• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) F16C
管理番号 1201489
審判番号 不服2008-211  
総通号数 117 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2009-09-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2008-01-04 
確定日 2009-07-29 
事件の表示 特願2002-525378「アルミニウムスラストワッシャ」拒絶査定不服審判事件〔平成14年 3月14日国際公開、WO02/20999、平成16年 7月 8日国内公表、特表2004-520540〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由
1.手続の経緯

本願は、平成13年9月5日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2000年9月5日(US)アメリカ合衆国)を国際出願日とする出願であって、平成19年10月2日(起案日)付けで拒絶査定がなされ、これに対し、平成20年1月4日に拒絶査定不服審判の請求がなされ、その後、当審において、平成20年10月29日(起案日)付けで拒絶理由(以下、「当審拒絶理由」という。)を通知したところ、平成21年2月3日付けで意見書が提出されるとともに、明細書を補正する手続補正がなされたものである。

2.本願発明

本願の請求項1ないし9に係る発明は、平成18年11月16日付け、及び平成21年2月3日付け手続補正により補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1ないし請求項9に記載された事項により特定されるとおりのものであるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、次のとおりのものである。

「【請求項1】 アルミニウムスラストワッシャであって、
鍛錬加工されたアルミニウムマトリックスを含み、
前記アルミニウムマトリックスは、2?20重量%のシリコンと、0.1?4重量%の銅とを含み、残りがアルミニウムであり、且つ、
前記アルミニウムマトリックスは、0.04mm^(2)の面積中で数えて、粒径が5μmより大きいシリコン粒子が少なくとも4個存在するように分散されたシリコン粒子を有し、
前記アルミニウムスラストワッシャは裏打ち層なしでモノメタルから成形されることによりすべて再利用可能である、アルミニウムスラストワッシャ。」

3.引用刊行物とその記載事項


刊行物1:特開平11-201145号公報
刊行物2:特開昭55-82756号公報
刊行物3:特開昭58-64336号公報
刊行物4:米国特許第5192136号明細書

(刊行物1)
当審拒絶理由で引用された、本願の優先日前に頒布された上記刊行物1(特開平11-201145号公報)には、「半割スラスト軸受」に関して、図面とともに、以下の事項が記載されている。

(ア)「図4に示すように、上記スラスト軸受18は、半円状をなす2個の半割スラスト軸受19,20から構成されている。(以下、略)」(段落【0014】)

(イ)「さて、上記半割スラスト軸受19,20は、例えば、鋼板などの裏金23に銅系合金、錫系合金、鉛系合金またはアルミニウム系合金などの軸受合金24をライニングしてなるバイメタルをプレスにより半円形に打ち抜くことによって形成される。・・・(中略)・・・
板材から半割スラスト軸受19,20を打ち抜いた後、その半割スラスト軸受19,20の周方向両側は、軸受面側からプレスにより一種の冷間鍛造加工されて傾斜面状のスラストリリーフ22に成形される。・・・(中略)・・・
このように半割スラスト軸受19,20の周方向両側に冷間鍛造によってスラストリリーフ22を形成した結果、そのスラストカラー11aに接する軸受面において、スラストリリーフ22の近傍部分では、その強度が高くなる。図2(a)および(b)は、アルミニウム-12錫-3シリコン系合金(試料1)・・・(以下略)。」(段落【0016】ないし【0018】)

(ウ)「なお、本発明は上記し且つ図面に示す実施例に限定されるものではなく、次のような変更または拡張が可能である。半割スラスト軸受20の突起20aの端面の強度を高くしても良く、このようにすれば突起20aの塑性変形、割れなどを防止できる。半割スラスト軸受19に回止め用ピンに嵌合する小孔を形成し、この小孔の近傍の強度を高くするようにしても良い。半割スラスト軸受19,20は、バイメタルではなく、全体が軸受合金で構成されたものであっても良い。」(段落【0029】)

