロ1,1,2,2,3,3,4,4-オクタフルオロブタン、1-クロロ-1,1,2,2,3,3,4,4,5,5,6,6-ドデカフルオロヘキサン、1,2-ジクロロヘキサフルオロシクロブタン、2-ブロモブタンなどが好ましい。
【0043】
(b)ハロゲン化アルコール
ハロゲン化アルコールとしては、直鎖状または分枝状ハロゲン化脂肪族アルコールなどを例示できる。ハロゲン化アルコールは、全ての水素原子がハロゲン原子によって置換されたパーハロゲン化アルコールであってもよく、含水素ハロゲン化アルコールであってもよい。
【0044】
ハロゲン化アルコールの炭素数は、沸点が15℃以上であれば特に制限されないが、通常2以上、好ましくは2?5程度、より好ましくは2?4程度である。
【0045】
ハロゲン化アルコールの沸点は、1気圧(約0.1MPa)において、通常15℃以上程度であり、好ましくは40?130℃程度、より好ましくは50?120℃程度である。
【0046】
ハロゲン化アルコールの具体例として、例えば、1,1,1-トリフルオロエタノール(CF_(3)CH_(2)OH、沸点74℃)、1,1,1,2,2-ペンタフルオロプロパノール(CF_(3)CF_(2)CH_(2)OH、沸点82℃)、2,2,3,3-テトラフルオロプロパノール(CF_(2)HCF_(2)CH_(2)OH、沸点110℃)、1,1,1,2,2-ペンタフルオロブタノール(CF_(3)CF_(2)CH_(2)CH_(2)OH、沸点100℃)、1,1,1,2,3,3-ヘキサフルオロブタノール(CF_(3)CFHCF_(2)CH_(2)OH、沸点114℃)、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロ-2-オール(CF_(3)CH(OH)CF_(3)、沸点59℃)などのハイドロフルオロアルコールなどを例示できる。
【0047】
これらの中では、2,2,3,3-テトラフルオロプロパノール、1,1,1,2,2-ペンタフルオロブタノール、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロ-2-オールなどが好ましい。
【0048】
(c)ハロゲン化エーテル
本発明において用いるハロゲン化エーテルの沸点は、1気圧(約0.1MPa)において、通常15℃以上程度であり、好ましくは25?110℃程度、より好ましくは30?95℃程度である。ハロゲン化エーテルの中ではハイドロフルオロエーテル(HFE)が好ましい。
【0049】
本発明において用いるハイドロフルオロエーテルは、沸点が15℃以上であれば、特に制限されないが、HFEに含まれる炭素数は、通常3以上程度、好ましくは3?7程度、より好ましくは3?6程度である。
【0050】
沸点が15℃以上のハイドロフルオロエーテルとしては、例えば、1,1,2,2-テトラフルオロエチルジフルオロメチルエーテル(CF_(2)HCF_(2)OCHF_(2)、沸点29℃)、1,1,2,2-テトラフルオロエチルメチルエーテル(CF_(2)HCF_(2)OCH_(3)、沸点37℃)、2,2,2-トリフルオロエチル-1,1,2,2-テトラフルオロエチルエーテル(CF_(3)CH_(2)OCF_(2)CF_(2)H、沸点56℃)、1,1,2,3,3,3-ヘキサフルオロプロピルメチルエーテル(CF_(3)CFHCF_(2)OCH_(3)、沸点54℃)、2,2,3,3-テトラフルオロプロピル-1,1,2,2-テトラフルオロエチルエーテル(CF_(2)HCF_(2)CH_(2)OCF_(2)CF_(2)H、沸点92℃)、1,1,2,2-テトラフルオロエチル-2,2,3,3,3-ペンタフルオロプロピルエーテル(CF_(2)HCF_(2)OCH_(2)CF_(2)CF_(3)、沸点70℃)、1,1,2,3,3,3-ヘキサフルオロプロピル2,2,3,3,3-ペンタフルオロプロピルエーテル(CF_(3)CFHCF_(2)OCH_(2)CF_(2)CF_(3)、沸点86℃)、ノナフルオロブチルメチルエーテル(C_(4)F_(9)OCH_(3)、沸点60℃)、ノナフルオロブチルエチルエーテル(C_(4)F_(9)OC_(2)H_(5)、沸点78℃)、1-トリフルオロメチル-1,2,2,2-テトラフルオロエチルメチルエーテル((CF_(3))_(2)CFOCH_(3)、沸点29℃)、パーフルオロプロピルメチルエーテル(CF_(3)CF_(2)CF_(2)OCH_(3)、沸点34℃)、2,2,3,3,3-ペンタフルオロプロピルジフルオロメチルエーテル(CF_(3)CF_(2)CH_(2)OCHF_(2)、沸点46℃)、1,1,2,3,3,3-ヘキサフルオロプロピル-2,2,2-トリフルオロエチルエーテル(CF_(3)CFHCF_(2)OCH_(2)CF_(3)、沸点72℃)、2,2,3,4,4,4-ヘキサフルオロブチルジフルオロメチルエーテル(CF_(3)CFHCF_(2)CH_(2)OCHF_(2)、沸点88℃)、1,1,2,3,3,3-ヘキサフルオロプロピル-1,1,2,2-テトラフルオロプロピルエーテル(CF_(3)CFHCF_(2)OCH_(2)CF_(2)CF_(2)H、沸点102℃)、1,1,2,3,3-ペンタフルオロ-2-トリフルオロメチルメチルエーテル(CF_(3)CH(CF_(3))CF_(2)OCH_(3)、沸点71℃)等が挙げられる。これらの中では、1,1,2,2-テトラフルオロエチルジフルオロメチルエーテル、1,1,2,2-テトラフルオロエチルメチルエーテル、2,2,2-トリフルオロエチル-1,1,2,2-テトラフルオロエチルエーテル、1,1,2,3,3,3-ヘキサフルオロプロピルメチルエーテル、2,2,3,3-テトラフルオロプロピル-1,1,2,2-テトラフルオロエチルエーテル、ノナフルオロブチルメチルエーテル、ノナフルオロブチルエチルエーテル、1,1,2,3,3,3-ヘキサフルオロプロピル-2,2,2-トリフルオロエチルエーテルなどが好ましい。
【0051】
ハイドロフルオロエーテル以外のハロゲン化エーテルとしては、例えば、パーフルオロプロピルエポキシド(CF_(3)CF(O)CF_(2))などのパーフルオロアルキルエポキシド;1,2,2-トリフルオロエチレントリフルオロメチルエーテル(CF_(2)=CFOCF_(3))、1,2,2-トリフルオロエチレン-1,1,2,2,3,3,3-ヘプタフルオロプロピルエーテル(CF_(2)=CFOCF_(2)CF_(2)CF_(3))などの不飽和フルオロエーテルを挙げられる。
【0052】
