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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F |
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管理番号 | 1199373 |
審判番号 | 不服2007-8187 |
総通号数 | 116 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2009-08-28 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2007-03-22 |
確定日 | 2009-06-17 |
事件の表示 | 平成7年特許願第293380号「パチンコ球の払出装置」拒絶査定不服審判事件〔平成9年4月28日出願公開、特開平9-108418〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、平成7年10月16日に出願されたものであって、平成18年9月19日付けで拒絶理由が通知され、その指定期間内である同年11月27日に意見書及び手続補正書が提出されたが、平成19年2月9日付けで拒絶の査定がなされたため、これを不服として同年3月22日に本件拒絶査定不服審判が請求されたものである。 第2 本願発明 本願の請求項1に係る発明は、平成18年11月27日付け手続補正書の【特許請求の範囲】【請求項1】に記載された次のとおりのもの(以下、「本願発明」という。)と認める。 「パチンコ球が連続して供給される供給通路と、外周に供給通路のパチンコ球を送り出す移送部が螺旋状に形成されたリードスクリューと、該リードスクリューを回転させる駆動モーターと、該駆動モーターの回転により払い出されたパチンコ球が排出される排出通路とからなるパチンコ球の払出装置において、前記リードスクリューの突条の外周縁に該リードスクリューを指で回転させるための指掛り手段を備えさせて成ることを特徴とするパチンコ球の払出装置。」 第3 引用文献 原査定の拒絶の理由に引用された特開平4-58972号公報(以下、「引用文献1」という。)には、 「景品球の供給通路と、外周に供給通路の景品球を支持する球支持部が螺旋状に形成されたリードスクリューと、該リードスクリューを回転させる駆動モータと、景品球の排出通路とを備え、前記リードスクリューの回転により球支持部で支持された最先端の景品球を一個ずつ排出通路に排出するようにしたことを特徴とするパチンコ機の景品球払出装置。」(特許請求の範囲)との発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。 引用文献1には、さらに以下の記載が図面とともにある。 (ア)「リードスクリューが回転すると螺旋状に形成された球支持部の移動に伴ない該球支持部で受けられた供給通路の景品球が途切れることなく数珠状に連続して自重で下降し、その球支持部による支持を失うことで最先端の景品球が1個ずつ排出通路に払出される。」(第2頁左上欄14?19行) (イ)「景品球払出装置8は、第2図に示すように前記機構板2に取付ける取付板11と、駆動モータ12を取付けるモータ取付板13とを有する。取付板11には前記供給樋7に連続する供給通路14が垂直方向に形成され、その供給通路14に平行させてリードスクリュー15が配設される。リードスクリュー15は、モータ取付板13に形成された上下の受片131,131に支軸16の上下部が支持されて水平回転自在に取付けられており、円柱状主体の外周に供給通路14に臨んで最先端の景品球を支持する鍔状の球支持部17を螺旋状に設けて構成されている。なお、リードスクリュー15の下方に位置した供給通路14の下流部分は前記排出樋9に連続する排出通路141とされている。」(第2頁左下欄17行?同頁右下欄11行) (ウ)「モータ取付板13の下端折曲部には、前記入賞球検出器4の検出信号によって回転する駆動モータ12が垂直状に取付けられ、そのモータ軸18に原動歯車19が固着されている。また原動歯車19は、リードスクリュー15の支軸16に固着された従動歯車20に歯合されており、駆動モータ12の回転をリードスクリュー15に伝達するようにされている。なお、本実施例の場合、前記駆動モータ12とリードスクリュー15は、駆動モータ12の2回転でリ-ドスクリュー15が1回転するようにその回転比が設定されている。・・・また前記排出通路141には景品球検出器22が設けられており、リードスクリュー15の回転によって排出通路141に払出される景品球を1個ずつ検出可能になっている。」(第2頁右下欄12行?