上記記載事項(ア)?(ウ)並びに図面の記載からみて、刊行物1には、次の発明(以下、「刊行物1発明」という。)が記載されているものと認められる。

「スラスト軸受18は、半円状をなす2個の半割スラスト軸受19,20から構成され、アルミニウム系合金などの軸受合金24によって形成され、その半割スラスト軸受19,20の周方向両側は、軸受面側からプレスにより冷間鍛造加工され、アルミニウム合金は、アルミニウム-12錫-3シリコン系合金であり、半割スラスト軸受19,20は、バイメタルではなく、全体が軸受合金で構成されたスラスト軸受18。」

(刊行物2)
当審拒絶理由で引用された、本願の優先日前に頒布された上記刊行物2(特開昭55-82756号公報)には、「軸受材用合金の製造方法」に関して、図面とともに、以下の事項が記載されている。

(エ)「好ましい合金はケイ素10.3?11%、銅0.9%?1.1%を含み、そして不純物として鉄0.3%以下、マンガン0.3%以下、ニツケル+マグネシウム5%以下、残部がアルミニウムであるよりなる。」(第2ページ左下欄第8?11行)

(オ)表「1.試験装備における軸受ブシュの寿命」、及び表「2.メツキしたエンジン軸受の動的負荷の条件の下での疲労の評価」には、「11%ケイ素、1%銅、不純物として0.3%鉄、0.3%マンガン、5%ニッケル+マグネシウム、残部アルミニウム」からなる軸受のライニング合金について、他の合金の軸受と性能を比較した表が掲載されている。

上記記載事項(エ)?(オ)及び図面の記載からみて、刊行物2には、次の発明(以下、「刊行物2発明」という。)が記載されているものと認められる。

「11%ケイ素、1%銅、不純物を含み、残部アルミニウムからなる軸受材用合金」

(刊行物3)
当審拒絶理由で引用された、本願の優先日前に頒布された上記刊行物3(特開昭58-64336号公報)には、「アルミニウム系合金軸受」に関して、図面とともに、以下の事項が記載されている。

(カ)「1.重量百分率で1ないし35%のスズ及び5ないし11%のケイ素を含有し、残部が実質的にアルミニウムからなる合金が裏金に装着されており、該アルミニウム合金中のケイ素粒子の長径で測定したケイ素粒子の寸法が5ミクロン以上且つ40ミクロン以下の該ケイ素粒子が該合金の任意の部分で3.56×10^(-2)mm^(2)当り5個以上存在しており、且つオーバーレイなしで使用可能なアルミニウム系合金軸受。」(第1ページ左下欄第5?13行(特許請求の範囲))

上記記載事項(カ)の記載からみて、刊行物3には、次の発明(以下、「刊行物3発明」という。)が記載されているものと認められる。

「アルミニウム合金中のケイ素粒子の長径で測定したケイ素粒子の寸法が5ミクロン以上且つ40ミクロン以下の該ケイ素粒子が該合金の任意の部分で3.56×10^(-2)mm^(2)当り5個以上存在しているアルミニウム系合金軸受。」

(刊行物4)

本願の優先日前に頒布された刊行物である米国特許第5192136号明細書には、「CRANKSHAFT BEARING HAVING HYDRODYNAMIC THRUST FLANGES」に関して、図面とともに、次の事項が記載されている。(日本語訳は、当審による仮訳である。)

(キ)「The thrust bearing surfaces 31 and the radial bearing surfaces on walls 25 and 27 ・・・an aluminum-lead alloy or an aluminum-tin alloy.(当該スラスト軸受の表面31と壁面25と27上のラジアル軸受の表面は、比較的軟らかい耐摩擦金属材料、例えば、好ましくは、鉛-アルミニウム合金、またはスズ-アルミニウム合金が、好ましいがこれに限らない。)」(第4欄第51?55行)