本発明において用いるハロゲン含有化合物は、難燃性であることが好ましい。しかしながら、ハロゲン含有化合物自身が、難燃性である必要は必ずしもなく、発泡剤としたときに難燃性となればよい。特に、プレミックスとした時に、難燃性となるようなハロゲン含有化合物が好ましい。この様なハロゲン含有化合物としては、1,1,1-トリフルオロエタノール、2,2,3,3-テトラフルオロプロパノール、1,1,2,2-テトラフルオロエチルメチルエーテル、1,1,2,3,3,3-ヘキサフルオロプロピルメチルエーテルなどを例示することができる。
【0053】
本発明において用いるハロゲン含有化合物は、HFC245faおよびHFC365mfcとの相溶性が高いことが好ましい。本発明において用いるハロゲン含有化合物は、合成樹脂の原料、特にポリオールとの相溶性が高いものが好ましい。例えば、ハロゲン含有化合物とポリオールとを10分程度振とうした後、0?25℃程度において5時間程度静置後も相分離しないハロゲン含有化合物が好ましい。ポリオールに対する相溶性が高く、HFC-245faとHFC365mfcとも相溶性が高いハロゲン含有化合物を用いると、ポリオールと発泡剤の混合物を開放系に置いた時の発泡剤のロスも低減できる。
【0054】
本発明において用いるハロゲン含有化合物としては、それ自身単独で発泡剤として使用できる化合物も好ましい。即ち、それ自身が、低い熱伝導率を有し、且つ沸点が15?90℃程度であるハロゲン含有化合物が好ましい。ハロゲン含有化合物の熱伝導率は、気体とした時に、1気圧(約0.1MPa)程度において、8?20mW/mK程度が好ましいこのようなハロゲン含有化合物としては、1,1,2,2,3,3,4,4-オクタフルオロブタン、1,1,2,2-テトラフルオロエチルジフルオロメチルエーテル、1,1,2,2-テトラフルオロエチルメチルエーテル、2,2,2-トリフルオロエチル-1,1,2,2-テトラフルオロエチルエーテル、1,1,2,3,3,3-ヘキサフルオロプロピルメチルエーテル、ノナフルオロブチルメチルエーテルなどを例示することができる。ハロゲン含有化合物自身が発泡剤である場合には、ハロゲン含有化合物を含む発泡剤の添加量は、HFC-245faとHFC365mfcのみからなる発泡剤の添加量と同程度とすることができる。即ち、発泡剤中に占めるHFC-245faおよびHFC365mfcの割合を低下させることができる。よって、本発明の発泡剤とポリオールとを含むプレミックスの蒸気圧において、HFC245faおよびHFC365mfcの分圧の合計を低下させる効果がより大きくなる。また、実際に発泡させた場合、ハロゲン含有化合物自身が発泡剤として働き、発泡体中に凝縮物として残存したりする懸念がなくなる。
【0055】
HFC245faとHFC365mfcとハロゲン含有化合物との混合割合は、ハロゲン含有化合物の種類、用途、処方などに応じて任意に選択できるが、発泡剤の沸点、即ち蒸気圧が1気圧(約0.1MPa)になる温度が、17?35℃程度になる割合が好ましく、18?30℃程度になる割合が特に好ましい。
【0056】
ポリオール、HFC245fa、HFC365mfc、ハロゲン含有化合物などを含むプレミックスの沸点は、17℃?32℃程度になることが好ましい。
【0057】
ハロゲン含有化合物を含む発泡剤とポリオールとの混合物(プレミックス)の沸点は、特に制限されないが、通常17?32℃程度、好ましくは18?28℃程度、より好ましくは20?28℃程度である。
【0058】
HFC-245fa、HFC365mfcとハロゲン含有化合物との混合割合は、特に制限されず、ハロゲン含有化合物の種類などに応じて適宜設定することができるが、3者の合計を100モルとした時に、ハロゲン含有化合物は、通常50モル未満程度、好ましくは40モル未満、より好ましくは30モル未満、特に好ましくは25?3モル程度である。本発明の発泡剤としては、プレミックスとした時の蒸気圧や燃焼性に問題がなければ、ハロゲン含有化合物を加えない混合物であってもよい。
【0059】
ハロゲン含有化合物を含む場合、HFC-245faとHFC365mfcの比率は、特に制限されないが、HFC-245faとHFC365mfcの合計を100重量%とした時に、HFC-245fa:HFC365mfc=95?52重量%:5?48重量%であり、特に好ましくは、HFC-245fa:HFC365mfc=90?50重量%:10?50重量%である。
*相溶化剤
本発明の発泡剤は、更にグリコール系化合物及び/又はフッ素含有界面活性剤を含んでいてもよい。即ち、本発明の発泡剤は、1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパンと1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタンとグリコール系化合物及び/又はフッ素含有界面活性剤とを含む混合物であってもよい。または、1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパンと1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタンと沸点が15℃以上のハロゲン含有化合物とグリコール系化合物及び/又はフッ素含有界面活性剤とを含む混合物であってもよい。
【0060】
HFC245faおよびHFC365mfcは、HCFC141bと比較するとポリオールへの溶解性が低い。グリコール系化合物とフッ素含有界面活性剤は、相溶化剤として作用するので、グリコール系化合物及び/又はフッ素含有界面活性剤を用いることにより、発泡剤のポリオールへの相溶性が改善される。相溶性が改善されるとプレミックスから発泡剤が揮発することによるロスを低下できるとともに、プレミックスの蒸気圧を低減できる。特にプレミックス中のHFC245faの割合が高い場合はプレミックスの蒸気圧が高くなりやすいので、グリコール系化合物及び/又はフッ素含有界面活性剤を使用してプレミックスの蒸気圧を低減するのが好ましい。即ち、燃焼性をさらに抑制するためにはHFC245faの割合を増加すればよいが、その場合は発泡剤、プレミックスともに蒸気圧が増加する方向となる。その場合、グリコール系化合物及び/又はフッ素含有界面活性剤を添加することにより、燃焼性をほとんど変えずに蒸気圧だけを低下させることができる。
*グリコール系化合物
本発明において用いるグリコール系化合物としては、例えば、エチレングリコール化合物、プロピレングリコール化合物などを例示することができる。
【0061】
エチレングリコール化合物としては、以下の式(A)?式(C)で示される化合物などを例示することができる。
