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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) A63F
審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) A63F
管理番号 1201397
審判番号 不服2007-10593  
総通号数 117 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2009-09-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2007-04-12 
確定日 2009-07-30 
事件の表示 平成7年特許願第135189号「パチンコ機」拒絶査定不服審判事件〔平成8年12月10日出願公開、特開平8-322988〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成7年6月1日に特許出願したものであって、平成19年2月28日付けで拒絶査定がされたため、これを不服として同年4月12日付けで本件拒絶査定不服審判が請求され、同月26日付けで手続補正がされたもので、当審において平成21年3月9日付けで拒絶の理由を通知し、これに対し、同年4月27日付けで手続補正がされたものである。

第2 本願発明
平成21年4月27日付け手続補正により、特許請求の範囲の請求項1は、
「遊技盤面に形成された遊技領域の右側上部に、該遊技領域内に発射された遊技球を跳ね返すための返しゴムが設けられると共に、前記遊技領域内に植設される複数の遊技釘は、前記返しゴムによって跳ね返された遊技球が特定の入賞装置へ誘導されるように配置されたパチンコ機において、
前記遊技領域にて前記返しゴムに対向する位置には、前記遊技釘に代えて誘導部材が設けられ、
前記誘導部材は、板状の壁部を備え、前記返しゴムによって跳ね返された遊技球を前記壁部に当ててから、前記特定の入賞装置の方向へ誘導するよう構成され、
前記壁部は、略「く」の字状に形成されるとともに、前記略「く」の字の開口側が、前記返しゴムに対向する向きとなるように配置されていることを特徴とするパチンコ機。」(以下、「本願発明」という。)と補正された。

なお、請求項2は
「請求項1に記載のパチンコ機において、
前記誘導部材は、
前記壁部の上部から前記遊技領域の側壁へ向けて伸び、前記壁部及び前記側壁と共にトンネル状の玉通路を成す屋根部を備え、
前記遊技領域内に発射された遊技球が、前記玉通路内で前記返しゴムに衝突するように構成されたこと、
を特徴とするパチンコ機。」である。

第3 引用文献
当審において通知した拒絶の理由の<理由2>に引用された特開平6-154392号公報(以下、「引用文献1」という。)には、図面とともに以下の記載がある。
(ア)「打球が特定入賞口に入球し、特定条件が成立して権利状態にあるときに、打球が権利始動口に入球して権利始動スイッチが作動し、この権利始動スイッチの作動に基づいて、大入賞装置を遊技者に不利な第1状態から遊技者に有利な第2状態に変換することのできるパチンコ機において、
前記特定入賞口の近傍に、当該特定入賞口に入球しなかった打球を遊技盤の裏面側に誘導可能な球誘導路の入球口を開設し、上記球誘導路の放球口を遊技盤の表面側に開設すると共に、該放球口から放球される球が入球可能な入賞口を遊技盤上に設け、該入賞口の上部に障害手段を配置したことを特徴とするパチンコ機。」(【特許請求の範囲】【請求項1】)

(イ)「遊技盤13にはガイドレール14で囲まれる遊技部15を形成し、該遊技部15のほゞ中央鉛直線に沿って、上方から図柄表示装置16を備える天入賞装置17、特定入賞口18及び大入賞装置19を構成するセンター役物20を配設し、最下位置にはアウト口21が開設してある。また、遊技盤13に向ってセンター役物20の右側やや上方には、権利始動スイッチ68が臨む権利始動装置67が設けてある。」(段落【0007】)

(ウ)「上記権利始動装置67の近傍には、遊技部15のセンターラインを越えて発射された打球を、権利始動装置67及び大入賞装置19へ案内或は誘導するガイド兼誘導手段69を設ける。このガイド兼誘導手段69は、図示の実施例によれば釘の配列によって形成してある。」(段落【0023】)

(エ)「図柄表示装置16の表示図柄が揃い、可動片32が揺動して球が当り通過口42へ流入し、権利スイッチ44が作動して権利状態にあるときは、遊技盤13の右側を狙って打球を発射する。すると、この打球は、遊技部15を流下する際、上記ガイド兼誘導手段69によって、権利始動装置67及び大入賞装置19に向けてガイド或は誘導される。」(段落【0024】)