4.対比・判断

本願発明と刊行物1発明を比較する。
刊行物1発明の「アルミニウム合金」は、本願発明の「アルミニウムマトリックス」に相当し、刊行物1発明の「スラスト軸受18は、半円状をなす2個の半割スラスト軸受19,20から構成され、アルミニウム系合金などの軸受合金24によって形成され」は、基本となる材料がアルミニウムであり、その機能からみてスラストワッシャということができるから、本願発明の「アルミニウムスラストワッシャ」に相当するものである。
そうすると、刊行物1発明の「その半割スラスト軸受19,20の周方向両側は、軸受面側からプレスにより冷間鍛造加工され」は、プレスによる冷間鍛造加工が鍛錬加工に含まれることは技術常識であるから、具体的構成を別途検討することとすると、本願発明の「鍛錬加工されたアルミニウムマトリックスを含み」に相当する。
また、刊行物1発明の「半割スラスト軸受19,20は、バイメタルではなく、全体が軸受合金で構成された」は、上記記載事項(ウ)の記載に照らせば、裏打ち層がなく、軸受合金だけ(「モノメタル」ということができる。)から形成されることであるから、一応、本願発明の「前記アルミニウムスラストワッシャは裏打ち層なしでモノメタルから成形される」に相当する(なお、念のため、裏打ち層の技術的意義については別途検討する。)。

[一致点]
したがって、本願発明の用語にならってまとめると、両者は、
「アルミニウムスラストワッシャであって、鍛錬加工されたアルミニウムマトリックスを含み、前記アルミニウムスラストワッシャは裏打ち層なしでモノメタルから成形されるアルミニウムスラストワッシャ。」である点で一致し、以下の点で相違する。

[相違点1]
本願発明は、「前記アルミニウムマトリックスは、2?20重量%のシリコンと、0.1?4重量%の銅とを含み、残りがアルミニウムであり、且つ、前記アルミニウムマトリックスは、0.04mm^(2)の面積中で数えて、粒径が5μmより大きいシリコン粒子が少なくとも4個存在するように分散されたシリコン粒子を有」するのに対し、刊行物1発明は、「アルミニウム合金は、アルミニウム-12錫-3シリコン系合金」であり、シリコン粒子については明らかではない点。

[相違点2]
本願発明は、アルミニウムスラストワッシャが裏打ち層なしでモノメタルから成形されることにより「すべて再利用可能である」のに対し、刊行物1発明では、アルミニウムスラストワッシャがバイメタルではなく、全体が軸受合金で構成されているものの、再利用可能であるかどうか不明である点。

[相違点1についての検討]
まず、軸受合金を含むスラスト軸受やラジアル軸受において、公知の合金成分の適用を試みたり、その配合割合を調整したりすることは、一般には、当業者にとって容易になし得るというべきところ、刊行物2発明は、本願発明の上記相違点に係る成分からなり、その含有量が上記相違点に挙げた各成分の範囲に含まれる「11%ケイ素、1%銅、不純物を含み、残部アルミニウム」(この成分のうち、「ケイ素」は「シリコン」に相当することは技術常識である。)からなる軸受合金であり、この軸受合金を刊行物1発明の材料として用いることにより、上記相違点1に係る本願発明のアルミニウムマトリックスの構成とすることは、当業者にとって何ら困難性はない。また、上記各成分の含有量を、それぞれ、シリコンについて「2?20重量%」、銅について「0.1?4重量%」と数値範囲で特定した点について、本願明細書の発明の詳細な説明には、その数値範囲の上限と下限に対する臨界的意義に関する記載はなく、単に「好まし」い、「含」むなどといった一般的な説明にとどまっていることに照らせば、上記数値範囲は、当業者が通常の創作能力を発揮して各成分の含有量の最適値を見いだしたことにほかならない。