式(A)C_(a)H_(2a+1)O(CH_(2)CH_(2)O)_(b)C_(c)H_(2c+1)
[式中、a,bおよびcは、独立にa=1,2,3,4、b=1,2,3,4、c=0,1,2,3,4]、
式(B)C_(d)H_(2d+1)COO(CH_(2)CH_(2)O)_(e)CO C_(f)H_(2f+1)
[式中、d,eおよびfは、独立にd=0,1,2,3,4、e=1,2,3,4、f=0,1,2,3,4]および
式(C)C_(i)H_(2i+1)COO(CH_(2)CH_(2)O)_(j)C_(k)H_(2k+1)
[式中、i,jおよびkは、独立にi=0,1,2,3,4、j=1,2,3,4、k=0,1,2,3,4]。
【0062】
式(A)で示されるエチレングリコール化合物の具体例として、例えば、エチレングリコール、エチレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールプロピルエーテル、エチレングリコールジプロピルエーテル、エチレングリコールブチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールプロピルエーテル、ジエチレングリコールジプロピルエーテル、ジエチレングリコールブチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、トリエチレングリコールメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールエチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールプロピルエーテル、トリエチレングリコールジプロピルエーテル、トリエチレングリコールブチルエーテル、トリエチレングリコールジブチルエーテル、テトラエチレングリコールなどを例示できる。
【0063】
式(B)で示されるエチレングリコール化合物の具体例として、例えば、エチレングリコールモノフォルメート、エチレングリコールジフォルメート、ジエチレングリコールモノフォルメート、ジエチレングリコールジフォルメート、トリエチレングリコールモノフォルメート、トリエチレングリコールジフォルメート、エチレングリコールモノアセテート、エチレングリコールジアセテート、ジエチレングリコールモノアセテート、ジエチレングリコールジアセテート、トリエチレングリコールモノアセテート、トリエチレングリコールジアセテート、エチレングリコールモノプロピオネート、エチレングリコールジプロピオネート、ジエチレングリコールモノプロピオネート、ジエチレングリコールジプロピオネート、トリエチレングリコールモノプロピオネート、トリエチレングリコールジプロピオネートなどを例示できる。
【0064】
式(C)で示されるエチレングリコール化合物の具体例として、例えば、エチレングリコールメチルエーテルフォルメート、エチレングリコールエチルエーテルフォルメート、エチレングリコールプロピルエーテルフォルメート、エチレングリコールメチルエーテルアセテート、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、エチレングリコールプロピルエーテルアセテート、エチレングリコールメチルエーテルプロピオネート、エチレングリコールエチルエーテルプロピオネート、エチレングリコールプロピルエーテルプロピオネート、ジエチレングリコールメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールメチルエーテルフォルメート、ジエチレングリコールエチルエーテルフォルメート、ジエチレングリコールプロピルエーテルフォルメート、ジエチレングリコールエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールプロピルエーテルアセテート、ジエチレングリコールメチルエーテルプロピオネート、ジエチレングリコールエチルエーテルプロピオネート、ジエチレングリコールプロピルエーテルプロピオネート、トリエチレングリコールメチルエーテルフォルメート、トリエチレングリコールエチルエーテルフォルメート、トリエチレングリコールプロピルエーテルフォルメート、トリエチレングリコールメチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールエチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールプロピルエーテルアセテート、トリエチレングリコールメチルエーテルプロピオネート、トリエチレングリコールエチルエーテルプロピオネート、トリエチレングリコールプロピルエーテルプロピオネートなどを例示できる。
【0065】
エチレングルコール系化合物としては、式(A)においてaおよびcが1以上であるジエーテル化合物、式(B)においてdおよびfが1以上であるジエステル化合物、式(C)においてkおよびiが1以上であるエーテルエステル化合物などが好ましく、エチレングリコールジアセテート、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノnブチルエーテルアセテート、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジnブチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテルなどがより好ましく、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルエチレングリコールモノnブチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールn-ヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールt-ブチルエーテル、ジエチレングリコールn-ヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテルも好適に用いることができる。
【0066】
プロピレングリコール化合物としては、例えば、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、3-メトキシ-1-ブタノール、3-メトキシ-3-メチルブタノール、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル、2-メトキシー1-プロパノール、トリプロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3-メトキシ-3-メチルブチルアセテート、3-メトキシブチルアセテート、トリプロピレングリコールモノエチルエーテル等の化合物が挙げられる。特にトリプロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3-メトキシ-3-メチルブチルアセテート、3-メトキシブチルアセテートが好ましい。