(オ)「前記したように図柄表示装置16が表示する図柄が予め設定した組合態様になり、可動片32が当り側に可動して球が当り通過口42へ流入し、権利スイッチ44がオンして権利状態になったら、Bのラインに沿ってセンターラインの右側を狙って、例えば跳ね返りゴム71に当るように打球を発射する。このようにして発射した打球は、遊技部15の右側に設けたガイド兼誘導手段69によって、権利始動装置67及び大入賞装置19へガイド或は誘導される。」(段落【0030】)

引用文献1の図2より、「跳ね返りゴム71」が「遊技部15」の右側上部に設けられていること、及び、遊技部15にて「跳ね返りゴム71」に対向する位置には、釘が配列されて略「く」の字状に形成されるとともに、略「く」の字の開口側が、「跳ね返りゴム71」に対向する向きとなるように配置されていることが分かる。
また、上記(イ)の記載には「中央鉛直線」、上記(ウ)及び(オ)の記載には「センターライン」の用語が混用されているが、これらが異なる意味であると認めることはできず、以下では「センターライン」との用語に統一する。

以上の記載事項及び図面の記載を総合勘案すると、引用文献1には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。
「遊技盤13にはガイドレール14で囲まれる遊技部15を形成し、該遊技部15のほゞセンターラインに沿って、上方から図柄表示装置16を備える天入賞装置17、特定入賞口18及び大入賞装置19を構成するセンター役物20を配設し、センター役物20の右側やや上方には、権利始動スイッチ68が臨む権利始動装置67が設けられ、上記遊技部15の右側上部に跳ね返りゴム71が設けられ、遊技部15のセンターラインを越えて該跳ね返りゴム71に当たるように発射された打球が、釘の配列によって形成されるガイド兼誘導手段によって、権利始動装置67及び大入賞装置19に向けてガイド或は誘導され、
遊技部15にて跳ね返りゴム71に対向する位置には、釘が配列されて略「く」の字状に形成されるとともに、略「く」の字の開口側が、跳ね返りゴム71に対向する向きとなるように配置されるパチンコ機。」

第4 本願発明と引用発明との一致点及び相違点の認定
本願発明と引用発明とを比較すると、引用発明の「遊技部15」は、本願発明の「遊技領域」に相当し、以下同様に、
「打球」は「遊技球」に、「跳ね返りゴム71」は「返しゴム」に、「釘」は「遊技釘」に、「大入賞装置19」は「特定の入賞装置」に、それぞれ相当し、
さらに、引用文献1全体の記載等からみて、以下のことがいえる。

a.引用発明における、「ガイド兼誘導手段」となる「釘の配列」が、「遊技部15」内に植設されることはパチンコ機の分野における技術常識に照らして明らかである。また、「配列」という以上、釘が複数存在することも自明である。そして、「遊技部15のセンターラインを越えて該跳ね返りゴム71に当たるように発射された打球」が上記「釘の配列」によって「大入賞装置19」へ案内或は誘導されるのだから、「遊技領域内に植設される複数の遊技釘は、前記返しゴムによって跳ね返された遊技球が特定の入賞装置へ誘導されるように配置され」に相当する構成を引用発明は当然備える。

b.上記(オ)及び図2の記載より、引用発明における「跳ね返りゴム71に対向する位置」(以下、「対向位置」という。)に設ける、略「く」の字状に形成された釘の配列には、跳ね返りゴムに当たった打球のうち、左方に跳ね返った打球が当たり、更に下流の釘の配列あるいは大入賞装置へガイド或いは誘導されることは明らかであるので、該対向位置に設ける「釘の配列」は、「誘導部材」としての機能を果たすものといえる。よって、本願発明と引用発明とは、「前記遊技領域にて前記返しゴムに対向する位置には、誘導部材が設けられ」、「前記誘導部材は、前記返しゴムによって跳ね返された遊技球を前記誘導部材に当ててから、前記特定の入賞装置の方向へ誘導するよう構成され」及び「前記誘導部材は、略「く」の字状に形成されるとともに、前記略「く」の字の開口側が、前記返しゴムに対向する向きとなるように配置されている」という点で共通する。