次に、本願発明が、アルミニウムスラストワッシャにシリコン粒子を分散させ、その態様について特定した点について検討するに、刊行物3にはアルミニウム系合金軸受において、「アルミニウム合金中のケイ素粒子の長径で測定したケイ素粒子の寸法が5ミクロン以上且つ40ミクロン以下の該ケイ素粒子が該合金の任意の部分で3.56×10^(-2)mm^(2)当り5個以上存在している」ようにした発明が記載されている。すなわち、刊行物3発明の上記ケイ素粒子(以下、「シリコン粒子」と表記することがある。)は、平面形状が円形ではなく、不定形であることから、長径で測定した寸法が「5ミクロン以上且つ40ミクロン以下」であるシリコン粒子が一定の面積に含まれる個数を特定しているのに対し、本願発明では単に「粒径が5μmより大きい」シリコン粒子、すなわち、大きさの下限のみを特定した粒子が一定の面積に含まれる個数を特定しているところ、上記粒径は本願発明において不定形な粒径に対する定義がなされていないことから単純には比較できないものの、刊行物3発明の「5ミクロン以上且つ40ミクロン以下」は、本願発明の「粒径が5μmより大きい」シリコン粒子を含んでいるものと解される。仮にそうでないとしても、当業者であれば、刊行物3発明の「5ミクロン以上且つ40ミクロン以下」から、本願発明における「粒径が5μmより大きい」シリコン粒子に着目するという着想を得ることができるものと解される。そして、シリコン粒子を計数する単位面積をどの程度にするかは便宜上任意に設定できる事項であることに照らせば、3.56×10^(-2)mm^(2)当りで計数したか、0.04mm^(2)の面積中で数えたかには技術的に有意な差異はなく、両者は近似した面積中に存在するシリコン粒子が、刊行物3発明では「5個以上」であり、本願発明では「少なくとも4個」存在することから、その個数においても本願発明のシリコン粒子の個数は、刊行物3のシリコン粒子の個数に近似ないし包含されるものである。そこで、本願発明におけるシリコン粒子に関して特定されている「粒径が5μm」及び0.04mm^(2)の面積の中に「少なくとも4個」の数値の意義について、念のために検討すると、本願明細書の発明の詳細な説明には「粒径が5μmより大きいシリコン粒子が少なくとも4個存在するような密度および大きさの、アルミニウムマトリックスに存在するシリコン粒子を有する。」(段落【0012】)、及び「完成材料は少なくともいくつかのシリコン粒子を有し、そのシリコン粒子は少なくとも5μmまたはそれ以上の指定された平均粒径を有し、このシリコン粒子は、マトリックス全体において0.04mm^(2)の面積中に、指定された粒径のシリコン粒子が平均して少なくとも4個あるような密度で、アルミニウムマトリックス全体に存在する。」(段落【0022】)との記載においてシリコン粒子を分散した結果を説明するだけで、粒径の下限を「5μm」とした数値の意義や所定面積に含まれるシリコン粒子の下限を「少なくとも4個」とした数値の意義については何ら記載されていない以上、この点に臨界的意義を認めることはできず、当業者が通常の創作能力の範囲において最適な数値を見いだしたにすぎないものといわざるを得ない。
そうだとすると、刊行物1発明と刊行物3発明は、ともに軸受の技術分野に属する点で共通するものであるから、刊行物1発明に刊行物3発明のシリコン粒子に関する構成の適用を試みる動機付けは十分に存在するということができ、適用を妨げる事情もみあたらない以上、上記相違点1に係るシリコン粒子の粒径と所定面積に含まれる個数を本願発明が特定した点は、刊行物1発明に刊行物3発明を適用して当業者が容易に想到し得たものである。

したがって、刊行物1発明に刊行物2発明及び刊行物3発明を適用して、上記相違点1に係る本願補正発明の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たものである。

[相違点2についての検討]
検討に先立って、軸受合金から構成されるスラスト軸受やラジアル軸受において、裏金あるいは裏打ち層を設ける技術的意義について検討するに、軸受合金は、比較的軟らかい金属材料から形成されることから(上記刊行物4の記載事項(キ))、軸受の形状を保つ役割(例えば、特開昭63-57702号公報の第1ページ右下欄第16?17行、特開昭62-167806号公報の第2ページ右上欄第17?18行、参照)や、機械的特性(強度)を担保する役割(例えば、特開平11-286735号公報の段落【0034】及び【0035】参照)を担うために裏金あるいは裏打ち層が用いられる。このことは、軸受を使用する条件や用途などにより、必ずしも裏金あるいは裏打ち層を要しないことがあることとして捉えられ、この点は当業者であれば容易に理解できることでもある。そして、刊行物1発明について「半割スラスト軸受19,20は、バイメタルではなく、全体が軸受合金で構成された」こともこの点を考慮したものと解される以上、刊行物1発明の「バイメタルではなく、全体が軸受合金で構成された」は、その構成上、本願発明の「前記アルミニウムスラストワッシャは裏打ち層なしでモノメタルから成形される」ことと差異がないことに帰着することから、上記一致点の認定のとおりであるものと解される。
そこで、上記相違点2について検討するに、上記アルミニウムスラストワッシャは、裏金あるいは裏打ち層を設けない場合は再利用がより容易になることはあるとしても、構成材料がモノメタルかバイメタルかに関わりなく、すべて再利用するか否かは当業者が任意に決定できることであり、資源の再利用やリサイクルの観点からも可能な限り再利用するという動機付けも一般的に存在することに加えて、「アルミニウムスラストワッシャは裏打ち層なしでモノメタルから成形される」ことについては、上記に説示したとおり、構成上、刊行物1発明と差異がないことに照らせば、「すべて再利用可能である」とすることは設計的事項にすぎないから、上記相違点2に係る本願発明の構成とすることは、上記裏打ち層を設ける技術的意義を考慮した上で、刊行物1発明に基づいて当業者が容易に想到できたことである。