第3頁左上欄13行) (エ)「入賞球検出器4が入賞球を検出すると、その検出信号に基づいて駆動モータ12が回転を開始し、原動歯車19および従動歯車20を介してリードスクリュー15が水平回転する。このリードスクリュー15の回転で供給通路14に連続状態で待機する景品球は球支持部17の移動に伴ない途切れることなく数珠状に連なって下降を続け、リードスクリュー15が1回転すると第4図a?dに示すように球支持部17に支持される最先端の景品球B1がその球支持部17による支持から外れて排出通路141に落下する。」(第3頁左上欄15行?同頁右上欄5行) 第4 本願発明と引用発明の一致点及び相違点の認定 本願発明と引用発明とを対比すると、 引用発明の「景品球」及び「景品球払出装置」は、本願発明の「パチンコ球」及び「パチンコ球の払出装置」に、それぞれ相当し、 さらに、引用文献1全体の記載等からみて、以下のことがいえる。 a.引用発明における「供給通路」に、「景品球」が連続して供給されることは、引用文献1の第4図及びパチンコ機の技術分野における技術常識に照らして明らかである。 b.上記(ア)、(エ)の記載より、引用発明の「玉支持部」は、「供給通路」の景品球を「排出通路」側へ送り出して移送する機能を果たしていることは明らかであるので、引用発明における「景品球を支持する球支持部」は、本願発明の「パチンコ球を送り出す移送部」に相当する。 c.上記(ウ)の記載より、「駆動モータ12」の回転により「リードスクリュー15」が回転することは明らかであり、該「リードスクリュー15」の回転によって景品球が「排出通路141」に払出されるのであるから、引用発明における「リードスクリューの回転により」景品球を「排出通路に排出する」ことは、本願発明における「駆動モーターの回転により払い出されたパチンコ球が排出される排出通路」なる構成に実質的に一致する。 したがって、本願発明と引用発明とは、 「パチンコ球が連続して供給される供給通路と、外周に供給通路のパチンコ球を送り出す移送部が螺旋状に形成されたリードスクリューと、該リードスクリューを回転させる駆動モーターと、該駆動モーターの回転により払い出されたパチンコ球が排出される排出通路とからなるパチンコ球の払出装置」である点で一致し、以下の点で相違する。 <相違点1> 本願発明が「前記リードスクリューの突条の外周縁に該リードスクリューを指で回転させるための指掛り手段を備えさせて成る」のに対し、引用発明はそのような手段を備えていない点。 第5 本願発明の進歩性の判断 <相違点1>について 原査定の拒絶の理由に引用された特開平6-134114号公報(以下、「引用文献2」という。)には、以下の記載が図面とともにある。 (オ)「 払出指令信号に基づいて所定数の球を払い出すパチンコ機の景品球払出装置において、該景品球払出装置は、球が2列になって流下する球供給樋と、該2列の球供給樋の下端中央にそれぞれの回転中心軸が設けられ且つ互いに内側方向に半ピッチずつずれて回転するスプロケットと、該両スプロケットの間の下方に形成され且つ両スプロケットによって運ばれた球を交互に1列になって流下させる球排出樋と、該球排出樋の上流部に設けられ且つ流下する球を検出する計数用検知スイッチと、前記排出指令信号に基づいて前記スプロケットを回転せしめるモータと、からなることを特徴とするパチンコ機の景品球払出装置。」(【特許請求の範囲】【請求項1】) (カ)「図3において、景品球払出装置20は、逆L字状のケース本体21の前面(正面図を基準として)にケース蓋22を閉塞することにより内部が中空のケースに集約して構成されるものであり、その逆L字状の上部前方が前記景品球誘導レール4と接続される誘導レール接続部23を構成している。誘導レール接続部23は、図4に示すように、2列に形成される前記景品球誘導レール4に対応すべく次に説明する球供給樋24a,24bの上端が臨んでいる。なお、ケース本体21の左側面(機構板2に当接する側)は、後方へ延設される取付片21aを有し、該取付片21aの上下に穿設される取付穴21bによって景品球払出装置20全体が機構板2に取り付けられるようになっている。」(段落【0012】) (キ)「前記ケース本体21の内部中空部には、その左右両側に球供給樋24a,24bが形成され、該球供給樋24a,24bの下端に後に説明するスプロケット40a,40bが配置されるスプロケット収納部が形成され、そのスプロケット収納部に対応するケース本体21の側面位置に操作窓部25a,25bが形成されている。この操作窓部25a,25bは、スプロケット部分で球詰まりが生じたときにピンを差し込んでスプロケット40a,40bを正逆回転して球詰まり状態を解消する等の操作を行うために形成されるものである。