したがって、本願発明と引用発明は、
「遊技盤面に形成された遊技領域の右側上部に、該遊技領域内に発射された遊技球を跳ね返すための返しゴムが設けられると共に、前記遊技領域内に植設される複数の遊技釘は、前記返しゴムによって跳ね返された遊技球が特定の入賞装置へ誘導されるように配置されたパチンコ機において、
前記遊技領域にて前記返しゴムに対向する位置には、誘導部材が設けられ、
前記誘導部材は、前記返しゴムによって跳ね返された遊技球を前記誘導部材に当ててから、前記特定の入賞装置の方向へ誘導するよう構成され、
前記誘導部材は、略「く」の字状に形成されるとともに、前記略「く」の字の開口側が、前記返しゴムに対向する向きとなるように配置されているパチンコ機。」
である点で一致し、以下の各点で相違する。

<相違点1>
対向位置に設ける誘導部材が、本願発明では「遊技釘に代えて」設けられるのに対し、引用発明では、これが釘の配列で形成されている点。

<相違点2>
対向位置に設ける誘導部材に関し、本願発明が「板状の壁部」を備え、該「壁部」に遊技球を当てるよう構成されているとともに、該「壁部」が「略「く」の字状に形成されるとともに、前記略「く」の字の開口側が、前記返しゴムに対向する向きとなるように配置されている」のに対し、引用発明ではそもそも「壁部」が存在せず、遊技球を「壁部」に当てるよう構成されているとはいえない点。

第5 本願発明の進歩性の判断
<相違点1>について
遊技領域にて、遊技球の誘導部材を遊技釘に代えて設ける点は、例えば実願昭61-146949号(実開昭63-53581号)のマイクロフィルム(特に、第9頁4行?第12頁3行、第1図?第7図参照)、実公平2-47990号公報(特に、第5欄14?18行)、特開平6-86856号公報(特に、段落【0100】参照)に示すとおり、パチンコ機の分野において、本願出願前に周知の技術事項(以下、「周知技術A」という。)である。引用発明における、対向位置に設ける誘導部材に、当該周知技術Aを採用することに格別の困難性は見い出すことはできないので、上記相違点1に係る本願発明の構成とすることは、パチンコ機の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)にとって想到容易である。

<相違点2>について
遊技球の誘導部材として、遊技球が当たる部位を、遊技盤面に対して略鉛直な連続面に形成するものは、上記「<相違点1>について」で示した実願昭61-146949号(実開昭63-53581号)のマイクロフィルム(上記指摘箇所における「案内面38a」の記載参照)、実公平2-47990号公報(上記指摘箇所における「上面を下り傾斜させた棚状のもの」との記載参照)の他、例えば、特開平7-88225号公報(特に、【0007】参照)に示すとおり、パチンコ機の分野において、本願出願前に周知の技術事項(以下、「周知技術B」という。)である。そして、当該周知技術Bを上記周知技術Aとともに引用発明に適用した際には、対向位置に設ける誘導部材が略「く」の字状、かつ、遊技盤面に対して略鉛直な連続面に形成されることとなるので、遊技球が当たる部位が「板状の壁部」となるとともに、該「壁部」が「略「く」の字状に形成されるとともに、該略「く」の字の開口側が、前記返しゴムに対向する向きとなるように配置される」ことは当然の帰結である。よって、上記相違点2に係る本願発明の構成を採用することは、当業者にとって想到容易である。

請求人は、平成21年4月27日付け意見書において、「返しゴムで跳ね返された遊技球は、一度壁部に当たった後、返しゴムを経て、さらにもう一度壁部に当たることにより、遊技球の速度を顕著に落とすことができ」る旨の効果を主張する。しかし、上記相違点1及び相違点2に係る本願発明の構成を採用することが当業者にとって想到容易であることは上述のとおりであり、その場合、対向位置に設ける誘導部材が、遊技盤面に対して略鉛直な連続面に形成されることにより、跳ね返りゴムを経て該誘導部材に当たる打球の跳ね返り方向が安定することは自明であるので、上記効果も当業者が容易に予測し得る範囲のものである。

したがって、本願発明は、引用発明、上記周知技術A及び上記周知技術Bに基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

第6 むすび
以上のとおり、本願は、その余の請求項に係る発明について検討するまでもなく、拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2009-05-26 
結審通知日 2009-06-02 
審決日 2009-06-16 
出願番号 特願平7-135189
審決分類 P 1 8・ 537- WZ (A63F)
P 1 8・ 121- WZ (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 瀬津 太朗  
特許庁審判長 小原 博生
特許庁審判官 河本 明彦
川島 陵司
発明の名称 パチンコ機  
代理人 足立 勉  
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