【0067】
グリコール化合物としては、HFC245faとHFC365mfcおよび/またはポリオールとの相溶性が高い化合物が好ましい。例えば、HFC245fa、HFC365mfc、グリコール系化合物、ポリオールなどを含むプレミックスを10分程度振とうした後、0?25℃程度において5時間程度静置した後も相分離しないグリコール化合物が好ましい。HFC245faとHFC365mfcおよび/またはポリオールとの相溶性の点においては、具体名を上述した化合物を好ましく使用できる。HFC-245faとHFC365mfcおよび/またはポリオールとの相溶性が高いグリコール化合物である程、ポリオール、発泡剤などを含むプレミックスを開放系に置いた時の発泡剤のロス(飛散量)を低減することができる。また、プレミックスの蒸気圧も低下できる。
【0068】
グリコール化合物としては、難燃性のものが好ましい。しかしながら、グリコール化合物が全く不燃である必要はなく、HFC-245faとHFC365fmcとの混合物としたときに、難燃性を保てる程度であればよい。グリコール化合物としては、危険物第4類、3石以上程度の難燃性を有していることが好ましいが、プレミックスとした時に、危険物第4類、3石以上程度の難燃性を有している限り、グリコール化合物の難燃性は、特に制限されない。なお、危険物第4類、3石以上程度の難燃性とは、1気圧、20℃で液体の化合物の発火点が100℃以上程度で、引火点が70℃以上程度であることを意味する。難燃性のグリコール化合物を用いると、発泡剤を難燃性に保ち、現場での発泡時に要求される難燃性を維持できる。例えば、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテートの引火点は110℃であり、エチレングリコールジアセテートの引火点は96℃であり、ともに20℃において液体である。従って、これらのグリコール化合物は、危険物第4類、3石以上の難燃性を有している。
【0069】
本発明において用いるグリコール化合物の沸点は、特に制限されないが、通常85?300℃程度であり、好ましくは120?250℃程度である。
*フッ素含有界面活性剤
本発明において用いるフッ素含有界面活性剤としては、例えば、以下の式(D)?式(F)で示される化合物などを例示することができる。
式(D)HO[CH_(2)C(R)(CH_(2)OCH_(2)R^(fa))CH_(2)O]_(n)H
[式中、nは3?30であり、
R^(fa)は、-(CF_(2))_(a’)H(a’=1?8)または-(CF_(2))_(b’)F(b’=1?8)を示し、
Rは、Hまたは低級アルキル基を示す]、
式(E)HO[CH(CH_(2)R^(fb))CH_(2)O]_(m)H
[式中、mは3?30であり、
R^(fb)は、-(CF_(2))_(c’)H(c’=1?8)または-(CF_(2))^(d’)F(d’=1?8)を示す]、
式(F)R^(1)O[CH(R^(0))(CH_(2))_(1a)O]_(1b)R^(2)
[式中、R^(0)は、HまたはCH_(3)を示し、
R^(1)は、F含有アルキルまたはその置換体を示し、
R^(2)は、Hまたは低級アルキル基を示し、1a=1?3、1b=4?15である]。
【0070】
一般式(D)において、nは通常3?30程度であり、好ましくは3?10程度である。R^(fa)は、-(CF_(2))_(a’)H(a’=1?8)または-(CF_(2))_(b’)F(b’=1?8)を示す。a’は1?4が好ましく、b’は1?4が好ましい。Rは、水素原子または低級アルキル基を示す。Rで示される低級アルキル基の炭素数は、通常1?4程度であり、好ましくは1?2程度である。
【0071】
式(D)で示される化合物としては、HO[CH_(2)C(CH_(3))(CH_(2)OCH_(2)CF_(3))CH_(2)O]_(7)H、HO[CH_(2)C(CH_(3))(CH_(2)OCH_(2)C_(4)F_(8)H)CH_(2)O]_(6)Hなどが好ましい。
【0072】
一般式(E)において、mは通常3?30程度であり、好ましくは3?10程度である。R^(fb)は、-(CF_(2))_(c’)H(c’=1?8)または-(CF_(2))_(d’)F(d’=1?8)を示す。c’は1?4が好ましく、d’は1?4が好ましい。
【0073】
一般式(E)で示される化合物としては、HO[CH(CH_(2)C_(4)F_(9))CH_(2)O]_(6)H、HO[CH(CH_(2)C_(2)F_(5))CH_(2)O]_(6)Hなどが好ましい。
【0074】
一般式(F)において、nは、通常1?3程度であり、1?2程度が好ましい。mは、通常4?15程度であり、好ましくは4?10程度である。R^(1)は、F含有アルキルまたはその置換体を示す。R^(1)で示されるF含有アルキルの炭素数は、通常10?20程度であり、好ましくは12?18程度である。R^(1)で示されるF含有アルキルのフッ素原子の数は、通常10?40程度であり、好ましくは12?34程度である。R^(2)は、Hまたは低級アルキル基を示す。R^(2)で示される低級アルキル基の炭素数は、通常1?2程度である。
【0075】
一般式(F)で示される化合物としては、例えば、ダイキン工業株式会社製のユニダインDS-401,DS-403;デュポン社製のゾニールFSO,FSNなどを例示できる。
【0076】
フッ素含有界面活性剤としては、HFC-245faとHFC365mfcおよび/またはポリオールとの相溶性が高い化合物が好ましい。例えば、HFC-245faとHFC365mfcとフッ素含有界面活性剤とポリオールとを含むプレミックスを10分程度振とうした後、0?25℃程度において5時間程度静置した後も相分離しないフッ素含有界面活性剤が好ましい。HFC-245faとHFC365mfcおよび/またはポリオールとの相溶性が高いフッ素含有界面活性剤である程、ポリオールと発泡剤とを含むプレミックスを開放系に置いた時の発泡剤のロス、即ち発泡剤の飛散量を低減することができる。
【0077】