なお、この玉詰まり状態の解消は、一部がケース本体21より外側に突出する歯車39a,39bを直接手で強制的に回転せしめても実行することができる。」(段落【0013】) (ク)「ケース蓋22とモータ取付板32との間には、取付ボス31及び間隔保持ボス37によって所定の間隔が形成されるが、この間隔内には、回転中心軸38a,38bに固着される歯車39a,39bが配置される。即ち、回転中心軸38a,38bは、その前面部に同じ歯数を有する歯車39a,39bが固着され、その後方部に同一形状のスプロケット40a,40bが固着されている。しかして、一方(左側)の回転中心軸38aは、その一端を前記軸受ボス29aで軸受支持され、他端をモータ取付板32の後面に形成される図示しない軸受部に軸受支持され、他方(右側)の回転中心軸38bは、その一端を前記軸受ボス29bで軸受支持され、他端をステッピングモータ41のモータ軸に直結される。」(段落【0016】) (ケ)「払出指令信号が導出されるとステッピングモータ41が反時計方向に回転を開始し、このため、ステッピングモータ41のモータ軸に直結されるスプロケット40bも反時計方向に回転するが、他方のスプロケット40aは、歯車39a,39bの噛合により時計方向に同一速度で回転する。即ち、スプロケット40a,40bは、互いに内側方向に球を移動させる。そして、この球の移動の際、スプリケット40a,40bが半ピッチずつずれて回転するので、図1に示すように、一方のスプロケット40aの凹部に受け入れられて移動する球が他方のスプロケット40bの凸部の先端に近接した状態で案内され、その解放位置に達したときに丁度球排出樋28の上端に設けられる計数用検知スイッチ27を通過し、球排出樋28を正確に一列になって流下する。」(段落【0019】) 上記(ク)の記載より、「歯車39a,39b」と「スプロケット40a,40b」は共に「ステッピングモータ41」のモータ軸に直結される「回転中心軸38a,38b」に固着されていることが分かり、「歯車39a,39b」と「スプロケット40a,40b」は直結されているといえる。したがって、引用文献2には、パチンコ機の景品球払出装置において、スプロケット部分で球詰まりが生じたとき「歯車39a,39b」を直接手で回転させることにより、該「歯車39a,39b」に直結する「スプロケット40a,40b」を回転させて玉詰まり状態を解消する技術思想が開示されている。引用文献2における「スプロケット40a,40b」と、本願発明における「リードスクリュー」は、共に、回転して景品球の送り出しを行う部材(以下、「回転送り部材」という。)である点で共通するので、引用文献2には、パチンコ機の景品球払出装置において、玉詰まり状態の解消のために回転送り部材を手により回転させる技術(以下、「引用文献2記載の技術事項」という。)が記載されている。 そして、引用発明においても、回転送り部材である「リードスクリュー」における玉詰まり状態の解消は当然考慮される課題であるので、引用文献2記載の技術事項を適用することに格別の困難性は認められない。さらに、手または指により回転させる部材の外周縁に、回転操作を容易にさせるべく、指掛かり手段を備えることは、例えば、実公昭29-5196号公報(特に、第1頁左欄16-18行及び第5図参照)に示すとおり従来普通に行われること(以下、「慣用手段」という。)であるので、引用発明における「リードスクリュー」に、引用文献2記載の技術事項を適用する際、リードスクリューそのものの突条の外周縁に指掛かり手段を備えること、つまり相違点1に係る本願発明のように構成することは、当業者が容易に想到し得るものである。 そして、本願発明の効果は、引用発明、引用文献2記載の技術事項及び上記慣用手段から当業者が容易に予測できる範囲のものである。 したがって、本願発明は、引用発明、引用文献2記載の技術事項及び上記慣用手段に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 第6 むすび 以上のとおり、本願発明が特許を受けることができないから、本願は拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2009-03-31 |
結審通知日 | 2009-04-07 |
審決日 | 2009-04-21 |
出願番号 | 特願平7-293380 |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(A63F)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 納口 慶太 |
特許庁審判長 |
伊藤 陽 |
特許庁審判官 |
川島 陵司 河本 明彦 |
発明の名称 | パチンコ球の払出装置 |
代理人 | 伊藤 浩二 |