また、本願発明が奏する効果は、いずれも上記刊行物1?4に記載された発明から当業者が予測できる程度のものである。

したがって、本願発明は、刊行物1ないし刊行物4に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

なお、審判請求人は、平成21年2月3日付け意見書において、シリコン粒子が「スラストワッシャ構造の厚さ全体にわたって(すなわち、スラスト面18と背面20との間に)分散されるシリコン粒子は、初めは均一に分散され」ており・・・、該シリコン粒子は上記構成要件Dを満たす状態で、アルミニウムマトリックス全体に存在しています・・・このような本願発明のスラストワッシャは、・・・そして、時間がたつにつれ、スラストワッシャ10が摩耗しますが、表面のアルミニウムマトリックス材料のみが取除かれ、シリコン粒子36は取除かれずにスラスト面18にたまっていき、スラスト面18でのシリコン粒子36の密度が増加し続けます(図7の状態)。
その結果、スラスト面18での高くなったシリコン粒子密度によりスラストワッシャ10の研磨作用が増し、対向面22はスラストワッシャ10が新しいとき(図6)よりもワッシャ10が摩耗したとき(図7)の方がもっと研磨されるようになります。このような増加した研磨作用により、流体力学的効果が引続き向上し、スラストワッシャ10の継続的な摩耗を減らし、このようなシリコン粒子がないアルミニウム合金材料に比べてスラストワッシャ10の有効寿命を延長することができます。」などと本願発明の作用ないし効果を説明して、本願発明は、上記刊行物から当業者が容易に発明できたものではない旨を主張している。
しかしながら、本願発明の構成は、刊行物1?4に記載された発明から当業者が容易に発明できたものであることは上記に説示したとおりであって、審判請求人が上記意見書で主張する作用ないし効果は、アルミニウムスラストワッシャが支持する相手部材の硬度などとの関連構成が特定されることによって成立するものであるところ、本願発明にはこの点に関する特定はなんらなされていない。仮に、上記意見書で主張する研磨作用がアルミニウムスラストワッシャを使用する過程で生じるとしても、アルミニウムはシリコンに比べて少なくともモース硬度は小さいことから、アルミニウムが先に摩耗することは当業者であれば当然理解するところである。したがって、上記に説示したとおり、本願発明の構成が当業者に容易想到である以上、何れの刊行物にも審判請求人が主張するようなアルミニウムスラストワッシャを使用する過程に関する記載がないとしても、その作用ないし効果も当然予測の範囲に止まるものである。

5.むすび

以上のとおり、本願発明、すなわち請求項1に係る発明は、刊行物1ないし刊行物4に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
そして、本願の請求項1に係る発明が特許を受けることができないものである以上、本願の請求項2ないし請求項9に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。



 
審理終結日 2009-02-24 
結審通知日 2009-03-03 
審決日 2009-03-17 
出願番号 特願2002-525378(P2002-525378)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (F16C)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 岡野 卓也  
特許庁審判長 川上 益喜
特許庁審判官 山岸 利治
岩谷 一臣
発明の名称 アルミニウムスラストワッシャ  
代理人 森田 俊雄  
代理人 深見 久郎  
代理人 野田 久登  
代理人 仲村 義平  
代理人 堀井 豊  
代理人 酒井 將行  
  • この表をプリントする

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