フッ素含有界面活性剤としては、難燃性のものが好ましい。しかしながら、フッ素含有界面活性剤が全く不燃である必要はなく、HFC-245faとHFC365fmcとの混合物としたときに、難燃性を保てる程度であればよい。フッ素含有界面活性剤は、危険物第4類、3石以上程度の難燃性を有していることが好ましいが、プレミックスの状態とした時に、危険物第4類、3石以上程度の難燃性を有している限り、フッ素含有界面活性剤の難燃性は、特に制限されない。難燃性のフッ素含有界面活性剤を用いると、発泡剤を難燃性に保ち、現場での発泡時に要求される難燃性を維持できる。
【0078】
本発明において用いるフッ素含有界面活性剤の沸点は、特に制限されないが、通常100?300℃程度であり、好ましくは120?250℃程度である。
【0079】
発泡剤中のHFC-245faとHFC365fmcとグリコール化合物及び/又はフッ素含有界面活性剤との混合割合は、用途、合成樹脂発泡体原料の組成などに応じて任意に選択できる。例えば、HFC245fa、HFC365mfc、グリコール化合物及び/又はフッ素含有界面活性剤、ポリオールなどを含むプレミックスの40℃程度における蒸気圧が、グリコール化合物及び/又はフッ素含有界面活性剤を除いた以外は前記プレミックスと同じ重量組成比のプレミックスの40℃における蒸気圧に対して、通常95%以下程度であり、好ましくは70?90%程度であり、より好ましくは70?85%程度となるようにHFC-245faとHFC365mfcとグリコール化合物及び/又はフッ素含有界面活性剤との比を設定するのが好ましい。より具体的な例を挙げると、(a)グリコール化合物及び/又はフッ素含有界面活性剤:A重量部、(b)HFC-245faとHFC365mfcの合計:B重量部および(c)ポリオール:C重量部からなるプレミックスの場合、前記(a)?(c)を含むプレミックスの蒸気圧が、40℃程度において、(b)HFC-245faとHFC365mfcの合計:B重量部および(c)ポリオール:C重量部からなるプレミックスの蒸気圧に対して、95%以下程度、好ましくは90%以下程度、より好ましくは85%以下程度となるようにHFC-245faとHFC365mfcとグリコール化合物及び/又はフッ素含有界面活性剤との比を設定するのが好ましい。なお、蒸気圧の比の測定には、ポリオール100重量部に対して、HFC-245faとHFC365mfcとグリコール化合物及び/又はフッ素含有界面活性剤の合計量が、20?70重量部程度であるプレミックスを用いる。
【0080】
または、HFC-245fa、HFC365mfc、グリコール化合物及び/又はフッ素含有界面活性剤、ポリオールなどを含むプレミックスの沸点、即ちプレミックスの蒸気圧が1気圧(約0.1MPa)になる温度が、通常15℃以上程度、好ましくは17?35℃程度、より好ましくは18?30℃程度になるように、HFC-245fa、HFC365mfc、フッ素含有界面活性剤などの混合比を設定すればよい。
【0081】
グリコール化合物及び/又はフッ素含有界面活性剤を含む本発明の発泡剤において、HFC-245faとHFC365mfcの配合量の合計は、HFC-245faとHFC365mfcとフッ素含有界面活性剤との総量に対して、通常50重量%以上程度、好ましくは65?99重量%程度、より好ましくは75?98重量%程度である。なお、HFC365mfcとHFC245faを発泡剤とするプレミックスの蒸気圧や燃焼性に問題がなければフッ素含有界面活性剤は、加えなくてもよい。
【0082】
HFC245faとHFC365mfcとグリコール化合物及び/又はフッ素含有界面活性剤とを含む発泡剤におけるHFC245faとHFC365mfcとグリコール化合物及び/又はフッ素含有界面活性剤の混合割合は、発泡剤の沸点が、17?35℃程度になる割合が好ましく、18?30℃になる割合がより好ましい。
【0083】
HFC245faとHFC365mfcとグリコール化合物及び/又はフッ素含有界面活性剤とを含む発泡剤におけるHFC-245faとHFC365mfcとの混合比率は、HFC-245faとHFC365mfcの合計を100重量%とした時に、HFC-245fa:HFC365mfc=90?54重量%:10?46重量%であり、特に好ましくは、HFC-245fa:HFC365mfc=80?60重量%:20?40重量%である。
【0084】
更に、ハロゲン含有化合物を含む場合、即ち、ハロゲン含有化合物とHFC245faとHFC365mfcとグリコール化合物及び/又はフッ素含有界面活性剤とを含む発泡剤におけるHFC-245faとHFC365mfcとの混合比率は、HFC-245faとHFC365mfcの合計を100重量%とした時に、HFC-245fa:HFC365mfc=95?52重量%:5?48重量%であり、特に好ましくは、HFC-245fa:HFC365mfc=90?50重量%:10?50重量%である。
【0085】
以上のように、本発明の発泡剤としては、HFC245faとHFC365mfcの混合物をベースとしてプレミックスとした場合に、プレミックスの気相成分が不燃性となるように各成分の混合比を調製したものが好ましい。また、プレミックスの蒸気圧を下げたり燃焼性を改善するために、ハロゲン化炭化水素、ハロゲン化アルコール、ハイドロフルオロエーテルなどのハロゲン含有化合物を加えることができる。さらに、ハロゲン含有化合物の有無に関係なく、相溶化剤であるグリコール化合物、フッ素含有界面活性剤またはその両者を発泡剤に加えることができる。
【0086】
本発明の発泡剤の使用量は、組成などに応じて適宜設定することができるが、ポリオール100重量部に対して、HFC-245faとHFC365mfcの合計量が、通常1?60重量部程度、好ましくは10?50重量部程度、より好ましくは20?45重量部程度である。
【0087】
本発明の発泡剤は、沸点が15℃より低い低沸点発泡剤を含んでいてもよい。低沸点発泡剤としては、例えば、1,1,1,2-テトラフルオロエタンなどのハロゲン化炭化水素;空気、窒素、炭酸ガスなどの不活性ガスなどを例示できる。低沸点発泡剤であるハロゲン化炭化水素としては、1,1,1,2,3,3,3-ヘプタフルオロプロパンも例示できる。これらの発泡剤は、発泡時にプレミックスに混合されて使用されることが多い。他の低沸点発泡剤を使用する場合、HFC245faとHFC365mfcの総量の割合は、20重量%以上程度、特に40重量%以上程度が好ましい。
【0088】
本発明の発泡剤は、水を含んでいてもよい。即ち、混合発泡剤は、単独使用しても良く、水と併用してもよい。多くの場合、混合発泡剤は、水と併用される。これは、水を加えることにより発泡時に炭酸ガスが生成し、炭酸ガスが発泡に寄与するためである。しかし、多量に水を加えすぎると、発泡体の断熱性能等を低下させるおそれがある。水の添加量は、HFC-245fa、HFC365mfcと水の総量に対して、通常60モル%以下程度である。上記のような範囲内とすることによって、より確実に高断熱性発泡体を製造することができる。
【0089】
また、本発明の発泡剤は、必要に応じて、分解抑制剤を配合していてもよい。分解抑制剤としては、例えばニトロベンゼン、ニトロメタンなどのニトロ化合物;α-メチルスチレン、p-イソプロペニルトルエンなどの芳香族炭化水素;イソプレン、2,3-ジメチルブタジエンなどの脂肪族不飽和炭化水素;1,2-ブチレンオキシド、エピクロルヒドリンなどのエポキシ化合物;p-t-ブチルカテコール、2,6-ジ-t-ブチル-p-クレゾールなどのフェノール化合物;クロロ酢酸イソプロピルエステルなどのクロロ酢酸エステル化合物などを好ましいものとして例示できる。
【0090】
分解抑制剤の配合割合は、抑制剤の種類などに応じて適宜設定することができるが、本発明の有機化合物系発泡剤100重量部に対して、通常0.05?5重量部程度である。分解抑制剤は、予め有機化合物系発泡剤と混合しておいても良く、または発泡時に別々に添加しても良い。
*その他の原料
ポリウレタンまたはポリイソシアヌレートの発泡体を製造するために使用するその他の原料としては、公知のものを使用することができる。これらのものとしては、以下のものを例示することができる。
【0091】
ポリイソシアネート化合物としては、例えば「岩田敬治、ポリウレタン樹脂ハンドブック71?98頁、日刊工業新聞社」に記載されている、脂肪族系、脂環族系、芳香族系等の有機イソシアネートをいずれも使用することができる。最も一般的に使用されているポリイソシアネートとしては、主に2,4-トリレンジイソシアネート(2,4-TDI)、2,6-トリレンジイソシアネート(2,6-TDI)等があり、主に2,4-TDI/2,6-TDIの重量比が80/20の混合物や65/35の混合物として使用されている。また、アニリンとホルムアルデヒドとの縮合物をホスゲン化することにより得られるポリフェニルポリメチレンポリイソシアネート(粗製-MDI)も使用されている。
【0092】
ポリオールとしては、例えば、「岩田敬治、ポリウレタン樹脂ハンドブック99?117頁、日刊工業新聞社」等に記載されているポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール等を使用することができる。
【0093】
これらの内で、ポリエーテルポリオールは、活性水素原子を持つ開始剤とアルキレンオキサイドとの反応によって得ることができる。例えば、開始剤としてエチレングリコール、トリメチロールプロパン、グリセリン、トリエタノールアミン、エチレンジアミン、メチルグルコジット、トリレンジアミン、ソルビトール、しょ糖などを使用し、アルキレンオキサイドとして、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイドなどを使用して、両者を反応させて得られる官能基数が2?8で水酸基価が300?800mgKOH/g程度のものを例示することができる。
【0094】
ポリエステルポリオールとしては、アジピン酸とグリコール若しくはトルオールとの脱水縮合によって得られる縮合系ポリエステルポリオール、カプロラクタムの開環重合によって得られるラクトン系ポリエステルおよびポリカーボネートジオールなどのうち、官能基数が2?4で水酸基価が250?500mgKOH/g程度のものを例示することができる。
【0095】
触媒としては、3級アミン、有機金属化合物等やそれらの混合物を使用することができる。通常はポリオール100重量部に対して、0.01?10重量部程度、好ましくは0.1?5重量部程度の触媒を使用する。
【0096】
触媒として使用できる3級アミンとしては、トリエチルアミン、ジメチルシクロヘキシルアミンなどのモノアミン類;テトラメチルエチレンジアミン、テトラメチルヘキサメチレンジアミン、N,N,N’,N’-テトラメチルヘキサン-1,6-ジアミンなどのジアミン類;トリエチレンジアミン、1,2-ジメチルイミダゾールなどの環状アミン類;ジメチルアミノエタノールなどのアルコールアミン類等が挙げられる。また、有機金属化合物としては、スターナスオクトエート、ジブチルチンジラウレート、ジブチルチンジアセテートなどが挙げられる。
【0097】
ポリウレタン発泡体を製造するためのその他の添加剤のうち、整泡剤としてシリコーン系界面活性剤、上述した以外の含フッ素界面活性剤等が使用され、具体的には、ポリシロキサン-ポリアルキレンブロックコポリマー、メチルポリシロキサンをベースにした界面活性剤などを使用することができる。整泡剤は、通常は、ポリオール100重量部に対して、0.1?10重量部程度用いることができる。
*製造方法
本発明の製造方法は、発泡剤の存在下に、ポリオールとポリイソシアネート化合物とを反応させてポリウレタンまたはポリイソシアヌレートの発泡体を製造する方法であって、上述したような本発明の発泡剤を用いる限り特に制限されない。本発明の製造方法では、予め発泡剤とポリオールとを混合してプレミックスとしてもよい。
【0098】
本発明の合成樹脂発泡体の製造方法では、上記した特定の発泡剤の存在下に、ポリオールとポリイソシアネート化合物とを反応させることによってポリウレタンまたはポリイソシアヌレートの発泡体を得ることができる。
【0099】
ポリオールとポリイソシアネート化合物との配合割合については、適宜決めれば良いが、通常、ポリイソシアネート化合物中のイソシアネート基1当量に対して、ポリオール中の活性水素が1?3当量程度となるように配合することが適当である。
【0100】
製造条件は、常法に従えば良く、原料を均一に混合できる装置であれば、如何なるものを用いても良いが、例えば、ミキサー、発泡機などを用いて、ポリオール、ポリイソシアネート化合物、発泡剤、触媒、その他の添加剤などの各原料をよく混合して、成形することによって、目的とする発泡体とすることができる。発泡剤及びその他の添加剤は、通常、ポリオール成分に予め溶解してプレミックスとして用いることによって、均一な発泡体を得易くなるが、これに限定されるものではなく、ポリイソシアネート化合物に予め溶解することもできる。
【0101】
本発明で用いる発泡剤は、オゾン層を破壊する危険性がないか、または危険性が低い。特に、塩素原子および臭素原子を含まないハロゲン含有化合物を用いる場合には、オゾン層を破壊する危険性が全くない。
【0102】
本発明で用いる発泡剤は、地球温暖化への影響が小さい。
【0103】
本発明の発泡剤は、ポリオールとの相溶性に優れたものである。特に、グリコール化合物および/またはフッ素含有界面活性剤を含む発泡剤は、ポリオールとの相溶性が極めて優れたものである。
【0104】
本発明で用いるプレミックスは、不燃性で適度な沸点を有する。特に、グリコール化合物、フッ素含有界面活性剤またはハロゲン含有化合物を含む発泡剤とポリオールとを含むプレミックスを用いると、HFC245faまたはHCF365mfcからなる発泡剤とポリオールとを含むプレミックスに比して、プレミックスを開放系においたときの発泡剤のロスも低減することができる。
【0105】
本発明の発泡剤の存在下に、各原料成分を反応させることによって、HFC245faまたはHCF365mfcを単独で発泡剤として用いた場合と同等の優れた断熱性、機械的強度などを有する合成樹脂発泡体を得ることができる。
【0106】
発明を実施するための最良の形態
なお、以下の実施例において用いたポリオールおよび発泡剤は次のとおりである。
ポリオールA:フタル酸にグリコールを反応させた水酸基価300mgKOH/gのポリエステルポリオール
ポリオールB:トリレンジアミンにプロピレンオキシドを反応させた水酸基価440mgKOH/gのポリエーテルポリオール
ポリオールC:ショ糖にプロピレンオキシドを反応させた水酸基価550mgKOH/gのポリエーテルポリオール
発泡剤(イ):1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパン 沸点15℃
発泡剤(ロ):1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパン/1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタン(90/10重量%)、沸点17℃、不燃性
発泡剤(ハ):1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパン/1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタン(70/30重量%)、沸点22℃、不燃性
発泡剤(ニ):1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパン/1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタン(60重量部/40重量部)沸点23℃
発泡剤(ホ):1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパン/1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタン(60重量部/40重量部)およびジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート(7重量部)沸点27℃
発泡剤(ヘ):1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパン/1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタン(60重量部/40重量部)およびHO[CH_(2)C(CH_(3))(CH_(2)OCH_(2)CF_(3))CH_(2)O]_(7)H(7重量部)沸点25℃
発泡剤(ト):1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパン/1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタン/1,1,2,2-テトラフルオロエチルメチルエーテル(60重量部/15重量部/25重量部)およびジエチレングリコールモノエチルエーテル(7重量部)沸点27℃
試験例1:ポリオールとの相溶性
容量50mlのスクリュー栓付ガラス瓶に、上記発泡剤(イ)?(二)のいずれか10gと、ポリオールA、BまたはC 20gとを合計30gを入れ、振とう機で10分間振とうした後、25℃、1時間静置し、分離の有無を肉眼にて確認した。表1に結果を示す。なお、判定は次の基準でおこなった。
(i);均一溶解し、分離なし。(ii);分離しないが均一になり難い。(iii);分離。
【0107】
【表1】

【0108】
表1の結果から明らかなように、本発明相溶化剤を加えることにより相溶性が改善され安定したプレミックスを形成することが確認された。また、HFC245faとHFC365mfcの混合発泡剤でも均一になることが分かった。
参考例1 燃焼性試験
12Lガラス製フラスコに、HFC245faとHFC365mfcの混合ガス(重量組成で65/35)を、空気と混合ガスの体積比94:6で1気圧になるように調整した。ガス温度は25℃にした。フラスコの中心に置いた1mm径のタングステン線電極(電極間距離6.4mm)に15KV、30mAのスパークを0.4sec飛ばした。その際のフラスコの頭頂部での炎の広がりは中心から上方に90℃以内であった。これにより不燃性の組成であると認定した。
【0109】
同様に、HFC245faとHFC365mfcの混合ガス(重量組成で65/35)を、空気と混合ガスの体積比91.4:8.6で1気圧、25℃になるように調整した。この場合も、上記と同様の試験により不燃性であると認められた。
【0110】
一方、HFC245faとHFC365mfcの混合ガス(重量組成で55/45)を、空気と混合ガスの体積比92.9:7.1で、1気圧、25℃になるように調整した。この場合は、炎の広がりが90℃以上となるのが観測されたので、可燃性の組成であることが分かった。
参考例2
液体のHFC245fa 5gとHFC365mfc 7.5gを50ccのガラス瓶にいれパラフィン紙で蓋をし攪拌しながら25℃で15分おいた。その後、気相部をサンプリングしてガスクロマトグラフィーで測定したところHFC245faとHFC365mfcの重量組成比は62:38であった。この組成と同じ組成のガスについて、参考例1に記載の方法で燃焼性を測定したところ、不燃であった。
比較例1
ポリオールAを含むシステム液25gにHFC245fa 4gとHFC365mfc 6gを加え、参考例2と同様にして、気相部の組成を測定した。HFC245faとHFC365mfcの重量組成比は、54:46であった。この組成と同じ組成のガスについて、参考例1に記載の方法で難燃性を測定したところ、可燃性を示した。
実施例2
ポリオールAを含むシステム液25gにHFC245fa 5gとHFC365mfc 5gを加え、参考例2と同様にして気相部の組成を測定した。HFC245faとHFC365mfcの重量組成比は、65:35であった。この組成と同じ組成のガスについて、参考例1に記載の方法で燃焼性を測定したところ、不燃性を示した。
実施例3
ポリオールAを含むシステム液25gにHFC245fa 5gとHFC365mfc 5gとジエチレングリコールモノエチルアセテート0.7gを加え、参考例2と同様にして気相部の組成を測定した。HFC245faとHFC365mfcの重量組成比は65:35であった。この組成と同じ組成のガスについて、参考例1に記載の方法で燃焼性を測定したところ、不燃性を示した。
実施例4
ポリオールAを含むシステム液25gに、発泡剤(ト)をHFC245faとHFC365mfcと1,1,2,2-テトラフルオロエチルメチルエーテルの合計が10gとなり、ジエチレングリコールモノエチルエーテルが0.7gとなる量を加え、参考例2と同様にして気相部の組成を測定した。HFC245faに対するHFC365mfcと1,1,2,2-テトラフルオロエチルメチルエーテルの合計の重量組成比は、76:24であった。この組成と同じ組成のガスについて、参考例1に記載の方法で燃焼性を測定したところ、不燃性を示した。
実施例5
ポリオールAを含むシステム液25gに発泡剤(ヘ)を、HFC245faとHFC365mfcの合計が10gとなり、HO[CH_(2)C(CH_(3))(CH_(2)OCH_(2)CF_(3))CH_(2)O]_(7)Hが0.7gとなる量を加え、参考例2と同様にして気相部の組成を測定した。HFC245faに対するHFC365mfcの重量組成比は、73:27であった。この組成と同じ組成のガスについて、参考例1に記載の方法で燃焼性を測定したところ、不燃性を示した。
実施例6
ポリオールBを含むシステム液25gにHFC245fa 5gとHFC365mfc 5gを加え、参考例2と同様にして気相部の組成を測定した。HFC245faに対するHFC365mfcの重量組成比は、62:38であった。この組成と同じ組成のガスについて、参考例1に記載の方法で燃焼性を測定したところ、不燃性を示した。
比較例2
ポリオールAを含むシステム液25gにHFC245fa 4.4gとHFC365mfc 5.6gを加え、参考例2と同様にして気相部の組成を測定した。HFC245faに対するHFC365mfcの重量組成比は、58:42であった。この組成と同じ組成のガスについて、参考例1に記載の方法で燃焼性を測定したところ、可燃性を示した。
実施例7
ポリオールAを含むシステム液25gにHFC245fa 5.1gとHFC365mfc 4.9gを加え、温度を40℃にした以外は、参考例2と同様にして気相部の組成を測定した。HFC245faに対するHFC365mfcの重量組成比は、65.5:34.5であった。この組成と同じ組成のガスについて、測定温度を40℃にした以外は参考例1と同様の方法で燃焼性を測定したところ、不燃性を示した。
比較例3
ポリオールAを含むシステム液25gにHFC245fa 4.6.gとHFC365mfc 5.4gを加え、温度を40℃にした以外は、参考例2と同様にして気相部の組成を測定した。HFC245faに対するHFC365mfcの重量組成比は、60:40であった。この組成と同じ組成のガスについて、参考例1に記載の方法で燃焼性を測定したところ、可燃性を示した。
実施例8?12及び比較例4
発泡体の製造
ポリオールB 100重量部に対して、シリコーン系整泡剤1.5重量部、水1重量部、触媒としてN,N,N’,N’-テトラメチルヘキサン-1,6-ジアミンをライズタイム70秒とするための必要量、および発泡剤を混合し、激しく攪拌した。このプレミックスと粗製ポリメチレンポリフェニルイソシアネート(日本ポリウレタン工業製 MR-100)112重量部とを混合、激しく攪拌して発泡させ、硬質ポリウレタン発泡体を得た。なお、発泡剤の使用量は、発泡体のコア密度が25±1kg/m^(3)となるよう調整した。用いたプレミックスの気相組成と同じ組成のガスを実施例1の方法で測定したところ全て不燃性を示した
得られた発泡体について、発泡1日後、-20℃又は25℃で1週間エージングした後の物理的性質の測定結果を表2に示す。なお、発泡体の評価方法は、JIS A9514に準じた。
【0111】
【表2】

【0112】
表2の結果から明らかなように、本発明の混合発泡剤を用いることによって、優れた特性を持つポリウレタン発泡体を得ることができることが確認された。即ち、本発明の発泡剤を用いるとHFC-245faを単独で用いた場合と同程度の熱伝導率および圧縮強度を有する発泡体を得ることができた。また、熱伝導率変化率および強度変化率についても、HFC-245faを単独で用いた場合と同程度の値を示した。
【0113】
参考例3
「非定常熱線法」で、50℃において測定した各発泡剤成分の気体状態、1気圧における熱伝導率を示す。
HFC245fa :15.2mW/mK
HFC365mfc:15.5mW/mK
【0114】
産業上の利用可能性
本発明の発泡剤の存在下に、各原料成分を反応させることによって、HFC245faまたはHCF365mfcを単独で発泡剤として用いた場合と同等の優れた断熱性、機械的強度などを有する合成樹脂発泡体を得ることができる。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
審理終結日 2009-03-04 
結審通知日 2009-03-06 
審決日 2009-03-30 
出願番号 特願2003-544101(P2003-544101)
審決分類 P 1 113・ 121- ZA (C08G)
P 1 113・ 537- ZA (C08G)
P 1 113・ 832- ZA (C08G)
P 1 113・ 536- ZA (C08G)
最終処分 成立  
前審関与審査官 中島 庸子  
特許庁審判長 一色 由美子
特許庁審判官 山本 昌広
野村 康秀
登録日 2006-12-22 
登録番号 特許第3894326号(P3894326)
発明の名称 合成樹脂発泡体の製造方法  
代理人 菱田 高弘  
代理人 小林 浩  
代理人 三枝 英二  
代理人 齋藤 健治  
代理人 古橋 伸茂  
代理人 本多 広和  
代理人 林 雅仁  
代理人 三枝 英二  
代理人 齋藤 健治  
代理人 中村 閑  
代理人 菱田 高弘  
代理人 林 雅仁  

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